JP2018154528A - 酸素8員環ゼオライトの製造方法 - Google Patents

酸素8員環ゼオライトの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018154528A
JP2018154528A JP2017052907A JP2017052907A JP2018154528A JP 2018154528 A JP2018154528 A JP 2018154528A JP 2017052907 A JP2017052907 A JP 2017052907A JP 2017052907 A JP2017052907 A JP 2017052907A JP 2018154528 A JP2018154528 A JP 2018154528A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zeolite
oxygen
less
membered ring
quaternary ammonium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017052907A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6988111B2 (ja
Inventor
雅寛 原
Masahiro Hara
雅寛 原
由美子 吉川
Yumiko Yoshikawa
由美子 吉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Chemical Holdings Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2017052907A priority Critical patent/JP6988111B2/ja
Publication of JP2018154528A publication Critical patent/JP2018154528A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6988111B2 publication Critical patent/JP6988111B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】酸素8員環ゼオライトを、安価な四級アンモニウム塩と汎用のアルカリ(土類)金属源を用いることで、酸素8員環ゼオライトを低コスト、かつ高い収率で製造する。【解決手段】ケイ素源と、アルミニウム源と、アルカリ金属元素源及び/またはアルカリ土類金属元素源と、四級アンモニウム塩と、水及び種結晶を含む混合物の水熱合成により、酸素8員環ゼオライトを製造する。アルミニウム源は、Framework densityが16.0T/1000Å以下のゼオライト(I)を含み、前記種結晶は酸素8員環ゼオライト(II)を含み、前記四級アンモニウム塩は、炭素数4以下の独立した置換基のみで構成される四級アンモニウム塩を含み、前記混合物中のケイ素に対する、前記アルカリ金属原子と前記アルカリ土類金属原子の合計のモル比が0.40より小さく、前記混合物中のケイ素に対する前記四級アンモニウム塩のモル比が0.30以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、酸素8員環ゼオライトの製造方法、および該方法で製造されたゼオライトを低級オレフィン製造用触媒ならびに排ガス処理用触媒として使用する方法に関するものである。
ゼオライトは、触媒、吸着材、分離材等の諸種の用途に用いられている。特に、酸素8員環ゼオライトは、その小さな細孔径を利用した低級オレフィン製造用の触媒や自動車排ガス処理用の触媒として期待されている。
酸素8員環ゼオライトとしては、International Zeolite Association(以下これを、「IZA」と略称することがある。)が定める構造コードでAFX、ERI、KFI、CHA、RHO、AEIなどが挙げられる。
酸素8員環ゼオライトの製造方法としては、その構造に適した構造規定剤(主に四級アンモニウム塩)を用いた製造方法が諸種報告されている。例えば、AFX型ゼオライトの製造方法としては、構造規定剤としてキヌクリジン誘導体を使用した製造方法が報告されている(特許文献1)。
また、比較的高シリカ組成のAFX型ゼオライトの製造方法としては、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリウムカチオンを構造規定剤として用いた製造方法が開示されている(特許文献2)。一方、ERI型ゼオライトの製造方法としては、ヘキサメトニウムカチオンとテトラエチルアンモニウムカチオンの2種を構造規定剤として用いた製造方法が開示されている(特許文献3)。KFI型ゼオライトの製造方法としては、18−クラウン−6のクラウンエーテルを構造規定剤として用いた製造方法が開示されている(非特許文献1)。また、CHA型ゼオライトの製造方法としては、N,N,N−トリメチル−1−アダマンタンアンモニウムカチオンを用いた製造方法(特許文献4)、テトラエチルアンモニウムカチオンを用いた製造方法(特許文献5)が開示されている。
しかしながら、上記の公知の方法には諸種の問題があり、必ずしも満足する結果は得られていない。例えば、特許文献1〜4、非特許文献1に記載の方法では、構造規定剤となる四級アンモニウム塩またはエーテルが高価なため、酸素8員環ゼオライトの製造コストが高くなり、工業的な製造という点では、実用に耐えるものではない。また、特許文献5に記載の方法では、安価な四級アンモニウム塩を使用しているものの、結晶化には長時間(7日間)を要するため、こちらも工業的な製造という点では、実用に耐えるものではない。
米国特許第4508837号公報 特開2016−147801号公報 米国特許第7344694号公報 米国特許第4544538号公報 国際公開WO2016/096653号パンフレット
Zeolites,17,328−333(1996)
本発明は、酸素8員環ゼオライトを、安価な四級アンモニウム塩と汎用のアルカリ(土類)金属源を用いることで、酸素8員環ゼオライトを低コスト、短時間かつ高収率で製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、水熱合成の混合物中に、アルミニウム源にFramework densityの比較的低いゼオライト、種結晶に酸素8員環ゼオライト、構造規定剤に炭素数4以下の置換基で構成される四級アンモニウム塩を用いて、アルカリ(土類)金属及び四級アンモニウム塩の混合比を所定の割合とすることにより、酸素8員環ゼオライトを単一成分、かつ高収率で製造できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]ケイ素源と、アルミニウム源と、アルカリ金属元素源及び/またはアルカリ土類金属元素源と、四級アンモニウム塩と、水及び種結晶を含む混合物の水熱合成により、酸素8員環ゼオライトを製造する方法において、以下(i)〜(v)を満たすことを特徴とする酸素8員環ゼオライトの製造方法。
(i)前記アルミニウム源として少なくとも、Framework densityが16.0T/1000Å以下のゼオライト(I)を含む。
(ii)前記種結晶として酸素8員環ゼオライト(II)を含む。
(iii)前記四級アンモニウム塩として少なくとも、炭素数4以下の独立した置換基のみで構成される四級アンモニウム塩を含む。
(iv)前記混合物中のケイ素に対する、前記アルカリ金属原子と前記アルカリ土類金属原子の合計のモル比が0.40より小さい。
(v)前記混合物中のケイ素に対する前記四級アンモニウム塩のモル比が0.30以下である。
[2]アルミニウムに対するケイ素のモル比が3.0以上6.0以下の酸素8員環ゼオライトを製造することを特徴とする[1]に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
[3]International Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでAFX、ERI、KFI、LEV、SAS、SAV、PAU、RHO、LTAから選ばれる少なくとも1種の酸素8員環ゼオライトを製造することを特徴とする[1]又は[2]に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
[4]前記混合物中のケイ素に対する、前記アルカリ金属原子、前記アルカリ土類金属原子と前記四級アンモニウム塩の合計のモル比が0.50以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
[5]前記ゼオライト(I)のアルミニウムに対するケイ素のモル比が2.0以上10以下であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
[6]前記混合物中のケイ素が全てSiOになっているとした時のSiOに対する、前記ゼオライト(I)由来のSiOのモル比が0.50以上であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
[7]前記ゼオライト(I)として少なくとも、International Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでFAUであるゼオライトを含むことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法により酸素8員環ゼオライトを製造し、これを低級オレフィン製造用触媒として使用する方法。
[9][1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法により酸素8員環ゼオライトを製造し、これを排ガス処理用触媒として使用する方法。
本発明によれば、酸素8員環ゼオライトを、合成が容易であり、かつ安価な四級アンモニウム塩を用いて、製造コストを抑えて、効率的に製造することができる。また、製造された酸素8員環ゼオライトは、低級オレフィン製造用触媒や自動車の排ガス処理用触媒として好適に用いることができる。
実施例1で得られたAFX型ゼオライトのXRDパターンである。
以下に本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の態様に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[酸素8員環ゼオライト]
以下に、本発明の製造方法で得られる酸素8員環ゼオライト(以下、「本発明のゼオライト」ということがある)について説明する。
<構造>
本発明のゼオライトは、通常、結晶性を有し、開かれた規則的なミクロ細孔(以下、単に「細孔」ということがある)を形成している多孔質結晶性化合物であり、四面体構造をもつTO単位(Tは、ゼオライトを構成する酸素以外の元素をいう)が酸素原子を共有して三次元的に連結した構造を有している。
本発明の酸素8員環ゼオライトとしては、International Zeolite Association(IZA)が定める構造コード(Framework Type Code)で、ABW(19.0)、AEI(14.8)、AEN(19.7)、AFN(17.4)、AFT(14.9)、AFX(14.7)、APC(18.0)、APD(19.8)、ATN(17.4)、ATT(16.7)、ATV(19.9)、AWO(18.3)、AWW(16.7)、BIK(20.3)、BRE(17.3)、CAS(20.6)、CDO(19.3)、CHA(14.5)、DDR(17.6)、EAB(15.5)、ERI(15.7)、ESV(17.3)、IHW(18.7)、ITE(16.3)、ITW(18.1)、KFI(14.6)、LEV(15.2)、LTA(12.9)、MER(16.0)、MON(18.1)、MTF(20.6)、PAU(15.5)、PHI(15.8)、RHO(14.1)、RTE(17.3)、RTH(16.6)、SAS(15.3)、SAT(16.6)、SAV(14.4)、TSC(12.1)、UFI(15.4)などが挙げられる。好ましくはAEI、AFX、CHA、ERI、KFI、LEV、SAS、SAV、PAU、RHO、LTAであり、より好ましくはAFX、ERI、KFI、LEV、SAS、SAV、PAU、RHO、LTAであり、さらに好ましくはAFX、ERI、KFIであり、特に好ましくはAFXである。括弧内の数値は、ゼオライトのフレームワーク密度(単位:T/1000A)である。フレームワーク密度とは、ゼオライトの単位体積(1000A)当たりに存在する骨格を形成する酸素以外の原子Tの個数を意味し、この値はゼオライトの構造により決まるものである。なお、フレームワーク密度とゼオライトの構造との関係は、IZAの構造委員会(Structure Commission)により編纂されたゼオライトに関するデータ集(Atlas of Zeolite Framework Types,Sixth Revised Edition 2007, ELSEVIER)に示されている。
本発明の酸素8員環ゼオライトとしては、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含むゼオライトが好ましい。
<構成成分>
本発明のゼオライトは、少なくともアルミニウムを含むアルミノケイ酸塩である。本発明のゼオライトは、T原子中にケイ素原子を70mol%以上含む。本発明のゼオライトは、アルミニウムの他に、ホウ素、ガリウム、及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素Mを含有していてもよい。元素MがゼオライトのT原子としてその骨格内に取り込まれ、中程度の酸強度の活性点となり、メタノールやエチレン等の有機化合物の転化反応の活性点として機能する。
本発明のゼオライトは、好ましくはT原子がケイ素とアルミニウムからなるアルミノケイ酸塩、ボロアルミノケイ酸塩、ガロアルミノケイ酸塩、フェリアルミノケイ酸塩、ボロガロアルミノケイ酸塩、ボロフェリアルミノケイ酸塩であり、より好ましくはアルミノケイ酸塩、ボロアルミノケイ酸塩、フェリアルミノケイ酸塩であり、さらに好ましくはT原子がケイ素とアルミニウムからなるアルミノケイ酸塩である。
また、本発明のゼオライトは、前記の元素以外に、その他の元素を含んでいてもよい。その他の元素としては、特に限定されないが、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、錫(Sn)等が挙げられる。これらの構成元素は1種類でも2種類以上でもよい。
<ケイ素に対するアルミニウムのモル比>
本発明のゼオライトのアルミニウムに対するケイ素のモル比(Si/Al)は、特に限定されるものではないが、通常2.0以上、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、さらに好ましくは4.0以上、特に好ましくは4.5以上であり、通常100以下、好ましくは25以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8.0以下、特に好ましくは6.0以下である。アルミニウムに対するケイ素のモル比を上記の範囲とすることで、触媒として用いた場合に、Al由来の酸強度の強い酸点により、エチレンやメタノール等の有機化合物原料を効率的に転換することができるため好ましい。またコーク付着による触媒の失活、ケイ素以外のT原子の骨格からの脱離、酸点当たりの酸強度の低下といった現象を防ぐことができる。
<ケイ素に対する元素Mの合計のモル比>
本発明のゼオライトの前記元素Mの合計に対するケイ素のモル比(Si/M )は、特に限定されるものではないが、通常5以上、好ましくは10以上、より好ましくは30以上、さらに好ましくは50以上であり、通常上限はない。前記M/Siモル比が上記の範囲にあることで、元素Mの骨格からの脱離を抑制することができる。
本発明のゼオライトのSi、Al、その他元素M(B,Fe,Ga)の含有量は、通常、ICP元素分析や蛍光X線分析で測定できる。蛍光X線分析は、標準試料中の分析元素の蛍光X線強度と分析元素の原子濃度との検量線を作成し、この検量線により、蛍光X線分析法(XRF)でゼオライト試料中のケイ素原子、アルミニウム、ガリウム、鉄原子の含有量を求めることができる。なお、ホウ素元素の蛍光X線強度は比較的小さいため、ホウ素原子の含有量はICP元素分析で測定することが好ましい。
<リン含有量>
本発明のゼオライトの結晶内に含まれるリン含有量は、特に限定されるものではないが、少ない方が好ましく、通常500ppm以下、好ましくは300ppm以下、より好ましくは100ppm以下、最も好ましくは0ppmである。ゼオライトの結晶内に含まれるリン含有量を上記の範囲とすることで、十分な比表面積が得られ、また、炭化水素成分の高い結晶内拡散性が得られ、有機化合物原料の転化活性が高くなる。リン由来の酸点での副反応が抑制されるため、低級オレフィンの収率が向上させることができる。尚、本発明のゼオライトは、ゼオライトの骨格内および/または骨格外にリンが一部含有されていてもよいが、好ましくは骨格外にのみ含有されるものであり、より好ましくは含有されないものである。
<全酸量>
本発明のゼオライトの全酸量(以下、全酸量という)は、前記ゼオライトの結晶細孔内に存在する酸点の量と、前記ゼオライトの結晶外表面酸点の量(以下、外表面酸量という)の総和である。全酸量は、特に限定されるものではないが、通常0.010mmol/g以上、好ましくは0.10mmol/g以上、より好ましくは0.50mmol/g以上、さらに好ましくは1.0mmol/g以上である。また、通常3.0以下、好ましくは2.5mmol/g以下、より好ましくは2.0mmol/g以下、さらに好ましくは1.5mmol/g以下である。全酸量を上記の範囲とすることで、有機化合物原料の転化活性が担保され易く、ゼオライトの細孔内部におけるコーク生成が抑制され、分子の結晶内拡散性が上昇することで、低級オレフィンの生成を促進することができる点で好ましい。また、排ガス処理用触媒として用いる場合でも、触媒としての活性点が多くなり、窒素酸化物を含む排ガスに対して高い浄化性能を持つため好ましい。
なお、ここでの全酸量は、アンモニア昇温脱離(NH−TPD)における脱離量から算出される。具体的には、前処理としてゼオライトを真空下500℃で30分間乾燥させた後、前処理したゼオライトを100℃で過剰量のアンモニアと接触させて、ゼオライトにアンモニアを吸着させる。得られたゼオライトを100℃で真空乾燥する(または、100℃で水蒸気と接触させる)ことにより、該ゼオライトから余剰アンモニアを除く。次いでアンモニアが吸着したゼオライトを、ヘリウム雰囲気下、昇温速度10℃/分で加熱して、100−600℃におけるアンモニア脱離量を質量分析法で測定する。ゼオライト当たりのアンモニア脱離量を全酸量とする。但し、本発明における全酸量は、TPDプロファイルをガウス関数によって波形分離し、そのピークトップを240℃以上に有する波形の面積の合計とする。この「240℃」は、ピークトップの位置の判断のみに用いる指標であって、240℃以上の部分の面積を求めるという趣旨ではない。ピークトップが240℃以上の波形である限り、当該「波形の面積」は、240℃以外の部分も含む全面積を求める。240℃以上にピークトップを有する波形が複数ある場合には、それぞれの面積の和とする。
本発明の全酸量には、ピークトップを240℃未満に有する弱酸点由来の酸量は含めないものとする。これは、TPDプロファイルにおいて、弱酸点由来の吸着と物理吸着との区別が容易ではないためである。
<外表面酸量>
本発明のゼオライトの結晶外表面酸量は、特に限定されるものではないが、ゼオライトの全酸量に対して、通常8%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下、最も好ましくは0%である。外表面酸量が大きすぎる場合には、外表面酸点で起こる副反応により低級オレフィンの選択性が低下する傾向がある。これは、外表面酸点で目的物以外の炭化水素を生成する反応が進行するためと推測される。また、前記ゼオライトの細孔内で生成した低級オレフィンが外表面酸点で更に反応してしまうことも選択率低下の一因であると推測される。
なお本発明のゼオライトの外表面酸量の値は、国際公開2010/128644号パンフレットに記載の方法で測定することができる。
前記ゼオライトの外表面酸量を、上記範囲に調整する方法としては、特に限定はされないが、通常、前記ゼオライトの外表面のシリル化、水蒸気処理、熱処理等の方法が挙げられる。また、ゼオライトを成形する際にバインダーと前記ゼオライトの外表面酸点を結合させる、といった方法が挙げられる。
<イオン交換サイト>
本発明のゼオライトのイオン交換サイトは、特に限定されない。通常、プロトンであるか(以下、「プロトン型」「H型」ともいう)、一部がリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属;マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属;等の金属イオンである。イオン交換サイトは、ケージ空間における金属占有容積低減による分子拡散性向上の観点からは、好ましくはプロトン、ナトリウム、カリウム、カルシウムであり、より好ましくはプロトン、ナトリウム、カリウムであり、さらに好ましくはプロトン、ナトリウムであり、特に好ましくはプロトンである。以下、例えばNaイオンで交換されているものを「Na型」ということがある。なお、アンモニウム(NH)でイオン交換されたものは、反応条件の高温下でアンモニアが脱離するため、通常プロトン型と同等に扱う。
本発明のゼオライト中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の合計の含有量としては、特に限定されないが、通常0.005質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。アルカリ金属及びアルカリ土類金属の合計の含有量を上記の範囲とすることで、ゼオライトの酸量やケージ空間容積を調整することができるため、反応時のコーク蓄積を抑制することができる点で好ましい。また熱的/水熱的安定性が高くなり、劣化を抑制することができる点でも好ましい。
<含有金属>
これらイオン交換サイト以外に、Na、K等のアルカリ金属;Mg、Ca等のアルカリ土類金属;Cr、Cu、Ni、Fe、Mo、W、Pt、Re等の遷移金属が担持されていてもよい。ここで、金属担持は、通常、平衡吸着法、蒸発乾固法、ポアフィリング法等の含浸法で行うことができる。
本発明のゼオライト中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の合計量としては、イオン交換サイト以外にも含有する場合も、上記の含有量の範囲であることが好ましい。
<平均一次粒子径>
本発明のゼオライトの平均一次粒子径は、特に限定されるものではないが、通常0.03μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.15μm以上、特に好ましくは0.20μm以上であり、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.40μm以下である。上記範囲とすることで、触媒反応におけるゼオライト結晶内の拡散性及び触媒有効係数が十分高くなり、ゼオライト結晶性が十分なものとなり、耐水熱安定性が高い点で好ましい。
なお、本発明における平均一次粒子径とは、一次粒子の粒子径に相当する。したがって、光散乱法などで測定される凝集体の粒子径とは異なる。平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(以降、「SEM」と略記する。)又は透過型電子顕微鏡(以降、「TEM」と略記する。)による粒子の観察において、粒子を任意に50個以上測定し、その一次粒子の粒子径を平均して求められる。粒子が長方形の場合、粒子の長辺・短辺を計測して(奥行は計測せず)、その和の平均(つまり(長辺+短辺)÷2)を算出して、その粒子の粒子径とする。
<BET比表面積>
本発明のゼオライトのBET比表面積は、特に限定されるものではないが、通常300m/g以上、好ましくは400m/g以上、より好ましくは500m/g以上であり、通常1000m/g以下、好ましくは800m/g以下、より好ましくは750m/g以下である。上記範囲にあることで、細孔内表面に存在する活性点が十分多く、触媒活性が高くなるため好ましい。なお、BET比表面積は、JIS8830(ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法)に準じた測定方法によって測定できる。吸着ガスとして窒素を使用し、1点法(相対圧:p/p=0.30)でBET比表面積を求められる。
[酸素8員環ゼオライトの製造方法]
本発明の酸素8員環ゼオライトの製造方法は、ケイ素源と、アルミニウム源と、アルカリ金属元素源及び/またはアルカリ土類金属元素源と、四級アンモニウム塩と、水及び種結晶を含む混合物の水熱合成により、酸素8員環ゼオライトを製造する方法であって、以下(i)〜(v)を満たすことを特徴とする。
(i)前記アルミニウム源として少なくとも、Framework densityが16.0T/1000Å以下のゼオライト(I)を含む。
(ii)前記種結晶として酸素8員環ゼオライト(II)を含む。
(iii)前記四級アンモニウム塩として少なくとも、炭素数4以下の独立した置換基のみで構成される四級アンモニウム塩を含む。
(iv)前記混合物中のケイ素に対する、前記アルカリ金属原子と前記アルカリ土類金属原子の合計のモル比が0.40より小さい。
(v)前記混合物中のケイ素に対する前記四級アンモニウム塩のモル比が0.30以下である。
本発明の酸素8員環ゼオライトは、上記の特徴を除いてはゼオライトの水熱合成の常法に従って製造することができる。すなわち、シリカ源、アルミニウム源、アルカリ金属元素源及び/またはアルカリ土類金属元素源、および四級アンモニウム塩、水、種結晶、を含む結晶前駆体の混合物を調製し、これを水熱合成する方法で合成することができる。
以下、製造方法の一例を記載する。
<混合物の成分>
(a)ケイ素源
本発明で用いるシリカ源は特に限定されず、微粉シリカ、シリカゾル、シリカゲル、二酸化珪素、水ガラスなどのシリケート、テトラメトキシシランやテトラエトキシシラン等の珪素のアルコキシド、珪素のハロゲン化物などが挙げられる。また、FAU型ゼオライトやCHA型ゼオライトなどのシリカ含有ゼオライトをシリカ源として用いてもよい。
これらシリカ源は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのシリカ原料のうち、コスト面の有利さ、取り扱いの容易さの面で、好ましくは、微粉シリカ、シリカゾル、水ガラス、シリカ含有ゼオライトなどが用いられ、より好ましくは反応性の面で、シリカゾル、水ガラス、シリカ含有ゼオライトが用いられる。
(b)アルミニウム源
アルミニウム源として、少なくとも、Framework densityが16.0T/1000A以下であるゼオライト(I)を含む。Framework densityが16.0T/1000A以下の骨格密度の比較的低いゼオライトは、アルカリ性の原料混合物中において溶解性が高いため、骨格を構成するナノパーツに分解され易く、本発明の酸素8員環ゼオライトの結晶構造形成への寄与が大きくなる。Framework densityは16.0T/1000A以下、好ましくは15.0T/1000A以下、より好ましくは14.8T/1000A以下、さらに好ましくは14.6T/1000A以下、特に好ましくは14.4以下である。Framework densityは、通常10.0T/1000A以上、好ましくは11.0T/1000A、より好ましくは12.0T/1000A以上である。
Framework densityが16.0T/1000A以下のゼオライトとしては、AEI(14.8)、AFG(15.9)、AFX(14.7)、BEA(15.1)、BEC(13.9)、BOG(15.6)、CHA(14.5)、EAB(15.5)、EMT(12.9)、ERI(15.7)、ETR(14.7)、FAR(15.8)、FAU(12.7)、FRA(15.6)、GIS(15.3)、GIU(15.9)、GME(14.6)、ISV(15.4)、IWR(15.5)、IWV(15.7)、KFI(14.6)、LIO(15.6)、LOS(15.8)、LTA(12.9)、LEV(15.2)、LTN(15.2)、MAR(15.8)、MEI(14.3)、MER(16.0)、OBW(13.1)、OFF(15.5)、OSO(13.4)、PAU(15.5)、PHI(15.8)、RHO(14.1)、SAS(15.3)、SAV(14.4)、TOL(15.9)、TSC(12.1)、UFI(15.4)、UTL(15.2)等が挙げられる。なお、括弧内の数値は、各構造のFramework densityを表す(ただし、T/1000Aの記載を省略)。
これらのゼオライトのうち、汎用性や溶解性の点で、好ましくはAEI型、AFX型、BEA型、CHA型、ERI型、FAU型、LTA型、LEV型、OFF型、RHO型であり、より好ましくはAEI型、AFX型、CHA型、ERI型、FAU型、LEV型であり、さらに好ましくはAFX型、CHA型、FAU型であり、特に好ましくはFAU型である。また、上記アルミニウム含有ゼオライトは、アルミニウム源であると同時に、前述したケイ素源、後述する種結晶としての機能を有するものもある。
前記ゼオライトのSi/Alモル比は、特に限定されるものではないが、通常1.0以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは4.0以上、特に好ましくは5.0以上であり、通常50以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8.0以下、特に好ましくは6.0以下である。前記ゼオライトのSi/Alモル比を上記の範囲とすることで、酸素8員環ゼオライトの以外の構造のゼオライトの生成を抑制することができる点で好ましい。
前記ゼオライトとしては、アルミニウムを含有するものであれば、特に限定されず、X型ゼオライトまたはY型ゼオライトの少なくともいずれかであることが好ましく、Y型ゼオライトであることがより好ましい。
また、前記ゼオライトとともに、通常、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、酸化アルミニウム、アモルファスの水酸化アルミニウム、結晶性の水酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナゾル、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシド、アルミニウム含有ゼオライトなどを併用することができる。
これらのアルミニウム源のうち、反応性の面で、好ましくは硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、アモルファスの水酸化アルミニウム、アルミニウム含有ゼオライトであり、より好ましくはアモルファスの水酸化アルミニウム、アルミニウム含有ゼオライトである。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(c)アルカリ金属元素源及び/またはアルカリ土類金属元素源
本実施形態の水熱合成に供する混合物中に含まれるアルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素としては特に限定されず、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらは1種が単独に含まれていても、2種以上が含まれていてもよいが、アルカリ性が高く、特に溶解性の低い原料を使用した際にゼオライトの結晶化が起こりやすい面でアルカリ金属元素を含むことが好ましい。
アルカリ金属元素源、アルカリ土類金属元素源としては、その水酸化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、炭酸水素塩、炭酸塩などが挙げられる。これらの化合物のうち、水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩は、水溶液状態で塩基性を示すものである。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどの水酸化物、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウムなどの炭酸水素塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩などが挙げられる。これらのうち、アルカリ性が高く、原料の溶解、続くゼオライトの結晶化を促進させる効果がある点で、好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属元素の水酸化物であり、より好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムであり、さらに好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウムである。
これらのアルカリ金属源、アルカリ土類金属源は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(d)四級アンモニウム塩
四級アンモニウム塩として、少なくとも、炭素数4以下の独立した置換基のみで構成される四級アンモニウム塩を含む。
具体的には、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、メチルトリプロピルアンモニウム、ジメチルジプロピルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、メチルトリブチルアンモニウム、ジメチルジブチルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、エチルトリプロピルアンモニウム、ジエチルジプロピルアンモニウム、トリエチルプロピルアンモニウム、エチルトリブチルアンモニウム、ジエチルジブチルアンモニウム、トリエチルブチルアンモニウム、プロピルトリブチルアンモニウム、ジプロピルジブチルアンモニウム、トリプロピルブチルアンモニウムなどが挙げられる。
炭素数の4以下の独立した置換基のみで構成される四級アンモニウム塩を用いることで、混合物中の親疎水性を適度に制御することができるため、酸素8員環ゼオライトの結晶化が進行し易く、好ましい。
また、この他の四級アンモニウム塩を含んでいても良い。例えば、アルキル置換ピペリジニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、ヘキサメトニウム、ペンタエトニウムカチオン等の四級アンモニウム塩を含んでいても良い。
四級アンモニウム塩として用いられる四級アンモニウムカチオンは、本発明の酸素8員環ゼオライトの形成を阻害しないアニオンをともなうものである。前記アニオンは、特に限定はされないが、具体的には、Cl、Br、Iなどのハロゲンイオンや水酸化物イオン、酢酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩等が用いられる。中でも、水酸化物イオンは特に好適に用いられる。
四級アンモニウム塩は、1種のみを使用しても、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(e)水
通常は、イオン交換水を用いる。
(f)種結晶
本発明において、水熱合成に供する混合物中に種結晶を添加する。本発明では、種結晶として酸素8員環ゼオライト(II)を含む。この酸素8員環ゼオライト(II)としては、International Zeolite Association(IZA)が定める構造コード(Framework Type Code)で、ABW、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、APC、APD、ATN、ATT、ATV、AWO、AWW、BIK、BRE、CAS、CDO、CHA、DDR、EAB、ERI、ESV、IHW、ITE、ITW、KFI、LEV、LTA、MER、MON、MTF、PAU、PHI、RHO、RTE、RTH、SAS、SAT、SAV、TSC、UFIなどが挙げられる。好ましくはAEI、AFX、CHA、ERI、KFI、LEV、SAS、SAV、PAU、RHO、LTAであり、より好ましくはAFX、ERI、KFI、LEV、SAS、SAV、PAU、RHO、LTAであり、さらに好ましくはAFX、ERI、KFIであり、特に好ましくはAFXである。この種結晶としては、International Zeolite Association(IZA)がcomposite building unitとして定めるd6rを骨格中に含むゼオライトが好ましい。
種結晶は、1種のみを用いてもよく、構造や組成の異なるものを組み合わせて用いてもよい。種結晶として用いるゼオライトの組成は、混合物の組成に大きく影響を与えるものでなければ、特に限定されるものではない。
種結晶として用いるゼオライトの粒子径は、特に限定されるものではないが、平均一次粒子径として、通常0.03μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。種結晶の平均一次粒子径を上記範囲とすることで、前記混合物中での種結晶の溶解性が高くなり、副生物の生成を抑制し、酸素8員環ゼオライトの結晶化を効率的に促進することができる。
種結晶としては、水熱合成後に焼成を行っていない構造規定剤を含むゼオライト、焼成を行って構造規定剤を含まないゼオライトのいずれを用いてもよい。結晶核として効果的に作用するためには、結晶化初期段階で溶解し過ぎない方が好適であるため、構造規定剤を含むゼオライトを用いることが好ましい。ただし、アルカリ濃度が低い条件や、合成温度が低い条件などでは、構造規定剤を含むゼオライトの溶解性が十分でない場合があり、その場合には、構造規定剤を含まないゼオライトを用いることが好ましい。
種結晶は、適当な溶媒、例えば水に分散させて混合物に添加してもよいし、分散させずに直接添加してもよい。
(g)その他の金属元素源
水熱合成時の混合物は、その他の金属元素M源を含んでいてもよい。元素M源としては特に限定されず、例えば、ホウ素、ガリウム、鉄などが例示され、好ましくは、これらの元素の硫酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物、アルコキシド、元素M含有ゼオライトなどから選ばれるものが使用される。これらの元素M源のうち、反応性の面で硫酸塩、硝酸塩、水酸化物、アルコキシドが好ましく、コスト面、作業面で硫酸塩、硝酸塩、水酸化物がより好ましい。
ホウ素源としては、通常、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、酸化ホウ素、ホウ素含有ゼオライトなどが用いられ、好ましくはホウ酸、ホウ酸ナトリウムであり、より好ましくはホウ酸である。
また、ガリウム源としては、通常、硫酸ガリウム、硝酸ガリウム、酸化ガリウム、塩化ガリウム、リン酸ガリウム、水酸化ガリウム、ガリウム含有ゼオライトなどが用いられ、好ましくは硫酸ガリウム、硝酸ガリウムであり、より好ましくは硫酸ガリウムである。
鉄源としては、通常、硝酸鉄、硫酸鉄、酸化鉄、塩化鉄、水酸化鉄、鉄含有ゼオライトなどが用いられ、好ましくは硫酸鉄、硝酸鉄であり、より好ましくは硫酸鉄である。
これらの元素M源は、1種を単独で用いてもよく、同一の元素のものの2種以上を組み合わせて用いてよく、また、異なる元素のものの1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、混合物中に、その他の金属(鉛、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、クロム、コバルトなど)源を含んでいてもよい。これらは混合物中に1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
<混合物の組成>
本発明の製造方法において、水熱合成に供される混合物(スラリーないしゲル)の好適な組成は次の通りである。なお、以下の組成は、種結晶を添加する場合には、種結晶に含まれるケイ素、アルミニウム、元素M、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、四級アンモニウム塩、水(吸着水)は含めずに算出される値である。
前記混合物中のケイ素に対する、前記アルカリ金属原子と前記アルカリ土類金属原子の合計のモル比は、通常0.010より大きく、好ましくは0.10より大きく、より好ましくは0.20より大きく、さらに好ましくは0.25より大きく、0.40より小さく、好ましくは0.37より小さく、より好ましくは0.34より小さい。上記範囲とすることで、アルカリ金属原子及び/又はアルカリ土類金属原子が酸素8員環ゼオライトのアルミニウムのカウンターカチオンとなり易く、低Si/Al組成においても、十分な安定化効果が得られ、結晶化し易い。
前記混合物中のケイ素に対する前記四級アンモニウム塩のモル比は、0.30以下であり、好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以下、さらに好ましくは0.15以下、通常0.010以上、好ましくは0.025以上、より好ましくは0.050以上、さらに好ましくは0.10以上である。上記の比率を上記の範囲とすることで、結晶化時における酸素8員環ゼオライトの結晶化に必要な量の構造規定剤が含まれるため、結晶化が効率的に進行するため好ましい。
混合物中のケイ素原子に対する、前記四級アンモニウム塩、前記アルカリ金属原子と前記アルカリ土類金属原子の合計のモル比[(四級アンモニウム塩+アルカリ金属+アルカリ土類金属)/Si]は、特に限定されるものではないが、通常0.20以上、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.35以上、さらに好ましくは0.40以上であり、通常0.60以下、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.48以下である。上記の比率を上記の範囲とすることで、アルミニウム源としてのゼオライト及び種結晶が溶解し易くなり、酸素8員環ゼオライトの結晶化が促進される点で好ましい。
混合物中のアルミニウム原子に対するケイ素原子のモル比(Si/Al)は、特に限定されるものではないが、通常2.0以上、好ましくは3.0以上、より好ましくは3.5以上、さらに好ましくは4.0以上、特に好ましくは4.5以上であり、通常100以下、好ましくは25以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは8.0以下、特に好ましくは6.0以下である。アルミニウム原子に対するケイ素原子のモル比を上記の範囲とすることで、酸素8員環ゼオライトの指向性が高まり、副生物の生成が抑制され、合成収率が向上する。また、触媒として用いた場合に、Al由来の酸点により有機化合物原料を効率的に転換することができるため好ましい。
混合物中の前記元素M(ホウ素、ガリウム、及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種)の合計に対するケイ素原子のモル比(Si/M)は、特に限定されるものではないが、通常2.5以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であり、通常上限はない。Si/Mを上記の範囲とすることで、酸素8員環ゼオライトの骨格内に取り込まれ、合成収率が向上する。
混合物中のケイ素原子(Si)が全てSiOになっているとしたときの、SiOに対する前記ゼオライト由来のSiOのモル比は、特に限定されるものではないが、通常0.10以上、好ましくは0.40以上、より好ましくは0.50以上、さらに好ましくは0.80以上であり、通常1.0以下、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.92以下である。ゼオライト由来のSiOのモル比を上記の範囲とすることで、混合物中のゼオライト由来のbuilding unit(ナノパーツ)の濃度が十分に高くなり、BEA相やMFI相、ANA相の生成に優先して、酸素8員環ゼオライトの結晶化が効率的に進行するため好ましい。
混合物中のアルミニウム原子に対する前記アルカリ金属原子と前記アルカリ土類金属原子の合計のモル比[(アルカリ金属原子+アルカリ土類金属原子)/Al]は、特に限定されるものではないが、通常0.5以上、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは6以下である。上記の比率を上記の範囲とすることで、結晶化時のアルミニウムに対するアルカリ金属、アルカリ土類金属の相互作用が効果的なものとなり、酸素8員環ゼオライトが得られやすい点で好ましい。
混合物中のアルミニウム原子に対する、前記四級アンモニウム塩、前記アルカリ金属原子と前記アルカリ土類金属原子の合計のモル比[(四級アンモニウム塩+アルカリ金属+アルカリ土類金属)/Al]は、特に限定されるものではないが、通常1.0以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上であり、通常15以下、好ましくは10以下、より好ましくは8.0以下である。上記の比率を上記の範囲とすることで、結晶化時のアルミニウムと四級アンモニウム塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属の相互作用が効果的なものとなり、酸素8員環ゼオライトが得られやすい点で好ましい。
混合物中の水の割合は、特に限定されるものではないが、ケイ素に対するHOのモル比(HO/Si)として、通常3以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であり、通常50以下、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。混合物中の水の割合を上記の範囲とすることで、結晶化を促進することができる。また、反応器当たりの生産性を高めることができる。反応時の粘度上昇による撹拌混合性の低下や廃液処理コストを抑えることができる点で好ましい。
混合物中に添加する種結晶の量は、特に限定されないが、本発明で添加する種結晶以外の混合物に含まれるケイ素(Si)がすべてSiOであるとした時のSiOに対して、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、また、上限は特に限定されないが、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。種結晶の量を上記の範囲とすることで、酸素8員環ゼオライトを指向する前駆体量が十分なものとなり、結晶化を促進することができる。また、生成物中に含まれる種結晶由来の成分量が抑えられ、生産性を高めることができるため、生産コストを低減することができる。
<水熱合成工程>
上記混合物を、反応容器中で加熱することにより(水熱合成)、酸素8員環ゼオライトを製造することができる。
加熱温度(反応温度)は特に限定されず、通常120℃以上、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上であり、通常220℃以下、好ましくは210℃以下、より好ましくは200℃以下である。反応温度を上記の範囲とすることで、酸素8員環ゼオライトの結晶化時間を短縮することができ、酸素8員環ゼオライトの収率が向上する。また、BEA相やMFI相などのゼオライトの副生を抑制できる点で好ましい。四級アンモニウム塩の分解を抑制できる点でも好ましい。
加熱温度(反応温度)まで昇温するのに要する時間は、特に限定されるものではなく、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1時間以上であり、昇温に要する時間の上限は特にない。
加熱時間(反応時間)は、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、また上限は、通常14日間以下、好ましくは7日間以下、より好ましくは3日以下であり、さらに好ましくは2日以下であり、特に好ましくは1日以下である。反応時間を上記の範囲とすることで、十分な結晶性の酸素8員環ゼオライトを得ることができ、また、収率を向上させることができる点で好ましい。
反応時の圧力は特に限定されず、密閉容器中に入れた混合物を上記温度範囲に加熱したときに生じる自生圧力で十分であるが、必要に応じて、窒素などの不活性ガスを加えてもよい。
<分離・精製工程>
水熱合成により得られた酸素8員環ゼオライトは、水洗した後、該酸素8員環ゼオライト中に含まれる構造規定剤を除去することが望ましい。
構造規定剤の除去方法は特に限定されず、焼成や溶媒抽出等のそれ自体既知の通常用いられる方法で行えばよいが、焼成が望ましい。
焼成温度は、通常350℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは450℃以上であり、また上限は、通常900℃以下、好ましくは850℃以下、より好ましくは800℃以下である。焼成温度を上記の範囲とすることで、構造規定剤を効率的に除去することができ、酸素8員環ゼオライトの細孔容積が十分に大きくなる。また、酸素8員環ゼオライトの骨格崩壊や結晶性の低下を抑制することができる。
焼成時間は、構造規定剤が十分に取り除かれれば特に限定されないが、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上であり、また上限は、通常24時間以内である。
焼成は、酸素が含まれている雰囲気で行うのが好ましく、通常、空気雰囲気で行われる。
[本発明のゼオライトの低級オレフィン製造用触媒としての使用]
<触媒の酸量>
触媒の全酸量及び外表面酸量は、上述の酸素8員環ゼオライトの全酸量及び外表面酸量と同様の方法にて測定することができる。触媒の全酸量は、特に限定されるものではないが、通常0.010mmol/g以上、好ましくは0.10mmol/g以上、より好ましくは0.50mmol/g以上である。また、通常2.5mmol/g以下、好ましくは2.0mmol/g以下、より好ましくは1.5mmol/g以下である。触媒全酸量を上記の範囲とすることで、触媒活性が担保されるとともに、ゼオライトの細孔内部におけるコーク生成が抑制され、低級オレフィンの生成を促進することができる点で好ましい。
触媒の外表面酸量は、特に限定されるものではないが、通常、触媒の全酸量に対して5%以下であるものが好ましく、3%以下であるものがより好ましく、0%であるものが最も好ましい。外表面酸量が大きすぎる場合には、外表面酸点で起こる副反応により低級オレフィンの選択性が低下する傾向がある。
<他の活性成分>
低級オレフィン製造用触媒は、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のゼオライト以外の他の活性成分を含んでいてもよい。他の活性成分としては、例えばシリコアルミノリン酸塩等のアルミノリン酸塩等が挙げられる。低級オレフィン製造用触媒中に含まれるアルミノリン酸塩の含有量は、通常20%質量以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。また、本発明の触媒中に含まれるゼオライトの含有量は、通常80質量%以上、好ましくは90%質量以上、より好ましくは100質量%である。シリコアルミノリン酸塩は、高温条件や水蒸気条件に対する安定性が低いため、ゼオライトの含有量が高い方が好ましい。他の活性成分は、本発明のゼオライト中に混晶の形で含有させてもよいが、通常は、各活性成分を各々合成した後に混合する。
<触媒の成型>
上記した触媒活性成分のゼオライトは、そのまま触媒として反応に用いてよいし、
反応に不活性な物質やバインダーを混合して触媒とし、これを反応に用いてもよい。
該反応に不活性な物質やバインダーとしては、アルミナまたはアルミナゾル、シリカ、シリカゾル、石英、およびこれらの混合物等が挙げられる。
酸素8員環ゼオライトに、反応に不活性な物質やバインダーを混合したものを触媒として使用する場合、触媒の全酸量及び外表面酸量を上記範囲に調整するには、酸点を有さないシリカやシリカゾル等をバインダーとして用いることが好ましい。
なお、アルミナ等の、酸点を有するバインダーを使用した場合には、触媒の全酸量及び外表面酸量の測定方法では、酸素8員環ゼオライトの酸量と共にバインダーの酸量も含んだ合計値として測定される。その場合はバインダー由来の酸量を別法により求め、触媒の酸量からその値を差し引くことによって、バインダー由来の酸量を含まないゼオライトのみの酸量を求めることが可能である。前記バインダーの酸量は、27Al−NMRにおいてゼオライトの酸点に由来する4配位Alのピーク強度からゼオライトの酸量を求め、アンモニア昇温脱離法により求まる触媒の酸量からその値を差し引く方法で求められる。
<触媒の粒径>
触媒の粒子径は、酸素8員環ゼオライトの合成条件や造粒・成型条件により異なるが、通常、平均粒子径として、通常0.01μm〜500μmであり、好ましくは0.1〜100μmである。触媒の粒子径が大きくなり過ぎると、触媒の有効係数が低下する傾向があり、小さすぎると取り扱い性が劣るものとなる。この平均粒子径は、SEM観察等により求めることができる。
<低級オレフィンの製造用原料としてのメタノール、ジメチルエーテル、エチレン等>
低級オレフィン製造用原料であるメタノール、ジメチルエーテルの製造由来は特に限定されない。例えば、石炭および天然ガス、ならびに製鉄業における副生物由来のCO/水素の混合ガスの水素化反応により得られるもの、植物由来のアルコール類の改質反応により得られるもの、発酵法により得られるもの、再循環プラスチックや都市廃棄物等の有機物質から得られるもの等が挙げられる。このとき各製造方法に起因するメタノールおよびジメチルエーテル以外の化合物が任意に混合した状態のものをそのまま用いても良いし、精製したものを用いても良い。
なお、反応原料としては、メタノールのみを用いてもよく、ジメチルエーテルのみを用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。メタノールとジメチルエーテルを混合して用いる場合、その混合割合に制限はない。
原料であるエチレンは特に限定されるものではない。例えば、石油供給源から接触分解法または蒸気分解法により製造されるエチレン、石炭のガス化により得られる水素/CO混合ガスを原料としてフィッシャートロプシュ合成を行うことにより得られるエチレン、エタンの脱水素または酸化脱水素で得られるエチレン、メタセシス反応およびホモロゲーション反応により得られるエチレン、MTO(Methanol to Olefin)反応によって得られるエチレン、エタノールの脱水反応から得られるエチレン、メタンの酸化カップリングで得られるエチレン、その他の公知の各種方法により得られるエチレンを任意に用いることができる。このとき各種製造方法に起因するエチレン以外の化合物を任意に混合した状態のものをそのまま用いてもよいし、精製したエチレンを用いてもよいが、好ましくは精製したエチレンである。また、エタノールは脱水により直ちにエチレン変換されるため、エタノールをそのまま原料として用いてもよい。
反応原料としては、エチレンとともに、メタノール及びジメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種を混合して用いてもよい。これらを混合して用いる場合、その混合割合に制限はない。
<反応器>
低級オレフィン製造の反応様式としては、有機化合物原料が反応域において気相であれば特に限定されないが、固定床反応器、移動床反応器や流動床反応器が選ばれる。転化率の変動に伴い、低級オレフィン(エチレン,プロピレン,ブテン)の選択率が変動する傾向にあるため、これらを一定の割合で製造するためには、流動床反応器が好ましい。
また、バッチ式、半連続式または連続式のいずれの形態でも行われ得るが、連続式で行うのが好ましく、その方法は、単一の反応器を用いた方法でも良いし、直列または並列に配置された複数の反応器を用いた方法でもよい。
なお、流動床反応器に前述の触媒を充填する際、触媒層の温度分布を小さく抑えるために、石英砂、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ等の反応に不活性な粒状物を、触媒と混合して充填しても良い。この場合、石英砂等の反応に不活性な粒状物の使用量には特に限定されない。なお、粒状物は、触媒との均一混合性の面から、触媒と同程度の粒径であることが好ましい。
また、反応器には、反応に伴う発熱を分散させることを目的に、反応基質(反応原料)を分割して供給しても良い。
<基質濃度>
反応器に供給する全供給成分中の、有機化合物原料の合計濃度(基質濃度)に関して特に制限はないが、全供給成分中、通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、さら好ましくは30モル%以上、特に好ましくは50モル%以上であり、通常95モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。基質濃度を上記範囲にすることで、芳香族化合物やパラフィン類の生成を抑制することができ、低級オレフィンの収率を向上させることができる。また反応速度を維持できるため、触媒量を抑制することができ、反応器の大きさも抑制可能となる。
従って、このような好ましい基質濃度となるように、必要に応じて以下に記載する希釈剤で反応基質を希釈することが好ましい。
<希釈剤>
反応器内には、有機化合物原料の他に、ヘリウム、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、水、パラフィン類、メタン等の炭化水素類、芳香族化合物類、および、それらの混合物など、反応に不活性な気体を存在させることができるが、この中でもヘリウム、窒素、水(水蒸気)が共存しているのが、分離が良好であることから好ましい。
このような希釈剤としては、反応原料に含まれている不純物をそのまま使用しても良いし、別途調製した希釈剤を反応原料と混合して用いても良い。
また、希釈剤は反応器に入れる前に反応原料と混合しても良いし、反応原料とは別に反応器に供給しても良い。
<重量空間速度>
ここで言う重量空間速度とは、触媒(触媒活性成分)の重量当たりの反応原料である有機化合物の流量であり、ここで触媒の重量とは触媒の造粒・成形に使用する不活性成分やバインダーを含まない触媒活性成分の重量である。また、流量は有機化合物原料(メタノールおよび/またはジメチルエーテルおよび/またはエチレンなど)の合計の流量(重量/時間)である。
重量空間速度は、特に限定されるものではないが、通常0.010Hr−1以上、好ましくは0.10Hr−1以上、より好ましくは0.30Hr−1以上、さらに好ましくは0.50Hr−1以上であり、通常50Hr−1以下、好ましくは20Hr−1以下、より好ましくは10Hr−1以下、さらに好ましくは5.0Hr−1以下である。重量空間速度を前記範囲に設定することで、反応器出口ガス中の未反応の有機化合物原料の割合を減らすことができ、芳香族化合物やパラフィン類等の副生成物を減らすことができるため、低級オレフィンの収率を向上させることができる点で好ましい。また、一定の生産量を得るのに必要な触媒量を抑えることができ、反応器の大きさを抑えられるため好ましい。
<反応温度>
反応温度は、有機化合物原料(メタノールおよび/またはジメチルエーテルおよび/またはエチレンなど)が触媒と接触して低級オレフィンを生成する温度であれば、特に制限されるものではないが、通常250℃以上、好ましくは275℃以上、より好ましくは300℃以上、さらに好ましくは325℃以上、特に好ましくは350℃以上であり、通常600℃以下、好ましくは550℃以下、より好ましくは500℃以下、さらに好ましくは450℃以下、特に好ましくは400℃以下である。反応温度を上記範囲にすることで、芳香族化合物やパラフィン類の生成を抑制することができるため、低級オレフィンの収率を向上させることができる。また、有機化合物原料の転化活性を高いレベルで維持することができるため、長時間にわたって高い低級オレフィン収率で製造することができる。さらに、ゼオライト骨格からの脱アルミニウムが抑制されるため、触媒寿命を維持できる点で好ましい。なお、ここでの反応温度とは、触媒層出口の温度をさす。
<反応圧力>
反応圧力は特に制限されるものではないが、通常0.01MPa(絶対圧、以下同様)以上、好ましくは0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.2MPa以上であり、通常5MPa以下、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.7MPa以下、さらに好ましくは0.5MPa以下である。反応圧力を上記範囲にすることで芳香族化合物やパラフィン類等の副生成物の生成を抑制することができ、低級オレフィンの収率を向上させることができる。また反応速度も維持できる。
<原料分圧>
有機化合物原料(メタノールおよび/またはジメチルエーテルおよび/またはエチレンなど)の合計の分圧は特に制限されるものではないが、通常0.005MPa以上(絶対圧、以下同様)、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.03MPa以上、さらに好ましくは0.05MPa以上、特に好ましくは0.07MPa以上であり、通常3MPa以下、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.5MPa以下、さらに好ましくは0.3MPa以下、特に好ましくは0.1MPa以下である。原料の分圧を上記範囲にすることで芳香族化合物やパラフィン類等の副生成物の生成を抑制することができ、低級オレフィンの収率を向上させることができる。また反応速度も維持できる。
<転化率>
本発明において、メタノールおよび/またはジメチルエーテルの転化率は特に制限されるものではないが、通常転化率は90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.5%以上であり、通常100%以下である。また、エチレンなどの有機化合物の転化率は特に制限されるものではないが、通常転化率は50%以上であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上であり、通常100%未満、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。転化率が上記範囲になるように調整することで、芳香族化合物やパラフィン類の副生、および細孔内へのコークの蓄積を抑制することができる。また、生成物中からの未反応原料の分離効率を高めることができる。
通常、反応時間の経過とともにコークの蓄積が進行し、有機化合物原料の転化率は、低下する傾向にあるため、一定時間反応させた触媒は、再生処理に供する必要がある。上記の転化率の範囲で運転する方法としては、特に制限されない。
例えば、固定床反応器で反応を行う場合には、複数個の反応器を並列に備え、転化率が上記の好ましい範囲から低下した際には、触媒と反応原料との接触を停止し、該触媒を再生工程に供する。固定床反応器においては、反応時間及び再生時間を適宜調整する、すなわち、運転における反応工程と再生工程とを切り替える時間を適宜調整することにより、上記の好ましい範囲の転化率で連続的に運転することができる。
また、流動床反応器で反応を行う場合には、反応器に対して触媒の再生器を付設し、反応器から抜き出した触媒を連続的に再生器に送り、再生器において再生された触媒を連続的に反応器に戻しながら、反応を行うことが好ましい。触媒の反応器内での滞留時間と再生器内での滞留時間を適宜調整することにより、上記の好ましい範囲の転化率で連続的に運転することができる。
有機化合物原料の転化率が低下した触媒は、各種公知の触媒の再生方法を使用して再生することができる。
再生方法は特に限定されるものではないが、具体的には例えば、空気、窒素、水蒸気、水素等を用いて再生することができ、空気、水素を用いて再生することが好ましい。
<反応生成物>
反応器出口ガス(反応器流出物)としては、反応生成物である、エチレン、プロピレン及び直鎖ブテン等の低級オレフィン、副生成物及び希釈剤を含む混合ガスが得られる。前記混合ガス中の低級オレフィンの濃度は、特に限定されないが、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、通常95質量%以下、好ましくは90質量%以下である。
反応条件によっては反応生成物中に未反応原料が含まれるが、未反応の原料が少なくなるような反応条件で反応を行うのが好ましい。それにより、反応生成物と未反応原料との分離が容易に、好ましくは不要になる。副生成物としては、炭素数が5以上のオレフィン類、パラフィン類、芳香族化合物および水が挙げられる。本発明では、所望により、低級オレフィン以外の成分をも分離・回収してもよい。この残分の少なくとも一部を、前述した原料ガスの一部に混合して、いわゆるリサイクルガスとして用いることができる。
低級オレフィンの合計の収率は特に制限されるものではないが、通常50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%、さらに好ましくは80%以上であり、上限は特に制限されないが、通常100%である。低級オレフィンの合計の収率が上記範囲にあることで、反応器出口における目的生成物の収率が十分なものとなり、原料コスト及び分離・精製の負荷を低減することができる点で好ましい。
<生成物の分離>
反応器出口ガスとしての、反応生成物である低級オレフィン(エチレン,プロピレン,ブテン)、未反応原料、副生成物及び希釈剤を含む混合ガスは、公知の分離・精製設備に導入し、それぞれの成分に応じて回収、精製、リサイクル、排出の処理を行えば良い。
この分離・精製方法の一つの態様として、反応器出口のガスを冷却・圧縮し、凝縮した大部分の水分を除去する工程を含み、水分を除去した後の一部水分を含んだ炭化水素流体をモレキュラーシーブ等で乾燥し、その後蒸留により各オレフィンおよびパラフィンを精製する工程を含む方法が適用される。上記方法において、圧縮した炭化水素流体を一つの蒸留塔に供給しても良いが、多段階の圧縮機を設置し、凝縮しやすい炭化水素と凝縮しにくい炭化水素を粗分離し、これらを別々の蒸留塔に供給して蒸留を行っても良い。
低級オレフィン以外の成分(オレフィン、パラフィン等)、特に炭素数5以上の炭化水素の一部または全ては、上記分離・精製された後に反応原料と混合するか、または直接反応器に供給することでリサイクルしても良い。また、副生成物のうち、反応に不活性な成分は希釈剤として再利用することができる。
[本発明のゼオライトの排ガス処理用触媒としての使用]
本発明の酸素8員環ゼオライトを自動車排気浄化触媒等の排ガス処理用触媒として用いる場合、本発明の酸素8員環ゼオライトはそのままで用いてもよく、必要に応じて金属を含有させた酸素8員環ゼオライトを用いてもよい。金属を含有させる方法として具体的には、含浸、液相または固相のイオン交換などの方法が挙げられる。また前述のように水熱合成前に金属(単体でも化合物でもよい)を加えることにより金属を含有させたゼオライトを直接合成してもよい。金属を含有させたゼオライトにおける金属の存在状態としては、骨格構造に含まれる場合と、含まれない場合がある。また、シリカ、アルミナ、粘土鉱物等のバインダーと混合し、造粒や成形を行って使用することもできる。また、塗布法や、成形法を用いて所定の形状に成形して用いることもでき、好ましくはハニカム状に成形して用いることができる。
本発明の酸素8員環ゼオライトを含む排ガス処理用触媒の成形体を塗布法によって得る場合、通常、本発明の酸素8員環ゼオライトとシリカ、アルミナ等の無機バインダーとを混合し、スラリーを作製し、コージェライト等の無機物で作製された成形体の表面に塗布し、焼成することにより作製され、好ましくはこの際にハニカム形状の成形体に塗布することにより、ハニカム状の触媒を得ることができる。ここでは排ガス処理用触媒を例にして説明しているため無機バインダーを用いているが、用途や使用条件によっては有機バインダーを用いてもよい。
本発明の酸素8員環ゼオライトを含む排ガス処理用触媒の成形体を成形によって得る場合、通常、酸素8員環ゼオライトをシリカ、アルミナ等の無機バインダーやアルミナ繊維、ガラス繊維等の無機繊維と混練し、押出法や圧縮法等の成形を行い、引き続き焼成を行うことができ、好ましくはこの際にハニカム形状に成形することにより、ハニカム状の触媒を得ることができる。
本発明の酸素8員環ゼオライトを含む排ガス処理用触媒は、窒素酸化物を含む排ガスを接触させて窒素酸化物を浄化する自動車排気浄化触媒等のNOxの選択的還元触媒として有効である。
また、本発明の酸素8員環ゼオライトにSi及びAl以外の金属を含有させてなる排ガス処理用触媒も、NOxの選択的還元触媒として、特に有効である。このような排ガス処理用触媒として、ゼオライトに含有させる金属元素としては遷移金属が好ましく、中でも、鉄、コバルト、パラジウム、イリジウム、白金、銅、銀、金、セリウム、ランタン、プラセオジウム、チタン、ジルコニウム等の中の群から選ばれる。更に好ましくは、鉄または銅の中から選ばれる。これらの金属の2種以上を組み合わせて含有させてもよい。そして最も好ましくはCu(銅)である。Si及びAl以外の金属元素の含有量は、Si及びAl以外の金属元素を含有させてなる酸素8員環ゼオライト全量中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、特に好ましくは1.0重量%以上であり、通常20重量%以下、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下である。
特にゼオライトに含有させる金属元素が銅(Cu)である場合には、触媒中の含有量として、0.1重量%以上、10重量%以下が好ましく、より好ましい範囲は上述のとおりである。
本発明の酸素8員環ゼオライトに、上記の金属を含有させる方法としては、特に限定されないが、一般的に用いられるイオン交換法、含浸担持法、沈殿担持法、固相イオン交換法、CVD法、噴霧乾燥法等、好ましくは、固相イオン交換法、含浸担持法、噴霧乾燥法により、酸素8員環ゼオライトに金属を担持させる方法が好ましい。
金属原料としては特に限定されず、通常、上記金属の硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、塩化物、臭化物等の無機酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩、ペンタカルボニル、フェロセン等の有機金属化合物などが使用される。これらのうち、水に対する溶解性の観点からは無機酸塩、有機酸塩が好ましく、より具体的には例えば硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩酸塩等が好ましい。場合によってはコロイド状の酸化物、あるいは微粉末状の酸化物を用いてもよい。金属原料としては、金属種、或いは化合物種の異なるものの2種以上を併用してもよい。
酸素8員環ゼオライトに上記金属を担持させた後は、好ましくは300℃〜900℃、より好ましくは350℃〜850℃、さらに好ましくは400℃〜800℃で、1秒〜24時間、好ましくは10秒〜8時間、さらに好ましくは30分〜4時間程度焼成することが好ましい。この焼成は必ずしも必要ではないが、焼成を行うことにより、ゼオライトの骨格構造に担持させた金属の分散性を高めることができ、触媒活性の向上に有効である。
本発明によって得られた排ガス処理用触媒の比表面積は、特に限定されないが、細孔内表面に存在する活性点が多くなることから、300〜1000m/gが好ましく、より好ましくは350〜800m/g、更に好ましくは450〜750m/gである。なお、触媒の比表面積は、BET法により測定される。
該排ガスには窒素酸化物以外の成分が含まれていてもよく、例えば炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、窒素、酸素、硫黄酸化物、水が含まれていてもよい。また、触媒使用時には、炭化水素、アンモニア、尿素等の窒素含有化合物等の公知の還元剤を使用してもよい。具体的には、本発明の排ガス処理用触媒により、ディーゼル自動車、ガソリン自動車、定置発電・船舶・農業機械・建設機械・二輪車・航空機用の各種ディーゼルエンジン、ボイラー、ガスタービン等から排出される多種多様の排ガスに含まれる窒素酸化物を浄化することができる。
本発明の酸素8員環ゼオライトは、窒素酸化物浄化用触媒用途以外に、例えば、本発明の窒素酸化物浄化用触媒を用いて窒素酸化物の浄化を行った後段の工程において、窒素酸化物浄化で消費されなかった余剰の還元剤(例えばアンモニア)を酸化する酸化触媒用途に用いることができる。このように、本発明の酸素8員環ゼオライトを含む触媒は酸化触媒として余剰の還元剤を酸化し、排ガス中の還元剤を減少させることができる。その場合、酸化触媒として還元剤を吸着させるためのゼオライト等の担体に白金族等の金属を担持した触媒を用いることができるが、本発明の酸素8員環ゼオライトを該担体として使用したり、また、窒素酸化物の選択的還元触媒として使用される、例えば鉄及び/又は銅を担持した本発明の酸素8員環ゼオライトに、更に該白金族等の金属を担持して使用することもできる。
本発明の排ガス処理用触媒を使用する際の、触媒と排ガスの接触条件としては特に限定されるものではないが、排ガスの空間速度は通常100hr−1以上、好ましくは1,000hr−1以上であり、更に好ましくは5,000hr−1以上であり、通常500,000hr−1以下、好ましくは400,000hr−1以下、更に好ましくは200,000hr−1以下であり、温度は通常100℃以上、より好ましくは125℃以上、更に好ましくは150℃以上、通常1000℃以下、好ましくは800℃以下、更に好ましくは600℃以下、特に好ましくは500℃以下で用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、以下の調製例において、合成で得られたゼオライトの結晶のX線回折(XRD)パターンは、PANalytical社製のX’Pert Pro MPDを用いて得た。X線源はCuKαであり(X線出力:40kV、30mA)、読込幅は0.016°である。また、合成したゼオライトの組成は、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)により測定した。粒子の形状は、日立ハイテク社製の走査電子顕微鏡(S−4100)を用いて、導電処理を行った試料を、加速電圧15kVで観察を行った。
<実施例1>
水酸化ナトリウム(キシダ化学製)0.12g、水酸化リチウム(キシダ化学製)0.010g、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液(35.0質量%,セイケム製)0.63gを順に、水0.59gに溶解し、H−Y型ゼオライト(SiO/Al比 10、東ソー製HSZ−350HUA)0.65gを加えた。次いで、シリカ源としてスノーテックス40(SiO:40質量%、Na2O:0.45質量%、日産化学製)0.14gを添加した。さらに加えたSiOに対して20質量%のAFX型ゼオライト(SiO/Al比10、平均一次粒子径約300nm)0.12gを種結晶として加えてさらに撹拌することにより混合物を得た。前記混合物を100mlのオートクレーブに仕込み、自圧下、15rpmで回転させながら、200℃で2時間、水熱合成反応に供した。得られた生成物を濾過、水洗した後、100℃で乾燥させ、白色粉末0.64gを得た(収率79%)。生成物のXRDパターンから、得られた生成物がAFX相であることを確認した。ICP元素分析より、Si/Al比は4.4であった。
<実施例2>
水酸化ナトリウム0.11g、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液0.74gとした以外は、実施例1と同様の方法と条件で、混合物を調製し、水熱合成反応に供した。後処理(濾過、水洗、乾燥)を実施例1と同様の方法で行い、白色粉末0.63gを得た(収率77%)。生成物のXRDパターンから、得られた生成物がAFX相であることを確認した。
<実施例3>
水酸化カリウム(キシダ化学製)0.20g、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液(35.0質量%,セイケム製)0.42gを順に、水1.5gに溶解し、H−Y型ゼオライト(SiO/Al比 15、東ソー製HSZ−360HUA)0.68gを加えた。さらに加えたSiOに対して10質量%のERI型ゼオライト(SiO/Al比10、平均一次粒子径約500nm)0.060gを種結晶として加えてさらに撹拌することにより混合物を得た。前記混合物を100mlのオートクレーブに仕込み、自圧下、15rpmで回転させながら、160℃で2日間、水熱合成反応に供した。得られた生成物を濾過、水洗した後、100℃で乾燥させ、白色粉末0.60gを得た(収率82%)。生成物のXRDパターンから、得られた生成物がERI相であることを確認した。ICP元素分析より、Si/Al比は5.3であった。
<実施例4>
水酸化カリウム(キシダ化学製)0.23g、ジメチルジ‐n‐プロピルアンモニウムハイドロキサイド水溶液(39.8質量%,セイケム製)0.37gを順に、水1.5gに溶解し、H−Y型ゼオライト(SiO/Al比 15、東ソー製HSZ−360HUA)0.68gを加えた。さらに加えたSiOに対して10質量%のERI型ゼオライト(SiO/Al比10、平均一次粒子径約500nm)0.060gを種結晶として加えてさらに撹拌することにより混合物を得た。前記混合物を100mlのオートクレーブに仕込み、自圧下、15rpmで回転させながら、160℃で2日間、水熱合成反応に供した。得られた生成物を濾過、水洗した後、100℃で乾燥させ、白色粉末0.52gを得た(収率71%)。生成物のXRDパターンから、得られた生成物がERI相であることを確認した。
<実施例5>
水酸化カリウム(キシダ化学製)0.17g、水酸化セシウム一水和物(三津和化学薬品製)0.088g、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液(35.0質量%,セイケム製)0.63gを順に、水1.4gに溶解し、H−Y型ゼオライト(SiO/Al比 15、東ソー製HSZ−360HUA)0.68gを加えた。さらに加えたSiOに対して10質量%のKFI型ゼオライト(SiO/Al比10、平均一次粒子径約1μm)0.060gを種結晶として加えてさらに撹拌することにより混合物を得た。前記混合物を100mlのオートクレーブに仕込み、自圧下、15rpmで回転させながら、160℃で2日間、水熱合成反応に供した。得られた生成物を濾過、水洗した後、100℃で乾燥させ、白色粉末0.57gを得た(収率78%)。生成物のXRDパターンから、得られた生成物がKFI相であることを確認した。ICP元素分析より、Si/Al比は4.8であった。
<比較例1>
テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド水溶液1.5gを添加し、水を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法と条件で、混合物を調製し、水熱合成反応に供した。後処理(濾過、水洗、乾燥)を実施例1と同様の方法で行った。生成物のXRDパターンから、得られた生成物は不明相と僅かにAFX相であった。
<比較例2>
水酸化ナトリウム0.18gとした以外は、実施例1と同様の方法と条件で、混合物を調製し、水熱合成反応に供した。後処理(濾過、水洗、乾燥)を実施例1と同様の方法で行った。生成物のXRDパターンから、得られた生成物は不明相と僅かにAFX相であった。
Figure 2018154528
上記表1中の収率(%)、略号は以下の通りである。
収率(%)=(SDAを含む酸素8員環ゼオライトの重量(g))/{(製造時に添加するアルミニウム原子原料、ケイ素原子原料をそれぞれAl、SiOに換算した重量(g))+(本発明で添加する種結晶ゼオライトの重量(g))}×100
TEAOH:テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド
DMDPAOH:ジメチルジ‐n‐プロピルアンモニウムハイドロキサイド

Claims (9)

  1. ケイ素源と、アルミニウム源と、アルカリ金属元素源及び/またはアルカリ土類金属元素源と、四級アンモニウム塩と、水及び種結晶を含む混合物の水熱合成により、酸素8員環ゼオライトを製造する方法において、
    前記アルミニウム源として、Framework densityが16.0T/1000Å以下のゼオライト(I)を含み、
    前記種結晶として酸素8員環ゼオライト(II)を含み、
    前記四級アンモニウム塩として、炭素数4以下の独立した置換基のみで構成される四級アンモニウム塩を含み、
    前記混合物中のケイ素に対する、前記アルカリ金属原子と前記アルカリ土類金属原子の合計のモル比が0.40より小さく、
    前記混合物中のケイ素に対する前記四級アンモニウム塩のモル比が0.30以下である
    ことを特徴とする酸素8員環ゼオライトの製造方法。
  2. アルミニウムに対するケイ素のモル比が3.0以上6.0以下の酸素8員環ゼオライトを製造することを特徴とする請求項1に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
  3. International Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでAFX、ERI、KFI、LEV、SAS、SAV、PAU、RHO、LTAから選ばれる少なくとも1種の酸素8員環ゼオライトを製造することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
  4. 前記混合物中のケイ素に対する、前記アルカリ金属原子、前記アルカリ土類金属原子と前記四級アンモニウム塩の合計のモル比が0.50以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
  5. 前記ゼオライト(I)のアルミニウムに対するケイ素のモル比が2.0以上10以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
  6. 前記混合物中のケイ素が全てSiOになっているとしたときのSiOに対する、前記ゼオライト(I)由来のSiOのモル比が0.50以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
  7. 前記ゼオライト(I)として少なくとも、International Zeolite Association(IZA)で規定されるコードでFAUであるゼオライトを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸素8員環ゼオライトの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により酸素8員環ゼオライトを製造し、これを低級オレフィン製造用触媒として使用する方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により酸素8員環ゼオライトを製造し、これを排ガス処理用触媒として使用する方法。
JP2017052907A 2017-03-17 2017-03-17 酸素8員環ゼオライトの製造方法 Active JP6988111B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017052907A JP6988111B2 (ja) 2017-03-17 2017-03-17 酸素8員環ゼオライトの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017052907A JP6988111B2 (ja) 2017-03-17 2017-03-17 酸素8員環ゼオライトの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018154528A true JP2018154528A (ja) 2018-10-04
JP6988111B2 JP6988111B2 (ja) 2022-01-05

Family

ID=63716039

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017052907A Active JP6988111B2 (ja) 2017-03-17 2017-03-17 酸素8員環ゼオライトの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6988111B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019011217A (ja) * 2017-06-30 2019-01-24 国立研究開発法人産業技術総合研究所 Kfi型ゼオライトの製造方法
JP2020533259A (ja) * 2017-09-07 2020-11-19 シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド Afx骨格型分子ふるいの合成
JP2021500286A (ja) * 2017-10-27 2021-01-07 シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド モレキュラーシーブssz−112、その合成及び使用
CN112585090A (zh) * 2018-10-23 2021-03-30 N.E.化学株式会社 Cu-P共负载沸石的制造方法、能够用于其的催化剂前体组合物及处理液、以及层叠催化剂的制造方法
CN112585091A (zh) * 2018-10-23 2021-03-30 N.E.化学株式会社 Cu-P共负载沸石、及使用其的选择性还原催化剂及废气用催化剂
CN114054081A (zh) * 2021-11-08 2022-02-18 吉林大学 一种sapo-34/sapo-14复合分子筛及其制备方法和应用
US11904303B2 (en) * 2018-11-12 2024-02-20 Pacific Industrial Development Corporation Method of making AFX zeolites having high thermal stability

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090018379A1 (en) * 2007-07-12 2009-01-15 Guang Cao Synthesis Of Chabazite Structure-Containing Molecular Sieves And Their Use In The Conversion Of Oxygenates To Olefins
JP2016060660A (ja) * 2014-09-17 2016-04-25 東ソー株式会社 ゼオライトの製造方法
JP2016064975A (ja) * 2014-09-18 2016-04-28 国立大学法人広島大学 リンを含有するlev型ゼオライト、およびその製造方法、ならびにリンを含有するlev型ゼオライトを含む触媒
CA2985128A1 (en) * 2015-05-05 2016-11-10 Consejo Superior De Investigaciones Cientificas (Csic) Cu-cha direct synthesis by means of combining a cu complex and tetraethylammonium and applications in catalysis
JP2018062450A (ja) * 2016-10-14 2018-04-19 東ソー株式会社 Kfi型ゼオライト及びその製造方法
JP2018062444A (ja) * 2016-10-13 2018-04-19 東ソー株式会社 ゼオライトzts−3及びその製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20090018379A1 (en) * 2007-07-12 2009-01-15 Guang Cao Synthesis Of Chabazite Structure-Containing Molecular Sieves And Their Use In The Conversion Of Oxygenates To Olefins
JP2016060660A (ja) * 2014-09-17 2016-04-25 東ソー株式会社 ゼオライトの製造方法
JP2016064975A (ja) * 2014-09-18 2016-04-28 国立大学法人広島大学 リンを含有するlev型ゼオライト、およびその製造方法、ならびにリンを含有するlev型ゼオライトを含む触媒
CA2985128A1 (en) * 2015-05-05 2016-11-10 Consejo Superior De Investigaciones Cientificas (Csic) Cu-cha direct synthesis by means of combining a cu complex and tetraethylammonium and applications in catalysis
JP2018062444A (ja) * 2016-10-13 2018-04-19 東ソー株式会社 ゼオライトzts−3及びその製造方法
JP2018062450A (ja) * 2016-10-14 2018-04-19 東ソー株式会社 Kfi型ゼオライト及びその製造方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019011217A (ja) * 2017-06-30 2019-01-24 国立研究開発法人産業技術総合研究所 Kfi型ゼオライトの製造方法
JP2020533259A (ja) * 2017-09-07 2020-11-19 シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド Afx骨格型分子ふるいの合成
JP7052007B2 (ja) 2017-09-07 2022-04-11 シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド Afx骨格型分子ふるいの合成
JP2021500286A (ja) * 2017-10-27 2021-01-07 シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド モレキュラーシーブssz−112、その合成及び使用
JP7138697B2 (ja) 2017-10-27 2022-09-16 シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド モレキュラーシーブssz-112、その合成及び使用
CN112585090A (zh) * 2018-10-23 2021-03-30 N.E.化学株式会社 Cu-P共负载沸石的制造方法、能够用于其的催化剂前体组合物及处理液、以及层叠催化剂的制造方法
CN112585091A (zh) * 2018-10-23 2021-03-30 N.E.化学株式会社 Cu-P共负载沸石、及使用其的选择性还原催化剂及废气用催化剂
CN112585090B (zh) * 2018-10-23 2023-12-15 N.E.化学株式会社 Cu-P共负载沸石的制造方法、能够用于其的催化剂前体组合物及处理液、以及层叠催化剂的制造方法
US11904303B2 (en) * 2018-11-12 2024-02-20 Pacific Industrial Development Corporation Method of making AFX zeolites having high thermal stability
CN114054081A (zh) * 2021-11-08 2022-02-18 吉林大学 一种sapo-34/sapo-14复合分子筛及其制备方法和应用
CN114054081B (zh) * 2021-11-08 2022-10-21 吉林大学 一种sapo-34/sapo-14复合分子筛及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP6988111B2 (ja) 2022-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6988111B2 (ja) 酸素8員環ゼオライトの製造方法
JP7310087B2 (ja) Con型ゼオライト、con型ゼオライトの製造方法、並びに該con型ゼオライトを含有する触媒及び吸着材
JP6572751B2 (ja) Aei型ゼオライト及びその製造方法と用途
US20180250663A1 (en) Methods for producing 8-membered oxygen ring zeolite and aei-type zeolite
US10213776B2 (en) STA-20, a novel molecular sieve framework type, methods of preparation and use
JP6699336B2 (ja) Aei型アルミノケイ酸塩の製造方法、該aei型アルミノケイ酸塩を用いたプロピレン及び直鎖ブテンの製造方法
US10040690B2 (en) STA-18, a new member of the SFW family of molecular sieve zeotypes, methods of preparation and use
US20170304812A1 (en) Sta-19, a new member of the gme family of molecular sieve zeotypes, methods of preparation and use
KR20210113654A (ko) 제올라이트의 내소결성 금속 화학종
KR20180118207A (ko) 분자체 ssz-106, 이의 합성 및 용도
US20200047168A1 (en) Transition metal-carrying zeolite and production method therefor, and nitrogen oxide purification catalyst and method for using same
JP6977251B2 (ja) Aei型メタロケイ酸塩、その製造方法、及びそれを用いたプロピレン及び直鎖ブテンの製造方法
JP6798282B2 (ja) Aei型ゼオライトの製造方法
US5397561A (en) Zeolite-type material
JP2017088597A (ja) プロピレン及び直鎖ブテンの製造方法
JP6769107B2 (ja) Aei型ゼオライトの製造方法
WO2023078835A1 (en) Process for the production of aei-type zeolitic materials having a defined morphology
JP2021147260A (ja) Aei型ゼオライトの製造方法、触媒、及び吸着材
Clark The Conversion of Methanol to Olefins over Zeolite Catalysts

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170427

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200306

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210209

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210607

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6988111

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150