JP2018152352A - 車両用照明装置、および車両用灯具 - Google Patents
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この様な照明装置においては、発光ダイオードの点灯と消灯により、封止部に熱変形(温度変化による膨張と収縮)が生じる。そして、高光量とするために複数の発光ダイオードを用いる場合には、封止部のサイズ・体積が大きくなり、熱変形の影響はより大きくなる。また、車載用の照明装置では、雰囲気温度の変化が大きい(例えば、−40℃と+85℃の範囲)ことがさらに加わり、熱変形の影響はさらに大きくなる。
そして、封止部の熱変形が大きくなると、発光ダイオードと配線パターンとを接続する配線が断線しやすくなる。
そのため、温度変化に対する耐性を向上させることができる照明装置の開発が望まれていた。
図1および図2は、本実施の形態に係る照明装置1を例示するための模式斜視図である。
なお、図1は照明装置1の模式斜視図、図2は照明装置1の模式斜視分解図である。
また、図1および図2においては、図を見やすくするために封止部27を省いて描いている。
図3は、発光部20の模式平面図である。
図4は、他の実施形態に係る発光部20の模式平面図である。
なお、図3と図4とでは、発光素子22の数と、配線25の設置形態が異なる。
本体部10には、収納部11、フランジ部12、およびフィン13が設けられている。 収納部11は、円筒状を呈し、フランジ部12の一方の面から突出している。収納部11の内側には、発光部20が収納されている。また、収納部11の内側には、給電部30の給電端子31が突出している。
フィン13は、フランジ部12の面から突出して複数設けられている。複数のフィン13は、板状を呈し、放熱フィンとして機能する。
そのため、熱を外部に放出することを考慮して、本体部10を熱伝導率の高い材料から形成することができる。例えば、本体部10は、アルミニウム、アルミニウム合金、高熱伝導性樹脂などから形成することができる。高熱伝導性樹脂は、例えば、PETやナイロン等の樹脂に、熱伝導率の高い炭素や酸化アルミニウム等の繊維や粒子を混合させたものである。
この場合、フィン13などの熱を外部に放出する部分を熱伝導率の高い材料から形成し、その他の部分を樹脂などから形成することもできる。
基板21は、本体部10の収納部11の内側に設けられている。
基板21は、板状を呈し、表面に配線パターン24が設けられている。
基板21の材料や構造には特に限定はない。例えば、基板21は、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの無機材料(セラミックス)、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁体で被覆したものであってもよい。なお、金属板の表面を絶縁体で被覆する場合には、絶縁体は、有機材料からなるものであってもよいし、無機材料からなるものであってもよい。
また、基板21は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
発光素子22は、配線パターン24に設けられる側とは反対側の面(上面)に電極29を有したものとすることができる(図8を参照)。なお、電極29は、配線パターン24に設けられる側の面(下面)と、配線パターン24に設けられる側とは反対側の面(上面)とに設けられていてもよいし、配線パターン24に設けられる側とは反対側の面(上面)のみに設けられていてもよい。
発光素子22の光の出射面である上面は、照明装置1の正面側に向けられており、主に、照明装置1の正面側に向けて光を出射する。
発光素子22の数や大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
制御素子23は、発光素子22に流れる電流を制御する。すなわち、制御素子23は、発光素子22の発光を制御する。
制御素子23の数や大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
配線パターン24は、基板21の両方の面に設けることもできるが、製造コストを低減させるためには、基板21の一方の面に設けるようにすることが好ましい。
配線パターン24には、入力端子24aが設けられている。
入力端子24aは、複数設けられている。入力端子24aには、給電部30の給電端子31が電気的に接続されている。そのため、発光素子22は、配線パターン24を介して、給電部30と電気的に接続されている。
配線25は、例えば、金を主成分とする線とすることができる。ただし、配線25の材料は、金を主成分とするものに限定されるわけではなく、例えば、銅を主成分とするものや、アルミニウムを主成分とするものなどであってもよい。
包囲壁部材26は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)やPC(polycarbonate)などの樹脂や、セラミックスなどから形成することができる。
また、包囲壁部材26の材料を樹脂とする場合には、酸化チタンなどの粒子を混合して、発光素子22から出射した光に対する反射率を向上させるようにすることができる。
なお、酸化チタンの粒子に限定されるわけではなく、発光素子22から出射した光に対する反射率が高い材料からなる粒子を混合させるようにすればよい。
また、包囲壁部材26は、例えば、白色の樹脂から形成することもできる。
また、発光素子22から照明装置1の正面側に向けて出射された光の一部であって封止部27の上面(封止部27と外気との界面)で全反射した光は、包囲壁部材26の中央部26a側の側壁面26bで反射して、再び照明装置1の正面側に向けて出射される。
封止部27は、透光性を有する材料から形成されている。封止部27は、例えば、シリコーン樹脂などから形成することができる。
封止部27は、例えば、包囲壁部材26の中央部26aに樹脂を充填することで形成することができる。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどの液体定量吐出装置を用いて行うことができる。
例えば、発光素子22が青色発光ダイオード、蛍光体がYAG系蛍光体である場合には、発光素子22から出射した青色の光によりYAG系蛍光体が励起され、YAG系蛍光体から黄色の蛍光が放射される。そして、青色の光と黄色の光が混ざり合うことで、白色の光が照明装置1から出射される。なお、蛍光体の種類や発光素子22の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、照明装置1の用途などに応じて所望の発光色が得られるように適宜変更することができる。
接合部28は、膜状を呈し、包囲壁部材26と、基板21との間に設けられている。
接合部28は、例えば、シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤を硬化させることで形成されたものとすることができる。
まず、基板21の表面の包囲壁部材26が設けられる領域に、シリコーン系接着剤やエポキシ系接着剤を塗布する。
例えば、ディスペンサなどを用いて、基板21の表面の包囲壁部材26が設けられる領域に接着剤を塗布する。
次に、溶剤などを蒸発させることで接着剤を硬化させ、接合部28を形成するとともに、包囲壁部材26と、基板21とを接合する。
例えば、まず、塗布された接着剤の上に包囲壁部材26を載置する。
続いて、包囲壁部材26を押圧して接着剤を包囲壁部材26に密着させるとともに、包囲壁部材26の位置(接着剤の厚み)を調整する。
その後、溶剤などを蒸発させることで接着剤を硬化させる。
また、この様な粘度とすれば、接着剤を硬化させる際に、包囲壁部材26の位置を安定させることができる。
複数の給電端子31は、収納部11およびフランジ部12の内側を延びている。複数の給電端子31の一方の端部は、収納部11の底面から突出し、配線パターン24の入力端子24aと電気的に接続されている。複数の給電端子31の他方の端部は、本体部10の基板21が設けられる側とは反対の側から露出している。
また、給電部30は、図示しない基板や、コンデンサや抵抗などの回路部品を備えたものとすることもできる。なお、図示しない基板や回路部品は、例えば、収納部11またはフランジ部12の内部に設けることができる。
ソケット40には、図示しない電源などが電気的に接続されている。
そのため、ソケット40を給電端子31の端部に嵌め合わせることで、図示しない電源などと、発光素子22とが電気的に接続される。
ソケット40は、例えば、接着剤などを用いて本体部10側の要素に接合することができる。
図5(a)、(b)は、封止部27の熱変形の影響を例示するための模式断面図である。
なお、図5(a)は、基板21、配線25、包囲壁部材26、および封止部27の温度が低い場合における封止部27の熱変形を例示するための模式断面図である。
図5(b)は、基板21、配線25、包囲壁部材26、および封止部27の温度が高い場合における封止部27の熱変形を例示するための模式断面図である。
また、図5(a)、(b)中の矢印の向きは、封止部27の変形方向を表している。
図5(a)、(b)中の矢印の長さは、封止部27において発生した応力の大きさ、または、封止部27の変形量を表している。例えば、矢印の長さが長いほど、封止部27において発生した応力の大きさが大きい、または、封止部27の変形量が大きいことを表している。
そのため、温度変化による膨張量と収縮量は、封止部27が最も大きくなる。例えば、封止部27の膨張量と収縮量は、基板21の膨張量と収縮量の29倍程度となる。
そして、高光量とするために複数の発光素子22を用いる場合には、封止部27のサイズ・体積が大きくなるので、熱変形の影響はより大きくなる。また、照明装置1が車載用である場合には、雰囲気温度の変化が大きい(例えば、−40℃と+85℃の範囲)ことがさらに加わり、熱変形の影響はさらに大きくなる。
図7は、配線パッド24cに接続された配線25の端部を例示するための模式斜視図である。
前述したように、封止部27に生じた熱変形により配線25には外力が作用する。また、図5(a)、(b)に例示をしたように、封止部27の平面方向における変形方向は、基板21の包囲壁部材26により囲まれた部分の中心位置100からほぼ動径方向となる。
この場合、中心位置100と、配線25が配線パッド24cに接続されている位置とを結ぶ線分が延びる方向は、動径方向の分力が作用する方向である。
そのため、配線25の設置角度θが90°に近づくほど、配線25の軸線と直交する方向に作用する力は大きくなる。すなわち、配線25の設置角度θが90°に近づくほど、配線25に対する横荷重が大きくなる。
そのため、横荷重Fが余り大きくなると、ネック部25bにおいて断線が発生するおそれがある。
図8は、配線25の設置角度θを例示するための模式図である。
図8に示すように、配線25の設置角度θは、0°以上180°以下となる。
表1は、熱衝撃試験を行い、配線25の設置角度θと、断線との関係を求めたものである。
熱衝撃試験においては、−40℃の環境に発光部20を30分間放置し、その後、+85℃の環境に発光部20を30分間放置するとともに発光素子22を点灯した。そして、この手順を500回繰り返した。
また、配線25の設置角度θが異なるサンプルをそれぞれ10個ずつ作成し、断線発生の有無と、断線が発生した個数により温度変化に対する耐性を判定した。
なお、判定においては、配線25の断線なしの場合を「○」、断線が発生した個数が1/10個〜5個/10個の場合を「△」、断線が発生した個数が6/10個〜10個/10個の場合を「×」としている。
そのため、配線25に作用する上下方向の分力は、封止部27の上面に近づくほど大きくなる。
そして、上下方向の分力が余り大きくなると、配線25と電極29との接合部分近傍において断線が発生するおそれがある。
図9に示すように、配線25のループ高さhは、発光素子22の上面から、配線25のループの上端までの高さである。
本発明者の得た知見によれば、配線25のループ高さhを160μm以下とすれば、配線25と電極29との接合部分近傍における断線の発生確率を極めて低くすることができる。
この場合、包囲壁部材26の線膨張係数が、基板21の線膨張係数以上で、封止部27の線膨張係数以下となるようにすれば、封止部27の熱変形を抑え込むことができる。
例えば、基板21をセラミックス(7ppm/K程度)を用いて形成し、封止部27をシリコーン樹脂を用いて形成する場合は、包囲壁部材26をPBT(90ppm/K程度)やPC(65ppm/K程度)を用いて形成することができる。
Claims (13)
- 基板と;
前記基板の表面に設けられ、それぞれが、配線パッドと、前記配線パッドと電気的に接続された実装パッドと、を有する複数の第1の配線パターンと;
複数の前記実装パッドのそれぞれの上に設けられ、前記実装パッドに設けられる側とは反対側の面に電極を有した発光素子と;
複数の前記発光素子を囲み、内壁面の平面形状が円形の包囲壁部材と;
線状を呈し、複数の前記配線パッドと、複数の前記電極と、をそれぞれ接続する複数の配線と;
前記包囲壁部材の内側に設けられ、前記複数の発光素子と、前記複数の配線と、を覆う封止部と;
を具備し、
前記複数の発光素子は、前記基板の前記包囲壁部材により囲まれた部分の中心位置から等距離に設けられ、
前記中心位置と、前記発光素子に接続される配線が前記配線パッドに接続されている位置と、を結ぶ線分と、前記発光素子に接続される配線と、がなす角度は、0°以上45°以下、または、135°以上180°以下である車両用照明装置。 - 基板と;
前記基板の表面に設けられ、それぞれが、配線パッドと、前記配線パッドと一体に形成された実装パッドと、を有する複数の第2の配線パターンと;
複数の前記実装パッドのそれぞれの上に設けられ、前記実装パッドに設けられる側とは反対側の面に電極を有した発光素子と;
複数の前記発光素子を囲み、内壁面の平面形状が円形の包囲壁部材と;
線状を呈し、複数の前記配線パッドと、複数の前記電極と、をそれぞれ接続する複数の配線と;
前記包囲壁部材の内側に設けられ、前記複数の発光素子と、前記複数の配線と、を覆う封止部と;
を具備し、
前記複数の発光素子は、前記基板の前記包囲壁部材により囲まれた部分の中心位置から等距離に設けられ、
前記中心位置と、前記発光素子に接続される配線が前記配線パッドに接続されている位置と、を結ぶ線分と、前記発光素子に接続される配線と、がなす角度は、0°以上45°以下、または、135°以上180°以下である車両用照明装置。 - 前記中心位置と、前記発光素子に接続される配線が前記配線パッドに接続されている位置と、の間の距離は、前記中心位置と、前記発光素子と、の間の最も長い距離よりも長い請求項1または2に記載の車両用照明装置。
- 基板と;
前記基板の表面に設けられ、4個の配線パッドを有する第3の配線パターンと;
前記第3の配線パターンの上に設けられ、前記第3の配線パターンに設けられる側とは反対側の面に電極を有した4個の発光素子と;
前記4個の発光素子を囲み、内壁面の平面形状が円形の包囲壁部材と;
線状を呈し、前記4個の配線パッドと、4個の前記電極と、をそれぞれ接続する4個の配線と;
前記包囲壁部材の内側に設けられ、前記4個の発光素子と、前記4個の配線と、を覆う封止部と;
を具備し、
前記4個の発光素子は、前記基板の前記包囲壁部材により囲まれた部分の中心位置から等距離に設けられ、
前記中心位置と、前記発光素子に接続される配線が前記配線パッドに接続されている位置と、の間の距離は、前記中心位置と、前記発光素子と、の間の最も長い距離よりも長く、
前記中心位置と、前記発光素子に接続される配線が前記配線パッドに接続されている位置と、を結ぶ線分と、前記発光素子に接続される配線と、がなす角度は、0°以上45°以下、または、135°以上180°以下である車両用照明装置。 - 前記電極は、前記発光素子の面の角部の近傍に設けられている請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
- 前記包囲壁部材の線膨張係数は、前記封止部の線膨張係数以下である請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
- 前記発光素子の上面から、前記配線のループの上端までの高さは、160μm以下である請求項1〜6のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
- 前記包囲壁部材の線膨張係数は、前記基板の線膨張係数以上、前記封止部の線膨張係数以下である請求項1〜7のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
- 前記基板が設けられる本体部をさらに具備した請求項1〜8のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
- 前記本体部は、フィンを有する請求項9記載の車両用照明装置。
- 前記本体部は、高熱伝導性樹脂を含む請求項9または10に記載の車両用照明装置。
- 前記配線パターンと電気的に接続された給電端子と;
前記給電端子と嵌め合わされるソケットと;
をさらに具備した請求項1〜11のいずれか1つに記載の車両用照明装置。 - 請求項1〜12のいずれか1つに記載の車両用照明装置を具備した車両用灯具。
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