以下では、本明細書に開示する発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。以下の説明から、当業者にとって、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、以下の説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更することができる。
図1は、本発明の一実施形態の燃料電池装置のモジュール容器内構造を示す断面図である。燃料電池モジュール1000は、燃料電池セル1004と、改質器1002と、マニホールド1005とが内部に設けられたモジュール容器1001を有する。モジュール容器は高温耐性を有する必要があり、一般的に金属製の容器で構成される。本実施形態においては、モジュール容器1001として直方形状の外形のものを示す。
燃料電池セル1004は、水素を含む燃料ガスと酸化剤ガスとの発電反応により発電を行うもので、燃料電池として所望の発電出力を構成するために、通常複数の燃料電池セル1004が用いられる。燃料電池セル1004としては、一般的な平板型や円筒型、扁平円筒型を用いることができる。本発明の一実施形態として、複数の燃料電池セル1004はマニホールド1005上に立設配置され、燃料電池セルスタック1016を構成している。この燃料電池セルスタック1016の上方には改質器1002が設けられ、改質器1002はマニホールド1005と燃料ガス供給管1007によって接続されている。また改質器1002は、原料ガス供給管1006の一端と接続され、原料ガス供給管1006の他端は、モジュール容器1001に接続されている。一方、燃料電池セルスタック1016において、配列される端部の燃料電池セル1004は、燃料電池モジュール1000の外部に電流を取り出すための電流取出部1008と接続され、電流取出部1008はモジュール容器1001と接続されている。
本発明の実施態様において、燃料電池モジュール1000の発電運転動作について説明する。まずモジュール容器1001の外部に突出した原料ガス供給管1006を介して改質器1002に、燃料電池セル1004の発電に必要な原料ガスが供給される。原料ガスとしては例えば、都市ガスやメタン等の炭化水素系ガスや水(水蒸気)、発電用の空気(酸化剤ガス)が挙げられる。原料ガス供給管1006は、これらの混合体を供給する単数であってもよくそれぞれ分離して供給するために複数であってもよい。
この原料ガス供給管1006を介して供給された原料ガスは、改質器1002内に配置されたRu(ルテニウム)やNi(ニッケル)等の改質触媒による改質触媒反応によって、水素を含有する改質ガス(燃料ガス)に改質される。なお、改質器1002には、原料ガス供給管1006を介して供給された水を気化して水蒸気を生成するための蒸発室を内部に別途構成してもよく、また、供給された炭化水素系ガスと水蒸気等を混合するための混合室を別途構成してもよい。あるいは、蒸発室や混合室を改質器1002の外部に別途設ける構成としてもよい。
改質器1002で改質された燃料ガスは、燃料ガス供給管1007を介してマニホールド1005に供給される。このようにして一時的にマニホールド1005内に貯蔵された燃料ガスは、その上部に配列される複数の燃料電池セル1004の内部通路へ均等に供給される。
このようにして複数の燃料電池セル1004の内部通路に供給された燃料ガスと、燃料電池セル1004の外部より別途供給された空気(酸化剤ガス)とによって、燃料電池セル1004は発電反応により発電する。複数の燃料電池セル1004は電気的に直列や並列に接続され、複数の燃料電池セル1004の電気的接続からなる燃料電池セル集合体(図示せず)の両端子(+極及び−極)は、それぞれ電流取出部1008と集電部材等を介して電気的に接続される。このため、複数の燃料電池セル1004により生成した電力は、電流取出部1008から燃料電池モジュール1000の外部に取り出すことができる。
一方、燃料電池セル1004における発電反応に用いられずに、残余した燃料ガスや発電反応によって生じた水蒸気等はオフガスとして燃料電池セル1004の内部通路から外部に排出される。本発明の実施態様として図1に示す燃料電池モジュール1000においては、オフガスは複数の燃料電池セル1004の上方からモジュール容器1001内に排出される。排出されたオフガスは、燃料電池セルスタック1016の上方に配置された点火装置(図示せず)を備えた燃焼室118において燃焼され、燃焼排ガスとしてモジュール容器1001の外部に排気される。このとき、燃焼室118で生じる燃焼排ガスによって改質器1002が加熱され、改質器1002が水蒸気改質反応(SR)等の改質反応が可能な温度に維持される。
以上のような構成において、改質器1002と燃料ガス供給管1006とは溶接等により接合固定されている。また、燃料ガス供給管1006とマニホールド1005とは溶接等により接合固定されている。また、マニホールド1005とモジュール容器1001とは溶接等により接合固定され、燃料電池セルスタック1016と電流取出部1008とは溶接等により接合固定されている。ここで、本発明の実施形態においては、図1に示すように、燃料ガス供給管1007は、燃料電池セルスタック1016の一側面及び改質器1002の一側面と、モジュール容器1001の一側面との間の側面空間1015に設けられ、燃料電池セルスタックとモジュール容器1001の内壁面との接合固定部(図1における部位D)、及び燃料電池セルスタック1016と燃料電池セルスタック1016からモジュール容器1001の外部へ電流を取り出す電流取出部1008との接合固定部(図1における部位C)は、側面空間1015に限定されている。
本実施形態においては、上述した従来のモジュール容器の内部構造において複数箇所に散在する接合固定部を、燃料電池セルスタック1016に対して一つの側面の側に集中的に配置した。すなわち、(1)改質器1002と燃料ガス供給管1007との接合固定部、(2)燃料ガス供給管1007と燃料電池セルスタックとの接合固定部、(3)燃料電池セルスタックと電流取出部1008との接合固定部、(4)燃料電池セルスタック1016とモジュール容器の壁面との接合固定部を、モジュール容器1001内の一側面の側の空間(側面空間1015)に全て配置されるように構成した。さらに原料ガス供給管1006と改質器1002との接合固定部についても、側面空間1015に配置される。
図2は、図1に示す実施態様に対し、改質器1002の燃料電池モジュール1000内での配置の点でのみ相違する。図1に示す実施態様においては、改質器1002は原料ガス供給管1006及び燃料ガス供給管1007と接合固定され、当該配管によって支持されている。これに対し、図2に示す実態態様においては、同様に改質器1002は原料ガス供給管1006及び燃料ガス供給管1007と接合固定されているものの、改質器1002はモジュール容器1001の天面に接合固定されている。
このような改質器1002の固定構造の場合、燃料電池セルスタック1016の固定方法として、あらかじめモジュール容器1001の天面に改質器1002が接合固定された状態のモジュール容器内に、一側面を開放面とする側面から燃料電池セルスタック1016を挿入する方法(横挿入方式)が挙げられる。この場合、改質器1002はあらかじめモジュール容器1001の天面に接合固定されているため、モジュール容器1001の一体とみなすことができる。この場合には、改質器1002が可動せずに位置が固定されているため、改質器1002に対して側面空間1015の反対側に原料供給管1006を設けても、原料供給管1006のもつ寸法公差は、燃料電池セルスタック1016の設置に影響を与えない。
一方で、図1に示す実施態様と同様に、(1)改質器1002と燃料ガス供給管1007との接合固定部、(2)燃料ガス供給管1007と燃料電池セルスタックとの接合固定部、(3)燃料電池セルスタック1016と電流取出部1008との接合固定部、(4)燃料電池セルスタック1016とモジュール容器の壁面との接合固定部、をモジュール容器1001内の一側面の側の空間(側面空間1015)に全て配置されるように構成される。
燃料電池モジュール1000の底面部分においては、上部に複数の燃料電池セル1004が立設配置されたマニホールド1005が、モジュール容器1001の底面と接合固定されている。本発明の実施形態においては、このマニホールド1005とモジュール容器1001との接合固定のために、中間部材が用いられている。中間部材は、マニホールド1005とモジュール容器とを接合固定するための中間部材1013と、マニホールド1005とモジュール容器とを嵌合固定するための中間部材1012とで構成される。この中間部材を介したマニホールド1005のモジュール容器1001への取り付け方法について、説明する。
図4(A)はマニホールド1005の底面斜視図であり、マニホールド1005の底面には中間部材に接続するために取り付けられた中間部材1005a及び中間部材1005bを有する。
ここで中間部材1005bは、燃料電池セルスタック1016をモジュール容器1001に横挿入した場合に挿入時に先端となる側に取り付けられた接続用の部材であり、マニホールド1005に対して外方向に突出して接合されている。そしてモジュール容器1001への燃料電池セルスタック1016の横挿入時に、中間部材1005bがモジュール容器1001の底面に接合された中間部材1012と嵌合して接続固定される。図4(C)では、モジュール容器1001の底面に設けられた中間部材1012はL字状に屈曲した板状部材でなり、下面はモジュール容器1001の底面に溶接固定され、上面には開口が設けられている。マニホールド1005に接合固定された中間部材1005bの突出した先端部分がこの開口に挿入されて嵌合される。なお、ここでの嵌合とは中間部材1005bと中間部材1012とが当接して組み合うことで接続されることを意味し、可動状態である。
一方、中間部材1005aは、燃料電池セルスタック1016をモジュール容器1001に横挿入した場合に挿入時に後端となる側に取り付けられた接続部材であり、同様にマニホールド1005に対して外方向に突出して接合されている。そしてモジュール容器1001への燃料電池セルスタック1016の横挿入時に、中間部材1005aがモジュール容器1001の底面に接合された中間部材1013と溶接等により接合固定される。図4(B)では、モジュール容器1001の底面に設けられた中間部材1013は燃料電池セルスタック1016の挿入方向と直交する方向に延在する板状部材であって、両端部がモジュール容器1001から離隔するように屈曲され、中央部はモジュール容器1001の底面と溶接固定されている。またモジュール容器1001から離隔された両端部にはボルト固定するためのネジ孔が設けられ、中間部材1005aと中間部材1013の両端部とが重ね合わされ、ボルトにより接合固定されている。
このように、マニホールド1005とモジュール容器1001とは、中間部材1013及び中間部材1005aとによって不可動状態となるようにボルト1010によって接合固定される一方で、中間部材1012と中間部材1005bとによって可動状態となるように嵌合される(図3参照)。そして、中間部材1013と中間部材1005aとにより接合固定部は、燃料ガス供給管1007が配置される側面空間1015に配置される。
また、本発明の一実施態様においては、複数の燃料電池セル1004は集電部材1014によって電気的に接続され、接続された燃料電池セル1004の集合体において両端部に位置する燃料電池セル1004は、それぞれ集電部材1009を介して電流取出部(バスバー電極)1008に接合固定されている。ここで、電流取出部1008は溶接及びボルトによりモジュール容器の外表面側に接合固定されている。また集電部材1009は燃料電池セル1004と導電性接着剤により接合固定され、集電部材1009はボルト1011によって電流取出部1008と接合固定されている。図3に示すように、このような燃料電池セルスタック1016と電流取出部1008との接合固定部は、側面空間1015に設けられている。
以上に示したような実施態様により、モジュール容器1001の内部に配置される各構成部品のそれぞれの寸法公差を、接合固定部が集まる側面空間1015よりも遠方の接合固定部が設けられていない空間に振り分けることができ、その結果、接合固定部を集中させた燃料電池セルスタック1016の一側面における寸法バラツキを大きく低減することができた。このため、組み立て不良を低減することが可能となった。加えて、700度程度の高温下で運転するSOFCにおいては、高温運転の繰り返しによって生じる熱応力に起因する接合固定部の構造劣化についても低減することができた。
また、本発明の実施態様における燃料電池モジュール1000では、燃料電池セルスタックは1016、燃料電池セルスタック1016の一側面と対向する側に可動域を有するように、燃料電池セルスタック1016がモジュール容器1001の内壁面に嵌合されていることが好ましい。これにより、側面空間1015において積算されるそれぞれの接合固定部の寸法バラツキ(寸法公差)を当該可動域において吸収することができる。
ここで、燃料電池セルスタック1016とモジュール容器1001の内壁面との接合固定部の寸法公差、及び燃料電池セルスタック1016と電流取出部1008との接合固定部の寸法公差は、この可動域よりも小さいことが好ましい。接合固定部を集中させた側面空間1005に対向する側において、燃料電池セルスタック1016をモジュール容器1001に接合固定せずに可動とすることで、側面空間1015における接合固定部の構造のそれぞれについて寸法公差をあらかじめ小さく設計することができ、燃料電池装置1000の組み立て精度を向上させることができる。
また燃料電池セルスタック1016は、マニホールド1005に溶接された中間部材1005aを介してモジュール容器1001の底面に接合固定されていることが好ましい。燃料電池セルスタック1016とモジュール容器1001との接合固定に際し、中間部材を間に用いることによって、それぞれを側面空間1015で接合固定することが物理構造的に困難な場合であっても、可能にすることができる。ここで、中間部材1005aとモジュール容器の底面とは、ボルト1010によって接合固定されていることが好ましい。接合固定部を側面空間1015に集中的に配置するとともに、その接合固定方法としてボルト1010による固定を行うことで、燃料電池装置の製造における作業簡易性と組み立て精度の向上の両立を図ることができる。
また燃料電池セルスタック1016において、複数の燃料電池セル1004は電気的に直列に接続され、最端に位置する燃料電池セル1004のそれぞれは、最端に位置する燃料電池セル1004のそれぞれに接続された集電部材1009を介して対応するそれぞれの電流取出部1008と接合固定されていることが好ましい。このような構成とすることで、集電部材1009の設計に応じて電流取出部1008との接合固定部の位置を任意に設定することができる。また集電部材1009と電流取出部1008とをボルト1010によって接合固定すると、接合固定部を側面空間1015に集中的に配置することとの相乗性により、燃料電池装置の製造における作業簡易性と組み立て精度の向上の両立を図ることができる。さらに、集電部材1009として板状の金属部材を用い、金属部材を折り曲げることによって形成される簡易な応力吸収部を設けた場合には、スプリング等の高価な部材を用いることなく、板状金属部材を折り曲げただけの簡易な構造で寸法バラツキを吸収することができる。
図5乃至図13を用いて、本発明にかかる実施例について説明する。
図5は、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置を示す全体構成図である。この図5に示すように、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置101は、燃料電池モジュール102と、補機ユニット104を備えている。
燃料電池モジュール102は、ハウジング106を備え、このハウジング106内部には、断熱材107で被覆された金属製のモジュール容器108が内蔵されている。この密閉空間であるモジュール容器108の下方部分である発電室110には、燃料ガスと酸素含有ガス(以下では適宜「酸化剤ガス」、「発電用空気」又は「空気」と呼ぶ。)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体112が配置されている。この燃料電池セル集合体112は、9個の燃料電池セルスタック114(図6参照)を備え、この燃料電池セルスタック114は、各々が燃料電池セルを含む、16本の燃料電池セルユニット116から構成されている。この例では、燃料電池セル集合体112は、144本の燃料電池セルユニット116を有する。燃料電池セル集合体112は、複数の燃料電池セルユニット116の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール102のモジュール容器108の発電室110の上方には、燃焼部としての燃焼室118が形成され、この燃焼室118で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の空気との排ガスが燃焼されるようになっている。さらに、モジュール容器108は断熱材107により覆われており、燃料電池モジュール102内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。また、この燃焼室118の上方には、燃料ガスを改質する流体処理装置として改質器120が配置され、上記した残余ガスの燃焼熱によって改質器120を改質反応が可能な温度となるように加熱している。
さらに、ハウジング106内においてモジュール容器108の上方には、後述する蒸発器125が断熱材107内に設けられている。蒸発器125は、燃焼室118において残余ガスである排ガスを燃焼させ、その排ガスと水とが供給され、これらの排ガスと水との間で熱交換を行うことによって、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気と原燃料ガスとの混合ガス(以下では「燃料ガス」と呼ぶこともある。)をモジュール容器108内の改質器120に供給する。
次に、補機ユニット104は、燃料電池モジュール102からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク126と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット128(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット104は、都市ガス等の燃料供給源130から供給された燃料を遮断するガス遮断弁132と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器136と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット138(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット138から流出する燃料ガスを遮断するバルブ139を備えている。さらに、補機ユニット104は、空気供給源140から供給される空気を遮断する電磁弁142と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット144及び発電用空気流量調整ユニット145(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器120に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ146と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ148とを備えている。これらの第1ヒータ146と第2ヒータ148は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール102には、排ガスが供給される温水製造装置150が接続されている。この温水製造装置150には、水供給源124から水道水が供給され、この水道水が排ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール102には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス152が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール102には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ154が接続されている。
次に、図6乃至図8を参照して、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの構造について具体的に説明する。図6は、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図7は、図6のIII-III線に沿った断面図であり、図8は、ハウジング及び断熱材が取り外された状態の燃料電池モジュールを示す斜視図である。
図6及び図7に示すように、燃料電池モジュール102は、主に、上述したように、断熱材107内で且つモジュール容器108の外部に設けられた蒸発器125を有すると共に、モジュール容器108の内部に設けられた、燃料電池セル集合体112及び改質器120を有する。
蒸発器125は、モジュール容器108の天板108a上に固定されている(図8参照)。また、熱交換モジュール121とモジュール容器108との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材107の一部分107aが配置され、この断熱材107の一部分107aも、モジュール容器108の天板108a上に固定されている(図6及び図7参照)。
具体的には、蒸発器125は、水平方向における一側端側に、水及び原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい)を供給する燃料供給配管163と、排ガスを排出するための排ガス排出管182とが接続され(図9参照)、水平方向における他側端側に、モジュール容器108の天板108a上に形成された排気口111に連結された第1排ガス排出路171が接続されている(図6参照)。この排気口111は、モジュール容器108内の燃焼室118で燃焼された排ガスをモジュール容器108の外へ排出する開口部であり、モジュール容器108の天板108aのほぼ中央部に形成されており、蒸発器125は、このような排気口111の上方の断熱材107内に配置されている。
また、蒸発器125は、図7に示すように、上下方向に二層構造となっており、モジュール容器108側に位置する下層部分には、上記した第1排ガス排出路171から供給された排ガスが通過する排気通路部125cが形成されている。加えて、蒸発器125は、排気通路部125cの上部に位置する上層部分には、燃料供給配管163から供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部125aと、この蒸発部125aよりも排ガスの流れ方向における上流側に設けられ、蒸発部125aで生成された水蒸気と燃料供給配管163から供給された原燃料ガスとを混合させる混合部125bと、が形成されている。例えば、蒸発器125の蒸発部125a及び混合部125bは、複数の連通孔が設けられた仕切り板により蒸発器125を仕切った空間にて形成される。
このような蒸発器125では、蒸発部125a内の水と排気通路部125cを通過する排ガスとの間で熱交換が行われ、排ガスの熱により蒸発部125a内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。加えて、混合部125b内の混合ガスと排気通路部125cを通過する排ガスとの間で熱交換が行われ、排ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
さらに、図6に示すように、蒸発器125の混合部125bには、第1排ガス排出路171が接続された蒸発器125における端部に、この第1排ガス排出路171の内部を通過するように形成された、混合部125bからモジュール容器108内の改質器120に混合ガスを供給するための混合ガス供給管162が接続されている。混合ガス供給管162は、一端が改質器120に設けられた混合ガス供給口120aに連結しており、この混合ガス供給口120aからほぼ水平方向に延びた先で90°屈曲されて、モジュール容器108内、断熱材107a内、蒸発器125における上流側の排気通路部125c内を順に横断するようにほぼ鉛直方向に延びて、他端が蒸発器125の混合部125bに接続されている。この場合、混合ガス供給管162は、蒸発器125の混合部125bに接続された端部162bが、蒸発器125の蒸発部125a及び混合部125bの底面よりも上方に突出するように設けられている。
ここで図8に示すように、蒸発器125の天面に直交して接続された燃料供給管163は、屈曲部を経て水平方向に延在する非屈曲部分に充填材通過禁止部180を有している。充填材通過禁止部180により、蒸発器125内部への経路の圧力損失を高めることなしに、蒸発器125の内部に充填された充填材の漏出を防止することができる。
次に、モジュール容器108の外側、具体的にはモジュール容器108の外壁と断熱材107との間には、酸化剤ガス供給通路としての発電用空気導入路(酸化剤ガス導入路)177が形成されている(図8参照)。この発電用空気導入路177は、モジュール容器108の天板108a及び側板108bと、これら天板108a及び側板108bのそれぞれに沿って延びるように配置された発電用空気供給ケース177aとの間の空間によって形成され、モジュール容器108の天板108a上の正面視中央位置に設けられた発電用空気導入管174から発電用空気が供給される(図9参照)。そして、発電用空気導入路177は、モジュール容器108の側板108bの下部に設けられた複数の吹出口177bから、発電用空気を燃料電池セル集合体112に向けて発電室110内に噴射する(図8参照)。
また、発電用空気導入路177の内部には、熱交換促進部材としての板状の伝熱板177c、177dが設けられている(図8参照)。伝熱板177cは、モジュール容器108の天板108aに沿った発電用空気導入路177の部分に設けられ、伝熱板177dは、モジュール容器108の側板108bに沿った発電用空気導入路177の部分で、且つ、燃料電池セルユニット116に至る位置に設けられている。発電用空気導入路177を流れる発電用空気は、特に伝熱板177c、177dを通過する際に、これら伝熱板177c、177dの内側のモジュール容器108内(具体的にはモジュール容器108内に設けられた第2及び第3排ガス排出路172、173)を通過する排ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。このようなことから、発電用空気導入路177において伝熱板177c、177dが設けられた部分は、熱交換部(空気熱交換部)として機能する。
第2排ガス排出路172および発電用空気導入路177の内部に設けられた伝熱板172a、177c、177dは第2排ガス排出路172または発電用空気導入路177の流路を2つに区分するように設けられており、伝熱板172a、177c、177dに設けられた複数の通気孔(図示せず)によって、内部を通過する流体は2区間を行き来して広域に拡散する。そのため、区分された空間それぞれにおいて内部を通過する流体を均熱化することができるため、局所的に熱交換率が異なることなく、熱交換性能が向上する。
第2排ガス排出路172および発電用空気導入路177に設けられた伝熱板172a、177c、177dは、複数の凸部(図示せず)を介して発電用空気導入路177および第2排ガス排出路172の他方を構成する壁面に固定されている。そのため、伝熱板(172a、177c、177d)により、区分された二つの空間のうち、他の流路と接する面を有する側が直接他の流路と熱交換を行う空間であるため、当該空間に優先的に流体を導くことができ、流体が持つ熱量を有効に利用することが可能となり、積極的に熱交換を行うことができる。
さらに、発電用空気導入路177および第2排ガス排出路172に設けられた伝熱板(172a、177c、177d)は燃料電池セル集合体112の上端よりも上方に配置されている。したがって、燃焼部110の熱と発電用空気導入路177を流れる発電用空気とで熱交換を行うことができ、高効率な熱交換が可能になる。このため伝熱板は、モジュール容器108上面から燃焼室118付近にわたる領域に配置すれば十分であり、燃料電池セル集合体112が設けられた位置にまで伝熱板177dを設けることを不要とすることができる。これにより、伝熱板177dの配置面積を削減することができ、さらに発電時においても燃料電池セル集合体112の温度を奪わないようにすることができる。
ここで、燃料電池モジュール102において、モジュール容器108内に配置される燃料電池セルスタック114は、モジュール容器108の底面と接合固定され、燃料ガス供給管164を介してモジュール容器108の天面に接合固定された改質器120と接合固定されている。図示しないが、モジュール容器108の底面とマニホールド166とは中間部材を介して接合固定され、これらの接合固定部は、燃料ガス供給管164を含む側面空間に集中的に配置されている。一方、燃料電池セルスタック114から電流をモジュール容器108の外部に取り出すための電流取出部(図示せず)と燃料電池セルスタック114との接合固定部も、同様に側面空間に配置されている。
このように接合固定部を燃料ガス供給管164を含む燃料電池セルスタック114の一側面の側面空間に集中的に配置することで、複数の部品を接合させることで生じる個々の寸法公差の積算を側面空間に対向する他側面の方向に振り分けることができる。これにより、接合固定部を集中させた側面空間において精度よく組み立て作業を実施することができるとともに、積算される寸法公差の影響により生じる組み立て不良の発生を低減することができる。
次に、図6及び図7に加えて、図9も参照して、モジュール容器108内に設けられた改質器120について説明する。図9(A)は、本発明の一実施例による改質器120を斜め上方から見た斜視図であり、図9(B)は、図9(A)のVB−VB線に沿った断面図であり、図9(C)は、図9(A)のVC−VC線に沿った断面図である。なお、図9(A)〜(C)中には、改質器120に加えて、混合ガス供給管162や燃料ガス供給管164なども図示している。
改質器120は、燃焼室118の上方に水平方向に延びるように配置され、モジュール容器108の天板108aと所定距離隔てて、この天板108aに対して固定されている(図6参照)。改質器120には、上記した混合ガス供給管162からの混合ガスが混合ガス供給口120aより流入し、混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい))を改質するための改質触媒(不図示)が充填された改質部120cと、が形成されている(図9(B)参照)。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
ここで改質器120に接続する混合ガス供給管162には、図9(B)に示すように改質器120に挿入される手前に充填材通過禁止部材162bが設けられている(図6、13においては省略)。これにより、圧力損失の増加を抑制しつつ、改質触媒の流出を防止することができる。
また、改質器120には、改質部120cが形成された部分に、上方に凹んだ内部空間120dが形成されている(図9(B)参照)。内部空間120dは、上下方向に貫通するように延びる貫通孔の上部をプレートなどで塞ぐことにより形成される。この内部空間120dには、上述した混合ガス供給管162の一部分162a、具体的には、混合ガス供給管162において水平方向に延びる部分であって、その端部が改質器120の混合ガス供給口120aに接続された部分162aが配置されている。この混合ガス供給管162の部分162aも、その内部を通過する混合ガスを、改質器120の内部空間120d内の排ガスによって予熱する予熱部として機能する(以下では混合ガス供給管162の部分162aを「予熱部162a」と呼ぶ)。
また、改質器120は、上記した改質部120cの上面を形成する天板120fと、この天板120fの上方に設けられ、上部が開放したほぼU字断面形状を有する遮蔽板120gと、この遮蔽板120gの上部に配置された平板120hとを更に有する(図9(A)乃至(C)参照)。改質器120において天板120fと遮蔽板120gとの間の空間は、改質部120cの上方に排ガスを誘導して流すための排気誘導室201を形成し、改質器120において遮蔽板120gと平板120hとの間の空間は、排ガスがほとんど流れない、断熱層としてのガス溜203を形成する(図9(A)乃至(C)に加えて、図6及び図7も参照)。更に、改質器120の上端部には、改質器120をモジュール容器108の天板108aに固定するためのフランジ部120iが設けられている。
次に、図6に示すように、改質器120の下流端側には、改質器120の改質部120cによる改質によって生成された燃料ガスを供給する燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管164が接続され、この燃料ガス供給管164の上部には、水添脱硫器用水素取出管165が接続されている。燃料ガス供給管164は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体112の下方に形成されたマニホールド166内で水平に延びている。燃料ガス供給管164の水平部164aの下方面には、複数の燃料供給孔164bが形成されており、この燃料供給孔164bから、改質された燃料ガスがマニホールド166内に供給される。このマニホールド166の上方には、上述した燃料電池セルスタック114を支持するための貫通孔を備えた下支持板168が取り付けられており、マニホールド166内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット116内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置183が、燃焼室118に設けられている。
次に、図7に示すように、モジュール容器108内において、改質器120の上面(詳しくは改質器120の平板120h)とモジュール容器108の天板108aの下面との間には、水平方向に延びる第2排ガス排出路172が形成されている。この第2排ガス排出路172は、モジュール容器108の天板108aを挟んで、上記した発電用空気導入路177の一部分と並設されている。また、第2排ガス排出路172の内部には、熱交換促進部材としての板状の伝熱板172aが設けられている。この伝熱板172aは、発電用空気導入路177内に設けられた伝熱板177cと水平方向におけるほぼ同一箇所に設けられている。このような伝熱板177c、172aが設けられた発電用空気導入路177及び第2排ガス排出路172の部分において、発電用空気導入路177を流れる発電用空気と第2排ガス排出路172を流れる排ガスとの間で効率的な熱交換が行われ、排ガスの熱により発電用空気が昇温されることとなる。すなわち、発電用空気導入路177または第2排ガス排出路172の内部に設けられた伝熱板172aが、発電用空気通路177と直接接触しており、伝熱板172aに与えられた排ガスの熱が伝熱板172aに与えられ、伝熱板172aの熱は発電用空気導入路177を構成する壁面に熱伝達し、発電用空気と効率よく熱交換を行うことができる。さらに、発電用空気通路177の内部にも伝熱板177cの凸部が第2排ガス排出路172を構成する壁面に接しているため、排ガスの熱が、伝熱板172a、発電用空気通路177を構成する壁面、伝熱板177c、発電用空気の順に伝わるため、排ガスと発電用空気の熱交換率を向上させることができる。なお、伝熱板172aは伝熱板177c、177bと同一のものである。
また、改質器120の外側面とモジュール容器108の内側面との間には、上下方向に延びる第3排ガス排出路173が形成されている。この第3排ガス排出路173は第2排ガス排出路172と連通しており、第3排ガス排出路173から第2排ガス排出路172へと排ガスが流れていく。具体的には、第2排ガス排出路172には、第3排ガス排出路173の上端部(言い換えると第2排ガス排出路172の水平方向における端部)に位置する排ガス導入口172bから排ガスが流入する。排ガス導入口172bから第2排ガス排出路172に流入した排ガスは、モジュール容器108の天板108a上に形成された排気口111を介して、モジュール容器108の外部に設けられた第1排ガス排出路171へと流出する。
また、第3排ガス排出路173の途中のモジュール容器108の内側面上には、具体的には、改質器120の改質部120cよりも上方で、第2排ガス排出路172の排ガス導入口172bよりも下方のモジュールケース8の内側面上には、改質器120中に形成された排気誘導室201(改質器120の天板120fと遮蔽板120gとの間の空間)に流れ込むように排ガスを指向させる排気ガイド板205(第1排気ガイド部に相当する)が設けられている。
次に、図10を参照して、燃料電池セルユニット116について説明する。図10は、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図10に示すように、燃料電池セルユニット116は、燃料電池セル184と、この燃料電池セル184の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子186とを備えている。
燃料電池セル184は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路188を形成する円筒形の内側電極層190と、円筒形の外側電極層192と、内側電極層190と外側電極層192との間にある電解質層194とを備えている。この内側電極層190は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル184の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子186は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子186について具体的に説明する。内側電極層190の上部190aは、電解質層194と外側電極層192に対して露出された外周面190bと上端面190cとを備えている。内側電極端子186は、導電性のシール材196を介して内側電極層190の外周面190bと接続され、さらに、内側電極層190の上端面190cとは直接接触することにより、内側電極層190と電気的に接続されている。内側電極端子186の中心部には、内側電極層190の燃料ガス流路188と連通する燃料ガス流路細管198が形成されている。
この燃料ガス流路細管198は、内側電極端子186の中心から燃料電池セル184の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、マニホールド166(図6参照)から、下側の内側電極端子186の燃料ガス流路細管198を通って燃料ガス流路188に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子186の燃料ガス流路細管198は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路188から、上側の内側電極端子186の燃料ガス流路細管198を通って燃焼室118(図6参照)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子186の燃料ガス流路細管198は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
内側電極層190は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層194は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層192は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
次に、図11を参照して、燃料電池セルスタック114について説明する。図11は、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図11に示すように、燃料電池セルスタック114は、16本の燃料電池セルユニット116を備え、これらの燃料電池セルユニット116は、8本ずつ2列に並べて配置されている。
各燃料電池セルユニット116は、下端側がセラミック製の長方形の下支持板168(図6参照)により支持され、上端側は、両端部の燃料電池セルユニット116が4本ずつ、概ね正方形の2枚の上支持板100により支持されている。これらの下支持板168及び上支持板100には、内側電極端子186が貫通可能な貫通穴がそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット116には、集電体103及び外部端子105が取り付けられている。この集電体103は、燃料極である内側電極層190に取り付けられた内側電極端子186と電気的に接続される燃料極用接続部103aと、空気極である外側電極層192の外周面と電気的に接続される空気極用接続部103bとを接続するように一体的に形成されている。また、各燃料電池セルユニット116の外側電極層192(空気極)の外表面全体には、空気極側の電極として、銀製の薄膜が形成されている。この薄膜の表面に空気極用接続部103bが接触することにより、集電体103は空気極全体と電気的に接続される。
さらに、燃料電池セルスタック114の端(図11では左端の奥側)に位置する燃料電池セルユニット116の空気極186には、2つの外部端子104がそれぞれ接続されている。これらの外部端子103は、隣接する燃料電池セルスタック114の端にある燃料電池セルユニット116の内側電極端子186に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット116の全てが直列接続されるようになっている。
次に、図12、図13を参照して、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュール内のガスの流れについて説明する。図12は、図6と同様の、本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図である。図13は、図7と同様の本発明の一実施例による固体酸化物形燃料電池装置を示す図12のIII−III線に沿った燃料電池モジュールの断面図である。図12、図13は、図6、8中にガスの流れを示す矢印を新たに付加した図であり、説明の便宜上、断熱材107を取り除いた状態の図を示している。なお、図13では、燃料ガス(水、水蒸気及び原燃料ガスも含む)の流れのみを図示している。
図12、に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)が、蒸発器125の水平方向における一側端側に接続された燃料供給配管163(図8参照)から蒸発器125内に供給される、具体的には蒸発器125の上層に設けられた蒸発部125a内に供給される。蒸発器125の蒸発部125aに供給された水は、蒸発器125の下層に設けられた排気通路部125cを流れる排ガスとの間で熱交換を行い、排ガスの熱により加熱されて、気化して水蒸気となる。この水蒸気と、上記した燃料供給配管163から供給された原燃料ガスとは、蒸発部125a内を水平方向に流れていき(具体的には燃料供給配管163が接続された側と反対側に向けて水平方向に流れていき)、蒸発部125aの先の混合部125bにおいて混合される。
そして、混合部125bにおいて水蒸気と原燃料ガスとが混合された混合ガス(燃料ガス)は、蒸発器125において燃料供給配管163が接続された側と反対側に接続され、蒸発器125の排気通路部125c、断熱材107a及びモジュール容器108内を横断するように延びる混合ガス供給管162を流れて、モジュール容器108内の改質器120に流入する。この場合、混合ガスは、混合部125bの下方の排気通路部125cを流れる排ガスと、排気通路部125c及び第1排ガス排出路171内に位置する混合ガス供給管162の部分の周囲を流れる排ガスと、モジュール容器108内に位置する混合ガス供給管162の部分の周囲を流れる排ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。特に、モジュール容器108内では、改質器120の内部空間120d内に位置する混合ガス供給管162の予熱部162aにおいて、この予熱部162a内を流れる混合ガスと改質器120の内部空間120d内の排ガスとの間で効率的な熱交換が行われる。
この後、混合ガス供給管162から改質器120に供給された混合ガスは、改質器120の混合ガス供給口120aを介して、改質器120の水平方向における一側端側に設けられた改質触媒が充填された改質部120cに流入し、この改質部120cにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、改質器120の改質部120cの下流端側に接続された燃料ガス供給管164と、この燃料ガス供給管164の上方に接続された水添脱硫器用水素取出管165とを流れる。そして、燃料ガスは、燃料ガス供給管164の水平部164aに設けられた燃料供給孔164bからマニホールド166内に供給されて、マニホールド166内の燃料ガスが各燃料電池セルユニット116内に供給される。
他方で、図13に示すように、発電用空気導入管174(図6、図8及び図12参照)から供給された発電用空気は、モジュール容器108の天板108a及び側板108bと、これら天板108a及び側板108bのそれぞれに沿って延びるように配置された発電用空気供給ケース177aとの間の空間によって形成された発電用空気導入路177を流れる。この際に、発電用空気導入路177を流れる発電用空気は、伝熱板177c、177dを通過する際に、これら伝熱板177c、177dの内側のモジュール容器108内に形成された第2及び第3排ガス排出路172、173を通過する排ガスとの間で効率的な熱交換を行い、加熱されることとなる。特に、発電用空気導入路177の伝熱板177cに対応する第2排ガス排出路172内には伝熱板172aが設けられているので、発電用空気は、発電用空気導入路177内の伝熱板177cと第2排ガス排出路172内の伝熱板172aとを介して、排ガスとより効率的な熱交換を行う。
また、図8、14に示すように、発電用空気導入路177の内部で、伝熱板177dが配置された領域よりも下方に複数の孔を有する仕切り板179が設置されており、排ガスと熱交換を行った後の発電用空気は仕切り板179に設けられた複数の孔を通る。その際に、仕切り板179は流路抵抗として機能し、拡散されて均熱化した発電用空気を燃料電池セル集合体112へ供給することができる。
その後、図13に示すように、発電用空気は、モジュール容器108の側板108bの下部に設けられた複数の吹出口177bから燃料電池セル集合体112に向けて発電室110内に噴射される。
他方で、燃料電池セルユニット116において発電に利用されずに残った排ガスは、図13に示すように、モジュール容器108内の燃焼室118で燃焼され、モジュール容器108内を上昇していく。具体的には、排ガスは、まず、改質器120の外側面とモジュール容器108の内側面との間に形成された第3排ガス排出路173を通過する。この際に、排ガスは、モジュール容器108の内側面上に設けられた排気ガイド板205によって、改質器120中に形成された排気誘導室201(改質器120の天板120fと遮蔽板120gとの間の空間)に流れ込むように指向される。そして、排気誘導室201を経由した排ガス(排気誘導室201に流れ込んだ排ガス及び排気誘導室201に流れ込まなかった排ガスを含む)は、排気誘導室201の上方のガス溜203(改質器120の遮蔽板120gと平板120hとの間の空間)に流れ込むことなく上昇していき、排ガス導入口172bから第2排ガス排出路172に流入する。
この後、排ガスは、第2排ガス排出路172を水平方向に流れていき、モジュール容器108の天板108a上に形成された排気口111から流出する。排ガスが第2排ガス排出路172を水平方向に流れていく際に、第2排ガス排出路172内に設けられた伝熱板172aと、この伝熱板172aに対応して発電用空気導入路177内に設けられた伝熱板177cとを介して、発電用空気導入路177を流れる発電用空気と第2排ガス排出路172を流れる排ガスとの間で効率的な熱交換が行われて、排ガスの熱により発電用空気が昇温される。なお、ここでは排気通路のうち第2排ガス排出路172にのみ伝熱板172aを設けているが、伝熱板を設ける箇所は第2排ガス排出路172に限るものではなく、熱交換を行う排気通路であればよい。
そして、排気口111から流出した排ガスは、モジュール容器108の外部に設けられた第1排ガス排出路171を通過した後、第1排ガス排出路171に接続された蒸発器125の排気通路部125cを流れて、蒸発器125の下流端側に接続された排ガス排出管182(図8参照)から排出される。排ガスは、蒸発器125の排気通路部125cを流れる際に、上述したように、蒸発器125の混合部125b内の混合ガス及び蒸発器125の蒸発部125a内の水と熱交換を行う。