JP2018151651A - 円偏光板および有機elパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】有機ELパネルの光抜けを防止し、かつ、反りを抑制して、パネル面内での反射ムラを低減し得る円偏光板を提供すること。
【解決手段】本発明の円偏光板は、偏光子と位相差フィルムとを備え、該位相差フィルムの波長450nmおよび550nmで測定した面内位相差が、所定の関係を満たし、該位相差フィルムが、ポリカーボネート樹脂およびポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含み、該位相差フィルムにコロナ処理またはプラズマ処理が施され、該処理面に易接着層が形成されており、該位相差フィルムの該易接着層が形成された面と該偏光子とが、ポリビニルアルコール系接着剤で構成された接着剤層を介して積層されており、該偏光子と該位相差フィルムとの90°接着力が1.0N/20mm以上であり、60℃の温水に6時間浸漬後の該偏光子の透過率が50%以下の面積残存率が90%以上である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の円偏光板は、偏光子と位相差フィルムとを備え、該位相差フィルムの波長450nmおよび550nmで測定した面内位相差が、所定の関係を満たし、該位相差フィルムが、ポリカーボネート樹脂およびポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含み、該位相差フィルムにコロナ処理またはプラズマ処理が施され、該処理面に易接着層が形成されており、該位相差フィルムの該易接着層が形成された面と該偏光子とが、ポリビニルアルコール系接着剤で構成された接着剤層を介して積層されており、該偏光子と該位相差フィルムとの90°接着力が1.0N/20mm以上であり、60℃の温水に6時間浸漬後の該偏光子の透過率が50%以下の面積残存率が90%以上である。
【選択図】図1
Description
本発明は、円偏光板および有機ELパネルに関する。
近年、薄型ディスプレイの普及と共に、有機ELパネルを搭載したディスプレイが提案されている。有機ELパネルは反射性の高い金属層を有するため、外光反射や背景の映り込み等の問題を生じやすい。そこで、λ/4板を有する円偏光板を視認側に設けることにより、これらの問題を防ぐことが知られている。しかし、通常のλ/4板を用いる円偏光板では、色抜けの問題が大きい。このような問題を解決する手段として、λ/4板とλ/2板とを組み合わせて用いること(特許文献1)、および、いわゆる逆分散波長材料で構成されたλ/4板を用いること(特許文献2)が提案されている。
ここで、有機ELパネルに円偏光板を用いる場合、有機ELパネルに対する薄型化の要請を考慮すると、円偏光板はできるだけ薄いことが好ましく、特許文献1の技術のようにλ/4板とλ/2板とを組み合わせて用いることはできる限り回避することが求められる。特許文献2の技術のように逆分散波長材料で構成されたλ/4板のみを用いる場合には、有機ELパネルに対する薄型化の要請には対応可能である。しかし、特許文献2の技術を用いた有機ELパネルは、パネル自体に反りが生じ、結果として反射ムラが生じるという問題がある。
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、有機ELパネルの光抜けを防止し、かつ、反りを抑制して、パネル面内での反射ムラを低減し得る円偏光板を提供することにある。
本発明者らは、円偏光板と有機ELパネルの反りとの関係について鋭意検討を重ねた結果、円偏光板において偏光子と位相差フィルムとの接着力を所定の範囲に制御することで積層フィルムとしての耐久性が確保され、さらに、偏光フィルムと位相差フィルムとが直接接着していることで上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の円偏光板は、偏光子と位相差フィルムとを備え、該位相差フィルムの面内位相差が、Re(450)<Re(550)の関係を満たし、該位相差フィルムが、ポリカーボネート樹脂およびポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含み、該位相差フィルムにコロナ処理またはプラズマ処理が施され、該処理面に易接着層が形成されており、該位相差フィルムの該易接着層が形成された面と該偏光子とが、ポリビニルアルコール系接着剤で構成された接着剤層を介して積層されており、該偏光子と該位相差フィルムとの90°接着力が1.0N/20mm以上であり、60℃の温水に6時間浸漬後の該偏光子の透過率が50%以下の面積残存率が90%以上である。ここで、Re(450)およびRe(550)は、それぞれ、23℃における波長450nmおよび550nmで測定した面内位相差を表す。この円偏光板は、有機ELパネルに用いられる。
好ましい実施形態においては、上記偏光子および上記位相差フィルムは長尺状であり、該位相差フィルムが35°≦θ≦55°の関係を満たす。ここで、θは、該位相差フィルムの長尺方向と遅相軸とのなす角度である。
好ましい実施形態においては、上記位相差フィルムは、脂肪族系モノマー由来の繰り返し単位を有する樹脂を含む。
好ましい実施形態においては、上記ポリカーボネート樹脂は、ヒドロキシ基に結合した炭素原子の少なくとも1つのβ位またはγ位にエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む。
好ましい実施形態においては、上記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物のエーテル性酸素原子は、下記式(1)で表される構造の酸素原子である。
好ましい実施形態においては、上記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物は、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物である。
(上記式(2)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜炭素数20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜炭素数20のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜炭素数20のアリール基を表し、X1およびX2は置換基を有していてもよい炭素数2〜炭素数10のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6〜炭素数20のシクロアルキレン基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜炭素数20のアリーレン基を表す。)
好ましい実施形態においては、上記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物は、下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物である。
(上記式(3)中、R7は置換若しくは無置換の炭素数2〜炭素数10のアルキレン基を示し、pは2から100の整数である。)
好ましい実施形態においては、上記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物は、環状エーテル構造を有する。
好ましい実施形態においては、上記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物は、複数の環状構造を有する。
好ましい実施形態においては、上記ポリカーボネート樹脂は、下記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物、および下記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む。
(上記式(6)中、R5は炭素数4から炭素数20の置換若しくは無置換の単環構造のシクロアルキレン基を示す。)
(上記式(7)中、R6は炭素数4から炭素数20の置換若しくは無置換の単環構造のシクロアルキレン基を示す。)
好ましい実施形態においては、上記ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位を含む。
好ましい実施形態においては、上記ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む。
好ましい実施形態においては、上記芳香族ジヒドロキシ化合物は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
本発明の別の局面によれば、有機ELパネルが提供される。この有機ELパネルは、上記円偏光板を備える。
好ましい実施形態においては、上記偏光子および上記位相差フィルムは長尺状であり、該位相差フィルムが35°≦θ≦55°の関係を満たす。ここで、θは、該位相差フィルムの長尺方向と遅相軸とのなす角度である。
好ましい実施形態においては、上記位相差フィルムは、脂肪族系モノマー由来の繰り返し単位を有する樹脂を含む。
好ましい実施形態においては、上記ポリカーボネート樹脂は、ヒドロキシ基に結合した炭素原子の少なくとも1つのβ位またはγ位にエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む。
好ましい実施形態においては、上記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物のエーテル性酸素原子は、下記式(1)で表される構造の酸素原子である。
好ましい実施形態においては、上記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物は、下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物である。
好ましい実施形態においては、上記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物は、環状エーテル構造を有する。
好ましい実施形態においては、上記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物は、複数の環状構造を有する。
好ましい実施形態においては、上記ポリカーボネート樹脂は、下記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物、および下記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む。
好ましい実施形態においては、上記ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位を含む。
好ましい実施形態においては、上記ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む。
好ましい実施形態においては、上記芳香族ジヒドロキシ化合物は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである。
本発明の別の局面によれば、有機ELパネルが提供される。この有機ELパネルは、上記円偏光板を備える。
本発明によれば、有機ELパネルに用いられる円偏光板において偏光子と位相差フィルムとの90°接着力を1.0N/20mm以上とすることにより、優れた耐久性が得られ、偏光子と位相差フィルムとを直接貼り合わせた状態で使用することができ、反りを抑制して、パネル面内での反射ムラを低減することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(550)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re=(nx−ny)×dによって求められる。なお、「Re(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。Rth(550)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Rth=(nx−nz)×dによって求められる。なお、「Rth(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。Re(550)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Re=(nx−ny)×dによって求められる。なお、「Re(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの面内位相差である。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。Rth(550)は、フィルムの厚みをd(nm)としたとき、式:Rth=(nx−nz)×dによって求められる。なお、「Rth(450)」は、23℃における波長450nmの光で測定したフィルムの厚み方向の位相差である。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
A.円偏光板
図1は、本発明の好ましい実施形態による円偏光板の概略断面図である。本実施形態の円偏光板100は、偏光子10と、偏光子10の片側に配置された保護フィルム20と、偏光子10のもう片側に配置された位相差フィルム30とを備える。言い換えれば、本実施形態においては、偏光子10と位相差フィルム30とは直接(すなわち、保護フィルムを介することなく)接着されており、位相差フィルム30は偏光子10の保護フィルムとしても機能し得る。このように偏光子と位相差フィルムとが直接貼り合わされていることにより、円偏光板を有機ELパネルに適用した場合に当該パネルの反りを抑制し、結果として、反射ムラを低減することができる。これは、偏光子が寸法変化に大きく影響を与えるところ、偏光子と位相差フィルムとを直接貼り合わせることにより、偏光子の寸法変化を抑制することが可能となるものと推察される。
図1は、本発明の好ましい実施形態による円偏光板の概略断面図である。本実施形態の円偏光板100は、偏光子10と、偏光子10の片側に配置された保護フィルム20と、偏光子10のもう片側に配置された位相差フィルム30とを備える。言い換えれば、本実施形態においては、偏光子10と位相差フィルム30とは直接(すなわち、保護フィルムを介することなく)接着されており、位相差フィルム30は偏光子10の保護フィルムとしても機能し得る。このように偏光子と位相差フィルムとが直接貼り合わされていることにより、円偏光板を有機ELパネルに適用した場合に当該パネルの反りを抑制し、結果として、反射ムラを低減することができる。これは、偏光子が寸法変化に大きく影響を与えるところ、偏光子と位相差フィルムとを直接貼り合わせることにより、偏光子の寸法変化を抑制することが可能となるものと推察される。
位相差フィルムは、いわゆる逆分散の波長依存性を示す。具体的には、その面内位相差は、Re(450)<Re(550)の関係を満たす。このような関係を満たすことにより、色抜けを防止し、優れた反射色相を達成することができる。また、後述する偏光子と位相差フィルムとの光軸角度を調整することによる効果を顕著に得ることができる。
円偏光板100においては、偏光子10と位相差フィルム30との間の90°接着力(以下、単に接着力と称する場合がある)は、1.0N/20mm以上であり、好ましくは1.1N/20mm以上であり、より好ましくは1.5N/20mm以上である。接着力の実用的な上限は、例えば、10.0N/20mmである。偏光子と位相差フィルムとの間の接着力をこのような範囲に制御することにより、偏光子と位相差フィルムとを直接(保護フィルムを介することなく)貼り合わせて使用することができるので、円偏光板を有機ELパネルに適用した場合に当該パネルの反りを抑制し、結果として、反射ムラを低減することができる。このことは、円偏光板を有機ELパネルに実装して試行錯誤した結果、初めて得られた知見である。本発明によれば、接着力の最適化と上記の偏光子および位相差フィルムの直接の貼り合わせとの相乗的な効果により、有機ELパネルの反りを非常に良好に抑制し、反射ムラを顕著に低減することができる。
位相差フィルム30は、屈折率特性がnx>nyの関係を示し、遅相軸を有する。偏光子10と位相差フィルム30とは、偏光子10の吸収軸と位相差フィルム30の遅相軸とが所定の角度をなすように積層されている。偏光子10の吸収軸と位相差フィルム30の遅相軸とのなす角度θは、好ましくは35°≦θ≦55°、より好ましくは38°≦θ≦52°、さらに好ましくは39°≦θ≦51°の関係を満たす。なお、本明細書において角度に言及するときは、特に明記しない限り、当該角度は時計回りおよび反時計回りの両方の方向の角度を包含する。
1つの実施形態においては、円偏光板100は長尺状であり、したがって、偏光子10および位相差フィルム30もまた長尺状である。長尺状の円偏光板は、例えば、ロール状に巻回されて保管および/または運搬され得る。本実施形態においては、代表的には、偏光子の吸収軸が長尺方向に対応する。したがって、位相差フィルム30の遅相軸と長尺方向とのなす角度θは、好ましくは35°≦θ≦55°、より好ましくは38°≦θ≦52°、さらに好ましくは39°≦θ≦51°の関係を満たす。
本発明の円偏光板全体の厚みは、その構成により異なるが、代表的には40μm〜300μm程度である。以下、本発明の円偏光板を構成する各層について説明する。
A−1.偏光子
上記偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。具体例としては、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
上記偏光子としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。具体例としては、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
上記ヨウ素による染色は、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは、3〜7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、ポリビニルアルコール系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗することで、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
偏光子の厚みは、代表的には、1μm〜80μm程度である。
A−2.位相差フィルム
上記位相差フィルムは、上述のとおり、屈折率特性がnx>nyの関係を示す。位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm〜180nm、より好ましくは135nm〜155nmである。
上記位相差フィルムは、上述のとおり、屈折率特性がnx>nyの関係を示す。位相差フィルムの面内位相差Re(550)は、好ましくは100nm〜180nm、より好ましくは135nm〜155nmである。
位相差フィルムは、上述のとおり、いわゆる逆分散の波長依存性を示す。具体的には、その面内位相差は、Re(450)<Re(550)の関係を満たす。Re(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1.0未満である。
位相差フィルムは、nx>nyの関係を有する限り、任意の適切な屈折率楕円体を示す。好ましくは、位相差フィルムの屈折率楕円体は、nx>ny≧nzの関係を示す。位相差フィルムのNz係数は、好ましくは、1.05〜2.0である。このような関係を満たすことにより、色抜けをより良好に防止することができる。
位相差フィルムは、上記のような偏光子との接着力を実現し、かつ上記光学特性を満足させ得る、任意の適切な樹脂で形成される。位相差フィルムを形成する樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂等が挙げられる。好ましくは、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が挙げられる。位相差フィルムを形成する樹脂は、単独で用いてもよく、所望の特性に応じて組み合わせて用いてもよい。
好ましい実施形態においては、上記ポリカーボネート樹脂は、例えば、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応させる溶融重合法により製造することができる。この場合、炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換基を有していてもよいジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換基を有していてもよいジアリールカーボネートが用いられ、特に好ましくはジフェニルカーボネートが用いられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
上記の炭酸ジエステルの一部を、その50モル%以下、好ましくは30モル%以下の量のジカルボン酸又はそのエステルで置換しても良い。このようなジカルボン酸又はそのエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が用いられる。炭酸ジエステルの一部を、ジカルボン酸又はそのエステルで置換した場合、当該ポリカーボネート樹脂を、ポリエステルカーボネート樹脂と称する場合がある。
(ジヒドロキシ化合物)
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、前記の通り、例えば、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応させる溶融重合法により製造することができ、用いるジヒドロキシ化合物としては通常ポリカーボネート樹脂を製造することができるものであれば如何なるものも使用することができるが、ジヒドロキシ化合物の少なくとも1種がヒドロキシ基に結合した炭素原子の少なくとも1つのβ位またはγ位にエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物であることが好ましい。なお、本実施形態のジヒドロキシ化合物における「エーテル性酸素原子」とは、酸素原子が2つの炭素と単結合していることを意味し、ヒドロキシル基やカルボニル基を構成する酸素原子と区別される。また、「ヒドロキシ基に結合した炭素原子の少なくとも1つのβ位またはγ位にエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物」において、β位、γ位とは、ジヒドロキシ化合物においてヒドロキシ基に結合した炭素原子を基準にして、隣接する炭素原子の位置をα位、更にその隣の炭素原子をβ位、更にその隣の炭素原子をγ位とすることを意味する。例えば、後述するイソソルビドの場合は、ヒドロキシ基に結合した炭素原子を基準にして、β位に相当する炭素原子がエーテル性酸素原子となっており、「ヒドロキシ基に結合した炭素原子のβ位にエーテル性酸素原子を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物」に該当する。
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、前記の通り、例えば、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応させる溶融重合法により製造することができ、用いるジヒドロキシ化合物としては通常ポリカーボネート樹脂を製造することができるものであれば如何なるものも使用することができるが、ジヒドロキシ化合物の少なくとも1種がヒドロキシ基に結合した炭素原子の少なくとも1つのβ位またはγ位にエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物であることが好ましい。なお、本実施形態のジヒドロキシ化合物における「エーテル性酸素原子」とは、酸素原子が2つの炭素と単結合していることを意味し、ヒドロキシル基やカルボニル基を構成する酸素原子と区別される。また、「ヒドロキシ基に結合した炭素原子の少なくとも1つのβ位またはγ位にエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物」において、β位、γ位とは、ジヒドロキシ化合物においてヒドロキシ基に結合した炭素原子を基準にして、隣接する炭素原子の位置をα位、更にその隣の炭素原子をβ位、更にその隣の炭素原子をγ位とすることを意味する。例えば、後述するイソソルビドの場合は、ヒドロキシ基に結合した炭素原子を基準にして、β位に相当する炭素原子がエーテル性酸素原子となっており、「ヒドロキシ基に結合した炭素原子のβ位にエーテル性酸素原子を有する脂肪族ジヒドロキシ化合物」に該当する。
上記エーテル性酸素原子は、下記式(1)で表される構造の一部であること、具体的には、少なくともメチレン基と結合していることが好ましい。
前記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物は、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物であることが好ましい。
上記式(2)中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜炭素数20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜炭素数20のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜炭素数20のアリール基を表す。R1〜R4はそれぞれ独立に、それぞれの環に対して複数存在していても構わない。そして、X1およびX2は置換基を有していてもよい炭素数2〜炭素数10のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6〜炭素数20のシクロアルキレン基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜炭素数20のアリーレン基を表す。
また、前記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物は、下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物であることが好ましい。
上記式(3)中、R7は置換若しくは無置換の炭素数2〜炭素数10のアルキレン基を示し、pは2から100の整数である。
その他のエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物としては、環状エーテル構造を有する化合物があげられる。環状エーテル構造を有する化合物のなかでも、エーテル性酸素原子を複数有することが好ましく、複数の環状構造を有することが好ましい。そして、環状エーテル構造を複数有する化合物がより好ましい。より具体的には、下記式(4)および(5)で代表されるような環状エーテル構造を有する化合物が挙げられる。
前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物としては、例えば、立体異性体の関係にあるイソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。これらのジヒドロキシ化合物のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
<前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物として、より具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等の式(2)で代表される、芳香族基に結合したエーテル性酸素原子を有する化合物があげられる。
前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物として、より具体的には、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等の式(2)で代表される、芳香族基に結合したエーテル性酸素原子を有する化合物があげられる。
<前記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物としては、具体的には、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量150〜2000)などのオキシアルキレングリコール類があげられ、その中でもジエチレングリコール又はポリエチレングリコールが好ましい。
前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物としては、具体的には、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量150〜2000)などのオキシアルキレングリコール類があげられ、その中でもジエチレングリコール又はポリエチレングリコールが好ましい。
エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物は、得られるポリカーボネート樹脂の要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1つの実施形態においては、式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、式(3)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、式(4)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことが好ましい。
<エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物>
本実施形態のポリカーボネート樹脂を、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応させる溶融重合法により製造する際には、例えば得られる樹脂から作製されるフィルムの靭性を高めるため、前記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物を併用することが好ましい。
本実施形態のポリカーボネート樹脂を、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを反応させる溶融重合法により製造する際には、例えば得られる樹脂から作製されるフィルムの靭性を高めるため、前記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物を併用することが好ましい。
エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物として、より具体的には、下記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物、および下記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物があげられる。
上記式(6)中、R5は炭素数4から炭素数20の置換若しくは無置換の単環構造のシクロアルキレン基を示す。
上記式(7)中、R6は炭素数4から炭素数20の置換若しくは無置換の単環構造のシクロアルキレン基を示す。
(前記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物)
前記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物としては、単環構造のシクロアルキレン基を含む化合物(脂環式ジヒドロキシ化合物)が挙げられる。単環構造とすることにより、得られるポリカーボネート樹脂をフィルムとしたときの靭性を改良することが出来る。脂環式ジヒドロキシ化合物の代表例としては、5員環構造又は6員環構造を含む化合物が挙げられる。5員環構造又は6員環構造であることにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高くすることができる。6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。具体的には、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。式(6)で表されるジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物としては、単環構造のシクロアルキレン基を含む化合物(脂環式ジヒドロキシ化合物)が挙げられる。単環構造とすることにより、得られるポリカーボネート樹脂をフィルムとしたときの靭性を改良することが出来る。脂環式ジヒドロキシ化合物の代表例としては、5員環構造又は6員環構造を含む化合物が挙げられる。5員環構造又は6員環構造であることにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高くすることができる。6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。具体的には、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。式(6)で表されるジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(前記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物)
前記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物としては、単環構造のシクロアルキレン基を含む化合物(脂環式ジヒドロキシ化合物)が挙げられる。単環構造とすることにより、得られるポリカーボネート樹脂をフィルムとしたときの靭性を改良することが出来る。脂環式ジヒドロキシ化合物の代表例としては、前記式(7)におけるR6が下記一般式(Ia)(式中、R7は水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数12のアルキル基を表す。)で示される種々の異性体が挙げられる。このような異性体の好ましい具体例としては、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは、入手が容易で、かつ、取扱い性に優れる。一般式(7)で表されるジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物としては、単環構造のシクロアルキレン基を含む化合物(脂環式ジヒドロキシ化合物)が挙げられる。単環構造とすることにより、得られるポリカーボネート樹脂をフィルムとしたときの靭性を改良することが出来る。脂環式ジヒドロキシ化合物の代表例としては、前記式(7)におけるR6が下記一般式(Ia)(式中、R7は水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数12のアルキル基を表す。)で示される種々の異性体が挙げられる。このような異性体の好ましい具体例としては、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは、入手が容易で、かつ、取扱い性に優れる。一般式(7)で表されるジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、式(6)および(7)で表されるジヒドロキシ化合物に関して上記で例示した化合物は、使用し得る脂環式ジヒドロキシ化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、更にその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。その他のジヒドロキシ化合物としては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、好ましくは、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等の、エーテル性酸素原子を有さないフルオレン系ジヒドロキシ化合物があげられる。
また、例えば、ビスフェノール類等も挙げられる。ビスフェノール類としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル等が挙げられる。
また、例えば、ビスフェノール類等も挙げられる。ビスフェノール類としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル等が挙げられる。
上記ポリカーボネート樹脂中、エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位は、好ましくは18モル%以上であり、より好ましくは20モル%以上であり、更に好ましくは25モル%以上である。該構造単位が過度に小さいと、逆分散の波長依存性が得られない場合がある。
前記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物、前記一般式(4)で表されるジヒドロキシ化合物、前記一般式(5)で表されるジヒドロキシ化合物及び前記一般式(6)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が、前記ポリカーボネート樹脂中、25モル%以上であることが好ましく、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは35モル%以上である。該構造単位が過度に少ないと、フィルムとしたときの靭性が乏しくなる場合がある。
前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、110℃以上150℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上140℃以下である。ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こす可能性があり、又、得られる有機ELパネルの画像品質を下げる場合がある。ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時の成形安定性が悪くなる場合があり、又フィルムの透明性を損なう場合がある。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じて求められる。
前記ポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができる。還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定される。還元粘度の下限は、通常0.30dL/gが好ましく、より好ましは0.35dL/g以上である。還元粘度の上限は、通常1.20dL/gが好ましく、より好ましくは1.00dL/g、更に好ましくは0.80dL/gである。還元粘度が前記下限値より小さいと成形品の機械的強度が小さくなるという問題が生じる場合がある。一方、還元粘度が前記上限値より大きいと、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性が低下するという問題が生じる場合がある。
<ポリビニルアセタール樹脂>
上記ポリビニルアセタール樹脂としては、任意の適切なポリビニルアセタール樹脂を用いることができる。代表的には、ポリビニルアセタール樹脂は、少なくとも2種類のアルデヒド化合物及び/又はケトン化合物と、ポリビニルアルコール系樹脂とを縮合反応させて得ることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂としては、任意の適切なポリビニルアセタール樹脂を用いることができる。代表的には、ポリビニルアセタール樹脂は、少なくとも2種類のアルデヒド化合物及び/又はケトン化合物と、ポリビニルアルコール系樹脂とを縮合反応させて得ることができる。
アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、1,1−ジエトキシエタン(アセタール)、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、5−ノルボルネン−2−カルボキシアルデヒド、3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−クロロベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、t−ブチルベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、2−ニトロベンズアルデヒド、4−シアノベンズアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、4−フェニルベンズアルデヒド、4−フルオロベンズアルデヒド、2−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、2−メトキシ−1−ナフトアルデヒド、2−エトキシ−1−ナフトアルデヒド、2−プロポキシ−1−ナフトアルデヒド、2−メチル−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、6−メトキシ−2−ナフトアルデヒド、3−メチル−2−チオフェンカルボキシアルデヒド、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、インドール−3−カルボキシアルデヒド等が挙げられる。
ケトン化合物としては、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、t−ブチルケトン、ジプロピルケトン、アリルエチルケトン、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、4’−アミノアセトフェノン、p−クロロアセトフェノン、4’−メトキシアセトフェノン、2’−ヒドロキシアセトフェノン、3’−ニトロアセトフェノン、P−(1−ピペリジノ)アセトフェノン、ベンザルアセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、4−ニトロベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、p−ブロモベンゾフェノン、シクロヘキシル(フェニル)メタノン、2−ブチロナフトン、1−アセトナフトン、2−ヒドロキシ−1−アセトナフトン、8’−ヒドロキシ−1’−ベンゾナフトン等が挙げられる。
アルデヒド化合物およびケトン化合物は、それぞれ、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。アルデヒド化合物および/またはケトン化合物の2種以上を組み合わせて用いる場合、用いられる化合物の種類、数、モル数等は目的に応じて適切に設定され得る。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、目的に応じて、任意の適切なポリビニルアルコール系樹脂が採用され得る。ポリビニルアルコール系樹脂は、直鎖状ポリマーであってもよいし、枝分かれポリマーであってもよい。また、ポリビニルアルコール系樹脂は、ホモポリマーであってもよいし、2種類以上の単位モノマーから重合されたコポリマーであってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂がコポリマーである場合、基本単位の配列順序は、交互、ランダム、またはブロックのいずれであってもよい。コポリマーの代表例としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ビニルエステル系モノマーを重合して、ビニルエステル系重合体とした後、これをケン化して、ビニルエステル単位をビニルアルコール単位とすることによって得ることができる。上記ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等が挙げられる。これらのビニルエステル系モノマーなかで、特に好ましくは、酢酸ビニルである。
ポリビニルアセタール樹脂のガラス転移温度は、好ましくは90℃〜190℃であり、さらに好ましくは100℃〜170℃であり、特に好ましくは110℃〜150℃である。
ポリビニルアセタール樹脂のより具体的な例および詳細な製造方法は、例えば、特開2007−161994号公報に記載されている。当該記載は、本明細書に参考として援用される。
位相差フィルムは、代表的には、樹脂フィルムを少なくとも一方向に延伸することにより作製される。
上記樹脂フィルムの形成方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、溶融押出し法(例えば、Tダイ成形法)、キャスト塗工法(例えば、流延法)、カレンダー成形法、熱プレス法、共押出し法、共溶融法、多層押出し、インフレーション成形法等が挙げられる。好ましくは、Tダイ成形法、流延法およびインフレーション成形法が用いられる。
樹脂フィルム(未延伸フィルム)の厚みは、所望の光学特性、後述の延伸条件などに応じて、任意の適切な値に設定され得る。好ましくは50μm〜300μmであり、より好ましくは80μm〜250μmである。
上記延伸は、任意の適切な延伸方法、延伸条件(例えば、延伸温度、延伸倍率、延伸方向)が採用され得る。具体的には、自由端延伸、固定端延伸・自由端収縮、固定端収縮などの様々な延伸方法を、単独で用いることも、同時もしくは逐次で用いることもできる。延伸方向に関しても、水平方向、垂直方向、厚さ方向、対角方向等、様々な方向や次元に行なうことができる。延伸の温度は、好ましくは、樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)±20℃の範囲である。
上記延伸方法、延伸条件を適宜選択することにより、上記所望の光学特性(例えば、屈折率楕円体、面内位相差、Nz係数)を有する位相差フィルムを得ることができる。
1つの実施形態においては、位相差フィルムは、樹脂フィルムを一軸延伸もしくは固定端一軸延伸することにより作製される。一軸延伸の具体例としては、樹脂フィルムを長尺方向に走行させながら、長手方向(縦方向)に延伸する方法が挙げられる。延伸倍率は、好ましくは10%〜500%である。
別の実施形態においては、位相差フィルムは、長尺状の樹脂フィルムを長尺方向に対して角度θの方向に連続的に斜め延伸することにより作製される。斜め延伸を採用することにより、フィルムの長尺方向に対して角度θの配向角を有する長尺状の延伸フィルムが得られ、例えば、偏光子との積層に際してロールツーロールが可能となり、製造工程を簡略化することができる。
斜め延伸に用いる延伸機としては、例えば、横および/または縦方向に、左右異なる速度の送り力もしくは引張り力または引き取り力を付加し得るテンター式延伸機が挙げられる。テンター式延伸機には、横一軸延伸機、同時二軸延伸機等があるが、長尺状の樹脂フィルムを連続的に斜め延伸し得る限り、任意の適切な延伸機が用いられ得る。
斜め延伸の方法としては、例えば、特開昭50−83482号公報、特開平2−113920号公報、特開平3−182701号公報、特開2000−9912号公報、特開2002−86554号公報、特開2002−22944号公報等に記載の方法が挙げられる。
位相差フィルム(延伸フィルム)の厚みは、好ましくは20μm〜100μm、より好ましくは30μm〜80μmである。
位相差フィルム30の偏光子10側の表面には、好ましくは表面処理が施されている。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、プライマー塗布処理、ケン化処理が挙げられる。コロナ処理としては、例えば、コロナ処理機により常圧空気中で放電する方式が挙げられる。プラズマ処理は、例えば、プラズマ放電機により常圧空気中で放電する方式が挙げられる。フレーム処理は、例えば、フィルム表面に直接火炎を接触させる方式が挙げられる。プライマー塗布処理は、例えば、イソシアネート化合物、シランカップリング剤等を溶媒で希釈し、当該希釈液を薄く塗布する方式が挙げられる。ケン化処理は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬させる方式が挙げられる。好ましくは、コロナ処理、プラズマ処理である。加水分解性のない材料においても表面の親水化が可能であるので、幅広い材料について表面改質が可能だからである。
A−3.保護フィルム
保護フィルム20は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
保護フィルム20は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。耐久性に優れ得るからである。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
上記(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)が挙げられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルが挙げられる。より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系樹脂の具体例としては、例えば、三菱レイヨン社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系樹脂として、高い耐熱性、高い透明性、高い機械的強度を有する点で、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が特に好ましい。
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、質量平均分子量(重量平均分子量と称することもある)が、好ましくは1000〜2000000、より好ましくは5000〜1000000、さらに好ましくは10000〜500000、特に好ましくは50000〜500000である。
上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、Tg(ガラス転移温度)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは135℃、最も好ましくは140℃以上である。耐久性に優れ得るからである。上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。
なお、本明細書において「(メタ)アクリル系」とは、アクリル系および/またはメタクリル系をいう。
保護フィルム20の偏光子と反対側の表面には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。保護フィルムの厚みは、代表的には5mm以下であり、好ましくは1mm以下、より好ましくは1μm〜500μm、さらに好ましくは5μm〜150μmである。
A−4.易接着層
1つの実施形態においては、偏光子10と位相差フィルム30との間に易接着層(図示せず)が設けられてもよい。易接着層を設ける場合、位相差フィルムは、上述の表面処理が施されていてもよく、施されていなくてもよい。好ましくは、位相差フィルムには表面処理が施されている。易接着層と表面処理とを組み合わせることにより、偏光子10と位相差フィルム30との間の所望の接着力の実現が促進され得る。易接着層は、好ましくは、反応性官能基を有するシランを含む。このような易接着層を設けることにより、偏光子10と位相差フィルム30との間の所望の接着力の実現が促進され得る。
1つの実施形態においては、偏光子10と位相差フィルム30との間に易接着層(図示せず)が設けられてもよい。易接着層を設ける場合、位相差フィルムは、上述の表面処理が施されていてもよく、施されていなくてもよい。好ましくは、位相差フィルムには表面処理が施されている。易接着層と表面処理とを組み合わせることにより、偏光子10と位相差フィルム30との間の所望の接着力の実現が促進され得る。易接着層は、好ましくは、反応性官能基を有するシランを含む。このような易接着層を設けることにより、偏光子10と位相差フィルム30との間の所望の接着力の実現が促進され得る。
反応性官能基を有するシランの具体例としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有アルコキシシラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有アルコキシシラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシ含有アルコキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有アルコキシシラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン基含有アルコキシシラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート基含有アルコキシシラン類、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル、およびこれらの誘導体等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記シランは、位相差フィルムの種類、位相差フィルムと偏光子との接着に用いる接着剤の種類等に応じて適宜選択され得る。例えば、接着剤としてPVA系の水系接着剤を用いる場合には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン類が好ましい。光線透過率、濡れ性および接着力が良好な易接着層を形成しやすいからである。中でも、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシランが好ましい。特に優れた接着力を有する易接着層を形成しやすいからである。
易接着層の厚みは1nm〜100nmであり、好ましくは1nm〜50nmであり、さらに好ましくは10nm〜50nmである。易接着層の厚みを100nm以下とすることにより、得られる円偏光板を高温・高湿下で使用した場合であっても、色抜け、浮き、ムラおよびスジが生じない。すなわち、高温・高湿下におけるきわめて優れた外観維持性能および光学特性維持性能を有する円偏光板が得られ得る。
A−5.その他
本発明の円偏光板を構成する各層の積層には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層が用いられる。粘着剤層は、代表的にはアクリル系粘着剤で形成される。接着剤層は、代表的にはポリビニルアルコール系接着剤で形成される。
本発明の円偏光板を構成する各層の積層には、任意の適切な粘着剤層または接着剤層が用いられる。粘着剤層は、代表的にはアクリル系粘着剤で形成される。接着剤層は、代表的にはポリビニルアルコール系接着剤で形成される。
図示しないが、円偏光板100の位相差フィルム30側には、粘着剤層が設けられていてもよい。粘着剤層が予め設けられていることにより、他の光学部材(例えば、有機ELパネル)へ容易に貼り合わせることができる。なお、この粘着剤層の表面には、使用に供されるまで、剥離フィルムが貼り合わされていることが好ましい。
B.有機ELパネル
本発明の有機ELパネルは、その視認側に上記円偏光板を備える。円偏光板は、その位相差フィルムが有機ELパネル側となるように(偏光子が視認側となるように)積層されている。
本発明の有機ELパネルは、その視認側に上記円偏光板を備える。円偏光板は、その位相差フィルムが有機ELパネル側となるように(偏光子が視認側となるように)積層されている。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。各特性の測定方法は以下の通りである。なお、特に明記しない限り、実施例および比較例における「部」および「%」は重量基準である。
(1)厚み
ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、製品名「DG−205 type pds−2」)を用いて測定した。
(2)位相差
Axometrics社製のAxoscanを用いて測定した。測定波長は450nm、550nm、測定温度は23℃であった。なお、位相差フィルムから50mm×50mmのフィルム片を切り出して、測定サンプルとした。
(3)配向角
Axometrics社製のAxoscanの測定台に測定サンプルを平行に置き、位相差フィルムの配向角を測定した。なお、位相差フィルムから50mm×50mmのフィルム片を切り出して、測定サンプルとした。
(4)90°接着力
実施例および比較例で得られた円偏光板を偏光子の吸収軸方向と平行に200mm、直交方向に20mmの大きさに切り出し、位相差フィルムと偏光子との間にカッターナイフで切り込みを入れ、当該円偏光板をガラス板に貼り合わせた。株式会社エー・アンド・デイ社製 テンシロン万能試験機RTCにより、90度方向に位相差フィルムと偏光子とを剥離速度500mm/minで剥離し、その剥離強度を測定し、90°接着力とした。
(5)温水浸漬試験
実施例および比較例で得られた円偏光板を50mm角の大きさに切り出し、60℃の温水に6時間浸漬し、偏光子の透過率が50%以下の面積残存率を測定した。なお、評価は以下の基準に準じて行った。
○:90%以上
△:50〜90%
×:50%未満
(6)有機ELパネルの作製
有機ELディスプレイ(LG社製、製品名「15EL9500」、235mm×351mm)から有機ELパネルを取り出し、この有機ELパネルに貼り付けられている偏光板を剥がし取り、かわりに、実施例および比較例で得られた円偏光板を、アクリル系粘着剤を介して貼り合わせて有機ELパネルを得た。
(7)反り試験
上記(6)で得られた有機ELパネルを70℃の高温オーブン中で120時間加熱した後、パネルの四隅の反り量を測定し、その平均値を反り量(mm)とした。さらに、加熱後の有機ELパネルの反射ムラを目視で確認を行った。なお、評価基準は以下のとおりである。
○:ムラなし
△:ムラ面積30%以下
×:ムラ面積が30%を超える
ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、製品名「DG−205 type pds−2」)を用いて測定した。
(2)位相差
Axometrics社製のAxoscanを用いて測定した。測定波長は450nm、550nm、測定温度は23℃であった。なお、位相差フィルムから50mm×50mmのフィルム片を切り出して、測定サンプルとした。
(3)配向角
Axometrics社製のAxoscanの測定台に測定サンプルを平行に置き、位相差フィルムの配向角を測定した。なお、位相差フィルムから50mm×50mmのフィルム片を切り出して、測定サンプルとした。
(4)90°接着力
実施例および比較例で得られた円偏光板を偏光子の吸収軸方向と平行に200mm、直交方向に20mmの大きさに切り出し、位相差フィルムと偏光子との間にカッターナイフで切り込みを入れ、当該円偏光板をガラス板に貼り合わせた。株式会社エー・アンド・デイ社製 テンシロン万能試験機RTCにより、90度方向に位相差フィルムと偏光子とを剥離速度500mm/minで剥離し、その剥離強度を測定し、90°接着力とした。
(5)温水浸漬試験
実施例および比較例で得られた円偏光板を50mm角の大きさに切り出し、60℃の温水に6時間浸漬し、偏光子の透過率が50%以下の面積残存率を測定した。なお、評価は以下の基準に準じて行った。
○:90%以上
△:50〜90%
×:50%未満
(6)有機ELパネルの作製
有機ELディスプレイ(LG社製、製品名「15EL9500」、235mm×351mm)から有機ELパネルを取り出し、この有機ELパネルに貼り付けられている偏光板を剥がし取り、かわりに、実施例および比較例で得られた円偏光板を、アクリル系粘着剤を介して貼り合わせて有機ELパネルを得た。
(7)反り試験
上記(6)で得られた有機ELパネルを70℃の高温オーブン中で120時間加熱した後、パネルの四隅の反り量を測定し、その平均値を反り量(mm)とした。さらに、加熱後の有機ELパネルの反射ムラを目視で確認を行った。なお、評価基準は以下のとおりである。
○:ムラなし
△:ムラ面積30%以下
×:ムラ面積が30%を超える
[実施例1]
(ポリカーボネート樹脂フィルムの作製)
イソソルビド(ISB)26.2質量部、9,9−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BHEPF)100.5質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4−CHDM)10.7質量部、ジフェニルカーボネート(DPC)105.1質量部、および、触媒として炭酸セシウム(0.2質量%水溶液)0.591質量部をそれぞれ反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応容器の熱媒温度を150℃にし、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
(ポリカーボネート樹脂フィルムの作製)
イソソルビド(ISB)26.2質量部、9,9−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BHEPF)100.5質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4−CHDM)10.7質量部、ジフェニルカーボネート(DPC)105.1質量部、および、触媒として炭酸セシウム(0.2質量%水溶液)0.591質量部をそれぞれ反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、反応容器の熱媒温度を150℃にし、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、反応容器内の圧力を常圧から13.3kPaにし、反応容器の熱媒温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
反応容器内温度を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、反応容器の熱媒温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に減圧した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出した後に、ペレット化を行い、BHEPF/ISB/1,4−CHDM=47.4モル%/37.1モル%/15.5モル%のポリカーボネート樹脂Aを得た。
得られたポリカーボネート樹脂Aのガラス転移温度は136.6℃であり、還元粘度は0.395dL/gであった。
反応容器内温度を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、反応容器の熱媒温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に減圧した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出した後に、ペレット化を行い、BHEPF/ISB/1,4−CHDM=47.4モル%/37.1モル%/15.5モル%のポリカーボネート樹脂Aを得た。
得られたポリカーボネート樹脂Aのガラス転移温度は136.6℃であり、還元粘度は0.395dL/gであった。
得られたポリカーボネート樹脂Aを80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(いすず化工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:220℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:120〜130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み100μmのポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。
(位相差フィルムの作製)
上記で得られたポリカーボネート樹脂フィルムから幅350mm、長さ700mmの試料を切り出した。この試料を、バッチ式二軸延伸装置KARO IV(ブルックナー社製)で、延伸温度をガラス転移温度+4℃で、延伸速度180mm/分(ひずみ速度300%/分)で、1×2.0倍の一軸延伸を行い、透明フィルムを得た。このとき延伸方向に対して直交方向は、保持せずに延伸を行った。このようにして、厚み70μmの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムのRe(550)は141nmであり、Re(450)/Re(550)は0.89であり、Nz係数は1.05であり、配向角は長尺方向(延伸方向)に対し0°であった。
上記で得られたポリカーボネート樹脂フィルムから幅350mm、長さ700mmの試料を切り出した。この試料を、バッチ式二軸延伸装置KARO IV(ブルックナー社製)で、延伸温度をガラス転移温度+4℃で、延伸速度180mm/分(ひずみ速度300%/分)で、1×2.0倍の一軸延伸を行い、透明フィルムを得た。このとき延伸方向に対して直交方向は、保持せずに延伸を行った。このようにして、厚み70μmの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムのRe(550)は141nmであり、Re(450)/Re(550)は0.89であり、Nz係数は1.05であり、配向角は長尺方向(延伸方向)に対し0°であった。
(円偏光板の作製)
上記で得られた位相差フィルムの一方の面にコロナ処理を施した。一方、化学式:NH2CH2NHCH2CH2Si(OC2H5)3で表されるシラン化合物(日本ユニカー社製、商品名:APZ6601)100部に対してイソプロピルアルコール67部を混合し、60%のシラン化合物溶液を調製した。当該シラン化合物溶液を、位相差フィルムのコロナ処理面に塗布し、120℃で2分間乾燥して、位相差フィルム上に厚み40nmの易接着層を形成した。
次いで、上記易接着層を形成した位相差フィルムを、市販の偏光板(日東電工株式会社製、製品名「CVS1775SDUHC」)に用いられる偏光子の片面に、易接着層が偏光子側となるようにしてPVA系接着剤を介して貼り合わせた。その際、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とが45°の角度をなすようにして貼り合わせた。偏光子のもう一方の面には、けん化処理したTACフィルム(富士写真フイルム社製、商品名:富士タックUV80)を、PVA系接着剤を介して貼り合わせた。この積層体を70℃で10分間乾燥し、330mm×250mmに切り出し、円偏光板を得た。得られた円偏光板において、偏光子と位相差フィルムとの接着力は1.2N/20mmであった。得られた円偏光板は、温水浸漬試験において良好な結果を示した。さらに、得られた円偏光板を用いて、上記(6)の手順にしたがって有機ELパネルを作製し、得られた有機ELパネルについて上記(7)の反り試験を行った。結果を表1に示す。さらに、有機ELパネルの反射ムラの観察結果を図2に示す。
上記で得られた位相差フィルムの一方の面にコロナ処理を施した。一方、化学式:NH2CH2NHCH2CH2Si(OC2H5)3で表されるシラン化合物(日本ユニカー社製、商品名:APZ6601)100部に対してイソプロピルアルコール67部を混合し、60%のシラン化合物溶液を調製した。当該シラン化合物溶液を、位相差フィルムのコロナ処理面に塗布し、120℃で2分間乾燥して、位相差フィルム上に厚み40nmの易接着層を形成した。
次いで、上記易接着層を形成した位相差フィルムを、市販の偏光板(日東電工株式会社製、製品名「CVS1775SDUHC」)に用いられる偏光子の片面に、易接着層が偏光子側となるようにしてPVA系接着剤を介して貼り合わせた。その際、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とが45°の角度をなすようにして貼り合わせた。偏光子のもう一方の面には、けん化処理したTACフィルム(富士写真フイルム社製、商品名:富士タックUV80)を、PVA系接着剤を介して貼り合わせた。この積層体を70℃で10分間乾燥し、330mm×250mmに切り出し、円偏光板を得た。得られた円偏光板において、偏光子と位相差フィルムとの接着力は1.2N/20mmであった。得られた円偏光板は、温水浸漬試験において良好な結果を示した。さらに、得られた円偏光板を用いて、上記(6)の手順にしたがって有機ELパネルを作製し、得られた有機ELパネルについて上記(7)の反り試験を行った。結果を表1に示す。さらに、有機ELパネルの反射ムラの観察結果を図2に示す。
[実施例2]
(ポリビニルアセタール樹脂フィルムの作製)
8.8gのポリビニルアルコール系樹脂〔日本合成化学(株)製 商品名「NH−18」(重合度=1800、ケン化度=99.0%)〕を、105℃で2時間乾燥させた後、167.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ここに、2.98gの2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドおよび0.80gのp−トルエンスルホン酸・1水和物を加えて、40℃で1時間攪拌した。反応溶液に、23.64gの1,1−ジエトキシエタン(アセタール)をさらに加えて、40℃で4時間攪拌した。その後、2.13gのトリエチルアミンを加えて反応を終了させた。得られた粗生成物は、1Lのメタノールで再沈殿を行った。ろ過した重合体をテトラヒドロフランに溶解し、再びメタノールで再沈殿を行った。これを、ろ過、乾燥して、12.7gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(X)で表される繰り返し単位を有し、l:m:nの比率(モル比)は12:60:28であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、127℃であった。
1H−NMR(DMSO):0.8−2.3(主鎖メチレンおよびアセタール部のメチル)、3.4−4.4(酸素原子が結合した主鎖メチン,メトキシ基のメチル,および水酸基)、4.5−5.1(アセタール部のメチン)、6.4(2−メトキシナフタレン部のメチン)、7.3−8.8(2−メトキシナフタレン部の芳香族プロトン)
(ポリビニルアセタール樹脂フィルムの作製)
8.8gのポリビニルアルコール系樹脂〔日本合成化学(株)製 商品名「NH−18」(重合度=1800、ケン化度=99.0%)〕を、105℃で2時間乾燥させた後、167.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。ここに、2.98gの2−メトキシ−1−ナフトアルデヒドおよび0.80gのp−トルエンスルホン酸・1水和物を加えて、40℃で1時間攪拌した。反応溶液に、23.64gの1,1−ジエトキシエタン(アセタール)をさらに加えて、40℃で4時間攪拌した。その後、2.13gのトリエチルアミンを加えて反応を終了させた。得られた粗生成物は、1Lのメタノールで再沈殿を行った。ろ過した重合体をテトラヒドロフランに溶解し、再びメタノールで再沈殿を行った。これを、ろ過、乾燥して、12.7gの白色の重合体を得た。この重合体は、1H−NMRで測定したところ、下記式(X)で表される繰り返し単位を有し、l:m:nの比率(モル比)は12:60:28であった。また、示差走査熱量計により、この重合体のガラス転移温度を測定したところ、127℃であった。
1H−NMR(DMSO):0.8−2.3(主鎖メチレンおよびアセタール部のメチル)、3.4−4.4(酸素原子が結合した主鎖メチン,メトキシ基のメチル,および水酸基)、4.5−5.1(アセタール部のメチン)、6.4(2−メトキシナフタレン部のメチン)、7.3−8.8(2−メトキシナフタレン部の芳香族プロトン)
上記重合体を、メチルエチルケトン(MEK)に溶解し、厚み70μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製 商品名「ルミラーS−27E」)上にアプリケーターで塗工し、空気循環式乾燥オーブンで乾燥させた後、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥ぎ取って、厚み70μmの光学フィルムを作製した。この光学フィルムを延伸機にて、140℃の空気循環式乾燥オーブン内で1.5倍に延伸し、位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムのRe(550)は145nmであり、Re(450)/Re(550)は0.93であり、配向角は長尺方向(延伸方向)に対し0°であった。
(円偏光板および有機ELパネルの作製)
上記で得られた位相差フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして円偏光板および有機ELパネルを作製した。得られた円偏光板において、偏光子と位相差フィルムとの接着力は1.1N/20mmであった。得られた円偏光板を温水浸漬試験に供し、さらに、得られた円偏光板を用いた有機ELパネルの反り試験を行った。結果を表1に示す。
上記で得られた位相差フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして円偏光板および有機ELパネルを作製した。得られた円偏光板において、偏光子と位相差フィルムとの接着力は1.1N/20mmであった。得られた円偏光板を温水浸漬試験に供し、さらに、得られた円偏光板を用いた有機ELパネルの反り試験を行った。結果を表1に示す。
[比較例1−1]
位相差フィルムに易接着層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして円偏光板を作製した。得られた円偏光板において偏光子と位相差フィルムとの接着力は0.6N/20mmであった。得られた円偏光板は、温水浸漬試験において偏光子と位相差フィルムとが剥離し、有機ELパネルの反り試験には供し得ないものであった。結果を表1に示す。
位相差フィルムに易接着層を形成しなかったこと以外は実施例1と同様にして円偏光板を作製した。得られた円偏光板において偏光子と位相差フィルムとの接着力は0.6N/20mmであった。得られた円偏光板は、温水浸漬試験において偏光子と位相差フィルムとが剥離し、有機ELパネルの反り試験には供し得ないものであった。結果を表1に示す。
[比較例1−2]
表面処理層付保護フィルム/偏光子/内側保護フィルムの構成を有する市販の偏光板(日東電工株式会社製、製品名「CVS1775SDUHC」)を用い、内側保護フィルムと比較例1−1の位相差フィルムとをアクリル系粘着剤を介して貼り合わせることにより円偏光板を作製した。得られた円偏光板を用いて有機ELパネルを作製し、反り試験を行った。結果を表1に示す。さらに、有機ELパネルの反射ムラの観察結果を図3に示す。
表面処理層付保護フィルム/偏光子/内側保護フィルムの構成を有する市販の偏光板(日東電工株式会社製、製品名「CVS1775SDUHC」)を用い、内側保護フィルムと比較例1−1の位相差フィルムとをアクリル系粘着剤を介して貼り合わせることにより円偏光板を作製した。得られた円偏光板を用いて有機ELパネルを作製し、反り試験を行った。結果を表1に示す。さらに、有機ELパネルの反射ムラの観察結果を図3に示す。
[比較例2−1]
位相差フィルムにコロナ処理を施さなかったこと以外は比較例1−1と同様にして円偏光板を作製した。得られた円偏光板において偏光子と位相差フィルムとの接着力は0.2N/20mmであった。得られた円偏光板は、温水浸漬試験において偏光子と位相差フィルムとが剥離し、有機ELパネルの反り試験には供し得ないものであった。結果を表1に示す。
位相差フィルムにコロナ処理を施さなかったこと以外は比較例1−1と同様にして円偏光板を作製した。得られた円偏光板において偏光子と位相差フィルムとの接着力は0.2N/20mmであった。得られた円偏光板は、温水浸漬試験において偏光子と位相差フィルムとが剥離し、有機ELパネルの反り試験には供し得ないものであった。結果を表1に示す。
[比較例2−2]
比較例1−1の位相差フィルムを用いたこと以外は比較例1−2と同様にして円偏光板を作製した。得られた円偏光板を用いて有機ELパネルを作製し、反り試験を行った。結果を表1に示す。
比較例1−1の位相差フィルムを用いたこと以外は比較例1−2と同様にして円偏光板を作製した。得られた円偏光板を用いて有機ELパネルを作製し、反り試験を行った。結果を表1に示す。
[評価]
表1から明らかなように、本発明の実施例によれば、偏光子と位相差フィルムとの90°接着力を所定値以上とすることにより、温水浸漬試験において優れた耐久性が得られ、偏光子と位相差フィルムとを直接貼り合わせた状態で使用することができ、反りを抑制して、パネル面内での反射ムラを低減することができる。一方、比較例1−1および2−1から明らかなように、偏光子と位相差フィルムとの90°接着力が小さいと、有機ELパネルにおいて実用的に許容可能な耐久性が得られない。さらに、比較例1−2および2−2から明らかなように、偏光子と位相差フィルムとを直接貼り合わせた状態で使用することができない場合には、パネルの反り量が大きくなり、反射ムラが大きくなる。図2および図3に示すように、実施例1の有機ELパネルは比較例1−2の有機ELパネルに比べて反射ムラが顕著に抑制されていることがわかる。
表1から明らかなように、本発明の実施例によれば、偏光子と位相差フィルムとの90°接着力を所定値以上とすることにより、温水浸漬試験において優れた耐久性が得られ、偏光子と位相差フィルムとを直接貼り合わせた状態で使用することができ、反りを抑制して、パネル面内での反射ムラを低減することができる。一方、比較例1−1および2−1から明らかなように、偏光子と位相差フィルムとの90°接着力が小さいと、有機ELパネルにおいて実用的に許容可能な耐久性が得られない。さらに、比較例1−2および2−2から明らかなように、偏光子と位相差フィルムとを直接貼り合わせた状態で使用することができない場合には、パネルの反り量が大きくなり、反射ムラが大きくなる。図2および図3に示すように、実施例1の有機ELパネルは比較例1−2の有機ELパネルに比べて反射ムラが顕著に抑制されていることがわかる。
本発明の円偏光板は、有機ELデバイスに好適に用いられる。
10 偏光子
20 保護フィルム
30 位相差フィルム
100 円偏光板
20 保護フィルム
30 位相差フィルム
100 円偏光板
Claims (14)
- 偏光子と位相差フィルムとを備え、
該位相差フィルムの面内位相差が、Re(450)<Re(550)の関係を満たし、
該位相差フィルムが、ポリカーボネート樹脂およびポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含み、
該位相差フィルムにコロナ処理またはプラズマ処理が施され、該処理面に易接着層が形成されており、
該位相差フィルムの該易接着層が形成された面と該偏光子とが、ポリビニルアルコール系接着剤で構成された接着剤層を介して積層されており、
該偏光子と該位相差フィルムとの90°接着力が1.0N/20mm以上であり、
60℃の温水に6時間浸漬後の該偏光子の透過率が50%以下の面積残存率が90%以上であり、
有機ELパネルに用いられる、
円偏光板:
ここで、Re(450)およびRe(550)は、それぞれ、23℃における波長450nmおよび550nmで測定した面内位相差を表す。 - 前記偏光子および前記位相差フィルムが長尺状であり、該位相差フィルムが35°≦θ≦55°の関係を満たす、請求項1に記載の円偏光板:
ここで、θは、該位相差フィルムの長尺方向と遅相軸とのなす角度である。 - 前記位相差フィルムが、脂肪族系モノマー由来の繰り返し単位を有する樹脂を含む、請求項1または2に記載の円偏光板。
- 前記ポリカーボネート樹脂が、ヒドロキシ基に結合した炭素原子の少なくとも1つのβ位またはγ位にエーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む、請求項1から3のいずれかに記載の円偏光板。
- 前記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物のエーテル性酸素原子が、下記式(1)で表される構造の酸素原子である、請求項4に記載の円偏光板。
- 前記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物が、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物である、請求項4に記載の円偏光板。
- 前記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物が、下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物である、請求項4に記載の円偏光板。
- 前記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物が、環状エーテル構造を有する、請求項4に記載の円偏光板。
- 前記エーテル性酸素原子を有するジヒドロキシ化合物が、複数の環状構造を有する、請求項4または8に記載の円偏光板。
- 前記ポリカーボネート樹脂が、下記式(6)で表されるジヒドロキシ化合物、および下記式(7)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む、請求項4から9のいずれか1項に記載の円偏光板。
- 前記ポリカーボネート樹脂が、芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の円偏光板。
- 前記ポリカーボネート樹脂が、芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の円偏光板。
- 前記芳香族ジヒドロキシ化合物が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである、請求項12に記載の円偏光板。
- 請求項1から13のいずれかに記載の円偏光板を備える、有機ELパネル。
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-
2018
- 2018-05-01 JP JP2018088049A patent/JP2018151651A/ja active Pending
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