JP2018151452A - 半導体装置、表示システム及び電子機器 - Google Patents

半導体装置、表示システム及び電子機器 Download PDF

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Shunpei Yamazaki
舜平 山崎
裕司 岩城
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裕司 岩城
英哲 岡本
Hideaki Okamoto
英哲 岡本
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Abstract

【課題】新規な半導体装置又は表示システムの提供。又は、視認性の高い映像の表示を可能とする半導体装置又は表示システムの提供。【解決手段】人工知能を利用して、映像の表示位置を補正する。具体的には、信号生成部に設けられた人工ニューラルネットワークの推論により、曲面を有する表示領域における映像の歪みを緩和するように、階調が表示される位置の座標が補正される。これにより、映像の歪みを視認されにくくすることが可能となり、映像の視認性を向上させることができる。【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、半導体装置、表示システム及び電子機器に関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、表示システム、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。
また、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路、演算装置、記憶装置等は半導体装置の一態様である。また、表示装置、撮像装置、電気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含む)、及び電子機器は半導体装置を有している場合がある。
近年、表示装置の用途は多様化しており、例えば、携帯情報端末、家庭用のテレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)や、PID(Public Information Display)などに表示装置が用いられている。
表示装置としては、代表的には有機EL(Electro Luminescence)素子や発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の発光素子を備える発光装置、液晶表示装置、電気泳動方式などにより表示を行う電子ペーパーなどが挙げられる。最近では、フレキシブルな表示装置の開発も進められている。例えば、特許文献1には有機EL素子が適用されたフレキシブルな発光装置が開示されている。このようなフレキシブルな表示装置は、様々な場所に設けることが可能であるため汎用性が高い。
特開2014−197522号公報
本発明の一態様は、新規な半導体装置又は表示システムの提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、視認性の高い映像の表示を可能とする半導体装置又は表示システムの提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、高速動作が可能な半導体装置又は表示システムの提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、構成が簡略化された半導体装置又は表示システムの提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、消費電力が低い半導体装置又は表示システムの提供を課題とする。
なお、本発明の一態様は、必ずしも上記の課題の全てを解決する必要はなく、少なくとも一の課題を解決できるものであればよい。また、上記の課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。これら以外の課題は、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
本発明の一態様に係る半導体装置は、曲面を有する表示領域に映像信号を供給する機能を有する半導体装置であって、取得部と、変換部と、映像信号生成部と、を有し、取得部は、画像データを生成する機能と、画像データに対応する階調が表示される座標(u´,v´)を抽出する機能と、を有し、変換部は、曲面を有する表示領域に表示される映像の歪みを緩和するように、座標(u´,v´)を座標(u,v)に変換する機能を有し、映像信号生成部は、画像データ及び座標(u,v)に基づいて映像信号を生成する機能を有し、変換部は、ニューラルネットワークを有し、ニューラルネットワークの入力層には、座標(u´,v´)が入力され、ニューラルネットワークの出力層から、座標(u,v)が出力される半導体装置である。
また、本発明の一態様に係る半導体装置において、ニューラルネットワークは、外部から入力された重み係数を格納する機能を有していてもよい。
また、本発明の一態様に係る半導体装置において、変換部は、ニューラルネットワークを複数有し、変換部は、複数のニューラルネットワークによって、座標(u´,v´)の変換を並列で行う機能を有していてもよい。
また、本発明の一態様に係る半導体装置において、ニューラルネットワークは、積和演算素子を有し、積和演算素子は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、容量素子と、を有する記憶回路を有し、第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第2のトランジスタのゲート及び容量素子と電気的に接続され、第1のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有していてもよい。
また、本発明の一態様に係る表示システムは、上記の半導体装置によって構成された信号生成部と、表示部と、を有し、表示部は、表示領域を有し、表示領域は、複数の画素を有し、画像データは、画素に表示される階調に対応するデータであり、表示領域は、映像信号に基づいて映像を表示する機能を有する表示システムである。
また、本発明の一態様に係る表示システムにおいて、表示部は、表示パネルを有し、表示パネルは、可撓性を有していてもよい。
また、本発明の一態様に係る電子機器は、上記の表示システムが搭載された電子機器である。
本発明の一態様により、新規な半導体装置又は表示システムを提供することができる。又は、本発明の一態様により、視認性の高い映像の表示を可能とする半導体装置又は表示システムを提供することができる。又は、本発明の一態様により、高速動作が可能な半導体装置又は表示システムを提供することができる。又は、本発明の一態様により、構成が簡略化された半導体装置又は表示システムを提供することができる。又は、本発明の一態様により、消費電力が低い半導体装置又は表示システムを提供することができる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。また、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。これら以外の効果は、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
表示システムの構成例を示す図。 表示領域に表示される映像の例を示す図。 座標変換の例を示す図。 変換回路の動作例を示す図。 学習部の構成例を示す図。 ニューラルネットワークの構成例を示す図。 フローチャート。 フローチャート。 表示システムの構成例を示す図。 パラメータの例を示す図。 フローチャート。 演算装置の構成例を示す図。 半導体装置の構成例を示す図。 記憶回路の構成例を示す図。 メモリセルの構成例を示す図。 回路の構成例を示す図。 タイミングチャート。 トランジスタの構成例を示す図。 エネルギーバンド構造を示す図。 半導体装置の構成例を示す図。 表示装置の構成例を示す図。 表示装置の構成例を示す図。 表示パネルの構成例を示す図。 表示装置の構成例を示す図。 表示装置の構成例を示す図。 表示装置の構成例を示す図。 電子機器の構成例を示す図。 電子機器の構成例を示す図。 車両の構成例を示す図。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態における説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタのチャネル領域に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有する場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)、略してOSと呼ぶことができる。以下、チャネル領域に金属酸化物を含むトランジスタを、OSトランジスタとも表記する。
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。金属酸化物の詳細については後述する。
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも、図又は文章に記載されているものとする。ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、オン状態、又は、オフ状態になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。又は、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
また、図面上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置及び表示システムについて説明する。
<表示システムの構成例>
図1に、表示システム10の構成例を示す。表示システム10は、外部から受信したデータに基づいて映像を表示するための信号を生成し、当該信号を用いて映像を表示する機能を有する。表示システム10は、表示部20、信号生成部30、及び演算部40を有する。
なお、表示部20、信号生成部30、及び演算部40は、いずれも半導体装置によって構成することができる。また、表示部20は表示装置によって構成することができ、演算部40は演算装置によって構成することができる。また、信号生成部30に含まれる回路は、1つの集積回路に集約することができる。よって、表示部20は半導体装置又は表示装置と呼ぶこともできる。また、信号生成部30は半導体装置又は集積回路と呼ぶこともできる。また、演算部40は半導体装置又は演算装置と呼ぶこともできる。
[表示部]
表示部20は、表示領域DSPを有する。表示領域DSPは、信号生成部30から入力される、所定の映像を表示するための信号SD(以下、映像信号ともいう)に基づいて、映像を表示する機能を有する。表示領域DSPは、複数の画素pixによって構成されている。ここでは、表示領域DSPがn行m列(n、mは自然数)の画素pixによって構成されている場合について説明する。以下、第i行第j列(iは1以上n以下の整数、jは1以上m以下の整数)の画素pixを、pix[i,j]と表記する。
画素pixはそれぞれ表示素子を有し、所定の階調を表示する機能を有する。そして、画素pixの階調が制御されることにより、表示領域DSPに所定の映像が表示される。
画素pixに設けられる表示素子の例としては、液晶素子、発光素子などが挙げられる。液晶素子としては、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、半透過型の液晶素子などを用いることができる。また、表示素子として、シャッター方式のMEMS(Micro Electro Mechanical System)素子、光干渉方式のMEMS素子、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示素子などを用いることもできる。また、発光素子の例としては、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)、LED(Light Emitting Diode)、QLED(Quantum−dot Light Emitting Diode)、半導体レーザなどの、自発光性の発光素子が挙げられる。
表示領域DSPに設けられる画素pixの数は、自由に設定することができる。例えば、表示領域DSPに4K2Kの映像を表示する場合は、3840×2160個以上、又は4096×2160個以上の画素を設けることが好ましい。また、表示領域DSPに8K4Kの映像を表示する場合は、7680×4320個以上の画素を設けることが好ましい。また、表示領域DSPにはさらに多くの画素pixを設けることもできる。
また、図1に示すように、表示領域DSPは曲面を有する。曲面を有する表示領域DSPを用いることにより、様々な場所に映像を表示することが可能となる。例えば、建物の内壁や外壁、車両の内装もしくは外装などの曲面に沿って表示領域DSPを設けることが可能となる。
ここで、表示領域DSPを特定の地点から視認する場合、表示領域DSPが曲面を有することにより、表示領域DSPに表示された映像において歪みが視認され得る。図2(A)は、視点Aから表示領域DSPが視認されている状態を示し、図2(B)は図2(A)の上面図を示す。図2(B)に示すように、視点Aから最も近い表示領域DSP内の点B1と、点B1から最も遠い表示領域DSP内の点B2では、視点Aからの距離、及び視線と表示面の間の角度が異なる。これにより、点B1から遠い点ほど映像に歪みが生じやすい。
図2(C)に、映像の歪みの具体例を示す。表示領域DSP(P)は、表示領域DSPが平面形状であると仮定した場合の表示領域を示す。また、映像IMG(P)は、平面形状の表示領域DSP(P)に表示された二次元の映像を示す。ここで、二次元の映像IMG(P)が曲面を有する表示領域DSPに表示されると、表示領域DSPの正面に位置する視認者には縮小された映像IMG´が視認される。このとき、映像IMG´の特に両端付近で歪みが観測され、映像の視認性が低下する。
そこで、本発明の一態様においては、人工知能(AI:Artificial Intelligence)を利用して、映像の表示位置を補正する。具体的には、信号生成部30に設けられた人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificial Neural Network)の推論(認知)により、曲面を有する表示領域DSPにおける映像の歪みを緩和するように、階調が表示される位置の座標が補正される。これにより、映像の歪みを視認されにくくすることが可能となり、映像の視認性を向上させることができる。
なお、人工知能とは、人間の知能を模した計算機である。また、人工ニューラルネットワークとは、ニューロンとシナプスで構成される神経網を模した回路であり、人工ニューラルネットワークは人工知能の一種である。本明細書等において「ニューラルネットワーク」と記載する場合、特に人工ニューラルネットワークを指す。以下、ニューラルネットワークを備えた信号生成部30について説明する。
[信号生成部の構成例]
図1に示す信号生成部30は、外部から入力された画像データ(データD)に基づいて映像信号(信号SD)を生成する機能を有する。信号生成部30は、取得部AP、変換部CT、映像信号生成部SG、画像処理部IP、及びバッファBUFを有する。取得部AP、変換部CT、映像信号生成部SG、画像処理部IP、及びバッファBUFは、それぞれ回路によって構成することができる。
取得部APは、外部から入力されるデータDを受信し、適宜信号処理を行う機能を有する。例えば、取得部APは、データDの復調、アナログ−デジタル変換、デコードなどを行う機能を有する。取得部APには、例えば、所定の方式で変調され、エンコードされた放送信号などが入力される。
取得部APによる信号処理により、画素pixに表示される階調に対応するn×m個の画像データ(データDp)が生成される。以下、画素pix[i,j]に表示される階調に対応するデータDpを、データDp(i,j)と表記する。生成されたデータDp(1,1)乃至(n,m)は、映像信号生成部SGに出力される。
また、取得部APは、データDからn×m個の座標(u´,v´)を取得する機能を有する。具体的には、取得部APは、データDpに対応する階調が表示される表示部20上の座標(u´,v´)を抽出する機能を有する。以下、データDp(i,j)に対応する階調が表示される座標(u´,v´)を、座標(u´(i,j),v´(i,j))と表記する。取得部APによってn×m個の座標(u´(1,1),v´(1,1))乃至(u´(n,m),v´(n,m))が抽出され、変換部CTに出力される。
なお、取得部APにおいて行われる各種の信号処理は、それぞれ異なる回路によって実行されてもよい。例えば、データDの受信、データDpの生成、座標(u´,v´)の取得ば、それぞれ独立した回路によって行われてもよい。
変換部CTは、座標(u´,v´)を座標(u,v)に補正する機能を有する。具体的には、変換部CTは、曲面を有する表示領域DSPに映像が表示される場合において、映像の歪みが視認されないように座標(u´,v´)を補正する機能を有する。ここで、座標(u´,v´)の補正は、変換部CTが有するニューラルネットワークNN1によって行われる。ニューラルネットワークNNは、曲面を有する表示領域DSPに表示される映像の歪みを緩和するように座標(u´,v´)を補正するための学習が施されている。
座標(u´,v´)の補正の例を図3に示す。曲面を有する表示部DSPを特定の地点から視認すると、歪みのある映像IMG´が視認される。ここで、映像IMG´を二次元の映像とみなし、二次元表面上の座標(u´,v´)をニューラルネットワークNN1によって座標(u,v)に補正することにより、歪みが視認されない映像IMGが表示される。
図3には代表例として、映像IMG´内の1点の座標(u´,v´)と映像IMG内の1点の座標(u,v)を示している。ニューラルネットワークNN1に座標(u´,v´)が入力データとして供給されると、ニューラルネットワークNN1は推論を行い、座標(u,v)を出力する。これにより、表示部DSPに表示された映像の歪みが緩和される。
ニューラルネットワークNN1による座標の変換は、座標(u´(1,1),v´(1,1))乃至(u´(n,m),v´(n,m))のそれぞれに対して行われる。そして、変換部CTによって生成された座標(u(1,1),v(1,1))乃至(u(n,m),v(n,m))は、映像信号生成部SGに出力される。なお、変換部CT及びニューラルネットワークNN1のより具体的な構成例及び動作例については後述する。
映像信号生成部SGは、データDp及び座標(u,v)に基づいて映像信号を生成する機能を有する。具体的には、データDp(i,j)に対応する階調を、表示領域DSPの二次元表面上の座標(u(i,j),v(i,j))に表示するための映像信号を生成する機能を有する。この処理により、データDpに対応する階調がどの画素pixに表示されるかが決定される。映像信号生成部SGによって生成された映像信号は、信号SDとして画像処理部IPに出力される。
画像処理部IPは、各種の画像処理を行う機能を有する。画像処理の例としては、ノイズ除去処理、階調変換処理、色調補正処理、輝度補正処理などが挙げられる。色調補正処理や輝度調整処理は、ガンマ補正などを用いて行うことができる。また、画像処理部IPは、解像度のアップコンバートに伴う画素間補間処理や、フレーム周波数のアップコンバートに伴うフレーム間補間処理などを実行する機能を有していてもよい。また、画像処理部IPは、映像の輪郭又は遠近感を強調する処理を行う機能を有していてもよい。
ノイズ除去処理としては、文字などの輪郭の周辺に生じるモスキートノイズ、高速の動画で生じるブロックノイズ、ちらつきを生じさせるランダムノイズ、解像度のアップコンバートにより生じるドットノイズなどのさまざまなノイズの除去が挙げられる。
階調変換処理は、信号SDが示す階調を表示部20の出力特性に対応した階調へ変換する処理である。例えば階調数を大きくする場合、小さい階調数で入力された画像に対して、各画素に対応する階調値を補間して割り当てることで、ヒストグラムを平滑化する処理を行うことができる。また、ダイナミックレンジを広げる、ハイダミックレンジ(HDR)処理も、階調変換処理に含まれる。
色調補正処理は、映像の色調を補正する処理である。また輝度補正処理は、映像の明るさ(輝度コントラスト)を補正する処理である。例えば、表示部20が設けられる空間の照明の種類や輝度、または色純度などに応じて、表示部20に表示される映像の輝度や色調が最適となるように補正される。
画素間補間処理は、解像度をアップコンバートした際に、本来存在しないデータを補間する処理である。例えば、目的の画素の周囲の画素を参照し、それらの中間色を表示するようにデータを補間する。
フレーム間補間は、表示する映像のフレーム周波数を増大させる場合に、本来存在しないフレーム(補間フレーム)の画像を生成する。例えば、ある2枚の画像の差分から2枚の画像の間に挿入する補間フレームの画像を生成する。または2枚の画像の間に複数枚の補間フレームの画像を生成することもできる。例えば画像データのフレーム周波数が60Hzであったとき、複数枚の補間フレームを生成することで、表示部20に出力される映像信号のフレーム周波数を、2倍の120Hz、または4倍の240Hz、または8倍の480Hzなどに増大させることができる。
画像処理部IPにおいて行われる画像処理には、人工知能を用いることもできる。
バッファBUFは、画像処理部IPから供給された信号SDを一時的に記憶し、所定のタイミングで表示部20に出力する機能を有する。バッファBUFには、例えばOSトランジスタを用いた記憶回路を用いることができる。
以上のように、本発明の一態様においては、ニューラルネットワークNN1の推論により座標変換を行うことにより、曲面を有する表示領域に表示された映像の歪みを緩和することができる。
なお、ここでは表示領域DSPが表示面の外側に凸の形状である場合について説明したが、内側に凸の形状であってもよいし、外側に凸の形状と内側に凸の形状の両方を有していてもよい。また、ここでは表示領域DSPが曲面を有する場合について説明したが、表示領域DSPの形状は特に限定されず、特定の地点から視認した際に映像の歪みが生じ得る他の形状を有していてもよい。例えば、表示領域DSPは上面図において頂点を有する形状(多角形など)を有していてもよい。
[演算部]
ニューラルネットワークNN1の学習は、信号生成部30の外部に設けられた演算部40を用いて行うことができる。図1に、学習部LP、記憶装置MEMを有する演算部40を示す。
ニューラルネットワークNN1の学習は、曲面を有する表示領域DSPを特定の地点から視認した際の映像、すなわち歪みが存在する二次元の映像IMG´と、映像IMG´から歪みが除去された理想的な二次元の映像IMGを用いて行うことができる。具体的には、映像IMG´の特定の座標(u´,v´)を入力した際の推論結果と、座標(u´,v´)に対応する理想的な座標(u,v)との誤差が小さくなるようにニューラルネットワークNN1の重み係数を更新することにより、ニューラルネットワークNN1の学習を行うことができる。
ここで、学習部LPは、ニューラルネットワークNN1と同じ構成をもつニューラルネットワークNN2を有する。ニューラルネットワークNN2は、座標(u´,v´)と座標(u,v)のセットを学習サンプルとして用いて学習を行う機能を有する。そして、学習によって得られたニューラルネットワークNN2の重み係数Wが、信号生成部30に設けられたニューラルネットワークNN1に格納される。これにより、ニューラルネットワークNN2の学習結果をニューラルネットワークNN1に反映させることができる。このように、ニューラルネットワークの学習を演算部40で行うことにより、信号生成部30に設けられたニューラルネットワークNN1の構成を簡略化することができる。
なお、ニューラルネットワークNN1とニューラルネットワークNN2の構成を対応させるためには、例えば、双方に階層型ニューラルネットワークを用い、階層数及び各層が有するユニット数を等しくすればよい。
座標(u´,v´)及び座標(u,v)は、予め記憶装置MEMに記憶され、学習時に読み出される。また、記憶装置MEMに歪みのある映像IMG´に対応するデータDimg´と、理想的な映像IMGに対応するデータDimgを記憶しておき、学習時にデータDimg´から座標(u´,v´)を、データDimgから座標(u,v)をそれぞれ学習部LPの演算によって抽出してもよい。
なお、演算部40としては、専用サーバやクラウドなどの演算処理能力の優れた計算機を用いることができる。また、学習部PPはソフトウェアによって構成することができる。これにより、ニューラルネットワークNN2の学習を演算処理能力の優れた計算機を用い、その学習結果をニューラルネットワークNN1に反映させることができる。よって、ニューラルネットワークNN1の学習を効率的に行うことができる。
以上のように、本発明の一態様においては、演算部40を用いてニューラルネットワークの学習を行うことができる。なお、学習部LP及びニューラルネットワークNN2のより具体的な構成例及び動作例については後述する。
<変換部CTの構成例>
次に、座標(u´,v´)の変換を行う機能を有する変換部CTの構成例について説明する。図4(A)に、変換部CTの構成例を示す。変換部CTはニューラルネットワークNN1を有し、ニューラルネットワークNN1は、入力層IL、出力層OL、及び隠れ層(中間層)HLを有する。
なお、ニューラルネットワークNN1は、隠れ層HLを複数有するネットワーク(DNN:ディープニューラルネットワーク)であってもよい。ディープニューラルネットワークの学習を深層学習と呼ぶことがある。出力層OL、入力層IL、隠れ層HLはそれぞれ複数のユニット(ニューロン回路)を有し、各ユニットの出力は、重み(結合強度)を介して異なる層に設けられたユニットに供給される。
ニューラルネットワークNN1には、表示領域DSPに表示される映像の歪みを緩和するように座標(u´,v´)を補正する機能が学習によって付加されている。そして、ニューラルネットワークNN1の入力層にu´(i,j)及びv´(i,j)が入力されると、各層において演算処理が行われる。各層における演算処理は、前層のユニットの出力と重み係数との積和演算などにより実行される。なお、層間の結合は全てのユニット同士が結合された全結合としてもよいし、一部のユニット同士が結合された部分結合としてもよい。そして、演算結果はu(i,j)及びv(i,j)として出力層OLから出力される。これにより、座標(u´(i,j),v´(i,j))が座標(u(i,j),v(i,j))に補正される。
なお、uとvはそれぞれ、u´及びv´の関数として表される。よって、ニューラルネットワークNN1は、u´及びv´を入力としてuを推論するネットワークと、u´及びv´を入力としてvを推論するネットワークを有する。前者により関数u=g(u´,v´)が実現され、後者により関数v=g(u´,v´)が実現される。そして、取得部APから変換部CTに座標(u´,v´)が順次入力され、n×m個の座標(u,v)が生成される。
座標の変換は、複数のニューラルネットワークNN1によって並列で行われてもよい。図4(B)に、変換部CTがn×m個のニューラルネットワークNN1(1,1)乃至(n,m)を有する構成例を示す。この場合、座標(u´(i,j),v´(i,j))がニューラルネットワークNN1(i,j)に入力され、座標(u(i,j),v(i,j))に変換される。このように、複数のニューラルネットワークNN1を用いることにより、座標の変換を高速で行うことができる。なお、複数のニューラルネットワークNN1が設けられる場合、ニューラルネットワークNN1の数はn×m以下の任意の数に設定することができる。
なお、ニューラルネットワークNN1の重み係数は信号生成部30の外部から入力することができる。具体的には、演算部40によって算出された重み係数Wが変換部CTに供給され、ニューラルネットワークNN1は当該重み係数Wをネットワーク内に設けられたメモリなどに格納する機能を有する。
以上のように、u´及びv´を入力としてニューラルネットワークNN1の推論行うことにより、表示領域DSPに表示される映像の座標を変換し、映像の歪みを緩和することができる。
<学習部LPの構成例>
次に、ニューラルネットワークの学習を行う機能を有する学習部LPの構成例について説明する。図5(A)に学習部LPの構成例を示す。学習部LPは、ニューラルネットワークNN2、座標出力部COx、座標出力部COtを有する。なお、ニューラルネットワークNN2はニューラルネットワークNN1と同じ構成を有する。
記憶装置MEMには、歪みのある二次元の映像IMG´に対応するデータDimg´と、歪みのない理想的な二次元の映像IMGに対応するデータDimgが記憶されている。そして、学習時には記憶装置MEMから座標出力部COxにデータDimg´が供給され、座標出力部COtにデータDimgが供給される。
座標出力部COxは、映像IMG´から特定の座標を抽出する機能を有する。具体的には、座標出力部COxは映像IMG´に付与されるグリッドパターンGP´を計算し、グリッドパターンGP´上の特定の座標(u´,v´)を選択して出力する機能を有する。座標出力部COxから出力された座標(u´,v´)はニューラルネットワークNN2の入力層ILに供給され、学習データとして用いられる。
座標出力部COtは、映像IMGから特定の座標を抽出する機能を有する。具体的には、座標出力部COtは映像IMGに付与されるグリッドパターンGPを計算し、グリッドパターンGP上の特定の座標(u,v)を選択して出力する機能を有する。この座標(u,v)は、(u´,v´)に対応する映像IMG上の座標である。すなわち、座標(u,v)は、歪みのない映像を表示するために座標(u´,v´)を移動させるべき理想的な位置に相当する。そして、座標出力部COtから出力された座標(u,v)はニューラルネットワークNN2の出力層OLに供給され、教師データとして用いられる。
ニューラルネットワークNN2は、座標(u´,v´)と座標(u,v)を学習サンプルとして学習を行う機能を有する。具体的には、ニューラルネットワークNN2はまず、座標(u´,v´)を入力データとして推論を行い、出力データとして(u,v)を得る。そして、uとuの誤差、及びvとvの誤差が小さくなるように、ニューラルネットワークNN2の重み係数が更新される。
重みの更新は、uとuの誤差、及びvとvの誤差が一定以下になるまで繰り返される。そして、最終的に誤差が一定以下になるとニューラルネットワークNN2の学習が終了する。学習が完了すると、ニューラルネットワークNN2によって関数u=g(u´,v´)及びv=g(u´,v´)が実現される。
そして、上記の学習の結果として、学習後のニューラルネットワークNN2の重み係数Wが得られる。そして、重み係数Wは信号生成部30のニューラルネットワークNN1に供給され、格納される。これにより、ニューラルネットワークNN2の学習結果がニューラルネットワークNN1に反映される。
なお、ニューラルネットワークNN2の学習には複数の学習サンプルを用いて行うことができる。具体的には、一のデータDimg´から複数の座標(u´,v´)を、一のデータDimgから複数の座標(u,v)をそれぞれ抽出してもよいし、データDimg´及びデータDimgをそれぞれ複数準備してもよい。
また、座標(u,v)の決定には、ニューラルネットワークNN2の重み係数などに加えて、曲率を示す符号CCを用いることもできる。例えば、図5(B−1)の上面図に示すように、表示領域DSPが表示面の外側に凸の形状を有する場合は“0”、図5(B−2)の上面図に示すように、表示領域DSPが表示面の内側に凸の形状を有する場合は“1”となる符号CCを用いて、座標変換の方向などを決定してもよい。なお、符号CCは記憶装置MEMに記憶されていてもよいし、座標出力部COx及び座標出力部COtの演算によって算出されてもよい。
また、ニューラルネットワークNN2、座標出力部COx、及び座標出力部COtは、プログラムによって記述されたソフトウェアによって実現することができる。この場合、プログラムの実行によってニューラルネットワークNN2の学習を行うことができる。
<ニューラルネットワークの構成例>
次に、ニューラルネットワークNN1及びニューラルネットワークNN2に用いることが可能なニューラルネットワークの構成例について説明する。ニューラルネットワークの構成例を図6に示す。ニューラルネットワークは、ニューロン回路NCと、ニューロン回路間に設けられたシナプス回路SCによって構成されている。
図6(A)に、ニューロン回路NCとシナプス回路SCの構成例を示す。シナプス回路SCには、入力データx乃至x(Lは自然数)が入力される。また、シナプス回路SCは、重み係数w(kは1以上L以下の整数)を記憶する機能を有する。重み係数wは、ニューロン回路NC間の結合の強さに対応する。
シナプス回路SCに入力データx乃至x入力されると、ニューロン回路NCには、シナプス回路CNに入力された入力データxと、シナプス回路CNに記憶された重み係数wとの積(x)を、k=1乃至Lについて足し合わせた値(x+x+…+x)、すなわち、xとwを用いた積和演算によって得られた値が供給される。この値がニューロン回路NCの閾値θを超えた場合、ニューロン回路NCはハイレベルの信号を出力する。この現象を、ニューロン回路NCの発火と呼ぶ。
上記のニューロン回路NCとシナプス回路SCを用いた階層型ニューラルネットワークのモデルを、図6(B)に示す。ニューラルネットワークは、入力層IL、隠れ層HL、出力層OLを有する。入力ILは、入力ニューロン回路INを有する。隠れ層HLは、隠れシナプス回路HS及び隠れニューロン回路HNを有する。出力層OLは、出力シナプス回路OS及び出力ニューロン回路ONを有する。また、入力ニューロン回路IN、隠れニューロン回路HN、出力ニューロン回路ONの閾値θを、それぞれθ、θ、θと表記する。
入力層ILには座標データu´及びv´が供給され、入力層ILの出力は隠れ層HLに供給される。そして、隠れニューロン回路HNには、入力層ILの出力データと、隠れシナプス回路HSに保持された重み係数wと、を用いた積和演算によって得られた値が供給される。そして、出力ニューロン回路ONには、隠れニューロン回路HNの出力と、出力シナプス回路OSに保持された重み係数wを用いた積和演算によって得られた値が供給される。そして、出力ニューロン回路ONから出力データとしてu又はvが出力される。
このように、図6(B)に示すニューラルネットワークは、座標(u´,v´)を、シナプス回路SCに保持された重み係数及びニューロン回路の閾値θに応じて変換し、座標(u,v)を出力する機能を有する。なお、図6(B)に示す構成はニューラルネットワークNN1、NN2に用いることができる。
また、ニューラルネットワークの学習には、誤差逆伝播法などを用いることができる。図6(C)に、誤差逆伝播法を利用して教師あり学習を行うニューラルネットワークNN2のモデルを示す。
誤差逆伝播法は、ニューラルネットワークの出力データと教師データの誤差が小さくなるように、シナプス回路の重み係数を変更する方式の一つである。具体的には、出力データ(座標データu又はv)と教師データ(座標データu又はv)に基づいて決定される誤差δに応じて、隠れシナプス回路HSの重み係数wが変更される。また、隠れシナプス回路HSの重み係数wの変更量に応じて、さらに前段のシナプス回路SCの重み係数wが変更される。このように、教師データに基づいてシナプス回路SCの重み係数を順次変更することにより、ニューラルネットワークNN2の学習を行うことができる。この誤差逆伝播法は、ニューラルネットワークNN2の学習に用いることができる。
なお、図6(B)、(C)には1層の隠れ層HLを示しているが、隠れ層HLの層数を2以上としてもよい。これにより、深層学習を行うことができる。
<表示システムの動作例>
次に、ニューラルネットワークの学習及び推論を行う際の表示システム10の動作例を説明する。図7は学習時の動作例を示すフローチャートであり、図8は推論時の動作例を示すフローチャートである。
[学習]
ニューラルネットワークNN1の学習は、ニューラルネットワークNN2の学習を行い、その学習結果をニューラルネットワークNN1に反映させることにより行うことができる。ニューラルネットワークNN1の学習時の動作例を、図5及び図7を用いて説明する。
まず、記憶装置MEMからデータDimg´及びデータDimgが読み出され、座標出力部COxにデータDimg´が、座標出力部COtにデータDimgがそれぞれ入力される。そして、座標出力部COxはデータDimg´に応じたグリッドパターンGP´を生成する(ステップS1)。また、座標出力部COtはデータDimgに応じたグリッドパターンGPを生成する(ステップS2)。
その後、座標出力部COxはグリッドパターンGP´から特定の座標(u´,v´)を選択して出力する(ステップS3)。また、座標出力部COtは座標(u´,v´)に対応する理想的な座標(u,v)を出力する(ステップS4)。そして、座標(u´,v´)及び座標(u,v)がニューラルネットワークNN2に学習サンプルとして入力される(ステップS5)。
学習サンプルが入力されると、ニューラルネットワークNN2はまず、座標(u´,v´)を入力データとして推論を行う(ステップS6)。これにより、座標(u,v)が出力データとして得られる。そして、座標(u,v)と座標(u,v)の誤差が算出される。誤差としては、例えば平均二乗誤差などが算出される。そして、誤差が所定の値よりも大きい場合(ステップS7でNO)、ニューラルネットワークNN2は学習を行い、重み係数を更新する(ステップS8)。そして、学習を繰り返して誤差が一定以下になると(ステップS7でYES)、座標(u´,v´)及び座標(u,v)を用いた学習が終了する。
なお、誤差の許容範囲は自由に設定することができる。また、ニューラルネットワークNN2の重み係数の初期値は、乱数によって決定してもよい。重み係数の初期値は学習速度(例えば、重み係数の収束速度、ニューラルネットワークNNの予測精度など)に影響を与える場合があるため、学習速度が遅い場合は、重み係数の初期値を変更してもよい。また、重み係数の初期値を事前学習によって決定してもよい。
その後、グリッドパターンGP´及びグリッドパターンGP上の他の座標を用いて学習を続行する場合は(ステップS9でNO)、他の座標(u´,v´)及び座標(u,v)が選択され(ステップS3、S4)、同様に学習が行われる。また、他の映像を用いて学習を続行する場合は(ステップS9でYES、ステップS10でNO)、新しいデータDimg´及びデータDimgが読み出され、再度グリッドパターンGP´及びグリッドパターンGPが生成される。
以上の動作により、全ての学習サンプルを用いた学習が完了すると(ステップS10でYES)、学習結果としてニューラルネットワークNN2の重み係数Wが得られる。そして、重み係数WがニューラルネットワークNN1に出力され(ステップS11)、ニューラルネットワークNN2の学習結果がニューラルネットワークNN1に反映される。
以上の動作により、ニューラルネットワークNN1の学習が行われる。
[推論]
表示部20に映像を表示する際は、上記学習が行われたニューラルネットワークNN1の推論により、座標変換が行われる。ニューラルネットワークNN1の推論時の動作例を、図1及び図8を用いて説明する。
まず、取得部APによってデータDが受信され、取得部APから座標(u´,v´)及びデータDpが出力される。そして、座標(u´,v´)が変換部CTに設けられたニューラルネットワークNN1の入力層ILに入力される(ステップS21)。
そして、ニューラルネットワークNN1は座標(u´,v´)を入力データとして推論を行う(ステップS22)。これにより、座標(u,v)が出力され(ステップS23)、座標変換が行われる。そして、全ての座標(u´,v´)の変換が完了すると、映像信号生成部SGはデータDp(1,1)乃至(n,m)、及び、座標(u(1,1),v(1,1))乃至(u(n,m),v(n,m))を用いて信号SDを生成する(ステップS25)。この信号SDは、曲面を有する表示領域DSPに歪みのない映像を表示するための映像信号となる。
その後、画像処理部IPにおいて画像処理(画素間補間処理、又は、映像の輪郭又は遠近感を強調する処理など)が適宜施される(ステップS26)。
上記の動作によって生成された映像信号が表示部20に供給されることにより、表示領域DSPに歪みのない映像が表示される。
なお、表示領域DSPの曲率が一定である場合は、視点に合わせて座標変換を行うこともできる。具体的には、まず、視線センサなどによって観測者の位置を特定し、観測者の視線と表示領域DSPの交点Cの座標(u,v)を求める。そして、ステップS22において、座標(u,v)を原点として座標変換を行う。これにより、視認者の視点の変化に合わせて映像の歪みを緩和することができる。
以上の通り、本発明の一態様においては、曲面を有する表示領域DSPに映像が表示される表示部20に、人工知能を用いた座標変換が施された映像信号を供給する。これにより、特定の地点から映像を視認した際に生じる映像の歪みを緩和し、表示部に表示される映像の品質を向上させることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示システムの他の構成例について説明する。
<表示システムの構成例>
図1においては、変換部CTが有するニューラルネットワークNN1の推論によって座標の変換を行う構成例について説明したが、推論をニューラルネットワークNN2で行うことにより、変換部CT内のニューラルネットワークNN1を省略することもできる。このような表示システム11の構成例を図9に示す。
表示システム11は、変換部CTがニューラルネットワークNN1を有しない点、バッファBUFPが設けられている点において図1と相違する。その他の構成については、図1の説明を参酌することができる。なお、図9においては表示部20の図示を省略している。
表示システム11においては、ニューラルネットワークNN2の学習が完了した後、続いて変換部CTに入力され得る座標(u´,v´)を入力データとしてニューラルネットワークNN2の推論を行い、座標(u,v)を取得する。そして、演算部40は座標(u´,v´)と座標(u,v)を対応付けるためのパラメータPを抽出し、信号生成部30のバッファBUFPに供給する。
バッファBUFPはパラメータPを記憶する機能を有する。バッファBUFPに記憶されたパラメータPは、座標変換の際に読み出され、変換部CTに供給される。そして、変換部CTはパラメータPを用いて座標(u´,v´)を座標(u,v)に変換する。
このように、表示システム11においては、ニューラルネットワークNN2の推論によって得られた座標(u´,v´)と座標(u,v)を用いて、演算部40が両者の対応関係を表すパラメータPの抽出を行う。そして、信号生成部30においては、パラメータPに基づいて座標(u´,v´)が変換される。これにより、変換部CTにニューラルネットワークNN1が不要となり、変換部CTの構成を簡略化することができる。なお、バッファBUFPには、例えばOSトランジスタを用いた記憶回路を用いることができる。
パラメータPは、変換部CTに一の座標(u´,v´)が入力された際、対応する一の座標(u,v)が出力することが可能となるパラメータであれば、特に限定されない。パラメータPの例を図10に示す。
図10(A)は、テーブル方式によって座標を変換する場合に用いられるパラメータPを示す。テーブル方式は、変換部CTに入力され得る座標(u´,v´)それぞれに対応する座標(u,v)を予め準備しておき、入力された座標(u´,v´)に対応する座標(u,v)を出力する方法である。この方法を用いる場合、座標(u´,v´)と座標(u´,v´)の対応を表すルックアップテーブルがパラメータPとしてバッファBUFPに記憶される。このルックアップテーブルは、変換部CTに入力され得る全ての座標(u´,v´)に対して、ニューラルネットワークNN2の推論を行うことにより取得することができる。
テーブル方式にはルックアップテーブルが用いられるため、座標変換に必要なパラメータの数は比較的多くなる。しかしながら、座標(u´,v´)に対応する座標(u,v)を個別に設定できるため、精度の高い座標変換を行うことができる。
図10(B)は、関数近似方式によって座標を変換する場合に用いられるパラメータPを示す。関数近似方式は、変換部CTに入力され得る座標(u´,v´)の範囲を複数の領域に区分し、各領域において座標(u´,v´)と座標(u,v)の関係を近似式によって規定する方式である。図10(B)では、座標(u´,v´)の範囲を領域D、D、Dに区分し、各領域の座標(u´,v´)と座標(u,v)の関係をそれぞれ直線で近似している。そして、変換部CTにある座標(u´,v´)が入力されると、当該座標(u´,v´)が属する領域の近似式に基づいて座標(u,v)が算出される。
図10(B)に示す関数近似方式を用いる場合、領域の区分や、直線を定義するための値a、a、a、b、b、bなどがパラメータPとしてバッファBUFPに記憶される。関数近似方式は、座標(u,v)を近似によって算出する方法であるため、座標変換の精度はテーブル方式に劣る。しかしながら、座標変換に必要なパラメータの数はテーブル近似よりも少ないため、バッファBUFPに格納されるデータの量を抑えることができ、バッファBUFPの面積の縮小などを図ることができる。
なお、関数近似方式における領域の区分数は特に限られない。区分数が多いほど座標変換の精度は向上し、区分数が少ないほど簡易に座標変換を行うことができる。また、図10(B)では線形関数によって近似が行われる場合について説明したが、非線形関数によって近似してもよい。
ニューラルネットワークNN2の推論結果から上記のようなパラメータPを取得することにより、ニューラルネットワークNN1を用いずに座標変換を行うことが可能となる。
<表示システムの動作例>
次に、表示システム11の動作例について説明する。図11は、表示システム11の動作例を示すフローチャートである。
まず、ニューラルネットワークNN2の推論によって、座標(u´,v´)と座標(u,v)のセットが取得される(ステップS31)。そして、座標(u´,v´)と座標(u,v)の対応関係を決定するパラメータPが抽出され(ステップS32)、バッファBUFPに供給される。
そして、取得部APによってデータDが受信され、変換部CTに座標(u´,v´)に入力されると(ステップS33)、バッファBUFPからパラメータPが読み出され、変換部CTはパラメータPを用いて座標(u´,v´)を座標(u,v)に変換する(ステップS34)。この座標変換には、上記のテーブル方式又は関数近似方式などを用いることができる。そして、座標(u,v)が映像信号生成部SGに出力される(ステップS35)。
全ての座標(u´,v´)の変換が完了すると(ステップS36でYES)、映像信号生成部SGにおいて信号SDが生成される(図8のステップS25)。以降の動作は、図8と同様である。
以上のように、変換部CTがバッファBUFPに記憶されたパラメータPを用いて座標変換を行うことにより、ニューラルネットワークNN1を省略し、信号生成部30の構成を簡略化することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した演算部の構成例について説明する。
上記の通り、演算部40に含まれる学習部LPはソフトウェアによって構成することができる。学習部LPによる処理をプログラムによって行う場合、演算部40として演算装置を用い、当該演算装置によってプログラムを実行することができる。図12に、演算装置の構成例を示す。
演算装置100は、処理装置110、入出力装置120を有する。処理装置110は、上記プログラムの実行などの、各種演算を行う機能を有する。処理装置110は、演算部111、記憶部112、伝送路113、インターフェース114を有する。入出力装置120は、表示部121、操作部122、入出力部123、通信部124を有する。
記憶部112は、学習部LPの処理を行うプログラムなどを記憶する機能を有する。記憶部112としては、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を用いることができ、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などのメモリを用いることができる。また、記憶部112として、ReRAM(Resistive Random Access Memory)などに代表される抵抗変化型のメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などに代表される磁気抵抗型のメモリ、またはフラッシュメモリに代表される不揮発性型のメモリなどを用いることもできる。記憶部112に記憶されたプログラムには、例えば、図5に示すニューラルネットワークNN2、座標出力部COx、及び座標出力部COtによる処理が含まれていてもよい。
演算部111は、記憶部112に記憶された情報を用いて演算を行う機能を有する。記憶部112に記憶されたプログラムは、演算部111によって実行される。
伝送路113は、情報を伝達する機能を有する。演算部111、記憶部112、インターフェース114間の情報の送受信は、伝送路113を介して行うことができる。
インターフェース114は、入出力装置120に情報を送信する機能、及び入出力装置120から出力された情報を受信する機能を有する。
表示部121は、処理装置110から入力された情報に基づいて映像を表示する機能を有する。表示部121としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの表示装置を用いることができる。
操作部122は、ユーザーによる操作に応じて、処理装置110に命令を送信する機能を有する。操作部122としては、キーボード、マウス、操作ボタン、タッチセンサ、ポインティングデバイスなどを用いることができる。
入出力部123は、処理装置110への情報の入力、又は処理装置110から入力された情報の出力を行う機能を有する。入出力部123としては、カメラ、マイク、外部記憶装置、スキャナー、スピーカ、プリンタなどを用いることができる。また、外部記憶装置としては、ハードディスク、リムーバブルメモリなどを用いることができる。
通信部124は、処理装置110から入力された情報を演算装置100の外部に送信する機能、及び、演算装置100の外部から出力された情報を受信して処理装置110に出力する機能を有する。通信部124としては、ハブ、ルータ、モデムなどを用いることができる。情報の送受信には、有線を用いても無線(例えば、電波、赤外線など)を用いてもよい。
記憶部112に記憶されたプログラムの実行によって得られた重み係数W(図1等参照)、又はパラメータP(図9等参照)は、通信部124を介して信号生成部30に送信することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したニューラルネットワークに用いることができる半導体装置の構成例について説明する。
ニューラルネットワークがハードウェアによって構成される場合、ニューラルネットワークにおける積和演算は、積和演算素子を用いて行うことができる。本実施の形態では、ニューラルネットワークNN1の積和演算素子として用いることができる半導体装置の構成例について説明する。
<半導体装置の構成例>
半導体装置200の構成の一例を図13に示す。図13に示す半導体装置200は、記憶回路210(MEM)と、参照用記憶回路220(RMEM)と、回路230と、回路240と、を有する。半導体装置200は、さらに電流源回路250(CREF)を有していても良い。
記憶回路210(MEM)は、メモリセルMC[p、q]、メモリセルMC[p+1、q]で例示されるメモリセルMCを有する。また、各メモリセルMCは、入力された電位を電流に変換する機能を有する素子を有する。上記機能を有する素子として、例えばトランジスタなどの能動素子を用いることができる。図13では、各メモリセルMCがトランジスタTr11を有する場合を例示している。
そして、メモリセルMCには、配線WD[q]で例示される配線WDから第1のアナログ電位が入力される。第1のアナログ電位は第1のアナログデータに対応する。そして、メモリセルMCは、第1のアナログ電位に応じた第1のアナログ電流を生成する機能を有する。具体的には、トランジスタTr11のゲートに第1のアナログ電位を供給したときに得られるトランジスタTr11のドレイン電流を、第1のアナログ電流とすることができる。なお、以下、メモリセルMC[p、q]に流れる電流をI[p、q]とし、メモリセルMC[p+1、q]に流れる電流をI[p+1、q]とする。
なお、トランジスタTr11が飽和領域で動作する場合、そのドレイン電流はソースとドレイン間の電圧に依存せず、ゲート電圧と閾値電圧の差分によって制御される。よって、トランジスタTr11は飽和領域で動作させることが望ましい。トランジスタTr11を飽和領域で動作させるために、そのゲート電圧、ソースとドレイン間の電圧は、飽和領域で動作する範囲の電圧に適切に設定されているものとする。
具体的に、図13に示す半導体装置200では、メモリセルMC[p、q]に配線WD[q]から第1のアナログ電位Vx[p、q]または第1のアナログ電位Vx[p、q]に応じた電位が入力される。メモリセルMC[p、q]は、第1のアナログ電位Vx[p、q]に応じた第1のアナログ電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、メモリセルMC[p、q]の電流I[p、q]は、第1のアナログ電流に相当する。
また、具体的に、図13に示す半導体装置200では、メモリセルMC[p+1、q]に配線WD[q]から第1のアナログ電位Vx[p+1、q]または第1のアナログ電位Vx[p+1、q]に応じた電位が入力される。メモリセルMC[p+1、q]は、第1のアナログ電位Vx[p+1、q]に応じた第1のアナログ電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、メモリセルMC[p+1、q]の電流I[p+1、q]は、第1のアナログ電流に相当する。
そして、メモリセルMCは、第1のアナログ電位を保持する機能を有する。すなわち、メモリセルMCは、第1のアナログ電位を保持することで、第1のアナログ電位に応じた第1のアナログ電流を保持する機能を有すると言える。
また、メモリセルMCには、配線RW[p]、配線RW[p+1]で例示される配線RWから第2のアナログ電位が入力される。第2のアナログ電位は第2のアナログデータに対応する。メモリセルMCは、既に保持されている第1のアナログ電位に、第2のアナログ電位或いは第2のアナログ電位に応じた電位を加算する機能と、加算することで得られる第3のアナログ電位を保持する機能とを有する。そして、メモリセルMCは、第3のアナログ電位に応じた第2のアナログ電流を生成する機能を有する。すなわち、メモリセルMCは、第3のアナログ電位を保持することで、第3のアナログ電位に応じた第2のアナログ電流を保持する機能を有すると言える。
具体的に、図13に示す半導体装置200では、メモリセルMC[p、q]に配線RW[p]から第2のアナログ電位Vw[p、q]が入力される。そして、メモリセルMC[p、q]は、第1のアナログ電位Vx[p、q]及び第2のアナログ電位Vw[p、q]に応じた第3のアナログ電位を保持する機能を有する。そして、メモリセルMC[p、q]は、第3のアナログ電位に応じた第2のアナログ電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、メモリセルMC[p、q]の電流I[p、q]は、第2のアナログ電流に相当する。
また、図13に示す半導体装置200では、メモリセルMC[p+1、q]に配線RW[p+1]から第2のアナログ電位Vw[p+1、q]が入力される。そして、メモリセルMC[p+1、q]は、第1のアナログ電位Vx[p+1、q]及び第2のアナログ電位Vw[p+1、q]に応じた第3のアナログ電位を保持する機能を有する。そして、メモリセルMC[p+1、q]は、第3のアナログ電位に応じた第2のアナログ電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、メモリセルMC[p+1、q]の電流I[p+1、q]は、第2のアナログ電流に相当する。
そして、電流I[p、q]は、メモリセルMC[p、q]を介して配線BL[q]と配線VR[q]の間を流れる。電流I[p+1、q]は、メモリセルMC[p+1、q]を介して配線BL[q]と配線VR[q]の間を流れる。よって、電流I[p、q]と電流I[p+1、q]との和に相当する電流I[q]が、メモリセルMC[p、q]及びメモリセルMC[p+1、q]を介して配線BL[q]と配線VR[q]の間を流れることとなる。
参照用記憶回路220(RMEM)は、メモリセルMCR[p]、メモリセルMCR[p+1]で例示されるメモリセルMCRを有する。メモリセルMCRには、配線WDREFから第1の参照電位VPRが入力される。そして、メモリセルMCRは、第1の参照電位VPRに応じた第1の参照電流を生成する機能を有する。なお、以下、メモリセルMCR[p]に流れる電流をIREF[p]とし、メモリセルMCR[p+1]に流れる電流をIREF[p+1]とする。
そして、具体的に、図13に示す半導体装置200では、メモリセルMCR[p]に配線WDREF[p]から第1の参照電位VPRが入力される。メモリセルMCR[p]は、第1の参照電位VPRに応じた第1の参照電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、メモリセルMCR[p]の電流IREF[p]は、第1の参照電流に相当する。
また、図13に示す半導体装置200では、メモリセルMCR[p+1]に配線WDREFから第1の参照電位VPRが入力される。メモリセルMCR[p+1]は、第1の参照電位VPRに応じた第1の参照電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、メモリセルMCR[p+1]の電流IREF[p+1]は、第1の参照電流に相当する。
そして、メモリセルMCRは、第1の参照電位VPRを保持する機能を有する。すなわち、メモリセルMCRは、第1の参照電位VPRを保持することで、第1の参照電位VPRに応じた第1の参照電流を保持する機能を有すると言える。
また、メモリセルMCRには、配線RW[p]、配線RW[p+1]で例示される配線RWから第2のアナログ電位が入力される。メモリセルMCRは、既に保持されている第1の参照電位VPRに、第2のアナログ電位或いは第2のアナログ電位に応じた電位を加算し、加算することで得られる第2の参照電位を保持する機能を有する。そして、メモリセルMCRは、第2の参照電位に応じた第2の参照電流を生成する機能を有する。すなわち、メモリセルMCRは、第2の参照電位を保持することで、第2の参照電位に応じた第2の参照電流を保持する機能を有すると言える。
具体的に、図13に示す半導体装置200では、メモリセルMCR[p]に配線RW[p]から第2のアナログ電位Vw[p、q]が入力される。そして、メモリセルMCR[p]は、第1の参照電位VPR及び第2のアナログ電位Vw[p、q]に応じた第2の参照電位を保持する機能を有する。そして、メモリセルMCR[p]は、第2の参照電位に応じた第2の参照電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、メモリセルMCR[p]の電流IREF[p]は、第2の参照電流に相当する。
また、図13に示す半導体装置200では、メモリセルMCR[p+1]に配線RW[p+1]から第2のアナログ電位Vw[p+1、q]が入力される。そして、メモリセルMCR[p+1]は、第1の参照電位VPR及び第2のアナログ電位Vw[p+1、q]に応じた第2の参照電位を保持する機能を有する。そして、メモリセルMCR[p+1]は、第2の参照電位に応じた第2の参照電流を生成する機能を有する。すなわち、この場合、メモリセルMCR[p+1]の電流IREF[p+1]は、第2の参照電流に相当する。
そして、電流IREF[p]は、メモリセルMCR[p]を介して配線BLREFと配線VRREFの間を流れる。電流IREF[p+1]は、メモリセルMCR[p+1]を介して配線BLREFと配線VRREFの間を流れる。よって、電流IREF[p]と電流IREF[p+1]との和に相当する電流IREFが、メモリセルMCR[p]及びメモリセルMCR[p+1]を介して配線BLREFと配線VRREFの間を流れることとなる。
電流源回路250は、配線BLREFに流れる電流IREFと同じ値の電流、もしくは電流IREFに対応する電流を、配線BLに供給する機能を有する。そして、後述するオフセットの電流を設定する際には、メモリセルMC[p、q]及びメモリセルMC[p+1、q]を介して配線BL[q]と配線VR[q]の間を流れる電流I[q]が、メモリセルMCR[p]及びメモリセルMCR[p+1]を介して配線BLREFと配線VRREFの間を流れる電流IREFと異なる場合、差分の電流は回路230または回路240に流れる。回路230は電流ソース回路としての機能を有し、回路240は電流シンク回路としての機能を有する。
具体的に、電流I[q]が電流IREFよりも大きい場合、回路230は、電流I[q]と電流IREFの差分に相当する電流ΔI[q]を生成する機能を有する。また、回路230は、生成した電流ΔI[q]を配線BL[q]に供給する機能を有する。すなわち、回路230は、電流ΔI[q]を保持する機能を有すると言える。
また、電流I[q]が電流IREFよりも小さい場合、回路240は、電流I[q]と電流IREFの差分に相当する電流ΔI[q]を生成する機能を有する。また、回路240は、生成した電流ΔI[q]を配線BL[q]から引き込む機能を有する。すなわち、回路240は、電流ΔI[q]を保持する機能を有すると言える。
次いで、図13に示す半導体装置200の動作の一例について説明する。
まず、メモリセルMC[p、q]に第1のアナログ電位に応じた電位を格納する。具体的には、第1の参照電位VPRから第1のアナログ電位Vx[p、q]を差し引いた電位VPR−Vx[p、q]が、配線WD[q]を介してメモリセルMC[p、q]に入力される。メモリセルMC[p、q]では、電位VPR−Vx[p、q]が保持される。また、メモリセルMC[p、q]では、電位VPR−Vx[p、q]に応じた電流I[p、q]が生成される。例えば第1の参照電位VPRは、接地電位よりも高いハイレベルの電位とする。具体的には、接地電位よりも高く、電流源回路250に供給されるハイレベルの電位VDDと同程度か、それ以下の電位であることが望ましい。
また、メモリセルMCR[p]に第1の参照電位VPRを格納する。具体的には、電位VPRが、配線WDREFを介してメモリセルMCR[p]に入力される。モリセルMCR[p]では、電位VPRが保持される。また、メモリセルMCR[p]では、電位VPRに応じた電流IREF[p]が生成される。
また、メモリセルMC[p+1、q]に第1のアナログ電位に応じた電位を格納する。具体的には、第1の参照電位VPRから第1のアナログ電位Vx[p+1、q]を差し引いた電位VPR−Vx[p+1、q]が、配線WD[q]を介してメモリセルMC[p+1、q]に入力される。メモリセルMC[p+1、q]では、電位VPR−Vx[p+1、q]が保持される。また、メモリセルMC[p+1、q]では、電位VPR−Vx[p+1、q]に応じた電流I[p+1、q]が生成される。
また、メモリセルMCR[p+1]に第1の参照電位VPRを格納する。具体的には、電位VPRが、配線WDREFを介してメモリセルMCR[p+1]に入力される。モリセルMCR[p+1]では、電位VPRが保持される。また、メモリセルMCR[p+1]では、電位VPRに応じた電流IREF[p+1]が生成される。
上記動作において、配線RW[p]及び配線RW[p+1]は基準電位とする。例えば、基準電位として接地電位、基準電位よりも低いローレベルの電位VSSなどを用いることができる。或いは、基準電位として電位VSSと電位VDDの間の電位を用いると、第2のアナログ電位Vwを正負にしても、配線RWの電位を接地電位よりも高くできるので信号の生成を容易にすることができ、正負のアナログデータに対する積演算が可能になるので好ましい。
上記動作により、配線BL[q]には、配線BL[q]に接続されたメモリセルMCにおいてそれぞれ生成される電流を合わせた電流が、流れることとなる。具体的に図13では、メモリセルMC[p、q]で生成される電流I[p、q]と、メモリセルMC[p+1、q]で生成される電流I[p+1、q]とを合わせた電流I[q]が流れる。また、上記動作により、配線BLREFには、配線BLREFに接続されたメモリセルMCRにおいてそれぞれ生成される電流を合わせた電流が、流れることとなる。具体的に図13では、メモリセルMCR[p]で生成される電流IREF[p]と、メモリセルMCR[p+1]で生成される電流IREF[p+1]とを合わせた電流IREFが流れる。
次いで、配線RW[p]及び配線RW[p+1]の電位を基準電位としたまま、第1のアナログ電位によって得られる電流I[q]と第1の参照電位によって得られる電流IREFとの差分から得られるオフセットの電流Ioffset[q]を、回路230または回路240において保持する。
具体的に、電流I[q]が電流IREFよりも大きい場合、回路230は電流Ioffset[q]を配線BL[q]に供給する。すなわち、回路230に流れる電流ICM[q]は電流Ioffset[q]に相当することとなる。そして、当該電流ICM[q]の値は回路230において保持される。また、電流I[q]が電流IREFよりも小さい場合、回路240は電流Ioffset[q]を配線BL[q]から引き込む。すなわち、回路240に流れる電流ICP[q]は電流Ioffset[q]に相当することとなる。そして、当該電流ICP[q]の値は回路240において保持される。
次いで、既にメモリセルMC[p、q]において保持されている第1のアナログ電位または第1のアナログ電位に応じた電位に加算するように、第2のアナログ電位または第2のアナログ電位に応じた電位をメモリセルMC[p、q]に格納する。具体的には、配線RW[p]の電位を基準電位に対してVw[p]だけ高い電位とすることで、第2のアナログ電位Vw[p]が、配線RW[p]を介してメモリセルMC[p、q]に入力される。メモリセルMC[p、q]では、電位VPR−Vx[p、q]+Vw[p]が保持される。また、メモリセルMC[p、q]では、電位VPR−Vx[p、q]+Vw[p]に応じた電流I[p、q]が生成される。
また、既にメモリセルMC[p+1、q]において保持されている第1のアナログ電位または第1のアナログ電位に応じた電位に加算するように、第2のアナログ電位または第2のアナログ電位に応じた電位をメモリセルMC[p+1、q]に格納する。具体的には、配線RW[p+1]の電位を基準電位に対してVw[p+1]だけ高い電位とすることで、第2のアナログ電位Vw[p+1]が、配線RW[p+1]を介してメモリセルMC[p+1、q]に入力される。メモリセルMC[p+1、q]では、電位VPR−Vx[p+1、q]+Vw[p+1]が保持される。また、メモリセルMC[p+1、q]では、電位VPR−Vx[p+1、q]+Vw[p+1]に応じた電流I[p+1、q]が生成される。
なお、電位を電流に変換する素子として飽和領域で動作するトランジスタTr11を用いる場合、配線RW[p]の電位がVw[p]であり、配線RW[p+1]の電位がVw[p+1]であると仮定すると、メモリセルMC[p、q]が有するトランジスタTr11のドレイン電流が電流I[p、q]に相当するので、第2のアナログ電流は以下の式1で表される。なお、kは係数、VthはトランジスタTr11の閾値電圧である。
I[p、q]=k(Vw[p]−Vth+VPR−Vx[p、q]) (式1)
また、メモリセルMCR[p]が有するトランジスタTr11のドレイン電流が電流IREF[p]に相当するので、第2の参照電流は以下の式2で表される。
IREF[p]=k(Vw[p]−Vth+VPR) (式2)
そして、メモリセルMC[p、q]に流れる電流I[p、q]と、メモリセルMC[p+1、q]に流れる電流I[p+1、q]の和に相当する電流I[q]は、I[q]=ΣiI[p、q]であり、メモリセルMCR[p]に流れる電流IREF[p]と、メモリセルMCR[p+1]に流れる電流IREF[p+1]の和に相当する電流IREFは、IREF=ΣiIREF[p]となり、その差分に相当する電流ΔI[q]は以下の式3で表される。
ΔI[q]=IREF−I[q]=ΣiIREF[p]−ΣiI[p、q] (式3)
式1、式2、式3から、電流ΔI[q]は以下の式4のように導き出される。
ΔI[q]
=Σi{k(Vw[p]−Vth+VPR)−k(Vw[p]−Vth+VPR−Vx[p、q])
=2kΣi(Vw[p]・Vx[p、q])−2kΣi(Vth−VPR)・Vx[p、q]−kΣiVx[p、q] (式4)
式4において、2kΣi(Vw[p]・Vx[p、q])で示される項は、第1のアナログ電位Vx[p、q]及び第2のアナログ電位Vw[p]の積と、第1のアナログ電位Vx[p+1、q]及び第2のアナログ電位Vw[p+1]の積と、の和に相当する。
また、Ioffset[q]は、配線RW[p]の電位を全て基準電位としたとき、すなわち第2のアナログ電位Vw[p]を0、第2のアナログ電位Vw[p+1]を0としたときの電流ΔI[q]とすると、式4から、以下の式5が導き出される。
Ioffset[q]=−2kΣi(Vth−VPR)・Vx[p、q]−kΣiVx[p、q] (式5)
したがって、式3乃至式5から、第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和値に相当する2kΣi(Vw[p]・Vx[p、q])は、以下の式6で表されることが分かる。
2kΣi(Vw[p]・Vx[p、q])=IREF−I[q]−Ioffset[q] (式6)
そして、メモリセルMCに流れる電流の和を電流I[q]、メモリセルMCRに流れる電流の和を電流IREF、回路230または回路240に流れる電流を電流Ioffset[q]とすると、配線RW[p]の電位をVw[p]、配線RW[p+1]の電位をVw[p+1]としたときに配線BL[q]から流れ出る電流Iout[q]は、IREF−I[q]−Ioffset[q]で表される。式6から、電流Iout[q]は、2kΣi(Vw[p]・Vx[p、q])であり、第1のアナログ電位Vx[p、q]及び第2のアナログ電位Vw[p]の積と、第2のアナログ電位Vx[p+1、q]及び第2のアナログ電位Vw[p+1]の積と、の和に相当することが分かる。
なお、トランジスタTr11は飽和領域で動作させることが望ましいが、トランジスタTr11の動作領域が理想的な飽和領域と異なっていたとしても、第1のアナログ電位Vx[p、q]及び第2のアナログ電位Vw[p]の積と、第2のアナログ電位Vx[p+1、q]及び第2のアナログ電位Vw[p+1]の積との和に相当する電流を、所望の範囲内の精度で問題なく得ることができる場合は、トランジスタTr11は飽和領域で動作しているものとみなせる。
本発明の一態様により、アナログデータの演算処理をデジタルデータに変換せずとも実行することができるので、半導体装置の回路規模を小さく抑えることができる。或いは、本発明の一態様により、アナログデータの演算処理をデジタルデータに変換せずとも実行することができるので、アナログデータの演算処理に要する時間を抑えることができる。或いは、本発明の一態様により、アナログデータの演算処理に要する時間を抑えつつ、半導体装置の低消費電力化を実現することができる。
<記憶回路の構成例>
次いで、記憶回路210(MEM)と、参照用記憶回路220(RMEM)の具体的な構成の一例について、図14を用いて説明する。
図14では、記憶回路210(MEM)がy行x列の複数のメモリセルMCを有し、参照用記憶回路220(RMEM)がy行1列の複数のメモリセルMCRを有する場合を例示している。
なお、本明細書等において、トランジスタのソースとは、チャネル領域として機能する半導体層の一部であるソース領域や、当該半導体層と接続されたソース電極などを意味する。同様に、トランジスタのドレインとは、当該半導体層の一部であるドレイン領域や、当該半導体層と接続されたドレイン電極などを意味する。また、ゲートとは、ゲート電極などを意味する。
また、トランジスタが有するソースとドレインは、トランジスタの導電型及び各端子に与えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がソースと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がソースと呼ばれる。本明細書では、便宜上、ソースとドレインとが固定されているものと仮定して、トランジスタの接続関係を説明する場合があるが、実際には上記電位の関係にしたがってソースとドレインの呼び方が入れ替わる。
記憶回路210は、配線RWと、配線WWと、配線WDと、配線VRと、配線BLとに接続されている。図14では、配線RW[1]乃至配線RW[y]が各行のメモリセルMCにそれぞれ接続され、配線WW[1]乃至配線WW[y]が各行のメモリセルMCにそれぞれ接続され、配線WD[1]乃至配線WD[y]が各列のメモリセルMCにそれぞれ接続されて、配線BL[1]乃至配線BL[y]が各列のメモリセルMCにそれぞれ接続されている場合を例示している。また、図14では、配線VR[1]乃至配線VR[y]が各列のメモリセルMCにそれぞれ接続されている場合を例示している。なお、配線VR[1]乃至配線VR[y]は、互いに接続されていても良い。
そして、参照用記憶回路220は、配線RWと、配線WWと、配線WDREFと、配線VRREFと、配線BLREFとに接続されている。図14では、配線RW[1]乃至配線RW[y]が各行のメモリセルMCRにそれぞれ接続され、配線WW[1]乃至配線WW[y]が各行のメモリセルMCRにそれぞれ接続され、配線WDREFが一列のメモリセルMCRにそれぞれ接続され、配線BLREFが一列のメモリセルMCRにそれぞれ接続され、配線VRREFが一列のメモリセルMCRにそれぞれ接続されている場合を例示している。なお、配線VRREFは、配線VR[1]乃至配線VR[y]に接続されていても良い。
次いで、図14に示した複数のメモリセルMCのうち、任意の2行2列のメモリセルMCと、図14に示した複数のメモリセルMCRのうち、任意の2行1列のメモリセルMCRとの、具体的な回路構成と接続関係とを、一例として図15に示す。
具体的に図15では、p行q列目のメモリセルMC[p、q]と、p+1行q列目のメモリセルMC[p+1、q]と、p行q+1列目のメモリセルMC[p、q+1]と、p+1行q+1列目のメモリセルMC[p+1、q+1]とを図示している。また、具体的に図15では、p行目のメモリセルMCR[p]と、p+1行目のメモリセルMCR[p+1]とを図示している。なお、pとp+1はそれぞれ1からyまでの任意の数で、qとq+1はそれぞれ1からxまでの任意の数とする。
p行目のメモリセルMC[p、q]と、メモリセルMC[p、q+1]と、メモリセルMCR[p]とは、配線RW[p]及び配線WW[p]に接続されている。また、p+1行目のメモリセルMC[p+1、q]と、メモリセルMC[p+1、q+1]と、メモリセルMCR[p+1]とは、配線RW[p+1]及び配線WW[p+1]に接続されている。
q列目のメモリセルMC[p、q]と、メモリセルMC[p+1、q]とは、配線WD[q]、配線VR[q]、及び配線BL[q]に接続されている。また、q+1列目のメモリセルMC[p、q+1]と、メモリセルMC[p+1、q+1]とは、配線WD[q+1]、配線VR[q+1]、及び配線BL[q+1]に接続されている。また、メモリセルMCR[p]と、p+1行目のメモリセルMCR[p+1]とは、配線WDREF、配線VRREF、及び配線BLREFに接続されている。
そして、各メモリセルMCと各メモリセルMCRとは、トランジスタTr11と、トランジスタTr12と、容量素子C11と、を有する。トランジスタTr12は、メモリセルMCまたはメモリセルMCRへの第1のアナログ電位の入力を制御する機能を有する。トランジスタTr11は、ゲートに入力された電位に従って、アナログ電流を生成する機能を有する。容量素子C11は、メモリセルMCまたはメモリセルMCRにおいて保持されている第1のアナログ電位または第1のアナログ電位に応じた電位に、第2のアナログ電位或いは第2のアナログ電位に応じた電位を加算する機能を有する。
具体的に、図15に示すメモリセルMCでは、トランジスタTr11は、ゲートが配線WWに接続され、ソース又はドレインの一方が配線WDに接続され、ソース又はドレインの他方がトランジスタTr12のゲートに接続されている。また、トランジスタTr12は、ソース又はドレインの一方が配線VRに接続され、ソース又はドレインの他方が配線BLに接続されている。容量素子C11は、第1の電極が配線RWに接続され、第2の電極がトランジスタTr12のゲートに接続されている。
また、図15に示すメモリセルMCRでは、トランジスタTr11は、ゲートが配線WWに接続され、ソース又はドレインの一方が配線WDREFに接続され、ソース又はドレインの他方がトランジスタTr12のゲートに接続されている。また、トランジスタTr12は、ソース又はドレインの一方が配線VRREFに接続され、ソース又はドレインの他方が配線BLREFに接続されている。容量素子C11は、第1の電極が配線RWに接続され、第2の電極がトランジスタTr12のゲートに接続されている。
メモリセルMCにおいてトランジスタTr11のゲートをノードNとすると、メモリセルMCでは、トランジスタTr12を介してノードNに第1のアナログ電位が入力され、次いでトランジスタTr12がオフになるとノードNが浮遊状態になり、ノードNにおいて第1のアナログ電位または第1のアナログ電位に応じた電位が保持される。また、メモリセルMCでは、ノードNが浮遊状態になると、容量素子C11の第1の電極に入力された第2のアナログ電位がノードNに与えられる。上記動作により、ノードNは、第1のアナログ電位または第1のアナログ電位に応じた電位に、第2のアナログ電位または第2のアナログ電位に応じた電位が加算されることで得られる電位となる。
なお、容量素子C11の第1の電極の電位は容量素子C11を介してノードNに与えられるため、実際には、第1の電極の電位の変化量がそのままノードNの電位の変化量に反映されるわけではない。具体的には、容量素子C11の容量値と、トランジスタTr11のゲート容量の容量値と、寄生容量の容量値とから一意に決まる結合係数を、第1の電極の電位の変化量に乗ずることで、ノードNの電位の変化量を正確に算出することができる。以下、説明を分かり易くするために、第1の電極の電位の変化量がほぼノードNの電位の変化量に反映されるものとして説明を行う。
トランジスタTr11は、ノードNの電位にしたがってそのドレイン電流が定まる。よって、トランジスタTr12がオフになることでノードNの電位が保持されると、トランジスタTr11のドレイン電流の値も保持される。上記ドレイン電流には第1のアナログ電位と第2のアナログ電位が反映されている。
また、メモリセルMCRにおいてトランジスタTr11のゲートをノードNREFとすると、メモリセルMCRでは、トランジスタTr12を介してノードNREFに第1の参照電位または第1の参照電位に応じた電位が入力され、次いでトランジスタTr12がオフになるとノードNREFが浮遊状態になり、ノードNREFにおいて第1の参照電位または第1の参照電位に応じた電位が保持される。また、メモリセルMCRでは、ノードNREFが浮遊状態になると、容量素子C11の第1の電極に入力された第2のアナログ電位がノードNREFに与えられる。上記動作により、ノードNREFは、第1の参照電位または第1の参照電位に応じた電位に、第2のアナログ電位または第2のアナログ電位に応じた電位が加算されることで得られる電位となる。
トランジスタTr11は、ノードNREFの電位にしたがってそのドレイン電流が定まる。よって、トランジスタTr12がオフになることでノードNREFの電位が保持されると、トランジスタTr11のドレイン電流の値も保持される。上記ドレイン電流には第1の参照電位と第2のアナログ電位が反映されている。
メモリセルMC[p、q]のトランジスタTr12に流れるドレイン電流を電流I[p、q]とし、メモリセルMC[p+1、q]のトランジスタTr12に流れるドレイン電流を電流I[p+1、q]とすると、配線BL[q]からメモリセルMC[p、q]及びメモリセルMC[p+1、q]に供給される電流の和は、電流I[q]となる。また、メモリセルMC[p、q+1]のトランジスタTr12に流れるドレイン電流を電流I[p、q+1]とし、メモリセルMC[p+1、q+1]のトランジスタTr12に流れるドレイン電流を電流I[p+1、q+1]とすると、配線BL[q+1]からメモリセルMC[p、q+1]及びメモリセルMC[p+1、q+1]に供給される電流の和は、電流I[q+1]となる。また、メモリセルMCR[p]のトランジスタTr12に流れるドレイン電流を電流IREF[p]とし、メモリセルMCR[p+1]のトランジスタTr12に流れるドレイン電流を電流IREF[p+1]とすると、配線BLREFからメモリセルMCR[p]及びメモリセルMCR[p+1]に供給される電流の和は、電流IREFとなる。
<回路230・回路240・電流源回路の構成例>
次いで、回路230と、回路240と、電流源回路250(CREF)の具体的な構成の一例について、図16を用いて説明する。
図16では、図15に示すメモリセルMCとメモリセルMCRに対応した、回路230、回路240、電流源回路250の構成の一例を示している。具体的に、図16に示す回路230は、q列目のメモリセルMCに対応した回路230[q]と、q+1列目のメモリセルMCに対応した回路230[q+1]とを有する。また、図16に示す回路240は、q列目のメモリセルMCに対応した回路240[q]と、q+1列目のメモリセルMCに対応した回路240[q+1]とを有する。
そして、回路230[q]及び回路240[q]は、配線BL[q]に接続されている。また、回路230[q+1]及び回路240[q+1]は、配線BL[q+1]に接続されている。
電流源回路250は、配線BL[q]、配線BL[q+1]、配線BLREFに接続されている。そして、電流源回路250は、配線BLREFに電流IREFを供給する機能と、電流IREFと同じ電流または電流IREFに応じた電流を、配線BL[q]及び配線BL[q+1]のそれぞれに供給する機能を有する。
具体的に、回路230[q]及び回路230[q+1]は、トランジスタTr24乃至Tr26と、容量素子C22とをそれぞれ有する。オフセットの電流を設定する際に、回路230[q]において、トランジスタTr24は、電流I[q]が電流IREFよりも大きい場合に、電流I[q]と電流IREFの差分に相当する電流ICM[q]を生成する機能を有する。また、回路230[q+1]において、トランジスタTr24は、電流I[q+1]が電流IREFよりも大きい場合に、電流I[q+1]と電流IREFの差分に相当する電流ICM[q+1]を生成する機能を有する。電流ICM[q]及び電流ICM[q+1]は、回路230[q]及び回路230[q+1]から配線BL[q]及び配線BL[q+1]に供給される。
そして、回路230[q]及び回路230[q+1]において、トランジスタTr24は、ソース又はドレインの一方が対応する配線BLに接続されており、ソース又はドレインの他方が所定の電位が供給される配線に接続されている。トランジスタTr25は、ソース又はドレインの一方が配線BLに接続されており、ソース又はドレインの他方がトランジスタTr24のゲートに接続されている。トランジスタTr26は、ソース又はドレインの一方がトランジスタTr24のゲートに接続されており、ソース又はドレインの他方が所定の電位が供給される配線に接続されている。容量素子C22は、第1の電極がトランジスタTr24のゲートに接続されており、第2の電極が所定の電位が供給される配線に接続されている。
トランジスタTr25のゲートは配線OSMに接続されており、トランジスタTr26のゲートは配線ORMに接続されている。
なお、図16では、トランジスタTr24がpチャネル型であり、トランジスタTr25及びTr26がnチャネル型である場合を例示している。
また、回路240[q]及び回路240[q+1]は、トランジスタTr21乃至Tr23と、容量素子C21とをそれぞれ有する。オフセットの電流を設定する際に、回路240[q]において、トランジスタTr21は、電流I[q]が電流IREFよりも小さい場合に、電流I[q]と電流IREFの差分に相当する電流ICP[q]を生成する機能を有する。また、回路240[q+1]において、トランジスタTr21は、電流I[q+1]が電流IREFよりも小さい場合に、電流I[q+1]と電流IREFの差分に相当する電流ICP[q+1]を生成する機能を有する。電流ICP[q]及び電流ICP[q+1]は、配線BL[q]及び配線BL[q+1]から回路240[q]及び回路240[q+1]に引き込まれる。
なお、電流ICM[q]と電流ICP[q]とが、Ioffset[q]に相当する。また、なお、電流ICM[q+1]と電流ICP[q+1]とが、Ioffset[q+1]に相当する。
そして、回路240[q]及び回路240[q+1]において、トランジスタTr21は、ソース又はドレインの一方が対応する配線BLに接続されており、ソース又はドレインの他方が所定の電位が供給される配線に接続されている。トランジスタTr22は、ソース又はドレインの一方が配線BLに接続されており、ソース又はドレインの他方がトランジスタTr21のゲートに接続されている。トランジスタTr23は、ソース又はドレインの一方がトランジスタTr21のゲートに接続されており、ソース又はドレインの他方が所定の電位が供給される配線に接続されている。容量素子C21は、第1の電極がトランジスタTr21のゲートに接続されており、第2の電極が所定の電位が供給される配線に接続されている。
トランジスタTr22のゲートは配線OSPに接続されており、トランジスタTr23のゲートは配線ORPに接続されている。
なお、図16では、トランジスタTr21乃至Tr23がnチャネル型チャネル型である場合を例示している。
また、電流源回路250は、配線BLに対応したトランジスタTr27と、配線BLREFに対応したトランジスタTr28とを有する。具体的に、図16に示す電流源回路250は、トランジスタTr27として、配線BL[q]に対応したトランジスタTr27[q]と、配線BL[q+1]に対応したトランジスタTr27[q+1]とを有する場合を例示している。
そして、トランジスタTr27のゲートは、トランジスタTr28のゲートに接続されている。また、トランジスタTr27は、ソース又はドレインの一方が対応する配線BLに接続されており、ソース又はドレインの他方が所定の電位が供給される配線に接続されている。トランジスタTr28は、ソース又はドレインの一方が配線BLREFに接続されており、ソース又はドレインの他方が所定の電位が供給される配線に接続されている。
トランジスタTr27とトランジスタTr28とは、同じ極性を有している。図16では、トランジスタTr27とトランジスタTr28とが、共にpチャネル型を有する場合を例示している。
トランジスタTr28のドレイン電流は電流IREFに相当する。そして、トランジスタTr27とトランジスタTr28とはカレントミラー回路としての機能を有するため、トランジスタTr27のドレイン電流は、トランジスタTr28のドレイン電流とほぼ同じ値、またはトランジスタTr28のドレイン電流に応じた値となる。
<半導体装置の動作例>
次いで、図15及び図16を用いて、本発明の一態様に係る半導体装置200の具体的な動作の一例について説明する。
図17は、図15に示すメモリセルMC、メモリセルMCRと、図16に示す回路230、回路240、電流源回路250の動作を示すタイミングチャートの一例に相当する。図17では、時刻T01乃至時刻T04において、メモリセルMC及びメモリセルMCRに第1のアナログデータを格納する動作が行われる。時刻T05乃至時刻T10において、回路230及び回路240にオフセットの電流Ioffsetを設定する動作が行われる。時刻T11乃至時刻T16において、第1のアナログデータと第2のアナログデータとの積和値に対応したデータを取得する動作が行われる。
なお、電源線VR[q]及び電源線VR[q+1]にはローレベルの電位が供給されるものとする。また、回路230に接続される所定の電位を有する配線は、全てハイレベルの電位VDDが供給されるものとする。また、回路240に接続される所定の電位を有する配線は、全てローレベルの電位VSSが供給されるものとする。また、電流源回路250に接続される所定の電位を有する配線は、全てハイレベルの電位VDDが供給されるものとする。
また、トランジスタTr11、Tr21、Tr24、Tr27[q]、Tr27[q+1]、Tr28は飽和領域で動作するものとする。
まず、時刻T01乃至時刻T02において、配線WW[p]にハイレベルの電位が与えられ、配線WW[p+1]にローレベルの電位が与えられる。上記動作により、図15に示すメモリセルMC[p、q]、メモリセルMC[p、q+1]、メモリセルMCR[p]においてトランジスタTr12がオンになる。また、メモリセルMC[p+1、q]、メモリセルMC[p+1、q+1]、メモリセルMCR[p+1]においてトランジスタTr12がオフの状態を維持する。
また、時刻T01乃至時刻T02では、図15に示す配線WD[q]と配線WD[q+1]とに、第1の参照電位VPRから第1のアナログ電位を差し引いた電位がそれぞれ与えられる。具体的に、配線WD[q]には電位VPR−Vx[p、q]が与えられ、配線WD[q+1]には電位VPR−Vx[p、q+1]が与えられる。また、配線WDREFには第1の参照電位VPRが与えられ、配線RW[p]及び配線RW[p+1]には基準電位として電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられる。
よって、図15に示すメモリセルMC[p、q]のノードN[p、q]にはトランジスタTr12を介して電位VPR−Vx[p、q]が与えられ、メモリセルMC[p、q+1]のノードN[p、q+1]にはトランジスタTr12を介して電位VPR−Vx[p、q+1]が与えられ、メモリセルMCR[p]のノードNREF[p]にはトランジスタTr12を介して電位VPRが与えられる。
時刻T02が終了すると、図15に示す配線WW[p]に与えられる電位はハイレベルからローレベルに変化し、メモリセルMC[p、q]、メモリセルMC[p、q+1]、メモリセルMCR[p]においてトランジスタTr12がオフになる。上記動作により、ノードN[p、q]には電位VPR−Vx[p、q]が保持され、ノードN[p、q+1]には電位VPR−Vx[p、q+1]が保持され、ノードNREF[p]には電位VPRが保持される。
次いで、時刻T03乃至時刻T04において、図15に示す配線WW[p]の電位はローレベルに維持され、配線WW[p+1]にハイレベルの電位が与えられる。上記動作により、図15に示すメモリセルMC[p+1、q]、メモリセルMC[p+1、q+1]、メモリセルMCR[p+1]においてトランジスタTr12がオンになる。また、メモリセルMC[p、q]、メモリセルMC[p、q+1]、メモリセルMCR[p]においてトランジスタTr12がオフの状態を維持する。
また、時刻T03乃至時刻T04では、図15に示す配線WD[q]と配線WD[q+1]とに、第1の参照電位VPRから第1のアナログ電位を差し引いた電位がそれぞれ与えられる。具体的に、配線WD[q]には電位VPR−Vx[p+1、q]が与えられ、配線WD[q+1]には電位VPR−Vx[p+1、q+1]が与えられる。また、配線WDREFには第1の参照電位VPRが与えられ、配線RW[p]及び配線RW[p+1]には基準電位として電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられる。
よって、図15に示すメモリセルMC[p+1、q]のノードN[p+1、q]にはトランジスタTr12を介して電位VPR−Vx[p+1、q]が与えられ、メモリセルMC[p+1、q+1]のノードN[p+1、q+1]にはトランジスタTr12を介して電位VPR−Vx[p+1、q+1]が与えられ、メモリセルMCR[p+1]のノードNREF[p+1]にはトランジスタTr12を介して電位VPRが与えられる。
時刻T04が終了すると、図15に示す配線WW[p+1]に与えられる電位はハイレベルからローレベルに変化し、メモリセルMC[p+1、q]、メモリセルMC[p+1、q+1]、メモリセルMCR[p+1]においてトランジスタTr12がオフになる。上記動作により、ノードN[p+1、q]には電位VPR−Vx[p+1、q]が保持され、ノードN[p+1、q+1]には電位VPR−Vx[p+1、q+1]が保持され、ノードNREF[p+1]には電位VPRが保持される。
次いで、時刻T05乃至時刻T06において、図16に示す配線ORP及び配線ORMにハイレベルの電位が与えられる。図16に示す回路230[q]及び回路230[q+1]では、配線ORMにハイレベルの電位が与えられることで、トランジスタTr26がオンになり、トランジスタTr24のゲートは電位VDDが与えられることでリセットされる。また、図16に示す回路240[q]及び回路240[q+1]では、配線ORPにハイレベルの電位が与えられることで、トランジスタTr23がオンになり、トランジスタTr21のゲートは電位VSSが与えられることでリセットされる。
時刻T06が終了すると、図15に示す配線ORP及び配線ORMに与えられる電位はハイレベルからローレベルに変化し、回路230[q]及び回路230[q+1]においてトランジスタTr26がオフになり、回路240[q]及び回路240[q+1]においてトランジスタTr23がオフになる。上記動作により、回路230[q]及び回路230[q+1]においてトランジスタTr24のゲートに電位VDDが保持され、回路240[q]及び回路240[q+1]においてトランジスタTr21のゲートに電位VSSが保持される。
次いで、時刻T07乃至時刻T08において、図16に示す配線OSPにハイレベルの電位が与えられる。また、図15に示す配線RW[p]及び配線RW[p+1]には基準電位として電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられる。配線OSPにハイレベルの電位が与えられることにより、回路240[q]及び回路240[q+1]においてトランジスタTr22がオンになる。
配線BL[q]に流れるI[q]が配線BLREFに流れる電流IREFよりも小さい場合、すなわちΔI[q]が正の場合、図15に示すメモリセルMC[p、q]のトランジスタTr28が引き込むことのできる電流と、メモリセルMC[p+1、q]のトランジスタTr28が引き込むことのできる電流との和が、トランジスタTr27[q]のドレイン電流より小さいことを意味する。よって、電流ΔI[q]が正の場合、回路240[q]においてトランジスタTr22がオンになると、トランジスタTr27[q]のドレイン電流の一部がトランジスタTr21のゲートに流れ込み、当該ゲートの電位が上昇し始める。そして、トランジスタTr21のドレイン電流が電流ΔI[q]とほぼ等しくなると、トランジスタTr21のゲートの電位は所定の値に収束する。このときのトランジスタTr21のゲートの電位は、トランジスタTr21のドレイン電流が電流ΔI[q]、すなわちIoffset[q](=ICP[q])となるような電位に相当する。つまり、回路240[q]のトランジスタTr21は、電流ICP[q]を流し得る電流源に設定された状態であると言える。
同様に、配線BL[q+1]に流れるI[q+1]が配線BLREFに流れる電流IREFよりも小さい場合、つまり電流ΔI[q+1]が正の場合、回路240[q+1]においてトランジスタTr22がオンになると、トランジスタTr27[q+1]のドレイン電流の一部がトランジスタTr21のゲートに流れ込み、当該ゲートの電位が上昇し始める。そして、トランジスタTr21のドレイン電流が電流ΔI[q+1]とほぼ等しくなると、トランジスタTr21のゲートの電位は所定の値に収束する。このときのトランジスタTr21のゲートの電位は、トランジスタTr21のドレイン電流が電流ΔI[q+1]、すなわちIoffset[q+1](=ICP[q+1])となるような電位に相当する。つまり、回路240[q+1]のトランジスタTr21は、電流ICP[q+1]を流し得る電流源に設定された状態であると言える。
時刻T08が終了すると、図16に示す配線OSPに与えられる電位はハイレベルからローレベルに変化し、回路240[q]及び回路240[q+1]においてトランジスタTr22がオフになる。上記動作により、トランジスタTr21のゲートの電位は保持される。よって、回路240[q]は電流ICP[q]を流し得る電流源に設定された状態を維持し、回路240[q+1]は電流ICP[q+1]を流し得る電流源に設定された状態を維持する。
次いで、時刻T09乃至時刻T10において、図16に示す配線OSMにハイレベルの電位が与えられる。また、図15に示す配線RW[p]及び配線RW[p+1]には基準電位として電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられる。配線OSMにハイレベルの電位が与えられることにより、回路230[q]及び回路230[q+1]においてトランジスタTr25がオンになる。
配線BL[q]に流れるI[q]が配線BLREFに流れる電流IREFよりも大きい場合、すなわちΔI[q]が負の場合、図15に示すメモリセルMC[p、q]のトランジスタTr28が引き込むことのできる電流と、メモリセルMC[p+1、q]のトランジスタTr28が引き込むことのできる電流との和が、トランジスタTr27[q]のドレイン電流より大きいことを意味する。よって、電流ΔI[q]が負の場合、回路230[q]においてトランジスタTr25がオンになると、トランジスタTr24のゲートから配線BL[q]に電流が流れ出し、当該ゲートの電位が下降し始める。そして、トランジスタTr24のドレイン電流が電流ΔI[q]とほぼ等しくなると、トランジスタTr24のゲートの電位は所定の値に収束する。このときのトランジスタTr24のゲートの電位は、トランジスタTr24のドレイン電流が電流ΔI[q]、すなわちIoffset[q](=ICM[q])となるような電位に相当する。つまり、回路230[q]のトランジスタTr24は、電流ICM[q]を流し得る電流源に設定された状態であると言える。
同様に、配線BL[q+1]に流れるI[q+1]が配線BLREFに流れる電流IREFよりも大きい場合、つまり電流ΔI[q+1]が負の場合、回路230[q+1]においてトランジスタTr25がオンになると、トランジスタTr24のゲートから配線BL[q+1]に電流が流れ出し、当該ゲートの電位が下降し始める。そして、トランジスタTr24のドレイン電流が電流ΔI[q+1]の絶対値とほぼ等しくなると、トランジスタTr24のゲートの電位は所定の値に収束する。このときのトランジスタTr24のゲートの電位は、トランジスタTr24のドレイン電流が電流ΔI[q+1]、すなわちIoffset[q+1](=ICM[q+1])の絶対値に等しい電位に相当する。つまり、回路230[q+1]のトランジスタTr24は、電流ICM[q+1]を流し得る電流源に設定された状態であると言える。
時刻T08が終了すると、図16に示す配線OSMに与えられる電位はハイレベルからローレベルに変化し、回路230[q]及び回路230[q+1]においてトランジスタTr25がオフになる。上記動作により、トランジスタTr24のゲートの電位は保持される。よって、回路230[q]は電流ICM[q]を流し得る電流源に設定された状態を維持し、回路230[q+1]は電流ICM[q+1]を流し得る電流源に設定された状態を維持する。
なお、回路240[q]及び回路240[q+1]において、トランジスタTr21は電流を引き込む機能を有する。そのため、時刻T07乃至時刻T08において配線BL[q]に流れる電流I[q]が配線BLREFに流れる電流IREFよりも大きくΔI[q]が負の場合、或いは、配線BL[q+1]に流れる電流I[q+1]が配線BLREFに流れる電流IREFよりも大きくΔI[q+1]が負の場合、回路240[q]または回路240[q+1]から過不足なく配線BL[q]または配線BL[q+1]に電流を供給するのが難しくなる恐れがある。この場合、配線BL[q]または配線BL[q+1]に流れる電流と、配線BLREFに流れる電流とのバランスを取るために、メモリセルMCのトランジスタTr11と、回路240[q]または回路240[q+1]のトランジスタTr21と、トランジスタTr27[q]またはTr27[q+1]とが、共に飽和領域で動作することが困難になる可能性がある。
時刻T07乃至時刻T08においてΔI[q]が負の場合でも、トランジスタTr11、Tr21、Tr27[q]またはTr27[q+1]における飽和領域での動作を確保するために、時刻T05乃至時刻T06において、トランジスタTr24のゲートを電位VDDにリセットするのではなく、トランジスタTr24のゲートの電位を所定のドレイン電流が得られる程度の高さに設定しておいても良い。上記構成により、トランジスタTr27[q]またはTr27[q+1]のドレイン電流に加えてトランジスタTr24から電流が供給されるため、トランジスタTr11において引き込めない分の電流を、トランジスタTr21においてある程度引き込むことができるため、トランジスタTr11、Tr21、Tr27[q]またはTr27[q+1]における飽和領域での動作を確保することができる。
なお、時刻T09乃至時刻T10において、配線BL[q]に流れるI[q]が配線BLREFに流れる電流IREFよりも小さい場合、すなわちΔI[q]が正の場合、時刻T07乃至時刻T08において回路240[q]が電流ICP[q]を流し得る電流源に既に設定されているため、回路230[q]においてトランジスタTr24のゲートの電位はほぼ電位VDDのままとなる。同様に、配線BL[q+1]に流れるI[q+1]が配線BLREFに流れる電流IREFよりも小さい場合、すなわちΔI[q+1]が正の場合、時刻T07乃至時刻T08において回路240[q+1]が電流ICP[q+1]を流し得る電流源に既に設定されているため、回路230[q+1]においてトランジスタTr24のゲートの電位はほぼ電位VDDのままとなる。
次いで、時刻T11乃至時刻T12において、図15に示す配線RW[p]に第2のアナログ電位Vw[p]が与えられる。また、配線RW[p+1]には、基準電位として電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられたままである。具体的に、配線RW[p]の電位は、基準電位である電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2に対して電位差Vw[p]だけ高い電位となるが、以下説明を分かり易くするために、配線RW[p]の電位は電位Vw[p]であると仮定する。
配線RW[p]が電位Vw[p]になると、容量素子C11の第1の電極の電位の変化量がほぼノードNの電位の変化量に反映されるものと仮定すると、図15に示すメモリセルMC[p、q]におけるノードNの電位はVPR−Vx[p、q]+Vw[p]となり、メモリセルMC[p、q+1]におけるノードNの電位はVPR−Vx[p、q+1]+Vw[p]となる。そして、上記の式6から、メモリセルMC[p、q]に対応する第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和値は、電流ΔI[q]からIoffset[q]を差し引いた電流、すなわち、配線BL[q]から流れ出る電流Iout[q]に反映されることが分かる。また、メモリセルMC[p、q+1]に対応する第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和値は、電流ΔI[q+1]からIoffset[q+1]を差し引いた電流、すなわち、配線BL[q+1]から流れ出る電流Iout[q+1]に反映されることが分かる。
時刻T12が終了すると、配線RW[p]には、再度、基準電位である電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられる。
次いで、時刻T13乃至時刻T14において、図15に示す配線RW[p+1]に第2のアナログ電位Vw[p+1]が与えられる。また、配線RW[p]には、基準電位として電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられたままである。具体的に、配線RW[p+1]の電位は、基準電位である電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2に対して電位差Vw[p+1]だけ高い電位となるが、以下説明を分かり易くするために、配線RW[p+1]の電位は電位Vw[p+1]であると仮定する。
配線RW[p+1]が電位Vw[p+1]になると、容量素子C11の第1の電極の電位の変化量がほぼノードNの電位の変化量に反映されるものと仮定すると、図15に示すメモリセルMC[p+1、q]におけるノードNの電位はVPR−Vx[p+1、q]+Vw[p+1]となり、メモリセルMC[p+1、q+1]におけるノードNの電位はVPR−Vx[p+1、q+1]+Vw[p+1]となる。そして、上記の式6から、メモリセルMC[p+1、q]に対応する第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和値は、電流ΔI[q]からIoffset[q]を差し引いた電流、すなわち、Iout[q]に反映されることが分かる。また、メモリセルMC[p+1、q+1]に対応する第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和値は、電流ΔI[q+1]からIoffset[q+1]を差し引いた電流、すなわち、Iout[q+1]に反映されることが分かる。
時刻T12が終了すると、配線RW[p+1]には、再度、基準電位である電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられる。
次いで、時刻T15乃至時刻T16において、図15に示す配線RW[p]に第2のアナログ電位Vw[p]が与えられ、配線RW[p+1]に第2のアナログ電位Vw[p+1]が与えられる。具体的に、配線RW[p]の電位は、基準電位である電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2に対して電位差Vw[p]だけ高い電位となり、配線RW[p+1]の電位は、基準電位である電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2に対して電位差Vw[p+1]だけ高い電位となるが、以下説明を分かり易くするために、配線RW[p]の電位は電位Vw[p]であり、配線RW[p+1]の電位は電位Vw[p+1]であると仮定する。
配線RW[p]が電位Vw[p]になると、容量素子C11の第1の電極の電位の変化量がほぼノードNの電位の変化量に反映されるものと仮定すると、図15に示すメモリセルMC[p、q]におけるノードNの電位はVPR−Vx[p、q]+Vw[p]となり、メモリセルMC[p、q+1]におけるノードNの電位はVPR−Vx[p、q+1]+Vw[p]となる。また、配線RW[p+1]が電位Vw[p+1]になると、容量素子C11の第1の電極の電位の変化量がほぼノードNの電位の変化量に反映されるものと仮定すると、図15に示すメモリセルMC[p+1、q]におけるノードNの電位はVPR−Vx[p+1、q]+Vw[p+1]となり、メモリセルMC[p+1、q+1]におけるノードNの電位はVPR−Vx[p+1、q+1]+Vw[p+1]となる。
そして、上記の式6から、メモリセルMC[p、q]とメモリセルMC[p+1、q]とに対応する第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和値は、電流ΔI[q]からIoffset[q]を差し引いた電流、すなわち、電流Iout[q]に反映されることが分かる。また、メモリセルMC[p、q+1]とメモリセルMC[p+1、q+1]とに対応する第1のアナログデータと第2のアナログデータの積和値は、電流ΔI[q+1]からIoffset[q+1]を差し引いた電流、すなわち、電流Iout[q+1]に反映されることが分かる。
時刻T16が終了すると、配線RW[p]及び配線RW[p+1]には、再度、基準電位である電位VSSと電位VDDの間の電位、例えば電位(VDD+VSS)/2が与えられる。
上記構成により、積和演算を小さな回路規模で行うことができる。また、上記構成により、積和演算を高速で行うことができる。また、上記構成により、低消費電力で積和演算を行うことができる。
なお、トランジスタTr12、Tr22、Tr23、Tr25、またはTr26は、オフ電流が極めて低いトランジスタを用いることが望ましい。トランジスタTr12にオフ電流が極めて低いトランジスタを用いることにより、ノードNの電位の保持を長時間に渡って行うことができる。また、トランジスタTr22及びTr23にオフ電流が極めて低いトランジスタを用いることにより、トランジスタTr21のゲートの電位の保持を、長時間に渡って行うことができる。また、トランジスタTr25及びTr26にオフ電流が極めて低いトランジスタを用いることにより、トランジスタTr24のゲートの電位の保持を、長時間に渡って行うことができる。
オフ電流が極めて低いトランジスタとしてOSトランジスタを用いればよい。チャネル幅で規格化したOSトランジスタのリーク電流は、ソースドレイン電圧が10V、室温(25℃程度)の状態で10×10−21A/μm(10ゼプトA/μm)以下とすることが可能である。
以上説明した半導体装置を用いることにより、ニューラルネットワークNN1における積和演算を行うことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態において用いることができるOSトランジスタの構成例について説明する。
<トランジスタの構成例>
図18(A)は、トランジスタの構成例を示す上面図である。図18(B)は、図18(A)のX1−X2線断面図であり、図18(C)はY1−Y2線断面図である。ここでは、X1−X2線の方向をチャネル長方向と、Y1−Y2線方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。図18(B)は、トランジスタのチャネル長方向の断面構造を示す図であり、図18(C)は、トランジスタのチャネル幅方向の断面構造を示す図である。なお、デバイス構造を明確にするため、図18(A)では、一部の構成要素が省略されている。
本発明の一態様に係る半導体装置は、絶縁層812乃至820、金属酸化物膜821乃至824、導電層850乃至853を有する。トランジスタ801は絶縁表面に形成される。図18では、トランジスタ801が絶縁層811上に形成される場合を例示している。トランジスタ801は絶縁層818及び絶縁層819で覆われている。
なお、トランジスタ801を構成している絶縁層、金属酸化物膜、導電層等は、単層であっても、複数の膜が積層されたものであってもよい。これらの作製には、スパッタリング法、分子線エピタキシー法(MBE法)、パルスレーザアブレーション法(PLA法)、CVD法、原子層堆積法(ALD法)などの各種の成膜方法を用いることができる。なお、CVD法は、プラズマCVD法、熱CVD法、有機金属CVD法などがある。
導電層850は、トランジスタ801のゲート電極として機能する領域を有する。導電層851、導電層852は、ソース電極又はドレイン電極として機能する領域を有する。導電層853は、バックゲート電極は、として機能する領域を有する。絶縁層817は、ゲート電極(フロントゲート電極)側のゲート絶縁層として機能する領域を有し、絶縁層814乃至絶縁層816の積層で構成される絶縁層は、バックゲート電極側のゲート絶縁層として機能する領域を有する。絶縁層818は層間絶縁層としての機能を有する。絶縁層819はバリア層としてとしての機能を有する。
金属酸化物膜821乃至824をまとめて酸化物層830と呼ぶ。図18(B)、図18(C)に示すように、酸化物層830は、金属酸化物膜821、金属酸化物膜822、金属酸化物膜824が順に積層されている領域を有する。また、一対の金属酸化物膜823は、それぞれ導電層851、導電層852上に位置する。トランジスタ801がオン状態のとき、チャネル形成領域は酸化物層830のうち主に金属酸化物膜822に形成される。
金属酸化物膜824は、金属酸化物膜821乃至823、導電層851、導電層852を覆っている。絶縁層817は金属酸化物膜823と導電層850との間に位置する。導電層851、導電層852はそれぞれ、金属酸化物膜823、金属酸化物膜824、絶縁層817を介して、導電層850と重なる領域を有する。
導電層851及び導電層852は、金属酸化物膜821及び金属酸化物膜822を形成するためのハードマスクから作製されている。そのため、導電層851及び導電層852は、金属酸化物膜821および金属酸化物膜822の側面に接する領域を有していない。例えば、次のような工程を経て、金属酸化物膜821、822、導電層851、導電層852を作製することができる。まず、積層された2層の金属酸化物膜上に導電膜を形成する。この導電膜を所望の形状に加工(エッチング)して、ハードマスクを形成する。ハードマスクを用いて、2層の金属酸化物膜の形状を加工し、積層された金属酸化物膜821及び金属酸化物膜822を形成する。次に、ハードマスクを所望の形状に加工して、導電層851及び導電層852を形成する。
絶縁層811乃至818に用いられる絶縁材料には、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケートなどがある。絶縁層811乃至818はこれらの絶縁材料でなる単層、又は積層して構成される。絶縁層811乃至818を構成する層は、複数の絶縁材料を含んでいてもよい。
なお、本明細書等において、酸化窒化物とは、酸素の含有量が窒素よりも多い化合物であり、窒化酸化物とは、窒素の含有量が酸素よりも多い化合物のことを意味する。
酸化物層830の酸素欠損の増加を抑制するため、絶縁層816乃至絶縁層818は、酸素を含む絶縁層であることが好ましい。絶縁層816乃至絶縁層818は、加熱により酸素が放出される絶縁膜(以下、「過剰酸素を含む絶縁膜」ともいう)で形成されることがより好ましい。過剰酸素を含む絶縁膜から酸化物層830に酸素を供給することで、酸化物層830の酸素欠損を補償することができる。トランジスタ801の信頼性および電気的特性を向上することができる。
過剰酸素を含む絶縁層とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy:昇温脱離ガス分光法)において、膜の表面温度が100℃以上700℃以下、又は100℃以上500℃以下の範囲における酸素分子の放出量が1.0×1018[分子/cm]以上である膜とする。酸素分子の放出量は、3.0×1020atoms/cm以上であることがより好ましい。
過剰酸素を含む絶縁膜は、絶縁膜に酸素を添加する処理を行って形成することができる。酸素を添加する処理は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオン注入法、又はプラズマ処理などを用いて行うことができる。酸素を添加するためのガスとしては、16もしくは18などの酸素ガス、亜酸化窒素ガス又はオゾンガスなどを用いることができる。
酸化物層830の水素濃度の増加を防ぐために、絶縁層812乃至819中の水素濃度を低減することが好ましい。特に絶縁層813乃至818の水素濃度を低減することが好ましい。具体的には、水素濃度は、2×1020atoms/cm以下であり、好ましくは5×1019atoms/cm以下が好ましく、1×1019atoms/cm以下がより好ましく、5×1018atoms/cm以下がさらに好ましい。
上掲の水素濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定された値である。
トランジスタ801において、酸素および水素に対してバリア性をもつ絶縁層(以下、バリア層ともいう)によって酸化物層830が包み込まれる構造であることが好ましい。このような構造であることで、酸化物層830から酸素が放出されること、酸化物層830に水素が侵入することを抑えることがでる。トランジスタ801の信頼性、電気的特性を向上できる。
例えば、絶縁層819をバリア層として機能させ、かつ絶縁層811、812、814の少なくとも1つをバリア層と機能させればよい。バリア層は、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化シリコンなどの材料で形成することができる。
絶縁層811乃至818の構成例を記す。この例では、絶縁層811、812、815、819は、それぞれ、バリア層として機能する。絶縁層816乃至818は過剰酸素を含む酸化物層である。絶縁層811は窒化シリコンであり、絶縁層812は酸化アルミニウムであり、絶縁層813は酸化窒化シリコンである。バックゲート電極側のゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層814乃至816は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化シリコンの積層である。フロントゲート側のゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層817は、酸化窒化シリコンである。層間絶縁層としての機能を有する絶縁層818は、酸化シリコンである。絶縁層819は酸化アルミニウムである。
導電層850乃至853に用いられる導電材料には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウム等の金属、又は上述した金属を成分とする金属窒化物(窒化タンタル、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タングステン)等がある。インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を用いることができる。
導電層850乃至853の構成例を記す。導電層850は窒化タンタル、又はタングステン単層である。あるいは、導電層850は窒化タンタル、タンタルおよび窒化タンタルでなる積層である。導電層851は、窒化タンタル単層、又は窒化タンタルとタングステンとの積層である。導電層852の構成は導電層851と同じである。導電層853は窒化タンタルであり、導電体はタングステンである。
トランジスタ801のオフ電流の低減のために、金属酸化物膜822は、例えば、エネルギーギャップが大きいことが好ましい。金属酸化物膜822のエネルギーギャップは、2.5eV以上4.2eV以下であり、2.8eV以上3.8eV以下が好ましく、3eV以上3.5eV以下がさらに好ましい。
酸化物層830は、結晶性を有することが好ましい。少なくとも、金属酸化物膜822は結晶性を有することが好ましい。上記構成により、信頼性、および電気的特性の良いトランジスタ801を実現できる。
金属酸化物膜822に適用できる酸化物は、例えば、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(MはAl、Ga、Y、又はSn)である。金属酸化物膜822は、インジウムを含む酸化物層に限定されない。金属酸化物膜822は、例えば、Zn−Sn酸化物、Ga−Sn酸化物、Zn−Mg酸化物等で形成することができる。金属酸化物膜821、823、824も、金属酸化物膜822と同様の酸化物で形成することができる。特に、金属酸化物膜821、823、824は、それぞれ、Ga酸化物で形成することができる。
金属酸化物膜822と金属酸化物膜821の界面に界面準位が形成されると、界面近傍の領域にもチャネル形成領域が形成されるために、トランジスタ801の閾値電圧が変動してしまう。そのため、金属酸化物膜821は、構成要素として、金属酸化物膜822を構成する金属元素の少なくとも1つを含むことが好ましい。これにより、金属酸化物膜822と金属酸化物膜821の界面には、界面準位が形成されにくくなり、トランジスタ801の閾値電圧等の電気的特性のばらつきを低減することができる。
金属酸化物膜824は、構成要素として、金属酸化物膜822を構成する金属元素の少なくとも1つを含むことが好ましい。これにより、金属酸化物膜822と金属酸化物膜824との界面では、界面散乱が起こりにくくなり、キャリアの動きが阻害されにくくなるので、トランジスタ801の電界効果移動度を高くすることができる。
金属酸化物膜821乃至824のうち、金属酸化物膜822のキャリア移動度が最も高いことが好ましい。これにより、絶縁層816、817から離れた位置に設けられた金属酸化物膜822にチャネルを形成することができる。
例えば、In−M−Zn酸化物等のIn含有金属酸化物は、Inの含有率を高めることで、キャリア移動度を高めることができる。In−M−Zn酸化物では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、インジウムの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、インジウムの含有率が多い酸化物はインジウムの含有率が少ない酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、金属酸化物膜にインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、キャリア移動度を高めることができる。
そのため、例えば、In−Ga−Zn酸化物で金属酸化物膜822を形成し、Ga酸化物で金属酸化物膜821、823を形成する。例えば、In−M−Zn酸化物で、金属酸化物膜821乃至823を形成する場合、Inの含有率は金属酸化物膜822のInの含有率を金属酸化物膜821、823よりも高くする。In−M−Zn酸化物をスパッタリング法で形成する場合、ターゲットの金属元素の原子数比を変えることで、In含有率を変化させることができる。
例えば、金属酸化物膜822の成膜に用いるターゲットの金属元素の原子数比In:M:Znは、1:1:1、3:1:2、又は4:2:4.1が好ましい。例えば、金属酸化物膜821、823の成膜に用いるターゲットの金属元素の原子数比In:M:Znは、1:3:2、又は1:3:4が好ましい。In:M:Zn=4:2:4.1のターゲットで成膜したIn−M−Zn酸化物の原子数比は、およそIn:M:Zn=4:2:3である。
トランジスタ801に安定した電気的特性を付与するには、酸化物層830の不純物濃度を低減することが好ましい。金属酸化物において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。また、シリコンおよび炭素は金属酸化物中で不純物準位の形成に寄与する。不純物準位はトラップとなり、トランジスタの電気的特性を劣化させることがある。
例えば、酸化物層830は、シリコン濃度が2×1018atoms/cm以下、好ましくは、2×1017atoms/cm以下の領域を有する。酸化物層830の炭素濃度も同様である。
酸化物層830は、アルカリ金属濃度が1×1018atoms/cm以下の、好ましくは2×1016atoms/cm以下の領域を有する。金属酸化物膜822のアルカリ土類金属の濃度についても同様である。
酸化物層830は、水素濃度が1×1020atoms/cm未満の、好ましくは1×1019atoms/cm未満の、より好ましくは5×1018atoms/cm未満の、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満の領域を有する。
上掲した金属酸化物膜822の不純物濃度は、SIMSにより得られる値である。
金属酸化物膜822が酸素欠損を有する場合、酸素欠損のサイトに水素が入り込むことでドナー準位を形成することがある。その結果、トランジスタ801のオン電流を低下させる要因となる。なお、酸素欠損のサイトは、水素が入るよりも酸素が入る方が安定する。したがって、金属酸化物膜822中の酸素欠損を低減することで、トランジスタ801のオン電流を大きくすることができる場合がある。よって、金属酸化物膜822の水素を低減することで、酸素欠損のサイトに水素が入りこまないようにすることが、オン電流特性に有効である。
金属酸化物に含まれる水素は、金属原子に結合している酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成することがある。酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子に結合している酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。金属酸化物膜822にチャネル形成領域が設けられるので、金属酸化物膜822に水素が含まれていると、トランジスタ801はノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物膜822中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。
なお、金属酸化物膜822は、導電層851又は導電層852と接する領域においては、n型化された領域822nを有していてもよい。領域822nは、金属酸化物膜822中の酸素が導電層851又は導電層852に引き抜かれる、又は、導電層851又は導電層852に含まれる導電材料が金属酸化物膜822中の元素と結合する、などの現象によって形成される。領域822nが形成されることにより、導電層851又は導電層852と金属酸化物膜822との接触抵抗を低減することができる。
図18は、酸化物層830が4層構造の例であるが、これに限定されない。例えば、酸化物層830を金属酸化物膜821又は金属酸化物膜823のない3層構造とすることができる。又は、酸化物層830の任意の層の間、酸化物層830の上、酸化物層830の下のいずれか二箇所以上に、金属酸化物膜821乃至824と同様の金属酸化物膜を1層又は複数を設けることができる。
図19を参照して、金属酸化物膜821、822、824の積層によって得られる効果を説明する。図19は、トランジスタ801のチャネル形成領域のエネルギーバンド構造の模式図である。
図19中、Ec816e、Ec821e、Ec822e、Ec824e、Ec817eは、それぞれ、絶縁層816、金属酸化物膜821、金属酸化物膜822、金属酸化物膜824、絶縁層817の伝導帯下端のエネルギーを示している。
ここで、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差(「電子親和力」ともいう)は、真空準位と価電子帯上端のエネルギーとの差(イオン化ポテンシャルともいう)からエネルギーギャップを引いた値となる。なお、エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HORIBA JOBIN YVON社 UT−300)を用いて測定できる。また、真空準位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社 VersaProbe)を用いて測定できる。
絶縁層816、817は絶縁体であるため、Ec816eとEc817eは、Ec821e、Ec822e、およびEc824eよりも真空準位に近い(電子親和力が小さい)。
金属酸化物膜822は、金属酸化物膜821、824よりも電子親和力が大きい。例えば、金属酸化物膜822と金属酸化物膜821との電子親和力の差、および金属酸化物膜822と金属酸化物膜824との電子親和力の差は、それぞれ、0.07eV以上1.3eV以下である。電子親和力の差は、0.1eV以上0.7eV以下が好ましく、0.15eV以上0.4eV以下がさらに好ましい。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差である。
トランジスタ801のゲート電極(導電層850)に電圧を印加すると、金属酸化物膜821、金属酸化物膜822、金属酸化物膜824のうち、電子親和力が大きい金属酸化物膜822に主にチャネルが形成される。
インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する。そのため、金属酸化物膜824がインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とする。
また、金属酸化物膜821と金属酸化物膜822との間には金属酸化物膜821と金属酸化物膜822の混合領域が存在する場合がある。また、金属酸化物膜824と金属酸化物膜822との間には金属酸化物膜824と金属酸化物膜822の混合領域が存在する場合がある。混合領域は、界面準位密度が低くなるため、金属酸化物膜821、822、824の積層されている領域は、それぞれの界面近傍においてエネルギーが連続的に変化する(連続接合ともいう)バンド構造となる。
このようなエネルギーバンド構造を有する酸化物層830において、電子は主に金属酸化物膜822を移動することになる。そのため、金属酸化物膜821と絶縁層812との界面に、又は、金属酸化物膜824と絶縁層813との界面に準位が存在したとしても、これらの界面準位により、酸化物層830中を移動する電子の移動が阻害されにくくなるため、トランジスタ801のオン電流を高くすることができる。
また、図19に示すように、金属酸化物膜821と絶縁層816の界面近傍、および金属酸化物膜824と絶縁層817の界面近傍には、それぞれ、不純物や欠陥に起因したトラップ準位Et826e、Et827eが形成され得るものの、金属酸化物膜821、824があることにより、金属酸化物膜822をトラップ準位Et826e、Et827eから遠ざけることができる。
なお、Ec821eとEc822eとの差が小さい場合、金属酸化物膜822の電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位Et826eに達することがある。トラップ準位Et826eに電子が捕獲されることで、絶縁膜の界面にマイナスの固定電荷が生じ、トランジスタの閾値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。Ec822eとEc824eとのエネルギー差が小さい場合も同様である。
トランジスタ801の閾値電圧の変動が低減され、トランジスタ801の電気的特性を良好なものとするため、Ec821eとEc822eとの差、Ec824eとEc822eと差を、それぞれ0.1eV以上とすることが好ましく、0.15eV以上とすることがより好ましい。
なお、トランジスタ801はバックゲート電極を有さない構造とすることもできる。
<積層構造の例>
次に、OSトランジスタと他のトランジスタの積層によって構成される半導体装置の構造について説明する。
図20に、SiトランジスタであるトランジスタTr100と、OSトランジスタであるTr200と、容量素子C100と、が積層された半導体装置860の積層構造の例を示す。
半導体装置860は、CMOS層871、配線層W乃至W、トランジスタ層872、配線層W、Wの積層で構成されている。
CMOS層871には、トランジスタTr100が設けられている。トランジスタTr100のチャネル形成領域は、単結晶シリコンウエハ870に設けられている。トランジスタTr100のゲート電極873は、配線層W乃至Wを介して、容量素子C100の一方の電極875と接続されている。
トランジスタ層872には、トランジスタTr200が設けられている。図20では、トランジスタTr200がトランジスタ801(図18)と同様の構造を有する。トランジスタTr200のソース又はドレインの一方に相当する電極874は、容量素子C100の一方の電極875と接続されている。なお、図20には、トランジスタTr200がバックゲート電極を配線層Wに有する場合を例示している。また、配線層Wには、容量素子C100が設けられている。
以上のように、OSトランジスタとその他の素子を積層することにより、回路の面積を縮小することができる。
上記の構造は、実施の形態4において説明した半導体装置200などに適用することができる。例えば、図15におけるトランジスタTr11としてトランジスタTr100を用い、トランジスタTr12としてトランジスタTr200を用い、容量素子C11として容量素子C100を用いることができる。また、図16におけるトランジスタTr21又はTr24としてトランジスタTr100を用い、トランジスタTr22、Tr23、Tr25、又はTr26としてトランジスタTr200を用い、容量素子C21又はC22として容量素子C100を用いることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示部に用いることができる表示装置の構成例について説明する。
<表示装置の構成例1>
図21(A)に、表示部20に用いることが可能な表示装置400の構成例を示す。表示装置400は、画素部401、駆動回路402、及び駆動回路403を有する。
画素部401は、複数の画素pixによって構成され、図1における表示領域DSPに相当する。画素pixはそれぞれ、配線SL及び配線GLと接続されている。また、配線GLはそれぞれ駆動回路402と接続され、配線SLはそれぞれ駆動回路403と接続されている。配線GLには選択信号が供給され、配線SLには映像信号が供給される。
駆動回路402は、選択信号を画素pixに供給する機能を有する。具体的には、駆動回路402は、配線GLに選択信号を供給する機能を有し、配線GLは、駆動回路402から出力された選択信号を画素pixに伝える機能を有する。なお、配線GLは、選択信号線、ゲート線などと呼ぶこともできる。
駆動回路403は、映像信号を画素pixに供給する機能を有する。具体的には、駆動回路403は、配線SLに映像信号を供給する機能を有し、配線SLは、駆動回路403から出力された映像信号を画素pixに伝える機能を有する。なお、配線SLは、映像信号線、ソース線などと呼ぶこともできる。
図21(B)に、表示素子として発光素子を用いた画素pixの構成例を示す。図21(B)に示す画素pixは、トランジスタTr31、Tr32、容量素子C31、発光素子LEを有する。なお、ここではトランジスタTr31、Tr32をnチャネル型としているが、トランジスタの極性は適宜変更することができる。
トランジスタTr31のゲートは配線GLと接続され、ソース又はドレインの一方はトランジスタTr32のゲート、及び容量素子C31の一方の電極と接続され、ソース又はドレインの他方は配線SLと接続されている。トランジスタTr32のソース又はドレインの一方は容量素子C31の他方の電極、及び発光素子LEの一方の電極と接続され、ソース又はドレインの他方は電位Vaが供給される配線と接続されている。発光素子LEの他方の電極は、電位Vcが供給される配線と接続されている。トランジスタTr31のソース又はドレインの一方、トランジスタTr32のゲート、及び容量素子C31の一方の電極と接続されたノードを、ノードN31とする。また、トランジスタTr32のソース又はドレインの一方、及び容量素子C31の他方の電極と接続されたノードを、ノードN32とする。
ここでは、電位Vaを高電源電位とし、電位Vcを低電源電位とした場合について説明する。電位Va及び電位Vcはそれぞれ、複数の画素pixで共通の電位とすることができる。また、容量素子C31は、ノードN31の電位を保持するための保持容量としての機能を有する。
トランジスタTr31は、配線SLの電位のノードN31への供給を制御する機能を有する。具体的には、配線GLの電位を制御してトランジスタTr31をオン状態とすることにより、映像信号に対応する配線SLの電位がノードN31に供給され、画素pixの書き込みが行われる。その後、配線GLの電位を制御してトランジスタTr31をオフ状態とすることにより、ノードN31の電位が保持される。
そして、ノードN31、N32の間の電圧に応じてトランジスタTr32のソース−ドレインの間に流れる電流量が制御され、発光素子LEが当該電流量に応じた輝度で発光する。これにより、画素pixの階調を制御することができる。なお、トランジスタTr32は飽和領域で動作させることが好ましい。
また、図21(C)に、表示素子として液晶素子を用いた画素pixの構成例を示す。図21(C)に示す画素pixは、トランジスタTr33、容量素子C32、液晶素子LCを有する。なお、ここでは、トランジスタTr33をnチャネル型としているが、トランジスタの極性は適宜変更することができる。
トランジスタTr33のゲートは配線GLと接続され、ソース又はドレインの一方は液晶素子LCの一方の電極、及び容量素子C32の一方の電極と接続され、ソース又はドレインの他方は配線SLと接続されている。液晶素子LCの他方の電極は、電位Vcomが供給される配線と接続されている。容量素子C32の他方の電極は、所定の電位が供給される配線と接続されている。トランジスタTr33のソース又はドレインの一方、液晶素子LCの一方の電極、及び容量素子C32の一方の電極と接続されたノードを、ノードN33とする。
電位Vcomは、複数の画素pixで共通の電位とすることができる。なお、電位Vcomは、容量素子C32の他方の電極と接続された配線と同電位であってもよい。また、容量素子C32は、ノードN33の電位を保持するための保持容量としての機能を有する。
トランジスタTr33は、配線SLの電位のノードN33への供給を制御する機能を有する。具体的には、配線GLの電位を制御してトランジスタTr33をオン状態とすることにより、映像信号に対応する配線SLの電位がノードN33に供給され、画素pixの書き込みが行われる。その後、配線GLの電位を制御してトランジスタTr33をオフ状態とすることにより、ノードN33の電位が保持される。
液晶素子LCは、一対の電極と、一対の電極間の電圧が印加される液晶材料を含んだ液晶層と、を有する。液晶素子LCに含まれる液晶分子の配向は、一対の電極間に印加される電圧の値に応じて変化し、これにより液晶層の透過率が変化する。そのため、配線SLからノードN33に供給する電位を制御することにより、画素pixの階調を制御することができる。
上記の動作を配線GLごとに順次行うことにより、第1フレーム分の映像を表示することができる。
なお、配線GLの選択には、プログレッシブ方式を用いてもよいし、インターレース方式を用いてもよい。また、配線SLへの映像信号の供給は、配線SLに順次映像信号を供給する点順次駆動を用いて行ってもよいし、全ての配線SLに一斉に映像信号を供給する線順次駆動を用いて行ってもよい。また、複数の配線SLごとに順に、映像信号を供給してもよい。
その後、第2のフレーム期間において、第1のフレーム期間と同様の動作により、映像の表示が行われる。これにより、画素部401に表示される映像が書き換えられる。
画素pixが有するトランジスタに用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムなどの第14族の元素、ガリウムヒ素などの化合物半導体、有機半導体、金属酸化物などを用いることができる。また、半導体は、非単結晶半導体(非晶質半導体、微結晶半導体、多結晶半導体など)、であってもよいし、単結晶半導体であってもよい。
画素pixが有するトランジスタは、チャネル形成領域に非晶質半導体、特に、水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)を含むことが好ましい。非晶質半導体を用いたトランジスタは、基板の大面積化に対応することが容易であるため、例えば4K2K放送、又は8K4K放送などに対応可能な大画面の表示装置を作製する場合に、製造工程を簡略化することができる。
また、画素pixが有するトランジスタには、チャネル形成領域に金属酸化物を含むトランジスタ(OSトランジスタ)を用いることもできる。OSトランジスタは、水素化アモルファスシリコンを用いたトランジスタと比較して電界効果移動度が高い。また、多結晶シリコンを用いたトランジスタなどで必要であった結晶化の工程が不要である。
また、OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、トランジスタTr31としてOSトランジスタを用いる場合、画素pixに映像信号を極めて長期間にわたって保持することができる。これにより、画素部401に表示される映像に変化がない期間、又は変化が一定以下である期間において、映像信号の更新の頻度を極めて低く設定することができる。映像信号の更新の頻度は、例えば、0.1秒間に1回以下、又は、1秒間に1回以下、又は、10秒間に1回以下などに設定することができる。特に、4K2K放送、又は8K4K放送などなどに対応して画素pixが多数設けられる場合は、映像信号の更新を省略することによって消費電力を低減することは効果的である。
<表示装置の構成例2>
表示部20には、複数の表示パネルによって構成された表示装置を用いることもできる。図22に、複数の表示パネルDPを有する表示装置410の構成例を示す。
表示装置410が有する複数の表示パネルDPはそれぞれ、信号生成部30(図1参照)9から入力される映像信号に基づいて、映像を表示する機能を有する。図22には、N行M列(N、Mは自然数)の表示パネルDPを有する表示装置410を示している。なお、表示パネルDPはそれぞれ独立に表示を制御することができる。
複数の表示パネルDPを用いて1つの映像を表示することにより、映像の表示領域を拡大することができる。例えば、画面サイズが対角30インチ以上、40インチ以上、50インチ以上、または60インチ以上の表示部20を実現することができる。また、解像度がフルハイビジョン以上、例えば、4K2K、8K4K、又はそれ以上である、高解像度の表示部を実現することができる。
また、複数の表示パネルDPを用いて映像の表示が行われる場合、1つの表示パネルDPの大きさは大型である必要がない。したがって、表示パネルを作製するための製造装置の大型化が不要となる。また、中小型の表示パネルの製造装置を用いることができるため、大型の表示装置用の設備を別途準備する必要がなく、製造コストを抑えることができる。また、表示パネルの大型化に伴う歩留まりの低下を回避することができる。
信号生成部30で生成された信号SDはN×Mの信号SDdivに分割され、表示パネルDPにそれぞれ信号SDdivが供給される。そして、各表示パネルDPは信号SDdivに基づいて所定の映像を表示する。これにより、複数の表示パネルDPを用いて1つの映像が表示される。
また、表示パネルDPはそれぞれ、図21(A)に示す画素部401、駆動回路402、駆動回路403を有する。
表示装置410に複数の表示パネルDPが設けられる場合、隣接する表示パネルDP間において表示領域が連続するように、複数の表示パネルDPが配置されることが好ましい。表示パネルDPの構成例及び配置例を、図23に示す。
図23(A)に示す表示パネルDPは、表示領域421と、表示領域421に隣接して、可視光を透過する領域422と、可視光を遮光する領域423と、を備える。また、図23(A)では、表示パネルDPにFPC(Flexible Printed Circuit)424が設けられている例を示す。
表示領域421には、複数の画素pix(図示せず)が含まれる。また、領域422には、例えば表示パネルDPを構成する一対の基板、及び当該一対の基板に挟持された表示素子を封止するための封止材などが設けられていてもよい。このとき、領域422に設けられる部材には、可視光に対して透光性を有する材料を用いる。また、領域423には、例えば表示領域421に含まれる画素pixと接続された配線などを設けることができる。また、領域423には駆動回路402又は駆動回路403が設けられていてもよい。また、領域423にはFPC424と接続された端子や、当該端子と接続された配線等が設けられていてもよい。
図23(B)に、図23(A)に示す表示パネルDPの配置例を示す。ここでは一例として、隣接する4つの表示パネルDPa、DPb、DPc、DPdを示している。また、図23(C)は、4つの表示パネルを表示面側とは反対側から見たときの斜視概略図である。
表示パネルDPはそれぞれ、他の表示パネルDPと重なる領域を有するように配置されている。具体的には、一の表示パネルDPが有する可視光を透過する領域422が、他の表示パネルDPが有する表示領域421の上(表示面側)に重畳する領域を有するように、表示パネルDPa、DPb、DPc、DPdが配置されている。また、一の表示パネルDPが有する可視光を遮光する領域423が、他の表示パネルDPの表示領域421の上に重畳しないように、表示パネルDPa、DPb、DPc、DPdが配置されている。
より具体的には、表示パネルDPaの表示領域421aの短辺に沿った領域と、表示パネルDPbの領域422bの一部が重畳して設けられている。また、表示パネルDPaの表示領域421aの長辺に沿った領域と、表示パネルDPcの領域422cの一部が重畳して設けられている。また表示パネルDPdの領域422dは、表示パネルDPbの表示領域421bの長辺に沿った領域、及び表示パネルDPcの表示領域421cの短辺に沿った領域に重畳して設けられている。
このように、表示領域421上に可視光を透過する領域422を重畳させることにより、表示領域421の全体を表示面側から視認することが可能となる。これにより、表示領域421a、421b、421c、421dが、継ぎ目なく連続的に配置された領域を、表示装置410の表示領域425として用いることが可能となる。
なお、表示パネルDPに用いられる一対の基板が可撓性を有し、表示パネルDPが可撓性を有していることが好ましい。これにより、例えば図23(B)、(C)に示すように、FPC424aが設けられる側の表示パネルDPaの一部を湾曲させ、FPC424aを隣接する表示パネルDPbの表示領域421bの下側にまで重畳するように配置することができる。その結果、FPC424aを表示パネルDPbの裏面と物理的に干渉することなく配置することができる。また、表示パネルDPaと表示パネルDPbとを重ねて接着する際に、FPC424aの厚さを考慮する必要がないため、表示パネルDPbの領域422bの上面と、表示パネルDPaの表示領域421aの上面との高さの差を低減できる。その結果、表示領域421a上に位置する表示パネルDPbの端部が視認されてしまうことを抑制できる。
さらに、各表示パネルDPに可撓性を持たせることで、表示パネルDPbの表示領域421bにおける上面の高さを、表示パネルDPaの表示領域421aにおける上面の高さと一致するように、表示パネルDPbを緩やかに湾曲させることができる。そのため、表示パネルDPaと表示パネルDPbとが重畳する領域近傍を除き、各表示領域の高さを揃えることが可能で、表示領域425に表示する画像の表示品位を高めることができる。
なお、隣接する2つの表示パネルDP間の段差を軽減するため、表示パネルDPの厚さは薄いことが好ましい。例えば表示パネルDPの厚さを1mm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは100μm以下とすることが好ましい。
さらに、各表示パネルDPに可撓性を持たせることで、図1に示す曲面を有する表示領域DSPを複数の表示パネルDPを用いて形成することができる。例えば図24に示すように、可撓性を有する表示パネルDPを円柱状の柱430の曲面に沿って設けることにより、曲面を有する表示領域DSPを形成することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示装置の具体的な構成例について説明する。
表示装置300の構成例を、図25に示す。表示装置300は、発光素子を用いて映像を表示する機能を有する。
表示装置300は電極308を有しており、電極308はFPC309が有する端子と異方性導電層310を介して接続されている。また、電極308は、絶縁層307、絶縁層306、および絶縁層305に形成された開口を介して配線304と接続されている。電極308は、電極層341と同じ材料から形成されている。
基板301上に設けられた画素pixは、トランジスタTr32(図21(B)参照)を有している。また、トランジスタTr32は、絶縁層302上に設けられている。また、トランジスタTr32は、絶縁層302上に設けられた電極331を有し、電極331上に絶縁層303が形成されている。絶縁層303上に半導体層332が設けられている。半導体層332上に電極333及び電極334が設けられ、電極333及び電極334上に絶縁層305及び絶縁層306が設けられ、絶縁層305及び絶縁層306上に電極335が設けられている。電極333及び電極334は、配線304と同じ材料から形成されている。
トランジスタTr32において、電極331はゲート電極としての機能を有し、電極333はソース電極又はドレイン電極の一方としての機能を有し、電極334はソース電極又はドレイン電極の他方としての機能を有し、電極335はバックゲート電極としての機能を有する。
トランジスタTr32はボトムゲート及びバックゲートを有することで、オン電流を増大させることができる。また、トランジスタの閾値を制御することができる。なお、電極335は、製造工程を簡略化するため、場合によっては省略してもよい。
トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、第14族の元素(シリコン、ゲルマニウム等)、又は金属酸化物を用いることができる。代表的には、シリコンを含む半導体、ガリウムヒ素を含む半導体又はインジウムを含む金属酸化物などを適用できる。
トランジスタのチャネルが形成される半導体には、例えばシリコンを用いることができる。シリコンとして、特にアモルファスシリコンを用いることが好ましい。アモルファスシリコンを用いることで、大型の基板上に歩留り良くトランジスタを形成でき、量産性に優れる。
また、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどの結晶性を有するシリコンを用いることもできる。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
また、トランジスタのチャネルが形成される半導体として、特にシリコンよりもバンドギャップの大きな金属酸化物を用いることもできる。シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、トランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
シリコンよりもバンドギャップの大きな金属酸化物を用いたトランジスタは、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、各表示領域に表示した画像の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、極めて消費電力の低減された表示装置を実現できる。
金属酸化物は、例えば少なくともインジウム、亜鉛及びM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属)を含むIn−M−Zn系酸化物で表記される材料を含むことが好ましい。また、該半金属酸化物を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
スタビライザーとしては、例えば、ガリウム、スズ、ハフニウム、アルミニウム、またはジルコニウム等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等がある。
半導体層を構成する金属酸化物として、例えば、In−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
なお、ここで、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、半導体層と導電層は、上記酸化物のうち同一の金属元素を有していてもよい。半導体層と導電層を同一の金属元素とすることで、製造コストを低減させることができる。例えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることで、製造コストを低減させることができる。また半導体層と導電層を加工する際のエッチングガスまたはエッチング液を共通して用いることができる。ただし、半導体層と導電層は、同一の金属元素を有していても、組成が異なる場合がある。例えば、トランジスタ及び容量素子の作製工程中に、膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある。
半導体層を構成する金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上であることが好ましい。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
半導体層を構成する金属酸化物がIn−M−Zn酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、4:2:4.1等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
半導体層には、キャリア密度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×1017/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下、さらに好ましくは1×1013/cm以下、より好ましくは1×1011/cm以下、さらに好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10−9/cm以上のキャリア密度の金属酸化物を用いることができる。このような半導体層は、不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、安定な特性を有する。
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
半導体層を構成する金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう場合がある。このため、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とすることが好ましい。
また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、金属酸化物と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にすることが好ましい。
また、金属酸化物は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高い。
非晶質構造の金属酸化物は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
なお、金属酸化物が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
なお、上記の半導体材料は、トランジスタTr32の他、図21(B)におけるトランジスタTr31、図21(C)におけるトランジスタTr33に用いることもできる。
また、表示装置300は、容量素子C31を有する。容量素子C31は、電極334と電極336が絶縁層303を介して重なる領域を有する。電極336は、電極331と同じ材料から形成されている。
図25は、表示素子としてEL素子などの発光素子を用いた表示装置の一例である。EL素子は有機EL素子と無機EL素子に区別される。
有機EL素子は、電圧を印加することにより、一方の電極から電子、他方の電極から正孔がそれぞれEL層に注入される。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。なお、EL層は、発光性の化合物以外に、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)などを有していてもよい。EL層は、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法などの方法で形成することができる。
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。
図25は、発光素子LEとして有機EL素子を用いた例を説明する。
図25において、発光素子LEは、画素pixに設けられたトランジスタTr32と接続されている。なお発光素子LEは、電極層341、発光層342、電極層343の積層によって構成されているが、この構成に限定されない。発光素子LEから取り出す光の方向などに合わせて、発光素子LEの構成は適宜変えることができる。
隔壁344は、有機絶縁材料、又は無機絶縁材料を用いて形成する。特に感光性の樹脂材料を用い、電極層341上に開口部を形成し、その開口部の側面が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
発光層342は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
発光素子LEに酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、電極層343および隔壁344上に保護層を形成してもよい。保護層としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、DLC(Diamond Like Carbon)などを形成することができる。また、基板301、基板312、及びシール材311によって封止された空間には充填材345が設けられ密封されている。このように、外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
充填材345としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)などを用いることができる。また、充填材345に乾燥剤が含まれていてもよい。
シール材311には、ガラスフリットなどのガラス材料や、二液混合型の樹脂などの常温で硬化する硬化樹脂、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂などの樹脂材料を用いることができる。また、シール材311に乾燥剤が含まれていてもよい。
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
また、発光素子をマイクロキャビティ構造とすることで、色純度の高い光を取り出すことができる。また、マイクロキャビティ構造とカラーフィルタを組み合わせることで、映り込みが低減し、表示画像の視認性を高めることができる。
電極層341、電極層343は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、インジウム錫酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
また、電極層341、電極層343はタングステン(W)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)などの金属、またはその合金、もしくはその金属窒化物から一種以上を用いて形成することができる。
また、電極層341、電極層343として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、もしくは、アニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体またはその誘導体等が挙げられる。
発光素子LEが光を外部に取り出すため、少なくとも電極層341または電極層343の一方が透明であればよい。表示装置は、光の取り出し方によって、上面射出(トップエミッション)構造と、下面射出(ボトムエミッション)構造と、両面射出(デュアルエミッション)構造に分類される。上面射出構造は、基板312側から光を取り出す場合をいう。下面射出構造は、基板301側から光を取り出す場合をいう。両面射出構造は、基板312側と基板301側の両方から光を取り出す場合をいう。例えば、上面射出構造の場合、電極層343を透明にすればよい。例えば、下面射出構造の場合、電極層341を透明にすればよい。例えば、両面射出構造の場合、電極層341及び電極層343を透明にすればよい。
図26は、図25に示すトランジスタTr32として、トップゲート型のトランジスタを設けた場合の断面図を示している。図26のトランジスタTr32において、電極331はゲート電極としての機能を有し、電極333はソース電極またはドレイン電極の一方としての機能を有し、電極334はソース電極またはドレイン電極の他方としての機能を有する。
図26のその他の構成要素の詳細については、図25の記載を参照すればよい。
図25、図26に示すように、表示素子として発光素子が用いられている場合、表示装置300は発光装置と呼ぶこともできる。また、本実施の形態では、表示素子として発光素子を用いた場合について説明したが、図21(C)に示すように、表示素子として液晶素子を用いることもできる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したOSトランジスタに用いることができる、金属酸化物について説明する。以下では特に、金属酸化物とCAC(Cloud−Aligned Composite)の詳細について説明する。
CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC−OSまたはCAC−metal oxideを、トランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC−OSまたはCAC−metal oxideに付与することができる。CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC−OSまたはCAC−metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
すなわち、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
CAC−OSは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OS(CAC−OSの中でもIn−Ga−Zn酸化物を、特にCAC−IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2Z2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4Z4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2Z2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
つまり、CAC−OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1−x0)(ZnO)m0(−1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC(c−axis aligned crystal)構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
一方、CAC−OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC−OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC−OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
なお、CAC−OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC−OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
CAC−OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC−OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
CAC−OSは、X線回折(XRD:X−ray diffraction)測定法のひとつであるOut−of−plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領域のa−b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
またCAC−OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点が観測される。従って、電子線回折パターンから、CAC−OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano−crystal)構造を有することがわかる。
また例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
CAC−OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC−OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
ここで、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
従って、CAC−OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
また、CAC−OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC−OSは、さまざまな半導体装置に最適である。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図面を参照して説明する。
以下で例示する電子機器には、上記実施の形態で説明した表示部20及び信号生成部30を搭載することができる。これにより、高品質な映像を表示可能な電子機器を提供することができる。
また、以下で例示する電子機器の表示部には、上記実施の形態で説明した表示部を用いることができる。これにより、曲面を有する表示領域に映像が表示される電子機器を構成することができる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
図27(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
表示部7000に、本発明の一態様の表示部を適用することができる。
図27(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることで操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図27(B)に、ノート型パーソナルコンピュータ7200を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
表示部7000に、本発明の一態様の半導体装置を適用することができる。
図28(A)、(B)に、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)の一例を示す。
図28(A)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
また、図28(B)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
図28(A)、(B)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示部を適用することができる。
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
また、図28(A)、(B)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
また、本発明の一態様に係る表示システムは、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、または、車両の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。図29に、本発明の一態様に係る表示システムの車両への搭載例を示す。
図29に、表示部5001を備えた車両の構成例を示す。表示部5001として、本発明の一態様に係る表示システムの表示部を用いることができる。なお、図29には表示部5001が右ハンドルの車両に搭載された例を示すが、特に限定されず、左ハンドルの車両に搭載することもできる。この場合、図29に示す構成の左右の配置が替わる。
図29には、運転席と助手席の周辺に配置されるダッシュボード5002、ハンドル5003、フロントガラス5004などを示している。表示部5001は、ダッシュボード5002の所定の位置、具体的には運転者の回りに配置され、概略T字形状を有する。図29には、複数の表示パネル5007(表示パネル5007a、5007b、5007c、5007d)を用いて形成される1つの表示部5001を、ダッシュボード5002に沿って設けた例を示しているが、表示部5001は複数箇所に分けて配置してもよい。
なお、複数の表示パネル5007は可撓性を有していてもよい。この場合、表示部5001を複雑な形状に加工することができ、表示部5001をダッシュボード5002などの曲面に沿って設ける構成や、ハンドルの接続部分、計器の表示部、送風口5006などに表示部5001の表示領域を設けない構成などを容易に実現することができる。
また、後側方の状況を撮影するカメラ5005を車外に複数設けてもよい。図29においてはサイドミラーの代わりにカメラ5005を設置する例を示しているが、サイドミラーとカメラの両方を設置してもよい。
カメラ5005としては、CCDカメラやCMOSカメラなどを用いることができる。また、これらのカメラに加えて、赤外線カメラを組み合わせて用いてもよい。赤外線カメラは、被写体の温度が高いほど出力レベルが高くなるため、人や動物等の生体を検知又は抽出することができる。
カメラ5005で撮像された画像は、表示パネル5007のいずれか一または複数に出力することができる。この表示部5001を用いて主に車両の運転を支援する。カメラ5005によって後側方の状況を幅広い画角で撮影し、その画像を表示パネル5007に表示することで、運転者の死角領域の視認が可能となり、事故の発生を防止することができる。
また、車のルーフ上などに距離画像センサを設け、距離画像センサによって得られた画像を表示部5001に表示してもよい。距離画像センサとしては、イメージセンサやライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)などを用いることができる。イメージセンサによって得られた画像と、距離画像センサによって得られた画像とを表示部5001に表示することにより、より多くの情報を運転手に提供し、運転を支援することができる。
また、表示部5001は、地図情報、交通情報、テレビ映像、DVD映像などを表示する機能を有していてもよい。例えば、表示パネル5007a、5007b、5007c、及び5007dを1つの表示画面として、地図情報を大きく表示することができる。なお、表示パネル5007の数は、表示される映像に応じて増やすことができる。
また、表示パネル5007a、5007b、5007c、及び5007dに表示される映像は、運転手の好みによって自由に設定することができる。例えば、テレビ映像、DVD映像を左側の表示パネル5007dに表示し、地図情報を中央部の表示パネル5007bに表示し、計器類を右側の表示パネル5007cに表示し、オーディオ類を変速ギア近傍(運転席と助手席の間)の表示パネル5007aに表示することができる。また、複数の表示パネル5007を組み合わせることにより、表示部5001にフェールセーフの機能を付加することができる。例えば、ある表示パネル5007が何らかの原因で故障したとしても、表示領域を変更し、他の表示パネル5007を用いて表示を行うことができる。
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
10 表示システム
11 表示システム
20 表示部
30 信号生成部
40 演算部
100 演算装置
110 処理装置
111 演算部
112 記憶部
113 伝送路
114 インターフェース
120 入出力装置
121 表示部
122 操作部
123 入出力部
124 通信部
200 半導体装置
210 記憶回路
220 参照用記憶回路
230 回路
240 回路
250 電流源回路
300 表示装置
301 基板
302 絶縁層
303 絶縁層
304 配線
305 絶縁層
306 絶縁層
307 絶縁層
308 電極
309 FPC
310 異方性導電層
311 シール材
312 基板
331 電極
332 半導体層
333 電極
334 電極
335 電極
336 電極
341 電極層
342 発光層
343 電極層
344 隔壁
345 充填材
400 表示装置
401 画素部
402 駆動回路
403 駆動回路
410 表示装置
421 表示領域
422 領域
423 領域
424 FPC
425 表示領域
430 柱
801 トランジスタ
811 絶縁層
812 絶縁層
813 絶縁層
814 絶縁層
815 絶縁層
816 絶縁層
817 絶縁層
818 絶縁層
819 絶縁層
820 絶縁層
821 金属酸化物膜
822 金属酸化物膜
822n 領域
823 金属酸化物膜
824 金属酸化物膜
830 酸化物層
850 導電層
851 導電層
852 導電層
853 導電層
860 半導体装置
870 単結晶シリコンウエハ
871 CMOS層
872 トランジスタ層
873 ゲート電極
874 電極
875 電極
5001 表示部
5002 ダッシュボード
5003 ハンドル
5004 フロントガラス
5005 カメラ
5006 送風口
5007 表示パネル
7000 表示部
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 スタンド
7111 リモコン操作機
7200 ノート型パーソナルコンピュータ
7211 筐体
7212 キーボード
7213 ポインティングデバイス
7214 外部接続ポート
7300 デジタルサイネージ
7301 筐体
7303 スピーカ
7311 情報端末機
7400 デジタルサイネージ
7401 柱
7411 情報端末機

Claims (7)

  1. 曲面を有する表示領域に映像信号を供給する機能を有する半導体装置であって、
    取得部と、変換部と、映像信号生成部と、を有し、
    前記取得部は、画像データを生成する機能と、前記画像データに対応する階調が表示される座標(u´,v´)を抽出する機能と、を有し、
    前記変換部は、前記曲面を有する表示領域に表示される映像の歪みを緩和するように、前記座標(u´,v´)を座標(u,v)に変換する機能を有し、
    前記映像信号生成部は、前記画像データ及び前記座標(u,v)に基づいて前記映像信号を生成する機能を有し、
    前記変換部は、ニューラルネットワークを有し、
    前記ニューラルネットワークの入力層には、前記座標(u´,v´)が入力され、
    前記ニューラルネットワークの出力層から、前記座標(u,v)が出力される半導体装置。
  2. 請求項1において、
    前記ニューラルネットワークは、外部から入力された重み係数を格納する機能を有する半導体装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記変換部は、前記ニューラルネットワークを複数有し、
    前記変換部は、複数の前記ニューラルネットワークによって、前記座標(u´,v´)の変換を並列で行う機能を有する半導体装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記ニューラルネットワークは、積和演算素子を有し、
    前記積和演算素子は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、容量素子と、を有する記憶回路を有し、
    前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のトランジスタのゲート及び前記容量素子と電気的に接続され、
    前記第1のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有する半導体装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置によって構成された信号生成部と、表示部と、を有し、
    前記表示部は、前記表示領域を有し、
    前記表示領域は、複数の画素を有し、
    前記画像データは、前記画素に表示される階調に対応するデータであり、
    前記表示領域は、前記映像信号に基づいて映像を表示する機能を有する表示システム。
  6. 請求項5において、
    前記表示部は、表示パネルを有し、
    前記表示パネルは、可撓性を有する表示システム。
  7. 請求項5又は6に記載の表示システムが搭載された電子機器。
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