JP2018150963A - デフケースとリングギヤの溶接構造 - Google Patents

デフケースとリングギヤの溶接構造 Download PDF

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Abstract

【課題】リングギヤとデフケース本体を溶接によって結合する際に生じる残留応力を低減する。【解決手段】本発明の溶接構造は、リングギヤ(10)のリング部(11)の内周面と、デフケース(20)のフランジ部(22)の環状突条(22a)の外周面を結合する溶接部(60)を備え、該溶接部は、軸線(O)方向他方から一方に向かう程、径方向厚みが大きくなる開先形状であり、環状突条の内周面(22a1)とフランジ部の軸線方向一方端面(25)とケース部(21)の軸線方向一方領域における外周面は、軸線方向一方へ開口する凹部(B)を区画する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば車両の左右輪を駆動するディファレンシャルギヤ装置のように、軸線方向一方の出力回転と軸線方向他方の出力回転に回転差を与える差動装置に関する。
差動装置は、デフケースに設けられるリングギヤから回転を入力されて、デフケースの回転軸線と同軸に延びる1対の出力軸へ回転を出力する。溶接でリングギヤをデフケースに取付固定する構造は、例えば、特開2016−98847号公報(特許文献1)に開示されている。
特許文献1は差動装置の軽量化を目的とするものであって、特許文献1のデフケースは第1ケースおよび第2ケースを含み、第1ケースの第1フランジ部は厚肉に形成され、第2ケースの第2フランジ部は薄肉に形成される。厚肉の第1フランジ部と薄肉の第2フランジ部はデフケースの周方向に交互に並ぶように配置され、第1フランジ部はリングギヤのハブ部に軸方向に深く溶接され、第2フランジ部は軸方向に浅く溶接される。特開2015−124874号公報(特許文献2)も略同様の取り付け構造を有する。
国際公開第WO2013/018223号(特許文献3)は、溶接品質の向上を目的とするものであって、特許文献3のリングギヤとデフケースのフランジとの間に圧入部と第1空洞部と第2空洞部とこれらの空洞部を連通する切欠き溝を設け、フランジには第2空洞部と接続する貫通孔を設け、リングギヤとデフケースは中心軸方向の両側から溶接される。つまり特許文献3のリングギヤとフランジは2列の溶接ビードで溶接される。
特開2011−231782号公報(特許文献4)のリングギヤとフランジも2列の溶接ビードで溶接される。ただし2列の溶接ビードは内径側および外径側に段違いに配設される。
特開2016−98847号公報 特開2015−124874号公報 国際公開第WO2013/018223号 特開2011−231782号公報
従来の溶接部は、外径側のリングギヤと内径側のデフケースとの間で溶接金属が全周に亘って凝固したものであり、半径方向に開いた開先形状にされる。また従来は、デフケースの剛性を大きくするため、デフケースのフランジが肉厚にされ、溶接部の軸線方向寸法が大きくされる。
従来の溶接構造にあっては、改善すべき点があることを本発明者は見いだした。つまり従来は、リングギヤとデフケースとの溶接完了後に溶接部が冷却すると溶接中の熱による残留応力が溶接金属に集中するという問題につき何ら考慮されていなかった。溶接中の熱は、冷却によって凝固した溶接金属に引っ張り力が作用する原因となる。このため、デフケースの剛性が大きい場合や溶接金属の引っ張り耐力が小さい場合、溶接部に溶接歪や割れが発生する虞がある。そうすると差動装置の強度および耐久性が低下してしまう。また溶接部の割れは微小なため発見が困難であり、検品によって不良品を除去できない場合も想定される。さらに割れが生じない場合でも残留応力が高くディファレンシャルギヤ装置の使用中に、トルクの応力が加わって溶接部の割れが発生する懸念がある。このため溶接部の残留応力を低減する技術が望まれる。
本発明は、上述の実情に鑑み、差動装置においてリングギヤとデフケースの溶接部の残留応力を低減する技術を提供することを目的とする。
この目的のため本発明によるデフケースとリングギヤの溶接構造は、同軸配置される1対のサイドギヤに回転差を与えるディファレンシャルギヤ装置に用いられ、1対のサイドギヤおよび1対のサイドギヤと噛合するデフピニオンを収容するための空間を区画するケース部、ケース部の軸線方向一方領域から外径方向に広がるフランジ部、およびフランジ部の外縁部よりも内径側に一体形成されて軸線方向一方へ突出する環状突条を有するデフケースと、リング部およびリング部に形成されて周方向に整列する多数のギヤ歯を有し、リング部の内周面が環状突条の外周面と対面するとともにリング部の軸線方向端面がフランジ部の外縁部と当接するリングギヤと、環状突条の外周面およびリング部の内周面を結合する溶接部とを備える。そして溶接部はケース部の軸線方向他方から一方に向かう程、径方向厚みが大きくなる開先形状であり、環状突条の内周面とフランジ部の軸線方向一方端面とケース部の軸線方向一方領域における外周面は、軸線方向一方へ開口する凹部を区画する。
かかる本発明によれば、凹部を大きくし、フランジ部を薄肉にし、環状突条の径方向厚みを小さくして、凝固した溶接金属に発生する残留応力を低減することができる。したがって、溶接部に割れが発生することを防止できる。また環状突条とフランジ部を一体形成することから、フランジ部の外縁部が補強リブの役目を果たす。したがってフランジ部の剛性が大きくなり、デフケースおよびリングギヤを結合してなる結合体の強度を確保することができ、ディファレンシャルギヤ装置に要求されるトルク伝達能力、耐久性、および信頼性を確保することができる。傘歯車や平歯車や外歯歯車や内歯歯車等、リングギヤのギヤ歯の配列は特に限定されない。
環状突条の径方向厚み寸法と、溶接部の軸線方向寸法と、フランジ部からみた環状突条の立設高さ(軸線方向寸法)は特に限定されない。本発明の好ましい実施形態として、溶接部の軸線方向寸法wと、溶接部の開先中心から環状突条の内周面までの径方向寸法tと、フランジ部の軸線方向一方端面と環状突条の内周面との交差箇所から環状突条の軸線方向一方端までの軸線方向寸法hは、t≦w≦hの関係を満たす。かかる実施形態によれば、溶接部に生じる溶接残留応力の低減と、デフケースの剛性の向上と、デフケースの軽量化を同時に実現することができる。
本発明の好ましい実施形態として、ケース部およびフランジ部は一体形成される。かかる実施形態によれば、ケース部およびフランジ部をボルト等で締結する構造と比較してデフケースの軽量化と剛性の向上を図ることができる。
デフケースの軸線に関し、デフケースのフランジ部はケース本体から外径方向直角に張り出していてもよいし、あるいは外径方向に傾斜して張り出していてもよい。本発明のさらに好ましい実施形態として、フランジ部は内径側から外径側に向かうにつれて軸線方向一方へ傾斜する。かかる実施形態によればフランジ部は中空の円錐形状となり、リングギヤおよびフランジ部の結合体に対して軽量化と剛性の向上を図ることができる。
本発明のさらに好ましい実施形態としてデフケースは、環状突条の内周面とフランジ部の軸線方向一方端面とケース部の軸線方向一方領域の外周面に形成されるリブをさらに有する。かかる実施形態によれば環状突条とフランジ部とケース部の軸線方向一方領域はリブによって一体結合するので、デフケースの剛性が益々大きくなり、ディファレンシャルギヤ装置1の耐久性が向上する。リブの延在方向、本数、間隔、および配置は特に限定されないが、好ましくはデフケースの軸線から放射状に延びる。フランジ部の軸線方向一方端面からみてリブの高さは特に限定されないが、好ましくは凹部の深さよりも低く、この場合にリブは凹部の中に収容される。本発明の他の実施形態として、リブは環状突条の内周面からフランジ部の軸線方向一方端面まで延び、ケース部の軸線方向一方領域の外周面と結合しない。あるいはリブは、フランジ部の軸線方向一方端面からケース部の軸線方向一方領域の外周面まで延び、環状突条の内周面と結合しない。
このように本発明によれば、差動装置においてリングギヤとデフケースの溶接部の残留応力を低減することができる。したがって溶接部に割れが発生せず、不良品を防止することができる。
本発明の一実施形態を示すディファレンシャルギヤ装置の縦断面図である。 同実施形態のリングギヤとデフケースの結合体を示す斜視図である。 リングギヤとデフケースの溶接構造における各寸法を示す拡大縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態になるディファレンシャルギヤ装置1の縦断面図であり、ディファレンシャルギヤ装置1の回転軸線O(以下、単に軸線Oという)を含む平面でディファレンシャルギヤ装置1を切断した切断面を表す。ディファレンシャルギヤ装置1は、リングギヤ10と、デフケース20と、ピニオンシャフト30と、デフピニオン40と、サイドギヤ50とを備えている。
リングギヤ10は、図示しない駆動源から回転が入力される。具体的には図示はしなかったが、リングギヤ10は、入力軸の端部と結合するドライブピニオンに噛み合うように配置される。リングギヤ10は、軸線Oを中心に回転する。
このリングギヤ10は、詳しくは後述するが、デフケース20の軸線O方向一方領域に取付固定されている。デフケース20は、図示しなかったが、軸受を介してデフキャリアまたは変速機ケースに回転可能に支持されている。以下の説明において、図中の紙面左側を軸線O方向一方ともいい、図中の紙面右側を軸線O方向他方ともいう。
デフケース20の内部空間にはピニオンシャフト30、一対のデフピニオン40、および一対のサイドギヤ50が配置されている。ピニオンシャフト30は、一対のデフピニオン40およびデフケース20を貫通するように真っ直ぐ延び、デフケース20の回転中心になる軸線Oと直交する。ピニオンシャフト30は両端でデフケースに支持される。またピニオンシャフト30は一対のデフピニオン40を回転自在に枢支する。
一対のデフピニオン40は傘歯車であり、正面合わせで互いに対向する。一対のサイドギヤ50も傘歯車であり、互いに対向するよう正面合わせで同軸配置され、軸線Oを中心として回転する。一対のサイドピニオン50は一対のデフピニオン40に噛み合う。なお図示しない変形例として、デフピニオン40は1個であってもよく、個数を限定されない。
デフケース20の軸線O方向両端には1対の貫通孔23,24が形成される。貫通孔23,24には図示しない出力軸が通される。各出力軸の端部は各サイドギヤ50と嵌合する。また図示はしなかったがデフケース20には、デフピニオン40およびサイドギヤ50をデフケース20の内部空間に組み込むための開口が形成される。
リングギヤ10から回転を入力されると、通常状態でディファレンシャルギヤ装置1全体は軸線Oを中心として一体回転し、一対のデフピニオン40は相対回転せず、一対のサイドピニオン50も相対回転しない。これにより1対のサイドギヤ50は等速回転し、ディファレンシャルギヤ装置1は上述した1対の出力軸に等速回転を出力する。これに対しいずれか一方の出力軸が回転数を規制される等の理由により1対のサイドギヤ50に回転差が与えられると、デフピニオン40が自転して、1対のサイドギヤ50に高回転および低回転をそれぞれ出力する。
次にデフケース20とリングギヤ10の溶接構造につき説明する。
デフケース20は、内部空間を区画する殻状のケース部21と、ケース部21の軸線O方向一方領域から外径方向に広がるフランジ部22を含む。ケース部21とフランジ部22は一体形成されることから、デフケース20は組立体ではなく一部品である。
ピニオンシャフト30はケース部21の軸線O方向中央に配置される。ケース部21の軸線O方向一方領域とは、ケース部21のうちピニオンシャフト30よりも軸線O方向一方側の領域をいう。
フランジ部22は軸線O方向一方端面25および他方端面26を有する。一方端面25は凹部Bを区画する。フランジ部22の他方端面26は、内径側から外径側に向かうにつれて軸線O方向一方となるよう傾斜する。他方端面26とケース部21の軸線O方向中央の外周面は曲面Cで滑らかに接続する。これによりフランジ部22の内縁部とケース部21の軸線O方向一方領域との結合部分Aは、フランジ部22の径方向中央領域よりも厚肉にされ、デフケース20の剛性が大きくなる。なお凹部Bはフランジ部22を薄肉にすることから、肉抜き部ともいう。軸線Oを含む平坦な切断面において、曲面Cは凹状の円弧を描く。
他方端面26とケース部21の軸線O方向中央の外周面とがなす角度θは、図1に示すように鈍角であり、好ましくは100°≦θ≦150°の範囲に含まれる所定値である。かかる本実施形態によれば結合部分A(立上り部)にかかる応力を分散することができ、デフケース20の剛性及び強度をより向上できる。本実施形態ではθ=115°である。角度θは、軸線Oに対するフランジ部22の傾斜角を表す。
なお90°<θ<100°の場合、フランジ部22が円錐形状というよりも円板形状になってしまうことからフランジ部22を薄肉にすると剛性を確保することが困難となり好ましくない。あるいは150°<θ<180°の場合、フランジ部22において必要な外径寸法を確保し難くなり、好ましくない。図示しない変形例として、フランジ部22は軸線Oに直角な円板であってもよい(θ=90°)。
一方端面25から他方端面26までの寸法、つまりフランジ部22の厚みは、外径側部分および内径側部分を除き一定である。フランジ部22の外径側部分および内径側部分は、厚み一定の径方向中央領域よりも厚肉にされる。具体的にはフランジ部22の一方端面25には環状突条22aが立設される。
環状突条22aは、フランジ部22の外縁部22cよりも内径側に配置され、外縁部22cよりも軸線O方向一方へ突出し、フランジ部22の全周に亘って延びて軸線Oを包囲する。また環状突条22aは、リングギヤ10のリング部11に包囲される。リングギヤ10は、リング部11の外径側に形成される多数のギヤ歯10tを有する平歯車あるいははすば歯車である。図示しない変形例としてリングギヤ10は傘歯車であってもよい。リング部11は、ギヤ歯10tの歯底部分10gから内径側に突出する内向きフランジである。歯底部分10gは、リムのように全周に亘って延びる。ギヤ歯10tと歯底部分10gとリング部11は一体形成される。図1に示すようにリング部11は、ギヤ歯10tの歯幅よりも小さな厚み寸法を有し、軸線Oに対して直角な環状の平板であり、リングギヤ10の軸線O方向中央部に配置される。リングギヤ10のギヤ歯10tおよび歯底部分10gの断面とリング部11の断面は、図1に示すようにT字状である。
環状突条22aの外周面とリング部11の内周面は、溶接部60で接合される。溶接部60は、溶接作業によって軸線O方向一方から環状突条22aの外周面とリング部11の内周面との隙間で溶接金属が凝固したものであり、リングギヤ10およびデフケース20の全周に亘って延びる。溶接部60はケース部21の軸線O方向他方から一方に向かう程、径方向厚みが大きくなる開先形状である。
ここでリングギヤ10とデフケース20の接合方法につき附言する。両者の接合は、まずリングギヤ10の中心孔にデフケース20を圧入する圧入工程と、次に両者をレーザ溶接する溶接工程によって実現される。
デフケース20のフランジ部22にあっては、環状突条22aの外周面が、軸線O方向他方(根元側)から一方(先端側)に向かって先細となるテーパに形成される。また環状突条22aは根元側でフランジ状の外縁部22cと一体結合する。リングギヤ10にあっては、リング部11の内周面が軸線O方向他方から一方に向かって拡径するテーパ孔に形成される。
まず圧入工程では、リングギヤ10の中心孔に、軸線O方向一方から環状突条22aを圧入し、外縁部22cを全周に亘ってリング部11に突き当てる。そうすると上述したリング部11の内周面の軸線O方向他方端が環状突条22aの外周面の軸線O方向他方端に全周に亘って嵌合し、リングギヤ10とデフケース20の軸線同士が一致して軸線Oを構成し、リングギヤ10はデフケース20に対して位置決めされる。このときリング部11の内周面の軸線O方向一方端と環状突条22aの外周面の軸線O方向一方端は隙間を介して対面してもよい。
次の溶接工程では、リング部11の内周面および環状突条22aの外周面に対して、軸線O方向一方からレーザ溶接を施す。レーザ溶接は所定の周方向位置から周方向に実行され、当該所定の周方向位置に帰着するまで360°全周に対して施される。これによりリング部11の内周面および環状突条22aの外周面は、両者の対向領域全体に亘って溶け込み、溶金部が形成される。かかる溶金部は、図面において溶接部60として表される。
リング部11の軸線O方向他方端面12は、フランジ部22の外縁部22cと軸線O方向に当接する。リング部11の軸線O方向一方端面13は環状突条22aの先端面と共通な平面を構成する。ただし、この共通平面からみて、リング部11と環状突条22aの境界をなす溶接部60は盛り上がるため、一方端面13と環状突条22aの先端面は不連続になる。外縁部22cはデフケース20の全周に亘って延びることが好ましいが、周方向一部が間欠していてもよい。
図2はリングギヤ10とデフケース20の溶接構造の外観を示す斜視図であり、ケース部21の軸線O方向他方領域とリングギヤ10の各歯を図略し、リングギヤ10の歯先円を一点鎖線で表す。
内周面22a1と、フランジ部22の一方端面25と、ケース部21の軸線方向一方領域における外周面は、軸線方向一方へ開口する凹部Bを区画する。フランジ部22の一方端面25およびケース部21の外周面には複数のリブ27が形成される。リブ27は軸線Oを中心として放射状に延びる突条であり、凹部Bに収容される。
ところで本実施形態のデフケース20は、同軸配置される1対のサイドギヤ50,50に回転差を与えるディファレンシャルギヤ装置1に用いられ、1対のサイドギヤ50,50および1対のサイドギヤ50,50と噛合するデフピニオン40,40を収容するための空間を区画するケース部21と、ケース部21の軸線O方向一方領域から外径方向に広がるフランジ部22と、フランジ部22の外縁部22cよりも内径側に一体形成されて軸線O方向一方へ突出する環状突条22aと、リング部11およびリング部11に形成されて周方向に整列する多数のギヤ歯10tを有し、リング部11の内周面が環状突条22aの外周面と対面するとともにリング部11の軸線O方向端部がフランジ部22の外縁部22cと当接するリングギヤ10と、環状突条22aの外周面およびリング部11の内周面を結合する溶接部60とを備え、溶接部60はケース部21の軸線O方向他方から一方に向かう程、径方向厚みが大きくなる開先形状であり、環状突条22aの内周面22a1とフランジ部22の軸線O方向一方端面25とケース部21の軸線O方向一方領域における外周面は、軸線O方向一方へ開口する凹部Bを区画する。かかる実施形態によれば、凹部Bを大きくし、フランジ部22を薄肉にし、環状突条22aの径方向厚みを小さくして、溶接部60に生じる溶接残留応力を低減することができる。したがって溶接部60の溶接割れを防止することができる。
また本実施形態によれば、溶接部60の軸線方向寸法を長くし、フランジ部22の内径側領域と環状突条22aと外縁部22cを一体形成してフランジ部22の剛性を大きくできることから、デフケース20およびリングギヤ10を結合してなる結合体の強度を確保することができ、ディファレンシャルギヤ装置1に要求されるトルク伝達能力、耐久性、および信頼性を確保することができる。
また本実施形態によれば、ケース部21およびフランジ部22は一体形成されることから、ケース部21およびフランジ部22をボルト等で締結する構造と比較してデフケース20の軽量化と剛性の向上を図ることができる。
また本実施形態によれば、フランジ部22は傾斜角θで、内径側から外径側に向かうにつれて軸線O方向一方へ傾斜することから、フランジ部22は中空の円錐形状になり、フランジ部22の軽量化と剛性の向上を図ることができる。
また本実施形態によれば、環状突条22aの内周面22a1とフランジ部22の一方端面25とケース部21の軸線O方向一方領域の外周面に形成されるリブ27をさらに有する。これによりデフケース20の剛性が益々大きくなり、ディファレンシャルギヤ装置1の耐久性が向上する。
次に本発明のフランジ部の各寸法を詳細に説明する。
図3はリングギヤ10とデフケース20の溶接構造を示す拡大縦断面図である。溶接部60は、ケース部21の軸線方向他方から一方に向かう程、径方向厚みが大きくなる開先形状である。また溶接部60は、フランジ部22の全周に亘って延びる。フランジ部22の一方端面25と環状突条22aの内周面22a1は曲面Dで滑らかに接続する。内周面22a1は略円筒面である。すなわち軸線Oに対して勾配0°の円筒面であってもよいし、あるいは僅かな勾配(0.5°から5°までの範囲に含まれる勾配)を有するテーパ孔面であってもよい。本実施形態では1.5°の勾配を設ける。軸線Oを含む平坦な切断面において、曲面Dは凹状の円弧を描く。
外縁部22cの軸線O方向一方端面は、外径側で平坦面22bとされ、内径側で肉ヌスミ22dとされ、環状突条22aの外周面と、肉ヌスミ22dと、平坦面22bは、この順序で連続する。平坦面22bは、リング部11の軸線O方向他方端面12と面接触する。
軸線Oを含む切断面において、溶接部60の開先中心Gは、図3に一点鎖線で示す直線であり、軸線Oと平行である。溶接部60の軸線O方向他端における開先中心Gから環状突条22aの内周面22a1までの径方向寸法をtとする。ここで附言すると径方向寸法tは、環状突条22aをリング部11に溶接する前の圧入工程における環状突条22aの根元部の径方向厚みに一致する。また開先中心Gは、環状突条22aをリング部11に圧入する(図示せず)ことによって互いに密着する箇所の径方向位置を表す。
溶接部60の軸線O方向寸法をwとする。軸線O方向寸法wは、一方端面13から他方端面12までのリング部11の厚み寸法に等しい。基準直線Eで示すように一方端面13は環状突条22aの先端面と面一にされる。基準直線Fは、他方端面12と一致し、基準直線Eと平行な直線である。軸線O方向寸法wは、基準直線Eと基準直線Fの間隔を表す。径方向寸法tは、基準直線Fにおける環状突条22aの肉厚を表す。なお基準直線Eと基準直線Fは軸線O(図1)と直交する。基準直線Fと内周面22a1の交差箇所を通り、軸線Oと平行な直線を基準直線Lとする。径方向寸法tは、基準直線Lと基準直線Gの間隔を表す。
フランジ部22の一方端面25と環状突条22aの内周面22a1との交差箇所Jから環状突条22aの軸線O方向一方端までの軸線O方向寸法をhとする。本実施形態では円弧状に窪んだ曲面Dで内周面22a1と一方端面25を滑らかに接続するため、交差箇所Jは曲面Dよりも壁側に埋没する。交差箇所Jを通り、軸線Oと平行な直線を基準直線Iとする。交差箇所Jを通り、軸線Oと直角な直線を、基準直線Kとする。軸線O方向寸法hは、基準直線Eと基準直線Kの間隔を表す。
内周面22a1は軸線O方向一方側(凹部Bの開口側)に向かう程拡径するテーパ孔を構成するため、基準直線Lは基準直線Iよりも外径側に位置する。図示しない変形例として、内周面22a1に勾配をつけないで、基準直線Lと基準直線Iを一致させてもよい。
本実施形態はt≦w≦hの関係を満たす。具体的にはh=1.83wである。
かかる本実施形態によれば、溶接部60に生じる残留応力が益々低減されるばかりでなく、デフケース20の剛性の向上と、デフケース20の軽量化を同時に実現することができる。したがって溶接部60に溶接割れが発生することを防止できる。
凹部Bの存在によって、フランジ部22は薄肉に形成される。フランジ部22の肉厚寸法sは特に限定されないが、w≦s≦hの関係を満たすことが好ましい。s<wの場合、フランジ部22の強度を確保することが困難になるからである。h<sの場合、溶接金属に残留する応力の低減が困難になり、デフケース20が重くなるためである。
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。本発明の他の実施形態として、t≦w≦hの関係を満たさないものであってもよい。
溶接部に発生する残留応力の低減のため、他の実施形態は、例えば0.5w≦h≦3wの関係を満たすか、あるいは0.5w≦t≦5wを満たせばよい。本発明の図示しない変形例は、t=1.17wとされる。これらの範囲を超える場合、溶接に発生する残留応力の低減が困難になる。
この発明になるリングギヤとデフケースとの溶接構造は、左右輪を有する車両において有利に利用される。
1 ディファレンシャルギヤ装置、 10 リングギヤ、
10g 歯底部分、 10t ギヤ歯、 11 リング部、
12 他方端面、 13 一方端面、 20 デフケース、
21 ケース部、 22 フランジ部、 22a1 内周面、
22a 環状突条、 22b 平坦面、 22c 外縁部、
22d 肉ヌスミ、 23,24 貫通孔、 25 一方端面、
26 他方端面、 27 リブ、 30 ピニオンシャフト、
40 デフピニオン、 50 サイドギヤ、 60 溶接部、
A 結合部分、 B 凹部(肉抜き部)、 C,D 曲面、
E,F,I,K,L 基準直線、 G 開先中心、
J 交差箇所、 O リングギヤおよびデフケースの軸線、
θ フランジ部の傾斜角度。

Claims (4)

  1. 同軸配置される1対のサイドギヤに回転差を与えるディファレンシャルギヤ装置に用いられ、
    前記1対のサイドギヤおよび前記1対のサイドギヤと噛合するデフピニオンを収容するための空間を区画するケース部、前記ケース部の軸線方向一方領域から外径方向に広がるフランジ部、および前記フランジ部の外縁部よりも内径側に一体形成されて軸線方向一方へ突出する環状突条を有するデフケースと、
    リング部および前記リング部に形成されて周方向に整列する多数のギヤ歯を有し、前記リング部の内周面が前記環状突条の外周面と対面するとともに前記リング部の軸線方向端面が前記フランジ部の前記外縁部と当接するリングギヤと、
    前記環状突条の前記外周面および前記リング部の前記内周面を結合する溶接部とを備え、
    前記溶接部は、前記ケース部の軸線方向他方から一方に向かう程、径方向厚みが大きくなる開先形状であり、
    前記環状突条の内周面と前記フランジ部の軸線方向一方端面と前記ケース部の軸線方向一方領域における外周面は、軸線方向一方へ開口する凹部を区画する、デフケースとリングギヤの溶接構造。
  2. 前記溶接部の軸線方向寸法wと、前記溶接部の開先中心から前記環状突条の内周面までの径方向寸法tと、前記フランジ部の軸線方向一方端面と前記環状突条の前記内周面との交差箇所から前記環状突条の軸線方向一方端までの軸線方向寸法hは、t≦w≦hの関係を満たす、請求項1に記載のデフケースとリングギヤの溶接構造。
  3. 前記ケース部および前記フランジ部は一体形成される、請求項1または2に記載のデフケースとリングギヤの溶接構造。
  4. 前記フランジ部は内径側から外径側に向かうにつれて軸線方向一方へ傾斜する、請求項1〜3のいずれかに記載のデフケースとリングギヤの溶接構造。
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