JP2018149593A - アーク溶接制御方法 - Google Patents

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貢平 小野
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Abstract

【課題】溶接ワイヤの送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り換える溶接方法において、スパッタ発生量を削減する。
【解決手段】溶接ワイヤの送給速度Fwを正送期間と逆送期間とに交互に切り換え、短絡期間とアーク期間とを繰り返し、アーク期間の後半に溶接電流Iwを小電流値に切り換えて通電するアーク溶接制御方法において、平均送給速度設定値に応じて基準電圧設定値を設定し、電圧設定値と基準電圧設定値との誤差増幅値を算出し、平均送給速度設定値及び上記誤差増幅値に基づいて上記溶接電流Iwを小電流値に切り換えるタイミング(電流降下時間Td)を変化させる。これにより、平均送給速度及び電圧設定値が変化してアーク状態が変化しても、電流降下時間Tdがアーク状態の変化に応じて適正化されるので、スパッタ発生量を少なくすることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、溶接ワイヤの送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り換え、短絡期間とアーク期間とを繰り返して溶接するアーク溶接制御方法に関するものである。
一般的な消耗電極式アーク溶接では、消耗電極である溶接ワイヤを一定速度で送給し、溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させて溶接が行なわれる。消耗電極式アーク溶接では、溶接ワイヤと母材とが短絡期間とアーク期間とを交互に繰り返す溶接状態になることが多い。
溶接品質をさらに向上させるために、溶接ワイヤの正送と逆送とを周期的に繰り返して溶接する正逆送給制御方法が提案されている。特許文献1の発明では、電流設定値に応じた送給速度の平均値とし、溶接ワイヤの正送と逆送との周波数及び振幅を電流設定値に応じた値としている。溶接ワイヤの正送と逆送とを繰り返す溶接方法では、定速送給の従来技術に比べて、短絡とアークとの繰り返しの周期を安定化することができるので、スパッタ発生量の削減、ビード外観の改善等の溶接品質の向上を図ることができる。
消耗電極式アーク溶接において、スパッタは短絡が発生するときと短絡状態が解除されてアークが再発生するときに発生する。このアーク再発生時のスパッタは、正逆送給制御とくびれ検出制御とを行うことによって大幅に削減することができる。他方、短絡発生時のスパッタは、短絡が発生するときの溶接電流を小電流値にすることによって削減することができる。このために、短絡が発生する直前に溶接電流を小電流値に切り換えるようにしている。しかし、短絡の発生を予測することは困難であるので、アーク再発生から所定時間が経過すると溶接電流を小電流値に切り換えるようにしている(特許文献2参照)。この小電流値への切換タイミングが早すぎると、アーク状態が不安定になる。逆に、遅すぎると、短絡発生時の溶接電流値を小さくすることができず、スパッタが発生することになる。すなわち、溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを、溶接条件に応じて適正化する必要がある。
特許第5201266号公報 特開2012−6020号公報
そこで、本発明では、溶接ワイヤの送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り換える溶接方法において、アーク期間の後半に溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを適正化してスパッタの発生を削減することができるアーク溶接制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤの送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り換え、短絡期間とアーク期間とを繰り返し、前記アーク期間の後半に溶接電流を小電流値に切り換えて通電し、平均送給速度設定値によって前記送給速度の平均値を設定し、電圧設定値によって前記アーク期間中の溶接電圧を設定するアーク溶接制御方法において、
前記平均送給速度設定値に基づいて前記溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを変化させる、
ことを特徴とするアーク溶接制御方法である。
請求項2の発明は、前記電圧設定値に基づいて前記溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを変化させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接制御方法である。
請求項3の発明は、前記平均送給速度設定値に応じて基準電圧設定値を設定し、前記電圧設定値と前記基準電圧設定値との誤差増幅値に基づいて前記溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを変化させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のアーク溶接制御方法である。
請求項4の発明は、前記誤差増幅値を算出するときの増幅率を前記平均送給速度設定値に応じて変化させる、
ことを特徴とする請求項3に記載のアーク溶接制御方法である。
請求項5の発明は、前記小電流値に切り換えてから前記短絡期間が開始するまでの小電流期間を計時し、前記小電流期間が予め定めた小電流期間設定値と等しくなるように前記小電流値への切り換えタイミングをフィードバック制御する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法である。
請求項6の発明は、前記小電流値への切り換えに同期して前記送給速度を減速させる、
ことを特徴とする請求項5に記載のアーク溶接制御方法である。
請求項7の発明は、前記小電流期間設定値を前記平均送給速度設定値に応じて変化させる、
ことを特徴とする請求項5〜6のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法である。
本発明によれば、溶接ワイヤの送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り換える溶接方法において、アーク期間の後半に溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを適正化してスパッタの発生を削減することができる。
本発明の実施の形態1に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態1に係るアーク溶接制御方法を示す図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態3に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態4に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。 本発明の実施の形態4に係るアーク溶接制御方法を示す図5の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態5に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する誤差増幅信号Eaに従ってインバータ制御等による出力制御を行い、出力電圧Eを出力する。この電源主回路PMは、図示は省略するが、商用電源を整流する1次整流器、整流された直流を平滑する平滑コンデンサ、平滑された直流を高周波交流に変換する上記の誤差増幅信号Eaによって駆動されるインバータ回路、高周波交流を溶接に適した電圧値に降圧する高周波変圧器、降圧された高周波交流を直流に整流する2次整流器を備えている。
リアクトルWLは、上記の出力電圧Eを平滑する。このリアクトルWLのインダクタンス値は、例えば100μHである。
送給モータWMは、後述する送給制御信号Fcを入力として、正送と逆送とを交互に繰り返して溶接ワイヤ1を送給速度Fwで送給する。送給モータWMには、過渡応答性の速いモータが使用される。溶接ワイヤ1の送給速度Fwの変化率及び送給方向の反転を速くするために、送給モータWMは溶接トーチ4の先端の近くに設置される場合がある。また、送給モータWMを2個使用して、プッシュプル方式の送給系とする場合もある。
溶接ワイヤ1は、上記の送給モータWMに結合された送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。溶接トーチ4内の給電チップ(図示は省略)と母材2との間には溶接電圧Vwが印加し、溶接電流Iwが通電する。
電流検出回路IDは、上記の溶接電流Iwを検出して、電流検出信号Idを出力する。電圧検出回路VDは、上記の溶接電圧Vwを検出して、電圧検出信号Vdを出力する。短絡判別回路SDは、上記の電圧検出信号Vdを入力として、この値が予め定めた短絡判別値(10V程度)未満のときは短絡期間にあると判別してHighレベルになり、以上のときはアーク期間にあると判別してLowレベルになる短絡判別信号Sdを出力する。
電圧設定回路VRは、予め定めた電圧設定信号Vrを出力する。
電圧誤差増幅回路EVは、上記の電圧設定信号Vr及び上記の電圧検出信号Vdを入力として、電圧設定信号Vr(+)と電圧検出信号Vd(−)との誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。
平均送給速度設定回路FARは、予め定めた平均送給速度設定信号Farを出力する。
正送加速期間設定回路TSURは、予め定めた正送加速期間設定信号Tsurを出力する。
正送減速期間設定回路TSDRは、予め定めた正送減速期間設定信号Tsdrを出力する。
逆送加速期間設定回路TRURは、予め定めた逆送加速期間設定信号Trurを出力する。
逆送減速期間設定回路TRDRは、予め定めた逆送減速期間設定信号Trdrを出力する。
正送ピーク値設定回路WSRは、上記の平均送給速度設定信号Farを入力として、平均送給速度設定信号Farに対応して予め定めた正送ピーク値設定信号Wsrを出力する。正送ピーク値設定信号Wsrは、送給速度Fwの平均値と平均送給速度設定信号Farの値とが等しくなるように実験によって予め算出される。そして、平均送給速度設定信号Farに応じた正送ピーク値設定信号Wsrの値が記憶される。
逆送ピーク値設定回路WRRは、上記の平均送給速度設定信号Farを入力として、平均送給速度設定信号Farに対応して予め定めた逆送ピーク値設定信号Wrrを出力する。逆送ピーク値設定信号Wrrは、送給速度Fwの平均値と平均送給速度設定信号Farの値とが等しくなるように実験によって予め算出される。そして、平均送給速度設定信号Farに応じた逆送ピーク値設定信号Wrrの値が記憶される。
送給速度設定回路FRは、上記の正送加速期間設定信号Tsur、上記の正送減速期間設定信号Tsdr、上記の逆送加速期間設定信号Trur、上記の逆送減速期間設定信号Trdr、上記の正送ピーク値設定信号Wsr、上記の逆送ピーク値設定信号Wrr及び上記の短絡判別信号Sdを入力として、以下の処理によって生成された送給速度パターンを送給速度設定信号Frとして出力する。この送給速度設定信号Frが0以上のときは正送期間となり、0未満のときは逆送期間となる。
1)正送加速期間設定信号Tsurによって定まる正送加速期間Tsu中は0から正送ピーク値設定信号Wsrによって定まる正の値の正送ピーク値Wspまで直線状に加速する送給速度設定信号Frを出力する。
2)続いて、正送ピーク期間Tsp中は、上記の正送ピーク値Wspを維持する送給速度設定信号Frを出力する。
3)短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)からHighレベル(短絡期間)に変化すると、正送減速期間設定信号Tsdrによって定まる正送減速期間Tsdに移行し、上記の正送ピーク値Wspから0まで直線状に減速する送給速度設定信号Frを出力する。
4)続いて、逆送加速期間設定信号Trurによって定まる逆送加速期間Tru中は0から逆送ピーク値設定信号Wrrによって定まる負の値の逆送ピーク値Wrpまで直線状に加速する送給速度設定信号Frを出力する。
5)続いて、逆送ピーク期間Trp中は、上記の逆送ピーク値Wrpを維持する送給速度設定信号Frを出力する。
6)短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)からLowレベル(アーク期間)に変化すると、逆送減速期間設定信号Trdrによって定まる逆送減速期間Trdに移行し、上記の逆送ピーク値Wrpから0まで直線状に減速する送給速度設定信号Frを出力する。
7)上記の1)〜6)を繰り返すことによって正負の台形波状に変化する送給パターンの送給速度設定信号Frが生成される。
送給制御回路FCは、上記の送給速度設定信号Frを入力として、送給速度設定信号Frの値に相当する送給速度Fwで溶接ワイヤ1を送給するための送給制御信号Fcを上記の送給モータWMに出力する。
減流抵抗器Rは、上記のリアクトルWLと溶接トーチ4との間に挿入される。この減流抵抗器Rの値は、短絡負荷(0.01〜0.03Ω程度)の10倍以上大きな値(0.5〜3Ω程度)に設定される。この減流抵抗器Rが通電路に挿入されると、リアクトルWL及び外部ケーブルのリアクトルに蓄積されたエネルギーが急放電される。
トランジスタTRは、上記の減流抵抗器Rと並列に接続されて、後述する駆動信号Drに従ってオン又はオフ制御される。
くびれ検出回路NDは、上記の短絡判別信号Sd、上記の電圧検出信号Vd及び上記の電流検出信号Idを入力として、短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)であるときの電圧検出信号Vdの電圧上昇値が基準値に達した時点でくびれの形成状態が基準状態になったと判別してHighレベルとなり、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)に変化した時点でLowレベルになるくびれ検出信号Ndを出力する。また、短絡期間中の電圧検出信号Vdの微分値がそれに対応した基準値に達した時点でくびれ検出信号NdをHighレベルに変化させるようにしても良い。さらに、電圧検出信号Vdの値を電流検出信号Idの値で除算して溶滴の抵抗値を算出し、この抵抗値の微分値がそれに対応する基準値に達した時点でくびれ検出信号NdをHighレベルに変化させるようにしても良い。
低レベル電流設定回路ILRは、予め定めた低レベル電流設定信号Ilrを出力する。電流比較回路CMは、この低レベル電流設定信号Ilr及び上記の電流検出信号Idを入力として、Id<IlrのときはHighレベルになり、Id≧IlrのときはLowレベルになる電流比較信号Cmを出力する。
駆動回路DRは、上記の電流比較信号Cm及び上記のくびれ検出信号Ndを入力として、くびれ検出信号NdがHighレベルに変化するとLowレベルに変化し、その後に電流比較信号CmがHighレベルに変化するとHighレベルに変化する駆動信号Drを上記のトランジスタTRのベース端子に出力する。したがって、この駆動信号Drはくびれが検出されるとLowレベルになり、トランジスタTRがオフ状態になり通電路に減流抵抗器Rが挿入されるので、短絡負荷を通電する溶接電流Iwは急減する。そして、急減した溶接電流Iwの値が低レベル電流設定信号Ilrの値まで減少すると、駆動信号DrはHighレベルになり、トランジスタTRがオン状態になるので、減流抵抗器Rは短絡されて通常の状態に戻る。
電流制御設定回路ICRは、上記の短絡判別信号Sd、上記の低レベル電流設定信号Ilr及び上記のくびれ検出信号Ndを入力として、以下の処理を行い、電流制御設定信号Icrを出力する。
1)短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)のときは、低レベル電流設定信号Ilrとなる電流制御設定信号Icrを出力する。
2)短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)に変化すると、予め定めた初期期間中は予め定めた初期電流設定値となり、その後は予め定めた短絡時傾斜で予め定めた短絡時ピーク設定値まで上昇してその値を維持する電流制御設定信号Icrを出力する。
3)その後に、くびれ検出信号NdがHighレベルに変化すると、低レベル電流設定信号Ilrの値となる電流制御設定信号Icrを出力する。
電流誤差増幅回路EIは、上記の電流制御設定信号Icr及び上記の電流検出信号Idを入力として、電流制御設定信号Icr(+)と電流検出信号Id(−)との誤差を増幅して、電流誤差増幅信号Eiを出力する。
電流降下時間設定回路TDRは、上記の平均送給速度設定信号Farを入力とする予め定めた電流降下時間算出関数によって電流降下時間Tdを算出して、電流降下時間設定信号Tdrを出力する。電流降下時間算出関数は、例えばTd(ms)=0.5×Far(m/min)+4である。Far=0〜10m/minの範囲で設定される場合、Td=4〜9msの範囲で変化することになる。電流降下時間算出関数は、溶接ワイヤの直径及び材質に対応して、実験によって適正値に設定される。
小電流期間回路STDは、上記の短絡判別信号Sd及び上記の電流降下時間設定信号Tdrを入力として、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)に変化した時点から電流降下時間設定信号Tdrによって定まる電流降下時間tdが経過した時点でHighレベルになり、その後に短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)になるとLowレベルになる小電流期間信号Stdを出力する。
電源特性切換回路SWは、上記の電流誤差増幅信号Ei、上記の電圧誤差増幅信号Ev、上記の短絡判別信号Sd及び上記の小電流期間信号Stdを入力として、以下の処理を行い、誤差増幅信号Eaを出力する。
1)短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)に変化した時点から、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)に変化して予め定めた遅延期間が経過した時点までの期間中は、電流誤差増幅信号Eiを誤差増幅信号Eaとして出力する。
2)その後のアーク期間中は、電圧誤差増幅信号Evを誤差増幅信号Eaとして出力する。
3)その後のアーク期間中に小電流期間信号StdがHighレベルとなる期間中は、電流誤差増幅信号Eiを誤差増幅信号Eaとして出力する。
この回路によって、溶接電源の特性は、短絡期間、遅延期間及び小電流期間中は定電流特性となり、それ以外のアーク期間中は定電圧特性となる。
図2は、本発明の実施の形態1に係るアーク溶接制御方法を示す図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は送給速度Fwの時間変化を示し、同図(B)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(C)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(D)は短絡判別信号Sdの時間変化を示し、同図(E)は小電流期間信号Stdの時間変化を示す。以下、同図を参照して各信号の動作について説明する。
同図(A)に示す送給速度Fwは、図1の送給速度設定回路FRから出力される送給速度設定信号Frの値に制御される。送給速度Fwは、図1の正送加速期間設定信号Tsurによって定まる正送加速期間Tsu、短絡が発生するまで継続する正送ピーク期間Tsp、図1の正送減速期間設定信号Tsdrによって定まる正送減速期間Tsd、図1の逆送加速期間設定信号Trurによって定まる逆送加速期間Tru、アークが発生するまで継続する逆送ピーク期間Trp及び図1の逆送減速期間設定信号Trdrによって定まる逆送減速期間Trdから形成される。さらに、正送ピーク値Wspは図1の正送ピーク値設定信号Wsrによって平均送給速度設定信号Farに応じた値として定まり、逆送ピーク値Wrpは図1の逆送ピーク値設定信号Wrrによって平均送給速度設定信号Farに応じた値として定まる。この結果、送給速度設定信号Frは、正負の略台形波波状に変化する送給パターンとなる。
[時刻t1〜t4の短絡期間の動作]
正送ピーク期間Tsp中の時刻t1において短絡が発生すると、同図(C)に示すように、溶接電圧Vwは数Vの短絡電圧値に急減するので、同図(D)に示すように、短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)に変化する。これに応動して、時刻t1〜t2の予め定めた正送減速期間Tsdに移行し、同図(A)に示すように、送給速度Fwは上記の正送ピーク値Wspから0まで減速する。例えば、正送減速期間Tsd=1msに設定される。
同図(A)に示すように、送給速度Fwは時刻t2〜t3の予め定めた逆送加速期間Truに入り、0から上記の逆送ピーク値Wrpまで加速する。この期間中は短絡期間が継続している。例えば、逆送加速期間Tru=1msに設定される。
時刻t3において逆送加速期間Truが終了すると、同図(A)に示すように、送給速度Fwは逆送ピーク期間Trpに入り、上記の逆送ピーク値Wrpになる。逆送ピーク期間Trpは、時刻t4にアークが発生するまで継続する。したがって、時刻t1〜t4の期間が短絡期間となる。逆送ピーク期間Trpは所定値ではないが、2ms程度となる。また、逆送ピーク値Wrpは平均送給速度設定信号Farによって変化するが、−30〜−50m/min程度に設定される。
同図(B)に示すように、時刻t1〜t4の短絡期間中の溶接電流Iwは、予め定めた初期期間中は予め定めた初期電流値となる。その後、溶接電流Iwは、予め定めた短絡時傾斜で上昇し、予め定めた短絡時ピーク値に達するとその値を維持する。
同図(C)に示すように、溶接電圧Vwは、溶接電流Iwが短絡時ピーク値となるあたりから上昇する。これは、溶接ワイヤ1の逆送及び溶接電流Iwによるピンチ力の作用により、溶接ワイヤ1の先端の溶滴にくびれが次第に形成されるためである。
その後に溶接電圧Vwの電圧上昇値が基準値に達すると、くびれの形成状態が基準状態になったと判別して、図1のくびれ検出信号NdはHighレベルに変化する。
くびれ検出信号NdがHighレベルになったことに応動して、図1の駆動信号DrはLowレベルになるので、図1のトランジスタTRはオフ状態となり図1の減流抵抗器Rが通電路に挿入される。同時に、図1の電流制御設定信号Icrが低レベル電流設定信号Ilrの値に小さくなる。このために、同図(B)に示すように、溶接電流Iwは短絡時ピーク値から低レベル電流値へと急減する。そして、溶接電流Iwが低レベル電流値まで減少すると、駆動信号DrはHighレベルに戻るので、トランジスタTRはオン状態となり減流抵抗器Rは短絡される。同図(B)に示すように、溶接電流Iwは、電流制御設定信号Icrが低レベル電流設定信号Ilrのままであるので、アーク再発生から予め定めた遅延期間が経過するまでは低レベル電流値を維持する。したがって、トランジスタTRは、くびれ検出信号NdがHighレベルに変化した時点から溶接電流Iwが低レベル電流値に減少するまでの期間のみオフ状態となる。同図(C)に示すように、溶接電圧Vwは、溶接電流Iwが小さくなるので一旦減少した後に急上昇する。上述した各パラメータは、例えば以下の値に設定される。初期電流=40A、初期期間=0.5ms、短絡時傾斜=2ms、短絡時ピーク値=400A、低レベル電流値=50A、遅延期間=1ms。
[時刻t4〜t7のアーク期間の動作]
時刻t4において、溶接ワイヤの逆送及び溶接電流Iwの通電によるピンチ力によってくびれが進行してアークが発生すると、同図(C)に示すように、溶接電圧Vwは数十Vのアーク電圧値に急増するので、図(D)に示すように、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)に変化する。これに応動して、時刻t4〜t5の予め定めた逆送減速期間Trdに移行し、同図(A)に示すように、送給速度Fwは上記の逆送ピーク値Wrpから0まで減速する。例えば、逆送減速期間Trd=1msに設定される。
時刻t5において逆送減速期間Trdが終了すると、時刻t5〜t6の予め定めた正送加速期間Tsuに移行する。この正送加速期間Tsu中は、同図(A)に示すように、送給速度Fwは0から上記の正送ピーク値Wspまで加速する。この期間中はアーク期間が継続している。例えば、正送加速期間Tsu=1msに設定される。
時刻t6において正送加速期間Tsuが終了すると、同図(A)に示すように、送給速度Fwは正送ピーク期間Tspに入り、上記の正送ピーク値Wspになる。この期間中もアーク期間が継続している。正送ピーク期間Tspは、時刻t7に短絡が発生するまで継続する。したがって、時刻t4〜t7の期間がアーク期間となる。そして、短絡が発生すると、時刻t1の動作に戻る。正送ピーク期間Tspは所定値ではないが、4ms程度となる。また、正送ピーク値Wspは平均送給速度設定信号Farによって変化するが、30〜50m/min程度に設定される。
時刻t4においてアークが発生すると、同図(C)に示すように、溶接電圧Vwは数十Vのアーク電圧値に急増する。他方、同図(B)に示すように、溶接電流Iwは、時刻t4から遅延期間の間は低レベル電流値を継続する。その後、溶接電流Iwは増加して高電流値となる。この高電流値となるアーク期間中は、図1の電圧誤差増幅信号Evによって溶接電源のフィードバック制御が行われるので、定電圧特性となる。
時刻t4にアークが発生してから、図1の電流降下時間設定信号Tdrによって定まる電流降下時間Tdが経過する時刻t61において、同図(E)に示すように、小電流期間信号StdがHighレベルに変化する。これに応動して、溶接電源は定電圧特性から定電流特性に切り換えられる。このために、同図(B)に示すように、溶接電流Iwは低レベル電流値に低下し、短絡が発生する時刻t7までその値を維持する。同様に、同図(C)に示すように、溶接電圧Vwも低下する。小電流期間信号Stdは、時刻t7に短絡が発生するとLowレベルに戻る。
電流降下時間Tdは平均送給速度設定信号Farに応じた値となる。電流降下時間Tdは、溶接電流Iwが小電流値となるタイミング (小電流期間信号StdがHighレベルとなる時刻t61)が短絡が発生する時刻t7よりも0.5〜1ms程度前のタイミングになることが望ましい。この結果、時刻t61のタイミングは正送ピーク期間Tsp中となる。電流降下時間Tdが短すぎると、小電流値の期間t61〜t7が長くなり、アーク状態が不安定になる。逆に、電流降下時間Tdが長すぎると、短絡が発生しても小電流値になっていないので、スパッタが増加することになる。すなわち、電流降下時間Tdが溶接条件に応じて適正値に設定されることが重要である。溶接条件の中で、平均送給速度がアーク期間の時間長さに最も影響を与えるので、本実施の形態では、平均送給速度に応じて電流降下時間Tdを適正化している。
上述した実施の形態1によれば、平均送給速度設定値に基づいて溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを変化させる。平均送給速度設定値によって送給速度の平均値が設定され、送給速度の平均値によって溶接電流の平均値が設定される。送給速度の平均値が変化すると、アーク状態が変化してアーク期間の時間長さが変化する。したがって、溶接電流を小電流値に切り換えるタイミング(電流降下時間)を平均送給速度設定値に応じて変化させて適正化すると、短絡の発生する直前に溶接電流が小電流値に切り換わることになる。このために、アーク状態を安定に維持し、かつ、スパッタ発生量を少なくすることができる。
上記においては、電流降下時間Tdの始点をアーク再発生時としているが、送給速度Fwが正送に切り換わる時刻t5としても良い。また、電流降下時間Tdの始点をアークが再発生し、遅延期間が終了する時点としても良い。
[実施の形態2]
実施の形態2の発明では、平均送給速度設定値に加えて電圧設定値に基づいて溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを変化させる。具体的には、実施の形態2の発明では、平均送給速度設定値に応じて基準電圧設定値を設定し、電圧設定値と基準電圧設定値との誤差増幅値に基づいて溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを変化させる。
図3は、本発明の実施の形態2に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図は上述した図1と対応しており、同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は繰り返さない。同図は、図1に基準電圧設定回路VSR、電圧微調整回路VBR及び増幅率設定回路GRを追加し、図1の電圧設定回路VRを第2電圧設定回路VR2に置換し、図1の電流降下時間設定回路TDRを第2電流降下時間設定回路TDR2に置換したものである。以下、同図を参照してこれらのブロックについて説明する。
基準電圧設定回路VSRは、上記の平均送給速度設定信号Farを入力とする予め定めた一元調整関数によって基準電圧値を算出して、基準電圧設定信号Vsrを出力する。この回路は、慣用技術である一元調整制御に関するものであり、平均送給速度に応じて溶接電圧の推奨値となる基準電圧値を設定する。
電圧微調整回路VBRは、予め定めた電圧微調整信号Vbrを出力する。電圧微調整信号Vbrは、例えば−5V〜+5Vの範囲に設定される。
増幅率設定回路GRは、上記の平均送給速度設定信号Farを入力とする予め定めた増幅率算出関数によって増幅率を算出して、増幅率設定信号Grを出力する。増幅率算出関数は、例えば、Far<4のときはGr=0.5となり、Far≧4のときはGr=1.0となる関数である。この関数は、直線又は曲線に対応する関数であっても良い。
第2電圧設定回路VR2は、上記の基準電圧設定信号Vsr及び上記の電圧微調整信号Vbrを入力として、両値を加算(Vsr+Vbr)して、電圧設定信号Vrを出力する。
第2電流降下時間設定回路TDR2は、上記の平均送給速度設定信号Far、上記の電圧微調整信号Vbr及び上記の増幅率設定信号Grを入力として、以下の処理を行い、電流降下時間設定信号Tdrを出力する。
1)予め定めた電流降下時間算出関数に平均送給速度設定信号Farを入力して基準電流降下時間を算出する。
2)電流降下時間Td=基準電流降下時間+Gr・Vbrを演算して、電流降下時間設定信号Tdrを出力する。
実施の形態2では以下の動作を行っている。
ステップ1)実施の形態1と同様に、平均送給速度設定値に対応した基準電流降下時間を算出する。
ステップ2)平均送給速度設定値に対応した基準電圧設定値を算出する。
ステップ3)電圧設定値と上記の基準電圧設定値との誤差増幅値(電圧微調整信号Vvrに増幅率設定信号Grを乗算した値)を算出する。増幅率は平均送給速度設定値の関数である。
ステップ4)上記の基準電流降下時間を上記の誤差増幅値で修正して、電流降下時間Tdを算出する。
上記のステップ1)〜4)の数値例を示す。
ステップ1Far=3m/minとすると、基準電流降下時間=0.5×3+4=5.5msを算出する。
ステップ2)Far=3であるときの基準電圧設定値=18Vを算出する。
ステップ3)電圧設定値=19Vと上記の基準電圧設定値=18Vとの誤差増幅値=0.5×(19−18)=0.5を算出する。増幅率はFar=3であるので0.5となる。
ステップ4)上記の基準電流降下時間=5.5msを、上記の誤差増幅値=0.5で修正して、電流降下時間Td=5.5+0.5=6.0msを算出する。
ステップ1Far=6m/minとすると、基準電流降下時間=0.5×6+4=7.0msを算出する。
ステップ2)Far=6であるときの基準電圧設定値=26Vを算出する。
ステップ3)電圧設定値=25Vと上記の基準電圧設定値=26Vとの誤差増幅値=1.0×(25−26)=−1.0を算出する。増幅率はFar=6であるので1.0となる。
ステップ4)上記の基準電流降下時間=7.0msを、上記の誤差増幅値=−1.0で修正して、電流降下時間Td=7.0−1.0=6.0msを算出する。
図3における各信号の動作は、上述した図2と同様である。但し、電流降下時間Tdの設定方法が上述したように実施の形態1とは異なっている。
上述した実施の形態2によれば、平均送給速度設定値に加えて、電圧設定値に基づいて溶接電流を小電流値に切り換えるタイミング(電流降下時間)を変化させる。具体的には、実施の形態2においては、平均送給速度設定値に応じて基準電圧設定値を設定し、電圧設定値と基準電圧設定値との誤差増幅値に基づいて溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを変化させる。平均送給速度に加えて、電圧設定値が異なるとアーク状態が変化してアーク期間の時間長さが変化する。したがって、実施の形態2では、平均送給速度に応じて設定される電流降下時間を、電圧設定値に応じて修正している。このために、実施の形態2では、平均送給速度及び電圧設定値に応じて電流降下時間を適正化することができるので、アーク状態をさらに安定化することができ、スパッタ発生量をさらに少なくすることができる。
さらに、実施の形態2において、誤差増幅値を算出するときの増幅率を平均送給速度設定値に応じて変化させるようにしても良い。このようにすれば、電圧設定値に応じて電流降下時間を修正するときの修正量を、平均送給速度に応じて適正化することができる。電圧設定値の変化量に対するアーク期間の時間長さの変化量は、平均送給速度によって異なっている。このために、平均送給速度に応じて増幅率を適正化すれば、修正量を適正化することができる。この結果、電圧設定値が変化したときに、アーク状態の安定化及びスパッタ発生量の削減をさらに図ることができる。
[実施の形態3]
実施の形態3の発明では、小電流値に切り換えてから前記短絡期間が開始するまでの小電流期間を計時し、小電流期間が予め定めた小電流期間設定値と等しくなるように小電流値への切り換えタイミングをフィードバック制御する。
図4は、本発明の実施の形態3に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図は上述した図3と対応しており、同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は繰り返さない。同図は、図3に小電流期間設定回路TAR及び電流降下時間制御回路TDCを追加し、図3の小電流期間回路STDを第2小電流期間回路STD2に置換し、図3に小電流期間計時回路TADを追加したものである。以下、同図を参照してこれらのブロックについて説明する。
小電流期間設定回路TARは、予め定めた小電流期間設定信号Tarを出力する。
電流降下時間制御回路TDCは、上記の電流降下時間設定回路Tdr、上記の小電流期間設定信号Tar及び後述する小電流期間計時信号Tadを入力として、電流降下時間設定信号Tdrの値を初期値として、溶接中の小電流期間計時信号Tadと小電流期間設定信号Tarとが等しくなるように電流降下時間Tdを変化させるフィードバック制御を行い、電流降下時間制御信号Tdcを出力する。この回路によって、小電流期間計時信号Tadと予め定めた小電流期間設定信号Tarとが等しくなるように、小電流値への切り換えタイミング(電流降下時間制御信号Tdc)をフィードバック制御している。
第2小電流期間回路STD2は、上記の短絡判別信号Sd及び上記の電流降下時間制御信号Tdcを入力として、短絡判別信号SdがLowレベル(アーク期間)に変化した時点から電流降下時間制御信号Tdcによって定まる電流降下時間Tdが経過した時点でHighレベルになり、その後に短絡判別信号SdがHighレベル(短絡期間)になるとLowレベルになる小電流期間信号Stdを出力する。
小電流期間計時回路TADは、上記の小電流期間信号Stdを入力として、単位時間ごとに小電流期間信号StdがHighレベルになっている時間の平均値を算出して、小電流期間計時信号Tadを出力する。単位時間は、例えば0.1〜1秒間である。
図4における各信号の動作は、上述した図2と同様である。但し、電流降下時間Tdの設定方法が上述したように実施の形態2とは異なっている。
実施の形態2では、平均送給速度設定値に加えて、電圧設定値に基づいて溶接電流を小電流値に切り換えるタイミング(電流降下時間設定信号Tdr)を設定する。さらに、上述した実施の形態3においては、この電流降下時間設定信号Tdrの値を初期値として、溶接中の小電流期間計時信号Tadの値が予め定めた小電流期間設定信号Tarの値と等しくなるように溶接電流を小電流値に切り換えるタイミング(電流降下時間制御信号Tdc)をフィードバック制御する。溶接速度、溶接姿勢等の溶接条件が異なると、アーク状態が変化してアーク期間の時間長さが変化する。このために、実施の形態3では、平均送給速度及び電圧設定値に加えて、他の溶接条件の変化に応じて電流降下時間を適正化することができるので、アーク状態をさらに安定化することができ、スパッタ発生量をさらに少なくすることができる。
実施の形態3では、実施の形態2を基礎として電流降下時間Tdのフィードバック制御を追加しているが、同様にして、実施の形態1を基礎として電流降下時間Tdのフィードバック制御を追加しても良い。
[実施の形態4]
実施の形態4の発明では、小電流値への切り換えに同期して、送給速度を減速させる。
図5は、本発明の実施の形態4に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図は上述した図4と対応しており、同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は繰り返さない。同図は、図4に減速送給速度設定回路WGRを追加し、図4の正送ピーク値設定回路WSRを第2正送ピーク値設定回路WSR2に置換したものである。以下、同図を参照してこれらのブロックについて説明する。
減速送給速度設定回路WGRは、予め定めた減速送給速度設定信号Wgrを出力する。減速送給速度設定信号Wgrは、正の値であり、正送ピーク値Wspの40〜70%程度の値に設定される。
第2正送ピーク値設定回路WSR2は、上記の小電流期間信号Std及び上記の減速送給速度設定信号Wgrを入力として、小電流期間信号StdがLowレベルのときは予め定めた正送ピーク値Wspを正送ピーク値設定信号Wsrとして出力し、小電流期間信号StdがHighレベルのときは減速送給速度設定信号Wgrの値を正送ピーク値設定信号Wsrとして出力する。
図6は、本発明の実施の形態4に係るアーク溶接制御方法を示す図5の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は送給速度Fwの時間変化を示し、同図(B)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(C)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(D)は短絡判別信号Sdの時間変化を示し、同図(E)は小電流期間信号Stdの時間変化を示す。同図は、図2とは時刻t61〜t7の小電流期間における同図(A)に示す送給速度Fwの波形のみが異なっており、その他の波形は同一である。以下、同図を参照してこの異なる点を中心にして説明する。
時刻t4にアークが発生してから電流降下時間Tdが経過する時刻t61において、同図(E)に示すように、小電流期間信号StdがHighレベルに変化する。これに応動して、同図(B)に示すように、溶接電流Iwは低レベル電流値に低下し、短絡が発生する時刻t7までその値を維持する。同時に、実施の形態4では、時刻t61において、同図(A)に示すように、送給速度Fwの値が正送ピーク値Wspから、図5の減速送給速度設定信号Wgrによって定まる減速送給速度Wgまで減速する。減速送給速度Wgの状態は、短絡が発生する時刻t7まで継続する。
上述したように、短絡が発生する直前に送給速度Fwを減速させることによって、短絡が発生した直後の溶接ワイヤの溶融池への押し込み速度を緩和することができる。このために、短絡期間における溶滴移行状態を円滑にすることができ、溶接状態をさらに安定化することができる。
[実施の形態5]
実施の形態5の発明では、小電流期間設定値を平均送給速度設定値に応じて変化させる。
図7は、本発明の実施の形態5に係るアーク溶接制御方法を実施するための溶接電源のブロック図である。同図は上述した図5と対応しており、同一のブロックには同一符号を付して、それらの説明は繰り返さない。同図は、図5の小電流期間設定回路TARを第2小電流期間設定回路TAR2に置換したものである。以下、同図を参照してこのブロックについて説明する。
第2小電流期間設定回路TAR2は、上記の平均送給速度設定信号Farを入力とする予め定めた関数によって算出された小電流期間設定信号Tarを出力する。関数は、例えば、Tar[ms]=0.1×Far[m/min]+0.5である。したがって、小電流期間設定信号Tarの値は、平均送給速度設定信号Farの値が大きくなるほど大きくなる。
図7における各信号の動作は、上述した図6と同様である。但し、電流降下時間Tdのフィードバック制御の目標値となる小電流期間設定信号Tarの値が、平均送給速度設定信号Farの値の関数として算出される点は異なっている。
実施の形態5によれば、小電流期間設定値を平均送給速度設定値に応じて変化させる。このために、実施の形態5では、電流降下時間のフィードバック制御の目標値が平均送給速度設定値に応じて適正化されるので、より溶接状態を安定化し、かつ、スパッタ発生を少なくすることができる。
実施の形態5では、実施の形態4を基礎としているが、同様にして、実施の形態3を基礎としても良い。
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
CM 電流比較回路
Cm 電流比較信号
DR 駆動回路
Dr 駆動信号
E 出力電圧
Ea 誤差増幅信号
EI 電流誤差増幅回路
Ei 電流誤差増幅信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
FAR 平均送給速度設定回路
Far 平均送給速度設定信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
Fw 送給速度
GR 増幅率設定回路
Gr 増幅率設定信号
ICR 電流制御設定回路
Icr 電流制御設定信号
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
ILR 低レベル電流設定回路
Ilr 低レベル電流設定信号
Iw 溶接電流
ND くびれ検出回路
Nd くびれ検出信号
PM 電源主回路
R 減流抵抗器
SD 短絡判別回路
Sd 短絡判別信号
STD 小電流期間回路
Std 小電流期間信号
STD2 第2小電流期間回路
SW 電源特性切換回路
TAD 小電流期間計時回路
Tad 小電流期間計時信号
TAR 小電流期間設定回路
Tar 小電流期間設定信号
TAR2 第2小電流期間設定回路
Td 電流降下時間
TDC 電流降下時間制御回路
Tdc 電流降下時間制御信号
TDR 電流降下時間設定回路
Tdr 電流降下時間設定信号
TDR2 第2電流降下時間設定回路
TR トランジスタ
Trd 逆送減速期間
TRDR 逆送減速期間設定回路
Trdr 逆送減速期間設定信号
Trp 逆送ピーク期間
Tru 逆送加速期間
TRUR 逆送加速期間設定回路
Trur 逆送加速期間設定信号
Tsd 正送減速期間
TSDR 正送減速期間設定回路
Tsdr 正送減速期間設定信号
Tsp 正送ピーク期間
Tsu 正送加速期間
TSUR 正送加速期間設定回路
Tsur 正送加速期間設定信号
VBR 電圧微調整回路
Vbr 電圧微調整信号
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
VR 電圧設定回路
Vr 電圧設定信号
VR2 第2電圧設定回路
VSR 基準電圧設定回路
Vsr 基準電圧設定信号
Vw 溶接電圧
Wg 減速送給速度
WGR 減速送給速度設定回路
Wgr 減速送給速度設定信号
WL リアクトル
WM 送給モータ
Wrp 逆送ピーク値
WRR 逆送ピーク値設定回路
Wrr 逆送ピーク値設定信号
Wsp 正送ピーク値
WSR 正送ピーク値設定回路
Wsr 正送ピーク値設定信号
WSR2 第2正送ピーク値設定回路
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接ワイヤの送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り換え、短絡期間とアーク期間とを繰り返し、前記アーク期間の後半に溶接電流を小電流値に切り換えて通電し、平均送給速度設定値によって前記送給速度の平均値を設定し、電圧設定値によって前記アーク期間中の溶接電圧を設定するアーク溶接制御方法において、
前記小電流値に切り換えてから前記短絡期間が開始するまでの小電流期間を計時し、前記小電流期間が予め定めた小電流期間設定値と等しくなるように前記小電流値への切り換えタイミングをフィードバック制御する、
ことを特徴とするアーク溶接制御方法である。
請求項2の発明は、前記小電流値への切り換えに同期して前記送給速度を減速させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接制御方法である。
請求項3の発明は、前記小電流期間設定値を前記平均送給速度設定値に応じて変化させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアーク溶接制御方法である。

Claims (7)

  1. 溶接ワイヤの送給速度を正送期間と逆送期間とに交互に切り換え、短絡期間とアーク期間とを繰り返し、前記アーク期間の後半に溶接電流を小電流値に切り換えて通電し、平均送給速度設定値によって前記送給速度の平均値を設定し、電圧設定値によって前記アーク期間中の溶接電圧を設定するアーク溶接制御方法において、
    前記平均送給速度設定値に基づいて前記溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを変化させる、
    ことを特徴とするアーク溶接制御方法。
  2. 前記電圧設定値に基づいて前記溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを変化させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接制御方法。
  3. 前記平均送給速度設定値に応じて基準電圧設定値を設定し、前記電圧設定値と前記基準電圧設定値との誤差増幅値に基づいて前記溶接電流を小電流値に切り換えるタイミングを変化させる、
    ことを特徴とする請求項2に記載のアーク溶接制御方法。
  4. 前記誤差増幅値を算出するときの増幅率を前記平均送給速度設定値に応じて変化させる、
    ことを特徴とする請求項3に記載のアーク溶接制御方法。
  5. 前記小電流値に切り換えてから前記短絡期間が開始するまでの小電流期間を計時し、前記小電流期間が予め定めた小電流期間設定値と等しくなるように前記小電流値への切り換えタイミングをフィードバック制御する、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法。
  6. 前記小電流値への切り換えに同期して前記送給速度を減速させる、
    ことを特徴とする請求項5に記載のアーク溶接制御方法。
  7. 前記小電流期間設定値を前記平均送給速度設定値に応じて変化させる、
    ことを特徴とする請求項5〜6のいずれか1項に記載のアーク溶接制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112570855A (zh) * 2019-09-27 2021-03-30 株式会社达谊恒 电弧焊接方法

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