JP2018148878A - 熱抑制粒 - Google Patents

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Abstract

【課題】改良された熱抑制フラワー及びその製造方法の提供。【解決手段】粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少なくとも50%少ないヘキサナールをゼロ日又は4週間の貯蔵後に有する、熱抑制粒のフラワー。粒を第一の温度で無水又は実質的に無水になるまで脱水する工程、脱水された粒を、熱抑制粒のフラワーを粉砕後に得るのに十分な時間、第一の温度よりも高い第二の温度で熱処理する工程、熱処理され、脱水された粒を粉砕して、熱抑制粒のフラワーを得る工程を含む、改良された熱抑制フラワーの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、改良された熱抑制フラワー及びその製造方法に関する。より詳細には、本方法は、全粒を脱水し、次いで、粒が粉砕されるときに熱抑制フラワーを生成するのに十分な温度及び十分な時間で粒を加熱する。
熱抑制デンプンは知られているが、熱抑制フラワーの市場が存在する。しかしながら、そのようなフラワーを製造するための方法には問題があることが判明している。フラワーは、デンプンに加えて、タンパク質及び脂肪を含む。脂肪は時間とともに酸化し、主な生成物としてヘキサナールを生成し、フラワーに異味を生じることが知られている。さらに、本出願人は、フラワーを熱抑制するのに必要な高熱及び長時間の加熱は、それ自体で、脂質を酸化することを発見した。そのため、熱抑制フラワーは、粉砕直後でさえ、熱抑制されていないフラワーよりも高いヘキサナール含有量を有する。
本明細書に開示されるのは、先行技術の熱抑制フラワーよりも、初期及び経時の両方でヘキサナール含有量を低減させてフラワーを熱抑制する方法である。ある実施形態において、本方法は粉砕前に全粒に熱処理を施す。ある実施形態において、本方法は粒の湿分含有量が粒の総質量の約5%未満になるように粒を脱水することを含む。脱水工程は、約80℃〜約100℃の温度で約1時間〜約24時間行われる。次いで、粒は約120℃〜約180℃の第二の温度で約1時間〜20時間熱処理される。次いで、脱水され、熱処理された粒は粉砕されて熱抑制全粒のフラワーを作製する。場合により、他の実施形態では、全粒のpHを脱水前に調整する。約50℃〜約70℃の温度で1〜24時間、僅かに酸性の溶液(すなわち、約5〜約7のpH)に粒を浸すことによってpHを調整することができる。次いで、pH調整された粒を約55℃で約12%(w/w)未満の湿分含有量まで約1時間〜12時間乾燥する。次いで、乾燥した粒を脱水し、熱処理し、そして粉砕して熱抑制全粒フラワー作製する。
開示された方法に従って製造された全粒フラワーは熱抑制されており、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少量のヘキサナールをゼロ日貯蔵後に含む。1つの実施形態において、熱抑制粒のフラワーは粉砕後に熱抑制されたフラワーより少なくとも50%少ないヘキサナールをゼロ日貯蔵後に含む。他の実施形態では、熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも、少なくとも60%少ないヘキサナールをゼロ日貯蔵後に含む。他の実施形態では、熱抑制粒から製造されたフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも、少なくとも80%少ないヘキサナールを粉砕後ゼロ日貯蔵後に含む。他の実施形態では、熱抑制粒から製造されたフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも約85%少ないヘキサナールを粉砕後ゼロ日貯蔵後に含む。ある実施形態において、このヘキサナールの低減は、熱抑制粒のフラワーは、熱抑制フラワーよりも、2又は4週間の貯蔵後に、50%、より好ましくは60%、より好ましくは80%、最も好ましくは約85%少ないヘキサナールとなるように持続する。
特許請求された方法によって製造された熱抑制粒のフラワーはまた、熱抑制されていないフラワーと比較して改善された貯蔵寿命を有する。1つの実施形態において、熱抑制粒のフラワーは、抑制されていない全粒フラワーよりも少なくとも約10%少ないヘキサナールを室温での2週間の貯蔵後に含み、好ましくは少なくとも約30%少なく、より好ましくは約40%少ない。別の実施形態において、開示された方法によって製造された熱抑制全粒フラワーは、抑制されていない全粒フラワーよりも、少なくとも約10%少ないヘキサナールを室温での4週間の貯蔵後に含み、より好ましくは少なくとも約40%少なく、より好ましくは少なくとも約45%少なく、より好ましくは約50%少ない。
開示された方法によって調製された熱抑制フラワーを使用して製造される食品も本明細書に開示される。
図1は異なる時間熱処理された熱抑制粒のフラワーの粘度プロファイルを示す。 図2は、非抑制ワキシーコメフラワー、ワキシーコメから製造された熱抑制粒のフラワー及びワキシーコメから製造された熱抑制フラワーの粘度プロファイルを示す。 図3は、非抑制ワキシーコーンフラワー、ワキシーコーンから製造された熱抑制粒のフラワー及びワキシーコーンから製造された熱抑制フラワーの粘度プロファイルを示す。 図4は、pH調整された非抑制ワキシーコーンフラワー及びワキシーコーンから製造されたpH調整された熱抑制粒のフラワー及びワキシーコーンから製造された熱抑制コーンフラワーの粘度プロファイルを示す。 図5は、pH調整された非抑制ワキシーコメフラワー及びワキシーコメフラワーから製造されたpH調整された熱抑制粒のフラワー及びワキシーコメから製造された熱抑制フラワーの粘度プロファイルを示す。
全粒を熱処理する方法であって、該全粒は粉砕時に熱抑制粒のフラワーを生成し、該熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少ないヘキサナール含有量を有する方法は本明細書に開示される。このヘキサナールの低減は経時の際に持続し、熱抑制粒のフラワーは、熱抑制フラワーよりも少ないヘキサナール含有量を室温での2及び4週間の貯蔵後に有する。熱抑制粒のフラワーはまた、非熱抑制全粒フラワーよりも低いヘキサナール含有量を貯蔵の0、2及び4週間後に有する。
本明細書で使用されるときに、熱抑制は、デンプン又はそのデンプンを含有するフラワー又は穀粒をデンプンがα化しないように低湿度環境でデンプンのゼラチン化温度より高い温度に加熱する方法である。
デンプン又はフラワーは、水中で分散及び/又は加熱されたときに、化学的に架橋されたデンプン又はフラワーに特徴的なテクスチャ特性及び粘度特性、例えば、例外的に厳しい条件でも高度の安定性を示すならば、抑制されていると言われている。例示的な実施形態として、開示された方法に従って製造された熱抑制フラワーは5%固形分を含む溶液の粘度破壊を95℃及びpH3で15分間保持された後に示さない。
本明細書で使用されるときに、熱抑制デンプン及び熱抑制フラワーは、粉砕後に熱抑制されたデンプン又はフラワーを意味する。
本明細書で使用されるときに、熱抑制粒は、粉砕前に熱抑制された全粒である。そのような粒から製造されたフラワーは熱抑制粒のフラワーである。
本明細書で使用されるときに、未変性粒(native grain)は自然界に見出されるままのものである。開示された方法で使用するのに適した未変性粒は、限定するわけではないが、コーン、オオムギ、コムギ、コメ、ソルガム、ワキシーメイズ、ワキシーコメ、ワキシーオオムギ、ワキシーソルガム、高アミロース含有穀粒などを含む、任意の穀粒である。
本明細書で使用されるときに、脱水粒は実質的に無水又は無水になるように、その湿分レベルが低下した粒である。
本明細書で使用されるときに、実質的に無水になるように脱水された全粒は5%(w/w)未満の湿分レベルを有する。
本明細書で使用されるときに、無水となるように脱水された全粒は2%(w/w)未満の湿分レベルを有する。
開示された全粒フラワーは、本明細書に開示された様々な方法に従って製造される。開示された方法の1つの実施形態によれば、未変性粒は、最初に、粒を脱水するのに十分な時間、第一の温度で粒を脱水することによって熱処理される。次いで、この粒は、粒から得られるフラワーが熱抑制されているのに十分な時間、第二の温度で熱処理される。次いで、この熱抑制粒を粉砕して、熱抑制粒のフラワーを作製する。開示された方法の他の実施形態において、脱水工程の前に穏やかな酸性の緩衝溶液中に粒を浸漬することによって、粒のpHを調整する。浸漬後に、粒を乾燥し、次いで、脱水し、熱処理して、熱抑制粒を作製する。次いで、この粒を粉砕して、熱抑制フラワーを作製する。
一般に、粒を熱抑制するために使用される時間及び温度は、粒の所望の抑制量に依存する。以下、本発明を実施するための特定の実施形態及び原理について説明し、脱水工程、熱処理工程及び任意工程である浸漬工程を具体的に説明する。
ある実施形態において、脱水工程は、脱水された粒の湿分含有量を約5%(w/w)未満に低減させる。他の実施形態では、粒は約2%未満に脱水される。粒が脱水前にpH調整されない実施形態では、脱水は粒を脱水するのに適した任意の方法、例えば、凍結乾燥、溶媒乾燥又は加熱乾燥によって行うことができる。
ある実施形態において、粒は約100℃以下の温度、より好ましくは約80℃〜約100℃の温度又はその温度範囲で脱水される。脱水工程が実施される時間は所望の脱水量に依存し、所望の乾燥の量及び工程の温度に基づいて大きく変化するであろう。開示された方法の実施形態において、脱水工程は約24時間までで実施することができるが、より典型的には約0.5時間〜1時間で実施する。
ある実施形態において、熱処理工程は、脱水された粒を加熱して熱抑制する。熱処理工程は、粒から得られるフラワーが熱抑制されているのに十分な時間、第二の温度で行われる。第二の温度は第一の温度よりも高い。ある実施形態において、第二の温度は120℃〜180℃、より好ましくは約130℃〜約165℃である。加熱工程は所望の熱抑制量に応じて様々な時間で実施される。ある実施形態において、加熱工程は20時間までで実施される。開示された方法の実施形態では、加熱工程は約1.0時間〜20時間実施される。より典型的には、6.0時間以下である。他の実施形態では、加熱工程は1、1.5又は2.0時間である。
いくつかの実施形態において、粒のpHをわずかに酸性に調整するために浸漬工程を使用する。浸漬工程はpHが穏やかな酸性pH、好ましくは約5.5〜約6.5で行われる。塩酸、硫酸、リン酸、炭酸及び酢酸などの従来の酸を使用することができる。この溶液は、典型的には、浸漬プロセス中にpHを維持するために緩衝処理される。粒は約1.0部の粒に対して約3.0部の溶液の比率で緩衝溶液に添加される。
粒は約50℃〜約70℃の温度で約1時間〜約24時間浸漬される。過剰の緩衝剤は除去され、粒は約40℃〜約70℃の温度で1時間〜12時間の時間にわたって約12%以下の湿分含有量まで乾燥される。この乾燥工程は、脱水及び熱処理工程とは区別される。次いで、乾燥されたpH調整された粒は開示された方法に従って脱水され、そして熱処理される。
開示された実施形態は、互いに対して、乾燥用の低温、脱水用の中間温度及び熱処理用の高温を使用する。ただし、工程は乾燥、脱水及び熱処理と呼ばれ、工程は異なる温度で行われるが、工程の結果はオーバーラップすることがあることに注意されたい。
ある実施形態において、乾燥、脱水及び熱処理工程は連続工程の一部である。実施形態において、粒は粒を乾燥させるのに十分な時間、乾燥の範囲内の第一の温度に維持され、次いで、粒を脱水するのに十分な時間、脱水範囲内の第二の温度まで温度を傾斜させ、次いで、粒を熱抑制するのに十分な時間、熱処理範囲内の第三の温度まで温度を傾斜させる。傾斜時間は一般に5〜30分である。いくつかの実施形態において、傾斜は15分かけて行われる。他の実施形態では、傾斜は10分かけて行われる。他の実施形態では、乾燥、脱水及び熱処理工程は周囲温度で開始する連続的な傾斜の一部である。そのような実施形態では、温度は、粒を乾燥させるのに十分な時間にわたって乾燥工程用の温度範囲を通過し、そして粒を脱水させるのに十分な時間にわたって脱水範囲を通過する。温度は、粒を熱処理するための範囲内の所望の最終温度に達するまで上昇し続ける。次いで、粒は、粒を熱抑制するのに十分な時間、熱処理される。これらの方法の変更は当業者の技術の範囲内であり、適宜使用することができる。
脱水及び熱処理(すなわち、熱抑制)のための有用な装置としては任意の工業用炉(例えば、従来の炉、マイクロ波炉、デキストリナイザ(dextrinizer)、流動床反応器及びドライヤ、加熱デバイスを備えたミキサー及びブレンダー、及び、他のタイプのヒーター)が挙げられ、ただし、湿分が粒に蓄積しそして凝結しないように、大気又はある種の他の除湿機構へのベントを備えている。好ましくは、装置は、それから水蒸気を除去するように変更されている(例えば、装置のヘッドスペースから空気を掃気するための真空又はブロア、流動化ガスの使用、又は、除湿デバイスによる)。熱処理は脱水が起こる同一の装置で行うことができ、最も便利には脱水工程と連続的である。脱水処理が熱処理と連続的であるときに(例えば、脱水及び熱処理装置が流動床反応器又はドライヤであるときに)、最終熱処理温度まで装置を持っていく間に同時に脱水を行う。
粒の熱抑制が完了すると、次いで、抑制粒を乾式粉砕又は調質し(tempered)そして湿式粉砕することができる。フラワーは全粒フラワーとして保存することができ、又は、胚種成分は標準的な方法に従ってフラワーから取り出すことができる。さらに、デンプンは、標準的な方法に従ってフラワーから取り出すことができる。本明細書に記載されるときに、開示された方法に従って粒を処理することによって得られるフラワー及びデンプンは、粉砕及び/又は分離後に熱抑制されるフラワー及びデンプンと同様の粘度プロファイルを示す。したがって、開示された方法は、熱抑制されたデンプン及び/又はフラワーを生成する。開示された方法に従って製造された熱抑制粒のデンプン及びフラワーは、次いで、最終用途に必要とされるときに酵素、熱又は酸転化、酸化、リン酸化、エーテル化(特にヒドロキシアルキル化)、エステル化及び/又は化学架橋によってさらに変性されうる。ある実施形態において、熱抑制粒のフラワーはさらには変性されない。
開示された方法から製造されたフラワーの熱抑制レベルは、デンプンから作製されたペーストの粘度プロファイルによって決定することができる。プロファイルの例は図1〜6に提供されており、デンプン溶液(水中5%固形分、92℃〜95℃、pH3)の様々なブラベンダーペースト化プロファイルを示す。
図1は、開示された方法(140℃で120分間の無水粒への熱処理)により処理されたワキシーコメ粒のフラワー及び非抑制ワキシーコメフラワーからのフラワーを比較する。理解されるとおり、非抑制ワキシーコメフラワーは、ピーク粘度を有しない熱抑制粒からのフラワーよりも高いピーク粘度及び低い最終粘度を有する。これは熱抑制粒であることを示し、1)非抑制粒のピーク粘度と比較して粘度が低いことは、熱抑制粒のフラワーの顆粒が溶液中での加熱の間の膨張に抵抗したことを示唆している、及び、2)非抑制フラワーの最終粘度と比較して高い粘度であることは、熱抑制粒のフラワーの顆粒が、長期加熱の間に破壊に抵抗したことを示唆している、ということによる。
図2及び3は、ワキシーコメ及びワキシーコーンから製造された熱抑制粒のフラワー(すなわち、熱抑制後に粉砕されたもの)の粘度プロファイルを提供している。図示されているように、一般的により長時間熱処理されているが、熱抑制粒のフラワーはワキシーコメ及びワキシーコーンから製造された熱抑制フラワー(すなわち、熱抑制前に粉砕されたもの)と似た粘度プロファイルを有する。同様に、図4及び図5に図示されるように、pH調整された熱抑制粒のフラワーはpH調整された熱抑制フラワーと同様の粘度プロファイルを示す。
ある実施形態において、熱抑制粒のフラワーは0、2及び4週間の貯蔵後に、非抑制全粒のフラワーよりも少ないヘキサナールを有する。ヘキサナールは脂肪酸酸化生成物であり、フラワーに異味を与え、言い換えれば、フラワーにおける酸敗臭レベルを示す。ヘキサナールのレベルは、炎イオン化検出(FID)とカップリングされたヘッドスペースガスクロマトグラフによって測定することができる。1つの実施形態において、開示された方法によって製造された熱抑制全粒のフラワーは、非抑制全粒のフラワーよりも少なくとも約10%少ないヘキサナールを室温での2週間の貯蔵後に含み、好ましくは少なくとも約30%少なく、より好ましくは約40%少ない。別の実施形態において、開示された方法によって製造された熱抑制全粒のフラワーは、非抑制全粒のフラワーよりも少なくとも約10%少ないヘキサナールを室温での4週間の貯蔵後に含み、好ましくは少なくとも約40%少なく、より好ましくは少なくとも約45%少なく、より好ましくは約50%少ない。本発明の他の実施形態では、開示された方法に従って製造されたワキシーコーンフラワーは、2〜4週間の貯蔵後に、約1.8ppm未満、好ましくは約1.0ppm未満、より好ましくは約0.9ppm未満のヘキサナール値を有する。本発明の他の実施形態では、開示された方法に従って製造されたワキシーコメフラワーは、2〜4週間の貯蔵後に、約3.0ppm未満、好ましくは約2.0ppm未満、より好ましくは約1.5ppm未満のヘキサナール値を有する。
ある実施形態において、熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少量のヘキサナールをゼロ日貯蔵後に含む。1つの実施形態において、熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーより少なくとも50%少ないヘキサナールをゼロ日貯蔵後に含む。他の実施形態では、熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少なくとも60%少ないヘキサナールをゼロ日貯蔵後に含む。他の実施形態では、熱抑制粒から製造されたフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少なくとも80%少ないヘキサナールを粉砕後にゼロ日貯蔵後に含む。他の実施形態では、熱抑制粒から製造されたフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも約85%少ないヘキサナールを粉砕後にゼロ日貯蔵後に含む。ある実施形態において、ヘキサナールのこの低減は、2又は4週間の貯蔵後に、熱抑制粒のフラワーが、熱抑制フラワーよりも50%、より好ましくは60%、より好ましくは80%、そして最も好ましくは約85%少ないヘキサナールとなるように持続する。
開示された方法に従って製造されたフラワー及びデンプンは、さらに変性されていても又はいなくても、他のフラワー及びデンプンと同様に食品中で、例えば、焼成食品中、食品用コーティング剤として、増粘剤などとして使用することができる。使用されるフラワーの量は使用の要求に応じている。
上記に加えて、本明細書は以下の態様を開示する:
態様1:熱抑制粒のフラワーの調製方法であって、
粒を第一の温度で無水又は実質的に無水になるまで脱水すること、
脱水された粒を、熱抑制粒のフラワーを粉砕後に得るのに十分な時間、第一の温度よりも高い第二の温度で熱処理すること、
熱処理され、脱水された粒を粉砕して、熱抑制粒のフラワーを得ること、
を含む方法。
態様2:前記粒を脱水工程の前に酸性溶液中に浸漬し、前記粒のpHを調整する、態様1記載の方法。
態様3:pHを約pH5.5〜約pH6.5に調整する、態様2記載の方法。
態様4:前記粒を浸漬した後に第三の温度で乾燥し、該第三の温度は前記第一の温度及び第二の温度よりも低い、態様2記載の方法。
態様5:前記粒を無水にまで脱水する、態様1記載の方法。
態様6:熱脱水工程は約80℃〜約100℃の温度で粒を加熱することによって行われる、態様1記載の方法。
態様7:熱処理は約120℃〜約180℃の温度で約1時間〜約20時間行われる、態様1記載の方法。
態様8:熱処理は約130℃〜約165℃の温度で約1時間〜約20時間行われる、態様1記載の方法。
態様9:熱抑制粒のフラワーの調製方法であって、
約5.5〜約6.5のpHを有する緩衝溶液中に全粒を浸漬すること、
粒を約30℃〜約70℃の第一の温度で乾燥すること、
粒を約80℃〜100℃の第二の温度で無水又は実質的に無水になるまで脱水すること、
脱水された粒を約130℃〜約165℃の第三の温度で約1時間〜約20時間熱処理すること、
熱処理され、脱水された粒を粉砕して、熱抑制粒のフラワーを得ること、
を含む方法。
態様10:熱抑制粒のフラワーであって、
粒を無水又は実質的に無水になるまで脱水すること、
脱水された粒を、熱抑制されたフラワーを粉砕後に得るのに十分な温度及び時間で熱処理すること、
熱処理され、脱水された粒を粉砕して熱抑制されたフラワーを生成すること、
の方法により調製される、熱抑制粒のフラワー。
態様11:前記方法は脱水工程の前に粒のpHを調整するために粒を緩衝溶液に浸漬する工程をさらに含む、態様10記載の熱抑制粒のフラワー。
態様12:熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少量のヘキサナールをゼロ日貯蔵後に有する、態様10記載の熱抑制粒のフラワー。
態様13:熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少なくとも50%少ないヘキサナールをゼロ日貯蔵後に有する、態様10記載の熱抑制粒のフラワー。
態様14:熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも約85%少ないヘキサナールをゼロ日貯蔵後に有する、態様10記載の熱抑制粒のフラワー。
態様15:熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少なくとも50%少ないヘキサナールを室温での2週間の貯蔵後に有する、態様13記載の熱抑制粒のフラワー。
態様16:熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少なくとも50%少ないヘキサナールを室温での4週間の貯蔵後に有する、態様13記載の熱抑制粒のフラワー。
態様17:熱抑制されたフラワーは、約10%〜50%少ないヘキサナールを室温での4週間の貯蔵後に生成する、態様10記載の熱抑制粒のフラワー。
態様18:態様10記載の熱抑制されたフラワーを含む食品。
態様19:粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少なくとも50%少ないヘキサナールをゼロ日貯蔵後に有することを特徴とする、熱抑制粒のフラワー。
態様20:粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少なくとも50%少ないヘキサナールを室温での4週間の貯蔵後に有することをさらに特徴とする、態様19記載の熱抑制粒のフラワー。
粒の供給源、脱水条件、加熱時間及び温度、初期pH及び処理工程中に湿分が存在するか否かは、すべて、得ることができる抑制の程度に影響を及ぼす変数である。これらの要因は全て相互に関連しており、実施例の検査は、これらの異なる変数が抑制の程度の制御、ならびに、抑制された生成物のテクスチャ及び粘度特性に対して有する効果を示すであろう。
以下の実施例は例示として提供され、本発明の範囲を決して限定するものと解釈されるべきではない。当業者であれば、本発明の主旨及び範囲内になおも含まれる、実施例で使用される方法及び材料にルーチンの変更を加えることができることを認識するであろう。
手順
ブラベンダー粘度データによる抑制の特性化
水中に分散され、ゼラチン化された後の粘度の測定は、ブラベンダー(Brabender)(登録商標)Micro Visco-Amylo-Graph(登録商標)(Brabender(登録商標)GmbH&Co. KG, Duisburg, Germanyにより製造)によって行われる。Micro Visco-Amylo-Graph(登録商標)は、デンプン又はフラワースラリーをプログラム化加熱サイクルに供したときに発生する粘度のバランスをとるために必要なトルクを記録する。記録は、ブラベンダー単位(BU)と呼ばれる測定の任意単位での、加熱サイクルを通した粘度を追跡する曲線又はペースト化プロファイルからなる。
特に記載がない限り、以下のペースト粘度手順をすべてのサンプルに使用した。十分な量の蒸留水中でサンプルをスラリー化して、5%無水固形分のフラワー又はデンプンスラリー(すなわち、2%未満の湿分含有量を有する5%固形分)を提供した。pHをリン酸ナトリウム、クエン酸緩衝剤でpH3.0に調整し、スラリーを、350cm/グラムのカートリッジが取り付けられたBrabender(登録商標)Micro Visco-Amylo-Graph(登録商標)のサンプルカップに導入した。デンプンスラリーを95℃に急速に加熱し、15分間保持した。ピーク粘度及びピーク粘度10分後の粘度をBrabender Micro Visco Units(MVU)で記録した。粘度の百分率破壊は次の式に従って計算した。
上式中、「ピーク」はMVUでのピーク粘度であり、「(ピーク+ 10')」はピーク粘度10分後のMVUでの粘度である。
ピーク粘度に達していない(すなわち、データが上昇曲線又はフラット曲線を示す)場合には、95℃での粘度及び95℃に達した65分後の粘度を記録した。
ヘキサナール分析
ヘキサナール生成を、ヘキサナールを測定するための規定標準を含有する水と混合された均質な(顆粒サイズに対して)フラワーサンプルを用いて測定した。この混合物を加熱ブロック中で特定の時間加熱し、その後、混合物上のヘッドスペースのサンプルを採取し、炎イオン化検出(FID)と結合されたガスクロマトグラフに注入した。ヘッドスペースに解放されたヘキサナールは、ヘキサナールガスのクロマトグラフィー応答を規定標準のものと比較することによって定量化した。ヘキサナールレベルは、室温で保存された0、2及び4週間後に熱抑制フラワーから得た。
結果
例1-粒の熱抑制に対する浸漬の効果
ワキシーコメ(脱皮及び脱糠)及びワキシーメイズの粒は、粒を100℃で1時間加熱して粒を少なくとも実質的に無水にし、次いで、いずれでも130℃で2時間熱処理することによって、緩衝処理せずに熱抑制された。熱処理されたワキシー粒を、次いで、フラワーへと破砕(粉砕)した。熱処理された粒から得られたフラワーと同様の粒子サイズを有するフラワーを、未処理粒から調製し、次いで、同じ条件下で熱処理した。上記の緩衝処理されていないフラワー及びデンプンの粘度プロファイルを図2に示す。
緩衝処理された粒及びフラワーについては、ワキシーコメ(脱皮及び脱糠)及びワキシーメイズ粒を50℃で24時間、クエン酸カリウム溶液(1.2%、w/w)中に浸漬した。表面水を排出し、除去した後に、粒を50℃で12%未満の湿分含有量まで乾燥した。乾燥した粒を100℃に1時間加熱して少なくとも実質的に無水になるようにし、次いで、140℃に2時間加熱することによって粒を熱抑制した。次いで、これらの熱処理されたワキシー粒を破砕(粉砕)して、フラワーにした。熱処理された粒から得られたフラワーと同様の粒子サイズを有するフラワーを未処理の粒から調製し、粒中の残量として同量のクエン酸カリウムを噴霧し、50℃で12%未満の湿分含有量まで乾燥し、次いで、粒に関するのと同じ条件で熱処理した。上記の緩衝処理されたフラワー及びデンプンの粘度プロファイルを図4及び5に提供する。これらの図から、熱抑制粒から得られるフラワーは、フラワーの直接的な熱抑制から得られるものと同じ抑制レベルを有するために、同様の熱処理時間を必要としたことが理解される。
例2-フラワーの酸敗に及ぼす熱抑制粒の効果
ワキシーコメ粒、ワキシーコメフラワー、ワキシーコーン全粒及びワキシーコーンフラワーのそれぞれの300グラムのサンプルを様々な温度で様々な時間熱処理した。サンプル粒及びフラワーを実質的に無水にまで脱水し、実験室オーブン中で熱処理した。サンプルをオーブンに装填し、サンプルが少なくとも実質的に無水になるまで周囲温度から100℃にし、次いで、特定の熱処理温度(例えば、130℃又は140℃)までさらに加熱し、ここで、温度の上昇は約5〜15分間にわたり、そしてこれらの熱処理温度で特定の時間保持した。
ワキシーコーン粒及びワキシーコーンフラワーはpH調整しなかった。ワキシーコメ粒及びワキシーコメフラワーを以下のようにpH調整した。粒については、粒と1.2%クエン酸カリウム溶液との1:3混合物を水浴中にて50℃で予熱した。粒を緩衝剤中に24時間浸漬させた。24時間後に、ビーカーを浴から取り出し、浸漬溶液を排出した。次いで、粒をトレイ上に置き、50℃でオーブン中にて粒の総質量に基づいて12%未満の湿分含有量まで一晩乾燥した。フラワーについては、浸漬した粒中の残量として同量の1.2%クエン酸カリウム溶液を噴霧し、次いで50℃のオーブン中で一晩、フラワーの総質量に基づいて12%未満の湿分含有量にまで乾燥した。次いで、乾燥した粒及びフラワーを、ワキシーコーン粒及びワキシーコーンフラワーについて上述したように熱処理した。
処理条件及び貯蔵安定性を以下の表3に示す。
サンプルをヘキサナール分析により酸敗について分析した。その結果を上記の表1に示した。熱抑制粒(コーン及びコメの両方)から得られたフラワーは熱抑制フラワーと比較して、0、2及び4週間で、脂質酸化レベルがはるかに低いことが判る。これは、熱抑制粒のフラワーは粉砕後に熱抑制されたフラワーよりもヘキサナールが少なく、したがって、味がより良いと知覚されることが予想されることを示す。また、熱抑制粒のフラワーは、対照物のフラワー(すなわち、非熱抑制フラワー)よりも、ヘキサナールレベルが0、2及び4週間で低下したことも判る。これは、熱抑制粒から得られた熱抑制フラワーは、熱抑制されたフラワーと比較して、より長い貯蔵寿命を有することを示している。
例3-熱抑制に対する浸漬の効果
ワキシーコメ粒(脱皮及び脱糠)の9つのサンプルを種々の温度で緩衝剤中に浸漬し、次いで種々の時間で熱抑制した。ワキシーコメ粒サンプルを以下のようにpH調整した。ワキシーコメ粒を、粒と緩衝剤との1:3混合物中の粒300グラムを1.2%クエン酸カリウム溶液に添加することによりpH調整し、50℃、60℃又は70℃の水浴中で予熱し、そしてカバーした。粒を緩衝剤中に24時間浸漬させた。24時間後に、ビーカーを浴から取り出し、浸漬溶液を排出した。次いで、粒をトレイ上に置き、50℃でオーブン中にて12%(w/w)未満の湿分含有量にまで一晩乾燥した。次いで、乾燥した粒サンプルを無水又は実質的に無水にまで脱水し(100℃)、次いで、示された温度及び示された時間で熱処理した。
粒サンプルを緩衝処理し、抑制した後に、各サンプルを粉砕して80メッシュシーブに通した。上記のペースト粘度試験手順に従ってサンプルの粘度を決定した。結果を以下の表3に示す。
上記の例及びそれらの結果は、熱抑制フラワー及びデンプンが粉砕前に粒を熱抑制することによって製造できることを示している。さらに、粒を緩衝処理し、抑制の程度をさらに変更することができる。この方法によって製造された熱抑制フラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーに対して改善された色を有する。さらに、この方法によって製造された熱抑制コーンフラワーは、粉砕後に熱抑制されたコーンフラワーと比較して心地よい匂いを示した。最後に、粉砕前に粒を熱抑制することにより、得られる熱抑制フラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーに対して改善された貯蔵寿命を有する。

Claims (13)

  1. 粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少なくとも50%少ないヘキサナールをゼロ日又は4週間の貯蔵後に有することを特徴とする、熱抑制粒のフラワー。
  2. 熱抑制粒のフラワーであって、
    粒を無水又は実質的に無水になるまで脱水すること、
    脱水された粒を、熱抑制されたフラワーが粉砕後に得られるのに十分な温度及び時間で熱処理すること、
    熱処理され、脱水された粒を粉砕して熱抑制されたフラワーを生成すること、
    の方法により調製される、熱抑制粒のフラワー。
  3. 前記方法は、脱水工程の前に粒のpHを調整するために粒を緩衝溶液に浸漬する工程をさらに含む、請求項2記載の熱抑制粒のフラワー。
  4. 熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少なくとも50%少なく、又は、50%〜85%少ないヘキサナールをゼロ日貯蔵後に有する、請求項2記載の熱抑制粒のフラワー。
  5. 熱抑制粒のフラワーは、粉砕後に熱抑制されたフラワーよりも少なくとも50%少なく、又は、10%〜50%少ないヘキサナールを室温での2又は4週間の貯蔵後に有する、請求項4記載の熱抑制粒のフラワー。
  6. 熱抑制粒のフラワーの調製方法であって、
    粒を第一の温度で無水又は実質的に無水になるまで脱水すること、
    脱水された粒を、熱抑制粒のフラワーを粉砕後に得るのに十分な時間、第一の温度よりも高い第二の温度で熱処理すること、
    熱処理され、脱水された粒を粉砕して、熱抑制粒のフラワーを得ること、
    を含む方法。
  7. 前記粒を脱水工程の前に酸性溶液中に浸漬し、前記粒のpHを調整する、請求項6記載の方法。
  8. pHを約pH5.5〜約pH6.5に調整する、請求項7記載の方法。
  9. 前記粒を浸漬した後に第三の温度で乾燥し、該第三の温度は前記第一の温度及び第二の温度よりも低い、請求項7記載の方法。
  10. 前記粒を無水にまで脱水する、請求項6記載の方法。
  11. 熱脱水工程は80℃〜100℃の温度で粒を加熱することによって行われる、請求項6記載の方法。
  12. 熱処理は120℃〜180℃、又は、130℃〜約165℃の温度で約1時間〜約20時間行われる、請求項6記載の方法。
  13. 請求項1又は2記載の熱抑制されたフラワーを含む食品。
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