JP2018148051A - 成膜装置、成膜方法、及び半導体装置の作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大型の基板を用いて信頼性の高い半導体装置を作製する。電気特性の良好な半導体装置を実現する成膜装置、または成膜方法を提供する。【解決手段】成膜装置は、基板の搬送機構と、加熱室12と、第1の成膜室13と、冷却室14と、を有する。加熱室、第1の成膜室、及び徐冷室は、搬送機構が送る基板の進行方向に沿って、この順で設けられる。加熱室は、該加熱室内を減圧雰囲気とする第1の圧力調整機構と、基板を50度以上100℃未満に加熱する第1の加熱機構と、を有する。第1の成膜室は、第1の金属酸化物ターゲットと、第1の成膜室内を減圧雰囲気とする第2の圧力調整機構と、を有する。冷却室は、基板の温度が50℃以下になるまで保持する機能を有する。基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上10°以内に収まるよう保持された状態で処理される。【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、成膜装置、及び成膜方法に関する。本発明の一態様は、半導体装置の作製方法に関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路、演算装置、記憶装置等は半導体装置の一態様である。また、撮像装置、電気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含む)、及び電子機器は半導体装置を有している場合がある。
トランジスタに適用可能な半導体材料として、酸化物半導体が注目されている。例えば、特許文献1では、複数の酸化物半導体層を積層し、当該複数の酸化物半導体層の中で、チャネルとなる酸化物半導体層がインジウム及びガリウムを含み、且つインジウムの割合をガリウムの割合よりも大きくすることで、電界効果移動度(単に移動度、またはμFEという場合がある)を高めた半導体装置が開示されている。
半導体層に用いることのできる金属酸化物は、スパッタリング法などを用いて形成できるため、大型の表示装置を構成するトランジスタの半導体層に用いることができる。また、非晶質シリコンを用いたトランジスタの生産設備の一部を改良して利用することが可能であるため、設備投資を抑えられる。また、酸化物を用いたトランジスタは、高い電界効果移動度を有するため、駆動回路を一体形成した高機能の表示装置を実現できる。
一方、液晶表示装置に代表されるアクティブマトリクス型半導体装置においては、画面サイズが対角60インチ以上と大型化する傾向にあり、さらには、対角120インチ以上の画面サイズも視野に入れた開発が行われている。加えて、画面の解像度も、フルハイビジョンから、4K2Kまたは8K4Kといった、高解像度な表示装置の開発も急がれている。
これら半導体装置の大型化に伴い、例えば液晶パネルを生産するためのガラス基板サイズは、第1世代と呼ばれる300mm×400mmから、第3世代の550mm×650mm、第4世代の730mm×920mm、第5世代の1000mm×1200mm、第6世代の1450mm×1850mm、第7世代の1870mm×2200mm、第8世代の2000mm×2400mm、第9世代の2400mm×2800mm、第10世代の2880mm×3080mmと大型化しており、今後も第11世代、第12世代へと、更なる大型化が予想される。
特開2014−7399号公報
酸化物半導体はデバイス作製工程において、水素や水の混入が生じると、その電気伝導度が変化する恐れがある。このような現象は、酸化物半導体を用いたトランジスタにとって電気的特性の変動要因となる。
また、基板の大型化に伴い、成膜装置の大型化が進んでいる。しかし、装置の床面積(いわゆるフットプリント)の大きな成膜装置は、クリーンルームのレイアウトを制限するばかりでなく、クリーンルーム設計においてもコストが高くなってしまう問題がある。
本発明の一態様は、大型の基板を用いて信頼性の高い半導体装置を作製することを課題の一とする。または、電気特性の良好な半導体装置を実現する成膜装置、または成膜方法を提供することを課題の一とする。または、安定した電気特性と高い信頼性を備えた半導体装置を実現する成膜装置、または成膜方法を提供することを課題の一とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
本発明の一態様は、基板の搬送機構と、加熱室と、第1の成膜室と、冷却室と、を有する成膜装置である。加熱室、第1の成膜室、及び徐冷室は、搬送機構が送る基板の進行方向に沿って、この順で設けられる。加熱室は、該加熱室内を減圧雰囲気とする第1の圧力調整機構と、基板を50度以上100℃未満に加熱する第1の加熱機構と、を有する。第1の成膜室は、第1の金属酸化物ターゲットと、第1の成膜室内を減圧雰囲気とする第2の圧力調整機構と、を有する。冷却室は、基板の温度が50℃以下になるまで保持する機能を有する。基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上10°以内に収まるよう保持された状態で処理される。
また、上記において、第1の成膜室は、基板を室温以上130℃以下の温度に加熱する第2の加熱機構を有することが好ましい。
また、上記において、第1の成膜室は、質量分析計を有することが好ましい。
また、上記において、第1の成膜室と、冷却室との間に、第2の成膜室を有することが好ましい。このとき、第2の成膜室は、第2の金属酸化物ターゲットと、第2の成膜室内を減圧雰囲気とする第3の圧力調整機構と、を有することが好ましい。
また、上記において、第1の金属酸化物ターゲットと、第2の金属酸化物ターゲットとは、概略同じ組成の金属酸化物を含むことが好ましい。
また、本発明の他の一態様の金属酸化物膜の成膜方法は、加熱室で、減圧雰囲気下に保持した状態で、基板を50℃以上100℃未満に加熱し、第1の成膜室で、基板を室温以上130℃以下の温度に保持した状態で金属酸化物膜を成膜し、冷却室で、基板の温度が50℃以下になるまで保持し、基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上10°以内に収まるよう保持された状態で処理されることを特徴とする。
また、金属酸化物膜の成膜において、第1の成膜室内の水素分圧が、0.01Pa以下の時に成膜を開始することが好ましい。
また、本発明の他の一態様は、半導体装置の作製方法であって、ガラス基板を準備する工程と、ガラス基板上に酸化物半導体膜を成膜する工程と、を有する。ガラス基板は、対角40インチ以上対角100インチ以下のパネルが配置される大きさを有する。また酸化物半導体膜を成膜する工程において、酸化物半導体膜は、室温より高く100℃未満の温度で成膜されることが好ましい。
また、本発明の他の一態様は、半導体装置の作製方法であって、ガラス基板を準備する工程と、ガラス基板上に第1の導電膜を成膜する工程と、第1の導電膜を第1のパターニング、及び第1のエッチングを行うことで、ゲート電極を形成する工程と、ゲート電極上に第1の絶縁膜を成膜する工程と、第1の絶縁膜上に酸化物半導体膜を成膜する工程と、酸化物半導体膜を第2のパターニング、及び第2のエッチングを行うことで、島状の酸化物半導体膜を形成する工程と、島状の酸化物半導体膜上に第2の導電膜を成膜する工程と、第2の導電膜を第3のパターニング、及び第3のエッチングを行うことで、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、を有する。ガラス基板は、対角40インチ以上対角100インチ以下のパネルが配置される大きさを有する。酸化物半導体膜を成膜する工程において、酸化物半導体膜は、室温より高く100℃未満の温度で成膜されることが好ましい。
また、上記において、酸化物半導体膜は、第1の工程、及び第2の工程を経て形成され、第2の工程は、第1の工程の後に行われ、第1の工程は、第1の不活性ガス、及び第1の酸素ガスのいずれか一方または双方が導入され、第1の酸素ガスは、導入するガス全体に占める割合が、0%以上30%以下であり、第2の工程は、第2の不活性ガス、及び第2の酸素ガスのいずれか一方または双方が導入され、第2の酸素ガスは、導入するガス全体に占める割合が、30%より大きく100%以下であることが好ましい。
また、上記において、酸化物半導体膜は、第1の工程、第2の工程、及び第3の工程を経て形成され、第2の工程は、第1の工程の後に行われ、第3の工程は、第1の工程の前に行われ、第1の工程は、第1の不活性ガス、及び第1の酸素ガスのいずれか一方または双方が導入され、第2の工程は、第2の不活性ガス、及び第2の酸素ガスのいずれか一方または双方が導入され、第3の工程は、第3の不活性ガス、及び第3の酸素ガスのいずれか一方または双方が導入され、第1の酸素ガスは、導入するガス全体に占める割合が、0%以上30%以下であり、第2の酸素ガスは、導入するガス全体に占める割合が、30%より大きく100%以下である、第3の酸素ガスは、導入するガス全体に占める割合が、30%より大きく100%以下であることが好ましい。
本発明の一態様によれば、大型の基板を用いて信頼性の高い半導体装置を作製することができる。または、電気特性の良好な半導体装置を実現する成膜装置、または成膜方法を提供できる。または、安定した電気特性と高い信頼性を備えた半導体装置を実現する成膜装置、または成膜方法を提供できる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
成膜装置の構成例。 成膜装置の構成例。 成膜装置の構成例。 成膜装置の構成例。 半導体装置の構成例。 半導体装置の構成例。 半導体装置の構成例。 半導体装置の構成例。 半導体装置の構成例。 半導体装置の構成例。 半導体装置の作製方法を説明する図。 半導体装置の作製方法を説明する図。 半導体装置の作製方法を説明する図。 半導体装置の作製方法を説明する図。 表示装置の構成例。 表示装置の構成例。 表示装置の構成例。 表示装置の構成例。 表示装置の構成例。 表示装置の構成例。 表示装置のブロック図及び回路図。 表示装置のブロック図。 電子機器の構成例。 テレビジョン装置の構成例。 実施例1に係る気体分子の分圧を示す図。 実施例1に係る気体分子の分圧を示す図。 実施例2のトランジスタのI−V特性。 実施例2のトランジスタのI−V特性。 実施例2のトランジスタのI−V特性。 実施例2のトランジスタのGBT試験結果。 実施例3のトランジスタの電気特性。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、チャネル領域を介して、ソース、ドレイン間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。
トランジスタのオフ電流は、Vgsに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、トランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定のVgsにおけるオフ状態、所定の範囲内のVgsにおけるオフ状態、または、十分に低減されたオフ電流が得られるVgsにおけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧Vthが0.5Vであり、Vgsが0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−9Aであり、Vgsが0.1Vにおけるドレイン電流が1×10−13Aであり、Vgsが−0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−19Aであり、Vgsが−0.8Vにおけるドレイン電流が1×10−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、Vgsが−0.5Vにおいて、または、Vgsが−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10−19A以下である、と言う場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10−22A以下となるVgsが存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10−22A以下である、と言う場合がある。
また、本明細書等では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧Vdsに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVdsにおけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流がI以下である、とは、Vdsが0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V,3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVds、におけるトランジスタのオフ電流がI以下となるVgsの値が存在することを指す場合がある。
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合もある。
また、本明細書等では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。また、本明細書等において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
また、本明細書等において、トランジスタのしきい値電圧とは、トランジスタにチャネルが形成されたときのゲート電圧(Vg)を指す。具体的には、トランジスタのしきい値電圧とは、ゲート電圧(Vg)を横軸に、ドレイン電流(Id)の平方根を縦軸にプロットした曲線(Vg−√Id特性)において、最大傾きである接線を外挿したときの直線と、ドレイン電流(Id)の平方根が0(Idが0A)との交点におけるゲート電圧(Vg)を指す場合がある。あるいは、トランジスタのしきい値電圧とは、チャネル長をL、チャネル幅をWとし、Id[A]×L[μm]/W[μm]の値が1×10−9[A]となるゲート電圧(Vg)を指す場合がある。
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が十分に低い場合は、「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書等に記載の「半導体」と、「絶縁体」とは、互いに言い換えることが可能な場合がある。
また、本明細書等において、「半導体」と表記した場合であっても、例えば、導電性が十分に高い場合は、「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」とは境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書等に記載の「半導体」と、「導電体」とは、互いにに言い換えることが可能な場合がある。
また、本明細書等について、In:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍とは、原子数の総和に対して、Inが4の場合、Gaが1以上3以下(1≦Ga≦3)であり、Znが2以上4以下(2≦Zn≦4)とする。また、In:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍とは、原子数の総和に対して、Inが5の場合、Gaが0.1より大きく2以下(0.1<Ga≦2)であり、Znが5以上7以下(5≦Zn≦7)とする。また、In:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍とは、原子数の総和に対して、Inが1の場合、Gaが0.1より大きく2以下(0.1<Ga≦2)であり、Znが0.1より大きく2以下(0.1<Zn≦2)とする。
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有する場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)、略してOSと呼ぶことができる。また、OS FETと記載する場合においては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
また、本明細書等において、CAAC(c−axis aligned crystal)、及びCAC(Cloud−Aligned Composite)と記載する場合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例を表す。
また、本明細書等において、CAC−OSまたはCAC−metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC−OSまたはCAC−metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC−OSまたはCAC−metal oxideに付与することができる。CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
また、本明細書等において、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
また、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC−OSまたはCAC−metal oxideをトランジスタのチャネル領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
すなわち、CAC−OSまたはCAC−metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
金属酸化物の結晶構造の一例について説明する。なお、以下では、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いて、スパッタリング法にて成膜された金属酸化物を一例として説明する。上記ターゲットを用いて、基板温度を100℃以上130℃以下として、スパッタリング法により形成した金属酸化物をsIGZOと呼称し、上記ターゲットを用いて、基板温度を室温(R.T.)として、スパッタリング法により形成した金属酸化物をtIGZOと呼称する。例えば、sIGZOは、nc(nano crystal)及びCAACのいずれか一方または双方の結晶構造を有する。また、tIGZOは、ncの結晶構造を有する。なお、ここでいう室温(R.T.)とは、基板を意図的に加熱しない場合の温度を含む。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
また、本明細書等において、タッチセンサは指やスタイラスなどの被検知体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出する機能を有するものである。またその位置情報を検知する機能を有していてもよい。したがってタッチセンサは入力装置の一態様である。例えばタッチセンサは1以上のセンサ素子を有する構成とすることができる。
また、本明細書等では、タッチセンサを有する基板を、タッチセンサパネル、または単にタッチセンサなどと呼ぶ場合がある。また、本明細書等では、タッチセンサパネルの基板に、例えばFPCもしくはTCPなどのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG方式等によりICが実装されたものを、タッチセンサパネルモジュール、タッチセンサモジュール、センサモジュール、または単にタッチセンサなどと呼ぶ場合がある。
なお、本明細書等において、表示装置の一態様であるタッチパネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能と、表示面に指やスタイラスなどの被検知体が触れる、押圧する、または近づくことなどを検出するタッチセンサとしての機能と、を有する。したがってタッチパネルは入出力装置の一態様である。
タッチパネルは、例えばタッチセンサ付き表示パネル(または表示装置)、タッチセンサ機能つき表示パネル(または表示装置)とも呼ぶことができる。
タッチパネルは、表示パネルとタッチセンサパネルとを有する構成とすることもできる。または、表示パネルの内部または表面にタッチセンサとしての機能を有する構成とすることもできる。
また、本明細書等では、タッチパネルの基板に、例えばもしくはTCPなどのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG方式等によりICが実装されたものを、タッチパネルモジュール、表示モジュール、または単にタッチパネルなどと呼ぶ場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の成膜装置、及び当該成膜装置を用いた成膜方法について説明する。
[成膜装置の構成例]
図1は、以下で例示する成膜装置10の構成を説明するブロック図である。図1は、成膜装置10を上方から見たときの概略図に対応する。
成膜装置10は、ロード室11、加熱室12、成膜室13、冷却室14、及びアンロード室15が、順に接続されている。
なお、以下ではロード室11、加熱室12、成膜室13、冷却室14、及びアンロード室15について、それぞれを区別して説明する必要のないときは総称して処理室と呼ぶこともある。
ロード室11は、ゲートバルブ21と、圧力調整機構22aを有する。加熱室12は、圧力調整機構22bと、ガス導入機構23aを有する。成膜室13は、圧力調整機構22cと、ガス導入機構23bを有する。冷却室14は、圧力調整機構22dを有する。アンロード室は、ゲートバルブ21fと、圧力調整機構22eを有する。
ロード室11と加熱室12とは、ゲートバルブ21bを介して連結されている。加熱室12と成膜室13とは、ゲートバルブ21cを介して連結されている。成膜室13と冷却室14とは、ゲートバルブ21dを介して連結されている。冷却室14とアンロード室15とは、ゲートバルブ21eを介して連結されている。
図1中の一点鎖線の矢印は、基板30の搬送方向を示している。基板30は、ゲートバルブ21aからロード室11に搬送され、加熱室12、成膜室13、冷却室14、及びアンロード室15の順で搬送され、ゲートバルブ21fから外部に搬出される。
ロード室11は、装置外から成膜装置10に基板30の搬入を行う機能を有する。基板30は水平な状態でロード室11に搬入された後、ロード室11内で水平面に対して基板を立てる機構を有する。なお、基板30を搬入するロボット等の搬入手段が基板を立てる機構を有している場合は、ロード室11は基板30を立てる機構を有していなくてもよい。
アンロード室15は、ロード室11とは逆に、立てた状態の基板30を水平の状態に寝かせる機構を有する。処理を終え、移動手段によってアンロード室15に搬入された基板30は、アンロード室15にて立てた状態から水平方向な状態とされ、その後装置外へ搬出される。なお、基板30を搬出するロボット等の搬出手段が基板を寝かせる機構を有している場合は、アンロード室15は、基板を寝かせる機構を有していなくてもよい。
基板30は、ロード室11から、各処理室で処理を終えてアンロード室15に搬出されるまでの間、基板30の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上10°以内、好ましくは1°以上8°以内、代表的には約5°に収まるように保持される。このように、基板30を鉛直方向から僅かに傾けることにより、装置の床面積、いわゆるフットプリントを小さくすることができ、基板サイズが例えば第10世代、第10.5世代、第11世代、第12世代などへ大型化すればするほどクリーンルーム等の設計の容易さやコストの面においても有効である。さらに、基板を鉛直方向から僅かだけ傾けることにより、基板30に付着するごみ、パーティクルを低減できるため好ましい。
ロード室11が有する圧力調整機構22a、及びアンロード室15が有する圧力調整機構22eは、それぞれ室内を真空にする排気手段と、真空状態から大気圧する際に用いるガス導入手段とを有する。ガス導入手段から導入されるガスは、空気、若しくは窒素や希ガスなどの不活性ガスなどを適宜用いればよい。
ここで、各処理室に設けられる圧力調整機構が有する排気手段としては、排気手段としては、例えばクライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプなどの吸着型の真空ポンプ、或いは、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものを用いるとよい。
ロード室11、アンロード室15、及びそれぞれの処理室は、ゲートバルブを介して連結されている。したがって基板が処理を終えて次の処理室へ移る際には、ゲートバルブを開けて基板が搬入される。なお、これらゲートバルブは、処理室間において必要でなければ設けなくても良い。また、それぞれの処理室には、圧力調整手段、ガス導入手段などを有し、処理していない状態であっても常に減圧清浄な状態に保つことができる。ゲートバルブによって各処理室が隔離されることにより、他の処理室からの汚染を抑制することができる。
加熱室12は、基板30を加熱する処理室である。加熱室12は、加熱手段として、抵抗加熱ヒータ、ランプ、または加熱されたガスを用いる加熱装置などを有する。抵抗加熱ヒータには、誘導加熱を用いたものも含まれる。また、ランプは中心波長が赤外線領域にあるものが好ましい。
加熱室12で基板30を加熱する際、100℃以上の温度で加熱することで、基板表面(被成膜面)に吸着した水素分子や水分子などを除去することができる。しかしながら、基板30のサイズが大きくなると、100℃以上の温度で長時間加熱する場合に、基板に歪が生じてしまう場合がある。
そこで、加熱室12では、圧力調整機構22bにより、大気圧未満に減圧した状態で、基板温度を100℃未満となるように加熱することで、効果的に水素分子や水分子を除去することができる。基板温度としては、例えば40℃以上100℃未満、好ましくは45℃以上80℃以下、より好ましくは50℃以上70℃以下の温度とすることができる。
また、加熱室12は、圧力調整機構22bにより、加熱処理中や処理を行っていない状態においても常に減圧清浄な状態を保持することができる。また加熱室12内の水素分子や水(HO)などの水素を含む化合物などが(より好ましくは炭素原子を含む化合物と共に)除去されるため、当該加熱室12で処理した基板30の被成膜面吸着する不純物の濃度を低減できる。
また、圧力調整機構22b及びガス導入機構23aにより、不活性ガス雰囲気や、酸素を含む雰囲気での加熱処理が可能である。なお、不活性ガス雰囲気としては、窒素、または希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、加熱室12に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。
冷却室14は、成膜室13で処理された基板30を冷却する処理室である。冷却室14は、例えば基板30の温度が室温以上70℃以下、好ましくは20℃以上60℃以下、代表的には50℃以下の温度に低下するまで、基板30を保持する。
基板30が大型の基板である場合、急激に冷却すると割れなどが生じる恐れがあるため、基板30を冷却する冷却速度は遅いほど好ましい。冷却速度は、基板の線熱膨張係数等の特性や、生産性を考慮して適宜決定すればよい。また、冷却室14に、複数の基板を配置できる構成とし、温度が十分に下がった基板からアンロード室15に搬送できる構成とすることで、生産性を高めることができる。
例えば冷却室14は、減圧雰囲気下に基板30を曝した状態で保持することで、基板30が急冷されてしまうことなく、基板30を徐冷することができる。また、冷却室14内の圧力を成膜室13よりも高くなるように調整することで、基板30からの熱が放出されやすくなるため好ましい。
なお、冷却室14は基板30を冷却するための冷却手段を設けてもよい。例えば基板30に対して冷風を吹き付ける機構や、基板30を支持する基板支持部を冷却する機構を有していてもよい。
成膜室13は、スパッタリング装置として機能する。スパッタリング装置には、例えばマイクロ波スパッタリング装置、RFプラズマスパッタリング装置、ACスパッタリング装置、もしくはDCスパッタリング装置などを用いることができる。特に基板30が大型の場合には、DCスパッタリング装置を用いることが好ましい。
ここで、DCスパッタリング法を適用した成膜室の一例について図2を用いて説明する。DCスパッタリング法を適用した成膜室13について、図2(A)に基板30の進行方向に対して垂直方向の断面模式図示す。また図2(C)に、進行方向に対して平行且つ水平な断面の断面模式図を示す。
成膜室13は、筐体50の内部に、ターゲット51、防着板53、基板加熱機構55等を有する。図2(A)、(C)には、成膜室13内に基板30を保持した移動手段43が位置している状態を示している。
基板30は、被成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上10°以内、好ましくは1°以上8°以内、代表的には約5°に収まるように、基板支持部41によって固定されている。基板支持部41は、移動手段43に固定されている。
図2(B)は、基板支持部41及び移動手段43を、基板30側から見たときの概略図である。
移動手段43は、基板30が処理中に動かないように基板支持部41を固定しておくだけでなく、基板30を図2(C)中の破線に沿った方向(矢印に示す方向)に移動することができる。移動手段43は、ロード室11、アンロード室15、及び各処理室において、基板30の搬入出を行う機能も有する。
移動手段43は、例えばその底面に歯車45が噛み合う溝形成部47が設けられる構成とすることができる。このとき、歯車45が回転することで、移動手段43が水平方向に移動することができる。また、移動手段43は回転体49を有し、筐体50が当該回転体49と係合するレールを有することで、移動手段43の進行方向を制御することができる。
筐体50には、ターゲット51及び、防着板53が垂直に配置される。基板30の角度を、上述のように鉛直方向に近い角度に傾けることで、ターゲット51と基板30との距離が、位置によって異なることに起因するスパッタ膜の膜厚などのばらつきの影響を極めて小さくすることができる。
なお、図3に示すように、ターゲット51を、基板30と平行になるように傾けて保持された構成としてもよい。こうすることで、スパッタ膜の膜厚のばらつきを極めて小さくすることが可能となる。
また筐体50は、基板支持部41の背面に位置するように、基板加熱機構55を有していてもよい。基板加熱機構55により、基板30を加熱しながら成膜処理を行うことが出来る。基板加熱機構55としては例えば抵抗加熱ヒータや、ランプヒータなどを用いることができる。なお、基板加熱機構55は必要でなければなくすこともできる。
筐体50には、圧力調整機構22cが接続され、筐体50内を所望の圧力に減圧することが出来る。圧力調整機構22cに用いる排気装置としては、例えばクライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプなどの吸着型の真空ポンプ、或いは、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものを用いるとよい。
図2(C)では、圧力調整機構22cが、質量分析計25を有する例を示している。質量分析計25により、筐体50内の全圧および分圧を測定することができる。質量分析計25としては、例えば四重極型質量分析計(Q−massともいう。)を用いればよい。四重極型質量分析計は比較的小型化しやすいため、装置を簡略化できる。
また、質量分析計25としては、四重極型質量分析計の他に、飛行時間型質量分析計(TOF−MS:Time−of−Flight mass spectrometer)、磁場偏向型質量分析計などの質量分析計を用いてもよい。飛行時間型質量分析計は、極めて大きな質量をもつ元素(または分子)まで高感度に測定することが可能となる。また、磁場偏向型質量分析計は極めて高感度な測定を行うことができる。
なお、質量分析計25としては、上記質量分析計のほかに、例えばレーザーや赤外光を用いた光学式の分析計や、吸着型のガス分析計などを用いてもよい。光学式の分析計を用いる場合には、筐体50の一部に透光性の窓部を設けることにより、筐体50の外側に当該分析計を配置してもよい。特に、測定する元素が限られる場合には、その元素に適した光学式の分析計を用いると、チャンバー内や排気部に分析計を配置する必要がなくなる。その結果、分析計からの脱ガスの影響を排除でき、より高精度な測定を行うことが可能となる。
また、筐体50には、成膜ガス等を導入するためのガス導入機構23bが接続される。例えば希ガスを主成分としたガスに酸素を添加したガスを導入して反応性スパッタリング法による成膜を行うことにより、酸化膜を形成することができる。さらに、ガス導入機構23bから導入されるガスは、水素や水、水酸化物などの不純物が低減された高純度ガスを導入することができる。例えば、酸素、窒素、希ガス(代表的にはアルゴン)、又はこれらの混合ガスを導入することができる。
以上のような圧力調整機構22cとガス導入機構23bを有する成膜室13では、水素分子や水(HO)などの水素を含む化合物などが(より好ましくは炭素原子を含む化合物と共に)除去されるため、当該成膜室で成膜した膜中に含まれる不純物の濃度を低減できる。
成膜室13と隣接する部屋との境界は、ゲートバルブ21c及びゲートバルブ21dで仕切られている。各ゲートバルブで室内を隔離することにより、室内の不純物を排気しやすくし、成膜雰囲気を清浄に保つことが出来る。さらに、室内を清浄な状態にした後にゲートバルブを開放し基板を搬出することにより、隣接する処理室への汚染を抑制することができる。なお、必要でなければ、いずれか一方、または両方のゲートバルブをなくすことができる。
なお、成膜室13は、図2(C)に示すように、基板30を図中に示す破線の方向に沿って矢印の方向にスライドさせながら成膜する構成としてもよい。この様な構成とすることにより、ターゲットのサイズを小さくできるため、基板の大型化に対し、ターゲットのサイズを基板と同程度まで大きく出来ない場合などには好適である。
また、成膜室13で、ガスの流量比や、圧力、温度などの成膜条件を異ならせた2以上の膜の積層構造を形成することもできる。
例えば、移動手段43によって基板30を横方向にスライドさせながら一層目の膜を成膜する。その後、移動手段43によって基板30を元の位置に戻し、成膜条件を異ならせて二層目の膜を成膜することができる。これを繰り返すことで、積層膜を形成することができる。
また、移動手段43によって基板30をスライドさせながら一層目の膜を成膜した後に、逆方向に基板30をスライドさせながら二層目の膜を成膜してもよい。積層数が奇数の場合では、このような方法を用いることで、生産性を向上させることができる。
成膜室13ではスパッタリング法により、様々な膜を成膜することができる。例えば、金属酸化物膜、金属膜、シリコン酸化物膜等を成膜することができる。
金属酸化物膜としては、酸化物半導体膜として利用可能なIn−Ga−Zn酸化物などの金属酸化物膜や、酸化物導電膜として利用可能なIn−Sn酸化物またはIn−Sn−Si酸化物などの金属酸化物膜などが挙げられる。
また、金属酸化物膜の成膜条件としては、基板温度を室温以上130℃以下、好ましくは基板温度を50℃以上100℃以下、より好ましくは50℃以上80℃以下とすればよい。金属酸化物膜の成膜時の基板温度を、例えば、室温以上130℃以下とすると、生産性が高くなり好ましい。特に、大型の基板を用いる場合には、基板温度を50℃以上80℃以下、代表的には約70℃とすることが好ましい。
また、基板温度を室温とする、または意図的に加熱しない状態で、金属酸化物膜を成膜することで、結晶性の低い金属酸化物膜を成膜しやすくなる。なおこのとき、基板30は成膜時に受けるエネルギーにより、50℃以上80℃以下程度の温度に加熱される場合がある。
本実施の形態で示した成膜装置10は、ロード室から各処理室、及びアンロード室まで一貫して大気に触れない構成となっており、また常に減圧清浄な環境下で基板を搬送することが出来る。したがって本成膜装置を用いて成膜した膜の界面への不純物の混入を抑制することができ、界面状態の極めて良好な膜を形成することができる。
本実施の形態で示した成膜装置10を用いて、以降で例示する方法等によって作製した酸化物半導体層をトランジスタなどの半導体装置に適用することにより、安定した電気特性と高い信頼性を有する半導体装置を実現することができる。また、本実施の形態に示した成膜装置10は、第10世代以上の大型基板においても、不純物濃度が低減された一連の装置によって大気に触れることなく酸化物半導体層の形成工程を連続して行うことができる。
[変形例]
図4には、加熱室12と冷却室14との間に、2つの成膜室を配置した例を示している。
図4に示す成膜装置10aは、加熱室12とゲートバルブ21cを介して接続される成膜室13aを有する。また、成膜室13a、ゲートバルブ21gを介して接続され、且つ、冷却室14とゲートバルブ21dを介して接続される成膜室13bを有する。
成膜室13aは、上記図1における成膜室13を援用できる。成膜室13bは、圧力調整機構22eと、ガス導入機構23cと、を有する。
成膜室13aと成膜室13bは、それぞれスパッタリング装置として機能することが好ましい。これにより、成膜条件の異なる2つの金属酸化物膜を、大気に曝すことなく連続して積層することができる。
また、成膜室13aと成膜室13bには、同じ金属を含む金属酸化物ターゲットを有することが好ましい。特に、同じ組成の金属酸化物ターゲットを有することが好ましい。
例えば、成膜室13aと成膜室13bとで、概略同じ組成の金属酸化物ターゲットを用い、酸素の流量を異ならせた条件で積層膜を成膜することができる。
なお、ここでは2つの成膜室を配置する例を示したが、3つ以上の成膜室を、加熱室と冷却室の間に配置してもよい。また、ここでは2つの成膜室の両方に、スパッタリング装置を配置する例を示したが、異なる成膜方法の装置(例えばプラズマCVD装置など)を用いてもよい。
このように、成膜条件の異なる2層以上の積層膜を成膜する場合には、それぞれの膜を成膜するための成膜室を、加熱室と冷却室の間に配置することで、それぞれの成膜室で同時に処理を行うことができるため、生産性を向上させることができる。
[酸化物半導体膜の作製方法の例について]
以下では、成膜装置10を用いて、薄膜トランジスタに用いることのできる酸化物半導体膜の成膜する例について説明する。
まず、図1に示した基板30を、ロード室11に搬入する。
基板30は、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板などを用いることができる。基板30には、第5世代から第12世代、好ましくは第8世代から第12世代、代表的には10.5世代の大型のマザーガラスを用いることができる。
基板30をロード室11に搬入した後、ロード室11内を真空排気する。
次に、ゲートバルブ21bを開けて加熱室12に基板を搬送する。
続いて、加熱室12で、基板30の加熱処理を行う。加熱処理は、減圧雰囲気下において、基板温度が50℃以上100℃未満の温度となるように保持する。
続いて、ゲートバルブ21cを開けて成膜室13に基板を搬送する。
成膜室13では、成膜時の酸素流量比を異ならせて成膜した2種類の金属酸化物膜の積層構造を形成することができる。
例えば、1層目の金属酸化物膜(第1の金属酸化物膜と呼ぶ)の成膜時の酸素流量比を、2層目の金属酸化物膜(第2の金属酸化物膜と呼ぶ)の成膜時の酸素流量比よりも小さくする。または、第1の金属酸化物膜の成膜時に、酸素を流さない条件とする。これにより、第2の金属酸化物膜の成膜時に、第1の金属酸化物膜に酸素を効果的に供給することができる。また、第1の金属酸化物膜は第2の金属酸化物膜よりも結晶性が低く、電気伝導性の高い膜とすることができる。一方、上部に設けられる第2の金属酸化物膜を第1の金属酸化物膜よりも結晶性の高い膜とすることで、積層膜の加工時や、その上層に設ける膜の成膜時のダメージを抑制することができる。
例えば、第1の金属酸化物膜にCAC−OS膜を用い、第2の金属酸化物膜にCAAC−OS膜を用いることができる。
より具体的には、第1の金属酸化物膜の成膜時の酸素流量比を、0%以上50%未満、好ましくは0%以上30%以下、より好ましくは0%以上20%以下、代表的には10%とする。また第2の金属酸化物膜の成膜時の酸素流量比を、50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは90%以上100%以下、代表的には100%とする。また、第1の金属酸化物膜と第2の金属酸化物膜とで、成膜時の圧力、温度、電力等の条件を異ならせてもよいが、酸素流量比以外の条件を同じとすることで、成膜工程にかかる時間を短縮することができるため好ましい。
また、第1の金属酸化物膜、及び第2の金属酸化物膜の成膜時の基板温度は、室温以上130℃以下、好ましくは基板温度を50℃以上100℃以下、より好ましくは50℃以上80℃以下、代表的には約70℃とすることができる。
また、第1の金属酸化物膜、及び第2の金属酸化物膜の成膜時において、質量分析計25で測定した成膜室13内の水素分圧が、0.01Pa以下の時に、成膜を開始することが好ましい。これにより、成膜される膜中の水素濃度を極めて低くすることができる。
半導体層をこのような積層構造とすることで、電気特性に優れ、且つ信頼性の高いトランジスタを実現できる。
続いて、ゲートバルブ21dを開けて基板30を冷却室14に搬送する。
冷却室14において、基板30の温度が50℃以下になるまで保持する。その後、ゲートバルブ21eを開けてアンロード室15に基板30を搬送する。
最後に、アンロード室15に基板30が搬出されることにより、工程が終了する。
以上が、酸化物半導体膜の作製方法の例についての説明である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態1で例示した成膜装置及び成膜方法により成膜される金属酸化物膜を適用可能な半導体装置と、その作製方法について説明する。ここでは半導体装置の一態様である、トランジスタについて説明する。
[構成例1]
図5(A)は、トランジスタ100の上面図である。図5(B)は、図5(A)中の切断線X1−X2における断面概略図である。図5(C)は、図5(A)中の切断線Y1−Y2における断面概略図である。なお、図5(A)において、煩雑になることを避けるため、トランジスタ100の一部の構成要素(絶縁層等)を省略して図示している。また、X1−X2の方向をチャネル長方向、Y1−Y2の方向をチャネル幅方向と呼ぶことがある。
トランジスタ100は、基板102上の導電層104と、基板102及び導電層104上に絶縁層106と、絶縁層106上に半導体層108と、半導体層108の上面に接し、半導体層108上で離間する導電層112a及び導電層112bと、を有する。また導電層112a、導電層112b及び半導体層108を覆って絶縁層114、絶縁層116が設けられている。
導電層104の一部は、ゲート電極として機能する。絶縁層106の一部は、ゲート絶縁層として機能する。導電層112aは、ソース電極及びドレイン電極の一方として機能し、導電層112bは、ソース電極及びドレイン電極の他方として機能する。絶縁層114、絶縁層116は、それぞれ保護層として機能する。
なお、トランジスタ100は、いわゆるチャネルエッチ型のトランジスタである。
半導体層108は、金属酸化物を含むことが好ましい。特に、半導体層108は、Inと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、Znと、を有すると好ましい。特にMはAl、Ga、Y、またはSnとすることが好ましい。
また、半導体層108は、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有すると好ましい。一例としては、半導体層108のIn、M、及びZnの原子数の比を、In:M:Zn=4:2:3近傍とすると好ましい。
なお、半導体層108は、上記の組成に限定されない。例えば、半導体層108のIn、M、及びZnの原子数の比を、In:M:Zn=5:1:6近傍としてもよい。ここで近傍とは、Inが5の場合、Mが0.5以上1.5以下であり、且つZnが5以上7以下を含む。
また、半導体層108の組成として、半導体層108のIn、M、及びZnの原子数の比を概略等しくしてもよい。すなわち、In、M、及びZnの原子数の比が、In:M:Zn=1:1:1近傍の材料を含んでいてもよい。
半導体層108が、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有することで、トランジスタ100の電界効果移動度を高くすることができる。具体的には、トランジスタ100の電界効果移動度が10cm/Vを超える、さらに好ましくはトランジスタ100の電界効果移動度が30cm/Vを超えることが可能となる。
例えば、上記の電界効果移動度が高いトランジスタを画素に配置することで、画素の開口率(画素面積に対する表示に寄与する領域の面積の比)を高めることができる。また、上記の電界効果移動度が高いトランジスタを、ゲート信号を生成するゲートドライバに用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)表示装置を提供することができる。また、上記の電界効果移動度が高いトランジスタを、表示装置が有する信号線からの信号の供給を行うソースドライバ(特に、ソースドライバが有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマルチプレクサ)に用いることで、表示装置に接続される配線数が少ない表示装置を提供することができる。
なお、半導体層108が、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有していても、半導体層108の結晶性が高い場合、電界効果移動度が低くなる場合がある。
半導体層108の結晶性としては、例えば、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)を用いて分析する、あるいは、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)を用いて分析することで解析できる。
絶縁層106及び絶縁層116には、それぞれ水素や酸素などの不純物が拡散しにくい絶縁膜を用いることができる。例えば、窒化絶縁膜などのバリア性の高い絶縁膜を用いることができる。特に、シリコンと窒素を主成分として含む絶縁膜を用いることが好ましい。絶縁層106の領域106a以外の領域、及び絶縁層116は、それぞれ主成分として酸素を含まないことが好ましい。
絶縁層106は、その上面近傍に位置する領域106aを有する。図5(B)、(C)では、領域106aの輪郭を破線で示している。領域106aは、絶縁層106の他の領域よりも酸素濃度の高い領域である。また領域106aは、絶縁層106の他の領域よりも水素濃度の低い領域であることが好ましい。半導体層108は、領域106aと接して設けられている。
領域106aの存在は、例えば、絶縁層106における、半導体層108との界面を含む領域の元素分析を行うことにより確認することができる。このとき、絶縁層106の半導体層108に近い領域に、酸素が多く検出されうる。また、絶縁層106と半導体層108の界面近傍に酸素濃度の高い領域が観測される場合がある。また、絶縁層106の半導体層108に近い領域に、他の部分よりも水素濃度が低い領域が観測されうる。元素分析の手法としては、例えばエネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)や、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)などがある。また、領域106aの存在は、断面における透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscopy)像などにおいて、他の部分とはコントラストの違う領域として観察できる場合がある。
絶縁層114には、酸素を含む絶縁膜を用いることができる。絶縁層114は、絶縁層116よりも窒素の濃度が低い材料を用いることが好ましい例えば、シリコンと酸素とを含む絶縁膜、シリコンと酸素と窒素を含む絶縁膜などを用いることが好ましい。または、例えばアルミニウムまたはハフニウムと、酸素と、を含む絶縁膜を用いてもよい。例えば、絶縁層114としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜を用いることができる。特に、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を用いることがより好ましい。
絶縁層114として、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜等を用いる場合には、プラズマCVD装置を用いて形成すると好ましい。プラズマCVD装置は、被形成面の段差被覆性が高く、また緻密で欠陥の少ない絶縁膜を成膜できるため好ましい。
また、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム等を用いる場合、スパッタリング装置を用いて形成すると好ましい。スパッタリング装置を用いて酸化アルミニウム膜を形成する場合、酸素ガスを含む雰囲気で形成することで、半導体層108中に好適に酸素を添加することができる。また、スパッタリング装置を用いて、酸化アルミニウム膜を形成する場合、膜密度を高めることができるため好適である。
また、絶縁層114は、絶縁層116よりも厚さが薄いことが好ましい。絶縁層114を薄く形成することで、後述するプラズマ処理により、絶縁層114を介して半導体層108に酸素を供給しやすくすることができる。また、絶縁層114を薄く形成することで生産性を向上させることができる。一方、絶縁層116は成膜速度を高くできるため、厚さを絶縁層114よりも厚くすることでトランジスタ100の機械的強度を高めることができる。
ここで、導電層112a及び導電層112bは、それぞれ絶縁層106の領域106aに接して設けられている。これにより、導電層112a及び導電層112bに水素が拡散しやすい材料を用いた場合であっても、絶縁層106中に含まれる水素が導電層112a及び導電層112bを介して半導体層108に拡散することを防ぐことができる。
図6には、図5(B)中の破線で囲った領域の拡大図を示している。図6は、半導体層108のチャネル形成領域及びその近傍を拡大した図である。
トランジスタ100は、導電層104、絶縁層106、半導体層108、絶縁層114、及び絶縁層116が順に積層された積層構造を有している。また絶縁層106の半導体層108と接する領域に、酸素を含む領域106aを有する。
ここで、半導体層108に金属酸化物膜を用いる場合、これと接する層に酸化物を用いることで、これらの界面に欠陥準位が形成されることを抑制することができる。図6に示すように、半導体層108が接する絶縁層114は酸化物膜を含む。また半導体層108が接する領域106aは酸素を多く含む領域であるため、酸化物膜に近い組成となっている。したがって、このような積層構造を有することで、トランジスタ100の電気特性を良好なものとすることができる。
さらにトランジスタ100は、領域106a、半導体層108、及び絶縁層114の積層構造を、絶縁層106と絶縁層116とで挟み込む構成を有する。絶縁層106及び絶縁層116は水、水素、及び酸素等が拡散しにくい層であるため、外部から半導体層108へ水や水素が拡散することを防ぎ、且つ、半導体層108から外部へ酸素が拡散(脱離)することを防ぐことができる。その結果、トランジスタ100の電気特性を良好なものとするだけでなく、信頼性を高めることができる。
また、半導体層108は、導電層112a及び導電層112bと接する部分及びその近傍に位置する一対の領域108nが形成されていてもよい。領域108nは、半導体層108の一部であり、チャネル形成領域よりも低抵抗な領域である。また領域108nは、キャリア密度が高い領域、またはn型である領域などと言い換えることができる。また半導体層108において、一対の領域108nに挟まれ、且つ、導電層104と重なる領域が、チャネル形成領域として機能する。
なお、領域108nの形状や範囲は、トランジスタの作製条件によって様々に変化しうるため、図6等に示す例に限られない。例えば、領域108nの形状が導電層112aよりも外側に位置する場合がある。また、領域108nの境界は曖昧である場合が多いため、図6等では破線で示している。
以上が、構成例1についての説明である。
以下では、上記構成例1と一部の構成が異なるトランジスタの構成例について説明する。なお、以下では、上記構成例1と重複する部分は説明を省略する場合がある。また、以下で示す図面において、上記構成例1と同様の機能を有する部分についてはハッチングパターンを同じくし、符号を付さない場合もある。
[構成例2]
図7(A)は、以下で例示するトランジスタ100Aのチャネル長方向の断面図であり、図7(B)は、チャネル幅方向の断面図である。なお、上面図については図5(A)を援用できる。
トランジスタ100Aは、半導体層108が積層構造を有する点、及び、導電層112a及び導電層112bが積層構造を有する点で、構成例1で例示したトランジスタ100と主に相違している。
半導体層108は、上から半導体層108aと半導体層108bとが積層された積層構造を有する。半導体層108bは、絶縁層106の領域106a上に設けられている。また半導体層108aは、半導体層108b上に設けられ、導電層112a及び導電層112bと接する。
半導体層108aと半導体層108bとは、それぞれ金属酸化物膜を含むことが好ましい。また、絶縁層114側に位置する半導体層108aに、半導体層108bよりも結晶性の高い金属酸化物膜を用いることが好ましい。
また半導体層108aと半導体層108bとは、同じ酸化物ターゲットを用い、成膜条件を異ならせることで、大気に触れることなく連続して形成されることが好ましい。
例えば、半導体層108aの成膜時の酸素流量比を、半導体層108bの成膜時の酸素流量比よりも大きくする。これにより、半導体層108aの成膜時に、半導体層108bに酸素を効果的に供給することができる。また、半導体層108bは半導体層108aよりも結晶性が低く、電気伝導性の高い膜とすることができる。一方、上部に設けられる半導体層108aを半導体層108bよりも結晶性の高い膜とすることで、半導体層108の加工時、導電層112a及び導電層112bの加工時、及び絶縁層114の成膜時等のダメージを抑制することができる。例えば、半導体層108bにCAC−OS膜を用い、半導体層108aにCAAC−OS膜を用いることができる。
より具体的には、半導体層108bの成膜時の酸素流量比を、0%以上50%未満、好ましくは0%以上30%以下、より好ましくは0%以上20%以下、代表的には10%とする。また半導体層108aの成膜時の酸素流量比を、50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは90%以上100%以下、代表的には100%とする。また、半導体層108aと半導体層108bとで、成膜時の圧力、温度、電力等の条件を異ならせてもよいが、酸素流量比以外の条件を同じとすることで、成膜工程にかかる時間を短縮することができるため好ましい。
半導体層108をこのような積層構造とすることで、電気特性に優れ、且つ信頼性の高いトランジスタを実現できる。
なお、半導体層108aと半導体層108bとは、それぞれ異なる組成の膜であってもよい。このとき、半導体層108a及び半導体層108bの両方に、In−Ga−Zn酸化物を用いた場合、半導体層108bに、半導体層108aよりもInの組成が高い酸化物ターゲットを用いることが好ましい。
導電層112a及び導電層112bは、それぞれ導電層121と、導電層122と、導電層123が順に積層された積層構造を有する。
導電層121は、半導体層108aの上面及び側面、並びに半導体層108bの側面を覆って設けられている。また、導電層121は絶縁層106の領域106a上に接して設けられている。導電層122は、導電層121上に設けられている。導電層122は、平面視において、導電層121よりも内側に位置する。導電層123は、導電層122上に設けられている。導電層123は、導電層122の上面及び側面を覆って設けられている。また導電層123の一部は、導電層121の上面に接して設けられている。導電層121と導電層123とは、平面視において端部が一致するように加工されている。
このような構成とすることで、導電層122は導電層121と導電層123によって囲まれた構成とすることができる。言い換えると、導電層122の表面が露出しない構成とすることができる。これにより、導電層122に半導体層108中に拡散しやすい材料を用いることができる。
導電層122には、導電層121及び導電層123よりも低抵抗な材料を用いることが好ましい。また、導電層121及び導電層123には、導電層122よりも半導体層108に拡散しにくい材料を用いることができる。
導電層122は、少なくとも導電層121及び導電層123と異なる導電性材料を用いることができる。なお、導電層121と導電層123に、それぞれ異なる導電性材料を用いることもできる。特に導電層121と導電層123に同じ導電性材料を用いると、装置を共通化でき、さらにこれらの端部における接触抵抗を低減できるため好ましい。
例えば、導電層121及び導電層123に、チタン膜またはモリブデン膜を用いることが好ましい。また、導電層122には、アルミニウム膜または銅膜を用いることが好ましい。このような構成により、導電層112a及び導電層112bの配線抵抗を低くしつつ、電気特性の良好なトランジスタを実現できる。
以下では、単層構造を有する半導体層108、及び積層構造を有する半導体層108が有する半導体層108a及び半導体層108bについて説明する。
半導体層108、半導体層108a、及び半導体層108bは、それぞれ金属酸化物を含むことが好ましい。特に、インジウム、ガリウム、及び亜鉛のうち、いずれか一以上を含む酸化物を有することが好ましい。または、それぞれ、Inと、Znと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、を有することが好ましい。特にMはAl、Ga、Y、またはSnとすることが好ましい。
一例としては、半導体層108、半導体層108a、及び半導体層108bは、In、M、及びZnの原子数の比を、In:M:Zn=4:2:3またはその近傍、あるいはIn:M:Zn=5:1:7またはその近傍とすると好ましい。
例えば、半導体層が2層の積層構造を有する場合、下側に位置する半導体層108bにはCAC−OSを適用する。これにより、トランジスタのオン電流を高めることができる。また上側に位置する半導体層108aにはCAAC−OSを適用する。最も上側に位置する半導体層108aに結晶性の高い膜を適用することでエッチング耐性が向上し、導電層112a及び導電層112bの形成の際に、半導体層108aの一部が消失してしまうことを防止することができる。
また、半導体層を3層の積層構造としてもよい。このとき、最も下側に位置する半導体層は、半導体層108aまたは半導体層108bと同様の構成とすることができる。例えば、最も下側に位置する半導体層に半導体層108aと同様の構成を適用することで、積層構造を有する半導体層108の信頼性を向上させることができる。また、最も下側に位置する半導体層に半導体層108bと同様の構成を適用することで、さらにトランジスタのオン電流を高めることができる。
このように、本発明の一態様では、積層構造を有する半導体層108として、下側に位置する半導体層108bには結晶性の低い金属酸化物を用い、これよりも上部に位置する半導体層108aには結晶性の高い金属酸化物で、半導体層108bの上部を覆う構成とする。半導体層108bが結晶性の低い領域を有することで、キャリア密度が高くなる場合がある。このとき、半導体層108bが主な電流経路となりうる。これにより、オン電流が高く、且つ信頼性が高められたトランジスタを実現できる。
なお、半導体層108が単層構造の場合には、半導体層108bと同様の構成を適用することで、トランジスタのオン電流を高めることができる。また、半導体層108に半導体層108aと同様の構成を適用することで、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
以上が構成例2についての説明である。
[変形例1]
図8(A)は、以下で例示するトランジスタ100Bの上面図であり、図8(B)は、トランジスタ100Bのチャネル長方向の断面図であり、図8(C)は、チャネル幅方向の断面図である。
トランジスタ100Bは、導電層120a及び導電層120bを有する点で、上記構成例2で例示したトランジスタ100と主に相違している。
導電層120aは、絶縁層116上に設けられ、半導体層108と重なる部分を有する。このとき、導電層104は第1のゲートとして機能し、導電層120aは第2のゲートとして機能する。絶縁層106の一部は第1のゲート絶縁層として機能し、絶縁層114及び絶縁層116の一部は、第2のゲート絶縁層として機能する。トランジスタ100Bは、一対のゲート電極を有するトランジスタである。
導電層120bは、接続部142aにより導電層112bの導電層123と電気的に接続されている。接続部142aにおいて、導電層120bは、絶縁層116及び絶縁層114に設けられた開口を介して導電層112bの導電層123と電気的に接続されている。
図8(C)に示すように、導電層120aと導電層104とは接続部142bにより電気的に接続される構成とすることが好ましい。接続部142bには、導電層121、導電層122、導電層123が設けられている。接続部142bにおいて、導電層120aは、絶縁層116及び絶縁層114に設けられた開口を介して導電層123と電気的に接続され、導電層121は、絶縁層106に設けられた開口を介して導電層104と電気的に接続されている。
トランジスタ100Bにおける半導体層108は、導電層104と、導電層120aとに挟持される。導電層104及び導電層120aは、チャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さが、半導体層108のチャネル長方向の長さ及びチャネル幅方向の長さよりもそれぞれ長い。そのため、半導体層108は絶縁層106並びに絶縁層114及び絶縁層116を間に挟んで、導電層104と導電層120aとに覆われた構成を有する。言い換えると、トランジスタ100Bのチャネル幅方向において、導電層104及び導電層120aは、半導体層108を囲む構成を有する。
このような構成とすることで、トランジスタ100Bが有する半導体層108を、導電層104及び導電層120aの電界によって電気的に囲むことができる。トランジスタ100Bのように、導電層104及び導電層120aの電界によって、チャネル領域が形成される半導体層を電気的に囲むトランジスタのデバイス構造を、Surrounded channel(S−channel)構造と呼ぶことができる。
トランジスタ100Bは、S−channel構造を有するため、導電層104及び導電層120aによってチャネルを誘起させるための電界を効果的に半導体層108に印加することができる。したがって、トランジスタ100Bの駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可能となる。また、オン電流を高くすることが可能なため、トランジスタ100Bを微細化することが可能となる。また、トランジスタ100Bは、導電層104及び導電層120aによって半導体層108が囲まれた構造を有するため、トランジスタ100Bの機械的強度を高めることができる。
また、上記構成とすることにより、半導体層108においてキャリアの流れる領域が、半導体層108の導電層104側と、半導体層108の導電層120a側の両方に形成されることで、広い範囲となるため、トランジスタ100Bはキャリア移動量が増加する。その結果、導電層104と導電層120aのいずれか一方に所定の電位を与えた場合に比べて、トランジスタ100Bのオン電流を大きくできる。
以上が変形例についての説明である。
[構成例3]
以下では、絶縁層114を導電層112a及び導電層112bの加工時に半導体層108を保護するためのチャネル保護層として用いる構成について説明する。
図9(A)は、以下で例示するトランジスタ100Cの上面図であり、図9(B)は、トランジスタ100Cのチャネル長方向の断面図であり、図9(C)は、トランジスタ100Cのチャネル幅方向の断面図である。
トランジスタ100Cは、絶縁層114及び絶縁層116よりも、導電層112a及び導電層112bが上側に位置している点で、構成例1で例示したトランジスタ100と主に相違している。
絶縁層114は、半導体層108の上面及び側面、ならびに絶縁層106を覆って設けられている。また、絶縁層116は、絶縁層114を覆って設けられている。
導電層112aと導電層112bとは、それぞれ絶縁層116上に設けられている。また、導電層112aと導電層112bとは、それぞれ絶縁層116及び絶縁層114に設けられた開口を介して、半導体層108と接する。
このような構成とすることで、導電層112aと導電層112bを加工するためのエッチング工程において、半導体層108が絶縁層114及び絶縁層116に覆われた状態で行われるため、半導体層108がエッチングのダメージを受けにくい構成とすることができる。またこのような構成とすることで、導電層112a及び導電層112bの材料の選択の幅が広がるため好ましい。
なお、ここでは絶縁層114及び絶縁層116が、半導体層108の上面だけでなく側面も覆う構成としたが、これに限られない。例えば、絶縁層114及び絶縁層116が島状に加工され、半導体層108のチャネル形成領域の上に位置する構成としてもよい。
以上が、構成例3についての説明である。
[構成例4]
図10(A)は、以下で例示するトランジスタ100Dのチャネル長方向の断面図であり、図10(B)は、チャネル幅方向の断面図である。
トランジスタ100Dは、半導体層108が積層構造を有する点、導電層120a及び導電層120bを有する点で、上記構成例3で例示したトランジスタ100Cと主に相違している。
半導体層108は、上側から半導体層108aと半導体層108bとが積層された積層構造を有する。また、絶縁層114は、半導体層108aの上面及び側面と、半導体層108bの側面をそれぞれ覆って設けられている。
また、絶縁層116、導電層112a及び導電層112bを覆って、絶縁層118が設けられ、絶縁層118上に導電層120a及び導電層120bが設けられている。絶縁層118は、平坦化膜としての機能を有していることが好ましい。絶縁層118としては、有機樹脂を好適に用いることができる。
接続部142bにおいて、導電層120bは、絶縁層118に設けられた開口を介して導電層112bと電気的に接続されている。
また、導電層120aと導電層104とは、接続部142bを介して電気的に接続されている。接続部142bには、導電層112a等と同一の導電膜を加工することで形成された導電層を有する。当該導電層は、絶縁層116、絶縁層114及び絶縁層106に設けられた開口を介して、導電層104と電気的に接続されている。また、導電層120aと当該導電層とは、絶縁層118に設けられた開口を介して電気的に接続されている。
以上が、構成例4についての説明である。
[半導体装置の構成要素について]
以下では、本実施の形態の半導体装置に含まれる構成要素について、詳細に説明する。
〔基板〕
基板102の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板102として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能であり、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板102として用いてもよい。なお、基板102として、ガラス基板を用いる場合、第6世代(1500mm×1850mm)、第7世代(1870mm×2200mm)、第8世代(2200mm×2400mm)、第9世代(2400mm×2800mm)、第10世代(2950mm×3400mm)等の大面積基板を用いることで、大型の表示装置を作製することができる。
また、基板102として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ100を形成してもよい。または、基板102とトランジスタ100の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板102より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタ100は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
〔導電層〕
導電層104、導電層112a、導電層112b、導電層120a、導電層120bとしては、クロム、銅、アルミニウム、金、銀、亜鉛、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、マンガン、ニッケル、鉄、コバルトから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いてそれぞれ形成することができる。
また、導電層104、導電層112a、導電層112b、導電層120a、導電層120bには、インジウムと錫とを有する酸化物(In−Sn酸化物)、インジウムとタングステンとを有する酸化物(In−W酸化物)、インジウムとタングステンと亜鉛とを有する酸化物(In−W−Zn酸化物)、インジウムとチタンとを有する酸化物(In−Ti酸化物)、インジウムとチタンと錫とを有する酸化物(In−Ti−Sn酸化物)、インジウムと亜鉛とを有する酸化物(In−Zn酸化物)、インジウムと錫とシリコンとを有する酸化物(In−Sn−Si酸化物)、インジウムとガリウムと亜鉛とを有する酸化物(In−Ga−Zn酸化物)等の酸化物導電体または酸化物半導体を適用することもできる。
ここで、酸化物導電体について説明を行う。本明細書等において、酸化物導電体をOC(Oxide Conductor)と呼称してもよい。酸化物導電体としては、例えば、半導体特性を有する金属酸化物に酸素欠損を形成し、該酸素欠損に水素を添加すると、伝導帯近傍にドナー準位が形成される。この結果、金属酸化物は、導電性が高くなり導電体化する。導電体化された金属酸化物を、酸化物導電体ということができる。一般に、半導体特性を有する金属酸化物は、エネルギーギャップが大きいため、可視光に対して透光性を有する。一方、酸化物導電体は、伝導帯近傍にドナー準位を有する金属酸化物である。したがって、酸化物導電体は、ドナー準位による吸収の影響は小さく、可視光に対して半導体特性を有する金属酸化物と同程度の透光性を有する。
また、導電層104、導電層112a、導電層112bには、Cu−X合金膜(Xは、Mn、Ni、Cr、Fe、Co、Mo、Ta、またはTi)を適用してもよい。Cu−X合金膜を用いることで、ウエットエッチングプロセスで加工できるため、製造コストを抑制することが可能となる。
また、導電層112a、導電層112bには、上述の金属元素の中でも、特に銅、チタン、タングステン、タンタル、及びモリブデンの中から選ばれるいずれか一つまたは複数を有すると好適である。また、導電層112a、導電層112bとして、銅膜やアルミニウム膜を用いると、導電層112a、112bの抵抗を低くすることができるため好適である。
[絶縁層]
ゲート絶縁層として機能する絶縁層106、及び保護層として機能する絶縁層116としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition))法、スパッタリング法等により形成された、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜等を一種以上含む絶縁層を用いることができる。なお、絶縁層106や絶縁層116を、2層以上の積層構造としてもよい。
半導体層108上に設けられる絶縁層114としては、PECVD法、スパッタリング法、ALD(Atomic Layer Deposition)法などにより形成された、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜等を一種以上含む絶縁層を用いることができる。特に、プラズマCVD法により形成された酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を用いることが好ましい。なお、絶縁層114を2層以上の積層構造としてもよい。
絶縁層114としては、厚さが5nm以上150nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下の絶縁膜を好適に用いることができる。
[半導体層]
半導体層108としては、先に示す材料を用いることができる。
半導体層108がIn−M−Zn酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In>Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
また、半導体層108が、In−M−Zn酸化物の場合、スパッタリングターゲットとしては、多結晶のIn−M−Zn酸化物を含むターゲットを用いると好ましい。多結晶のIn−M−Zn酸化物を含むターゲットを用いることで、結晶性を有する半導体層108を形成しやすくなる。なお、成膜される半導体層108の原子数比は、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、半導体層108に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]の場合、成膜される半導体層108の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]の近傍となる場合がある。
また、半導体層108は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上である。このように、エネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
また、半導体層108は、非単結晶構造であると好ましい。非単結晶構造は、例えば、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC−OSは最も欠陥準位密度が低い。
[トランジスタの作製方法例]
以下では、本発明の一態様のトランジスタの作製方法例について説明する。ここでは、上記構成例2で例示したトランジスタ100Aを例に挙げて説明する。
なお、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulse Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成することができる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法や、熱CVD法などがある。また、熱CVD法のひとつに、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法がある。
また、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等の方法により形成することができる。
また、半導体装置を構成する薄膜を加工する際には、フォトリソグラフィ法等を用いて加工することができる。それ以外に、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工してもよい。また、メタルマスクなどの遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を直接形成してもよい。
フォトリソグラフィ法としては、代表的には以下の2つの方法がある。一つは、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法である。もう一つは、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法である。
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra−violet)やX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。
図11〜図14に示す各図は、トランジスタ100Aの作製方法を説明する図である、各図において、左側にチャネル長方向の断面を、右側にチャネル幅方向の断面をそれぞれ示している。
〔導電層104の形成〕
基板102上に導電膜を形成し、当該導電膜をリソグラフィ工程及びエッチング工程を行い加工して、ゲート電極として機能する導電層104を形成する(図11(A))。
〔絶縁層106の形成〕
導電層104及び基板102を覆う絶縁層106を形成する。絶縁層106は、例えばPECVD法等を用いて形成することができる。
〔領域106aの形成〕
続いて、絶縁層106に対して酸素130aを添加し、表面近傍に、酸素を含む領域106aを形成する。
絶縁層106に添加する酸素130aとしては、酸素ラジカル、酸素原子、酸素原子イオン、酸素分子イオン等がある。また、添加方法としては、イオンドーピング法、イオン注入法、プラズマ処理法等がある。また、絶縁層106上に酸素の脱離を抑制する膜を形成した後、該膜を介して絶縁層106に酸素130aを添加してもよい。該膜は、酸素130aを添加した後に除去することが好ましい。
上述の酸素の脱離を抑制する膜として、インジウム、亜鉛、ガリウム、錫、アルミニウム、クロム、タンタル、チタン、モリブデン、ニッケル、鉄、コバルト、またはタングステンの1以上を有する導電膜あるいは半導体膜を用いることができる。
また、プラズマ処理で酸素130aの添加を行う場合、マイクロ波で酸素を励起し、高密度な酸素プラズマを発生させることで、絶縁層106への酸素添加量を増加させることができる。また、酸素を含む雰囲気下でプラズマ処理を行うことで、絶縁層106の表面に吸着した水や水素などを除去することができる。これにより、後に形成する半導体層108中、または半導体層108と絶縁層106との界面に存在しうる水や水素を低減できる。
絶縁層106として、窒化シリコンや窒化酸化シリコンなどを用いた場合には、絶縁層106中に水素が含まれる場合がある。このとき、上述のようなプラズマ処理等を行うことで、少なくとも半導体層108と接する領域106aにおける水素濃度を低減することができる。
また、酸素130aの添加の前に、絶縁層106の表面及び膜中から水や水素を脱離させるための加熱処理を行ってもよい。例えば、窒素雰囲気下で300℃以上導電層104の耐熱温度未満、好ましくは300℃以上450℃以下の温度で加熱処理を行う。
〔半導体層108の形成〕
続いて、絶縁層106上に金属酸化物膜128bと、金属酸化物膜128aを積層して形成する(図12(A))。
金属酸化物膜128b及び金属酸化物膜128aは、それぞれ金属酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが好ましい。
また、金属酸化物膜128b及び金属酸化物膜128aを成膜する際に、酸素ガスの他に、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)を混合させてもよい。なお、金属酸化物膜を成膜する際の成膜ガス全体に占める酸素ガスの割合(以下、酸素流量比ともいう)としては、0%以上100%以下、好ましくは5%以上20%以下である。
酸素流量比を低くし、結晶性が比較的低い金属酸化物膜とすることで、導電性の高い金属酸化物膜を得ることができる。一方、酸素流量比を高くし、結晶性が比較的高い金属酸化物膜とすることで、エッチング耐性が高く、電気的に安定した金属酸化物膜を得ることができる。
例えば、金属酸化物膜128b及び金属酸化物膜128aの成膜条件としては、基板温度を室温以上180℃以下、好ましくは基板温度を室温以上140℃以下とすればよい。金属酸化物膜の成膜時の基板温度を、例えば、室温以上140℃未満とすると、生産性が高くなり好ましい。
より具体的には、金属酸化物膜128bの成膜時の酸素流量比を、0%以上50%未満、好ましくは0%以上30%以下、より好ましくは0%以上20%以下、代表的には10%とする。また金属酸化物膜128aの成膜時の酸素流量比を、50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは90%以上100%以下、代表的には100%とする。また、金属酸化物膜128aと金属酸化物膜128bとで、成膜時の圧力、温度、電力等の条件を異ならせてもよいが、酸素流量比以外の条件を同じとすることで、成膜工程にかかる時間を短縮することができるため好ましい。
なお、金属酸化物膜128aと金属酸化物膜128bとは、それぞれ異なる組成の膜であってもよい。このとき、金属酸化物膜128a及び金属酸化物膜128bの両方に、In−Ga−Zn酸化物を用いた場合、金属酸化物膜128bに、金属酸化物膜128aよりもInの組成が高い酸化物ターゲットを用いることが好ましい。
続いて、金属酸化物膜128a上にレジストマスクを形成し、金属酸化物膜128a及び金属酸化物膜128bをエッチングにより加工した後、レジストマスクを除去することで、半導体層108a及び半導体層108bを形成する(図12(B))。
[導電層112a、導電層112bの形成]
続いて、後に導電層121となる導電膜121aと、後に導電層122となる導電膜122aを積層して形成する。
続いて、導電膜122a上にレジストマスク131を形成する(図12(C))。レジストマスク131は、半導体層108のチャネルが形成されうる領域上で離間するように設ける。
その後、導電膜122aをエッチングにより加工し、導電層122を形成する(図13(A))。このとき、図13(A)に示すように、導電層122の端部がレジストマスク131の端部よりも内側に位置するように加工することが好ましい。
導電膜122aのエッチングには、等方性のエッチング法を用いることが好ましい。好適には、ウェットエッチング法を用いることができる。これにより、導電層122の端部が後退するようにエッチングすることができる。
導電層122の形成後、レジストマスク131を除去する。
続いて、導電層122及び導電膜121aを覆って、導電膜123aを形成する。導電膜123aは、後に導電層123となる導電膜である。
続いて、導電膜123a上に、レジストマスク132を形成する(図13(B))。このとき、レジストマスク132は、レジストマスク131と同じフォトマスクを用いて形成することができる。これにより、フォトマスクを共通化できるため、製造コストを抑えることができる。
続いて、導電膜123aと導電膜121aをエッチングにより加工し、導電層123と導電層121を形成する。このとき、導電層123と導電層121の端部が接し、導電層122が露出しないように加工することが好ましい。
導電膜123aと導電膜121aのエッチングには、異方性のエッチング法を用いることが好ましい。好適には、ドライエッチング法を用いることができる。これにより、導電層123と導電層121の端部が後退しないように加工することが可能となる。これにより、導電層122を囲むように導電層121と導電層123を形成することができることに加え、トランジスタのチャネル長のばらつきを抑制することができる。
また、導電膜123aと導電膜121aとに同じ導電膜を用いることで、エッチングを容易なものとすることができる。また、導電層121と導電層123の端部に凹凸が形成されにくくなるため好ましい。
その後、レジストマスク132を除去する。以上の工程により、導電層112aと導電層112bを形成することができる(図13(C))。
[絶縁層114の形成]
続いて、導電層112a、導電層112b、及び半導体層108等を覆うように、絶縁層114を形成する(図14(A))。
絶縁層114は、例えば酸素を含む雰囲気下で成膜することが好ましい。特に、酸素を含む雰囲気下でプラズマCVD法により形成することが好ましい。これにより、欠陥の少ない絶縁層114とすることができる。
絶縁層114としては、例えば酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの酸化物膜を、プラズマ化学気相堆積装置(PECVD装置、または単にプラズマCVD装置という)を用いて形成することが好ましい。この場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
また、絶縁層114として、堆積性気体の流量に対する酸化性気体の流量を20倍より大きく100倍未満、または40倍以上80倍以下とし、処理室内の圧力を100Pa未満、または50Pa以下とするPECVD装置を用いることで、欠陥量の少ない酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
また、絶縁層114を、マイクロ波を用いたPECVD法を用いて形成してもよい。マイクロ波とは300MHzから300GHzの周波数域を指す。マイクロ波は、電子温度が低く、電子エネルギーが小さい。また、供給された電力において、電子の加速に用いられる割合が少なく、より多くの分子の解離及び電離に用いられることが可能であり、密度の高いプラズマ(高密度プラズマ)を励起することができる。このため、被成膜面及び堆積物へのプラズマダメージが少なく、欠陥の少ない絶縁層114を形成することができる。
[第1の酸素供給処理]
続いて、絶縁層114に酸素130bを供給する処理(第1の酸素供給処理ともいう)を行う。このとき、酸素供給処理の温度(第1の温度ともいう)としては、例えば250℃以上450℃以下、好ましくは280℃以上400℃以下、より好ましくは、300℃以上380℃以下、代表的には350℃とすることができる。
酸素供給処理としては、酸素を含む雰囲気下におけるプラズマ処理(酸素プラズマ処理ともいう)を用いることが好ましい。酸素がプラズマ化することにより、酸素ラジカル、酸素原子、または酸素イオンを絶縁層114に添加することができる。装置に導入するガスにおける酸素流量比は高いほど好ましく、50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは100%とする。
酸素プラズマ処理を行う際に処理室内に導入するガスとしては、酸素ガスだけでなく、オゾンガス、一酸化二窒素ガス、二酸化窒素ガス等の酸化性気体を用いることができる。
また、処理装置として、ドライエッチング装置、アッシング装置、PECVD装置などを用いると、他の処理と装置を共有できるため好ましい。特に、PECVD装置を用いると、絶縁層114の成膜装置内で処理を行うことができるため好ましい。
第1の酸素供給処理は、絶縁層114を成膜する装置内で行うことが好ましい。このとき、絶縁層114を成膜後、大気に曝すことなくプラズマ処理を行うことが好ましい。特に、絶縁層114を成膜する成膜室を用いて行うことが好ましい。また、第1の酸素供給処理の温度と絶縁層114の成膜温度を同じものとすることが好ましい。これにより、処理時間を短縮することができる。
なお、酸素供給処理は上記に限られず、絶縁層114に酸素を供給可能な方法を用いることができる。例えばイオン注入法、イオンドーピング法またはプラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いて酸素を絶縁層114に供給してもよい。または、酸素雰囲気下で加熱処理を行うことにより酸素を絶縁層114に供給してもよい。
[第2の酸素供給処理]
続いて、絶縁層114に酸素130cを供給する第2の酸素供給処理を行う。このとき、酸素供給処理の温度(第2の温度ともいう)としては、上記第1の酸素供給処理における第1の温度よりも低い温度とする。例えば150℃以上300℃以下、好ましくは170℃以上280℃以下、より好ましくは、190℃以上250℃以下、代表的には220℃とすることができる。
第2の酸素供給処理の装置、及び温度以外の条件は、第1の酸素供給処理の記載を援用できる。
なお、第2の酸素供給処理は、絶縁層114を成膜する成膜室とは異なる処理室で行うことが好ましい。成膜等の処理を行う処理室の温度(例えば基板を保持するステージ温度)を変更した場合に、ステージや成膜室自体の温度が安定するまでには長い時間を要する場合がある。そのため、処理温度が異なる場合には、異なる処理室、または異なる処理装置で行うことで、生産性を向上させることができる。
第1の酸素供給処理を行った後に、これよりも低い温度で第2の酸素供給処理を行うことで、絶縁層114を極めて多くの酸素を含む膜とすることができる。これにより、その後の絶縁層116の成膜時、またはそれ以降の熱処理において、絶縁層114から半導体層108に多くの酸素を供給することが可能となる。
なお、ここでは絶縁層114に対して、2回の酸素供給処理を行う例を示したが、酸素供給処理の回数は2回に限られず、3回以上行ってもよい。ただし、3回以上の酸素供給処理を行う場合、生産性が悪くなる場合がある。したがって、本実施の形態で示すように、酸素供給処理の回数としては、2回が好適である。一方で、酸素供給処理の回数が多いほど、酸素を多く含有する絶縁層114とすることができる。また、絶縁層114に対して3度以上の酸素供給処理を行う場合には、2回目以降の酸素供給処理の処理温度を、直前の処理温度と同じ温度、またはこれよりも低い温度とすることが好ましい。
なお、絶縁層114の成膜前に、半導体層108に対して、第1の酸素供給処理と同様の処理を行ってもよい。これにより、半導体層108のチャネル形成領域(すなわち導電層112a及び導電層112bに覆われない領域)に、選択的に酸素を供給することができる。このとき、当該酸素供給処理の温度を、上記第2の酸素供給処理の第2の温度よりも高い温度で行うことが好ましい。特に、絶縁層114の成膜温度や第1の酸素供給処理の第1の温度と同じ温度とすることが好ましい。
例えば、半導体層108への酸素供給処理と、絶縁層114の成膜と、第1の酸素供給処理とを、同じ成膜装置の同じ成膜室内で、大気に曝すことなく一貫して行うことがこのましい。このとき、これらの処理温度も同じ温度とすることが好ましい。例えば、絶縁層114の成膜装置の成膜室内に基板102を導入し、酸素を含む雰囲気下でプラズマ処理を行い、続いて絶縁層114を成膜し、さらに続いて第1の酸素供給処理を行うことができる。
[絶縁層116の形成]
続いて、絶縁層114を覆うように絶縁層116を形成する(図14(B))。絶縁層116は、絶縁層106と同様の方法により形成することができる。
例えば、絶縁層116の成膜温度を、第2の温度と同様の温度とすることができる。または、絶縁層116の成膜温度を、第1の温度と同様の温度とすることができる。成膜温度が低いほど、生産性を向上させることができる。一方、成膜温度が高いほど、膜中の水素などの不純物を低減することができる。
ここで、絶縁層116の成膜後に、第2の酸素供給処理の温度(第2の温度)よりも高い温度で加熱処理を行うことが好ましい。これにより、絶縁層114中に含まれる酸素を半導体層108に供給することができる。またこのとき、絶縁層114は酸素が拡散しにくい絶縁層116に覆われているため、絶縁層116を介して外部に酸素が放出されることなく、多くの酸素を半導体層108に供給することができる。
または、絶縁層116の成膜温度を、第2の酸素供給処理の温度(第2の温度)よりも高い温度とすることで、上記加熱処理を兼ねることができる。
以上の工程により、トランジスタ100Aを作製することができる。
以上がトランジスタの作製方法例についての説明である。
本実施の形態で例示した構成例、作製方法例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、作製方法例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、先の実施の形態で例示したトランジスタを有する表示装置の一例について説明を行う。
[構成例]
図15(A)は、表示装置の一例を示す上面図である。図15(A)に示す表示装置700は、第1の基板701上に設けられた画素部702と、第1の基板701に設けられたソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706と、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706を囲むように配置されるシール材712と、第1の基板701に対向するように設けられる第2の基板705と、を有する。なお、第1の基板701と第2の基板705は、シール材712によって封止されている。すなわち、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706は、第1の基板701とシール材712と第2の基板705によって封止されている。なお、図15(A)には図示しないが、第1の基板701と第2の基板705の間には表示素子が設けられる。
また、表示装置700は、第1の基板701上のシール材712によって囲まれている領域とは異なる領域に、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びゲートドライバ回路部706と、それぞれ電気的に接続されるFPC端子部708(FPC:Flexible printed circuit)が設けられる。また、FPC端子部708には、FPC716が接続され、FPC716によって画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706に各種信号等が供給される。また、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びFPC端子部708には、信号線710が各々接続されている。FPC716により供給される各種信号等は、信号線710を介して、画素部702、ソースドライバ回路部704、ゲートドライバ回路部706、及びFPC端子部708に与えられる。
また、表示装置700にゲートドライバ回路部706を複数設けてもよい。また、表示装置700としては、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706を画素部702と同じ第1の基板701に形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ回路部706のみを第1の基板701に形成しても良い、またはソースドライバ回路部704のみを第1の基板701に形成しても良い。この場合、ソースドライバ回路またはゲートドライバ回路等が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を、第1の基板701に形成する構成としても良い。なお、別途形成した駆動回路基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG(Chip On Glass)方法、ワイヤボンディング方法などを用いることができる。
また、表示装置700が有する画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706は、複数のトランジスタを有しており、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタを適用することができる。
また、表示装置700は、様々な素子を有することが出来る。該素子の一例としては、例えば、エレクトロルミネッセンス(EL)素子(有機物及び無機物を含むEL素子、有機EL素子、無機EL素子、LEDなど)、発光トランジスタ素子(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、液晶素子、電子インク素子、電気泳動素子、エレクトロウェッティング素子、プラズマディスプレイパネル(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)ディスプレイ(例えば、グレーティングライトバルブ(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、デジタル・マイクロ・シャッター(DMS)素子、インターフェロメトリック・モジュレーション(IMOD)素子など)、圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。
また、EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク素子又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。
なお、表示装置700における表示方式は、プログレッシブ方式やインターレース方式等を用いることができる。また、カラー表示する際に画素で制御する色要素としては、RGB(Rは赤、Gは緑、Bは青を表す)の三色に限定されない。例えば、Rの画素とGの画素とBの画素とW(白)の画素の四画素から構成されてもよい。または、ペンタイル配列のように、RGBのうちの2色分で一つの色要素を構成し、色要素によって、異なる2色を選択して構成してもよい。またはRGBに、イエロー、シアン、マゼンタ等を一色以上追加してもよい。なお、色要素のドット毎にその表示領域の大きさが異なっていてもよい。ただし、開示する発明はカラー表示の表示装置に限定されるものではなく、モノクロ表示の表示装置に適用することもできる。
また、バックライト(有機EL素子、無機EL素子、LED、蛍光灯など)に白色発光(W)を用いて表示装置をフルカラー表示させるために、着色層(カラーフィルタともいう。)を用いてもよい。着色層は、例えば、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、イエロー(Y)などを適宜組み合わせて用いることができる。着色層を用いることで、着色層を用いない場合と比べて色の再現性を高くすることができる。このとき、着色層を有する領域と、着色層を有さない領域と、を配置することによって、着色層を有さない領域における白色光を直接表示に利用しても構わない。一部に着色層を有さない領域を配置することで、明るい表示の際に、着色層による輝度の低下を少なくでき、消費電力を2割から3割程度低減できる場合がある。ただし、有機EL素子や無機EL素子などの自発光素子を用いてフルカラー表示する場合、R、G、B、Y、Wを、それぞれの発光色を有する素子から発光させても構わない。自発光素子を用いることで、着色層を用いた場合よりも、さらに消費電力を低減できる場合がある。
また、カラー化方式としては、上述の白色発光からの発光の一部をカラーフィルタを通すことで赤色、緑色、青色に変換する方式(カラーフィルタ方式)の他、赤色、緑色、青色の発光をそれぞれ用いる方式(3色方式)、または青色発光からの発光の一部を赤色や緑色に変換する方式(色変換方式、量子ドット方式)を適用してもよい。
図15(B)に示す表示装置700Aは、大型の画面を有する電子機器に好適に用いることのできる表示装置である。例えばテレビジョン装置、モニタ装置、デジタルサイネージなどに好適に用いることができる。
表示装置700Aは、複数のソースドライバIC721と、一対のゲートドライバ回路722を有する。
複数のソースドライバIC721は、それぞれFPC723に取り付けられている。また、複数のFPC723は、一方の端子が基板701に、他方の端子がプリント基板724にそれぞれ接続されている。FPC723を折り曲げることで、プリント基板724を画素部702の裏側に配置して、電気機器に実装することができる。
一方、ゲートドライバ回路722は、基板701上に形成されている。これにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
このような構成とすることで、大型で且つ高解像度な表示装置を実現できる。例えば画面サイズが対角30インチ以上、40インチ以上、50インチ以上、または60インチ以上の表示装置に適用することができる。また、解像度がフルハイビジョン、4K2K、または8K4Kなどといった極めて高解像度の表示装置を実現することができる。
[断面構成例]
以下では、表示素子として液晶素子及びEL素子を用いる構成について、図16乃至図18を用いて説明する。なお、図16及び図17は、図15に示す一点鎖線Q−Rにおける断面図であり、表示素子として液晶素子を用いた構成である。また、図18は、図15に示す一点鎖線Q−Rにおける断面図であり、表示素子としてEL素子を用いた構成である。
まず、図16乃至図18に示す共通部分について最初に説明し、次に異なる部分について以下説明する。
〔表示装置の共通部分に関する説明〕
図16乃至図18に示す表示装置700は、引き回し配線部711と、画素部702と、ソースドライバ回路部704と、FPC端子部708と、を有する。また、引き回し配線部711は、信号線710を有する。また、画素部702は、トランジスタ750及び容量素子790を有する。また、ソースドライバ回路部704は、トランジスタ752を有する。
トランジスタ750及びトランジスタ752は、実施の形態1で例示したトランジスタを適用することができる。
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ電流を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
容量素子790は、トランジスタ750が有する第1のゲート電極と機能する導電膜と同一の導電膜を加工する工程を経て形成される下部電極と、トランジスタ750が有する第2のゲート電極として機能する導電膜と同一の導電膜を加工する工程を経て形成される上部電極と、を有する。また、下部電極と上部電極との間には、トランジスタ750が有する第1のゲート絶縁膜として機能する絶縁膜と同一の絶縁膜を形成する工程を経て形成される絶縁膜、及びトランジスタ750上の保護絶縁膜として機能する絶縁膜と同一の絶縁膜を形成する工程を経て形成される絶縁膜が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁膜が挟持された積層型の構造である。
また、図16乃至図18において、トランジスタ750、トランジスタ752、及び容量素子790上に平坦化絶縁膜770が設けられている。
また、図16乃至図18においては、画素部702が有するトランジスタ750と、ソースドライバ回路部704が有するトランジスタ752と、を同じ構造のトランジスタを用いる構成について例示したが、これに限定されない。例えば、画素部702と、ソースドライバ回路部704とは、異なるトランジスタを用いてもよい。具体的には、画素部702にトップゲート型のトランジスタを用い、ソースドライバ回路部704にボトムゲート型のトランジスタを用いる構成、あるいは画素部702にボトムゲート型のトランジスタを用い、ソースドライバ回路部704にトップゲート型のトランジスタを用いる構成などが挙げられる。なお、上記のソースドライバ回路部704を、ゲートドライバ回路部と読み替えてもよい。
また、信号線710は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜と同じ工程を経て形成される。信号線710として、例えば、銅元素を含む材料を用いた場合、配線抵抗に起因する信号遅延等が少なく、大画面での表示が可能となる。
また、FPC端子部708は、接続電極760、異方性導電膜780、及びFPC716を有する。なお、接続電極760は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜と同じ工程を経て形成される。また、接続電極760は、FPC716が有する端子と異方性導電膜780を介して、電気的に接続される。
また、第1の基板701及び第2の基板705としては、例えばガラス基板を用いることができる。また、第1の基板701及び第2の基板705として、可撓性を有する基板を用いてもよい。該可撓性を有する基板としては、例えばプラスチック基板等が挙げられる。
また、第1の基板701と第2の基板705の間には、構造体778が設けられる。構造体778は柱状のスペーサであり、第1の基板701と第2の基板705の間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられる。なお、構造体778として、球状のスペーサを用いていても良い。
また、第2の基板705側には、ブラックマトリクスとして機能する遮光膜738と、カラーフィルタとして機能する着色膜736と、遮光膜738及び着色膜736に接する絶縁膜734が設けられる。
〔液晶素子を用いる表示装置の構成例〕
図16に示す表示装置700は、液晶素子775を有する。液晶素子775は、導電膜772、導電膜774、及び液晶層776を有する。導電膜774は、第2の基板705側に設けられ、対向電極としての機能を有する。図16に示す表示装置700は、導電膜772と導電膜774に印加される電圧によって、液晶層776の配向状態が変わることによって光の透過、非透過が制御され画像を表示することができる。
また、導電膜772は、トランジスタ750が有するソース電極またはドレイン電極として機能する導電膜と電気的に接続される。導電膜772は、平坦化絶縁膜770上に形成され画素電極、すなわち表示素子の一方の電極として機能する。
導電膜772としては、可視光において透光性のある導電膜、または可視光において反射性のある導電膜を用いることができる。可視光において透光性のある導電膜としては、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)の中から選ばれた一種を含む材料を用いるとよい。可視光において反射性のある導電膜としては、例えば、アルミニウム、または銀を含む材料を用いるとよい。
導電膜772に可視光において反射性のある導電膜を用いる場合、表示装置700は、反射型の液晶表示装置となる。また、導電膜772に可視光において透光性のある導電膜を用いる場合、表示装置700は、透過型の液晶表示装置となる。反射型の液晶表示装置の場合、視認側に偏光板を設ける。一方、透過型の液晶表示装置の場合、液晶素子を挟む一対の偏光板を設ける。
また、導電膜772上の構成を変えることで、液晶素子の駆動方式を変えることができる。この場合の一例を図17に示す。また、図17に示す表示装置700は、液晶素子の駆動方式として横電界方式(例えば、FFSモード)を用いる構成の一例である。図17に示す構成の場合、導電膜772上に絶縁膜773が設けられ、絶縁膜773上に導電膜774が設けられる。この場合、導電膜774は、共通電極(コモン電極ともいう)としての機能を有し、絶縁膜773を介して、導電膜772と導電膜774との間に生じる電界によって、液晶層776の配向状態を制御することができる。
また、図16及び図17において図示しないが、導電膜772または導電膜774のいずれか一方または双方に、液晶層776と接する側に、それぞれ配向膜を設ける構成としてもよい。また、図16及び図17において図示しないが、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設けてもよい。例えば、偏光基板及び位相差基板による円偏光を用いてもよい。また、光源としてバックライト、サイドライトなどを用いてもよい。
表示素子として液晶素子を用いる場合、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性であるため配向処理が不要である。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。また、ブルー相を示す液晶材料は、視野角依存性が小さい。
また、表示素子として液晶素子を用いる場合、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
また、ノーマリーブラック型の液晶表示装置、例えば垂直配向(VA)モードを採用した透過型の液晶表示装置としてもよい。垂直配向モードとしては、いくつか挙げられるが、例えば、MVA(Multi−Domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASVモードなどを用いることができる。
〔発光素子を用いる表示装置〕
図18に示す表示装置700は、発光素子782を有する。発光素子782は、導電膜772、EL層786、及び導電膜788を有する。図18に示す表示装置700は、画素毎に設けられる発光素子782が有するEL層786が発光することによって、画像を表示することができる。なお、EL層786は、有機化合物、または量子ドットなどの無機化合物を有する。
有機化合物に用いることのできる材料としては、蛍光性材料または燐光性材料などが挙げられる。また、量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。また、12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を用いてもよい。または、カドミウム(Cd)、セレン(Se)、亜鉛(Zn)、硫黄(S)、リン(P)、インジウム(In)、テルル(Te)、鉛(Pb)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、アルミニウム(Al)、等の元素を有する量子ドット材料を用いてもよい。
図18に示す表示装置700には、平坦化絶縁膜770及び導電膜772上に絶縁膜730が設けられる。絶縁膜730は、導電膜772の一部を覆う。なお、発光素子782はトップエミッション構造である。したがって、導電膜788は透光性を有し、EL層786が発する光を透過する。なお、本実施の形態においては、トップエミッション構造について、例示するが、これに限定されない。例えば、導電膜772側に光を射出するボトムエミッション構造や、導電膜772及び導電膜788の双方に光を射出するデュアルエミッション構造にも適用することができる。
また、発光素子782と重なる位置に、着色膜736が設けられ、絶縁膜730と重なる位置、引き回し配線部711、及びソースドライバ回路部704に遮光膜738が設けられている。また、着色膜736及び遮光膜738は、絶縁膜734で覆われている。また、発光素子782と絶縁膜734の間は封止膜732で充填されている。なお、図18に示す表示装置700においては、着色膜736を設ける構成について例示したが、これに限定されない。例えば、EL層786を画素毎に島状形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においては、着色膜736を設けない構成としてもよい。
〔表示装置に入出力装置を設ける構成例〕
また、図16乃至図18に示す表示装置700に入出力装置を設けてもよい。当該入出力装置としては、例えば、タッチパネル等が挙げられる。
図17に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成を図19に、図18に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成を図20に、それぞれ示す。
図19は図17に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成の断面図であり、図20は図18に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成の断面図である。
まず、図19及び図20に示すタッチパネル791について、以下説明を行う。
図19及び図20に示すタッチパネル791は、基板705と着色膜736との間に設けられる、所謂インセル型のタッチパネルである。タッチパネル791は、遮光膜738、及び着色膜736を形成する前に、基板705側に形成すればよい。
なお、タッチパネル791は、遮光膜738と、絶縁膜792と、電極793と、電極794と、絶縁膜795と、電極796と、絶縁膜797と、を有する。例えば、指やスタイラスなどの被検知体が近づくことで生じうる、電極793と電極794との間の容量の変化を検知することができる。
また、図19及び図20に示すトランジスタ750の上方においては、電極793と、電極794との交差部を明示している。電極796は、絶縁膜795に設けられた開口部を介して、電極794を挟む2つの電極793と電気的に接続されている。なお、図19及び図20においては、電極796が設けられる領域を画素部702に設ける構成を例示したが、これに限定されず、例えば、ソースドライバ回路部704に形成してもよい。
電極793及び電極794は、遮光膜738と重なる領域に設けられる。また、図19に示すように、電極793は、発光素子782と重ならないように設けられると好ましい。また、図20に示すように、電極793は、液晶素子775と重ならないように設けられると好ましい。別言すると、電極793は、発光素子782及び液晶素子775と重なる領域に開口部を有する。すなわち、電極793はメッシュ形状を有する。このような構成とすることで、電極793は、発光素子782が射出する光を遮らない構成とすることができる。または、電極793は、液晶素子775を透過する光を遮らない構成とすることができる。したがって、タッチパネル791を配置することによる輝度の低下が極めて少ないため、視認性が高く、且つ消費電力が低減された表示装置を実現できる。なお、電極794も同様の構成とすればよい。
また、電極793及び電極794が発光素子782と重ならないため、電極793及び電極794には、可視光の透過率が低い金属材料を用いることができる。または、電極793及び電極794が液晶素子775と重ならないため、電極793及び電極794には、可視光の透過率が低い金属材料を用いることができる。
そのため、可視光の透過率が高い酸化物材料を用いた電極と比較して、電極793及び電極794の抵抗を低くすることが可能となり、タッチパネルのセンサ感度を向上させることができる。
例えば、電極793、794、796には、導電性のナノワイヤを用いてもよい。当該ナノワイヤは、直径の平均値が1nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは5nm以上25nm以下の大きさとすればよい。また、上記ナノワイヤとしては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、またはAlナノワイヤ等の金属ナノワイヤ、あるいは、カーボンナノチューブなどを用いればよい。例えば、電極664、665、667のいずれか一つあるいは全部にAgナノワイヤを用いる場合、可視光における光透過率を89%以上、シート抵抗値を40Ω/□以上100Ω/□以下とすることができる。
また、図19及び図20においては、インセル型のタッチパネルの構成について例示したが、これに限定されない。例えば、表示装置700上に形成する、所謂オンセル型のタッチパネルや、表示装置700に貼り合わせて用いる、所謂アウトセル型のタッチパネルとしてもよい。
このように、本発明の一態様の表示装置は、様々な形態のタッチパネルと組み合わせて用いることができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置について、図21を用いて説明を行う。
[表示装置の回路構成]
図21(A)に示す表示装置は、表示素子の画素を有する領域(以下、画素部502という)と、画素部502の外側に配置され、画素を駆動するための回路を有する回路部(以下、駆動回路部504という)と、素子の保護機能を有する回路(以下、保護回路506という)と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
駆動回路部504の一部、または全部は、画素部502と同一基板上に形成されていることが望ましい。これにより、部品数や端子数を減らすことが出来る。駆動回路部504の一部、または全部が、画素部502と同一基板上に形成されていない場合には、駆動回路部504の一部、または全部は、COGやTAB(Tape Automated Bonding)によって、実装することができる。
画素部502は、X行(Xは2以上の自然数)Y列(Yは2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動するための回路(以下、画素回路501という)を有し、駆動回路部504は、画素を選択する信号(走査信号)を出力する回路(以下、ゲートドライバ504aという)、画素の表示素子を駆動するための信号(データ信号)を供給するための回路(以下、ソースドライバ504b)などの駆動回路を有する。
ゲートドライバ504aは、シフトレジスタ等を有する。ゲートドライバ504aは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号が入力され、信号を出力する。例えば、ゲートドライバ504aは、スタートパルス信号、クロック信号等が入力され、パルス信号を出力する。ゲートドライバ504aは、走査信号が与えられる配線(以下、走査線GL_1乃至GL_Xという)の電位を制御する機能を有する。なお、ゲートドライバ504aを複数設け、複数のゲートドライバ504aにより、走査線GL_1乃至GL_Xを分割して制御してもよい。または、ゲートドライバ504aは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ゲートドライバ504aは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、シフトレジスタ等を有する。ソースドライバ504bは、端子部507を介して、シフトレジスタを駆動するための信号の他、データ信号の元となる信号(画像信号)が入力される。ソースドライバ504bは、画像信号を元に画素回路501に書き込むデータ信号を生成する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、スタートパルス、クロック信号等が入力されて得られるパルス信号に従って、データ信号の出力を制御する機能を有する。また、ソースドライバ504bは、データ信号が与えられる配線(以下、データ線DL_1乃至DL_Yという)の電位を制御する機能を有する。または、ソースドライバ504bは、初期化信号を供給することができる機能を有する。ただし、これに限定されず、ソースドライバ504bは、別の信号を供給することも可能である。
ソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。ソースドライバ504bは、複数のアナログスイッチを順次オン状態にすることにより、画像信号を時分割した信号をデータ信号として出力できる。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
複数の画素回路501のそれぞれは、走査信号が与えられる複数の走査線GLの一つを介してパルス信号が入力され、データ信号が与えられる複数のデータ線DLの一つを介してデータ信号が入力される。また、複数の画素回路501のそれぞれは、ゲートドライバ504aによりデータ信号のデータの書き込み及び保持が制御される。例えば、m行n列目の画素回路501は、走査線GL_m(mはX以下の自然数)を介してゲートドライバ504aからパルス信号が入力され、走査線GL_mの電位に応じてデータ線DL_n(nはY以下の自然数)を介してソースドライバ504bからデータ信号が入力される。
図21(A)に示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GLに接続される。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DLに接続される。または、保護回路506は、ゲートドライバ504aと端子部507との間の配線に接続することができる。または、保護回路506は、ソースドライバ504bと端子部507との間の配線に接続することができる。なお、端子部507は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図21(A)に示すように、画素部502と駆動回路部504にそれぞれ保護回路506を設けることにより、ESD(Electro Static Discharge:静電気放電)などにより発生する過電流に対する表示装置の耐性を高めることができる。ただし、保護回路506の構成はこれに限定されず、例えば、ゲートドライバ504aに保護回路506を接続した構成、またはソースドライバ504bに保護回路506を接続した構成とすることもできる。あるいは、端子部507に保護回路506を接続した構成とすることもできる。
また、図21(A)においては、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bによって駆動回路部504を形成している例を示しているが、この構成に限定されない。例えば、ゲートドライバ504aのみを形成し、別途用意されたソースドライバ回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)を実装する構成としても良い。
ここで、図22に、図21(A)とは異なる構成を示す。図22では、ソース線方向に配列する複数の画素を挟むように、一対のソース線(例えばソース線DLa1とソース線DLb1)が配置されている。また、隣接する2本のゲート線(例えばゲート線GL_1とゲート線GL_2)が電気的に接続されている。
また、ゲート線GL_1に接続される画素は、片方のソース線(ソース線DLa1、ソース線DLa2等)に接続され、ゲート線GL_2に接続される画素は、他方のソース線(ソース線DLb1、ソース線DLb2等)に接続される。
このような構成とすることで、2本のゲート線を同時に選択することができる。これにより、一水平期間の長さを、図21(A)に示す構成と比較して2倍にすることができる。これにより、表示装置の高解像度化、及び大画面化が容易となる。
また、図21(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図21(B)に示す構成とすることができる。
図21(B)に示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。トランジスタ550に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
例えば、液晶素子570を備える表示装置の駆動方法としては、TNモード、STNモード、VAモード、ASM(Axially Symmetric Aligned Micro−cell)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、MVAモード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、IPSモード、FFSモード、又はTBA(Transverse Bend Alignment)モードなどを用いてもよい。また、表示装置の駆動方法としては、上述した駆動方法の他、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモードなどがある。ただし、これに限定されず、液晶素子及びその駆動方式として様々なものを用いることができる。
m行n列目の画素回路501において、トランジスタ550のソース電極またはドレイン電極の一方は、データ線DL_nに電気的に接続され、他方は液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。また、トランジスタ550のゲート電極は、走査線GL_mに電気的に接続される。トランジスタ550は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子560の一対の電極の一方は、電位が供給される配線(以下、電位供給線VL)に電気的に接続され、他方は、液晶素子570の一対の電極の他方に電気的に接続される。なお、電位供給線VLの電位の値は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。容量素子560は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
例えば、図21(B)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図21(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ550をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ550がオフ状態になることで保持状態になる。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
また、図21(A)に示す複数の画素回路501は、例えば、図21(C)に示す構成とすることができる。
また、図21(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。トランジスタ552及びトランジスタ554のいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の一方は、データ信号が与えられる配線(以下、信号線DL_nという)に電気的に接続される。さらに、トランジスタ552のゲート電極は、ゲート信号が与えられる配線(以下、走査線GL_mという)に電気的に接続される。
トランジスタ552は、オン状態またはオフ状態になることにより、データ信号のデータの書き込みを制御する機能を有する。
容量素子562の一対の電極の一方は、電位が与えられる配線(以下、電位供給線VL_aという)に電気的に接続され、他方は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
容量素子562は、書き込まれたデータを保持する保持容量としての機能を有する。
トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の一方は、電位供給線VL_aに電気的に接続される。さらに、トランジスタ554のゲート電極は、トランジスタ552のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572のアノード及びカソードの一方は、電位供給線VL_bに電気的に接続され、他方は、トランジスタ554のソース電極及びドレイン電極の他方に電気的に接続される。
発光素子572としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子ともいう)などを用いることができる。ただし、発光素子572としては、これに限定されず、無機材料からなる無機EL素子を用いても良い。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
図21(C)の画素回路501を有する表示装置では、例えば、図21(A)に示すゲートドライバ504aにより各行の画素回路501を順次選択し、トランジスタ552をオン状態にしてデータ信号のデータを書き込む。
データが書き込まれた画素回路501は、トランジスタ552がオフ状態になることで保持状態になる。さらに、書き込まれたデータ信号の電位に応じてトランジスタ554のソース電極とドレイン電極の間に流れる電流量が制御され、発光素子572は、流れる電流量に応じた輝度で発光する。これを行毎に順次行うことにより、画像を表示できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図面を参照して説明する。
以下で例示する電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を備えるものである。したがって、高い解像度が実現された電子機器である。また高い解像度と、大きな画面が両立された電子機器とすることができる。
本発明の一態様の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。また、表示部の画面サイズとしては、対角20インチ以上、または対角30インチ以上、または対角50インチ以上、対角60インチ以上、または対角70インチ以上とすることもできる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
本発明の一態様の電子機器または照明装置は、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、または、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
図23(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図23(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることで操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図23(B)に、ノート型パーソナルコンピュータ7200を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図23(C)、(D)に、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)の一例を示す。
図23(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
また、図23(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
図23(C)、(D)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
また、図23(C)、(D)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置を適用することのできるテレビジョン装置の例について、図面を参照して説明する。
図24(A)に、テレビジョン装置600のブロック図を示す。
なお、本明細書に添付した図面では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとしてブロック図を示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
テレビジョン装置600は、制御部601、記憶部602、通信制御部603、画像処理回路604、デコーダ回路605、映像信号受信部606、タイミングコントローラ607、ソースドライバ608、ゲートドライバ609、表示パネル620等を有する。
上記実施の形態で例示した表示装置は、図24(A)における表示パネル620に適用することができる。これにより、大型且つ高解像度であって、視認性に優れたテレビジョン装置600を実現できる。
制御部601は、例えば中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)として機能することができる。例えば制御部601は、システムバス630を介して記憶部602、通信制御部603、画像処理回路604、デコーダ回路605及び映像信号受信部606等のコンポーネントを制御する機能を有する。
制御部601と各コンポーネントとは、システムバス630を介して信号の伝達が行われる。また制御部601は、システムバス630を介して接続された各コンポーネントから入力される信号を処理する機能、各コンポーネントへ出力する信号を生成する機能等を有し、これによりシステムバス630に接続された各コンポーネントを統括的に制御することができる。
記憶部602は、制御部601及び画像処理回路604がアクセス可能なレジスタ、キャッシュメモリ、メインメモリ、二次メモリなどとして機能する。
二次メモリとして用いることのできる記憶装置としては、例えば書き換え可能な不揮発性の記憶素子が適用された記憶装置を用いることができる。例えば、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、PRAM(Phase change RAM)、ReRAM(Resistance RAM)、FeRAM(Ferroelectric RAM)などを用いることができる。
また、レジスタ、キャッシュメモリ、メインメモリなどの一時メモリとして用いることのできる記憶装置としては、DRAM(Dynamic RAM)や、SRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子を用いてもよい。
例えば、メインメモリに設けられるRAMとしては、例えばDRAMが用いられ、制御部601の作業空間として仮想的にメモリ空間が割り当てられ利用される。記憶部602に格納されたオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、プログラムモジュール、プログラムデータ等は、実行のためにRAMにロードされる。RAMにロードされたこれらのデータやプログラム、プログラムモジュールは、制御部601に直接アクセスされ、操作される。
一方、ROMには書き換えを必要としないBIOS(Basic Input/Output System)やファームウェア等を格納することができる。ROMとしては、マスクROMや、OTPROM(One Time Programmable Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等を用いることができる。EPROMとしては、紫外線照射により記憶データの消去を可能とするUV−EPROM(Ultra−Violet Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリなどが挙げられる。
また、記憶部602の他に、取り外し可能な記憶装置を接続可能な構成としてもよい。例えばストレージデバイスとして機能するハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)やソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)などの記録メディアドライブ、フラッシュメモリ、ブルーレイディスク、DVDなどの記録媒体と接続する端子を有することが好ましい。これにより、映像を記録することができる。
通信制御部603は、コンピュータネットワークを介して行われる通信を制御する機能を有する。例えば、制御部601からの命令に応じてコンピュータネットワークに接続するための制御信号を制御し、当該信号をコンピュータネットワークに発信する。これによって、World Wide Web(WWW)の基盤であるインターネット、イントラネット、エクストラネット、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)等のコンピュータネットワークに接続し、通信を行うことができる。
また、通信制御部603は、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の通信規格を用いてコンピュータネットワークまたは他の電子機器と通信する機能を有していてもよい。
通信制御部603は、無線により通信する機能を有していてもよい。例えばアンテナと高周波回路(RF回路)を設け、RF信号の送受信を行えばよい。高周波回路は、各国法制により定められた周波数帯域の電磁信号と電気信号とを相互に変換し、当該電磁信号を用いて無線で他の通信機器との間で通信を行うための回路である。実用的な周波数帯域として数10kHz〜数10GHzが一般に用いられている。アンテナと接続される高周波回路には、複数の周波数帯域に対応した高周波回路部を有し、高周波回路部は、増幅器(アンプ)、ミキサ、フィルタ、DSP、RFトランシーバ等を有する構成とすることができる。
映像信号受信部606は、例えばアンテナ、復調回路、及びA−D変換回路(アナログ−デジタル変換回路)等を有する。復調回路は、アンテナから入力した信号を復調する機能を有する。またA−D変換回路は、復調されたアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する。映像信号受信部606で処理された信号は、デコーダ回路605に送られる。
デコーダ回路605は、映像信号受信部606から入力されるデジタル信号に含まれる映像データを、送信される放送規格の仕様に従ってデコードし、画像処理回路に送信する信号を生成する機能を有する。例えば8K放送における放送規格としては、H.265 | MPEG−H High Efficiency Video Coding(略称:HEVC)などがある。
映像信号受信部606が有するアンテナにより受信できる放送電波としては、地上波、または衛星から送信される電波などが挙げられる。またアンテナにより受信できる放送電波として、アナログ放送、デジタル放送などがあり、また映像及び音声、または音声のみの放送などがある。例えばUHF帯(約300MHz〜3GHz)またはVHF帯(30MHz〜300MHz)のうちの特定の周波数帯域で送信される放送電波を受信することができる。また例えば、複数の周波数帯域で受信した複数のデータを用いることで、転送レートを高くすることができ、より多くの情報を得ることができる。これによりフルハイビジョンを超える解像度を有する映像を、表示パネル620に表示させることができる。例えば、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
また、映像信号受信部606及びデコーダ回路605は、コンピュータネットワークを介したデータ伝送技術により送信された放送のデータを用いて、画像処理回路604に送信する信号を生成する構成としてもよい。このとき、受信する信号がデジタル信号の場合には、映像信号受信部606は復調回路及びA−D変換回路等を有していなくてもよい。
画像処理回路604は、デコーダ回路605から入力される映像信号に基づいて、タイミングコントローラ607に出力する映像信号を生成する機能を有する。
またタイミングコントローラ607は、画像処理回路604が処理を施した映像信号等に含まれる同期信号を基に、ゲートドライバ609及びソースドライバ608に出力する信号(クロック信号、スタートパルス信号などの信号)を生成する機能を有する。また、タイミングコントローラ607は、上記信号に加え、ソースドライバ608に出力するビデオ信号を生成する機能を有する。
表示パネル620は、複数の画素621を有する。各画素621は、ゲートドライバ609及びソースドライバ608から供給される信号により駆動される。ここでは、画素数が7680×4320である、8K4K規格に応じた解像度を有する表示パネルの例を示している。なお、表示パネル620の解像度はこれに限られず、フルハイビジョン(画素数1920×1080)または4K2K(画素数3840×2160)等の規格に応じた解像度であってもよい。
図24(A)に示す制御部601や画像処理回路604としては、例えばプロセッサを有する構成とすることができる。例えば、制御部601は、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)として機能するプロセッサを用いることができる。また、画像処理回路604として、例えばDSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等の他のプロセッサを用いることができる。また制御部601や画像処理回路604に、上記プロセッサをFPGA(Field Programmable Gate Array)やFPAA(Field Programmable Analog Array)といったPLD(Programmable Logic Device)によって実現した構成としてもよい。
プロセッサは、種々のプログラムからの命令を解釈し実行することで、各種のデータ処理やプログラム制御を行う。プロセッサにより実行しうるプログラムは、プロセッサが有するメモリ領域に格納されていてもよいし、別途設けられる記憶装置に格納されていてもよい。
また、制御部601、記憶部602、通信制御部603、画像処理回路604、デコーダ回路605、及び映像信号受信部606、及びタイミングコントローラ607のそれぞれが有する機能のうち、2つ以上の機能を1つのICチップに集約させ、システムLSIを構成してもよい。例えば、プロセッサ、デコーダ回路、チューナ回路、A−D変換回路、DRAM、及びSRAM等を有するシステムLSIとしてもよい。
なお、制御部601や、他のコンポーネントが有するIC等に、チャネル形成領域に酸化物半導体を用い、極めて低いオフ電流が実現されたトランジスタを利用することもできる。当該トランジスタは、オフ電流が極めて低いため、当該トランジスタを記憶素子として機能する容量素子に流入した電荷(データ)を保持するためのスイッチとして用いることで、データの保持期間を長期にわたり確保することができる。この特性を制御部601等のレジスタやキャッシュメモリに用いることで、必要なときだけ制御部601を動作させ、他の場合には直前の処理の情報を当該記憶素子に待避させることにより、ノーマリーオフコンピューティングが可能となる。これにより、テレビジョン装置600の低消費電力化を図ることができる。
なお、図24(A)で例示するテレビジョン装置600の構成は一例であり、全ての構成要素を含む必要はない。テレビジョン装置600は、図24(A)に示す構成要素のうち必要な構成要素を有していればよい。また、テレビジョン装置600は、図24(A)に示す構成要素以外の構成要素を有していてもよい。
例えば、テレビジョン装置600は、図24(A)に示す構成のほか、外部インターフェース、音声出力部、タッチパネルユニット、センサユニット、カメラユニットなどを有していてもよい。例えば外部インターフェースとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子、LAN(Local Area Network)接続用端子、電源受給用端子、音声出力用端子、音声入力用端子、映像出力用端子、映像入力用端子などの外部接続端子、赤外線、可視光、紫外線などを用いた光通信用の送受信機、筐体に設けられた物理ボタンなどがある。また、例えば音声入出力部としては、サウンドコントローラ、マイクロフォン、スピーカなどがある。
以下では、画像処理回路604についてより詳細な説明を行う。
画像処理回路604は、デコーダ回路605から入力される映像信号に基づいて、画像処理を実行する機能を有することが好ましい。
画像処理としては、例えばノイズ除去処理、階調変換処理、色調補正処理、輝度補正処理などが挙げられる。色調補正処理や輝度調整処理としては、例えばガンマ補正などがある。
また、画像処理回路604は、解像度のアップコンバートに伴う画素間補間処理や、フレーム周波数のアップコンバートに伴うフレーム間補間などの処理などの処理を実行する機能を有していることが好ましい。
例えば、ノイズ除去処理としては、文字などの輪郭の周辺に生じるモスキートノイズ、高速の動画で生じるブロックノイズ、ちらつきを生じるランダムノイズ、解像度のアップコンバートにより生じるドットノイズなどのさまざまなノイズを除去する。
階調変換処理は、画像の階調を表示パネル620の出力特性に対応した階調へ変換する処理である。例えば階調数を大きくする場合、小さい階調数で入力された画像に対して、各画素に対応する階調値を補間して割り当てることで、ヒストグラムを平滑化する処理を行うことができる。また、ダイナミックレンジを広げる、ハイダミックレンジ(HDR)処理も、階調変換処理に含まれる。
また、画素間補間処理は、解像度をアップコンバートした際に、本来存在しないデータを補間する。例えば、目的の画素の周囲の画素を参照し、それらの中間色を表示するようにデータを補間する。
また、色調補正処理は、画像の色調を補正する処理である。また輝度補正処理は、画像の明るさ(輝度コントラスト)を補正する処理である。例えば、テレビジョン装置600が設けられる空間の照明の種類や輝度、または色純度などを検知し、それに応じて表示パネル620に表示する画像の輝度や色調が最適となるように補正する。または、表示する画像と、あらかじめ保存してある画像リスト内の様々な場面の画像と、を照合し、最も近い場面の画像に適した輝度や色調に表示する画像を補正する機能を有していてもよい。
フレーム間補間は、表示する映像のフレーム周波数を増大させる場合に、本来存在しないフレーム(補間フレーム)の画像を生成する。例えば、ある2枚の画像の差分から2枚の画像の間に挿入する補間フレームの画像を生成する。または2枚の画像の間に複数枚の補間フレームの画像を生成することもできる。例えばデコーダ回路605から入力される映像信号のフレーム周波数が60Hzであったとき、複数枚の補間フレームを生成することで、タイミングコントローラ607に出力する映像信号のフレーム周波数を、2倍の120Hz、または4倍の240Hz、または8倍の480Hzなどに増大させることができる。
また、画像処理回路604は、ニューラルネットワークを利用して、画像処理を実行する機能を有していることが好ましい。図24(A)では、画像処理回路604がニューラルネットワーク610を有している例を示している。
例えば、ニューラルネットワーク610により、例えば映像に含まれる画像データから特徴抽出を行うことができる。また画像処理回路604は、抽出された特徴に応じて最適な補正方法を選択することや、または補正に用いるパラメータを選択することができる。
または、ニューラルネットワーク610自体に画像処理を行う機能を持たせてもよい。すなわち、画像処理を施す前の画像データをニューラルネットワーク610に入力することで、画像処理が施された画像データを出力させる構成としてもよい。
また、ニューラルネットワーク610に用いる重み係数のデータは、データテーブルとして記憶部602に格納される。当該重み係数を含むデータテーブルは、例えば通信制御部603により、コンピュータネットワークを介して最新のものに更新することができる。または、画像処理回路604が学習機能を有し、重み係数を含むデータテーブルを更新可能な構成としてもよい。
図24(B)に、画像処理回路604が有するニューラルネットワーク610の概略図を示す。
なお、本明細書等においてニューラルネットワークとは、生物の神経回路網を模し、学習によってニューロンどうしの結合強度を決定し、問題解決能力を持たせるモデル全般を指す。ニューラルネットワークは入力層、中間層(隠れ層ともいう)、出力層を有する。ニューラルネットワークのうち、2層以上の中間層を有するものをディープラーニング(またはディープニューラルネットワーク(DNN))という。
また、本明細書等において、ニューラルネットワークについて述べる際に、既にある情報からニューロンとニューロンの結合強度(重み係数とも言う)を決定することを「学習」と呼ぶ場合がある。また、本明細書等において、学習によって得られた結合強度を用いてニューラルネットワークを構成し、そこから新たな結論を導くことを「推論」と呼ぶ場合がある。
ニューラルネットワーク610は、入力層611、1つ以上の中間層612、及び出力層613を有する。入力層611には入力データが入力される。出力層613からは出力データが出力される。
入力層611、中間層612、及び出力層613には、それぞれニューロン615を有する。ここでニューロン615は、積和演算を実現しうる回路素子(積和演算素子)を指す。図24では、2つの層が有する2つのニューロン615間におけるデータの入出力方向を矢印で示している。
それぞれの層における演算処理は、前層が有するニューロン615の出力と重み係数との積和演算により実行される。例えば、入力層の第i番目のニューロンの出力をxとし、出力xと次の中間層612の第jニューロンとの結合強度(重み係数)をwjiとすると、当該中間層の第jニューロンの出力はy=f(Σwji・x)である。なお、i、jは1以上の整数とする。ここで、f(x)は活性化関数でシグモイド関数、閾値関数などを用いることができる。以下同様に、各層のニューロン615の出力は、前段層のニューロン615の出力と重み係数の積和演算結果に活性化関数を演算した値となる。また、層と層との結合は、全てのニューロン同士が結合する全結合としてもよいし、一部のニューロン同士が結合する部分結合としてもよい。
図24(B)では、3つの中間層612を有する例を示している。なお、中間層612の数はこれに限られず、1つ以上の中間層を有していればよい。また、1つの中間層612が有するニューロンの数も、仕様に応じて適宜変更すればよい。例えば1つの中間層612が有するニューロン615の数は、入力層611または出力層613が有するニューロン615の数よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
ニューロン615同士の結合強度の指標となる重み係数は、学習によって決定される。学習は、テレビジョン装置600が有するプロセッサにより実行してもよいが、専用サーバーやクラウドなどの演算処理能力の優れた計算機で実行することが好ましい。学習により決定された重み係数は、テーブルとして上記記憶部602に格納され、画像処理回路604により読み出されることにより使用される。また、当該テーブルは、必要に応じてコンピュータネットワークを介して更新することができる。
以上がニューラルネットワークについての説明である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、Q−massを用いて成膜室内の各気体分子の分圧を測定しながら、金属酸化物膜を作製した。
[試料の作製]
作製した試料について説明する。本実施例では4種類の試料を作製した。
各試料は、ガラス基板上に、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で、厚さ約100nmの金属酸化物膜を成膜することで作製した。金属酸化物膜の成膜は、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いたスパッタリング法により、圧力0.6Pa、電源電力2.5kWの条件で行った。成膜時の基板温度は、試料によって異なり、室温または130℃とした。成膜時の酸素流量比は、試料によって異なり、10%または30%とした。
図25及び図26に、成膜室内の各気体分子の分圧を、Q−massによって測定した結果を示す。各図には、分子量2(H)、分子量18(HO)、分子量28(N)、分子量32(O)、分子量40(Ar)の分圧を示す。図25(A)は、金属酸化物膜の成膜時の基板温度を130℃とし、酸素流量比を10%とした試料の結果であり、図25(B)は、成膜時の基板温度を室温とし、酸素流量比を10%とした試料の結果であり、図26(A)は、成膜時の基板温度を130℃とし、酸素流量比を30%とした試料の結果であり、図26(B)は、成膜時の基板温度を室温とし、酸素流量比を30%とした試料の結果である。
図25及び図26に示すように、各試料において、金属酸化物膜の成膜開始時及び成膜中の水素分圧は、0.01Pa以下であり、水分圧は0.0001Pa以下であった。また、各試料において、金属酸化物膜の成膜中の窒素分圧は、概ね0.0001Pa以下であった。このように、成膜室内の水素分圧、水分圧、及び窒素分圧が極めて低い状態で金属酸化物膜を成膜することができた。このような条件で成膜することで、金属酸化物膜中の不純物濃度を低くすることが示唆される。
また、図25(A)、(B)の結果に比べて、酸素流量比が大きい条件である図26(A)、(B)の結果は、成膜中の酸素分圧が高く、アルゴン分圧が低いことが確認できた。
本実施例では、トランジスタを作製し、当該トランジスタの電気特性を評価した。
[試料の作製]
作製した試料について説明する。本実施例では6種類の試料を作製した。
まず、ガラス基板上に厚さ約100nmのタングステン膜をスパッタリング法により成膜し、これを加工してゲート電極を得た。続いて、ゲート絶縁層として厚さ約400nmの窒化シリコン膜をプラズマCVD法により形成した。ゲート絶縁層の成膜時の基板温度は、350℃とした。ゲート絶縁層の成膜後、真空中で連続して、酸素ガスを含む雰囲気でプラズマ処理を行った。プラズマ処理の条件は、温度350℃、圧力40Pa、電源電力3000W、酸素流量比100%、処理時間300秒とした。続いて、希フッ化水素酸(HF)を用いて洗浄した。
続いて、ゲート絶縁層上に、酸素を含む雰囲気下で2層の金属酸化物膜を成膜し、当該積層された金属酸化物膜を加工して半導体層を得た。金属酸化物膜の成膜は、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いたスパッタリング法により、圧力0.6Pa、電源電力2.5kWの条件で行った。また、ここでは、酸素流量比を10%とした条件で厚さ約10nmの金属酸化物膜を成膜した後、酸素流量比を100%とした条件で厚さ約25nmの金属酸化物膜を成膜した。成膜時の基板温度は、試料によって異なり、室温、70℃、または130℃とした。
続いて、窒素雰囲気下、350℃で1時間の加熱処理を行った後、窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で、350℃で1時間の加熱処理を行った。
続いて、チタン膜と銅膜とチタン膜を順にスパッタリング法により成膜し、これを加工してソース電極及びドレイン電極を得た。ここでは、厚さ約30nmのチタン膜と、厚さ約200nmの銅膜と、厚さ約100nmのチタン膜を順に形成した。
続いて、露出した半導体層の表面(バックチャネル側)を、リン酸を用いて洗浄した。
続いて、酸素ガスを含む雰囲気でプラズマ処理を行った。プラズマ処理の条件は、温度350℃、圧力40Pa、電源電力3000W、酸素流量比100%、処理時間300秒とした。
続いて、ゲート絶縁層、半導体層、ソース電極、及びドレイン電極上に、第1の保護絶縁層として厚さ約50nmの酸化窒化シリコン膜をプラズマCVD法により形成した。第1の保護絶縁層の成膜時の基板温度は、350℃とした。続いて、酸素ガスを含む雰囲気でプラズマ処理を2回行った。1回目のプラズマ処理は、酸化窒化シリコン膜の成膜後、真空中で連続して行い、その条件は、温度350℃、圧力40Pa、電源電力3000W、酸素流量比100%、処理時間600秒とした。2回目のプラズマ処理の条件は、温度220℃、圧力40Pa、電源電力3000W、酸素流量比100%、処理時間600秒とした。続いて、第1の保護絶縁層上に、第2の保護絶縁層として厚さ約100nmの窒化シリコン膜をプラズマCVD法により形成した。第2の保護絶縁層の成膜時の基板温度は、350℃とした。
その後、第2の保護絶縁層上に、厚さ約1.5μmのアクリル樹脂膜を成膜し、これを加工して平坦化膜を得た。アクリル樹脂膜は、アクリル系の感光性樹脂を用い、窒素雰囲気下、250℃で1時間の焼成を行うことにより形成した。その後、さらに、窒素雰囲気下、250℃で1時間の加熱処理を行った。
なお、トランジスタのチャネル長Lは、試料によって異なり、2μmまたは3μmとした。トランジスタのチャネル幅Wは、全ての試料において、50μmとした。
[トランジスタの電気特性]
次に、上記作製した試料について、トランジスタのI−V特性を測定した。なお、トランジスタのI−V特性の測定条件としては、ゲート電圧(V)を、−15Vから+20Vまで0.25Vのステップで印加した。また、ソース電圧(V)を0Vとし、ドレイン電圧(V)を、0.1V及び15Vとした。また、測定数は、各試料それぞれ10とした。
図27(A)、(B)に、基板温度を室温にして金属酸化物膜を成膜した各試料におけるトランジスタの電気特性を示す。図28(A)、(B)に、基板温度を70℃にして金属酸化物膜を成膜した各試料におけるトランジスタの電気特性を示す。図29(A)、(B)に、基板温度を130℃にして金属酸化物膜を成膜した各試料におけるトランジスタの電気特性を示す。図27(A)、図28(A)、及び図29(A)は、チャネル長Lが2μm、チャネル幅Wが50μmであるトランジスタの結果を示しており、図27(B)、図28(B)、及び図29(B)は、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが50μmであるトランジスタの結果を示している。
図27(A)、(B)に示すように、基板温度を室温にして金属酸化物膜を成膜した場合、トランジスタのチャネル長が2μmよりも3μmの方が、良好な電気特性を示すことが確認された。
図28(A)、(B)及び図29(A)、(B)に示すように、基板温度を70℃または130℃にして金属酸化物膜を成膜した場合、いずれの条件も良好な電気特性を示すことが確認された。
以上のように、金属酸化物膜の成膜時の基板温度を室温、70℃、または130℃として、電気特性の良好なトランジスタを作製することができた。また、金属酸化物膜の成膜時の基板温度を室温より高くすることで、トランジスタのチャネル長が短くても、良好な電気特性を得られることがわかった。また、金属酸化物膜の成膜時の基板温度が70℃であっても、当該温度が130℃の場合と、概ね同等の特性が得られた。このように、金属酸化物膜の成膜時に、基板を加熱する温度を低くしても、電気特性の良好なトランジスタを作製できることがわかった。加熱により基板に歪が生じることを抑制できるため、基板の大型化にも対応可能であることが示唆された。
また、上記作製した試料について、ゲートバイアスストレス試験(GBT試験)を行った。ここでは、GBT試験として、トランジスタが形成されている基板を70℃に保持し、トランジスタのソースとドレインに0V、ゲートには30Vまたは−30Vの電圧を印加し、この状態を一時間保持した。ここで、試験環境を暗状態とし、ゲートに正の電圧を印加する試験をプラスGBTまたはPBTS、負の電圧を印加する試験をマイナスGBTまたはNBTSと表記する。また、試料に光を照射した状態におけるプラスGBTをPBITS、マイナスGBTをNBITSと表記する。光の照射は、約10000lxの白色LED光を用いた。
図30には、チャネル長が3μm、チャネル幅が50μmであるトランジスタについてのGBT試験結果を示している。縦軸にしきい値電圧(Vth)の変動量を示している。本実施例の試料では、いずれの試験においても、トランジスタのしきい値電圧の変動が小さいことが確認できた。特に、金属酸化物膜の成膜時の基板温度を室温より高くすることで、当該温度が室温の場合に比べて、PBTS及びNBITSにおけるしきい値電圧の変動を抑えられることがわかった。また、金属酸化物膜の成膜時の基板温度が70℃であっても、当該温度が130℃の場合と、概ね同等の信頼性が得られた。このように、金属酸化物膜の成膜時に、基板を加熱する温度を低くしても、信頼性の良好なトランジスタを作製できることがわかった。加熱により基板に歪が生じることを抑制できるため、基板の大型化にも対応可能であることが示唆された。
本実施例の結果から、350℃の酸素プラズマ処理により、金属酸化物膜に酸素を供給し、かつ、220℃の酸素プラズマ処理により、酸化物絶縁膜に酸素を供給することで、電気特性が良好なトランジスタを作製することができた。このように、2種類の温度条件のプラズマ処理を併用することで、電気特性が良好なトランジスタを作製することができた。
本実施例では、本発明の一態様のボトムゲート・チャネルエッチ構造のトランジスタを作製し、当該トランジスタの電気特性を評価した。
[試料の作製]
作製した試料について説明する。まず、ガラス基板上に厚さ約100nmのタングステン膜をスパッタリング法により成膜し、これを加工してゲート電極を得た。続いて、ゲート絶縁層として厚さ約400nmの窒化シリコン膜をプラズマCVD法により形成した。ゲート絶縁層の成膜時の基板温度は、350℃とした。ゲート絶縁層の成膜後、真空中で連続して、酸素ガスを含む雰囲気でプラズマ処理を行った。プラズマ処理の条件は、温度350℃、圧力40Pa、電源電力3000W、酸素流量比100%、処理時間300秒とした。続いて、350℃、5分の条件で加熱処理を行った。
続いて、ゲート絶縁層上に、酸素を含む雰囲気下で2層の金属酸化物膜を成膜し、当該積層された金属酸化物膜を加工して半導体層を得た。金属酸化物膜の成膜は、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いたスパッタリング法により、基板温度130℃、圧力0.6Pa、電源電力2.5kWの条件で行った。また、ここでは、酸素流量比を10%とした条件で厚さ約10nmの金属酸化物膜を成膜した後、酸素流量比を100%とした条件で厚さ約25nmの金属酸化物膜を成膜した。
続いて、窒素雰囲気下、350℃で1時間の加熱処理を行った後、窒素と酸素との混合ガス雰囲気下で、350℃で1時間の加熱処理を行った。
続いて、タングステン膜とアルミニウム膜とチタン膜を順にスパッタリング法により成膜し、これを加工してソース電極及びドレイン電極を得た。ここでは、厚さ約50nmのタングステン膜と、厚さ約400nmのアルミニウム膜と、厚さ約100nmのチタン膜を順に形成した。
続いて、露出した半導体層の表面(バックチャネル側)を、リン酸を用いて洗浄した。
続いて、ゲート絶縁層、半導体層、ソース電極、及びドレイン電極上に、第1の保護絶縁層として厚さ約5nmの酸化アルミニウム膜をスパッタリング法により形成した。酸化アルミニウム膜は、アルミニウムターゲットを用いた反応性スパッタリング法により、厚さ約5nmの酸化アルミニウム膜を成膜した。成膜の条件は、基板を意図的に加熱しない条件で、成膜ガスにアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを用い、圧力0.8Pa、電力3kWとした。また、成膜時の酸素流量比は60%とした。
続いて、第1の保護絶縁層上に、第2の保護絶縁層として厚さ約100nmの窒化シリコン膜をプラズマCVD法により形成した。第2の保護絶縁層の成膜時の基板温度は、350℃とした。
その後、第2の保護絶縁層上に、厚さ約1.5μmのアクリル樹脂膜を成膜し、これを加工して平坦化膜を得た。アクリル樹脂膜は、アクリル系の感光性樹脂を用い、窒素雰囲気下、250℃で1時間の焼成を行うことにより形成した。
[トランジスタの電気特性]
次に、上記作製した試料について、トランジスタのI−V特性を測定した。なお、トランジスタのI−V特性の測定条件としては、ゲート電圧(V)を、−15Vから+20Vまで0.25Vのステップで印加した。また、ソース電圧(V)を0Vとし、ドレイン電圧(V)を、0.1V及び20Vとした。
図31に、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが50μmであるトランジスタの結果を示す。図31に示すように、良好な電気特性を示すことが確認された。
本実施例の結果から、第1の保護絶縁層として、適切な条件で成膜した酸化アルミニウム膜を用いることで、第2の保護絶縁層として水素を多く含有する窒化シリコン膜を積層しても、良好なトランジスタ特性が得られることが確認できた。
10 成膜装置
10a 成膜装置
11 ロード室
12 加熱室
13 成膜室
13a 成膜室
13b 成膜室
14 冷却室
15 アンロード室
21 ゲートバルブ
21a ゲートバルブ
21b ゲートバルブ
21c ゲートバルブ
21d ゲートバルブ
21e ゲートバルブ
21f ゲートバルブ
21g ゲートバルブ
22a 圧力調整機構
22b 圧力調整機構
22c 圧力調整機構
22d 圧力調整機構
22e 圧力調整機構
23a ガス導入機構
23b ガス導入機構
23c ガス導入機構
25 質量分析計
30 基板
41 基板支持部
43 移動手段
45 歯車
47 溝形成部
49 回転体
50 筐体
51 ターゲット
53 防着板
55 基板加熱機構
100 トランジスタ
100A トランジスタ
100B トランジスタ
100C トランジスタ
100D トランジスタ
102 基板
104 導電層
106 絶縁層
106a 領域
108 半導体層
108a 半導体層
108b 半導体層
108n 領域
112a 導電層
112b 導電層
114 絶縁層
116 絶縁層
118 絶縁層
120a 導電層
120b 導電層
121 導電層
121a 導電膜
122 導電層
122a 導電膜
123 導電層
123a 導電膜
128a 金属酸化物膜
128b 金属酸化物膜
130a 酸素
130b 酸素
130c 酸素
131 レジストマスク
132 レジストマスク
142a 接続部
142b 接続部
300 処理時間
501 画素回路
502 画素部
504 駆動回路部
504a ゲートドライバ
504b ソースドライバ
506 保護回路
507 端子部
550 トランジスタ
552 トランジスタ
554 トランジスタ
560 容量素子
562 容量素子
570 液晶素子
572 発光素子
600 テレビジョン装置
601 制御部
602 記憶部
603 通信制御部
604 画像処理回路
605 デコーダ回路
606 映像信号受信部
607 タイミングコントローラ
608 ソースドライバ
609 ゲートドライバ
610 ニューラルネットワーク
611 入力層
612 中間層
613 出力層
615 ニューロン
620 表示パネル
621 画素
630 システムバス
664 電極
665 電極
667 電極
700 表示装置
700A 表示装置
701 基板
702 画素部
704 ソースドライバ回路部
705 基板
706 ゲートドライバ回路部
708 FPC端子部
710 信号線
711 配線部
712 シール材
716 FPC
721 ソースドライバIC
722 ゲートドライバ回路
723 FPC
724 プリント基板
730 絶縁膜
732 封止膜
734 絶縁膜
736 着色膜
738 遮光膜
750 トランジスタ
752 トランジスタ
760 接続電極
770 平坦化絶縁膜
772 導電膜
773 絶縁膜
774 導電膜
775 液晶素子
776 液晶層
778 構造体
780 異方性導電膜
782 発光素子
786 EL層
788 導電膜
790 容量素子
791 タッチパネル
792 絶縁膜
793 電極
794 電極
795 絶縁膜
796 電極
797 絶縁膜
7000 表示部
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 スタンド
7111 リモコン操作機
7200 ノート型パーソナルコンピュータ
7211 筐体
7212 キーボード
7213 ポインティングデバイス
7214 外部接続ポート
7300 デジタルサイネージ
7301 筐体
7303 スピーカ
7311 情報端末機
7400 デジタルサイネージ
7401 柱
7411 情報端末機

Claims (11)

  1. 基板の搬送機構と、加熱室と、第1の成膜室と、冷却室と、を有し、
    前記加熱室、前記第1の成膜室、及び前記徐冷室は、前記搬送機構が送る前記基板の進行方向に沿って、この順で設けられ、
    前記加熱室は、該加熱室内を減圧雰囲気とする第1の圧力調整機構と、前記基板を50度以上100℃未満に加熱する第1の加熱機構と、を有し、
    前記第1の成膜室は、第1の金属酸化物ターゲットと、前記第1の成膜室内を減圧雰囲気とする第2の圧力調整機構と、を有し、
    前記冷却室は、前記基板の温度が50℃以下になるまで保持する機能を有し、
    前記基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上10°以内に収まるよう保持された状態で処理される、
    成膜装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1の成膜室は、前記基板を室温以上130℃以下の温度に加熱する第2の加熱機構を有する、
    成膜装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記第1の成膜室は、質量分析計を有する、
    成膜装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記第1の成膜室と、前記冷却室との間に、第2の成膜室を有し、
    前記第2の成膜室は、第2の金属酸化物ターゲットと、前記第2の成膜室内を減圧雰囲気とする第3の圧力調整機構と、を有する、
    成膜装置。
  5. 請求項4において、
    前記第1の金属酸化物ターゲットと、前記第2の金属酸化物ターゲットとは、概略同じ組成の金属酸化物を含む、
    成膜装置。
  6. 金属酸化物膜の成膜方法であって、
    加熱室で、減圧雰囲気下に保持した状態で、基板を50℃以上100℃未満に加熱し、
    第1の成膜室で、前記基板を室温以上130℃以下の温度に保持した状態で金属酸化物膜を成膜し、
    冷却室で、前記基板の温度が50℃以下になるまで保持し、
    前記基板は、該基板の成膜面と鉛直方向との成す角が1°以上10°以内に収まるよう保持された状態で処理される、
    成膜方法。
  7. 請求項6において、
    前記金属酸化物膜の成膜において、
    前記第1の成膜室内の水素分圧が、0.01Pa以下の時に成膜を開始することを特徴とする、
    成膜方法。
  8. 半導体装置の作製方法であって、
    ガラス基板を準備する工程と、
    前記ガラス基板上に酸化物半導体膜を成膜する工程と、を有し、
    前記ガラス基板は、対角40インチ以上対角100インチ以下のパネルが配置される大きさを有し、
    前記酸化物半導体膜を成膜する工程において、前記酸化物半導体膜は、室温より高く100℃未満の温度で成膜される、
    半導体装置の作製方法。
  9. 半導体装置の作製方法であって、
    ガラス基板を準備する工程と、
    前記ガラス基板上に第1の導電膜を成膜する工程と、
    前記第1の導電膜を第1のパターニング、及び第1のエッチングを行うことで、ゲート電極を形成する工程と、
    前記ゲート電極上に第1の絶縁膜を成膜する工程と、
    前記第1の絶縁膜上に酸化物半導体膜を成膜する工程と、
    前記酸化物半導体膜を第2のパターニング、及び第2のエッチングを行うことで、島状の酸化物半導体膜を形成する工程と、
    前記島状の酸化物半導体膜上に第2の導電膜を成膜する工程と、
    前記第2の導電膜を第3のパターニング、及び第3のエッチングを行うことで、ソース電極及びドレイン電極を形成する工程と、を有し、
    前記ガラス基板は、対角40インチ以上対角100インチ以下のパネルが配置される大きさを有し、
    前記酸化物半導体膜を成膜する工程において、前記酸化物半導体膜は、室温より高く100℃未満の温度で成膜される、
    半導体装置の作製方法。
  10. 請求項8または請求項9において、
    前記酸化物半導体膜は、第1の工程、及び第2の工程を経て形成され、
    前記第2の工程は、前記第1の工程の後に行われ、
    前記第1の工程は、第1の不活性ガス、及び第1の酸素ガスのいずれか一方または双方が導入され、
    前記第1の酸素ガスは、導入するガス全体に占める割合が、0%以上30%以下であり、
    前記第2の工程は、第2の不活性ガス、及び第2の酸素ガスのいずれか一方または双方が導入され、
    前記第2の酸素ガスは、導入するガス全体に占める割合が、30%より大きく100%以下である、
    半導体装置の作製方法。
  11. 請求項8または請求項9において、
    前記酸化物半導体膜は、第1の工程、第2の工程、及び第3の工程を経て形成され、
    前記第2の工程は、前記第1の工程の後に行われ、
    前記第3の工程は、前記第1の工程の前に行われ、
    前記第1の工程は、第1の不活性ガス、及び第1の酸素ガスのいずれか一方または双方が導入され、
    前記第2の工程は、第2の不活性ガス、及び第2の酸素ガスのいずれか一方または双方が導入され、
    前記第3の工程は、第3の不活性ガス、及び第3の酸素ガスのいずれか一方または双方が導入され、
    前記第1の酸素ガスは、導入するガス全体に占める割合が、0%以上30%以下であり、
    前記第2の酸素ガスは、導入するガス全体に占める割合が、30%より大きく100%以下である、
    前記第3の酸素ガスは、導入するガス全体に占める割合が、30%より大きく100%以下である、
    半導体装置の作製方法。
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