JP2018145492A - 無方向性電磁鋼板およびその製造方法、並びにモータコアおよびその製造方法 - Google Patents

無方向性電磁鋼板およびその製造方法、並びにモータコアおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】面内異方性が小さく、低鉄損かつ高磁束密度を有する磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法の提供。
【解決手段】質量%で、C:0.0030%以下、Si:0.0%〜3.5%、Al:1.0%〜3.5%、Mn:0.0%〜3.0%、S:0.0030%以下、並びに、残部:Feおよび不純物を含有する化学組成を有し、Al/Siの質量比が0.5以上であり、板厚1/10〜板厚1/5の中間層における{223}<252>方位の集積度が6以下である無方向性電磁鋼板。
【選択図】なし

Description

本発明は、無方向性電磁鋼板およびその製造方法、並びにモータコアおよびその製造方法に関するものである。
近年、特に、回転機、中小型変圧器、電装品等の電気機器の分野において、世界的な電力削減、エネルギー節減、CO排出量削減等に代表される、地球環境の保全の動きの中で、モータの高効率化及び小型化の要請はますます強まりつつある。このような社会環境下において、モータのコア材料として使用される、無方向性電磁鋼板に対する性能向上は、喫緊の課題である。
例えば、自動車分野では、ハイブリッド駆動自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)等の駆動モータのコアとして、無方向性電磁鋼板が使用されている。そして、HEVで使用される駆動モータは、設置スペースの制約および重量減による燃費低減のため、小型化の需要が高まっている。
駆動モータの小型化の需要に伴い、モータは高トルク化が必要である。そのため、無方向性電磁鋼板には、磁束密度のさらなる向上が要求されている。
また、自動車に搭載する電池容量には制限があることから、モータにおけるエネルギー損失を低くする必要がある。そのため、無方向性電磁鋼板には、さらなる低鉄損化が求められている。
さらに、モータの高速回転化の要求も高まっているため、高周波での磁気特性(以下、「高周波特性」と称する場合がある。)向上も重要視されるようになっている。
また、従来、電磁鋼板は、追加熱処理して使用されることがある。代表的なものとして「歪取り焼鈍」が知られている。これは、鋼板を電機部品として加工する際の打ち抜き等により、鋼板に不可避的に導入される歪が特に鉄損を悪化させるため、最終的に不要な歪を除去するための熱処理である。この熱処理は、鋼板から切り出された部材(鋼板ブランク)、または部材を積層したモータコア(例えば、ステータコア)に対して施される。
しかし、歪取り焼鈍は、歪を解放して鉄損を改善する効果は得られる一方で、同時に磁気特性にとって好ましくない結晶方位が発達し磁束密度が低下してしまうことがある。そのため、特に高い磁気特性が求められる場合には、歪取り焼鈍での磁束密度低下の回避が求められている。
これらを背景とし、無方向性電磁鋼板の技術において、磁気特性を向上させるため、鋼板中の結晶粒径、及び結晶方位などの金属組織の制御、並びに析出物の制御等、様々な取り組みがなされている(例えば、特許文献1〜13参照)。
特開平05−279740号公報 特開平06−306467号公報 特開2002−348644号公報 特開2011−111658号公報 特開2006−045613号公報 特開2006−045641号公報 特開2006−219692号公報 特開昭58−23410号公報 特開平11−124626号公報 国際公開2012/029621号 国際公開2016/136095号 特開平03−223424号公報 国際公開2014/129034号
ここで、特許文献1には、質量%で、4%<Si≦8.0%、Al≦2.0%を含む特定の化学組成を有する鋼帯を、圧下率5%以上40%未満で冷間圧延を行う等の工程を経て得られた無方向性電磁鋼板が開示されている。
また、特許文献2には、質量%で、Si≦4.0、Al≦2.0%を含む特定の化学組成で含む鋼帯を、圧下率5%以上40%未満で冷間圧延を行う等の工程を経て得られた無方向性電磁鋼板が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2に開示された無方向性電磁鋼板は、例えば、HEV等の駆動モータ用のコアのように、高い磁気特性が要求されるレベルに対して十分な性能を有していなかった。
また、特許文献3には、Si≦0.4等の特定の化学組成を有し、磁界強度2500A/mにおける磁束密度B25の値が1.70T以上であり、かつ磁界強度5000A/mにおける磁束密度B50の値が1.80T以上である無方向性電磁鋼板が開示されている。しかしながら、特許文献3に開示された無方向性電磁鋼板は、特に、低磁場での磁束密度(B25)の向上に著しい悪影響を避けるためAlの含有量が質量%で0.5%以下に制限されており、高い磁気特性が要求されるレベルに対して十分な性能ではなかった。
特許文献4には、0.1%<Si≦2.0%、Al≦1.0等の特定の化学組成を有し、仕上げ熱延終了温度が550℃〜800℃等の特定の製造条件で製造した無方向性電磁鋼板が開示されている。しかしながら、Alの含有量が質量%で1.0%以下に制限されており、高い磁気特性が要求されるレベルに対して十分な性能ではなかった。また、熱延温度を500℃〜850℃とする低温熱延を施して製造しても、期待される効果は得られなかった。
特許文献5〜7には、質量%で、Siが0.05%〜4.0%(又は4.5%)、Alが3.5%以下等の特定の化学組成を有し、圧延方向から45°方向の磁気特性が優れた、面内異方性の小さい無方向性電磁鋼板が開示されている。
しかしながら、特許文献5〜7に記載の技術は、特許文献4と同様に、熱延温度を500〜850℃とする低温熱延を施すものであり、このような低温熱延を施して製造しても、期待される効果は得られず、やはり、高い磁気特性が要求されるレベルに対して十分な性能ではなかった。さらに、特許文献5〜7に記載の技術は、高周波での鉄損が要求されるレベルに対して十分な性能ではなかった。
また、特許文献8には、質量%で、Siが2.5%以上、Alが1.0%以上の化学組成を有する鋼板の仕上げ焼鈍の加熱速度を10℃/sec以上に制御することで、磁気特性を改善する技術が開示されている。しかし、現在の連続焼鈍を基本としたプロセスでは、この程度の加熱速度は一般的な技術範囲といえる。
特許文献9には、仕上げ焼鈍の加熱速度が速すぎると鉄損が悪化するため、仕上げ焼鈍の加熱速度を40℃/secに遅くすることで、鉄損の悪化を回避する技術が開示されている。
特許文献10には、仕上げ焼鈍の加熱速度を100℃/secと非常に速くすることで、集合組織を制御し磁束密度を高める技術が開示されている。しかし、単純に加熱速度を速めると、磁気特性が不安定になる問題が指摘されている。
特許文献11には、仕上げ焼鈍の加熱速度が速い場合、磁束密度が不安定になるため、特に、600℃〜700℃及び700℃〜760℃の温度範囲のそれぞれの温度域での適切な加熱速度を選択することで、磁束密度の不安定化を避ける技術が開示されている。
特許文献12、13には、セミプロセス無方向性電磁鋼板に関する技術が開示されている。セミプロセス無方向性電磁鋼板は、仕上げ焼鈍による再結晶後の鋼板に歪を付与した状態で出荷し、その後、鋼板ユーザーで熱処理を行い、歪を解放して磁気特性を得ることを前提としたものである。
特に、特許文献12では、Al窒化物との関連で、仕上げ焼鈍時の加熱速度を5℃/sec〜40℃/secとすることが有効であることが示されている。また、特許文献13では、低Al鋼において、740℃までの加熱速度を100℃/sec以上に早めることで、セミプロセス用の磁気特性を改善した技術が開示されている。
しかし、これまでの技術では、高周波特性および歪取り焼鈍後の磁気特性を考慮した、前述のような現代の市場ニーズに十分に応えられるものではなかった。
上記のとおり、特許文献1〜13に開示された無方向性電磁鋼板は、要求される磁気特性を十分に得られるものではなかった。
このように、従来の無方向性電磁鋼板は、高い磁気特性が要求されるレベルに対して十分な磁気特性を満足するものではなく、さらなる磁気特性の向上が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、高周波特性および歪取り焼鈍後の磁気特性までをも考慮して、面内異方性が小さく、低鉄損かつ高磁束密度を有する磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を得るために、Al量の多い化学組成を有する(高Al成分系)鋼板において、{100}方位の集積度を向上させるための条件を検討した。その条件を追求すると、{100}方位の集積度が高まることに加え、鋼板の中間層において、{223}<252>方位の集積度を低下させることが、高周波特性および歪取り焼鈍後の磁気特性までをも考慮した磁気特性の向上と強い相関を持つことをつきとめた。そして、この特性を有する鋼板を得るための条件について詳細に検討した。その結果、高Al成分系の鋼板において、AlとSiとの質量比(Al/Si)を0.5以上とし、冷延圧下率(冷間圧延での圧下率)を特定の範囲としたときに、前記課題を解消する鋼板が得られるとの知見を得た。また、同様に、冷延後の鋼板に対し、仕上げ焼鈍での急速加熱を施した場合にも、前記課題を解消する鋼板が得られるとの知見を得た。
さらに、上記の中間層での集合組織変化が圧延による剪断変形に関連しているとの観点から、熱延条件による制御について詳細に研究を重ねた。その結果、高Al成分系の鋼板において、AlとSiとの質量比(Al/Si)が特定の値以上である鋼板を、低温で仕上げ熱延を施した場合にも、鋼板の中間層において、{223}<252>方位の集積度を低下させられることを確認した。
すなわち、本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。つまり、本発明の要旨は次のとおりである。
<1> 質量%で、
C:0.0030%以下、
Si:0.0%〜3.5%、
Al:1.0%〜3.5%、
Mn:0.0%〜3.0%、
S:0.0030%以下、並びに
残部:Feおよび不純物を含有する化学組成を有し、
Al/Siの質量比が0.5以上であり、
板厚1/10〜板厚1/5の中間層における{223}<252>方位の集積度が6以下である無方向性電磁鋼板。
<2> 前記中間層における{100}方位の面内方位における集積度の最大値が11以上である<1>の無方向性電磁鋼板。
<3> 前記中間層における{100}方位の面内方位における集積度の最大値(MI100)と、鋼板表面〜板厚1/10の表面層における{100}方位の面内方位における集積度の最大値(MS100)と、板厚1/5〜板厚1/2の中心層における{100}方位の面内方位における集積度の最大値(MC100)とが、
MI100>MS100>MC100
の関係を満たす<1>または<2>に記載の無方向性電磁鋼板。
<4> 磁化力5000A/mで励磁した場合の全周方向平均の磁束密度B50と飽和磁束密度Bsとの比(B50/Bs)が0.885以上である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
<5> 圧延方向に対して、0°、22.5°、45°、67.5°、及び90°の5方向における磁束密度のうち、最も磁束密度が高いB50maxと、最も磁束密度が低いB50minとの差を、飽和磁束密度Bsで除した値が0.015以下[(B50max−B50min)/Bs≦0.015)]である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
<6> 熱処理を実施する前の鋼板の磁束密度をB、並びに加熱速度が100℃/hr、最高到達温度が800℃、及び800℃での保持時間が2時間の条件で熱処理を実施した後の鋼板の磁束密度をBとしたとき、前記Bと前記Bとの比が、B/B≧0.98の関係を満足する<1>〜<5>のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
<7> <1>に記載の化学組成を有するスラブを熱間圧延する熱間圧延工程と、
前記熱間圧延工程後の鋼板に冷間圧延する冷間圧延工程と、
前記冷間圧延工程後の鋼板に仕上げ焼鈍する仕上げ焼鈍工程と
を有し、下記(a)、(b)、および(c)のうちの少なくとも1つの条件を満足する<1>〜<6>のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
(a)熱間圧延工程:500℃〜800℃の温度域で仕上げ圧延を行う
(b)冷間圧延工程:合計圧下率が90%以上となるように冷間圧延する
(c)仕上げ焼鈍工程:冷間圧延工程後の鋼板に、室温(25℃)〜800℃の温度域 での平均加熱速度が80℃/sec以上となるように仕上げ焼鈍する
<8> <1>〜<6>のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板を積層したモータコア。
<9> <1>〜<6>のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板に、打ち抜き加工を施して打ち抜き部材を得る工程と、
前記打ち抜き部材を積層する工程と、
を有する、モータコアの製造方法。
本発明によれば、高周波特性および歪取り焼鈍後の磁気特性までをも考慮して、面内異方性が小さく、低鉄損かつ高磁束密度を有する磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供できる。
本実施形態に係るモータコアの一例を示す斜視図である。 本実施形態に係るモータコアの他の一例を示す斜視図である。
以下、本発明の好ましい実施形態の一例について詳細に説明する。
なお、本明細書中において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中において、板厚1/10、板厚1/5、板厚1/2と称する場合、鋼板表面から板厚方向の所定の位置を示す。
また、表面層とは、鋼板表面から板厚1/10までの領域を示す。中間層とは、板厚1/10から板厚1/5までの領域を示す。中心層とは、板厚1/5から板厚1/2までの領域を示す。
本明細書中において、各方位(例えば、{223}<252>方位、{100}方位など)については、圧延面の法線方向(圧延面方向)のミラー指数、および圧延方向と平行な方向(圧延面内方向)のミラー指数について、それぞれ±5°以内の方位を当該方位であるものとする。
<無方向性電磁鋼板>
(結晶方位の特徴)
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、質量%で、C:0.0030%以下、Si:0.0%〜3.5%、Al:1.0%〜3.5%、Mn:0.0%〜3.0%、S:0.0030%以下、並びに、残部:Feおよび不純物を含有する化学組成を有する。
そして、Al/Siの質量比が0.5以上である。
さらに、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、中間層における{223}<252>方位の集積度が6以下である(これを特徴(A)とする)。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、上記特性を有することで、高周波特性および歪取り焼鈍後の磁気特性を考慮した磁気特性に優れる。これについて以下に説明する。
中間層における{223}<252>方位の集積度が6以下であることは、本実施形態の無方向性電磁鋼板において、重要な特徴となる。{223}<252>方位は、磁気特性にとって好ましくない{111}方位に比較的近い方位である。{223}<252>方位は、当然低減するように抑制すべき方位である。
したがって、本実施形態の無方向性電磁鋼板では、中間層における{223}<252>方位の集積度を6以下と規定している。好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。中間層における{223}<252>方位の集積度は、0でも構わない。
{223}<252>方位は、圧延により高純度鋼での集積が進行する{111}<211>方位と{112}<110>方位との中間の方位でもある。このため、従来は、冷延圧下率が高くなると、{223}<252>方位を十分に低下できていなかった。また、特に中間層においては、圧延時に付加的な剪断変形が大きくなるため、{223}<252>方位が発生しやすかった。しかし、高Al成分系および高冷延圧下率の条件、高Al成分系および仕上げ焼鈍での急速加熱の条件においては、{223}<252>方位の集積が抑制できることを知見した。また、高Al成分系および低温での仕上げ熱延(低温仕上げ熱延)の条件においても、{223}<252>方位の集積を抑制できることを知見した。
上記条件において、{223}<252>方位の集積が抑制できる理由は明確ではないが、次のように推測される。
一般的に、Siは変形に伴う転位のすべり系を限定させる効果を有することが知られている。しかし、Alを高濃度で含有することで、すべり系が変化する。そして、再結晶時の加熱速度を高めることで、本来出現すべき{223}<252>方位の核発生が抑制され、従来と異なる挙動を示すようになったと考えられる。また、冷延圧下率が高い場合に、{223}<252>方位の抑制効果が強く働くことも、圧延時の転位のすべり系の変化との関連を示していると考えられる。
また、Alを高濃度で含有する鋼片に、低温で仕上げ熱延を施した場合にも、同様の現象が生じていると考えられる。
一方、仕上げ焼鈍の加熱速度を高めることで、{223}<252>方位の集積が抑制される理由は明らかではないが、次のように考えられる。前述のAlを高濃度で含有することによるすべり系の変化に加え、急速に再結晶開始温度を超える温度に到達することで、方位の選択性が弱くなる。それによって、様々な方位の再結晶が開始されることで、{223}<252>方位の集積の優先性が抑制されたと推測される。
なお、付加的な剪断変形を経て形成された中間層は、隣接する表面層および中心層とは異なる結晶方位を持ち、歪取り焼鈍などで結晶粒径が粗大化する場合に、中間層に存在する結晶粒が成長しやすい状況にあった。
しかしながら、本実施形態の無方向性電磁鋼板は、中間層に存在する磁気特性に好ましくない{223}<252>方位が低減されていることにより、歪取り焼鈍により粒成長させた場合であっても、磁気特性の低下を抑制することができたものと考えられる。
本実施形態の無方向性電磁鋼板は、さらに、中間層における{100}方位の面内方位における集積度の最大値(以下、集積度の最大値を「ピーク集積度」と称することがある)が、11以上であることがよい(これを特徴(B)とする)。
{100}方位を高めることが磁気特性にとって有利となることは周知のとおりである。しかし、従来、中間層においては、前述のように{223}<252>方位が十分に低減しないため、{100}方位への集積を十分に高めることができなかった。前述のように、例えば、高Al成分系の鋼板において、高冷延圧下率、仕上げ焼鈍での急速加熱の条件、及び低温仕上げ熱延の条件の少なくとも一つを制御して得られた本実施形態の無方向性電磁鋼板における中間層では、{223}<252>方位の発達が抑制される。同時に{100}方位への集積度が増加しやすくなる。ただし、{100}方位については、面内での集積度の分布が変化しやすく、特定の面内方位では特徴を正確に表することが困難である。このため、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板では面内でのピーク集積度としている。
したがって、本実施形態の無方向性電磁鋼板では、中間層における{100}方位のピーク集積度を、11以上とすることがよい。好ましくは14以上、より好ましくは17以上である。
また、本実施形態の無方向性電磁鋼板は、上記特徴に加えて、中間層における{100}方位のピーク集積度(MI100)と、表面層における{100}方位のピーク集積度(MS100)と、中心層における{100}方位のピーク集積度(MC100)とが、MI100>MS100>MC100を満たすことがよい(これを特徴(C)とする)。
特徴(C)は、上記特徴(B)を、板厚方向の変化により特徴づけたものである。前述のように、本実施形態の無方向性電磁鋼板は、中間層において、{223}<252>方位への集積が低下する。また、それに伴って、{100}方位への集積が上昇しやすくなる。これらの現象は、圧延(熱延および冷延の少なくとも一方)による付加的な剪断変形に関連して起きるが、表面層においても、ロールによる材料拘束がある。そのため、中間層までではないが、剪断変形成分が生じることで、{223}<252>方位が低下し、{100}方位が上昇しやすくなる。表面層におけるこれらの現象は、付加的な剪断変形が作用しない中心層より発現しやすい。
板厚方向の集合組織変化が、上記関係となることで、歪取り焼鈍での粒成長による磁気特性低下を回避できるとともに、高周波特性に優れた鋼板を得ることが可能となる。この変化の程度としては、好ましくはMI100/MS100またはMI100/MC100が1.1以上、さらに好ましくは1.2以上である。
結晶方位は次の方法で測定できる。鋼板から切り出した30mm×30mm程度の鋼板サンプルに機械研磨および化学研磨を実施して片側の表層を除去する。次に、元の鋼板の表面層、中間層または中心層の中央の板厚方向位置が表面となるまで、それぞれ減厚した測定用試験片を作製する。
各測定用試験片について、X線回折装置により、{200}面、{110}面、{211}面の極点図を測定し、各層における結晶方位分布関数ODF(Orientation Determination Function)を作成する。この結晶方位分布関数に基づき、{223}<252>方位の集積度、および各層における{100}方位のピーク集積度を得る。
次に、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板における化学組成の限定理由について述べる。なお、鋼板の成分組成について、「%」は「質量%」である。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、質量%で、C:0.0030%以下、Si:0.0%〜3.5%、Al:1.0%〜3.5%、Mn:0.0%〜3.0%、S:0.0030%以下、残部:Feおよび不純物からなる化学組成を有する。
(C:0.0030%以下)
Cは、鉄損を高める成分であり、磁気時効の原因ともなるので、Cの含有量は少ないほどよい。そのため、Cの含有量は0.0030%以下とする。C量の好ましい上限は0.0025%以下であり、より好ましくは0.0020%以下である。Cの含有量の下限は特に限定されないが、工業的な純化技術を考慮すると実用的にはCの含有量は0.0001%以上であり、製造コストも考慮すると0.0005%以上となる。
(Si:0.0%〜3.5%)
Siは含有量が増えると、磁束密度が低下し、かつ硬度の上昇を招いて、打ち抜き加工性を劣化させ、また、無方向性電磁鋼板の製造工程そのものにおいても、冷延等の作業性の低下、及びコスト高となる。そのため、Siの含有量は3.5%以下とする。Si量の好ましい上限は3.2%以下、より好ましい上限は3.0%以下である。一方、Siは0%でもよいが、鋼板の電気抵抗を増大させて渦電流損を減少させ、鉄損を低減する作用を有するため、必要に応じて添加すればよい。Si量の好ましい下限は0.1%以上、より好ましい下限は0.5%以上、さらには1.0%以上とすることがよい。
(Al:1.0%〜3.5%)
Alは、Siと同様に、電気抵抗を増大させて渦電流損を減少させることにより、鉄損を低減する作用のある成分であるが、Siと比較すると、鋼板の硬度を上昇させる作用が少ない。このため、Alは1.0%以上含有させる必要がある。Al量の好ましい下限は1.2%以上、より好ましい下限は1.5%以上である。一方、Alの含有量が増加すると、飽和磁束密度が低下して、磁束密度の低下を招く。さらには、降伏比の減少を招いて、打ち抜き加工性も劣化させる。そのため、Al含有量の上限は3.5%以下とする。Al量の好ましい上限は3.0%以下、より好ましい上限は2.7%以下である。
(Al/Siの質量比)
なお、Al/Siの質量比の比率を高めると、{100}方位のピーク集積度が増加し、表面層および中間層での{223}<252>方位の集積度が低下しやすくなり、磁束密度が向上する。そのため、Si/Alの質量比は、0.5以上とする。Si/Alの質量比は、0.7以上がよく、1.0以上が好ましく、1.2以上がより好ましい。
(Mn:0.0%〜3.0%)
Mnは電気抵抗を増大させて渦電流損を減少させるとともに、結晶粒成長に有害なMnS等の微細硫化物の析出を抑制する。これらの目的のためにMnを含有する場合、Mnを0.1%以上含有させることが好ましい。Mn量の好ましい下限は0.15%以上である。しかし、Mnの含有量が増加すると、焼鈍時の結晶粒成長性が低下し、鉄損が増大する。そのため、Mnの含有量の上限は3.0%以下とする。Mn量の好ましい上限は2.5%以下、より好ましくは2.0%以下である。
(Si、Al、及びMnの含有量の関係)
なお、上記の合金元素成分Si、Al、及びMnの相互の元素間には、(Si含有量)+(2×Al含有量)−(Mn含有量)が、質量%で、2.0%以上の関係を満足することがよい。(Si含有量)+(2×Al含有量)−(Mn含有量)が2.0%未満では、α−γ変態が存在する化学成分系となる。そのため、無方向性電磁鋼板の製造工程における仕上げ焼鈍時にも、α−γ変態が生じる場合があり、磁気特性の向上が阻まれることがあるため、上記の関係を満足することがよい。
(S:0.0030%以下)
Sは、MnS等の硫化物の微細析出により、仕上げ焼鈍時等における再結晶および結晶粒成長を阻害するので、0.0030%以下とする。S含有量の好ましい上限は0.0020%以下、より好ましくは0.0015%以下である。Sの含有量の下限は特に限定されないが、工業的な純化技術を考慮すると実用的にはSの含有量は0.0001%以上であり、製造コストも考慮すると0.0005%以上となる。
(Feおよび不純物元素)
鋼板の残部は、Feおよび不純物元素である。ここで、不純物元素とは、原材料に含まれる成分、または、製造の過程で混入する成分であって、意図的に鋼板に含有させたものではない成分を指す。
上記化学組成は、鋼板を構成する鋼成分の組成である。測定試料となる鋼板が、表面に絶縁皮膜等を有している場合は、これを除去した後に測定する。
無方向性電磁鋼板の絶縁皮膜等を除去する方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。
まず、絶縁皮膜等を有する無方向性電磁鋼板を、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH:10質量%+HO:90質量%)に、80℃で15分間、浸漬する。次いで、硫酸水溶液(HSO:10質量%+HO:90質量%)に、80℃で3分間、浸漬する。その後、硝酸水溶液(HNO:10質量%+HO:90質量%)によって、常温(25℃)で1分間弱、浸漬して洗浄する。最後に、温風のブロアーで1分間弱、乾燥させる。これにより、後述の絶縁皮膜が除去された鋼板を得ることができる。
鋼板中の各元素の含有割合は、例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS法:Inductively Coupled Plasma−Mass Spectrometry)により測定することができる。具体的には、まず、測定対象となる無方向性電磁鋼板を準備する。当該電磁鋼板の一部を切子状にして秤量し、これを測定用試料とする。当該測定用試料を酸に溶解させて酸溶解液とし、残渣は濾紙回収して別途アルカリ等に融解し、融解物を酸で抽出して溶液化する。当該溶液と前記酸溶解液とを混合し、必要に応じて希釈することにより、ICP−MS測定用溶液とすることができる。
(無方向性電磁鋼板の磁気特性)
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、優れた磁気特性を有する点で、磁化力5000A/mで励磁した場合の全周方向平均の磁束密度B50と飽和磁束密度Bsとの比(B50/Bs)が0.875以上であることがよい。好ましくは0.880以上、さらに好ましくは0.885以上、さらに好ましくは0.890以上である。B50/Bsの上限は特に限定されないが、1に近いほどよく、例えば、0.980以下が挙げられる。
また、全周方向平均の磁束密度B50は1.75(T)以上(好ましくは1.80(T)以上)であることがよい。
ここで、無方向性電磁鋼板の全周方向平均の磁束密度B50とは、圧延方向(0°)、圧延方向に対して、22.5°、45°、67.5°、及び90°の5方向における磁束密度B50の平均値である。
−面内異方性−
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、磁束密度の面内異方性に優れている。本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、磁束密度の面内異方性に優れる点で、圧延方向(0°)、圧延方向に対して、22.5°、45°、67.5°、及び90°の5方向における磁束密度のうち、最も磁束密度が高いB50maxと、最も磁束密度が低いB50minとの差を、飽和磁束密度Bsで除した値が0.018未満[(B50max−B50min)/Bs<0.018]であることがよい。好ましくは、0.015以下[(B50max−B50min)/Bs≦0.015]、より好ましくは0.013以下[(B50max−B50min)/Bs≦0.013]である。
−高周波特性−
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、前述の通り、鋼板の表層および中間層の結晶方位において、磁気特性にとって好ましくない{223}<252>方位への集積を抑制している。また、磁気特性にとって好ましい{100}方位への集積を促進している。特性値は鋼板成分および集合組織制御の程度などにより大きく変化するため、特に定量的には規定しないが、磁束が鋼板表層近傍に集中する高周波での励磁状況において、特に好ましい特性を発揮することを特徴としている。
−追加熱処理(歪取り焼鈍)による磁気特性の変化−
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、追加の熱処理(歪取り焼鈍)をした場合であっても、再結晶粒の成長の際に生じていた磁束密度の低下を抑制することができるものである。
例えば、追加の熱処理を実施する前の鋼板の磁束密度をB、並びに加熱速度が100℃/hr、最高到達温度が800℃、及び800℃での保持時間が2時間の条件で熱処理を実施した後の鋼板の磁束密度をBとしたとき、BとBとの比が、B/B≧0.98(好ましくはB/B≧0.985、より好ましくはB/B≧0.99)の関係を満足することができる。
なお、B/Bの上限は特に定めないが、追加熱処理により特性劣化がない(つまり、B/B=1.0)ことは、目標とする基準でもある。ただし、本実施形態の無方向性電磁鋼板において、結晶方位を板厚方向の変化を考慮して好ましく制御しているため、磁気特性にとって好ましい方位が優先的に成長し、B/Bが1.0を超えることもある。
ここで、追加の熱処理を実施する前および後の磁束密度BおよびBの測定方法は、前述のB50と同じである。
このように、本実施形態に係る鋼板は、追加熱処理(歪取り焼鈍)した場合であっても、従来の鋼板を歪取り焼鈍したときよりも磁束密度の低下が抑制される。この理由については、必ずしも明らかではないが以下のように考えている。
従来の無方向性電磁鋼板では、歪取り焼鈍等の追加熱処理による比較的低温での粒成長を行うと、磁気特性に有利とされる{100}方位を有する結晶粒よりも、他の方位(例えば、{111}、{223}、{112}等)を有する結晶粒の成長が優位となる。このため、従来の無方向性電磁鋼板は、磁束密度が大きく低下するものと推定される。
特に、このような結晶方位(例えば、{111}、{223}、{112}等)による成長の優先性は、板厚方向についての結晶方位の変化が生じ易い。つまり、隣接粒との方位差が大きくなる可能性が高く、粒成長の駆動力が高くなりやすい中間層の結晶粒の影響を受けやすいと考えられる。
これに対し、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板では、Alを比較的高濃度で含有し、さらに、熱延での仕上げ圧延の温度条件、高冷延圧下率および冷延後の仕上げ焼鈍の加熱条件のうちの少なくとも一つを制御する。それにより、無方向性電磁鋼板製造時(即ち仕上げ焼鈍後)における鋼板は、中間層の結晶方位について{223}<252>方位への集積を抑制し、{100}方位への集積を高めたものとしている。このため、仕上げ焼鈍後の徐加熱での追加熱処理による粒成長での方位発達において、{223}<252>方位の成長が優位とならない。そして、高磁束密度化に有利な方位(即ち、{100}方位)を有する結晶粒が蚕食されることなく、{100}方位が優位に存在または成長するため、高磁束密度を保持するものと推定される。
なお、発明を実現するために採用した条件によっては、{111}方位および{112}方位の少なくとも一方の方位の集積も抑制され、磁束密度に取って好ましい効果を奏する。条件によっては、{111}方位および{112}方位の少なくとも一方の方位の集積が増大することもあるが、その影響は{100}方位および{223}方位を制御して得られる効果に比べると小さい。このため、本実施形態の無方向性電磁鋼板によって得られる効果を損ねるほどのものではない。
また、これに加え、Alが比較的高濃度で含有する鋼板において、仕上げ熱延条件、冷延圧下率および仕上げ焼鈍の条件の少なくとも一つを特定範囲に制御した結果、特に、鋼板中の窒化物が比較的粗大かつ低個数密度になっている。このように制御された窒化物が徐加熱を含めた低温での粒成長時の特定方位の選択的な成長において有利に作用している可能性がある。例えば、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板では、集合組織に加え、窒化物を粗大かつ低個数密度として、徐加熱粒成長性を適度に制御することで、初期段階(結晶粒径としては、例えば、80μm以下の段階)で、相対的に高加熱速度(例えば、1秒あたり10℃(10℃/sec)程度以上)で生成させた結晶を、粒成長段階(結晶粒径としては、例えば、80μm超の段階)で、相対的に低加熱速度かつ低温(例えば、1時間あたり100℃(100℃/hr)程度以下、粒成長や窒化物粗大化が起きる温度域としては比較的低温である550℃〜750℃の温度域での保持時間が2時間以上)で成長を進行させている。そして、その結果として、特定方位の結晶粒が優先的かつ選択的に成長する効果を増長させていると考えられる。
上記では粒成長における結晶方位の好ましい選択の効果を80μm前後での方位変化により説明したが、この効果は、例えば、仕上げ焼鈍において(急速加熱焼鈍において)、80μm超、例えば100μmまたはそれ以上とした鋼板においても、そこからのさらなる粒成長、例えば200μmまたはそれ以上とする際の好ましい方位選択性が失われるものではない。
なお、結晶粒径は、以下のようにして、測定する。
試験片を板厚断面が観察できるように切断し、ナイタールエッチングにより粒界を腐食させて発現させる。その後、板厚断面の金属組織を光学顕微鏡により撮影し、100個以上の結晶粒の結晶粒径を線分法(金属組織の写真に直線をひき、直線と結晶粒界の交点の数から計算)により測定し、平均結晶粒径を求める。
<無方向性電磁鋼板の製造方法>
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、前述のように、Alを比較的高濃度で含有し、さらに、熱延での仕上げ圧延の温度条件、冷延での圧下率条件、及び冷延後の仕上げ焼鈍の加熱条件のうちの少なくとも一つを後述の条件で制御することで得られる。本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の好ましい製造方法の一例としては、下記の方法が挙げられる。
以下、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の好ましい製造方法の一例について説明する。
本実施形態の無方向性電磁鋼板の好適な製造方法の一例は、前述の化学組成(質量%で、C:0.0030%以下、Si:0.0%〜3.5%、Al:1.0%〜3.5%、Mn:0.0%〜3.0%、S:0.0030%以下、残部:Feおよび不純物)を有するスラブを熱間圧延(熱延)する熱間圧延工程(熱延工程)と、熱間圧延工程後の鋼板に冷間圧延(冷延)する冷間圧延工程(冷延工程)と、冷間圧延工程後の鋼板に仕上げ焼鈍する仕上げ焼鈍工程と、を有する。
そして、下記(a)、(b)および(c)のうちの少なくとも1つの条件を満足する。
(a)熱間圧延工程:500℃〜800℃の温度域で仕上げ圧延を行う
(b)冷間圧延工程:合計圧下率が90%以上となるように冷間圧延する
(c)仕上げ焼鈍工程:冷間圧延工程後の鋼板に、室温(25℃)〜800℃の温度域 での平均加熱速度が80℃/sec以上となるように仕上げ焼鈍する
また、本実施形態の無方向性電磁鋼板のより好適な製造方法の他の一例としては、下記(1)〜(4)の方法が挙げられる。
(1)熱間圧延工程が、500℃〜800℃の温度域で仕上げ圧延を行う工程であり、冷間圧延工程が、熱間圧延後の鋼板に、冷間圧延(冷延)での合計圧下率が90%以上となるように冷間圧延する工程である。
(2)冷間圧延工程が、熱間圧延後の鋼板に、冷間圧延(冷延)での合計圧下率が90%以上となるように冷間圧延する工程であり、仕上げ焼鈍工程が、冷間圧延工程後の鋼板に、室温(25℃)〜800℃の平均加熱速度が80℃/sec以上となるように仕上げ焼鈍する工程である。
(3)熱間圧延工程が、500℃〜800℃の温度域で仕上げ圧延を行う工程であり、仕上げ焼鈍工程が、冷間圧延工程後の鋼板に、室温(25℃)〜800℃の温度域での平均加熱速度が80℃/sec以上となるように仕上げ焼鈍する工程である。
(4)熱間圧延工程が、500℃〜800℃の温度域で仕上げ圧延を行う工程であり、冷間圧延工程が、熱間圧延後の鋼板に、冷間圧延(冷延)での合計圧下率が90%以上となるように冷間圧延する工程であり、仕上げ焼鈍工程が、冷間圧延工程後の鋼板に、室温(25℃)〜800℃の温度域での平均加熱速度が80℃/sec以上となるように仕上げ焼鈍する工程である。
そして、上記製造方法によって得られる無方向性電磁鋼板は、特に、鋼板の中間層における{223}<252>方位の集積度が6以下に低下する(つまり、前述の特徴(A)が得られる)。これは、前述の通り、特に中間層に強く作用する剪断変形に関連するすべり変形を適切に制御したことが原因となっていると考えられる。
また、上記製造方法によって、中間層における{100}方位のピーク集積度が、11以上となる鋼板が得られる(つまり、前述の特徴(B)がさらに得られる)。
さらに、中間層における{100}方位のピーク集積度(MI100)と表面層における{100}方位のピーク集積度(MS100)と中心層における{100}方位のピーク集積度(MC100)とが、MI100>MS100>MC100を満たす鋼板が得られる(つまり、前述の特徴(C)がさらに得られる)。
以下、好ましい製造方法の一例における各工程について、まとめて説明する。
(熱間圧延工程)
具体的には、まず、前述の化学組成を有するスラブを所望の厚みに粗圧延(以下、「粗熱延」と称する場合がある。)する。中間層の{223}<252>方位の集積度を低下させる点で、粗熱延から冷延までの圧下率が高い方が好ましい。そのため、粗熱延後の厚みが、例えば、10mm以上(好ましくは、15mm以上)となるように、スラブに粗熱延を施すことがよい。
なお、熱延前のスラブの加熱温度は特に限定されるものではないが、コスト等の観点から1000℃〜1300℃とすることがよい。
加熱後のスラブに対し粗熱延を施した後、仕上げ圧延(以下、「仕上げ熱延」と称する場合がある。)を施す。仕上げ熱延の温度条件は特に限定されないが、仕上げ熱延の温度は、高周波特性および歪取り焼鈍後の磁気特性までをも考慮し、面内異方性が小さく、低鉄損かつ高磁束密度を有する優れた磁気特性(以下、「特定の磁気特性」と称する場合がある。)を得るために有効な制御因子となり得る。特定の磁気特性を有効に得るには、仕上げ熱延の温度を500℃〜800℃とすることがよい。圧延性の点から、仕上げ熱延の温度の好ましい下限は550℃以上、さらに好ましくは600℃以上である。仕上げ熱延の温度の好ましい上限は750℃以下、より好ましくは700℃以下である。
仕上げ圧延の温度を低くすることで、特定の磁気特性が発現する理由は明確ではないが、前述のように、「中間層に作用する剪断変形」に関連する、高Al成分系による転位のすべり系変化の挙動、及び付加的な剪断変形に起因していると考えると、熱間圧延において圧延温度を低くすることで熱延鋼板の中間層において同様の現象をもたらしているものと推察できる。もちろん、熱延での中間層での方位変化が、そのまま冷延、及び仕上げ焼鈍後に、特定の磁気特性にとって好都合なものになる必然性があるものではないが、少なくとも、熱延において比較的低温で中間層に導入した剪断歪が、冷延、及び仕上げ焼鈍後に生成する結晶方位に影響を及ぼすと考えることは自然である。熱延〜冷延〜仕上げ焼鈍にわたる過程における結晶方位変化については、今後の解明に期待する。
(冷間圧延工程)
次に、熱延後の鋼板に冷延を施す。冷延の合計圧下率は特に限定されないが、冷延の合計圧下率は、特定の磁気特性を得るために有効な制御因子となり得る。この特定の磁気特性を有効に得るには、冷延は、熱延後の鋼板に対して、冷延工程における合計圧下率(冷延の全圧下率)で90%以上となるように施すことがよい。{100}方位を発達させ、磁気特性を向上させる点で、全圧下率は92%以上であることが好ましい。冷延の全圧下率の上限は99%以下であることがよいが、製造上の点で、95%以下であることが好ましい。
冷間圧延での高圧下率が特定の磁気特性の発現において重要な要因となり得ることは前述の通りである。本実施形態の無方向性電磁鋼板の製造方法では特に限定はしないが、中間層に十分な剪断変形を付与するためには、低潤滑、小径ロール、高歪速度(1パス大圧下)で圧延を実施することが有効と考えられる。これは、熱延についても同様の効果があると予想される。
(仕上げ焼鈍工程)
次に、冷延後の鋼板に仕上げ焼鈍を施す。仕上げ焼鈍工程における加熱条件は、特に限定されないが、特定の磁気特性を得るために有効な制御因子となり得る。仕上げ焼鈍工程における加熱条件は、次の条件とすることがよい。
特定の磁気特性を有効に得るには、仕上げ焼鈍は、室温(25℃)〜800℃の温度域での平均加熱速度(C)を80℃/sec以上を満足するように仕上げ焼鈍を施すことがよい。
なお、仕上げ熱延における加熱条件を、上記の特定の温度域とした場合、及び冷延圧下率を、上記の特定範囲とした場合の少なくとも一つに制御したときでも、仕上げ焼鈍の加熱条件をこの条件とすることで、前述のように、より優れた磁気特性を有する無方向性電磁鋼板が得られる。
仕上げ焼鈍は、室温(25℃)〜800℃に至る昇温過程の平均加熱速度を80℃/sec以上とすることで結晶方位が好ましく制御され、特定の磁気特性を有効に得ることができる。加熱速度の上限は特に定めないが、加熱速度は高過ぎると特定の磁気特性が不安定となりやすい。そのため、加熱速度の上限は500℃/sec程度以下に抑えることがよい。この加熱を徐加熱としてしまうと、特定の磁気特性を得られ難くなる。好ましくは100℃/sec以上、さらに好ましくは400℃/sec以上である。
仕上げ焼鈍の加熱速度を高めることで、特定の磁気特性が有効に発現する理由は不明ではあるが、再結晶(核生成)のタイミングを制御することの重要性を示していると考えられる。つまり、従来、{223}<252>方位は{111}方位の近傍の方位であり、Si鋼でこれを低減することは容易ではなかった。これは、{223}<252>方位が比較的再結晶しやすい方位であることを示している。一般的に{111}方位は、変形による転位集積が起きやすいため、比較的再結晶しやすい方位であることが知られている。{111}方位の近傍の方位である、{223}<252>方位も同様の特徴を有するものと考えられる。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板においては、Alによるすべり系の変化および剪断変形により変形後の結晶方位および蓄積転位量も単純なSi鋼の場合とは異なり、{223}<252>方位の再結晶の優位性は低下していると思われる。そして、さらに急速加熱により再結晶の駆動エネルギーが高いまま(転位密度が高いまま)の状態で高温に保持する。それにより、本来再結晶しにくい方位の発生を促進し{223}<252>方位を抑制する効果が実用的に意味を持つ程度にまで高めることができるものと考えられる。
仕上げ焼鈍の均熱温度は、仕上げ焼鈍ままで十分に低い鉄損とする場合には、800℃〜1200℃の範囲とすることがよい。均熱の下限温度は、再結晶温度以上の温度であればよいが、800℃以上とすることで、十分な粒成長を起し、鉄損を低下させることができる。この観点では、均熱温度の下限としては、好ましくは850℃以上である。
また、最終的に歪取り焼鈍などの徐加熱による追加熱処理を行って結晶粒を成長させるのであれば、追加熱処理後の鉄損は低くできるので、仕上げ焼鈍の均熱温度を粒成長の観点では十分とは言えない800℃未満としていても問題はない。この場合は、追加熱処理により磁束密度が劣位となることを回避する効果が顕著に発揮される。この場合、一部に未再結晶組織が残存していても本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の特徴的な結晶方位を有することが可能であり、下限温度としては、例えば、640℃以上が挙げられる。仕上げ焼鈍温度を低くして、微細な結晶組織または一部未再結晶組織とした鋼板は、強度が高いので、高強度無方向性電磁鋼板としても有用である。
一方、均熱温度の上限は、焼鈍炉の負荷を考慮し1200℃以下とすることがよく、好ましくは1050℃である。
また、均熱保持時間は、粒径、鉄損、磁束密度、強度などを考慮した時間で行えばよく、例えば、5sec以上を目安とすることができる。一方、120sec以下であれば、結晶粒成長が適度になる。そのため、均熱保持時間は5sec〜120secとすることがよい。この範囲であると、例えば、その後の徐加熱による追加熱処理を行って粒成長をさせたとき、磁気特性が劣位となることを回避する効果が得られる結晶方位が残存しやすくなる。
なお、焼鈍後の冷却条件については、通常の条件であればよく、特に制限はない。また、上記仕上げ焼鈍加熱時の加熱速度を制御する方法についても、特に制限はなく、例えば、直接通電加熱法あるいは誘電加熱法などを好適に用いることができる。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を得るために、上記の工程以外に、従来の無方向性電磁鋼板の製造工程と同様のその他の工程を設けてもよい。その他の工程の各条件は、従来の無方向性電磁鋼板の製造工程と同様の条件を採用してもよい。具体的には、例えば、仕上げ焼鈍工程後の鋼板(無方向性電磁鋼板)の表面に絶縁皮膜を設ける絶縁皮膜形成工程を有していてもよい。
また、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、鋼板表面に絶縁皮膜を有していてもよい。本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の表面に形成する絶縁皮膜は、特に限定されず、公知のものの中から、用途等に応じて選択すればよい。例えば、絶縁皮膜は、有機系皮膜、無機系皮膜のいずれであってもよい。有機系皮膜としては、例えばポリアミン系樹脂;アクリル樹脂;アクリルスチレン樹脂;アルキッド樹脂;ポリエステル樹脂;シリコーン樹脂;フッ素樹脂;ポリオレフィン樹脂;スチレン樹脂;酢酸ビニル樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ウレタン樹脂;メラミン樹脂等が挙げられる。また、無機系皮膜としては、例えば、リン酸塩系皮膜;リン酸アルミニウム系皮膜等が挙げられる。さらに、前記の樹脂を含む有機−無機複合系皮膜等が挙げられる。
上記絶縁皮膜の厚みは、特に限定されないが、片面当たりの膜厚として0.05μm〜2μmであることが好ましい。
絶縁皮膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、上記の樹脂または無機物を溶剤に溶解した絶縁皮膜形成用組成物を調製し、当該絶縁皮膜形成用組成物を、鋼板表面に公知の方法で均一に塗布することにより絶縁皮膜を形成することができる。
本実施形態に係る無方向性電磁鋼板の厚みは、用途等に応じて適宜調整すればよく、特に限定されるものではないが、製造上の観点から、0.10mm〜0.50mmであることがよく、0.15mm〜0.50mmが好ましい。特に、磁気特性と生産性のバランスの観点からは、0.15mm〜0.35mmが好ましい。
以上の工程を有する製造方法によって、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板が得られる。
なお、本実施形態の無方向性電磁鋼板は、中間層の{223}<252>方位の集積度が6以下を有する鋼板が得られるのであれば、その製造方法は、特に限定されるものでないことは言うまでもない。
本実施形態によれば、前述の特定の磁気特性を有する無方向性電磁鋼板が得られる。そのため、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、電気機器の各種コア材料、特に、回転機、中小型変圧器、電装品等のモータのコア材料として好適に適用できる。
以下、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板をモータコアとして適用した場合について説明する。
<モータコアおよびその製造方法>
本実施形態に係るモータコアは、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を積層した形態が挙げられる。具体的には、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を打ち抜いて、打ち抜き部材(鋼板ブランク)を作成し、この打ち抜き部材を積層一体化したモータコアが挙げられる。例えば、本実施形態に係るモータコアは、一例として、図1および図2に示すモータコアが挙げられる。
図1は、本実施形態に係るモータコアの一例を表す模式図である。モータコア100は、無方向性電磁鋼板の打ち抜き部材11を複数枚積層して一体化した積層体21として形成されている。打ち抜き部材11は、図1に示すように、永久磁石を埋め込むため矩形の切欠き13が6か所形成されている。なお、切欠き13は、打ち抜き部材11に6か所形成されているが、これに限定されるものではない。切欠き13に永久磁石を埋め込んだときに、隣り合った永久磁石が反対の磁極を持つようにするために、切欠き13は偶数か所設けられていればよい。
図2は、本実施形態に係るモータコアの他の一例を表す模式図である。図2に示すように、モータコア300は、無方向性電磁鋼板の打ち抜き部材31を複数枚積層して一体化した積層体33として形成されている。打ち抜き部材31は、外周側にヨーク部37、ヨーク部37の内周面から径方向内側に向かって突出しているティース部35が形成されている。
以上、図1および図2に示すモータコアについて説明したが、本実施形態に係るモータコアはこれらに限定されるものではない。
次に、モータコアの製造方法について説明する。
本実施形態に係るモータコアの製造方法は、特に限定されず、通常工業的に採用されている製造方法によって製造すればよい。
以下、本実施形態に係るモータコアの好ましい製造方法の一例について説明する。
本実施形態に係るモータコアの好ましい製造方法の一例は、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板に、打ち抜き加工を施して打ち抜き部材を得る打ち抜き工程と、打ち抜き部材を積層する積層工程と、を有する。
(打ち抜き工程)
まず、本実施形態の無方向性電磁鋼板を、目的に応じて、所定の形状に打ち抜き、積層枚数に応じて、所定の枚数の打ち抜き部材を作製する。無方向性電磁鋼板を打ち抜いて、打ち抜き部材を作成する方法は特に限定されず、従来公知のいずれの方法を採用してもよい。
なお、打ち抜き部材は、所定の形状に打ち抜かれるときに、打ち抜き部材を積層して固定するための凹凸部を形成してもよい。
(積層工程)
打ち抜き工程で作成した打ち抜き部材を積層することにより、モータコアが得られる。
なお、積層した打ち抜き部材を固定する方法は、特に限定されず、従来公知のいずれの方法を採用してもよい。例えば、打ち抜き部材に、公知の接着剤を塗布して接着剤層を形成し、接着剤層を介して固定してもよい。また、かしめ加工を適用して、各々の打ち抜き部材に形成された凹凸部を機械的に相互に嵌め合わして固定してもよい。
以上の工程を経て本実施形態に係るモータコアが得られる。本実施形態に係るモータコアは、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を用いて製造されるため、面内異方性が小さく、低鉄損で、且つ高磁束密度を有する。
また、本実施形態に係るモータコアの好ましい製造方法の他の一例は、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板に、打ち抜き加工を施して打ち抜き部材を得る打ち抜き工程と、打ち抜き部材を積層する積層工程と、を有し、打ち抜き工程後、かつ、積層工程前、又は積層工程後に、加熱速度が500℃/hr以下、最高到達温度が750℃〜850℃の温度域、及び750℃以上での保持時間が0.5時間〜100時間の条件で熱処理する熱処理工程と、を有する。
即ち、本実施形態に係るモータコアは、打ち抜き部材を積層した後に、特定条件(加熱速度:500℃/hr以下、最高到達温度:750℃〜850℃、750℃以上での保持時間:0.5時間〜100時間)で熱処理(歪取り焼鈍)を施してもよい。また、この熱処理は、打ち抜き部材を積層する前の打ち抜き部材に、上記特定条件の熱処理を施してもよい。
モータコアの歪取り焼鈍の加熱は、モータコア自体が鋼板のように薄い形状ではないため、一般的には数10℃/sec程度の加熱速度で実施される鋼板製造工程における仕上げ焼鈍工程での熱処理とは異なり、数100℃/hr程度と非常に遅くならざるを得ない。このような低加熱速度で結晶粒を成長させると、磁気特性にとって好ましくない方位が発達するため、高加熱速度で結晶粒を成長させた場合よりも磁束密度が低下することは前述の通りである。しかし、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を使用したモータコアにおいては、低加熱速度で結晶粒を成長させた場合であっても、磁束密度の低下を抑制することが可能である。条件によっては、磁束密度が上昇することもある。歪取り焼鈍による磁束密度の低下を抑制できる歪取り焼鈍の加熱速度の上限は、歪取り焼鈍設備の能力も考慮すると、例えば、500℃/hr以下が挙げられる。下限は歪取り焼鈍の生産効率を考慮すると、例えば、30℃/hr以上が挙げられる。なお、一般的にモータコアの歪取り焼鈍が実施される50℃/hr〜200℃/hr程度の加熱速度であれば、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を使用するメリットが十分に発揮される。
鋼成分および熱延条件などにもよるが、最高到達温度および750℃以上での保持時間は、適切な結晶粒径を得るための目途となるものである。最高到達温度が750℃以上、または750℃以上での保持時間が0.5時間以上であると、結晶粒成長が生じ、特定の磁気特性を効果的に得られ、モータコアとして求められる十分な磁気特性(特に低鉄損)が得られる。また、最高到達温度が850℃以下、または750℃以上での保持時間が100時間以下であると、結晶粒成長が適度になり、磁束密度が向上するとともに、低鉄損化が達成し得る。
したがって、磁気特性の劣化を回避し得る点で、本実施形態に係るモータコアの製造方法は、上記条件(加熱速度:500℃/hr以下、最高到達温度:750℃〜850℃、750℃以上での保持時間:0.5時間〜100時間)の熱処理を行うことが好ましい。
この熱処理を行うことで、モータコアは、不要な歪が解放され、低鉄損化が図られ得る。そして、本実施形態のモータコアは、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板を用いているため、熱処理後においても、高磁束密度が維持され、優れたモータコアが得られる。
以上より、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、磁気特性に優れるため、コア材料として有用である。また、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、モータコア材料に適用した場合、所望の形状に打ち抜いた後、歪取り焼鈍を施した後でも、磁束密度B50の低下及び鉄損の劣化が抑制される利点を有する。そのため、本実施形態に係る無方向性電磁鋼板は、電気機器の分野における喫緊の高効率化、小型化の要請に十分に応えることができ、その工業的価値は極めて高いものである。
以下、実施例を例示して、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
<実施例1>
表1に示す化学組成のスラブを、厚みが40mmになるように粗熱延を施す。その後、表1に示す温度で仕上げ熱延(仕上げ熱延温度)を施す。仕上げ熱延後の鋼板に、表1に示す合計圧下率(合計冷延率)で冷延する。仕上げ熱延の板厚は、表1の合計冷延率による冷延後の鋼板の板厚が、すべて0.25mmとなるように調整する。冷延後の鋼板に、表1に示す平均加熱速度及び均熱温度で仕上げ焼鈍を施して(均熱の保持時間はいずれも30secである。)、鋼板を得る。
得られた鋼板の表面層、中間層、及び中心層について、既述の方法にしたがって観察し、中間層における{223}<252>方位の集積度(中間層{223})、中間層の{100}方位の面内方位における集積度の最大値(中間層{100})、表面層の{100}方位の面内方位における集積度の最大値(表面層{100})、中心層における{100}方位の面内方位における集積度の最大値(中心層{100})を測定する。その結果を表2に示す。
また、全周平均の磁束密度B50、磁束密度B50と飽和磁束密度Bsとの比(B50/Bs)、磁束密度の面内異方性(B50max−B50min/B)、及び鉄損(W10/400)について測定する。さらに、既述の方法に従って、平均結晶粒径(粒径)について測定する。
また、得られた鋼板のうち、仕上げ焼鈍の均熱温度を比較低温とした材料について、加熱速度が100℃/hr、最高到達温度800℃、及び800℃での保持時間が2時間の条件で、歪取り焼鈍(SRA:Stress Relief Annealing)を施し、低加熱速度での追加熱処理による磁束密度の変化(B/B)を評価する。その結果を表2に示す。
ここで、全周平均のB50は、磁化力5000A/mで励磁した場合の全周方向平均の磁束密度である。具体的には、圧延方向に沿う方向(0°)、圧延方向に沿う方向と22.5°の角度をなす方向、圧延方向に沿う方向と45°の角度をなす方向、圧延方向に沿う方向と67.5°の角度をなす方向、及び圧延方向に沿う方向と垂直な方向(90°)の5方向のB50を測定した平均値である。
また、全周平均の鉄損は、全周平均の磁束密度B50を測定した方向と同じ方向を測定したときの平均値であり、最大磁束密度1.0T、周波数400Hzの条件下での鉄損(W10/400)として測定する。
なお、磁束密度の面内異方性のB50maxは、上記の5方向のB50を測定した値(圧延方向に対して、0°、22.5°、45°、67.5℃、及び90°の5方向のB50値)のうち、最も磁束密度の高い値を表す。また、B50minは、上記の5方向のうち、最も磁束密度の低い値を表す。
はSAR後の磁束密度を、BはSAR前の磁束密度を、それぞれ表す。
本実施形態の無方向性電磁鋼板に該当する発明例は、本実施形態の無方向性電磁鋼板の範囲外である比較例に比べ、全周平均の磁束密度B50、磁束密度B50と飽和磁束密度Bsとの比(B50/Bs)、磁束密度の面内異方性(B50max−B50min/Bs)、鉄損(W10/400)、および歪取り焼鈍(SRA)による磁束密度変化が良好な結果を示すことがわかる。
したがって、これら発明例の鋼板を使用したモータコアは、比較例の鋼板を使用したコアより良好なモータ効率を示す。
11、31 打ち抜き部材、21、33 積層体、13 切欠き、35 ティース部、37 ヨーク部、100、300 モータコア

Claims (9)

  1. 質量%で、
    C:0.0030%以下、
    Si:0.0%〜3.5%、
    Al:1.0%〜3.5%、
    Mn:0.0%〜3.0%、
    S:0.0030%以下、並びに
    残部:Feおよび不純物を含有する化学組成を有し、
    Al/Siの質量比が0.5以上であり、
    板厚1/10〜板厚1/5の中間層における{223}<252>方位の集積度が6以下である無方向性電磁鋼板。
  2. 前記中間層における{100}方位の面内方位における集積度の最大値が11以上である請求項1の無方向性電磁鋼板。
  3. 前記中間層における{100}方位の面内方位における集積度の最大値(MI100)と、鋼板表面〜板厚1/10の表面層における{100}方位の面内方位における集積度の最大値(MS100)と、板厚1/5〜板厚1/2の中心層における{100}方位の面内方位における集積度の最大値(MC100)とが、
    MI100>MS100>MC100
    の関係を満たす請求項1または2に記載の無方向性電磁鋼板。
  4. 磁化力5000A/mで励磁した場合の全周方向平均の磁束密度B50と飽和磁束密度Bsとの比(B50/Bs)が0.885以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
  5. 圧延方向に対して、0°、22.5°、45°、67.5°、及び90°の5方向における磁束密度のうち、最も磁束密度が高いB50maxと、最も磁束密度が低いB50minとの差を、飽和磁束密度Bsで除した値が0.015以下[(B50max−B50min)/Bs≦0.015)]である請求項1〜4のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
  6. 熱処理を実施する前の鋼板の磁束密度をB、並びに加熱速度が100℃/hr、最高到達温度が800℃、及び800℃での保持時間が2時間の条件で熱処理を実施した後の鋼板の磁束密度をBとしたとき、前記Bと前記Bとの比が、B/B≧0.98の関係を満足する請求項1〜5のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板。
  7. 請求項1に記載の化学組成を有するスラブを熱間圧延する熱間圧延工程と、
    前記熱間圧延工程後の鋼板に冷間圧延する冷間圧延工程と、
    前記冷間圧延工程後の鋼板に仕上げ焼鈍する仕上げ焼鈍工程と
    を有し、下記(a)、(b)、および(c)のうちの少なくとも1つの条件を満足する請求項1〜6のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
    (a)熱間圧延工程:500℃〜800℃の温度域で仕上げ圧延を行う
    (b)冷間圧延工程:合計圧下率が90%以上となるように冷間圧延する
    (c)仕上げ焼鈍工程:冷間圧延工程後の鋼板に、室温(25℃)〜800℃の温度域 での平均加熱速度が80℃/sec以上となるように仕上げ焼鈍する
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板を積層したモータコア。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の無方向性電磁鋼板に、打ち抜き加工を施して打ち抜き部材を得る工程と、
    前記打ち抜き部材を積層する工程と、
    を有する、モータコアの製造方法。
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