JP2018145213A - 高吸水性高分子 - Google Patents

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Abstract

【課題】一定以上の機械的強度を有し、シート形成能を有する高吸水性高分子を提供する。【解決手段】ユーグレナ(ミドリムシ)由来の天然多糖(β−1,3グルカン)であるパラミロンに、水溶性を発現するサクシニル基と疎水性相互作用を発現する長鎖アシル基を同時に付与することで、シート形成能に優れた高吸水性高分子を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、パラミロン誘導体からなる高吸水性高分子、パラミロン誘導体を含有する水溶液、並びにパラミロン誘導体を含有するシート及びパラミロン誘導体の製造方法に関する。
パラミロンは、ユーグレナ(ミドリムシ)の細胞内に卵形のマイクロサイズの粒子として存在している多糖類であり、環境負荷の小さいバイオマス素材として注目を集めている。パラミロンは、β−1,3グルカンであり、グルコースがβ−1,3結合によって連結されていることにより、三重らせん構造を構築することができる。この構造によって、パラミロンは、セルロース、キチン、キトサン等のβ−1,4グルカンとは異なる独自の特性を示すことができる。本発明者は、これまでに、パラミロンに種々の化学修飾を施して、パラミロンの有用性を検討してきた。
一方、従来の多糖類系増粘剤および高吸水性高分子は、主として取り扱いの容易さから粒子あるいは粉末の形態で流通している。これらを吸水性シートとして用いる場合は、たとえば(1)2枚の通気性の膜に高吸水性樹脂を挟む形態、あるいは(2)不織布上に高吸水性樹脂の微粉末をバインダー(接着剤)で塗布したシートなどの形態で使用されている。一方、高吸水性高分子だけからなる吸水性シートは、特に創傷治療剤など医療分野での応用が期待されるが、一定以上の機械的強度を有し、シート形成能を有する高吸水性高分子の開発はこれまでほとんど試みられていない。
なお、多糖類ベースの高吸水性樹脂としては、(1)アルギン酸ナトリウムのような天然多糖類や、(2)セルロース等の天然多糖類から合成された水溶性の合成高分子が主として開発されてきた。
特開平11−12119号公報 特開平11−12131号公報
本発明は、一定以上の機械的強度を有し、シート形成能を有する高吸水性高分子を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究を進めた結果、ユーグレナ(ミドリムシ)由来の天然多糖(β-1,3-グルカン)であるパラミロンに、水溶性を発現するサクシニル基と、疎水性相互作用を発現する長鎖アシル基を同時に付与することで、シート形成能に優れた高吸水性高分子を創製できることを見出した。さらに、この高吸水性高分子は、水に分散させることにより高い増粘効果を発現することも併せて見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(10)に関する。
(1)以下の式(I)で表されるパラミロン誘導体。


(式中、mは300〜3000の整数を表し、Rは以下の式(II)で表される基、以下の式(III)で表される基、または水素原子を表す。ただし、式(II)で表される基および式(III)で表される基は、それぞれ1つ以上含まれる。)

(式中、nは1〜25の整数を表す。)


(式中、Mはアルカリ金属を表す。)
(2)式(II)で表される基による置換度が、グルコースユニット一つに対し、0.01〜1.5である、(1)に記載のパラミロン誘導体。
(3)式(III)で表される基による置換度が、グルコースユニット一つに対し、0.1〜2.0である、(1)または(2)に記載のパラミロン誘導体。
(4)mが500〜2800の整数である、(1)から(3)のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体。
(5)nが3〜21の整数である、(1)から(4)のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体。
(6)重量平均分子量が1.0×10〜1.0×10である、(1)から(5)のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体。
(7)(1)から(6)のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体を含有する水溶液。
(8)(1)から(6)のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体を含有するシート。
(9)吸水率がシートの重量に対し50〜1200重量%である、(8)に記載のシート。
(10)以下の式(IV)で表される化合物を無水コハク酸と反応させることを特徴とする、(1)から(6)のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体の製造方法。

(式中、m1は300〜3000の整数を表し、Rは前記式(II)で表される基、または水素原子を表す。ただし、式(II)で表される基は1つ以上含まれる。)
本発明によれば、パラミロンに水溶性を発現するサクシニル基と疎水性相互作用を発現する長鎖アシル基を同時に付与することで、シート形成能に優れた高吸水性高分子を提供することができる。
アシル化パラミロン・アシル化カードランの合成スキームを示す図である。 ミリスチン酸パラミロン(1a、1b)のFT−IRスペクトルをパラミロンのFT−IRスペクトルと共に示す図である。 無水コハク酸とアシル化パラミロンまたはアシル化カードランの反応を示す図である ミリスチン酸パラミロンサクシネート(3a)のFT−IRスペクトルを示す図である。 ミリスチン酸パラミロンサクシネート(3a)のH−NMRスペクトルを示す図である。 ミリスチン酸パラミロンサクシネート(3a)のサーモグラムを示す図である。 0.5重量%の多糖の水溶液の粘度を測定した結果を示す図である。 0.5重量%の多糖の水溶液の粘度を測定した結果を示す図である。 0.5重量%の多糖の水溶液の粘度を測定した結果を示す図である。 0.5重量%の多糖の水溶液の粘度を測定した結果を示す図である。 0.5重量%の多糖の水溶液の粘度を測定した結果を示す図である。 低DSlac(3a)と高DSlac(3b)の2種類のミリスチン酸パラミロンサクシネートを含有する水溶液の粘度を比較した図である。 低DSlac(3c)と高DSlac(3d)の2種類のパルミチン酸パラミロンサクシネートを含有する水溶液の粘度を比較した図である。 低DSlac(3e)と高DSlac(3f)の2種類のステアリン酸パラミロンサクシネートを含有する水溶液の粘度を比較した図である。 パラミロンサクシネート(4)を含有する水溶液の粘度を示す図である。 ステアリン酸パラミロンサクシネート(3f)水溶液の粘度の濃度依存性を示す図である。 ステアリン酸パラミロンサクシネート(3f)水溶液の粘度の温度依存性を示す図である。 ステアリン酸パラミロンサクシネート(3f)水溶液の粘度のNaCl濃度依存性を示す図である。 ステアリン酸カードランサクシネート(3g)を含有する高濃度の水溶液の粘度を示す図である。 ステアリン酸カードランサクシネート(3h)を含有する高濃度の水溶液の粘度を示す図である。 3つの異なる濃度のサクシノグリカン水溶液の粘度−剪断速度の関係を示す図である。 サクシニル化多糖(3a〜3h、4)を含有する水溶液を凍結乾燥し、走査型電子顕微鏡による観察を行った結果を示す図である。 アシル化パラミロンサクシネート(3a〜3f)、ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)、パラミロンサクシネート(4)、アルギン酸ナトリウムから作製された膜を示す図である。 パラミロンサクシネート(4)から作製された膜のサーモグラムを示す図である。 ミリスチン酸パラミロンサクシネート(3a、3b)から作製された膜の透明度を示す図である。 パルミチン酸パラミロンサクシネート(3c、3d)から作製された膜の透明度を示す図である。 ステアリン酸パラミロンサクシネート(3e、3f)から作製された膜の透明度を示す図である。 ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)から作製された膜の透明度を示す図である。 パラミロンサクシネート(4)から作製された膜の透明度を示す図である。 ミリスチン酸パラミロンサクシネート(3b)から作製された膜の水和前(a)、水和後(b)の状態を示す図である。 アシル化パラミロンサクシネート(3a〜3h)から作製された成型膜、パラミロンサクシネート(4)から作製された成型膜、およびアルギン酸ナトリウムの粉と、アルギン酸ナトリウムから作製された成型膜の吸水性を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。なお本願において、「パラミロン誘導体」は、パラミロン誘導体及びその塩を含む。
[パラミロン誘導体]
本願におけるパラミロン誘導体とは、以下の式(I)で表される物質のことをいう。


(式中、mは300〜3000の整数を表し、Rは以下の式(II)で表される基、以下の式(III)で表される基、または水素原子を表す。ただし、式(II)で表される基および式(III)で表される基は、それぞれ1つ以上含まれる。)

(式中、nは1〜25の整数を表す。)


(式中、Mはアルカリ金属を表す。)
上記式(I)において、式(II)で表される基による置換度(DSlac、グルコースユニット一つあたりに導入された式(II)で表される基の数)は、0.01〜1.5が好ましく、0.02〜1.0がより好ましく、0.03〜0.8がさらに好ましく、0.05〜0.6がよりさらに好ましく、0.1〜0.4が最も好ましい。式(II)で表される基による置換度(DSlac)を上記の範囲とすることで、アシル基どうしの疎水性相互作用を高め、水に溶解させることでより高粘性水溶液とすることが可能なパラミロン誘導体とすることができる。
上記式(I)において、式(III)で表される基による置換度(DSsuc、グルコースユニット一つあたりに導入された式(III)で表される基の数)は、0.1〜2.0が好ましく、0.2〜1.5がより好ましく、0.3〜1.2がさらに好ましく、0.4〜1.0がよりさらに好ましく、0.5〜0.9が最も好ましい。式(III)で表される基による置換度(DSsuc)を上記の範囲とすることで、パラミロン誘導体の水溶性をより高めることができる。なお、Mで表されるアルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Csが好ましく、Li、Na、Kがより好ましく、Li、Naがさらに好ましく、Liが最も好ましい。
上記式(I)において、mは300〜3000であり、好ましくは500〜2800であり、より好ましくは700〜2500であり、よりさらに好ましくは800〜2200であり、最も好ましくは1000〜2000である。なお、ユーグレナが合成及び蓄積するパラミロンは、通常1500〜2000個のグルコースがβ−1,3結合しているβ−1,3−グルカンである。
上記式(II)において、nは1〜25であり、好ましくは3〜21であり、より好ましくは5〜19であり、さらに好ましくは7〜17であり、よりさらに好ましくは9〜15であり、最も好ましくは11である。
上記式(I)で表されるパラミロン誘導体の重量平均分子量は、1.0×10〜1.0×10であることが好ましく、より好ましくは1.2×10〜9.0×10であり、さらに好ましくは1.5×10〜8.0×10であり、最も好ましくは2.0×10〜7.0×10である。
[パラミロン誘導体を含有する水溶液]
本願発明のパラミロン誘導体を含有する水溶液は、パラミロン誘導体を水に溶解することにより得ることができる。また、パラミロン誘導体が水に溶解しにくい場合には、実施例で後述するように、パラミロン誘導体をエタノールなどの溶媒に湿潤させ、これを水に溶解することにより、パラミロン誘導体を含有する水溶液を得ることが可能である。
[パラミロン誘導体を含有するシート]
本願発明のパラミロン誘導体を含有するシートは、実施例で後述するように、エタノールなどの溶媒に湿潤したパラミロン誘導体をデッシュなどの容器に入れ、溶媒を除去することにより調製することができる。デッシュとしては、テフロン(登録商標)デッシュを使用することが好ましい。
本願発明のパラミロン誘導体を含有するシートは、透明度が高く、機械的特性に優れ、高い吸水性を有するという特徴を有する。吸水率はパラミロン誘導体の種類にもよるが、本願発明のパラミロン誘導体を含有するシートの重量に対し、50重量%〜1200重量%であることが好ましく、100重量%〜1200重量%であることがより好ましく、200重量%〜1200重量%であることがさらに好ましく、300重量%〜1200重量%であることが最も好ましい。
[パラミロン誘導体の製造方法]
本願発明のパラミロン誘導体は、以下の式(IV)で表される化合物を無水コハク酸と反応させることにより製造することが好ましい。

(式中、m1は300〜3000の整数を表し、Rは前記式(II)で表される基、または水素原子を表す。ただし、式(II)で表される基は1つ以上含まれる。)
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の解釈が限定されるものではない。
H核磁気共鳴(H−NMR)スペクトルは、BRUKER社製、核磁気共鳴装置AVANCE 500 (500MHz)で測定した。フーリエ変換赤外分光(FT−IR)スペクトルは、日本分光株式会社製ZnSeプリズム ATR Pro400−Sを備えた、日本分光株式会社製フーリエ変換赤外分光光度計 FT/IR−480STで測定した。また、グルコースユニットに結合した平均値である、長鎖アシル基の置換度(DSlac)は、H−NMRスペクトルにおける長鎖アシル基のメチル基の水素原子の積分値をグルコースユニットの水素の積分値と比較することにより算出した。また、グルコースユニットに結合した平均値である、サクシニル基の置換度(DSsuc)は、中和滴定により算出した。
上記の方法は、以下の通りである。まず、約50mgのサクシニル化多糖を30mLのミリQ水に分散させ、均一な状態になるまでスターラーで攪拌した。次に、3.0mLの1.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え、さらに3時間攪拌した。指示薬として、フェノールフタレイン(1重量%エタノール溶液を2滴)を用い、0.10mol/L塩酸で滴定を行った。算出式は以下の通りである。
(1) 2x+y=1.0(mol/L)×3.0(mL)−0.10(mol/L)×a
(2) y=DSlac×z
(3) 102.09×x+MWlac×y+160.13×z+1.0×(3×z−(x+y))=b
ここで、x、y、zはそれぞれコハク酸、長鎖アシル基、サクシニル化多糖のグルコースユニットのモル数(mmol)であり、aは中和に必要であった0.10mol/L塩酸の体積(mL)である。bは試験に用いられたサクシニル化多糖の重量(mg)である。DSsucは、x/zより算出される。測定/算出は、3回繰り返して行った。
全ての試薬は購入可能であり、さらなる精製をすることなく使用した。Euglena gracillus EOD−1株(寄託番号:FERM BP−11530)より抽出されたパラミロンは、株式会社神鋼環境ソリューションより提供された。溶解パルプ(92%を超えるα−セルロース、NDPS)は、日本製紙株式会社より入手した。サクシノグリカンは、ソルベイ日華株式会社より入手した。カードランは、和光純薬工業株式会社より購入した。アルギン酸ナトリウム(15〜25cp、1重量%水溶液)は、アルドリッチ社より入手した。
〔アシル化パラミロンサクシネートの合成〕
[実施例1]
ミリスチン酸パラミロン(低DSlac)(1a)
0.75時間、約116℃で調製したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc、150mL)と塩化リチウム(LiCl、2.381g、56.18mmol)のパラミロン(3.017g、18.61mmol)均一溶液に、トリメチルアミン(NEt)(1.61mL、11.55mmol)と塩化ミリストイル(0.234g、0.95mmol)を含有する30mLのDMAcを室温で滴下した。この混合物を窒素雰囲気下で3時間、約109℃で加熱した。反応液をクロロホルム/メタノール(100mL/200mL)に注ぎ、白い固体を析出させた。続いて得られた固体をクロロホルム/メタノール(100mL/200mL)、つづいてメタノール(300mL)で15分間攪拌により洗浄した。遠心により白いゲル状の固体が得られた。一晩風乾し、続いて100℃で5時間真空乾燥し、固体のミリスチン酸パラミロン(3.303g、19.36mmol、103.5%)を得た。調製された産物をFT−IRにより確認した。
FT−IR(cm−1):3313,2882,1607,1363,1119,1043,1031,887
[実施例2]
ミリスチン酸パラミロン(高DSlac)(1b)
前記の(1a)に記載した工程と同様な工程により、パラミロン(3.000g、18.50mmol)と塩化ミリストイル(0.927g、3.76mmol)より産物(1b)(3.292g、17.32mmol)を93.1%の収率で得た。調製された産物をFT−IRにより確認した。
FT−IR(cm−1):3295,2918,1713,1605,1362,1111,1040,1032,887
[実施例3]
パルミチン酸パラミロン(低DSlac)(1c)
前記の(1a)に記載した工程と同様な工程により、パラミロン(3.022g、18.64mmol)と塩化パルミトイル(0.257g、0.94mmol)より産物(1c)(0.257g、0.94mmol)を103.1%の収率で得た。調製された産物をFT−IRにより確認した。
FT−IR(cm−1):3326,2881,1606,1362,1111,1042,1031,887
[実施例4]
パルミチン酸パラミロン(高DSlac)(1d)
前記の(1a)に記載した工程と同様な工程により、パラミロン(3.038g、18.73mmol)と塩化パルミトイル(1.013g、3.68mmol)より産物(1d)(3.356g、18.63mmol)を98.9%の収率で得た。調製された産物をFT−IRにより確認した。
FT−IR(cm−1):3334,2921,1608,1362,1156,1070,1033,889
[実施例5]
ステアリン酸パラミロン(低DSlac)(1e)
前記の(1a)に記載した工程と同様な工程により、パラミロン(3.020g、18.63mmol)と塩化ステアロイル(0.286g、0.94mmol)より産物(1e)(3.204g、19.07mmol)を101.8%の収率で得た。調製された産物をFT−IRにより確認した。
FT−IR(cm−1):3334,2919,1607,1361,1159,1044,1032,886
[実施例6]
ステアリン酸パラミロン(高DSlac)(1f)
前記の(1a)に記載した工程と同様な工程により、パラミロン(3.012g、18.58mmol)と塩化ステアロイル(1.180g、3.94mmol)より産物(1f)(3.541g、19.35mmol)を103.6%の収率で得た。調製された産物をFT−IRにより確認した。
FT−IR(cm−1):3332,2917,1605,1363,1111,1038,883
[実施例7]
ステアリン酸カードラン(低DSlac)(1g)
前記の(1a)に記載した工程と同様な工程により、カードラン(2.996g、18.48mmol)と塩化ステアロイル(0.283g、0.93mmol)より産物(1g)(3.217g、18.35mmol)を98.8%の収率で得た。調製された産物をFT−IRにより確認した。
FT−IR(cm−1):3304,2917,1605,1363,1112,1042,1032,888
[実施例8]
ステアリン酸カードラン(高DSlac)(1h)
前記の(1a)に記載した工程と同様な工程により、カードラン(3.005g、18.78mmol)と塩化ステアロイル(1.126g、3.72mmol)より産物(1h)(3.211g、12.42mmol)を66.8%の収率で得た。調製された産物をFT−IRにより確認した。
FT−IR(cm−1):3334,2917,2849,1580,1578,1446,1402,1159,1041,1033,888
[実施例9]
ミリスチン酸パラミロンサクシネート(低DSlac)(3a)
1時間、約105℃で調製したDMAc(5mL)とLiCl(79mg、1.86mmol)のミリスチン酸パラミロン(1a)(92mg、0.54mmol)均一溶液に、0.15mLのNEt(1.08mmol)と無水コハク酸(105mg、1.05mmol)を含有する1.0mLのDMAcを室温で滴下した。この混合物を窒素雰囲気下で3時間、室温で攪拌した。反応液をエタノール(30mL)に注ぎ、白い固体を析出させた。遠心分離後、得られた固体をエタノール(40mL)で30分間攪拌により洗浄した(3回)。遠心により分離された固体をエタノール(50mL)に分散し、テフロン(登録商標)バット(70×100mm)に入れた。一晩風乾し、続いて60℃で6.5時間真空乾燥し、淡黄色の薄膜としてミリスチン酸パラミロンサクシネート(120mg、0.54mmol、収率101.4%)を得た。高収率であることは、産物に安定に含まれていた揮発性分子に起因する。調製された産物をH−NMRおよびFT−IRにより確認した。
H−NMR(DO):δ4.48−3.49(m),3.19(q),2.65(brs),2.55(brs),1.27(t),0.86(s)
FT−IR(cm−1):3423,2922,1718,1565,1403,1364,1154,1038
DSsuc:0.46±0.04
[実施例10]
ミリスチン酸パラミロンサクシネート(高DSlac)(3b)
前記の(3a)に記載した工程と同様な工程により、ミリスチン酸パラミロン(1b、102mg、0.53mmol)と無水コハク酸(107mg、1.06mmol)より産物(3b)(122mg、0.50mmol)を93.0%の収率で得た。調製された産物をH−NMRおよびFT−IRにより確認した。
H−NMR(DO):δ4.47−3.33(m),3.19(q),2.65(brs),2.55(brs),1.27(t),0.86(s)
FT−IR(cm−1):3410,2921,1724,1568,1405,1366,1155,1039
DSsuc:0.51±0.12
[実施例11]
パルミチン酸パラミロンサクシネート(低DSlac)(3c)
前記の(3a)に記載した工程と同様な工程により、パルミチン酸パラミロン(1c、93mg、0.48mmol)と無水コハク酸(108mg、1.08mmol)より産物(3c)(111mg、0.48mmol)を88.2%の収率で得た。調製された産物をH−NMRおよびFT−IRにより確認した。
H−NMR(DO):δ4.46−3.55(m),3.19(t),2.62(brs),2.51(brs),1.27(m),0.87(s)
FT−IR(cm−1):3380,2920,1723,1568,1405,1368,1156,1039
DSsuc:0.56±0.04
[実施例12]
パルミチン酸パラミロンサクシネート(高DSlac)(3d)
前記の(3a)に記載した工程と同様な工程により、パルミチン酸パラミロン(1d、100mg、0.55mmol)と無水コハク酸(110mg、1.10mmol)より産物(3d)(121mg、0.52mmol)を94.7%の収率で得た。調製された産物をH−NMRおよびFT−IRにより確認した。
H−NMR(DO):δ4.47−3.57(m),3.19(t),2.62(brs),2.51(brs),1.27(m),0.87(s)
FT−IR(cm−1):3414,2920,1723,1568,1405,1368,1156,1039
DSsuc:0.47±0.07
[実施例13]
ステアリン酸パラミロンサクシネート(低DSlac)(3e)
前記の(3a)に記載した工程と同様な工程により、ステアリン酸パラミロン(1e、95mg、0.56mmol)と無水コハク酸(109mg、1.09mmol)より産物(3e)(128mg、0.56mmol)を99.5%の収率で得た。調製された産物をH−NMRおよびFT−IRにより確認した。
H−NMR(DO):δ4.47−3.57(m),3.19(t),2.63(brs),2.52(brs),1.27(m),0.87(s)
FT−IR(cm−1):3412,2918,1720,1569,1403,1367,1154,1040
DSsuc:0.56±0.01
[実施例14]
ステアリン酸パラミロンサクシネート(高DSlac)(3f)
前記の(3a)に記載した工程と同様な工程により、ステアリン酸パラミロン(1f、103mg、0.56mmol)と無水コハク酸(108mg、1.07mmol)より産物(3f)(139mg、0.56mmol)を99.6%の収率で得た。調製された産物をH−NMRおよびFT−IRにより確認した。
H−NMR(DO):δ4.48−3.57(m),3.19(t),2.63(brs),2.52(brs),1.27(m),0.87(s)
FT−IR(cm−1):3412,2920,1725,1569,1405,1369,1155,1038
DSsuc:0.61±0.13
[実施例15]
ステアリン酸カードランサクシネート(低DSlac)(3g)
前記の(3a)に記載した工程と同様な工程により、ステアリン酸カードラン(1g、94mg、0.53mmol)と無水コハク酸(111mg、1.11mmol)より産物(3g)(99mg、0.38mmol)を71.8%の収率で得た。調製された産物をH−NMRおよびFT−IRにより確認した。
H−NMR(DO):δ4.47−3.57(m),3.19(t),2.63(brs),2.53(brs),1.27(m)
FT−IR(cm−1):3407,2916,1724,1569,1404,1364,1154,1041
DSsuc:0.77±0.05
[実施例16]
ステアリン酸カードランサクシネート(高DSlac)(3h)
前記の(3a)に記載した工程と同様な工程により、ステアリン酸カードラン(1h、104mg、0.40mmol)と無水コハク酸(108mg、1.08mmol)より産物(3h)(139mg、0.40mmol)を100.2%の収率で得た。調製された産物をH−NMRおよびFT−IRにより確認した。
H−NMR(DO):δ4.46−3.57(m),3.19(t),2.63(brs),2.55(brs),1.27(m),0.86(s)
FT−IR(cm−1):3395,2920,1719,1567,1401,1364,1154,1041
DSsuc:0.81±0.07
[実施例17]
パラミロンサクシネート(4)
1.5時間、約101℃で調製したDMAc(15mL)とLiCl(86mg、2.03mmol)のパラミロン(87mg、0.64mmol)均一溶液に、1.68mLのピリジン(20.86mmol)と無水コハク酸(107mg、1.069mmol)を室温で滴下した。この混合物を窒素雰囲気下で6.5時間、70℃で攪拌し、窒素雰囲気下で室温で放置した。水(30mL)を加えることにより固体を得た。続いてこの固体を水(15mL)とメタノール(5mL)により洗浄した。一晩風乾した後、60℃で6.5時間真空乾燥し、固体のパラミロンサクシネート(144mg、0.53mmol)を収率119.9%で固体として得た。調製された産物をH−NMRおよびFT−IRにより確認した。
H−NMR(DO):δ4.47−3.57(m),3.19(t),2.62(brs),2.52(brs),1.27(m)
FT−IR(cm−1):3408,2906,1718,1567,1403,1363,1155,1042
DSsuc:0.58±0.06
[熱重量分析]
固体中の揮発性分子の割合を評価するため、熱重量分析(TG)は、湿潤した多糖を一定時間風乾することにより得られた固体に対し、熱重量分析装置(株式会社リガク製、Thermo Plus Evo II TG8120)を用い、室温で行われた。成型された膜の熱重量分析も行われた。各サンプルを100mL/分の窒素気流下、10℃/分のスキャン速度で、25℃から500℃に加熱した。
[粘度測定]
凍結乾燥した固体(50mg)またはエタノールに浸潤した固体(約1.5g、乾燥重量で約150mg)をミリQ水(100mL)に分散させ、不均一な溶液を均一になるまで攪拌した。均一な溶液の粘度は、3種類のスピンドル(英弘精機株式会社製、SC4−14、SC4−21、SC4−34)を用い、様々な回転速度(0.3〜100rpm)で粘度測定計(英弘精機株式会社製、DV1M)により23℃で測定した。浸潤した固体を溶質に用いた場合、測定後に凍結乾燥した固体を秤量することにより、多糖の濃度を算出した。サクシノグリカン水溶液(0.5wt%、1.0wt%、1.5wt%)の粘度もまた、多糖サクシネートと同様に測定した。
[走査電子顕微鏡法]
多糖サクシネート(5mg)より得られた凍結乾燥した固体をミリQ水(5.0mL)の入ったフラスコに入れた。その混合物を均一になるまで攪拌した。その溶液を液体窒素で急速に凍結し、減圧下で乾燥し、綿状の固体を調製した。導電性カーボン両面テープを用いて、この固体を顕微鏡の金属ステージ上に固定した。2.5kVの加速電圧と走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JSM−6060)を用い、高度な真空下で顕微鏡観察を行った。
[多糖膜]
(溶液流延法による調製)
エタノール(1.0mL)に湿潤した多糖(約500mg)の固体の混合物を直径25mmの円形のテフロン(登録商標)デッシュに入れた。エタノールの除去後、デッシュに透明な円形の薄膜(直径約25mm)が調製された。後述する長方形の多糖膜(約65mm×約90mm)は、長方形のテフロン(登録商標)デッシュ(68mm×95mm)を用いて調製した。
(透過光の測定)
透過光の分光分析は、分光光度計(島津製作所製、UV−2500)を用い、溶液流延膜に対して行った。全てのスペクトルは、400cm−1から800cm−1の間で録した。
(機械的強度の測定)
機械的強度の測定は、万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、Tensilon RTG−1225)を用い、ミリスチン酸パラミロンサクシネート(3b)、ステアリン酸パラミロンサクシネート(3f)、パラミロンサクシネート(4)から調製された溶液流延膜に対して行われた。チャック間の初期距離を30mmに設定し、引っ張り速度を3mm/分とした。
(吸水試験)
成型膜の吸水性はティーバッグ法を用いて行った。簡単に述べると、約5mgの成型膜(一片5mmの正方形、厚さ約100μm)をティーバッグ(スバル社製、95mm×70mm×約5mm、複合繊維製(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル))に入れた。一定時間経過後、ティーバッグに残っている水を除き、フィルター紙と共に膨張した膜の入ったティーバッグを秤量した。
[アシル化パラミロンサクシネート]
長鎖のアシル基を付加すると、水溶性ポリマーの粘性を増強することが知られている。この増強は、一本鎖ポリマーの疎水性アルキル基の間の相互作用による接点の数の増加に起因する。本発明者は、このデザインの考え方は、パラミロンサクシネート由来の繊維にも有効であると考えた。本発明者の期待は、二点あった。一点目は、長鎖アシル基どうしの疎水性相互作用は、一本鎖ポリマーの会合を引き起こしてより粘性の高い繊維となることである。二点目は、多糖の繊維表面に結合した長鎖アシル基の間の会合は、強力な絡まりを引き起こして密な三次元の繊維ネットワークを形成することである。
合成スキームを図1に示す。まず、長鎖アシル基をパラミロンに導入した(reaction 1)。鎖長とDSlacの産物の特性に与える影響を調べるため、3種類の塩化アシル(塩化ミリストイル、塩化パルミトイル、塩化ステアロイル)と、0.05および0.2の2種類の供給比(塩化アシル/パラミロンのグルコースユニット)を反応に用いた。図2は、reaction 1の典型的な中間体として、ミリスチン酸パラミロン(1a、1b)のFT−IRスペクトルをパラミロンのFT−IRスペクトルと共に示している。これらのスペクトルは、他のエステルと同様であった。1bのスペクトルは、1714cm−1に新たな小さい吸収を示しており、これはカルボニル基の振動によるものである。1a(低DSlacミリスチン酸パラミロン)のスペクトルの1700cm−1近傍にある小さな吸収は、低い供給比に起因する。また、サクシネートの代わりにアセテートを有するアシル化パラミロンアセテートのH−NMRスペクトルから、低DSlac群(3a、3c、3d)のDSlac値は0.01〜0.04であり、高DSlac群(3b、3d、3f)のDSlac値は0.05〜0.13であった。
2段階目は、無水コハク酸とアシル化パラミロンの反応である(図3、(reaction 3))。図4は、ミリスチン酸パラミロンサクシネート(3a)のFT−IRスペクトルを典型的な例として示している。他のエステルのスペクトルも同様であった。3aのスペクトルは、1719cm−1および1565cm−1に新たな大きい吸収を示しており、これらはそれぞれ、エステルとカルボキシル基の陰イオンによるものである。よってこのスペクトルは、サクシニル基の導入に成功したことを示している。図5は、ミリスチン酸パラミロンサクシネート(3a)のH−NMRスペクトルを典型的な例として示している。2.5ppm近傍のシグナルは、サクシニル基の導入に成功したことを示している。ミリスチン酸パラミロンサクシネートの主鎖に起因するシグナルの強度はかなり抑制されているが、これは分子の動きが制限されているためであり、そのため側鎖と混入物のシグナルが高められているようであった。中和滴定試験は、アシル化パラミロンサクシネート(3a〜3f)のDSsuc値は約0.50であったことを示した。
本発明者は、ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)も合成した。カードランの重量平均分子量は11×10であり、パラミロンの約3倍である。ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)とステアリン酸パラミロンサクシネート(3e、3f)の比較により、重合度(DP)が様々な化学的、物理的特性に与える影響を調べることができることが期待される。本発明者は、粘性を高める手段として長鎖アシル基を導入することの重要性を調べるため、パラミロンサクシネート(4)も合成した。
明らかに、分子量は粘性のための重要な構造的要素である。よって、本発明者はアシル化パラミロンサクシネートの分子量を測定することを試みた。移動相として200mmol/L NaNOを用いた場合、極端に低い回収率(4.3%〜41.0%)しかなく、このことは用いたShodex SB805−HQカラムの充填剤に多糖が吸着したことを示していた。代わりに本発明者は、アシル化パラミロンサクシネート(3a〜3f)の分子量を、クロロホルムに可溶な、それぞれに対応するアシル化パラミロンアセテートの分子量を決定することにより評価しようとした。ストラテジーは以下の通りである。DPをアシル化パラミロンアセテートとステアリン酸カードランアセテートのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC−MALLS)の結果から決定した。次に、DSlac値、DSsuc値に基づいて計算した、アシル基やサクシニル基を含有するグルコースユニットの分子量にDPを掛け、サクシニル化の際に脱重合が起きないとの仮定の下に推定分子量を算出した。この計算方法を用い、本発明者はアシル化パラミロンサクシネート(3b、3f、3h)の重量平均分子量はそれぞれ2.3×10、3.4×10、6.6×10と計算した。対応するアシル化多糖アセテートの溶解性が低かったため、他の分子量は計算しなかった。
[エタノールに湿潤したアシル化パラミロンサクシネートの熱重量分析]
アシル化パラミロンサクシネートの増粘の挙動を追う初期の段階で、エタノールに湿潤したものを風乾して得られた固体は容易に水和するが、真空乾燥して得られた固体はほとんど水和しないことを、本発明者は肉眼で観察した。エタノールに湿潤した固体に含まれる揮発性化合物の量を調べるため、熱重量解析を行った。測定に先立ち、表面に吸着している揮発性分子を風乾により除いた。乾燥時間は1日間と15日間である。図6はミリスチン酸パラミロンサクシネート(3a)のサーモグラムを典型的な例として示している。他のエステルもサーモグラムは同様であった。1日間乾燥した固体は約200℃までは温度の上昇と共にゆっくり重量が減少したが、その後約320℃までは急速に減少した。最初の約15重量%の減少段階が含まれていたエタノール分子の除去によるものであるとすると、ミリスチン酸パラミロンサクシネートのグルコースユニットのエタノールに対するモル比は約1.0と計算される。水の除去によるものであるとすると、比は約2.0と計算される。1日間乾燥した固体と15日間乾燥した固体のサーモグラムが同様であることは、表面に吸着していた揮発性分子のほとんどが1日以内に除かれることを示しており、多糖の固体は揮発性分子を安定に収容できる空間を有しており、その存在が水和するのに必要であることを示唆している。
[多糖サクシネート水溶液の粘性]
(アシル化パラミロンサクシネート水溶液の粘度測定)
パラミロンサクシネートをアシル化することによりパラミロンをベースとした増粘剤を創出することにおける元々の興味は、どのような長さや数の長鎖アシル基が増粘性に影響するかということにあった。この問題を解明するため、鎖長とDSlacの異なる6種類のアシル化パラミロンサクシネート(3a〜3f)をそれぞれ含有する水溶液について、本発明者は粘度測定を行った。本発明者はまた、ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)やパラミロンサクシネート(4)をそれぞれ含有する水溶液について、粘度測定を行った。予備的な実験によると、0.5重量%の真空乾燥したミリスチン酸パラミロンサクシネート(3b)を水に分散すると、穏やかな攪拌でも均一になるが、1.5重量%含有するものは3日間攪拌しても不均一なままであることが明らかになった。これらの結果に基づき、本発明者はまず、0.5重量%の多糖の水溶液の粘度を測定した(図7〜11)。これらの結果から本発明者が言えることは、ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)が他のものよりも粘度が高いことを示したことのみである。これはSEC−MALLS測定で示唆されたカードラン誘導体の分子量が対応するパラミロン誘導体の約3倍であったことを考慮すると合理的である。パラミロンサクシネート誘導体(3a〜3f、4)の中では粘度に明らかな相違は無かった。この結果は、0.5重量%の濃度で水溶液に分散しても、これらの誘導体の繊維の絡み合いは高い粘度を達成するのに十分ではなかったことを示唆している。
繊維が密に絡み合うようなより高い濃度での環境下における粘度を調べるため、本発明者は、溶質としてエタノールに湿潤した多糖の固体を用いた。低DSlac(3a)と高DSlac(3b)の2種類のミリスチン酸パラミロンサクシネートの粘度の比較から、測定した全ての範囲において後者は前者より高い粘度を示し、剪断速度が小さくなるにつれて粘度におけるその相違は有意に広がることが明らかになった(図12)。すなわち、3bは擬塑性(pseudoplastic)を示し、この特性は3aでは明確には確認できなかった。同様な関係がパルミチン酸パラミロンサクシネート(図13)や、ステアリン酸パラミロンサクシネート(図14)でも観察された。本発明者は、1.69重量%のパラミロンサクシネート(4)を含有する水溶液の粘度についても、対照実験として測定した(図15)。粘度はおよそ130cP〜180cPであり、低DSlacのアシル化パラミロンサクシネート(3a、3c、3e)と同等であった。よってこれらの結果は、長鎖アシル基が粘度の大幅な上昇に寄与していることを示していた。粘度の上昇の原動力は、長鎖アシル基間の疎水性相互作用に起因するものと思われる。低濃度水溶液と高濃度水溶液の粘度の比較は、疎水性相互作用は0.5重量%を超えたところで発揮されることが示唆された。剪断速度が5(1/s)未満の低い範囲で粘度が大幅に上昇するという事実から、剪断速度が低いほど、長鎖アシル基間の疎水性相互作用が強いことが示唆された。高いDSlacのアシル化パラミロンサクシネート(3b、3d、3f)の粘度のさらなる比較から、アシル鎖が長いほど、水溶液の粘度が高くなることが示された(図12(b)、図13(b)、図14(b))。剪断速度が0cP近傍で、アシル化パラミロンサクシネート(3f)の粘度が、短いアシル鎖を有する構造が似通ったアシル化パラミロンサクシネート(3b、3d)の粘度よりも2桁も高かったこと、すなわち、アシル鎖の長さが長いほど、擬塑性が強くなることは注目に値する。
(溶質濃度、温度、塩濃度が高DSlacのステアリン酸パラミロンサクシネートを含有する水溶液の粘度に与える効果)
ポリマー濃度、溶液温度、塩化ナトリウム(NaCl)濃度が多糖水溶液の粘度に与える効果について、本発明者は調べた。この調査では、本発明者は溶質としてステアリン酸パラミロンサクシネート(3f)を用いた。図16は、ステアリン酸パラミロンサクシネート(3f)水溶液の粘度の濃度依存性(0.40重量%〜0.72重量%)を示している。△が0.40重量%、■が0.60重量%、□が0.72重量%の場合である。これらの結果は、1.55重量%の3fを含有する水溶液から得られた粘度と剪断速度の結果(図14(f))と併せ、濃度が高いほど、粘度が高いことを示していたが、これは高い濃度においてはステアリン酸パラミロンサクシネートのポリマーの絡み合いが劇的に増加するからである。
図17は、ステアリン酸パラミロンサクシネート(3f)水溶液の粘度の温度依存性(23℃〜60℃)を示している。明らかに、粘度の温度依存性は濃度依存性よりも著しく低かった。この結果は、ポリマー鎖間の会合度は温度よりも濃度に影響されることを示唆している。また、3fを含有する水溶液は、温度に関係のない非ニュートン性流体であったことは明らかである。
図18は、ステアリン酸パラミロンサクシネート(3f)水溶液の粘度のNaCl濃度依存性を示している。明らかに、NaCl濃度が高くなるにつれて粘度は低下している。なお、●は0.5wt%のNaClが添加されている場合、△は1.0wt%のNaClが添加されている場合である。この理由として、NaClの添加により多糖の体積が小さくなり、カルボキシル基のアニオン間の静電反発力が低下し、多糖のアルキル部分の凝集が既に飽和し、NaClによる静電反発力の低下のため、多糖の主鎖の凝集のみが起きていることが考えられる。
(構造的に類似するサクシニル化多糖水溶液の粘度の比較)
本発明者は、ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)を含有する高濃度の水溶液の粘度を測定した。測定結果を図19、図20に示す。ステアリン酸カードランサクシネートを含有する水溶液の粘度と、対応するパラミロン誘導体を含有する水溶液の粘度との比較は、高いDSlac値を有する多糖(3f、3h)は共に、同様の粘度−剪断速度の関係(図14(f)、図20)を示したが、低いDSlac値を有するパラミロン誘導体(3e)は、対応するカードラン誘導体(3g)よりもかなり低い粘度を示した(図14(e)、図19)。この相反する結果は、あるDSlac値よりも高い置換度の長鎖アシル基に起因する架橋が、短いポリマー鎖に起因する少ない絡み合いを補い、粘度の増加に寄与することを示唆している。
本発明者は、商業的に入手可能なサクシノグリカンの水溶液の粘度測定も行った。サクシノグリカンは、8つの糖からなる繰り返し構造中に、コハク酸残基ひとつに加え、ピルビン酸残基ひとつを有しており、そのカルボキシル基の置換度は0.25である。構造上の重要な相違は、パラミロンサクシネートはブドウ糖側鎖を有していないのに対し、サクシノグリカンはブドウ糖側鎖を有している点にある。図21は、3つの異なる濃度(▲:0.5重量%、○:1.0重量%、□:1.5重量%)のサクシノグリカン水溶液の粘度−剪断速度の関係を示している。明らかに、ステアリン酸パラミロンサクシネート(3f)と同様、濃度の上昇と共に粘度が上昇しており(図14(f)、図16)、粘度の桁数も3fと同等である。これらの結果は、パラミロンサクシネートがサクシノグリカンと同様の粘度を有していることを示唆している。
(凍結乾燥したアシル化パラミロンサクシネートの走査型電子顕微鏡による観察)
以前の実験結果(Carbohydrate Polymers, 98 (2013) p95 101)では、パラミロンサクシネートを含有する水溶液の粘度は、ナノファイバーの絡み合いに起因するものであり、本発明者は、本願において調製された多糖溶液の高い粘度も、ナノファイバーの構造に起因するものであると考えた。この推測を確認するため、本発明者はサクシニル化多糖(3a〜3h、4)を含有する水溶液を凍結乾燥し、走査型電子顕微鏡による観察を行った。図22(スケールバーの幅は、全て5μmである)に示す通り、凍結乾燥した全ての固体は、約100nm〜1000nmの範囲の直径の繊維状構造を有しており、そのサイズの相違は、凍結速度に起因していた。サクシニル化多糖を含有する水溶液の高い粘度が繊維の絡み合いに起因するという考えは、繊維状構造により確認された。
[多糖膜]
(多糖膜の調製)
アシル化パラミロンサクシネート(3a〜3f)から作製された膜の特徴は、透明度や平面度が高いというものであった(図23(a)〜(f))。反対に、ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)から作製された膜は、ねじれており、不透明であった(図23(g)、(h))。図23(i)に示される、パラミロンサクシネート(4)から作製された膜は、アシル化パラミロンサクシネートから作製された膜と同様、透明度や平面度が高かった。成型された膜の熱重量分析の結果は、エタノールに湿潤した固体と同様のサーモグラムを示しており(図24)、約200℃までは温度の上昇と共に固体重量は徐々に減少し、その後約320℃までは急速に減少した。これらの結果は、成型膜は揮発性化合物を安定して含有していたことを示している。図25〜29に示される通り、アシル化パラミロンサクシネート(3a〜3f)から作製された膜と、パラミロンサクシネート(4)から作製された膜は、可視光領域で80%程度の透明度を有していた((a)〜(f)、(i))。これに対し、ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)から作製された膜の透明度は低かった((g)、(h))。カードランベースの膜の奇妙な形は、恐らくステアリン酸カードランサクシネートの高い重合度に起因している。すなわち、膜が肉眼で確認できる程度の大きさの粒子状形態を有する多糖の凝集体を含む不透明な分散液から作製されていることを考慮すると、膜の製造工程がポリマー鎖の再構築を有しており、この再構築が過剰なエタノールの除去の終了前までに完了しなければならないことは明らかである。もしそうであるのなら、ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)は、ステアリン酸パラミロンサクシネート(3e、3f)よりも再構成に長い時間を必要とし、その高い分子量のため、カードラン誘導体の再構成には蒸発時間が短すぎたものと思われる。本発明者は、この時間不足が膜の奇妙な形に起因したものと考えている。他に可能性のある理由として、ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)が、他の誘導体よりも高いDSsuc値を有していることが挙げられる。手短に述べると、3g、3hの多量なサクシニル基が、多糖繊維の強力な絡み合いを引き起こしたが、これは過剰のエタノールの完全な除去の前の平坦なシートへの再構成には好ましくなかったものと思われる。詳細なメカニズムについてはまだ不明である。
(アシル化パラミロンサクシネートの機械的強度の測定)
エタノールに湿潤した固体から調製された膜は、機械的に強固なようであった。その機械的強度を測定するため、本発明者は膜に対し、引張試験を行った。鎖長が膜の機械的強度にどのように影響するか解明できるかも知れないとの期待から、検体は、ミリスチン酸パラミロンサクシネート(3b)から作製された膜、ステアリン酸パラミロンサクシネート(3f)から作製された膜、パラミロンサクシネート(4)から作製された膜とした。表1は、これらの膜の機械的強度を示している。明らかに、これらの膜の機械的強度に大きな相違はなく、このことは長鎖アシル基の導入は、粘度への効果ほど、膜の機械的強度には影響はないことを示している。膜の状態ではポリマーの動きは制限されているため、長鎖アシル基は最大の疎水性相互作用を達成するための位置をとることができず、膜の機械的強度に大きな差は出なかったのではないかと本発明者は考えている。
(多糖膜の吸水特性)
前述した通り、アシル化パラミロンサクシネートは、増粘性とシート形成能という特徴を有している。これらの特徴を組み合わせることにより、多糖誘導体にさらなる特徴を付与できるものと本発明者は考えた。本願に記載された増粘性は、繊維状ネットワーク中に水分子を含有することに本質的に起因する。よって本発明者は、膜がその形を維持したまま水を吸収するか(吸水能)を調べた。図30に示す通り、アシル化パラミロンサクシネート(3b)から作製された膜(a)は、水和後(b)も正方形の形を維持したまま、膨張した。定量的な評価を図31に示す。なお同様な水和現象は他のアシル化パラミロンサクシネートでも観察された。これらの膜は、その重量の300〜1000倍もの水を吸収した。この実験条件では化学構造と吸水性に明らかな相関は見られなかったが、パラミロンサクシネート(4)と他の(3a)〜(3h)とを比較すると、長鎖アシル基が吸水性を増加させていた。ステアリン酸カードランサクシネート(3g、3h)の高い吸水性は、膜構造の崩壊により引き起こされた表面積の増大に起因しているようであった。同じ方法を用い、天然に存在する典型的な吸水ポリマーであるアルギン酸ナトリウムの粉と、アルギン酸ナトリウムから作製された成型膜の吸水性についても、本発明者は調べた。本発明者は、この膜はパラミロンベースの膜よりも柔軟性が低く、壊れやすいことを見出した(図23(j))。アルギン酸ナトリウムの粉とその膜の吸水性の時間依存度の結果は、両者ともパラミロンベースの膜よりも吸水性が低いことを示していた(図31)。これらの結果は次の二点を示唆している。一点目は、アシル化パラミロンサクシネートは、アルギン酸ナトリウムよりも高い吸水性を示すことである。二点目は、アルギン酸ナトリウムの膜形状は、吸水性を示すのには、パラミロン誘導体よりも適してはいないということである。
本願において、サクシニル基と長鎖アシル基を有する一連のパラミロンベースの両親媒性ポリマーを増粘剤として本発明者は開発した。粘度測定は、長鎖アシル基の導入が水溶液の粘度の増加に貢献することを明らかにした。サクシニル基が水溶液の分散状態を作り出すのに貢献する負電荷を有していることを考慮すると、本願における実験結果は、長鎖アシル基が疎水性相互作用により増粘性を発揮していることを示唆している。走査型電子顕微鏡による観察で示された、凍結乾燥された試料におけるナノサイズの繊維状構造は、アシル化や、サクシニル化といった化学的修飾の後においても、パラミロンに固有のナノファイバー構造形成能を維持していることを示している。パラミロンサクシネートのさらなる特徴は、膜形成能である。成型法により調製された膜は、高い透明度、通常のハンドリングに十分な機械的強度、そして優れた水和性・膨潤性を有しているため、医療分野への応用が期待される。

Claims (10)

  1. 以下の式(I)で表されるパラミロン誘導体。


    (式中、mは300〜3000の整数を表し、Rは以下の式(II)で表される基、以下の式(III)で表される基、または水素原子を表す。ただし、式(II)で表される基および式(III)で表される基は、それぞれ1つ以上含まれる。)

    (式中、nは1〜25の整数を表す。)


    (式中、Mはアルカリ金属を表す。)
  2. 式(II)で表される基による置換度が、グルコースユニット一つに対し、0.01〜1.5である、請求項1に記載のパラミロン誘導体。
  3. 式(III)で表される基による置換度が、グルコースユニット一つに対し、0.1〜2.0である、請求項1または2に記載のパラミロン誘導体。
  4. mが500〜2800の整数である、請求項1から3のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体。
  5. nが3〜21の整数である、請求項1から4のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体。
  6. 重量平均分子量が1.0×10〜1.0×10である、請求項1から5のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体を含有する水溶液。
  8. 請求項1から6のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体を含有するシート。
  9. 吸水率がシートの重量に対し50〜1200重量%である、請求項8に記載のシート。
  10. 以下の式(IV)で表される化合物を無水コハク酸と反応させることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のパラミロン誘導体の製造方法。

    (式中、m1は300〜3000の整数を表し、Rは前記式(II)で表される基、または水素原子を表す。ただし、式(II)で表される基は1つ以上含まれる。)
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