JP2018144292A - 積層シート - Google Patents
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Abstract
Description
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、表面に凹凸形状を有する微細繊維状セルロース含有シートであって、引張耐性と流路機能性を兼ね備えた微細繊維状セルロース含有シートを提供することを目的として検討を進めた。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[2] 間欠部は、溝部であり、溝部の構成面の一部に、繊維層の露出面を含む[1]に記載の積層シート。
[3] 溝部の最大幅は1μm以上10mm以下である[2]に記載の積層シート。
[4] 溝部の最大幅をWとし、溝部の深さをTとした場合、W/Tで表される値が0.1以上1000以下である[2]又は[3]に記載の積層シート。
[5] 溝部は、流体を流すための流路である[2]〜[4]のいずれかに記載の積層シート。
[6] 第1樹脂層は、疎水性樹脂を含む[1]〜[5]のいずれかに記載の積層シート。
[7] 繊維層の一方の面上であって、第1樹脂層が設けられた面とは反対側の面上に、第2樹脂層をさらに有する[1]〜[6]のいずれかに記載の積層シート。
[8] 引張強度が65MPa以上である[1]〜[7]のいずれかに記載の積層シート。
本発明は、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む繊維層と、繊維層の少なくとも一方の面上に第1樹脂層と、を備える積層シートに関する。本発明の積層シートにおいて第1樹脂層は、一部に間欠部を有している。
繊維層は、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む層である。なお、本明細書においては、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを、微細繊維状セルロースとも言う。
微細繊維状セルロースを得るための繊維状セルロース原料としては特に限定されないが、入手しやすく安価である点から、パルプを用いることが好ましい。パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中で、入手のしやすさという点で、セルロースを含む木材パルプ、脱墨パルプが好ましい。木材パルプの中でも化学パルプはセルロース比率が大きいため、繊維微細化(解繊)時の微細繊維状セルロースの収率が高く、またパルプ中のセルロースの分解が小さく、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる点で好ましい。中でもクラフトパルプ、サルファイトパルプが最も好ましく選択される。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。この場合、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種(以下、「リン酸化試薬」又は「化合物A」という)を反応させることにより行うことができる。このようなリン酸化試薬は、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に粉末や水溶液の状態で混合してもよい。また別の例としては、繊維原料のスラリーにリン酸化試薬の粉末や水溶液を添加してもよい。
リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸のリチウム塩、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩などが挙げられるが、特に限定されない。リン酸のリチウム塩としては、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、またはポリリン酸リチウムなどが挙げられる。リン酸のナトリウム塩としてはリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、またはポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。リン酸のカリウム塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、またはポリリン酸カリウムなどが挙げられる。リン酸のアンモニウム塩としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
本発明においては、微細繊維状セルロースがカルボキシル基を有するものである場合、たとえば繊維原料にTEMPO酸化処理などの酸化処理を施すことや、カルボン酸由来の基を有する化合物、その誘導体、またはその酸無水物もしくはその誘導体によって処理することで、カルボキシル基を導入することができる。
カルボキシル基の繊維原料への導入量は、伝導度滴定法により測定することができる。伝導度滴定では、アルカリを加えていくと、図5に示した曲線を与える。図5に示した曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して、置換基導入量(mmol/g)とする。
微細繊維状セルロースを製造する場合、リン酸基導入工程やカルボキシル基導入工程といったイオン性置換基導入工程と、後述する解繊処理工程との間にアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、イオン性置換基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されないが、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。アルカリ溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよい。溶媒は、極性溶媒(水、またはアルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が特に好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液への浸漬時間は特に限定されないが、5分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は特に限定されないが、イオン性置換基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
イオン性置換基導入繊維は、解繊処理工程で解繊処理される。解繊処理工程では、通常、解繊処理装置を用いて、繊維を解繊処理して、微細繊維状セルロース含有スラリーを得るが、処理装置、処理方法は、特に限定されない。
解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミルなどを使用できる。あるいは、解繊処理装置としては、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできる。解繊処理装置は、上記に限定されるものではない。好ましい解繊処理方法としては、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミの心配が少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーが挙げられる。
本発明の積層シートは、上述した繊維層の少なくとも一方の面上に第1樹脂層を備え、第1樹脂層は、間欠部を有する。
本発明の積層シートは、繊維層の一方の面上であって、第1樹脂層が設けられた面とは反対側の面上に、第2樹脂層をさらに有していてもよい。図6は、繊維層12の一方の面上に第2樹脂層16が積層された積層シート10の構成を説明する断面図である。第2樹脂層16は、繊維層12の一方の面上であって、第1樹脂層14が設けられた面とは反対側の面上に積層している。繊維層12上に、図6に示したような第2樹脂層16を設けることにより、積層シートの引張耐性をより効果的に高めることができる。
本発明の積層シートの製造方法は、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程と、繊維層の少なくとも一方の面上に、間欠部を有する第1樹脂層を形成する工程と、を含む。
繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程は、微細繊維状セルロース含有スラリーを基材上に塗工する工程又は、微細繊維状セルロース含有スラリーを抄紙する工程を含む。中でも、微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程は微細繊維状セルロース含有スラリーを基材上に塗工する工程を含むことが好ましい。
塗工工程は、微細繊維状セルロース含有スラリーを基材上に塗工し、これを乾燥して形成された微細繊維状セルロース含有シートを基材から剥離することにより、シート(繊維層)を得る工程である。塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。塗工するスラリーの濃度は特に限定されないが、0.05質量%以上5質量%以下が好ましい。
微細繊維状セルロースを含む繊維層を得る工程は、微細繊維状セルロース含有スラリーを抄紙する工程を含んでもよい。抄紙工程で抄紙機としては、長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、これらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等公知の抄紙を行ってもよい。
第1樹脂層を形成する工程では、上述した方法で得られた繊維層の少なくとも一方の面上に、第1の樹脂組成物を塗工する工程と、第1の樹脂組成物を硬化する工程と、間欠部を形成する工程と、を含む。なお、間欠部を形成する工程は溝部を形成する工程であることが好ましい。
光ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、ベンゾフェノン、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドを挙げることができる。
光カチオン重合開始剤とは、紫外線や電子線などの放射線の照射によりカチオン重合を開始させる化合物であり、例えば、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族アンモニウム塩等を挙げることができる。
第1樹脂層中における重合開始剤の含有量は、第1樹脂層の全質量に対して、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
また、第1樹脂層中におけるイソシアネート化合物の含有量は、第1樹脂層の全質量に対して、3質量%以上50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
本発明の積層シートが、第2の樹脂層を有する場合、積層シート製造方法は、さらに第2樹脂層を形成する工程を含む。この場合、第2樹脂層を形成する工程は、間欠部を形成する工程の前に設けられてもよく、間欠部を形成する工程の後に設けられてもよい。第2樹脂層を形成する工程は、繊維層の一方の面上であって、第1樹脂層が設けられた面とは反対側の面上に第2の樹脂組成物を塗工する工程と、第2の樹脂組成物を硬化する工程と、を含む。第2の樹脂組成物を塗工する工程において使用できる塗工機としては、上述した塗工機を挙げることができる。
第2樹脂層中における重合開始剤の含有量は、第2樹脂層の全質量に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
また、第2樹脂層中におけるイソシアネート化合物の含有量は、第2樹脂層の全質量に対して、20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
本発明の積層シートは、例えば、分析測定用シートとして用いることができる。具体的には、本発明の積層シートの間欠部に流体等を滴下して、流体の物性や含有物の種類、含有物の量などを分析することができる。この場合は、間欠部の内壁には、各測定に適した試薬等を接合させておいてもよい。中でも、本発明の積層シートは、バイオセンサーとして用いることが好ましい。この場合、例えば、間欠部の内壁に各測定に適した抗体等を接合させておき、血液等の生体液状試料を間欠部に滴下することで生体液状試料中に含まれる物質の特定や物質の定量を行うことができる。
<リン酸基導入セルロース繊維の作製>
針葉樹クラフトパルプとして、王子製紙製のパルプ(固形分93質量%、坪量208g/m2のシート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を原料として使用した。上記針葉樹クラフトパルプ100質量部(絶乾質量)を、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液に含浸させ、リン酸二水素アンモニウム49質量部、尿素130質量部となるように圧搾し、薬液含浸パルプを得た。得られた薬液含浸パルプを105℃の乾燥機で乾燥し、水分を蒸発させてプレ乾燥させた。その後、140℃に設定した送風乾燥機で10分間加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リン酸化パルプを得た。
得られた二回リン酸化セルロースの脱水シートにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、アルティマイザー)で245MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース分散液を得た。
置換基導入量は、繊維原料へのリン酸基の導入量であり、この値が大きいほど、多くのリン酸基が導入されている。置換基導入量は、対象となる微細繊維状セルロースをイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈した後、イオン交換樹脂による処理、アルカリを用いた滴定によって測定した。イオン交換樹脂による処理では、0.2質量%の繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離した。アルカリを用いた滴定では、イオン交換後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測した。すなわち、図4(リン酸基)に示した曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して、置換基導入量(mmol/g)とした。算出した結果、0.98mmol/gであった。
微細繊維状セルロースの繊維幅を下記の方法で測定した。
微細繊維状セルロース分散液の上澄み液を濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。乾燥後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。これにより、幅4nm程度の微細繊維状セルロースになっていることを確認した。
微細繊維状セルロース分散液に、ポリエチレングリコール(和光純薬社製、分子量400万)を微細繊維状セルロース100質量部に対し、20質量部になるように添加した。その後、固形分濃度が0.6質量%となるよう濃度調整を行った。シートの仕上がり坪量が68g/m2になるように分散液を計量して、市販のアクリル板に展開し、70℃の乾燥機で24時間乾燥した。なお、所定の坪量となるようアクリル板上には堰止用の板を配置した。以上の手順により、後に繊維層となるシート(A)得られ、その厚みは45μmであった。
ペンタエリスリトールテトラアクリレートを主成分とするアクリル樹脂(荒川化学工業社製、ビームセット710)100質量部、メチルエチルケトン100質量部、ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)5質量部を混合して第1の樹脂組成物を得た。次いで、第1の樹脂組成物を、シート(A)の一面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で5分間加熱してメチルエチルケトンを揮発させた。次いで、シート(A)の樹脂組成物(A)を塗布した面に、幅2000μmの線形の遮光パターンが面内に均等に10本形成された7cm角のフォトマスク(線形の各遮光パターンは、平行であり、フォトマスクの両端まで延在する)を静置した。UVコンベア装置(アイグラフィックス社製、ECS−4011GX)を用いて500mJ/cm2の紫外線を照射して、第1の樹脂組成物を硬化させて第1樹脂層を形成した。以上の手順により繊維層の上に第1樹脂層が積層された積層シート(B)が形成され、第1樹脂層の厚みは10μmであった。
積層シート(B)を、メチルエチルケトンで満たした金属容器内に浸漬させた。次いで金属容器を振とう装置(タイテック社製、PersonalLt−10F)上に置き、5分間の振とう洗浄処理を行った。この操作を、メチルエチルケトンを入れ替えて2回繰り返すことで、フォトマスクの遮光パターン部分に存在する第1の樹脂組成物を除去し、第1樹脂層に溝状の間欠部が形成された積層シート(C)を得た。なお、積層シート(C)の間欠部では、繊維層が露出していることを確認した。
アクリロイル基がグラフト重合したアクリル樹脂(大成ファインケミカル社製、アクリット8KX−012C:アクリル樹脂成分39.0質量%、1−プロパノール30.5質量%、酢酸ブチル30.5質量%)100質量部、ポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ社製、TPA−100)38質量部、ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)2質量部を混合して第2の樹脂組成物を得た。次いで第2の樹脂組成物を、繊維層の第1樹脂層が形成されていない面に、バーコーターにて塗布した後、100℃で1時間加熱して硬化させて第2樹脂層を形成した。以上の手順により第1樹脂層、繊維層、第2樹脂層が順に積層された積層シート(D)が形成され、第2樹脂層の厚みは10μmであった。なお、<第1樹脂層の積層>の工程においてフォトマスクを静置した部分(7cm角部分)を切り出し、積層シート(D)の評価用シートとした。
実施例1において、第2樹脂層の積層を行わなかった以外は実施例1と同様にし、第1樹脂層に溝状の間欠部が形成された積層シート及び評価用シートを得た。
実施例1において、間欠部の形成の際に用いたフォトマスクの代わりに、幅50μmの線形の遮光パターンが面内に均等に10本形成された7cm角のフォトマスク(線形の各遮光パターンは、平行であり、フォトマスクの両端まで延在する)を用いた以外は実施例1と同様にし、第1樹脂層に溝状の間欠部(溝部)が形成された積層シート及び評価用シートを得た。
実施例1の<第1樹脂層の積層>において用いたフォトマスクを使用せず、第1樹脂層全面を硬化させて積層シート(B)を得た。次いで、積層シート(B)の第1樹脂層の上に、幅5μm×長さ7cmの線形の空隙(欠損部)が面内に均等に10本形成された、ステンレス製のプラズマ加工用マスクを静置した。そして、積層シート(B)をプラズマエッチング装置(アルバック社製、NE−550X)のチャンバー内に静置し、プラズマエッチング処理を行った。その後、積層シート(B)のプラズマ加工用マスクを静置した部分(7cm角部分)を切り出し、評価用シートを得た。その他の操作は実施例1と同様にした。
実施例3の<第1樹脂層の積層>において、第1の樹脂組成物の組成を以下の様に変更した。具体的には、ポリビニルアルコール樹脂(クラレ社製、PVA105)20質量部、イオン交換水80質量部を混合して第1の樹脂組成物を得た。積層された第1樹脂層の厚みは10μmであった。上記以外は実施例3と同様にし、第1樹脂層に溝状の間欠部(溝部)が形成された積層シート及び評価用シートを得た。
実施例1において、シート(A)を使用せず、PETフィルム上にシリコンはく離層が形成された軽剥離セパレーター上に樹脂層を形成した。樹脂層の形成を4回繰り返し、厚み45μmの樹脂シートを形成した(この樹脂シートが後に第1樹脂層となる)。次いで、樹脂シート(第1樹脂層)の一方の面上に第2樹脂層を形成した。その後、樹脂シート(第1樹脂層)から軽剥離セパレーターを剥離し、樹脂シート(第1樹脂層)の他方の面側から実施例1と同様の手順で間欠部(溝部)の形成を行い、第1樹脂層に溝状の間欠部(溝部)が形成された積層シート及び評価用シートを得た。
比較例1の樹脂シート形成の際、第1の樹脂組成物の組成を以下の様に変更した。具体的には、ポリビニルアルコール樹脂(クラレ社製、PVA105)20質量部、イオン交換水80質量部を混合して第1の樹脂組成物を得た。得られた樹脂シートの厚みは45μmであった。上記以外は比較例1と同様にし、第1樹脂層に溝状の間欠部(溝部)が形成された積層シート及び評価用シートを得た。
実施例1の<シート化>において、微細繊維状セルロース分散液の代わりに、繊維状セルロース懸濁液を使用した。なお、上記繊維状セルロース懸濁液は以下のように製造した。針葉樹晒クラフトパルプ(水分50質量%、JIS P8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)700ml)に、イオン交換水を添加して、1.0質量%のパルプ懸濁液にした。このパルプ懸濁液を、ラボリファイナー機(相川鉄工社製)で、1万回転/分で5時間処理し、繊維状セルロース懸濁液を得た。この繊維状セルロース懸濁液が含有する繊維状セルロースの平均繊維幅は、3μmであった。また、シートの仕上がり坪量は45g/m2であり、得られたシートの厚みは45μmであった。上記以外は実施例1と同様にし、第1樹脂層に溝状の間欠部(溝部)が形成された積層シート及び評価用シートを得た。
実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた評価用シートを、以下の方法に従って測定した。
評価用シートの間欠部を光学顕微鏡で観察し、間欠部の最大幅を測定した。なお、間欠部の最大幅は、間欠部における任意の10点の最大幅を測定し、その平均値を間欠部の最大幅とした。
上記間欠部の最大幅を第1樹脂層の厚みで除し、間欠部のアスペクト比(W/T)とした。
実施例1〜5及び比較例1〜3で得られた評価用シートを、以下の方法に従って評価した。
イソプロピルアルコール95質量部、染料(東京化成工業社製、C.I.アシッドレッド52)5質量部を混合し、試験液を調製した。次いで、評価用シートの間欠部(溝部)の端部の一方に、マイクロピペットで試験液を50μL滴下した。さらに、評価用シートを20°傾け、1分後に評価用シートを観察し、下記の基準に従って評価を行った。
◎:溝部にのみ試験液が観察され、端部のもう一方に試験液が到達する。
○:溝部とその周辺にのみ試験液が観察され、端部のもう一方に試験液が到達する。
△:繊維層の裏面に試験液が観察されるが、端部のもう一方に試験液が到達する。
×:繊維層の裏面に試験液が観察され、端部のもう一方に試験液が到達しない。
評価用シートを、溝部の延在方向と評価用シートの長手方向が直交するよう15mm幅に裁断し、試験片とした。この試験片を用い、チャック間距離を50mmとした以外はJIS P 8113に準拠し、引張試験機(L&W社製、Tensile Tester CODE SE−064)を用いて、温度23℃、相対湿度50%における引張強さ(単位はN/m)を測定した。引張強さを試験片の厚み(間欠部(溝部)が存在しない領域で測定した厚み)で除し、引張強度(単位はMPa)とした。算出した引張強度を元に、下記の基準に従って評価を行った。
◎:引張強度が80MPa以上である。
○:引張強度が65MPa以上80MPa未満である。
△:引張強度が50MPa以上65MPa未満である。
×:引張強度が50MPa未満である。
なお、間欠部の流路としての機能については、第1樹脂層に親水性樹脂を使用した実施例5に対して、第1樹脂層に疎水性樹脂を使用した実施例1〜4でより優れた評価となった。また、引張耐性については、第2樹脂層を有さない実施例2に対して、第2樹脂層を有する実施例1及び3〜5でより優れた評価となった。
一方、繊維層を有さない比較例1及び2では、引張耐性が著しく劣る結果となった。また、微細繊維状セルロースを含まず、繊維状セルロースによって構成される繊維層を有する比較例3では、間欠部の流路としての機能が著しく劣る結果となった。
12 繊維層
14 第1樹脂層
16 第2樹脂層
20 間欠部
Claims (8)
- 繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを含む繊維層と、前記繊維層の少なくとも一方の面上に第1樹脂層と、を備え、
前記第1樹脂層は、一部に間欠部を有する積層シート。 - 前記間欠部は、溝部であり、
前記溝部の構成面の一部に、前記繊維層の露出面を含む請求項1に記載の積層シート。 - 前記溝部の最大幅は1μm以上10mm以下である請求項2に記載の積層シート。
- 前記溝部の最大幅をWとし、前記溝部の深さをTとした場合、W/Tで表される値が
0.1以上1000以下である請求項2又は3に記載の積層シート。 - 前記溝部は、流体を流すための流路である請求項2〜4のいずれか1項に記載の積層シート。
- 前記第1樹脂層は、疎水性樹脂を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層シート。
- 前記繊維層の一方の面上であって、前記第1樹脂層が設けられた面とは反対側の面上に、第2樹脂層をさらに有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層シート。
- 引張強度が65MPa以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層シート。
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