JP2018142652A - スピネルフェライトの製造方法、スピネルフェライトおよび積層構造体 - Google Patents

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【課題】従来に比べて、垂直磁気異方性の高いスピネルフェライトを作製すること。【解決手段】基層(K2)の結晶の格子定数をaとし、スピネルフェライト(K3)の結晶の格子定数をbとした場合に、b<a、且つ、0.0153<(a−b)/b≦0.0628を満たす基層(K2)の表面に、スピネル型結晶構造を有するスピネルフェライト(K3)をエピタキシャル成長させてスピネルフェライト(K3)を製造することを特徴とするスピネルフェライトの製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、スピネルフェライトの製造方法、スピネルフェライトおよび積層構造体に関する。
近年の情報処理技術の発展に伴い、磁気記録媒体の記録密度の向上が要求されている。これらの要求を満たす方式として、垂直磁気記録方式の磁気記録媒体が開発されている。このような磁気記録媒体の材料として、垂直磁気異方性の高いコバルトクロム白金(CoCrPt)や鉄白金(FePt)が研究、開発されている。しかしながら、これらの材料は、貴金属である白金(Pt)が含まれており、高価であるとともに、資源に限りがある。
白金(Pt)を含まない垂直磁気異方性の高い材料として、コバルトフェライト(CoFe:CFO)が知られている。コバルトフェライト(CoFe)の製法に関し、以下の非特許文献1〜3や特許文献1に記載の技術が知られている。
なお、CFOは、製造方法等で、厳密に化学量論組成的には、Co:Fe:Oが1:2:4からずれることもあり、本願明細書および特許請求の範囲では、Co:Fe:Oが(1−x):2:4(0<x<1)のものも、単に「コバルトフェライト」や「CFO」と表記し、これらの組成のものも含む意味で使用する。なお、後述する「MSO」や各種フェライトに関しても同様である。
非特許文献1によれば、MgO(001)上にエピタキシャル製膜されたコバルトフェライト(CoxFe3-xO4)膜は、垂直磁気異方性を示し、xが1の場合、その大きさは14.7[Merg/cm3]に達することがわかる。
非特許文献2によれば、CFO/MgO(001)薄膜における垂直磁気異方性は、基板との格子不整合(-0.48%)による磁気弾性効果で生じると理解されている。
非特許文献3によれば、MgAl2O4基板上にCFO膜を製膜すると3.6%の面内圧縮歪が導入され、その結果、-60[Merg/cm3]の一軸異方性(垂直困難軸)が現れ、その値は歪に対して線形に変形することがわかった。
また、特許文献1(特開2015−41392号公報)には、MgOの第2シード層(122)の表面に、Mg1+YTi2-Y4で構成された第1シード層(121)の単結晶膜または高配位膜を形成し、第1シード層(121)の表面にCoxFe3-x4を蒸着法またはスパッタリング法を使用して作製する技術が記載されている。なお、特許文献1によれば、第1シード層(121)の格子定数は、8.51[Å]である。
特開2015−41392号公報
T. Niizeki, et al., Appl. Phys. Lett., 103, 162407(2013). J. Inoue, et al., IEEE Trans. Mag., 49 3269(2013) 田結荘 他 第39回日本磁気学会学術講演会 08pB-14
(従来技術の問題点)
非特許文献1〜3、特許文献1に記載された従来の方法では、コバルトフェライトの垂直磁気異方性の向上には限界があり、これ以上向上させることは困難である問題がある。
本発明は、従来に比べて、垂直磁気異方性の高いスピネルフェライトを作製することを技術的課題とする。
本発明者は、研究の結果、一軸異方性の値は歪に対して線形であるため、この格子歪の範囲では誘起磁性異方性は現象論である磁気弾性効果によって定量的に説明できると考えた。そのため、3〜4%程度の引張歪みを導入することで、さらに大きな垂直磁気異方性の発現が期待できると考え、研究を行い本発明に至った。
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明のスピネルフェライトの製造方法は、
基層の結晶の格子定数をaとし、スピネルフェライトの結晶の格子定数をbとした場合に、b<a、且つ、0.0153<(a−b)/b≦0.0628を満たす基層の表面に、スピネル型結晶構造を有するスピネルフェライトをエピタキシャル成長させてスピネルフェライトを製造することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスピネルフェライトの製造方法において、
A、BをCo,Ni,Mn,Cu,Zn,Feのいずれかとし、0≦x<1とした場合に、化学式A1-xで表される前記スピネルフェライトを製造することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のスピネルフェライトの製造方法において、
スピネル型結晶構造を有する基層を使用することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のスピネルフェライトの製造方法において、
DをMg,Znのいずれかとした場合に、化学式(D,Sn)または(D,In)で表されるスピネル型結晶で構成された前記基層を使用することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のスピネルフェライトの製造方法において、
(001)に配向した酸化マグネシウムにより構成された基板層の表面に積層された前記基層を使用することを特徴とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項6に記載の発明のスピネルフェライトは、
基層の表面にエピタキシャル成長させて作成されるスピネル型結晶構造を有するスピネルフェライトであって、基層の結晶の格子定数をaとし、スピネルフェライトの結晶の格子定数をbとした場合に、
b<a、
且つ
0.0153<(a−b)/b≦0.0628、
であることを特徴とする。
前記技術的課題を解決するために、請求項7に記載の発明の積層構造体は、
基層と、基層の表面に積層され且つスピネル型結晶構造を有するスピネルフェライトとを有する積層構造体であって、
基層の結晶の格子定数をaとし、スピネルフェライトの結晶の格子定数をbとした場合に、
b<a、
且つ
0.0153<(a−b)/b≦0.0628、
であることを特徴とする。
請求項1,6,7に記載の発明によれば、従来に比べて、垂直磁気異方性の高いスピネルフェライトを作製することができる。
請求項2に記載の発明によれば、貴金属を含まないスピネルフェライトを提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、スピネルフェライトと同じ結晶構造を有する基層を使用することで、結晶構造の違いに起因する製造不良を回避できる。
請求項4に記載の発明によれば、化学式(D,Sn)または(D,In)(D:Mg,Zn)の基層を使用して、3〜4%程度の引張歪みを付与することができる。
請求項5に記載の発明によれば、(001)に配向した酸化マグネシウムにより構成された基板層に基層、スピネルフェライトを成長させることで、(001)に配向したスピネルフェライトを容易に得ることができる。
図1は本発明の実施例1の基層を作製する製造方法の説明図である。 図2は実施例1のスピネルフェライトを作製する方法の説明図である。 図3は実験例のRHEED像の図である。 図4は実験例の実験結果の説明図であり、横軸に磁場(H)を取り、縦軸に磁化(M)をとったグラフである。 図5は実験例の実験結果の説明図であり、横軸に位相(角度)をとり、縦軸にトルクを取ったグラフである。 図6はスピネル構造のフェライトの説明図である。 図7は歪みと異方性エネルギーの説明図であり、横軸に歪の量をとり、縦軸に相対的な異方性エネルギーを取ったグラフである。
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例である実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
図1は本発明の実施例1の基層を作製する製造方法の説明図である。
本発明の実施例1のスピネルフェライトの製造方法では、スピネルフェライトの層が形成される基層が、まず作成される。図1において、実施例1では、2元同時反応性RFスパッタリング法で、MgO(酸化マグネシウム)で構成された基板(基板層)K1の表面に、基層の一例として、Mg2SnO4(MSO)の緩衝層K2が作成される。なお、前述のように、Mg:Snが2:1に限定されない。いわば、4つのOに対してMgとSnの合計が3程度であれば擬スピネル構造となるため、MSOは、(Mg,Sn)3O4と表記することも可能である。
図1において、実施例1のスパッタリング装置1は、高周波によりプラズマを発生させてスパッタリングを行うことが可能なRFスパッタリング装置で構成されている。スパッタリング装置1は、チャンバ2内にステージ3が支持されている。ステージ3には、MgO(001)で構成された基板K1が支持されている。チャンバ2内には、ステージ3に対向する形で、磁石4が一対配置されている。各磁石4には、Mgで構成されたターゲット6と、Snで構成されたターゲット7が支持されている。また、前記ステージ3と各ターゲット6,7との間には、高周波電源8が接続されている。
また、スパッタリング装置1は、チャンバ2内に酸素を導入するための酸素タンク11を有する。酸素タンク11には、可変リークバルブ12を介してノズル13が接続されている。ノズル13は、チャンバ2の内部に配置されている。
実施例1のスパッタリング装置1では、酸素タンク11から酸素(O2)とアルゴン(Ar)を供給しながら高周波電源8で高周波電圧を印加される。したがって、高周波電圧でプラズマが発生し、ターゲット6,7がスパッタされる。なお、この時、プラズマは、磁石4の磁界でターゲット6,7近傍に集中させられ、効率的にスパッタされる。スパッタされたMgやSnは、酸素(O)と反応して、基板K1の表面に付着し、MSOの薄膜で構成された(001)に配向した緩衝層K2が形成される。実施例1では、MSO薄膜(緩衝層K2)を作製する際には、分圧(流量比)は、Ar:O2=3:1とした。
なお、MSO薄膜(緩衝層K2)の厚さは、任意に設定可能であるが、例えば、80[nm]程度とすることが可能である。
また、図1では、2つのターゲット6,7を使用する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、MgSnOxの化合物ターゲットを使用し、1つのターゲット材でMSOの緩衝層K2を作製することすることも可能である。
図2は実施例1のスピネルフェライトを作製する方法の説明図である。
図2において、緩衝層K2の表面にスピネルフェライトの一例としてのコバルトフェライトK3を作製する場合、図1と同様のスパッタリング装置21を使用して、反応性RFスパッタリング法で作成可能である。なお、図2に示すスパッタリング装置21では、磁石4およびターゲット22が1つとなっており、ターゲット22が、CoFeの合金で構成されている点が異なる。
したがって、図2に示すスパッタリング装置21により、MSOの緩衝層K2の表面に、(001)に配向したCFOの薄膜K3が作成される。実施例1では、CFO薄膜K3を作製する際には、分圧(流量比)は、Ar:O2=3:0.8とした。なお、MSO薄膜やCFO薄膜を作製する際に、Arなしで酸素のみを供給することでスパッタ製膜は可能であることは確認した。また、酸素とともに供給するガスとしてArを例示したが、これに限定されず、他の希ガス(He,Ne,Xe,Kr)を使用することも可能である。
前記構成を備えた実施例1の製造方法で作成されたスピネルフェライトの一例としてのコバルトフェライト(CFO)では、格子定数が8.38[Å]のコバルトフェライト(CFO)の薄膜K3は、格子定数が8.64[Å]のMSO薄膜K2の表面に形成される。したがって、MSOの緩衝層K2の結晶の格子定数をaとし、CFO層K3の結晶の格子定数をbとした場合に、格子不整合は、(a-b)/b=0.031、すなわち3.1%となる。また、a>bであるため、CFOは、MSOとの格子不整合により、3.1%引っ張られることとなる。すなわち、3%を超える引張歪みがCFOに導入されることとなる。よって、この3%を超える引張歪みにより、大きな垂直磁気異方性を有するコバルトフェライトが得られる。
(実験例)
次に、実施例1の構成を使用して効果を確認する実験をおこなった。
実験では、実施例1と同様にして、MSO、CFO薄膜を形成した。なお、CFO(001)の薄膜K3を作製する場合、基板温度500℃、酸素流量8[sccm]とした。試料評価として、反射高速電子線回折(RHEED:Reflection High Energy Electron Diffraction)とX線回折法を用いて、表面構造と結晶構造をそれぞれ評価した。さらに、磁気トルク測定と磁化測定を室温で行い磁気特性を評価した。
図3は実験例のRHEED像の図である。
図3において、緩衝層K2,CFO(001)層K3製膜後のRHEED像は、いずれもストリークパターンを示した。したがって、表面が平坦で且つ単結晶成長していることが確認された。
また、緩衝層K2の酸化物との格子不整合が大きいため、膜成長の早い段階でCFOの歪みが緩和していることが逆格子マップ測定(X線回折法)より分かった。
図4は実験例の実験結果の説明図であり、横軸に磁場(H)を取り、縦軸に磁化(M)をとったグラフである。Perp.およびIn-planeはそれぞれ膜面直方向、膜面内方向に磁場を印加した場合を示している。
図4において、CFOK3の膜厚が10nmである2層膜の磁化測定の結果、面直方向の測定において飽和磁化が460[emu/cm3]となり、バルクの値(425[emu/cm3])よりも高い値を示すことが確認された。なお、MSOとCFOの2層膜の場合、図4の結果において、MSOは磁気的には結果に直接影響を与えていない。
一方で、面内方向の測定に注目すると、70[kOe]を印加しても面直方向の測定の場合に比べ磁化が著しく小さく飽和していない(磁化がほとんど立たない)ことから、大きな垂直磁気異方性が発現していることがわかる。
図5は実験例の実験結果の説明図であり、横軸に位相(角度)をとり、縦軸にトルクを取ったグラフである。
図5において、磁気トルクの測定結果から、Ku eff(有効磁気異方性定数)は、20[Merg/cm3]を越える値であった。なお、実験結果を外挿して求めたKu effは24[Merg/cm3]に達し、この値は、公知のネオジム磁石に近い値となっている。
図6はスピネル構造のフェライトの説明図である。
図6において、スピネル構造のフェライトは、結晶をABとした場合に、原子Aを中心として4つの酸素(O)が配位する四面体配位と、原子Bを中心として6つの酸素(O)が配位する八面体配位とが複合された結晶構造となっている。なお、原子A,Bが共に、3d軌道の遷移金属(Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn等)で構成されたものは化学的安定性に優れている。そして、スピネル構造の結晶では、図6に示すように八面体配位に対して対角線上の回転軸を中心として、軸回りに120°、すなわち、360°/3回転させると自らと重なる3回対称性を有する。そして、スピネル構造の結晶は、この軸に対して磁気異方性(1軸異方性)を有する。
図7は歪みと異方性エネルギーの説明図であり、横軸に歪の量(δd)をとり、縦軸に相対的な異方性エネルギーE(100)-E(001)を取ったグラフである。
なお、図7において、SOIはスピン軌道相互作用、λはCo2+のスピン軌道相互作用定数、VEは正方対称性を持つ結晶電場、VTは3回対称性を持つ結晶電場である。
現時点では、電子論的には、歪に対して相対的な(半定量的な)異方性エネルギーしか評価できず、結晶場の定量的な評価が困難である。本発明者は、図7において、歪と相対的な異方性エネルギーのグラフから、歪がゼロの近傍では、直線的な近似が可能と考えた。すなわち、現象論としては、磁気異方性定数をKuとし、ゼロの近傍の近似直線31の傾きをB1とし、スピネルフェライト層K3の単位格子の長さLa,Lcに対して、以下の式(1)が成立する。
=B(1−Lc/La) …式(1)
なお、図7から、B1=1.4[Gerg/cm3]が得られた。そして、(1−Lc/La)が格子の歪みδdに相当し、格子不整合に関連するパラメータである。
したがって、図7では、非特許文献1,2(MgO)は、格子定数が4.21[Å]であり、2倍の8.42[Å]に対して、CFOの格子定数が8.38[Å]である。よって、格子不整合が0.48%程度であり、歪がゼロの位置に対して、右側(+側)に微小にずれた位置(ほぼゼロ)、非特許文献3(MgAl2O4)は、歪がゼロの位置に対して左側(−側)にずれた位置に相当する。
本発明者は、上記の知見に基づいて、CFOの格子定数bに対して、緩衝層K2の材料として、緩衝層K2の材料の格子定数aが、aがbよりも3〜4%程度大きなものを導入することで、従来に比べて大きな引張歪みが得られ、大きな垂直磁気異方性を有するスピネルフェライトを作製できると考え、実際に得られた。
なお、発明者は、スピネル構造とは異なるルチル構造を有するTiO2(正方晶:a=4.584[Å]、c=2.953[Å]、9.4%程度の格子不整合)を緩衝層として製膜したが、得られたCFOは、等方的な磁化曲線を示した。すなわち、異方性は誘導されなかった。これは、不整合が大きすぎて、歪が緩和されたものと考えられる。すなわち、構造がスピネル構造でないことと、格子不整合が9.4%では大きすぎることもあり異方性が誘導されなかったのではないかと考えられる。なお、格子不整合が9.4%では図7の近似直線から大きく離れてしまっており、近似直線から、格子不整合の上限は、7%程度が限界ではないかと考えられる。
なお、緩衝層K2としては、Mg2SnO4と同程度の格子定数を有する材料として、Zn2SnO4やMgIn2O4、ZnIn2O4も使用可能である。Zn2SnO4の格子定数は、8.69[Å]であり、CFOとの格子不整合は3.6%である。また、MgIn2O4の格子定数は、8.864[Å]であり、CFOとの格子不整合は5.7%である。また、ZnIn2O4の格子定数は、8.837[Å]であり、CFOとの格子不整合は5.5%である。
また、スピネルフェライトとして、CFOを例示したが、これに限定されない。すなわち、Coに変えて、3dの遷移金属、(Mn,Fe,Ni,Cu,Zn)で構成されたスピネル構造を有するフェライトにも適用可能である。なお、NiFe2O4(ニッケルフェライト)は、格子定数が8.34[Å]((a−b)/b≒0.036)であり、Fe3O4(鉄フェライト)は、格子定数が8.39[Å]((a−b)/b≒0.030)であり、CFOとほとんど変わらない。他にも、MnFe2O4(マンガンフェライト):格子定数8.51[Å]や、ZnFe2O4(亜鉛フェライト):格子定数8.44[Å]、CuFe2O4(銅フェライト):格子定数8.37[Å]も同様である。よって、CFOの場合と同様の緩衝層K2を使用することで、スピネルフェライトに大きな磁気異方性を付与できることが期待される。なお、緩衝層K2としてMgIn2O4を使用し、スピネルフェライトとしてニッケルフェライトを使用した場合、格子不整合(a−b)/b≒0.0628(6.28%)であった。
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、実施例1では、MgO(001)を使用する方法を例示したが、これに限定されない。MgO(001)と同様の機能を示すMgO(001)配向膜付きのガラス基板や、熱酸化膜付きSi基板、MgAl2O4(001)基板、Mg-Ti-O基板などが利用できる。
また、実施例1では、MSO薄膜(緩衝層K2)の成膜方法として、RFスパッタリングを用いる方法を例示したが、これに限定されない。例えば、直流(DC)スパッタリング、反応性真空蒸着法、パルスレーザー製膜法によって作製することも可能である。
前述の本発明のスピネルフェライトは、高い垂直磁気異方性を利用して、磁気記録媒体や、スピントロニクス材料、高周波発振素子、等に好適に使用することが可能である。
1,21…スパッタリング装置、
2…チャンバ、
3…ステージ、
4…磁石、
6,7,22…ターゲット、
8…高周波電源、
11…酸素タンク、
12…可変リークバルブ、
13…ノズル、
a,b…格子定数、
K1…基板層、
K2…基層、
K3…スピネルフェライト。

Claims (7)

  1. 基層の結晶の格子定数をaとし、スピネルフェライトの結晶の格子定数をbとした場合に、b<a、且つ、0.0153<(a−b)/b≦0.0628を満たす基層の表面に、スピネル型結晶構造を有するスピネルフェライトをエピタキシャル成長させてスピネルフェライトを製造することを特徴とするスピネルフェライトの製造方法。
  2. A,BをCo,Ni,Mn,Cu,Zn,Feのいずれかとし、0≦x<1とした場合に、化学式A1-xで表される前記スピネルフェライトを製造することを特徴とする請求項1に記載のスピネルフェライトの製造方法。
  3. スピネル型結晶構造を有する基層を使用することを特徴とする請求項1または2に記載のスピネルフェライトの製造方法。
  4. DをMg,Znのいずれかとした場合に、化学式(D,Sn)または(D,In)で表されるスピネル型結晶で構成された前記基層を使用することを特徴とする請求項3に記載のスピネルフェライトの製造方法。
  5. (001)に配向した酸化マグネシウムにより構成された基板層の表面に積層された前記基層を使用することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスピネルフェライトの製造方法。
  6. 基層の表面にエピタキシャル成長させて作成されるスピネル型結晶構造を有するスピネルフェライトであって、基層の結晶の格子定数をaとし、スピネルフェライトの結晶の格子定数をbとした場合に、
    b<a、
    且つ
    0.0153<(a−b)/b≦0.0628、
    であることを特徴とするスピネルフェライト。
  7. 基層と、基層の表面に積層され且つスピネル型結晶構造を有するスピネルフェライトとを有する積層構造体であって、
    基層の結晶の格子定数をaとし、スピネルフェライトの結晶の格子定数をbとした場合に、
    b<a、
    且つ
    0.0153<(a−b)/b≦0.0628、
    であることを特徴とする積層構造体。
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