JP2018141711A - 比色型皮膚ガス測定装置 - Google Patents

Abstract

【課題】簡易な構成で且つ製造コストを低減して、いつ、どこででもガス検知できるようにする皮膚ガス測定装置を提供する。【解決手段】開口部を有する筒状の有底容器と通気孔を有し前記容器の開口部を封止できる蓋部材とでなる本体２ｄと、前記本体の内部に保持されるとともに前記通気孔から放散される皮膚ガスに化学反応で変色する検知剤３と、前記本体の内部に保持されるとともに前記通気孔から放散される非測定対象ガスを除去する除去剤５と、前記検知剤と除去剤との接触を防止すべくその間に介在されるスペーサ部材４とを少なくとも有してなる比色型皮膚ガス測定装置１である。【選択図】図１

Description

本発明は、例えば、ヒトの皮膚に装着して該ヒト皮膚表面から放散される微量ガスを、受動的に捕集し、特定成分の放散フラックスを測定できる皮膚ガス測定装置に関する。

皮膚ガスの測定は、一般的に皮膚ガスを捕集するサンプリングと捕集した皮膚ガス成分を機器分析する定量操作の二段階からなる精密分析法と、サンプリングおよび定量を小型の装置内で同時に行う簡易分析法が用いられている。

前記精密分析法は、パッシブ・フラックス・サンプラーや、対象とする体の部位をバッグで覆うなどして皮膚ガスを直接あるいは捕集剤に吸着させて捕集し、抽出や濃縮、化学反応のような前処理を施した上で、液体クロマトグラフィやガスクロマトグラフィなどで分析して、測定値を得るものである。

前記簡易分析法は、検出器として半導体センサを搭載し、皮膚ガスを直接的に捕集するものである。

特開２００６−２１４７４７号公報 特開２００９−１７５１１１号公報 特開２０１４−２３２０５１号公報 特開２０１４−１５７１２５号公報

しかし、前記精密分析法では、皮膚ガスの捕集後に分析化学的な操作が必要であるため、日常生活を行う人を対象とした測定を行う場合であっても、捕集後にサンプラーを試験機関等に送付する必要があり、その場ですぐに結果が得られるわけではないという課題がある。また、前記簡易分析法では、小型軽量で携帯することができて便宜であるが、皮膚ガスの種類毎に専用の捕集装置が必要であり、皮膚ガスの種類に十分に対応することができないという課題がある。更に、皮膚ガスレベルの微量ガスでは感度が低く十分に検知できないというおそれもある。この簡易分析法では、更なる軽量化と携帯性の向上、簡易な構造にするとともに皮膚ガスレベルの微量なガスでも確実に検知できる感度を確保することが求められる。本発明に係る比色型皮膚ガス測定装置は、上記課題を解決するために提案されたものである。

本発明に係る比色型皮膚ガス測定装置の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、開口部を有する筒状の有底容器と通気孔を有し前記容器の開口部を封止できる蓋部材とでなる本体と、前記本体の内部に保持されるとともに前記通気孔から放散される皮膚ガスに化学反応で変色する検知剤と、前記本体の内部に保持されるとともに前記通気孔から放散される非測定対象ガスを除去する除去剤と、前記検知剤と除去剤との接触を防止すべくその間に介在されるスペーサ部材とを少なくとも有してなり、
前記検知剤が、皮膚ガスと色変化を伴う反応性のある、非揮発性化合物または指示薬を担持して乾燥させた担体であるとともに、前記検知剤の担体または除去剤の担体が、セルロース製フィルター、石英繊維製フィルター、ガラス繊維製フィルター、アクリレート系繊維製フィルター、不織布、合成皮革、紙のシート状材料のうちのいずれか一つ若しくは複数から選ばれること、または、モレキュラーシーブであってシリカゲルおよび珪藻土を含まない多孔質吸着剤を担持した前記シート状材料から選ばれるものであることである。

前記検知剤が、皮膚ガスと色変化を伴う反応性のある、非揮発性化合物または指示薬を担持して乾燥させた担体であることである。

前記担体が、セルロース製フィルター、石英繊維製フィルター、ガラス繊維製フィルター、アクリレート系繊維製フィルター、不織布、合成皮革、紙のうちのいずれか一つのシート状材料であること、または、シリカゲル、珪藻土、モレキュラーシーブのうちのいずれか一つの多孔質吸着剤を担持した前記シート状材料から選ばれる一種若しくは複数種であることである。

前記除去剤が、測定対象以外の皮膚ガスを化学反応若しくは物理吸着により除去するように、反応性のある非揮発性化合物または指示薬を担持して乾燥させた担体であること、または、皮膚ガスに対して物理吸着性のある担体であることである。

前記スペーサ部材が、ガス透過性を有する材料でなることである。

前記蓋部材が、本体内に拡散される皮膚ガスの拡散速度を調整するように、開口面積の異なる複数の蓋を有してなることである。

本体内に拡散される皮膚ガスの拡散速度を調整するように、前記本体内の空間に、空気または拡散係数の異なる固体が一層若しくは複数層設けられていることである。

前記非揮発性化合物は、皮膚ガスがアンモニアを含む塩基性ガスである場合には酸性化合物であり、皮膚ガスが有機酸である場合には塩基性化合物であり、皮膚ガスが硫黄化合物である場合には鉛化合物であることである。

皮膚表面から放散される皮膚ガスを測定するために、皮膚に本体を一定時間密着させる
固定具が設けられていることである。

本発明の比色型皮膚ガス測定装置によれば、簡易な構造で人が携帯しやすく、製造コストが低減され、皮膚ガスの測定時において迅速に検知することができる。また、蓋部材において開口面積の異なる開口部を設けることで、複数種類の皮膚ガスを検知することができる。人の皮膚に固定具で簡易に装着して微量な皮膚ガスをシート状材料のみで確実に検知すると共に、微量なガスを色変化で測れるようになると言う優れた効果を奏するものである。

本発明に係る比色型皮膚ガス測定装置１の断面図（Ａ）、構成を分解して示す分解斜視図（Ｂ）である。 同比色型皮膚ガス測定装置１の使用方法を示す説明図（Ａ），（Ｂ）である。 同比色型皮膚ガス測定装置１を、人手に取り付けて使用する例を示す説明図（Ａ），（Ｂ），（Ｃ）である。 同比色型皮膚ガス測定装置１を、靴、服に内蔵させて使用する方法を説明する説明図（Ａ），（Ｂ）である。 同比色型皮膚ガス測定装置１を包装して保管する方法を説明する断面図（Ａ）、平面図（Ｂ）である。 同比色型皮膚ガス測定装置１を包装する他の方法を示す説明図（Ａ），（Ｂ）である。 同比色型皮膚ガス測定装置１における検知剤の、変色スタイルを説明する説明図（Ａ）〜（Ｄ）である。

本発明に係る比色型皮膚ガス測定装置１は、図１に示すように、検知すべき皮膚ガスに対応した検知剤で迅速に検知するものである。

前記比色型皮膚ガス測定装置１は、図１（Ａ），（Ｂ）に示すように、開口部２ｃを有する筒状の有底容器２と通気孔２ｂを有し前記容器２の開口部２ｃを封止できる蓋部材２ａとでなる本体２ｄと、前記本体２ｄの内部に保持されるとともに前記通気孔２ｂから放散される皮膚ガスに化学反応で変色する検知剤３と、前記本体２ｄの内部に保持されるとともに前記通気孔２ｂから放散される非測定対象ガスを除去する除去剤５と、前記検知剤３と除去剤５との接触を防止すべくその間に介在されるスペーサ部材４とを少なくとも有してなる。

前記検知剤３が、皮膚ガスと色変化を伴う反応性のある、非揮発性化合物または指示薬を担持して乾燥させた担体である。該担体が、セルロース製フィルター、石英繊維製フィルター、ガラス繊維製フィルター、アクリレート系繊維製フィルター、不織布、合成皮革、紙のシート状材料のうちのいずれか一つ若しくは複数から選ばれるものである。

または、前記担体が、シリカゲルおよび珪藻土を含まない、モレキュラーシーブの多孔質吸着剤を担持した前記シート状材料から選ばれる一種若しくは複数種である。

この検知剤３の具体的な例として、セルロース製ろ紙に、酸（リン酸、ホウ酸等）と、pH指示薬（フェノールブルー、チモールブルー、アリザリンレッドなど）とを、グリセリンを接着剤として染みこませてから乾燥させたものである。例えば、アンモニアのような塩基性ガスが到達すると、酸塩基反応で塩基性ガスを固定し、検知剤３自体のpHが変化し、指示薬の色を変化させる。

前記除去剤５が、測定対象以外の皮膚ガスを化学反応若しくは物理吸着により除去するように、反応性のある非揮発性化合物または指示薬を担持して乾燥させた担体である。または、皮膚ガスに対して物理吸着性のある担体である。

前記除去剤５の担体はフィルターであり、例えば、セルロース製フィルター、石英繊維製フィルター、ガラス繊維製フィルター、アクリレート系繊維製フィルター、不織布、合成皮革、紙のシート状材料のうちの一つ若しくは複数である。または、シリカゲルおよび珪藻土を含まない、モレキュラーシーブの多孔質吸着剤を担持した前記シート状材料から選ばれる一種若しくは複数種である。

前記除去剤５は、具体的には、アンモニアなど塩基性ガスを測りたいとき、酢酸などの酸性ガスが共存する場合、pH変化に影響を及ぼし、前記アンモニアの量を正しく判定できない。そこで、例えば、ポリプロピレン繊維で作った不織布にシリカゲルなどを挟んだシートを円形に抜き、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなど塩基性の物質を染みこませて乾燥させたフィルターを除去剤として、検知剤よりも皮膚ガス発生源側に設置することで、酸性ガスをトラップして該酸性ガスが検知剤まで拡散することを阻止するものである。

図１（Ａ），（Ｂ）に示すように、前記スペーサ部材４は、ガス透過性を有する材料でなる。前記検知剤３と除去剤５とは、酸と塩基とを含浸させるため、これらが直接接触すると表面で中和反応が起こり、互いの機能を発揮しなくなる。そこで、固体のスペーサ部材４を両者の間に介在させることで、直接の接触を防止する効果がある。このスペーサ部材４自体にはガス透過性が必要なので、例えば、ポリプロピレン製の繊維で作った不織布やステンレス網などが使用される。

前記検知剤３，除去剤５におけるそれぞれの非揮発性（不揮発性）化合物は、皮膚ガス
がアンモニアを含む塩基性ガスである場合には酸性化合物であり、皮膚ガスが有機酸であ
る場合には塩基性化合物であり、皮膚ガスが硫黄化合物である場合には鉛化合物である。

これにより、例えば、インジケータでは検知できない微量なレベルのアンモニア、有機
酸などが検知できるものである。具体的には、インジケータとしての従来の検知剤と、本発明に係るセルロース製フィルターを担体とした検知剤を１０ｐｐｍのアンモニアガス中に静置したところ、前記インジケータでは３０分後に変色が見られたのに対し、本発明に係る検知剤では７分で変色が見られ、約４．３倍の感度向上となっている。また、同様に、ガラス繊維製フィルターを担体とした検知剤を３．０ｐｐｍの酢酸ガス中に静置したところ、比較用の従来に係るインジケータでは１４０分後に変色が見られたのに対し、本発明に係る前記検知剤では５０分で変色が見られ、約２．８倍の感度向上となっている。

図２−Ａ乃至図２−Ｂに示すように、前記比色型皮膚ガス測定装置１には、皮膚表面か
ら放散される皮膚ガスを測定するために、皮膚に本体２ｄを一定時間密着させる固定具６
が設けられている。

前記固定具６は、例えば、図２−Ａ（Ａ）に示すように、比色型皮膚ガス測定装置１の
本体２ｄを収納する収納部６ｂを設けたバンド６ａとして、これを人の腕に巻き付けて固
定するものである。また、図２−Ａ（Ｂ）に示すように、首輪８の収納部８ａに前記本体
２ｄを収納して、比色型皮膚ガス測定装置１で皮膚ガスを検知することもできる。

図２−Ｂ（Ａ），（Ｂ）に示すように、他の実施例として、リストバンド６ｃ、指輪６
ｄに本体２ｄを収納して、皮膚ガスを検知することもできる。図２−Ｂ（Ｃ）に示すよう
に、粘着テープ６ｅの一部に本体２ｄを貼着し、人の手首に固着して、皮膚ガスを検知す
ることもできる。

更に、図３（Ａ），（Ｂ）に示すように、靴７の靴底７ａに設けた収納部に本体２ｄを
内蔵させて固着して、足からの皮膚ガスを検知することもできる。また、服９の一部に本
体２ｄを内蔵させて皮膚ガスを検知するようにしてもよい。

このほか、図４に示すように、比色型皮膚ガス測定装置１の本体２ｄの包装手段として
、包装袋１０で真空パックして、保存することができる。更に、図５（Ａ）に示すように
、比色型皮膚ガス測定装置１の本体２ｄの開口部に、嵌合用のねじ溝を設けて、封止蓋１
１のネジ部を嵌合させて、気密に密封・包装するようにしても良い。このほか、図５（Ｂ）に示すように、粘着シート１２で密封するようにしてもよい。

図６（Ａ），（Ｂ）に示すように、検知剤３の皮膚ガスによる変色の例として、単色の変化である場合（Ａ）、二段階変化する場合（Ｂ）がある。また、図６（Ｃ）に示すように、比色型皮膚ガス測定装置１における蓋部材２ａの他の実施例として、本体２ｄ内に拡散される皮膚ガスの拡散速度を調整するように、開口面積の異なる複数の蓋を有してなるものである。これにより、複数成分の皮膚ガスを同時に測定することができる。また、本体２ｄ内に拡散される皮膚ガスの拡散速度を調整するように、前記本体２ｄ内の空間に、空気または拡散係数の異なる固体が一層若しくは複数層設けて（図示せず）、同様に複数成分の皮膚ガスを検知することもできる。図６（Ｄ）に示すように、異なる感度の検知剤を並列させることにより変色の程度が段階的に進み、カウントダウン方式で検知することもできる。

以上のようにして、本発明に係る比色型皮膚ガス測定装置１で、非検知対象の皮膚ガスを除去剤５で排除して、検知対象の皮膚ガスを検知剤３で、簡易且つ迅速に検知することができるものである。

本発明に係る比色型皮膚ガス測定装置によれば、いつでも、どこでも簡単に皮膚ガスを検知できて、携帯用ガス検知装置として広く応用できるものである。

１ 比色型皮膚ガス測定装置、
２ 有底容器、 ２ａ 蓋部材、
２ｂ 通気孔、 ２ｃ 開口部、
２ｄ 本体、
３ 検知剤、
４ スペーサ部材、
５ 除去剤、
６ 固定具、 ６ａ バンド、
６ｂ 収納部、 ６ｃ リストバンド、
６ｄ 指輪、 ６ｅ 粘着テープ、
７ 靴、 ７ａ 靴底、
８ 首輪、 ８ａ 収納部、
９ 服、
１０ 包装袋、
１１ 封止蓋、
１２ 粘着シート。

Claims (7)

1. 開口部を有する筒状の有底容器と通気孔を有し前記容器の開口部を封止できる蓋部材とでなる本体と、前記本体の内部に保持されるとともに前記通気孔から放散される皮膚ガスに化学反応で変色する検知剤と、前記本体の内部に保持されるとともに前記通気孔から放散される非測定対象ガスを除去する除去剤と、前記検知剤と除去剤との接触を防止すべくその間に介在されるスペーサ部材とを少なくとも有してなり、
   前記検知剤が、皮膚ガスと色変化を伴う反応性のある、非揮発性化合物または指示薬を担持して乾燥させた担体であるとともに、
   前記検知剤の担体または除去剤の担体が、
   セルロース製フィルター、石英繊維製フィルター、ガラス繊維製フィルター、アクリレート系繊維製フィルター、不織布、合成皮革、紙のシート状材料のうちのいずれか一つ若しくは複数から選ばれること、または、モレキュラーシーブであってシリカゲルおよび珪藻土を含まない多孔質吸着剤を担持した前記シート状材料から選ばれるものであること、
   を特徴とする比色型皮膚ガス測定装置。
2. 除去剤が、測定対象以外の皮膚ガスを化学反応若しくは物理吸着により除去するように、反応性のある非揮発性化合物または指示薬を担持して乾燥させた担体であること、または、皮膚ガスに対して物理吸着性のある担体であること、
   を特徴とする請求項１に記載の比色型皮膚ガス測定装置。
3. スペーサ部材が、ガス透過性を有する材料でなること、
   を特徴とする請求項１または２に記載の比色型皮膚ガス測定装置。
4. 蓋部材が、本体内に拡散される皮膚ガスの拡散速度を調整するように、開口面積の異なる複数の蓋を有してなること、
   を特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載の比色型皮膚ガス測定装置。
5. 本体内に拡散される皮膚ガスの拡散速度を調整するように、前記本体内の空間に、空気
   または拡散係数の異なる固体が一層若しくは複数層設けられていること、
   を特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項に記載の比色型皮膚ガス測定装置。
6. 非揮発性化合物は、皮膚ガスがアンモニアを含む塩基性ガスである場合には酸性化合物
   であり、皮膚ガスが有機酸である場合には塩基性化合物であり、皮膚ガスが硫黄化合物で
   ある場合には鉛化合物であること、
   を特徴とする請求項１乃至５のいずれか１項に記載の比色型皮膚ガス測定装置。
7. 皮膚表面から放散される皮膚ガスを測定するために、皮膚に本体を一定時間密着させる
   固定具が設けられていること、
   を特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載の比色型皮膚ガス測定装置。