JP2018141521A - シールリング及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シールリング10を、ハウジングの内周面である被嵌合面36に嵌合固定される嵌合面35を有する固定部33と、該固定部33に支持され、ステアリングシャフトの外周面である被摺接面に接触する軸方向に関して対称形状のシールリップ39を有する、弾性材製のシール部34との、組み合わせにより構成する。
【選択図】図4
Description
たとえば、図11に示した構造では、シールリップ8が、径方向内方に向かう程、軸方向一方側から軸方向他方側に向かう方向に傾斜している。このため、シールリング1の組み付け作業は、シールリップ8に捲れが生じないようにするために、ハウジング2の内径側にステアリングシャフト3を配置する前に、シールリング1をハウジング2に内嵌固定し、その後、シールリング1の内径側に、ステアリングシャフト3を軸方向一方側から軸方向他方側に挿通して行う必要がある。また、工具によって押圧可能な折れ曲がり部7が、シールリング1の軸方向一方側にしか設けられていないため、シールリング1の組み付け作業においては、その組み付け方向にも制約を受ける。
本発明は、必要に応じて、被嵌合面の径方向寸法が異なる仕様に低コストで対応できるシールリングの製造方法を実現することを目的としている。
さらに、本発明を実施する場合に、前記シールリングの全体を、該シールリングの軸方向に関して対称形状とすることもできる。
上述のような発明を実施する場合に、前記係合を凹凸係合とし、第一係合部を微細な凹凸面とし、第二係合部を、前記凹凸面を構成する凹部内に入り込んだ前記シール部を構成する弾性材の一部とすることもできる。
さらに、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの一方の径方向寸法の相違にかかわらず、前記シール部を共通部品として使用し、該シール部に組み合わせる前記固定部の前記嵌合面の径方向寸法を、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの一方の径方向寸法に対応させて、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの一方の径方向寸法、たとえばハウジングの内周面の内径寸法の相違に対して、本発明のシールリングを対応可能とすることができる。
なお、前記固定部を樹脂製とする場合には、前記シール部を構成する材料よりも剛性の高い樹脂を選択することができる。
たとえば、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの一方に嵌合固定される嵌合面を有する固定部を準備し、該固定部に支持され、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの他方に接触するシールリップを有する、弾性材製のシール部を準備し、前記シール部を前記固定部に支持させる工程を備え、
該シール部に組み合わされる前記固定部の前記嵌合面の径方向寸法を、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの一方の径方向寸法に対応させることで、前記シール部を共通部品としたまま、前記嵌合面の径方向寸法が異なる仕様のシールリングを造り分けることにより、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの一方の径方向寸法、たとえばハウジングの内周面の内径寸法の相違に対して、本発明のシールリングを対応可能としている点に特徴がある。
好ましくは、前記シール部のシールリップを軸方向に関して対称形状に形成する工程をさらに備える。
実施の形態の第1例について、図1〜図4により説明する。本例では、シールリング10を、電動式パワーステアリング装置11に組み込んだ場合について説明する。ただし、本例のシールリング10は、電動式パワーステアリング装置11に限らず、各種装置に組み込むことができる。
たとえば、図4(A)に示すように、被嵌合面36の内径寸法がd0 である場合に、シールリング10が、嵌合面35の外径寸法がD0 である固定部33と、シール部34との組み合わせにより構成されていたとする。
その後、図4(B)に示すように、被嵌合面36の内径寸法がd0 からd1 に変更になった場合には、シール部34は共通部品としてそのまま使用し、該シール部34に対し、嵌合面35の外径寸法D1 が被嵌合面36の内径寸法d1 と同じかこれよりも僅かに大きい、固定部33とは別の固定部33aを組み合わせ、外径寸法がD1 のシールリング10aを得る。つまり、別の固定部33aに対し、共通部品であるシール部34を支持させることで、外径寸法がD1 のシールリング10aを造る。
さらに、図4(C)に示すように、被嵌合面36の内径寸法がd0 からd2 に変更になった場合には、シール部34は共通部品としてそのまま使用し、該シール部34に対し、嵌合面35の外径寸法D2 が被嵌合面36の内径寸法d2 と同じかこれよりも僅かに大きい、固定部33とは別の固定部33bを組み合わせ、外径寸法がD2 のシールリング10bを得る。つまり、別の固定部33bに対し、共通部品であるシール部34を支持させることで、外径寸法がD2 のシールリング10bを造る。
このように本例では、外側部材であるハウジング23の内周面に設けられた被嵌合面36の内径寸法の相違にかかわらず、シール部34を共通部品として使用し、該シール部34に、嵌合面35の外径寸法が被嵌合面36の内径寸法に対応した固定部33(33a、33b)を組み合わせることで、外径寸法が異なる仕様のシールリング10(10a、10b)を造り分ける。
まず、シールリング10を構成するシールリップ39を、軸方向に関して対称形状としているため、シールリップ39によるシール性能(密封性能)に、軸方向に関する方向性をなくせる。具体的には、シールリップ39は、後方側の空間32bから前方側の空間32aへの異物の侵入を十分に防止できるだけでなく、前方側の空間32aから後方側の空間32bへの異物の侵入も十分に防止できる。したがって、本例のシールリング10は、設置方向に関する制約がなく、軸方向に関して逆向き(図1〜図4において左右逆向き)に設置しても、シールリップ39によるシール性能を十分に確保できる。
実施の形態の第2例について、図5により説明する。本例では、固定部33とともにシールリング41を構成するシール部42に、2本のシールリップ43、43を設けている。2本のシールリップ43、43は、それぞれの断面形状が二等辺三角形状で、シール部42の外径側部分に設けられた断面略台形状の基部44の内周面に、軸方向に離隔した状態で設けられている。2本のシールリップ43、43及び基部44のそれぞれは、軸方向に関して対称形状となっているため、シール部42の全体も、軸方向に関して対称形状となっている。別な表現によれば、シール部42は、シールリング41の中心Oを通り、かつ、シールリング41の中心軸xに直交する仮想平面Lに関して、対称形状となっている。
以上のような本例の場合には、実施の形態の第1例に比べて、シールリップの数を増やすことができるため、シール性能の向上を図れる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同様である。
実施の形態の第3例について、図6により説明する。本例では、シールリング45の軽量化を目的として、シール部34と組み合わせる固定部46の軸方向一方側端面47a及び軸方向他方側端面47bに、それぞれ軸方向に凹んだ除肉部である凹部48、48を形成している。これら凹部48、48は、固定部46の軸方向一方側端面47a及び軸方向他方側端面47bの径方向中間部に設けられている。
以上のような本例の場合には、固定部46の軸方向両端面47a、47bに凹部48、48を形成することにより、固定部46の軽量化、ひいてはシールリング45の軽量化を図れる。したがって、被嵌合面36(図4(C)および図5(C)参照)の内径寸法が大きい仕様に対応するために、外径寸法の大きい固定部を使用する必要がある場合にも、シールリングの重量増大の程度を抑えることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同様である。
実施の形態の第4例について、図7により説明する。本例は、固定部50の内周面に係合手段を設け(第一係合部)、基部38の外周面に係合手段を設けて(第二係合手段)、基部38の外周面と固定部50の内周面とを係合させることにより、固定部50とシール部34を結合させている点に特徴がある。本例では、シールリング49を構成する固定部50の内周面の少なくとも一部を、ローレット加工よって形成されたローレット目である微細な凹凸面51としている。そして、固定部50の内周面に形成されたローレット目とシール部34の外周面を係合させている。より具体的には、固定部50の凹凸面51を構成する凹部内に、シール部34の外周面を構成する弾性材の一部を入り込ませている。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同様である。
実施の形態の第5例について、図8により説明する。本例も、固定部53と基部38と係合手段に特徴がある。本例では、シールリング52を構成する固定部53の内周面の軸方向中央部に、径方向外方に向けて凹んだ凹状の第一係合部54を全周にわたって設けている。これに対し、シール部55の外周面の軸方向中央部に、径方向外方に向けて突出した凸状の第二係合部56を全周にわたって設けている。第一係合部54と第二係合部56とは、互いに合致した形状を有している。このため、固定部53の内側にシール部55を取り付けた状態で、第一係合部54と第二係合部56とが凹凸係合する。具体的には、凹状の第一係合部54の内側に凸状の第二係合部56が、がたつきなく挿入される。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同様である。
実施の形態の第6例について、図9により説明する。本例では、固定部58と基部38との係合手段に特徴がある。すなわち、シールリング57を構成する固定部58として、軸方向両端部に径方向内方に向けて伸長した1対の折れ曲がり部59、59が設けられたものを使用している。そして、このような1対の折れ曲がり部59、59により、シール部34を軸方向両側から挟持している。具体的には、シール部34を構成する基部38の外径側部分に設けられた被挟持部60を軸方向両側から挟持している。被挟持部60は、基部38の内径側部分よりも軸方向幅寸法が小さくなっている。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例の場合と同様である。
2 ハウジング
3 ステアリングシャフト
4 環状隙間
5 固定部
6 シール部
7 折れ曲がり部
8 シールリップ
9a、9b 空間
10、10a、10b シールリング
11 電動式パワーステアリング装置
12 ステアリングコラム
13 ステアリングシャフト
14 操舵力補助装置
15 アウターコラム
16 インナーコラム
17 ブラケット
18 転がり軸受
19 アウターシャフト
20 インナーシャフト
21 第一軸部
22 第二軸部
23 ハウジング
24 電動モータ
25 トーションバー
26 出力軸
27a、27b 転がり軸受
28 ウォーム減速機
29 ウォームホイール
30 トルクセンサ
31 環状隙間
32a、32b 空間
33、33a、33b 固定部
34、34a シール部
35 嵌合面
36 被嵌合面
37a 軸方向一方側端面
37b 軸方向他方側端面
38 基部
39 シールリップ
40 被摺接面
41、41a、41b シールリング
42 シール部
43 シールリップ
44 基部
45 シールリング
46 固定部
47a 軸方向一方側端面
47b 軸方向他方側端面
48 凹部
49 シールリング
50 固定部
51 凹凸面
52 シールリング
53 固定部
54 第一係合部
55 シール部
56 第二係合部
57 シールリング
58 固定部
59 折れ曲がり部
60 被挟持部
Claims (10)
- 互いに相対回転する外側部材と内側部材との間の環状隙間に組み込まれるシールリングであって、
前記シールリングが、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの一方に嵌合固定される嵌合面を有する固定部と、該固定部に支持され、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの他方に接触する前記シールリングの軸方向に関して対称形状のシールリップを有する、弾性材製のシール部との、組み合わせより構成されている、シールリング。 - 前記シール部の全体が、前記シールリングの軸方向に関して対称形状である、請求項1に記載したシールリング。
- 前記固定部が、前記シールリングの軸方向に関して対称形状である、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したシールリング。
- 前記シールリップの断面形状が、二等辺三角形状又は等脚台形状である、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したシールリング。
- 前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの一方の径方向寸法の相違にかかわらず、前記シール部が共通部品として使用されている、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載したシールリング。
- 前記固定部の前記嵌合面とは反対側にある周面に設けられた第一係合部と、前記シール部の前記シールリップとは反対側にある周面に設けられた第二係合部とが、係合している、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載したシールリング。
- 前記係合が凹凸係合であり、前記第一係合部が微細な凹凸面で、前記第二係合部が前記凹凸面を構成する凹部内に入り込んだ前記シール部を構成する弾性材の一部である、請求項6に記載したシールリング。
- 前記固定部の軸方向両端部に径方向に伸長する1対の折れ曲がり部が設けられており、該1対の折れ曲がり部により前記シール部を軸方向両側から挟持している、請求項1〜7のうちの何れか1項に記載したシールリング。
- 前記固定部が、金属製又は樹脂製である、請求項1〜8のうちの何れか1項に記載したシールリング。
- 互いに相対回転する外側部材と内側部材との間の環状隙間に組み込まれ、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの一方に嵌合固定される嵌合面を有する固定部と、該固定部に支持され、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの他方に接触するシールリップを有する弾性材製のシール部と、を備えたシールリングを製造する際に、
前記シール部を共通部品とし、該シール部に組み合わせる前記固定部の前記嵌合面の径方向寸法を、前記外側部材の内周面と前記内側部材の外周面とのうちの一方の径方向寸法に対応したものとすることにより、前記嵌合面の径方向寸法が異なる仕様のシールリングを造り分ける、シールリングの製造方法。
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JP2020180622A (ja) * | 2019-04-23 | 2020-11-05 | 愛三工業株式会社 | シール装置 |
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