JP2018141255A - ポリエチレン繊維、繊維製品、およびポリエチレン繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
強度利用率(%)=(ロープの強度/原糸の強度)×100
本発明のポリエチレン繊維の実施の一形態について説明する。
本実施形態のポリエチレン繊維は、当該ポリエチレン繊維から成るマルチフィラメントを用いて4本打ち構成の組紐にした場合、当該組紐のリードをa、当該組紐の直径をb、当該組紐の引張強度をc、および前記マルチフィラメントの引張強度をdとすると、(c/d)×100で定義される強度利用率eの値は、3.5≦a/b≦10.0の範囲にて、e≧7.2(a/b)+7.6を満たす。強度利用率eの式については、後段の実施例にて説明する。
次に、本実施形態のポリエチレン繊維の製造方法については説明する。本実施形態のポリエチレン繊維を得るために、ゲル紡糸法を用いることが好ましい。具体的には、本実施形態のポリエチレン繊維の製造方法は、ポリエチレンを溶媒に溶解してポリエチレン溶液とする溶解工程と、前記ポリエチレン溶液を上記ポリエチレンの融点以上の温度でノズルから吐出し、吐出した糸条を冷媒で冷却する紡糸工程と、吐出された未延伸糸から溶媒を除去する乾燥工程と、延伸する延伸工程と、延伸された延伸糸を巻き取る工程と、を含む。それぞれの工程について詳細に説明する。
本実施形態のポリエチレン繊維の製造に当たっては、その原料となる高分子量のポリエチレンとして超高分子量ポリエチレンを使用する。このようなポリエチレンの極限粘度[η]は5以上であることが好ましく、より好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上である。極限粘度が低すぎると所望とする強度15cN/dtex以上を超えるような高強度繊維が得られないことがある。一方、ポリエチレンの極限粘度[η]は40以下が好ましく、より好ましくは35以下、さらに好ましくは30以下である。極限粘度が高すぎると加工性が低下して繊維化が困難になることがある。
上述したポリエチレン溶液を、押出機等を用いて融点よりも10℃以上、好ましくは20℃以上、更に好ましくは30℃以上で均一溶解後に押出しし、定量供給装置を用いて紡糸ノズル(紡糸口金)に供給する。その後、0.2〜3.5mm、好ましくは0.5〜2.5mmの直径を有するノズルオリフィスより0.1g/min以上の吐出量で吐出する。
紡糸工程で引き取った未延伸糸を連続的に又は一旦巻き取った後、乾燥・延伸工程を行う。乾燥工程では溶媒を除去することが目的であり、溶媒の除去手段としては揮発性溶媒の場合には熱媒体雰囲気中で行ってもよいし、加熱ローラーを用いて行ってもよい。媒体としては空気、窒素等の不活性ガス、水蒸気、液体媒体等が挙げられる。不揮発性溶媒を用いた場合は、抽出剤等を用いて抽出する方法が挙げられる。抽出剤としては、クロロホルム、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、エタノール、高級アルコール等を用いることができる。
延伸された糸を好ましくは延伸終了から10分以内で巻き取ることが好ましい。また、延伸された糸を好ましくは0.001cN/dtex以上、5cN/dtex以下の張力で巻き取ることが好ましい。上記範囲内で巻き取ることで、マルチフィラメント中の断面方向における残留歪みを維持した状態で巻き取ることが可能となる。巻き取り時の張力が0.001cN/dtex未満の場合、残留歪みが小さくなり、断面方向の応力分布が不安定となってしまうため、結果としてマルチフィラメントを構成する各単糸において内層と外層との間で残留歪みの差が発現してしまう。また巻き取り張力を5cN/dtexよりも大きくするとマルチフィラメントを構成する単糸が切れやすくなるため好ましくない。
繊維に他の機能を付与するために、上記工程中に酸化防止剤、還元防止剤等の添加剤、pH調整剤、表面張力低下剤、増粘剤、保湿剤、濃染化剤、防腐剤、帯電防止剤、顔料、鉱物繊維、他の有機繊維、金属繊維、金属イオン封鎖剤等を添加してもよい。
ウベローデ型毛細粘度管を用い、135℃のデカリン中で種々の希薄溶液の比粘度を測定し、その粘度を濃度に対してプロットし、最小二乗近似で得られる直線の原点への外挿点から、極限粘度を決定する。サンプルに対して1質量%の酸化防止剤(エーピーアイコーポレーション社製、「ヨシノックス(登録商標)BHT」を添加し、135℃で4時間攪拌溶解して測定溶液を調整する。
位置の異なる5箇所でサンプルを各々10mにカットし、その重量を測定しその平均値を用いて繊度(dtex)を求める。
マルチフィラメントの強度、伸度、弾性率を、JIS L1013 8.5.1に準拠して測定する。オリエンテック社製「テンシロン」を用いて、試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100%/分、雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で歪―応力曲線を求め、得られた曲線の破断点での応力から強度(cN/dtex)を算出し、曲線の原点付近の最大勾配を与える接線から弾性率(cN/dtex)を算出する。なお、測定回数は10回とし、その平均値で表す。
また、歪―応力曲線の伸度2.0%における応力を読み取り、組紐に用いたマルチフィラメント4本それぞれについて、歪−応力曲線の歪2.0%における応力値を読み取り、その応力値の変動係数(標準偏差/平均値×100)を算出する。
乾燥工程を通過したマルチフィラメントを80℃の真空条件下に投入し、マルチフィラメントの重量が平衡になるまで揮発性溶剤を蒸発させ、マルチフィラメントの乾燥前重量とマルチフィラメントの乾燥後重量から揮発性溶剤の含有率を下記式より求める。
揮発性溶剤含有率(%)=[(乾燥前重量―乾燥後重量)/乾燥前重量]×100(%)
位置の異なる5箇所でサンプルを各々1mにカットし、その重量を測定しその平均値を用いて繊度(dtex)を求める。
組紐に荷重(1/11.1g)を掛けた状態で外径測定器(例えばキーエンス社製の高速・高精度デジタル寸法測定器等)を用いて、組紐の山谷部を各5箇所測定し、その平均値を直径とする。
組紐に荷重(1/11.1g)を掛けた状態でストランドの1回の組程を読み取る。
オリエンテック社製「テンシロン」を用いて、チャックはスプリットドラム式を用いた。試料長50mm(チャック間長さ)、伸長速度400%/分、雰囲気温度20℃、相対湿度65%条件下で歪―応力曲線を求め、得られた曲線の破断点での応力から強度(cN/dtex)を算出する。なお、測定回数は5回とし、その平均値で表す。
極限粘度19.0dl/gの超高分子量ポリエチレンとデカヒドロナフタレンを重量比9:91で混合しスラリー状液体を形成させた。該物質を混合及び搬送部を備えた2軸スクリュー押出し機で溶解し、得られたポリエチレン溶液を紡糸口金から紡糸口金表面温度175℃で単孔吐出量1.3g/分で吐出した。紡糸口金に形成されたオリフィス数98個であり、オリフィス直径は0.8mmであった。吐出された糸状を引き取りつつ、20℃の水冷バスを0.8秒の時間通過させて糸状物を冷却し、その後、速度40m/分の速度で引き取り、98本の単糸からなる未延伸マルチフィラメントを得た。
また、実施例について、組紐のリードをa、組紐の直径をb、組紐の引張強度をc、マルチフィラメントの引張強度をd、組紐の強度利用率をe=(c/d)×100、とした場合の、a/bに対するeの値をプロットしたものを、図2に示す。
極限粘度19.0dl/gの超高分子量ポリエチレンとデカヒドロナフタレンを重量比10:90で混合しスラリー状液体を形成させた。該物質を混合及び搬送部を備えた2軸スクリュー押出し機で溶解し、得られたポリエチレン溶液を紡糸口金から紡糸口金表面温度170℃で単孔吐出量1.4g/分で吐出した。紡糸口金に形成されたオリフィス数400個であり、オリフィス直径は0.7mmであった。紡出糸に100℃の窒素ガスを、紡糸口金の直下に設置したガス供給用のスリット状オリフィスから平均風速1.2m/秒で、できるだけ均等に吹き付けて、繊維表面のデカリンを積極的に蒸発させ、その直後、30℃に設定した空気流で実質的に冷却し乾燥を行なった。この乾燥工程での糸状物の通過時間(乾燥される時間)は0.02分であった。その後、速度75m/分の速度で引き取った。この際、糸条に含有される残留溶媒率は54%であった。
図2から、実施例では、3.5≦a/b≦10.0の範囲にて、e≧7.2(a/b)+7.6を満たしており、比較例では満たしていないことがわかる。
Claims (6)
- ポリエチレン繊維であって、
当該ポリエチレン繊維から成るマルチフィラメントを用いて4本打ち構成の組紐にした場合、当該組紐のリードをa、当該組紐の直径をb、当該組紐の引張強度をc、および前記マルチフィラメントの引張強度をdとすると、(c/d)×100で定義される強度利用率eの値は、3.5≦a/b≦10.0の範囲にて、下記式を満たすことを特徴とするポリエチレン繊維。
e≧7.2(a/b)+7.6 - 前記組紐に用いる各マルチフィラメントの応力−歪曲線において、歪2.0%での応力値は、変動係数において5.0%以内である、ことを特徴とする請求項1に記載のポリエチレン繊維。
- 前記組紐に用いる各マルチフィラメントは、引張強度が15cN/dtex以上、破断伸度が5.0%以上、初期弾性率が800cN/dtex以下であり、単糸の繊度が0.5dtex以上10dtex以下であり、フィラメント本数が10〜10000本である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のポリエチレン繊維。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエチレン繊維を用いた繊維製品。
- 組紐、釣糸、ロープ、またはネットである請求項4に記載の繊維製品。
- ポリエチレン繊維の製造方法において、
極限粘度[η]が5〜40であり、その繰り返し単位が90モル%以上エチレンからなるポリエチレンを、濃度0.5〜40質量%となるよう有機溶媒に溶解してポリエチレン溶液にする溶解工程と、
前記ポリエチレン溶液を紡糸してポリエチレン繊維状物を得る繊維状物取得工程と、
前記ポリエチレン繊維状物を乾燥する乾燥工程と延伸する延伸工程とを含み、
前記乾燥工程にて前記ポリエチレン繊維状物が乾燥される時間は0.2分以上30分以下であり、
前記乾燥工程および前記延伸工程での合計延伸倍率は乾燥前に対して1.5倍〜60倍であり、
前記乾燥工程後かつ前記延伸工程前の繊維に含まれる残留溶媒率は15%以下である、ことを特徴とするポリエチレン繊維の製造方法。
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