JP2018140958A - ペリサイトの変成を抑制する剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、イミダゾールジペプチド、該イミダゾールジペプチドの塩、溶媒和物、水和物およびそれらの代謝産物からなるグループから選択される少なくとも1を含有する、ペリサイトの変成抑制剤および当該抑制剤を含有する医薬である。また、ペリサイトの変成に起因する疾患等の予防および治療方法である。
【選択図】なし
Description
脳微小血管を取り巻く脳のペリサイトは、中枢における血管形成、脳血管の血流の制御に関与する他、血管内皮細胞およびアストロサイトと共に血液脳関門(blood-brain barrier;BBB)を構成する細胞としても重要な役割を果たしている。脳のペリサイトが変成すると、血液脳関門や血流制御に異常を来し、血液脳関門の機能不全により脳内に血液由来の神経毒性因子が蓄積する。その結果、アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis;ALS)などの神経変成疾患、糖尿病性網膜症の他、HIV関連認知症、てんかん、皮質下梗塞および白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy;CADASIL)および脳のがんの発症にも関連していると考えられている(非特許文献1)。
また、網膜毛細血管を被覆するペリサイトの消失が、糖尿病網膜症の発症を誘導するとの報告があり(非特許文献5および6)、糖尿病関連細小血管症の発症にもペリサイトの消失が重要である。
また、腎臓の直細動脈のペリサイトは、直細動脈の直径および腎髄質血流(medullary blood flow;MBF)の制御、ならびに、血管形成と腎臓の修復において重要な役割を果たしている。腎臓ペリサイトの機能が損なわれると、高血圧、低酸素症、虚血および乳頭壊死などを発症し、最終的に慢性的な腎臓疾患を引き起こすことになる(非特許文献9)。その他、ペリサイトの変成が肺疾患に関与しているとの報告もある(非特許文献10)
また、がん組織の中にペリサイト様の細胞が含まれていることがあり、このような細胞は間葉系細胞とも呼ばれており、上皮間葉転換(Epithelial-to-mesenchymal transition;EMT)によって生じると考えられている(非特許文献12)。従来これらの細胞は、血管などに存在しているペリサイト系の細胞であるが、がん細胞からのシグナルにより血管からはがれ、がん組織内に潜り込んでいることが多い。ペリサイトが血管からはがれると、血管の透過性が上昇し、原発性のがん細胞が血管内に浸潤しやすくなり、他の部位への転移が進むようになることが容易になる。すなわち、ペリサイトの間葉系細胞への変異が、がんの転移を促進すると考えられている。
そのほか、腫瘍細胞由来のPDGF-BBにより毛細血管からペリサイトがはがされ、線維芽細胞に変異し、このペリサイト由来線維芽細胞が腫瘍の成長や浸潤・転移を 促進していることも報告されている(非特許文献13)。
以上のように、ペリサイトは、中枢および末梢において重要な役割を果たしており、ペリサイトの変成、減少または消失が多くの疾患を引き起こす原因となっている。
これまでに、イミダゾールジペプチドが心理機能の改善効果を有するとの報告(特許文献1)はあるが、ペリサイトの変成、消失および減少を抑制もしくは阻害する効果を示唆する報告は無かった。前述の通り、ペリサイトは血管環境の維持において重要な役割を果たしており、ペリサイトの減少により様々な悪影響が生体にもたられる。本発明により、これらの生体への悪影響を緩和および阻止することが可能となる。
(1)イミダゾールジペプチド、該イミダゾールジペプチドの塩、溶媒和物、水和物およびそれらの代謝産物からなるグループから選択される少なくとも1を含有する、ペリサイトの変成抑制剤。
(2)前記ペリサイトが脳ペリサイトであることを特徴とする上記(1)に記載の剤。
(3)前記ペリサイトの変成が、神経変成疾患または脳血管疾患の原因であることを特徴とする上記(2)に記載の剤。
(4)前記神経変成疾患が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症または脳血管性認知症であることを特徴とする上記(3)に記載の剤。
(5)前記脳血管疾患が、微小動脈瘤であることを特徴とする上記(3)に記載の剤。
(6)前記ペリサイトが網膜ペリサイトであることを特徴とする上記(1)に記載の剤。
(7)前記ペリサイトの変成が糖尿病性網膜症の原因であることを特徴とする上記(6)に記載の剤。
(8)前記ペリサイトが末梢血管ペリサイトであることを特徴とする上記(1)に記載の剤。
(9)前記ペリサイトの変成が末梢性ニューロパチー、呼吸器疾患、腎臓疾患、ガンの転移の原因であることを特徴とする上記(8)に記載の剤。
(10)前記イミダゾールジペプチドが以下の式(I)または式(II)で表される化合物であることを特徴とする上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の剤。
(11)上記(10)に記載の剤を含有する糖尿病性網膜症の治療または予防のための医薬。
(12)上記(10)に記載の剤を含有する末梢性ニューロパチー、呼吸器疾患、腎臓疾患およびガンの転移の治療または予防のための医薬。
本発明の実施形態において、イミダゾールジペプチドとは、イミダゾール基を有するアミノ酸と他のアミノ酸がペプチド結合で結合した化合物のことである。本発明の実施形態において使用することができるイミダゾールジペプチドとしては、限定はしないが、例えば、アンセリン、カルノシン、バレニンおよびホモカルノシンを挙げることができる。
本発明の実施形態で使用されるイミダゾールジペプチドは、例えば、以下の式(I)で表されるアンセリンおよびその誘導体、または式(II)で表されるカルノシンおよびその誘導体である。
式(I)において、R1およびR2は、これらのいずれか一方が炭素数1〜6のアルキル基であり、他方が水素原子であることが好ましい。式(II)において、R2およびR3は、これらのいずれか一方が炭素数1〜6のアルキル基であり、他方が水素原子であることが好ましい。ここで、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
また、本実施形態において、「少なくとも1を含有する」とは、イミダゾールジペプチド、該イミダゾールジペプチドの塩、溶媒和物、水和物、およびそれらの代謝産物(以下、「イミダゾールジペプチド等」とする)の中から、1または2以上を含有するとの意味である。
本発明の実施形態における剤の有効成分としては、純粋な形態の任意の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などを用いることが可能である。
ペリサイトの変成または消失の「抑制(または阻害)」とは、なんらかの原因により、ペリサイトが変成するのを防いで正常な機能を維持し得るようにすること、または、ペリサイトの細胞死を防いで正常なペリサイトの数を維持することを指す。生体サンプル中のペリサイトは、例えば、ペリサイト細胞表面上に発現するPDGFR-β(Platelet-Derived Growth Factor β-receptor;血小板由来成長因子β受容体)などに対する抗PDGFR-β抗体を用いて検出することができる。
本発明の実施形態にかかるイミダゾールジペプチド等は、ペリサイトの変成、減少および消失を抑制する効果を発揮する。従って、該イミダゾールジペプチド等を有効成分として含有する剤、医薬または医薬組成物は、ペリサイトの変成、減少および消失によって惹起される疾患、あるいは、ペリサイトの変成、減少または消失によってその病態が悪化するようは疾患の予防および/または治療のために使用することができる。
また、網膜の毛細血管を取り巻くペリサイトの変成は、糖尿病性網膜症の原因であり、末梢血管または脳以外の臓器内に存在する血管(例えば、腎臓、肺、乳房など)を取り巻くペリサイトの変成は、糖尿病性ニューロパチーなどの末梢性ニューロパチー、さらにはペリサイトの変成や消失が関与する肺などの呼吸器疾患、腎臓疾患(慢性および急性)などの原因であるため、ペリサイトの変成(または消失)を抑制することで、これらの疾患の予防または治療の手段にすることができる。加えて、ペリサイトの変成や消失が関与する様々なガンの転移において、ペリサイトの変成(または消失)を抑制することで、これらの疾患の治療の手段にすることができる。
従って、本実施形態のイミダゾールジペプチド等は、糖尿病性網膜症、末梢性ニューロパチー、肺などの呼吸器疾患、腎臓疾患(慢性および急性)、ガンの転移の予防および/または治療のための剤、医薬または医薬組成物の有効成分として使用することができる。
一般的には、経口投与における成人1日あたりの投与量は0.01〜1,000 mg(有効成分重量)程度であり、1日1回または数回に分けて、あるいは数日ごとに投与することができる。注射剤として用いる場合には、成人に対して1日量0.001〜100mg(有効成分重量)を連続投与または間欠投与することが望ましい。
また、キットには使用説明書が添付されてもよい。本キットの使用説明は、紙などに印刷されたものであっても、CD-ROM、DVD-ROMなどの電磁的に読み取り可能な媒体に保存され、供給されてもよい。
ここで「治療」とは、疾患等に罹患した哺乳動物において、その病態の進行および悪化を阻止または緩和することを意味し、これによって該疾患の進行および悪化を阻止または緩和することを目的とする処置のことである。
また、「予防」とは、疾患等に罹患するおそれがある哺乳動物について、該疾患の発症または罹患を予め阻止することを意味し、これによって該疾患の諸症状等の発症を予め阻止することを目的とする処置のことである。
治療の対象となる「哺乳動物」は、哺乳類に分類される任意の動物を意味し、特に限定はしないが、例えば、ヒトの他、イヌ、ネコ、ウサギなどのペット動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマなどの家畜動物などのことである。特に好ましい「哺乳動物」は、ヒトである。
以下に実施例を示してさらに本発明の説明を行うが、実施例は、あくまでも本発明の実施形態の例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
1−1.使用動物および飼育方法
本実施例では、Jackson Laboratory (Bar Harbor, Maine, USA) より購入した家族性アルツハイマー病(Alzheimer's disease;AD)の2種類の原因遺伝子を有するB6C3 -Tg(APPswe, PSEN1dE9) 85 Dbo/Mmjaxマウスをもとに、発明者らの研究室内にて自家交配を続けたものを使用した。B6C3-Tg (APPswe,PSEN1dE9) 85Dbo/Mmjaxマウスは、家族性ADの原因遺伝子である、ヒトAPP遺伝子のSwedish変異型、およびヒトPSEN1遺伝子のExon 9が欠損した遺伝子を導入したダブルトランスジェニックマウスである(Jankowskyら, Biomol Eng 17:157-165 2001)。この変異遺伝子を持つトランスジェニックマウスと、同時に購入した変異遺伝子を持たない同系統の野生型マウスとの交配により繁殖をおこなった。仔世代はジェノタイピングにより遺伝子型を判別して実験に使用、または先行研究に基づき生後6週令以降の産仔を掛け合わせて、引き続き交配を行い、系統を維持した。飼育環境は、室温を約22℃から25℃に保ち、照明は12時間周期の明暗サイクル(8:00 light on/20:00 light off)に設定した。また、縦12.5 cm・横20 cm・高さ11 cmのプラスチックケージにて1ケージ最大5匹までとして飼育した。
なお、実験は東京大学による東京大学動物実験実施規則に従い行った。
産仔は生後3〜4週令で離乳し、雌雄判別を行った。その後、約6週令で以下のようにしてgenotypingを行った。
尾の先端約5 mmを採取し、600 mAnson U/ml Proteinase K (ProK; TAKARA BIO inc., Otsu, Japan) 1.5μlとLysis Buffer (100 mM Tris, 5 mM EDTA, 200 mM NaCl, 0.5 %Tween20 , pH8.5) 298.5 μlの混合液に入れ、55 ℃で12時間以上インキュベートした。その後、フェノール・クロロホルム抽出によりタンパク質や脂質などを取り除き、エタノール沈殿によりDNAを精製した。
DNA溶液の濃度を吸光度計 (Ultrospec 6300 pro ;GE Healthcare UK Ltd, Amersham Place, England)を用いて測定し、溶液を50〜200 ng/μlに希釈した。プライマーにはPrP sense primer、PrP antisense primer、APP sense primer、PS1 sense primerの4種類を用い、PCRを行った。使用したプライマーは以下に示す。
PrP sense primer : 5’- CCTCTTTGTGACTATGTGGACTGATGTCGG(配列番号1)
PrP antisense primer: 5’-GTGGATACCCCCTCCCCCAGCCTAGACC(配列番号2)
APP sense primer: 5’-CCGAGATCTCTGAAGTGAAGATGGATG(配列番号3)
PS1 sense primer: 5’- CAGGTGGTGGAGCAAGATG(配列番号4)
PCR mixtureの組成、PCRサイクルは、図1AおよびBに示す。PCRの反応には、PCR kit (TAKARA Tac Hot Start Version ;TAKARA BIO inc., Otsu, Japan) を使用した。反応終了後、エチジウムブロマイドを含む1.5%アガロースゲルを使用して、PCR産物を電気泳動した。紫外線照射器によりDNA増幅の有無を確認した。1,200 bp (PS1)、750 bp (PrP)、400 bp (APP)の3箇所にバンドがでた個体をトランスジェニックマウス、750 bp (PrP)1本のみしか得られなかった個体を野生型マウスと判断した(Jankowskyら, Biomol Eng 17:157-165, 2001)。
本実施例では、18ヶ月令以上のADモデルマウスおよび野生型マウスを使用し、それぞれアンセリン投与群と通常の水のみを与えるコントロール群を設けた。アンセリン投与群においては、滅菌水に鮭から高純度精製したアンセリン粉末(東海物産株式会社、Yokkaichi, Japan)を溶かした0.2%アンセリン溶液(2 g/L)を8週間自由摂取させた。また、3日に1度体重を測定した。給餌は全群同様に、固形飼料MF(オリエンタル酵母、Tokyo, Japan)を自由摂取させた。
マウスに麻酔をかけ、腹部・横隔膜を切開し、心臓を露出させた。右心房を切開後、左心室からPBS(phosphate-buffered Saline :137 mM NaCl(Wako), 2.68 mM KCl(Wako), 8.1 mM Na2HPO4 (Wako), 1.47 mM KH2PO4 (Wako; pH7.4)を約25 mL灌流した。脱血後、4 %パラホルムアルデヒド(PFA)液を約25 mL灌流し、脳組織の固定を行った。灌流固定後、脳を取り出し4 ℃で4 %PFAに浸漬し、一晩、後固定を行った。さらにこの固定した脳を30%スクロース溶液に移し、4 ℃で2日間スクロース置換を行った。その後OCT compound(Sakura Fineteck, Torrance, CA)で包埋し、-80℃で凍結させた。凍結した脳は、クライオスタット(Micron, Walldorf, Germany)を用いて厚さ40 μmの凍結脳切片を作製した。脳切片は、クライオプロテクタント(0.2 M Na2HPO4 12.8 ml/l (Wako), 0.2 M NaH2PO4 3.2 ml/l (Wako), DW 384 ml/l, ethylen glycol 300 ml/l (Wako), glycerol 300 ml/l (Wako))に浸けて、-30℃で保存した。これを以後の免疫染色に用いた。
PDGFR-βをペリサイトのマーカーとして使用し、ペリサイトの免疫染色を行った。また、トマトレクチンは、血管内皮細胞のマーカーとして血管の免疫染色に使用した。Iba1(Ionized calcium binding adapter molecule 1) は、マクロファージやミクログリアに特異的に発現しているカルシウム結合タンパク質である。
脳切片サンプル(アルツハイマー病モデルマウス(APPswe/PSENΔE9) 18ヶ月令以上の脳サンプルを使用)は、24 wellプレート中で、1mlのトリス緩衝生理食塩水(TBS:137 mM NacCl,2.68 mM KCl,25 mM Tris)で3回洗浄した。エッペンドルフチューブ(600μl入り)中で、3%正常ロバ血清、0.1%triton-X を含むTBS 400μlに30分間処理し、ブロッキングを行った。ブロッキング後、このブロッキング溶液にヤギ由来抗PDGFR-β抗体 (1:100, R & D, USA)抗体ならびにIba1抗体(1:1000)を使用して、3日間、4℃、サンプルを反応させた。反応後、TBSで3回洗浄した。洗浄後、ヤギ由来抗PDGFR-β抗体の2次抗体としてCy5標識ロバ由来抗ヤギIgG抗体 (1:100, JacksonImmunoResearch)を、Iba1の2次抗体としてDonkey anti-rabbit IgG Alexa488 Conjugated (1:1000)を、また、血管を染色するためにDyLight 594-標識トマトレクチン(1:200, Vector laboratories, USA)を3%正常ロバ血清、0.1%triton-X を含むTBS中で、サンプルと2時間、室温で遮光して反応させた。反応後、TBSで洗浄1回行った。その後4, 6-diamidino-2-phenylindole (DAPI) (1:5000 dilution; Sigma) をTBSで希釈し、15分間反応させた。反応後、再度TBSで15分洗浄した。洗浄後、スライドガラスにマウントし、封入剤(Shandon Immu-Mount;Thermo Scientific, Pittsburgh, PA)を切片の上に滴下しカバーガラスで封入した。その後、共焦点レーザー顕微鏡で観察、撮像を行った。
上記1−5に記載した方法で撮像したペリサイトの染色像を、ImgageJを用いて解析を行った。海馬およびの大脳皮質観察領域におけるPDGFR-β陽性面積の割合を血管被覆率として算出した。
海馬については、以下の観察を行いペリサイトの血管被覆率を算出した。
アンセリン投与群; 血管観察数 87(個体数n=3)
アンセリン未投与群;血管観察数 117(個体数n=3)
大脳皮質については、以下の観察を行いペリサイトの血管被覆率を算出した。
アンセリン投与群; 血管観察数 73(個体数n=3)
アンセリン未投与群;血管観察数 75(個体数n=3)
アルツハイマー病モデルマウスに高純度鮭アンセリンを2ヶ月間投与(250 mg/kg)した後、海馬領域の脳サンプルに対し、ペリサイトのマーカータンパク質であるPDGFR-βに対する抗体を用いて免疫染色を行った。また、脳血管については、血管内皮細胞に結合するトマトレクチンで染色を行った。結果を図2に示す。
アンセリン投与群とアンセリン未投与群を比較すると、アンセリン投与マウスの海馬では血管を取り巻くペリサイトが多く存在しているのに対し、未投与マウスの海馬では、ペリサイトの変成が進み、消失している領域が多く認められた(図2、ペリサイトの染色)。また、脳血管は、アンセリン投与群では、血管が多く張り巡らされているのに対し、未投与群では、血管が変成または消失している部分が確認された(図2、脳血管の染色)。他方、ミクログリアのマーカータンパク質であるIbalを用いて免疫染色を行ったところ、アンセリン投与群と未投与群との間で有意な差は認められなかった。
Claims (12)
- イミダゾールジペプチド、該イミダゾールジペプチドの塩、溶媒和物、水和物およびそれらの代謝産物からなるグループから選択される少なくとも1を含有する、ペリサイトの変成抑制剤。
- 前記ペリサイトが脳ペリサイトであることを特徴とする請求項1に記載の剤。
- 前記ペリサイトの変成が、神経変成疾患または脳血管疾患の原因であることを特徴とする請求項2に記載の剤。
- 前記神経変成疾患が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症または脳血管性認知症であることを特徴とする請求項3に記載の剤。
- 前記脳血管疾患が、微小動脈瘤であることを特徴とする請求項3に記載の剤。
- 前記ペリサイトが網膜ペリサイトであることを特徴とする請求項1に記載の剤。
- 前記ペリサイトの変成が糖尿病性網膜症の原因であることを特徴とする請求項6に記載の剤。
- 前記ペリサイトが末梢血管ペリサイトであることを特徴とする請求項1に記載の剤。
- 前記ペリサイトの変成が末梢性ニューロパチー、呼吸器疾患、腎臓疾患、ガンの転移の原因であることを特徴とする請求項8に記載の剤。
- 前記イミダゾールジペプチドが以下の式(1)または式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の剤。
- 請求項10に記載の剤を含有する糖尿病性網膜症の治療または予防のための医薬。
- 請求項10に記載の剤を含有する末梢性ニューロパチー、呼吸器疾患、腎臓疾患およびガンの転移の治療または予防のための医薬の治療または予防のための医薬。
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