JP2019524743A - リスク患者のアルツハイマー病の予防における使用のためのオキサジン誘導体 - Google Patents

リスク患者のアルツハイマー病の予防における使用のためのオキサジン誘導体 Download PDF

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Abstract

本発明は、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防における使用のためのオキサジン誘導体BACE−1阻害薬及びかかるオキサジン誘導体を含む医薬組成物であって、詳細には、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、オキサジン誘導体BACE−1阻害薬及びかかるオキサジン誘導体を含む医薬組成物に関する。

Description

本発明は、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防における使用のためのオキサジン誘導体及びかかるオキサジン誘導体を含む医薬組成物であって、詳細には、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、オキサジン誘導体及びかかるオキサジン誘導体を含む医薬組成物に関する。
アルツハイマー病(AD)は世界的に最も多く見られる神経障害の1つであり、最も一般的な消耗性の加齢に伴う病態であり、進行性の健忘、認知症、及び最終的に全般的な認知的不全及び死亡を引き起こす。現在、唯一の利用可能な薬理学的療法は、コリンエステラーゼ阻害薬などの対症的薬物又はADの二次的行動症状を管理するために用いられる他の薬物である。AD発病カスケードを標的とする研究治療には、アミロイド−β(Aβ)種の産生、蓄積、又は毒性の続発症を妨げることを意図したものが含まれる(Kramp VP,Herrling P,2011)。(1)Aβに対する能動又は受動免疫療法によるアミロイドクリアランスの亢進;(2)β部位APP切断酵素−1(BACE−1、アミロイド前駆体タンパク質[APP]のプロセシングに関与する酵素)の阻害を通じた産生の減少によってAβを減少させることを標的とする戦略には治療的価値がある可能性がある。
動物データ及びこの疾患の認知症ステージを標的とする最近の臨床試験で利益が限られていることに基づき、ADの進行を予防するか又は遅延させるのにAβ低減療法が発症前ステージで最も有効であり得るという考えが広まりつつある。この手法によれば、線維性Aβのプラトー、タウ(神経原線維)病変の広範な出現及び不可逆的なシナプス又はニューロン欠損に先立ち、症状及び疾患の発症前又は最も初期の段階で当事者を治療することが可能となる。
ε4アレルのアポリポタンパク質E(ApoE4)遺伝子は、アルツハイマー病(AD)の主要危険因子である。APOE遺伝子は、3つの多型アレル、ε2、ε3及びε4で存在し、ε3が最も高頻度である。APOEアイソフォームによってAβクリアランス、凝集及び沈着への影響が異なる。ε2は、保護的であるように見える一方、ε4保因者には病変の亢進及び年齢依存性認知機能低下の加速が認められる(レビューについては、Liu CC et al.,2013を参照されたい))。
ヒトApoEは、19番染色体に位置し(遺伝子APOE、Uniprot P02649、18アミノ酸のプロペプチドを含む317アミノ酸の遺伝子コード)、成熟形態は、299アミノ酸で構成され、及び可動性リンカーによってつなぎ合わされた2つの別個のN末端及びC末端ドメインを有する。N末端ドメインが受容体結合の結合ドメイン(aa136〜150)を含む一方、脂質結合ドメイン(aa240〜260)がC末端部に位置する。ヒトでは3つの主要なアイソフォーム(apoE2、3及び4)が知られ、ApoE3(112位にCys及び158位にArgを有する)のアレル頻度は、ヒトでは約50〜90%である。ヒトにおいて、ApoE2(112及び158位にCysを有する)は、アレル頻度が1〜5%であり、ApoE4(112及び158位にArgを有する)は、アレル頻度が5〜35%である。ApoE3及び4は、高親和性でLDL受容体に結合する一方、ApoE2は、(Cys−158に起因して)低い親和性のみを有する。
ApoE4ホモ接合体は、一般集団の約2〜3%を占めると推定され、発症時年齢が平均68歳であり、他のAPOE遺伝子型の人と比べてAD症状の発症リスクがはるかに高い(Corder EH et al.,1993)。85歳までには、症候性ADの生涯リスクは、男性ホモ接合体で51%及び女性ホモ接合体で60〜68%もの高さとなり得る。対応する85歳ApoE4ヘテロ接合体の危険率は、ApoE3/4遺伝子型を保因する男性及び女性についてそれぞれ23%及び30%、並びにApoE2/4遺伝子型を保因する男性及び女性についてそれぞれ20%及び27%である(Genin E et al.,2011)。ApoE4遺伝子の存在がAβクリアランス、凝集、及び沈着に影響を及ぼすことによってADリスクを高めることが提唱されている(Liu CC et al.,2013)。ApoE4ヘテロ接合体における脳アミロイド病変の存在は、ホモ接合体と比較してAD臨床症状の発症リスクを有意に増加させると予想される。
本明細書において「化合物1」と称される化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミドは、国際公開第2012/095469 A1号パンフレットに以前に記載された経口活性BACE阻害薬であり、BACE−2と比べてBACE−1に対する選択性が約3倍高く、及び関連するオフターゲット結合又は活性がない。
これまでのところ実地では挫折及び失望の割合が高いことを考えると(Cummings JL et al.,2014)、リスク患者において任意の実験的疾患修飾性AD療法が有効であると判明するかどうかに関しては不確実性の度合いが高い。しかしながら、本明細書で化合物1によって実証された、(i)望ましくない副作用、例えば毛髪変色のない、ApoE4トランスジェニックマウス及びヒトApoE4保因者におけるAβレベルの低減;(ii)APP23マウスモデルにおけるアミロイド−β沈着の低下;及び特に(iii)基礎的AD病変への効果を示すものである脳脊髄液のAβ42/Aβ40比の上昇における有効性の度合いの高さは、AD臨床症状の発症リスクがある患者、詳細にはApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する患者のADの予防において化合物1が有効となるであろうことを強く示唆している。
本明細書には第II相/第III相臨床試験が記載され、この試験は、認知障害のないApoE4ホモ接合体患者又は認知障害のないアミロイド陽性ApoE4ヘテロ接合体患者のADの予防における化合物1の有効性を実証するように設計された。現在の知識に基づき、BACE阻害薬療法は、アミロイド沈着の複数の潜在的原因とは無関係にアミロイドプラーク蓄積を低下させ且つ/又は予防するものと思われるため、この提案される臨床試験からの知見及び本明細書に記載される結果は、ApoE4ホモ接合体及びヘテロ接合体を越えたリスク患者(例えば、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、プレセニリン−1及び−2の遺伝子に突然変異を保因する患者(O’Brien RJ,Wong PC,2011)又はダウン症候群患者(Head E et al.,2012))のADに一般化して適用可能であり得る。
従って、本発明の第1の態様において、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防における使用のための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩が提供される。
本発明の第2の態様において、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防における使用のためのN−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物が提供される。
本発明の第3の態様において、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病を予防する方法であって、治療有効量の化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩をかかる患者に投与することを含む方法が提供される。
本発明の第4の態様において、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病を予防する方法であって、治療有効量の化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物をかかる患者に投与することを含む方法が提供される。
本発明の第5の態様において、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病を予防するための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
本発明の第6の態様において、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病を予防するための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の使用が提供される。
本発明の第7の態様において、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防用医薬を製造するための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。
化合物1又はNB−360で8週間慢性治療したC57BL/6マウスの毛色スコア(平均値±SEM)である。 8及び50μmol/kgの化合物1による治療時のC57BL/6マウスにおける最終投与後の脳Aβ40の減少(平均値±SD、n=4/群)である。 APOE4−TR雄及び雌マウスの前脳Aβ40レベルに対する化合物1の急性投与の効果(3〜5ヵ月齢、平均値±SEM)である。 APOE4−TR雄及び雌マウス(3〜5ヵ月齢)のCSF Aβ40レベルに対する化合物1の急性投与の効果(平均値±SEM)である。 APOE4−TR雄及び雌マウス(3〜5ヵ月齢)のCSF Aβ42レベルに対する化合物1の急性投与の効果(平均値±SEM)である。 APOE4−TR雄及び雌マウスにおける化合物1急性曝露(3〜5ヵ月齢、平均値±SD)である。 脳PK/PD関係(個体データ)である。 脳PK/PD関係(平均値±SD)である。 ヒト対象の複数用量漸増経口投与試験における化合物1の2週間曝露後のCSF Aβ40レベルに対する効果である。 ヒト対象のCSF Aβ40レベルに対する化合物1の効果−3ヵ月時におけるベースラインからの%変化率(最終投与後24時間)である。 Triton TX−100抽出APP23脳のAβ40に対する化合物1の効果である。 Triton TX−100抽出APP23脳のAβ42に対する化合物1の効果である。 Triton TX−100抽出APP23脳のsAPPαに対する化合物1の効果である。 Triton TX−100抽出APP23脳のsAPPβ(Swe)に対する化合物1の効果である。 APP23マウスの脳脊髄液中のAβ40に対する化合物1治療の効果である。 マウスにおけるギ酸可溶性Aβ40に対する化合物1の効果である(値は平均値±SEMである)。 マウスにおけるギ酸可溶性Aβ42に対する化合物1の効果である(値は平均値±SEMである)。 マウスにおけるギ酸可溶性全Aβ(40+42)に対する化合物1の効果である(値は平均値±SEMである)。 マウスにおけるギ酸可溶性Aβ42/40比に対する化合物1の効果である(値は平均値±SEMである)。 プラーク組織像に対する化合物1の効果 − 小型プラークの数(総面積に対して正規化したデータ)である。 プラーク組織像に対する化合物1の効果 − 中型プラークの数(総面積に対して正規化したデータ)である。 プラーク組織像に対する化合物1の効果 − 大型プラークの数(総面積に対して正規化したデータ)である。 プラーク組織像に対する化合物1の効果 − 総プラーク面積(総面積に対して正規化したデータ)である。 総GFAP陽性面積(総面積に対して正規化)である。平均値±SEMを示す。比較はダネットの多重比較検定で行った。 プラーク関連GFAP陽性面積(総面積に対して正規化)である。平均値±SEMを示す。比較はダネットの多重比較検定で行った。 非プラーク関連GFAP陽性面積(総面積に対して正規化)である。平均値±SEMを示す。比較はダネットの多重比較検定で行った。 近位GFAP陽性面積(総面積に対して正規化)である。平均値±SEMを示す。比較はダネットの多重比較検定で行った。 遠位GFAP陽性面積(総面積に対して正規化)である。平均値±SEMを示す。比較はダネットの多重比較検定で行った。 総IBA1陽性面積に対する化合物1治療の効果である。個別のミクログリア集団を示す(試料面積によって正規化)。平均値±SEMを示す。比較はダネットの多重比較検定で行った。 プラーク関連IBA1陽性面積に対する化合物1治療の効果である。個別のミクログリア集団を示す(試料面積によって正規化)。平均値±SEMを示す。比較はダネットの多重比較検定で行った。 非プラーク関連IBA1+面積に対する化合物1治療の効果である。個別のミクログリア集団を示す(試料面積によって正規化)。平均値±SEMを示す。比較はダネットの多重比較検定で行った。 近位IBA1+面積に対する化合物1治療の効果である。個別のミクログリア集団を示す(試料面積によって正規化)。平均値±SEMを示す。比較はダネットの多重比較検定で行った。 遠位IBA1+面積に対する化合物1治療の効果である。個別のミクログリア集団を示す(試料面積によって正規化)。平均値±SEMを示す。比較はダネットの多重比較検定で行った。 単独投与時及び強力なCYP3A4阻害薬イトラコナゾール又は強力なCYP3A4誘導薬リファンピシンとの併用投与時の化合物1のPKを判定する健常対象における2パート、非盲検、2期、固定順序試験の設計である。 ベースライン時にCSF Aβ42/Aβ40比<0.09を有する非ApoE4保因者及びApoE4保因者健常高齢対象の化合物1による治療に応答したCSF Aβ42/Aβ40比のベースラインからの変化倍数である。比較はダネットの多重比較検定で行った。
本発明の様々な実施形態を本明細書において記載する。
本発明の第1の態様のシリーズA実施形態
実施形態A1:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防における使用のための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A2:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因するか、又はダウン症候群を有する、実施形態A1に係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A3:患者は、アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因し、及び遺伝的素因は、
(i)アミロイド前駆体タンパク質、プレセニリン−1若しくはプレセニリン−2の遺伝子における突然変異、又は
(ii)ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーの存在
である、実施形態A2に係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A4:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、実施形態A3に係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A5:患者は、ApoE4アレルの1つのコピーを保因する、実施形態A4に係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A6:患者は、ApoE4アレルの2つのコピーを保因する、実施形態A4に係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A7:患者は、アミロイド陽性である、実施形態A1〜A6のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A8:アミロイド陽性は、PET又はCSF測定によって決定される、実施形態A7に係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A9:患者は、60〜75歳である、実施形態A3〜A8のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A10:化合物は、2週間の化合物曝露後にCSF中のAβ1−40の少なくとも70%の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態A1〜A9のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A11:化合物は、2週間の化合物曝露後にCSF中のAβ1−40の少なくとも50%の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態A1〜A9のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A12:化合物は、1日10〜30mgの用量で使用される、実施形態A1〜A9のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A13:化合物は、1日30〜50mgの用量で使用される、実施形態A1〜A9のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A14:化合物は、1日15mgの用量で使用される、実施形態A1〜A9のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A15:化合物は、1日50mgの用量で使用される、実施形態A1〜A9のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A16:化合物は、70〜170ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される、実施形態A1〜A9のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A17:化合物は、200〜500ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される、実施形態A1〜A9のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A18:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防における使用のための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩であって、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A19:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防における使用のための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩であって、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因し、化合物は、1日15又は50mgの用量で使用される、化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A20:遊離形態である、実施形態A1〜A19のいずれか1つに係る使用のための化合物。
実施形態A21:患者は、CYP3A4の阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない、実施形態A1〜A20のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A22:患者は、3ヵ月より長い期間にわたってCYP3A4阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない、実施形態A1〜A20のいずれか1つに係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A23:CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い誘導薬である、実施形態A21又はA22に係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
実施形態A24:CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な誘導薬である、実施形態A23に係る使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
本発明の第2の態様のシリーズB実施形態
実施形態B1:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防における使用のための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物。
実施形態B2:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因するか、又はダウン症候群を有する、実施形態B1に係る使用のための医薬組成物。
実施形態B3:患者は、アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因し、及び遺伝的素因は、
(i)アミロイド前駆体タンパク質、プレセニリン−1若しくはプレセニリン−2の遺伝子における突然変異、又は
(ii)ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーの存在
である、実施形態B2に係る使用のための医薬組成物。
実施形態B4:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、実施形態B3に係る使用のための医薬組成物。
実施形態B5:患者は、ApoE4アレルの1つのコピーを保因する、実施形態B4に係る使用のための医薬組成物。
実施形態B6:患者は、ApoE4アレルの2つのコピーを保因する、実施形態B4に係る使用のための医薬組成物。
実施形態B7:患者は、アミロイド陽性である、実施形態B1〜B6のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B8:アミロイド陽性は、PET又はCSF測定によって決定される、実施形態B7に係る使用のための医薬組成物。
実施形態B9:患者は、60〜75歳である、実施形態B3〜B8のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B10:化合物は、2週間の化合物曝露後にCSF中のAβ1−40の少なくとも70%の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態B1〜B9のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B11:化合物は、2週間の化合物曝露後にCSF中のAβ1−40の少なくとも50%の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態B1〜B9のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B12:化合物は、1日10〜30mgの用量で使用される、実施形態B1〜B9のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B13:化合物は、1日30〜50mgの用量で使用される、実施形態B1〜B9のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B14:化合物は、1日15mgの用量で使用される、実施形態B1〜B9のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B15:化合物は、1日50mgの用量で使用される、実施形態B1〜B9のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B16:化合物は、70〜170ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される、実施形態B1〜B9のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B17:化合物は、200〜500ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される、実施形態B1〜B9のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B18:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防における使用のための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物であって、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、医薬組成物。
実施形態B19:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防における使用のための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物であって、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因し、化合物は、1日15又は50mgの用量で使用される、医薬組成物。
実施形態B20:化合物は、遊離形態である、実施形態B1〜B19のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B21:患者は、CYP3A4の阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない、実施形態B1〜B20のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B22:患者は、3ヵ月より長い期間にわたってCYP3A4阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない、実施形態B1〜B20のいずれか1つに係る使用のための医薬組成物。
実施形態B23:CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い誘導薬である、実施形態B21又はB22に係る使用のための医薬組成物。
実施形態B24:CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な誘導薬である、実施形態B23に係る使用のための医薬組成物。
本発明の第3の態様のシリーズC実施形態
実施形態C1:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病を予防する方法であって、治療有効量の化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩をかかる患者に投与することを含む方法。
実施形態C2:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因するか、又はダウン症候群を有する、実施形態C1に係る方法。
実施形態C3:患者は、アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因し、及び遺伝的素因は、
(i)アミロイド前駆体タンパク質、プレセニリン−1若しくはプレセニリン−2の遺伝子における突然変異、又は
(ii)ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーの存在
である、実施形態C2に係る方法。
実施形態C4:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、実施形態C3に係る方法。
実施形態C5:患者は、ApoE4アレルの1つのコピーを保因する、実施形態C4に係る方法。
実施形態C6:患者は、ApoE4アレルの2つのコピーを保因する、実施形態C4に係る方法。
実施形態C7:患者は、アミロイド陽性である、実施形態C1〜C6のいずれか1つに係る方法。
実施形態C8:アミロイド陽性は、PET又はCSF測定によって決定される、実施形態C7に係る方法。
実施形態C9:患者は、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74又は75歳超である、実施形態C3〜C8のいずれか1つに係る方法。
実施形態C10:患者は、60〜75歳である、実施形態C3〜C8のいずれか1つに係る方法。
実施形態C11:化合物は、2、13、26、52、78、104、130、156、182、208、234、260、286、312、338、332、390、又は416週間の化合物曝露後にCSF中、血中、又は血漿中のAβ1−40の少なくとも10、20、30、40、50、60、70又は80%の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C12:化合物は、2、13、26、52、78、104、130、156、182、208、234、260、286、312、338、332、390、又は416週間の化合物曝露後にCSF中、血中、又は血漿中のAβ1−40の少なくとも70%の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C13:化合物は、2、13、26、52、78、104、130、156、182、208、234、260、286、312、338、332、390、又は416週間の化合物曝露後にCSF中、血中、又は血漿中のAβ1−40の少なくとも50%の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C14.化合物は、2、13、26、52、78、104、130、156、182、208、234、260、286、312、338、332、390、又は416週間の化合物曝露後に10、20、30、40、50、60、70又は80%〜99、97、95、93、90、87、85、80、75、70、65、60、55、又は50%の範囲のCSF中、血中又は血漿中のAβ1−40の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C15.化合物は、少なくとも80、85、90、93、95、97又は99%の患者、或いは80、85又は90〜99、97、95若しくは93%の患者に40〜70%、45〜65%若しくは50〜60%の範囲、又は少なくとも50%のCSF中、血中若しくは血漿中のAβ1−40の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C16.化合物は、少なくとも80、85、90、93、95、97又は99%の患者、或いは80、85又は90〜99、97、95若しくは93%の患者に65〜95%、75〜90%若しくは80〜90%の範囲、又は少なくとも80%のCSF中、血中若しくは血漿中のAβ1−40の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C17:化合物は、1日5〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、45〜50、50〜55mg、55〜60mg、60〜100mg、100〜200、200〜300mg、15〜85mg、50〜85mg、15〜300mg、又は50〜300mgの用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C18:化合物は、1日10〜30mgの用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C19:化合物は、1日30〜50mgの用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C20:化合物は、1日15mgの用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C21:化合物は、1日50mgの用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C22:化合物は、0〜50、50〜100、100〜150、150〜200、200〜250、250〜300、300〜350、350〜400、400〜450、450〜500、500〜550、550〜600、600〜650、又は650〜700ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C23:化合物は、70〜170ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C24:化合物は、200〜500ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される、実施形態C1〜C10のいずれか1つに係る方法。
実施形態C25:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病を予防する方法であって、治療有効量の化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩をかかる患者に投与することを含み、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、方法。
実施形態C26:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病を予防する方法であって、治療有効量の化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩をかかる患者に投与することを含み、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因し、化合物は、1日15又は50mgの用量で使用される、方法。
実施形態C27:化合物は、遊離形態である、実施形態C1〜C26のいずれか1つに係る方法。
実施形態C28:化合物1は、医薬組成物中に含まれる、実施形態C1〜C27のいずれか1つに係る方法。
実施形態C29:患者は、CYP3A4の阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない、実施形態C1〜C28のいずれか1つに係る方法。
実施形態C30:患者は、3ヵ月より長い期間にわたってCYP3A4阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない、実施形態C1〜C28のいずれか1つに係る方法。
実施形態C31:CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い誘導薬である、実施形態C29又はC30に係る方法。
実施形態C32:CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な誘導薬である、実施形態C31に係る方法。
本発明の第5の態様のシリーズD実施形態
実施形態D1:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病を予防するための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
実施形態D2:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因するか、又はダウン症候群を有する、実施形態D1に係る使用。
実施形態D3:患者は、アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因し、及び遺伝的素因は、
(i)アミロイド前駆体タンパク質、プレセニリン−1若しくはプレセニリン−2の遺伝子における突然変異、又は
(ii)ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーの存在
である、実施形態D2に係る使用。
実施形態D4:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、実施形態D3に係る使用。
実施形態D5:患者は、ApoE4アレルの1つのコピーを保因する、実施形態D4に係る使用。
実施形態D6:患者は、ApoE4アレルの2つのコピーを保因する、実施形態D4に係る使用。
実施形態D7:患者は、アミロイド陽性である、実施形態D1〜D6のいずれか1つに係る使用。
実施形態D8:アミロイド陽性は、PET又はCSF測定によって決定される、実施形態D7に係る使用。
実施形態D9:患者は、60〜75歳である、実施形態D3〜D8のいずれか1つに係る使用。
実施形態D10:化合物は、2週間の化合物曝露後にCSF中のAβ1−40の少なくとも70%の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態D1〜D9のいずれか1つに係る使用。
実施形態D11:化合物は、2週間の化合物曝露後にCSF中のAβ1−40の少なくとも50%の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態D1〜D9のいずれか1つに係る使用。
実施形態D12:化合物は、1日10〜30mgの用量で使用される、実施形態D1〜D9のいずれか1つに係る使用。
実施形態D13:化合物は、1日30〜50mgの用量で使用される、実施形態D1〜D9のいずれか1つに係る使用。
実施形態D14:化合物は、1日15mgの用量で使用される、実施形態D1〜D9のいずれか1つに係る使用。
実施形態D15:化合物は、1日50mgの用量で使用される、実施形態D1〜D9のいずれか1つに係る使用。
実施形態D16:化合物は、70〜170ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される、実施形態D1〜D9のいずれか1つに係る使用。
実施形態D17:化合物は、200〜500ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される、実施形態D1〜D9のいずれか1つに係る使用。
実施形態D18:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病を予防するための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩の使用であって、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、使用。
実施形態D19:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病を予防するための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩の使用であって、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因し、化合物は、1日15又は50mgの用量で使用される、使用。
実施形態D20:化合物は、遊離形態である、実施形態D1〜D19のいずれか1つに係る使用。
実施形態D21:化合物は、医薬組成物中に含まれる、実施形態D1〜D20のいずれか1つに係る使用。
実施形態D22:患者は、CYP3A4の阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない、実施形態D1〜D21のいずれか1つに係る使用。
実施形態D23:患者は、3ヵ月より長い期間にわたってCYP3A4阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない、実施形態D1〜D21のいずれか1つに係る使用。
実施形態D24:CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い誘導薬である、実施形態D22又はD23に係る使用。
実施形態D25:CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な誘導薬である、実施形態D24に係る使用。
本発明の第7の態様のシリーズE実施形態
実施形態E1:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防用医薬を製造するための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
実施形態E2:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因するか、又はダウン症候群を有する、実施形態E1に係る使用。
実施形態E3:患者は、アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因し、及び遺伝的素因は、
(i)アミロイド前駆体タンパク質、プレセニリン−1若しくはプレセニリン−2の遺伝子における突然変異、又は
(ii)ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーの存在
である、実施形態E2に係る使用。
実施形態E4:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、実施形態E3に係る使用。
実施形態E5:患者は、ApoE4アレルの1つのコピーを保因する、実施形態E4に係る使用。
実施形態E6:患者は、ApoE4アレルの2つのコピーを保因する、実施形態E4に係る使用。
実施形態E7:患者は、アミロイド陽性である、実施形態E1〜E6のいずれか1つに係る使用。
実施形態E8:アミロイド陽性は、PET又はCSF測定によって決定される、実施形態E7に係る使用。
実施形態E9:患者は、60〜75歳である、実施形態E3〜E8のいずれか1つに係る使用。
実施形態E10:化合物は、2週間の化合物曝露後にCSF中のAβ1−40の少なくとも70%の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態E1〜E9のいずれか1つに係る使用。
実施形態E11:化合物は、2週間の化合物曝露後にCSF中のAβ1−40の少なくとも50%の低下をもたらす1日用量で使用される、実施形態E1〜E9のいずれか1つに係る使用。
実施形態E12:化合物は、1日10〜30mgの用量で使用される、実施形態E1〜E9のいずれか1つに係る使用。
実施形態E13:化合物は、1日30〜50mgの用量で使用される、実施形態E1〜E9のいずれか1つに係る使用。
実施形態E14:化合物は、1日15mgの用量で使用される、実施形態E1〜E9のいずれか1つに係る使用。
実施形態E15:化合物は、1日50mgの用量で使用される、実施形態E1〜E9のいずれか1つに係る使用。
実施形態E16:化合物は、70〜170ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される、実施形態E1〜E9のいずれか1つに係る使用。
実施形態E17:化合物は、200〜500ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される、実施形態E1〜E9のいずれか1つに係る使用。
実施形態E18:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防用医薬を製造するための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩の使用であって、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、使用。
実施形態E19:アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防用医薬を製造するための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩の使用であって、アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因し、化合物は、1日15又は50mgの用量で使用される、使用。
実施形態E20:化合物は、遊離形態である、実施形態E1〜E19のいずれか1つに係る使用。
実施形態E21:医薬は、医薬組成物である、実施形態E1〜E20のいずれか1つに係る使用。
実施形態E22:患者は、CYP3A4の阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない、実施形態E1〜E21のいずれか1つに係る使用。
実施形態E23:患者は、3ヵ月より長い期間にわたってCYP3A4阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない、実施形態E1〜E21のいずれか1つに係る使用。
実施形態E24:CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い誘導薬である、実施形態E22又はE23に係る使用。
実施形態E25:CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な誘導薬である、実施形態E24に係る使用。
更なる発明において、アルツハイマー病の治療又は予防方法が提供され、この方法は、治療有効量の化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩を、それを必要としている患者に投与することを含み、ここで、患者は、CYP3A4の阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない。一実施形態において、患者は、3ヵ月より長い期間にわたってCYP3A4の阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない。一実施形態において、患者は、3ヵ月以下の期間にわたってCYP3A4阻害薬又は誘導薬で同時に治療される。一実施形態において、CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い誘導薬である。一実施形態において、CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な誘導薬である。一実施形態において、患者は、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74又は75歳超である。一実施形態において、患者は、60〜75歳である。一実施形態において、化合物は、2、13、26、52、78、104、130、156、182、208、234、260、286、312、338、332、390、又は416週間の化合物曝露後にCSF中、血中、又は血漿中のAβ1−40の少なくとも10、20、30、40、50、60、70又は80%の低下をもたらす1日用量で使用される。一実施形態において、化合物は、2、13、26、52、78、104、130、156、182、208、234、260、286、312、338、332、390、又は416週間の化合物曝露後にCSF中、血中、又は血漿中のAβ1−40の少なくとも70%の低下をもたらす1日用量で使用される。一実施形態において、化合物は、2、13、26、52、78、104、130、156、182、208、234、260、286、312、338、332、390、又は416週間の化合物曝露後にCSF中、血中、又は血漿中のAβ1−40の少なくとも50%の低下をもたらす1日用量で使用される。一実施形態において、化合物は、1日5〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、45〜50、50〜55mg、55〜60mg、60〜100mg、100〜200、200〜300mg、15〜85mg、50〜85mg、15〜300mg、又は50〜300mgの用量で使用される。一実施形態において、化合物は、1日10〜30mgの用量で使用される。一実施形態において、化合物は、1日30〜50mgの用量で使用される。一実施形態において、化合物は、1日15mgの用量で使用される。一実施形態において、化合物は、1日50mgの用量で使用される。一実施形態において、化合物は、0〜50、50〜100、100〜150、150〜200、200〜250、250〜300、300〜350、350〜400、400〜450、450〜500、500〜550、550〜600、600〜650、又は650〜700ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される。一実施形態において、化合物は、70〜170ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される。一実施形態において、化合物は、200〜500ng/mlの血漿定常状態Cmax値をもたらす1日用量で使用される。更なる実施形態において、化合物は、遊離形態で使用される。
更なる発明において、医薬としての使用のための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩が提供され、ここで、この医薬によって治療される患者は、CYP3A4阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない。更なる本発明の別の態様において、アルツハイマー病の治療又は予防における使用のための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩が提供され、ここで、患者は、CYP3A4の阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない。更なる本発明の一実施形態において、患者は、3ヵ月より長い期間にわたってCYP3A4の阻害薬又は誘導薬で同時に治療されない。更なる本発明の一実施形態において、患者は、3ヵ月以下の期間にわたってCYP3A4阻害薬又は誘導薬で同時に治療される。更なる実施形態において、CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な、中程度の、又は弱い誘導薬である。更なる実施形態において、CYP3A4阻害薬は、CYP3A4の強力な阻害薬であり、及びCYP3A4誘導薬は、CYP3A4の強力な誘導薬である。更なる実施形態において、化合物は、1日15又は50mgの用量で使用される。更なる実施形態において、化合物は、遊離形態で使用される。別の実施形態において、化合物は、医薬組成物中に含まれる。
定義
本明細書で使用されるとき、用語「化合物1」又は「Cmpd 1」は、以下の構造式:

を有するN−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミドを指す。
実施例1では、別の化学命名フォーマットを使用して、「化合物1」は、3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸[6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−トリフルオロメチル−3,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−イル)−5−フルオロ−ピリジン−2−イル]−アミドとも称される。
用語「化合物1」、「Cmpd 1」及びその対応する完全な化学名は、本発明の記載全体を通じて同義的に使用される。この用語は、一方の形態の化合物のみを意図することが文脈上明らかに指示されない限り、遊離形態又は薬学的に許容可能な塩の形態のいずれの化合物も指すことが意図される。化合物1は、国際公開第2012/095469 A1号パンフレット、実施例34に記載される。国際公開第2012/095469 A1号パンフレット、詳細には実施例34の合成に関する開示は、全体として本明細書によって参照により援用される。
本明細書で使用されるとき、用語「アルツハイマー病」又は「AD」は、発症前アルツハイマー病又は臨床的アルツハイマー病のいずれか一方のみを意図することが文脈上明らかにならない限り、発症前アルツハイマー病及び臨床的アルツハイマー病の両方を包含する。
本明細書で使用されるとき、用語「臨床的アルツハイマー病」又は「臨床的AD」は、ADに起因する軽度認知障害(MCI)又はADに起因する認知症のいずれか一方のみを意図することが文脈上明らかにならない限り、ADに起因するMCI及びADに起因する認知症の両方を包含する。
本明細書で使用されるとき、用語「発症前アルツハイマー病」又は「発症前AD」は、臨床症状がない中でのADのインビボ分子バイオマーカーの存在を指す。国立老化研究所(The National Institute on Aging)及びアルツハイマー病協会(Alzheimer’s Association)が、発症前ADの異なるステージを規定する以下の表1に示すスキームを提供している(Sperling et al.,2011)。
本明細書で使用されるとき、用語「アルツハイマー病の予防」は、ADの予防的処置;又はADの発症又は進行を遅延させることを指す。例えば、ADの発症又は進行は、少なくとも0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年遅延する。一実施形態において、「アルツハイマー病の予防」は、発症前ADの予防的処置;又は発症前ADの発症又は進行を遅延させることを指す。更なる実施形態において、発症前ADの発症又は進行は、少なくとも0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年遅延する。別の実施形態において、「アルツハイマー病の予防」は、臨床的ADの予防的処置;又は臨床的ADの発症又は進行を遅延させることを指す。更なる実施形態において、臨床的ADの発症又は進行は、少なくとも0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10年遅延する。
発症前ADの発症又は進行の遅延は、例えば、以下を測定することによる、開始時ベースライン値と比べたインビボ分子バイオマーカーを測定することにより評価し得る:
(a)脳アミロイド沈着の減少。例えば、陽電子放射断層撮影(PET)イメージングを使用して複合皮質アミロイド標準取込み値比(SUVR)のベースラインからの変化量を測定することによる。SUVR比の測定に好適なPETトレーサーは、18F−フロルベタピル(((E)−4−(2−(6−(2−(2−(2−([18F]−フルオロエトキシ)エトキシ)エトキシ)ピリジン−3−イル)ビニル)−N−メチルベンゼンアミン))である。この方法により、認知障害のない個体の独立した試料におけるアミロイド蓄積の経時的展開を測定し得る(Palmqvist S et al.,2015)。SUVR測定は、予め定義した皮質脳関心領域(ROI)において、予め定義した参照領域におけるトレーサー取込みと比べて計算し得る。皮質ROIには、限定はされないが、頭頂、後頭、外側側頭及び内側側頭新皮質領域、並びに初期ADで典型的に冒される領域を含め、ADで高いアミロイド沈着を有することが分かっている範囲が含まれる(Vlassenko AG et al.,2012)。一実施形態において、開始時ベースライン値に対する脳アミロイド沈着は、治療1年当たり0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10.0%未満の速度で減少する;
(b)基礎タウ病変への効果、より具体的にはPET及び好適なタウトレーサー、例えば18F−THK5351(Harada R et al.,2016)を使用して脳タウ病変のベースラインからのSUVR変化量を測定するか、又は脳脊髄液(CSF)を使用して総タウ及びリン酸化タウを測定する(Forlenza OV et al.,2015)。一実施形態において、CSFタウ又はリン酸化タウのレベルは開始時ベースライン値と比べて治療1年当たり少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50%減少する;
(c)18F−FDG(2−デオキシ−2−[18F]フルオログルコース)PET(各スキャンにつき200MBq)を使用した、ニューロンのグルコース代謝、密度及び/又は活性に対する効果。AD罹患脳領域の18F−FDG PETシグナルは、ADにおける認知障害、続く認知低下及び神経病理に関連し、ADの臨床的及び発症前ステージにおいて時間の経過に伴い進行することが示されており、疾患及び治療有効性バイオマーカーである(Foster NL et al.,2007)。データの分析により、選択された参照領域と比べたグルコース代謝の変化が決定される。一実施形態において、開始時ベースライン値と比べて18F−FDG PETにより決定したときのAD罹患脳領域におけるニューロングルコース代謝の低下は、治療1年当たり5、10、15、20、25又は30%未満に限られる;
(d)ボリューム磁気共鳴画像法(vMRI)により評価して脳容積のベースラインからの変化を測定したときの脳容積損失の低下の緩徐化。vMRIを使用すると、海馬、側脳室、及び総脳容積の変化を測定することができる。一実施形態において、海馬容積損失は、治療1年当たり1、2、又は3%未満に限られる;又は
(e)本明細書の実施例10に記載されるとおり、皮質アミロイド沈着の指標となる、例えば0.09未満のベースラインCSF Aβ1−42/Aβ1−40比を有する対象における経時的CSF Aβ1−42/Aβ1−40比。一実施形態において、CSF Aβ1−42/Aβ1−40比は、少なくとも3、6、9、12、18、24、又は36ヵ月の期間で開始時ベースライン値と比べて少なくとも10、20、30、40、50、80、100、200%増加する。
発症前ADの発症又は進行の遅延はまた、例えばアルツハイマー病予防イニシアチブ(API)発症前複合認知(APCC)検査バッテリーを使用した、疾患の発症前ステージの変化を追跡する高感度認知尺度を用いて開始時ベースライン値と比べて評価してもよい。APCCは、遅発性AD(LOAD)の臨床ステージへの進行リスクがある個体の認知低下を検出及び追跡する高感度ツールとして開発された(Langbaum JB et al.,2014)。
臨床的ADの発症の遅延は、ADに起因する認知及び機能障害の遅延を測定することにより、例えばADに起因する軽度認知障害(MCI)及び/又はADに起因する認知症の臨床診断までの時間の遅延を測定することにより評価してもよい。例えば、国立老化研究所−アルツハイマー病協会ワーキンググループによって提案されるコア臨床診断基準がMCI(Albert MS et al.,2011)又は認知症(McKhann GM et al.,2011)の診断に用いられてもよい。欧州医薬品庁(EMA)は、その「Draft guidelines on the clinical investigation of medicines for the treatment of AD and other dementias」(Committee for Medicinal Products for Human Use(CHMP)/539931/2014)において、ADに起因するMCI及びAD認知症の診断に向けた国立老化研究所基準を以下に示すとおり要約している。
ADに起因するMCIの診断には、以下によって認められる個人内低下のエビデンスが必要である:
a)自己報告又は情報提供者の報告及び/又は臨床医の判断によって指摘されるとおりの、これまで達成されていたレベルからの認知の変化。
b)年齢対応及び教育対応規範値と比べた少なくとも1つのドメイン(但し必ずしもエピソード記憶ではない)における認知障害;2つ以上の認知ドメインにおける障害は許容される。
c)機能的能力の非依存性の維持、但しこの基準はまた、手段的日常生活動作(IADL)の遂行における「軽度の問題」も、それが補助ありの場合のみであったとしても容認する(即ち非依存性が強く要求されるというよりむしろ、この基準は機能喪失に起因する軽度の依存性を許容する)。
d)認知症がない、これは名目上、c(上記)に応じたものとなる。
e)他の潜在的に認知症性の障害がない場合のADの表現型と一致する臨床像。以下によって診断の確信度を高めることが推奨され得る。
1)最適:陽性Aβバイオマーカー及び陽性変性バイオマーカー
2)最適未満:
i.陽性Aβバイオマーカー、変性バイオマーカーなし
ii.陽性変性バイオマーカー、Aβバイオマーカー検査なし
AD認知症の診断には、以下が必要である:
a)認知及び機能の個人内低下によって決定されるとおりの認知症の存在。
b)潜行性発症及び進行性認知低下。
c)2つ以上の認知ドメインにおける障害;健忘症症状が最も一般的であるが、この基準では、非健忘症症状(例えば、実行機能及び視空間能力の障害)に基づく診断も許容される。
d)他の認知症障害に関連する顕著な特徴がないこと。
e)上記のADに起因するMCIの節で考察したバイオマーカーアルゴリズムによって診断の確信度を高めることが推奨され得る。
ADに起因するMCI及びAD認知症の診断における認知障害及び低下は、例えば、以下を使用した、疾患の臨床ステージの変化を追跡する高感度認知尺度を使用して測定されてもよい:
a)臨床認知症評価(CDR)尺度−評価項目合計(SOB)。CDRは、認知及び機能的遂行を判定する全般的評価基準であり、ADの臨床研究で広く用いられている(Morris JC,1993)。この尺度は、6つのドメイン:記憶、見当識、判断力と問題解決、社会適応、家庭状況及び趣味、並びにセルフケアを評価する。各ドメインにスコアが割り当てられ、それらを合計して評価項目合計(SOB)スコアが求められる;
b)アーバンス神経心理検査(RBANS)。RBANS(Randolph C,1998)は、診断目的及び神経認知状態の経時的変化の追跡の両方に向けて特別に設計された臨床ツールである。このバッテリーの主要な設計目標の1つは、最軽度認知症を検出して特徴付けることである;又は
c)日常認知尺度(ECog)。ECogは、6つの認知に関連性のあるドメイン:日常記憶、日常言語、日常視空間能力、日常計画、日常秩序維持、及び日常注意散漫を含む39項目で構成される認知に関連性のある日常生活能力を測定する(Farias ST et al.,2008)。
ADに起因するMCI及びAD認知症の診断に用いるのに好適なAβバイオマーカーには、例えば、上記に記載したとおり、CSF Aβ1−40、Aβ1−42又は脳βアミロイド老人斑のPETイメージングが含まれる。
ADに起因するMCI及びAD認知症の診断に用いるのに好適な変性バイオマーカーは、発症前ADの発症又は進行の遅延の評価に用いられるインビボ分子バイオマーカーに関連して上記に記載され、例えば、基礎タウ病変への効果;ニューロングルコース代謝への効果;又は脳容積損失の低下の緩徐化が挙げられる。
本明細書で使用されるとき、用語「患者」は、ヒト対象を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者」は、以下を指す:
(a)アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を有するヒト対象、例えば、
i.アミロイド前駆体タンパク質(APP)若しくはプレセニリン−1及び−2の遺伝子に突然変異を保因する対象(O’Brien RJ,Wong PC,2011)、又は
ii.ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する対象(Liu CC et al.,2013)、
(b)ダウン症候群のヒト対象(Head E et al.,2012)、又は
(c)84歳超のヒト対象。
本明細書で使用されるとき、用語「アミロイド陽性」は、検出可能なレベルの蓄積したAβを脳に有する患者を指す。一実施形態において、CSF中のAβ若しくはアミロイドPETイメージング、又は両方の評価に基づき患者が検出可能なレベルの蓄積したAβを脳に有する場合、その患者は、「アミロイド陽性」である。本明細書で使用されるとき、用語「PETによって決定されるアミロイド陽性」は、バックグラウンドと比較したアミロイドPETトレーサー貯留レベルの増加を指す。アミロイド陽性の測定に好適なPETトレーサーとしては、18F−フロルベタピル(Palmqvist S et al.,2015)、18F−フロルベタベン(NeuraCeq)及び18F−フルテメタモル(Vizamyl)が挙げられる。例えば、脳18F−フロルベタピルPETスキャン(各スキャンにつき260MBq)に関する1.1以上のSUVRをアミロイド陽性診断閾値として使用してもよい(Schreiber S et al.,2015)。1.2又は1.3のSUVRも閾値として使用することができる。
本明細書で使用されるとき、用語「CSF測定によって決定されるアミロイド陽性」は、健常対照群で観察されるものと比較したCSF Aβ1−42値の減少を指す。例えば、アミロイド陽性は、CSF中192ng/L以下のAβ1−42値によって決定されてもよい(Mattsson N et al.,2015)。しかしながら、アミロイド陽性の決定に使用されるCSF Aβ1−42カットオフ値は、用いられる詳細な技法に応じて変わることになる(Forlenza OV et al.,2015)。アミロイド陽性はまた、CSF中0.09未満のAβ1−42/Aβ1−40比によって決定されてもよい(Janelidze S et al.,2016)。一実施形態において、Aβ1−42/Aβ1−40比又はAβ42/Aβ40比は、0.20、0.15、0.10、0.09、0.08、0.07、0.06又は0.05未満又は0.20〜0.01、0.15〜0.01、0.10〜0.01、又は0.05〜0.01である。Aβ1−40及びAβ1−42値は、例えば、Luminexプラットフォームでのモノクローナルシングル抗体サンドイッチ酵素結合免疫吸着(ELISA)アッセイ(Herskovitz AZ et al.,2013)又はMeso Scale Discovery(MSD)96ウェルMULTI−ARRAYヒト/げっ歯類(6E10)Aβ40及び42サンドイッチイムノアッセイ(Meso Scale Discovery,Rockville,MD,USA)を使用した標準的なイムノアッセイ技法を用いて測定し得る。
本明細書で使用されるとき、用語「CYP3A4」は、シトクロムP450 3A4を指す。CYP3A4は、多様な薬物の代謝において主要な役割を果たす酵素である(Luo G et al.,2004)。
本明細書で使用されるとき、用語「CYP3A4の誘導薬」は、CYP3A4活性レベルを増加させる薬物を指す。CYP3A4誘導薬の例としては、限定はされないが、カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、及びセント・ジョーンズ・ワートが挙げられる。CYP3A4活性の測定に好適な技法は周知である(例えば、Sevrioukova IF and Poulos TL,2015を参照されたい)。CYP3A4の「強力な」、「中程度の」、及び「弱い」誘導薬は、化合物1の血漿曲線下面積(AUC)(0〜無限大の曲線下面積(AUCinf)として計算する)をそれぞれ≧80%、≧50%〜<80%、及び≧20%〜<50%だけ低下させる薬物である。一実施形態において、「CYP3A4の誘導薬」は、「CYP3A4の強力な誘導薬」である。CYP3Aの強力な誘導薬の例としては、限定はされないが、カルバマゼピン、エンザルタミド、ミトタン、フェニトイン、リファンピン(別名リファンピシン)、及びセント・ジョーンズ・ワートが挙げられる。CYP3Aの中程度の誘導薬の例としては、限定はされないが、ボセンタン、エファビレンツ、エトラビリン、及びモダフィニルが挙げられる。CYP3Aの弱い誘導薬の例としては、限定はされないが、アルモダフィニル及びルフィナミドが挙げられる。http://www.fda.gov/Drugs/DevelopmentApprovalProcess/DevelopmentResources/DrugInteractionsLabeling/ucm093664.htm#table3−3(最終表示日2016年10月11日)を参照されたい。
本明細書で使用されるとき、用語「CYP3A4の阻害薬」は、CYP3A4活性レベルを低下させる薬物を指す。CYP3A4活性の測定に好適な技法は周知である(例えば、Sevrioukova IF and Poulos TL,2015を参照されたい)。CYP3A4阻害薬の例としては、限定はされないが、クラリスロマイシン、グレープフルーツジュース、及びイトラコナゾールが挙げられる。CYP3A4の「強力な」、「中程度の」、及び「弱い」阻害薬は、化合物1の血漿AUC(0〜無限大の曲線下面積(AUCinf)として計算する)をそれぞれ≧5倍、≧2〜<5倍、及び≧1.25〜<2倍増加させる薬物である。一実施形態において「CYP3A4の阻害薬」は、「CYP3A4の強力な阻害薬」である。CYP3Aの強力な阻害薬の例としては、限定はされないが、ボセプレビル、コビシスタット、コニバプタン、ダノプレビル及びリトナビル、エルビテグラビル及びリトナビル、グレープフルーツジュース、インジナビル及びリトナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ロピナビル及びリトナビル、パリタプレビル及びリトナビル及び(オムビタスビル及び/又はダサブビル)、ポサコナゾール、リトナビル、サキナビル及びリトナビル、テラプレビル、チプラナビル及びリトナビル、トロレアンドマイシン、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、ジルチアゼム、イデラリシブ、ネファゾドン、及びネルフィナビルが挙げられる。CYP3Aの中程度の阻害薬の例としては、限定はされないが、アプレピタント、シメチジン、シプロフロキサシン、クロトリマゾール、クリゾチニブ、シクロスポリン、ドロネダロン、エリスロマイシン、フルコナゾール、フルボキサミン、イマチニブ、トフィソパム、及びベラパミルが挙げられる。CYP3Aの弱い阻害薬の例としては、限定はされないが、クロルゾキサゾン、シロスタゾール、ホスアプレピタント、イストラデフィリン、アイバカフトール、ロミタピド、ラニチジン、ラノラジン、タクロリムス、及びチカグレロルが挙げられる。http://www.fda.gov/Drugs/DevelopmentApprovalProcess/DevelopmentResources/DrugInteractionsLabeling/ucm093664.htm#table3−2(最終表示日2016年10月11日)を参照されたい。
本明細書で使用されるとき、用語「CYP3A4の阻害薬又は誘導薬で同時に治療される」は、患者がCYP3A4の阻害薬又は誘導薬による治療レジメンに供される一方で化合物1による治療レジメンにも供される状況を指す。一実施形態において、患者は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16週間より長くCYP3A4の阻害薬又は誘導薬と化合物1とで同時に治療されることはない。別の実施形態において、患者は、1、2、3、4、5、7、10、又は12ヵ月より長くCYP3A4の阻害薬又は誘導薬と化合物1とで同時に治療されることはない。特定の実施形態において、患者は、3ヵ月より長くCYP3A4の阻害薬又は誘導薬と化合物1とで同時に治療されることはない。
本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容可能な塩」は、本発明の化合物の生物学的有効性を保持し、且つ典型的には生物学的に又は他に望ましくないものでない塩を指す(Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,2nd Revised Edition(2011)P.Heinrich Stahl,Camille G.Wermuth)。
本明細書で使用されるとき、「医薬組成物」は、経口投与に好適な固体形態(典型的にはゼラチンカプセル)で、本発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体とを含む。
本発明の化合物の「治療有効量」という用語は、開始時ベースライン値と比べたCSF又は血漿Aβ1−40レベルの減少から明らかなとおりの患者のBACE−1の阻害を誘発することになる本発明の化合物の量を指す。
明確にするため、本明細書に範囲が提供されるときには常に、前記範囲が端点を含むことが意図される。例えば、1日30〜50mgの用量範囲は、1日30及び50mgの用量も含む。
以下の実施例は、どのように化合物1を調製し得るかを例示し(実施例1);比較化合物NB−360で観察される望ましくない毛髪変色の副作用なしに野生型マウスのAβレベルを減少させるのに化合物1が有効であることを実証し(実施例2);APOE4トランスジェニックマウスモデルで化合物1のPK/PD効果を明らかにし(実施例3);ファースト・イン・ヒューマン臨床試験で化合物1のPD効果を明らかにし(実施例4);3ヵ月臨床試験で化合物1の安全性及び忍容性を実証し(実施例5);3ヵ月臨床試験で化合物1 PD応答に対するApoE4遺伝子型の効果を明らかにし(実施例6);APP23 ADマウスモデルでアミロイドプラークの数及び面積の減少における化合物1の治療有効性を実証し(実施例7);ApoE4ホモ接合体リスク患者において化合物有効性試験をどのように実施し得るかを例示し(実施例8);CYP3A4の強力な阻害薬又は誘導薬と併用して投与したとき化合物1のAUCがどのように影響を受けるかを明らかにし(実施例9);及びApoE4保因患者及び非保因患者の両方で化合物1による治療が基礎AD病変にどのように影響を与えるかを実証する(実施例10)。
実施例1:化合物1の調製
化合物1の調製については、国際公開第2012/095469 A1号パンフレット(実施例34)に記載される。化合物1はまた、以下に記載するとおり調製されてもよい。
NMR法
プロトンスペクトルは、特に注記されない限り、Bruker 400MHz ultrashield分光計で記録する。化学シフトは、メタノール(δ3.31)、ジメチルスルホキシド(δ2.50)、又はクロロホルム(δ7.29)に対するppm単位で報告する。少量の乾燥試料(2〜5mg)を適切な重水素化溶媒(0.7mL)に溶解する。シミングは、自動化され、スペクトルは、当業者に周知の手順に従って得られる。
一般的クロマトグラフィー情報
HPLC方法H1(RtH1):
HPLC−カラム寸法:3.0x30mm
HPLC−カラムタイプ:ZorbaxSB−C18,1.8μm
HPLC−溶出液:A)水+0.05Vol.−%TFA;B)ACN+0.05Vol.−%TFA
HPLC−グラジエント:30−100%B 3.25分,流量=0.7ml/分
LCMS方法H2(RtH2):
HPLC−カラム寸法:3.0x30mm
HPLC−カラムタイプ:ZorbaxSB−C18,1.8μm
HPLC−溶出液:A)水+0.05Vol.−%TFA,B)ACN+0.05Vol.−%TFA
HPLC−グラジエント:B10−100%3.25分,流量=0.7ml/分
UPLCMS方法H3(RtH3):
HPLC−カラム寸法:2.1x50mm
HPLC−カラムタイプ:Acquity UPLCHSS T3,1.8μm
HPLC−溶出液:A)水+0.05Vol.−%ギ酸+3.75mM酢酸アンモニウムB)ACN+0.04Vol.−%ギ酸
HPLC−グラジエント:2−98%B1.4分,98%B0.75分,流量=1.2ml/分
HPLC−カラム温度:50℃
LCMS方法H4(RtH4):
HPLC−カラム寸法:3.0x30mm
HPLC−カラムタイプ:Zorbax SB−C18,1.8μm
HPLC−溶出液:A)水+0.05Vol.−%TFA;B)ACN+0.05Vol.−%TFA
HPLC−グラジエント:70−100%B3.25分,流量=0.7ml/分
LCMS方法H5(RtH5):
HPLC−カラム寸法:3.0x30mm
HPLC−カラムタイプ:ZorbaxSB−C18,1.8μm
HPLC−溶出液:A)水+0.05Vol.−%TFA;B)ACN+0.05Vol.−%TFA
HPLC−グラジエント:80−100% B3.25分,流量=0.7ml/分
LCMS方法H6(RtH6):
HPLC−カラム寸法:3.0x30mm
HPLC−カラムタイプ:Zorbax SB−C18,1.8μm
HPLC−溶出液:A)水+0.05Vol.−%TFA;B)ACN+0.05Vol.−%TFA
HPLC−グラジエント:40−100% B3.25分,流量=0.7ml/分
a)2−ブロモ−5−フルオロ−4−トリエチルシラニル−ピリジン
370ml THF中ジイソプロピルアミン(25.3g、250mmol)の溶液を−75℃のドライアイスアセトン浴で冷却した。温度を−50℃未満に維持しながらBuLi(100ml、250mmol、ヘキサン中2.5M)を滴下して加えた。混合物の温度が再び−75℃に達した後、45ml THF中2−ブロモ−5−フルオロピリジン(36.7g、208mmol)の溶液を滴下して加えた。この混合物を−75℃で1時間撹拌した。トリエチルクロロシラン(39.2g、260mmol)を速やかに加えた。温度は、−50℃未満のままであった。冷却浴を除去し、反応混合物を−15℃に温まるまで放置し、NHCl水溶液(10%)に注いだ。TBMEを加え、層を分離させた。有機層をブラインで洗浄し、MgSO・HOで乾燥させ、ろ過して蒸発させると、褐色の液体が得られ、これを0.5mmHgで蒸留させて表題化合物を淡黄色の液体(b.p.105〜111℃)として得た。HPLC:RtH4=2.284min;ESIMS:290,292[(M+H),1Br];H−NMR(400MHz,CDCl):8.14(s,1H),7.40(d,1H),1.00−0.82(m,15H).
b)1−(6−ブロモ−3−フルオロ−4−トリエチルシラニル−ピリジン−2−イル)−エタノン
500ml THF中ジイソプロピルアミン(25.4g、250mmol)の溶液を−75℃に冷却した。温度を−50℃未満に維持しながらBuLi(100ml、250mmol、ヘキサン中2.5M)を滴下して加えた。反応温度が再び−75℃に達した後、60ml THF中2−ブロモ−5−フルオロ−4−トリエチルシラニル−ピリジン(56.04g、193mmol)の溶液を滴下して加えた。この混合物をドライアイス浴中で70分間撹拌した。N,N−ジメチルアセトアミド(21.87g、250mmol)を速やかに加え、反応温度が−57℃に上昇した。この反応混合物をドライアイス浴中で15分間撹拌し、次に−40℃に温まるまで放置した。これを2M HCl水溶液(250ml、500mmol)、250ml水及び100mlブラインの混合物に注いだ。この混合物をTBMEで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSO・HOで乾燥させ、ろ過して蒸発させると、黄色の油が得られ、これをシリカゲルカラムでヘキサン/0〜5%TBMEによる溶出によって精製して58.5gの表題化合物を黄色の液体として得た。TLC(Hex/TBME 99/1):R=0.25;HPLC:RtH4=1.921min;ESIMS:332,334[(M+H),1Br];H−NMR(400MHz,CDCl):7.57(d,1H),2.68(s,3H),1.00−0.84(m,15H).
c)(S)−2−(6−ブロモ−3−フルオロ−4−トリエチルシラニル−ピリジン−2−イル)−2−トリメチルシラニルオキシ−プロピオニトリル
最初は、100ml乾燥DCM中に水(54mg、3.00mmol)を溶解させることにより触媒溶液を調製した(≦0.001%水)。この湿潤DCM(44ml、1.32mmol含水量)を20ml乾燥DCM中チタン(IV)ブトキシド(500mg、1.47mmol)の十分に撹拌した溶液に加えた。得られた澄明な溶液を1時間還流した。次に、この溶液を室温に冷却し、2,4−ジ−tert−ブチル−6−{[(E)−(S)−1−ヒドロキシメチル−2−メチル−プロピルイミノ]−メチル}−フェノール[CAS 155052−31−6](469mg、1.47mmol)を加えた。得られた黄色の溶液を室温で1時間撹拌した。この触媒溶液(0.023M、46.6ml、1.07mmol)を223ml乾燥DCM中1−(6−ブロモ−3−フルオロ−4−トリエチルシラニル−ピリジン−2−イル)−エタノン(35.53g、107mmol)及びシアン化トリメチルシリル(12.73g、128mmol)の溶液に加えた。この混合物を2日間撹拌し、蒸発させて、47gの粗表題化合物をオレンジ色の油として得た。HPLC:RtH5=2.773min;ESIMS:431,433[(M+H),1Br];H−NMR(400MHz,CDCl):7.46(d,1H),2.04(s,3H),1.00(t,9H),1.03−0.87(m,15H),0.20(s,9H).
d)(R)−1−アミノ−2−(6−ブロモ−3−フルオロ−4−トリエチルシラニル−ピリジン−2−イル)−プロパン−2−オールヒドロクロリド
ボラン・硫化ジメチル錯体(16.55g、218mmol)を470ml THF中の粗(S)−2−(6−ブロモ−3−フルオロ−4−トリエチルシラニル−ピリジン−2−イル)−2−トリメチルシラニルオキシ−プロピオニトリル(47g、109mmol)の溶液に加えた。この混合物を2時間還流した。加熱浴を除去し、MeOHを慎重に滴下して加えることにより反応混合物をクエンチした。気体の発生が止んだ後、6M HCl水溶液(23.6ml、142mmol)をゆっくりと加えた。得られた溶液を蒸発させて、残渣をMeOH中に溶解して蒸発(2回)させて、以降の反応に十分な純度の44.5gの黄色の泡を得た。HPLC:RtH1=2.617min;ESIMS:363,365[(M+H),1Br];H−NMR(400MHz,CDCl):7.93(s,br,3H),7.53(d,1H),6.11(s,br,1H),3.36−3.27(m,1H),3.18−3.09(m,1H),1.53(s,3H),0.99−0.81(m,15H).
e)(R)−N−(2−(6−ブロモ−3−フルオロ−4−(トリエチルシリル)ピリジン−2−イル)−2−ヒドロキシプロピル)−4−ニトロベンゼンスルホンアミド
335ml THF中の粗(R)−1−アミノ−2−(6−ブロモ−3−フルオロ−4−トリエチルシラニル−ピリジン−2−イル)−プロパン−2−オールヒドロクロリド(43.5g、109mmol)の溶液に500ml水中NaHCO(21.02g、250mmol)の溶液を加えた。この混合物を0〜5℃に冷却し、100ml THF中4−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(26.5g、120mmol)の溶液を滴下して加えた。温度を室温に到達させながら得られたエマルションを一晩撹拌した。この混合物をTBMEで抽出した。有機層をMgSO・HOで乾燥させ、ろ過して蒸発させると、オレンジ色の樹脂が得られ、これをシリカゲルカラムでヘキサン/10〜20%EtOAcによる溶出により精製して、37.56gの表題化合物を黄色の樹脂として得た。TLC(Hex/EtOAc 3/1):R=0.34;HPLC:RtH4=1.678min;ESIMS:548,550[(M+H),1Br];H−NMR(400MHz,DMSO−d):8.40(d,2H),8.06(t,1H),7.97(d,2H),7.45(d,1H),5.42(s,1H),3.23(d,2H),1.44(s,3H)0.97−0.81(m,15H);ChiralHPLC(Chiralpak AD−H 1213,UV 210nm):90%ee.
f)6−ブロモ−3−フルオロ−2−[(S)−2−メチル−1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−アジリジン−2−イル]−4−トリエチルシラニル−ピリジン
510ml THF中トリフェニルホスフィン(21.55g、82mmol)及び(R)−N−(2−(6−ブロモ−3−フルオロ−4−(トリエチルシリル)ピリジン−2−イル)−2−ヒドロキシプロピル)−4−ニトロベンゼンスルホンアミド(37.56g、69mmol)の溶液を4℃に冷却した。温度を10℃未満に維持しながらトルエン中アゾジカルボン酸ジエチルの溶液(40重量%、38.8g、89mmol)を滴下して加えた。冷却浴を除去し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。この反応混合物を約1000mlトルエンで希釈し、ロータリーエバポレータにおける蒸発によってTHFを除去した。得られた粗生成物のトルエン溶液をシリカゲルカラムでヘキサン/5〜17%EtOAcによる溶出により予め精製した。最も純粋な画分を合わせ、蒸発させ、TBME/ヘキサンから結晶化させて、29.2gの表題化合物を白色の結晶として得た。HPLC:RtH4=2.546min;ESIMS:530,532[(M+H)、1Br];H−NMR(400MHz,CDCl):8.40(d,2H),8.19(d,2H),7.39(d,1H),3.14(s,1H),3.02(s,1H),2.01(s,3H)1.03−0.83(m,15H);α[D]−35.7°(c=0.97,DCM).
g)6−ブロモ−3−フルオロ−2−[(S)−2−メチル−1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−アジリジン−2−イル]−ピリジン
フッ化カリウム(1.1g、18.85mmol)を25ml THF中6−ブロモ−3−フルオロ−2−[(S)−2−メチル−1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−アジリジン−2−イル]−4−トリエチルシラニル−ピリジン(5g、9.43mmol)及びAcOH(1.13g、9.43mmol)の溶液に加えた。DMF(35ml)を加え、懸濁液を室温で1時間撹拌した。反応混合物をNaHCO飽和水溶液及びTBMEの混合物に注いだ。層を分離し、ブライン及びTBMEで洗浄した。合わせた有機層をMgSO・HOで乾燥させ、ろ過して蒸発させると、黄色の油が得られ、これをTBME/ヘキサンから結晶化させて、3.45gの表題化合物を白色の結晶として得た。HPLC:RtH6=2.612min;ESIMS:416,418[(M+H),1Br];H−NMR(400MHz,CDCl):8.41(d,2H),8.19(d,2H),7.48(dd,1H),7.35(t,1H),3.14(s,1H),3.03(s,1H),2.04(s,3H);α[D]−35.7°(c=0.89,DCM).
h)(R)−2−[(R)−2−(6−ブロモ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロポキシ]−3,3,3−トリフルオロ−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル
DMF(158ml)中(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル(11.93g、64.1mmol)の溶液の真空排気/窒素フラッシュを2回行った。水浴による冷却を用いて約25℃の反応温度を維持しながらDMF(17ml)中KOtBu(6.21g、55.5mmol)の溶液を滴下して加えた。15分後、固体の6−ブロモ−3−フルオロ−2−[(S)−2−メチル−1−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニル)−アジリジン−2−イル]−ピリジン(17.78g、42.7mmol)を加え、撹拌を3時間継続した。この反応混合物を1M HCl(56ml)、ブライン及びTBMEの混合物に注いだ。層を分離し、ブライン及びTBMEで洗浄した。合わせた有機層をMgSO・HOで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。粗反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/25〜33%TBME)によって精製すると16.93gの表題化合物が黄色の樹脂として得られ、これは、異性体副生成物により不純であった(H−NMRによるとき70:30比)。
HPLC:RtH6=2.380min;ESIMS:602,604[(M+H),1Br];H−NMR(400MHz,CDCl):8.32(d,2H),8.07(d,2H),7.46−7.41(m,1H),7.30−7.23(m,1H),6.92(s,1H),3.39−4.30(m,2H),3.95(d,1H),3.84(d,1H),1.68(s,3H),1.56(s,3H),1.40−1.34(m,3H)+異性体副生成物.
i)(R)−2−[(R)−2−(6−ブロモ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロポキシ]−3,3,3−トリフルオロ−2−メチル−プロピオンアミド
NH/MeOH(7M、482ml)中(R)−2−[(R)−2−(6−ブロモ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロポキシ]−3,3,3−トリフルオロ−2−メチル−プロピオン酸エチルエステル(16.93g、28.1mmol)の溶液を密閉容器内において50℃で26時間撹拌した。この反応混合物を蒸発させ、残渣をDCMから結晶化させて、9.11gの表題化合物を無色の結晶として得た。
HPLC:RtH6=2.422min;ESIMS:573,575[(M+H),1Br];H−NMR(400MHz,CDCl):8.33(d,2H),8.06(d,2H),7.42(dd,1H),7.30−7.26(m,1H),7.17(s,br,1H),6.41(s,1H),5.57(s,br,1H),4.15(m,2H),1.68(s,3H),1.65(s,3H).
j)N−[(R)−1−(6−ブロモ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2−((R)−1−シアノ−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エトキシ)−1−メチル−エチル]−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド
85ml DCM中(R)−2−[(R)−2−(6−ブロモ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−プロポキシ]−3,3,3−トリフルオロ−2−メチル−プロピオンアミド(8.43g、14.70mmol)及びトリエチルアミン(5.12ml、36.8mmol)の懸濁液を0〜5℃に冷却した。無水トリフルオロ酢酸(2.49ml、17.64mmol)を30分かけて滴下して加えた。更なるトリエチルアミン(1.54ml、11.07mmol)及び無水トリフルオロ酢酸(0.75ml、5.29mmol)を加えて反応を完了させた。14mlアンモニア水(25%)及び14ml水を加えることにより反応混合物をクエンチした。このエマルションを15分間撹拌し、更なる水及びDCMを加え、層を分離した。有機層をMgSOOで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/10〜25%EtOAc)による精製により、8.09gの表題化合物を黄色の樹脂として得た。
HPLC:RtH6=3.120min;ESIMS:555,557[(M+H)、1Br];H−NMR(400MHz,CDCl):8.35(d,2H),8.11(d,2H),7.50(dd,1H),7.32(dd,1H),6.78(s,1H),4.39(d 1H),4.22(d,1H),1.68(s,6H).
k)(2R,5R)−5−(6−ブロモ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2,5−ジメチル−2−トリフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−イルアミン
92mlエタノール中N−[(R)−1−(6−ブロモ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2−((R)−1−シアノ−2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エトキシ)−1−メチル−エチル]−4−ニトロ−ベンゼンスルホンアミド(9.18g、16.53mmol)及びN−アセチルシステイン(5.40g、33.10mmol)の溶液を真空排気し、窒素でフラッシュした。KCO(4.57g、33.1mmol)を加え、混合物を80℃で3日間撹拌した。反応混合物を元の容積の約1/4になるまで真空濃縮し、水とTBMEとに分配した。有機層を10%KCO水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過して蒸発させると、黄色の油が得られた。シリカカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/14〜50%(EtOAc:MeOH 95:5))により、4.55gの表題化合物をオフホワイトの固体として得た。
HPLC:RtH2=2.741min;ESIMS:370,372[(M+H),1Br];H−NMR(400MHz,DMSO−d):7.71−7.62(m,2H),5.97(s,br,2H),4.02(d 1H),3.70(d,1H),1.51(s,3H),1.47(s,3H).
l)(2R,5R)−5−(6−アミノ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2,5−ジメチル−2−トリフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−イルアミン
ガラス/ステンレス鋼オートクレーブを窒素でパージし、エチレングリコール(130ml)中CuO(0.464g、3.24mmol)、アンモニア(101ml、25%、aq.、648mmol、30当量)及び(2R,5R)−5−(6−ブロモ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2,5−ジメチル−2−トリフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−イルアミン(8g、21.6mmol)を加えた。オートクレーブを閉じ、懸濁液を60℃に加熱し、溶液を約48時間撹拌した(最大圧力0.7バール、内部温度59〜60℃)。反応混合物を酢酸エチル及び水で希釈した。有機相を水で洗浄し、12%アンモニア水で4回洗浄し、及び最後にブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。粗生成物(7g、幾らかのエチレングリコールを含む、定量的収率)を更なる精製なしに次の工程で使用した。
HPLC:RtH3=0.60min;ESIMS:307[(M+H)].
m)[(2R,5R)−5−(6−アミノ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2,5−ジメチル−2−トリフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
ジクロロメタン(185ml)中(2R,5R)−5−(6−アミノ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2,5−ジメチル−2−トリフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−イルアミン(6.62g、21.6mmol)、BocO(4.72g、21.6mmol)及びヒューニッヒ塩基(5.66ml、32.4mmol)の溶液を室温で18時間撹拌した。反応混合物をNaHCO飽和水溶液及びブラインで洗浄した。水層をジクロロメタンで逆抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して蒸発させると、淡緑色の固体が得られた(14g)。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン:酢酸エチル95:5〜60:40)にかけて、7.68gの表題化合物を得た。
TLC(シクロヘキサン:酢酸エチル3:1):Rf=0.21;HPLC:RtH3=1.14min;ESIMS:408[(M+H)];H−NMR(400MHz,CDCl3):11.47(br.s,1H),7.23(dd,J=10.42,8.78Hz,1H),6.45(dd,J=8.78,2.64Hz,1H),4.50(br.s,2H),4.32(d,J=2.38Hz,1H),4.10(d,J=11.80Hz,1H),1.69(s,3H,CH3),1.65(s,3H,CH3),1.55(s,9H).
n)((2R,5R)−5−{6−[(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−フルオロ−ピリジン−2−イル}−2,5−ジメチル−2−トリフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
[(2R,5R)−5−(6−アミノ−3−フルオロ−ピリジン−2−イル)−2,5−ジメチル−2−トリフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(3.3g、8.12mmol)、3−クロロ−5−トリフルオロメチルピコリン酸(2.2g、9.74mmol)、HOAt(1.99g、14.62mmol)及び塩酸EDC(2.33g、12.18mmol)の混合物をDMF(81ml)中、室温で48時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して蒸発させた。粗生成物(12g)をシリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン対シクロヘキサン:酢酸エチル1:1)にかけて、5.2gの表題化合物を得た。
TLC(シリカ、シクロヘキサン:酢酸エチル3:1):R=0.47;HPLC:RtH3=1.40min;ESIMS:615,616[(M+H),1Cl];H−NMR(400MHz,CDCl):11.68(s,1H),10.41(s,1H),8.81(dd,J=1.82,0.69Hz,1H),8.45(dd,J=8.91,3.14Hz,1H),8.19(dd,J=1.88,0.63Hz,1H),7.59(dd,J=9.79,9.16Hz,1H),4.38(d,J=2.13Hz,1H),4.18(d,J=11.80Hz,1H),1.75(s,3H),1.62(s,3H),1.60(s,9H).
o)3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボン酸[6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−トリフルオロメチル−3,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−イル)−5−フルオロ−ピリジン−2−イル]−アミド
ジクロロメタン(81ml)中((2R,5R)−5−{6−[3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−カルボニル)−アミノ]−3−フルオロ−ピリジン−2−イル}−2,5−ジメチル−2−トリフルオロメチル−5,6−ジヒドロ−2H−[1,4]オキサジン−3−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(4.99g、8.13mmol)及びTFA(6.26ml、81mmol)の混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を蒸発させて、酢酸エチルなどの好適な有機溶媒及びアンモニア水で残渣を希釈した。氷を加え、有機相を水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、蒸発させて、3.78gの表題化合物を得た。
HPLC:RtH3=0.87min;ESIMS:514,516[(M+H),1Cl];H−NMR(400MHz,DMSO−d):δ 11.11(s,1H),9.06(s,1H),8.69(s,1H),8.13(dd,J=8.8,2.6Hz,1H),7.80−7.68(m,1H),5.88(br.s,2H),4.12(d,J=11.5Hz,1H),3.72(d,J=11.4Hz,1H),1.51(s,3H),1.49(s,3H).
実施例2:野生型マウスにおける化合物1及び比較化合物NB−360の慢性投与
化合物1の特に毛皮の変色に対する慢性治療効果を調べ、野生型マウスにおける有効用量を決定し、及び有効性と毛色変化との間のウィンドウを比較BACE−1阻害薬化合物NB−360(N−(3−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−4−フルオロフェニル)−5−シアノ−3−メチルピコリンアミド)(Neumann U et al.,2015;及びShimshek DR et al.,2016)のものと比較するため、本明細書に記載される試験を市販の野生型マウスで行った。
動物
C57BL/6マウスはCharles River Laboratories、フランスに注文した。
化合物製剤化及び投与
化合物1及びNB−360は、懸濁液として製剤化した。媒体、化合物1又はNB−360は10ml/kgの容積で1日1回(朝)、8週間にわたって経口投与した。媒体:水中0.5%メチルセルロース中0.1%Tween80。
体重及び毛色のスコア付け
体重を週3回(月曜日、水曜日、金曜日)測った。任意の毛髪の色の変化の主観的スコア付けを週1回(水曜日)実施した。スコア(灰色の毛皮の体に対する%):0:変化なし;1:スポット;2:>30%;3:>50%;4:>75%;5:100%。毛色の変化が観察された場合、動物を写真に撮って記録した。最後の毛色スコア付けは本試験に関与しない人が盲検で行った。
エキソビボ試料及び試料採取方法
血液試料は、全血化合物レベルの分析に使用し、生存期間中に尾静脈からEDTAチューブ(CB300、Sarstedt、ドイツ)に採るか、又は剖検日に体幹血液からEDTAエッペンドルフチューブ(Milian SA、CatNoTOM−14、Fisher Scientific、Wohlen、スイス)若しくは血清チューブ(CB300Z、Sarstedt、Nuembrecht、ドイツ)に採るかのいずれかとした。
アミロイド−β(Aβ)分析用の血漿をEDTA血液の遠心(8000rpm/6800×g、15分、4℃)によって収集し、低タンパク質結合性エッペンドルフチューブ(003 0108.116、Eppendorf、Hamburg、ドイツ)に収集した。
室温で20分後、遠心(8000×g、15分、4℃)によって血清を分離し、低タンパク質結合性エッペンドルフチューブに収集して、腎毒性バイオマーカーに関して調べた。全ての血液/血漿/血清試料は、ドライアイスで凍結し、分析時まで−80℃で保存した。
断頭後、直ちに脳を摘出し、生理食塩水でリンスし、正中矢状断した。小脳の左半分を化合物レベルの分析に使用し、ガラスチューブ(Chromacol、125×5−SV T051、Welwyn Garden City、英国)に入れ、秤量してドライアイスで凍結し、前脳の左半分(嗅球なし)をAβ分析に使用し、金属プレート上にドライアイスで凍結して、低タンパク質結合性チューブ(003 0108.116、Eppendorf、Hamburg、ドイツ)に入れた。
化合物レベルの分析ため腹側及び背側皮膚を採取し、秤量してドライアイスで凍結した。
化合物レベルの分析
生体試料の化合物1及びNB−360レベルを血液、脳及び皮膚で液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法(HPLC/MS/MS)によって定量化した。脳試料は2容量のKHPO緩衝液と混合し、Covaris(登録商標)装置を使用してホモジナイズした。皮膚試料は約6倍容量のメタノール/水と混合し、Precellysチューブを使用してホモジナイズした。30μLの血液、脳又は皮膚ホモジネートのいずれも構造的に関連性のある内部標準でスパイクし、続いて少なくとも6倍過剰容量のアセトニトリルと混合してタンパク質を沈殿させた。上清をLC/MS/MSシステムに直接注入して分析にかけた。
マウス脳内Aβ40の分析
脳のホモジナイゼーション
凍結マウス前脳を秤量し、9容量(w/v)の氷冷TBS−Complete(20mMトリス−HCl pH7.4、137mM NaCl、1×Complete[プロテアーゼ阻害薬カクテル錠:1 836 145、Roche Diagnostics GmbH、Penzberg、ドイツ])中で音波処理(90%デューティサイクル、出力制御5、40〜55パルス、[Sonifier 450、Branson])によってホモジナイズした。ホモジナイゼーション後、分析用に数個の50μlアリコートを調製し、−80℃で保存した。
標準としての合成Aβ1−40溶液の調製
ヒトAβペプチド(1−40)トリフルオロ酢酸塩(H 1194.1000、Bachem、Bubendorf、スイス)をAβ1−40の検量線として使用した。これを無水DMSO(41647、Fluka)に1mg/mlの濃度で室温(RT)において約30分間可溶化し、次に完全に可溶化されたことを目視で確認した。
残りの溶液の20×5μlアリコート及び100μlアリコートを低結合性チューブ(0030 108.094、Eppendorf、Hamburg、ドイツ)に調製し、窒素ガスで覆ってAβペプチドを酸化から保護し、−80℃で保存した。検量線のために5μlアリコートを一度のみ使用し、次に廃棄した。
マウス脳内Aβ40の決定
マウスの内因性Aβ40をMeso Scale Discovery(MSD)96ウェルMULTI−ARRAYヒト/げっ歯類(4G8)Aβ40超高感度アッセイ(#K110FTE−3、Meso Scale Discovery、Gaithersburg、USA)で決定した。このアッセイは、検量線及び試料調製を除いて製造者の指示に従って実施した。各1:10前脳ホモジネートの50μlアリコートを使用してTritonX−100(TX−100)可溶性Aβ40を1%TX−100で前脳から抽出し、1%TX−100の最終濃度及び1:20前脳希釈度に達するようにTBS complete(20mMトリス−HCl pH7.4、137mM NaCl、1×Complete[プロテアーゼ阻害薬カクテル錠:1 836 145、Roche Diagnostics GmbH、Penzberg ドイツ])中50μl 2%TX−100と混合した。試料を氷上で15分間インキュベートし、5分毎にボルテックスした。試料を超遠心(100000×g、4℃、15分)し、50μlの澄明な上清を新しいチューブに移した。Aβ40アッセイについては、上清を更に1:100の最終前脳希釈度となるように3%Blocker A溶液(キットからのもの)中に1:5希釈し、プレートに加えた。
合成Aβ1−40ペプチド(1.56〜100pg/ml)でスパイクした1%Blocker A溶液の対応する希釈物で検量線を作成し、但し非トランスジェニックマウス脳試料は別とした。この場合、検量線は、合成Aβ1−40ペプチド(1.56〜100pg/ml)でスパイクした、対応して希釈したAPPノックアウトマウス前脳で作成した。全ての試料及び標準について、1ウェル当たり25μlを加えた。決定毎にデュプリケートウェルを実施した。計算にはデュプリケートウェルからの平均値を使用した。MSDは、定量化ソフトウェアを提供していないため、試料及び標準の相対単位をSOFTmax PRO 4.0にインポートして標準曲線の計算及び試料の定量化を行った。
結果
NB−360又は化合物1で慢性治療したC57BL/6マウスの体重及び毛色に対する効果
野生型ナイーブマウス(C57BL/6)を化合物1又はNB360で8週間慢性治療し、3日毎(月曜日、水曜日、金曜日)に体重を測定した。全体的に見て媒体と比較した治療群の有意な体重の差を観察することができなかったと共に、56日目における試験終了時にも有意な差を観察することができなかった。それにも関わらず、治療群について有意な体重増加(0日目と56日目との体重比較)を観察することができた。
試験中、NB−360で治療したマウスに毛色変化が観察された。C57BL/6の黒色の毛皮が徐々に斑点状に灰色になった。これらの灰色の斑点は、動物の腹側部に見られ、一方で背側部に影響はなかった。灰色の斑点の出現は、治療3週間後に現れ、高用量及び低用量NB−360群で異なる程度を呈した。主観的スコア付け方式を実施して毛皮変色を定量化した。NB−360群の全ての動物が毛皮変色を示した。低用量NB−360群(20μmol/kg)は、ごく僅かであるが有意な毛皮スコア変化を示した一方、高用量NB−360群(100μmol/kg)は、より重度の深刻な毛色変化を呈した、図1。注目すべきことに、毛皮変色の広がり及び増加は、5週間のNB−360治療後にプラトーに達し、それ以上の変化はなかった。重要なことに、化合物1治療群に検出可能な明らかな毛色変化はなかった。
血液及び組織における曝露
血中の化合物1曝露を1日目の初回投与後、14日目の中間時点及び最終投与後の試験終了時に決定した。一貫して、最終日における曝露は、実験の開始時よりも低かった。曝露は、化合物1について約35%減少した。
種々の組織におけるAUC0−24時間として表される最後24時間にわたる化合物1の曝露を表4に要約する。血液について、AUCは、1、4、7、及び24時間時のデータから計算し、並びに「mini」AUCは、4及び24時間時のデータのみから計算した。これらの2つの値の比較は、大きい差を示さない。組織曝露については、4及び24時間時のデータのみが利用可能であった。「mini」AUCは、組織曝露を十分に代表すると結論付けた。
化合物1及びNB−360の両方について、脳内及び皮膚における曝露は、血中よりはるかに高かった、表4。詳細には、皮膚曝露は、血液曝露より数倍高かった。加えて、特にNB−360について、皮膚の背側部と比べて腹側部で曝露がより高いように見えた、表5。全ての組織で曝露の良好な用量比例性があった。
マウス脳におけるアミロイド−βの低下
試験最終日、最終投与を受けた後4時間及び24時間でn=4マウス群を犠牲にした。前脳を分離し、β−アミロイドペプチド1−40に関して分析した。媒体群及び治療群のAβ40濃度を表6にまとめ、図2に視覚化する。対応する媒体治療群に対するパーセント減少率を計算した。治療により、最終投与後4時間で有意なAβ40の減少が生じた。化合物1は、最終投与後24時間もなお媒体と比べてAβ40の25%の減少を示し、しかし、これは有意でなかった。高用量群では、化合物1は、最終投与後24時間に有意に低いレベルのAβ40を示した。50μmol/kgの化合物1用量群は、ほぼ平坦なプロファイルを示し、全24時間の時間経過にわたって80〜90%のAβ40減少であった。
NB−360は、BACE−2と比べてBACE−1に1.0倍の選択性を与えるBACE−1及びBACE−2酵素阻害インビトロアッセイにより示されるとおり(Neumann U et al.,(2015))、二重BACE−1/BACE−2阻害薬である。同じアッセイにおいて、化合物1は、BACE−2と比べてBACE−1に3倍の選択性を有することが分かった。結論として、化合物1とNB−360との間の酵素選択性及び組織分布の中程度のばらつきが、慢性マウス試験における毛髪変色の発生に効果を及ぼすものと考えられる。インビボで活性であるにも関わらず、化合物1は、マウスにおいて毛髪変色の徴候を示さなかった。
実施例3:APOE4−TRマウスにおける化合物1の急性PK/PD用量反応試験
ヒトAPOE4コンテクストにおけるAPP代謝に対する化合物1の効果を調べるため、ヒトAPOE4アレルを保因するトランスジェニックマウスにおけるPK/PD試験を実施した(マウスApoe遺伝子をヒトAPOE4に置き換えた;APOE4−TR;(Knouff C et al.,1999))。
この試験では、3〜5ヵ月齢の雄及び雌APOE4−TR動物を種々の用量(3、10、30umol/kg)の化合物1で急性治療し、治療後4及び24時間で犠牲にした。
動物
雄及び雌トランスジェニックホモ接合APOE4−TR(B6.129P2−Apoetm3(APOE*4)MaeN8、Taconic、モデル001549、3〜5ヵ月齢、n=48)をTaconicから入手した。
用量選択
化合物1は、3、10及び30μmol/kgで投与した。
化合物形態、製剤化及び用量設定
化合物1は、懸濁液として製剤化した。媒体又は化合物は、経口投与によって10ml/kgの容量で1回与えた。媒体:水中0.5%メチルセルロース中0.1%Tween80。
体重
体重は、投与前に1回測った。
エキソビボ試料及び試料採取方法
血液試料は、全血化合物レベルの分析に使用し、剖検日に体幹血液からEDTAエッペンドルフチューブ(Milian SA、CatNoTOM−14、Fisher Scientific、Wohlen、スイス)、又は血清チューブ(CB300Z、Sarstedt、Nuembrecht、ドイツ)に採った。
アミロイド−β(Aβ)分析用の血漿をEDTA血液の遠心(8000rpm/6800×g、15分、4℃)によって収集し、低タンパク質結合性エッペンドルフチューブ(003 0108.116、Eppendorf、Hamburg、ドイツ)に収集した。
全ての血液/血漿/血清試料は、ドライアイスで凍結し、分析時まで−80℃で保存した。
断頭後、直ちに脳を摘出し、生理食塩水でリンスし、正中矢状断した。左小脳を化合物レベルの分析に使用し、ガラスチューブ(Chromacol、125×5−SV T051、Welwyn Garden City、英国)に入れ、秤量してドライアイスで凍結し、前脳の左半分(嗅球なし)をAβ分析に使用し、金属プレート上にドライアイスで凍結して、低タンパク質結合性チューブ(003 0108.116、Eppendorf、Hamburg、ドイツ)に入れた。右脳は、4%パラホルムアルデヒドに固定し、PBSで洗浄し、次に可能性のある今後の組織学的分析のためにパラフィンに包埋した。
試験終了時に尾を採取し、−20℃で保存した。
マウス脳内Aβ40並びにCSF中Aβ40及びAβ42の分析
脳のホモジナイゼーション
凍結マウス前脳を秤量し、9容量(w/v)の氷冷TBS−Complete(20mMトリス−HCl pH7.4、137mM NaCl、1×Complete[プロテアーゼ阻害薬カクテル錠:1 836 145、Roche Diagnostics GmbH、Penzberg、ドイツ])中で音波処理(90%デューティサイクル、出力制御5、40〜55パルス、[Sonifier 450、Branson])によってホモジナイズした。ホモジナイゼーション後、分析用に数個の50μlアリコートを調製し、−80℃で保存した。
標準としての合成Aβ1−40溶液の調製
ヒトAβ1−40トリフルオロ酢酸塩(H 1194.1000、Bachem、Bubendorf、スイス)をAβ1−40の検量線として使用した。これを無水DMSO(41647、Fluka)に1mg/mlの濃度で室温(RT)において約30分間可溶化し、次に完全に可溶化されたことを目視で確認した。
残りの溶液の20×5μlアリコート及び100μlアリコートを低結合性チューブ(0030 108.094、Eppendorf、Hamburg、ドイツ)に調製し、窒素ガスで覆ってAβペプチドを酸化から保護し、−80℃で保存した。検量線のために5μlアリコートを一度のみ使用し、次に廃棄した。
マウス脳内Aβ40の決定
マウスの内因性Aβ40をMeso Scale Discovery(MSD)96ウェルMULTI−ARRAYヒト/げっ歯類(4G8)Aβ40超高感度アッセイ(#K110FTE−3、Meso Scale Discovery、Gaithersburg、USA)で決定した。このアッセイは、検量線及び試料調製を除いて製造者の指示に従って実施した。各1:10前脳ホモジネートの50μlアリコートを使用してTritonX−100(TX−100)可溶性Aβ40を1%TX−100で前脳から抽出し、1%TX−100の最終濃度及び1:20前脳希釈度に達するようにTBS complete(20mMトリス−HCl pH7.4、137mM NaCl、1×Complete[プロテアーゼ阻害薬カクテル錠:1 836 145、Roche Diagnostics GmbH、Penzberg ドイツ])中50μl 2%TX−100と混合した。試料を氷上で15分間インキュベートし、5分毎にボルテックスした。試料を超遠心(100000×g、4℃、15分)し、50μlの澄明な上清を新しいチューブに移した。Aβ40アッセイについては、上清を更に1:100の最終前脳希釈度となるように3%Blocker A溶液(キットからのもの)中に1:5希釈し、プレートに加えた。
合成Aβ1−40ペプチド(1.56〜100pg/ml)でスパイクした1%Blocker A溶液の対応する希釈物で検量線を作成し、但し非トランスジェニックマウス脳試料は別とした。この場合、検量線は、合成Aβ1−40ペプチド(1.56〜100pg/ml)でスパイクした、対応して希釈したAPPノックアウトマウス前脳で作成した。全ての試料及び標準について、1ウェル当たり25μlを加えた。決定毎にデュプリケートウェルを行った。計算にはデュプリケートウェルからの平均値を使用した。MSDは、定量化ソフトウェアを提供していないため、試料及び標準の相対単位をSOFTmax PRO 4.0にインポートして標準曲線の計算及び試料の定量化を行った。
結果
APOE4−TRマウス(マウスAPOE遺伝子をヒトAPOE4に置き換えた)を3つの異なる用量(3、10及び30μmol/kg)のBACE阻害薬化合物1で急性治療した。最終投与後4時間及び24時間で動物を犠牲にし、前脳を分離した。様々な群のAβ40及びAβ42濃度を図3、図4及び図5;及び表9、表10及び表11にまとめる。媒体治療群に対するパーセント減少率を計算した。いずれの治療によっても、最終投与後4時間及び24時間で有意且つ用量依存的なAβ40の減少が生じ、効果は、4時間で43〜77%及び24時間で20〜66%の範囲であった。低い方の2つの用量群(3及び10μmol/kg)について、Aβ40低減効果は、4及び24時間で有意に減少したが、最終投与後24時間で実質的にベースラインレベルに近かった。高用量の化合物1(30μmol/kg)は、ほぼ平坦なプロファイルを示し、全24時間の時間経過にわたって77〜66%のAβ40減少であった。
血液及び脳における急性投与についての4時間及び24時間時点のPKデータを図6及び表12に示す。血液及び脳におけるAUC0−24時間として表される24時間にわたる化合物1の曝露を表13にまとめる。血液及び脳における化合物1曝露は、用量比例的であり、24時間後に予想どおりの化合物レベルの僅かな低下を呈し、これも用量比例的であった。脳内の化合物曝露は、血中よりもはるかに高かった。脳血液比は、3、10及び30μmol/kg用量群について同様であり、それぞれ4時間で5、3及び4及び24時間で9、4、及び3であった。異なる用量での化合物曝露の低下の比較を可能にする4時間/24時間の曝露比を計算した(表12)。化合物1は、中程度の2〜5倍の曝露減少であり、異なる用量間及び血液と脳との間で大きい差はなかった。
全ての用量群について個々の動物の脳の薬物動態学的/薬力学的関係を図7に示す。化合物1について明らかなPK/PD関係が見られた。低化合物レベルでは、Aβ減少の有効性は最小限であったが、高化合物レベルでは最大限の有効性効果が認められた。
図8は、異なる用量における平均値のPK/PD関係を示す。ここでもやはり、Aβ減少に対する曝露依存的効果が見られ、明らかな最小限及び最大限の有効性効果があった。
結論
本実施例に提供される試験は、化合物1が、APOE4−TRマウスにおいてインビボで経口アベイラビリティのある、中枢作用性であり且つ強力なBACE阻害薬であることを実証する。マウス内因性Apoe遺伝子座からヒトAPOE4を発現するAPOE4−TRマウスを使用して化合物1のPK/PD関係を調べた。ApoE4は、アルツハイマー病の高リスク因子とされており、APOE4−TRマウスは、アルツハイマー脳におけるApoE4効果に類似している。
APOE4−TRマウスにおける化合物1のPK特性は、野生型マウスで観察されるものと違いがなかった。血液及び脳における用量依存的化合物1曝露(脳内レベルがはるかに高い)が観察された。更に、24時間後の曝露低下は、野生型マウスで観察されるものと同様であった。30μmol/kgの化合物1がAPOE4−TRの脳内のAβ減少に対して最大の効果を生じ(>70%)、急性投与について同程度が24時間にわたって続いた。PK/PD関係は野生型マウス及びラットと非常に類似していた。最も高い用量(30μmol/kg)でAPOE4−TRマウスの脳内のAβ減少に対する最大有効性効果が僅かに低いことが見られた。これは、APOE−4 TRマウスで観察されるアミロイド−βのクリアランス速度が遅いことに起因し得る(Castellano JM et al.,2011)。
実施例4:ファースト・イン・ヒューマン試験
この試験は、臨床的に完了しており、主として健康成人及び高齢対象における化合物1の安全性及び忍容性並びに薬物動態学及び薬力学を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照、単一及び複数用量漸増経口投与試験であった。この試験の目的は、化合物1の単一及び複数最大耐量を決定すること、及び主要PDバイオマーカーとしてCSF中Aβを用いて薬物動態学/薬力学(PK/PD)関係を評価することであった。
60歳以上の健常高齢対象において、750mg単一用量及び2週間にわたる300mg QDの最高試験用量が安全で忍容されることが決定された。薬物作用の主要バイオマーカーとしてCSF中Aβ濃度を用いた薬力学的評価はまた、健常高齢対象にも適用された。Aβ40濃度の用量依存的低下が単回投与及び複数回投与後にそれぞれ最大約80%及び90%まで決定された(表14及び表15、図9)。
実施例5:3ヵ月用量範囲探索安全性及び忍容性試験
第I相臨床用量範囲探索安全性及び忍容性試験において60歳以上の健常高齢対象に化合物1を投与した。この試験は、ClinicalTrials.govにNCT02576639識別コードで収載されている。
この無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験は、並列群設計を有し、化合物1は、1日1回、経口用量で5治療群(化合物1:2mg、10mg、35mg又は85mg QD及びプラセボ)に投与した。
この試験の主要目的は、ファースト・イン・ヒューマン試験で2週間及び4週間の継続期間にわたって得られたこれまでの安全性及び忍容性データを拡大し、それによりADのリスクがある対象における将来の長期有効性試験の開始を可能にすることであった。加えて、将来の有効性試験のための用量選択判断を裏付けるため、薬物動態学的/薬力学的モデル化に関連するデータを入手した。
この試験では、化合物1は、3ヵ月にわたる2、10、35及び85mgの1日1回用量が安全で忍容されることが分かった。CSF Aβレベルに対する化合物1投与の薬力学的効果を表16及び図10に示す。Aβ低減の程度は、時間が経っても安定しており、約2〜3週間後にPD定常状態に達した。
2、10、35及び85mgで毎日投与して3ヵ月後(91日後)の化合物1の薬物動態パラメータを表17に示す。
Cmax,ss値は、指定用量で1日1回(qd)投与して91日後の化合物1の最高血漿定常状態濃度を表す。「CV%」は、パーセンテージ変動係数を表す。
これらの結果に基づき、15mgの化合物1の1日1回用量は、70〜170ng/mlの血漿Cmax,ss値をもたらすことが予想され、及び50mgの化合物1の1日1回用量は、200〜500ng/mlの血漿Cmax,ss値をもたらすことが予想される。
実施例4及び5に提供されるデータに基づき、計量薬理学的モデル化から、対象の90%で80%のCSF Aβ40低下を達成するのに50mgの1日用量、及び60%のCSF Aβ40低下を実現するのに15mgの用量が予測される。
実施例6:化合物1による治療への応答性に対するApoE4遺伝子型の効果
実施例5及び6に記載する完了したファースト・イン・ヒューマン試験及び3ヵ月用量範囲探索安全性及び忍容性臨床試験において、初回投与前(ベースライン)並びにそれぞれ2週間及び3ヵ月間の複数回投与後に腰椎穿刺を用いてCSF中Aβ濃度を得た。また、同意した対象のApoE4遺伝子型も得た。被験治療を受け、且つ薬力学的効果の判定に影響を及ぼす可能性のある大きいプロトコル逸脱がなかった対象において、Aβ40及びAβ42濃度のベースラインからのパーセント変化率を計算した。以下の表18〜表21は、治療群及びApoE遺伝子型(E4ヘテロ接合体対E4非保因者)別のベースラインからのパーセント変化率の要約統計量を提供する。CSFデータを有する1人の対象のみがE4ホモ接合体であった(3ヵ月用量範囲探索安全性及び忍容性試験から)。この対象は、プラセボで治療し、Aβ40及びAβ42の両方の濃度の11%の低下を示したが、以下の表には含めない。データは、ApoE4保因者と非保因者との間に化合物1による治療へのCSF Aβ40及びAβ42応答性に差がないことを示している。
実施例7:プラーク担持雄APP23マウスのBACE阻害薬化合物1による慢性治療処置
概要
プラーク担持年齢(12ヵ月)のAPP23トランスジェニックマウスに化合物1を2つの用量で6ヵ月間慢性投与した。媒体のみを受けた群と比較して、0.03g/kg餌の化合物1の投与により媒体群と比較してアミロイド−β40及び42の僅かな減少が生じ、及び0.3g/kg餌の投与により強い減少が生じた。マウス脳内Aβ量は、ベースライン時(12ヵ月齢)のマウスと同様であった。血漿及びCSF中可溶性Aβは、高用量群で有意に減少したのみであった。免疫組織化学によって検出したときのプラーク負荷も低用量群で僅かに(約20%)減少し、及び高用量群で強く(約70%)減少した。小型、中型及び大型プラークの数は、等しく治療に応答した。活性化アストロサイトの数をGFAP染色によって決定した。全GFAP免疫応答性は、化合物1による治療によって用量依存的に減少した。GFAP陽性アストロサイトの大多数は、プラークに関連しなかったが、プラーク関連アストロサイトは、プラークから遠位にあるものと比較して化合物1治療に対してより強く応答した。IBA1染色によって活性化ミクログリア細胞を検出した。IBA1陽性ミクログリアの数は、化合物1治療によって用量依存的に減少した。アミロイドプラークにごく近接したミクログリアは、プラークから遠位にあるミクログリアと比較して治療によってより多く減少した。
要約すれば、化合物1治療は、未治療媒体と比較して脳アミロイド−β負荷の用量依存的な減少、及びマウス脳内の2つの神経炎症マーカー、活性化アストロサイトの数及びミクログリア細胞の数の相関的減少を示した。
方法
動物及び用量選択
雄トランスジェニックヘテロ接合APP23(B6,D2−Tg(Thy1App)23Sdz(Sturchler−Pierrat C et al.,1997)、12〜14ヵ月齢、n=64)を餌ペレット中の0.3g/kg又は0.03g/kgの化合物1で治療した。
エキソビボ試料及び試料採取方法
血液試料は全血化合物レベルの分析に使用し、剖検日に体幹血液からEDTAエッペンドルフチューブ(Milian SA、CatNoTOM−14、Fisher Scientific、Wohlen、スイス)、又は血清チューブ(CB300Z、Sarstedt、Nuembrecht、ドイツ)に採った。
アミロイド−β(Aβ)分析用の血漿をEDTA血液の遠心(8000rpm/6800×g、15分、4℃)によって収集し、低タンパク質結合性エッペンドルフチューブ(003 0108.116、Eppendorf、Hamburg、ドイツ)に収集した。
全ての血液/血漿/血清試料は、ドライアイスで凍結し、分析時まで−80℃で保存した。
断頭後、直ちに脳を摘出し、生理食塩水でリンスし、正中矢状断した。脳の左半分を化合物レベルの分析に使用し、ガラスチューブ(Chromacol、125×5−SV T051、Welwyn Garden City、英国)に入れ、秤量してドライアイスで凍結し、前脳の左半分(嗅球なし)をAβ分析に使用し、金属プレート上にドライアイスで凍結して、低タンパク質結合性チューブ(003 0108.116、Eppendorf、Hamburg、ドイツ)に入れた。
試験終了時に尾を採取し、−20℃で保存した。
化合物レベルの分析
生体試料の化合物1レベルを血液及び脳で液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法(HPLC/MS/MS)によって定量化した。脳試料は、2容量のKHPO緩衝液と混合し、Covaris(登録商標)装置を使用してホモジナイズした。30μLの血液又は脳ホモジネートのいずれも構造的に関連性のある内部標準でスパイクし、続いて少なくとも6倍過剰容量のアセトニトリルと混合してタンパク質を沈殿させた。上清をLC/MS/MSシステムに直接注入して分析にかけた。
マウス組織内Aβ40及びAβ42の分析
脳のホモジナイゼーション
凍結マウス前脳を秤量し、9容量(w/v)の氷冷TBS−Complete(20mMトリス−HCl pH7.4、137mM NaCl、1×Complete[プロテアーゼ阻害薬カクテル錠:1 836 145、Roche Diagnostics GmbH、Penzberg、ドイツ])中で音波処理(90%デューティサイクル、出力制御5、40〜55パルス、[Sonifier 450、Branson])によってホモジナイズした。ホモジナイゼーション後、分析用に数個の50μlアリコートを調製し、−80℃で保存した。
標準としての合成Aβ溶液の調製
ヒトAβペプチド(1−40)トリフルオロ酢酸塩(H 1194.1000、Bachem、Bubendorf、スイス)をAβ1−40の検量線として使用した。これを無水DMSO(41647、Fluka)に1mg/mlの濃度で室温(RT)において約30分間可溶化し、次に完全に可溶化されたことを目視で確認した。
残りの溶液の20×5μlアリコート及び100μlアリコートを低結合性チューブ(0030 108.094、Eppendorf、Hamburg、ドイツ)に調製し、窒素ガスで覆ってAβペプチドを酸化から保護し、−80℃で保存した。検量線のために5μlアリコートを一度のみ使用し、次に廃棄した。
APP23マウス脳内Triton X−100可溶性Aβの決定
マウスにおけるヒトAβ40及び42をMeso Scale Discovery(MSD)96ウェルMULTI−ARRAYヒト/げっ歯類(6E10)Aβ40/42アッセイ(Meso Scale Discovery、Rockville、MD、USA)で決定した。このアッセイは、検量線及び試料調製を除いて製造者の指示に従って実施した。各1:10前脳ホモジネートの50μlアリコートを使用してTritonX−100(TX−100)可溶性Aβ40及び42を1%TX−100で前脳から抽出し、1%TX−100の最終濃度及び1:20前脳希釈度に達するようにTBS complete(20mMトリス−HCl pH7.4、137mM NaCl、1×Complete[プロテアーゼ阻害薬カクテル錠:1 836 145、Roche Diagnostics GmbH、Penzberg ドイツ])中50μl 2%TX−100と混合した。試料を氷上で15分間インキュベートし、5分毎にボルテックスした。試料を超遠心(100000×g、4℃、15分)し、50μlの澄明な上清を新しいチューブに移した。上清を更に1:100の最終前脳希釈度となるように3%Blocker A溶液(キットからのもの)で1:5希釈し、プレートに加えた。
合成Aβ1−40ペプチド(1.56〜100pg/ml)でスパイクした1%Blocker A溶液の対応する希釈物で検量線を作成し、但し非トランスジェニックマウス脳試料は別とした。この場合、検量線は、合成Aβ1−40ペプチド(1.56〜100pg/ml)でスパイクした、対応して希釈したAPPノックアウトマウス前脳で作成した。全ての試料及び標準について、1ウェル当たり25μlを加えた。決定毎にデュプリケートウェルを行った。計算にはデュプリケートウェルからの平均値を使用した。試料及び標準の相対単位をSOFTmax PRO 4.0にインポートして標準曲線の計算及び試料の定量化を行った。
APP23マウス脳内ギ酸可溶性Aβ40の決定
50マイクロリットルの前脳ホモジネートを116.6μl 100%ギ酸と混合して、70%の最終ギ酸濃度を得た。試料を氷上で保存し、5分毎にボルテックスした。中和のため、50μlの混合物を新しいチューブにピペッティングし、1×Completeプロテアーゼ阻害薬を含有する950μlの1Mトリス塩基を加えた。チューブを室温で一晩保存し、次にEppendorf Microzentrifugeにおいて4℃で15分間、14000rpmで遠心した。上層から100μlを取り出し、100μlの3%Blocker A溶液(MesoScaleアッセイキットの一部)と混合した。この試料をアッセイプレートに直接加えるか(希釈1:1332)、又は1%Blocker A溶液で更に希釈した。
マウスCSF中Aβ40の分析
マウスCSF試料(3μl)を57μLの1%Blocker A(MSD)で希釈し、アッセイプレートに25μlを加えた。
マウス血漿中Aβ40の分析
血漿試料(30μl)を30μlの3%Blocker A(MSD)と混合し、アッセイプレートに25μlを加えた。
二重蛍光免疫組織化学を用いたアミロイド−βプラーク及び活性化アストロサイトの組織学的分析
アミロイドペプチドのC末端部を認識するウサギ抗Aβ一次抗体(この抗体は、Schrader−Fischer G,Paganetti PA,1996;Schrader−Fischer G et al.,1997に記載されるとおり産生された)を用いてアミロイドプラークを染色した。市販のウサギ抗GFAP(Dako Schweiz GmbH、Baar、スイスからのリファレンスZ0334)を用いて活性化アストロサイトを検出した。
全ての染色は、完全に自動化された機器Ventana Discovery(登録商標)Ultra(Roche Diagnostics Schweiz AG、Rotkreuz、スイス)を用いて実施した。全ての化学物質は、Roche Diagnosticにより供給された。
全ての被験動物を使用し、3マイクロメートルの脳組織切片を新しく切り出し、SuperFrost+スライド上に収集した。組織切片を脱パラフィン化し、無溶媒条件下(EZprep溶液)で再水和させて、続いてEDTAベースの緩衝液(CC1溶液)中での32分間の熱回復サイクルによって抗原回復(デマスキング)を実施した。続いて、DISCOVERY阻害薬(リファレンス07017944001(Roche))を使用してスライドを4分間ブロックした。抗体希釈剤に1/20,000希釈した一次抗体を手作業で組織切片に加え、室温で1時間インキュベートした。短時間の後固定(0.05%のグルタルアルデヒド)を実施した後、多量体UltraMap−抗ウサギHRP既製抗体(リファレンス05269717001)を16分間適用した。
製造者の推奨に従ってDISCOVERY FITC(登録商標)を用いて検出を実施した。次に、スライドを92℃で20分間熱変性させた後、第2の一次抗体(1/2,000希釈した抗GFAP)を手作業で適用し、1時間インキュベートした。UltraMap−抗ウサギHRP抗体を再び20分間使用して、DISCOVERYローダミンキット(リファレンス07259883001)との組み合わせでGFAPを検出した。
スライドを洗浄し、Prolong(登録商標)Gold退色防止試薬(リファレンスP36931、ThermoFisher、スイス)を使用してマウントし、Hamamatsuスライドスキャナ機器(NanoZoomer 2.0 HT、スキャニングソフトウェアNDP−Scanバージョン2.5、Hamamatsu Photonics France、Swiss Office、Solothurn、スイス)によって40倍対物レンズで更にスキャンした。スキャニング設定は、以下のとおりであった:DAPIフィルタによる露光時間は、FITCフィルタについても57msに設定した。TRITCフィルタの露光時間(ローダミンの検出)は、14.2msに設定した。
二重蛍光免疫組織化学を用いたアミロイド−βプラーク及び活性化ミクログリア細胞の分析
同じ抗体を用いてアミロイドプラークを染色し、Wako Chemicals GmbH(Neuss、ドイツ)からの、抗体希釈剤で1/200希釈したウサギ抗IBA1抗体(リファレンス019−19741)を用いてミクログリア細胞を検出した。染色プロトコルは、アミロイド−βプラーク及びアストロサイトのプロトコルと全く同様であった。スライドを同じ設定でスキャンした。
画像解析
画像解析に基づく定量的プラーク評価のため、MS Visual Studio 2010及びMatrox MIL V9ライブラリ(Matrox Inc、Quebec、カナダ)からの多くの機能をベースとして有標の画像解析プラットフォーム(ASTORIA、自動保存画像解析)を開発した。
β−アミロイドプラーク及び神経炎症分析のため、以下の一連の工程を実施した:
− スライドをHamamatsu Nanozoomerによって40倍の倍率でスキャンした。各蛍光標識(DAPI、FITC及びTRITC)について別個の画像を作成した。
− 緑色FITCチャンネル画像でのAβプラーク評価用に脳切片において皮質を画定するため手作業でROI(関心領域)の輪郭を描き、次に得られた輪郭を他の2つのチャンネル画像にも使用する(得られたxmlファイルをコピーする)。
− インハウスで開発したImageScope(V12.1.0.5029、Aperio Inc.,USA)プラグインを実行して、3つの蛍光チャンネルの各々について*.tif画像タイル(10倍の倍率)を作成及びエクスポートする。
画像バッチ処理:
− 各個別の蛍光チャンネル画像へのアクセスを通じて各切片の組み合わせトゥルーカラー画像(DAPI、FITC、TRITC)を得る。
− 黒色の未染色バックグラウンドからの有効試料(輪郭を描いたROIの範囲内にある)のセグメンテーション。
− 緑色チャンネル画像(FITC標識Aβプラーク)のオブジェクトのセグメンテーションに適応閾値処理法を適用する。
− 緑色(FITC)チャンネルにおいてシグナルを示す小さ過ぎるデブリの除去後、正しい後続の個々のオブジェクト分析のための接触オブジェクトの分離。
− 形態学的トップハット変換及び閾値処理による赤色チャンネルのTRITC標識オブジェクト(アストロサイト又はミクログリアを示すGFAP又はIba1染色に特異的)のセグメンテーション。
− 特徴ベースのオブジェクト分類。
4つのオブジェクトカテゴリ
− 除外すべき非特異的デブリ(ぼやけ過ぎている、小さ過ぎるオブジェクト)
− 小型プラーク(40〜1000ピクセル)
− 中型プラーク(1000〜6500ピクセル)
− 大型プラーク(>6500ピクセル)
有効プラークに関する幾つかの形態測定上及び濃度測定上の特徴の計算
− プラーク数
− 非線形的方法での適切な抗体の染色強度の測定及び使用に基づく「比光学濃度」(これは、タンパク質(抗原)濃度の大きさを反映することが記載されている(Rahier et al.,1989;Ruifrok et al.,2001))
− TRITC+シグナル対プラーク面積比に基づく「プラーク関連GFAP又はIba1」、プラーク周囲の拡張円形範囲内にあるTRITC+シグナルの比に基づく「近位GFAP又はIba1」の評価
結果
2ヵ月及び4ヵ月の投与後、及び6ヵ月時の試験終了時に化合物1の血中濃度を決定した。表24に示されるとおり、試験期間中にわたって一定の曝露があり、動物間のばらつきは、平均して18%(8〜36%)で許容できるものであった。平均化合物1血中濃度は、0.03g/kg餌投与群について0.25±0.13μM(平均値±SD)、及び0.3g/kg投与群について2.10±0.47μMであり、化合物用量の10倍差と良好に一致した。この試験で観察された曝露は、大まかに毎日5及び45mg/kg経口用量の化合物1に対応した。実験終了時に決定された脳/血液比は、0.03g/kg群について2.7、及び0.3g/kg群について3.3であった。
APP代謝産物の生化学的決定:マウス脳からのTriton TX−100可溶性APP代謝産物
脳ホモジネートを緩衝液中1%Triton X−100で抽出し、得られた上清を可溶性形態のAPP代謝産物に相当すると見なした。Aβ40及び42に加えて、本発明者らは、N末端APP断片sAPPα(α−セクレターゼの直接の切断産物)及びsAPPβ(Swe)(BACE1切断の直接の産物)を決定した。表25に示されるとおり、可溶性Aβ40及び42は非治療群において試験期間中にわたって中程度に(2倍未満)増加する。この年齢でAPP発現及びAβ生成の変化が起こることは知られていないため、媒体群(18〜20ヵ月齢)の値の増加は、Aβ沈着からの「漏出」(これは数倍増加する、以下を参照されたい)によって起こることが想定される。また、非治療群では、可溶性APP代謝産物sAPPα及びβの値にも有意な変化はなかった。
低用量(0.03g化合物1/kg餌)の化合物1で治療したマウスは、可溶性Aβ40及び42の弱い、但し有意差のない減少並びにsAPPαの中程度の増加を示した(表25及び表26、図11、図12及び図13)。可溶性APPβ(Swe)は、有意に29%減少した(表25及び表26、図14)。0.3g/kg用量の化合物1で治療したマウスは、Aβ及びsAPPβ(Swe)の両方の有意な減少並びにsAPPαの3倍の増加を示した(表25及び表26、図11、図12及び図14)。
まとめると、化合物1治療は、全ての可溶性BACE1切断産物の用量依存的減少及びsAPPαの用量依存的増加を生じさせた。
CSF中APP代謝産物
剖検時に全てのマウスからCSFを採取した。ベースライン群の試料は、約6ヵ月間保存し、試験終了時に残りの試料と共に分析した。表27及び図15のデータは、CSF Aβがベースライン群(12ヵ月齢のAPP23マウス)で最も高いが、媒体群(18ヵ月齢のAPP23マウス)では下がることを示している。この媒体群と比較して、0.03g/kg餌化合物1治療群ではCSF Aβ40が非有意に減少し、0.3g/kg餌化合物1治療群では有意に減少する。高いベースライン値の理由は、現在のところ分かっていない。これは、オリゴマー型のAβの解離がより高いモノマー濃度につながり得るときの長期保存の効果であると仮定される。CSF Aβは、脳抽出物からのTriton TX−100可溶化Aβよりも、Aβ生成の変化に直接応答する可溶性アミロイド−βの定常状態濃度を代表する。低い化合物1用量(−4.6〜−20%)での小さく有意でない治療効果、並びに高い化合物1用量(−43.7〜−77%)での顕著で有意な効果は、脳組織から単離された可溶性Aβ種とCSF中Aβ40との間で非常に類似している。
前脳内のギ酸可溶性アミロイド−βペプチド
不溶性Aβ種をギ酸で抽出した後、APP23マウス脳内の沈着形態のアミロイド−βに対する化合物1の治療効果を調べた。表28及び表29及び図16〜図19に示されるとおり、媒体群では、ベースラインと比較して沈着Aβの大幅な増加が観察された。Aβ42はAβ40より多く増加し(Aβ42/40比は、媒体群で55%増加した)、そのより高い凝集傾向と一致した。Aβ40及びAβ42は、低用量の化合物1による治療後に媒体と比較して約17%の減少を示したが、これは、統計的有意性には達しなかった。抽出材料のAβ42/40比は変化しなかった。高い化合物1治療群では沈着Aβ40及びAβ42の強力で高度に有意な(約80%対媒体)減少が観察され、Aβ42/40比が0.07のベースライン値に戻った。要約すれば、高用量の化合物1による治療は、APP23マウスのアミロイドβの増加をほぼ完全に阻止した。
アミロイド病変及び神経炎症の組織学的評価:プラーク数及びプラーク面積
アミロイドペプチドのC末端部を認識する抗Aβ抗体でAPP23脳切片上のアミロイドプラークを染色した。更に詳しいデータ分析のため、APP23マウスにおける様々な形態のアミロイド−β沈着を「小型」、「中型」及び「大型」プラークに分類した。更に、総免疫染色面積を決定した。定量化結果は、表30及び表31及び図20〜図23に示す。Aβ沈着の大多数は、「小型」プラークに分類される一方、「中型」プラークの数は、10分の1であり、及び「大型」プラークの数は、100分の1であった。全ての形態のプラークの数は、媒体群では試験期間中に約4〜6倍増加し、総プラーク面積についても同じことが観察された。化合物1による治療は、この増加を低用量治療群で約25%、及び高用量治療群で約60%減少させた。媒体群におけるAβの増加及び0.3g/kg餌化合物1治療群における効果は、組織学的分析では生化学的決定と比較して低い。二次元組織学的分析は、実際には三次元の全てで起こるプラーク容積変化を完全には再現しないこともある。
活性化アストロサイトに対する効果
GFAP(グリア線維性酸性タンパク質)は、静止アストロサイトにも活性化アストロサイトにも見られる。GFAP免疫応答性は、多くの場合にアストロサイト数及び活性化のマーカーとして使用される。APP23マウスでは、正規化GFAP陽性面積がマウスの年齢と共に約2倍増加し、この増加は、化合物1治療によって用量依存的に減少した(表32及び表33及び図24〜図28)。GFAP免疫応答性をアミロイドプラークとの関連性に関して更に分析した(IBA1免疫応答性と同様に実施した)。この分析は、GFAP免疫応答性の大部分が非プラーク関連(遠位)であり、10%のみがプラーク関連又は近位であることを示している。プラーク関連及び近位GFAP免疫応答性の割合が媒体群で増加したことから、アミロイドプラークのごく近傍におけるアストロサイト数/活性化の優勢な増加が示唆される。遠い非プラーク関連GFAP陽性染色について、加齢による増加は低かった。化合物1治療の効果も、プラーク関連及び非プラーク関連GFAP免疫応答性間で異なった。プラーク関連/近位GFAP免疫応答性に対する効果は、非プラーク関連/遠位染色に対するよりも強力であった。これらのデータは、化合物1がGFAP染色に対するその効果を主にアミロイドプラークの直ちに近傍に、恐らくプラーク自体に対する効果によって及ぼすことを示唆している。
IBA1陽性ミクログリアに対する効果
IBA1(イオン化カルシウム結合アダプター分子1)は、ミクログリア/マクロファージ特異的タンパク質である。IBA1免疫応答性は、多くの場合にミクログリア数及び活性化のマーカーとして使用される。APP23マウスでは、正規化IBA1陽性面積がマウスの年齢と共に約5倍増加し、この増加は、化合物1治療によって用量依存的に減少した(表34及び表35)。IBA1免疫応答性をアミロイドプラークとの関連性に関して更に分析した。この分析は、IBA1免疫応答性の約75%が非プラーク関連(遠位)であり、25%のみがプラーク関連又は近位であることを示している。プラーク関連及び近位IBA1免疫応答性の割合は媒体群で増加した。それより程度は低いが、遠い非プラーク関連IBA1陽性染色もマウスの年齢と共に増加した。化合物1治療の効果もプラーク関連及び非プラーク関連IBA1免疫応答性間で異なった。プラーク関連/近位IBA1免疫応答性に対する効果は強力で有意であった。非プラーク関連/遠位染色に対して有意な効果は見られなかった。これは、図29〜図33に更に示され、プラーク面積と比べた総IBA1染色及びプラーク関連IBA1染色の効果が示される。これらのデータは、化合物1がIBA1染色に対するその効果を主にアミロイドプラークの直ちに近傍に、恐らくプラーク自体に影響を与えることによって及ぼすことを示唆している。プラークに対する効果は、プラークから遠いミクログリア活性化/数(これは、IBA1+免疫応答性の大部分である)にそれほど強く影響を及ぼさない。
実施例8:ADの臨床症状の発生リスクがある参加者における化合物1の有効性を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験の概要
本明細書に記載する臨床試験では、認知が実質的に悪化する可能性がより高い個体を妥当なタイムフレームで選択するための予後診断強化戦略として、臨床試験セッティング内で実際的に評価することのできるApoE4ホモ接合体の同定を利用する。この試験は、ClinicalTrials.govにNCT02565511識別コードで収載されている。代替として、本実施例は、認知障害のないApoE4保因者(ホモ接合体;又は脳アミロイドの更なる高濃度化(「アミロイド陽性」)が例えばPET又はCSF測定により決定されたヘテロ接合体)、60〜75歳、1日1回経口用量の15又は50mg化合物1で行われてもよい。この試験は、ClinicalTrials.govにNCT03131453識別コードで収載されている。
計画された臨床試験における少なくとも5年の治療期間中、参加者の大部分がADに起因する軽度認知障害(MCI)又は認知症と診断されるであろうことが予想される。これらの診断の大多数は、MCIであると予想され、MCIは、認知症の診断に2〜4年先行すると予想される。
実施例9:単独投与時及び強力なCYP3A4阻害薬イトラコナゾール又は強力なCYP3A4誘導薬リファンピシンとの併用投与時の化合物1の薬物動態のヒト試験における
健常ボランティアでの薬物間相互作用(DDI)試験において、化合物1のPKに対する強力なCYP3A4阻害薬(イトラコナゾール)及び強力なCYP3A4誘導薬(リファンピシン)の効果を判定した。DDI試験設計の概要は、図34に示す。200mg q.d.の用量のイトラコナゾールは、化合物1と共に投与したとき、化合物1を単独で投与したときと比較して化合物1の平均AUCを2〜3倍増加させ、化合物1の平均Cmaxを25%増加させた(表37)。600mg q.d.の用量のリファンピシンは、化合物1と共に投与したとき、化合物1を単独で投与したときと比較して化合物1の平均AUCを5〜6倍低下させ、化合物1の平均Cmaxを2.5倍低下させた(表38)。結論として、第1相研究における化合物1曝露に対する強力なCYP3A4誘導薬及び強力なCYP3A4阻害薬の効果は、CYP3A4/5が化合物1の排出に大きい重要性を有することを示している。
実施例10:健常高齢ApoE4ヘテロ接合体及びApoE4非保因者における化合物1による治療に応答したベースラインからのAβ42/Aβ40比の変化量の判定
脳内Aβ沈着の増加は、確立されたPETトレーサー、例えば11C−ピッツバーグ化合物B、18F−フロルベタベン、又は18F−フルテメタモルを使用した皮質AβのPETイメージングにより、またCSF Aβ1−42の低下としても決定することができる。幾つかの試験が、脳内アミロイド−β病変の検出についてPETイメージングとCSF Aβ1−42分析との間の高い一致を示している(Weigand SD et al.,2011;Barthel H et al.,2011;Schipke CG et al.,2017)。この相関は、CSF Aβ1−42の減少が脳内のアミロイド−β沈着が増加した結果であることを示唆している。Aβ1−42と対照的に、皮質アミロイド沈着物に蓄積しにくいAβ1−40のCSF濃度は、高い皮質アミロイド−β負荷を有する患者であっても事実上一定のままである。これと一致して、Aβ1−42単独の代わりにCSF Aβ1−42/Aβ1−40比を使用したとき、よりロバストなPET−CSF相関が得られることが実証されている(Pannee J et al.,2016;Janelidze S et al.,2016)。脳内アミロイド−β病変の検出の診断ツールとしてAβ1−42/Aβ1−40比を使用することは十分に確立されているが、抗アミロイド剤による治療に応答したこのパラメータの変化についてはこれまで記載がない。
実施例5に記載する健常高齢対象における完了した3ヵ月用量範囲探索安全性及び忍容性臨床試験において、初回投与前(ベースライン)及び3ヵ月の複数回投与後に腰椎穿刺を用いてCSF中Aβ40及びAβ42濃度を得た。多数の対象が、皮質アミロイド沈着を示すものである正常値未満(0.09のカットオフ未満)のベースラインCSF Aβ42/Aβ40を有することが分かった。比が0.09未満の対象の割合は、非保因者(15%)と比較してApoE4保因者(33%)の群で高い。これは、ApoE4保因者のアミロイドーシス発症リスクが高いことと一致する。
0.09未満のベースラインCSF Aβ42/Aβ40比を有する対象において、化合物1による3ヵ月の治療の終了時におけるCSF Aβ42/Aβ40比を決定した、図35。化合物1による治療により、同じ対象のベースライン値と比較してAβ42/Aβ40比が用量依存的に増加したことが分かった。Aβ42/Aβ40比の増加は、ApoE4アレルの保因者及び非保因者の両方の治療への応答に認められた。具体的には、35mg及び85mg1日用量により、Aβ42/Aβ40比の1.36倍(p<0.01対プラセボ)及び1.46倍(p<0.01対プラセボ)の増加が生じた。
この結果は、より高用量の化合物1で治療した対象の皮質アミロイド−β負荷の減少に対応した、脳からCSFへのAβ42の輸送の増加を示すものである。皮質アミロイド−β負荷の減少は、化合物1がApoE4アレルの保因者及び非保因者の両方においてADに特有のアミロイド病変を修飾する能力を有し、従ってこれらの患者群のいずれにおいてもADの予防に有効であると予想されることを示している。
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本明細書に引用される全ての参考文献、例えば科学刊行物又は特許出願公報は、各参考文献があらゆる目的から全体として参照により援用されることが具体的且つ個別的に指示されたものとみなすのと同程度に全体として及びあらゆる目的から参照により本明細書に援用される。前述の本発明は、理解を明確にするための例示及び実施例としていくらか詳細に記載されているが、当業者には、本発明の教示を踏まえれば、それに対して添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく特定の変更形態及び修正形態がなされ得ることは容易に明らかであろう。

Claims (15)

  1. アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある患者のアルツハイマー病の予防における使用のための化合物N−(6−((3R,6R)−5−アミノ−3,6−ジメチル−6−(トリフルオロメチル)−3,6−ジヒドロ−2H−1,4−オキサジン−3−イル)−5−フルオロピリジン−2−イル)−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピコリンアミド又はその薬学的に許容可能な塩。
  2. アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある前記患者は、前記アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因するか、又はダウン症候群を有する、請求項1に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  3. 前記患者は、前記アルツハイマー病の臨床症状を発症する遺伝的素因を保因し、及び前記遺伝的素因は、
    (i)アミロイド前駆体タンパク質、プレセニリン−1若しくはプレセニリン−2の遺伝子における突然変異、又は
    (ii)ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーの存在
    である、請求項2に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  4. アルツハイマー病の臨床症状を発症するリスクがある前記患者は、ApoE4アレルの1つ又は2つのコピーを保因する、請求項3に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  5. 前記患者は、ApoE4アレルの1つのコピーを保因する、請求項4に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  6. 前記患者は、ApoE4アレルの2つのコピーを保因する、請求項4に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  7. 前記患者は、アミロイド陽性である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  8. 前記アミロイド陽性は、PET又はCSF測定によって決定される、請求項7に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  9. 前記患者は、60〜75歳である、請求項3〜8のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  10. 前記化合物は、2週間の化合物曝露後にCSF中のAβ1−40の少なくとも70%の低下をもたらす1日用量で使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  11. 前記化合物は、2週間の化合物曝露後にCSF中のAβ1−40の少なくとも50%の低下をもたらす1日用量で使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  12. 前記化合物は、1日15mgの用量で使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  13. 前記化合物は、1日50mgの用量で使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用のための化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
  14. 遊離形態である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  15. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用のための遊離形態又は薬学的に許容可能な塩の形態における化合物を含む医薬組成物。
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