以下、実施の形態に係る画像形成装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図1において、画像形成装置200は、画像入力装置202、画像処理装置203及び画像出力装置204を有する複合機(MFP)である。
画像入力装置202は、スキャナ208を備えている。画像処理装置203は、入力画像処理部206、出力画像処理部207及び描画コマンド処理部205を備えている。画像処理装置203の各機能部は、例えば、後述する図2のCPU101がROM102に格納された所定のプログラムを実行することによって実現されてもよいし、それらの一部若しくは全てが専用のIC(集積回路)で実現されていてもよい。描画コマンド処理部205は、例えば、外部装置としてのホストコンピュータ201と接続されている。
図2は、図1の画像形成装置200における画像処理装置203の基本的な構成を示すブロック図である。画像処理装置203は、画像形成装置200の各構成部の制御を司る。
図2において、画像処理装置203は、CPU101、ROM102、RAM103、外部記憶装置104、表示部105、操作部106、エンジンインターフェース107、ネットワークインターフェース108及び外部インターフェース109を備えている。これらの構成部材は、システムバス110によって相互に接続されている。
CPU101は、画像形成装置200全体の制御及び演算処理等を行う中央処理装置であり、ROM102に格納されたプログラムに基づいて後述する各処理を実行する。ROM102は、読み出し専用メモリである。ROM102は、システムを起動するためのプログラム、プリンタエンジンを制御するためのプログラム、文字データ及び文字コード情報等のデータの記憶領域である。
RAM103は、ランダムアクセスメモリである。RAM103には、ダウンロードにより追加登録されたフォントデータが記憶される。また、RAM103には、様々な処理毎にプログラムやデータがロードされる。RAM103に各種プログラムが展開され、CPU101により実行される。また、RAM103は、受信した画像データの記憶領域としても利用される。
外部記憶装置104は、例えば、ハードディスク等から構成されている。外部記憶装置104は、データをスプールしたり、プログラムや各情報ファイル・画像データを格納したり、CPU101の作業用の領域として利用される。
表示部105は、例えば、液晶表示器(LCD)を有し、CPU101の制御下で各種表示を行う。表示部105は、例えば、画像形成装置の設定状態や、現在の装置内部の処理状況、エラー状態などの表示に使用される。操作部106は、ユーザが画像形成装置200に対して設定の変更やリセットを指示するために使用される。操作部106は、表示部105と共にユーザインターフェースを提供する。操作部106は、例えば、レイアウトや拡大、縮小、回転の設定など印刷条件の指定を受け付けるための操作画面を表示部105に表示させる。
エンジンインターフェース107は、プリンタエンジンを制御するコマンド等を入出力するインターフェースである。ネットワークインターフェース108は、画像処理装置をネットワークに接続するためのインターフェースである。例えば、画像処理装置203は、ネットワーク及びネットワークインターフェース108を介して、ホストコンピュータから画像データや描画コマンドを受信する。外部インターフェース109は、例えば、パラレルやシリアルのインターフェースを介して画像入力装置であるスキャナ208やデジタルカメラと接続されている。システムバス110は、上述の各構成要素間のデータ通路として機能する。
図1に戻り、画像形成装置200における画像出力装置204は、主走査倍率制御部210及びプリンタエンジン209を備えている。
図3は、図1における主走査倍率制御部210の詳細な構成を示すブロック図である。図3において、主走査倍率制御部210は、走査特性情報作成部601、走査特性情報正規化部602及び補助画素挿抜情報作成部603から構成されている。各構成部は、アドレスバス又はデータバスによって接続されている。走査特性情報作成部601は、回転多面鏡405の各鏡面の特性を考慮して各鏡面毎の走査特性情報を作成する。走査特性情報の作成に関しては、後述する。
図4は、図1における画像出力装置204のプリンタエンジン209の概略構成を示す断面図である。
図4において、プリンタエンジン209は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色からなるトナーを用いてそれぞれトナー像を形成する画像形成部SY、SM、SC、SKを備える。以下、画像形成部SY、SM、SC、SKをそれぞれ第1ステーション、第2ステーション、第3ステーション及び第4ステーションということがある。画像形成部SY、SM、SC、SKは、それぞれ中間転写体としての中間転写ベルト308の周面の移動方向に沿って上流側から下流側へ順次配置されている。
各画像形成部SY、SM、SC、SKは、それぞれ回転駆動される感光体302Y、302M、302C、302Kを備える。感光体302Y、302M、302C、302Kは、例えば、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成されており、図示省略した駆動モータの駆動力が伝達されて、例えば、反時計方向に回転する。駆動モータは、対応する感光体302Y、302M、302C、302Kを画像形成動作に応じて、例えば、反時計方向に回転させる。
各画像形成部SY、SM、SC、SKは、感光体302Y、302M、302C、302Kの周りに配置された帯電装置303Y、303M、303C、303Kを備える。帯電装置303Y、303M、303C、303Kは、それぞれ対応するスリーブ303YS、303MS、303CS、303KSを備える。帯電装置303Y、303M、303C、303Kは、対応する感光体302Y、302M、302C、302Kの表面を一様に帯電させる。
各画像形成部SY、SM、SC、SKは、また、露光ユニットとしてのレーザスキャナ部304Y、304M、304C、304Kを備える。レーザスキャナ部304Y、304M、304C、304Kは、感光体302Y、302M、302C、302Kへ露光光を照射し、感光体の表面を選択的に露光することにより、静電潜像を形成する。露光ユニットは、潜像形成手段である。
本実施の形態において、レーザスキャナ部304Y、304M、304C、304Kに適用される結像レンズは、所謂fθ特性を有しない結像レンズである。レーザスキャナ部304Y、304M、304C、304Kの構成については、後ほど詳細に説明する。
各画像形成部SY、SM、SC、SKは、また、それぞれ現像装置306Y、306M、306C、306Kを備える。現像装置306Y、306M、306C、306Kは、それぞれ対応するスリーブ306YS、306MS、306CS、603KS、及び対応するトナーボトル305Y、305M、305C、305Kを備える。現像装置306Y、306M、306C、306Kは、それぞれプリンタエンジン本体に対して着脱自在に構成されている。現像装置306Y、306M、306C、306Kは、対応する色のトナーを用いて各感光体302Y、302M、302C、302Kに形成された静電潜像を現像して可視化する。
各画像形成部SY、SM、SC、SKは、また、中間転写ベルト308を介して感光体302Y、302M、302C、302Kとそれぞれ対向するように配置された1次転写ローラ307Y、307M、307C、307Kを備える。転写ユニットとしての1次転写ローラ307Y、307M、307C、307Kは、感光体302Y、302M、302C、302Kに形成された単色のトナー像をそれぞれ中間転写ベルト308に転写する。すなわち、1次転写ローラ307に適当なバイアス電圧を印加すると共に感光体302Y〜302Kの回転速度と中間転写ベルト308の回転速度に差をつけることにより、単色のトナー像がそれぞれ中間転写ベルト308上に転写される。
画像形成部SY、SM、SC、SKの下方には、中間転写ベルト308が配置されている。中間転写ベルト308は、複数の張架ローラによって回転自在に張架されている。中間転写ベルト308を介して一の張架ローラと対向するように2次転写ローラ309が配置されている。一の張架ローラと2次転写ローラ309との当接部が2次転写部Teとなる。中間転写ベルト308のベルト面に対向するようにクリーニングユニット310が配置されている。クリーニングユニット310は、中間転写ベルト308上の転写残トナーを回収する。
中間転写ベルト308の下方に、給紙トレイ301a及び手差しトレイ301bを備えた給紙ユニットが配置されている。給紙ユニットは、給紙トレイ301a又は手差しトレイ301bに収容された記録材300を2次転写部Te及びその下流側に設けられた定着ユニット311まで搬送する搬送路314を備えている。2次転写部Teの下流側の定着ユニット311は、記録材300を加熱する定着ローラ312と記録材300を定着ローラ312に圧接させる加圧ローラ313を備えている。定着ローラ312と加圧ローラ313は、例えば、それぞれ中空状に形成され、内部にヒータが内蔵されている。
上記構成のプリンタエンジン209は、画像処理装置203の出力画像処理部207から出力される画像データを用い、主走査倍率制御部210によって制御された補助画素データの挿抜情報により決定された露光時間に応じて光源を駆動して静電潜像を形成する。
以下に、画像データへの補助画素データの挿抜について説明することによって、画像データと補助画素データとの関係を明らかにする。
画像データへの補助画素データの挿入又は抜出は、画像処理装置203の、例えば、出力画像処理部207に設けられたPWM部(図示省略)によって行われる。以下に、画像データへの補助画素データの挿抜について説明する。なお、画像データに補助画素データを挿入又は抜出することによって、複数の走査領域間、すなわち、感光体302Y、302M、302C、302Kの相互間で発生する各画像の倍率差が解消される。
(1)先ず、1画素はχビットで周波数変調されたデータ列から構成されているものとし、同一の主走査ライン内に存在する3つの画素、すなわち、第1番目(左側)の画素と、第2番目(中央)の画素と、第3番目(右側)の画素について考える。
補助画素データを追加するべく、第1番目(左側)の画素と、隣接する第2番目(中央)の画素との間で、1ビット分の追加を行う。すなわち、第1番目の画素を構成する第1番目の第1ビット〜第χビットのうち最終の第χビットと同じ値を、第2番目の画素の先頭の第1ビットに追加し、第2番目の画素の第2ビット〜第χビットに、第2番目の第1ビット〜第(χ−1)ビットの各値を入れる。したがって、次の第3番目(右側)の画素の先頭の第1ビットには、第2番目の最終の第χビットの値が入れられ、第3番目の画素の第2ビット〜第χビットに、第3番目の第1ビット〜第(χ−1)ビットの各値が入れられる。
(2)このようにして1ビット分の補助画素データを追加した後の画素データに、さらに、1ビット分の補助画素データを追加する補助画素データの追加は、以下のように行われる。
すなわち、1画素はχビットで周波数変調されたデータ列から構成されているものとし、同一の主走査ライン内に存在する3つの画素を、第m−1番目(左側)の画素と、第m番目(中央)の画素と、第m+1番目(右側)とする。
そして、左側の画素は、(m−2)番目の第χビットと、(m−1)番目の第1ビット〜第(χ−1)ビットで構成されるものとし、左側の画素と、隣接する中央の画素との間で、1ビット分の追加を行う。つまり、左側の画素の最終の(m−1)番目の第(χ−1)ビットと同じ値を、中央の画素の先頭の第1ビットに追加し、中央の画素の第2ビットに、(m−1)番目の第χビットの値を入れる。また、中央の画素の第3ビット〜第χビットに、(m)番目の第1ビット〜第(χ−2)ビットの各値を入れる。したがって、次の右側の画素の先頭の第1ビットには、(m)番目の第(χ−1)ビットの値が入れられ、第2ビットには、(m)番目の第χビットの値が入れられ、第3ビット〜第χビットに、右側の第1ビット〜第(χ−2)ビットの各値が入れられる。
(3)次に、(2)における1ビット分の追加の後に、さらに(χ−3)ビット分の追加が行われた状態において、最後の1ビットの追加が行われて補助画素(χビット)の追加が完了する場合について説明する。
1画素はχビットで周波数変調されたデータ列から構成されているものとし、同一の主走査ライン内に存在する3つの画素を、左側の画素、中央の画素、及び右側の画素とする。そして、左側の画素は、(n−2)番目の第2ビット〜第χビットと、(n−1)番目の第1ビットで構成されるものとし、左側の画素と、隣接する中央の画素との間で、1ビット分の追加を行う。つまり、左側の画素の最終の(n−1)番目の第1ビットと同じ値を、中央の画素の先頭の第1ビットに追加し、中央の画素の第2ビット〜第χビットに、(n−1)番目の第2ビット〜第χビットの各値を入れる。
次の右側の画素の第1ビット〜第χビットには、右側の画素の第1ビット〜第χビットの各値が入れられる。
したがって、本来(n)番目の第1ビット〜第χビットの各値で構成されるべき中央の画素が、(n−1)番目の第1ビット〜第χビットの各値で構成される。また本来(n+1)番目の第1ビット〜第χビットの各値で構成されるべき右側の画素が、(n)番目の第1ビット〜第χビットの各値で構成されることになり、χビットからなる1画素分の補助画素データが追加されたことなる。
画像データに、該画像データを構成する単位である補助画素データが挿入又は抜出(挿抜)されることにより、レーザ光のスキャン長が修正される。なお、上記例では、画素データに補助画素データを1ビットずつ追加しているが、複数ビットずつ追加するようにしてもよい。
以上のように、隣り合った画素の数ビットのデータだけを流用して数ビットの追加を行って、最終的に1画素分の補助画素を追加するようにすれば、画像の中に1画素分のまとまったスペース(空白)を入れることなく画像の拡大を行うことが可能となる。また、画像データに、補助画素データを挿入又は抜出(挿抜)することにより、上述のように、レーザ光のスキャン長を修正することができる。なお、数ビットずつ削除を行って、最終的に1画素分の画素を削除するようにすれば、画像品質を劣化させることなく画像の縮小を行うこともできる。
図4に戻り、プリンタエンジン209は、形成した静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。その後、プリンタエンジン209は、単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、形成した多色トナー像を記録材300へ転写し、その後、記録材上に転写したトナー像を定着させることによって記録材300に画像を形成する。
すなわち、第1ステーションにおいて、感光体302Y上に形成されたY色のトナー像は、感光体302Yの回転に伴って、中間転写ベルト308上に転写される。中間転写ベルト308上に転写されたY色のトナー像は、中間転写ベルト308の周面の移動に伴って搬送される。中間転写ベルト308上のY色のトナー像の移動に同期して、第2〜第4のステーションにおいてそれぞれ形成されたマゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が、感光体302M、302C、302Kからそれぞれ順次Y色のトナー像上に重ねて転写される。これにより、中間転写ベルト308の表面に4色からなる多色トナー像が形成される。形成された多色トナー像は、中間転写ベルト308の回転に伴って2次転写位置Teまで搬送される。
2次転写位置Teまで搬送された多色トナー像は、例えば、給紙トレイ301aから2次転写ローラ309まで搬送された記録材300に転写される。このとき、2次転写ローラ309に適当なバイアス電圧が印加される。2次転写ローラ309は、記録材300上に多色トナー像が転写されている間、図4中、符号309aで表される位置で記録材300に当接し、多色トナー像転写後は、図4中、符号309bの位置まで離間する。
定着ユニット311は、記録材300に転写された多色トナー像を当該記録材300に溶融定着させる。すなわち、定着ユニット311は、多色トナー像が転写された記録材300を定着ローラ312と加圧ローラ313によって搬送すると共に、熱及び圧力を加えてトナーを記録材300に定着させる。多色トナー像が定着された記録材300は、共に図示省略した排紙ローラによって排紙トレイ上に排紙される。
クリーニングユニット310は、中間転写ベルト308上に残った転写残トナーをクリーニングする。4色の多色トナー像が記録材300に転写された後に中間転写ベルト308上に残った転写残トナーは、廃トナーとしてクリーナ容器に蓄えられる。
次に、図1を参照しつつ、ホストコンピュータ201から伝送された描画コマンドを受信して印刷処理を実行する際のデータ処理について説明する。
ホストコンピュータ201上で動作するアプリケーションは、ページレイアウト文書やワードプロセッサ文書、グラフィック文書などを作成する。これらアプリケーションで作成されたデジタル文書データは、図示省略したプリンタドライバに送信され、デジタル文書に基づいた描画コマンドが生成される。なお、プリンタドライバに送信されるデジタル文書データは、ホストコンピュータ201で作成されたものに限られず、他のコンピュータのアプリケーション又はスキャナにより作成され、ホストコンピュータ201に保存されているものであっても良い。
描画コマンドとしては、PDL(Page Description Language)と呼ばれるページ画像データを作成するためのページ記述言語が一般的である。描画コマンドには通常、制御命令としてイメージやグラフィックス、テキスト等のデータの描画命令と共に印刷部数やページレイアウトなどに関する印刷設定が含まれている。
ホストコンピュータ201によって生成された描画コマンドは、ネットワークを介して画像処理装置203に伝送される。画像処理装置203は、ホストコンピュータ201から受信した描画コマンドに基づいて、画像出力装置204が画像形成可能な画像フォーマットの画像データを生成する。
すなわち、描画コマンド処理部205は、ホストコンピュータ201から受信した描画コマンドに対して解析処理を行い、描画オブジェクトを生成し、更にラスタライズ処理を行うことによりビットマップ画像を生成する。
出力画像処理部207は、生成されたビットマップ画像に対し、印刷設定に応じた色変換処理、中間調処理等の画像処理を実施してプリンタエンジン209が処理可能な画像フォーマットからなる画像データに変換する。こうして生成された画像データはエンジンインターフェース107を介して画像出力装置204に送信される。
画像出力装置204のプリンタエンジン209は、予め定められた画像フォーマットで生成された画像データを画像処理装置203から受信し、給紙された転写材への印刷を行う。すなわち、露光・現像・転写・定着の処理を経ることによって転写材である記録材300への印刷が完了する。印刷の際、露光時に主走査倍率制御部210は、主走査倍率補正のために画像データに対して補助画素の挿抜、すなわち、補助画素の挿入又は抜出を行う。主走査倍率制御部210の制御の詳細については、後述する。このようにしてホストコンピュータ201から受信した描画コマンドに基づいて画像が形成される。
次に、スキャナ208等の画像入力装置202から入力されるビットマップ画像について印刷を行う際のデータ処理について説明する。
スキャナ208は、外部インターフェース109を介して画像処理装置203に接続されている。スキャナ208は、紙やフィルムに印刷された画像を光学的に走査し、その反射光や透過光の強度をCCD等のイメージセンサによって測定し、アナログ−デジタル変換することでビットマップ画像を読み込む。ビットマップ画像は、一般的にRGB画像となる。
スキャナ208によって読み取られたビットマップ画像は、画像処理装置203の入力画像処理部206に供給される。入力画像処理部206は、受信したビットマップ画像データに対してシェーディング補正やライン間補正、色補正など、周知の画像処理を行う。出力画像処理部207は、入力画像処理部206で受信され、画像処理されたビットマップ画像に対し、さらに画像処理を施すことによってビットマップ画像をプリンタエンジン209が受信可能な画像フォーマットに変換する。
こうして生成された画像データは、プリンタエンジン209に転送され、プリンタエンジン209によって画像データに基づいて記録材300に画像が出力される。この際、主走査倍率制御部210は、画像データに補助画素データを挿抜して主走査倍率補正を行う。このようにして、スキャナ208等の画像入力装置202から入力されたビットマップ画像データに基づいて画像が形成される。なお、ホストコンピュータ201から描画コマンドではなくビットマップ画像やJPEG圧縮された画像データが受信される場合がある。この場合、ホストコンピュータ201から受信された画像データは、入力画像処理部206へ入力される。
ここで、図4のプリンタエンジン209に適用されるレーザスキャナ部304について詳細に説明する。
図5は、図4のプリンタエンジン209におけるレーザスキャナ部の構成を示す断面図であり、図5(a)は主走査方向に沿った断面図、図5(b)は副走査方向に沿った断面図である。
図5(a)において、レーザスキャナ部304は、光源401と、該光源401から出射されたレーザ光410を偏向する回転多面鏡405と、該回転多面鏡405と被走査面407との間に設けられた結像レンズ406を備えている。光源401と回転多面鏡405との間には、開口絞り402、カップリングレンズ403及びアナモフィックレンズ404が配置されている。結像レンズ406を透過したレーザ光が走査される感光体の被走査面407の近傍には、ビームディテクト(以下、「BD」と称す。)レンズ408及びBDセンサ409が配置されている。
光源401から出射されたレーザ光(光束)410は、開口絞り402によって楕円形状に整形された後、カップリングレンズ403に入射する。カップリングレンズ403を通過したレーザ光410は、略平行光に変換されてアナモフィックレンズ404に入射する。アナモフィックレンズ404は、主走査断面内において正の屈折力を有しており、入射するレーザ光410を主走査断面内において収束光に変換する。また、アナモフィックレンズ404は、副走査断面内において回転多面鏡405のポリゴンミラー面(反射面)405aの近傍にレーザ光410を集光しており、主走査方向に長い線像を形成する。
アナモフィックレンズ404を通過したレーザ光410は、回転多面鏡405のポリゴンミラー面405aで反射する。ポリゴンミラー面405aで反射したレーザ光410は、走査光として、結像レンズ406を透過し、被走査面である感光体302の回転方向と交差する方向に当該感光体の表面に入射し、走査する。結像レンズ406は、fθ特性を有しない結像光学素子である。本実施の形態においては、単一の結像光学素子としての結像レンズ406のみで結像光学系が構成されている。結像レンズ406を通過(透過)したレーザ光410が入射する感光体302の表面は、レーザ光410によって走査される被走査面407である。結像レンズ406によって被走査面407上でレーザ光410が結像し、所定のスポット状の像(スポット)が形成される。
回転多面鏡405を図示省略した駆動部によって、図5(a)中、矢印A方向に一定の角速度で回転させることにより、被走査面407上でレーザ光410のスポットが主走査方向に移動し、被走査面407上に静電潜像が形成される。なお、主走査方向とは、感光体302の表面に平行で且つ感光体302の表面の移動方向に直交する方向である。副走査方向とは、主走査方向及びレーザ光410の光軸に直交する方向である。
BDセンサ409とBDレンズ408は、被走査面407上に静電潜像を書き込むタイミングを決定する同期用光学系である。BDレンズ408を通過したレーザ光410は、フォトダイオードを含むBDセンサ409に入射して検知される。BDセンサ409によってレーザ光410を検知したタイミングに基づいて、書き込みタイミングが制御される。
なお、本実施の形態においては、BDセンサでの検知周期を複数監視することにより、その周期性に基づいて回転多面鏡405のどのポリゴンミラー面で偏向されたかを判断する面検知を行うことが可能である。
図5(a)に示したように、結像レンズ406は、入射面(第1面)406a及び出射面(第2面)406bの2つの光学面(レンズ面)を有する。結像レンズ406は、主走査断面内において、回転多面鏡405のポリゴンミラー面405aで偏向されたレーザ光410が被走査面407上を所望の走査特性で走査させる構成となっている。また、結像レンズ406は、被走査面407上でのレーザ光410のスポットを所望の形状にする構成となっている。なお、結像レンズ406により、副走査断面内においては、回転多面鏡405のポリゴンミラー面405aの近傍と被走査面407の近傍が共役の関係となっている。これにより、面倒れを補償する構成、すなわち、ポリゴンミラー面405aが倒れた際の被走査面407上での副走査方向の走査位置ずれを低減する構成となっている。
本実施の形態において、結像レンズ406は、所謂fθ特性を有しないレンズである。すなわち、結像レンズ406は、回転多面鏡405が等角速度で回転している時に、結像レンズ406を通過するレーザ光410のスポットを被走査面407上で等速に移動させるような走査特性を有していない。このように、fθ特性を有していない結像レンズ406を用いることにより、結像レンズ406を回転多面鏡405に近接して、換言すれば、図5(a)中の距離D1を小さくして結像レンズ406を配置することができる。また、fθ特性を有していない結像レンズ406はfθ特性を有する結像レンズよりも、レンズの主走査方向幅(幅LW)及び光軸方向幅(厚みLT)の寸法を小さくすることができる。これによって、本実施の形態では、レーザスキャナ部304の筐体の小型化を実現している。
また、fθ特性を有するレンズの場合、主走査断面で見た時のレンズの入射面、出射面の形状に急峻な変化がある場合があり、そのような形状の制約がある場合、良好な結像性能を得られない可能性がある。これに対して、結像レンズ406はfθ特性を有していないので、主走査断面で見た時のレンズの入射面、出射面の形状に急峻な変化が少なく、良好な結像性能を得ることができる。なお、図5(a)において、被走査面407における潜像を形成できる走査領域の主走査方向の走査幅は、Wで表される。走査領域の中央が軸上像高で端部が最軸外像高となる。
次に、fθ特性を有していない結像レンズを採用した図1の画像形成装置200を用いて画像を形成する際に実行される補助画素挿抜情報作成処理について説明する。
図6は、図1の画像形成装置200で実行される補助画素挿抜情報作成処理の手順を示すフローチャートである。この補助画素挿抜情報作成処理は、レーザスキャナ部における結像レンズがfθ特性を有しない場合であっても、結像レンズを通過するレーザ光スポットを被走査面上で等速に移動させた場合と同様の画像を得るための処理である。補助画素挿抜情報作成処理は、スポット画像データに対して補助画素データを挿抜する情報を作成するものである。画像出力装置204は、作成された補助画素挿抜情報に基づいて補正された画像データに従って画像を出力する。
補助画素挿抜情報作成処理は、画像形成装置200における画像処理装置203のCPU101が、ROM102に格納された補助画素挿抜情報作成プログラムに従って主走査倍率制御部210を制御することによって実行される。
図6において、補助画素挿抜情報作成処理が開始されると、CPU101は、画像出力装置204を制御して外部記憶装置104に格納されている部分倍率検出用パターンを出力させる(ステップS101)。ここで、部分倍率検出用パターンとは、感光体上におけるレーザ光の走査速度が不均一になることに起因して発生する画像の部分倍率を検出するためのパターンをいう。部分倍率検出用パターンについては、図8を用いて後ほど詳述する。
出力された部分倍率検出用パターンは、画像入力装置202で読み取られた後、画像処理装置203の出力画像処理部207で画像処理がなされ、その後、プリンタエンジン209に送られる。部分倍率検出用パターンは、主走査の部分倍率を補正するための補助画素挿抜処理が施されることなく出力される。従って、ドットとドットの間隔が一定の時間間隔mでプリンタエンジンに送信された画像データであっても、紙面上ではそれぞれの走査速度の違いから、設定位置とは異なる走査特性に応じた描画位置に描画される。この際、面検知機能によりどの領域のパターンが回転多面鏡405のどのポリゴンミラー面(反射面)で反射されたものかが特定して出力される。
ここで、部分倍率検出用パターンが作成される前提としてfθ特性を有していない結像レンズ406の走査特性について説明する。
図7は、fθ特性を有していない結像レンズを用いた場合の被走査面上での主走査特性を示す図である。すなわち、図7は、軸上像高の主走査速度に対する各軸外像高の主走査速度のずれ量(部分倍率)を表したものである。
レーザ光410の被走査面407上での主走査方向の集光位置を像高Yとした場合、軸上像高は、中心光軸上の像高(Y=0=Ymin)を指す。また、軸外像高は、中心光軸上よりも外側の像高(Y≠0)を指す。さらに、最軸外像高とは、走査角度が最大(最大走査画角)となる時の像高を指す。像高は、中心光軸からの距離で表される。
図7において、軸上像高と軸外像高とでレーザ光の走査速度が異なっており、軸上像高から軸外像高に向かうにつれて徐々に走査速度が速くなるため部分倍率が大きくなっている。ここで、例えば、部分倍率130%は、単位時間だけ光を照射した場合、被走査面407での主走査方向の照射長が、軸上像高の1.3倍となることを意味している。このような走査特性を正確に把握するために、部分倍率検出用パターンが用いられる。
図8は、部分倍率検出用パターンの一例を示す図である。
図8において、この部分倍率検出用パターンは、記録材としての用紙に定着されたトナーパターンであり、主走査方向の部分倍率を補正するために、回転多面鏡405のポリゴンミラー面毎の走査特性を検出する際に使用されるパターンである。本実施の形態において、対象となる回転多面鏡405は、ポリゴンミラー面A〜Dの4面を持ったものとし、ポリゴン周期を4とする。
図8の部分倍率検出用パターンにおいて、まず主走査方向に、読み取りによって各ドット間隔の差異が把握できるように複数のドットが例えば、一定の時間間隔mで12ドット配置されている(一部、図示省略)。また、副走査方向にはポリゴン周期である4ドット間隔で所定数のドットが配置されている(一部、図示省略)。これを、例えば、ポリゴンミラー面Aの部分倍率検出用パターンとする。この部分倍率検出用パターンは、部分倍率補正の対象となる画像形成装置200を用いて出力される。
出力された部分倍率検出用パターンを視認、又はリーダで読み取ることによって、レーザ光の走査方向とパターン形状との関係、レーザ光の走査方向における部分倍率の差が分かる。但し、プリンタエンジン209の性能によっては孤立ドットである1ドットでの描画が難しい場合もある。この場合は、主走査方向に2ドット以上連続したドットを、例えば、12ドット並べたパターンを用いても良い。
次に、副走査方向に最初のドット描画開始位置からポリゴン周期(4)×n1+1の位置から、同様に主走査方向に、例えば、各ドットを一定の時間間隔mで12ドット配置する。また副走査方向にはポリゴン周期である4ドット間隔でドットを配置し、ポリゴンミラー面Bの部分倍率検出用パターンとする。ここでn1は1以上の自然数であり、ポリゴンミラー面Aとポリゴンミラー面Bの部分倍率検出用パターンは重ならないように配置される。
同様に、副走査方向に最初のドット描画開始位置よりポリゴン周期(4)×n2+2、ポリゴン周期(4)×n3+3の位置から同様のドットを配置し、それぞれポリゴンミラー面C、ポリゴンミラー面Dの部分倍率検出用パターンとする。n2、n3は1以上の自然数であり、それぞれの部分倍率検出用パターンは重ならないものとする。このように構成された部分倍率検出用パターンにおいて、副走査方向にポリゴン周期(反射面数)の間隔で描画されたドットは、同じポリゴンミラー面で偏向されたドットとなる。また、副走査方向にポリゴン周期の整数倍である倍数+1、+2、+3で描画されたドットは、それぞれ異なるポリゴンミラー面で偏向されたドットとなる。このことから、ポリゴンミラー面毎に領域を持った点線を描画することが可能になる。なお上述したように、プリンタエンジン209はBDの検知周期から、どのポリゴンミラー面で偏向されたか特定できる面検知機能を有しており、それぞれの領域の点線がどのポリゴンミラー面で偏向され、描画されたものであるかは特定可能である。
図8の部分倍率検出用パターンは、ビットマップ画像として、例えば、外部記憶装置104に格納されている。
図6に戻り、部分倍率検出用パターンを出力させた後(ステップS101)、CPU101は、スキャナ208を制御して出力された部分倍率検出用パターンを読み取らせる(ステップS102)。部分倍率検出用パターンの読み取りは、例えば、ユーザが紙面に出力された図8の部分倍率検出用パターンをスキャナ208にセットし、読み取りを指示することによって実現される。スキャナ208による読み取りは、印刷された部分倍率検出用パターンを光学的に走査し、その反射光や透過光の強度をイメージセンサにより測定し、アナログ−デジタル変換することで行われ、ビットマップ画像として読み取られる。なお、本実施の形態では、画像形成装置200の画像入力装置202を用いて読み取りを行う例について説明しているが、画像形成装置200に接続された外部のスキャナや、プリンタエンジン内に設置されたセンサ等で読み取りを行うこともできる。
スキャナ208によって部分倍率検出用パターンを読み取らせた後(ステップS102)、CPU101は、処理をステップS103に進める。すなわち、CPU101は、主走査倍率制御部210の走査特性情報作成部601を制御して読み取った部分倍率検出用パターンを用いて回転多面鏡405のポリゴンミラーの反射面毎のパターン画像を作成させる(ステップS103)。このとき、CPU101は、複数のライン画像を形成するために、走査特性情報作成部601を制御してレーザ光の1走査周期中の感光体上を走査する期間において一定の時間間隔で光源からレーザ光を出射させる。パターン画像は、各画像の倍率差を示すデータである。
CPU101の指示を受けた走査特性情報作成部601は、スキャナ208によって読みとられた部分倍率検出用パターンのビットマップ画像より、各点線間の間隔を測定する。主走査倍率の補正がなされていない状態の走査特性情報において、画像データに一定の時間間隔m、すなわち単位時間の描画間隔があるが、レーザ光410の走査速度の違いから、描画された各点線間の間隔はそれぞれ異なるものとなる。各点線間の間隔比が、上述した図7に示した部分倍率であり、特定のポリゴンミラー面での走査特性情報となる。それぞれのポリゴンミラー面での走査特性は異なるため、走査特性情報作成部601は、面検知機能により特定されたポリゴンミラー面ごとの走査特性情報(パターン画像)を作成する。
図9は、各ポリゴンミラー面のパターン画像を示す図である。図9において、部分倍率検出用パターンを画像入力装置202のスキャナ208によって読み取った後、画像出力装置204で出力したポリゴンミラー面毎のパターン画像が示されている。パターン画像は、レーザ光の走査方向における複数の走査領域間の画像の倍率差を示す。
このパターン画像では、回転多面鏡405の各ポリゴンミラー面405aで偏向されたレーザ光のスポットがそれぞれの領域において点線として描画されている。また、各ポリゴンミラー面の描画領域においてレーザ光のスポットは主走査方向を11領域に分割するような12本の縦破線として描画されている。
図9において、各ポリゴンミラー面に対応するパターン画像は、1枚の記録材の異なる位置に反射面数に対応するように形成される。また、パターン画像は、それぞれの反射面によって偏向されたレーザ光の複数回の走査によって形成され、感光体の回転方向に延びる少なくとも3本の複数のライン画像を含んでいる。
パターン画像は、例えば、縦方向に4ドットおきのドットからなる縦破線を主走査方向にm=400ドットおきに描画されたのものであるが、縦線の間隔は走査速度の違いから等間隔になっていおない。すなわち、ポリゴンミラー面Aについて主走査方向の間隔はそれぞれ等間隔ではなく、また面精度の違いからポリゴンミラー面Aとポリゴンミラー面Bとでも間隔は異なるものとなる。走査特性情報作成部601では、このパターン画像を用いてfθ特性を有さない走査レンズを使用した場合の主走査方向のずれ量を取得する。なお、パターン画像は、カラー画像形成装置の場合、各画像形成ステーションSY、SM、SC、SK毎にそれぞれ作成される。
ここで、図9のパターン画像(走査特性情報)を用いた走査特性曲線の作成方法について説明する。図10は、走査特性情報作成部601で実行される走査特性曲線の作成方法の一例を示す図である。図10の例では、例えば、ポリゴンミラー面A用の走査特性曲線が作成される。
すなわち、図9のポリゴンミラー面A用のパターン画像を用いて、まず、図10(a)に示したように、各点線間の領域をそれぞれ領域1〜領域11とし、領域1から領域11の幅をそれぞれ測定する。
図8の部分倍率検出用パターンを作成した際の各領域の間隔は、設計値では、それぞれ一定の時間間隔であったはずである。しかしながら、部分倍率補正前のパターン画像では、走査特性がそのまま表れるのでレーザ光のスポットが等間隔に走査されておらず、各領域の間隔は、それぞれ異なった幅となっている。
そこで、中央部の領域6の幅を100%とし、他の領域の幅を、それぞれ測定された幅に基づいて領域6の幅の何倍になっているかを求めて、図10(b)のポリゴンミラー面A用の走査特性曲線を作成する。
図10(b)の例では、領域6の幅を100%とし、それぞれ測定された領域の幅の比率を取得して走査特性曲線が作成されている。例えば、領域1の幅が領域6の幅に対して、1.25倍の長さであった場合、部分倍率は125%となる。このように、図10(b)ではそれぞれの間隔比をプロットし、2次曲線で近似を行って走査特性曲線としている。
図6に戻り、ポリゴンミラー面Aのパターン画像(走査特性情報)を作成させた後(ステップS103)、CPU101は、処理をステップS104に進める。すなわち、CPU101は、走査特性情報正規化部602を制御してパターン画像における各領域の幅が、設計値幅で、かつ全ポリゴンミラー面間で等しくなるように、各領域毎に倍率補正を行って走査特性曲線を正規化する(ステップS104)。
すなわち、図10(b)で求めたポリゴンミラー面Aに関する走査特性曲線に、それぞれ図9の領域6の幅の相対比を用いて倍率補正を行ってポリゴンミラー面B〜Dの走査特性曲線を作成し、正規化する。
回転多面鏡405の面精度は各ポリゴンミラー面で全てが同じではない。そのため、一のポリゴンミラー面における領域6の幅と他のポリゴンミラー面における領域6の幅は異なったものとなる。従って、走査特性情報正規化部602では、例えば、中央部の領域6の幅があるポリゴンミラー面で期待値(設計値)となる倍率を求め、ポリゴンミラー面Aの走査特性曲線に、求めた倍率を乗ずることで、ポリゴンミラー面B〜Dの走査特性曲線を求めている。
特定の、例えば、ポリゴンミラー面Aの走査特性曲線に、図9のポリゴンミラー面B〜Dにおける領域6の幅におけるポリゴンミラー面Aの領域6の幅に対する比率を乗算して各ポリゴンミラー面の走査特性曲線を求めることを、走査特性情報を正規化するという。
図11は、ポリゴンミラー面A〜Dにおける走査特性情報を正規化する方法を説明するための図である。
図11において、ポリゴンミラー面Bに対して描画されたパターン画像における領域6の幅が、例えば、設計値の長さより短かったため、長さを伸ばすよう1より大きな倍率をポリゴンミラー面Aに対して描画された走査特性曲線に乗じている。一方、ポリゴンミラー面Dで描画されたパターン画像における領域6の間隔が、既定の設計値の長さより長かったため、長さを短くするよう1より小さな倍率をポリゴンミラー面Aに対して描画された走査特性曲線に乗じている。
図6に戻り、パターン画像(走査特性情報)を正規化した後(ステップS104)、CPU101は、処理をステップS105に進める。すなわち、CPU101は、主走査倍率制御部210の補助画素挿抜情報作成部603を制御して正規化された走査特性曲線に基づいて各部分倍率を補正するのための主走査位置に応じた補助画素挿抜情報を作成する(ステップS105)。補助画素挿抜情報は、ポリゴンミラー面毎に作成される。補助画素挿抜情報は、fθ特性を有さない走査レンズの特性を補正する特性補正データということができる。
このとき、CPU101は、ステップS104で正規化された走査特性曲線から求められた補助画素挿抜情報に基づいて主走査位置に応じて補助画素を挿抜して主走査の部分倍率補正を行なう。走査特性情報において、領域幅が基準となる領域の幅の100%よりも大きな領域では、画像データから補助画素を抜去して主走査方向に長さが短くなるよう制御される。また、パターン画像(走査特性情報)において、領域幅が基準となる領域の幅の100%よりも小さな領域では、画像データに補助画素を挿入して長さが伸びるよう補正される。
なお、画像データは、公知の補助画素挿抜処理に適用される画像データであって、当該画像データに基づいて画像を構成する画素を生成するためのデータをいう。この画像データは、画素を1画素単位で所定の整数値で分割して補助画素とし、補助画素単位で半導体レーザを駆動して発生したレーザ光を回転多面鏡で走査して感光体上に潜像を形成する際に適用されるPWM点灯パターンを操作するためのデータである。
プリンタエンジン209は、画像処理装置203からの画像データに対して、主走査倍率制御部210で生成された補助画素挿抜情報に基づいて補助画素データの挿抜を行い、露光ユニットに画像データを送信して主走査の部分倍率を補正して画像を出力する。
図6の処理によれば、回転多面鏡405の各ポリゴンミラー面の走査特性が検出できるような部分倍率検出用パターンを読み取る(ステップS102)。次いで、該部分倍率検出用パターンに基づいてポリゴンミラー面毎のパターン画像(走査特性情報)を作成する(ステップS103、S104)。そしてパターン画像に基づいて、走査特性を補正するためのデータとして補助画素挿抜情報を作成し(ステップS105)、該補助画素挿抜情報に基づいて画像データを補正し、補正した画像データに基づいて画像を形成する。これによって、各ポリゴンミラー面の面精度を考慮した主走査の部分倍率補正が可能となり、fθ特性を有さない走査レンズを採用した装置であっても、位置ずれを補正した高品質な印刷を実現することができる。
すなわち、本実施の形態によれば、補助画素挿抜情報を用いてレーザ光を走査するための画像データを補正し、補正後の画像データを用いて潜像を形成することにより、各ポリゴンミラー面の面精度を考慮しつつ位置ずれの無い良好な画像を形成することができる。
また、本実施の形態によれば、一のポリゴンミラー面に対する走査特性情報を求めた後、当該走査特性情報(走査特性曲線)に各鏡面の部分倍率の比を乗算し、正規化して各ポリゴンミラー面の走査特性情報を求める。これによって、全ポリゴンミラー面について走査特性情報を作成する際の煩雑な操作を省略して効率化することができる。
本実施の形態において、ポリゴンミラー面Aの走査特性情報にそれぞれのポリゴンミラー面に対応する部分倍率の比率を乗ずることによってポリゴンミラー面B〜Dの走査特性情報を求めるので、ポリゴンミラー面内での部分倍率の比率は変わらず、一定である。
また、本実施の形態では、走査特性情報における中央部の領域6の幅を正規化の基準としたが、走査特性情報の左端の線から右端の線の全間隔を正規化する際の基準としても良い。この場合もポリゴンミラー面Aの走査特性情報にそれぞれのポリゴンミラー面に対応する部分倍率の比率を乗ずることからポリゴンミラー面内での部分倍率の比は変わらない。また、基準となる走査特性情報としてポリゴンミラー面Aの走査特性情報を採用したが、これに限定されるものではない。すなわち、ポリゴンミラー面B〜Dのいずれかについて走査特性情報を求め、求めた走査特性情報に、それ以外のポリゴンミラー面に対応する部分倍率の比率を乗じて各ポリゴンミラー面の走査特性情報を求めることもできる。
本実施の形態では、レーザの発光を安定化させるために、APC(Auto Power Control)回路方式が採用される。そして、画像データに基づいて画像を構成する画素を生成し、1画素分の濃度信号をレーザ駆動回路で出力されるPWM信号のもとになる1画素分のPWM点灯パターン信号に変換する。そして、1画素分の点灯パターンの前又は後に、画素を1画素単位で予め設定した整数値で分割した補助画素を挿入又は抜き出すことによって画像データ(レーザ光の照射時間)を補正する。そして、補正後の画像データに基づいて画像を形成することによって、位置ずれのない高品質な画像を形成することができる。
1画素分の点灯パターンの前又は後に、補助画素データを挿入し又は抜き出すことによって画像データを補正するので、レーザ光の照射時間のずれを補正することができる。
本実施の形態において、光源401は、複数の発光点を有し、複数のレーザ光を照射するマルチビームレーザであってもよい。これによって、画像形成速度を速めることができる。
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態では、光源としてマルチビームを適用した場合における回転多面鏡の各ポリゴンミラー面の走査特性が検出できるような部分倍率検出用パターンが適用される。なお、第2の実施の形態における画像形成装置の構成は、上述の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成と基本的に同様であるため詳細な説明は省略する。
本実施の形態では、画像形成装置の印刷速度を向上させるために、レーザビーム数を増やす(マルチビーム化)方法がとられている。しかしながら、マルチビーム化は、レーザユニットの組み付けのばらつき等による位置ずれで、レーザビームごとに走査特性が異なることが知られている。
図12は、第2の実施の形態で用いられる部分倍率検出用パターンの一例を示す図であって、光源としてマルチビームのレーザを用いた場合の各ポリゴンミラー面におけるレーザビーム毎の走査特性を検出するためのパターンを示す。
図12において、対象となる回転多面鏡はポリゴンミラー面A〜Dの4面を有するものとし、ポリゴン周期を4としている。また光源のレーザビームは、ビーム1、ビーム2の2本を使用するものとする。
図12の部分倍率検出用パターンにおいて、主走査方向に一定の時間間隔mで、例えば、12ドットが配置されている。また、副走査方向には、ポリゴン周期(4)×ビーム数(2)である8ドット間隔で任意のドット数だけ配置されている。これをポリゴンミラー面Aで偏向されたビーム1の部分倍率検出用パターンとする。
ここで、第1の実施の形態と同様に、1ドットでの描画が難しい場合には主走査方向に2ドット以上連続して並べたドットを用いることもできる。また、副走査方向に最初のドット描画開始位置よりポリゴン周期(4)×ビーム数(2)×k1+1の位置から、同様に主走査方向に一定の時間間隔mで、例えば12ドットが配置される。ここでk1は1以上の自然数であり、それぞれの部分倍率検出用パターンの領域は重ならないものとする。また副走査方向にはポリゴン周期(4)×ビーム数(2)である8ドット間隔で数ドットが配置され、ポリゴンミラー面Aで偏向されたビーム2の部分倍率検出用パターンが構成されている。
次に、副走査方向に最初のドット描画開始位置よりポリゴン周期(4)×ビーム数(2)×n1×ビーム数(2)+ビーム数(2)の位置から同様のドットを配置することで、ポリゴンミラー面Bのビーム1についての部分倍率検出用パターンが形成される。
また、ポリゴン周期(4)×ビーム数(2)×n2×ビーム数(2)+ビーム数(2)×2の位置から同様のドットを配置することで、ポリゴンミラー面Cのビーム1についての部分倍率検出用パターンが形成される。
また、ポリゴン周期(4)×ビーム数(2)×n3×ビーム数(2)+ビーム数(2)×3の位置から同様のドットを配置することで、ポリゴンミラー面Dのビーム1についての部分倍率検出用パターンが形成されている(n1〜n3は1以上の自然数)。
また、それぞれのポリゴンミラー面のビーム1についての部分倍率検出用パターンの描画開始位置より、副走査方向にポリゴン周期(4)×ビーム数(2)×k2、k3、k4+1の位置から、それぞれ同様のドットが配置される。これによって、それぞれのポリゴンミラー面で偏向されたビーム2の走査特性を検出できる部分倍率検出用パターンが形成されている(k2、k3、k4は1以上の自然数)。
図12の部分倍率検出用パターンを出力して読み取り、読み取り結果から、ポリゴンミラー面及びビーム毎の走査特性情報を求める手法は第1の実施の形態と同様である。すなわち、部分倍率検出用パターンに基づいて、1のビームに対応する走査特性情報を求め、求めた走査特性情報に各ビームごとの部分倍率の比率を乗算して各ビーム毎の各ポリゴンミラー面での走査特性情報を求める。そして、求めた走査特性情報を用いて、主走査位置に応じて、走査特性を補正するために補助画素データを挿抜する補助画素挿抜情報を求める。そして、補助画素挿抜情報に基づいて画像データについて補助画素データの挿抜を行い、露光ユニットに補助画素挿抜処理後の画像データを送信して主走査の部分倍率が補正された画像が出力される。
第2の実施の形態によれば、回転多面鏡のポリゴンミラー面毎及びレーザユニット毎の走査特性が検出できる部分倍率検出用パターンを出力し、ポリゴンミラー面内での走査特性の部分倍率を求める。また、ポリゴンミラー面間、レーザユニット間で走査特性データ正規化する。そして、走査特性を補正するための補助画素挿抜情報を作成し、補助画素挿抜情報に基づいて画像データを補正し、補正した画像データに基づいて画像を形成する。これによって、面精度を考慮した主走査方向の部分倍率補正を行いつつ、位置ずれを補正して高品質な印刷を実現することができる。