以下、遠隔操作装置及び医用画像診断システムの各実施形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
(1)構成
図1は、第1の実施形態に係る医用画像診断システムの一例を示す概念的な構成図である。ここでは、医用画像診断システム1がモダリティ及び当該モダリティを操作するための遠隔操作装置60を備える場合を例として説明するが、遠隔操作装置60は、医用画像診断システム1とは独立した構成要素であってもよい。
図1は、モダリティの一例としてX線装置2aを備えた医用画像診断システム1を示す。なお、医用画像診断システム1を構成するモダリティには、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、X線アンギオ装置、マンモグラフィ装置、核医学診断装置、及び放射線治療装置などの医療機器が含まれる。
X線装置2aは、高電圧発生装置10、X線管保持装置20、スタンド装置30、寝台装置40、及び通信制御装置50を備える。X線管保持装置20、スタンド装置30、寝台装置40、及び通信制御装置50は、検査室に設置され、高電圧発生装置10は、検査室に隣接する制御室又は機械室に設置される。
高電圧発生装置10は、高電圧を発生させて、発生させた高電圧をX線管23に供給する。即ち、高電圧発生装置10は、X線管23に供給する電圧や電流を調整することで、被検体に対して照射されるX線量の調整や、被検体へのX線照射のオン/オフの制御を行う。
高電圧発生装置10は、不図示の操作パネルを備える。操作パネルには、X線量を調整するための管電圧及び管電流の調整スイッチ、X線線量の設定スイッチが設けられている。
なおスイッチには、スイッチの操作と当該スイッチにより実行される機能とが関連付けされている。例えば押しボタン式のスイッチの場合、当該押しボタン式のスイッチを押下する操作と、当該スイッチが押下されたときに実行される機能とが関連付けされている。
さらに操作パネルは、タッチパネル式のディスプレイで構成されてもよい。ユーザは、ディスプレイに表示されたスイッチを選択し、スイッチに関連付けされた機能を実行する。ここで、タッチパネル式のディスプレイとは、ディスプレイに表示された画像を直接又は間接的に操作することで、操作に対応した指令や情報を入力できる入力デバイスのことである。タッチパネル式のディスプレイには、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、又は電磁誘導方式などの動作原理を有するものが含まれる。
以下、押しボタン式のスイッチやディスプレイ以外の部分に設けられたタッチセンサのように、ハードウェア上の固定された位置に設けられた操作検知手段によって、ユーザの操作を電気信号に変換するスイッチを「メカスイッチ」と称する。一方、タッチパネル式のディスプレイに表示された画像であって、ユーザが当該画像に対して行った操作に対応した指令や情報が入力されるスイッチを「ソフトウェアスイッチ」と称する。
X線管保持装置20は、支柱部21、撮像ユニット27、及び移動機構25を備える。撮像ユニット27は、支柱部21に固定され、スイッチSW1、絞り制御装置22、X線管23、及びX線可動絞り24が一体となって構成されている。
車輪などの移動手段を備える移動機構25は、例えば検査室の天井に敷設されたレール26に沿って、支柱部21と撮像ユニット27とを一体的に水平方向に移動させてもよいし、床に敷設されたレール又は床と壁両方に敷設されたレールに沿って支柱部21と撮像ユニット27とを一体的に水平方向に移動させてもよい。
支柱部21は、鉛直方向に伸縮可能に構成される。撮像ユニット27は、支柱部21の伸縮によって鉛直方向に沿って上下に移動する。また、撮像ユニット27は、支柱部21に回転可能に取付けられており、撮像ユニット27を回転させることによりX線管23のX線照射方向を変更できる。
X線管23は、陰極から放出された熱電子を、高電圧発生装置10から供給された電圧によって加速して陽極ターゲットに衝突させることでX線を発生させる。
X線可動絞り24は、絞り制御装置22の制御に従いX線管23から照射されるX線の照射範囲を調整する。X線可動絞り24は、複数枚の鉛羽で構成されてもよいし、X線管23の管軸に平行なシャッターの羽を持つコリメータにより構成されてもよい。
絞り制御装置22は、X線の照射範囲を調整する不図示のスイッチを備える。絞り制御装置22に設けられたスイッチには、X線可動絞り24を構成する鉛羽の開度を調整するスイッチや、被検体の撮像位置を決めるため照射野中心に光を照射するスイッチが含まれる。
スイッチSW1は、撮像ユニット27の位置調整のための複数のスイッチを含む。撮像ユニット27の位置調整のためのスイッチには、レール26に対する支柱部21の水平位置を固定するスイッチと、レール26に対する支柱部21の水平位置の固定を解除するスイッチとがある。上記支柱部21の水平位置の固定を解除することで、支柱部21と撮像ユニット27とをレール26に沿って水平方向に移動させることができる。
なお、撮像ユニット27の水平移動を実行するスイッチは、デッドマンスイッチで構成されてもよい。デッドマンスイッチとは、操作者がスイッチを操作している間のみその機能が実行されるスイッチである。従って、撮像ユニット27の水平移動を実行するスイッチがデッドマンスイッチの場合、スイッチを操作している間、撮像ユニット27は水平移動し、スイッチの操作をやめると撮像ユニット27は停止する。
また、スイッチSW1には、撮像ユニット27の支柱部21への固定を解除するスイッチと、撮像ユニット27を支柱部21に固定するスイッチとが含まれる。撮像ユニット27の支柱部21への固定を解除するスイッチを操作することで、撮像ユニット27を回転させることができる。撮像ユニット27の水平移動の場合と同様に、撮像ユニット27の回転移動を実行するスイッチもデッドマンスイッチで構成されてもよい。
スイッチSW1は、支柱部21の伸縮を調整するスイッチ、X線量を調整するスイッチ、又はX線照射のON/OFFを制御するスイッチをさらに備えてもよい。
スタンド装置30は、支持台31、検出ユニット33、スイッチSW3、及びフットスイッチSW4を備える。検出ユニット33は、立位検出器32及びスイッチSW2を備える。スタンド装置30は、被検体を立位で撮像する場合に用いられる装置である。
検出ユニット33は、鉛直方向に上下に移動可能に支持台31に取付けられている。また、検出ユニット33は、鉛直方向と垂直な方向であって、X線装置2aの装置座標系のz軸に平行な方向に移動可能に支持台31に取付けられている。さらに、検出ユニット33は、支持台31に対して所定の角度だけチルト可能に取付けられている。
ここでは一例として、X線装置2aの装置座標系を以下のように定義する。即ち、鉛直方向をy軸方向とし、支持台31の長手方向はy軸と平行であるものとする。また、支持台31の短手方向であって、図1の紙面の手前奥方向をx軸方向とし、y軸とx軸とに直交する方向をz軸と定義する。
立位検出器32は、X線管23から放射され被検体を透過したX線を検出するX線検出器を備える。X線検出器は、複数の検出素子(電荷蓄積素子)を含む。X線検出器は、被検体を透過したX線を検出して電気信号に変換し、変換された電気信号を用いてX線画像が生成する。なお、X線検出器は、X線をシンチレータにより可視光に変換した後、可視光を検出することにより、間接的にX線を検出するものでも良いし、X線を直接的に検出するものでも良い。また、X線検出器は、X線用写真フィルムでも良い。
スイッチSW2は、検出ユニット33を支持台31に対してチルトさせるスイッチである。矢印34は、検出ユニット33のチルト方向を示している。検出ユニット33の検出面は、初期状態ではy軸に平行である。スイッチSW2は、検出ユニット33の検出面の法線方向が初期状態よりも検査室の天井側又は床側に向くように検出ユニット33をチルトさせる。
スイッチSW3は、立位検出器32における検出面の大きさを設定するスイッチ、立位検出器32における検出面の位置を設定するスイッチ、検出ユニット33の移動と撮像ユニット27の移動とを連動させるスイッチを含む。さらに、スイッチSW3は、X線可動絞り24を調整するスイッチを含んでもよい。
フットスイッチSW4は、検出ユニット33の鉛直方向(y軸方向)の位置を調整するスイッチである。ユーザは、検出ユニット33を支持台31に沿って鉛直上方向に移動させるスイッチと、鉛直下方向に移動させるスイッチとにより、検出ユニット33の位置を調整する。
寝台装置40は、天板41、臥位検出器42、土台部43、及びフットスイッチSW5を備える。寝台装置40は、検査室の床面に設置され、天板41の上面には、被検体が載置される。寝台装置40は、被検体を臥位で撮像する場合に用いられる装置である。
天板41は、xz平面内で移動可能である。土台部43は、天板41の鉛直方向(y軸方向)の位置を調整する。以下、天板41のy軸方向に垂直なxz平面内で天板41の移動を天板41の水平移動(FLOAT)と称し、天板41の鉛直上方向の移動を天板41の上昇(UP)と、鉛直下方向の移動を天板41の下降(DOWN)と称する。
フットスイッチSW5は、天板41を移動させる寝台装置40のスイッチである。フットスイッチSW5には、天板41を上昇させるスイッチと、天板41を下降させるスイッチと、天板41の土台部43への固定を解除するスイッチとが含まれる。天板41は、天板41の土台部43への固定を解除するスイッチが操作されると、天板41を手動で水平移動させることができる。なお、天板41がスイッチの操作によって水平移動するよう寝台装置40を構成してもよい。例えば、十字スイッチにより天板41の水平移動方向が入力されるように寝台装置40を構成してもよい。
なお、フットスイッチSW5は、天板41の操作に加えてX線曝射及びX線透視を実行可能に構成されてもよい。ここで、X線曝射とは、被検体にX線を照射しX線画像を取得する機能である。X線透視とは、同一被検体について低いX線量で時系列的に多数のX線画像を収集する機能のことである。
臥位検出器42は、立位検出器32と同様に、X線管23から放射され被検体を透過したX線を検出するX線検出器を備える。X線検出器により検出されたX線信号に基づいてX線画像が生成される。
通信制御装置50は、X線装置2aを構成する各装置と、遠隔操作装置60との間の信号の送受信を中継するインターフェースである。図1の構成例において、X線装置2aを構成する各装置とは、高電圧発生装置10、X線管保持装置20、スタンド装置30、及び寝台装置40の4つである。以下、X線装置2aを構成する各装置を各構成装置10、20、30、40と称する。
通信制御装置50は、不図示の送受信器を備え、遠隔操作装置60との無線通信を統括する。また、通信制御装置50は、各構成装置10、20、30、40と有線又は無線で接続され、通信制御装置50は、各構成装置10、20、30、40の内、遠隔操作装置60の制御対象となる装置に対して遠隔操作装置60から受信した制御信号を送信する。また、通信制御装置50は、各構成装置10、20、30、40からの識別信号を受信し、遠隔操作装置60に送信する。
なお、各構成装置10、20、30、40が通信制御装置50を介さず遠隔操作装置60との間で無線信号を直接授受するよう医用画像診断システム1を構成してもよい。また、各構成装置10、20、30、40は、遠隔操作装置60と直接無線で通信する送受信器をそれぞれ備えてもよく、これらの送受信器は、各装置に着脱可能なものでもよい(図示せず)。
ここで、無線通信とは、電波、赤外線、又は超音波を利用したワイヤレス通信のことである。送受信器は、無線通信規格に応じた通信プロトコルに従って送信信号と受信信号を生成する。
遠隔操作装置60は、各構成装置10、20、30、40の遠隔操作に共通に使用される装置である。遠隔操作装置60は、遠隔操作専用の装置であってもよいし、遠隔操作に加えて他の用途にも用いられる非専用の装置であってもよい。
遠隔操作装置60には、ワイヤレススイッチ、ワイヤレスフットスイッチ、ウェアラブルワイヤレススイッチ、携帯情報端末が含まれ、ユーザによって持ち運び可能に構成される。携帯情報端末には、タブレット端末、スマートフォン、及びウェアラブル端末が含まれる。また、ウェアラブルワイヤレススイッチ及びウェアラブル端末は、ユーザが腕などの身体の一部に装着して使用される装置である。
さらに、遠隔操作装置60は、スクリーンのない空間に2次元や3次元の画像又は文字を描画させ、当該空間に描画された画像や文字を操作することによりユーザが指令や情報を入力可能なGUIを備えていてもよい。このようなスクリーンレスGUIには、例えば、ホログラムを利用したGUI、モーションセンサを備えジェスチャー等のユーザの動作により操作が入力できるGUI又は拡張現実を利用したGUIが含まれる。これらのGUIでは、例えば、空間にスイッチの画像が表示され、ユーザが当該スイッチ画像を実際に操作するような動作(ジェスチャー)を行うことにより、スイッチの操作が入力できる。
また遠隔操作装置60は、車輪やモータなどの移動手段を備えた自走式のワイヤレススイッチであってもよい。自走式のワイヤレススイッチは、例えば、使用時以外は検査室の所定の場所で待機し、操作者の検査室への入室を検知して操作者との距離を一定に保つよう移動手段により移動する。さらに、自走式のワイヤレススイッチは、検査室に複数の人が存在する場合であっても操作者を識別することで、操作者の移動に合わせて移動するように構成されてもよい。自走式のワイヤレススイッチは、操作者が検査室から退室したら待機場所に移動する。
なお、自走式のワイヤレススイッチは、例えば、操作者が身に着けている従業員証の無線識別(RFID:radio frequency identifier)タグに基づいて操作者を特定する。また自走式のワイヤレススイッチは、操作者の顔を認識するカメラを備え、顔認識システムによって操作者を特定してもよい。
図2は、第1の実施形態に係る遠隔操作装置60の機能構成例を示す機能ブロック図である。図2の遠隔操作装置60は、送受信回路61、処理回路62、記憶回路63、ディスプレイ64、及び入力回路65を備える。
送受信回路61は、受信回路611及び送信回路612を備える。送受信回路61は、不図示のアナログデジタル変換器、アンプ、変調器、及び復調器を内蔵する。
受信回路611は、通信制御装置50からの受信信号を受信する。受信信号には、各構成装置10、20、30、40を一意に特定する識別(ID:identification)信号が含まれる。遠隔操作装置60は、検査室内に設置された装置をID信号に基づいて特定する。遠隔操作装置60は、検査室内に設置された複数の装置の中から制御対象となる装置を特定する。
以下、遠隔操作装置60の制御対象となる装置を「制御対象装置」と称する。遠隔操作装置60は、ある瞬間に1つの装置のみを制御対象装置とするように構成されてもよいし、2つ以上の装置を同時に制御対象装置とするように構成されてもよい。
送信回路612は、通信制御装置50に制御対象装置の制御信号を送信する。制御信号には、例えば、制御対象装置に所定の機能を実行させるための制御信号が含まれる。
記憶回路63は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)の他、HDD(Hard Disk Drive)や光ディスク装置等の外部記憶装置を含む記憶媒体である。記憶回路63は、処理回路62において実行される各種プログラム(アプリケーションプログラムの他、オペレーティングシステム等も含まれる)、プログラムの実行に必要なデータ、及び画像データを記憶する。また、記憶回路63は、オペレーティングシステムを制御するための各種コマンドを記憶してもよい。入力回路62からの入力を支援するGUI(Graphical User Interface)のプログラムを記憶してもよい。
記憶回路63は、スイッチ機能情報を記憶する。スイッチ機能情報とは、各装置が有する複数種類の機能と、各機能に応じた操作のためのスイッチと、各機能を示すピクトグラムとの対応関係を規定したデータである。
なお、スイッチ機能情報は、ユーザ毎に記憶されてもよい。また、スイッチ機能情報については、ネットワーク経由でダウンロードされるように遠隔操作装置60が構成されてもよい。なお、スイッチ機能情報については、後述の図5で詳細に説明する。
ディスプレイ64は、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、及び、有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示デバイスである。
入力回路65は、例えば、ボタンスイッチ、レバースイッチ、キーボード、マウス、ジョイスティック、又はトラックボール等のメカスイッチで構成される。入力回路65は、操作者によるメカスイッチの操作に応じた入力信号を生成し、当該入力信号を処理回路62に出力する。遠隔操作装置60が複数のメカスイッチを備える場合、入力回路65は、操作者により選択されたメカスイッチからの入力信号を処理回路62に入力する。
なお、入力回路65は、入力デバイスと表示デバイスとが一体的に構成されたタッチパネル式のディスプレイで構成されてもよい。この場合、入力回路65は、タッチパネル式のディスプレイに表示されたソフトウェアスイッチの操作に応じた入力信号を生成し、当該入力信号を処理回路62に出力する。
処理回路62は、専用のハードウェアで構成してもよいし、内蔵のプロセッサによるソフトウェア処理で後述する各種機能を実現するように構成してもよい。ここでは一例として、処理回路62がプロセッサによるソフトウェア処理によって各種機能を実現する場合について説明する。
ここでプロセッサとは、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)などの回路を意味する。上記プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)などが挙げられる。処理回路62は、記憶回路63に記憶されたプログラム又は処理回路62のプロセッサ内に直接組み込まれたプログラムを読み出し、当該プログラムを実行することで各機能を実現する。
また、処理回路62は、単一のプロセッサによって構成されてもよいし、複数の独立したプロセッサの組合せによって構成されてもよい。後者の場合、複数のプロセッサにそれぞれ対応する複数の記憶回路が設けられると共に、各プロセッサにより実行されるプログラムが当該プロセッサに対応する記憶回路に記憶される構成でもよい。別の例としては、1個の記憶回路が複数のプロセッサの各機能に対応するプログラムを一括的に記憶する構成でもよい。
処理回路62は、装置選択機能621、スイッチ機能情報選択機能622、制御信号生成機能623、及びスイッチ機能情報編集機能624を実現する。なお、装置選択機能621、スイッチ機能情報選択機能622、制御信号生成機能623、及びスイッチ機能情報編集機能624は、記憶回路63に格納されているプログラムを処理回路62のプロセッサが実行することによって実現される機能である。また、装置選択機能621、スイッチ機能情報選択機能622、制御信号生成機能623、及びスイッチ機能情報編集機能624を実現するプログラムについては、ネットワーク経由でダウンロードされるように遠隔操作装置60を構成してもよい。
装置選択機能621は、遠隔操作装置60のまわりの所定の範囲内に存在する全ての装置の中から制御対象装置を選択する。各構成装置10、20、30、40のそれぞれを中心とした装置周辺の所定の範囲が判定空間SP10、SP20、SP30、SP40として予め設定されている。ここで、「予め」とは、遠隔操作装置60により制御対象装置が特定されるより前を意味し、各構成装置10、20、30、40の据付調整時に設定される他、据付後に管理者により適宜設定されても良い。また、「所定の範囲」とは、遠隔操作装置60により制御対象装置が特定されるより前に範囲が設定されていることを意味し、据付調整時、据付後等様々なタイミングで設定されて良いものであり、各構成装置10、20、30、40の出荷時に設定されていることを意味するものではない。
判定空間とは、ある装置が遠隔操作装置60により制御対象装置として判定される得る範囲のことである。判定空間は、装置の中心を起点として放射状に広がりを持ち、装置の外縁の外側に向かって所定の距離広がりを持つ。ここで、「所定の距離」とは、遠隔操作装置60が使用される際の遠隔操作装置60と制御対象装置との間の最大の距離を意味する。当該所定の距離は、遠隔操作装置60に予め設定されている。なお、ここでの「予め」は前述同様である。
遠隔操作装置60が1つの装置の判定空間内に存在する場合、装置選択機能621は、当該1つの装置を遠隔操作装置60の制御対象装置として選択する。遠隔操作装置60が複数の装置の判定空間内に存在する場合、ここでは一例として、装置選択機能621は、これら複数の装置の中で遠隔操作装置60に最も近い装置を制御対象装置として選択する。例えば、寝台装置40の判定空間SP40内に遠隔操作装置60が存在する時、装置選択機能621は、寝台装置40を制御対象装置として選択する。
なお、判定空間は、遠隔操作装置60を中心とした所定の範囲であってもよい。即ち、装置選択機能621は、遠隔操作装置60の判定空間内に存在する装置を制御対象装置として特定してもよい。
装置選択機能621は、通信制御装置50からの受信信号に含まれるID信号に基づいて、各構成装置10、20、30、40を特定する。装置選択機能621は、各構成装置10、20、30、40の中から制御対象装置を選択する。
装置選択機能621は、屋内測位法を用いて検査室内に設置された各構成装置10、20、30、40の位置と、操作者と共に検査室内を移動する遠隔操作装置60の位置とを取得し、遠隔操作装置60と各装置との距離を算出する。装置選択機能621は、算出された距離に基づいて、遠隔操作装置60がどの装置の判定空間内に位置するかを判定し、制御対象装置特定する。
なお、装置選択機能621による制御対象装置の選択は、屋内測位法を用いた方法には限定されない。遠隔操作装置60は、各構成装置10、20、30、40の位置を予め記憶しておいてもよい。装置選択機能621は、遠隔操作装置60と通信制御装置50との位置関係に基づいて遠隔操作装置60の検査室内における位置を特定してもよい。装置選択機能621は、遠隔操作装置60の検査室内における位置に基づいて、遠隔操作装置60がどの装置の判定空間内に存在するかを判定し、制御対象装置を選択してもよい。
また、遠隔操作装置60は、各構成装置10、20、30、40から送信される各装置のID信号を直接受信するよう構成されてもよい。即ち、通信制御装置50は必須の構成ではない。遠隔操作装置60は、複数の装置からID信号を受信した場合、例えば、ID信号の信号強度に基づいて制御対象装置を選択してもよい。ID信号の信号強度は、ID信号を送信している装置と遠隔操作装置60との距離に比例する。従って、装置選択機能621は、ID信号の信号強度からID信号を送信している装置との距離を算出し、算出された距離が一番近い装置を制御対象装置として選択してもよい。
装置選択機能621は、さらにユーザIDや生体認証などのユーザ認証によりユーザを特定する。
スイッチ機能情報選択機能622は、装置選択機能621で選択された制御対象装置のスイッチ機能情報を記憶回路63から取得し、スイッチ機能情報に基づいてピクトグラムをディスプレイ64に表示する。なお、遠隔操作装置60がタッチパネルを備える場合、スイッチ機能情報選択機能622は、制御対象装置の機能に応じたソフトウェアスイッチと、機能を示すピクトグラムとから構成された操作画面を生成する。生成された操作画面は、タッチパネル式のディスプレイに表示される。
また、スイッチ機能情報選択機能622は、装置選択機能621がユーザを特定した場合、特定したユーザのスイッチ機能情報を記憶回路63から取得する。スイッチ機能情報選択機能622は、特定したユーザのスイッチ機能情報に基づいて、ピクトグラムをディスプレイ64に表示する。スイッチ機能情報は、ユーザの使い勝手や好みに応じて自由に設定できる。例えばユーザは、スイッチの順番や各機能を示すピクトグラムの種類を自由に設定できる。
また、スイッチ機能情報は、タッチパネル式のディスプレイに表示される操作画面のレイアウトに関するデータを備え、ユーザは、ソフトウェアスイッチの大きさや形状、表示位置などを設定することができる。
制御信号生成機能623は、入力回路65からの入力信号に基づいて制御対象装置の制御信号を生成する。操作されたスイッチと、当該スイッチに対して行われた操作内容とが入力信号として入力回路65から制御信号生成機能623に入力される。制御信号生成機能623は、スイッチ機能情報に基づいて、操作されたスイッチにより実行される機能を特定し制御信号を生成する。
制御信号には、当該機能、スイッチに対する操作内容、及び制御対象装置のID信号が含まれる。制御信号は、送信回路612を介して通信制御装置50に送信され、通信制御装置50から制御対象装置に送信される。
スイッチ機能情報編集機能624は、記憶回路63に記憶されているスイッチ機能情報を登録及び編集する。ユーザは、遠隔操作装置60をスイッチ機能情報編集モードにすることで、スイッチ機能情報を登録及び編集することができる。例えば、入力回路65に設けられたスイッチに対して所定の操作を実行することで、遠隔操作装置60をスイッチモードからスイッチ機能情報編集モードに変更できても良い。
ここで、「所定の操作」とは、例えば、予め設定された複数のスイッチを同時に押下する又は所定のスイッチを複数回連続して押下するなどの操作のことである。また、ここでの「予め」は、スイッチ機能情報の編集開始前であり、遠隔操作装置60の出荷時であってもよいし、据付調整時や、据付後に管理者により適宜設定されても良い。
スイッチ機能情報編集機能624は、スイッチ機能情報編集モードにおいてディスプレイ64にスイッチ機能情報の編集画面を表示する。スイッチ機能情報の編集画面では、制御対象装置毎のスイッチの機能及びピクトグラムの表示が設定できる。即ち、スイッチ機能情報の編集画面では、遠隔操作装置60が備える複数のスイッチに対して、各スイッチに割り当てる制御対象装置の機能及び当該制御対象装置の機能を示すピクトグラムを設定できる。ユーザは、ディスプレイ64に表示された内容に応じて、入力回路65を構成するスイッチやタッチパネルを押下し、スイッチ機能情報を登録及び編集する。
また、遠隔操作装置60をパーソナルコンピュータやタブレット端末などの外部機器に接続することで、スイッチ機能情報編集モードに移行するように遠隔操作装置60を構成してもよい。スイッチ機能情報編集機能624は、外部機器のディスプレイ上にスイッチ機能情報の編集画面を表示し、ユーザは、外部機器の入力回路を介してスイッチ機能情報を登録及び編集する。
外部インターフェース66は、遠隔操作装置60がパーソナルコンピュータなどの外部装置と接続するための構成である。外部インターフェース66は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のバス規格で構成されてもよい。
なお、外部インターフェース66は、赤外線通信規格や近距離無線通信規格などの無線通信規格に準拠した構成であってもよい。また、外部インターフェース66は、スイッチ機能情報が記憶された薄型記録媒体等の外部記憶媒体と接続可能に構成されてもよい。遠隔操作装置60に外部記憶装置が接続された場合、記憶回路63に記憶されたスイッチ機能情報が外部記憶装置に記憶されたスイッチ機能情報で上書きされるように構成されてもよいし、外部記憶装置に記憶されたスイッチ機能情報と記憶回路63に記憶されたスイッチ機能情報とを選択的に使用できるように遠隔操作装置60を構成してもよい。
(2)動作
図3は、第1の実施形態に係る遠隔操作装置60の動作の一例を示すフローチャートである。ここでは一例として、各構成要素10、20、30、40が設置された検査室に遠隔操作装置60を携帯した操作者が入室し、各構成要素10、20、30、40に対して被検体の撮像のための操作を行う場合について説明する。被検体の撮像のための操作は、X線量の調整などの撮像条件の設定及びX線曝射などのX線撮像の実行を含む。
例えば、臥位でのX線撮像の場合、高電圧発生装置10、X線管保持装置20、寝台装置40の3つの装置が遠隔操作装置60の制御対象装置となり得る。これら3つの装置のうち、例えば操作者が近づいた順で制御対象装置が選択され、当該制御対象装置に対して被検体の撮像のための操作が行われる。
以下、図3のフローチャートのステップ番号に従って、実施形態に係る遠隔操作装置60の動作を説明する。
ステップST101において、装置選択機能621は、各構成装置10、20、30、40の中から制御対象装置を選択する。各構成装置10、20、30、40は、通信制御装置50から受信したID信号に基づいて区別される。遠隔操作装置60の装置選択機能621は、遠隔操作装置60と各構成装置10、20、30、40との間の各距離を算出し、算出した距離に基づいて遠隔操作装置60がどの装置の判定空間内に存在するかを判定し、制御対象装置を選択する。
ステップST102において、スイッチ機能情報選択機能622は、特定された制御対象装置に対応するスイッチ機能情報を記憶回路63から取得する。スイッチ機能情報選択機能622は、取得したスイッチ機能情報に基づいてピクトグラムをディスプレイ64に表示する。
なお、遠隔操作装置60がタッチパネル式のディスプレイの場合、スイッチ機能情報選択機能622は、スイッチ機能情報に基づいてピクトグラム及びソフトウェアスイッチを含む操作画面を生成し、タッチパネル式のディスプレイに表示する。
ステップST103において、入力回路65は、ユーザの操作に応じた入力信号を制御信号生成機能623に入力する。制御信号生成機能623は、ユーザの操作に対応する制御信号を生成し、送信回路612に出力する。
ステップST104において、送信回路612は、通信制御装置50経由で制御信号を制御対象装置に送信する。制御信号を受信した制御対象装置は、制御信号に対応する機能を実行する。
臥位でのX線撮像の場合、高電圧発生装置10、X線管保持装置20、寝台装置40のいずれか1つの装置の判定空間内に遠隔操作装置60を携帯した操作者が移動する都度、上記ステップST101〜ST104の処理が実行される。これにより、これら3つの装置が順に操作され、臥位での撮像条件が設定されX線撮像が実行される。立位でのX線撮像の場合、操作者が寝台装置40ではなくスタンド装置30に近づいてスタンド装置の操作が実行される点を除き、上記同様である。
以上がフローチャートの説明である。以下、図4乃至図8を参照して遠隔操作装置60のスイッチ及びピクトグラムの表示例について説明する。
図4は、スイッチ機能情報を説明する模式図である。図4は、制御対象装置が寝台装置40の場合のスイッチ機能情報を例示している。
図4に示すように、スイッチ機能情報は、制御対象装置毎に存在する。図4の寝台装置40のスイッチ機能情報を示す表の一段目には、スイッチ、機能、及びピクトグラムの3つ情報項目が示されている。このように、各制御対象装置のスイッチ機能情報には、遠隔操作装置60の各スイッチに割り当てられた制御対象装置の機能と、当該機能を示すピクトグラムとの対応関係が規定されている。
図4は、寝台装置40の有する、寝台上昇、寝台下降、天板水平移動、X線撮像、X線透視の5つの機能が、遠隔操作装置60のメカスイッチ65a、65b、65c、65d、65eの5つのスイッチに夫々割り当てられ場合を例として説明する。
図4のスイッチ機能情報の2段目には、遠隔操作装置60のメカスイッチ65aに割り当てられる寝台装置40の機能とピクトグラムとが示されている。メカスイッチ65aに割り当てられる機能は、X線撮像であり、X線撮像に対応するピクトグラムは、ピクトグラムGaである。なお、スイッチ機能情報には、ピクトグラムGaの画像データのファイル名やファイルパス等がピクトグラムGaを示す情報項目として記憶される。
同様に、メカスイッチ65bに割り当てられる機能は、寝台上昇であり、寝台上昇に対応するピクトグラムは、ピクトグラムGbである。メカスイッチ65cに割り当てられる機能は、寝台下降であり、寝台下降に対応するピクトグラムは、ピクトグラムGcである。メカスイッチ65dに割り当てられる機能は、X線透視であり、X線透視に対応するピクトグラムは、ピクトグラムGdである。メカスイッチ65eに割り当てられる機能は、天板水平移動であり、天板水平移動に対応するピクトグラムは、ピクトグラムGeである。
遠隔操作装置60は、制御対象装置として選択された装置のスイッチ機能情報に基づいてディスプレイ64にピクトグラムを表示する。図5は、図4の寝台装置40のスイッチ機能情報に基づいてディスプレイ64にピクトグラムが表示された場合の表示例を説明する図である。
図5は、第1の実施形態に係る遠隔操作装置60の第1の表示例を示す模式図である。図5は、遠隔操作装置60の入力回路65がメカスイッチで構成されている例を示している。図5は、装置選択機能621が寝台装置40を制御対象装置として選択した場合を示している。図5の上段は、ディスプレイ64を示し、図5の下段は、入力回路65を示している。
ディスプレイ64には、ピクトグラムGa〜Geの5つのピクトグラムが表示されている。左から順に、ピクトグラムGaは、X線撮像の機能を示し、ピクトグラムGbは、天板上昇の機能を示し、ピクトグラムGcは、天板下降の機能を示し、ピクトグラムGdは、X線透視の機能を示し、ピクトグラムGeは、天板水平移動の機能を示す。
それぞれのピクトグラムは、メカスイッチ65aからメカスイッチ65eに割り当てられた機能を示している。即ち、ピクトグラムGaは、メカスイッチ65aにX線撮像の機能が割り当てられていることを示している。
なおX線の曝射は、安全性の確保のため、ダブルアクションによる制御が行われる場合がある。ダブルアクションは、X線曝射を許可する操作と、X線曝射を行う操作との2つの操作を行うことにより実際にX線が曝射される制御のことである。
メカスイッチにおいてダブルアクションの制御は、例えば2段押しスイッチによって実現される。このように、ダブルアクションの制御が必要な機能は、その制御が実現可能なメカスイッチに割り当てられるよう遠隔操作装置60が構成されてもよい。
X線透視の機能に対応するメカスイッチ65dの操作もダブルアクションによる制御が設定されてもよい。
メカスイッチ65bが押下されると、天板41が上昇する。メカスイッチ65bが押下され続けている間天板41が上昇するように遠隔操作装置60が構成されてもよいし、メカスイッチ65bが押下されると天板41が上昇し、天板41の上昇中にメカスイッチ65bが再び押下されると天板41が停止するように遠隔操作装置60が構成されてもよい。天板下降におけるメカスイッチ65bの操作は、メカスイッチ65bと同様である。
メカスイッチ65eが押下されると、天板41の固定が解除され、天板41を手動で移動させることができるようになる。また、メカスイッチ65eは、スイッチを操作する方向に応じて天板41の移動方向が制御されるように、例えばジョイスティックや十字スイッチのような方向スイッチで構成されてもよい。例えば、ジョイスティックを右に倒すと天板がx軸の正方向へ移動するように医用画像診断システム1が構成されてもよい。
なお、遠隔操作装置60が寝台装置40の判定空間からスタンド装置30の判定空間に移動した場合、遠隔操作装置60は、スタンド装置30を制御対象装置として選択する。即ち、遠隔操作装置60は、制御対象装置を寝台装置40からスタンド装置30に変更する。この場合、ディスプレイ64にはスタンド装置30が有する機能を示すピクトグラムが表示され、スタンド装置が有する機能がメカスイッチ65a〜メカスイッチ65eに割り当てられる。
図6は、第1の実施形態に係る遠隔操作装置60の第2の例を示す模式図である。図6も同様にメカスイッチを備える遠隔操作装置60の例を示している。図6と図5との違いは、図6に示した遠隔操作装置60がディスプレイ64を備えていない点である。また、図6は、遠隔操作装置60の一部のみを示している。
図6は、ディスプレイ64の代わりに、各装置の機能を示すラベルが半透明のフィルムに印刷され、各ラベルの下に発光ダイオード(LED:light emitting diode)ライトを備えた遠隔操作装置60の例を示している。ラベルには、各機能を示す文字列が印刷され、ラベル下のLEDライトの点灯により、ユーザは、メカスイッチに割り当てられた機能を識別することができる。なお、ラベルにはピクトグラムが印刷されてもよい。
図6では、LEDライトが点灯しているラベルをグレースケールのハッチングで示し、LEDライトが点灯していないラベルを白抜きで示す。図6では、X線曝射のラベルの下部にあるLEDライトが点灯している例を示す。即ち、メカスイッチ65aを押下するとX線管23からX線が曝射される。
X線曝射は、ダブルアクションの制御が必要な機能である。この場合、第1の操作でLEDライトが点滅し、第2の操作が受付可能である旨を表示するように遠隔操作装置60を構成してもよい。
図5及び図6では、遠隔操作装置60がメカスイッチを備えて構成された例を説明したが、遠隔操作装置60におけるスイッチは、メカスイッチには限定されない。遠隔操作装置60のスイッチは、タッチパネル式のディスプレイ上に表示されたソフトウェアスイッチであってもよい。即ち、遠隔操作装置60は、タッチパネル式のディスプレイ上にソフトウェアスイッチとピクトグラムとから構成された操作画面を表示するように構成されてもよい。以下、図7及び図8を用いて、遠隔操作装置60に表示される操作画面について説明する。
図7は、第1の実施形態に係る遠隔操作装置60の第3の例を示す模式図である。図7は、タッチパネル式のディスプレイを備えたタブレット端末がX線装置2aの遠隔操作装置60として利用される場合を例示している。図7は、タッチパネル式のディスプレイに表示された遠隔操作装置60の操作画面の例を示している。
図7は、X線装置2aの5つの装置を操作するための操作画面をタブ形式で表示した例を示している。それぞれのタブは、寝台装置操作画面TB1、スタンド装置操作画面TB2、X線管保持装置操作画面TB3、絞り制御装置操作画面TB4、高電圧発生装置操作画面TB5を表示する。
寝台装置操作画面TB1には、寝台の操作にかかわる3つのピクトグラムと3つのソフトウェアスイッチが表示されている。寝台の操作にかかわる3つのピクトグラムは、左から、天板の上昇を示すピクトグラムSG3、天板の下降を示すピクトグラムSG4、及び天板の水平移動を示すピクトグラムSG5である。
天板の上昇を示すピクトグラムSG3の下部には、天板の上昇機能を実行するためのソフトウェアスイッチGU3が表示されている。ソフトウェアスイッチGU3には、天板上昇を示す「UP」の文字が表示されている。ユーザがソフトウェアスイッチGU3を選択すると、天板41が上昇する。
天板の下降を示すピクトグラムSG4の下部には、天板の下降機能を実行するためのソフトウェアスイッチGU4が表示されている。ソフトウェアスイッチGU4には、天板下降を示す「DOWN」の文字が表示されている。ユーザがソフトウェアスイッチGU4を選択すると、天板41が上昇する。
天板の水平移動を示すピクトグラムSG5の下部には、天板の水平移動機能を実行するためのソフトウェアスイッチGU5が表示されている。ソフトウェアスイッチGU5には、天板の水平移動を示す「FLOAT」の文字が表示されている。ユーザは、ソフトウェアスイッチGU5の選択される位置に応じて天板41の移動方向を制御できる。
タッチパネルの場合、遠隔操作装置60は、ユーザが選択した画面上の座標を入力信号として取得できる。即ち、遠隔操作装置60は、ユーザが選択した座標に基づいて、どのソフトウェアスイッチが選択されたか、ソフトウェアスイッチのどの領域が選択されたかを取得することができる。
例えば、ソフトウェアスイッチGU5の紙面上側の所定の領域が選択された場合、天板41は、z軸の正方向に移動する。一方、ソフトウェアスイッチGU5の紙面下側の所定の領域が選択された場合、天板41は、z軸の負方向に移動する。同様に、ソフトウェアスイッチGU5の紙面右側の所定の領域が選択された場合、天板41は、x軸の正方向に移動する。ソフトウェアスイッチGU5の紙面左側の所定の領域が選択された場合、天板41は、x軸の負方向に移動する。
また、遠隔操作装置60は、ユーザが選択した画面上の座標だけではなく、画面上でのユーザの指や手の動きや、選択された座標にユーザが指や手を触れていた時間を操作内容として取得するように構成されてもよい。
例えば、天板41のイラストや写真をソフトウェアスイッチとして表示し、ユーザが実際の天板41を動かすように画面上のソフトウェアスイッチを移動させる操作を行うことで、天板41の水平移動の操作が入力できてもよい。
さらに、遠隔操作装置60は、カメラなどを備え、ユーザの身振りや手振りなどの動作を認識するように構成されてもよい。また、遠隔操作装置60は、加速度センサなどを備え、ユーザが遠隔操作装置60を動かすことで所定の操作を入力できてもよい。
図7に示すようにタブ形式のソフトウェアスイッチの場合、装置選択機能621により特定される制御対象装置に応じて、タブが自動で切り替わるように遠隔操作装置60を構成してもよい。例えば、自走式の遠隔操作装置60がユーザの移動に合わせて移動する場合、ユーザの位置又は自走式の遠隔操作装置60の位置に応じてタブの表示が切り替わるように遠隔操作装置60を構成してもよい。
また、タブの表示が切り替わらないように固定できてもよい。また、制御対象装置の変更に応じてタブの切り替えを許すか否かをユーザが選択できるように遠隔操作装置60を構成してもよい。
図7のタッチパネル式のディスプレイの上部には、タブ固定ボタンGU1及びタブ固定解除ボタンGU2が示されている。
タブ固定ボタンGU1は、遠隔操作装置60の位置が変わってもタブ固定ボタンGU1が選択される直前のタブからタブが切り替わらないタブ固定モードに遠隔操作装置60を設定するボタンである。タブ固定解除ボタンGU2は、タブ固定モードを解除し、遠隔操作装置60により特定される制御対象装置に応じてタブが自動で切り替わるタブ自動切り替えモードに遠隔操作装置60を設定するボタンである。
また、ユーザがあるタブを手動で選択した場合、ユーザが選択したタブに表示画面が固定されるように遠隔操作装置60を構成してもよい。即ち、ユーザがタブに表示された制御対象装置とは異なる装置の判定空間内に移動してもタブが切り替わらないように、遠隔操作装置60を構成してもよい。
なお、遠隔操作装置60が制御対象装置を操作できる距離は、各構成装置10、20、30、40に予め設定された判定空間には依存しない。即ち、タブが固定モードの状態において、遠隔操作装置60は、制御対象装置の判定空間の外からでも制御対象装置を操作できる。
図8は、第1の実施形態に係る遠隔操作装置60の第4の例を示す模式図である。図8は、胃部X線診断装置のようなモダリティにおいて、寝台を傾斜させる操作をダブルアクションのソフトウェアスイッチで実行するための操作画面を示す。
胃部X線診断装置における寝台操作では、寝台を水平位置から起倒又は逆傾させる操作が行われる。ここで、起倒とは、天板に載置された被検体の頭部が足よりも高くなる方向に、yz面内で寝台を傾斜させることである。一方、逆傾とは、天板に載置された被検体の頭部が足よりも低くなる方向にyz面内で寝台を傾斜させることである。
寝台を起倒又は逆傾させる際、被検体の安全性を確保するためダブルアクションによる制御が望ましい。特に、寝台を逆傾させる場合、被検体が頭部から落下する可能性があるため、ダブルアクションによる制御が望ましい。
図8の上部には、左から、寝台の傾斜を示すピクトグラムSG6、寝台の逆傾を示すピクトグラムSG7が示されている。寝台の傾斜を示すピクトグラムSG6の下部には寝台の傾斜を実行するためのソフトウェアスイッチGU6が示されている。ソフトウェアスイッチGU6には「起倒」が表示され、寝台の起倒操作に対応するスイッチであることを示している。
寝台の逆傾斜を示すピクトグラムSG7の下部には、ソフトウェアスイッチGU71及びソフトウェアスイッチGU72が表示される。ソフトウェアスイッチGU71には、「逆傾許可」が示され、逆傾を許可するスイッチであることを示す。ソフトウェアスイッチGU72は「逆傾」が示され、逆傾を実行するためのスイッチであることを示す。
ソフトウェアスイッチGU72は、ソフトウェアスイッチGU71が選択されない限り操作できないように制御される。例えば、ソフトウェアスイッチGU72は、ソフトウェアスイッチGU71が選択されない限り活性化しないように制御されてもよい。
このように第1の実施形態に係る遠隔操作装置60を備えた医用画像診断システム1によれば、複数の装置のそれぞれによって提供される複数種類の機能を、1つの遠隔操作装置60によって実現できる。即ち、遠隔操作装置60は、制御対象装置に応じてスイッチの配置やそのスイッチに割り当てられた機能を変更することで、制御対象装置として選択された装置用のコントローラとして使用できる。
また、装置が異なる場合であっても、遠隔操作装置60は、機能が同じであれば当該機能について同じスイッチに、同じ操作、同じピクトグラムを設定することができる。即ち、装置が異なる場合であっても同じ機能についてはスイッチの態様を統一できる。スイッチが統一されることで誤操作を減らすことができる。
また、遠隔操作装置60は、検査室内の複数の装置に共通して使用できる。従って検査室内に複数の装置がある場合、夫々の装置のスイッチを探すことなく、或いは、夫々の装置のスイッチがある場所まで移動せずとも、各装置を遠隔操作装置60により操作することができる。
さらに、遠隔操作装置60は、ユーザ毎にスイッチの順番やピクトグラムの種類を変更することができる。即ち、同じ装置においてユーザ毎に使用する機能が異なる場合でも、ユーザ毎にそのユーザが使用する機能に応じたスイッチを提供できる。
例えば、あるユーザは、X線曝射の機能をよく使用するが、別のユーザはX線透視の機能をよく使用する場合がある。このような場合、ユーザは、自分がよく利用する機能を遠隔操作装置60に登録し、操作画面を自分が操作しやすい画面に編集できてもよい。このような設定は、スイッチ機能情報に記憶される。
また、自走式の遠隔操作装置60の場合、ユーザは、遠隔操作装置60を探す手間を省くことができ、ユーザは自分の移動に合わせて遠隔操作装置60を運ばなくても済む。特に、遠隔操作装置60をフットスイッチとして使用する場合、遠隔操作装置60が自走式であればユーザは持ち運びのために手を汚さずに済み、衛生的に使用できる。
なお、遠隔操作装置60からの制御信号と、制御対象装置のスイッチからの制御信号とが制御対象装置に同時に入力された場合、制御対象装置のスイッチからの制御信号を優先させるよう医用画像診断システム1を構成してもよい。優先させるべき制御信号は、モダリティやX線装置2aを構成する各装置に内蔵された処理回路によって判定されてもよいし、モダリティやX線装置2aに着脱可能に取付けられた送受信回路によって判定されてもよい。
また、スイッチの種類に応じて優先させる制御信号を判定するよう医用画像診断システム1を構成してもよい。例えば緊急停止スイッチの制御信号は、制御対象装置及び遠隔操作装置60のどちらから入力されても優先されるべきである。このように、スイッチの種類に応じて予め優先度を設定してもよい。ここで「予め」とは、X線装置2aの据付調整時など、遠隔操作装置60により制御対象装置の操作が開始されるよりも前である。また、優先度の設定は、据付後に管理者により適宜設定されても良い。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、1つの検査室内に複数の装置が存在する場合に遠隔操作装置60が各装置に共通の遠隔操作装置として機能する例を説明した。遠隔操作装置60は、1つの検査室内で機能する場合には限定されず、複数の検査室を跨いで複数の装置に共通して使用される遠隔操作装置として機能してもよい。
図9は、第2の実施形態に係る遠隔操作装置60の使用方法を説明する模式図である。図9は、遠隔操作装置60が複数の検査室にそれぞれ設置された異なるモダリティの遠隔操作装置として使用される場合を説明する図である。
図9は、検査室1、検査室2、及び検査室3にそれぞれ異なるモダリティが設置された例を示している。検査室1には、X線CT装置2bが設置されている。検査室2には、MRI装置2cが設置されている。検査室3には、X線アンギオ装置2dが設置されている。
検査室1において遠隔操作装置60は、X線CT装置2bを制御対象装置とする。同様に、検査室2において遠隔操作装置60は、MRI装置2cを制御対象装置とし、検査室3において遠隔操作装置60は、X線アンギオ装置2dを制御対象装置とする。
装置選択機能621は、検査室に設置されたモダリティのID信号に基づいて、モダリティを特定する。なお、遠隔操作装置60は、各モダリティから直接ID信号を受信してもよいし、通信制御装置50を介して受信してもよい。スイッチ機能情報選択機能622は、特定したモダリティのスイッチ機能情報に基づいて当該モダリティの有する機能に応じたピクトグラム又は操作画面を遠隔操作装置60に表示する。
このように第2の実施形態に係る遠隔操作装置60においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに第2の実施形態では、天板の操作のように各モダリティで共通する機能について、ピクトグラムの表示やスイッチの操作を共通化することができる。
なお、第1及び第2の実施形態では、モダリティが制御対象装置になり得る例を説明したが、制御対象装置は、モダリティには限定されない。例えば、自動車や食品などの工業製品は、製品を大量に生産するため生産ラインと呼ばれる流れ作業による工程で生産される。生産ラインでは、複数の工程を一連の流れ作業で行うために複数の機械が各工程の用途に応じて組み合わせて使用される。本発明の技術思想を適用することにより、このような生産ラインにおける複数の機械に対しても共通に使用可能な遠隔操作装置を実現してもよい。
以上述べた少なくとも一つの実施形態の遠隔操作装置60、或いは当該遠隔操作装置60を備えた医用画像診断システム1によれば、スイッチの設定を最適化できる。
なお、請求項の用語と、実施形態との対応関係は、例えば以下の通りである。
送信回路612は、請求項記載の送信部の一例である。装置選択機能621は、請求項記載の選択部の一例である。ディスプレイ64は、請求項記載の表示部の一例である。入力回路65は、請求項記載の入力部の一例である。記憶回路63は、請求項記載の記憶部の一例である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。