図面を参照して実施例の燃料電池を説明する。図1に、燃料電池10を含む燃料電池システム100のブロック図を示す。燃料電池システム100は、電解質膜と電極の積層体を含む燃料電池10に、周辺機器を加えたものである。
燃料電池10は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)である。燃料電池10の詳細な構造は後に図2−図4を参照して説明する。燃料電池10の燃料である水素は、水素ガスカートリッジ21に蓄えられる。水素ガスカートリッジ21と燃料電池10は燃料供給パイプ22で接続されている。燃料供給パイプ22の途中には減圧弁23が取り付けられている。燃料供給パイプ22の先端は、燃料電池10の燃料供給口24に接続されている。水素ガスカートリッジ21の中の高圧の水素は、減圧弁23で適切な圧力に減圧されて燃料電池10に供給される。燃料電池10の内部で水素のほとんどは外気の酸素と反応して水に変化する。このときに電子(即ち電力)が生成される。燃料電池10の内部で酸素と反応した水(及び生成される二酸化炭素)と、反応に寄与しなかった残水素は、排出口25から排出される。排出口25には、排出パイプ26が接続されており、水と二酸化炭素と残水素は、排出パイプ26を通じて燃料電池システム100の外部へ排出される。なお、排出パイプ26の途中には燃料封止弁27が備えられている。酸素を含む外気は、大気吸入パイプ28を通じて燃料電池10に供給される。大気吸入パイプ28の途中には開閉弁29が取り付けられている。
反応後の外気は、大気排出パイプ30を通じて外部へ放出される。大気排出パイプ30の途中には、封止弁31が取り付けられている。
固体酸化物型燃料電池は(SOFC)は、固体電解質膜を高温にすることで水素と酸素が反応し、電力が生成される。生成された電力は出力線35を通じて負荷装置36(あるいは二次電池)に送られる。燃料電池10が高温になるため、ヒートシンク32が燃料電池10の筐体に取り付けられている。後述するように燃料電池10には電解質膜を局所的に昇温するヒータが備えられており、小型電池33からヒータへ電力が供給される。コントローラ34が、減圧弁23や燃料封止弁27などの弁や、小型電池33を制御する。図1では、コントローラ34から各デバイスへ延びる信号線は図示を省略してある。
燃料電池10の斜視図を図2に示す。燃料電池10は、シリコン基板8に形成されている。シリコン基板8は、2枚の基板(上基板8a、下基板8b)を貼り合わせたものである。図2では隠れて見えないが、上基板8aには、複数の貫通孔が設けられている。貫通孔は、上基板8aの下側からエッチングで形成される。下基板8bには、上基板8aの貫通孔に燃料ガスを導く燃料流路12が設けられている。燃料流路12の一端が先に述べた燃料供給口24に相当し、他端が排出口25に相当する。下基板8bは、貫通孔の下側を塞ぐカバーでもある。図2の上面側が空気極側である。空気極側には外気を誘導するカバーが取り付けられるが、図2ではそのカバーの図示は省略してある。
図2では隠れて見えないが、シリコン基板8には、複数の窪みが設けられている。窪みは、上基板8aに設けられた貫通孔と、その貫通孔の底を塞ぐ下基板8bで形成される。窪みについては、後に図3を参照して改めて説明する。
シリコン基板8に設けられた窪みは、固体の電解質膜6で覆われる。電解質膜6の上に第1電極膜5が形成されている。図2では電解質膜6に隠れて見えないが、電解質膜6の下には第2電極膜が形成されている。本実施例の燃料電池10では、第1電極膜5が空気極(正極)に対応し、第2電極膜が燃料極(負極)に対応する。
シリコン基板8の上面には、電力を取り出す出力電極13a、13bが備えられている。出力電極13a(正極)は、ケーブルにて第1電極膜5と接続されている。図2では隠れて見えないが、出力電極13bは、シリコン基板8(上基板8a)の内部を通り、電解質膜6の下側に位置する第2電極膜と接続されている。
第1電極膜5の上に絶縁膜3が形成されている。絶縁膜3には、シリコン基板8の窪みに対向する位置に複数の貫通孔3aが設けられている。図2では、右上の一つの貫通孔にのみ符号3aを付し、残りの貫通孔には符号を省略した。
絶縁膜3の内部には、ヒータ4が埋設されている。ヒータ4は、通電により発熱する高抵抗の導電線である。ヒータ4は、貫通孔3aの側方を通過するように絶縁膜3に埋設されている。符号14は、ヒータ4の入力端子であり、この入力端子14に、図1に示した小型電池33が接続される。
図2の破線IIIが示す範囲の平面図を図3に示す。図3では、理解を助けるために、絶縁膜3をグレーで示してある。図3のIV―IV線に沿った燃料電池10の断面図を図4に示す。図3において、破線9がシリコン基板8に設けられた窪みを示している。本実施例では、一つの窪み9の開口に対向するように、絶縁膜3に12個の貫通孔3aが設けられている。図3では、右上の貫通孔にのみ符号3aを付し、他の貫通孔には符号を省略した。また、先に述べたように、絶縁膜3と電解質膜6(図2参照)の間には、第1電極膜5が挟まれている。図3の平面視では、貫通孔3aの内側に第1電極膜5が見える。図3では、右上の貫通孔3aの内側に見える第1電極膜にのみ、符号5を付し、他の貫通孔3aの内側に見える第1電極膜には符号を省略した。第1電極膜5は、電解質膜6に接している。また、図3では見えないが、第1電極膜5とは反対側で、電解質膜6に第2電極膜7が接している。
図2において複数の貫通孔3aが設けられた範囲であって破線IIIが示す範囲のほかの範囲も図3、図4と同様の構造を有している。即ち、基板8には複数の窪み9が設けられており、夫々の窪み9の開口を電解質膜6が覆っている。そして、電解質膜6の窪み9とは反対側を絶縁膜3が覆っており、その絶縁膜3には、窪み9と対向する範囲に複数の貫通孔3aが設けられている。貫通孔3aの内側で第1電極膜5が電解質膜6に接しており、第1電極膜5とは反対側で第2電極膜7が電解質膜6に接している。以下では、窪み9の開口部を覆っている複合膜(電解質膜6と第1電極膜5と第2電極膜7と絶縁膜3の複合膜)をダイアフラムと称する場合がある。
先に述べたように、絶縁膜3には、貫通孔3aの横を通過するようにヒータ4が埋設されている。図3に示されているように、ヒータ4は細長い線状であり、複数の貫通孔3aの列を両側から挟み込むように配策されている。ヒータ4は、電解質膜6と第1電極膜5と第2電極膜7の積層体をそのごく近傍で昇温する。シリコン基板8に形成された窪み9の径(図4における窪み9の幅)は、大きくても数mm以下であり、絶縁膜3の貫通孔3aの径は、大きくても1mm未満である。そのような微細な範囲にヒータ4が通過しており、ヒータ4は少ない電力で電解質膜6と第1電極膜5と第2電極膜7の積層体を反応可能温度(例えば数百度)まで昇温することができる。
図4に示されているように、シリコン基板8の内部の燃料流路12を通じて窪み9に水素ガス(燃料ガス)が供給される。水素ガスは、第2電極膜7に触れるように、窪み9に満たされる。電解質膜6と第1電極膜5と第2電極膜7の積層体は、ヒータ4により反応可能温度まで昇温されている。第1電極膜5(空気極)の側から酸素イオンが電解質膜6を通過し、第2電極膜7(燃料極)の側へ到達すると、水素や一酸化炭素が酸素イオンと反応し、水と二酸化炭素が生成される、この際に放出される電子が電力となって出力される。
酸素と水素の反応が始まると発熱により反応が継続する。燃料電池10の起動時は、ヒータ4により電解質膜6と第1電極膜5と第2電極膜7の積層体を昇温する。先に述べたように、ヒータ4は、直近で積層体の昇温することができるので、少ないエネルギで素早く積層体を昇温することができる。
絶縁膜3は、シリコン基板8の窪み9に対応する範囲で、複数の貫通孔3aを備えている。別言すれば、絶縁膜3は、窪み9に対応する範囲で格子状である。格子状の絶縁膜3は、薄い電解質膜6に接合しており、窪み9の開口を覆う電解質膜6の強度を担保する役割も果たす。
図5A〜図5Iを使って図4の燃料電池10の製造方法、及び、電極等の材料について説明する。燃料電池10は、エッチングなどの微細加工技術(MEMS技術)を使って製造される。燃料電池10は、MEMS型燃料電池と称することができる。なお、図2、図4に示した下基板8bについては製造方法の説明を割愛する。
まず、シリコン基板(上基板8a)の上面(第1主面)に、薄膜の電解質膜6を成膜する(図5A)。電解質膜6は、アパタイト系珪酸ランタン(LSO、ランタンシリケート)、あるいは、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ランタンガレート(LaGaO3)などの薄膜が良い。電解質膜6の厚みは、10[nm]〜2000[nm]程度である。
電解質膜6の上に、第1電極膜5(空気極)を成膜する(図5B)。第1電極膜5は、触媒と集電効果を有する金属であり、例えば、プラチナ(Pt)、ニッケル合金(Cr/Ni)やプラチナ合金(Ni/Pt、Ti/Pt、Cr/Pt)などの金属薄膜である。あるいは、第1電極膜5は、上記の金属粒子が担持された導電性膜(例えば導電性セラミック膜)であってもよい。第1電極膜5は、多孔質構造(ポーラス構造)を有する。このため、ガス(酸素)が電極膜の中を通り、電解質膜6まで到達することができ、電解質膜6の表面で金属膜の触媒反応によってガスがイオン化し、そのイオンが電解質膜6を通過する。なお、第1電極膜5(空気極)は、導電性の酸化物半導体膜であってもよい。
次に、第1電極膜5の上に絶縁膜3eを成膜する(図5C)。ここでは、完成品の燃料電池10における絶縁膜3よりも薄く成膜する。絶縁膜3e(絶縁膜3)の材料としては、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、またはそれらの積層構造が望ましい。ダイアフラム(電解質膜6と第1電極膜5と第2電極膜7と絶縁膜3の複合膜)の強度を保つため、絶縁膜3は、引張応力が加わった状態で成膜されるのがよい。
次に、絶縁膜3eを覆うように、ヒータ4の元となる導電膜4eを成膜する(5D)。そしてヒータ4として残したい範囲にレジストマスク51を形成し、レジストマスク51以外の範囲の導電膜4eをドライエッチング又はウェットエッチングにより除去する(図5E)。ヒータ4の厚みは、10[nm]〜2000[nm]程度である。ヒータ4の材料は、例えば、プラチナ(Pt)、チタン(Ti)、チタン(Ti)と窒化チタン(TiN)の積層膜、ニッケルクロム(NiCr)、シリコンの薄膜などが好ましい。
次に、ヒータ4を覆うように、絶縁膜を追加成膜する(図5F)。絶縁膜は、ヒータ4の下に予め成膜された絶縁膜3eと一体になり、絶縁膜3fとなる。このときの絶縁膜3fも、窪み9を覆うダイアフラムの強度を補助するために全体として引張応力が加わった状態で成膜されるのがよい。
次に、貫通孔3aの予定範囲を除いてレジストマスク52を形成し、ドライエッチングあるいはウェットエッチングにより絶縁膜3fの一部を除去し、貫通孔3aを形成する(5G)。
次に、上基板8aの反対側の面(第2主面)の側からドライエッチングあるいはウェットエッチングを施し、窪み9を形成する。上基板8aの反対側の面のうち、窪み9の予定範囲を除いてレジストマスク53を形成し、ドライエッチングあるいはウェットエッチングを施し、窪み9を形成する(図5H)。
そして、上基板8aの裏側(第2主面側)に、第2電極膜7(燃料極)を成膜する(図5I)。第2電極膜7は、窪み9の内側、即ち、電解質膜6の窪み9を向く面にも形成される。第2電極膜7は、触媒と集電効果を有する金属であり、例えば、プラチナ(Pt)、ニッケル合金(Cr/Ni)やプラチナ合金(Ni/Pt、Ti/Pt、Cr/Pt)などの金属薄膜である。あるいは、第2電極膜7は、上記の金属粒子が担持された導電性膜(例えば導電性セラミック膜)であってもよい。第2電極膜7も、多孔質構造(ポーラス構造)を有する。
以下、燃料電池2の変形例を説明する。以下の説明では、図2、図4で示した下基板8bについては説明を割愛する。
(第1変形例)第1変形例の燃料電池10aを説明する。図6は、第1変形例の燃料電池10aの断面図である。先の燃料電池10では、ヒータ4は絶縁膜3に埋設されていた。変形例の燃料電池10aでは、ヒータ4は、絶縁膜103の上に配策されている。高温になるヒータ4は、図4のように絶縁膜3に埋設されていることが安全上は好ましいが、絶縁膜103の上に配策されていてもよい。また、絶縁膜3を、ヒータ4を埋設するほどに厚くすることで、電解質膜6を保護する役割としての絶縁膜3の強度が高まる。なお、図6の符号103aは、絶縁膜103に設けられた複数の貫通孔を示している。
(第2変形例)第2変形例の燃料電池10bを説明する。図7は、第2変形例の燃料電池10bの断面図である。先の燃料電池10では、絶縁膜3は、基板8の窪み9とは反対側で電解質膜6を覆っており、その絶縁膜3にヒータ4が埋設されていた。第2変形例の燃料電池10bでは、絶縁膜3とヒータ4に加え、窪み9の側でも別の絶縁膜203が電解質膜6を覆っている。別の絶縁膜203には、絶縁膜3の貫通孔3aと対向するように貫通孔203aが設けられている。そして、絶縁膜203には、貫通孔203aに隣接するように別のヒータ204が埋設されている。この変形例では、2つのヒータ4、204が、電解質膜6を両側から加熱するので、電解質膜6をより早く昇温することができる。また、電解質膜6の両面に接している絶縁膜3、203は、電解質膜6をより強固に保護する。
(第3変形例)第3変形例の燃料電池10cを説明する。図8は、第3変形例の燃料電池10cの部分平面図である。図9は、図7のIX−IX線に沿った断面図である。先の実施例の燃料電池10では、電解質膜6と絶縁膜3の間に第1電極膜5が成膜されていた。第3変形例の燃料電池10cでは、電解質膜6の上に、貫通孔303aを有する絶縁膜303が成膜され、その上に第1電極膜305が成膜される。図8では、薄いグレーでハッチングを施した範囲が第1電極膜305を表している。第1電極膜305は、貫通孔303aの内側では、実施例の燃料電池10と同じく電解質膜6に接している。第1電極膜305は、貫通孔303aの内側面と、絶縁膜303の上面も覆っている。
また、第1電極膜305は、基板8を平面視したときの窪み9の大きさと概ね同じ大きさである。第1電極膜305は、隣りの窪みを覆っている別の第1電極膜と、細い接続導電線61で接続される。第1電極膜305の範囲を窪み9に対応する内側の範囲に限定することで、第1電極膜305を通じて拡散する熱を抑えることができる。その結果、電解質膜6を効率良く昇温することができるようになる。
図10A〜図10Gを使って第3実施例の燃料電池10cの製造方法を説明する。まず、シリコン基板(上基板8a)の上面(第1主面)に、薄膜の電解質膜6を成膜する(図10A)。次に、電解質膜6の上に絶縁膜303eを成膜する(図10B)。ここでは、完成品の燃料電池10cにおける絶縁膜303よりも薄く成膜する。次に、絶縁膜303eを覆うように、ヒータ4の元となる導電膜を成膜する。そしてヒータ4として残したい範囲にレジストマスク51を形成し、レジストマスク51以外の範囲の導電膜をドライエッチング又はウェットエッチングにより除去し、ヒータ4を形成する(図10C)。次に、ヒータ4を覆うように、絶縁膜を追加成膜する(図10D)。絶縁膜は、ヒータ4の下に予め成膜された絶縁膜303eと一体になり、絶縁膜303fとなる。
次に、貫通孔303aの予定範囲を除いてレジストマスク52を形成し、ドライエッチングあるいはウェットエッチングにより絶縁膜303fの一部を除去し、貫通孔303aを形成する(10E)。次に、絶縁膜303の上から第1電極膜305(空気極)を成膜する。このとき、第1電極膜305が不要な範囲にはレジストマスク53を形成しておく。第1電極膜305は、貫通孔303aの内部では、電解質膜6の上に成膜される(図10F)。
次に、上基板8aの反対側の面(第2主面)の側からドライエッチングあるいはウェットエッチングを施し、窪み9を形成する。上基板8aの反対側の面のうち、窪み9の予定範囲を除いてレジストマスク54を形成し、ドライエッチングあるいはウェットエッチングを施し、窪み9を形成する(図10G)。そして、上基板8aの裏側(第2主面側)に、第2電極膜7(燃料極)を成膜する(図10H)。第2電極膜7は、窪み9の内側、即ち、電解質膜6の窪み9を向く面にも形成される。
(第4変形例)図11、図12を参照して第4変形例の燃料電池10dを説明する。図11は、燃料電池10dを裏面側(第2主面側)からみた部分平面図である。図12は、図11のXII−XII線に沿った断面図である。第4変形例の燃料電池10dでは、第1主面側の構造は先の第3変形例の燃料電池10cと同じである。従って、図12において電解質膜6より上側の構造は、図9と同じであり、図9と同じ符号を用いている。燃料電池10dでは、第2電極膜407は、窪み9の内側に限定して設けられている。窪み9の外側、即ち、上基板408aの第2主面には、別の導電膜409が形成されており、その別の導電膜409と第2電極膜407は、幅の狭い連結導電膜410で電気的に接続されている。他の窪みにも、窪み内に限定された第2電極膜407が形成されている。それらの第2電極膜407も、幅の狭い連結導電膜410で別の導電膜409と電気的に接続される。第2電極膜を窪みの内側に限定することで、第2導電膜を通じて拡散する熱を抑えることができる。
(その他の実施例)実施例では基板8に設けた窪み9は平面視で矩形であったが、窪み9の平面視の形状は矩形に限られない。窪み9の形状は円、楕円、あるいは多角形であってもよい。同様に、絶縁膜3に設けられた貫通孔3aの平面視における形状も矩形に限られない。貫通孔3aの平面視における形状も、円、楕円、あるいは、多角形であってもよい。
ヒータは、絶縁膜に埋設されていることが望ましいが、これに限られず、絶縁膜の上に露出していてもよい。絶縁膜とヒータは、電解質膜の窪みとは反対側に備えられることが好ましいが、電解質膜の窪みの側に備えられてもよい。
実施例では窪み9の反対側で電解質膜6に接している第1電極膜5が空気極であり、窪み9の側で電解質膜6に接している第2電極膜7が燃料極であった。これとは逆に、窪みの反対側で電解質膜6に接している第1電極膜が燃料極であり、窪みの側で電解質膜に接している第2電極膜が空気極であってもよい。
(燃料電池システムの用途)燃料電池システム100は、種々の用途に用いることができる。本発明によれば、燃料電池システムを小型にできる。かつ、発電に必要な温度に昇温する部位は、熱容量の小さなダイアフラムであるため、発電に必要なオン時間が短くなり、短時間にオンオフを繰り返すことが可能となる。よって、例えば、図13に示すように、燃料電池システム100は、充電ケーブル80を介してタブレット等のモバイル機器82に接続可能な、充電器として用いることができる。この場合、モバイル機器82が備えるバッテリ84と、モバイル機器82の電力負荷と、燃料電池システム100を、電気的に並列に接続し、切り替えスイッチによって電力の供給先を切替可能な構成とすることで、燃料電池システム100によって、バッテリ84の充電を行なうこともできるし、モバイル機器82の電力負荷に電力を供給することもできる。
あるいは、図14に示すように、燃料電池システム100は、電力によって駆動する小型のモビリティ86(例えばシニアカー)に搭載されるサブバッテリとして用いることができる。この場合、燃料電池システム100は、電力供給線88を介して、モビリティ86が備えるバッテリ90に接続される。この場合、モビリティ86が備えるバッテリ90と、モビリティ86のモータ92と、燃料電池システム100を、電気的に並列に接続し、切り替えスイッチによって電力の供給先を切替可能な構成とすることで、燃料電池システム100によって、バッテリ90の充電を行なうこともできるし、モータ92に電力を供給することもできる。
あるいは、図15に示すように、燃料電池システム100は、電力によって駆動する歩行支援ロボット94のサブバッテリとして用いることができる。この場合、燃料電池システム100は、電力供給線96を介して、歩行支援ロボット94が備えるバッテリ98に接続される。この場合、歩行支援ロボット94が備えるバッテリ98と、歩行支援ロボット94のモータ99と、燃料電池システム100を、電気的に並列に接続し、切り替えスイッチによって電力の供給先を切替可能な構成とすることで、燃料電池システム100によって、バッテリ98の充電を行なうこともできるし、モータ99に電力を供給することもできる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。