<フィールド機器>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態におけるフィールド機器の概略構成を示したブロック図である。フィールド機器10は、センサ11と、センサ情報取得部12と、外部機器インタフェース13と、外部情報取得部14と、診断部15と、アラーム表示部16と、通信部17とを含んで構成される。フィールド機器10は、プラント内に配置された設備に設置される現場機器である。フィールド機器10には、設置されている設備が稼働しているときの動作状態(例えば、圧力、温度、流量など)を計測する計測機能、さらには、計測した結果に基づいて設備の動作状態を診断する診断機能を備えた測定器や、入力された制御信号に応じて設置されている設備の動作を制御する制御機能(例えば、アクチュエータなど)を備えた操作器などがある。図1に示したフィールド機器10は、計測機能および診断機能を備えた構成である。
図1には、フィールド機器10と共に、プラント内に配置されたそれぞれの設備の稼働状態の監視や運転の制御を行う制御システム(以下、「フィールド機器システム1」という)として構築される制御装置20も併せて示している。制御装置20は、プラント内に配置されたそれぞれの設備の稼働状態の監視や運転の制御を行う際に操作される装置である。また、制御装置20は、フィールド機器10の診断機能によって診断した結果を提示する装置でもある。なお、制御装置20におけるそれぞれの機能(設備の稼働状態の監視機能や運転の制御機能)は、例えば、ワークステーションなどのコンピュータ上で実行されるプログラムによって実現される構成であってもよい。
なお、一般的に、プラントには複数の設備が配置されている。このため、プラント内には、複数のフィールド機器10が設置されている。また、プラントにおいては、予め定めた制御対象の設備ごとに制御装置20が配置されている、つまり、複数の制御装置20が配置されているとも考えられる。従って、フィールド機器システム1は、プラント内に設置されている複数のフィールド機器10および複数の制御装置20によって構築されていてもよい。しかし、以下の説明においては、説明を容易にするため、フィールド機器システム1が、図1に示した1つのフィールド機器10と1つの制御装置20との最小単位の構成によって構築されているものとして説明する。そして、複数のフィールド機器10を含んで構築されるフィールド機器システム1に関する説明は、後述する。
なお、プラントとしては、石油の精製や化学製品の生産を行う工業プラントの他、ガス田や油田などの井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力などの発電を管理制御するプラント、太陽光や風力などの環境発電を管理制御するプラント、上下水やダムなどを管理制御するプラントなどが含まれる。
また、図1には、フィールド機器10に接続することができる構成要素として、外部機器30と、機器設定ツール40とも併せて示している。外部機器30は、プラント内の現場領域(フィールド)や、プラント内に配置された設備に設置され、フィールド機器10に影響を及ぼす外的要因となり得る情報(以下、「外部機器情報」という)を入力するための機器である。機器設定ツール40は、フィールド機器10を設定するためのツールであり、例えば、プラント内に設置された設備において点検作業やトラブル対応の作業を行う作業員によって携帯され、作業員による作業を支援する作業端末装置などにおいて実行されるプログラムによって実現される。
センサ11は、フィールド機器10が設置された位置において、フィールド機器10が設置されている設備における現在の動作状態(例えば、圧力、温度、流量など)を計測する計測部である。センサ11は、計測した結果の計測値を、センサ情報としてセンサ情報取得部12に出力する。
センサ情報取得部12は、センサ11から出力されたセンサ情報を取得する。センサ情報取得部12は、取得したセンサ情報を、センサ11が計測した設備の動作状態を表し、診断部15が設備の動作状態を診断する際に用いることができる予め定められた形式の信号や情報に変換し、変換した信号や情報(以下、「計測情報」という)を診断部15に出力する。
外部機器インタフェース13は、プラント内の状態や設備の状態を検知または計測するセンサなどを備えた外部機器30との間で信号や情報(データ)のやり取りをするためのインタフェース部である。つまり、外部機器インタフェース13は、接続された外部機器30から、フィールド機器10の周囲環境の状態や、フィールド機器10自身に備えたセンサ11によって取得することができない他の設備の動作状態などの外部機器情報を取得するためのインタフェース部である。ここで、他の設備の動作状態としては、他の設備に備えたセンサが計測した計測値、他の設備が設置されている位置、他の設備の動作状態など、様々な情報である。外部機器インタフェース13には、プラント内にすでに設置されている種々の外部機器30の内、センサ11が計測した計測値に基づいて設備の動作状態を診断する際に利用することができる外部機器情報を出力する外部機器30が接続される。なお、外部機器インタフェース13に接続される外部機器30は、複数であってもよい。そして、外部機器インタフェース13は、接続された外部機器30から入力された外部機器情報を、外部情報取得部14に出力する。
なお、外部機器30は、例えば、検知や計測したプラント内の状態、つまり、フィールド機器10の周囲の状態を計測し、計測した結果の値や変化量を表すセンサ情報を出力するセンサ機器など、プラント内にすでに設置されているセンサ機器であってもよい。また、外部機器30は、例えば、他の設備に設置された異なるフィールド機器10(計測機能および診断機能を備えた構成のフィールド機器10や、制御機能を備えた構成のフィールド機器10)など、プラント内にすでに設置されているフィールド機器10であってもよい。また、外部機器30は、例えば、周囲の状態を計測する計測機能を備えている作業端末装置など、一時的に接続されて外部機器情報を入力する機器であってもよい。
また、外部機器情報としては、他の設備に設置された異なるフィールド機器10における表示部の挙動、計測時間、開閉状態、運転状態(試運転、実運転、休止中)、設置位置や方向、設置している期間、経年劣化など、他のフィールド機器10の状態に関する情報が考えられる。また、外部機器情報としては、他の設備に設置された異なるフィールド機器10において故障や不具合などのトラブルが発生した回数や頻度、トラブルが発生した時間、トラブルに対応した回数、他のフィールド機器10の部品(構成要素)を交換した回数など、他のフィールド機器10の履歴に関する情報が考えられる。
また、外部機器情報としては、例えば、音、熱(温度)、湿度、流量、流速、圧力、錆、腐食、変色、破損、変形、臭気、ガス、煙、風水分(雨、海、水際)、粘度(流体の成分)、塵(埃)、漏電、雷、濃度(塩分濃度など)、放射線、気圧、日光(明暗)、振動、泡(コリオリ)、磁界、配管の詰まり、配管内の異物(スラリー)などの値や変化量の情報が考えられる。なお、外部機器情報は、上述した情報に限定されるものではなく、プラント内にすでに設置されている機器から得ることができる情報であれば、いかなる情報であってもよい。
ここで、上述したような外部機器情報には、作業員(つまり、人間)の感覚によって得られる情報に相当する情報が含まれていると考えられる。例えば、錆、腐食、変色、破損、変形、煙、日光(明暗) などの外部機器情報は、作業員の視覚によって得ることができる情報に相当し、プラントにおいては、カメラなどの視覚センサを備えている外部機器30から予め定めた時間間隔で得られた画像に対して、例えば、画像認識や差分判定の処理などの画像処理を施すことによって取得することができる。また、例えば、熱(温度)、湿度、圧力、風水分(雨、海、水際)、気圧、振動などの外部機器情報は、作業員の触覚によって得ることができる情報に相当し、プラントにおいては、温度センサや圧力センサなどの触覚センサを備えている外部機器30から得られた情報に対して、例えば、時間的な変化量を求める処理などを行うことによって取得することができる。また、例えば、音などの外部機器情報は、作業員の聴覚によって得ることができる情報に相当し、プラントにおいては、マイクや周波数センサなどの聴覚センサを備えている外部機器30から得られた音に対して、例えば、周波数解析や音量判定の処理などを行うことによって取得することができる。また、例えば、臭気、ガスなどの外部機器情報は、作業員の臭覚によって得ることができる情報に相当し、プラントにおいては、においセンサなどの臭覚センサを備えている外部機器30から得られた気体の情報に対して、例えば、成分分析の処理などを行うことによって取得することができる。このような作業員(つまり、人間)の感覚によって得られる情報に相当する外部機器情報を利用することによって、フィールド機器10では、従来からプラントにおいて行われている作業員の知識や感覚に基づいた、設備の動作状態の判断を行うことができる。
なお、その他の流量、流速、粘度(流体の成分)、塵(埃)、漏電、雷、濃度(塩分濃度など)、放射線、泡(コリオリ)、磁界、配管の詰まり、配管内の異物(スラリー)などの外部機器情報は、プラント内にすでに設置されているフィールド機器10によって取得することができる。このようなプラント内にすでに設置されている他のフィールド機器10によって得られる外部機器情報を利用することによって、フィールド機器10では、フィールド機器10自身に備えているセンサ11によって取得することができない情報も含めた、設備の動作状態の判断を行うことができる。
外部情報取得部14は、センサ情報取得部12と同様に、外部機器インタフェース13から出力された外部機器情報を取得する。外部情報取得部14は、センサ情報取得部12と同様に、取得した外部機器情報を、診断部15が設備の動作状態を診断する際に用いることができる形式の信号や情報に変換し、変換した信号や情報(以下、「外的要因情報」という)を診断部15に出力する。なお、外部情報取得部14は、作業員の感覚によって得られる情報に相当する外部機器情報を外部機器インタフェース13から取得した場合、取得した外部機器情報に対して、例えば、画像処理などの上述したような処理を行った後に、診断部15が設備の動作状態を診断する際に用いることができる形式の信号や情報に変換する構成であってもよい。
また、外部情報取得部14には、通信部17からも外部機器情報が入力される。この場合でも、外部情報取得部14は、通信部17から入力された外部機器情報を同様に変換した外的要因情報を診断部15に出力する。また、外部情報取得部14は、通信部17からの要求に応じて、外部機器インタフェース13から出力された外部機器情報を通信部17に出力する。なお、通信部17から入力される外部機器情報としては、例えば、制御装置20が外部機器30から取得した作業員の感覚によって得られる情報に相当する外部機器情報に対して、例えば、画像処理などの上述したような処理を行った外部機器情報、つまり、外部情報取得部14の代わりに制御装置20が処理を行った外部機器情報などが考えられる。
診断部15は、センサ情報取得部12から出力された計測情報と、外部情報取得部14から出力された外的要因情報とに基づいて、設置された設備の動作状態が異常であるか否かを、予め定められた診断ルールに従って診断する。言い換えれば、診断部15は、センサ11が計測した計測値が、設置された設備における動作が正常であること表しているか、異常であること表しているかを、フィールド機器10における診断に影響を及ぼす可能性がある外的要因を含めて診断する。診断部15には、設置された設備の動作状態を診断する際の診断ルールが、制御装置20によって設定されている。ここで、診断ルールは、設置された設備の動作状態を診断するため様々なパラメータなどで構成されている。この診断ルールのパラメータには、例えば、フィールド機器10が以前に異常の検出を通知したときにフィールド機器10が設置されている設備の場所に作業員が出向いて外的要因を確認し、作業員の知識に基づいて最終的に対応する作業を行わないと判断したときの外的要因の条件、つまり、設備が正常に動作していると判断することができる外的要因の条件などの設定を反映しておくことができる。
診断部15は、予め定められた診断ルールに従って診断した設備の動作状態の診断結果の情報(以下、「診断結果情報」という)を、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力する。なお、診断部15は、設備の動作状態が異常であるか否かの診断以外にも、例えば、センサ11が計測した計測値が、正常に動作していると診断することができる範囲ではあるが、正常と異常との境界に近い値であるなど、つまり、警告の診断を行う構成にしてもよい。また、診断部15は、フィールド機器10の全体を制御する制御部が実行する一部の機能として実現されてもよい。
アラーム表示部16は、診断部15から出力された診断結果情報に応じたアラームを表示(通知)する。アラーム表示部16は、例えば、正常、異常、警告など、フィールド機器10が設置された設備の動作状態、つまり、センサ11が計測した計測値が、設置された設備における動作が正常であること表しているか否かを示すための複数の表示部(例えば、正常ランプ、異常ランプ、および警告ランプなどのランプ)を備えている。アラーム表示部16は、診断部15から出力された診断結果情報が表す設備の動作状態に応じて、正常ランプ、異常ランプ、または警告ランプのいずれかを点灯させることによって、作業員に設備の現在の動作状態を提示(通知)する。
より具体的には、アラーム表示部16は、診断部15から出力された診断結果情報が、設備の動作状態は正常であることを表している場合に正常ランプを点灯させる。また、アラーム表示部16は、診断部15から出力された診断結果情報が、設備の動作状態が異常であることを表している場合に異常ランプを点灯させる。また、アラーム表示部16は、診断部15から出力された診断結果情報が、設備の動作状態としては正常であるが、センサ11が計測した計測値が正常と異常との境界に近いことを表している場合に警告ランプを点灯させる。
なお、アラーム表示部16は、作業員によるフィールド機器10への操作を受け付ける、例えば、ボタンやスイッチ類などの不図示の操作部を備えた構成であってもよい。この構成の場合、アラーム表示部16は、作業員によって操作された不図示の操作部に対する操作を表す情報を、フィールド機器10の全体を制御する不図示の制御部などに出力する。これにより、フィールド機器10を、作業員によるボタンやスイッチ類などの不図示の操作部に対する操作に応じた設定や設定の変更が行える構成にすることができる。
また、アラーム表示部16は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などの表示デバイスにアラームを表示する構成であってもよい。この構成の場合、アラーム表示部16は、正常、異常、または警告などのアラームのみではなく、例えば、センサ11が計測した計測値なども併せて液晶ディスプレイに表示する構成であってもよい。また、アラーム表示部16は、作業員によるフィールド機器10への操作を受け付ける、例えば、押圧センサなどの操作部と表示デバイスとが組み合わされたタッチパネルの構成であってもよい。この構成の場合、アラーム表示部16は、作業員によって操作されたタッチパネルに対する各種のタッチ(タップやフリックなど)操作を表す情報を、フィールド機器10の全体を制御する不図示の制御部などに出力する。これにより、フィールド機器10を、作業員によるタッチパネルの操作に応じた設定や設定の変更が行える構成にすることができる。
通信部17は、プラント内に専用に構築されたフィールドデジタルプロセス通信ネットワークによって接続されている制御装置20との間で通信を行う。フィールドデジタルプロセス通信ネットワークは、例えば、ISA100.11aなどの工業用の無線規格、センサネットワークシステムなどの無線規格、Wireless/Wired HARTなどの無線と有線とが混在した通信規格、FOUNDATION(登録商標)フィールドバス、PROFIBUS(PROCESS FIELD BUS)などのフィールドバス規格など、種々の通信規格や方式によってデータなどの送受信をそれぞれの機器間で行う通信ネットワークである。なお、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークは、例えば、一般的なWiFi(登録商標)の無線規格によってプラント内に構築された通信ネットワークであってもよい。
通信部17は、診断部15から出力された診断結果情報などを、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークを介して制御装置20に送信(通知)する。これにより、制御装置20は、アラーム表示部16と同様に、送信された診断結果情報に応じたアラームを表示して、設備の現在の動作状態を作業員に提示(通知)する。つまり、制御装置20は、フィールド機器10が設置された設備の動作状態を、フィールド機器10から離れた場所にいる作業員に提示(通知)する。なお、制御装置20における設備の動作状態の提示方法は、正常、異常、または警告などのアラーム表示部16と同様の設備の動作状態のみではなく、例えば、センサ11が計測した計測値のデータなども併せて提示する構成であってもよい。
また、通信部17は、設備の運転を制御するために操作された制御装置20から、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークを介して送信されてきた制御信号を受信し、受信した制御信号を、診断部15、外部情報取得部14、およびフィールド機器10の全体を制御する不図示の制御部に出力する。なお、制御信号には、作業員が制御装置20を操作して設定した診断ルール、つまり、作業員が知識に基づいて最終的に対応する作業を行わないと判断したときの外的要因の条件などの設定が反映された診断ルールが含まれている。これにより、フィールド機器10では、診断部15が、制御信号に含まれる予め定められた診断ルールに従って、設置された設備の動作状態を診断する。また、制御信号には、作業員が制御装置20を操作して要求した外部機器情報の要求信号が含まれている。これにより、フィールド機器10では、外部情報取得部14が、要求された外部機器情報を通信部17に出力し、通信部17が、外部情報取得部14から出力された外部機器情報を制御装置20に送信する。また、制御信号には、作業員が制御装置20を操作して入力した外部機器情報が含まれている。これにより、フィールド機器10では、外部情報取得部14が、制御信号に含まれる外部機器情報を、外部機器インタフェース13から出力された外部機器情報と同様に取得し、取得した外部機器情報を変換した外的要因情報として診断部15に出力する。
また、通信部17は、接続されている機器設定ツール40との間で通信を行う。通信部17と機器設定ツール40との間の通信は、例えば、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの短距離無線通信や、一般的なWiFi(登録商標)などの無線通信である。通信部17と機器設定ツール40とは、フィールド機器10が設置されている位置、つまり、作業現場において、例えば、作業員が携帯する作業端末装置(機器設定ツール40が実行されている作業端末装置)によって、フィールド機器10の設定や診断ルールの変更、フィールド機器10から情報(データ)を取得する際に接続される。フィールド機器10は、機器設定ツール40によって、制御装置20と同様に操作される。なお、フィールド機器10は、外部機器インタフェース13によって機器設定ツール40と接続される構成であってもよい。
次に、フィールド機器10に備えた診断部15における診断処理について説明する。図2は、本実施形態のフィールド機器10に備えた診断部15における診断処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下の説明においては、診断部15に、センサ情報取得部12からの1つの計測情報と、外部情報取得部14からの6つの外的要因情報とに基づいて、設置された設備の動作状態を予め定められた診断ルールに従って診断する場合の一例を説明する。なお、以下の説明においては、診断部15に、6つの外的要因情報に対応して作業員が制御装置20を操作して設定した、最終的に対応する作業を行わないと判断するための外的要因の診断ルール(以下、「外的要因診断ルール」という)が、予め設定されているものとする。
診断部15における診断処理では、まず、診断部15は、センサ情報取得部12から入力された計測情報を、制御装置20によって予め設定されたセンサ11が計測した計測値を診断する診断ルール(以下、「計測診断ルール」という)に従って診断する(ステップS100)。なお、計測診断ルールは、従来のフィールド機器において、センサによって計測した結果に基づいて動作状態の診断を行う際の診断ルールと同様の診断ルールである。例えば、計測診断ルールは、設備の動作状態が正常であることを表すセンサ11の計測値の範囲などを表す値(パラメータ)が設定されている。そして、ステップS100における診断では、計測情報が計測診断ルールに適合しないか否か、すなわち、計測情報が表しているセンサ11の計測値が、設備の動作状態が正常である範囲外の値であるか否かを判定する。つまり、ステップS100における診断では、設備の動作状態が異常であるか否かを判定する。
ステップS100の診断の結果、計測情報が計測診断ルールに適合しない場合(ステップS100の“YES”)、診断部15は、設備の動作状態が異常であると判断し、診断部15の診断処理は、ステップS210に進む。
続いて、診断部15は、外部情報取得部14から入力される1つ目の外的要因情報に対応して制御装置20によって予め設定された1つ目の外的要因診断ルール(以下、「外的要因診断ルール1」という)に従って、ステップS100における診断結果、つまり、「設備の動作状態が異常である」という判断結果を診断(検証)する(ステップS210)。なお、外的要因診断ルール1は、例えば、センサ11の計測値が1つ目の外的要因の影響によって異常な値になってしまったのではない、つまり、フィールド機器10が1つ目の外的要因の影響を受けていないことを確認することができる条件を表すパラメータが設定されている。そして、ステップS210における診断では、計測情報が外的要因診断ルール1に適合するか否か、すなわち、フィールド機器10が1つ目の外的要因の影響を受けていないか否かを判定する。
ステップS210の診断の結果、外的要因診断ルール1に適合する、つまり、フィールド機器10が1つ目の外的要因の影響を受けておらず、センサ11の計測値が、実際の設備が異常に動作していることを表している値である場合(ステップS210の“YES”)、診断部15は、1つ目の外的要因を含めて診断しても設備の動作状態が異常であると判断し、診断部15の診断処理は、ステップS221に進む。
続いて、診断部15は、外部情報取得部14から入力される2つ目の外的要因情報に対応して制御装置20によって予め設定された2つ目の外的要因診断ルール(以下、「外的要因診断ルール2」という)に従って、ステップS210における「設備の動作状態が異常である」という判断結果を診断(検証)する(ステップS221)。なお、外的要因診断ルール2も、外的要因診断ルール1と同様の考え方に基づいて、フィールド機器10が2つ目の外的要因の影響を受けていないことを確認することができる条件を表すパラメータが設定されている。そして、ステップS221における診断でも、ステップS210における診断と同様に、計測情報が外的要因診断ルール2に適合するか否か、すなわち、フィールド機器10が2つ目の外的要因の影響を受けていないか否かを判定する。
ステップS221の診断の結果、外的要因診断ルール2に適合する、つまり、フィールド機器10が2つ目の外的要因の影響を受けておらず、センサ11の計測値が、実際の設備が異常に動作していることを表している値である場合(ステップS221の“YES”)、診断部15は、2つ目の外的要因を含めて診断しても設備の動作状態が異常であると判断する。すなわち、診断部15は、1つ目および2つ目の外的要因を含めて診断しても、ステップS100における診断結果は正しい、つまり、フィールド機器10の動作状態は実際に異常であると判断し、ステップS231に進む。
そして、診断部15は、ステップS231において、1つ目および2つ目の外的要因を含めて診断しても設備の動作状態が異常であることを表す診断結果情報(以下、「アラームAng1」という)を、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAng1に応じて、異常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAng1などを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAng1に応じた異常アラームを表示して、現在の設備の動作状態が異常であることを作業員に提示(通知)する。
一方、ステップS221の診断の結果、外的要因診断ルール2に適合しない、つまり、フィールド機器10が2つ目の外的要因の影響を受けたことによって、センサ11の計測値が、設備が異常に動作していることを表している値になっている場合(ステップS221の“NO”)、診断部15は、2つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は異常ではないと判断する。すなわち、診断部15は、1つ目および2つ目の外的要因を含めて診断すると、ステップS100における診断結果は正しくない、つまり、フィールド機器10の動作状態は実際には正常であると判断し、ステップS232に進む。
そして、診断部15は、ステップS232において、1つ目および2つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は正常であることを表す診断結果情報(以下、「アラームAok」という)を、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAokに応じて、正常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAokなどを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAokに応じた正常アラームを表示して、現在の設備の動作状態は正常であることを作業員に提示(通知)する。
一方、ステップS210の診断の結果、外的要因診断ルール1に適合しない、つまり、フィールド機器10が1つ目の外的要因の影響を受けたことによって、センサ11の計測値が、設備が異常に動作していることを表している値になっている場合(ステップS210の“NO”)、診断部15は、1つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は異常ではないと判断し、診断部15の診断処理は、ステップS222に進む。
続いて、診断部15は、外部情報取得部14から入力される3つ目の外的要因情報に対応して制御装置20によって予め設定された3つ目の外的要因診断ルール(以下、「外的要因診断ルール3」という)に従って、ステップS100における診断では「設備の動作状態が異常である」が、ステップS210における診断では「設備の動作状態は異常ではない」という判断結果を診断(検証)する(ステップS222)。なお、外的要因診断ルール3は、例えば、センサ11の計測値が3つ目の外的要因の影響によって異常な値になってしまったのではない、つまり、フィールド機器10が3つ目の外的要因の影響を受けていないことを確認することができる条件を表すパラメータが設定されている。言い換えれば、フィールド機器10が1つ目の外的要因の影響のみを受けて、センサ11の計測値が異常な値になってしまったものであり、3つ目の外的要因の影響によって異常な値になってしまったのではない、つまり、フィールド機器10が1つ目と3つ目との両方の外的要因の影響を受けていないことを確認することができる条件を表すパラメータが設定されている。そして、ステップS222における診断でも、ステップS221における診断と同様に、計測情報が外的要因診断ルール3に適合するか否か、すなわち、フィールド機器10が1つ目と3つ目との両方の外的要因の影響を受けていないか否かを判定する。
ステップS222の診断の結果、外的要因診断ルール3に適合する、つまり、フィールド機器10が3つ目の外的要因の影響を受けておらず、センサ11の計測値が1つ目の外的要因のみの影響によって実際の設備が異常に動作していることを表している値である場合(ステップS222の“YES”)、診断部15は、3つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態が異常であると判断する。すなわち、診断部15は、1つ目および3つ目の外的要因を含めて診断すると、ステップS100における診断結果は正しく、ステップS210における判断結果は正しくない、つまり、フィールド機器10の動作状態は実際に異常であると判断し、ステップS233に進む。
そして、診断部15は、ステップS233において、1つ目の外的要因を含めた診断のみでは設備の動作状態が異常であることが確実ではないが、3つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態が異常であることを表す診断結果情報(以下、「アラームAng2」という)を、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAng2に応じて、異常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAng2などを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAng2に応じた異常アラームを表示して、現在の設備の動作状態が異常であることを作業員に提示(通知)する。
一方、ステップS222の診断の結果、外的要因診断ルール3に適合しない、つまり、フィールド機器10が1つ目と3つ目との両方の外的要因の影響を受けたことによって、センサ11の計測値が、設備が異常に動作していることを表している値になっている場合(ステップS222の“NO”)、診断部15は、3つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は異常ではないと判断する。すなわち、診断部15は、1つ目および3つ目の外的要因を含めて診断すると、ステップS100における診断結果は正しくなく、ステップS210における判断結果が正しい、つまり、フィールド機器10の動作状態は実際には正常であると判断し、ステップS234に進む。
そして、診断部15は、ステップS234において、1つ目および3つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は正常であることを表すアラームAokをアラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は正常ランプを点灯させ、制御装置20は現在の設備の動作状態は正常であることを作業員に提示(通知)する。
一方、ステップS100の診断の結果、計測情報が計測診断ルールに適合する場合(ステップS100の“NO”)、診断部15は、設備の動作状態は正常であると判断し、診断部15の診断処理は、ステップS310に進む。
続いて、診断部15は、外部情報取得部14から入力される4つ目の外的要因情報に対応して制御装置20によって予め設定された4つ目の外的要因診断ルール(以下、「外的要因診断ルール4」という)に従って、ステップS100における診断結果、つまり、「設備の動作状態は正常である」という判断結果を診断(検証)する(ステップS310)。なお、外的要因診断ルール4は、例えば、センサ11の計測値が4つ目の外的要因の影響によって正常な値になってしまったのではない、つまり、フィールド機器10が4つ目の外的要因の影響を受けていないことを確認することができる条件を表すパラメータが設定されている。そして、ステップS310における診断では、計測情報が外的要因診断ルール4に適合するか否か、すなわち、フィールド機器10が4つ目の外的要因の影響を受けていないか否かを判定する。
ステップS310の診断の結果、外的要因診断ルール4に適合する、つまり、フィールド機器10が4つ目の外的要因の影響を受けておらず、センサ11の計測値が、実際の設備が正常に動作していることを表している値である場合(ステップS310の“YES”)、診断部15は、4つ目の外的要因を含めて診断しても設備の動作状態は正常であると判断し、診断部15の診断処理は、ステップS321に進む。
続いて、診断部15は、外部情報取得部14から入力される5つ目の外的要因情報に対応して制御装置20によって予め設定された5つ目の外的要因診断ルール(以下、「外的要因診断ルール5」という)に従って、ステップS310における「設備の動作状態は正常である」という判断結果を診断(検証)する(ステップS321)。なお、外的要因診断ルール5も、外的要因診断ルール4と同様の考え方に基づいて、フィールド機器10が5つ目の外的要因の影響を受けていないことを確認することができる条件を表すパラメータが設定されている。そして、ステップS321における診断でも、ステップS310における診断と同様に、計測情報が外的要因診断ルール5に適合するか否か、すなわち、フィールド機器10が5つ目の外的要因の影響を受けていないか否かを判定する。
ステップS321の診断の結果、外的要因診断ルール5に適合する、つまり、フィールド機器10が5つ目の外的要因の影響を受けておらず、センサ11の計測値が、実際の設備が正常に動作していることを表している値である場合(ステップS321の“YES”)、診断部15は、5つ目の外的要因を含めて診断しても設備の動作状態は正常であると判断する。すなわち、診断部15は、4つ目および5つ目の外的要因を含めて診断しても、ステップS100における診断結果は正しい、つまり、フィールド機器10の動作状態は実際に正常であると判断し、ステップS331に進む。
そして、診断部15は、ステップS331において、4つ目および5つ目の外的要因を含めて診断しても設備の動作状態は正常であることを表すアラームAokを、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は正常ランプを点灯させ、制御装置20は現在の設備の動作状態は正常であることを作業員に提示(通知)する。
一方、ステップS321の診断の結果、外的要因診断ルール5に適合しない、つまり、フィールド機器10が5つ目の外的要因の影響を受けたことによって、センサ11の計測値が、設備が正常に動作していることを表している値になっている場合(ステップS321の“NO”)、診断部15は、5つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は正常ではないと判断する。すなわち、診断部15は、4つ目および5つ目の外的要因を含めて診断すると、ステップS100における診断結果は正しくない、つまり、フィールド機器10の動作状態は実際には異常であると判断し、ステップS332に進む。
そして、診断部15は、ステップS332において、4つ目および5つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は異常であることを表す診断結果情報(以下、「アラームAng3」という)を、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAng3に応じて、異常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAng3などを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAng3に応じた異常アラームを表示して、現在の設備の動作状態が異常であることを作業員に提示(通知)する。
一方、ステップS310の診断の結果、外的要因診断ルール4に適合しない、つまり、フィールド機器10が4つ目の外的要因の影響を受けたことによって、センサ11の計測値が、設備が正常に動作していることを表している値になっている場合(ステップS310の“NO”)、診断部15は、4つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は正常ではないと判断し、診断部15の診断処理は、ステップS322に進む。
続いて、診断部15は、外部情報取得部14から入力される6つ目の外的要因情報に対応して制御装置20によって予め設定された6つ目の外的要因診断ルール(以下、「外的要因診断ルール6」という)に従って、ステップS100における診断では「設備の動作状態は正常である」が、ステップS310における診断では「設備の動作状態は正常ではない」という判断結果を診断(検証)する(ステップS322)。なお、外的要因診断ルール6は、例えば、センサ11の計測値が6つ目の外的要因の影響によって正常な値になってしまったのではない、つまり、フィールド機器10が6つ目の外的要因の影響を受けていないことを確認することができる条件を表すパラメータが設定されている。言い換えれば、フィールド機器10が4つ目の外的要因の影響のみを受けて、センサ11の計測値が正常な値になってしまったものであり、6つ目の外的要因の影響によって正常な値になってしまったのではない、つまり、フィールド機器10が4つ目と6つ目との両方の外的要因の影響を受けていないことを確認することができる条件を表すパラメータが設定されている。そして、ステップS322における診断でも、ステップS321における診断と同様に、計測情報が外的要因診断ルール6に適合するか否か、すなわち、フィールド機器10が4つ目と6つ目との両方の外的要因の影響を受けていないか否かを判定する。
ステップS322の診断の結果、外的要因診断ルール6に適合する、つまり、フィールド機器10が6つ目の外的要因の影響を受けておらず、センサ11の計測値が4つ目の外的要因のみの影響によって実際の設備が正常に動作していることを表している値である場合(ステップS322の“YES”)、診断部15は、6つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は正常であると判断する。すなわち、診断部15は、4つ目および6つ目の外的要因を含めて診断すると、ステップS100における診断結果は正しく、ステップS310における判断結果は正しくない、つまり、フィールド機器10の動作状態は実際に正常であると判断し、ステップS333に進む。
そして、診断部15は、ステップS333において、4つ目の外的要因を含めた診断のみでは設備の動作状態が正常であることが確実ではないが、6つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は正常であることを表す診断結果情報アラームAokを、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は正常ランプを点灯させ、制御装置20は現在の設備の動作状態は正常であることを作業員に提示(通知)する。
一方、ステップS322の診断の結果、外的要因診断ルール6に適合しない、つまり、フィールド機器10が4つ目と6つ目との両方の外的要因の影響を受けたことによって、センサ11の計測値が、設備が正常に動作していることを表している値になっている場合(ステップS322の“NO”)、診断部15は、6つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は正常ではないと判断する。すなわち、診断部15は、4つ目および6つ目の外的要因を含めて診断すると、ステップS100における診断結果は正しくなく、ステップS310における判断結果が正しい、つまり、フィールド機器10の動作状態は実際には異常であると判断し、ステップS334に進む。
そして、診断部15は、ステップS334において、4つ目および6つ目の外的要因を含めて診断すると設備の動作状態は異常であることを表す診断結果情報(以下、「アラームAng4」という)を、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAng4に応じて、異常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAng4などを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAng4に応じた異常アラームを表示して、現在の設備の動作状態が異常であることを作業員に提示(通知)する。
このような構成および処理によって、フィールド機器10は、設置されている設備が稼働しているときの動作状態を計測し、従来のフィールド機器と同様の診断ルールに従って設備の動作状態を診断する。さらに、フィールド機器10は、従来のフィールド機器と同様に診断した設備の動作状態の診断結果が正しい結果であるか否かを、外部機器30から入力された外部機器情報に対応して追加した診断ルールに従って診断(判断)する。これにより、フィールド機器10では、計測した動作状態に基づいて行った設備の動作状態の診断結果が、外的要因によって誤った診断結果となっていないかを判断(検証)することができる。つまり、フィールド機器10は、設置されている設備が稼働しているときの動作状態を、外的要因を含めて診断することができる。このことにより、フィールド機器10では、設置された設備の動作の異常を検出する精度を、従来のフィールド機器よりも向上させることができる。
また、フィールド機器10は、作業員の感覚によって得られる情報に相当する情報が外部機器情報に含まれている場合、追加する診断ルールに、作業員が外的要因に基づいて最終的に対応する作業を行わないと判断する、つまり、設備が正常に動作していると判断する際の外的要因の条件などの設定を予め反映しておくことができる。これにより、フィールド機器10は、従来からプラントにおいて行われていた作業員の感覚に基づいた判断と同様の判断を、追加した診断ルールに従って行うことができる。つまり、フィールド機器10自身で、従来は作業員が行っていた判断と同様の判断を行うことができる。このことにより、フィールド機器10を設置したプラントでは、フィールド機器10が設置されている場所に出向いて外的要因を確認し、知識や感覚に基づいて対応する作業の要否を最終的に判断する作業員の負担を軽減することができる。つまり、作業員は、従来のように、設備の動作の異常が通知されるごとにフィールド機器10が設置されている場所に出向く必要がなくなる。
なお、図2では、診断部15におけるそれぞれの診断処理において、異なる外的要因診断ルールに従って診断する、つまり、異なる外部機器情報を利用して診断(検証)する場合の一例を示した。しかし、診断部15におけるそれぞれの診断処理において利用する外部機器情報は、必ずしも異なる外部機器情報であることに限定されるものではない。例えば、診断部15は、いずれか複数の診断処理において同じ外部機器情報を利用して診断(検証)してもよい。
<フィールド機器システム>
次に、フィールド機器10を設置したプラント、つまり、プラント内に配置されたそれぞれの設備にフィールド機器10を設置したプラントにおいて構築されるフィールド機器システム1について説明する。図3は、本実施形態のフィールド機器10を備えたフィールド機器システム1の概略構成の一例を示した図である。
プラントには、上述したように、複数の設備が配置されており、それぞれの設備には、図1に示した計測機能および診断機能を備えた測定器として構成されたフィールド機器10や、計測機能のみを備えた測定器として構成されたフィールド機器10、制御機能を備えた操作器として構成されたフィールド機器10などが混在して設置されている。また、プラントにおいては、上述したように、複数の制御装置20が配置されているとも考えられる。このため、フィールド機器システム1は、上述したように、プラント内に設置されている複数のフィールド機器10および複数の制御装置20によって構築されていてもよい。そして、フィールド機器システム1では、フィールド機器10と制御装置20とのそれぞれが、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークによって接続されている。しかし、以下の説明においては、説明を容易にするため、フィールド機器システム1は、図3に示したように、2つのフィールド機器10と1つの制御装置20とから構成されている構成であるものとして説明する。
図3には、プラント内のフィールド(現場領域)に配置された配管Pに、ポンプまたは流量計としてフィールド機器10が設置されている場合の一例を示している。以下の説明においては、ポンプとして設置されたフィールド機器10を「フィールド機器101」といい、流量計として設置されたフィールド機器10を「フィールド機器102」といって区別する。また、図3には、制御装置20が、プラント内の制御室に設置されている場合の一例を示している。
フィールド機器101は、入力された制御信号に応じて、設置されている配管Pに、例えば、石油や薬品などの液体状の製品あるいは半製品(以下、「液体製品」という)を送り込む量(流す量)を制御する。フィールド機器101は、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークによって、運転状態を表す情報を制御装置20に送信(通知)する。フィールド機器101における運転状態を表す情報は、液体製品を配管Pに送り込んでいるか否か、つまり、ポンプとして動作しているか否かを表す情報である。また、フィールド機器101は、運転状態を表す情報をフィールド機器102に出力する。フィールド機器102においては、フィールド機器101から出力された運転状態を表す情報が、外部機器情報となる。
なお、フィールド機器101は、液体製品の流量を計測する計測機能を備え、計測した流量の値(計測値)を含めた運転状態を表す情報を、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークを介して制御装置20に送信(報告)すると共に、フィールド機器102にも出力する構成であってもよい。
フィールド機器102は、設置されている配管Pを流れる液体製品の流量を計測し、予め定められた診断ルールに従って配管P内の液体製品の流れの状態を診断する。なお、フィールド機器102が診断する配管P内の液体製品の流れの状態には、フィールド機器101が液体製品を配管Pに送り込む(流す)動作の状態も含まれていると考えられる。以下の説明においては、フィールド機器102が診断する上述したような状態を区別せずに、単に「稼働状態」という。フィールド機器102における配管Pの稼働状態の診断では、計測した流量の値(計測値)が異常であるか否かを、制御装置20によって予め設定された計測診断ルールと、フィールド機器102から入力された外部機器情報に対応して制御装置20によって予め設定された外的要因診断ルールとに従って診断(判断)する。そして、フィールド機器102は、診断した配管Pの稼働状態の診断結果情報を、フィールド機器102自身に備えたアラーム表示部16に出力して提示(通知)すると共に、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークによって制御装置20に送信(通知)する。
図3には、フィールド機器102が、計測した流量の値が異常であるか否かを、フィールド機器101の運転状態を含めて診断し、診断結果を、フィールド機器102自身に備えたアラーム表示部16と制御装置20とによって通知している状態の一例を示している。より具体的には、図3に示したフィールド機器102には、異常な流量値を検出したことを表す「×印」のアラームAfng102をアラーム表示部16に表示している状態を示している。また、図3に示した制御装置20には、フィールド機器102が異常な流量値を検出したことを表す診断結果がフィールド機器102から送信(通知)されたことを表す「×印」のアラームAcng102を表示している状態を示している。
このように、フィールド機器システム1では、フィールド機器102が、外的要因(図3では、フィールド機器101の運転状態)を含めて、設置された配管Pの現在の稼働状態(図3では、配管P内の液体製品の流れの状態(流量))を診断し、診断結果を、フィールド機器102自身に備えたアラーム表示部16と、制御室に配置された制御装置20とによって、プラント内で作業を行う作業員に提示(通知)する。ここでフィールド機器102から提示された流量値の異常は、フィールド機器102の外的要因を含めて診断した結果である、つまり、精度を向上して診断した結果であるため、本来の異常である可能性が高い。プラントにおいて作業員は、制御装置20によってフィールド機器102から通知された流量値の異常を認識すると、例えば、設備の点検作業やトラブル対応の作業を行う作業端末装置を携帯して、フィールド機器102が設置されている配管Pの場所まで出向き、認識した異常に対応する作業や、フィールド機器102を設定する作業などを行う。
ここで、フィールド機器システム1を適用したプラントにおける処理および作業の流れについて説明する。図4は、本実施形態のフィールド機器10を備えたフィールド機器システム1が構築されたプラントにおける処理および作業の流れ(処理シーケンス)を示したシーケンス図である。図4には、図3に示した構成のフィールド機器システム1における処理および作業の流れの一例を示している。なお、以下の説明においては、診断部15に、計測診断ルールが制御装置20によって予め設定されているものとする。
まず、作業員は、制御室において制御装置20を操作し、最終的に対応する作業を行わないと判断するための外的要因診断ルールを設定する(ステップS10)。ここで作業員が制御装置20に設定する外的要因診断ルールは、フィールド機器102に影響を及ぼす外的要因となり得るフィールド機器101の運転状態の条件、つまり、配管Pが正常に液体製品を流していると判断することができるフィールド機器101の動作を設定する。
この操作により、制御装置20は、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークを介して、設定された外的要因診断ルールを含んだ制御信号をフィールド機器102に送信する。そして、フィールド機器102は、制御装置20からフィールドデジタルプロセス通信ネットワークを介して送信されてきた制御信号を受信する(ステップS11)。これにより、作業員によって設定された外的要因診断ルールが、フィールド機器102に備えた診断部15に設定される。
その後、フィールド機器102に備えたセンサ11は、例えば、予め定められた時間や時間間隔で、配管Pの動作状態を計測、つまり、配管Pを流れる液体製品の流量を計測し、計測した結果のセンサ情報(計測値)をフィールド機器102に備えたセンサ情報取得部12に出力する。そして、センサ情報取得部12は、センサ11から出力されたセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報を変換した計測情報を、フィールド機器102に備えた診断部15に出力する(ステップS20)。
続いて、診断部15は、センサ情報取得部12から出力された計測情報、つまり、配管Pの稼働状態を、計測診断ルールに従って診断する(ステップS30)。
また、フィールド機器101は、例えば、予め定められた時間や時間間隔で、運転状態を表す情報をフィールド機器102に出力する。そして、フィールド機器102に備えた外部機器インタフェース13は、フィールド機器101から出力された運転状態を表す情報、つまり、外部機器情報を、フィールド機器102に備えた外部情報取得部14に出力する。そして、外部情報取得部14は、外部機器インタフェース13から出力された外部機器情報を取得し、取得した外部機器情報を変換した外的要因情報を、フィールド機器102に備えた診断部15に出力する(ステップS35)。なお、このステップS35の処理を行うタイミングは、図4に示したタイミングでなく、いかなるタイミングであってもよい。
続いて、診断部15は、ステップS30における診断結果を、外的要因診断ルールに従って診断する(ステップS40)。そして、診断部15は、診断結果情報、つまり、配管Pの稼働状態の診断結果を、フィールド機器102に備えたアラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力する。これにより、通信部17は、診断部15から出力された診断結果情報を、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークを介して制御装置20に送信する(ステップS45)。
これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力された診断結果情報に応じたランプを点灯させて、フィールド機器102が設置された配管Pの現在の稼働状態を作業員に提示する(ステップS50)。また、制御装置20は、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークを介してフィールド機器102から送信されてきた診断結果情報に応じたアラームを表示して、フィールド機器102が設置された配管Pの現在の稼働状態を、制御室にいる作業員に提示(通知)する(ステップS60)。
これにより、作業員は、制御装置20に表示されたアラームによって、フィールド機器102が設置された配管Pの現在の稼働状態を確認(認識)することができる(ステップS61)。制御装置20に表示されたアラームが、配管Pの現在の稼働状態が異常であることを表している場合、作業員は、例えば、作業端末装置を携帯して、フィールド機器102が設置された配管Pに出向いて、フィールド機器102が設置されている場所や配管Pの周辺の状態や環境を確認する。そして、作業員は、配管Pが実際に異常である場合には、異常に対応する作業を行う(ステップS70)。
なお、フィールド機器102が設置されている場所や配管Pの周辺の状態や環境を確認した結果、配管Pが実際に異常でない場合もある。この原因としては、例えば、フィールド機器102に影響を及ぼす外的要因となり得るフィールド機器101の運転状態の条件に余裕があったなど、ステップS10において設定した外的要因診断ルールが適切でなかったことなどが考えられる。この場合、作業員は、携帯してきた作業端末装置に機器設定ツール40を実行させ、この作業端末装置とフィールド機器102とを、通信部17または外部機器インタフェース13を介して接続し、外的要因診断ルールを変更(正しく訂正)する(ステップS70)。これにより、フィールド機器102は、その後に同様の状態となった場合でも、配管Pが異常であるという判断をしなくなる。つまり、フィールド機器10が配管Pの異常を検出する精度が、さらに向上する。なお、アラーム表示部16に作業員の操作を受け付ける構成を備えている場合、作業員は、アラーム表示部16を操作して外的要因診断ルールを変更(正しく訂正)することもできる。
なお、配管Pが実際に異常でない場合、作業員は、制御室に戻り、制御室において制御装置20を操作して外的要因診断ルールを変更(正しく訂正)することもできる(ステップS71)。
このような処理および作業の流れ(処理シーケンス)によって、フィールド機器システム1では、外的要因診断ルールを適切に設定することによって、それぞれのフィールド機器10が設置された設備の異常を検出する精度を向上させる。これにより、フィールド機器システム1を適用したプラントでは、所属している作業員の負担を軽減することができる。なお、外的要因診断ルールは、プラント内で多くの作業を経験しており、トラブルに対する作業方法を熟知している(熟練した)作業員が最初に設定する方が、設備のトラブルに対応した経験が少ない作業員が最初に設定するよりも、フィールド機器10が設備の異常を検出する精度を、初期の段階から高くしておくことができると考えられる。
<第1の具体例>
次に、フィールド機器10を設置したプラントに構築されるフィールド機器システム1において外的要因を含めて設備の動作状態を診断する具体的な一例について説明する。図5は、本実施形態のフィールド機器10を備えたフィールド機器システム1における運用の第1の具体例を示した図である。図5には、プラント内のフィールド(現場領域)に配置された配管Pに、ポンプまたは流量計として5つのフィールド機器10が設置されている場合の一例を示している。より具体的には、ポンプとして設置されたフィールド機器10であるフィールド機器101と、流量計として設置された4つのフィールド機器10であるフィールド機器102〜フィールド機器105とが設置されている場合の一例を示している。また、図5には、プラント内の制御室に制御装置20が設置されている場合の一例を示している。
フィールド機器101は、図3に示したフィールド機器101と同様に、入力された制御信号に応じて、設置されている配管Pに液体製品を送り込む量(流す量)を制御する。フィールド機器101は、図3に示したフィールド機器101と同様に、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークによって、運転状態を表す情報を、制御装置20に送信(通知)すると共に、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに出力する。フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれにおいては、フィールド機器101から出力された運転状態を表す情報が、外部機器情報となる。
フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれは、図3に示したフィールド機器102と同様に、設置されている配管Pを流れる液体製品の流量を計測し、計測した流量の値(計測値)が異常であるか否かを、予め定められた診断ルール(計測診断ルールおよび外的要因診断ルール)に従って配管Pの稼働状態を診断する。そして、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれは、図3に示したフィールド機器102と同様に、配管Pの稼働状態の診断結果を、それぞれのフィールド機器102〜フィールド機器105自身に備えたアラーム表示部16と、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークを介して接続された制御装置20とによって提示(通知)する。
より具体的には、フィールド機器101が運転中である場合、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれは、計測した流量の値(計測値)に対して診断した配管Pの稼働状態の診断結果情報を、アラーム表示部16に出力して提示(通知)すると共に、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークによって制御装置20に送信(通知)する。これは、配管Pに設置されたフィールド機器のそれぞれが従来のフィールド機器である場合であっても同様である。
一方、入力された制御信号に応じてフィールド機器101が休止した場合、フィールド機器101に備えたポンプのモーターが稼働を停止して弁が閉じ、配管P内の液体製品の流れが停止している状態、つまり、フィールド機器101が液体製品を配管Pに送り込んでいない(流していない)状態になる。このとき、配管Pに設置されたフィールド機器のそれぞれが従来のフィールド機器である場合には、それぞれのフィールド機器は、フィールド機器101が休止したことの影響を受けて、配管Pの稼働状態が異常であることを表す診断結果情報をアラーム表示部16に出力して提示(通知)すると共に、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークによって制御装置20に送信(通知)してしまう。これは、従来のフィールド機器のそれぞれにおいて計測した流量の値(計測値)が、配管P内を液体製品が流れていることを表す計測値の範囲外の値になってしまうからである。これにより、作業員は、通知された異常に対応する作業を行うために、従来のフィールド機器のそれぞれが設置されている配管Pの場所に出向くことになる。しかし、フィールド機器101は休止しているため、従来のフィールド機器のそれぞれからの通知に対応する作業は行う必要がない。つまり、従来のフィールド機器のそれぞれからの今回の通知は、フィールド機器における異常検出の精度が低いことに起因した誤った通知(誤報)となってしまう。
これに対して、配管Pに設置されたフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれは、フィールド機器101から外部機器情報として入力された運転状態(休止中)を表す情報に基づいて、つまり、フィールド機器101の運転状態を含めて、計測した流量の値(計測値)が異常であるか否かを診断する。フィールド機器101が休止している場合には、一般的に、計測した流量の値(計測値)が、配管P内を液体製品が流れていることを表す計測値の範囲外の値になる。このため、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれは、フィールド機器101が休止中であるということを表す外部機器情報に基づいて、配管Pの稼働状態は正常であることを表す診断結果情報をアラーム表示部16に出力して提示(通知)すると共に、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークによって制御装置20に送信(通知)する。つまり、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれは、フィールド機器101が休止したことの影響を受けることなく、配管Pの正しい稼働状態を作業員に通知する。これにより、作業員は、それぞれのフィールド機器102〜フィールド機器105からの通知に従って、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれが設置されている配管Pの場所に出向くことはない。
図5には、フィールド機器101が休止している場合において、配管Pの稼働状態は正常であることを表す診断結果を、それぞれのフィールド機器102〜フィールド機器105自身に備えたアラーム表示部16と制御装置20とによって通知している状態の一例を示している。より具体的には、図5に示したフィールド機器102には、正常な流量値を検出したことを表す「○印」のアラームAfok102をアラーム表示部16に表示し、フィールド機器102が正常な流量値を検出したことを表す診断結果がフィールド機器102から送信(通知)されたことを表す「○印」のアラームAcok102を制御装置20に表示している状態を示している。また、同様に、図5に示したフィールド機器103〜フィールド機器105のそれぞれには、正常な流量値を検出したことを表す「○印」のアラームAfok103〜アラームAfok105のそれぞれを、それぞれのフィールド機器103〜フィールド機器105に備えたアラーム表示部16に表示している状態を示している。また、同様に、図5に示した制御装置20には、それぞれのフィールド機器103〜フィールド機器105が正常な流量値を検出したことを表す診断結果が、フィールド機器103〜フィールド機器105のそれぞれから送信(通知)されたことを表す「○印」のアラームAcok103〜アラームAcok105を表示している状態を示している。
このように、フィールド機器システム1における第1の具体例では、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれが、外的要因であるフィールド機器101の運転状態(運転中または休止中)を含めて、設置された配管P内の液体製品の流量を現在の稼働状態として診断する。これにより、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれは、フィールド機器101が休止中であっても、その影響を受けることなく、配管Pの正しい稼働状態を作業員に通知する。
なお、第1の具体例において、配管Pの稼働状態が異常であることが通知された場合、配管Pが本来の異常である可能性が高い。このため、作業員は、配管Pの稼働状態が異常であることを通知してきたフィールド機器10が設置されている配管Pの場所まで出向いて周辺の状態や環境を確認し、異常に対応する作業を行うことが望ましい。なお、異常であると通知された配管Pの稼働状態に対応する作業を行う必要がない場合には、図4に示したプラントにおける処理および作業の流れ(処理シーケンス)と同様に、外的要因診断ルールを変更(正しく訂正)することが望ましい。
次に、第1の具体例においてフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに備えた診断部15における診断処理について説明する。図6は、本実施形態のフィールド機器10を備えたフィールド機器システム1の第1の具体例における診断処理の手順を示したフローチャートである。なお、図6には、フィールド機器101が休止中である場合に診断部15が行う診断処理の手順を示している。第1の具体例においては、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれが、図6に示した処理によって、配管Pの稼働状態を診断する。以下の説明においては、代表して、図6に示した処理が、フィールド機器102に備えた診断部15の処理であるものとして説明する。
ここで、フィールド機器101は、運転状態を表す情報として、運転中であるか休止中であるかの情報を外部機器情報として出力するものとする。そして、診断部15には、フィールド機器101から出力される外部機器情報に基づいて、フィールド機器101が運転中であることを確認するため外的要因診断ルールが、制御装置20によって予め設定されているものとする。
ここで、フィールド機器102に備えたセンサ11は、フィールド機器101が運転中のときに配管Pを流れる液体製品の流量を計測すると、例えば、下限の流量値=4mA〜上限の流量値=20mAまでの範囲の計測値をセンサ情報として出力するものとする。また、フィールド機器101が休止中である場合、フィールド機器102に備えたセンサ11は、例えば、流量値=0mAの計測値をセンサ情報として出力するものとする。従って、診断部15には、4mA〜20mAまでの範囲の流量値が、配管Pの稼働状態が正常であることを表す範囲の値(パラメータ)として、計測診断ルールに予め設定されているものとする。
まず、診断部15は、センサ情報取得部12から入力された計測情報を、計測診断ルールに従って診断する(ステップS100)。ステップS100における診断では、計測情報が表す流量値が、計測診断ルールとして設定された4mA〜20mAまでの流量値の範囲外の値であるか否かを判定する。
ステップS100の診断の結果、計測情報が表す流量値が4mA〜20mAまでの流量値の範囲外の値である場合(ステップS100の“YES”)、診断部15は、配管Pの稼働状態が異常であると判断し、診断部15の診断処理は、ステップS210に進む。例えば、フィールド機器101が休止中である場合、計測情報が表す流量値は0mAであため、診断部15の診断処理はステップS210に進む。
続いて、診断部15は、ステップS100における「配管Pの稼働状態が異常である」という診断結果を、外的要因診断ルールに従って診断(検証)する(ステップS210)。ステップS210における診断では、外部情報取得部14から入力された外的要因情報が、フィールド機器101が運転中であることを表しているか否かを判定する。
ステップS210の診断の結果、フィールド機器101が運転中であることを表している場合(ステップS210の“YES”)、診断部15は、外的要因診断ルールに従って診断しても配管Pの稼働状態が異常であると判断し、ステップS231に進む。
そして、診断部15は、ステップS231において、外的要因診断ルールに従って診断しても配管Pの稼働状態が異常であることを表すアラームAng1を、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAng1に応じて、異常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAng1などを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAng1に応じた異常アラームを表示して、現在の配管Pの稼働状態が異常であることを作業員に提示(通知)する。なお、アラームAng1に応じた異常アラームが提示された場合、作業員は、例えば、配管Pの漏れなどの原因によって、フィールド機器101が運転中であるにもかかわらず、配管P内を実際に流れる液体製品の流量が下限よりも少なくなっているため、配管Pの漏れを防ぐ作業を実施することを想定して配管Pの場所まで出向くことが考えられる。
一方、ステップS210の診断の結果、フィールド機器101が運転中ではない、つまり、フィールド機器101は休止中である場合(ステップS210の“NO”)、診断部15は、外的要因診断ルールに従って診断すると配管Pの稼働状態は異常ではないと判断し、ステップS232に進む。
そして、診断部15は、ステップS232において、外的要因診断ルールに従って診断すると配管Pの稼働状態は正常であることを表すアラームAokを、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAokに応じて、正常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAokなどを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAokに応じた正常アラームを表示して、現在の配管Pの稼働状態は正常であることを作業員に提示(通知)する。
一方、ステップS100の診断の結果、計測情報が表す流量値が4mA〜20mAまでの流量値の範囲内の値である場合(ステップS100の“NO”)、診断部15は、配管Pの稼働状態は正常であると判断し、診断部15の診断処理は、ステップS310に進む。
続いて、診断部15は、ステップS100における「配管Pの稼働状態は正常である」という診断結果を、外的要因診断ルールに従って診断(検証)する(ステップS310)。ステップS310における診断でも、ステップS210における診断と同様に、外部情報取得部14から入力された外的要因情報が、フィールド機器101が運転中であることを表しているか否かを判定する。
ステップS310の診断の結果、フィールド機器101が運転中であることを表している場合(ステップS310の“YES”)、診断部15は、外的要因診断ルールに従って診断しても配管Pの稼働状態は正常であると判断し、ステップS331に進む。
そして、診断部15は、ステップS331において、外的要因診断ルールに従って診断しても配管Pの稼働状態は正常であることを表すアラームAokを、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は正常ランプを点灯させ、制御装置20は現在の配管Pの稼働状態は正常であることを作業員に提示(通知)する。
一方、ステップS310の診断の結果、フィールド機器101が運転中ではない(休止中である)場合(ステップS310の“NO”)、診断部15は、外的要因診断ルールに従って診断すると配管Pの稼働状態は正常ではないと判断し、ステップS332に進む。
そして、診断部15は、ステップS332において、外的要因診断ルールに従って診断すると配管Pの稼働状態は異常であることを表すアラームAng2を、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAng2に応じて、異常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAng2などを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAng2に応じた異常アラームを表示して、現在の配管Pの稼働状態が異常であることを作業員に提示(通知)する。なお、アラームAng2に応じた異常アラームが提示された場合、作業員は、例えば、フィールド機器101の弁が閉じないなどの原因によって、フィールド機器101が休止中であるにもかかわらず、配管P内を液体製品が実際に流れているため、フィールド機器101の弁を修理する作業を実施することを想定して配管Pの場所まで出向くことが考えられる。
このような構成および処理によって、第1の具体例のフィールド機器システム1は、配管Pに設置されているフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれが、外的要因(第1の具体例では、フィールド機器101の運転状態)を含めて、配管Pの現在の稼働状態(第1の具体例では、配管P内の液体製品の流量)を診断する。そして、第1の具体例のフィールド機器システム1では、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれが、診断結果を、それぞれのフィールド機器102〜フィールド機器105自身に備えたアラーム表示部16と、制御室に配置された制御装置20とによって、プラント内で作業を行う作業員に提示(通知)する。ここでフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれから提示された配管Pの稼働状態は、それぞれのフィールド機器102〜フィールド機器105における外的要因を含めて診断することによって診断の精度を向上した結果である。このため、フィールド機器102〜フィールド機器105のいずれかが配管Pの稼働状態が異常であることを通知した場合には、本来の異常である可能性が高い。このため、作業員は、配管Pの稼働状態が異常であることを通知してきたフィールド機器10が通知してきた異常に対応する作業を行うことが望ましい。なお、異常であると通知された配管Pの稼働状態に対応する作業を行う必要がない場合には、図4に示したプラントにおける処理および作業の流れ(処理シーケンス)と同様に、外的要因診断ルールを変更(正しく訂正)する作業などを行う。
なお、第1の具体例では、フィールド機器101が、運転状態を表す情報を外部機器情報として、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する構成を示した。しかし、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する外部機器情報は、第1の具体例において示した外部機器情報に限定されるものではない。例えば、フィールド機器システム1では、制御装置20が、フィールド機器101〜フィールド機器105のそれぞれの稼働状態の監視や運転の制御を行う。従って、制御装置20は、フィールド機器101の運転状態を把握している。このため、制御装置20は、把握したフィールド機器101の運転状態を表す情報を外部機器情報として、フィールドデジタルプロセス通信ネットワークを介して、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力(送信)する構成にしてもよい。このとき、制御装置20は、把握したフィールド機器101の運転状態を表す情報(外部機器情報)を、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに送信する制御信号に含めてもよい。
また、第1の具体例では、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する外部機器情報が、フィールド機器101が出力する外部機器情報のみである構成を示した。言い換えれば、第1の具体例では、プラントの工程において、フィールド機器102〜フィールド機器105の全ての前段に位置するフィールド機器101が出力する外部機器情報のみである構成を示した。しかし、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する外部機器情報は、プラントの工程の前段から入力される外部機器情報に限定されるものではなく、プラントの工程の後段から入力される外部機器情報や、プラントの工程の前段および後段の両方から入力される外部機器情報であってもよい。例えば、フィールド機器102に入力する外部機器情報として、プラントの工程においてフィールド機器102の後段に位置するフィールド機器103が出力する診断結果情報を外部機器情報として入力する構成にしてもよい。また、例えば、フィールド機器102に入力する外部機器情報として、フィールド機器101が出力する外部機器情報に加えて、プラントの工程においてフィールド機器102の後段に位置するフィールド機器103が出力する診断結果情報を外部機器情報として入力する構成にしてもよい。同様に、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに影響を及ぼす外的要因となり得る他のフィールド機器102〜フィールド機器105が出力する診断結果情報を、いずれのフィールド機器102〜フィールド機器105の外部機器情報として入力する構成にしてもよい。これにより、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれは、プラントにおける前後の工程において稼働している設備の動作状態(第1の具体例では、フィールド機器101〜フィールド機器105のそれぞれの間の配管Pの稼働状態)も含めた診断を行うことができ、異常を検出する精度をさらに向上させることができる。このことにより、所属している作業員が行う作業の負担をさらに軽減することができる。
<第2の具体例>
次に、フィールド機器10を設置したプラントに構築されるフィールド機器システム1において外的要因を含めて設備の動作状態を診断する別の具体的な一例について説明する。なお、第2の具体例においては、プラント内に配置されるそれぞれの設備や、フィールド機器システム1の構成は、第1の具体例、つまり、図5と同様であるものとする。従って、第2の具体例の説明においては、図5に示したそれぞれの設備に付与した符号と同一の符号を用いて説明し、第2の具体例におけるプラント内における設備の配置やそれぞれのフィールド機器10の動作に関する詳細な説明は省略する。
第2の具体例は、配管P内を流れる液体製品への異物(スラリー)や泡(コリオリ)の混入、配管P内の異物(スラリー)の堆積などによって、配管P内を流れる液体製品の流量を正しく計測することができない場合においても、配管Pの稼働状態の異常を通知することができるようにする場合の一例である。図7は、本実施形態のフィールド機器10を備えたフィールド機器システム1における運用の第2の具体例を説明する図である。
図7には、配管P内を流れる液体製品Flの中に複数のスラリーSlが混入して一緒に流れている場合の一例を示している。なお、配管P内を流れる液体製品Flの中に複数の泡(コリオリ)が混入して一緒に流れている場合には、泡(コリオリ)をスラリーSlに置き換えることによって同様に考えることができる。液体製品の中に混入したスラリーSlの割合M(以下、「異物混入量M」という)[%]は、下式(1)によって算出することができる。
M = Vs/(Vf−Vs) ・・・(1)
上式(1)において、Vsは、液体製品の中に混入したスラリーSlの体積(予め定めた単位時間あたりの総量など)(以下、「異物体積」という)、Vfは、配管P内を流れるスラリーSlを含んだ液体製品の体積(単位時間あたりの総量など)(以下、「液体製品体積」という)を表す。なお、異物体積Vsは、例えば、配管Pに設置した異物検出センサ(フィールド機器10に備える構成であってもよい)の計測値、または計測値に基づいて算出することができる。また、液体製品体積Vfは、センサ11が計測した流量の値(計測値)に基づいて算出することができる。なお、異物検出センサの計測値に基づいた異物体積Vsの算出や、センサ11が計測した流量の値(計測値)に基づいた液体製品体積Vfの算出は、既存の技術を利用することによって行うことができるため、詳細な説明は省略する。
第2の具体例では、異物体積Vsを外部機器情報として、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する。そして、第2の具体例では、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに備えた診断部15が、入力された異物体積Vsを用いて配管Pの稼働状態を診断する。
より具体的には、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれにおいて、センサ11が計測した配管Pを流れる液体製品(スラリーSlを含む)の流量の値(計測値)から液体製品体積Vfを算出し、さらに、算出した液体製品体積Vfと異物体積Vsとを用いて上式(1)によって異物混入量Mを算出する。その後、センサ11が計測したスラリーSlを含む液体製品の流量の値(計測値)を、算出した異物混入量Mを用いて下式(2)によって補正し、補正したスラリーSlを含まない液体製品の流量の値を、計測診断ルールと同様の外的要因診断ルールに従って診断する。
HPV = PV×((100−M)/100) ・・・(2)
上式(2)において、PVはセンサ11が計測した配管Pを流れるスラリーSlを含む液体製品の流量の値(以下、「流量計測値」という)、HPVは、補正したスラリーSlを含まない液体製品の流量の値(以下、「流量補正値」という)、Mは上式(1)によって算出した異物混入量[%]を表す。
次に、第2の具体例においてフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに備えた診断部15における診断処理について説明する。図8は、本実施形態のフィールド機器10を備えたフィールド機器システム1の第2の具体例における診断処理の手順を示したフローチャートである。なお、図8には、フィールド機器101が運転中である場合に診断部15が行う診断処理の手順を示している。第2の具体例においては、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれが、図8に示した処理によって、配管Pの稼働状態を診断する。以下の説明においては、代表して、図8に示した処理が、フィールド機器102に備えた診断部15の処理であるものとして説明する。
ここで、フィールド機器102には、異物検出センサが計測したスラリーSlの計測値に基づいて算出された異物体積Vsが、外部機器情報として入力されるものとする。なお、異物検出センサは、フィールド機器101とフィールド機器102との間の配管Pにおいて、フィールド機器102に近い位置に設置されるのが望ましい。そして、診断部15には、異物検出センサから入力された外部機器情報(異物体積Vs)と、センサ11が計測したスラリーSlを含む液体製品の流量の値(流量計測値PV)とに基づいて補正したスラリーSlを含まない液体製品の流量の値(流量補正値HPV)を診断するため外的要因診断ルールが、制御装置20によって予め設定されているものとする。
なお、第2の具体例においても、配管Pの稼働状態が正常であることを表す4mA〜20mAまでの範囲の流量値(パラメータ)が、流量計測値PVに対する計測診断ルールとして診断部15に予め設定されているものとする。そして、第2の具体例においては、説明を容易にするため、外的要因診断ルールにおいて配管Pの稼働状態が正常であると診断するスラリーSlを含まない液体製品の流量補正値HPVの範囲(パラメータ)も、計測診断ルールと同様の4mA〜20mAまでの範囲であるものとする。
まず、診断部15は、センサ情報取得部12から入力された計測情報を、計測診断ルールに従って診断する(ステップS100)。ステップS100における診断では、計測情報が表す流量計測値PVが、計測診断ルールとして設定された4mA〜20mAまでの流量値の範囲外の値であるか否かを判定する。
ステップS100の診断の結果、計測情報が表す流量計測値PVが4mA〜20mAまでの流量値の範囲外の値である場合(ステップS100の“YES”)、診断部15は、配管Pの稼働状態が異常であると判断し、診断部15の診断処理は、ステップS210に進む。例えば、配管P内を流れる液体製品Flの中に多くのスラリーSlが混入していることによって、計測情報が表す流量計測値PVが上限の流量値=20mAよりも高い値である場合に、診断部15の診断処理はステップS210に進む。
続いて、診断部15は、ステップS100における「配管Pの稼働状態が異常である」という診断結果を、外的要因診断ルールに従って診断(検証)する(ステップS210)。ステップS210における診断では、まず、診断部15は、計測情報が表す流量計測値PVに基づいて算出した液体製品体積Vfと、外部情報取得部14から外的要因情報として入力された異物体積Vsとから上式(1)によって異物混入量Mを算出する。その後、診断部15は、上式(2)によって流量計測値PVを補正した流量補正値HPVを算出する。そして、診断部15は、算出した流量補正値HPVが、外的要因診断ルールとして設定された4mA〜20mAまでの流量値の範囲外の値であるか否かを判定する。
ステップS210の診断の結果、流量補正値HPVが4mA〜20mAまでの流量値の範囲外の値である場合(ステップS210の“YES”)、診断部15は、外的要因診断ルールに従って診断しても配管Pの稼働状態が異常であると判断し、ステップS231に進む。
そして、診断部15は、ステップS231において、外的要因診断ルールに従って診断しても配管Pの稼働状態が異常であることを表すアラームAng3を、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAng3に応じて、異常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAng3などを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAng3に応じた異常アラームを表示して、現在の配管Pの稼働状態が異常であることを作業員に提示(通知)する。なお、アラームAng3に応じた異常アラームが提示された場合、作業員は、例えば、液体製品Flの中に多くのスラリーSlが混入していることによって、配管P内を流れる液体製品の流量を実際の流量よりも多いものとして検出しているため、スラリーSlの混入を防ぐ作業を実施することを想定して配管Pの場所まで出向くことが考えられる。
一方、ステップS210の診断の結果、流量補正値HPVが4mA〜20mAまでの流量値の範囲内の値である場合(ステップS210の“NO”)、診断部15は、外的要因診断ルールに従って診断すると配管Pの稼働状態は異常ではないと判断し、ステップS232に進む。
そして、診断部15は、ステップS232において、外的要因診断ルールに従って診断すると配管Pの稼働状態は正常であることを表すアラームAokを、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAokに応じて、正常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAokなどを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAokに応じた正常アラームを表示して、現在の配管Pの稼働状態は正常であることを作業員に提示(通知)する。
一方、ステップS100の診断の結果、計測情報が表す流量計測値PVが4mA〜20mAまでの流量値の範囲内の値である場合(ステップS100の“NO”)、診断部15は、配管Pの稼働状態は正常であると判断し、診断部15の診断処理は、ステップS310に進む。
続いて、診断部15は、ステップS100における「配管Pの稼働状態は正常である」という診断結果を、外的要因診断ルールに従って診断(検証)する(ステップS310)。ステップS310における診断でも、ステップS210における診断と同様に、算出した流量補正値HPVが、外的要因診断ルールとして設定された4mA〜20mAまでの流量値の範囲外の値であるか否かを判定する。
ステップS310の診断の結果、流量補正値HPVが4mA〜20mAまでの流量値の範囲外の値である場合(ステップS310の“YES”)、診断部15は、外的要因診断ルールに従って診断すると配管Pの稼働状態は正常ではないと判断し、ステップS331に進む。例えば、配管P内を流れる液体製品Flの中に多くのスラリーSlが混入していることによって、計測情報が表す流量計測値PVが下限の流量値=4mAよりも低い値であるにもかかわらず、計測診断ルールに従った診断(ステップS100)では「配管Pの稼働状態は正常である」と判断されてしまったことにより、実際に配管P内を流れる液体製品Flの流量が少ない場合に、診断部15の診断処理はステップS331に進む。
そして、診断部15は、ステップS331において、外的要因診断ルールに従って診断すると配管Pの稼働状態は異常であることを表すアラームAng4を、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAng4に応じて、異常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAng4などを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAng4に応じた異常アラームを表示して、現在の配管Pの稼働状態が異常であることを作業員に提示(通知)する。なお、アラームAng4に応じた異常アラームが提示された場合、作業員は、例えば、液体製品Flの中に多くのスラリーSlが混入していることによって、配管P内を流れる液体製品の流量が実際には少ないにもかかわらず正常な流量であるとして検出しているため、スラリーSlの混入を防ぐ作業を実施することを想定して配管Pの場所まで出向くことが考えられる。
一方、ステップS310の診断の結果、流量補正値HPVが4mA〜20mAまでの流量値の範囲内の値である場合(ステップS310の“NO”)、診断部15は、外的要因診断ルールに従って診断しても配管Pの稼働状態は正常であると判断し、ステップS332に進む。
そして、診断部15は、ステップS332において、外的要因診断ルールに従って診断しても配管Pの稼働状態は正常であることを表すアラームAokを、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は正常ランプを点灯させ、制御装置20は現在の配管Pの稼働状態は正常であることを作業員に提示(通知)する。
このような構成および処理によって、第2の具体例のフィールド機器システム1は、配管Pに設置されているフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれが、外的要因(第2の具体例では、異物検出センサが検出した混入している異物(スラリーSl)の体積)を含めて、配管Pの現在の稼働状態(第2の具体例では、配管P内を流れる液体製品の実際の流量)を診断する。そして、第2の具体例のフィールド機器システム1でも、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれが、第1の具体例と同様に、診断結果をアラーム表示部16と制御装置20とによって、プラント内で作業を行う作業員に提示(通知)する。ここでフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれから提示された配管Pの稼働状態も、外的要因を含めて診断することによって診断の精度を向上した結果であり、第1の具体例と同様に、配管Pの稼働状態の異常が通知された場合には、本来の異常である可能性が高い。このため、作業員は、精度の高い通知に応じて、第1の具体例と同様に作業を行うことができる。
なお、第2の具体例では、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに、異物検出センサの計測値に基づいて算出した異物体積Vsを外部機器情報として入力する構成を示した。しかし、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する外部機器情報は、第2の具体例において示した外部機器情報に限定されるものではない。例えば、異物検出センサの計測値そのものを、外部機器情報としてフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する構成にしてもよい。この場合、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに備えた診断部15は、外部機器情報として入力された異物検出センサの計測値から既存の技術を利用して異物体積Vsを算出し、その後、上述した処理によって配管Pの稼働状態を診断することになる。
また、第2の具体例では、配管P内を流れる液体製品Flの中に複数のスラリーSl(泡(コリオリ)も同様)が混入して一緒に流れている場合の一例を示したが、配管P内に異物(スラリーSl)が堆積してしまっている場合も同様に考えることができる。この場合、異物混入量M[%]は、配管P内に堆積しているスラリーSlの断面積Asと、配管Pの断面積Apとから、下式(3)によって算出することができる。
M = As/Ap ・・・(3)
なお、堆積しているスラリーSlの断面積Asは、例えば、配管Pに設置した異物検出センサ(フィールド機器10に備える構成であってもよい)の計測値に基づいて算出することができる。なお、異物検出センサの計測値に基づいた断面積Asの算出も、既存の技術を利用することによって行うことができるため、詳細な説明は省略する。
第2の具体例において配管P内に堆積してしまっている異物(スラリーSl)に対応する場合には、配管Pの断面積Apと、異物検出センサの計測値に基づいて算出した断面積As、または異物検出センサの計測値そのものを、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに外部機器情報として入力する。そして、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに備えた診断部15は、入力された外部機器情報から既存の技術や上式(3)によって異物混入量Mを算出し、その後、上式(2)によって流量計測値PVを補正した流量補正値HPVを算出する処理以降の上述した処理を行うことによって配管Pの稼働状態を診断することになる。しかし、第2の具体例において配管P内に堆積してしまっている異物(スラリーSl)に対応する場合には、断面積Apや断面積Asの変動は少ないと考えられるため、予め定めた期間の間隔で、上式(3)によって算出した異物混入量Mを、外部機器情報としてフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する構成にしてもよい。この構成の場合も、同様に、上式(2)によって流量計測値PVを補正した流量補正値HPVを算出する処理以降の上述した処理を行うことによって配管Pの稼働状態を診断することになる。
なお、第2の具体例では、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する外部機器情報が、異物検出センサが計測した計測値に基づいた情報のみである構成を示した。しかし、第2の具体例でも、第1の具体例と同様に、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに影響を及ぼす外的要因となり得るフィールド機器101や、他のフィールド機器102〜フィールド機器105の外部機器情報を入力する構成にして、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれが異常を検出する精度をさらに向上させ、作業員が行う作業の負担をさらに軽減させるようにしてもよい。
<第3の具体例>
次に、フィールド機器10を設置したプラントに構築されるフィールド機器システム1において外的要因を含めて設備の動作状態を診断するさらに別の具体的な一例について説明する。なお、第3の具体例においても、プラント内に配置されるそれぞれの設備や、フィールド機器システム1の構成は、第1の具体例、つまり、図5と同様であるものとする。従って、第3の具体例の説明においても、図5に示したそれぞれの設備に付与した符号と同一の符号を用いて説明し、第3の具体例におけるプラント内における設備の配置やそれぞれのフィールド機器10の動作に関する詳細な説明は省略する。
第3の具体例は、フィールド機器10に備えたセンサ11の経年劣化などによる故障状態を診断して、フィールド機器10自身の異常を通知することができるようにする場合の一例である。図9は、本実施形態のフィールド機器10を備えたフィールド機器システム1における運用の第3の具体例を説明する図である。
図9(a)には、フィールド機器10に備えたセンサ11と同様のセンサが故障した状態のときに出力する標準的な計測値の時系列の変化の一例を示している。また、図9(b)には、フィールド機器10に備えたセンサ11と同様のセンサが故障した状態のときに出力する標準的な計測値の最大値と最小値との差の絶対値を1週間ごとに積算することによって、センサが故障した状態ときの積算値をパターン化した特徴パターン(以下、「故障パターン」という)の一例を示している。また、図9(c)には、フィールド機器10に備えたセンサ11が出力した計測値の時系列の変化(履歴)の一例を示し、図9(d)には、フィールド機器10に備えたセンサ11が出力した計測値の変化(履歴)の最大値と最小値との差の絶対値を1週間ごとに積算することによって、現在のセンサ11の状態の積算値をパターン化した特徴パターン(以下、「現在パターン」という)の一例を示している。また、図9(e)には、図9(b)に示した故障パターンにおける積算値と、図9(d)に示した現在パターンにおける積算値との差を、それぞれの週ごとに算出した表の一例を示している。なお、図9(b)、図9(d)、および図9(e)に示した数字は、積算値の一例である。
なお、正常に動作している状態のセンサ11は、例えば、図9(a)および図9(c)に示した計測値における上限Hと下限Lとの間で一定の値の計測値を出力する。このため、正常に動作している状態のセンサ11における特徴パターンは、それぞれの週で変化しないことになる。例えば、正常に動作している状態のセンサ11における特徴パターンの積算値は、「30」で一定である。従って、図9(c)および図9(d)に示したフィールド機器10に備えた現在のセンサ11に対応する一例は、センサ11が故障している状態に相当している。
第3の具体例では、図9(b)に示したような故障パターンの積算値を表す情報を外部機器情報として、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する。そして、第3の具体例では、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに備えたセンサ11が計測した計測値の履歴に基づいて生成した現在パターンと、入力された故障パターンとを用いて、センサ11の故障状態を診断する。
より具体的には、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれにおいて、センサ11が計測した予め定めた期間分(図9に示した一例では、3週間分)の計測値の履歴を一時的に記憶(逐次更新)しながら、記憶した計測値の履歴に基づいて、図9(d)に示したような、1週間ごとの計測値の変化(履歴)の最大値と最小値との差の絶対値を表した現在パターンを生成する。その後、生成した現在パターンに含まれる積算値と、外部機器情報として入力された故障パターンに含まれる積算値との差を、対応する期間(図9に示した一例では、それぞれの週)ごとに求めて合計し、合計した積算値の差の値を、外的要因診断ルールに従って診断する。
なお、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれにおいて、センサ11が計測した計測値を予め定めた期間分だけ一時的に記憶(逐次更新)する構成、つまり、計測値の履歴を一時的に記憶する構成は、既存の技術を適用することによって実現することができるため、詳細な説明は省略する。また、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれにおいて、一時的に記憶した計測値の履歴に基づいて現在パターンを生成する方法も、既存の技術を利用することができるため、詳細な説明は省略する。
次に、第3の具体例においてフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに備えた診断部15における診断処理について説明する。図10は、本実施形態のフィールド機器10を備えたフィールド機器システム1の第3の具体例における診断処理の手順を示したフローチャートである。なお、図10には、フィールド機器101が運転中である場合に診断部15が行う診断処理の手順を示している。第3の具体例においては、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれが、図10に示した処理によって、それぞれのフィールド機器102〜フィールド機器105自身に備えたセンサ11の故障状態を診断する。以下の説明においては、代表して、図10に示した処理が、フィールド機器102に備えた診断部15の処理であるものとして説明する。
ここで、フィールド機器102に備えた診断部15には、故障パターンの積算値を表す情報が、外部機器情報として入力されているものとする。さらに、診断部15には、フィールド機器102に備えたセンサ11が計測した計測値の履歴に基づいて生成した現在パターンと故障パターンとに基づいてセンサ11の故障状態を診断するため外的要因診断ルールが、制御装置20によって予め設定されているものとする。より具体的には、図10に示した処理では、現在パターンにおける積算値と故障パターンにおける積算値との対応する期間ごとの差の合計が「30」以上であることを確認するため外的要因診断ルールが、予め設定されているものとする。
なお、第3の具体例においても、配管Pの稼働状態が正常であることを表す範囲(例えば、4mA〜20mAまでの範囲)の流量値(パラメータ)が、センサ11が計測した計測値に対する計測診断ルールとして診断部15に予め設定されているものとする。そして、第3の具体例においては、説明を容易にするため、計測診断ルールによって、配管Pの稼働状態が正常であると診断された場合に、外的要因診断ルールに従ってセンサ11の故障状態を診断するものとする。また、第3の具体例においては、説明を容易にするため、センサ11が計測した計測値に対して行う、計測値に対応した外的要因診断ルールに従った配管Pの稼働状態の診断は省略する。つまり、第3の具体例においては、センサ11によって計測した計測値に基づいて行う配管Pの稼働状態の診断は、従来のフィールド機器と同様に、計測診断ルールに従った診断のみであるものとして説明する。
まず、診断部15は、センサ情報取得部12から入力された計測情報を、計測診断ルールに従って診断する(ステップS100)。ステップS100における診断では、計測情報が表す流量値が、計測診断ルールとして設定された流量値の範囲外の値であるか否かを判定する。
ステップS100の診断の結果、計測情報が表す流量値が、計測診断ルールに設定された流量値の範囲外の値である場合(ステップS100の“YES”)、診断部15は、配管Pの稼働状態が異常であると判断し、診断部15の診断処理は、ステップS231に進む。
そして、診断部15は、ステップS231において、計測診断ルールに従って診断し他結果、配管Pの稼働状態が異常であることを表すアラームAng5を、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は異常ランプを点灯させ、制御装置20は現在の配管Pの稼働状態が異常であることを作業員に提示(通知)する。
一方、ステップS100の診断の結果、計測情報が表す流量値が、計測診断ルールに設定された流量値の範囲内の値である場合(ステップS100の“NO”)、診断部15は、配管Pの稼働状態は正常であると判断し、診断部15の診断処理は、ステップS410に進む。
続いて、診断部15は、外的要因診断ルールに従ってセンサ11の故障状態を診断する(ステップS410)。ステップS410における診断では、まず、診断部15は、計測値の履歴に記憶している流量値を、計測情報が表す流量値に更新する。計測値の履歴に対する流量値の更新では、計測値の履歴において一番古い流量値を破棄して、今回の流量値を新たに記憶する。そして、診断部15は、計測値の履歴に記憶しているそれぞれの流量値に基づいて現在パターンを生成する。その後、診断部15は、生成した現在パターンに含まれる積算値と、外部機器情報として入力された故障パターンに含まれる積算値との差を、対応する週ごとに求めて合計し、合計した積算値の差の値が、外的要因診断ルールとして設定された「30」以上であるか否かを判定する。
ステップS410の診断の結果、現在パターンに含まれる積算値と故障パターンに含まれる積算値との差を対応する週ごとに合計した積算値の差の値が「30」以上である場合(ステップS410の“YES”)、診断部15は、外的要因診断ルールに従って診断すると、センサ11が故障している状態であると判断し、ステップS431に進む。
そして、診断部15は、ステップS431において、外的要因診断ルールに従って診断した結果、センサ11が故障している状態あることを警告するためのアラームAcuを、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAcuに応じて、警告ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAcuなどを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAcuに応じた警告アラームを表示して、フィールド機器102に備えたセンサ11が故障している可能性が高いことを作業員に提示(通知)する。なお、アラームAcuに応じた警告アラームが提示された場合、作業員は、例えば、フィールド機器102に備えたセンサ11、またはフィールド機器102自体を交換する作業を実施することを想定してフィールド機器102が設置されている場所まで出向くことが考えられる。なお、作業員は、フィールド機器102に備えたセンサ11、またはフィールド機器102自体を交換する前に、実際にセンサ11が故障しているか否かを、例えば、携帯してきた作業端末装置などによって確認することが望ましい。
一方、ステップS410の診断の結果、現在パターンに含まれる積算値と故障パターンに含まれる積算値との差を対応する週ごとに合計した積算値の差の値が「30」以上でない場合(ステップS410の“NO”)、診断部15は、外的要因診断ルールに従って診断しても、センサ11が故障している状態ではない、つまり、センサ11は正常に動作している状態であると判断し、ステップS432に進む。
そして、診断部15は、ステップS432において、外的要因診断ルールに従って診断した結果、センサ11は正常に動作している状態あることを表すアラームAokを、アラーム表示部16と通信部17とのそれぞれに出力して診断処理を完了する。これにより、アラーム表示部16は、診断部15から出力されたアラームAokに応じて、正常ランプを点灯させる。また、通信部17は、診断部15から出力されたアラームAokなどを制御装置20に送信し、制御装置20は、送信されたアラームAokに応じた正常アラームを表示して、フィールド機器102に備えたセンサ11は正常に動作している状態あることを作業員に提示(通知)する。
このような構成および処理によって、第3の具体例のフィールド機器システム1は、配管Pに設置されているフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに備えたセンサ11の故障状態を診断する。そして、第3の具体例のフィールド機器システム1でも、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれが、第1の具体例と同様に、診断結果をアラーム表示部16と制御装置20とによって、プラント内で作業を行う作業員に提示(通知)する。ここで提示されたフィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに備えたセンサ11の故障状態も診断の精度を向上した結果である。従って、このため、フィールド機器102〜フィールド機器105のいずれかに備えたセンサ11が故障している状態であることを通知した場合には、実際にセンサ11が故障している可能性が高い。このため、作業員は、センサ11が故障している状態であることを通知してきたフィールド機器10を確認する作業を行うことが望ましい。なお、センサ11が故障している状態であることを通知してきたフィールド機器10を確認した結果、実際にはセンサ11は故障していない場合には、図4に示したプラントにおける処理および作業の流れ(処理シーケンス)と同様に、外的要因診断ルールや故障パターンの情報を変更(正しく訂正)する作業などを行ってもよい。
なお、第3の具体例では、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する外部機器情報が、1つの故障パターンである構成を示した。しかし、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに入力する外部機器情報は、1つに限定されるものではなく、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに備えたセンサ11と同様のセンサが故障した状態を表す複数の故障パターンを外部機器情報として入力する構成にしてもよい。この場合、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに備えた診断部15に設定する外的要因診断ルールは、外部機器情報として入力された複数の故障パターンと現在パターンとに基づいてセンサ11の故障状態を診断するように設定する外的要因診断ルールにすることが望ましい。これにより、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれがセンサ11の故障状態を診断する精度をさらに向上させることができ、作業員が行う作業の負担をさらに軽減することができる。
また、第3の具体例では、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに設定する外的要因診断ルールが、現在パターンにおける積算値と故障パターンにおける積算値との対応する期間ごとの差の合計に基づいてセンサ11の故障状態を診断するものである場合を示した。しかし、フィールド機器102〜フィールド機器105のそれぞれに設定する外的要因診断ルールは、第3の具体例において示した外的要因診断ルールに限定されるものではない。例えば、現在パターンと故障パターンとを照合するパターンマッチングの結果に基づいて、センサ11が故障状態であるか否かを診断するものにしてもよい。この場合、例えば、現在パターンと故障パターンとが類似している度合いを表す類似度を算出し、算出した類似度の値に応じてセンサ11が故障状態であるか否かを判断する構成にしてもよい。なお、パターンマッチングの方法や類似度を算出する方法は、既存の技術を利用することができるため、詳細な説明は省略する。
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、プラント内に配置された設備に設置するフィールド機器に、診断に影響を及ぼす外的要因となり得る外部機器情報を入力し、従来のフィールド機器と同様の診断ルールに従って診断した結果を、入力された外部機器情報に対応して追加した診断ルールに従って診断(判断)する。これにより、本発明を実施するための形態では、フィールド機器が、設置されている設備が稼働しているときの動作状態を、外的要因を含めて診断し、設置された設備の動作の異常を検出する精度を、従来のフィールド機器よりも向上させることができる。
また、本発明を実施するための形態では、フィールド機器に、プラントに所属している作業員の感覚によって得られる情報に相当する外部機器情報を入力することによって、外部機器情報に対応して追加する診断ルールに、作業員が知識に基づいて最終的に対応する作業を行わないと判断する際の外的要因の条件などの設定を予め反映しておくことができる。これにより、本発明を実施するための形態では、フィールド機器自身で、従来のプラントにおいては作業員が出向いて外的要因を確認することによって行われていた作業員の知識に基づいた最終的な判断を行うことができる。つまり、本発明を実施するための形態では、フィールド機器自身で、従来は作業員が行っていた判断と同様の判断を行うことができる。
また、本発明を実施するための形態では、複数のフィールド機器と制御装置とをプラント内に構築された専用の通信ネットワークによって接続したフィールド機器システムを構築する。そして、本発明を実施するための形態では、制御装置によって、それぞれのフィールド機器に入力された外部機器情報に対応した診断ルールを予め設定し、それぞれのフィールド機器は、設置された設備の動作状態を診断した診断結果の情報を制御装置に送信(通知)する。このとき、本発明を実施するための形態では、フィールド機器が設備の動作状態の異常を送信(通知)してきた場合において、通知してきた設備の動作状態の異常に対応する作業を行う必要がない場合には、予め設定された外部機器情報に対応した診断ルールを制御装置によって変更(訂正)することができる。なお、本発明を実施するための形態では、予め設定された外部機器情報に対応した診断ルールの変更(訂正)を、フィールド機器に備えた操作部やフィールド機器に接続する作業端末装置によって変更(訂正)することもできる。
これらのことにより、本発明を実施するための形態では、作業員は、フィールド機器が設備の動作状態の異常を送信(通知)してくるごとにフィールド機器が設置されている場所まで出向く必要がなくなり、作業員が行う作業の負担を軽減することができる。
しかも、本発明を実施するための形態では、フィールド機器に入力するプラントや設備にすでに設置された外部機器や、他のフィールド機器が出力する情報を外部機器情報として、フィールド機器に入力する。これにより、本発明を実施するための形態では、プラントにおいてすでに構築されている構成を大幅に変更することなく、既存の構成を利用して、設置された設備の動作の異常を検出する精度を向上させ、作業員の負担を軽減することができる。
なお、例えば、図1に示したフィールド機器10を構成する各構成要素による処理を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態のフィールド機器10やフィールド機器システム1に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。