JP2018137133A - 非水電解質蓄電素子用の負極、非水電解質蓄電素子及び非水電解質蓄電素子用の負極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、本発明の非水電解質蓄電素子の一実施形態に係る負極を示す概略断面図である。負極1は、負極基材2と、繊維状物質を含有し、この負極基材2の一方の面上に負極の最表層として直接配される負極活物質層3とを備える。
負極基材2は、導電性を有する基材である。負極基材2の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はそれらの合金が用いられ、銅又は銅合金が好ましい。また、負極基材2の形成形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、負極基材2としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。なお、「導電性」を有するとは、JIS−H−0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が107Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が107Ω・cm超であることを意味する。
負極活物質層3は、負極基材2に直接又は中間層を介して負極1の最表層として配される。負極活物質層3は、負極活物質を含むいわゆる負極合剤から形成される。また、負極活物質層3は、繊維状物質を含有する。上記負極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
上記黒鉛としては、例えば球状黒鉛又は塊状黒鉛が好ましい。黒鉛としては、人造黒鉛及び天然黒鉛が挙げられる。「人造黒鉛」は、粉末X線回折法による(002)面に相当するピークの半値幅(002)が0.32°超0.35°以下の黒鉛である。「天然黒鉛」は、上記半値幅(002)が0.32°以下の黒鉛である。なお、「天然黒鉛」の上記半値幅(002)の下限は、例えば0.29°である。
上記黒鉛及以外に含まれていてもよい他の負極活物質としては、通常使用される公知の材料が挙げられ、例えばSi、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;ポリリン酸化合物;チタン酸リチウム等の複合酸化物等が挙げられる。また、難黒鉛化性炭素や易黒鉛化性炭素といった非晶質系炭素が含有されていてもよい。
上記繊維状物質が負極活物質層3に含有されていることで、リチウム等、電解質塩として溶解している金属の析出が抑制される。上記繊維状物質としては、導電性材料であることが好ましい。導電性材料であることにより、活物質層の電子伝導性の低下を抑制することができる。上記繊維状物質としては、例えば炭素材料、金属材料、金属酸化物等を挙げることができ、これらの中では炭素材料がより好ましい。炭素材料であることにより、繊維状物質が活物質としても機能するので、エネルギー密度の低下を抑制することができる。
上記繊維状物質以外に含まれていてもよい他の導電剤としては、金属、導電性セラミックス、アセチレンブラック等の繊維状物質以外の炭素材料等が挙げられる。
次に、負極活物質層3の具体的構成について説明する。負極活物質層3は、第1層4と、第2層6と、第3層5とを有する。第1層4は、第1領域4aを含む。第2層6は、第2領域6aを含む。第3層5は、第1層4と第2層6との間に配される。第1領域4aは、負極基材2の一方の面上に配される。より詳細には、第1領域4aは、第2領域6aと負極基材2との間に配され、負極基材2側から厚み方向(図中X方向)から見て第2領域6aの表面が負極1の最表面となる。なお、第1領域4aは、第1層4の負極基材2側から負極活物質層3の厚み10%の範囲である。また、第2領域6aは、第2層6の最表面側から負極活物質層3の厚み10%の範囲である。すなわち、第1領域4aは、負極活物質層3の基材側から厚み10%の領域であり、第2領域6aは、負極活物質層の最表面側から厚み10%の領域である。
第1層4は、負極活物質及び繊維状物質を含む負極合剤から形成される。また、第1層4は、負極活物質として黒鉛を含有することが好ましい。第1層4は、必要に応じてその他の負極活物質、その他の導電剤、エラストマー等のバインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
第2層6は、負極活物質を含む負極合剤から形成される。第2層6は、繊維状物質を含有してもよい。さらに、第2層6は、第1層4と同様に必要に応じて上記その他の負極活物質、その他の導電剤、エラストマー等のバインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。また、第2層6は、最表面に第2領域6aを有する。第2領域6aは、球状黒鉛又は塊状黒鉛を含有する。
第3層5は、負極活物質を含む負極合剤から形成される。第3層5を形成する負極合剤としては、上記通常の負極活物質を含有することができる。また、第3層5は、繊維状物質を含有してもよい。さらに、第3層5を形成する負極合剤は、第1層4と同様に必要に応じて導電剤、バインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
当該負極1は、負極基材2の表面に被覆層として図示しない中間層を備え、負極活物質層3が負極基材2に上記中間層を介して積層されていてもよい。中間層は、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで負極基材2と負極活物質層3との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。
当該負極は、負極基材に直接又は中間層を介して上記負極活物質層を積層することにより得ることができる。上記負極活物質層の積層は、負極基材に、繊維状物質を含有する第1負極合剤ペーストを塗工した後に、全固形分に対する上記繊維状物質の含有量が、上記第1負極合剤ペーストの全固形分に対する上記繊維状物質の含有量よりも低く、球状黒鉛又は塊状黒鉛を含有する第2負極合剤ペーストを塗工することにより得ることができる。また、当該負極が第3層を備える場合、第3層は、第1負極合剤ペーストを塗工した後に、第3負極合剤ペーストを塗工することにより得ることができる。
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極、負極及び非水電解質を有する。以下、蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池について説明する。上記正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された電極体を形成する。この電極体はケースに収納され、このケース内に上記非水電解質が充填される。当該非水電解質二次電池においては、非水電解質として、当該非水電解質が用いられている。上記非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、上記ケースとしては、非水電解質二次電池のケースとして通常用いられる公知の金属製ケース等を用いることができる。
上記正極は、正極基材及びこの正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層を有する。
当該非水電解質二次電池(蓄電素子)に備わる負極は、上述した通りである。
上記セパレータの材質としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。
上記非水電解質としては、一般的な非水電解質二次電池(蓄電素子)に通常用いられる公知の非水電解質が使用できる。上記非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩を含む。なお、上記非水電解質は、固体電解質等であってもよい。
当該非水電解質二次電池(蓄電素子)は、負極として当該負極を用いること以外は、公知の方法により製造することができる。当該製造方法は、例えば、正極を作製する工程、負極を作製する工程、非水電解質を調製する工程、正極及び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成する工程、正極及び負極(電極体)を電池容器(ケース)に収容する工程、並びに上記電池容器に上記非水電解質を注入する工程を備えることができる。上記注入は、公知の方法により行うことができる。注入後、注入口を封止することにより非水電解質二次電池(蓄電素子)を得ることができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、上記負極活物質層が上記第3層を有さず、第2層が第1層上に直接積層されていてもよい。
(負極の作製)
(1)第1層の形成
球状人造黒鉛と天然黒鉛(鱗片状)とを質量比80:20の割合で混合して、負極活物質とした。ヘリウムガスを用いたピクノメータによる気体容積法によって測定した球状人造黒鉛及び天然黒鉛の真密度は、それぞれ2.20g/cm3、2.25g/cm3であった。球状人造黒鉛のアスペクト比は1.2、天然黒鉛のアスペクト比は4.0であった。この負極活物質、繊維状炭素、CMC、及びSBRをそれぞれ固形分比89.7:7.0:1.2:2.1の割合で含有し、水を分散媒とする塗料液(負極合剤ペースト)を調製した。第1層中の繊維状物質の添加量は、7.0質量%となるようにした。塗料液を厚さ20μmの銅箔基材に塗布し、乾燥させた。乾燥後の第1層の単位面積当たりの塗布量は、9mg/cm2となるようにした。
球状人造黒鉛と天然黒鉛とを質量比80:20の割合で混合して、負極活物質とした。負極活物質、CMC、及びSBRをそれぞれ固形分比96.7:1.2:2.1の割合で含有し、水を分散媒とする塗料液(負極合剤ペースト)を調製した。塗料液を厚さ20μmの銅箔基材に塗布し、乾燥させた。乾燥後の第2層の単位面積当たりの塗布量は、4mg/cm2となるようにした。このようにして作製した負極活物質層中の繊維状物質の添加量は、4.8質量%であった。第1層と第2層の厚みの比は、9:4であった。
3cm×3cmの面積の塗工部に集電端子を溶着できる部分を付けた形状に加工し、実施例1の負極(試験極)を得た。
得られた上記負極を用いて、非水電解質蓄電素子であるセルを作製した。対極には負極単独での挙動を把握するために、金属リチウムを用いた。負極の塗工部と同面積になるよう金属リチウムを加工し、ニッケル箔集電体に貼りつけたものを対極(正極)とした。セパレータにはポリエチレン製の微多孔膜を用いた。非水電解質としては、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネートを体積比が6:7:7となるように混合した溶媒に、LiPF6を1mol/lとなるように溶解させたものを用いた。セパレータを介して、負極と対極(金属リチウム)とを対向させ、各集電端子が外部に露出するようにして、袋状に加工したアルミラミネート膜の内部に収納し、電解液を注入後、気密封止した。これにより実施例1の非水電解質蓄電素子(セル)を得た。
第1層及び第2層の繊維状物質の添加量及び単位面積当たりの塗布量、並びに負極活物質層中の繊維状物質の添加量を表1に示すとおりとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜3及び比較例1〜5の非水電解質蓄電素子(セル)を得た。なお、以下の表1中の「−」は、該当する成分を用いなかったことを示す。
実施例及び比較例の各セルを用い、以下の評価を行った。
電流密度を上記の容量確認試験を行った2サイクル目の充電容量を1Cとして、1CA/cm2にて充電終止電圧の規制を設けることなく、定電流充電を行った。これにより、負極の充電状態(以下「SOC」という。)に対する電位(Li+/Li)のプロファイルを取得した。充電が進むにつれて負極に対する過電圧が増加していくが、Li電析が生じると、電析部分に電流が流れることにより、過電圧の減少が生じる。電流の割合が急激に増加し、過電圧が減少し始める変曲点に当たるSOCを充電時のLi電析SOC値として、充電受入性を評価した。このLi電析SOC値を表1に示す。Li電析SOC値が69.0%以上である場合、充電受入性が高く、リチウムの析出が十分に抑制されていると評価できる。評価結果を表1に示す。
2 負極基材
3 負極活物質層
4 第1層
4a 第1領域
5 第3層
6 第2層
6a 第2領域
10 非水電解質二次電池
12 電極体
13 電池容器
14 正極端子
14’ 正極リード
15 負極端子
15’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (6)
- 負極基材と、
繊維状物質を含有し、上記負極基材に配置される負極活物質層と
を備え、
上記負極活物質層が、第1領域と、第2領域とを有し、
上記第1領域が、上記第2領域と上記負極基材との間に配され、
上記第1領域における上記繊維状物質の質量含有率が上記第2領域における上記繊維状物質の質量含有率よりも高く、
上記第2領域が球状黒鉛又は塊状黒鉛を含有する非水電解質蓄電素子用の負極。 - 上記負極活物質層における上記繊維状物質の含有率が7質量%以下である請求項1の負極。
- 上記負極活物質層が、上記第1領域を含む第1層と上記第2領域を含む第2層とを有し、上記第1層における上記繊維状物質の含有率が10質量%以下である請求項1又は請求項2の負極。
- 上記第一層と上記第二層との厚み比が、4:9〜9:4である請求項3の負極。
- 請求項1から請求項4のいずれかの負極を備える非水電解質蓄電素子。
- 負極基材に、繊維状物質を含有する第1負極合剤ペーストを塗工した後に、
全固形分に対する上記繊維状物質の含有量が、上記第1負極合剤ペーストの全固形分に対する上記繊維状物質の含有量よりも低く、球状黒鉛又は塊状黒鉛を含有する第2負極合剤ペーストを塗工すること
を有する非水電解質蓄電素子用の負極の製造方法。
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