JP2018136233A - 物体検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出対象となる物体をより高い精度で検出できる物体検出装置を提供する。【解決手段】物体検出装置100は、監視領域内で検出した検出物体までの距離の情報を得る物体検出部10と、監視領域内の音を検出する音響信号入力部20と、検出対象の音に関する参照用周波数成分情報と距離とを関連付けた参照情報を記憶する記憶部と、検出物体までの距離に対応した参照用周波数成分情報と検出物体が検出されていないときの音に対応した暗騒音の周波数成分情報とを比較することにより、監視周波数帯域を選定する周波数帯域選定部と、検出物体の音として検出された検出音の監視周波数帯域における周波数成分に基づいて、検出物体が検出対象であるかどうかを判定する判定部を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、物体検出装置に関し、特に飛行物体の検出に好適な物体検出装置に関する。
近年、ドローンと呼ばれる小型のマルチコプターが開発され、警備や測量等さまざまな分野で活用され始めている。しかしながら、ドローンを犯罪(盗撮、密輸、テロ等)に悪用する例も出てきている。そこで、ドローンが監視領域内に侵入したことを検出する技術の開発が進められつつある。
例えば、特許文献1に記載されるように、飛行物体の検出において、監視領域にて取得した音圧や周波数のデータが所定の基準を満たす場合に飛行物体が存在すると判定する技術が知られている。また、特許文献2に記載されるように、レーダを用いて検出物体の大きさを求めることにより、鳥と飛行物体の識別を行う技術が知られている。
特開2006−168421号公報 特許第4479268号公報
例えば、特許文献1に記載される技術のように、特定の監視周波数帯域において音圧が所定基準を満たすか否かを判断すると、検出方位の近傍に他の騒音源(セミの鳴き声など)があり、当該騒音源の周波数成分が監視周波数帯域において所定レベル以上であるとドローンが存在すると誤判定する虞がある。
また、特許文献2に記載される技術では、検出物体のサイズから鳥と飛行物体との識別を行っているが、ドローンのような小型の飛行物体と鳥とではサイズに大きな違いがないため両者を識別することは困難である。
そこで、本発明は、検出対象となる物体をより高い精度で検出できる物体検出装置を提供することを目的とする。例えば、上述した背景技術に鑑み、ドローンなどの検出対象とその検出を妨げる騒音源との識別に好適な周波数帯域を選定し、その周波数帯域において検出対象か否かを判定できることが望ましい。
本発明の態様として好適な物体検出装置は、監視領域内に存在する物体を検出し、当該物体までの距離情報を得る物体検出手段と、前記監視領域内で発生する音を収音する音響信号入力手段と、前記監視領域内で収音した音の周波数成分情報を得る音響信号処理手段と、検出対象の音に関する参照用周波数成分情報と距離とを関連付けた参照情報を記憶する記憶手段と、前記物体までの距離に対応した参照用周波数成分情報と前記物体が検出されていないときに収音した暗騒音の周波数成分情報とを比較することにより、監視周波数帯域を選定する周波数帯域選定手段と、前記物体が検出されたときに収音した音の前記監視周波数帯域における周波数成分に基づいて、前記物体が検出対象であるかどうかを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
例えば、前記音響信号処理手段は、空間上に配置された複数のマイクロホンからなるマイクアレイにて前記監視領域内で発生する音を収音し、前記物体が存在する方向情報を取得するとともに、前記物体の方向に対応した暗騒音の周波数成分情報を取得し、前記周波数帯域選定手段は、検出された前記物体までの距離に対応した参照用周波数成分情報と方向に対応した暗騒音の周波数成分情報とを比較することにより、前記監視周波数帯域を選定することが望ましい。
また、前記周波数帯域選定手段は、前記参照用周波数成分情報と前記暗騒音の周波数成分情報とを比較して得られる信号対雑音比に基づいて前記監視周波数帯域を選定することが望ましい。
また、前記周波数帯域選定手段は、前記信号対雑音比が所定値以上となる周波数を含むように前記監視周波数帯域を選定することが望ましい。
また、前記周波数帯域選定手段は、前記信号対雑音比が最大となる周波数を含む所定周波数範囲を前記監視周波数帯域として選定することが望ましい。
また、前記判定手段は、前記監視周波数帯域における前記物体が検出されたときに収音した音の周波数成分の大きさが判定条件を満たす場合に検出した前記検出物体が検出対象であると判定することが望ましい。
本発明により、検出対象となる物体をより高い精度で検出できる物体検出装置が提供される。例えば、本発明の好適な態様によれば、監視領域内の騒音環境にかかわらず、精度良くドローンなどの検出対象を検出することができるようになる。
本発明の実施において好適な物体検出装置の具体例を示す図である。 物体検出装置の全体構成図である。 物体検出部の好適な具体例である監視用レーダを示す図である。 音響信号入力部の好適な具体例であるマイクロホンアレイを示す図である。 周波数スペクトルの比較の具体例を説明するための図である。 周波数帯域の選定の具体例を説明するための図である。 制御部の判定部による判定処理の具体例を示す図である。 物体検出装置の監視動作の具体例を示すフローチャートである。
図1は、本発明の実施において好適な物体検出装置の具体例を示す図である。図1の物体検出装置100は、監視領域110内に存在する音響信号を発しながら移動する飛行物体200を検出対象とする。特に自律操作的或いは人が直接操作して飛行するドローン等のマルチコプター、小型のラジコン飛行機、ラジコンヘリコプター等が物体検出装置100の検出対象の好適な具体例である。
図2は、物体検出装置100(図1)の全体構成図である。物体検出装置100は、物体検出部10(監視用レーダ)、音響信号入力部20(マイクロホンアレイ)、撮像部30(カメラ)を備えており、検知対象(検出対象)である飛行物体を検出したと判定すると、物体検出部10(監視用レーダ)の近傍に設置された撮像部30(カメラ)による撮影を行う。
図3は、物体検出部10(図2)の好適な具体例である監視用レーダを示す図である。監視用レーダは、例えば、複数のレーダを組み合わせて構成され、方位方向の角度範囲が360度であり仰角方向の角度範囲が180度である半球面の監視領域110(図1)を監視可能な構成とされる。
監視用レーダは、方位方向に所定の水平ビーム幅(例えば2度)のビームを所定周期(例えば1回転/1秒)で方位方向に360度回転させつつ、所定周期(例えば3ms)ごとに電波を送受信することにより、飛行物体を検知する。
監視用レーダの方位方向の回転速度は、例えば、レーダの最大検知距離(例えば100m)に応じて決定されるビームの往復時間と比較して、アンテナが停止しているとみなせるほど小さい速度に設定される。
また、監視用レーダは、仰角方向の斜め上方と上空方向に水平ビーム幅より広い送信ビーム(例えば60度)を放射し、斜め上方に送信した領域を上下に分割した領域(例えば30度)からの電波を受信する2つの受信アンテナ、及び、上空方向からの受信波を受信する2つの受信アンテナ(例えば30度の受信領域)を用いて監視領域110(図1)内に侵入した飛行物体からの反射波を受信する。
監視用レーダは、例えば公知の様々なレーダ方式を利用することができる。例えば、レーダ方式としてはFM−CW方式を採用することで、レーダを中心とした検知対象物体の方位角、物体までの距離、速度、受信強度、検知した受信アンテナが監視する仰角範囲の情報を取得することができる。そこで、以下においては、FM−CW方式を採用した監視用レーダについて説明する。但し、監視用レーダは、FM−CW方式以外の他のレーダ方式、例えば2周波CWやパルスドップラレーダなどを利用してもよい。
FM−CW方式を採用する場合に、監視用レーダは、送信ビームTを前方に放射する送信アンテナと、送信ビームTの範囲(例えば60度)または送信ビームTの範囲を分割した監視範囲(例えば30度)からからの電波を受信する受信アンテナと、FM−CW送信波を生成し、また受信ビームRを信号処理部で処理可能な周波数に変換する送受信装置と、送受信装置が出力する受信ビームRの強度(受信ビーム強度)をデジタル変換するA/D変換器を備える。
そして、A/D変換器が出力する受信ビーム強度から監視領域にある検知対象物の相対距離、相対速度、及び受信ビーム中の検知対象物からの反射ビーム成分の強度を求める信号処理部(レーダ信号処理部)を図2の制御部40が備えている。
図2に戻り、制御部40が備えるレーダ信号処理部は、A/D変換器から得られる反射ビーム(受信ビーム)の信号の周波数分析を行い、各周波数ごとに信号強度を演算する。次に、レーダ信号処理部は、信号強度が閾値以上となる周波数を求めて、その周波数を検知対象物からの反射ビーム成分の周波数とする。さらに、レーダ信号処理部は、求めた検知対象物からの反射ビーム成分の周波数と、送信ビームの周波数の差を演算してビート周波数を算出し、このビート周波数から検知対象物の相対距離、相対速度を演算して出力する。
また、レーダ信号処理部は、方位方向に回転させているレーダがどの位置で飛行物体を検知したかに基づいて飛行物体の方位角を導出し、さらに、複数の受信アンテナの内、どの受信アンテナで受信したかに基づいて、飛行物体の仰角範囲を得ることができる。
図4は、音響信号入力部20(図2)の好適な具体例であるマイクロホンアレイを示す図である。マイクロホンアレイ(音響信号入力部20)は、複数のマイクロホン22を備えており、さらにマイクアンプや多チャンネルA/D変換器などを備えている。
音源の3次元的な空間位置を測定するためには、3個のマイクロホン22とそれらとは同一平面にない1個のマイクロホン22からなる合計4個のマイクロホン22が最低限必要となる。例えば、マイクロホン22の個数が多ければノイズ抑圧性能、方向検出精度が向上する。そのため、例えば、必要とされる監視距離等に応じてマイクロホン22の個数が適宜に設定されることが望ましい。
図4には、三角錐の辺上に複数のマイクロホン22を配置したマイクロホンアレイの具体例が図示されている。各マイクロホン22は、例えば無指向性のコンデンサマイクを採用することができる。なお、マイクロホンアレイの形状は三角錐に限定されることはなく、例えば球面上に複数のマイクロホン22を配置したマイクロホンアレイが構成されてもよい。
複数のマイクロホン22の間隔は、例えば、検知対象とする物体が派生する音響信号の主要周波数帯域(波長)との関係で十分に方向推定が可能な値(位相差が生じ易い)に設定される。複数のマイクロホン22で取得した音響信号はマイクアンプで増幅されA/D変換器によりデジタル信号に変換される。
図2に戻り、撮像部30の好適な具体例は、パン、チルト、ズーム機能を備えた高解像度、高感度のカメラである。撮像部30(カメラ)は、監視領域110(図1)を撮像可能な位置に設けられており、カメラ制御手段(例えば制御部40が備える)の制御の下、パン、チルトおよびズームが可能である。
撮像部30(カメラ)は、物体検出部10(監視用レーダ)と連動し、物体検出部10で検知した飛行物体の位置情報に基づいて、例えば飛行物体が画像中心になるように旋回台を旋回、上下方向を調整し、撮影画像の表示部50(モニタ)に送信する。
なお、音響信号入力部20(マイクロホンアレイ)と撮像部30(カメラ)は、物体検出部10(監視用レーダ)の上部または下部、あるいは、物体検出部10近傍の別の場所に設置されてもよく、物体検出部10と音響信号入力部20と撮像部30の相対的な位置関係が制御部40の記憶部にて記憶されている。
制御部40は、レーダ信号処理部、音響信号処理部、記憶部、周波数帯域選定部、判定部を備え、物体検出部10(監視用レーダ)からの各レーダ出力、音響信号入力部20(マイクロホンアレイ)からの出力を信号処理して検知対象である飛行物体(例えばドローン)と判定すると撮影画像を表示部50(表示装置)へ出力する。
レーダ信号処理部では、物体検出部10(監視用レーダ)が出力した情報からノイズ除去処理等を行う。そして監視用レーダが出力した信号から強度(信号強度)、大きさ(信号の広さ=物体の大きさ)、速度などから検知対象である飛行物体である可能性があるか否かの判定を行う。
音響信号処理部は、監視領域内で収音した音(検出音、暗騒音)の情報を処理して、周波数成分情報(例えば、周波数スペクトル)を取得する。
また、音響信号処理部では、音響信号入力部20(マイクロホンアレイ)の出力信号を処理して音源方向の特定を行う。音源方向を特定する手法としては、相関関数、遅延和アレイ、高分解能法などが知られている(大賀、山崎、金田共著"音響システムとディジタル処理"電子情報通信学会、1995年、pp.173-197参照)。
ここでは遅延和アレイを用いた具体例について説明する。説明を簡単にするため、間隔dで直線上に配置されたマイクロホンM1〜Mmに対し、音源からの音がθLの方向から到来すると、基準となるマイクロホンM1で受音される信号と他のマイクロホンで受音される信号の間には、(m−1)(d・sinθL)/cの遅延が発生する。なお、cは音速である。
各マイクロホンから受音した信号の各々に遅延を付加すると、各マイクロホンから受音した信号が同相化される。そして、複数のマイクロホンに亘って同相化された信号を加算すると、音源方向θLから到来する信号が強調される。一方でθL以外から到来する信号は同相化されないため加算しても強調されない。従って指向性を音源方向に向けるよう制御できる。
直線ではなく三次元的に配置されたマイクロホンアレイの場合もマイクロホン位置が既知であるため、同様に同相化して音源方向からの信号を強調できる。
ここで、目的の方向θLを走査して、マイクロホンアレイの出力信号を監視し、パワーが最大となった角度が音源方向と推定できる。
本実施形態においては、レーダ信号処理部から、飛行物体の検知情報として、方位角(方位方向の角度)と、どの受信アンテナが検知したかに基づき仰角範囲(仰角方向の角度範囲)の情報が取得できる。
したがって、各マイクロホンの信号に対し、方位角についてはレーダから取得した値を用い、仰角方向については検知した受信アンテナが監視する角度範囲の中で走査するだけで、マイクロホンアレイの出力信号を監視し、パワーが最大となった角度を仰角として特定できる。
これにより、音響信号処理部による処理については、レーダから取得した方位角と検知した受信アンテナが監視する仰角範囲に走査範囲を絞ることができ処理が高速化でき、複数の音源が存在する場合でも対象である飛行物体を適格に判別できる。
制御部40の記憶部には、物体検出部10(監視用レーダ)、音響信号入力部20(マイクロホンアレイ)、撮像部30(カメラ)の相対位置などのデータが記憶される。制御部40は、例えばCPUや記憶デバイスなどのハードウェアとソフトウェア(プログラム)の協働により実現することができ、記憶部(記憶デバイス)には、レーダ信号処理部、音響信号処理部などに対応した各種プログラムやパラメータなども記憶される。
さらに、記憶部には、検出対象となる飛行物体(例えばドローン)に関する参照用の周波数成分情報が記憶される。例えば、検出対象となる飛行物体と同型の飛行体を実際に飛行させて音響信号入力部20(マイクロホンアレイ)で測定した音響信号に対し、所定の距離ごとに算出した飛行音のスペクトル情報が参照用の周波数成分情報として記憶される。
飛行音スペクトルは、例えばGPS機能を有する飛行物体を飛行させて位置情報を記憶するとともに、音響信号を測定することで距離ごとの値が算出できる。また、検出対象とする飛行物体が複数種ある場合、個別に飛行させて得られたデータ(飛行音スペクトル)を平均化、あるいは、各周波数において、複数種の飛行音スペクトルのうち最小となる値で再構成し、複数種の飛行物体に対応したデータ(飛行音スペクトル)として記憶部に記憶するようにしてもよい。
さらに、音響信号は距離が長くなるに従って減衰していき、その他温度、湿度、周辺環境等により影響を受け、その減衰特性の理論式が知られている。そのため、飛行音の測定を数箇所のサンプリング点に対応した距離のみで行い、サンプリング点以外の他の距離は音響信号の減衰特性の理論式を基に推定するようにしてもよい。
さらに、本実施形態においては、物体検出前の音響信号を暗騒音の音情報として記憶部に所定時間記憶しておく。そして、物体が検出されると、物体検出部10(監視用レーダ)から取得した方位角と音響信号入力部20(マイクロホンアレイ)により特定された仰角を検出方向とし、記憶部に記憶された暗騒音の音情報から、例えば遅延和アレイ(前述)の原理を利用して、検出方向に対応した物体検出直前の暗騒音データ(暗騒音のスペクトル情報)が形成され、記憶部に記憶される。
制御部40の周波数帯域選定部は、物体検出の判定に用いる周波数帯域を選定する。具体的には、物体検出部10(監視用レーダ)が物体を検出した距離に対応する事前に測定した飛行音の周波数(参照用の飛行音スペクトル情報)と、物体検出前の暗騒音の周波数(暗騒音のスペクトル情報)との比較により、物体検出において最適な周波数帯域が選定される。
図5は、周波数スペクトルの比較の具体例を説明するための図である。図5(1)には、参照用の周波数スペクトルと暗騒音の周波数スペクトルの具体例が図示されている。
参照用の周波数スペクトルは、検出対象となる飛行物体に対応した参照用の周波数成分情報であり、制御部40(図2)の記憶部に記憶されている。周波数帯域の選定においては、物体が検出された距離Rに対応した参照用の周波数スペクトルが利用される。
一方、暗騒音の周波数スペクトルは、物体が検出されていないとき(望ましくは物体が検出される直前)の暗騒音の音情報から得られるスペクトル情報であり、物体が検出された方向に対応した暗騒音の周波数スペクトルである。
制御部40(図2)の周波数帯域選定部は、例えば、信号対雑音比つまり参照用の周波数スペクトルと暗騒音の周波数スペクトルの比に基づいて、監視用の周波数帯域を選定する。図5(2)には、図5(1)の参照用の周波数スペクトルと暗騒音の周波数スペクトルの具体例に対応した信号対雑音比(SN比)が図示されている。
図6は、周波数帯域の選定の具体例を説明するための図である。図6(A)〜(C)には、制御部40(図2)の周波数帯域選定部による監視用の周波数帯域の選定に係る具体例、つまり信号対雑音比(参照用の周波数スペクトルと暗騒音の周波数スペクトルの比)に基づく周波数帯域の選定に関する具体例が図示されている。なお、図6(A)〜(C)において、横軸は周波数であり、縦軸は信号対雑音比の大きさを示している。
図6(A)に示す具体例では、信号対雑音比の大きさが所定値以上となる周波数帯域が監視用の周波数帯域として選定される。例えば、信号対雑音比が閾値以上(又は閾値より大きい)となる周波数帯域が監視用の周波数帯域とされる。
図6(B)に示す具体例では、信号対雑音比の大きさに基づいて決定される周波数を基準とする所定範囲の周波数帯域が監視用の周波数帯域として選定される。例えば、信号対雑音比が最大となる周波数を基準とし、その基準を中心とする所定範囲の周波数帯域が監視用の周波数帯域とされる。
図6(C)には、複数の周波数帯域が選定の候補となる具体例が図示されている。例えば、信号対雑音比が所定値以上となる周波数帯域が複数帯域となる場合には、それら複数帯域のうち、周波数帯域の幅が最大となる周波数帯域が監視用の周波数帯域として選定される。例えば、図6(C)に示す具体例では、信号対雑音比が閾値以上(又は閾値より大きい)となる周波数帯域Aと周波数帯域Bがあり、これら2つの候補のうち周波数帯域の幅の大きい周波数帯域Aが監視用の周波数帯域とされる。
また、例えば、信号対雑音比が所定値以上となる周波数帯域が複数帯域となる場合には、それら複数帯域のうち、所定値以上の面積が最大となる周波数帯域が監視用の周波数帯域として選定されてもよい。例えば、図6(C)に示す具体例では、周波数帯域Aの閾値以上の面積Saと、周波数帯域Bの閾値以上の面積Sbが比較され、これら2つの候補のうち面積の大きい周波数帯域Aが監視用の周波数帯域とされる。
また、複数の周波数帯域が監視用の周波数帯域として選定されてもよい。例えば、図6(C)に示す具体例において、周波数帯域Aと周波数帯域Bの両帯域が監視用の周波数帯域とされてもよい。
なお、図6では、信号対雑音比(参照用の周波数スペクトルと暗騒音の周波数スペクトルの比)に基づく周波数帯域の選定に関する具体例を説明したが、参照用の周波数スペクトルと暗騒音の周波数スペクトルの差に基づいて監視用の周波数帯域を選定するようにしてもよい。例えば、参照用の周波数スペクトルと暗騒音の周波数スペクトルの差が所定レベル以上となる周波数を含む帯域を監視用の周波数帯域として選定してもよい。
図2に戻り、監視用の周波数帯域が選定されると、制御部40の判定部は、検出物体からの検出音の監視用周波数帯域における周波数成分に基づいて、検出物体が検出対象であるかどうかを判定する。その判定には、物体検出部10(監視用レーダ)が検知した検出物体から音響信号入力部20(マイクロホンアレイ)が収音した検出音が利用される。また、判定部による判定においては判定基準となる閾値が利用される。
図7は、制御部40(図2)の判定部による判定処理の具体例を示す図である。図7には、検出物体から得られる検出音の周波数スペクトルと判定基準となる閾値の具体例が図示されている。
検出物体が検出対象であるか否かの判定に利用される閾値は、その検出対象に関する参照用の周波数スペクトルや暗騒音の周波数スペクトルに基づいて設定することができる。具体的には、例えば参照用の周波数スペクトル(図5参照)をそのまま閾値として利用してもよいし、参照用の周波数スペクトルよりも所定値だけレベルを小さくしたものを閾値として利用してもよい。なお、閾値は、暗騒音の周波数スペクトル(図5参照)よりも高いレベルに設定されることが望ましい。
制御部40(図2)の判定部は、物体検出部10(監視用レーダ)が検知した検出物体(飛行物体)の方向から、音響信号入力部20(マイクロホンアレイ)により収音される検出物体の検出音の周波数スペクトルが、監視用の周波数帯域において、閾値以上となる条件を満たしていれば、その検出物体(飛行物体)が検出対象(例えばドローン)であると判定する。例えば、図7に示す具体例で、監視用の周波数帯域において検出物体の周波数スペクトルが判定基準である閾値を上回る部分の面積が所定値以上であれば、検出物体が検出対象であると判定される。また、監視用の周波数帯域に含まれる複数のサンプル周波数のうち、所定数以上のサンプル周波数において検出物体の周波数スペクトルが判定基準である閾値を上回る場合に、検出物体が検出対象であると判定されてもよい。
また、制御部40(図2)の判定部は、レーダ信号処理部から取得した距離と方位角の情報、音響信号処理部から取得した仰角の情報に基づいて、検出対象であると判定した飛行物体の位置を特定する。
図2に戻り、表示部50には、物体検出部10(監視用レーダ)が検知した検出物体を撮像部30(カメラ)が撮影した画像が表示される。例えば、レーダ信号処理部から取得した距離と方位角の情報、音響信号処理部から取得した仰角の情報に基づいて、検出物体の位置が特定され、検出物体が画像中央に映し出されるように、撮像部30(カメラ)によるパン、チルト、ズームの機能が制御される。なお、検出物体が検出対象であると判定されて場合にのみ、その検出物体(検出対象)の画像を表示してもよいし、検出対象か否かに関わらず検出物体の画像を表示し、検出対象であると判定された場合に、検出物体が検出対象であることを明示する表示処理が施されてもよい。
図8は、物体検出装置100(図1,図2)の監視動作の具体例を示すフローチャートである。監視動作が開始されると、暗騒音の測定が行われて所定時間の暗騒音の音情報が記憶部に記憶される(S1)。そして、物体検出部10(監視用レーダ)が物体を検出すると(S2)、検出された検出物体までの距離と方位角と仰角範囲の情報が取得される(S3)。なお、物体検出部10が物体を検出していなければ(S2)、暗騒音の測定(S1)が継続される。
次に、検出物体が存在する方向の方位角と仰角範囲を対象として音源方向を走査して検出物体の音を収音することにより検出物体の検出方向が探索されて特定される(S4)。また、検出方向が特定されると、記憶部に記憶された暗騒音の音情報から、検出方向に対応した暗騒音の周波数スペクトルが形成される。
次に、参照用の周波数スペクトルと暗騒音の周波数スペクトルが比較され(S5)、監視用の周波数帯域が選定される(S6)。さらに、検出物体が検出対象であるか否かの判定に利用される判定基準となる閾値が設定される(S7)。
そして、検出物体から得られる検出音の周波数スペクトルが監視用の周波数帯域において閾値以上となる条件を満たしているか否かが確認され(S8)、閾値以上となる条件を満たしていれば検出物体が検出対象であると判定され(S9)、閾値以上となる条件を満たしていなければ検出物体が検出対象ではないと判定される(S10)。
以上、説明したとおり、本発明では、監視領域内の騒音環境に応じて、ドローンと騒音源との識別に最適な周波数帯域を適応的に設定することが可能になり、設定した監視周波数帯域において、所定レベル以上の音が収音されると検出対象(例えばドローン)が存在すると判定する。これにより、監視領域内の騒音環境にかかわらず、精度良く検出対象の物体を検出することが可能になる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
例えば、監視周波数帯域を選定に関して、収音した暗騒音の周波数成分情報に基づいて物体までの距離に応じた監視周波数帯域を事前に算出しておき、物体を検出すると、当該物体までの距離に対応する監視周波数帯域に決定するようにしてもよい。
また、検出物体の方向を特定せずに、物体検出部10にて取得した仰角範囲に基づいて、暗騒音の周波数成分情報を取得するようにしてもよい。例えば、仰角範囲が30〜60度であれば、その中央の値である45度の方向の暗騒音を用いたり、暗騒音の周波数成分の大きさが最大となる角度方向の暗騒音を用いるようにすればよい。そして、検出物体までの距離に対応した参照用周波数成分情報と当該暗騒音の周波数成分情報とを比較することにより、監視周波数帯域を選定することができる。この場合、図8のフローチャートにおける、S4の処理が省略されることとなる。さらに、監視周波数帯域の選定後に音源方向を走査し、選定した監視周波数帯域において、パワーが最大となった方位に検出物体が存在すると判定することで検出物体の存在する位置を高い精度で特定可能になる。
また、上述した実施形態では、音響信号入力部の好適な例として、複数のマイクロホンからなるマイクアレイを用いて説明したが、これに限らず、単一のマイクロホンで構成してもよい。この場合、音源方向に特定することはできないが、監視領域内で物体を検出したときに、当該物体までの距離に応じた検出対象の周波数成分情報と、暗騒音の周波数成分情報とを比較して監視周波数帯域を決定し、当該監視周波数帯域におけるマイクロホンで収音した音のレベルに基づいて検知対象の飛行物体の有無を判定するようにしても良い。これにより、簡易な構成で検出対象の有無を判定することができる。
10 物体検出部、20 音響信号入力部、30 撮像部、40 制御部、50 表示部、100 物体検出装置。

Claims (6)

  1. 監視領域内に存在する物体を検出し、当該物体までの距離情報を得る物体検出手段と、
    前記監視領域内で発生する音を収音する音響信号入力手段と、
    前記監視領域内で収音した音の周波数成分情報を得る音響信号処理手段と、
    検出対象の音に関する参照用周波数成分情報と距離とを関連付けた参照情報を記憶する記憶手段と、
    前記物体までの距離に対応した参照用周波数成分情報と前記物体が検出されていないときに収音した暗騒音の周波数成分情報とを比較することにより、監視周波数帯域を選定する周波数帯域選定手段と、
    前記物体が検出されたときに収音した音の前記監視周波数帯域における周波数成分に基づいて、前記物体が検出対象であるかどうかを判定する判定手段と、
    を有する、
    ことを特徴とする物体検出装置。
  2. 請求項1に記載の物体検出装置において、
    前記音響信号処理手段は、空間上に配置された複数のマイクロホンからなるマイクアレイにて前記監視領域内で発生する音を収音し、前記物体が存在する方向情報を取得するとともに、前記物体の方向に対応した暗騒音の周波数成分情報を取得し、
    前記周波数帯域選定手段は、検出された前記物体までの距離に対応した参照用周波数成分情報と方向に対応した暗騒音の周波数成分情報とを比較することにより、前記監視周波数帯域を選定する、
    こと特徴とする物体検出装置。
  3. 請求項1または2に記載の物体検出装置において、
    前記周波数帯域選定手段は、前記参照用周波数成分情報と前記暗騒音の周波数成分情報とを比較して得られる信号対雑音比に基づいて前記監視周波数帯域を選定する、
    ことを特徴とする物体検出装置。
  4. 請求項3に記載の物体検出装置において、
    前記周波数帯域選定手段は、前記信号対雑音比が所定値以上となる周波数を含むように前記監視周波数帯域を選定する、
    ことを特徴とする物体検出装置。
  5. 請求項3または4に記載の物体検出装置において、
    前記周波数帯域選定手段は、前記信号対雑音比が最大となる周波数を含む所定周波数範囲を前記監視周波数帯域として選定する、
    ことを特徴とする物体検出装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の物体検出装置において、
    前記判定手段は、前記監視周波数帯域における前記物体が検出されたときに収音した音の周波数成分の大きさが判定条件を満たす場合に検出した前記物体が検出対象であると判定する、
    ことを特徴とする物体検出装置。
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