JP2018135896A - ダンパ - Google Patents

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Taketo Sakakibara
健人 榊原
三橋 浩司
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Abstract

【課題】 切替ロッドを利用しピストン位置に依存して減衰係数を換える場合であっても、切替ロッドにバイパス路を形成するための加工が容易で、ピストンの切替ロッドへの引っ掛かりを抑制できるダンパを提供する。
【解決手段】 ダンパD1がシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2に区画するピストン3に形成されて伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体の流れに抵抗を与える伸側通路3a及び圧側通路3bと、ピストン3が摺動自在に貫通する切替ロッド7とを備え、切替ロッド7は、内部に伸側室R1と圧側室R2とを連通可能なバイパス路70を有し、ピストン3が所定のストローク範囲E1にある場合にバイパス路70の連通を許容し、ピストン3が所定のストローク範囲E1を超えてストロークエンド側へ移動した場合にバイパス路70の連通を遮断する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、ダンパに関する。
従来、免震装置の中には、構造物と地盤との間に、構造物の重量を支えつつ構造物の水平方向への移動を許容するアイソレータと、構造物の水平方向の移動を抑制するダンパとを介在させたものがある(例えば、特許文献1)。
このような免震装置では、ダンパの発生する減衰力が小さいほど、地震発生時に地盤の振動が構造物へ伝達し難くなるので、高い振動絶縁性を確保して高い免震効果を得られる。とはいえ、ダンパの減衰力が小さいと、大地震の発生等により大きな揺れが入力された場合に構造物の移動を充分に抑制できず、構造物の振幅が大きくなり過ぎて隣接する建物又は擁壁等に干渉する虞がある。そうかといって、大地震に備えてダンパの減衰力を大きくしたのでは、中小規模の地震等により構造物が揺れる場合にダンパの減衰力が効きすぎて、免震効果を減殺してしまう。
このような事情から、免震装置に利用されるダンパでは、中小規模の地震発生時には発生する減衰力を極力小さく抑えて高い振動絶縁性を確保し、良好な免震効果を得るとともに、大地震の発生時には大きな減衰力を発揮して、構造物の振幅が大きくなり過ぎて隣接する建物又は擁壁等に干渉するのを防ぐのが望ましい。
また、ダンパの中には、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されて、シリンダ内を伸側室と圧側室に区画するピストンと、ピストンに形成されて伸側室と圧側室との間を行き来する液体の流れに抵抗を与える減衰通路と、ピストンを貫通し、シリンダの軸方向に沿って配置される切替ロッドとを備え、切替ロッドの外周に形成した溝により、ピストンが所定のストローク範囲にある場合に伸側室と圧側室とを連通するバイパス路を形成するものがある(例えば、特許文献2)。
当該ダンパによれば、ストロークの途中で減衰係数を切り換えて減衰力の大きさを変更できる。そこで、ピストンの中立位置からの移動量が大きくなってピストンがストロークエンドに接近した場合に、バイパス路による伸側室と圧側室との連通を遮断するように設定すれば、振幅が小さい場合の減衰係数を小さくするとともに、振幅が大きくなった場合の減衰係数を大きくできる。
このため、このようなダンパを免震装置に利用すると、ダンパの振幅がそれほど大きくならない中小規模の地震発生時には、減衰係数を小さくして減衰力を小さくできる。その一方、ダンパの振幅が大きくなる大地震の発生時には、減衰係数を大きくして大きな減衰力を発揮できる。さらに、このように地震の大きさ(規模)に応じた減衰力を発揮できるようにしても、ダンパの構造が複雑にならず免震装置を安価にできる。
特開2010−071451号公報 特許第4058298号公報
近年、長周期振動の地震にも対応できるように、免震装置に利用されるダンパのストローク長は長くなる傾向にあり、それに合わせて切替ロッドの軸方向長さも長くなる傾向にある。
切替ロッドが変形すると、ピストンの円滑な移動が妨げられるので、切替ロッドの外周に溝を形成する際には、切替ロッドが変形しないように配慮しつつ加工する必要がある。しかし、前述のように切替ロッドの軸方向長さが長くなると変形し易くなるので、溝を形成する際の加工難易度が高くなり、バイパス路を形成するのが困難になる。
また、溝によりバイパス路を形成しているので、切替ロッドの外周に軸方向に長い溝を形成しなければならない。この場合、切替ロッドの外周に溝による段差ができるとともに、他の部分よりも一段低い溝の部分が軸方向の広範囲に存在するので、溝のある部分から溝のない部分へピストンが移動する際、溝の縁にピストンが引っ掛かり易い。
そこで、本発明は、上記不具合を解消するために創案されたものであり、切替ロッドを利用しピストン位置に依存して減衰係数を切り換える場合であっても、切替ロッドにバイパス路を形成するための加工が容易で、ピストンの切替ロッドへの引っ掛かりを抑制できるダンパの提供を目的とする。
前記課題を解決するための第一の手段は、ダンパが、シリンダ内を伸側室と圧側室に区画するピストンと、前記ピストンに形成されて前記伸側室と前記圧側室との間を移動する液体の流れに抵抗を与える減衰通路と、前記ピストンに形成された挿通孔に摺動自在に挿通される切替ロッドとを備え、前記切替ロッドは、その内部に前記伸側室と前記圧側室とを連通可能なバイパス路を有し、前記ピストンが所定のストローク範囲内を移動する場合に前記バイパス路の連通を許容し、前記ピストンが前記所定のストローク範囲を超えてストロークエンド側を移動する場合に前記バイパス路の連通を遮断することである。
当該構成によれば、挿通孔に挿通された切替ロッドに対して摺動するピストンの位置によって、切替ロッドの内部に形成されたバイパス路の連通/遮断が切り換わる。このように、バイパス路が切替ロッドの内部を通るので、例えば、深穴加工又は中空パイプを利用してバイパス路を形成できる。よって、切替ロッドが長くても切替ロッドにバイパス路を容易に形成できる。また、切替ロッドの側面にバイパス路の開口が形成されても、当該開口の径は従来の溝と比較して格段に小さく、ピストンが引っ掛かり難い。
なお、前記ダンパでは、前記切替ロッドが一対設けられており、一方の前記切替ロッドに形成された前記バイパス路の連通が許容される前記所定のストローク範囲は、前記ピストンの中立位置よりも伸側のストロークエンド側に設定されるとともに、前記中立位置に前記ピストンがある場合に、前記ピストンの圧側室側の面が当該所定のストローク範囲から圧側のストロークエンド側へ逸脱する位置にあるように設定され、他方の前記切替ロッドに形成された前記バイパス路の連通が許容される前記所定のストローク範囲は、前記中立位置よりも圧側のストロークエンド側に設定されるとともに、前記中立位置に前記ピストンがある場合に、前記ピストンの伸側室側の面が当該所定のストローク範囲から伸側のストロークエンド側へ逸脱する位置にあるように設定されるとしてもよい。当該構成によれば、ダンパの動き出しの減衰力を大きくできる。このため、当該ダンパを免震装置に利用した場合、強風等により制振対象が揺れるのを抑制できる。
また、前記ダンパでは、前記切替ロッドが一対設けられ、一方の前記切替ロッドに形成された前記バイパス路が前記伸側室から前記圧側室へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する伸側バイパス路であるとともに、他方の前記切替ロッドに形成された前記バイパス路が前記圧側室から前記伸側室へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに逆向きの流れを阻止する圧側バイパス路であってもよい。当該構成によれば、ピストンが所定のストローク範囲にある場合の伸側減衰力と圧側減衰力を個別に設定できる。
また、前記ダンパでは、前記バイパス路が、メイン通路と、前記メイン通路の一端に連なる第一サブ通路と、前記メイン通路の他端に連なる第二サブ通路とを有して構成されており、前記第一サブ通路と前記第二サブ通路を液体が通過する際の抵抗は、前記メイン通路を液体が通過する際の抵抗よりも大きく設定されており、前記切替ロッドは、前記ピストンが伸側のストロークエンド側であって前記所定のストローク範囲における一方の端部へ移動する場合、前記メイン通路と前記第一サブ通路を介して 前記伸側室と前記圧側室とを連通し、前記ピストンが圧側のストロークエンド側であって前記所定のストローク範囲における他方の端部へ移動する場合、前記メイン通路と前記第二サブ通路を介して 前記伸側室と前記圧側室とを連通し、前記ピストンが前記所定のストローク範囲における前記一方の端部と前記他方の端部との間を移動する場合、前記メイン通路を介して 前記伸側室と前記圧側室とを連通するとしてもよい。当該構成によれば、ピストンのストロークエンド側への移動量が大きくなった場合の減衰力を段階的に大きくできる。
また、メイン通路、第一サブ通路、及び第二サブ通路を有して構成される前記バイパス路を備えた前記ダンパでは、前記切替ロッドが一対設けられ、一方の前記切替ロッドに形成された前記第一サブ通路が前記伸側室から前記メイン通路へ向かう液体の流れのみを許容し、他方の前記切替ロッドに形成された前記第一サブ通路が前記メイン通路から前記伸側室へ向かう液体の流れのみを許容し、一方の前記切替ロッドに形成された前記第二サブ通路が前記圧側室から前記メイン通路へ向かう液体の流れのみを許容し、他方の切替ロッドに形成された前記第二サブ通路が前記メイン通路から前記圧側室へ向かう液体の流れのみを許容するとよい。当該構成によれば、ピストンが所定のストローク範囲における両端部にある場合の伸側減衰力と圧側減衰力を個別に設定できる。
また、前記ダンパでは、前記ロッドが前記ピストンの片側から前記シリンダ外へ突出して片ロッド型に設定されており、内部に液体が貯留される液溜室が形成されるタンクと、前記液溜室から前記圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路と、前記液溜室から前記圧側室へ向かう液体の流れに抵抗を与える排出通路とを備えるとよい。当該構成によれば、ダンパが軸方向に嵩張るのを抑制し、ダンパの搭載性を良好にできる。
本発明のダンパによれば、切替ロッドを利用しピストン位置に依存して減衰係数を切り換える場合であっても、従来の切替ロッドの外周に形成された溝によりバイパス路を形成する場合と比較して、切替ロッドが長くても切替ロッドにバイパス路を形成するための加工が容易となる。また、バイパス路が切替ロッドの内部に形成されるので、ピストンの切替ロッドへの引っ掛かりを抑制できる。
本発明の第一の実施の形態に係るダンパの取付状態を示した正面図である。 本発明の第一の実施の形態に係るダンパの縦断面を示した概略図である。 本発明の第二の実施の形態に係るダンパの縦断面を示した概略図である。 本発明の第三の実施の形態に係るダンパの縦断面を示した概略図である。 本発明の第四の実施の形態に係るダンパの縦断面を示した概略図である。 図5に示すダンパの変形例に係るダンパの縦断面を示した概略図である。
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
<第一の実施の形態>
図1に示すように、本発明の第一の実施の形態に係るダンパD1は、免震装置に利用されている。免震装置は、制振対象である構造物Sと地盤Gとの間に介装されて、構造物Sの重量を支えつつ構造物Sの水平方向への移動を許容するアイソレータIと、構造物Sの水平方向の移動を抑制する横置き型のダンパD1とを備える。このため、地震により地盤Gが揺れると当該揺れをアイソレータIで吸収し、構造物Sに伝わる揺れを軽減できるとともに、ダンパD1で構造物Sが揺れ続けるのを防止できる。
なお、図1に示すアイソレータIは、鋼板と、弾性を有するゴムとを交互に積層させた積層ゴムであるが、ボールアイソレータ等であってもよく、アイソレータの構成は適宜変更できる。
つづいて、ダンパD1は、図2に示すように、シリンダ1と、シリンダ1の外周に設けた有底筒状の外筒2と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されるピストン3と、先端がピストン3に連結されて末端がシリンダ1外へ突出するロッド4と、シリンダ1の一方側開口部に設けられ、ロッド4を摺動自在に軸支するヘッド部材5と、シリンダ1と外筒2の底部2aとの間に挟まれて固定されたボトム部材6と、ピストン3を摺動自在に貫通し、シリンダ1の軸方向に沿って延びる切替ロッド7とを備える。
シリンダ1外へ突出したロッド4の末端と、外筒2の底部2aには、それぞれ取付部材40,20が取り付けられている。図1に示すように、ロッド4は取付部材40を介して地盤Gに連結される一方、シリンダ1は外筒2と取付部材20を介して構造物Sに連結されている。このため、地震等の影響で、地盤Gが構造物Sに対して水平方向に揺れたり、風等の影響で、構造物Sが地盤に対して水平方向に揺れたりすると、ロッド4がシリンダ1に出入りしてダンパD1が伸縮する。
なお、ダンパD1の取付方法は、図示する限りではなく、適宜変更できる。例えば、ロッド4が構造物Sに連結されるとともに、シリンダ1が地盤Gに連結されていてもよい。また、ダンパD1の利用目的も免震装置に限定されず、適宜変更できる。
つづいて、図2に示すように、シリンダ1内には、ピストン3で仕切られた二つの部屋が形成されており、それぞれの部屋に作動油等の液体が充填されている。これら二つの部屋のうち、ダンパD1の伸長時にピストン3で圧縮される方の部屋が伸側室R1、ダンパD1の収縮時にピストン3で圧縮される方の部屋が圧側室R2である。
本実施の形態において、ダンパD1は片ロッド型であり、ロッド4が伸側室R1のみを通ってシリンダ1外へ延びる。図示を省略するが、ヘッド部材5の内周と外周には、それぞれシールが装着されており、当該ヘッド部材5により図2中左側に形成されるシリンダ1の開口と、外筒2の開口を液密に塞ぐ。
また、シリンダ1外には、外筒2との間に液体が貯留されており、液溜室R3が形成されている。当該液溜室R3の液面上方には、気体が封入されて気室Aが形成されている。気室Aには、圧縮気体が封入されており、タンクT内の圧力でシリンダ1内を加圧できるようになっている。
なお、本実施の形態では、シリンダ1の外周に外筒2を設け、これらで内部に液体を貯留するタンクTを構成するが、タンクの構成は適宜変更できる。例えば、タンクがシリンダと別置き型となっていて、これらが横並びに配置されるとしてもよい。また、タンクとシリンダが縦並びに配置され、これらが一体形成されていてもよい。
つづいて、ピストン3は、図示しないボルト等の利用によりロッド4の軸回りに回転可能に取り付けられており、伸側室R1と圧側室R2とを区画する。ピストン3には、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸側通路3a及び圧側通路3bが形成されている。
伸側通路3aには、伸側バルブV1が設けられており、当該伸側バルブV1により伸側通路3aを伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する。その一方、圧側通路3bには、圧側バルブV2が設けられており、当該圧側バルブV2により圧側通路3bを圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する。
このように、本実施の形態では、伸側通路3aと圧側通路3bとで伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体の流れに抵抗を与える減衰通路を構成する。当該構成によれば、伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体の流れに与える抵抗と、圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体に流れる抵抗を個別に設定できる。よって、ダンパD1の減衰力を伸長時と収縮時とで個別に設定できる。しかし、減衰通路が双方向流れを許容する通路であってもよい。
また、ピストン3には、当該ピストン3を軸方向に貫通する挿通孔3cが形成されており、当該挿通孔3cに切替ロッド7が摺動自在に挿通されている。より詳しくは、挿通孔3cの壁面に切替ロッド7の外周が摺接する。このため、挿通孔3cが切替ロッド7で塞がれた状態となる。
前述のように、ピストン3はロッド4の軸回りに回転可能である。よって、外力によりロッド4がシリンダ1に対してねじり方向に回転しても、ピストン3がロッド4とともに回転しようとして切替ロッド7に大きな負荷がかかるのを防止できる。なお、ロッド4の軸回りの回転が阻止されている場合には、ピストン3とロッド4の回転が阻止されていてもよい。
切替ロッド7は、シリンダ1の軸方向に沿って配置されるとともに、両端がヘッド部材5とボトム部材6に支持されて、シリンダ1に対して少なくとも軸方向へ動かないように固定される。本実施の形態において、切替ロッド7の外周形状は略真円である。このため、切替ロッド7及び挿通孔3cの形成が容易である。しかし、切替ロッド7において、ピストン3に摺接する摺動部の外周形状は、軸方向に一定であればよく、真円以外の形状であってもよい。
また、切替ロッド7には、切替ロッド7の内部を通り、両端が切替ロッド7の側部の軸方向にずらした位置に開口するバイパス路70が形成されている。当該バイパス路70は、切替ロッド7の軸心部に軸方向に沿って形成される縦孔h1と、縦孔h1の伸側室R1側の端部に交わり、切替ロッド7を径方向に貫通する横孔h2と、縦孔h1の圧側室R2側の端部に交わり、切替ロッド7を径方向に貫通する横孔h3とを有して構成されている。
バイパス路70の両端開口のうち、伸側室R1側の開口を伸側開口x、圧側室R2側の開口を圧側開口yとすると、切替ロッド7の側部に形成される伸側室側の横孔h2の開口が伸側開口x、圧側室側の横孔h3の開口が圧側開口yであり、これらはピストン3で開閉される。そして、伸側開口xと圧側開口yの間隔は、挿通孔3cの軸方向長さよりも長く、伸側開口xと圧側開口yが同時にピストン3で塞がれないようになっている。
また、伸側開口xと圧側開口yは、ピストン3が中立位置にある場合、当該ピストン3の両側に配置される位置に形成されている。さらに、伸側開口xは、ピストン3が伸側のストロークエンドに達する前にピストン3で塞がれる、又はピストン3が通過する位置に形成されている。その一方、圧側開口yは、ピストン3が圧側のストロークエンドに達する前にピストン3で塞がれる、又はピストン3が通過する位置に形成されている。
図2中、ピストン3の左端が伸側開口xの左端に重なり、当該伸側開口xを塞ぐ位置を位置E1xとし、ピストン3の右端が圧側開口yの右端に重なり、当該圧側開口yを塞ぐ位置を位置E1yとし、これら位置E1xと位置E1yとの間であって、これら位置E1x,E1yを含まない範囲をストローク範囲E1とする。
すると、ピストン3の全て(図2中、左端から右端まで)がストローク範囲E1にある場合、バイパス路70が伸側開口xを通じて伸側室R1に連通し、圧側開口yを通じて圧側室R2に連通する。この場合、バイパス路70を介して伸側室R1と圧側室R2とが連通されるので、液体がバイパス路70を通って伸側室R1と圧側室R2との間を行き来できる。
このように、バイパス路70を介して伸側室R1と圧側室R2が連通された状態が、バイパス路70の連通が許容された状態である。そして、バイパス路70の連通が許容されるストローク範囲E1は、バイパス路70の伸側開口xと圧側開口yの位置により、予め決められた所定のストローク範囲である。
しかし、ピストン3の一部又は全部がストローク範囲(所定のストローク範囲)E1を超えて伸側のストロークエンド側(図2中左側)へ移動したり、ストローク範囲E1を超えて圧側のストロークエンド側(図2中右側)へ移動したりすると、バイパス路70を介した伸側室R1と圧側室R2との連通が遮断される。このように、バイパス路70を介した伸側室R1と圧側室R2との連通が遮断された状態が、バイパス路70の連通が遮断された状態である。
なお、本実施の形態において、ピストン3の中立位置とは、ダンパD1が最伸長状態から最収縮状態になるまでにピストン3がストロークする範囲(可動範囲)の中央のことである。しかし、ピストン3の中立位置とは、厳密なストローク範囲の中央でなくてもよく、適宜設定できる。
また、ピストン3の伸側のストロークエンドとは、シリンダ1内をピストン3が伸側室R1を圧縮する方向へ進んだ場合の移動限界であり、ピストン3の圧側のストロークエンドとは、シリンダ1内をピストン3が圧側室R2を圧縮する方向へ進んだ場合の移動限界である。そして、本実施の形態では、ピストン3がヘッド部材5に当接した位置が伸側のストロークエンドであり、ピストン3がボトム部材6に当接した位置が圧側のストロークエンドであるが、これらの位置も適宜変更できる。
また、本実施の形態では、図2中、ピストン3の挿通孔3cの左端が伸側開口xの左端に達し、当該ピストン3で伸側開口xを完全に塞ぐ位置を位置E1xとし、ピストン3の挿通孔3cの右端が圧側開口yの右端に達し、当該ピストン3で圧側開口yを完全に塞ぐ位置を位置E1yとしている。しかし、伸側開口x又は圧側開口yをある程度塞いだ位置をストローク範囲E5の一端と他端としてもよい。
つづいて、ボトム部材6は、シリンダ1の図2中右端部に固定されており、圧側室R2と液溜室R3とを区画する。ボトム部材6には、圧側室R2と液溜室R3とを連通する吸込通路6aと排出通路6bが形成されている。
吸込通路6aには、チェックバルブV3が設けられており、吸込通路6aを液溜室R3から圧側室R2へ向かう液体の流れを許容するとともに、逆向きの流れを阻止する。その一方、排出通路6bには、減衰バルブV4が設けられており、排出通路6bを圧側室R2から液溜室R3へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する。
以下、本実施の形態に係るダンパD1の作動について説明する。
ダンパD1の伸長時には、ピストン3がシリンダ1内を図2中左方へ移動して伸側室R1を圧縮するとともに圧側室R2を拡大する。すると、伸側室R1の液体が伸側バルブV1を押し開き、伸側通路3aを通って圧側室R2へ移動する。さらに、ダンパD1の伸長時には、チェックバルブV3が開き、シリンダ1から退出したロッド体積分の液体が吸込通路6aを通って液溜室R3から圧側室R2へ供給される。
伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体の流れに対しては、伸側バルブV1で抵抗が与えられるので伸側室R1の圧力が高くなる。その一方、圧側室R2は液溜室R3に連通されるので、圧側室R2の圧力がタンクT内の圧力と等しくなる。このため、ダンパD1の伸長時には、伸側室R1の圧力が圧側室R2の圧力よりも高くなり、これらの差圧がピストン3に作用するので、伸長作動を妨げる減衰力が発生する。
反対に、ダンパD1が収縮する場合、ピストン3がシリンダ1内を図2中右方へ移動して圧側室R2を圧縮するとともに伸側室R1を拡大する。すると、圧側室R2の液体が圧側バルブV2と減衰バルブV4を押し開き、圧側通路3bと排出通路6bを通って伸側室R1と液溜室R3へ移動する。
圧側室R2から伸側室R1と液溜室R3へ向かう液体の流れに対しては、圧側バルブV2と減衰バルブV4でそれぞれ抵抗が与えられるので圧側室R2の圧力が高くなる。その一方、拡大する伸側室R1の圧力は低くなる。このため、ダンパD1の収縮時には、圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力よりも高くなり、これらの差圧がピストン3に作用するので、収縮作動を妨げる減衰力が発生する。
また、ダンパD1の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E1内を移動する場合、バイパス路70の連通が許容されているので、伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体が、伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回してバイパス路70を移動できる。
よって、ダンパD1の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E1にある場合には、液体がバイパス路70を通過する分、伸側通路3a及び圧側通路3bを通過する液体の流量が減るので、減衰係数が小さくなって、減衰力が小さくなる。
これに対して、ダンパD1の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E1を超えて両方のストロークエンド側(図2中、ストローク範囲E1よりも左側又は右側)へ移動した場合には、バイパス路70の連通が遮断されるので、伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体は、伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回できなくなる。
よって、ダンパD1の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E1からストロークエンド側へ逸脱した位置にある場合には、バイパス路70の連通が遮断されて伸側通路3a及び圧側通路3bを通過する液体の流量が増えるので、減衰係数が大きくなって、減衰力が大きくなる。
以下、本実施の形態に係るダンパD1の作用効果について説明する。
本実施の形態において、ロッド4がピストン3の片側からシリンダ1外へ突出し、ダンパD1が片ロッド型になっている。そして、ダンパD1は、内部に液体が貯留される液溜室R3が形成されるタンクTと、液溜室R3から圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路6aと、圧側室R2から液溜室R3へ向かう液体の流れに抵抗を与える排出通路6bとを備える。
当該構成によれば、ダンパD1が片ロッド型であるので、ダンパD1が軸方向に嵩張らず、搭載性を良好にできる。さらに、ダンパD1を片ロッド型にしても、シリンダ1に出入りするロッド4の体積を液溜室R3で補償できる。なお、ダンパが両ロッド型になっていて、ロッドがピストンの両側からシリンダ外へ突出するとしてもよい。このような場合には、シリンダに出入りするロッドの体積補償を不要にできる。
また、本実施の形態において、ダンパD1は、シリンダ1と、少なくとも軸方向の一端がシリンダ1外へ突出するロッド4と、ロッド4の軸方向に貫通する挿通孔3cを有し、ロッド4に連結してシリンダ1内に移動可能に挿入されて、シリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画するピストン3と、ピストン3に形成されて伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体の流れに抵抗を与える伸側通路(減衰通路)3a及び圧側通路(減衰通路)3bと、シリンダ1内に設けられてロッド4の軸方向に沿って配置されてピストン3の挿通孔3cに摺動自在に挿通する切替ロッド7とを備える。
そして、上記切替ロッド7は、その内部に伸側室R1と圧側室R2とを連通可能なバイパス路70を有し、ピストン3がストローク範囲(所定のストローク範囲)E1内を移動する場合にバイパス路70の連通を許容し、ピストン3がストローク範囲E1を超えてストロークエンド側を移動する場合にバイパス路70の連通を遮断する。
上記構成によれば、バイパス路70の連通が許容されるストローク範囲E1にピストン3がある場合には、伸側室R1と圧側室R2との間を行き来する液体の一部(全部であってもよい)が伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回してバイパス路70を通過できるようになり、その分、伸側通路3a及び圧側通路3bを移動する液体の流量が減少して減衰係数が小さくなる。
その一方、バイパス路70の連通が遮断されるストローク範囲E1のストロークエンド側(図2中、ストローク範囲E1より左側又は右側)へピストン3が移動した場合には、伸側室R1と圧側室R2との間を行き来する液体が伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回できなくなり、その分、伸側通路3a及び圧側通路3bを移動する液体の流量が増加して減衰係数が大きくなる。
このように、上記構成によれば、ピストン3がストローク範囲E1にある場合の減衰係数を小さくできるので、ダンパD1が小振幅で伸縮する場合の減衰力を小さくできる。加えて、ピストン3がストロークエンド側にある場合の減衰係数を大きくできるので、ダンパD1が大振幅で伸縮する場合の減衰力を大きくできる。
このため、ダンパD1を備える免震装置では、中小規模の地震が発生してダンパD1が小振幅で伸縮する場合の減衰係数を小さくして減衰力を小さく抑えられるので、アイソレータIによる振動絶縁性を阻害せず、良好な免震効果を得られる。その一方、大地震の発生によりダンパD1の振幅が大きくなると減衰係数が大きくなるので、大きな減衰力で構造物Sの振幅が大きくなり過ぎて隣接する建物又は擁壁等に干渉するのを防止できる。
さらに、上記構成によれば、バイパス路70が切替ロッド7の内部を通る。このため、中実棒に深穴加工を施したり、中空パイプを利用したりしてバイパス路70を形成できる。当該方法によれば、切替ロッド7の軸方向長さが長くなってもバイパス路70を容易に形成できる。
また、切替ロッド7の内部にバイパス路70を形成した場合、バイパス路70と伸側室R1及び圧側室R2とを連通するための開口(伸側開口x、圧側開口y)が切替ロッド7の側部に形成されるものの、当該開口の大きさは、従来の切替ロッドの外周に形成されたバイパス路形成用の溝と比較して格段に小さい。よって、切替ロッド7の側部にバイパス路70の開口ができたとしても、開口の縁にピストン3が引っ掛かり難く、ピストン3の円滑な移動を妨げることがない。
つまり、上記構成によれば、切替ロッド7を利用しピストン位置に依存して減衰係数を切り換える場合であっても、切替ロッド7にバイパス路70を形成するための加工が容易で、ピストン3の切替ロッド7への引っ掛かりを抑制できる。
さらに、従来のダンパのように、切替ロッドの外周に溝を形成してバイパス路を形成する場合、ピストンの引っ掛かりを抑制したり、切替ロッドの変形を抑制したりする観点から、溝の幅を自由に広げたり、溝の深さを自由に深くしたりはできない。よって、バイパス路を流れる液体の流量を増やしたい場合には、切替ロッドの周方向に複数の溝を形成するのが好ましい。しかし、流量を確保するため溝の数が増えると、溝ごとに公差範囲内の誤差が生じるので、バイパス路全体としての流路面積のバラツキが大きくなり、製品ごとの減衰性能のバラツキが大きくなる。
これに対して、本実施の形態におけるダンパD1によれば、バイパス路70の流量を増やしたい場合には、切替ロッド7の内径(縦孔h1の径)を大きくすればよく、そのようにしても切替ロッド7の外周形状は変化しない。このため、切替ロッド7に形成する縦孔h1が一本でも流量の確保が可能であるので、従来のダンパと比較して、バイパス路70の流路面積のバラツキを小さくし、製品ごとの減衰性能のバラツキを小さくできる。
なお、バイパス路70を切替ロッド7の内部に形成する方法は、適宜変更できる。また、前述のように、中空パイプを利用してバイパス路を形成する場合には、中空パイプの両端に中実棒を接合すればよい。このような場合には、深穴加工をせずにバイパス路70を切替ロッド7内に形成できる。また、中実棒に深穴加工でバイパス路を形成する場合には、切替ロッド7の外周に段差ができにくく、ピストン3の引っ掛かりを一層抑制できる。
また、図2に示すダンパD1では、切替ロッド7を一本のみ記載しているが、切替ロッド7の数は適宜変更できる。そして、切替ロッド7を複数設ける場合には、バイパス路70の両端開口の位置を切替ロッド7ごとに軸方向にずらしてもよい。
<第二の実施の形態>
図3に示すように、本発明の第二の実施の形態に係るダンパD2では、切替ロッドを一対設け、切替ロッドごとにバイパス路の開口する位置を変えている点で第一の実施の形態と異なり、他の構成については同様である。そこで、以下、第一の実施の形態と異なる構成について詳細に説明し、共通の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施の形態に係るダンパD2は、一対の切替ロッドを構成する第一切替ロッド7Aと第二切替ロッド7Bとを備える。これら第一切替ロッド7Aと第二切替ロッド7Bは、ピストン3に形成された挿通孔3cにそれぞれ摺動自在に挿通されている。
第一切替ロッド7Aには、第一切替ロッド7Aの内部を通り、両端が第一切替ロッド7Aの側部の軸方向にずらした位置に開口する第一バイパス路71が形成されている。同様に、第二切替ロッド7Bには、第二切替ロッド7Bの内部を通り、両端が第二切替ロッド7Bの側部の軸方向にずらした位置に開口する第二バイパス路72が形成されている。
第一の実施の形態と同様に、第一バイパス路71及び第二バイパス路72の両端開口のうち、伸側室R1側の開口をそれぞれ伸側開口x、圧側室R2側の開口をそれぞれ圧側開口yとすると、これらは全てピストン3で開閉され、シリンダ1内の軸方向にずれた位置に形成されている。より具体的には、図3中左側から順に、第一バイパス路71の伸側開口x、第二バイパス路72の伸側開口x、第一バイパス路71の圧側開口y、第二バイパス路72の圧側開口yの順に配置されている。
そして、第一バイパス路71の伸側開口xと圧側開口yの間隔と、第二バイパス路72の伸側開口xと圧側開口yの間隔は、ともに挿通孔3cの軸方向長さよりも長く、伸側開口xと圧側開口yが同時にピストン3で塞がれないようになっている。
第一バイパス路71の圧側開口yと第二バイパス路72の伸側開口xは、ピストン3が中立位置にある場合、当該ピストン3で塞がれる位置に形成されている。また、第一バイパス路71の伸側開口xは、ピストン3が伸側のストロークエンドに達する前にピストン3で塞がれる、又はピストン3が通過する位置に形成されている。その一方、第二バイパス路72の圧側開口yは、ピストン3が圧側のストロークエンドに達する前にピストン3で塞がれる、又はピストン3が通過する位置に形成されている。
図3中、ピストン3の左端が第一バイパス路71の伸側開口xの左端に重なり、当該伸側開口xを塞ぐ位置を位置E2xとし、ピストン3の右端が第一バイパス路71の圧側開口yの右端に重なり、当該圧側開口yを塞ぐ位置を位置E2yとし、これら位置E2xと位置E2yとの間であって、これら位置E2x,E2yを含まない範囲をストローク範囲E2とする。
当該ストローク範囲E2は、ピストン3の中立位置よりも伸側のストロークエンド側に設定されており、ピストン3が中立位置にある場合、当該ピストン3の図3中右端がストローク範囲E2から圧側のストロークエンド側(図3中右側)へ逸脱する位置にあるように設定されている(図3)。
また、図3中、ピストン3の左端が第二バイパス路72の伸側開口xの左端に重なり、当該を塞ぐ位置を位置E3xとし、ピストン3の右端が第二バイパス路72の圧側開口yの右端に重なり、当該圧側開口yを塞ぐ位置を位置E3yとし、これら位置E3xと位置E3yとの間であって、これら位置E3x,E3yを含まない範囲をストローク範囲E3とする。
当該ストローク範囲E3は、ピストン3の中立位置の圧側のストロークエンド側に設定されており、ピストン3が中立位置にある場合、当該ピストン3の図3中左端がストローク範囲E3から伸側のストロークエンド側(図3中左側)へ逸脱する位置にあるように設定されている(図3)。
上記構成によれば、ピストン3がの全てがストローク範囲E2にある場合、第一バイパス路71が伸側開口xを通じて伸側室R1に連通し、圧側開口yを通じて圧側室R2に連通する。この場合、第一バイパス路71を介して伸側室R1と圧側室R2が連通されるので、液体が第一バイパス路71を通って伸側室R1と圧側室R2との間を行き来できる。
このように、第一バイパス路71を介して伸側室R1と圧側室R2が連通された状態が、第一バイパス路71の連通が許容された状態である。そして、第一バイパス路71の連通が許容されるストローク範囲E2は、第一バイパス路71の伸側開口xと圧側開口yの位置により、予め決められた所定のストローク範囲である。
しかし、ピストン3の一部又は全部がストローク範囲(所定のストローク範囲)E2を超えて伸側のストロークエンド側(図3中左側)へ移動したり、ストローク範囲E2を超えて圧側のストロークエンド側(図3中右側)へ移動したりすると、第一バイパス路71を介した伸側室R1と圧側室R2との連通が遮断される。このように、第一バイパス路71を介した伸側室R1と圧側室R2との連通が遮断された状態が、第一バイパス路71の連通が遮断された状態である。
つづいて、ピストン3の全てがストローク範囲E3にある場合、第二バイパス路72が伸側開口xを通じて伸側室R1に連通し、圧側開口yを通じて圧側室R2に連通する。この場合、第二バイパス路72を介して伸側室R1と圧側室R2が連通されるので、液体が第二バイパス路72を通って伸側室R1と圧側室R2との間を行き来できる。
このように、第二バイパス路72を介して伸側室R1と圧側室R2が連通された状態が、第二バイパス路72の連通が許容された状態である。そして、第二バイパス路72の連通が許容されるストローク範囲E3は、第二バイパス路72の伸側開口xと圧側開口yの位置により、予め決められた所定のストローク範囲である。
しかし、ピストン3の一部又は全部がストローク範囲(所定のストローク範囲)E3を超えて伸側のストロークエンド側(図3中左側)へ移動したり、ストローク範囲E3を超えて圧側のストロークエンド側(図3中右側)へ移動したりすると、第二バイパス路72を介した伸側室R1と圧側室R2との連通が遮断される。このように、第二バイパス路72を介した伸側室R1と圧側室R2との連通が遮断された状態が、第二バイパス路72の連通が遮断された状態である。
また、前述のように、ピストン3が中立位置にある場合、ピストン3の一部がストローク範囲E2,E3から逸脱するようになっている(図3)。このため、ピストン3が第一バイパス路71の圧側開口yと第二バイパス路72の伸側開口xを塞ぎつつ中立位置近傍を移動する場合、第一バイパス路71及び第二バイパス路72の連通が遮断された状態となる。
よって、ダンパD2の伸縮時においてピストン3が中立位置近傍にある場合、伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体は、伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回できず、これらを通過する液体の流量が多いので、減衰係数が大きくなって、減衰力が大きくなる。
しかし、ピストン3の中立位置からの伸側のストロークエンド側への移動量がある程度大きくなり、ピストン3がストローク範囲E2内を移動する場合には、第一バイパス路71の連通が許容される。よって、ダンパD2の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E2にある場合、伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体が、伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回して第一バイパス路71を移動できるようになる。
同様に、ピストン3の中立位置からの圧側のストロークエンド側への移動量がある程度大きくなり、ピストン3がストローク範囲E3内を移動する場合には、第二バイパス路72の連通が許容される。よって、ダンパD2の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E3にある場合にも、伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体が、伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回して第二バイパス路72を移動できるようになる。
このように、ダンパD2の伸縮時において、ピストン3の中立位置からの移動量がある程度大きくなり、ピストン3がストローク範囲E2,E3にある場合には、液体が第一バイパス路71又は第二バイパス路72を通過する分、伸側通路3a及び圧側通路3bを通過する液体の流量が減るので、減衰係数が小さくなって、減衰力が小さくなる。
しかし、ピストン3の中立位置からの移動量がさらに大きくなって、ピストン3が両ストローク範囲E2,E3を超えてストロークエンド側(図3中、ストローク範囲E2よりも左側、又はストローク範囲E3よりも右側)へ移動した場合には、第一バイパス路71及び第二バイパス路72の連通が遮断される。
よって、ダンパD2の伸縮時において、ピストン3が両ストローク範囲E2,E3からストロークエンド側へ逸脱した位置にある場合には、伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体が伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回できず、これらを通過する液体の流量が増えるので、減衰係数が大きくなって、減衰力が大きくなる。
以下、本実施の形態に係るダンパD2の作用効果について説明する。なお、第一の実施の形態のダンパD1と同様の構成については、同様の作用効果を有するので、ここでの詳細な説明を省略する。また、第一の実施の形態のダンパD1と同様の構成については同様の変更が可能であるので、これについての詳細な説明も省略する。
本実施の形態において、ダンパD2は、一対の切替ロッドとなる第一切替ロッド7Aと第二切替ロッド7Bを備える。
そして、第一切替ロッド(一方の切替ロッド)7Aに形成された第一バイパス路(バイパス路)71の連通が許容されるストローク範囲(所定のストローク範囲)E2は、ピストン3の中立位置よりも伸側のストロークエンド側(図3中左側)であって、中立位置にあるピストン3がある場合に、ピストン3の圧側室R2側の面が当該ストローク範囲E2から圧側のストロークエンド側(図3中右側)へ逸脱する位置にあるように設定されている。
その一方、第二切替ロッド(他方の切替ロッド)7Bに形成された第二バイパス路(バイパス路)72の連通が許容されるストローク範囲(所定のストローク範囲)E3は、ピストン3の中立位置よりも圧側のストロークエンド側(図3中右側)であって、中立位置にあるピストン3がある場合に、ピストン3の伸側室R1側の面がが当該ストローク範囲E3から伸側のストロークエンド側(図3中左側)へ逸脱する位置に設定されている。
上記構成によれば、ピストン3が中立位置近傍にある場合、第一バイパス路71及び第二バイパス路72の連通が遮断され、伸側室R1と圧側室R2との間を行き来する液体が伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回できなくなるので、その分、伸側通路3a及び圧側通路3bを移動する液体の流量が増加して減衰係数が大きくなる。
また、ピストン3が中立位置からある程度移動してストローク範囲E2,E3にある場合には、第一バイパス路71又は第二バイパス路72の連通が許容され、伸側室R1と圧側室R2との間を行き来する液体の一部(全部であってもよい)が伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回して第一バイパス路71又は第二バイパス路72を移動できるので、その分、伸側通路3a及び圧側通路3bを移動する液体の流量が減少して減衰係数が小さくなる。
しかし、ピストン3が両ストローク範囲E2,E3のストロークエンド側(図3中、ストローク範囲E2より左側、又はストローク範囲E3より右側)へ移動した場合には、第一バイパス路71及び第二バイパス路72の連通が遮断され、伸側室R1と圧側室R2との間を行き来する液体が伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回できなくなるので、その分、伸側通路3a及び圧側通路3bを移動する液体の流量が増加して減衰係数が大きくなる。
このように、上記構成によれば、ピストン3が中立位置近傍にある場合の減衰係数を大きくして、ダンパD2が微振幅で伸縮する場合の減衰力を大きくできる。このため、ダンパD2を備える免震装置では、ダンパD2の動き出しの減衰力を大きくできるので、強風等で構造物があおられた場合にダンパD2の大きな減衰力で構造物が揺れるのを抑制できる。
また、ピストン3の中立位置からの移動量がある程度大きくなった場合の減衰係数を小さくできるので、ダンパD2が小振幅で伸縮する場合の減衰力を小さくできる。加えて、ピストン3がストロークエンド側にある場合の減衰係数を大きくできるので、ダンパD2が大振幅で伸縮する場合の減衰力を大きくできる。
このため、ダンパD2を備える免震装置では、中小規模の地震が発生してダンパD2が小振幅で伸縮する場合の減衰係数を小さくして減衰力を小さく抑えられるので、アイソレータによる振動絶縁性を阻害せず、良好な免震効果を得られる。その一方、大地震の発生によりダンパD2の振幅が大きくなると減衰係数が大きくなるので、大きな減衰力で構造物の振幅が大きくなり過ぎて隣接する建物又は擁壁等に干渉するのを防止できる。
さらに、上記構成によれば、ピストン3が中立位置よりも伸側のストロークエンド側のストローク範囲E2にある場合の減衰力と、ピストン3が中立位置よりも圧側のストロークエンド側のストローク範囲E3にある場合の減衰力を個別に調整できる。
また、本実施の形態の第一バイパス路71と第二バイパス路72も第一の実施の形態のバイパス路70と同様に、第一切替ロッド7Aと第二切替ロッド7Bの内部を通る。このため、本実施の形態に係るダンパD2においても、ダンパD1と同様に、切替ロッドを利用しピストン位置に依存して減衰係数を切り換えても、第一バイパス路71と第二バイパス路72を形成するための加工が容易で、ピストン3の引っ掛かりを抑制できる。さらに、製品ごとの減衰性能のバラツキを抑制できる。
なお、図3に示すダンパD2では、第一切替ロッド7Aと第二切替ロッド7Bを一本ずつ記載しているが、各切替ロッドの数は適宜変更できる。また、第一バイパス路71の両端開口と、第二バイパス路72の両端開口が、シリンダ1の軸方向に交互に現れるように形成されているので、中立位置にあるピストン3が第一バイパス路71の圧側開口y又は第二バイパス路72の伸側開口xを開放するまでの距離を短くできる。しかし、第一バイパス路71の圧側開口yが第二バイパス路72の伸側開口xとシリンダ1の軸方向における同じ位置か、それよりも伸側室R1側(図3中左側)にあってもよい。
<第三の実施の形態>
図4に示すように、本発明の第三の実施の形態に係るダンパD3では、切替ロッドを一対設け、各切替ロッドに異なる種類のバイパス路を形成している点で第一の実施の形態と異なり、他の構成については同様である。そこで、以下、第一の実施の形態と異なる構成について詳細に説明し、共通の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施の形態に係るダンパD3は、一対の切替ロッドを構成する伸側切替ロッド8Aと圧側切替ロッド8Bとを備える。これら伸側切替ロッド8Aと圧側切替ロッド8Bは、ピストン3に形成された挿通孔3cにそれぞれ摺動自在に挿通されている。
伸側切替ロッド8Aには、当該伸側切替ロッド8Aの内部を通り、両端が伸側切替ロッド8Aの軸方向にずらした位置に開口する伸側バイパス路80が形成されている。そして、当該伸側バイパス路80には、伸側サブバルブV5が設けられ、当該伸側サブバルブV5により伸側バイパス路80を伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する。
また、圧側切替ロッド8Bには、当該圧側切替ロッド8Bの内部を通り、両端が圧側切替ロッド8Bの軸方向にずらした位置に開口する圧側バイパス路81が形成されている。そして、当該圧側バイパス路81には、圧側サブバルブV6が設けられ、当該圧側サブバルブV6により圧側バイパス路81を圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する。
第一の実施の形態と同様に、伸側バイパス路80及び圧側バイパス路81の両端開口のうち、伸側室R1側の開口をそれぞれ伸側開口x、圧側室R2側の開口をそれぞれ圧側開口yとすると、これらは全てピストン3で開閉される。
また、伸側バイパス路80の伸側開口xと圧側バイパス路81の伸側開口xは、シリンダ1内の軸方向の同じ位置に形成され、伸側バイパス路80の圧側開口yと圧側バイパス路81の圧側開口yは、シリンダ1内の軸方向の同じ位置に形成されている。そして、伸側開口xと圧側開口yの間隔は、挿通孔3cの軸方向長さよりも長く、伸側開口xと圧側開口yが同時にピストン3で塞がれないようになっている。
伸側開口xと圧側開口yは、ピストン3が中立位置にある場合、それぞれピストン3の両側に配置され、当該ピストン3で塞がれない位置に形成されている。また、伸側開口xは、ピストン3が伸側のストロークエンドに達する前にピストン3で塞がれる、又はピストン3が通過する位置に形成されている。その一方、圧側開口yは、ピストン3が圧側のストロークエンドに達する前にピストン3で塞がれる、又はピストン3が通過する位置に形成されている。
図4中、ピストン3の左端が伸側バイパス路80及び圧側バイパス路81の伸側開口xの左端に重なり、これら伸側開口xを塞ぐ位置を位置E4xとし、ピストン3の右端が伸側バイパス路80及び圧側バイパス路81の圧側開口yの右端に重なり、これら圧側開口yを塞ぐ位置を位置E4yとし、これら位置E4xと位置E4yとの間であって、これら位置E4x,E4yを含まない範囲をストローク範囲E4とする。
すると、ピストン3の全てがストローク範囲E4にある場合、伸側バイパス路80及び圧側バイパス路81が伸側開口xを通じて伸側室R1に連通し、圧側開口yを通じて圧側室R2に連通するので、伸側室R1と圧側室R2の差圧が伸側サブバルブV5及び圧側サブバルブV6に作用する。
このため、ピストン3がストローク範囲E4にある場合にダンパD3が伸長作動を呈すると、ピストン3で圧縮される伸側室R1の圧力を受けて伸側サブバルブV5が開弁し、伸側バイパス路80を伸側室R1から圧側室R2へ向けて液体が流れる。このように、伸側サブバルブV5が開弁し、伸側バイパス路80を介して伸側室R1と圧側室R2が連通された状態が、伸側バイパス路80の連通が許容された状態である。
反対に、ピストン3がストローク範囲E4にある場合にダンパD3が収縮作動を呈すると、圧側室R2の圧力を受けて圧側サブバルブV6が開弁し、圧側バイパス路81を圧側室R2から伸側室R1へ向けて液体が流れる。このように、圧側サブバルブV6が開弁し、圧側バイパス路81を介して伸側室R1と圧側室R2が連通された状態が、圧側バイパス路81の連通が許容された状態である。
つまり、本実施の形態では、ピストン3がストローク範囲E4にある場合、ダンパD3の伸縮作動の方向に応じて伸側バイパス路80又は圧側バイパス路81の連通が許容される。そして、伸側バイパス路80又は圧側バイパス路81の連通が許容されるストローク範囲E4は、伸側バイパス路80と圧側バイパス路81の伸側開口xと圧側開口yの位置により、予め決められた所定のストローク範囲である。
また、伸側室R1の圧力は、圧側サブバルブV6を閉弁させる方向へ作用し、圧側室R2の圧力は、伸側サブバルブV5を閉弁させる方向へ作用する。このため、ピストン3がストローク範囲(所定のストローク範囲)E4内にある場合であっても、ダンパD3が伸長作動を呈する場合には圧側サブバルブV6が閉弁した状態に維持されるとともに、ダンパD3が収縮作動を呈する場合には伸側サブバルブV5が閉弁した状態に維持される。
さらに、ピストン3の一部又は全部がストローク範囲(所定のストローク範囲)E4を超えて伸側のストロークエンド側(図4中左側)へ移動したり、ストローク範囲E4を超えて圧側のストロークエンド側(図4中右側)へ移動したりした場合は、伸側室R1と圧側室R2の差圧が伸側サブバルブV5及び圧側サブバルブV6に作用せず、これらが閉弁した状態に維持される。
そして、伸側サブバルブV5が閉弁した状態では、伸側バイパス路80を介した伸側室R1と圧側室R2との連通が遮断され、圧側サブバルブV6が閉弁した状態では、圧側バイパス路81を介した伸側室R1と圧側室R2との連通が遮断される。このように、伸側バイパス路80及び圧側バイパス路81による伸側室R1と圧側室R2との連通が遮断された状態が伸側バイパス路80及び圧側バイパス路81の連通が遮断された状態である。
上記構成によれば、ダンパD3の伸長時において、ピストン3がストローク範囲E4内を図4中左方へ移動する場合、ピストン3で圧縮された伸側室R1の圧力を受けて伸側サブバルブV5が開弁し、伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体が伸側通路3aを迂回して伸側バイパス路80を移動する。
また、ダンパD3の収縮時において、ピストン3がストローク範囲E4内を図4中右方へ移動する場合、ピストン3で圧縮された圧側室R2の圧力を受けて圧側サブバルブV6が開弁し、圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体が圧側通路3bを迂回して圧側バイパス路81を移動する。
よって、ダンパD3の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E4にある場合には、液体が伸側バイパス路80又は圧側バイパス路81を通過する分、伸側通路3a及び圧側通路3bを通過する液体の流量が減るので、減衰係数が小さくなって、減衰力が小さくなる。
これに対して、ダンパD3の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E4を超えて両方のストロークエンド側(図4中、ストローク範囲E4よりも左側又は右側)へ移動した場合には、伸側バイパス路80及び圧側バイパス路81の連通が遮断されるので、伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体は、伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回できなくなる。
よって、ダンパD3の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E4からストロークエンド側へ逸脱した位置にある場合には、伸側通路3a及び圧側通路3bを通過する液体の流量が増えるので、減衰係数が大きくなって、減衰力が大きくなる。
以下、本実施の形態に係るダンパD3の作用効果について説明する。なお、第一の実施の形態のダンパD1と同様の構成については、同様の作用効果を有するので、ここでの詳細な説明を省略する。また、第一の実施の形態のダンパD1と同様の構成については同様の変更が可能であるので、これについての詳細な説明も省略する。
本実施の形態に係るダンパD3は、一対の切替ロッドとなる伸側切替ロッド8Aと圧側切替ロッド8Bとを備える。そして、伸側切替ロッド(一方の切替ロッド)8Aに形成されたバイパス路は、伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する伸側バイパス路80であり、圧側切替ロッド(他方の切替ロッド)8Bに形成されたバイパス路は、圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する圧側バイパス路81である。
上記構成によれば、伸側バイパス路80又は圧側バイパス路81の連通が許容されるストローク範囲E4にピストン3がある場合には、伸側室R1と圧側室R2との間を行き来する液体の一部(全部であってもよい)が伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回して伸側バイパス路80又は圧側バイパス路81を移動できるようになり、その分、伸側通路3a及び圧側通路3bを移動する液体の流量が減少して減衰係数が小さくなる。
その一方、伸側バイパス路80及び圧側バイパス路81の連通が遮断されるストローク範囲E4のストロークエンド側(図4中、ストローク範囲E4よりも左側又は右側)へピストン3が移動した場合には、伸側室R1と圧側室R2との間を行き来する液体が伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回できなくなり、その分、伸側通路3a及び圧側通路3bを移動する液体の流量が増加して減衰係数が大きくなる。
このように、上記構成によれば、ピストン3がストローク範囲E4にある場合の減衰係数を小さくできるので、ダンパD3が小振幅で伸縮する場合の減衰力を小さくできる。加えて、ピストン3がストロークエンド側にある場合の減衰係数を大きくできるので、ダンパD3が大振幅で伸縮する場合の減衰力を大きくできる。
このため、ダンパD3を備える免震装置では、中小規模の地震が発生してダンパが小振幅で伸縮する場合の減衰係数を小さくして減衰力を小さく抑えられるので、アイソレータによる振動絶縁性を阻害せず、良好な免震効果を得られる。その一方、大地震の発生によりダンパD3の振幅が大きくなると減衰係数が大きくなるので、大きな減衰力で構造物の振幅が大きくなり過ぎて隣接する建物又は盗癖等に干渉するのを防止できる。
さらに、上記構成によれば、ピストン3がストローク範囲E4にある場合の伸側減衰力と圧側減衰力を個別に設定できる。そして、このようにしても伸側切替ロッド8A及び圧側切替ロッド8Bに形成する縦孔の数を一本にできるので、伸側バイパス路80及び圧側バイパス路81の形成が容易であるとともに、伸側サブバルブV5、圧側サブバルブV6等のバルブの装着が容易である。
また、本実施の形態の伸側バイパス路80と圧側バイパス路81も第一の実施の形態のバイパス路70と同様に、伸側切替ロッド8Aと圧側切替ロッド8Bの内部を通る。このため、本実施の形態に係るダンパD3においても、ダンパD1と同様に、切替ロッドを利用しピストン位置に依存して減衰係数を切り換えても、伸側バイパス路80と圧側バイパス路81を形成するための加工が容易で、ピストン3の引っ掛かりを抑制できる。さらに、製品ごとの減衰性能のバラツキを抑制できる。
なお、図4に示すダンパD3では、伸側切替ロッド8Aと圧側切替ロッド8Bを一本ずつ記載しているが、各切替ロッドの数は適宜変更できる。また、伸側バイパス路80の両端開口と、圧側バイパス路81の両端開口が、シリンダ1内の軸方向の同じ位置に形成されているが、これらの開口を軸方向にずらして形成してもよい。
<第四の実施の形態>
図5に示すように、本発明の第四の実施の形態に係るダンパD4では、切替ロッドと、その切替ロッドに形成されるバイパス路の構成が第一の実施の形態と異なり、他の構成については同様である。そこで、以下、第一の実施の形態と異なる構成について詳細に説明し、共通の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施の形態に係るダンパD4は、一対の切替ロッド9A,9Bを備える。これら切替ロッド9A,9Bは、ピストン3に形成された挿通孔3cにそれぞれ摺動自在に挿通されている。
一対の切替ロッド9A,9Bには、切替ロッド9A,9Bの内部を通り、両端が切替ロッド9A,9Bの側部の軸方向にずれた位置に開口するバイパス路90,91がそれぞれ形成されている。
第一の実施の形態と同様に、バイパス路90,91の両端開口のうち、伸側室R1側の開口をそれぞれ伸側開口x、圧側室R2側の開口をそれぞれ圧側開口yとする。バイパス路90,91は、これら伸側開口xと圧側開口yの間にも一対の開口を有し、これら開口は切替ロッド9A,9Bの側部の軸方向にずれた位置に形成されている。伸側開口xと圧側開口yの間に形成された一対の開口のうち、伸側室R1側の開口を伸側メイン開口x1、圧側室R2側の開口を圧側メイン開口y1とする。これらの開口は、全てピストン3で開閉される。
また、バイパス路90,91において、伸側メイン開口x1と圧側メイン開口y1とを結ぶ通路がメイン通路90a,91a、伸側メイン開口x1と伸側開口xとを結ぶ通路が第一サブ通路90b,91b、圧側メイン開口y1と圧側開口yとを結ぶ通路が第二サブ通路90c,91cである。
そして、本実施の形態では、一方の切替ロッド9Aの第一サブ通路90bに、伸側第一サブバルブV7が設けられ、当該伸側第一サブバルブV7により第一サブ通路90bを伸側室R1からメイン通路90aへ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する。また、一方の切替ロッド9Aの第二サブ通路90cには、圧側第一サブバルブV8が設けられ、当該圧側第一サブバルブV8により圧側室R2からメイン通路90aへ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する。
その一方、他方の切替ロッド9Bの第一サブ通路91bには、圧側第二サブバルブV9が設けられ、当該圧側第二サブバルブV9により第一サブ通路91bをメイン通路91aから伸側室R1へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する。また、他方の切替ロッド9Bの第二サブ通路91cには、伸側第二サブバルブV10が設けられ、当該伸側第二サブバルブV10により第二サブ通路91cをメイン通路91aから圧側室R2へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する。
つづいて、メイン通路90a,91aの両端開口となる伸側メイン開口x1と圧側メイン開口y1の間隔は、ともに挿通孔3cの軸方向長さよりも長く、伸側メイン開口x1と圧側メイン開口y1が同時にピストン3で塞がれないようになっている。
そして、ピストン3が中立位置にある場合、伸側開口xと圧側開口y、及び伸側メイン開口x1と圧側メイン開口y1は、それぞれピストン3の両側に配置され、当該ピストン3で塞がれない位置に形成されている。
また、伸側メイン開口x1と伸側開口xは、ピストン3が伸側のストロークエンドに達する前にピストン3で塞がれる、又はピストン3が通過する位置に形成されている。ピストン3が中立位置にある場合、伸側メイン開口x1は伸側開口xよりもピストン3に近い位置にあるので、ピストン3が中立位置から伸側のストロークエンド側へ移動すると、まずピストン3で伸側メイン開口x1が塞がれ、その後に伸側開口xが塞がれる。
その一方、圧側メイン開口y1と圧側開口yは、ピストン3が圧側のストロークエンドに達する前にピストン3で塞がれる、又はピストン3が通過する位置に形成されている。ピストン3が中立位置にある場合、圧側メイン開口y1は圧側開口yよりもピストン3に近い位置にあるので、ピストン3が中立位置から圧側のストロークエンド側へ移動すると、まずピストン3で圧側メイン開口y1が塞がれ、その後に圧側開口yが塞がれる。
図5中、ピストン3の左端が伸側開口xの左端に重なり、当該伸側開口xを塞ぐ位置を位置E5xとし、ピストン3の右端が圧側開口yの右端に重なり、当該圧側開口yを塞ぐ位置を位置E5yとし、これら位置E5xと位置E5yの間であって、これら位置E5x,E5yを含まない範囲をストローク範囲E5とする。
また、図5中、ピストン3の左端が伸側メイン開口x1の左端に重なり、当該伸側メイン開口x1を塞ぐ位置を位置E5x1とし、ピストン3の右端が圧側メイン開口y1の右端に重なり、当該圧側メイン開口y1を塞ぐ位置を位置E5y1とし、ストローク範囲E5における位置E5x1と位置E5y1との間であって、これら位置E5x1,E5y1を含まない範囲をストローク範囲E5の中央部E5aとし、ストローク範囲E5における位置E5x1,E5y1よりもストロークエンド側であって、これら位置E5x1,E5y1を含む範囲をストローク範囲E5の両端部E5b,E5cとする。
すると、ピストン3の全てが所定のストローク範囲E5における中央部E5aにある場合、メイン通路90a,91aが伸側メイン開口x1を通じて伸側室R1に連通し、圧側メイン開口y1を通じて圧側室R2に連通する。この場合、メイン通路90a,91aを介して伸側室R1と圧側室R2が連通されるので、液体がメイン通路90a,91aを通って伸側室R1と圧側室R2との間を行き来できる。
また、ピストン3の少なくとも一部がストローク範囲E5における伸側のストロークエンド側の端部E5bを移動する場合であって、ダンパD4が伸長作動を呈する場合には、ピストン3で圧縮される伸側室R1の圧力を受けて伸側第一サブバルブV7が開弁し、伸側室R1の液体が切替ロッド9Aの第一サブ通路90bとメイン通路90aをこの順に通り、圧側メイン開口y1から圧側室R2へ移動する。
反対に、ピストン3の少なくとも一部がストローク範囲E5における伸側のストロークエンド側の端部E5bを移動する場合であって、ダンパD4が収縮作動を呈する場合には、ピストン3で圧縮される圧側室R2の圧力を受けて圧側第二サブバルブV9が開弁し、圧側室R2の液体が切替ロッド9Bのメイン通路91aと第一サブ通路90bをこの順に通り、伸側開口xから伸側室R1へ移動する。
また、ピストン3の少なくとも一部がストローク範囲E5における圧側のストロークエンド側の端部E5cを移動する場合であって、ダンパD4が伸長作動を呈する場合には、ピストン3で圧縮される伸側室R1の圧力を受けて伸側第二サブバルブV10が開弁し、伸側室R1の液体が切替ロッド9Bのメイン通路91aと第二サブ通路91cをこの順に通り、圧側開口yから圧側室R2へ移動する。
反対に、ピストン3の少なくとも一部がストローク範囲E5における圧側のストロークエンド側の端部E5cにある場合であって、ダンパD4が収縮作動を呈する場合には、ピストン3で圧縮される圧側室R2の圧力を受けて圧側第一サブバルブV8が開弁し、圧側室R2の液体が切替ロッド9Aの第二サブ通路90cとメイン通路90aをこの順に通り、伸側メイン開口x1から伸側室R1へ移動する。
つまり、ピストン3の全てがストローク範囲E5にある場合、ピストン3の位置に応じてバイパス路90,91における液体が通過する通路が変わるものの、バイパス路90,91を介して伸側室R1と圧側室R2が連通される。このように、バイパス路90,91を介して伸側室R1と圧側室R2が連通された状態が、バイパス路90,91の連通が許容された状態である。
そして、バイパス路90,91の連通が許容されるストローク範囲E5は、バイパス路90,91の伸側開口xと圧側開口yの位置により、予め決められた所定のストローク範囲である。また、ストローク範囲E5における中央部E5aと両端部E5b,E5cとの境界は、メイン通路90a,91aの伸側メイン開口x1と圧側メイン開口y1の位置により決められる。
しかし、ピストン3の一部又は全部がストローク範囲(所定のストローク範囲)E5を超えて伸側のストロークエンド側(図5中左側)へ移動したり、ストローク範囲E5を超えて圧側のストロークエンド側(図5中右側)へ移動したりすると、バイパス路90,91を介した伸側室R1と圧側室R2との連通が遮断される。このように、バイパス路90,91を介した伸側室R1と圧側室R2との連通が遮断された状態である。
上記構成によれば、ダンパD4の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E5内を移動する場合、バイパス路90,91の連通が許容されるので、伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体が、伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回してバイパス路90,91を移動できる。
よって、ダンパD4の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E5にある場合には、液体がバイパス路90,91を通過する分、伸側通路3a及び圧側通路3bを通過する液体の流量が減るので、減衰係数が小さくなって、減衰力が小さくなる。
なお、ピストン3がストローク範囲E5にある場合であって、中央部E5a内を移動する場合、バイパス路90,91を通過する液体は、メイン通路90a,91aのみを通過して伸側室R1と圧側室R2との間を移動できる。液体は、当該メイン通路90a,91aを比較的抵抗なく通過できる。
しかし、ピストン3がストローク範囲E5にある場合であっても、両端部E5b,E5cへ移動した場合には、第一サブ通路90b,91b又は第二サブ通路90c,91cを通らなければバイパス路90,91を通過できない。そして、伸側第一サブバルブV7、圧側第一サブバルブV8、伸側第二サブバルブV10、及び圧側第二サブバルブV9により、第一サブ通路90b,91b及び第二サブ通路90c,91cを液体が通過する際の抵抗は、メイン通路90aを液体が通過する際の抵抗よりも大きく設定されている。
このため、ダンパD4の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E5の両端部E5b,E5cへ移動した場合、ピストン3がストローク範囲E5の中央部E5aにある場合と比較して、バイパス路90,91を液体が通過する際の抵抗が大きくなるので、減衰係数が大きくなり、減衰力が大きくなる。
さらに、ダンパD4の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E5を超えて両方のストロークエンド側(図5中、ストローク範囲E5よりも左側又は右側)へ移動した場合には、バイパス路90,91の連通が遮断されるので、伸側室R1と圧側室R2との間を移動する液体が、伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回できなくなる。
よって、ダンパD4の伸縮時において、ピストン3がストローク範囲E5からストロークエンド側へ逸脱した位置にある場合には、ピストン3がストローク範囲E5の両端部E5b,E5cへ移動した場合よりもさらに減衰係数が大きくなって、減衰力がさらに大きくなる。
以下、本実施の形態に係るダンパD4の作用効果について説明する。なお、第一の実施の形態のダンパD1と同様の構成については、同様の作用効果を有するので、ここでの詳細な説明を省略する。また、第一の実施の形態のダンパD1と同様の構成については同様の変更が可能であるので、これについての詳細な説明も省略する。
本実施の形態において、バイパス路90,91は、メイン通路90a,91aと、メイン通路90a,91aの一端に連なる第一サブ通路90bと、メイン通路90a,91aの他端に連なる第二サブ通路90c,91cとを有して構成されている。第一サブ通路90b,91bと第二サブ通路90c,91cを液体が通過する際の抵抗は、メイン通路90a,91aを液体が通過する際の抵抗よりも大きく設定されている。
そして、本実施の形態において、切替ロッド9A,9Bは、ピストン3が伸側のストロークエンド側であってストローク範囲(所定のストローク範囲)E5における一方の端部E5bへ移動する場合、メイン通路90a,91aと第一サブ通路90b,91bを介して伸側室R1と圧側室R2とを連通し、ピストン3が圧側のストロークエンド側であってストローク範囲(所定のストローク範囲)E5における他方の端部E5cへ移動する場合、メイン通路90a,91aと第二サブ通路90c,91cを介して伸側室R1と圧側室R2とを連通し、ピストン3がストローク範囲(所定のストローク範囲)E5における中間部(一方の端部E5bと他方の端部E5cとの間)E5aを移動する場合、メイン通路90a,91aを介して伸側室R1と圧側室R2とを連通する。
上記構成によれば、バイパス路90,91の連通が許容されるストローク範囲E5にピストン3がある場合には、伸側室R1と圧側室R2との間を行き来する液体の一部(全部であってもよい)が伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回してバイパス路90,91を通過できるようになり、その分、伸側通路3a及び圧側通路3bを移動する液体の流量が減少して減衰係数が小さくなる。
しかし、バイパス路90,91の連通が許容されるストローク範囲E5にピストン3がある場合であっても、当該ストローク範囲E5の中央部E5aにピストン3がある場合と比較して、ストローク範囲E5の両端部E5b,E5cへピストン3が移動した場合の方が、バイパス路90,91を液体が通過する際の抵抗が大きくなる。このため、ピストン3がストローク範囲E5の両端部E5b,E5cへ移動した場合には、減衰係数が一段階大きくなる。
そして、バイパス路90,91の連通が遮断されるストローク範囲E5のストロークエンド側(図5中、ストローク範囲E5よりも左側又は右側)へピストン3が移動した場合には、伸側室R1と圧側室R2との間を行き来する液体が伸側通路3a及び圧側通路3bを迂回できなくなる。このため、ピストン3がストローク範囲E5を超えてストロークエンド側へ移動した場合には、減衰係数がさらに一段階大きくなる。
このように、上記構成によれば、ピストン3が所定のストローク範囲E5にある場合の減衰係数を小さくできるので、ダンパD4が小振幅で伸縮する場合の減衰力を小さくできる。また、ピストン3がストローク範囲E5の両端部E5b,E5cに達すると減衰係数が一段階大きくなり、ダンパD4の振幅がさらに大きくなってストローク範囲E5を超えると減衰係数がもう一段階大きくなる。このように、上記構成によれば、ダンパD4の振幅が大きくなるにしたがって、減衰係数を段階的に大きくして、減衰力を段階的に大きくできる。
このため、ダンパD4を備える免震装置では、中小規模の地震が発生してダンパD4が小振幅で伸縮する場合の減衰係数を小さくして減衰力を小さく抑えられるので、アイソレータによる振動絶縁性を阻害せず、良好な免震効果を得られる。その一方、大地震の発生によりダンパD4の振幅が大きくなると減衰係数が大きくなるので、大きな減衰力で構造物の振幅が大きくなり過ぎて隣接する建物又は擁壁等に干渉するのを防止できる。また、本実施の形態に係るダンパD4では、減衰係数を段階的に大きくできるので、減衰力が急変するのを抑制できる。
さらに、本実施の形態のバイパス路90,91も第一の実施の形態のバイパス路70と同様に、切替ロッド9A,9Bの内部を通る。このため、本実施の形態に係るダンパD4においても、ダンパD1と同様に、切替ロッドを利用しピストン位置に依存して減衰係数を切り換えても、バイパス路90,91を形成するための加工が容易で、ピストン3の引っ掛かりを抑制できる。さらに、製品ごとの減衰性能のバラツキを抑制できる。
また、本実施の形態において、切替ロッド9A,9Bは、一対設けられている。そして、一方の切替ロッド9Aに形成された第一サブ通路90bは、伸側室R1からメイン通路90aへ向かう液体の流れのみを許容し、他方の切替ロッド9Bに形成された第一サブ通路91bは、メイン通路91aから伸側室R1へ向かう液体の流れのみを許容する。また、一方の切替ロッド9Aに形成された第二サブ通路90cは、圧側室R2からメイン通路90aへ向かう液体の流れのみを許容し、他方の切替ロッド9Bに形成された第二サブ通路91cは、メイン通路91aから圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する。
上記構成によれば、ピストン3がストローク範囲E5の両端部E5b,E5cにある場合の伸側減衰力と圧側減衰力をそれぞれ設定できる。そして、このようにしても、切替ロッド9A,9Bに形成する縦孔の数を一本にできるので、バイパス路90,91の形成が容易であるとともに、伸側第一サブバルブV7、圧側第一サブバルブV8、伸側第二サブバルブV10、及び圧側第二サブバルブV9等のバルブの装着が容易である。
なお、本実施の形態では、伸側第一サブバルブV7、圧側第一サブバルブV8、伸側第二サブバルブV10、及び圧側第二サブバルブV9により、一方の切替ロッド9Aに形成される第一サブ通路90bと第二サブ通路90cが伸側室R1又は圧側室R2からメイン通路90aへ向かう液体の流れのみを許容し、他方の切替ロッド9Bに形成される第一サブ通路91bと第二サブ通路91cがメイン通路90a,91aから伸側室R1又は圧側室R2へ向かう液体の流れを許容する。
しかし、一方の切替ロッド9Aの第一サブ通路90bに設けた伸側第一サブバルブV7と、他方の切替ロッド9Bの第一サブ通路91bに設けた圧側第二サブバルブV9を入れかえてもよい。また、一方の切替ロッド9Aの第二サブ通路90cに設けた圧側第一サブバルブV8と他方の切替ロッド9Bの第二サブ通路91cに設けた伸側第二サブバルブV10を入れかえてもよい。
さらに、第一サブ通路90b,91bと、第二サブ通路90c,91cの両方を、双方向流れを許容する通路にする場合には、切替ロッド9A,9Bの数は一本のみであってもよい。
具体的には、例えば、図6に示すダンパD40では、切替ロッド9の内部を通るバイパス路92が、メイン通路92aと、メイン通路92aの両端に連なる第一サブ通路92b及び第二サブ通路92cを有して構成されている。そして、第一サブ通路92bと第二サブ通路92cの途中に絞りV11,V12が設けられ、第一サブ通路92bと第二サブ通路92cを液体が通過する際の抵抗がメイン通路92aを液体が通過する際の抵抗よりも大きくなるように設定されている。当該構成を備えるダンパD40であっても、ダンパD4と同様に、ピストン位置に応じて減衰係数を段階的に大きくできる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。
D1,D2,D3,D4,D40・・・ダンパ、E1,E2,E3,E4,E5・・・所定のストローク範囲、E5a・・・所定のストローク範囲における中央部(一方の端部と他方の端部の間)、E5b・・・所定のストローク範囲における一方の端部、E5c・・・所定のストローク範囲における他方の端部、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室、T・・・タンク、1・・・シリンダ、3・・・ピストン、3a・・・伸側通路(減衰通路)、3b・・・圧側通路(減衰通路)、4・・・ロッド、7,7A,7B,8A,8B,9,9A,9B・・・切替ロッド、6a・・・吸込通路、6b・・・排出通路、70,90,91,92・・・バイパス路、71・・・第一バイパス路(バイパス路)、72・・・第二バイパス路(バイパス路)、80・・・伸側バイパス路(バイパス路)、81・・・圧側バイパス路(バイパス路)、90a,91a,92a・・・メイン通路、90b,91b,92b・・・第一サブ通路、90c,91c,92c・・・第二サブ通路

Claims (6)

  1. シリンダと、
    少なくとも軸方向の一端が前記シリンダ外へ突出するロッドと、
    前記ロッドの軸方向に貫通する挿通孔を有し、前記ロッドに連結して前記シリンダ内に移動可能に挿入されて、前記シリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、
    前記ピストンに形成されて、前記伸側室と前記圧側室との間を移動する液体の流れに抵抗を与える減衰通路と、
    前記シリンダ内に設けられて前記ロッドの軸方向に沿って配置されて、前記ピストンの前記挿通孔に摺動自在に挿通する切替ロッドとを備え、
    前記切替ロッドは、その内部に前記伸側室と前記圧側室とを連通可能なバイパス路を有し、前記ピストンが所定のストローク範囲内を移動する場合に前記バイパス路の連通を許容し、前記ピストンが前記所定のストローク範囲を超えてストロークエンド側を移動する場合に前記バイパス路の連通を遮断する
    ことを特徴とするダンパ。
  2. 前記切替ロッドは、一対設けられており、
    一方の前記切替ロッドに形成された前記バイパス路の連通が許容される前記所定のストローク範囲は、前記ピストンの中立位置よりも伸側のストロークエンド側に設定されるとともに、前記中立位置に前記ピストンがある場合に、前記ピストンの圧側室側の面が当該所定のストローク範囲から圧側のストロークエンド側へ逸脱する位置にあるように設定され、
    他方の前記切替ロッドに形成された前記バイパス路の連通が許容される前記所定のストローク範囲は、前記中立位置よりも圧側のストロークエンド側に設定されるとともに、前記中立位置に前記ピストンがある場合に、前記ピストンの伸側室側の面が当該所定のストローク範囲から伸側のストロークエンド側へ逸脱する位置にあるように設定される
    ことを特徴とする請求項1に記載のダンパ。
  3. 前記切替ロッドは、一対設けられており、
    一方の前記切替ロッドに形成された前記バイパス路は、前記伸側室から前記圧側室へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する伸側バイパス路であり、
    他方の前記切替ロッドに形成された前記バイパス路は、前記圧側室から前記伸側室へ向かう液体の流れに抵抗を与えるとともに、逆向きの流れを阻止する圧側バイパス路である
    ことを特徴とする請求項1に記載のダンパ。
  4. 前記バイパス路は、メイン通路と、前記メイン通路の一端に連なる第一サブ通路と、前記メイン通路の他端に連なる第二サブ通路とを有して構成されており、
    前記第一サブ通路と前記第二サブ通路を液体が通過する際の抵抗は、前記メイン通路を液体が通過する際の抵抗よりも大きく設定されており、
    前記切替ロッドは、
    前記ピストンが伸側のストロークエンド側であって前記所定のストローク範囲における一方の端部へ移動する場合、前記メイン通路と前記第一サブ通路を介して前記伸側室と前記圧側室とを連通し、
    前記ピストンが圧側のストロークエンド側であって前記所定のストローク範囲における他方の端部へ移動する場合、前記メイン通路と前記第二サブ通路を介して前記伸側室と前記圧側室とを連通し、
    前記ピストンが前記所定のストローク範囲における前記一方の端部と前記他方の端部との間を移動する場合、前記メイン通路を介して前記伸側室と前記圧側室とを連通する
    ことを特徴とする請求項1に記載のダンパ。
  5. 前記切替ロッドは、一対設けられており、
    一方の前記切替ロッドに形成された前記第一サブ通路は、前記伸側室から前記メイン通路へ向かう液体の流れのみを許容し、他方の前記切替ロッドに形成された前記第一サブ通路は、前記メイン通路から前記伸側室へ向かう液体の流れのみを許容し、
    一方の前記切替ロッドに形成された前記第二サブ通路は、前記圧側室から前記メイン通路へ向かう液体の流れのみを許容し、他方の切替ロッドに形成された前記第二サブ通路は、前記メイン通路から前記圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する
    ことを特徴とする請求項4に記載のダンパ。
  6. 前記ロッドが前記ピストンの片側から前記シリンダ外へ突出して片ロッド型に設定されており、
    内部に液体が貯留される液溜室が形成されるタンクと、
    前記液溜室から前記圧側室へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路と、
    前記液溜室から前記圧側室へ向かう液体の流れに抵抗を与える排出通路とを備える
    ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のダンパ。
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