JP2018135431A - 水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物及び積層部材 - Google Patents

水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物及び積層部材 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエステル系基材に対する接着性を有するとともに、ポリアミド系基材に対しても高い接着性を有する被膜を形成しうる水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物は、多価カルボン酸残基と、多価アルコール残基と、多価アミン残基と、を備える水溶性ポリエステルポリアミド樹脂を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物及び積層部材に関する。
ポリエステル系基材は、磁気テープ、写真フィルム、電子部品用フィルム、光学用フィルム、表面保護フィルム等の素材として幅広い用途で用いられる。また、ナイロン6、ナイロン66等からなるポリアミド系基材は、強靭性、耐衝撃性、柔軟性、耐薬品性等に優れているため、成形物、繊維、布、不織布、フィルム、シート等の様々な形態で幅広く使用されており、ポリエステル系基材と同様に、広範な用途を有する。
このような基材に塗装を施したり、印刷を施すためのインクを設けたり、ガスバリア性付与のための金属蒸着層を設けたりする際に、基材と塗膜、インク、金属等との接着性を向上させるために、接着性に優れたプライマーを基材に塗布することが行われている。
このようなプライマーとして用いられる組成物として、例えば特許文献1には、オレフィン系単量体単位から主としてなる重合体ブロック(A)と、カルボキシル基を有するビニル系単量体および該ビニル系単量体と共重合可能な他のビニル系単量体からなる重合体ブロック(B)と、から構成される重合体ブロック(C)を含有する樹脂組成物が開示されている。
しかし、特許文献1の樹脂組成物は、有機溶剤を含むため、作業環境の悪化や、自然環境への負荷が懸念される。
そこで、有機溶剤を含まない、水溶性の組成物からなるプライマーが用いられている。
例えば、特許文献2には、主としてジカルボン酸成分、グリコール成分から構成されるポリエステル樹脂(A)、塩基性化合物ならびに水を含有する易接着層形成用水性接着剤が開示されている。特許文献2の易接着層形成用水性接着剤は、主にポリエステル系基材に用いられる。
しかし、特許文献2の易接着層形成用水性接着剤は、ポリエステル系基材に対しては接着性を有するものの、ポリアミド系基材に対する接着性は低い。
特開2013−72047号公報 特開2014−125599号公報
ポリエステル系基材に対する接着性を有すると共に、ポリアミド系基材に対しても高い接着性を有する被膜を形成することは容易ではない。
本発明の目的は、ポリエステル系基材に対する接着性を有するとともに、ポリアミド系基材に対しても高い接着性を有する被膜を形成しうる水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物、及びこの水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物から形成された被膜を備える積層部材を提供することである。
本発明の一実施形態に係る水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物は、多価カルボン酸残基と、多価アルコール残基と、多価アミン残基と、を備える水溶性ポリエステルポリアミド樹脂を含有する。
本発明によれば、ポリエステル系基材に対する接着性を有するとともに、ポリアミド系基材に対しても高い接着性を有する被膜を形成しうる水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物、及びこの水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物から形成された被膜を備える積層部材を得ることができる。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態に係る水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物は、多価カルボン酸残基と、多価アルコール残基と、多価アミン残基と、を備える水溶性ポリエステルポリアミド樹脂を含有する。このため、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物は、ポリエステル系基材に対する接着性を有し、かつポリアミド系基材に対して高い接着性を有する被膜を形成することができる。
以下、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂について、詳しく説明する。
[水溶性ポリエステルポリアミド樹脂]
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂は、多価カルボン酸残基と、多価アルコール残基と、多価アミン残基と、を備える。水溶性ポリエステルポリアミド樹脂は、例えば、多価カルボン酸成分(A)と、多価アルコール成分(B)と、多価アミン成分(C)とを重縮合して得られる。
なお、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂が水溶性を有することは、技術常識に基づいて判断される。水溶性ポリエステルポリアミド樹脂は、特に次の(1)から(5)のうち少なくとも一つを満たすことが好ましい。(1)水溶性ポリエステルポリアミド樹脂のみから形成される厚み20μmの薄膜の表面全体に常温の水を0.005MPaの噴霧圧で20分間噴霧すると、この薄膜が全て水に溶解する。(2)水溶性ポリエステルポリアミド樹脂から形成される厚み20μmの薄膜の表面全体に50℃の水を0.005MPaの噴霧圧で10分間噴霧すると、この薄膜が全て水に溶解する。(3)水溶性ポリエステルポリアミド樹脂と常温の水を1:5の質量比で混合し、得られた液に超音波を20分間照射すると、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂が水に全て溶解する。(4)水溶性ポリエステルポリアミド樹脂と50℃の水を1:5の質量比で混合し、得られた液に超音波を10分間照射すると、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂が水に全て溶解する。(5)水溶性ポリエステルポリアミド樹脂と水系溶媒を1:5の質量比で混合し、得られた液を90℃で1時間撹拌すると、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂が溶媒に全て溶解する。なお、水系溶媒とは水、又は水と親水性溶媒との混合溶媒である。親水性溶媒は、水と混ざり合う公知の溶媒であればよい。
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂が水溶性を有するためには、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂は水溶性付与基を有することが好ましい。水溶性付与基はイオン性の極性基を有する基である。極性基は、中和されていてもよい。水溶性付与基は、例えば多価カルボン酸残基と多価アルコール残基とのうち、少なくとも一方に含まれている。水溶性付与基は、多価カルボン酸残基に含まれていることが好ましい。
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂は、水溶性を有するため、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物は有機溶剤を含有しなくてもよい。このため、作業環境の悪化や、自然環境への負荷を低減することができる。
<多価カルボン酸残基>
多価カルボン酸残基は、多価カルボン酸成分(A)に由来する。多価カルボン酸成分(A)は、多価カルボン酸と多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含む。多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とは、多価カルボン酸から誘導された化合物であり、カルボキシル基由来のエステル形成性誘導基を有する。カルボキシル基由来のエステル形成性誘導基は、ヒドロキシル基と反応してエステルを形成できる基であり、例えばカルボキシル基を無水化した基、カルボキシル基をエステル化した基、及びカルボキシル基をハロゲン化した基からなる群から選択される少なくとも一種の基を含む。
多価カルボン酸成分(A)は、カルボキシル基及びエステル形成性誘導基以外に、反応性の官能基を備えないことが好ましい。特に、多価カルボン酸成分(A)は、エチレン性不飽和結合、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基、及びシアノ基のうちいずれも備えないことが好ましい。なお、水溶性付与基が有するイオン性の極性基は、ここでいう反応性の官能基からは除かれる。
多価カルボン酸は、例えば、芳香族多価カルボン酸及び脂肪族多価カルボン酸からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含む。芳香族多価カルボン酸の例は、テレフタル酸及びイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;ヘミメリット酸、トリメリット酸及び無水トリメリット酸等の芳香族トリカルボン酸;ピロメリット酸等の芳香族テトラカルボン酸;並びにメリット酸等の芳香族ヘキサカルボン酸を含む。芳香族多価カルボン酸は、芳香族ジカルボン酸を含むことが好ましい。芳香族ジカルボン酸の例は、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、イソフタル酸ジメチル、5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム、フタル酸、ジフェン酸、ナフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸を含む。
多価カルボン酸成分(A)が、芳香族多価カルボン酸成分を含む場合、多価カルボン酸成分(A)に対する芳香族多価カルボン酸成分の含有量は、0〜60モル%の範囲内であることが好ましく、10〜40モル%の範囲内であることがより好ましい。芳香族多価カルボン酸成分とは、芳香族多価カルボン酸と芳香族多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含む成分である。
多価カルボン酸成分(A)は、脂肪族多価カルボン酸成分(A1)を含有することが好ましい。すなわち、多価カルボン酸残基は、脂肪族多価カルボン酸残基を含有することが好ましい。この場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物からなる被膜は、ポリエステル系基材に対して接着性を有するとともに、ポリアミド系基材に対して高い接着性を有しうる。
脂肪族多価カルボン酸残基は、脂肪族多価カルボン酸成分(A1)に由来する。脂肪族多価カルボン酸成分(A1)は、脂肪族多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含む。脂肪族多価カルボン酸は、直鎖状、分岐鎖状及び脂環式のうちいずれでもよい。脂肪族多価カルボン酸の例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;並びにアコニット酸、シクロヘキサントリカルボン酸及びオクテントリカルボン酸等の脂肪族トリカルボン酸を含む。
多価カルボン酸成分(A)が、脂肪族多価カルボン酸成分(A1)を含有する場合、多価カルボン酸成分(A)に対する脂肪族多価カルボン酸成分(A1)の含有量は、10〜95モル%の範囲内であることが好ましい。脂肪族多価カルボン酸成分(A1)の含有量がこの範囲内にあることで、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物からなる被膜のポリアミド系基材に対する接着性がより高くなりやすい。さらに、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物の透明性を向上させることができる。多価カルボン酸成分(A)に対する脂肪族多価カルボン酸成分(A1)の含有量は、30〜90モル%の範囲内であることがより好ましい。
脂肪族多価カルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸を含むことが好ましい。脂肪族ジカルボン酸は、直鎖状、分鎖状及び脂環式のうちいずれでもよい。脂肪族ジカルボン酸の例は、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、及びチオジプロピオン酸を含む。
多価カルボン酸成分(A)が、脂肪族ジカルボン酸成分を含む場合、多価カルボン酸成分(A)に対する脂肪族ジカルボン酸成分の含有量は、40〜100モル%の範囲内であることが好ましく、60〜90モル%の範囲内であることがより好ましい。脂肪族ジカルボン酸成分とは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含む成分である。
脂肪族多価カルボン酸は、長鎖脂肪族多価カルボン酸を含むことも好ましい。長鎖脂肪族多価カルボン酸とは、炭素数4以上の炭素鎖を有する脂肪族多価カルボン酸を意味する。長鎖脂肪族多価カルボン酸の例は、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、及びオクテントリカルボン酸を含む。
多価カルボン酸成分(A)が長鎖脂肪族多価カルボン酸成分を含む場合、多価カルボン酸成分(A)に対する長鎖脂肪族多価カルボン酸成分の含有量は、5〜60モル%の範囲内であることが好ましい。長鎖脂肪族多価カルボン酸成分とは、長鎖脂肪族多価カルボン酸と長鎖脂肪族多価カルボン酸のエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含む成分である。長鎖脂肪族多価カルボン酸成分の含有量がこの範囲内にあることで、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物からなる被膜のポリアミド系基材に対する接着性がより高くなりやすい。さらに、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物の透明性を向上させることができる。多価カルボン酸成分(A)に対する長鎖脂肪族多価カルボン酸成分の含有量は、15〜40モル%の範囲内であることがより好ましい。
脂肪族多価カルボン酸成分(A1)は、脂環式多価カルボン酸成分(a1)を含有することが好ましい。すなわち、脂肪族多価カルボン酸残基は、脂環式多価カルボン酸残基を含有することが好ましい。この場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物の水系溶媒に対する溶解性及び透明性を向上させることができる。
脂環式多価カルボン酸残基は、脂環式多価カルボン酸成分(a1)に由来する。脂環式多価カルボン酸成分(a1)は、脂環式多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含む。脂環式多価カルボン酸の例は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物及び1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環式トリカルボン酸;並びに1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸等の脂環式テトラカルボン酸を含む。脂環式多価カルボン酸は、脂環式ジカルボン酸を含むことが好ましい。脂環式ジカルボン酸の例は、1,3−シクロペンタンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含む。
多価カルボン酸成分(A)が脂環式多価カルボン酸成分(a1)を含有する場合、多価カルボン酸成分(A)に対する脂環式多価カルボン酸成分(a1)の含有量は、10〜90モル%の範囲内であることが好ましい。脂環式多価カルボン酸成分(a1)の含有量がこの範囲内にあることで、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物の水系溶媒に対する溶解性及び透明性をさらに向上させることができる。多価カルボン酸成分(A)に対する脂肪族多価カルボン酸成分(a1)の含有量は、40〜80モル%の範囲内であることがより好ましい。
多価カルボン酸成分(A)は、3価以上の多価カルボン酸成分(A2)と金属スルホネート基含有多価カルボン酸成分(A3)とのうちの少なくとも一方を含有することが好ましい。すなわち、多価カルボン酸残基は、3価以上の多価カルボン酸残基と金属スルホネート基含有多価カルボン酸残基とのうちの少なくとも一方を含有することが好ましい。
3価以上の多価カルボン酸残基は、水溶性付与基であり、極性基として未反応のカルボキシル基を有する。多価カルボン酸残基が、3価以上の多価カルボン酸残基を含有する場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂に、優れた水溶性を付与することができる。
3価以上の多価カルボン酸残基は、3価以上の多価カルボン酸成分(A2)に由来する。3価以上の多価カルボン酸成分(A2)は、3価以上の多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体とのうちの少なくとも一方を含む。3価以上の多価カルボン酸の例は、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメジン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸、シクロプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、及びエタンテトラカルボン酸を含む。
多価カルボン酸成分(A)が3価以上の多価カルボン酸成分(A2)を含有する場合、多価カルボン酸成分(A)に対する3価以上の多価カルボン酸成分(A2)の含有量は、
0〜30モル%の範囲内であることが好ましく、10〜20モル%の範囲内であることがより好ましい。
金属スルホネート基含有多価カルボン酸残基は、水溶性付与基であり、極性基として金属スルホネート基を有する。多価カルボン酸残基が、金属スルホネート基含有多価カルボン酸残基を含有する場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂に、優れた水溶性を付与することができる。
金属スルホネート基含有多価カルボン酸残基は、金属スルホネート基含有多価カルボン酸成分(A3)に由来する。金属スルホネート基含有多価カルボン酸成分(A3)は、金属スルホネート基含有多価カルボン酸とそのエステル形成性誘導体とのうちの少なくとも一方を含む。金属スルホネート基含有多価カルボン酸は、例えば5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩、2−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩、4−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩、スルホテレフタル酸のアルカリ金属塩、及び4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸のアルカリ金属塩からなる群から選択される少なくとも一種の成分を含むことが好ましい。この場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂に特に優れた水溶性を付与することができ、この水溶性ポリエステルポリアミド樹脂を含有する水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物から形成される被膜に高い透明性を付与することができる。金属スルホネート基含有多価カルボン酸における金属は、ナトリウム、カリウム、又はリチウムであることがより好ましい。
多価カルボン酸成分(A)は、金属スルホネート基含有多価カルボン酸成分(A3)を含有することがより好ましい。すなわち、多価カルボン酸残基は、金属スルホネート基含有多価カルボン酸残基を含有することがより好ましい。この場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂は、優れた水溶性及び透明性を有するとともに、高い溶液安定性を有しうる。なお、溶液安定性とは、経時的な溶液の変化が少ないことであり、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂が析出したりせず、長期間安定的に保存できることである。
多価カルボン酸成分(A)が金属スルホネート基含有多価カルボン酸成分(A3)を含有する場合、多価カルボン酸成分(A)に対する金属スルホネート基含有多価カルボン酸成分(A3)の含有量は、1〜30モル%の範囲内であることが好ましく、5〜30モル%の範囲内であることがより好ましい。
<多価アルコール残基>
多価アルコール残基は、多価アルコール成分(B)に由来する。多価アルコール成分(B)は、多価アルコールと多価アルコールのエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含む。多価アルコールのエステル形成性誘導体とは、多価アルコールから誘導された化合物であり、ヒドロキシル基由来のエステル形成性誘導基を有する。ヒドロキシル基由来のエステル形成性誘導基は、カルボキシル基と反応してエステルを形成できる基であり、例えばヒドロキシル基をアセテート化した基を含む。
多価アルコール成分(B)は、ヒドロキシル基及びエステル形成性誘導基以外に、反応性の官能基を備えないことが好ましい。特に上述の多価カルボン酸と多価アルコールとが、共に反応性の官能基を備えないことが好ましい。これらの場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の反応性の官能基の量が低減し、又は水溶性ポリエステルポリアミド樹脂が反応性を備えなくなる。そうすると、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の反応性が低減し、このため、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂が加熱されても水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の水溶性が低下しにくくなる。なお、水溶性付与基が有するイオン性の極性基は、反応性の官能基には含まれない。特に、多価アルコール成分(B)は、エチレン性不飽和結合、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、ニトロ基、カルボニル基、エポキシ基、及びシアノ基のうちいずれも備えないことが好ましい。
多価アルコールの例は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2-エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、4,4’−メチレンジフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタリン、2,5−ジヒドロキシナフタリン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、及びビスフェノールSを含む。ポリエチレングリコールは、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、及びオクタエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含む。ポリプロピレングリコールは、例えばジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及びテトラプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも一種の成分を含む。
多価アルコール成分(B)は、脂肪族多価アルコール成分(B1)を含有することが好ましい。すなわち、多価アルコール残基は、脂肪族多価アルコール残基を含有することが好ましい。この場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物からなる被膜のポリアミド系基材に対する接着性が高くなりやすい。さらに、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物の透明性を向上させることができる。また、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂のガラス転移温度を上昇させることができる。
脂肪族多価アルコール残基は、脂肪族多価アルコール成分(B1)に由来する。脂肪族多価アルコール成分(B1)は、脂肪族多価アルコールとそのエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含む。脂肪族多価アルコールの例は、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2-エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含む。
多価アルコール成分(B)が脂肪族多価アルコール成分(B1)を含有する場合、多価アルコール成分(B)及び多価アミン成分(C)の合計量に対する脂肪族多価アルコール成分(B1)の含有量は、60〜90モル%の範囲内であることが好ましく、70〜90モル%の範囲内であることがより好ましい。
脂肪族多価アルコール成分(B1)は、脂環式多価アルコール成分(b1)を含有することが好ましい。すなわち、脂肪族多価アルコール残基は、脂環式多価アルコール残基を含有することが好ましい。この場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物からなる被膜のポリアミド系基材に対する接着性がより高くなりやすい。さらに、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物の透明性をさらに向上させることができる。また、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂のガラス転移温度をさらに上昇させることができる。
脂環式多価アルコール残基は、脂環式多価アルコール成分(b1)に由来する。脂環式多価アルコール成分(b1)は、脂環式多価アルコールとそのエステル形成性誘導体とのうち少なくとも一方を含む。脂環式多価アルコールの例は、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含む。
多価アルコール成分(B)が脂環式多価アルコール成分(b1)を含有する場合、多価アルコール成分(B)及び多価アミン成分(C)の合計量に対する脂環式多価アルコール成分(b1)の含有量は、1〜50モル%の範囲内であることが好ましく、5〜30モル%の範囲内であることがより好ましい。
<多価アミン残基>
多価アミン残基は、多価アミン成分(C)に由来する。水溶性ポリエステルポリアミド樹脂が多価アミン残基を含有することで、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物からなる被膜のポリアミド系基材に対する接着性が高まるとともに、溶液安定性が向上される。
多価アミン成分(C)の例は、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、メタキシレンジアミン、フェニレンジアミン、1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレン、1,2,3−プロパントリアミン、及び1,3,5−ベンゼントリアミンを含む。
多価アミン成分(C)は、ジアミン成分(C1)を含有することが好ましい。すなわち、多価アミン残基は、ジアミン残基を含有することが好ましい。この場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物からなる被膜のポリアミド系基材に対する接着性がさらに高まるとともに、溶液安定性がさらに向上されうる。
ジアミン残基は、ジアミン成分(C1)に由来する。ジアミン成分(C1)の例は、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、メタキシレンジアミン、フェニレンジアミン、及び1,8−ビス(ジメチルアミノ)ナフタレンを含む。
多価アミン成分(C)がジアミン成分(C1)を含有する場合、多価アルコール成分(B)及び多価アミン成分(C)の合計量に対するジアミン成分(C1)の含有量は、10〜40モル%の範囲内であることが好ましく、10〜20モル%の範囲内であることがより好ましい。
ジアミン成分(C1)は、脂肪族ジアミン成分(c1)を含有することが好ましい。すなわち、ジアミン残基は、脂肪族ジアミン残基を含有することが好ましい。この場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物からなる被膜のポリアミド系基材に対する接着性がより高まるとともに、溶液安定性がより向上されうる。
脂肪族ジアミン残基は、脂肪族ジアミン成分(c1)に由来する。脂肪族ジアミン成分(c1)の例は、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,10−デカンジアミン、及び1,12−ドデカンジアミンを含む。
多価アミン成分(C)が脂肪族ジアミン成分(c1)を含有する場合、多価アルコール成分(B)及び多価アミン成分(C)の合計量に対する脂肪族ジアミン成分(c1)の含有量は、1〜30モル%の範囲内であることが好ましく、10〜15モル%の範囲内であることがより好ましい。
多価カルボン酸成分(A)の配合量と、多価アルコール成分(B)及び多価アミン成分(C)の配合量の合計とのモル比は、例えば1:1.5〜1:2.5の範囲内であり、1:2であることが好ましい。また多価アルコール成分(B)の配合量と多価アミン成分(C)の配合量とのモル比は、1.9:0.1〜1.7:0.3の範囲内であることが好ましい。また、多価カルボン酸成分(A)に含まれるカルボキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数と、多価アルコール成分(B)に含まれるヒドロキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数とが、モル比で1:1〜1:2.5の範囲内となるように調整されることが好ましい。なお、水溶性付与成分として3価以上の多価カルボン酸(A2)が含まれる場合、3価以上の多価カルボン酸(A2)をジカルボン酸とみなして割合が算出される。
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂における多価カルボン酸残基の含有量と、多価アルコール残基及び多価アミン残基の含有量の合計との比は、上述の配合量の比とは必ずしも一致しない。これは、エステル交換反応及び重縮合反応によって、配合された多価アルコール成分(B)及び多価アミン成分(C)の一部が失われることがあるからである。なお、多価アルコール残基の含有量と多価アミン残基の含有量との比も、上述の配合量の比とは必ずしも一致しない。
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂においては、エステル結合とアミド結合との比は、9:1〜7:3の範囲内であることが好ましい。エステル結合は、多価カルボン酸成分(A)中のカルボキシル基及びカルボキシメチル基と、多価アルコール成分(B)中のヒドロキシル基との反応により生成される。アミド結合は、多価カルボン酸成分(A)中のカルボキシル基及びカルボキシメチル基と、多価アミン成分(C)中のアミノ基との反応により生成される。
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−50〜100℃の範囲内であることが好ましい。この場合、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物の取り扱い性が良好になるとともに、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物から形成される被膜が、高い柔軟性を有しうる。水溶性ポリエステルポリアミド樹脂のガラス転移温度は、40〜75℃の範囲内であればより好ましく、40〜60℃の範囲内であれば更に好ましい。
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の重量平均分子量は、5000〜100000の範囲内であることが好ましい。この範囲内であれば、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂は、高い機械的強度を有し、水溶性が十分に高くなり、優れた溶液安定性を維持することができる。この水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の重量平均分子量は、10000〜60000の範囲内であることが更に好ましい。なお、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(ポリスチレン換算)による測定結果から導出される。
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の水溶性の程度は、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の重量平均分子量と、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂を製造するために用いられる水溶性成分の割合とが、バランスよく設定されることで、調整される。すなわち、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の重量平均分子量と、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂を製造するために用いられる水溶性付与成分の割合とが、適宜設定されることが好ましい。
[水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の製造方法]
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂は、公知のポリエステル製造方法に準じて、多価カルボン酸成分(A)、多価アルコール成分(B)、及び多価アミン成分(C)を重縮合させることによって生成される。
例えば、多価カルボン酸成分(A)と、多価アルコール成分(B)と、多価アミン成分(C)とを一段階の反応で反応させエステル交換反応と重縮合反応とを進行させる方法が採用される。
また、例えば多価カルボン酸成分(A)と多価アルコール成分(B)とのエステル交換反応である第一段反応と、第一段反応による反応生成物に多価アミン成分(C)を加えた後の、重縮合反応である第二段反応とを経て、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂が製造されてもよい。この第一段反応、及び第二段反応において、任意の時期に反応系中に触媒として、従来公知のチタン、アンチモン、鉛、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、マンガン、アルカリ金属化合物等が添加されてもよい。さらに、水溶性付与成分である3価以上の多価カルボン酸成分(A2)が用いられる場合には、上記のようにして得られた水溶性ポリエステルポリアミド樹脂を、アルカリ金属化合物等の塩基性化合物で中和することが好ましい。
[水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物]
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物は、上述の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂を含有する。
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、必要に応じて種々の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、架橋剤、帯電防止剤、防カビ剤、抗菌剤などが挙げられる。
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物は、例えば次のように製造できる。
まず、上述の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂に、水系溶媒を添加することにより水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の水系溶液を調製する。なお、水系溶媒とは水、又は水と親水性溶媒との混合溶媒である。親水性溶媒は、水と混ざり合う公知の溶媒であればよい。親水性溶媒の例は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、プロピレングリコール等のアルコール;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル;及びシクロヘキサノンを含む。
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の水系溶液に必要に応じて添加剤を混合して混合液を調製し、この混合液を混練することにより、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物が得られる。混合液の混練には、公知の方法を採用することができ、例えばミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、三本ロールミル、ニーダー等の装置を用いて混練することができる。
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物を適宜の基材上に塗布し、成形することで、被膜を得ることができる。水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物の用途は、特に限定されないが、被膜形成用であることが好ましい。この場合、ポリエステル系基材に対する接着性を有するとともに、ポリアミド系基材に対して高い接着性を有する被膜を形成することができるため、ポリエステル系基材及びポリアミド系基材の、プライマー層及びバインダー層等の被膜を形成することができる。
[積層部材]
本実施形態に係る積層部材について説明する。積層部材は、基材と、基材上の被膜と、を備える。被膜は、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物から形成される。積層部材は、被膜上に、金属製又は樹脂製の外層を更に備えることが好ましい。すなわち、基材、被膜及び外層が、この順に積層していることが好ましい。
基材の形態は特に限定されない。基材は、例えば板状、シート状又はフィルム状であってよい。基材は、例えば成形物、繊維、布であってよい。基材は、基材上に水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物の被膜を形成可能な形態であればよい。
基材は、例えば熱可塑性樹脂等の樹脂から作製され、又は鋼板等の金属から作製される。基材は、特に熱可塑性樹脂から作製されることが好ましい。熱可塑性樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリグリコール酸、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸;ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリアリレート樹脂;塩化ビニル樹脂;並びにこれらの樹脂のうち二種以上を含む混合物を含む。基材はポリアミド樹脂から作製されていることが好ましい。
被膜は、基材に水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物を塗布してから乾燥させることで、作製できる。
被膜は、例えばプライマー層又はバインダー層として機能しうる。被膜は、プライマー層であることが好ましい。水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物から作製されたプライマー層は、ポリアミド系基材に対して高い接着性を有するため、例えばポリアミドフィルムに塗装を施したり、印刷を施すためのインクを設けたり、ガスバリア性付与のための金属蒸着層を設けたりする際に、ポリアミドフィルムと塗膜、インク、金属等との接着性を向上させることができる。
被膜上には、適宜の金属製又は樹脂製の外層が作製されうる。外層の例は、写真感光層;ジアゾ感光層;マット層;磁性層;インクジェットインキ受容層;ハードコート層;塗料層;紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、印刷インキ、UVインキ等からなる層;ドライラミネート又は押し出しラミネートによる接着剤の層;金属、真空蒸着で形成される無機物又はそれらの酸化物からなる層;電子ビーム蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD又はプラズマ重合で形成される薄膜層;及び有機バリアー層を含む。水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物から形成される被膜は、種々の金属製又は樹脂製の外層との高い接着性を有しうる。
以下、本発明を実施例によって更に詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)水溶性ポリエステルポリアミド樹脂の合成
撹拌機、窒素ガス導入口、温度計、精留塔、冷却コンデンサーを備える容量1000mlの反応容器内に、後掲の表1〜3中の「原料」欄に示す成分を入れて、混合物を得た。多価カルボン酸成分:多価アルコール成分+多価アミン成分のモル比は、1:2である。この混合物を、常圧下、窒素雰囲気中で攪拌混合しながら、170℃まで加熱し、続いて3時間かけて230℃まで徐々に昇温することで、エステル交換反応を完了させた。次に、この混合物を230℃の温度下で、常圧から0.67hPa(0.5mmHg)まで徐々に減圧してから、この状態で2〜3時間保持することで、重縮合反応を進行させた。これにより、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂を得た。
(2)水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物の調整
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂100質量部と、水300質量部とを混合し、これらを攪拌しながら80〜90℃の温度下で2時間保持することで、濃度25質量%の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂溶液を得た。この水溶性ポリエステルポリアミド樹脂溶液を、水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物とした。
(3)評価試験
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物に対し、以下の評価試験を行った。なお、評価結果は、後掲の表1〜3に示す。
(3−1)溶液安定性
水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物を調製してから24時間後の経時変化を観察し、下記のように評価した。
A:変化が観察されなかった。
B:溶液粘度の上昇が観察された。
C:ゲル化が観察された。
(3−2)ヘイズ
ポリアミド基材(ユニチカ株式会社製、エンブレムON、主な原料:ナイロン、厚み:25μm)の未処理面上に水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物を塗布・乾燥し、膜厚3μmの被膜を作製した。この被膜のヘイズを、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、型番NDH2000)を用いて測定した。
(3−3)ポリエステル基材接着性
ポリエステル基材(東レ株式会社製、ルミラーT60、主な原料:PET、厚み:100μm)上に水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物を塗布・乾燥し、膜厚3μmの被膜を作製した。この被膜に、セロハン粘着テープを貼りつけてから剥がした際の被膜の剥がれの有無を確認し、下記のように評価した。
A:被膜の剥がれが確認されなかった。
B:被膜の一部の剥がれが確認された。
C:被膜の剥がれが確認された。
(3−4)ポリアミド基材接着性
ポリアミド基材(ユニチカ株式会社製、エンブレムON、主な原料:ナイロン、厚み:25μm)の未処理面上に水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物を塗布・乾燥し、膜厚3μmの被膜を作製した。この被膜に、セロハン粘着テープを貼りつけてから剥がした際の被膜の剥がれの有無を確認し、下記のように評価した。
A:被膜の剥がれが確認されなかった。
B:被膜の一部の剥がれが確認された。
C:被膜の剥がれが確認された。
(3−5)金属基材密着性
アルミ板及び銅板上に水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物を塗布・乾燥し、膜厚3μmの被膜を作製した。この被膜に、セロハン粘着テープを貼りつけてから剥がした際の被膜の剥がれの有無を確認し、下記のように評価した。
A:被膜の剥がれが確認されなかった。
B:被膜の一部の剥がれが確認された。
C:被膜の剥がれが確認された。
(3−6)その他基材密着性
ガラス板及び塩化ビニルシート上に水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物を塗布・乾燥し、膜厚3μmの被膜を作製した。この被膜に、セロハン粘着テープを貼りつけてから剥がした際の被膜の剥がれの有無を確認し、下記のように評価した。
A:被膜の剥がれが確認されなかった。
B:被膜の一部の剥がれが確認された。
C:被膜の剥がれが確認された。
(3−7)外層接着性
ポリアミド基材(ユニチカ株式会社製、エンブレムON、主な原料:ナイロン、厚み:25μm)の未処理面上に水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物を塗布・乾燥し、膜厚3μmの被膜を作製した。この被膜上に、水性塗料(株式会社アサヒペン製、水性多用途カラー、白色)をバーコーターで塗布してから、100℃で5分間加熱した。これにより、被膜上に外層として膜厚3μmの塗料層を形成した。この塗料層に、セロハン粘着テープを貼りつけてから剥がした際の塗料層の剥がれの有無を確認し、下記のように評価した。
A:塗料層の剥がれが確認されなかった。
B:塗料層の一部の剥がれが確認された。
C:塗料層の剥がれが確認された。
(3−8)延伸性
ポリエステル基材(住友ベークライト株式会社製、サンロイドペットエースGAG EPG101WP、主な原料:PET)の未処理面上に水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物を塗布・乾燥し、膜厚3μmの被膜を作製した。その後、延伸温度93℃・延伸倍率16倍にて二軸同時延伸し、延伸被膜を作製した。この延伸被膜に、セロハン粘着テープを貼りつけてから剥がした際の延伸被膜の剥がれの有無を確認し、下記のように評価した。
A:延伸被膜の剥がれが確認されなかった。
B:延伸被膜の一部の剥がれが確認された。
C:延伸被膜の剥がれが確認された。
Figure 2018135431
Figure 2018135431
Figure 2018135431

Claims (12)

  1. 多価カルボン酸残基と、多価アルコール残基と、多価アミン残基と、を備える水溶性ポリエステルポリアミド樹脂を含有する、
    水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記多価カルボン酸残基は、脂肪族多価カルボン酸残基を含有する、
    請求項1に記載の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記脂肪族多価カルボン酸残基は、脂環式多価カルボン酸残基を含有する、
    請求項2に記載の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記多価カルボン酸残基は、3価以上の多価カルボン酸残基と金属スルホネート基含有多価カルボン酸残基とのうちの少なくとも一方を含有する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記多価アルコール残基は、脂肪族多価アルコール残基を含有する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物。
  6. 前記脂肪族多価アルコール残基は、脂環式多価アルコール残基を含有する、
    請求項5に記載の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物。
  7. 前記多価アミン残基は、ジアミン残基を含有する、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物。
  8. 前記ジアミン残基は、脂肪族ジアミン残基を含有する、
    請求項7に記載の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物。
  9. 前記水溶性ポリエステルポリアミド樹脂において、エステル結合とアミド結合との比が、9:1〜7:3の範囲内である、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物。
  10. 被膜形成用である、請求項1から9のいずれか一項に記載の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物。
  11. 基材と、
    前記基材上に、請求項1から10のいずれか一項に記載の水溶性ポリエステルポリアミド樹脂組成物から形成される被膜と、を備える、
    積層部材。
  12. 前記被膜上に、金属製又は樹脂製の外層をさらに備える、
    請求項11に記載の積層部材。
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