JP2018132306A - 物理量補正システム - Google Patents

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Abstract

【課題】数値拡散誤差分の補正を高い精度で行うことが可能な物理量補正システムを提供する。【解決手段】xyz直交座標において特性曲線法に基づいて取得した物理量を補正する物理量補正システムであって、低域通過フィルタ及び帯域通過フィルタによって、周波数帯域毎の物理量に分離する分離実行手段(ステップS100)と、前記周波数帯域毎の物理量にそれぞれ異なった補正係数を乗ずることで補正物理量を取得する補正実行手段(ステップS200)と、前記周波数帯域毎の補正物理量を合算する合算実行手段(ステップS300)と、を有し、前記補正係数は、時間に減衰係数γと定数を乗じた値の指数関数の逆数により算出される。【選択図】図6

Description

本発明は、CIP法などの特性曲線法に基づいて得られる物理量を補正する物理量補正システムに関する。
従来より、コンピューター上で音波や電磁波の時間に伴う伝搬を波動理論に基づきシミュレーションする手法として、CIP(Constrained Interpolation Profile)法が提案されている(例えば、非特許文献1)。
上記のようなCIP法は特性曲線法の一種であり、細かいメッシュに区切った空間を音波が時々刻々伝搬する様子を波動方程式に基づいて計算する、時間領域波動音響解析などの手法として用いられる。
CIP法を始め特性曲線法による解析結果には、計算の進展に伴い波動の振幅が実現象以上に減衰する「数値拡散」と呼ばれる数値誤差が含まれることが知られている。
これまで、数値拡散誤差を改善する方法としては、計算において空間メッシュの離散化幅を小さくする方法が知られている。(非特許文献2参照)
「C型CIP法を用いた音場解析に関する検討」、信学技報、Vol.106,No.481,pp.17−22,s2006−98,2006. 土屋、大久保、竹内「散逸性媒質内の音波伝搬解析へのCIP法の適用 −1次元シミュレーション−」、日本音響学会誌64巻8号、pp.443−450、2008 特開2013−214299号公報 特願2015−209526号
しかしながら、非特許文献2記載のように、空間離散化幅を小さくする、すなわち、解析対象の空間をより細かいメッシュで区切ることは、より多くの記憶容量(メモリ)と計算時間を必要とする、という問題がある。
また、空間離散化幅を小さくすると、同時に時間ステップ幅も小さくする必要があり、このことも計算時間の増大を招くこととなる。例えば、1秒間の音波の伝搬を計算する場合、時間ステップ幅を0.01秒とすれば100回の計算を行うが、時間ステップ幅を0.005秒とすれば200回の計算が必要になる。
そこで、特許文献1記載のように、解析対象空間の一部領域を細かいメッシュで区切り、伝搬する音波に合わせてその領域を移動することで、数値拡散誤差を改善しつつ記憶容量と計算時間の増大を抑制する方法も提案されている。
ただし、特許文献1記載の方法は、室内空間や建物が込み入っている屋外空間のような反射面の多い複雑な空間を解析対象とした場合には、大きな効果は期待できない、という問題があった。
上記のような各問題を解決するために、本願発明者は特許文献2(特願2015−209526号)の提案を行った。特許文献2では、減衰係数γは、自由音場を対象として本計算と同じ空間離散化幅と時間ステップ幅を用いた計算により得られた距離減衰特性より求める方法を提案している。
CIP法による時間領域波動音響解析においては、座標軸に対する音波の伝搬方向によって、数値拡散誤差Eの大きさが異なることが知られている。しかしながら、特許文献2では、自由音場において距離減衰特性から減衰係数γを求める際に、座標軸に対してどの方向の距離減衰特性を用いるかについて記載されていない。したがって、特許文献2に記載の方法により数値拡散誤差を補正する際に、用いる減衰係数γが自由音場におけるどの方向の距離減衰特性から求められたかによって補正結果に差が生じ、補正量が不足したり、過剰になったりする可能性がある、という新たな問題があった。
この発明は、上記のような問題を解決するものであって、本発明に係る物理量補正システムは、xyz直交座標において特性曲線法に基づいて取得した物理量を補正する物理量補正システムであって、低域通過フィルタ及び帯域通過フィルタによって、周波数帯域毎の物理量に分離する分離実行手段と、前記分離実行手段によって分離された周波数帯域毎の物理量の各々にそれぞれ異なった補正係数を乗ずることで、周波数帯域毎の補正物理量を取得する補正実行手段と、前記補正実行手段で取得された周波数帯域毎の補正物理量を合算する合算実行手段と、を有し、周波数帯域毎の前記補正係数は、時間に減衰係数γと定数を乗じた値の指数関数の逆数により算出され、x軸と平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数がγxであり、直線x=y=zと平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数がγxyzであるとき、減衰係数γには、γxyz≦γ<γxを満たすγが用いられることを特徴とする。
また、本発明に係る物理量補正システムは、減衰係数γには、直線x=yと平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数γxyが用いられることを特徴とする。
また、本発明に係る物理量補正システムは、減衰係数γには、減衰係数γxyが用いられることを特徴とする。
また、本発明に係る物理量補正システムは、減衰係数γには、減衰係数γxyzが用いられることを特徴とする。
また、本発明に係る物理量補正システムは、減衰係数γには、(γxy+γxyz)/2が用いられることを特徴とする。
また、本発明に係る物理量補正システムは、前記低域通過フィルタによって分離された物理量に乗ずる前記補正係数は1であることを特徴とする。
本発明に係る物理量補正システムは、減衰係数γには、直線x=yと平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数γxyと、直線x=y=zと平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数γxyzと、から求められる減衰係数が用いられるので、このような本発明に係る物理量補正システムによれば、補正量が不足したり、過剰になったりすることなく、計算機の記憶容量や計算時間を抑制しつつ、数値拡散誤差分の補正を高い精度で行うことが可能となる。
本発明の実施形態に係る物理量補正方法を実行するシステムを構成するコンピューターの一例を示す図である。 数値拡散誤差の距離減衰特性を求めるために用いた自由音場の概念図である。 xyz直交座標におけるx軸に平行な方向への伝搬による距離減衰特性を示す図である。 xyz直交座標における直線x=yと平行な方向への伝搬による距離減衰特性を示す図である。 xyz直交座標における直線x=y=zと平行な方向への伝搬による距離減衰特性を示す図である。 本発明の実施形態に係る物理量補正方法の概要を示す図である。 伝搬方向別の減衰係数γの周波数特性を示す図である。 解析対象とした室内空間の計算モデルを示す図である 本発明の実施形態に係る物理量補正システムの効果を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。なお、本願発明者による特願2015−209526号中の記載は、適宜参照されることで本明細書中に援用されるものである。
図1は本発明の実施形態に係る物理量補正方法を実行するシステムを構成するコンピューターの一例を示す図である。
図1において、10はシステムバス、11はCPU(Central Processing Unit)、12はRAM(Random Access Memory)、13はROM(Read Only Memory)、14は外部情報機器との通信を司る通信制御部、15はキーボードコントローラなどの入力制御部、16は出力制御部、17は外部記憶装置制御部、18はキーボード、ポインティングデバイス、マウスなどの入力機器からなる入力部、19は印刷装置などの出力部、20はHDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置、21はグラフィック制御部、22はディスプレイ装置をそれぞれ示している。
図1において、CPU11は、ROM13内のプログラム用ROM、或いは、大容量の外部記憶装置20に記憶されたプログラム等に応じて、外部機器と通信することでデータを検索・取得したり、また、図形、イメージ、文字、表等が混在した出力データの処理を実行したり、更に、外部記憶装置20に格納されているデータベースの管理を実行したり、などといった演算処理を行うものである。
また、CPU11は、システムバス10に接続される各デバイスを統括的に制御する。ROM13内のプログラム用ROMあるいは外部記憶装置20には、CPU11の制御用の基本プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下OS)等が記憶されている。また、ROM13あるいは外部記憶装置20には出力データ処理等を行う際に使用される各種データが記憶されている。メインメモリーであるRAM12は、CPU11の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
入力制御部15は、キーボードや不図示のポインティングデバイスからの入力部18を制御する。また、出力制御部16は、プリンタなどの出力部19の出力制御を行う。
外部記憶装置制御部17は、ブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザーファイル、編集ファイル、プリンタドライバ等を記憶するHDD(Hard Disk Drive)や、或いはフロッピーディスク(FD)等の外部記憶装置20へのアクセスを制御する。本発明の物理量補正方法を実現するシステムプログラムは、上記のような外部記憶装置20に記憶されている。また、グラフィック制御部21は、ディスプレイ装置22に表示する情報を描画処理するための構成である。
また、通信制御部14は、ネットワークを介して、外部機器と通信を制御するものであり、これによりシステムが必要とするデータを、インターネットやイントラネット上の外部機器が保有するデータベースから取得したり、外部機器に情報を送信したりすることができるように構成される。
外部記憶装置20には、CPU11の制御プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下OS)以外に、本発明の物理量補正システムをCPU11上で動作させるシステムプログラム、及びこのシステムプログラムで用いるデータなどがイ ンストールされ保存・記憶されている。
本発明の物理量補正方法を実現するシステムプログラムで利用されるデータとしては、基本的には外部記憶装置20に保存されていることが想定されているが、場合によっては、これらのデータを、通信制御部14を介してインターネットやイントラネット上の外部機器から取得するように構成することも可能である。また、本発明の物理量補正方法を実現するシステムプログラムで利用されるデータを、USBメモリやCD、DVDなどの各種メディアから取得するように構成することもできる。
次に、以上のように構成されるコンピューターで実行することが可能な、本発明に係る物理量補正システムの概要を説明する。まず、本発明に係る物理量補正システムで補正対象とする、CIP法などの特性曲線法における数値拡散誤差を定量的に把握する。
本発明では、上記の課題を解決するため、CIP法による時間領域波動音響解析の解析結果に後処理を施すことで数値拡散誤差を補正する際に用いる減衰係数γの決定方法を提案する。
具体的には、本計算と同じ空間離散化幅と時間ステップ幅を用いた自由音場の計算において、音源点から2次元対角方向(xyz直交座標における直線x=yと平行な方向)、3次元対角方向(xyz直交座標における直線x=y=zと平行な方向)における距離減衰特性から求めた減衰係数γ、或いはそれらの平均を用いることで精度の良い補正を行うようにする。
図2は数値拡散誤差の距離減衰特性を求めるために用いた自由音場の概念図である。図2に示す自由音場は反射物を含まない自由音場である。このような自由音場を解析対象とし、音源点(xc,yc,zc)から4〜26mの範囲で2m毎の点の距離減衰特性を1/3オクターブ帯域(315Hz、400Hz、500Hz、630Hz、800Hz)ごとに求めて示した。
また、距離減衰特性は、自由音場において伝搬方向別に求めており、図3乃至図5には、伝搬方向別の1/3オクターブ帯域ごとの距離減衰特性が示されている。
本例においては、空間離散化幅を0.07m、時間ステップ幅0.5×10-4秒としている。音源点は自由音場の中央(座標:(xc,yc,zc))に配置し、音源点から4〜26mの範囲で2m毎に配置した受音点で観測される音圧波形をフーリエ変換した結果から、音源点から4m点を基準とした距離減衰特性を1/3オクターブ帯域ごとに求めて図示した。
図3は、受音点を音源点から、xyz直交座標におけるx軸に平行な方向に配置した場合の距離減衰特性である。具体的には、受音点座標を
と設定した。
図4は、受音点を音源点から2次元対角方向(xyz直交座標における直線x=yと平行な方向;1点鎖線)に配置した場合の距離減衰特性である。具体的には、受音点座標を
と設定した。
図5は、受音点を音源点から3次元対角方向(xyz直交座標における直線x=y=zと平行な方向;2点鎖線)に配置した場合の距離減衰特性である。具体的には、受音点座標を
と設定した。
図3乃至図5の各図には、数値拡散誤差が無い場合の距離減衰特性の理論値、即ち実際の物理現象による距離減衰特性を破線で示している。
図3乃至図5を算法すると、各伝搬方向共に、周波数が高いほど音源から離れるにしたがって理論値から乖離して音圧が減衰していることが確認できる。但し、理論値からの乖離幅、すなわち数値拡散誤差E(後述)の大きさは、伝搬方向により異なり、x軸平行方向が最も大きく、次いで2次元対角方向(xyz直交座標における直線x=yと平行な方向)、3次元対角方向(xyz直交座標における直線x=y=zと平行な方向)の順となっている。
伝搬方向別の距離減衰特性から求めた、帯域ごとの数値拡散誤差による減衰係数を図7に示す。x軸平行方向の減衰係数をγx、2次元対角方向(xyz直交座標における直線x=yと平行な方向)の減衰係数をγxy、3次元対角方向(xyz直交座標における直線x=y=zと平行な方向)の減衰係数をγxyzとして示す。
本発明に係る物理量補正システムでは、減衰係数γとして、γxyz≦γ<γxを満たすγを用いることを特徴としている。すなわち、減衰係数γとしては図7における実線と1点鎖線との間の値(実線上の値は含まず、1点鎖線上の値は含む)を用いるようにする。
さらにより好ましくは、減衰係数γとして、γ=αγxy+(1―α)γxyz(ただし、0≦α≦1)で求めたものを用いる。すなわち、減衰係数γとしては図7における破線と1点鎖線との間の値(各線上の値も含む)を用いる。例えば、α=0であるときは、γ=γxyzとなり、また、α=1であるときは、γ=γxyとなり、α=1/2であるときは、γは、γxyとγxyzの算術平均となる。
さて、図3乃至図5においては点線が理論値であるが、これらの図を参照すると、周波数が高いほど、音源から離れるにしたがって理論値から乖離して音圧が減衰していることが確認できる。なお、図示していないが、中心周波数250Hz以下の帯域の距離減衰特性は理論値とほぼ一致している。以上のように、特性曲線法における数値拡散誤差は、より周波数の高い1/3オクターブ帯域の方が、より大きくなることが把握することがきる。
そこで、本発明に係る物理量補正システムでは、CIP法などによる時間領域波動音響解析の解析結果に以下の手順で後処理を施すことで数値拡散誤差を補正する方法を提案するものである。なお、本実施形態においては、音波の伝搬を例に挙げて説明するが、本発明に係る物理量補正システムは、その他の振動や電磁波を含む波動伝搬解析一般に対しても有効である。また、以下では、CIP法による波動音響解析について述べたが、本発明に係る物理量補正システムは、特性曲線法系の諸手法を含めて、解析結果に数値拡散誤差を含む他の解析手法に対しても有効である。
補正手順の概要を図6に示す。本発明の実施形態に係る物理量補正方法の概要を示す図である。図6において、ステップS100は、低域通過フィルタ、帯域通過フィルタにより解析結果を周波数帯域ごとに分離するステップ(分離実行手段)を、また、 ステップS200は、周波数帯域ごとに分離した波形の各時刻の値に、数値拡散誤差の推定値の逆数を乗じて補正するステップ(補正実行手段)を、また、ステップS300は、分離した波形を合算して、補正後の波形を算出するステップ(合算実行手段)をそれぞれ示している。
以上のような各ステップを実行することによって、本発明に係る物理量補正システムによる数値拡散誤差の補正が行われる。
以下、本発明に係る物理量補正システムによる数値拡散誤差の補正方法の原理を説明する。CIP法による音圧の解析結果をp、数値拡散誤差が無い場合の音圧の理論値をp(ハット)として、数値拡散誤差Eを次式(4)のように定義する。
数値拡散誤差Eの距離特性は次式(5)のように指数関数で近似できる。
ここで、γは1mあたりの音圧の減衰量を表す減衰係数である。また、rは自由音場における音原点からの距離である。本発明に係る物理量補正システムでは、この減衰係数γとして、γxyz≦γ<γxを満たすγを用いる。さらにより好ましくは、減衰係数γとして、γ=αγxy+(1―α)γxyz(ただし、0≦α≦1)で求めたものを用いる。
また、音速をcとすると、t秒間に音波の伝搬する距離はctであるので、式(5)は次式のように時刻tの関数として表すことができる。
図3乃至図5に示した例から求めた減衰係数(γx,γxy,γxyz)の周波数特性を図7に示す。ここで示した例では、いずれの伝搬方向でも、160Hz以下の帯域では減衰係数はほぼ0であり、200Hz以上の帯域では周波数が高くなるにしたがい減衰係数は大きくなる。
ここで、任意の対象空間におけるCIP法による音圧時間波形の解析結果をp(t)とする。ただし、空間離散化幅と時間ステップ幅は上記の自由音場の解析と同じとする。p(t)には数値拡散誤差が含まれているが、図3乃至図5に示したようにその程度は周波数に依存する。
そこで、帯域通過フィルタにより解析結果p(t)を周波数帯域ごとに分離する(ステップS100)。分離した音圧の時間波形をpi(t)とする。iは帯域番号(1〜N)を表す。
なお、ここで示した計算例のように低周波数域(例では160Hz以下の帯域)で数値拡散誤差の影響が無視できる場合は補正処理の必要はないため、低域通過フィルタで分離する。低域通過フィルタで分離した時間波形をpL(t)とする。
周波数帯域ごとの数値拡散誤差 Ei(t)は、帯域ごとの減衰係数γiを用いて式(6)により推定される。この減衰係数γiとしては、これまで説明したように、本発明においては、γxyz≦γ<γxを満たすγを用いる。さらにより好ましくは、減衰係数γiとして、γ=αγxy+(1―α)γxyz(ただし、0≦α≦1)で求めたものを用いる。
数値拡散誤差の補正は、次式(7)により帯域ごとの時間波形pi(t)にEi(t)の逆数(補正係数ともいう)を時刻ごとに乗じて求める(ステップS200)。
なお、低域通過フィルタで分離時間波形をpL(t)には、補正係数として1が乗ぜられているものと、とらえることができる。
p'i(t)は補正後の周波数帯域ごとの時間波形である。この処理は、計算が進展する、即ち時刻tが大きくなるにしたがってEi(t)だけ減衰しているpi(t)に対してEi(t)の逆数を乗じて増幅することで、数値拡散誤差の影響を除去することを意味する。
なお、本実施形態においては、繰返しになるが、pL(t)については数値拡散誤差の影響は無視できるため、上記の補正処理は行わない。しかしながら、pL(t)の数値拡散誤差の影響が無視できないような場合には、この限りではない。
最後に分離した周波数帯域ごとの波形を合算することで、数値拡散誤差補正後の時間波形の解析結果p'i(t)とする(ステップS300)。
以上のように、本発明に係る物理量補正システムにおいては、減衰係数γには、直線x=yと平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数γxyと、直線x=y=zと平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数γxyzと、から求められる減衰係数が用いられるので、このような本発明に係る物理量補正システムによれば、補正量が不足したり、過剰になったりすることなく、計算機の記憶容量や計算時間を抑制しつつ、数値拡散誤差分の補正を高い精度で行うことが可能となる。
[実施例]
図7から得られた減衰係数γを用いて、CIP法による室内空間の時間領域波動音響解析結果を、上記記載の方法で補正した例を以下に示す。
図8は解析対象とした室内空間の計算モデルを示す図である。空間離散化幅、時間ステップ幅は上述の自由音場の計算と同じ値を用いた。
図9(a)は補正前の計算結果(補正なし)、図9(b)は減衰係数としてγxを用いた場合の補正結果(補正あり1)、図9(c)は減衰係数としてγxyとγxyz の平均値を用いた場合の補正結果(補正あり2)を示す。
各図には、精度検証のため空間離散化幅と時間ステップ幅をそれぞれ1/2として高精度の計算を行った結果(高精度計算)を破線で示す。高精度計算に含まれる数値拡散誤差は無視できる程度である。
(補正なし)の場合高精度計算と比較して数値拡散誤差により音圧振幅が減衰していること、(補正あり1)及び(補正あり2)ではこの誤差が改善できていることが確認できる。
但し、(補正あり1)では、特に70ms以降の時刻において高精度計算の音圧振幅を上回り、過剰に補正されていることがわかる。この原因は、最も数値拡散誤差の大きいx軸平行方向の距離減衰特性から求めた減衰係数γxを補正に用いた点にある。
これと比較して、(補正あり2)では、70ms以降の時刻においても高精度計算の音圧波形とほぼ一致しており補正精度が良いことが確認できる。
ここで示した例において、受音点で観測される音波は、音源点から放射され直接到達する音波に加え、室内の床面・天井面・壁面で反射して様々な方向に伝搬して到達する音波が含まれている。この場合、補正に用いる減衰係数は2次元対角方向(xyz直交座標における直線x=yと平行な方向)の減衰係数γxyと3次元対角方向(xyz直交座標における直線x=y=zと平行な方向)の減衰係数γxyzの平均値を用いることが適していることが示されている。
ここでは、2次元対角方向(xyz直交座標における直線x=yと平行な方向)の減衰係数γxyと3次元対角方向(xyz直交座標における直線x=y=zと平行な方向)の減衰係数γxyzの平均値を用いた例を示したが、γxy或いはγxyzのどちらか一方の値をそのまま用いても精度の良い補正が行えると考えられる。
本発明に係る物理量補正システムの要点は、補正の用いる減衰係数を求める際に、単純に座標軸(これまで説明した実施形態ではx軸であるが、y軸、z軸についても同様。)に平行な方向の距離減衰特性から求めない点にある。
なお、数値拡散誤差による周波数帯域ごとの減衰係数γは、自由音場を対象として本計算と同じ空間離散化幅と時間ステップ幅を用いて得られた距離減衰特性より求めることができる。言い換えれば、本発明に係る物理量補正システムにおいては、予め空間離散化幅と時間ステップ幅ごとに減衰係数を求めてデータベース化しておくことで、本計算を行うごとに自由音場の解析を行う必要はない。
また、本実施形態で示した例では、1/3オクターブ帯域ごとに数値拡散誤差の補正処理を行ったが、周波数帯域幅はこれに限るものではなく、任意に設定することができる。一般に、補正処理を行う周波数帯域幅をより狭くすれば補正の精度は上がるが、補正処理にかかる時間は増大する。
また、本発明に係る物理量補正システムにおいては、時間波形を周波数帯域ごとに分離する帯域通過フィルタ及び低域通過フィルタとしては、FIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いることが好ましい。IIR(Infinite Impulse Response)フィルタを用いず、FIRフィルタを用いることで、補正後の時間波形を合算する際に帯域ごとの位相のずれが生じないからである。
本発明に係る物理量補正システムにより、特許文献2(特願2015−209526号)に記載の、CIP法による時間領域波動音響解析の解析結果に含まれる数値拡散誤差を補正する方法の精度をより向上することができる。それにより、以下の効果が得られる。
○計算精度の向上
○それによる記憶容量と計算時間の増大は招かない
○減衰係数は空間離散化幅、時間ステップ幅及び周波数により決まるので、予め自由音場の計算により減衰係数のデータベースを作成しておけば、補正に必要な計算量の増加は最小限である
また、本実施形態では、CIP法による波動音響解析について述べたが、特性曲線法系の諸手法を含めて、解析結果に数値拡散誤差を含む他の解析手法に対しても有効である。また、本発明に係る物理量補正システムは、音波伝搬の問題に限らず、振動や電磁波を含む波動伝搬解析一般に対しても有効である。
以上、本発明に係る物理量補正システムは、減衰係数γには、直線x=yと平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数γxyと、直線x=y=zと平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数γxyzと、から求められる減衰係数が用いられるので、 このような本発明に係る物理量補正システムによれば、補正量が不足したり、過剰になったりすることなく、計算機の記憶容量や計算時間を抑制しつつ、数値拡散誤差分の補正を高い精度で行うことが可能となる。
10・・・システムバス
11・・・CPU(Central Processing Unit)
12・・・RAM(Random Access Memory)
13・・・ROM(Read Only Memory)
14・・・通信制御部
15・・・入力制御部
16・・・出力制御部
17・・・外部記憶装置制御部
18・・・入力部
19・・・出力部
20・・・外部記憶装置
21・・・インターフェイス部
21・・・グラフィック制御部
22・・・ディスプレイ装置

Claims (5)

  1. xyz直交座標において特性曲線法に基づいて取得した物理量を補正する物理量補正システムであって、
    低域通過フィルタ及び帯域通過フィルタによって、周波数帯域毎の物理量に分離する分離実行手段と、
    前記分離実行手段によって分離された周波数帯域毎の物理量の各々にそれぞれ異なった補正係数を乗ずることで、周波数帯域毎の補正物理量を取得する補正実行手段と、
    前記補正実行手段で取得された周波数帯域毎の補正物理量を合算する合算実行手段と、を有し、
    周波数帯域毎の前記補正係数は、時間に減衰係数γと定数を乗じた値の指数関数の逆数により算出され、
    x軸と平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数がγxであり、
    直線x=y=zと平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数がγxyzであるとき、
    減衰係数γには、γxyz≦γ<γxを満たすγが用いられることを特徴とする物理量補正システム。
  2. 減衰係数γには、直線x=yと平行な方向に伝搬する物理量から算出された減衰係数γxyが用いられることを特徴とする請求項1に記載の物理量補正システム。
  3. 減衰係数γには、減衰係数γxyzが用いられることを特徴とする請求項1に記載の物理量補正システム。
  4. 減衰係数γには、(γxy+γxyz)/2が用いられることを特徴とする請求項1に記載の物理量補正システム。
  5. 前記低域通過フィルタによって分離された物理量に乗ずる前記補正係数は1であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の物理量補正システム。
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