JP2018132025A - ポンプ装置及びポンプ装置のメンテナンス方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポンプケーシングに傷を付けることなく、回転軸から羽根車を容易に取り外すことができるポンプ装置及びポンプ装置のメンテナンス方法の提供。【解決手段】ポンプ装置1は、回転軸10に軸支された羽根車20と、羽根車20を収納するポンプ室31を形成するポンプケーシング30と、を有するポンプ装置1であって、羽根車20は、回転軸10が挿入される挿入孔22と、挿入孔22と連通する筒状の貫通部25と、貫通部25の内周部25a若しくは外周部25bに形成されたネジ溝26と、を有する。【選択図】図3
Description
本発明は、ポンプ装置及びポンプ装置のメンテナンス方法に関するものである。
従来のポンプ装置として、例えば特許文献1に記載されているようなカスケードポンプ(渦流ポンプ、ウェスコポンプともいう)が知られている。このカスケードポンプは、回転軸に軸支された羽根車と、この羽根車を収納するポンプ室を形成するポンプケーシングと、を有する。羽根車は、周縁部に多数の溝が切られた円板状に形成され、ポンプケーシングに収容されている。ポンプケーシングには、ポンプケーシングカバーがボルトを介して取り付けられており、これを取り外すと羽根車にアクセスでき、メンテナンスが容易な構成となっている。
図8は、従来の羽根車120の構成を示す断面図である。
図8に示すように、羽根車120は、周縁部に多数の溝121が切られた円板状に形成されており、回転軸110によって軸支されている。羽根車120には、回転軸110が挿入される挿入孔122の内周面にキー溝123が回転軸110の軸方向に沿って形成されている。キー溝123には、回転軸110の外周面に設けられたキー111が嵌合している。この羽根車120には、筒状に形成されたボス部125が、羽根車120の一方の側面124に対して垂直方向に突出して形成されており、挿入孔122に挿入された回転軸110の端面110aがボス部125を貫通して露出している。ボス部125には、窪み126が形成されている。
図8に示すように、羽根車120は、周縁部に多数の溝121が切られた円板状に形成されており、回転軸110によって軸支されている。羽根車120には、回転軸110が挿入される挿入孔122の内周面にキー溝123が回転軸110の軸方向に沿って形成されている。キー溝123には、回転軸110の外周面に設けられたキー111が嵌合している。この羽根車120には、筒状に形成されたボス部125が、羽根車120の一方の側面124に対して垂直方向に突出して形成されており、挿入孔122に挿入された回転軸110の端面110aがボス部125を貫通して露出している。ボス部125には、窪み126が形成されている。
上記メンテナンスを行うケースとしては、例えば、水の使用が無くポンプが長期間停止して羽根車120とポンプケーシングとの固着が生じた場合や、羽根車120と回転軸110との固着が生じた場合、また、長期間の使用による経年劣化のため、羽根車120の奥側に設けられたメカニカルシールの摺動摩耗により交換が必要となった場合等が挙げられる。これらのケースにおいては、いずれも羽根車120を回転軸110から一旦取り外す必要がある。従来では、羽根車120の一部(一例として、図8に示す窪み126)に工具(マイナスドライバー等)の先端を引っ掛け、ポンプケーシングカバーを取り外した際に形成される開口部の縁を支点として、てこの原理で回転軸110から羽根車120を取り外していたが、羽根車120とポンプケーシングとの固着が強固となっている場合には、支点となったポンプケーシングに小さな窪み等の傷が付いてしまう虞がある。また、回転軸110から羽根車120を取り外す際には、羽根車120に軸方向と平行に力を加えないとならないが、カスケードポンプのような小容量のポンプ装置は、例えば家屋と家屋の狭隘部の地面に直置きされ、羽根車120及び回転軸110の設置位置も地面近くの低い場所(例えば、作業者の膝より下)となっていることが多く、そのような設置場所では、回転軸110から羽根車120を軸方向と平行な力を加えて(例えば、マイナスドライバーを二本使用する等して)取り外すことは容易なことではなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ポンプケーシングに傷を付けることなく、回転軸から羽根車を容易に取り外すことができるポンプ装置及びポンプ装置のメンテナンス方法の提供を目的とする。
(1)本発明の一態様に係るポンプ装置は、回転軸に軸支された羽根車と、前記羽根車を収納するポンプ室を形成するポンプケーシングと、を有するポンプ装置であって、前記羽根車は、前記回転軸が挿入される挿入孔と、前記挿入孔と連通する筒状の貫通部と、前記貫通部の内周部若しくは外周部に形成されたネジ溝と、を有する。
このポンプ装置によれば、貫通部の内周部に挿入した軸部を、ネジ溝によって螺進させることで、軸部の先端で回転軸の端面を押圧し、回転軸から羽根車を取り外すことができる。このため、簡易的な構造で無理な力を掛けることなく羽根車に軸方向と平行な力を加えて、羽根車を回転軸から容易に取り外すことができる。
このポンプ装置によれば、貫通部の内周部に挿入した軸部を、ネジ溝によって螺進させることで、軸部の先端で回転軸の端面を押圧し、回転軸から羽根車を取り外すことができる。このため、簡易的な構造で無理な力を掛けることなく羽根車に軸方向と平行な力を加えて、羽根車を回転軸から容易に取り外すことができる。
(2)上記(1)に記載されたポンプ装置であって、前記ネジ溝は、前記貫通部の内周部に形成されていてもよい。
この場合には、貫通部に形成されたネジ溝と螺合するネジ部が、軸部に形成されたボルト等の一般的な部品を使用して、羽根車を回転軸から容易に取り外すことができる。
この場合には、貫通部に形成されたネジ溝と螺合するネジ部が、軸部に形成されたボルト等の一般的な部品を使用して、羽根車を回転軸から容易に取り外すことができる。
(3)上記(2)に記載されたポンプ装置であって、前記貫通部の外周部には、前記回転軸と直交する方向と平行に切り欠かれた一対の切り欠き部が形成されていてもよい。
この場合には、レンチ等の工具を用いて羽根車の回転を規制できるため、軸部のネジ回しが容易になる。
この場合には、レンチ等の工具を用いて羽根車の回転を規制できるため、軸部のネジ回しが容易になる。
(4)上記(2)または(3)に記載されたポンプ装置であって、前記ネジ溝に螺合し、前記貫通部の内周部を閉塞する閉塞部材を有してもよい。
この場合には、ネジ溝への水の侵入による腐食の発生や、水に含まれるミネラル分の固着等を防止することができる。このため、メンテナンス時にのみ使用するネジ溝を、メンテナンス時以外の運転時または停止時においても保護することができる。
この場合には、ネジ溝への水の侵入による腐食の発生や、水に含まれるミネラル分の固着等を防止することができる。このため、メンテナンス時にのみ使用するネジ溝を、メンテナンス時以外の運転時または停止時においても保護することができる。
(5)上記(2)〜(4)に記載されたポンプ装置であって、前記ポンプケーシングには、前記ポンプ室の一部を形成するポンプケーシングカバーが締結具を介して取り付けられており、前記締結具は、前記ネジ溝に螺合可能であってもよい。
この場合には、ネジ溝に締結具を螺合させることで、羽根車を手回しすることも可能であるため、軽度な固着であれば、羽根車を回転軸から取り外すことなく固着を取り除くことができる。
この場合には、ネジ溝に締結具を螺合させることで、羽根車を手回しすることも可能であるため、軽度な固着であれば、羽根車を回転軸から取り外すことなく固着を取り除くことができる。
(6)上記(5)に記載されたポンプ装置であって、前記締結具の軸部の長さは、前記挿入孔に挿入された前記回転軸の端面から前記貫通部の内周部の開口端までの長さよりも長くてもよい。
この場合には、ポンプケーシングにポンプケーシングカバーを取り付けていた締結具によって羽根車を取り外すことができるため、別途羽根車の取り外し用にボルト等を用意する必要がない。このため、ポンプ装置のメンテナンス作業性を向上させることができる。
この場合には、ポンプケーシングにポンプケーシングカバーを取り付けていた締結具によって羽根車を取り外すことができるため、別途羽根車の取り外し用にボルト等を用意する必要がない。このため、ポンプ装置のメンテナンス作業性を向上させることができる。
(7)本発明の一態様に係るポンプ装置のメンテナンス方法は、回転軸に軸支された羽根車と、前記羽根車を収納するポンプ室を形成するポンプケーシングと、を有し、前記羽根車は、前記回転軸が挿入される挿入孔と、前記挿入孔と連通する筒状の貫通部と、前記貫通部の内周部若しくは外周部に形成されたネジ溝と、を有する、ポンプ装置のメンテナンス方法であって、前記貫通部の内周部に挿入した軸部を、前記ネジ溝によって螺進させることで、前記軸部の先端で前記回転軸の端面を押圧し、前記回転軸から前記羽根車を取り外す。
このポンプ装置のメンテナンス方法によれば、メンテナンス作業員は、貫通部の内周部に挿入した軸部を、ネジ溝によって螺進させることで、軸部の先端で回転軸の端面を押圧し、回転軸から羽根車を取り外すことができる。このため、簡易的な構造で無理な力を掛けることなく羽根車に軸方向と平行な力を加えて、羽根車を回転軸から容易に取り外すことができる。
このポンプ装置のメンテナンス方法によれば、メンテナンス作業員は、貫通部の内周部に挿入した軸部を、ネジ溝によって螺進させることで、軸部の先端で回転軸の端面を押圧し、回転軸から羽根車を取り外すことができる。このため、簡易的な構造で無理な力を掛けることなく羽根車に軸方向と平行な力を加えて、羽根車を回転軸から容易に取り外すことができる。
上記本発明の態様によれば、ポンプケーシングに傷を付けることなく、回転軸から羽根車を容易に取り外すことができるポンプ装置及びポンプ装置のメンテナンス方法を提供できる。
以下、一実施形態に係るポンプ装置及びポンプ装置のメンテナンス方法について、図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係るポンプ装置1を示す正面図である。図2は、図1に示すポンプ装置1が有するポンプケーシング30の内部構造を示す縦断面図である。図3は、図1に示すポンプ装置の矢視A−A断面図である。
図1は、一実施形態に係るポンプ装置1を示す正面図である。図2は、図1に示すポンプ装置1が有するポンプケーシング30の内部構造を示す縦断面図である。図3は、図1に示すポンプ装置の矢視A−A断面図である。
図1に示すように、ポンプ装置1は、水を汲み上げるポンプ2と、ポンプ2の背面側に設けられ、ポンプ2を駆動する電動機(不図示)と、電動機に電力を供給するインバータ装置4と、を有する。これらポンプ2、電動機、インバータ装置4は、ユニットベース5に固定されている。また、これらポンプ2、電動機、インバータ装置4は、樹脂製のユニットカバー6によって略全体を覆われている。
ポンプ2は、摩擦ポンプとも称されるカスケードポンプであって、図2に示すように、羽根車20と、羽根車20を収納するポンプ室31を形成するポンプケーシング30と、ポンプケーシングカバー50と、を有する。羽根車20は、図3に示すように、回転軸10によって軸支されている。羽根車20は、周縁部に多数の溝21が切られた円板状に形成されており、その周縁部によって、ポンプ室31に存在する水を、ほぼ1回転させながら昇圧させるものである。
このポンプ2は小型であるが、1個の羽根車20で数段の渦巻ポンプに匹敵する揚程を得られ、小容量高揚程の目的に適している。また、カスケードポンプは、自吸性を有するので、ポンプ2よりも低い位置に設置された受水槽に蓄えた水や井戸水を汲み上げるのに適している。
電動機は、羽根車20を軸支する回転軸10を回転させることによりポンプ2を駆動させる。電動機の駆動は、インバータ装置4によって制御されており、ポンプ2の可変運転が可能とされている。ここで、インバータ装置4にて可変速運転する必要がない場合は、インバータ装置4は可変速手段を有さなくてもよい。
電動機は、羽根車20を軸支する回転軸10を回転させることによりポンプ2を駆動させる。電動機の駆動は、インバータ装置4によって制御されており、ポンプ2の可変運転が可能とされている。ここで、インバータ装置4にて可変速運転する必要がない場合は、インバータ装置4は可変速手段を有さなくてもよい。
図1に示すように、ポンプ装置1の正面には、ユニットカバー6から露出する吸込口7と、吐出口8とが設けられている。吸込口7は、図2に示すポンプケーシング30の内部に形成された内部流路32の一端部32aと連通し、吐出口8は、この内部流路32の他端部32bと連通している。内部流路32には、ポンプ室31と、気水分離室33とが形成されている。
内部流路32のうち、一端部32aからポンプ室31までの吸込流路34には、フローチェッキ弁35が設けられている。フローチェッキ弁35は、ポンプ室31よりも高い位置に設けられ、ポンプ2の駆動に先立ち、ポンプ室31の内部を満水させて自吸に必要な水位を確保すると共に、ポンプ2の停止時の水の逆流を防止し、常にポンプ室31を満水にする役割を有する。すなわち、フローチェッキ弁35は、ポンプ2の停止時、自重によって吸込流路34を閉じ、ポンプ2の駆動時には、吸込流路34を上ってくる水(始動時は空気を含む)によって押し上げられて吸込流路34を開く。
ポンプ室31の下流側には、気水分離室33が配置されている。内部流路32のうち、ポンプ室31と気水分離室33との間の接続流路36には、ポンプ室31から吐出された液体が衝突するバッフル37が配置されている。気水分離室33の底部には、ポンプ室31に連通する孔部33aが形成されている。孔部33aは、ポンプ2の始動時に、気水分離室33で空気と分離した水を、ポンプ室31に再び戻すものであり、これによりポンプ室31における負圧を発生させ、吸込流路34内の空気をなくし、水を吸い上げる。
気水分離室33の上方には、呼び水口38が形成されている。呼び水口38は、呼び水栓39によって閉塞されている。呼び水栓39は、ポンプ2の始動時に開けられ、呼び水口38から呼び水を行うことにより、気水分離室33は呼び水時水位40まで満水となる。上述したポンプ2の駆動によって、吸込流路34内の空気がなくなり、水が上がってくると、気水分離室33の役目は終わり、気水分離室33及び気水分離室33より下流側が水で満たされる。
内部流路32のうち、気水分離室33から他端部32bまでの吐出流路41には、圧力センサ42が設けられている。圧力センサ42は、呼び水時水位40よりも上方に配置され、水で満たされた吐出流路41の圧力を検出する。圧力センサ42の検出結果は、インバータ装置4に出力され、インバータ装置4は、当該検出結果に基づいて、電動機の駆動を制御する。
また、吐出流路41には、図示しない圧力タンクが設けられている。圧力タンクは、耐圧容器内にゴム製のブラダが内蔵されており、ポンプ2の吐出圧力が上昇するとブラダの外側の空気を圧縮し水が加圧状態で貯留される。また、例えば、水の使用に伴い、吐出流路41内の圧力が低下するにつれて、圧縮された空気が膨張し、貯留された水を吐出流路41に押し出す。このようにして、ポンプ2の起動直後で、給水に十分な回転速度まで上昇していなくても、しばらくは圧力タンクから吐出流路41に水を供給することができる。
図3に示すように、羽根車20は、回転軸10が挿入される挿入孔22を有する。挿入孔22は、円板状の羽根車20の中央部に形成され、その内周面にキー溝23が回転軸10の軸方向に沿って形成されている。キー溝23には、回転軸10の外周面に設けられたキー11が嵌合し、羽根車20は、運転時に回転軸10に対して軸方向に自由に平行移動できる構成となっている。
羽根車20の側面24とポンプケーシング30との間、及び羽根車20の側面24とポンプケーシングカバー50との間には、毛細管現象により水膜が介在し続けるような狭さの隙間が形成されている。このため、羽根車20が運転時に回転軸10に対して軸方向に自由に平行移動できる構成とすることで、羽根車20の軸方向両方の側面24とポンプケーシング30、及びポンプケーシングカバー50との隙間における水膜の圧力バランスを均一に保ち、常に羽根車20の両側に一定の隙間を維持して運転を行うことができる。
羽根車20は、ポンプケーシング30及びポンプケーシングカバー50を形成する材料と同一材料から形成されており、使用環境に応じて熱膨張した際に、上述の隙間が常に所定の値で管理できるようになっている。羽根車20には、挿入孔22と連通する筒状の貫通部25が形成されている。貫通部25は、内周部25aと外周部25bとを有する筒状に形成されており、羽根車20の側面24のうち、回転軸10の軸方向から視た正面側(図3において紙面左側)を向く面に対して垂直方向に、回転軸10の端面10aよりも突出している。
貫通部25の内周部25aは、軸方向において挿入孔22と連通している。この内周部25aには、軸方向に向かって螺旋状にネジ溝26が形成されている。ネジ溝26には、閉塞部材27が螺合している。本実施形態の閉塞部材27は、一例として六角穴付き止めネジであり、ネジ溝26に螺合し、貫通部25の内周部25aを閉塞できる部材であればよい。この閉塞部材27は、内周部25aに没入するため、羽根車20の回転の抵抗となることはない。また、閉塞部材27には、耐食性を有する材料、例えばステンレス鋼や樹脂製のものを使用することが好ましい。
ポンプケーシング30には、ポンプ室31の一部を形成するポンプケーシングカバー50がボルト55を介して取り付けられている。ポンプケーシングカバー50は、回転軸10の軸方向から視たポンプケーシング30の正面側(図3において紙面左側)に取り付けられており、これを取り外すとポンプケーシング30の正面側から羽根車20にアクセスすることができる。なお、羽根車20の背面側(奥側)には、回転軸10とポンプケーシング30との隙間をシールするメカニカルシール12が配置されている。
ポンプケーシングカバー50は、ポンプケーシング30の外表面43に対して軸方向に窪んだ嵌合孔44に嵌合している。ポンプケーシングカバー50は、羽根車20の側面24に対向すると共にポンプ室31の一部を形成する円環状の流路形成部51と、流路形成部51の径方向内側に設けられた中央部52と、流路形成部51の径方向外側に設けられたフランジ部53と、を有する。
ポンプケーシングカバー50において、流路形成部51は軸方向に窪んでおり、中央部52及びフランジ部53は相対的に軸方向に突出している。中央部52は、回転軸10と軸方向で対向する有頂円筒状に形成され、羽根車20に対して隙間をあけて配置されている。フランジ部53は、円環状に形成され、軸方向に貫通する貫通孔54が形成されている。貫通孔54は、フランジ部53の周方向に等間隔で複数(本実施形態では3つ)形成されており、各貫通孔54には、締結具の一例としてボルト55が挿通されている。
なお、本実施形態では、ポンプケーシング30とポンプケーシングカバー50との締結具としてボルト55を例示したが、締結具はボルト55に限らない。締結具は、ネジ溝26並びにポンプケーシング30と螺合可能な形状であればよい。
なお、本実施形態では、ポンプケーシング30とポンプケーシングカバー50との締結具としてボルト55を例示したが、締結具はボルト55に限らない。締結具は、ネジ溝26並びにポンプケーシング30と螺合可能な形状であればよい。
ボルト55は、ポンプケーシングカバー50をポンプケーシング30に取り付けるだけでなく、上述した貫通部25の内周部25aに形成されたネジ溝26に螺合可能なものとされている。そして、このボルト55の軸部55aの長さaは、挿入孔22に挿入された回転軸10の端面10aから貫通部25の内周部25aの開口端までの長さbよりも長くなっている。
続いて、図4を参照して、上記構成のポンプ装置1のメンテナンス方法について説明する。
図4は、一実施形態に係るポンプ装置1のメンテナンス方法を説明するための図である。
図4は、一実施形態に係るポンプ装置1のメンテナンス方法を説明するための図である。
ポンプ装置1は、経年の使用により羽根車20の摩耗による性能劣化や羽根車20の奥側に設けられたメカニカルシール12が劣化してしまう虞があるため、数年に1度は定期的なメンテナンスが必要である。
このような場合には、先ず、図3に示すボルト55の締結を解除し、ポンプケーシング30に取り付けられたポンプケーシングカバー50を取り外す。次に、図4(a)に示すように、羽根車20から閉塞部材27を取り外し、貫通部25の内周部25aを介して、回転軸10の端面10aを外部に露出させる。次に、ポンプケーシングカバー50をポンプケーシング30に取り付けていたボルト55を、貫通部25の内周部25aに形成されたネジ溝26に螺入する。
軸部55aには、一体的にネジ部が設けられており、このネジ部をネジ溝26にねじ込むと、軸部55aが前進し、その先端が回転軸10の端面10aに接触する。図4(b)に示すように、回転軸10の端面10aに接触して軸部55aが前進できなくなると、反対にネジ溝26が形成された羽根車20が、回転軸10の端面10aから離れる方向へ動かされ、羽根車20が回転軸10から取り外される。
このように、本実施形態によれば、貫通部25の内周部25aに挿入した軸部55aを、ネジ溝26によって螺進させることで、軸部55aの先端で回転軸10の端面10aを押圧し、その反力によって羽根車20を回転軸10から取り外すことができるため、簡易的な構造で無理な力を掛けることなく羽根車20に軸方向と平行な力を加えて、羽根車20を回転軸10から容易に取り外すことができる。このため、本実施形態のように、羽根車20がポンプケーシング30の外表面43から一段奥まった部分に取り付けられていた場合であっても、ポンプケーシング30に傷を付けることなく、羽根車20を回転軸10から容易に取り外すことができる。
また、上述したように、ポンプ装置1は、羽根車20の軸方向両方の側面24とポンプケーシング30との狭い隙間には、毛細管現象により水滴が介在し続ける構成となっている。また、本実施形態のように、羽根車20とポンプケーシング30を構成する材料を同一材料とした場合、羽根車20とポンプケーシング30の親和性が良いことから、特に水滴が付着した状態且つポンプ2が停止した状態で長時間が経過すると両者が固着してしまうことがある。これが、羽根車20とポンプケーシング30との固着である。
また、ポンプ装置1は、羽根車20と回転軸10が一定の嵌合状態で組み立てられており、この嵌合部分も使用流体や使用温度にもよるが停止状態で一定期間経過すると固着してしまうことがある。例えば、ポンプ装置1が融雪装置で使用されている場合、夏の間は、ポンプ2が全く使用されないため、固着が発生してしまう虞がある。また、経年劣化によって、羽根車20や回転軸10や互いの動力を伝達するためのキー11に僅かな変形が生じると、これによっても両者が固着してしまうことがある。これが、羽根車20と回転軸10との固着である。
上述のような羽根車20の固着が生じた場合、ポンプ2を復帰させるためには、羽根車20を回転軸10から一旦取り外し、固着面を清掃する必要がある。このように強固に固着した羽根車20を取り外す場合でも、本実施形態によれば、作業員は、羽根車20を回転軸10から容易に取り外すことができる。
また、本実施形態のポンプ装置1は、図3に示すように、ネジ溝26に螺合し、貫通部25の内周部25aを閉塞する閉塞部材27を有している。この構成によれば、ネジ溝26への水の侵入による腐食の発生や、水に含まれるミネラル分の固着等を防止することができる。このため、上述したようにメンテナンス時にのみ使用するネジ溝26を、メンテナンス時以外の運転時または停止時においても保護することができる。
また、本実施形態では、ポンプケーシング30には、ポンプ室31の一部を形成するポンプケーシングカバー50がボルト55を介して取り付けられており、ボルト55は、ネジ溝26に螺合可能とされている。この構成によれば、ネジ溝26にボルト55を螺合させることで、羽根車20を手回しすることも可能であるため、軽度な固着であれば、羽根車20を回転軸10から取り外すことなく固着を取り除くことができる。また、ボルト55を、貫通部25の内周部25aを閉塞する閉塞部材27として利用することもできる。
さらに、図3に示すように、ボルト55の軸部55aの長さaが、挿入孔22に挿入された回転軸10の端面10aから貫通部25の内周部25aの開口端までの長さbよりも長くなっていれば、上述したようにボルト55によって羽根車20を取り外すことができるため、別途取り外し治具を用意する必要がない。このため、ポンプ装置1のメンテナンス作業性を向上させることができる。
このように、上述の本実施形態によれば、回転軸10に軸支された羽根車20と、羽根車20を収納するポンプ室31を形成するポンプケーシング30と、を有するポンプ装置1であって、羽根車20は、回転軸10が挿入される挿入孔22と、挿入孔22と連通する筒状の貫通部25と、貫通部25の内周部25aに形成されたネジ溝26と、を有する、という構成を採用することによって、メンテナンス時にポンプケーシング30に傷を付けることなく、回転軸10から羽根車20を容易に取り外すことができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
例えば、本発明は、図5に示すような構成を採用することができる。
図5は、一実施形態の変形例に係る貫通部25を軸方向から視た図である。
図5に示す貫通部25の外周部25bには、軸方向と直交する方向と平行に切り欠かれた一対の切り欠き部28が形成されている。この構成によれば、作業員は、レンチ等の工具で切り欠き部28を挟んで羽根車20を固定することにより、羽根車20の回転を規制できるため、ボルト55のネジ回しが容易になる。
図5は、一実施形態の変形例に係る貫通部25を軸方向から視た図である。
図5に示す貫通部25の外周部25bには、軸方向と直交する方向と平行に切り欠かれた一対の切り欠き部28が形成されている。この構成によれば、作業員は、レンチ等の工具で切り欠き部28を挟んで羽根車20を固定することにより、羽根車20の回転を規制できるため、ボルト55のネジ回しが容易になる。
また、本発明は、図6に示すような治具60を使用してもよい。
図6は、図5に示す一対の切り欠き部28を有する羽根車20を回転軸10から取り外すために適した治具60を示す構成図である。
図6に示す治具60は、Tレンチ型に形成されており、軸部61の先端部に一体的にネジ部62が形成され、軸部61の基端部から左右方向に取手部63が延在している。この治具60は、軸部61に対して回転自在に取り付けられたソケット64を有しており、ソケット64には、一対の切り欠き部28と接する平面状の一対の回転規制部65と、作業者が把持するための把持部66が形成されている。この構成によれば、作業者がソケット64を貫通部25の外周部25bに嵌め込みつつ治具60を回転させることにより、羽根車20の回転を規制しながら、羽根車20を回転軸10から容易に取り外すことができる。
図6は、図5に示す一対の切り欠き部28を有する羽根車20を回転軸10から取り外すために適した治具60を示す構成図である。
図6に示す治具60は、Tレンチ型に形成されており、軸部61の先端部に一体的にネジ部62が形成され、軸部61の基端部から左右方向に取手部63が延在している。この治具60は、軸部61に対して回転自在に取り付けられたソケット64を有しており、ソケット64には、一対の切り欠き部28と接する平面状の一対の回転規制部65と、作業者が把持するための把持部66が形成されている。この構成によれば、作業者がソケット64を貫通部25の外周部25bに嵌め込みつつ治具60を回転させることにより、羽根車20の回転を規制しながら、羽根車20を回転軸10から容易に取り外すことができる。
また、本発明は、図7に示すような構成を採用してもよい。
図7は、一実施形態の変形例に係る羽根車20A及びこの羽根車20Aを回転軸10から取り外すために適した治具70を示す構成図である。
図7に示す羽根車20Aにおいては、ネジ溝26が貫通部25の外周部25bに形成されている。この羽根車20Aにおいては、貫通部25の内周部25aが回転軸10の挿入孔22の少なくとも一部を形成している。治具70は、貫通部25の内周部25aに挿入可能な軸部71と、軸部71と一体的に形成されたナット部72と、ナット部72の内周面に形成されたネジ部73と、軸部71を回転させるT字の取手部74と、を有する。この構成によれば、貫通部25の内周部25aに軸部71を挿入し、軸部71と一体的に設けられたナット部72を貫通部25の外周部25bに形成されたネジ溝26にねじ込むことで、軸部71の先端で回転軸10の端面10aを押圧し、回転軸10から羽根車20Aを取り外すことができる。
図7は、一実施形態の変形例に係る羽根車20A及びこの羽根車20Aを回転軸10から取り外すために適した治具70を示す構成図である。
図7に示す羽根車20Aにおいては、ネジ溝26が貫通部25の外周部25bに形成されている。この羽根車20Aにおいては、貫通部25の内周部25aが回転軸10の挿入孔22の少なくとも一部を形成している。治具70は、貫通部25の内周部25aに挿入可能な軸部71と、軸部71と一体的に形成されたナット部72と、ナット部72の内周面に形成されたネジ部73と、軸部71を回転させるT字の取手部74と、を有する。この構成によれば、貫通部25の内周部25aに軸部71を挿入し、軸部71と一体的に設けられたナット部72を貫通部25の外周部25bに形成されたネジ溝26にねじ込むことで、軸部71の先端で回転軸10の端面10aを押圧し、回転軸10から羽根車20Aを取り外すことができる。
また、例えば、上記実施形態では、図3に示すように、閉塞部材27が六角穴付き止めネジである構成を採用したが、この構成に限定されるものではなく、例えば、閉塞部材27がボルトのような部材であってもよいし、また、図7に示す構成であれば、閉塞部材27がキャップのような部材であってもよい。
また、ネジ溝26を耐腐食コーティング等すれば、必ずしも閉塞部材27を取り付ける必要はない。
また、ネジ溝26を耐腐食コーティング等すれば、必ずしも閉塞部材27を取り付ける必要はない。
また、例えば、上記実施形態では、図1に示すポンプ2の背面側に電動機が設けられる構成を採用したが、例えば、電動機を正面側に設け、ポンプケーシングカバー50を貫通して配置された回転軸10に羽根車20が軸支されるような構成を採用してもよい。この構成によれば、ポンプケーシング30から、電動機と共にポンプケーシングカバー50及び羽根車20を抜き出した後、回転軸10に固着している羽根車20を、図4に示す手順によって同様にして取り外すことができる。
また、電動機(回転軸10)の向きは水平方向に限定されず、例えば、電動機が垂直方向(鉛直方向)に設置されるようなポンプ装置にも本発明を適用することができる。
また、電動機(回転軸10)の向きは水平方向に限定されず、例えば、電動機が垂直方向(鉛直方向)に設置されるようなポンプ装置にも本発明を適用することができる。
また、例えば、上記実施形態では、ポンプ装置1としてカスケードポンプを例示したが、羽根車を有する他の非容積ポンプ(遠心ポンプや軸流ポンプ等)にも本発明を適用することができる。
1…ポンプ装置、10…回転軸、10a…端面、20…羽根車、20A…羽根車、22…挿入孔、25…貫通部、25a…内周部、25b…外周部、26…ネジ溝、27…閉塞部材、28…切り欠き部、30…ポンプケーシング、31…ポンプ室、50…ポンプケーシングカバー、55…ボルト(締結具)、55a…軸部、60…治具、61…軸部、62…ネジ部、70…治具、71…軸部、73…ネジ部
Claims (7)
- 回転軸に軸支された羽根車と、前記羽根車を収納するポンプ室を形成するポンプケーシングと、を有するポンプ装置であって、
前記羽根車は、
前記回転軸が挿入される挿入孔と、
前記挿入孔と連通する筒状の貫通部と、
前記貫通部の内周部若しくは外周部に形成されたネジ溝と、を有する、ことを特徴とするポンプ装置。 - 前記ネジ溝は、前記貫通部の内周部に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
- 前記貫通部の外周部には、前記回転軸と直交する方向と平行に切り欠かれた一対の切り欠き部が形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載のポンプ装置。
- 前記ネジ溝に螺合し、前記貫通部の内周部を閉塞する閉塞部材を有する、ことを特徴とする2または3に記載のポンプ装置。
- 前記ポンプケーシングには、前記ポンプ室の一部を形成するポンプケーシングカバーが締結具を介して取り付けられており、
前記締結具は、前記ネジ溝に螺合可能である、ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のポンプ装置。 - 前記締結具の軸部の長さは、前記挿入孔に挿入された前記回転軸の端面から前記貫通部の内周部の開口端までの長さよりも長い、ことを特徴とする請求項5に記載のポンプ装置。
- 回転軸に軸支された羽根車と、前記羽根車を収納するポンプ室を形成するポンプケーシングと、を有し、
前記羽根車は、
前記回転軸が挿入される挿入孔と、
前記挿入孔と連通する筒状の貫通部と、
前記貫通部の内周部若しくは外周部に形成されたネジ溝と、を有する、ポンプ装置のメンテナンス方法であって、
前記貫通部の内周部に挿入した軸部を、前記ネジ溝によって螺進させることで、前記軸部の先端で前記回転軸の端面を押圧し、前記回転軸から前記羽根車を取り外す、ことを特徴とするポンプ装置のメンテナンス方法。
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JP2017027869A JP2018132025A (ja) | 2017-02-17 | 2017-02-17 | ポンプ装置及びポンプ装置のメンテナンス方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7426920B2 (ja) | 2020-11-13 | 2024-02-02 | 株式会社クボタ | 排水ポンプ、着脱方法及び管路構造 |
Citations (4)
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JP2011012731A (ja) * | 2009-07-01 | 2011-01-20 | Toyota Industries Corp | 軸保持具 |
JP2013257029A (ja) * | 2012-06-14 | 2013-12-26 | Sekisui Chem Co Ltd | 管継手 |
-
2017
- 2017-02-17 JP JP2017027869A patent/JP2018132025A/ja active Pending
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