JP2018130794A - ワーク保持部材、及びそれを用いるワーク回転装置 - Google Patents
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収容空間形成部の弾性力によって当接面がワークの壁面に当接して、収容空間にワークを保持する保持力が発生する。また、外部からの作用力によって弾性変形すると、複数の当接面の間隔が広くなる。これにより、ワークを保持あるいは取り外しがしやすくなるうえ、ワークに直接接触しなくてもワークの姿勢を変更することができるので、欠け不良等も発生しない。
これにより、ワーク受け部にワークの壁面をはめ込むことで、ワークの姿勢を任意に制御することができる。ワークを手や機械で直接保持する必要なく、ワーク保持部材の回転移動だけでワークの姿勢を変更できるため、ワーク欠けも発生しない。
(第一実施形態)
本実施形態に係るワーク30について図1に基づいて説明する。図1(a)はワーク30を表す斜視図、図1(b)はワーク30を図1(a)の矢印Ib方向から見た正面図である。ワーク30は、断面が長方形の細長いセラミック製の角柱である。ワーク30の4壁面のうち、面積が大きい任意の一面をワーク第一面31、ワーク第一面31と平行な面をワーク第二面32とする。ワーク第一面31に含まれる長辺2辺をそれぞれ、ワーク第一辺36、ワーク第二辺37とする。ワーク第一面31とワーク第二面32とに接続し、ワーク第二辺37を含む面をワーク第三面33とする。ワーク第三面33と平行で、ワーク第一辺36を含む面をワーク第四面34とする。また、角柱の底の一面をワーク第五面35とする。ワーク30の第五面の中心から、ワーク30の長手方向に平行な線を軸中心線38とする。
第一外平面14と円柱の半径との距離の差分をd1とする。第二外平面15と円柱の半径との差分をd2とする。本実施形態では、d1=d2である。
第一内部面122の上方向の終端部を第一内部面第一終端部125とし、第一内部面122の下方向の終端部を第一内部面第二終端部126とする。第一変形空間形成部12は、第一内部面第一終端部125と第一ワーク接触面112の下側終端部とを接続する面であり、第一変形空間121の一部を規定する第一接続面123を有する。第一変形空間形成部12は、第一内部面第二終端部126と第二ワーク接触面113の下側終端部とを接続する面であり、第一変形空間121の一部を規定する第二接続面124を有する。
(a)ワーク保持部材10は、ウレタンゴムの弾性変形を利用してワーク30の保持と取り外しが可能である。繰り返し使用できるうえ、ウレタンゴムを加工するだけの簡易な設備であるので低コストである。
(b)柱状のワーク30のように折れやすい形状であっても、その長手方向の一部の面だけを押さえて保持することができる。そのため、ワーク30に触れずに取り扱うことができるため、ワーク30の欠けを防ぐことができる。
(c)収容空間111を挟んで両側に第一変形空間121と第二変形空間131とを有しているので、収容空間形成部11の変形量を大きくすることができる。そのため、ワーク30を挿入しやすく、また取り出しやすい。
(d)ワーク保持部材10は、第一外平面14と第二外平面15とを持つため、平面による位置決めがしやすく、また平面であるため指や機械などで挟んで持ちやすい。ワーク30に直接接触することなく持ち運びも可能なため、ワーク欠けなどが発生しにくい。
(e)第一内部面122から第一外弧面16の間の厚みは一定である。そのため、第一外弧面16から第一内部面122に向かう方向に力を加えても、応力が集中する箇所がなく割れにくい。第二内部面132と第二外弧面17との関係についても同様の効果がある。
(f)第一変形空間121と第二変形空間131は同一の断面形状であり、ワーク保持部材10の軸中心を挟んで点対称に位置している。そのため、力が加わったときの第一変形空間121と第二変形空間131との変形量を均等にすることができる。結果として収容空間形成部11の変形量も安定するため、ワーク30の固定や取り外しがより容易となる。
(g)第一外弧面16と、第二外弧面17とは円柱の一部であるため、断面が円弧となる部分を利用して、ワーク保持部材10をステージの上などで回転させて移動することが容易である。
(h)上面21と第一ワーク接触面112との境界に形成された傾斜面18、及び上面21と第二ワーク接触面113との境界に形成された傾斜面19がガイドの役割をし、ワーク30を挿入しやすい。
(i)第一外平面14を平たいステージの上に置くだけで、ワーク第一面31とワーク第四面34とが上を向き、さらに鉛直方向に対して45度の角度をなすようにできる。第二外平面15を平たいステージの上におくと、ワーク第二面32とワーク第三面33とが上を向き、さらに鉛直方向に対して45度の角度をなすようにできる。そのため、角部の加工が容易になる。
(j)アーム53はワーク保持部材10の外壁部にのみ接触し、ワーク30に接触することはないため、ワーク欠け等の不良が発生することがない。
(k)保持部材転面部54の第一転がり面542と第二転がり面543とは滑らかに接続されているため、ワーク保持部材10が突起等に引っかかることなく回転移動できる。
(l)アーム53によってワーク保持部材10の外壁部に力を与えて保持部材転面部54の表面を回転移動させる簡易な構造であるため装置コストを低減できる。
(m)第一転がり面542は、ワーク保持部材10の第二外平面15と沿うように形成されているため、ワーク保持部材10が右側に回転してきたときに第二外平面15と第一転がり面542とが隙間なく接触可能であり、ワーク保持部材10の姿勢が安定する。
(n)柱状のワーク30のように折れやすい形状であっても、ワーク保持部材10の外壁にのみ触れてワーク30を回転させ姿勢を変更できる。そのため、ワーク30の欠けを防ぐことができる。
(o)ワーク30の位置と姿勢はワーク受け部51で決定されるため、ワーク保持部材10の外形等に多少の個体差があっても、ワーク30の位置合わせが可能である。
本発明の第二実施形態に係るワーク保持部材40について図18と図19とに基づいて説明する。ワーク保持部材40は、ワーク30の一部を収容可能な収容空間411を有する収容空間形成部41を備える。ワーク保持部材40は、「変形空間形成部」としての第一変形空間形成部42と、「変形空間形成部」としての第二変形空間形成部43とを備える。第一変形空間形成部42は、収容空間411と接続した「変形空間」としての第一変形空間420を有し、収容空間形成部11と一体形成されている。第二変形空間形成部43は、収容空間411と接続した「変形空間」としての第二変形空間430を有し、収容空間形成部41と一体形成される。第一変形空間形成部42と第二変形空間形成部43とは、収容空間形成部41を挟んで両側に形成される。
収容空間形成部41と第一変形空間形成部42と第二変形空間形成部43との境界を図18に点線で示す。
(ア)第一実施形態においては、ワーク保持部材は円柱状であり、第二実施形態においては、ワーク保持部材は楕円柱状であるとしたが、これに代えて、ワーク保持部材の形状を例えば角柱などに変更しても本発明は適用可能である。
(イ)第一、第二実施形態においては、ワーク保持部材は円柱または楕円柱をワーク挿入軸方向に沿って切り欠いた二つの平行な平面を有するが、切り欠いた平面を持たない場合であっても本発明は適用可能である。あるいは平面の数はもっと多い場合にも本発明は適用可能である。
(ウ)第一、第二実施形態においては、第一ワーク接触面及び第二ワーク接触面が第一外平面に対して45度又は平行をなしているが、任意の角度でも本発明は適用可能である。この場合、第一、第二実施形態の効果に加えて、ワークを任意の姿勢にすることが可能になる。
(エ)第一、第二実施形態においては、第一ワーク接触面と第二ワーク接触面とは平行な面であるが、傾いていても本発明は適用可能である。この場合、第一、第二実施形態の効果に加えて、例えばワークの断面が長方形でなく三角形などであってもワークを保持可能である。
(オ)第一、第二実施形態においては、ワークの壁面に接触するワーク保持部材の接触面は、第一ワーク接触面と第二ワーク接触面との二つである。しかし、ワーク接触面の数を増やし、3つ以上のワーク接触面にてワークを保持しても良い。この場合、多方向からワークに接触できるためより保持力が強くなる。
(キ)第一、第二実施形態においては、第一外平面と第二外平面とは平行であるが、平行でなく互いに任意の角度で傾斜していても本発明は適用可能である。この場合、第一、第二実施形態の効果に加えて、ワークを任意の姿勢にすることが可能になる。
(ク)第一、第二実施形態においては、ワーク保持部材は第一変形空間と第二変形空間の二つの変形空間を有していたが、変形空間が一つの場合でも本発明は適用できる。この場合、変形空間が一つであるため部材の変形度合いが少なくなるため変形を繰り返すことによるワーク保持部材の劣化が少なくなり、より長期に亘り繰り返し使用できる。また、変形空間は3つ以上有していてもよい。この場合、収容空間形成部の変形量をさらに大きくすることができ、ワークの挿入がより容易になる。
(ケ)第一、第二実施形形態においては、ワークはセラミックであるが、ワーク保持部材はセラミックに限らず、様々な材質のワークにも適用できる。
(コ)第一実施形態においては、第一ワーク受け傾斜面と、第二ワーク受け傾斜面とが面接触するワークの「第一壁面」と、「第二壁面」とは同一のワーク第二面32である。本発明は「第一壁面」と「第二壁面」とが異なっていても適用可能である。例えば、図20に示すように、「第一壁面」がワーク第二面32であり、「第二壁面」がワーク第四面34となるように装置を設計してもよい。
(シ)第一、第二実施形態においては、アームによって加えられる外力を駆動力としてワーク保持部材を回転移動させている。これに代えて、ワーク保持部材を回転移動させたい方向に保持部材転面部を傾けることで、重力を駆動力としてワーク保持部材を回転移動させてもよい。また、高圧のエアーによる風圧を駆動力としてワーク保持部材を回転させてもよい。
(ス)ワーク保持部材の外壁形状と、ワーク受け部のワーク受け傾斜面形状との組み合わせ次第でワークの姿勢と位置がどのようにあるかが決定される。そのため本発明のワーク保持部材とワーク回転装置を組み合わせれば、任意の形状のワークを、任意の姿勢にすることが可能である。
本発明は、上記実施形態単独で実施しても、あるいは組み合わせて実施してもよい。また、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施可能である。
11、41 収容空間形成部、 111、411 収容空間
112、412 第一ワーク接触面、 113、413第二ワーク接触面、
12、42 第一変形空間形成部、 121、420 第一変形空間
13、43 第二変形空間形成部、 131、430 第二変形空間
14、141 第一外平面、 15、151 第二外平面、
16 第一外弧面、 17 第二外弧面
30 ワーク、 31 ワーク第一面、 32 ワーク第二面
33 ワーク第三面、 34 ワーク第四面、 35 ワーク第五面
36 ワーク第一辺、 37 ワーク第二辺、 38 ワーク中心軸
50 ワーク回転装置、 51 ワーク受け部、 52 ワーク固定部
53 アーム、 54 保持部材転面部
Claims (11)
- 弾性材料から形成され、ワーク(30)を保持可能なワーク保持部材(10、40)であって、
前記ワークの壁面に当接可能な複数の当接面(112、113、412,413)、及び前記当接面によって形成され前記ワークを収容可能な収容空間(111、411)を有する収容空間形成部(11、41)と、
前記収容空間に連通する変形空間(121、131、420、430)を有する変形空間形成部(12、13、42、43)と、
を備え、
前記収容空間形成部の弾性力によって前記当接面が前記ワークの前記壁面に当接すると、前記収容空間に前記ワークが保持され、
外部からの作用力によって弾性変形すると、前記収容空間形成部の複数の前記当接面の間隔が広くなる、ワーク保持部材。 - 前記ワーク保持部材は円柱状に形成されている、請求項1に記載のワーク保持部材。
- 前記ワーク保持部材は、前記ワークを前記収容空間に挿入する方向に沿って円柱を切り欠いた平面である第一外平面(14)と第二外平面(15)とを有する、請求項2に記載のワーク保持部材。
- 前記変形空間形成部は、前記収容空間の一方に前記変形空間としての第一変形空間(121、421)を有する第一変形空間形成部(12、42)と、前記収容空間の他方に前記変形空間としての第二変形空間(122、422)を有する第二変形空間形成部(13、43)とを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のワーク保持部材。
- 前記第一変形空間形成部は、前記第一変形空間を形成し前記ワーク保持部材の外壁までの厚みが面内において同じである第一内部面(121、421)を有し、
前記第二変形空間形成部は、前記第二変形空間を形成し前記ワーク保持部材の外壁までの厚みが面内において同じである第二内部面(131、431)を有する、請求項4に記載のワーク保持部材。 - 前記第二変形空間をワーク挿入方向に対して垂直に切断したときの断面形状と、前記第一変形空間をワーク挿入方向に対して垂直に切断したときの断面形状とは前記ワーク保持部材の軸中心に対して点対称である、請求項4または5に記載のワーク保持部材。
- 柱状の前記ワークを保持する前記ワーク保持部材であり、前記ワークの前記壁面は前記ワークの長手方向に沿った面である、請求項1から6のいずれか一項に記載のワーク保持部材。
- 請求項1から7のいずれか一項に記載の前記ワーク保持部材に収容された前記ワークを回転させることが可能なワーク回転装置(50)であって、
前記ワークが有する前記壁面のうちの第一壁面と面接触する第一ワーク受け面(512)、及び前記ワークが有する前記壁面のうちの第二壁面と面接触する第二ワーク受け面(514)を有するワーク受け部(51)と、
前記ワークを前記ワーク受け部との間で固定可能なワーク接触部(521)を有するワーク固定部(52)と、
前記ワークの前記第一壁面が前記第一ワーク受け面に固定されたとき、前記ワーク保持部材が位置する第一転がり面(542)、及び前記ワークの前記第二壁面が前記第二ワーク受け面に固定されたとき、前記ワーク保持部材が位置する第二転がり面(543)を有し、前記ワーク受け部に対して重力方向に沿って移動可能な保持部材転面部(54)と、を備えるワーク回転装置。 - 前記保持部材転面部は、前記ワーク保持部材に外力が加わることで、前記ワーク保持部材が回転移動可能な保持部材転がり面(541)を有する、請求項8に記載のワーク回転装置。
- 前記ワーク保持部材の外壁に力を与えて、前記ワーク保持部材を回転移動させることが可能なアーム(53)を備える、請求項9に記載のワーク回転装置。
- 前記保持部材転面部が重力方向と反対側に移動したとき、
前記第一転がり面は、前記ワーク保持部材の外壁の一部と当接し、
前記第二転がり面は、前記ワーク保持部材の外壁の他の一部と当接する、請求項8から10のいずれか一項に記載のワーク回転装置。
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