JP2018130353A - 移送装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、浴室まで別の車椅子等で利用者を移送し、すべり易い浴室内で昇降椅子ユニットの椅子部に利用者を乗せ換えなければならないため、転倒などが無いように細心の注意を払わなければならず介助作業に負担がかかっていた。
さらに、何人も入浴させる介護施設などでは、乗せ換えの際に浴室の床が濡れていることがあり、利用者を乗せ換える際に介助者が足を滑らせて利用者が怪我をする危険性がある。
つまり、導入に関して大掛かりな工事が必要であり、コストがかかることに加えて、移送時の安全面での心配が考えられる。
この特許文献2の入浴用の車椅子は、車椅子の走行台車に、利用者が座る座部を利用者の足先方向にスライド可能に支持し、利用者が着座した状態で、座部をスライドさせて浴槽一側壁に支持されたリフト装置のリフト台上にスライド移動させたのち、リフト台を昇降させて座部に座らせた状態で利用者を入浴介護するようにしている。
つまり、主に介護施設など比較的浴室が広い環境の場合で使用が可能であり、小さい浴槽にはリフト装置が設置できない問題がある。
つまり、一般家庭などの多くの浴槽の場合、矩形浴槽の一方の長辺側のみが洗い場に面しており、他面は浴室壁に接するように配置されているので、特許文献2の方法では、浴室の工事が必要であり、工事費用がかかるものである。
この特許文献3の方法は、一般家庭用の浴室やトイレに改造コストをかけずに、利用者を浴槽や便器の傍まで椅子部に着座した状態で移送することができ、且つ、椅子部から乗り移らせることがなく入浴や用便させることができる。
また、椅子部フットサポートを備えており、利用者の足を介助者が持ち上げながら浴槽上縁部を越える必要が無いため、介助者の労力が軽減できるものである。
まず、浴槽内での椅子部の座角が一定であり、身体の拘縮などで身体の重心が安定せず座位の取れない人など利用者の身体状況によってはこの移送装置を使用できない場合があった。(図19参照)
また、利用者の身体状況によっては、安定した姿勢が取りづらく、使用ができない場合もあった。
さらに、介助者にとっても入浴介助をより安定した姿勢で入浴できるように注意を払う必要があり、作業負担になっていた。
そして、前記基部を構成する枠フレーム内に前記作用部を配置して、通常状態では該枠フレーム内に該作用部が収納され、チルト状態では該枠フレームから該基部から突出するように回動可能に軸支したことを特徴としている。
そして、前記作用部の前記昇降駆動装置の駆動ギアに噛合するブレーキギアを介して緩衝器が作用することを特徴としている。
そして、利用者のふくらはぎ付近を支持する脚支持部を一端に備えた一対のレッグサポートが、前記椅子部の下方に収納される状態から前方にそれぞれ単独摺動可能に支持されることを特徴としている。
そして、前記レッグサポートの前記脚支持部が、収納状態では前記椅子部の一部となるように構成したことを特徴としている。
また、前記昇降部の支柱に高さ調整可能に取着されるヘッドサポートが、正面視において略凹字状に形成されることを特徴としている。
さらに、前記昇降部に利用者の身体を移送装置に固定するためのベルトを備えたことを特徴としている。
そして、作用部が基部内を回動可能に軸支されるように駆動部を構成することで、チルト機構をコンパクトにすることができる。つまり、浴槽内でチルト状態になっても浴槽内に移送装置を構成する部材が占める割合を極力少なくすることができるため、利用者が楽な姿勢で入浴することができる効果がある。
そして、昇降部を昇降するためのピニオンギアに緩衝器を連接することで、ピニオンギア及び駆動装置(モーター)を極力小型にすることができる。つまり、駆動部をコンパクトに構成することができ、一般家庭の浴室環境でも移送装置を設置することができる効果がある。また、製作コストを抑える効果がある。
そして、レッグサポートを椅子部の下方に設けたことで、利用者の浴室から浴槽への移送の際に介助者が利用者の足を持ち上げることなく浴槽内へ移送することができる。つまり、介助者の労力軽減の効果がある。
そして、レッグサポートの脚支持部が、収納時には椅子部の一部になり、且つ、使用時には利用者のふくらはぎ付近に沿うように姿勢変更するようにしている。これは、収納時には利用者のふともも付近が椅子部を構成する金属で加工されたフレームに直接触れることを防止することができて、利用者が不快感を感じることがない効果がある。そして、使用時には利用者のふくらはぎ付近を脚支持部の面で支持することができるため、より安定して利用者の下肢を支持することができる効果がある。つまり、利用者と介助者の両方の負担を軽減する効果がある。
そして、ヘッドサポートの形状を正面視において略凹字状に形成したことで、利用者の頭部の支持をより安定して支持することができる効果がある。また、利用者の後頭部側が開口しているため利用者が前傾姿勢に極力ならなくて良いため、安全に洗髪作業ができる効果がある。
そして、腰ベルトと胸ベルトを備えたことで、利用者が椅子部に着座した時の姿勢保持を安定することができる。また、胸ベルトによって、利用者の上半身を移送装置にしっかりと固定することができるため、入浴時に浮力による姿勢の崩れを防止することができる効果がある。
この移送装置1は、図1及び図2に示すように、主として前後左右に移動自在となるように構成したキャリー部2と、該キャリー部2に支持される第一レール部3と、該第一レール部3と連結可能で浴槽Bの上縁部B1に支持される第二レール部4と、該第一レール部3と該第二レール部4の間を移動自在に支持される駆動部5と、該駆動部5に支持される昇降部6と、該昇降部6に付設されるアームサポート613、ヘッドサポート614、レッグサポート63で主に構成している。
なお、利用者が移送装置1に着座した姿勢を基準として、図1に示すように、前方、後方、左手側、右手側として説明する。
また、螺子などの締結部材及びブッシュなどの緩衝部材について、一部省略して図示や説明をしている場合がある。
このキャリー部2は、図2に示すように、略井桁状に形成したベース21の四隅に、該ベース21を支持するキャスター22,22,・・・を装着して前後左右に移動自在に構成している。なお、該キャスター22,22,・・・は必要に応じて走行状態とロック状態を選択可能になっている。
また、ベース21の前方2ヵ所にはフットサポート23,23を備えており、利用者が着座した際に足を置くことができるようになっている。
図示は省略するが、このフットサポート23,23は着脱及び回転収納可能にベース21に取付けられており、利用者を移載する際の邪魔にならないようにすることができる。
図3に示すように、この第一レール部3は、前記キャリー部2の上方で支持され、キャリー部2とともに床面を走行するように構成されており、第一レール部本体31と、把持部32と、操作レバー33を備えている。
そして、操作レバー33は、第一レール部本体31の長手方向の一端に回動自在に支持しており、第一レール部本体31横に設けたリンク機構34を介して係合部31に連結されている。
そして、このリンク機構34は、詳細は省略するが操作レバー33が把持部32側に回動することによって、第一レール部3と第二レール部4の連結を解除するように構成されている。
この第二レール部4は、第二レール部本体41と、第二レール部ベース42で構成される。
図3にしめすように、第二レール部ベース42は、ベース本体421と、このベース本体421の両側から延出するベース脚422,422と、1対のベース支柱423,423と、後述する第二レール部本体41を非連結位置に支持するレール脚411,411のストッパーとなる突起部424,424で構成している。
そして、第二レール部ベース42は浴槽Bの短辺側の上縁部B1上に、ベース脚422,422は浴槽Bの長辺側の上縁部B1上にそれぞれ配設している。
次に、第二レール部本体41は、一端に第一レール部3の第一レール部本体31が嵌る大きさの連結部412が配設されている以外は、第一レール部本体31と略同じ大きさのリップ溝形鋼材状に形成している。
この第二レール本部体41は、両端近傍でベース支柱423,423の上端部に回動可能に軸支されており、連結可能位置(図3(a))と非連結可能位置(図3(b))を選択可能に構成している。
そして、レール脚411,411は、第二レール部本体41に回動自在に配設され、下端が突起部424,424に係止して第二レール部本体41を非連結位置(図3(a))に支持するとともに、係止を解除することで第二レール部本体41を連結可能位置(図3(b))にすることができるように構成している。
この駆動部5は第一レール部3と第二レール部4間を転動自在な支持ローラー部51と、該支持ローラー部51に支持される基部52と、該基部52と組み合わせて昇降及びチルト状態に姿勢変更する作用部53で構成している。
図4に示すように、この支持ローラー部51は、ローラー511,511,・・・を、略へ字状の支持プレート512,512,・・・の両端に軸支し、該支持プレート512,512,・・・を後述する基部52の基部ベース521に軸支して構成している。
このように構成することで、基部52は下端部を基部52の上下方向の移動規制をして第一レール部本体31内もしくは第二レール部41内で支持するとともに長手方向に走行自在にしている。
なお、本発明では、より安定性を出すために8つのローラー511,511,・・・を使用しているが、基部52を支持し、第一レール部本体31及び第二レール部本体41内を走行可能であれば使用者が任意にローラー数を設定しても良い。
図4に示すように、まず、矩形状の基部ベース521の略中央上部に複数のフレームが一体となった略コ字状の枠フレーム522を基部ベース521の上部に開口が該基部ベース521に臨むように配設して固着している。
該枠フレーム522を詳述すると、2つの基部プレート522a,522bの間に略L字状に屈曲形成したツナギフレーム522c固着している。そして、該ツナギフレーム522cの上端には後述する作用部53を回動可能に軸支するためのチルト支持プレート522dを固着して構成している。
そして、該基部プレート522a,522b間に雌螺子部材524を螺嵌した雄螺子部材523を前記基部ベース521の長手方向と平行になるように軸架している。
そして、該雄螺子部材523の一端にチルト駆動装置5Aを取着している。
なお、本実施例では、チルト駆動装置5Aは正逆回転可能なモーターを使用している。
この作用部53は前述した基部52の枠フレーム522内に配設しており、後述する昇降部6を昇降及びチルトするものである。
詳述すると、図5などで示すように、2つの作用プレート531,531の上端近傍をツナギボス532で、下端近傍を一定間隔離間したチルト支持プレート533,533で、それぞれ固着している。
さらに、該作用プレート531,531の前方にはツナギプレート534を固着している。
そして、該作用プレート531,531の間にギア支持プレート535を配設し、該ツナギプレート534に一端を、該チルト支持プレート533,533に他端を固着している。
同様に、減速ギア538と昇降ギア539を組み合わせて作用プレート531とギア支持プレート535の間に軸架している。
なお、本実施例で使用する緩衝器537は詳細は省略するが、一方向にしか回転しないように構成されたフリクションダンパを使用している。(本実施例では、昇降部6が下がらない方向に作用するように構成されたフリクションダンパを使用している。)
そして、図6で示すように、該ブレーキギア536と昇降ギア539との間に歯が噛合うするように駆動ギア5310を配設している。
そして、図7で示すように、前記ギア支持プレート535を介して該駆動ギア5310に昇降駆動装置5Bを取着している。
なお、本実施例では、昇降駆動装置5Bは正逆回転可能なモーターを使用している。
このように構成した作用部51は、昇降駆動装置5Bを正逆回転に駆動することで、後述する昇降部6を昇降するようにしている。
まず、図8(a)で示すように、前記基部プレート522aと前記チルト支持プレート522dを介して作用部53のツナギボス532を回動可能に軸支している。
そして、図8(b)作用部53のチルト支持プレート533,533の間に基部52の雄螺子部材523を配設している。
そして、該チルト支持プレート533,533に穿設した長孔部533a,533aと、該雄螺子部材523の長孔部523aを介して該長孔部523a内を転動するローラーを備えた転動軸部材5Cを軸着している。
この長孔部533a,533aは、図9及び図10で示すように利用者の右手側から左手側に向けて左下がりの形状をしている。
なお、該軸部材5Cは雄螺子部材523の長手方向に対して直交するように配置している。
まず、チルト駆動装置5Aを正逆回転に駆動することで、雄螺子部材523を正逆回転させて、該雄螺子部材523に螺嵌している雌螺子部材524が基部ベース521の長手方向に平行に移動するとともに、チルト支持プレート533,533の長孔部533a,533aを転動軸部材5Cが転動する。
すると、基部52と連結している作用部53がツナギボス532を回動中心として回動する。
よって、駆動部5に支持される昇降部6をチルト状態にすることができるものとなっている。
このチルト角度を変更したい場合には、長孔部533a,533aの形状を短くすれば転動軸部材5Cの移動範囲を少なくしてチルト角度を小さく、長くすれば転動軸部材5Cの移動範囲を大きくしてチルト角度を大きくすることができる。
昇降駆動装置5Bを正逆回転に駆動することで、該昇降駆動装置5Bに連結している駆動ギア5310を正逆回転に回動する。
すると、該駆動ギア5310と噛合する減速ギア538とブレーキギア536がそれぞれ正逆回転に回動する。
併せて、該減速ギア538と同軸の昇降ギア539が減速ギア538の回動に併せて回動する。
そして、図11で示すように、該昇降ギア539と噛合する後述する昇降部6のラック611aが上下方向に移動することで、昇降部6を昇降することができる。
これらの組み合わせによって、駆動ギア5310の力を増減速させて使用することができ、駆動装置5を大きくする必要のないものとすることができる。
つまり、移送装置1の駆動部5をコンパクトに構成することができ、チルト機能を備えながら、本出願人が従前発明した特許文献3に記載の移送装置と略同じ大きさの駆動部5を構成することができる。
なお、介護施設などで広い浴室環境及び浴槽で使用する場合には、本実施例で示したよりも大きい駆動ギア5310及び昇降ギア539を直接噛合させて構成することで、2つのピニオンギアで駆動部5を構成することができる。
つまり、使用する浴室環境及び浴槽に合わせて、駆動部5の構成は使用者が任意に設定することができる。
さらに、ブレーキギア536を介して緩衝器537が作用するように構成しているので、ブレーキギア536によって力を増速させることで緩衝器537自体をコンパクトに構成することができる。
図1で示すように、この昇降部6は、前記駆動部5に支持される支柱部61と、該支柱部61に支持される椅子部62と、該椅子部62の下側で支持される一対のレッグサポート63で構成される。
この支柱部61は、図1で示すように、支柱611と、該支柱611と一体になったバックサポート612、アームサポート613、ヘッドサポート614で構成される。
まず、支柱611は、リップ溝形鋼材状に形成されており、溝の開口部を駆動部5側に向けるように配設している。
そして、支柱611の内部に支柱611の長手方向に連続するラック611aが歯を溝の開口部側に向けるように配設している。
なお、本実施例では、ひょうたん型の形状にしているが、利用者の身体を保持できるものであれば任意に構成したので良い。
そして、該バックサポート612の形状に沿うように、バックマット612bを取着している。
このアームサポート613が回動することで利用者の腕や身体の位置をサポートする使用位置と、椅子部への移乗時の邪魔にならない跳ね上げ位置を選択できるようになっている。
なお、アームサポート613の形状については、本発明内容より逸脱しない形状であれば使用者が任意に設定して良い。
また、本発明のヘッドサポート614は前方から後方を見た時、つまり、正面視において略凹字状に形成している。
これは、利用者の後頭部側が開けていることによって利用者の後頭部を洗髪する際に利用者を極力前傾姿勢にする必要がないため、洗髪作業を安全に、より早く行うことができるようになっている。
また、図12に示すのは一般的なヘッドサポート614’と本発明のヘッドサポート614で利用者の頭部Hを支持した状態を示している。
まず、図12(a)に示す一般的なヘッドサポート614’は利用者の頭部Hを設置面積が少ない点で支持しており、姿勢が安定せず首への負担が大きいものであった。
それに比べて、図12(b)に示す本発明のヘッドサポート614は正面視において略凹字状に形成することで、利用者の頭部Hの後頭部から肩首にかけて面で支持することができ、利用者の首への負担を少なくすることができるものになっている。
つまり、利用者にとっても身体的な負担を軽減することができるものとなっている。
この椅子部62は、図1で示すように、フレーム部材621を前記支柱部61の下端近傍で支持されている。
なお、図19に示すように、通常状態(チルトしていない状態)でも、前方が後方より上方に位置するように上反角をつけて構成しており、利用者が着座した際に重心を後方に向けることができるものとなっている。
つまり、通常状態であっても利用者が安定した姿勢で着座できるものとなっている。
そして、該フレーム部材621の形状に沿うように、椅子部マット622を取着している。
このレッグサポート63は、スライド部631と、脚支持部632で構成している。
図13及び図14で示すように、このスライド部631は、矩形状のスライド部本体631aが椅子部62の下方に連結固定される1対の矩形中空の支持部材631b内を摺動可能に支持されている。
そして、スライド部本体631aの両端上面近傍にロック孔631cを2ヵ所穿設し、後述するロックピン631fが嵌合して収納状態と使用状態にすることを可能にしている。
なお、本実施例ではスライド部631の両端近傍に2ヵ所のロック孔631cを穿設しているが、必要に応じて任意にロック孔を穿設しても良い。
例えば、収納状態と使用状態にする2つのロック孔の中間位置にロック孔を穿設することで、体型の小柄な人や子供の利用者のふくらはぎ付近を置き易い位置にすることができる。
また、図示は省略しているが、スライド部631の下面にも複数の水抜孔を任意に穿設しており、入浴時にスライド部の上面のロック孔631cから浸入した水を抜くことができるので衛生的である。
なお、本実施例では軽量化を図るためにスライド部本体631aを中空部材を採用しているが、中実の丸棒や角材を使用することも可能である。
そして、スライド部本体631aの後方には、抜け止め部材631dを配設し、前方には後述する脚支持部632を回動可能に軸支している。
この脚支持部632は、図13で示すように平面視において一対で見た時にカタカナの略ハ字状に形成した脚支持部本体632aを、前記スライド部631の一端に回動可能に軸支した支持プレート632cに止着して構成している。
なお、脚支持部本体632aは中央部に凹み632bを設けている。
そして、図14(a)で示すように、収納状態では、脚支持部本体632aが椅子部62と一体となるようにしている。
このように構成することで、収納状態で使用する際に、利用者のふともも付近が椅子部62を構成する主に金属で作られたフレーム部材621に直接触れて冷たく感じることが無いようにすることができる。
つまり、利用者が不快感なく快適に椅子部62に着座することができる。
つまり、従来はかかと(フット)を支持するのに対して、利用者のふくらはぎ付近(レッグ)を支持することで接触面積が大きくなりより安定して支持することができる。
なお、この脚支持部本体632aは樹脂成形をしているが、クッション性のあるゴム素材やウレタン素材のものであっても良く、利用者の足を支持できるものであれば良い。
支持部材631bの上部に穿設した孔と軸心を合わせるように、ボス部材631eを固着している。
そして、該ボス部材631e内にロックピン631fを摺動可能に配設し、スプリングなどの弾性体631gによりロックピン631fをスライド部631側に付勢するようにしている。
このように構成することで、前記スライド部631の上面のロック孔631cにロックピン631fが嵌合することで、スライド部631をロックするようにしている。
つまり、レッグサポート63をスライド部631の長手方向に押し引きするだけで、ロックすることができる。
図15で示すように、本実施例のベルト7は、腰ベルト71と胸ベルト72で構成している。
まず、腰ベルト71について説明する。
この腰ベルト71は、図示は省略するが、一端を支柱部61のバックサポート612の下端近傍に止着し、他端同士を利用者の腹部前方、もしくは側部で連結して装着するものである。
次に、胸ベルト72を説明する。
この胸ベルト72は、腰ベルト71と同様に一端を支柱部61のバックサポート612の上端近傍に止着し、他端同士を利用者の胸部前方、もしくは側部で連結して装着するものである。
腰ベルト71及び胸ベルト72はいずれも利用者の移送装置1へ着座した際の転落防止の効果がある。
さらに、胸ベルト72は、座位姿勢が安定しない利用者が入浴した際に、湯船の中で浮力により浮き上がったり、座位位置がずれることを防止する効果もある。
なお、本実施例では略水平方向に胸ベルト72を掛けるように構成しているが、自動車のシートベルトのように利用者のいずれかの肩から腰に向かって対角に装着するようにしても良い。
また、腰ベルト71か胸ベルト72の単独、もしくは腰ベルト71と胸ベルト72の併用を選択することができ、利用者の身体状況に合わせて使用したので良い。
なお、本発明では胸ベルトを1つ使用する場合を説明したが、より固定を確実にしたい場合には胸ベルトは2つ以上であっても良い。
(1)駆動部5が第一レール部3に支持された状態で、利用者Mの傍(ベッド、椅子など)までキャリー部2を移動させる。
(2)必要であれば、利用者Mが移乗し易い高さに昇降部6を昇降させて椅子部62の高さを調節する。
(3)キャスター22,22,・・・のブレーキをかけ、アームサポート613を跳ね上げて、安全を確保した後、利用者を椅子部62に移乗させる。
この時、利用者Mの衣服は脱がせておくことが望ましい。
この時、座位の取れない利用者Mの場合は、チルト操作を行い椅子部62の座角を変化させて重心位置を駆動部5側にすることで利用者Mがしっかりと椅子部62に着座できるようにする。
(4)アームサポート613を使用状態にし、必要であれば、昇降部6を昇降させて椅子部62の高さ調節とヘッドサポート614の高さ調節をする。
この時、腰ベルト71と胸ベルト72を装着しておく。
(5)利用者Mが椅子部62に着座した状態で、キャリー部2を浴室内へ移動する。
(6)必要に応じてシャワーなどで、利用者Mの身体を洗う。
この時、座位姿勢がとれる利用者Mであっても、チルト状態にすることで利用者Mの重心を駆動部5側に移動しておくことで、椅子部62からの前すべりを軽減することができる。
なお、身体を洗う作業は入浴後に実施しても良い。
(7)浴槽Bの第二レール部4の高さと略同じ高さに第一レール部3を昇降させて駆動部5を連結可能状態にする。
(8)キャリー部2を移動させて、第二レール部4に第一レール部3を連結させるとともに、キャスター22,22,・・・をロックする。(図16)
(9)レッグサポート63のスライド部631を図17に示すように椅子部62の前方に突出するようにスライドさせて使用状態にし、脚支持部632が利用者のふくらはぎ付近を支持できる状態にする。
(10)利用者のふくらはぎ付近を脚支持部632で支持する。
(11)必要に応じて駆動部5の昇降駆動装置5Bを駆動させて、脚支持部632が浴槽Bの上縁部B1より高い位置になるように椅子部62を上昇させる。
(12)椅子部62が浴槽Bの内部を臨む位置まで、第二レール部4の第二レール部本体41側に移動させる。
(13)キャスター22,22,・・・のロックを解除し、且つ、操作レバー33を引くことで第一レール部3と第二レール部4との連結を解除し、キャリー部2を移動させる。
(14)昇降部6の昇降駆動装置5Bを駆動させて、椅子部62を利用者が入浴深さまで浸かれるまで下降させる。(図18)
なお、必要に応じて、レッグサポート63はいずれか一方あるいは両側を収納状態にして利用者のふくらはぎ付近が脚支持部632に支持されない状態で昇降しても良い。
また、入浴介助を行いやすいようにキャリー部2を浴槽Bから離して保管してもよい。
(15)入浴姿勢になった際に、利用者の入浴姿勢が安定するように、必要に応じてチルト駆動装置5Aを駆動してチルト姿勢を調整する。
(16)入浴後、椅子部62を脚支持部632が浴槽Bの上縁部B1よりも上に位置するまで上昇させる。
なお、脚支持部632が収納状態にある場合は、脚支持部632を使用状態にして利用者のふくらはぎ付近が脚支持部632に支持される状態にする。
(17)キャリー部2を浴槽Bから移動させている場合は、浴槽Bにキャリー部2を連結し、キャスター22,22,・・・をロックする。
(18)昇降部6を第一レール部3側にスライドさせて、第一レール部3に支持される状態にする。
この時、必要に応じて利用者の身体をタオルなどで拭く。
(19)キャスター22,22,・・・のブレーキを解除し、キャリー部2を第二レール部4から離れる方向に移動させて、第一レール部3と第二レール部4との連結を解除する。
(20)利用者が椅子部62に着座した状態で、元の位置(ベッド、椅子など)に移動させる。
1.利用者は移送装置1の椅子部62に座ったまま居室もしくは脱衣所から浴室内へ移動ができる。
つまり、介助者が利用者を乗り移りさせる必要が無く介助者と利用者ともに身体的負担を軽減することができる。
2.移送装置1の椅子部62の高さを変えることができることで、ベッドや椅子に昇降機構がなくても利用者を移載しやすい高さに合わせることができ、介助者が利用者を持ち上げたりする必要がないものとすることができる。
また、従来より昇降機能の無いベッドを使用していた場合には、昇降機能付きのベッドを改めて購入する必要が無いため、利用者の経済的負担を減らすことができる。
3.キャリー部2側の第一レール部3から浴槽B側の第二レール部4まで、利用者が椅子部62に座ったまま浴室から浴槽B内に移動することができる。
これは、1.の内容と同様に浴室から浴槽B内への移動も利用者を移送装置1から別の移送装置1に乗り移りさせる必要がないため、介助者の身体的負担を軽減することができる。
4.浴槽B内に椅子部62を移動させる時に、浴槽Bへの跨ぎ動作をレッグサポート63を使用することにより、介助者が利用者の足を持ち上げながら作業する必要がない。
つまり、介助者の身体的負担を軽減することができる。
5.レッグサポート63が利用者のふくらはぎ付近をしっかりと支持することができる。
よって、浴室から浴槽Bへの移動の時に不意な足の落下を介助者が心配する必要がなく安定した移動ができる。
さらに、収納時には脚支持部632が利用者のふともも付近を椅子部62を構成するフレーム部材621に直接触れないようにすることができ、冷たさなどの不快感を感じることが無いようにすることができる。
そして、レッグサポート63がそれぞれ独立してスライドするため、どちらか一方のレッグサポート63を使用した後、片方を操作することで、安全に確実に利用者を介助することができる。
7.駆動部5に作用部53を備えており、移動時、洗体時、入浴時どの場面においてチルト操作が可能であり、利用者の身体状況に合わせて使用することができる。
これは、移動時、洗体時には利用者の転落防止などの安全面での効果、入浴時には利用者の座位姿勢がしっかりとすることで、入浴時の身体の浮きなどによるズレを軽減することができる。
8.駆動部5の作用部53が基部52内に配置されているため、チルト状態であっても浴槽Bの長手方向の駆動部5の占有面積を抑えることができる。
つまり、浴槽B内で利用者が入浴するスペースを十分に確保することができ、家庭用の一般浴槽であっても利用者が窮屈さを感じることが無く快適に入浴することができる。
9.駆動部5を構成するピニオンギアに緩衝器を付設しており、小型のピニオンギアであっても利用者Mなどの荷重に耐えられるトルク力を維持できるようにしており、駆動部5の全体構成をコンパクトに構成することができる。
10.腰ベルト71に加えて胸ベルト72を備えており、利用者が椅子部62に座った際の姿勢保持をより安定することができる。
11.ヘッドサポート614の形状が正面視において略凹字状に形成されているため、利用者の頭部を安定して保持することができるようにしている。
また、後頭部上方が開口しているため利用者がそのままの姿勢もしくは最小限の前傾姿勢で洗髪することができ、利用者が椅子部62から前傾姿勢になるなどの転落の危険を軽減することができる。
例えば、トイレの便器への移動にも使用することができる。
詳細は省略するが、第二レール部を便器に付設し、第一レール部から第二レール部への移動をすることで、椅子部に穿設した孔部より排泄をすることができる。
また、玄関などの上がり框の乗り越えにも使用することができる。
この場合は、第二レール側を据置式や固定式ではなく、第一レール部と同様に移動自在なキャリー部に支持されるように構成することで、屋外用の移送装置と屋内用の移送装置によって利用者が椅子部に座ったまま外出することができる。
つまり、第二レール部を設置することが可能な場所であれば、浴室以外に移送装置を使用することが可能である。
これまで、基部に配設した雌螺子部材に作用部を介して転動軸部材を直交させて構成し、雌螺子部材に合わせて転動軸部材が移動することで作用部をチルト状態にしていた。
これは、駆動部の構成をコンパクトにするためであったが、別の方法でも可能である。
例えば、バイスのように作用部の一端に螺子を連結し、駆動力によって螺子を締緩することで基部に対して作用部が付勢されて回動し、チルト状態にすることができる。
つまり、図20に示すように基部に対して作用部を回動することができる構成であれば使用者が使用環境に合わせて構成したので良い。
なお、これまでの説明ではチルト駆動装置としてモーターによる動力を利用しているが、ハンドル式にして人の力を動力にしても良い。
2 キャリー部
3 第一レール部
4 第二レール部
5 駆動部
51 支持ローラー部
52 基部
53 作用部
5A チルト駆動装置
5B 昇降駆動装置
6 昇降部
61 支柱部
613 アームサポート
614 ヘッドサポート
62 椅子部
63 レッグサポート
7 ベルト
M 利用者
H 利用者の頭部
B 浴槽
B1 上縁部
Claims (7)
- 移動自在なキャリー部によって支持される第一レール部と、移送先に設置される該第一レール部と連結可能な第二レール部と、該第一レール部及び第二レール部を移動可能なチルト駆動装置を備えた基部と、該基部に一端を回動可能に軸支される昇降駆動装置を備えた作用部によって構成される駆動部と、該作用部によって昇降可能に支持される利用者を支持する椅子部を備えた昇降部で構成される移送装置において、該チルト駆動装置を駆動して該作用部を付勢することで、該作用部が後方から前方に向かって回動するとともに該作用部に支持される該昇降部が傾倒することで、この昇降部に配した該椅子部をチルト状態に姿勢変更可能にしたことを特徴とする移送装置。
- 前記基部を構成する枠フレーム内に前記作用部を配置して、通常状態では該枠フレーム内に該作用部が収納され、チルト状態では該枠フレームから該基部から突出するように回動可能に軸支したことを特徴とする請求項1に記載の移送装置。
- 前記作用部の前記昇降駆動装置の駆動ギアに噛合するブレーキギアを介して緩衝器が作用することを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の移送装置。
- 利用者のふくらはぎ付近を支持する脚支持部を一端に備えた一対のレッグサポートが、前記椅子部の下方に収納される状態から前方にそれぞれ単独摺動可能に支持されることを特徴とする請求項1〜請求項3に記載の移送装置。
- 前記レッグサポートの前記脚支持部が、収納状態では前記椅子部の一部となるように構成したことを特徴とする請求項4に記載の移送装置。
- 前記昇降部の支柱に高さ調整可能に取着されるヘッドサポートが、正面視において略凹字状に形成されることを特徴とする請求項1〜請求項5に記載の移送装置。
- 前記昇降部に利用者の身体を移送装置に固定するためのベルトを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6に記載の移送装置。
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