以下、本発明の座席装置について図1〜図13を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる上下左右前後は、座席装置に着座する着座者から見た上下左右前後である。
本実施形態の座席装置1は、鉄道車両等の乗物の客室内に装備される旅客用シートである。図1などに示すように、座席装置1は、台枠2と、座部3及び背凭れ4と、可動部としてのレッグレスト5と、レッグレスト駆動機構6と、を備えている。
台枠2は、ターンテーブル上に固定され、座部3及び背凭れ4を支持する。本実施形態では、1つの台枠2に対して、2つの座部3及び背凭れ4が左右方向に2つ並べて支持されている。左右に並べられた座部3及び背凭れ4などは、ほぼ同じであるので、1つを代表して説明する。
座部3及び背凭れ4は、図1(A)に示すアップライト位置と、図1(B)に示すリクライニング位置と、の間で移動自在になるように、台枠2に取り付けられている。レッグレストは、図1(A)に示す収納位置と、図1(B)に示す展開位置と、の間で移動自在になるように、座部3に取り付けられている。レッグレスト駆動機構6は、レッグレスト5を収納位置から展開位置に移動させる操作、展開位置から収納位置に移動させる操作が行われ、その操作力をレッグレスト5に伝達して、レッグレスト5を収納位置から展開位置、展開位置から収納位置に移動させる機構である。
台枠2は、図2及び図3、図5などに示すように、一対の台枠側管21と、台枠前方バー22と、台枠後方バー23と、1つの座部3及び背凭れ4に対して一対ずつ設けられたガイド板24と、1つの座部3及び背凭れ4に対して一対ずつ設けられたガイドレール25(図5)と、を有する。
図2及び図3に示すように、一対の台枠側管21は、長尺の角管状に形成され、長手方向が前後方向に沿って配置される。一対の台枠側管21は、二人の着座者の左右方向に対向配置されている。台枠前方バー22は、一対の台枠側管21の前端同士を連結して、台枠側管21を支持している。台枠後方バー23は、一対の台枠側管21の後端同士を連結して、台枠側管21を支持している。
図2などに示すように、一対のガイド板24は、その下端部が台枠後方バー23に取り付けられている。一対のガイド板24には、後述する背凭れ4や座部3から左右方向外側に突出するガイドピンP1、P2が挿入されるガイド溝24A、24Bが設けられている。このガイド溝24A、24Bに沿ってガイドピンP1、P2が移動することにより、座部3及び背凭れ4がアップライト位置及びリクライニング位置の間で移動自在となるように、一対のガイド板24に支持される。アップライト位置においては、座部3が後方に位置し、背凭れ4が起立している。リクライニング位置においては、座部3が前側に位置し、背凭れ4が倒れている。
図5に示すように、一対のガイドレール25は、台枠前方バー22の上方に左右方向に並べて設けられている。一対のガイドレール25はそれぞれ、前後方向に沿って設けられ、座部3に設けた軸部Z1が、このガイドレール25上を走行することにより、座部3が前後方向に移動自在に台枠2に支持される。
座部3は、台枠2に対して前後方向に移動自在に設けられた座枠31と、座枠31に取り付けられたクッション材32(図1)と、からなる。座枠31は、図2及び図3に示すように、一対の座枠側板311と、一対の座枠側板311の後端部同士を連結する座枠後方バー312(図2)と、一対の座枠側板311の前端部同士を連結する座枠前方バー313(図3)と、を有する。一対の座枠側板311は、一対のガイド板24よりも左右方向内側に配置されると共に、左右方向に対向配置される。また、一対の座枠側板311は、図2に示すように、長手方向が前後方向に沿って配置された側板本体部311Aと、側板本体部311Aの後端から後方に向かうに従って上方に近づく斜め方向に延在し、後述する背枠を支持する背枠支持部311Bと、側板本体部311Aの前端の上側から前方に向かって延在し、後述するレッグレスト5を支持するレッグレスト支持部311Cと、を有する。
図5に示すように、上述したガイドレール25上をそれぞれ走行する一対の軸部Z1は、一対の側板本体部311Aから左右方向内側に向かってそれぞれ突出して設けられている。背枠支持部311Bには、背枠41から左右方向外側に向けて突出したガイドピンP1が挿入される貫通孔H1が設けられている。この貫通孔H1にガイドピンP1が挿入されることにより、背枠41はガイドピンP1を中心に座枠31に対して傾動自在に支持される。
図2及び図3に示すように、座枠後方バー312及び座枠前方バー313は、長手方向が左右方向に沿うように一対の座枠側板311間を連結する。座枠前方バー313は、一対の座枠側板311間に回転自在に取り付けられている。
背凭れ4は、座枠31に対して傾動自在に取り付けられた背枠41と、背枠41に取り付けられたクッション材42(図1)と、から成る。図2に示すように、背枠41は、一対のガイド板24間に配置された一対の側方板部411と、上方板部412と、中央板部413と、を有する。一対の側方板部411は、一対のガイド板24と同方向に対向配置されると共に長手方向が上下方向に沿うように配置される。一対の側方板部411は、その下端が上述した背枠支持部311Bの内側に重ねられる。これら側方板部411には、上述したガイドピンP1、P2が左右方向外側に突出するように取り付けられている。
上方板部412は、一対の側方板部411の上端同士を連結し、その長手方向が左右方向に沿うように配置される。中央板部413は、一対の側方板部411の中央同士を連結し、その長手方向が左右方向に沿うように配置される。本実施形態では、中央板部413は、上下方向に沿って3つ並べて設けられている。
レッグレスト5は、図1(A)に示すように、座枠31の前端から下垂する収容位置と、図1(B)に示すように、座枠31の前端よりも前方に延びる展開位置と、の間で回転自在となるように、座枠31に取り付けられている。レッグレスト5は、レッグレスト枠51と、レッグレスト枠51に取り付けられるクッション材52(図1)と、を有する。図2に示すように、レッグレスト枠51は、左右方向に対向する一対の側枠部511と、一対の側枠部511を連結する連結部512と、板部513と、を備えている。
一対の側枠部511は、略角柱状に形成され、長手方向の一端が座枠31のレッグレスト支持部311Cに軸支されている。これにより、レッグレスト枠51は、座枠31に対して回転自在となる。連結部512は、各角柱状に形成され、長手方向が左右方向に沿って配置され、その両端が一対の側枠部511に連結されている。板部513は、収納位置において、連結部512よりも下側の一対の側枠部511間に配置され、収納位置で前後方向と垂直に、展開位置で上下方向に垂直になる。
レッグレスト駆動機構6は、操作機構7と、駆動機構8と、ロック機構9と、を備えている。図3に示すように、操作機構7は、一対の台枠側管21のうち一方(本実施形態では左側の座席装置1は左側の台枠側管21、右側の座席装置1は右側の台枠側管21)に取り付けられ、操作部としての操作レバー10の操作に応じて回転軸11(図7及び図8)を一方向に回転させる。なお、本実施形態では、一方向は、図3中の時計回り方向である。
図5及び図6に示すように、駆動機構8は、座枠31の座枠前方バー313の中央に取り付けられ、回転軸11の一方向の回転をレッグレスト5に伝達して、レッグレスト5を収納位置から展開位置に駆動する。図4に示すように、ロック機構9は、一対の座枠側板311の他方(本実施形態では左側の座席装置1は右側の座枠側板311、右側の座席装置1は左側の座枠側板311)に取り付けられ、回転軸11の他方向への回転を禁止する。なお、本実施形態では、他方向は、図3中の反時計回り方向、図4中の時計回り方向である。
操作機構7は、図6、図7及び図8などに示すように、回転操作される操作レバー10と、操作レバー10の回転操作により回転する回転軸11(図7及び図8)と、回転すると回転軸11が連動して回転する伝達機構としての第1ギア12と、第1ギア12に係止して、操作レバー10の回転操作に応じて第1ギア12を回転させる伝達機構としての第1係止部13と、規制部としてのピンP3(図7及び図8)と、回転軸11の回転力を前後方向の動きに変換する第3ギア14及び第1ラック15と、これらを支持する支持部16と、を有している。
操作レバー10は、長尺状に形成され、その一端に回転軸11が貫通されている。操作レバー10は、回転軸11に固定されておらず、回転軸11を中心に対して揺動(回転)自在に設けられている。操作レバー10は、後述する支持部16に設けた第1ストッパS1及びストッパとしての第2ストッパS2に当接することにより、揺動範囲が制限され、その他端が座枠31よりも上方に突出する範囲内で揺動する。
回転軸11は、当該軸方向が左右方向に沿うように、かつ、回転自在に後述する支持部16に支持されている。第1ギア12には、回転軸11が貫通されている。第1ギア12は、操作レバー10よりも左右方向内側の回転軸11に固定されていて、第1ギア12が回転すると、それに連動して回転軸11も同じ方向に回転する。第1ギア12の歯は、図9に示すように、頂部より一方向側の傾斜面M1が、頂部よりも他方向側の係止面M2よりも緩やかに設けられている。
第1係止部13は、図6、図7及び図8に示すように、前端が操作レバー10の内側に対して左右方向に沿った軸を中心に揺動自在に取り付けられている。第1係止部13は、後端が操作レバー10よりも後方に突出し、第1ギア12の上方に位置する。第1係止部13は、その後端に第1ギア12の歯に向かって突出する爪部13Aが形成されている。第1係止部13は、図示しないコイルバネなどにより、爪部13Aが第1ギア12に近づく方向に付勢され、爪部13Aが第1ギア12に接触している。
爪部13Aは、図9に示すように、その頂部よりも前方側の端面M3が、第1ギア12の歯の係止面M2とほぼ同じ角度に設けられている。また、頂部よりも後方側の傾斜面M4が、第1ギア12の歯の傾斜面M1とほぼ同じ角度に設けられている。これにより、図9(A)に示すように、第1係止部13が一方向に移動すると、第1係止部13の端面M3と第1ギア12の係止面M2とが係止して、第1ギア12を一方向に回転させる。一方、図9(B)に示すように、第1係止部13を他方向に移動させると、第1係止部13の爪部13Aが第1ギア12の傾斜面M1に摺接しながら徐々に押し上げられ、第1ギア12の歯を乗り越える。このため、第1ギア12と第1係止部13とは係止せずに、第1ギア12は回転しない。
ピンP3は、第1係止部13よりも下側に突設されている。ピンP3は、図7に示すように、操作レバー10が第2ストッパS2と当接する初期位置にあるときに、第1係止部13を押し上げて、第1係止部13の爪部13Aと第1ギア12とを離間させる。
図6に示すように、第3ギア14には、回転軸11に貫通されている。第3ギア14は、第1ギア12及び操作レバー10間の回転軸11に固定されていて、回転軸11が回転すると、それに連動して第3ギア14も同じ方向に回転する。
第1ラック15は、第3ギア14の下方に第3ギア14と噛み合うように配置され、前後方向にスライド自在に支持部に支持されている。これにより、第1ラック15は、第3ギア14が一方向に回転すると、前方向に移動し、第3ギア14が他方向に回転すると、後ろ方向に移動する。第1ラック15の左右方向外側の側面には、後述するケーブルC1のインナーワイヤW1の一端が取り付けられる取付ピンP4が突設されている。
支持部16は、図6に示すように、金属板をプレス加工して設けた第1支持板161と、第2支持板162と、を有している。第1支持板161は、前後方向に長尺の略矩形状の底板161Aと、底板161Aの左右方向内側の端部から上方に立設した略矩形状の立板161Bと、を有している。この立板161Bに、回転軸11が回転自在に取り付けられている。また、立板161Bには、操作レバー10と当接して、操作レバー10の一方向の回転を制限する第1ストッパS1と、操作レバー10と当接して、操作レバー10の他方向の回転を制限する第2ストッパS2と、が設けられている。立板161Bには、その上端の後ろ側から上方に立設する凸部161Cが設けられ、第1ストッパS1は、凸部161Cの前端の上側から左右方向外側に立設している。第2ストッパS2は、立板161Bの前端の上側から左右方向外側に立設している。
第2支持板162は、前後方向に延在した略矩形状の底板162Aと、底板162Aの左右方向内側の端部から上方に立設した略矩形状の立板162Bと、底板162Aの左右方向外側の端部から上方に立設した略矩形状の立板162Cと、を有している。底板162Aには、上述した第1支持板161の立板161Bが挿入されるスリットSLが形成される。このスリットSLに第1支持板161の立板161Bが挿入されると、底板162Aから立板161Bが立設され、立板161B、162Bが左右方向に間隔を空けて並べられる。この立板161B、162B間に台枠側管21を挟んだ状態で、支持部16が台枠側管21に固定される。また、上記第1ラック15は、立板162B、162C間の底板162A上に配置される。
駆動機構8は、図5に示すように、第1ラック15に連動して前後方向に移動する第2ラック81と、第2ラック81を前後方向に移動自在に支持するラック支持部82と、第1ラック15の動きを第2ラック82に伝達するケーブルC1を支持するケーブル支持板83と、第2ラック82の動きを座枠前方バー313に伝達して回転させる第4ギア(図示せず)と、第2ラック82の動きをレッグレスト5の連結部512に伝達してレッグレスト5を回転させる一対のリンク部84(図4)と、を備えている。
第2ラック81は、座枠前方バー313の下方に配置され、前後方向に移動自在にラック支持部82に支持されている。ラック支持部82は、座枠前方バー313に固定されている。ラック支持部82は、第2ラック81が搭載される底板821と、底板821の左右方向両端から上方に立設する一対の立板822とを有している。この一対の立板822に座枠前方バー313が貫通している。また、一対の立板822には各々、左右方向内側に突出するピン(図示せず)が取り付けられている。第2ラック81の側面には、前後方向に沿ったガイド溝81Aが設けられ、上記ピンが第2ラック81のガイド溝81Aに挿入される。これにより、第2ラック81が、前後方向に移動自在にラック支持部82に支持される。
ラック支持部82には、一端が第1ラック15に取り付けられたインナーワイヤW1の他端が取り付けられる。ケーブル支持板83は、第2ラック81の後端に螺子などにより固定されている。ケーブル支持板83には、ケーブルC1のアウターケーシングOC1の他端が支持される。
図示しない第4ギアは、座枠前方バー313に貫通され、一対の立板822に挟まれて配置されている。第4ギアは、第2ラック81の上方に配置され、第2ラック81と噛み合う。これにより、第4ギアは、第2ラック81が前方に移動すると、一方向に回転し、後方に移動すると、他方向に回転する。第4ギアには、座枠前方バー313に固定されていて、第4ギアが回転すると座枠前方バー313も同じ方向に回転する。
一対のリンク部84は、図4に示すように、左右方向に間隔を空けて配置される。一対のリンク部84は、連結部512の下側に係止されている。一対のリンク部84間には、第2ラック81の前端が挟まれている。一対のリンク部84は、左右方向に沿った軸を中心に回転自在に第2ラック81を支持している。これにより、第2ラック81が前方に移動すると、リンク部84が軸を中心に回転して、連結部512を一方向に回転させ、レッグレスト5が展開位置に向かって持ち上げられる。
ロック機構9は、図10及び図11に示すように、座枠前方バー313に連動する第2ギア91と、第2ギア91に係止して、回転軸11の他方向への回転を禁止する第2係止部92と、コイルバネCoと、リンク部93と、ケーブル支持部94と、ピンP5と、を備えている。
第2ギア91は、座枠前方バー313が貫通されている。第2ギア91は、座枠前方バー313に固定されていて、座枠前方バー313が回転すると、それに連動して第2ギア91も同じ方向に回転する。第2ギア91の歯は、図12に示すように、頂部よりも一方向の傾斜面M5が、頂部よりも他方向の係止面M6よりも緩やかに設けられている。
第2係止部92は、図10及び図11に示すように、前端が座枠側板311の外面に対して左右方向に沿った軸Z2を中心に揺動自在に取り付けられている。第2係止部92は、後端が第2ギア91の上方に位置する。第2係止部92は、その後端に第2ギア91の歯に向かって突出する爪部92Aが形成されている。爪部92Aは、図12に示すように、その頂部よりも後方側の端面M7が、第2ギア91の歯の係止面M6とほぼ同じ角度に設けられている。また、頂部よりも前方側の傾斜面M8が、第2ギア91の歯の傾斜面M5とほぼ同じ角度に設けられている。
これにより、図12(A)に示すように、第2ギア91が他方向に回転しようとすると、第2係止部92の端面M7と第2ギア91の係止面M6とが係止して、第2ギア91の他方向への回転を禁止する。一方、図12(B)に示すように、第2ギア91が一方向に回転すると、第2係止部92の爪部92Aが第2ギア91の傾斜面M5に摺接しながら徐々に押し上げられ、第2ギア91の歯を乗り越えるため、第2ギア91の一方向への回転を許容する。
コイルバネCo1は、図10及び図11に示すように、一端が第2係止部92に取り付けられ、他端が後述するリンク部93に取り付けられている。このコイルバネCo1により、爪部92Aが第2ギア91に近づく方向に付勢され、爪部92Aが第2ギア91に接触している。
リンク部93は、座枠側板311の外面に左右方向に沿った軸Z3を中心に回転自在に取り付けられている。リンク部93は、第2係止部92よりも左右方向内側に配置されている。リンク部93には、ピンP5が左右方向外側に向かって突設され、ケーブルC2の力が伝達されると、軸Z3を中心に一方向に回転しピンP5を図10に示すロック位置から図11に示す解除位置に移動させる。ロック位置において、ピンP5は第2係止部92に力を作用させず、第2係止部92が第2ギア91に接触する位置である。ピンP5の解除位置はロック位置より上方に位置する。解除位置において、ピンP5は、第2係止部92の爪部92Aを押し上げ、第2係止部92と第2ギア91とを離間させる。
リンク部93は、前方側が上下に二又に分岐した二又部93A、93Bを有している。下側の二又部93Bに軸Z3が設けられている。ピンP5は、二又部93Bの軸Z3よりも前方に突出され、第2係止部92の下方に配置される。上記コイルバネCo1は、上側の二又部93Aの前端に取り付けられている。
リンク部93の後端には、ケーブルC2のインナーワイヤ(図示せず)の一端が取り付けられる。ケーブル支持部94は、座枠側板311においてリンク部93よりも後側に取り付けられ、ケーブルC2のアウターケーシングOC2の一端が取り付けられている。
上記ケーブルC2の他端は、上述した操作レバー10に接続される。次に、上記概略で説明した操作レバー10の詳細について説明する。操作レバー10は、図3、図4、図7及び図8に示すように、本体部としてのレバー本体部101と、レバー本体部101に対して揺動自在に設けた操作片102と、操作片102が一方向に揺動するように付勢するコイルバネCo2(図13)と、を有している。操作片102は、レバー本体部101に対して一方向に揺動するとレバー本体部101に当接してレバー本体部101も一方向に回転させる。また、操作片102は、他方向に揺動すると、図7の点線で示すように、レバー本体部101に対して他方向に揺動する。この操作片102の他方向への揺動をケーブルC2により、ロック機構9に伝達して、第2係止部92と第2ギア91との係止を解除する。
レバー本体部101は、左右方向に垂直に配置された板状に設けられ、長手方向に連結される第1本体部101A及び第2本体部101Bに2分割されている。第1本体部101Aには、回転軸11が取り付けられる。第2本体部102は、第1本体部101の長手方向の回転軸11から離れた側の端部に取り付けられ、第1本体部101よりも後方側に傾いて取り付けられる。第2本体部101Bは、その上方に前方に向かって突出された本体上方部101Cと、本体上方部101Cの下端の前方から突出した操作片支持部101Dと、を有している。また、第2本体部101Bには、図13に示すように、ケーブルC2及びコイルバネCo2を支持するケーブル・コイル支持部101Eが設けられている。ケーブル・コイル支持部101Eには、ケーブルC2のアウターケーシングOC2が支持されている。また、ケーブル・コイル支持部101Eには、コイルバネCo2の一端が支持されている。
操作片102は、図13に示すように、着座者による操作が行われる操作片本体102Aと、レバー本体部101に支持される本体支持部102Bと、ケーブルC2、コイルバネCo2を支持するケーブル・コイル支持部102Cと、を有している。操作片本体102Aは、板状に形成され、図4や図13に示すように、本体上方部101Cよりも前方、かつ、左右方向内側に、レバー本体部101と直交するように配置される。本体支持部102は、図13に示すように、操作片本体102から後方に突出し、操作片支持部101Dの左右方向内側に重ねられ、軸Z4を中心に回転自在に回転自在に取り付けられる。ケーブル・コイル支持部102Cは、操作片本体102の本体支持部102Bよりも上方から後方に突出する。ケーブル・コイル支持部102Cには、ケーブルC2の図示しないインナーワイヤとコイルバネCo2の他端が取り付けられている。
上述したコイルバネCo2は、上述したようにレバー本体部101と操作片102との間に取り付けられ、操作片102が一方向に揺動するように付勢している。これにより、操作片102は、図13の実線で示すように、本体上方部101Cの前端に近づく方向に付勢され、本体上方部101Cの前端に当接している。
次に、上述した構成の座席装置1の動作について説明する。まず、レッグレスト5が図1(A)に示すように、収納位置にあるとする。着座者が、操作レバー10を操作していない状態では、操作片102は、コイルバネCo2の付勢力により図7の実線に示す初期位置にある。また、レバー本体部101は、第2ストッパS2と当接する初期位置にある。着座者が操作片102の上端を後方に向けて操作すると、操作片102に押されてレバー本体部101が一方向に回転する。
レバー本体部101を一方向に回転させると、図9(A)に示すように。第1係止部13の爪部13Aの端面M3が第1ギア12の係止面M2に当接して、第1ギア12を一方向に回転させる。第1ギア12が一方向に回転すると、第1ラック15が前方に向かって移動する。この第1ラック15の前方への移動が、ケーブルC1により伝達され、第2ラック82が前方に移動する。第2ラック82の前方への移動がリンク部84を介してレッグレスト5の連結部512に伝達されて連結部512が一方向に回転する。これにより、レッグレスト5が展開位置に向かって持ち上がる。
第2ラック82が前方に移動すると、第2ラック82に噛み合う第3ギア14が一方向に回転する。第3ギア14の一方向への回転に連動して、第3ギア14が固定されている座枠前方バー313も一方向に回転する。座枠前方バー313の一方向への回転に連動して、座枠前方バー313に固定されたロック機構9の第2ギア91も一方向に回転する。第2ギア91が一方向に回転すると、図12(B)に示すように、第2係止部92の爪部92Aが第2ギア91の緩やかな傾斜面M8に摺接しながら徐々に押し上げられ、第1ギア91の歯を乗り越える。即ち、第2係止部92は、第2ギア91の一方向への回転を許容する。
着座者が操作レバー10から手を離すと、図示しないコイルバネの付勢力などにより操作レバー10が他方向に回転する。操作レバー10を他方向に回転させると、図9(B)に示すように、第1係止部13が第1ギア12の緩やかな傾斜面M1に摺接しながら徐々に押し上げられ、第1ギア12の歯を乗り越える。これにより、操作レバー10の他方向への回転力は、第2ギア12に伝わらないため、操作レバー10の他方向への回転により、レッグレスト5が収納位置に戻ることはない。
また、上述したように着座者が操作レバー10から手を離すと、レッグレスト5は、自重により収納位置に戻ろうとして、第2ラック81が後方に移動しようとする。第2ラック81が後方に移動しようとすると、第2ラック81に噛み合う図示しない第4ギアが他方向に回転しようとし、これに連動し、座枠前方バー313及び第2ギア91も他方向に回転しようとする。第2ギア91が他方向に回転すると、図12(A)に示すように、第2係止部92の端面M7と第2ギア91の係止面M6とが係止して、第2ギア91が他方向に回転しないようにする。即ち、第2係止部92は、第2ギア91の他方向の回転は禁止する。これにより、着座者がレバーから手を離してもレッグレスト5が自重により収納位置に戻ることはない。
図7の点線で示すように、操作片102を前方に倒すと、操作片102がレバー本体部101に対して他方向に回転する。このとき、レバー本体部101は回転しない。操作片102の他方向への回転がケーブルC2を介してロック機構9のリンク部93に伝わり、図11に示すように、リンク部93が他方向に回転する。これにより、ピンP5が第2係止部92を押し上げて第2係止部92と第2ギア91とが離間する。このため、第2ギア91の他方向への回転が許容されるため、レッグレスト5が自重により収納位置に戻る。
上述した実施形態によれば、伝達機構を構成する第1ギア12及び第1係止部13が、操作レバー10の一方向への回転力を回転軸11に伝達し、操作レバー10の他方向への回転力は回転軸11に伝達しない。このため、操作レバー10の一方向への回転及び他方向への回転を繰り返すことにより、回転軸11を一方向に回転させ、レッグレスト5を駆動させることができる。これにより、操作レバー10の回転範囲が狭くても、レッグレスト5の駆動量に比べて操作レバー10の操作量を十分大きくすることができるため、軽い力で操作レバー10を回転させてレッグレストを駆動させることができる。
上述した実施形態によれば、第1ギア12及び第1係止部13から成るラチェット構造により簡単に伝達機構を構成することができる。
特に、レッグレストは、着座者がそこに脚を載せた状態で操作レバー10の操作を行う。このため、操作レバー10が重いと、それを着座者は脚を踏ん張ってしまい、レッグレスト5を収納位置に押し戻してしまう。このため、さらに操作レバー10が重くなってしまう。本実施形態の座席装置1によれば、軽い力で操作レバー10を回転させるため、着座者は脚をフットレストに載せた踏ん張る必要がなくなり、より効果が高い。
また、上述した実施形態によれば、ロック機構9が、回転軸11の一方向への回転を許容(=レッグレスト5の展開位置への駆動を許容)し、回転軸11の他方向への回転を禁止(=レッグレスト5の収納位置への駆動を禁止)する。これにより、操作レバー10を他方向に回転操作している間に、回転軸11が他方向に回転して、展開位置に戻ることがない。
また、上述した実施形態によれば、ロック機構9は、回転軸11に連動する第2ギア91と、第2ギア91を係止する第2係止部92と、を有し、第2ギア91及び第2係止部92は、回転軸11が一方向に回転すると、第2係止部92が第2ギア91に係止せずに、回転軸11の回転を許容し、回転軸11が他方向に回転すると、第2係止部92が第2ギア91に係止して、回転軸11の回転を禁止するラチェット構造である。このため、ラチェット構造により簡単に回転軸11の一方向のみの回転を許容するロック機構9を設けることができる。
また、上述した実施形態によれば、操作片102は、一方向に揺動するとレバー本体部101に当接してレバー本体部101も一方向に回転させ、他方向に揺動するとレバー本体部101に対して他方向に揺動して、ロック機構9を解除する。これにより、レッグレスト5を駆動するための操作と、ロック機構9の解除操作と、を一つの操作片102で行うことができる。
また、上述した実施形態によれば、操作レバー10を、他方向に回転させて第2ストッパS2に当接する初期位置に戻すと、ピンP3が第1係止部13に接触して、第1ギア12から離間させる。これにより、操作レバー10が初期位置にあるときは、第1係止部13及び第1ギア12は、回転軸11の他方向への回転を許容する。
なお、上述した実施形態によれば、操作部として長尺状の操作レバー10を用いていたが、これに限ったものではない。操作部としては、回転操作できるものであればよく、円板状であってもよい。
また、上述した実施形態によれば、第2ギア91を座枠前方バー313に取り付けていたが、これに限ったものではない。第2ギア91としては、回転軸11に連動していればよく、例えば、回転軸11に直接取り付けて連動させるようにしてもよい。
また、上述した実施形態によれば、ロック機構9は、操作機構7が取り付けられていない座枠側板311に取り付けられていたが、これに限ったものではない。ロック機構9としては、一対の座枠側板311間の座枠前方バー313に取り付けるようにしてもよい。
また、上述した実施形態によれば、操作片102をレバー本体部101に揺動自在に取り付けることにより、レッグレスト5を駆動するための操作と、ロック機構9の解除操作と、を一つの操作片102で行えるようにしていたが、これに限ったものではない。操作レバー10に操作片102を設けずに、操作レバー10とは別の場所に、ロック機構9を解除するための解除操作部を設けるようにしてもよい。
また、上述した実施形態によれば、可動部としてレッグレスト5を駆動していたが、これに限ったものではない。座枠31や背枠41を可動部としてもよい。
また、上述した実施形態によれば、回転軸11の回転を第3ギア14、第1ラック15、ケーブルC1、リンク部84を介してレッグレスト5に伝達して、レッグレスト5を回転させていたが、これに限ったものではない。座枠前方バー313にレッグレスト5及び第1ギア12を取り付けて、座枠前方バー313を回転軸とし、座枠前方バー313の回転に応じてそれに取り付けられたレッグレスト5が回転するようにしてもよい。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。