JP2023176226A - 座席装置 - Google Patents

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JP2023176226A JP2022088394A JP2022088394A JP2023176226A JP 2023176226 A JP2023176226 A JP 2023176226A JP 2022088394 A JP2022088394 A JP 2022088394A JP 2022088394 A JP2022088394 A JP 2022088394A JP 2023176226 A JP2023176226 A JP 2023176226A
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Masanobu Nakane
裕 長尾
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Abstract

【課題】座席背面が壁に沿うロング状態にあるときは、リクライニング操作を確実に規制することができる座席装置を提供する。【解決手段】リクライニング操作部76に入力された操作力をリクライニング機構70に伝達して背凭れ3の傾倒角度の拘束を解除する動力伝達系100と、動力伝達系100の途中に設けられ、操作力を伝達可能な連結状態と伝達不能な分離状態とに切換可能なクラッチ機構200と、を備える。クラッチ機構200は、座席1をロング状態に変換すると、連結状態から分離状態に切り換わる。【選択図】図1

Description

本発明は、座席の状態を変換可能な座席装置に関する。
従来より、例えば鉄道車両に搭載される座席には、両側方向に長く2人用等と複数人が掛けられる腰掛タイプがあり、通常は客室内で両側の壁際に沿って設置されている。この腰掛タイプには、座席背面が壁に平行に沿うロング状態と、座席背面が壁と直交するクロス状態とに、座席中心の回転軸周りに回転させて向きを変換できる回転座席が知られている。
前記回転座席に関しては、座席を壁に沿ったロング状態からクロス状態へ回転させるとき、座席の軌跡(回転半径)が壁と干渉しないように、座席の回転機構に加えてスライド機構を備え、さらに各機構を連動させる伝達機構も備えた座席装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
すなわち、前記座席装置では、客室内で両側の座席間の通路幅をなるべく広げて快適な空間を確保するために、ロング状態のときは座席の回転軸を壁際に位置させる一方、クロス状態のときは座席が壁と干渉しないように、座席の回転軸を通路側にスライドさせていた。そのため、前記座席装置では、ロング状態のときに壁との干渉を防ぐために、背凭れを傾倒させることはできず、座り心地を良くするリクライニング機構を備えることができなかった。
このような前記座席装置の問題を解決するために、本件出願人は、座席がロング状態にあるとき、リクライニング機構による背凭れを傾倒させる操作を不能とする座席装置を既に提案している(例えば特許文献2参照)。この座席装置では、座席脇にある袖部上端の肘掛にリクライニング機構の操作レバーが配置され、座席がロング状態のときに操作レバーを操作不能に拘束するロック機構が袖部内に設けられていた。
特許第3431772号公報 特許第7051253号公報
しかしながら、前述した特許文献2に記載の座席装置では、リクライニング機構を操作不能とするロック機構が袖部内に設けられるから、袖部内の限られたスペースに組み付けることが困難な場合もある。また、袖部内にロック機構を設けられた場合でも、袖部内でのロック機構の実質的な配置スペースが大きくなり、例えばインアームテーブル等が設置できなくなるという改善点もあった。
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、座席が特定の状態(ロング状態)にあるときは、従来技術とは全く異なる構成により袖部内のスペースを使うことなく、リクライニング操作を確実に規制することができる座席装置を提供することを目的としている。
前述した目的を達成するため、本発明の一態様は、
座席の状態を変換可能な座席装置において、
座席の背凭れを傾倒可能に支持して所定の傾倒角度に拘束可能なリクライニング機構と、
前記リクライニング機構による背凭れの傾倒角度の拘束を解除可能なリクライニング操作部と、
前記リクライニング操作部に入力された操作力を前記リクライニング機構に伝達して背凭れの傾倒角度の拘束を解除する動力伝達系と、
前記動力伝達系の途中に設けられ、前記操作力を伝達可能な連結状態と伝達不能な分離状態とに切換可能なクラッチ機構と、を備え、
前記クラッチ機構は、座席を特定の状態に変換すると、座席が特定の状態でないときの前記連結状態から前記分離状態に切り換わることを特徴とする。
本発明に係る座席装置によれば、座席の状態を変換可能な場合において、座席が特定の状態にあるときは、着座者の操作による背凭れの傾倒を確実に規制することができる。
本発明の実施形態に係る座席装置のロング状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置の一クロス状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のロング状態と一クロス状態の途中の状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置の座席の台枠と移動台を下側から見た斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置の台枠にある回転ロック機構の係止孔の位置を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る座席装置の回転ロック機構を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る座席装置の脚台を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置がロング状態と一クロス状態の途中にあるときの脚台に対するクラッチ機構の相対的な位置を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る座席装置がロング状態のときの脚台に対するクラッチ機構の相対的な位置を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る座席装置の台枠の取付板に配置したクラッチ機構と伝動手段を下側から見た斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構と伝動手段を下側から見た斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構の要部を拡大して示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構を拡大して示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構の取付ブラケットの取り付け状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構のベース部材の取り付け状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構の切換部材の取り付け状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構の連動部材の取り付け状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構の下連動部材の取り付け状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構の下連動部材上に切換部材を重ねた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構のベース部材に操作ケーブルを連結した状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構の上連動部材に操作ケーブルを連結した状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置のクラッチ機構の各部材に操作ケーブルを連結した状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る座席装置がクロス状態のときのクラッチ機構の動力伝達を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る座席装置がロング状態のときのクラッチ機構の動力伝達を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る座席装置により座席をロング状態から一クロス状態を経て逆クロス状態まで変換する一連の動作を示す説明図である。
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施形態を説明する。
図1から図26は、本発明の一実施形態を示している。
本実施形態に係る座席装置10は、座席1の状態を変換可能なものである。ここで座席1の状態とは、座席1の回転による向きだけでなく、座席1の前後位置の変化等も含む概念である。また、座席1の種類は、特に限定されるものではないが、以下、鉄道車両の客室内に搭載する2人掛けの腰掛に適用した場合を例に説明する。なお、各図において、同一部分についての多少の形状の違いは単に設計変更にすぎない。
<座席装置10の概要>
図1に示すように、座席装置10は、床面上に固定される脚台11と、脚台11に前後方向へ進退可能に取り付けられた移動台20と、移動台20上に略水平面上で正逆方向へ回転可能に支持された座席1の台枠30と、を備えている。ここで脚台11は、「座席1の固定側」に相当し、移動台20および台枠30は、「座席1の可動側」に相当する。なお、座席装置10は、鉄道車両の客室内で両側の壁(窓)際の床面上に設置されている。図26中の「A」は、鉄道車両の進行方向と平行な壁の一部を示している。
図4に示すように、台枠30は、回転機構40を介して、移動台20上に回転可能に支持されている。図1に示すように、移動台20は、スライド機構15を介して、脚台11上に回転機構40(図4参照)ごと進退可能に支持されている。また、座席装置10は、回転機構40による座席1の回転に、スライド機構15による座席1の進退を連動させる連動機構60(図4参照)を備えている。
<座席1>
座席1は、例えば2人掛け用の腰掛として、図26に示すように、2つの座部2と背凭れ3を両側方向に並設してなる。背凭れ3は、その下端側が座部2の後端側に、後述するリクライニング機構70を介して傾倒可能に支持されている。また、座席1の右側には、袖部4Rが設けられており、袖部4Rの上部は肘掛となっている。同様に、座席1の左側にも、袖部4Lが設けられており、袖部4Lの上部は肘掛となっている。なお、図1に示す背凭れ3や袖部4R,4Lは、実際にはそれぞれフレームを図示している。
<座席1の状態の変換>
図26に示すように、座席1の状態は、座席背面が壁Aに略平行に沿うロング状態(図26(a)参照)と、座席背面が壁Aに略直交するクロス状態(図26(c),(d)参照)と、に変換可能である。ここでクロス状態には、座席1が車両の進行方向を向く一クロス状態(図26(c)参照)と、座席1が車両の進行方向と逆向きとなる逆クロス状態(図26(d)参照)と、がある。以下、一クロス状態と逆クロス状態を総称するときは、単にクロス状態と表記する。なお、座席背面とは、背凭れ3の背面側と同義である。
図1は、座席1がロング状態にあるときの座席装置10を示している。図2は、座席1が一クロス状態にあるときの座席装置10を示している。また、図3は、座席1をロング状態から一クロス状態に回転させる途中の座席装置10を示している。図26に示すように、座席1のロング状態を原位置として回転角度を0度とすると、ロング状態から一方向(図26中で反時計回り)へ90度回転させると一クロス状態となり、さらに一クロス状態から一方向へ180度回転させると逆クロス状態となる。なお、図3に示した座席1の回転角度は60度に相当する(図26(b)参照)。
<脚台11>
図26に示すように、脚台11は、客室内で壁Aの傍らの床面上に固定されている。図1,図7に示すように、脚台11は、例えば壁Aと略直交する方向(前後方向)に長い架台状にフレーム材を組み合わせて構成されている。脚台11の上面部12は略水平であり、この上面部12は、長辺をなす両側端部13,13と、後側(壁A側)の短辺をなす後端部14と、を備えているが、前端側(通路側)は、内側に向かって大きく切り欠かれている。
図26に示すように、脚台11は、その後端部14が壁Aに近接した状態で床面に配置されている。すなわち、脚台11は、その長手方向に平行な両側端部13,13が壁Aと略直交し、短手方向に平行な前端側および後端部14が壁Aと略平行となるように固定されている。なお、脚台11の上面部12には、次述するスライド機構15(図1参照)の他、台枠30の進退範囲や回転方向を規制するストッパ18,19(図7参照)等の関連部品も取り付けられている。
<スライド機構15>
図1に示すように、脚台11の上面部12の直ぐ下側には、移動台20がスライド機構15を介して、壁A(図26参照)と略直交する方向へ進退可能に取り付けられている。スライド機構15は、両側一対のレールユニットからなり、各レールユニットは、脚台11側のガイドレール16(図7参照)と、移動台20側のスライドレール17(図3参照)と、を備えている。
図7に示すように、ガイドレール16は、脚台11の両側端部13,13の内側に沿って設けられている。図3に示すように、スライドレール17は、次述する移動台20の両側端部21,21の外側に沿って設けられている。このように、脚台11の両側にあるガイドレール16の内側に、移動台20の両側にあるスライドレール17が摺動可能に嵌合している。
<移動台20>
図1,図3に示すように、移動台20は、脚台11の上面部12の直ぐ下側で略水平に配置されている。移動台20は、例えば長方形の板状に設けられている。移動台20の長辺をなす両側端部21,21の外側には、前述した一対のスライドレール17,17が取り付けられている。
図4に示すように、移動台20の略中央には、座席1の台枠30を回転軸周りに回転させる回転機構40が設けられている。また、移動台20の下面側には、座席1をロング状態、一クロス状態、逆クロス状態に変換するとき、座席1が壁Aと干渉しないように、座席1の回転と進退を連動させる後述の連動機構60が設けられている。
<台枠30>
図1,図4に示すように、台枠30は、座席1を取り付けて支持する座席全体のフレームであり、移動台20上に回転機構40を介して支持されている。台枠30は、例えば2つ並びの座部2の底面に合致する板状に設けられている。すなわち、台枠30は、その左右方向に長い略長方形に形成されている。
台枠30の内側には、左右方向に長い長方形の取付孔31が切り欠かれている。台枠30には、取付孔31を下面側から塞ぐように取付板32が重ね合わされている。この取付板32の上面側には、後述するクラッチ機構200等が配設されている。一方、取付板32の下面側には、次述する回転機構40や電動モータ43等が配設されている。
<回転機構40>
図4に示すように、回転機構40は、移動台20上に座席1の台枠30を略水平面上で正逆方向へ回転可能に支持するものである。回転機構40は、座席1の回転中心となる回転軸41を備えている。回転軸41の上部に、台枠30が一体に取り付けられており、台枠30は、回転軸41と一体に回転する。ここで移動台20は、脚台11(図7参照)に対して回転機構40ごとスライドするように構成されている。なお、回転機構40の中心には、後述する操作ケーブル122,132を上下に挿通させる連通孔41a(図12参照)が設けられている。
回転軸41の下部には、円盤状の回転ギヤ42が設けられている。また、移動台20の下面側で回転ギヤ42の傍らには、電動モータ43が取り付けられている。電動モータ43は減速機を備えており、その図示省略した出力軸の駆動ギヤが、回転軸41と一体の前記回転ギヤ42に動力伝達可能に噛み合っている。よって、回転軸41(すなわち座席1)の回転は、電動モータ43の電動力によって駆動されるように構成されている。なお、回転機構40は、手動によっても座席1を回転可能に構成されている。
<回転ロック機構50>
座席装置10は、台枠30(座席1)を、複数定められた所定の回転角度ごと、すなわちロング状態、一クロス状態、逆クロス状態の各回転角度ごとに回転不能に拘束可能な回転ロック機構50を備えている。図6に示すように、回転ロック機構50は、移動台20の上面側から上方へ出没可能なロックピン51と、台枠30に設けられ前記ロックピン51が係脱する係止孔52a,52b,52cと、を備えている。
図4に示すように、ユニット50aは、移動台20の下面側に取り付けられている。ロックピン51は、ユニット50aに組み付けられており、ロックピン51は、座席1がロング状態ないしクロス状態に変換されたとき、当該位置で上下に合致する台枠30側の係止孔52a,52b,52cに嵌入する。ロックピン51は、上方へ突出して各係止孔52a,52b,52cに嵌入するロック位置と、下方へ没入して各係止孔52a,52b,52cから外れるロック解除位置と、に動作する。
図5に示すように、各係止孔52a,52b,52cは、それぞれ台枠30がロング状態、一クロス状態、逆クロス状態に位置するときに、ロックピン51の先端が上下に合致する位置に設けられている。すなわち、ロング状態のとき、ロックピン51は、台枠30の係止孔52aに嵌入する。また、一クロス状態のとき、ロックピン51は、台枠30の係止孔52bに嵌入する。さらに、逆クロス状態のとき、ロックピン51は、台枠30の係止孔52cに嵌入する。
図6に示すように、ロックピン51が組み付けられたユニット50aには、ロックピン51を上方へ突出させるロック位置に常時付勢するバネ部材53と、ロックピン51をバネ部材53の付勢力に抗して下方のロック解除位置に没入させるレバー部材54とが、それぞれ設けられている。レバー部材54はL字形のリンク状に設けられており、回動中心である枢軸55より一方へ延びる作動端54aが、ロックピン51の下端側に押し引き可能に連結され、枢軸55より他方へ延びる操作端54bには、後述する回転操作ケーブル122の先端が連結されている。
すなわち、ロックピン51は、バネ部材53の付勢力によって通常はロック位置に維持されるが、レバー部材54が回転操作ケーブル122によって引かれると、バネ部材53の付勢力に抗してロック解除位置に没入するように構成されている。回転操作ケーブル122は、回転機構40の中心にある連通孔41aを挿通して、移動台20の上面側にある後述するクラッチ機構200まで延ばされている。
<連動機構60>
図4に示すように、移動台20の下面側には、座席1の回転と進退を連動させる連動機構60が設けられている。連動機構60は、座席1の状態をロング状態ないしクロス状態に変換するとき、回転機構40による台枠30の回転に、スライド機構15による移動台20の進退を連動させるものである。このような連動機構の構成は、特に限定されるものではないが、具体的には例えば、本出願人が既に提案している特開2020-158011号公報に記載された発明等を利用すると良い。
連動機構60は、第1リンク部材61と、第2リンク部材62と、を備えている。ここで連動機構60は、座席1の回転動作に伴ない揺動して各リンク部材61,62を屈曲ないし伸展させ、座席1のスライド動作を連動させるように構成されている。第1リンク部材61は、脚台11に揺動可能に支持され、第2リンク部材62は、移動台20に揺動可能に支持されている。また、各リンク部材61,62は、互いに揺動して屈曲ないし伸展が可能に連結されている。
<リクライニング機構70>
図1から図3に示すように、台枠30の後端縁には、2つ並びの背凭れ3が個別に傾倒可能に支持されている。各図中の背凭れ3は、実際の背凭れ3(図26参照)の内部のフレームを図示したものであるが、このフレームにクッション体が装着され表皮材で被覆される。ここで各背凭れ3は、それぞれ台枠30の後端縁にリクライニング機構70を介して所定の角度範囲で傾倒可能に支持されている。
リクライニング機構70は、各背凭れ3ごとに対応して設けられており、台枠30の両側端にそれぞれ配設された袖部4R,4Lの下側に沿って配置されている。図1から図3における袖部4R,4Lも、実際の袖部4R,4L(図26参照)の内部のフレームを図示したものであるが、このフレームにクッション材や表皮材が装着されることになる。また、袖部4R,4Lの上部は肘掛となる。
リクライニング機構70は、例えばガススプリング等のダンパー71から構成されている。図1に示すように、リクライニング機構70をなすダンパー71は、例えば内部にガスが充填された円筒状のシリンダ本体72と、該シリンダ本体72内に摺動可能に挿嵌されたピストン(図示せず)に固着され、シリンダ本体72外に伸縮可能に突出したロッド73と、からなる。
ダンパー71は、台枠30上で袖部4R,4Lに沿って、背凭れ3と台枠30との間に架け渡されている。ここでシリンダ本体72の後端は、背凭れ3の傾倒中心より下方の位置に連結されている。一方、シリンダ本体72の前端より出没するロッド73の先端は、台枠20の上面側に取付ブラケット74を介して連結されている。ダンパー71は、シリンダ本体72内のガス圧によってロッド73が伸長する方向に常時付勢されており、背凭れ3が最も起立した角度に復帰する方向に反発力を与えるように設定されている。
<リクライニング機構70のロック機構>
ダンパー71は、ロック機構を備えており、該ロック機構によって、ロッド73を任意の伸縮状態で固定することができ、背凭れ3を任意の傾倒角度に拘束できるように構成されている。このロック機構による拘束を、後述するリクライニング操作部76の操作によって解除すると、ダンパー71からの復元力に抗して、着座者は背凭れ3に体重をかけて押すことが可能となり、背凭れ3を最も後方へ傾倒したリクライニング位置に至るまでの任意の傾倒角度に調整することができる。
前記ロック機構は、詳細は図示省略したが、例えばシリンダ本体72内に設けられた弁機構と、該弁機構を開閉操作すべくロッド73の先から突出したプッシュピンと、からなる。かかるロック機構では、プッシュピンをシリンダ本体72側に押し込むと、ロッド73の伸縮が不可となる拘束状態となる一方、プッシュピンの押し込み動作を解除すると、ロッド73の拘束が解除されて外側へ突出する拘束解除状態となる。
ロッド73の先端(のプッシュピン)を臨む位置には、解除部材75が取付ブラケット74に揺動可能に取り付けられている。この解除部材75は、プッシュピンを押し込む方向に付勢されているが、後述するリクライニング操作ケーブル112が連結されている。このリクライニング操作ケーブル112が、次述するリクライニング操作部76の操作によって引かれると、解除部材75は付勢力に抗して揺動し、プッシュピンの押し込み動作が解除されるように構成されている。
<リクライニング操作部76>
図1に示すように、座席1には、リクライニング機構70のロック機構による背凭れ3の傾倒角度の拘束を解除可能なリクライニング操作部76が設けられている。リクライニング操作部76は、各リクライニング機構70ごとに対応して、座席1の左右にそれぞれ設けられている。リクライニング操作部76は、例えば袖部4R,4Lの肘掛にそれぞれ配置すると良い。ここでリクライニング操作部76は、その具体的な構成は図示省略したが、周知の操作レバー等により構成すると良い。
リクライニング操作部76をなす操作レバーは、例えば肘掛の先端側に着座者が指を掛ける入力端が露出した状態で回動可能に設けられている。かかる操作レバーは、その入力端を指で引くと、回転中心の反対側の作動端が逆方向に回動する。操作レバーの作動端には、入力端に入力された操作力をリクライニング機構70の解除部材75に伝達して、ロック機構の拘束状態を解除する、すなわち背凭れ3の傾倒角度の拘束を解除するための後述するリクライニング操作ケーブル111が連結されている。
<回転操作部56>
図1に示すように、座席1には、前記リクライニング操作部76とは別に、回転ロック機構50による台枠30(座席1)の回転角度の拘束を解除可能な回転操作部56も設けられている。回転操作部56は、1つの回転ロック機構50に対して、座席1の左右にそれぞれ設けられている。回転操作部56は、例えば袖部4R,4Lの適所にそれぞれ配置すると良い。ここで回転操作部56も、その具体的な構成は図示省略したが、リクライニング操作部76と同様に周知の操作レバー等により構成すると良い。
回転操作部56をなす操作レバーは、例えば袖部4R,4Lの適所に着座者が指を掛ける入力端が露出した状態で回動可能に設けられている。かかる操作レバーは、その入力端を指で引くと、回転中心の反対側の作動端が逆方向に回動する。操作レバーの作動端には、入力端に入力された操作力を回転ロック機構50のレバー部材54(図6参照)に伝達して、回転ロック機構50の拘束状態を解除する、すなわち座席1の回転角度の拘束を解除するための後述する回転操作ケーブル121が連結されている。
<特別回転ロック機構80>
また、座席装置10は、前記ロック機構50とは別に、台枠30(座席1)がクロス状態あるときに、ロング状態への変換に伴う回転を拘束する特別回転ロック機構80を備えている。本実施形態の座席装置1では、乗客は座席1を一クロス状態ないし逆クロス状態に回転させることはできるが、クロス状態(正確には一クロス状態)からロング状態への変換はできないように設定されている。
特別回転ロック機構80は、鉄道事業者による次述の特別回転操作部81の操作によってのみ、座席1の回転の拘束を解除できるように構成されている。図4に示すように、特別回転ロック機構80は、詳細は図示省略したが、例えば台枠30の下面側に設けられたストッパと、移動台20の上面側で前記ストッパに対して係脱可能な可動部と、からなる。かかる特別回転ロック機構80では、通常時は前記可動部が前記ストッパに係合することで、台枠30の回転が阻止される一方、可動部をその付勢力に抗して引くと、可動部がストッパから離脱する方向へ動くため、台枠30を回転させることができるように構成されている。
<特別回転操作部81>
図4に示すように、移動台20の下面側において、前記回転ロック機構50の近傍には、特別回転ロック機構80による台枠30の回転の拘束を解除可能な特別回転操作部81が設けられている。特別回転操作部81は、そのまま操作レバーをなす特別レバー部材82を備えている。特別レバー部材82は、前記回転ロック機構50のレバー部材54と同様にL字形のリンク状に設けられており、レバー部材54と平行に並んで回動可能に支持されている。
特別レバー部材82は、鉄道事業者によって手動で回動操作されるものであり、その操作端と回動中心を間にして反対側に延びる作動端には、後述するがマニュアル操作ケーブル131の基端が連結されている。ここでマニュアル操作ケーブル131の先端は、前記特別回転ロック機構80まで延ばされている。特別レバー部材82は、通常は乗客が操作できない移動台20の下面側に設けられており、乗客は座席1をクロス状態からロング状態へ変換することはできない。以下、特別レバー部材82の操作を「マニュアル操作」とも表記する(図24,図25参照)。
<動力伝達系100>
図1に示すように、座席装置10は、リクライニング操作部76に入力された操作力をリクライニング機構70の解除部材75に伝達して、背凭れ3の傾倒角度の拘束を解除する動力伝達系100を備えている。また、動力伝達系100は、回転操作部56に入力された操作力を回転ロック機構50のレバー部材54に伝達して、座席1の回転角度の拘束を解除するものでもある。
動力伝達系100の途中には、リクライニング操作部76および回転操作部56に入力された操作力を、それぞれ伝達可能な連結状態と伝達不能な分離状態とに切換可能なクラッチ機構200が設けられている。クラッチ機構200について詳しくは後述するが、クラッチ機構200は、座席1をロング状態に変換すると、座席1がクロス状態であるときの前記連結状態から前記分離状態に切り換わるように構成されている。ここでロング状態は、本発明の座席1の「特定の状態」に相当する。
動力伝達系100は4つの系統として、リクライニング操作ケーブル111,112と、回転操作ケーブル121,122と、マニュアル操作ケーブル131と、連動用操作ケーブル132と、を備えている。リクライニング操作ケーブル111,112は、リクライニング機構70の拘束状態を解除するものである。回転操作ケーブル121,122は、回転ロック機構50の拘束状態を解除するものである。マニュアル操作ケーブル131は、特別回転ロック機構80の拘束状態を解除するものである。連動用操作ケーブル132は、座席1の回転の拘束解除と同時に、背凭れ3を起立角度まで自動的に復帰させるものである。
<<リクライニング操作ケーブル111,112>>
図1に示すように、リクライニング操作ケーブル111,112は、詳しく言えば、リクライニング操作部76とクラッチ機構200とを連結する上半側の第1リクライニング操作ケーブル111と、クラッチ機構200とリクライニング機構70とを連結する下半側の第2リクライニング操作ケーブル112と、に分かれている。ここで第1リクライニング操作ケーブル111は、座席1右側の袖部4Rにあるリクライニング操作部76から延びる第1リクライニング操作ケーブル111Rと、座席1左側の袖部4Lにあるリクライニング操作部76から延びる第1リクライニング操作ケーブル111Lと、一対ある。
また、第2リクライニング操作ケーブル112も、第1リクライニング操作ケーブル111Rにクラッチ機構200を介して連結される第2リクライニング操作ケーブル112Rと、第1リクライニング操作ケーブル111Lにクラッチ機構200を介して連結される第2リクライニング操作ケーブル112Lと、一対ある。以下、一対の第1リクライニング操作ケーブル111R,111Lを総称するときは、単に第1リクライニング操作ケーブル111と表記する。同様に、一対の第2リクライニング操作ケーブル112R,112Lを総称するときは、単に第2リクライニング操作ケーブル112と表記する。
<<回転操作ケーブル121,122>>
図1に示すように、回転操作ケーブル121,122は、詳しく言えば、回転操作部56とクラッチ機構200とを連結する上半側の第1回転操作ケーブル121と、クラッチ機構200と回転ロック機構50とを連結する下半側の第2回転操作ケーブル122と、に分かれている。ここで第1回転操作ケーブル121は、座席1右側の袖部4Rにある回転操作部56から延びる第1回転操作ケーブル121Rと、座席1左側の袖部4Lにある回転操作部56から延びる第1回転操作ケーブル121Lと、一対ある。
一方、第2回転操作ケーブル122は、一対の第1回転操作ケーブル121R,121Lのそれぞれにクラッチ機構200を介して連結される1つのケーブルに統合されている。第2回転操作ケーブル122は、その途中から回転機構40にある連通孔41a(図12参照)を通って移動台20の下方へ配索されている。以下、一対の第1回転操作ケーブル121R,121Lを総称するときは、単に第1回転操作ケーブル121と表記する。
<<マニュアル操作ケーブル131>>
図4に示すように、マニュアル操作ケーブル131は、前述したように特別回転ロック機構80と特別回転操作部81とを連結するものである。マニュアル操作ケーブル131のインナーケーブルの基端は、特別レバー部材82の作動端に連結されている。一方、マニュアル操作ケーブル131のインナーケーブルの先端は、特別回転ロック機構80の例えば前記可動部に対して直接または間接的に操作力を伝達可能に連結されている。
すなわち、特別レバー部材82を鉄道事業者が手動で操作すると、マニュアル操作ケーブル131が引かれて、特別回転ロック機構80の前記可動部が前記ストッパから離脱するため、特別回転ロック機構80の拘束が解除されるように構成されている。ここで特別レバー部材82は、隣接する回転ロック機構50のレバー部材54に対して押し引き可能に連結されており、特別レバー部材82が操作されると、同時にレバー部材54も、第2回転操作ケーブル122を介することなく操作されるように構成されている。
<<連動用操作ケーブル132>>
図4,図1に示すように、連動用操作ケーブル132は、回転ロック機構50とクラッチ機構200とを連結するものである。連動用操作ケーブル132は、回転ロック機構50による座席1の回転角度の拘束が解除されるとき、同時にリクライニング機構70のロック機構による背凭れ3の傾倒角度の拘束も解除するために、レバー部材54の操作力を次述のクラッチ機構200まで伝達するように配索されている。
図4に示すように、連動用操作ケーブル132のインナーケーブルの基端は、回転ロック機構50のレバー部材54の操作端に連結されている。これにより、回転操作部56が操作されてレバー部材54が引かれると、同時に連動用操作ケーブル132も引かれることになる。また、レバー部材54は、前述したように特別レバー部材82の操作に連動するため、特別回転操作部81が操作された場合も、同時に連動用操作ケーブル132が引かれることになる。
図21に示すように、連動用操作ケーブル132のインナーケーブルの先端は、次述するクラッチ機構200のベース部材210に連結されている。かかる連動用操作ケーブル132による操作力は、座席1がクロス状態とロング状態のどちらにあっても、クラッチ機構200を介して、一対の第2リクライニング操作ケーブル112R,112Lと第2回転操作ケーブル122の全てに伝達されるように構成されている。これについて詳しくは後述する。
<クラッチ機構200>
図1に示すように、クラッチ機構200は、動力伝達系100の途中に設けられ、各操作部56,76に入力された操作力を伝達可能な「連結状態」と、伝達不能な「分離状態」とに切換可能に構成されている。クラッチ機構200は、座席1をロング状態(特定の状態)に変換すると、座席1がクロス状態であるときの連結状態から分離状態に切り換わるように設定されている。クラッチ機構200は、座席1の内部で比較的スペースの余裕がある台枠30上に配設されている。なお、以下の説明において、「左」「右」、「前」「後」、「上」「下」とは、座席1の着座者から見た方向である。
図12から図14に示すように、クラッチ機構200は、台枠30の取付板32上に固定された取付ブラケット201と、取付ブラケット201上に移動可能に設けられたベース部材210と、ベース部材210上に移動可能に設けられた切換部材220と、それに複数の連動部材231,241等を備えている。図15から図18は、クラッチ機構200を構成する各部品を順次配置した状態を示している。クラッチ機構200を構成する各部品は、それぞれ上下に重なり合う状態に配置されており、1つのユニットとして構成されている。
<<取付ブラケット201>>
図15に示すように、取付ブラケット201は、台枠30の左右方向と平行に延びる底面部202を主とする図示した形状に設けられている。底面部202の両端に、それぞれフランジ203,204が立設されている。また、底面部202上には、左右方向に延びる台座部205が一段高く設けられている。取付ブラケット201には、各操作ケーブル111,112等が、台枠30の左右方向と平行に連なる状態に配索されている。
図12に示すように、左側(図12中では右側)のフランジ204には、第1リクライニング操作ケーブル111R,111L、第1回転操作ケーブル121R,121L、それに連動用操作ケーブル132の各アウターケーシングの先端が係止されている。一方、右側(図12中では左側)のフランジ203には、第2リクライニング操作ケーブル112R,112L、第2回転操作ケーブル122の各アウターケーシングの基端が係止されている。
<<ベース部材210>>
図16に示すように、ベース部材210は、取付ブラケット201の左右方向と直交する前後方向に長い所定厚の基盤状に設けられている。ベース部材210は、取付ブラケット201の底面部202上で、リクライニング操作ケーブル111,112等が配索された軸方向と平行な左右方向へ移動可能に支持されている。ここでベース部材210の底面側は、取付ブラケット201の台座部205に摺動可能に上から嵌合した状態で左右方向へ案内される。
ベース部材210は、左右方向へ移動可能であるが、通常はベース部材210の右端に位置するようにバネ部材251等によって付勢されている。ベース部材210上には、複数のピン211~214が固定されている。取付ブラケット201とベース部材210との間には、図16中では隠れているが、後述の下連動部材232(図19参照)が配されている。下連動部材232より上方に突出したピン233は、ベース部材210にある空隙を通って上方へ延出している。
図21に示すように、ベース部材210には、連動用操作ケーブル132の先端がピン214を介して連結されている。ここで連動用操作ケーブル132のインナーケーブルの先端には、長孔を備えた連結部品133が固結されている。連結部品133の長孔に前記ピン214が回転ないし移動可能に嵌合することで、連動用操作ケーブル132の先端は、ベース部材210に所定の遊び範囲を持って連結されている。また、図13に示すように、ベース部材210の右端(図中では左側)には、第2回転操作ケーブル122の基端が連結されている。
<<切換部材220>>
図17に示すように、切換部材220は、ベース部材210と同様に取付ブラケット201の左右方向と直交する前後方向に長く、ベース部材210より細幅のプレート状に設けられている。切換部材220は、ベース部材210上で、該ベース部材210が移動する左右方向と直交する前後方向へ移動可能に支持されている。切換部材220は、ベース部材210の上面側に凹設された溝内に前後方向へ移動可能に嵌合している。よって、切換部材220は、ベース部材210に対して前後方向には自由に移動するが、左右方向にはベース部材210と一体に移動することになる。
切換部材220には、後述する被係合部92が伝動手段300を介して連結されており、被係合部92の変位が伝動手段300を介して伝達されると、前後の前側(一方向)から後方(他方向)へ、すなわちベース部材210より後方へ抜け出る方向へ移動するように設定されている。ここで切換部材220は、座席1がクロス状態にあるときは、ベース部材210上に収まる没入位置(図24参照)に維持されるが、座席1がロング状態に変換されると、ベース部材210の後方へ出る突出位置(図25参照)に変位するように設定されている。
また、切換部材220の中程には、後述する一対の下連動部材232の各ピン233が貫通する間に位置するように別ピン222が上方へ突設されている。さらに、切換部材220において別ピン222の前後には、それぞれ左右方向に延びる一対の回避溝223,223が穿設されている。各回避溝223は、後述する下連動部材232のピン233が相対的に移動可能に貫通するものである。
<<連動部材231,232等>>
図18,図19に示すように、複数の連動部材231,232等は、リクライニング操作用の連動部材231,232と、回転操作用の回転用連動部材241と、からなる。先ず連動部材231,232は、切換部材220の上側に設けられた上連動部材231と、切換部材220の下側に設けられた下連動部材232と、に分かれている。ここで上連動部材231は、第1リクライニング操作ケーブル111Rに対応した上連動部材231Rと、第1リクライニング操作ケーブル111Lに対応した上連動部材231Lと、一対ある。
また、下連動部材232も、第2リクライニング操作ケーブル112Rに対応した下連動部材232Rと、第2リクライニング操作ケーブル112Lに対応した下連動部材232Lと、一対ある。以下、一対の上連動部材231R,231Lを総称するときは、単に上連動部材231と表記する。同様に、一対の下連動部材232R,232Lを総称するときは、単に下連動部材232と表記する。
図20に示すように、下連動部材232は、切換部材220の下側で取付ブラケット201の台座部205の両脇に配置されている。下連動部材232は、取付ブラケット201の左右方向と平行に延びる長方形のプレート状に設けられている。下連動部材232は、取付ブラケット201の上側で、ベース部材210と同じく左右方向へ移動可能に支持されている。
図19に示すように、下連動部材232の左端(図中では右側)には、上方へ突出するピン233が回動片234を介して前後に回動(変位)可能に設けられている。一方、下連動部材232の右端(図中では左側)には、第2リクライニング操作ケーブル112のインナーケーブルの基端が連結されている。ここで第2リクライニング操作ケーブル112のインナーケーブルの基端には、図示省略したが後述する第1リクライニング操作ケーブル111と同様に、長孔を備えた連結部品が固結されている。一方、下連動部材232の右端(図中では左側)の下面側には、連結用のピンが突設されている。
図22に示すように、上連動部材231は、切換部材220の上側で前記下連動部材232に平面視で重なる位置に配されている。上連動部材231は、下連動部材232と同様に左右方向に延びており細幅なプレート状に設けられている。上連動部材231は、切換部材220の上側で、下連動部材232と同じくベース部材210に対して左右方向へ移動可能に支持されている。
図24(a)に示すように、上連動部材231には、その移動方向と平行な方向へ延びる案内溝235と、該案内溝235に直交して連通する連結孔236と、が設けられている。上連動部材231は、下連動部材232に回動可能に設けられたピン233が、案内溝235ないし連結孔236に相対的に移動可能に嵌合することで、下連動部材232に押引き可能に連結されている。なお、下連動部材232の上に重なる切換部材220には、前述したようにピン233が相対的に移動可能に貫通する回避溝223が設けられている。
図22,図24(a)に示すように、一対の上連動部材231R,231Lには、それぞれ対応する第1リクライニング操作ケーブル111R,111Lのインナーケーブルの先端が連結されている。一方の上連動部材231Lの上面側で連結孔236の傍らには、連結用のピン237が突設されている。第1リクライニング操作ケーブル111Lのインナーケーブルの先端には、長孔を備えた連結部品113が固結されている。連結部品113の長孔に前記ピン237が回転ないし移動可能に嵌合することで、第1リクライニング操作ケーブル111Lは、上連動部材231Lに所定の遊び範囲を持って連結されている。他方の上連動部材231Rにも、同様な構成により第1リクライニング操作ケーブル111Rが連結されている。
図14に示すように、一方の上連動部材231Rのピン237と、ベース部材210のピン211との間には、バネ部材252が架け渡されている。このバネ部材252によって、一方の上連動部材231Rは、右端(図中では左端)に移動する方向へ付勢されている。他方の上連動部材231Lのピン237と、ベース部材210のピン212との間にも、同様にバネ部材253が架け渡されている。このバネ部材253によって、他方の上連動部材231Lは、右端(図中では左端)に移動する方向へ付勢されている。
後述するが、座席1がロング状態のとき、図25(a)に示すように、切換部材220は、ベース部材210の後方へ引き出された突出位置となる。このとき、クラッチ機構200では、上連動部材231の案内溝235をピン233が移動するため、上連動部材231が引かれても、その操作力は下連動部材232に伝達されない分離状態となる。
また、座席1がクロス状態のとき、図24(a)に示すように、切換部材220は、ベース部材210の前方へ引き込まれた没入位置となる。このとき、クラッチ機構200では、上連動部材231の連結孔236にピン233が嵌合するため、上連動部材231が引かれると、その操作力が下連動部材232に伝達される連結状態となる。
<<回転用連動部材241>>
図23に示すように、回転用連動部材241は1つの部品で、一対の第1回転操作ケーブル121R,121Lに対応している。回転用連動部材241は、切換部材220の上側で前後に並ぶ一対の上連動部材231R,231Lの間に配置されている。回転用連動部材241は、上連動部材231と同様に左右方向に延びる長方形のプレート状に設けられている。回転用連動部材241は、切換部材220の上側で、上連動部材231と同じくベース部材210に対して左右方向へ移動可能に支持されている。
図25(d)に示すように、回転用連動部材241には、その移動方向と平行な方向へ延びる案内溝242と、該案内溝242に直交して連通する連結孔243と、が設けられている。回転用連動部材241は、切換部材220上に突設された別ピン233が、案内溝242ないし連結孔243に相対的に移動可能に嵌合することで、切換部材220に押引き可能に連結されている。
図23,図25(d)に示すように、回転用連動部材241には、一対の第1回転操作ケーブル121R,121Lのインナーケーブルの先端が連結されている。回転用連動部材241の上面側で連結孔243の傍らには、連結用の一対のピン244,244が突設されている。各第1回転操作ケーブル121R,121Lのインナーケーブルの基端には、それぞれ長孔を備えた連結部品123が固結されている。連結部品123の長孔に前記ピン244が回転ないし移動可能に嵌合することで、一対の第1回転操作ケーブル121R,121Lは、それぞれ回転用連動部材241に所定の遊び範囲を持って連結されている。
回転用連動部材241に連結された一対の第1回転操作ケーブル121R,121Lに対応する第2回転操作ケーブル122は、回転用連動部材241ではなく、前述したようにベース部材210に連結されている。図13に示すように、第2回転操作ケーブル122の基端には連結部品124が固結されており、この連結部品124がピン215を介してベース部材210の右端(図中では左側)に連結されている
図23に示すように、回転用連動部材241において、第1回転操作ケーブル121Lの先端が連結されたピン244と、ベース部材210のピン213との間には、バネ部材254が架け渡されている。このバネ部材254によって、回転用連動部材241は、同時に左右方向に移動するベース部材210ごと右端(図中では左端)に移動する方向へ付勢されている。
後述するが、座席1がロング状態のとき、図25(c)に示すように、切換部材220は、ベース部材210の後方へ引き出された突出位置となる。このとき、クラッチ機構200では、切換部材220上のピン222が回転用連動部材241の案内溝242を移動する。よって、一対の第1回転操作ケーブル121R,121Lの何れかにより回転用連動部材241が引かれても、その操作力は切換部材220を介してベース部材210に伝達されない分離状態となる。
また、座席1がクロス状態のとき、図24(c)に示すように、切換部材220はベース部材210の前方へ引き込まれた没入位置となる。このとき、クラッチ機構200では、切換部材220上のピン222が連結孔243に嵌合する。よって、一対の第1回転操作ケーブル121R,121Lの何れかにより回転用連動部材241が引かれると、その操作力は切換部材220を介してベース部材210に伝達され連結状態となる。
<係合部91と被係合部92>
図8,図9に示すように、座席装置10は、クラッチ機構200を切り換える構成として、座席1の固定側である脚台11に設けられた係合部91と、座席1の可動側である台枠30に設けられた被係合部92と、を備えている。図8,図9は、係合部91と被係合部92との位置関係を示しており、各図中では煩雑化を避けるため、移動台20と台枠30を図示省略している。
図8は、クロス状態とロング状態の途中の60度(図3参照)のときの位置関係を示し、図9は、ロング状態(図1参照)のときの位置関係を示している。図9に示すロング状態(特定の状態)にあるとき、可動側の被係合部92は固定側の係合部91に係合して初期位置から回動(変位)している。一方、図8に示す状態も含めてロング状態でないときは、被係合部92は係合部91から離脱して初期位置に維持されている。
図7に示すように、係合部91は、脚台11の上面部12のうち図示した位置に固定され、上面部12の上面側に突出するブラケット状に設けられている。図10に示すように、台枠30に固定された取付板32において、クラッチ機構200の配置箇所の後方には取付プレート301が固定されている。
被係合部92は、取付プレート301に軸支された回転軸302の下側に一体に固定され、取付プレート301の下側で回転軸302と共に回動可能に支持されている。被係合部92は、回転軸302の軸心と直交する方向へ出っ張るブロック状に設けられている。ここで被係合部92は、座席1がロング状態(特定の状態)になると、係合部91に係合して押され、回転軸302を中心に平面視で時計回り方向へ回動するように設定されている。
<伝動手段300>
図14に示すように、被係合部92とクラッチ機構200とは、互いに伝動手段300を介して連結されている。座席1がロング状態に変換されると、被係合部92の回動(変位)が伝動手段300を介してクラッチ機構200に伝達され、クラッチ機構200が連結状態から分離状態に切り換わるように構成されている。
伝動手段300は、前記取付プレート301にまとめてユニット化されており、被係合部92が下端に固定された前記回転軸302と、回転軸302の上端に固定されたリンク303と、リンク303の先端と前記切換部材220との間に連結されたアーム304と、を備えている。図14に示すように、リンク303は、取付プレート301を間にして下方の被係合部92とは異なる角度に延出するように回転軸302の上端に固定されている。
リンク303の先端に、アーム304の一端が回動可能に連結されている。アーム304の他端には連結部品304aが固結されており、連結部品304aは、切換部材220の後端部221に回動可能に連結されている。ここでリンク303は、バネ部材305によって、通常はアーム304を介して切換部材220を後方へ引き出さない方向(平面視で反時計回り方向)、すなわち切換部材220を没入位置に維持する方向へ付勢されている。
<座席装置10の作用>
以下、本実施の形態に係る座席装置10の作用について説明する。
先ず、クラッチ機構200の動作について説明する。
<<座席1のクロス状態におけるクラッチ機構200の動作>>
座席1がクロス状態にあるとき、移動台20側の被係合部92は、脚台11側の係合部91から離れている(図8参照)。従って、被係合部92の回動(変位)が、伝動手段300を介してクラッチ機構200に伝達されることはなく、クラッチ機構200は、動力伝達系100の操作力を伝達可能な連結状態にある。すなわち、クラッチ機構200の切換部材220が、没入位置に維持されている。図24は、座席1がクロス状態にあるときのクラッチ機構200による動力伝達を示している。
A.リクライニング操作
先ず、図24(a),(b)に示すように、背凭れ3のリクライニング操作について説明する。クラッチ機構200が連結状態のとき、図24(a)に示すように、リクライニング操作用の上連動部材231の連結孔236に、図外の下連動部材232のピン233が嵌合している。ここで例えば、座席1左側の袖部4Lにあるリクライニング操作部76を操作すると、第1リクライニング操作ケーブル111Lが引かれる(図24(a)中の矢印)。
すると、連結孔236とピン233との嵌合関係により、上連動部材231Lと共に図外の下連動部材232Lも引かれて、第2リクライニング操作ケーブル112Lに操作力が伝達される(図24(b)中の矢印)。これにより、第2リクライニング操作ケーブル112Lの先端にある座席1左側のリクライニング機構70のロック機構による背凭れ3の傾倒角度の拘束は解除される。なお、座席1右側の袖部4Rにあるリクライニング操作部76の操作した場合も同様に動作する。
B.回転操作
次に、図24(c),(d)に示すように、座席1の回転操作について説明する。クラッチ機構200が連結状態のとき、図24(c)に示すように、回転操作用の回転用連動部材241の連結孔243に、ベース部材210のピン222が嵌合している。ここで例えば、座席1左側の袖部4Lにある回転操作部56を操作すると、第1回転操作ケーブル121Lが引かれる(図24(c)中の矢印)。
すると、連結孔243とピン222との嵌合関係により、回転用連動部材241がベース部材210と共に引かれて、第2回転操作ケーブル122に操作力が伝達される(図24(d)中の矢印)。これにより、第2回転操作ケーブル122の先端にある回転ロック機構50による座席1の回転角度の拘束は解除される。なお、座席1右側の袖部4Lにあるリクライニング操作部76を操作した場合も同様に動作する。
しかも、ベース部材210自体が動くと、これに直接連結された第2回転操作ケーブル122だけでなく、一対の第2リクライニング操作ケーブル112R,112Lも全て引っ張られることになる。よって、座席1の回転の拘束を解除すると、左右一対の背凭れ3,3の拘束も同時に解除され、各背凭れ3は起立角度まで自動的に復帰する。これは、座席1の回転と同時に背凭れ3を起こさないと、壁Aに当たってしまうためである。
C.マニュアル操作
次いで、図24(e),(f)に示すように、鉄道事業者によるマニュアル操作について説明する。図4において、特別回転操作部81の特別レバー部材82を操作すると、マニュアル操作ケーブル131を介して特別回転ロック機構80による座席1の回転角度の拘束が解除される。このとき、特別レバー部材82を操作に連動して、回転ロック機構50のレバー部材54も同期して揺動するため、連動用操作ケーブル132が引かれる(図24(e)中の矢印)。
すると、連動用操作ケーブル132の先端がピン214を介して連結されているベース部材210自体も動く。これにより、ベース部材210に直接連結された第2回転操作ケーブル122だけでなく、一対の第2リクライニング操作ケーブル112R,112Lも全て引っ張られる(図24(f)中の矢印)。よって、マニュアル操作によれば、座席1の回転の拘束が解除されると共に、左右一対の背凭れ3,3の拘束も同時に解除され、各背凭れ3は起立角度まで自動的に復帰する。
<<座席1のロング状態におけるクラッチ機構200の動作>>
座席1がロング状態に変換されると、図9に示すように、脚台11側の係合部91に対して移動台20側の被係合部92が係合する。すると、被係合部92は押され、図14において、リンク303と共にバネ部材305の付勢力に抗して、アーム304を引っ張る方向へ回動する。これにより、クラッチ機構200の切換部材220は、没入位置から引き出された突出位置まで移動し、クラッチ機構200は、動力伝達系100の操作力を伝達不能な分離状態に切り換わる。図25は、座席1がロング状態にあるときのクラッチ機構200による動力伝達を示している。
A.リクライニング操作
先ず、図25(a),(b)に示すように、背凭れ3のリクライニング操作について説明する。クラッチ機構200が分離状態のとき、図25(a)に示すように、リクライニング操作用の上連動部材231の案内溝235に対して、図外の下連動部材232のピン233は移動可能に嵌合している。ここで例えば、座席1左側の袖部4Lにあるリクライニング操作部76を操作すると、第1リクライニング操作ケーブル111Lが引かれる(図25(a)中の矢印)。
すると、上連動部材231Lは、図25(b)に示すように図中で右側に引かれるが、このときピン233は、上連動部材231Lが引かれる方向と平行に延びる案内溝235内を相対的に移動する。よって、上連動部材231Lから操作力が、ピン233を介して図外の下連動部材232Lに伝達されることはなく、リクライニング操作部76の操作は空振りとなる。すなわち、リクライニング機構70のロック機構による背凭れ3の傾倒角度の拘束は解除されない。なお、座席1右側の袖部4Rにあるリクライニング操作部76の操作した場合も同様に動作する。
B.回転操作
次に、図25(c),(d)に示すように、座席1の回転操作について説明する。クラッチ機構200が分離状態のとき、図25(c)に示すように、回転操作用の回転用連動部材241の案内溝242に対して、ベース部材210のピン222は移動可能に嵌合している。ここで例えば、座席1左側の袖部4Lにある回転操作部56を操作すると、第1回転操作ケーブル121Lが引かれる(図25(c)中の矢印)。
すると、回転用連動部材241は、図25(d)に示すように図中で右側に引かれるが、このときピン222は、回転用連動部材241が引かれる方向と平行に延びる案内溝242内を相対的に移動する。よって、回転用連動部材241から操作力が、ピン222を介してベース部材210に伝達されることはなく、回転操作部56の操作は空振りとなる。すなわち、回転ロック機構50による座席1の回転角度の拘束は解除されない。なお、座席1右側の袖部4Rにある回転操作部56の操作した場合も同様に動作する。
C.マニュアル操作
次いで、図25(e),(f)に示すように、鉄道事業者によるマニュアル操作について説明する。図4において、特別回転操作部81の特別レバー部材82を操作すると、マニュアル操作ケーブル131を介して特別回転ロック機構80による座席1の回転角度の拘束が解除される。このとき、特別レバー部材82を操作に連動して、回転ロック機構50のレバー部材54も同期して揺動するため、連動用操作ケーブル132が引かれる(図25(e)中の矢印)。
これにより、前述したクロス状態におけるマニュアル操作のときと同様の動作により、座席1の回転の拘束が解除されると共に、左右一対の背凭れ3,3の拘束も同時に解除され、各背凭れ3は起立角度まで自動的に復帰する。このようなマニュアル操作は、座席1の状態に関わらず何時でも行うことができる。なお、特別回転ロック機構80は本来、乗客によるクロス状態からロング状態への変換を防ぐものであるが、座席1がロング状態にあるときは、リクライニング機構70のロック機構と回転ロック機構50による全ての拘束を同時に解除するために用いることができる。
<<座席1の状態の変換>>
次に、座席1の状態の変換について説明する。
図1に示すように、座席1がロング状態にあるとき、連動機構60によって、移動台20は、脚台11に対して進退不能に拘束され、さらに回転ロック機構50によって、座席1の台枠30は、移動台20に対して回転不能に拘束される。ここで回転ロック機構50では、図6に示すロックピン51が、台枠30にある係止孔52a(図5参照)に係合している。図26(a)に示すように、座席1がロング状態にあるとき、座席1の回転中心となる回転軸41は壁Aに最も接近した位置にあり、客室内の通路幅が広く確保される。
図26(a)から図26(c)に示すように、座席1をロング状態(0度)から一クロス状態(90度)に変換するには、前述したようにロング状態では回転ロック機構50による拘束状態を直接は解除できない。そのため、先ずはマニュアル操作によって、特別回転ロック機構80による拘束状態を解除すると共に、回転ロック機構50による拘束状態を解除する。
その後、連動機構60の各リンク部材61,62を伸展させながら座席1を図中で反時計回りに回転させる。これに伴ない移動台20は、壁Aから離れる通路側(前方)へスライドし、座席1の回転軸41も移動台20ごとスライドしつつ、座席1は一クロス状態(90度)となる。
図2に示すように、座席1が一クロス状態にあるとき、連動機構60によって、移動台20は、脚台11に対して進退不能に拘束され、さらに回転ロック機構50によって、座席1の台枠30は、移動台20に対して回転不能に拘束される。ここで回転ロック機構50では、図6に示すロックピン51が、台枠30にある係止孔52b(図5参照)に係合している。
図26(c)から図26(d)に示すように、座席1を一クロス状態(90度)から逆クロス状態(270度)に変換するには、回転ロック機構50による拘束状態を解除した後、座席1を図中で反時計回りに180度回転させる。このとき、連動機構60が動作することはなく、座席1が回転に伴い進退することはなく、回転軸41は定位置に支持されている。座席1の逆クロス状態では、図6に示すロックピン51が、台枠30にある係止孔52c(図5参照)に係合している。
また、座席1を逆クロス状態から一クロス状態に変換するには、前述した一クロス状態から逆クロス状態へ変換する場合と同様に、回転ロック機構50による拘束状態を解除してから座席1を逆方向へ180度回転させれば良い。なお、座席1の一クロス状態ないし逆クロス状態への変換は、電動モータ42の駆動によらず、手動操作で行えるようにすると良い。
さらに、乗客は座席1を一クロス状態ないし逆クロス状態に変換することはできるが、クロス状態(正確には一クロス状態)からロング状態へ変換することはできない。よって、座席1をクロス状態からロング状態に変換するには、前述したように鉄道事業者によるマニュアル操作が必要となる。すなわち、鉄道事業者が特別回転操作部81を操作することで、特別回転ロック機構80による拘束状態を解除すると共に、回転ロック機構50による拘束状態を解除することになる。
<本発明の構成と作用効果>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態から導かれる本発明について、以下に説明する。
先ず、本発明は、座席1の状態を変換可能な座席装置10において、
座席1の背凭れ3を傾倒可能に支持して所定の傾倒角度に拘束可能なリクライニング機構70と、
前記リクライニング機構70による背凭れ3の傾倒角度の拘束を解除可能なリクライニング操作部76と、
前記リクライニング操作部76に入力された操作力を前記リクライニング機構70に伝達して背凭れ3の傾倒角度の拘束を解除する動力伝達系100と、
前記動力伝達系100の途中に設けられ、前記操作力を伝達可能な連結状態と伝達不能な分離状態とに切換可能なクラッチ機構200と、を備え、
前記クラッチ機構200は、座席1を特定の状態に変換すると、座席1が特定の状態でないときの前記連結状態から前記分離状態に切り換わることを特徴とする。
本座席装置10では、座席1は壁Aに沿って配置され、客室内でなるべく通路幅を広げている。よって、座席1がロング状態にあるとき、背凭れ3は壁Aに近接するが、座席1をこのような特定の状態に変換すると、クラッチ機構200が分離状態となる。従って、リクライニング操作部76を操作しても、その操作力はリクライニング機構70に伝達されない。
これにより、座席1が特定の状態にあるときは、乗客がリクライニング機構70による背凭れ3の傾倒角度の拘束を解除できず、背凭れ3を不用意に傾倒させて壁Aと干渉することを防ぐことができる。従来の座席装置では、リクライニング機構を操作不能とするロック機構が袖部内に設けられるから、袖部内の限られたスペースに組み付けることが困難な場合もあった。また、袖部内にロック機構を設けられた場合でも、袖部内でのロック機構の実質的な配置スペースが大きくなり、例えばインアームテーブル等が設置できなかった。
本座席装置10は、このような従来の座席装置の問題点を解決することができる。すなわち、本座席装置10では、クラッチ機構200を、必ずしもリクライニング操作部76に近接させる必要はなく、リクライニング機構70とリクライニング操作部76との間の動力伝達系100の途中に設ければ良い。そのため、クラッチ機構200の配置レイアウトの自由度は高く、配置スペースに余裕がある箇所に設けることが可能となる。
また、本発明では、座席1の固定側に設けられた係合部91と、
座席1の可動側に設けられ、座席1が前記特定の状態にあるとき、前記係合部91に係合することで変位可能な被係合部92と、を備え、
前記被係合部92と前記クラッチ機構200とは、互いに伝動手段300を介して連結され、前記被係合部92の変位が前記伝動手段300を介して前記クラッチ機構200に伝達されると、前記クラッチ機構200は、前記連結状態から前記分離状態に切り換わることを特徴とする。
このような本座席装置10によれば、係合部91と被係合部92との機械的な係合関係に起因して、クラッチ機構200により、乗客がリクライニング操作部76を操作しても背凭れ3の傾倒を不能とすることができる。従って、電動力を用いることもなく簡易な構成により、座席1が特定の状態にあるときだけ、背凭れ3の傾倒角度の拘束を維持することができる。
また、本発明では、座席1を回転軸周りに回転させる回転機構40と、
座席1を固定側より前記回転機構40ごと進退させるスライド機構15と、を備え、
前記回転機構40および前記スライド機構15の連動によって座席1の状態は、
座席背面が壁Aに略平行に沿うロング状態と、
前記ロング状態と略直交する向きで壁Aから離れたクロス状態と、に変換可能であり、
座席1の前記特定の状態は、前記ロング状態に相当することを特徴とする。
このような本座席装置10によれば、座席1の回転機構40とスライド機構15の連動によって、座席1のロング状態ないしクロス状態の変換を、一連の動作で容易に行うことが可能となる。かかる構成は、鉄道車両に搭載される一般的な回転座席に、そのまま適用することが可能となる。
また、本発明では、座席1の固定側として、床面上に固定された脚台11と、
座席1の可動側として、前記脚台11に前記スライド機構15を介して進退可能に取り付けられ、前記回転機構40を介して座席1の台枠30が回転可能に支持された移動台20と、を備え、
前記係合部91は、前記脚台11に設けられ、
前記被係合部92および前記クラッチ機構200は、前記台枠30に設けられたことを特徴とする。
このような本座席装置10によれば、座席装置10の必要最低限の構成要素の中で、係合部91、被係合部92、それにクラッチ機構200を、最適な構成要素に対するレイアウトを実現することができる。特に、被係合部92とクラッチ機構200が同じ台枠30に設けられるため、これらを連結する伝動手段300が大型化することを防ぐことができる。また、被係合部92とクラッチ機構200とを合わせて、全体的にコンパクトに構成および配置することが可能となる。
また、本発明では、前記動力伝達系100は、前記リクライニング操作部76と前記リクライニング機構70とを動力伝達可能に連結するリクライニング操作ケーブル111,112を備え、
前記リクライニング操作ケーブル111,112は、
前記リクライニング操作部76と前記クラッチ機構200とを連結する第1リクライニング操作ケーブル111と、
前記クラッチ機構200と前記リクライニング機構70とを連結する第2リクライニング操作ケーブル112と、からなり、
前記クラッチ機構200が連結状態のとき、前記第1リクライニング操作ケーブル111と前記第2リクライニング操作ケーブル112とは、動力伝達可能に連結される一方、
前記クラッチ機構200が分離状態のとき、前記第1リクライニング操作ケーブル111と前記第2リクライニング操作ケーブル112とは、動力伝達不能に分離されることを特徴とする。
このような構成によれば、リクライニング操作部76における操作力は、先ず第1リクライニング操作ケーブル111によってクラッチ機構200に伝達される。ここで座席1が特定の状態でなければ、第1リクライニング操作ケーブル111からの操作力は、そのままクラッチ機構200を介して第2リクライニング操作ケーブル112に伝達される。よって、第2リクライニング操作ケーブル112を介して、リクライニング機構70による背凭れ3の傾倒角度の拘束を解除することができる。
一方、座席1が特定の状態にあるとき、第1リクライニング操作ケーブル111からの操作力は、クラッチ機構200を介して第2リクライニング操作ケーブル112に伝達されない。よって、第2リクライニング操作ケーブル112を介して、リクライニング機構70による背凭れ3の傾倒角度の拘束を解除することはできない。
また、本発明では、前記クラッチ機構200は、
前記台枠30に固定された取付ブラケット201と、
前記取付ブラケット201上に設けられ、前記リクライニング操作ケーブル111,112が配索された軸方向と平行な方向へ移動可能なベース部材210と、
前記ベース部材210上に設けられ、該ベース部材210が移動する方向へ該ベース部材210と一体に移動可能であり、かつベース部材210が移動する方向と直交する方向へも移動可能であり、前記被係合部92に前記伝動手段300を介して連結され、該被係合部92の変位が前記伝動手段300を介して伝達されると、前記直交する方向の一方向から他方向へ移動する切換部材220と、
前記切換部材220の上下に設けられ、それぞれ前記ベース部材210と同じ方向へ移動可能であり、前記切換部材220の上側で前記第1リクライニング操作ケーブル111の先端が連結された上連動部材231、および前記切換部材220の下側で前記第2リクライニング操作ケーブル112の基端が連結された下連動部材232と、を備え、
前記上連動部材231には、その移動方向と平行な方向へ延びる案内溝235と、該案内溝235に直交して連通する連結孔236と、が設けられ、
前記上連動部材231は、前記下連動部材232に設けられたピン233が、前記案内溝235ないし前記連結孔236に相対的に移動可能に嵌合して前記下連動部材232に連結され、
前記切換部材220には、前記案内溝235ないし前記連結孔236に重なる位置で前記ピン233が相対的に移動可能に貫通する回避溝223が設けられ、
前記切換部材220が前記他方向へ移動すると、前記ピン233が前記上連動部材231の前記案内溝235を移動して、該上連動部材231に伝達された操作力が前記下連動部材232に伝達されず、
前記切換部材220が前記一方向へ移動すると、前記ピン233が前記上連動部材231の前記連結孔236に嵌合して、該上連動部材231に伝達された操作力が前記下連動部材232に伝達されることを特徴とする。
このようなクラッチ機構200の具体的な構成によれば、取付ブラケット201を介して台枠30に固定することができ、主な構成要素であるベース部材210と、切換部材220と、上連動部材231と、下連動部材232とを、それぞれ上下に重ね合わせるように配置することで、全体的にコンパクトに構成することが可能となる。よって、クラッチ機構200の配置は、省スペース化の要請にも応じることが可能となる。
また、本発明では、座席1は回転軸周りに回転可能であり、該座席1を複数定められた所定の回転角度ごとに拘束可能な回転ロック機構50と、
前記回転ロック機構50による座席1の回転角度の拘束を解除可能な回転操作部56と、を備え、
前記回転操作部56と前記回転ロック機構50も、前記クラッチ機構200が途中に設けられた動力伝達系100を介して操作力を伝達可能に連結され、
前記クラッチ機構200が前記連結状態のとき、前記回転操作部56に入力された操作力は、前記回転ロック機構50に伝達され、座席1の回転角度の拘束を解除可能であり、
前記クラッチ機構200が前記分離状態のとき、前記回転操作部56に入力された操作力は、前記回転ロック機構50に伝達されず、座席1の回転角度の拘束を解除不能とすることを特徴とする。
このような本座席装置10によれば、座席1がロング状態にあるときは、乗客は前記リクライニング機構70の規制に加えて、回転ロック機構50による座席1の回転角度の拘束も解除できず、座席1を不用意に回転させて壁Aと干渉することを防ぐことができる。従来の座席装置では、回転ロック機構の足踏ペダルを収納かつ拘束する特別な機構が必要であるから、脚台内の限られたスペースに組み付けることが困難な場合もあった。また、回転ロック機構の解除操作を足踏ペダル以外の別の構成の操作部で行う場合は、かかる操作部にそのまま適用することが困難であった。
本座席装置10によれば、このような従来の座席装置の問題点を解決することができる。すなわち、本座席装置10では、クラッチ機構200を、回転ロック機構50の足踏ペダルに付設する必要はなく、回転ロック機構50と回転操作部56との間の動力伝達系100の途中に設ければ良い。
また、本発明では、前記動力伝達系100は、前記回転操作部56と前記回転ロック機構50とを動力伝達可能に連結する回転操作ケーブル121,122を備え、
前記回転操作ケーブル121,122は、
前記回転操作部56と前記クラッチ機構200とを連結する第1回転操作ケーブル121と、
前記クラッチ機構200と前記回転ロック機構50とを連結する第2回転操作ケーブル122と、から成り、
前記クラッチ機構200が連結状態のとき、前記第1回転操作ケーブル121と前記第2回転操作ケーブル122とは、動力伝達可能に連結される一方、
前記クラッチ機構200が分離状態のとき、前記第1回転操作ケーブル121と前記第2回転操作ケーブル122とは、動力伝達不能に分離されることを特徴とする。
このような構成によれば、回転操作部56における操作力は、先ず第1回転操作ケーブル121によってクラッチ機構200に伝達される。ここで座席1が特定の状態でなければ、第1回転操作ケーブル121からの操作力は、そのままクラッチ機構200を介して第2回転操作ケーブル122に伝達される。よって、第2回転操作ケーブル122を介して、回転ロック機構50による座席1の回転角度の拘束を解除することができる。
一方、座席1が特定の状態にあるとき、第1回転操作ケーブル121からの操作力は、クラッチ機構200を介して第2回転操作ケーブル122に伝達されない。よって、第2回転操作ケーブル122を介して、回転ロック機構50による座席1の回転角度の拘束を解除することができない。
また、本発明では、前記クラッチ機構200は、
前記切換部材220の上側に設けられ、前記ベース部材210と同じ方向へ移動可能であり、前記第1回転操作ケーブル121の先端が連結された回転用連動部材241を備え、
前記回転用連動部材241には、その移動方向と平行な方向へ延びる案内溝242と、該案内溝242に直交して連通する連結孔243と、が設けられ、
前記回転用連動部材241は、前記切換部材220に設けられたピン222が、前記案内溝242ないし前記連結孔243に相対的に移動可能に嵌合して前記切換部材220に連結され、
前記ベース部材210には、前記第2回転操作ケーブル122の基端が連結され、
前記切換部材220が前記他方向へ移動すると、前記ピン222が前記回転用連動部材241の前記案内溝242を移動して、該回転用連動部材241に伝達された操作力が前記切換部材220および前記ベース部材210に伝達されず、
前記切換部材220が前記一方向へ移動すると、前記ピン222が前記回転用連動部材241の前記連結孔243に嵌合して、該回転用連動部材241に伝達された操作力が前記切換部材220および前記ベース部材210に伝達されることを特徴とする。
このようなクラッチ機構200の具体的な構成によれば、前述したベース部材210と、切換部材220と、上連動部材231と、下連動部材232とに加えて、さらに回転用連動部材241も、切換部材220上に重ね合わせるように配置することで、全体的にコンパクトに構成することが可能となる。
また、本発明では、座席1を前記特定の状態に変換するための回転を拘束する特別回転ロック機構80と、
前記特別回転ロック機構80による座席1の回転の拘束を解除可能な特別回転操作部81と、を備え、
前記特別回転操作部81と前記クラッチ機構200も、前記動力伝達系100を介して操作力を伝達可能に連結され、
前記特別回転操作部81に入力された操作力は、前記特別回転ロック機構80に伝達され、座席1の回転の拘束を解除可能であり、かつ前記動力伝達系100および前記クラッチ機構200を介して前記回転ロック機構50にも伝達され、同時に前記回転ロック機構50による座席1の回転角度の拘束も解除可能であることを特徴とする。
このような本座席装置10によれば、座席1が特定の状態にあるときだけでなく、座席1を特定の状態へ変換する場合にも、前記回転ロック機構50の規制とは別に特別回転ロック機構80によって、座席1の回転角度を拘束することができる。ここで特別回転操作部81の操作は、例えば乗客が行うことができず鉄道事業者だけが行えるようにすれば、乗客が座席1を特定の状態に変換することを規制することができる。
特別回転操作部81を操作すると、その操作力は特別回転ロック機構80に伝達され、特別回転ロック機構80による座席1の回転の拘束は解除できるが、このとき回転ロック機構50による拘束も解除する必要がある。そこで、特別回転操作部81の操作力を、動力伝達系100とクラッチ機構200を介して、回転ロック機構50にも同時に伝達することにより、回転ロック機構50による拘束も解除することができる。
さらに、本発明では、前記特別回転操作部81に入力された操作力は、前記動力伝達系100および前記クラッチ機構200を介して前記リクライニング機構70にも伝達され、同時に背凭れ3の傾倒角度の拘束も解除可能であることを特徴とする。
このような構成により、座席1を回転するときに、大きく傾倒している背凭れ3が不用意に壁Aに当たる事態を防止することができる。もちろん、特別回転操作部81の操作力だけではなく、回転ロック機構50の操作力も、同様に動力伝達系100およびクラッチ機構200を介してリクライニング機構70に伝達されるように構成しても良い。
以上、実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、脚台11、移動台20、台枠30の形状、それに動力伝達系100の配索、クラッチ機構200の具体的な構成は、図示したものに限定されることはない。
また、座席1は2人掛けの例を説明したが、3人掛けや1人掛けの座席であっても良い。さらに、座席1の状態の変換は、ロング状態、一クロス状態、逆クロス状態に限定されるものではない。
本発明は、鉄道車両、航空機、自動車、船舶等の客室内に設置される乗物用の座席の他、劇場用、家庭用、事務用の椅子を対象とした座席装置として広く利用することができる。
10…座席装置
11…脚台
15…スライド機構
20…移動台
30…台枠
40…回転機構
50…回転ロック機構
56…回転操作部
60…連動機構
70…リクライニング機構
76…リクライニング操作部
80…特別回転ロック機構
81…特別回転操作部
82…特別レバー部材
91…係合部
92…被係合部
100…動力伝達系
111…第1リクライニング操作ケーブル
112…第2リクライニング操作ケーブル
121…第1回転操作ケーブル
122…第2回転操作ケーブル
131…マニュアル操作ケーブル
132…連動用操作ケーブル
200…クラッチ機構
201…取付ブラケット
210…ベース部材
220…切換部材
231…上連動部材
232…下連動部材
241…回転用連動部材
300…伝動手段

Claims (11)

  1. 座席の状態を変換可能な座席装置において、
    座席の背凭れを傾倒可能に支持して所定の傾倒角度に拘束可能なリクライニング機構と、
    前記リクライニング機構による背凭れの傾倒角度の拘束を解除可能なリクライニング操作部と、
    前記リクライニング操作部に入力された操作力を前記リクライニング機構に伝達して背凭れの傾倒角度の拘束を解除する動力伝達系と、
    前記動力伝達系の途中に設けられ、前記操作力を伝達可能な連結状態と伝達不能な分離状態とに切換可能なクラッチ機構と、を備え、
    前記クラッチ機構は、座席を特定の状態に変換すると、座席が特定の状態でないときの前記連結状態から前記分離状態に切り換わることを特徴とする座席装置。
  2. 座席の固定側に設けられた係合部と、
    座席の可動側に設けられ、座席が前記特定の状態にあるとき、前記係合部に係合することで変位可能な被係合部と、を備え、
    前記被係合部と前記クラッチ機構とは、互いに伝動手段を介して連結され、前記被係合部の変位が前記伝動手段を介して前記クラッチ機構に伝達されると、前記クラッチ機構は、前記連結状態から前記分離状態に切り換わることを特徴とする請求項1に記載の座席装置。
  3. 座席を回転軸周りに回転させる回転機構と、
    座席を固定側より前記回転機構ごと進退させるスライド機構と、を備え、
    前記回転機構および前記スライド機構の連動によって座席の状態は、
    座席背面が壁に略平行に沿うロング状態と、
    前記ロング状態と略直交する向きで壁から離れたクロス状態と、に変換可能であり、
    座席の前記特定の状態は、前記ロング状態に相当することを特徴とする請求項2に記載の座席装置。
  4. 座席の固定側として、床面上に固定された脚台と、
    座席の可動側として、前記脚台に前記スライド機構を介して進退可能に取り付けられ、前記回転機構を介して座席の台枠が回転可能に支持された移動台と、を備え、
    前記係合部は、前記脚台に設けられ、
    前記被係合部および前記クラッチ機構は、前記台枠に設けられたことを特徴とする請求項3に記載の座席装置。
  5. 前記動力伝達系は、前記リクライニング操作部と前記リクライニング機構とを動力伝達可能に連結するリクライニング操作ケーブルを備え、
    前記リクライニング操作ケーブルは、
    前記リクライニング操作部と前記クラッチ機構とを連結する第1リクライニング操作ケーブルと、
    前記クラッチ機構と前記リクライニング機構とを連結する第2リクライニング操作ケーブルと、からなり、
    前記クラッチ機構が連結状態のとき、前記第1リクライニング操作ケーブルと前記第2リクライニング操作ケーブルとは、動力伝達可能に連結される一方、
    前記クラッチ機構が分離状態のとき、前記第1リクライニング操作ケーブルと前記第2リクライニング操作ケーブルとは、動力伝達不能に分離されることを特徴とする請求項4に記載の座席装置。
  6. 前記クラッチ機構は、
    前記台枠に固定された取付ブラケットと、
    前記取付ブラケット上に設けられ、前記リクライニング操作ケーブルが配索された軸方向と平行な方向へ移動可能なベース部材と、
    前記ベース部材上に設けられ、該ベース部材が移動する方向へ該ベース部材と一体に移動可能であり、かつベース部材が移動する方向と直交する方向へも移動可能であり、前記被係合部に前記伝動手段を介して連結され、該被係合部の変位が前記伝動手段を介して伝達されると、前記直交する方向の一方向から他方向へ移動する切換部材と、
    前記切換部材の上下に設けられ、それぞれ前記ベース部材と同じ方向へ移動可能であり、前記切換部材の上側で前記第1リクライニング操作ケーブルの先端が連結された上連動部材、および前記切換部材の下側で前記第2リクライニング操作ケーブルの基端が連結された下連動部材と、を備え、
    前記上連動部材には、その移動方向と平行な方向へ延びる案内溝と、該案内溝に直交して連通する連結孔と、が設けられ、
    前記上連動部材は、前記下連動部材に設けられたピンが、前記案内溝ないし前記連結孔に相対的に移動可能に嵌合して前記下連動部材に連結され、
    前記切換部材には、前記案内溝ないし前記連結孔に重なる位置で前記ピンが相対的に移動可能に貫通する回避溝が設けられ、
    前記切換部材が前記他方向へ移動すると、前記ピンが前記上連動部材の前記案内溝を移動して、該上連動部材に伝達された操作力が前記下連動部材に伝達されず、
    前記切換部材が前記一方向へ移動すると、前記ピンが前記上連動部材の前記連結孔に嵌合して、該上連動部材に伝達された操作力が前記下連動部材に伝達されることを特徴とする請求項5に記載の座席装置。
  7. 座席は回転軸周りに回転可能であり、該座席を複数定められた所定の回転角度ごとに拘束可能な回転ロック機構と、
    前記回転ロック機構による座席の回転角度の拘束を解除可能な回転操作部と、を備え、
    前記回転操作部と前記回転ロック機構も、前記クラッチ機構が途中に設けられた動力伝達系を介して操作力を伝達可能に連結され、
    前記クラッチ機構が前記連結状態のとき、前記回転操作部に入力された操作力は、前記回転ロック機構に伝達され、座席の回転角度の拘束を解除可能であり、
    前記クラッチ機構が前記分離状態のとき、前記回転操作部に入力された操作力は、前記回転ロック機構に伝達されず、座席の回転角度の拘束を解除不能とすることを特徴とする請求項6に記載の座席装置。
  8. 前記動力伝達系は、前記回転操作部と前記回転ロック機構とを動力伝達可能に連結する回転操作ケーブルを備え、
    前記回転操作ケーブルは、
    前記回転操作部と前記クラッチ機構とを連結する第1回転操作ケーブルと、
    前記クラッチ機構と前記回転ロック機構とを連結する第2回転操作ケーブルと、から成り、
    前記クラッチ機構が連結状態のとき、前記第1回転操作ケーブルと前記第2回転操作ケーブルとは、動力伝達可能に連結される一方、
    前記クラッチ機構が分離状態のとき、前記第1回転操作ケーブルと前記第2回転操作ケーブルとは、動力伝達不能に分離されることを特徴とする請求項7に記載の座席装置。
  9. 前記クラッチ機構は、
    前記切換部材の上側に設けられ、前記ベース部材と同じ方向へ移動可能であり、前記第1回転操作ケーブルの先端が連結された回転用連動部材を備え、
    前記回転用連動部材には、その移動方向と平行な方向へ延びる案内溝と、該案内溝に直交して連通する連結孔と、が設けられ、
    前記回転用連動部材は、前記切換部材に設けられたピンが、前記案内溝ないし前記連結孔に相対的に移動可能に嵌合して前記切換部材に連結され、
    前記ベース部材には、前記第2回転操作ケーブルの基端が連結され、
    前記切換部材が前記他方向へ移動すると、前記ピンが前記回転用連動部材の前記案内溝を移動して、該回転用連動部材に伝達された操作力が前記切換部材および前記ベース部材に伝達されず、
    前記切換部材が前記一方向へ移動すると、前記ピンが前記回転用連動部材の前記連結孔に嵌合して、該回転用連動部材に伝達された操作力が前記切換部材および前記ベース部材に伝達されることを特徴とする請求項8に記載の座席装置。
  10. 座席を前記特定の状態に変換するための回転を拘束する特別回転ロック機構と、
    前記特別回転ロック機構による座席の回転の拘束を解除可能な特別回転操作部と、を備え、
    前記特別回転操作部と前記クラッチ機構も、前記動力伝達系を介して操作力を伝達可能に連結され、
    前記特別回転操作部に入力された操作力は、前記特別回転ロック機構に伝達され、座席の回転の拘束を解除可能であり、かつ前記動力伝達系および前記クラッチ機構を介して前記回転ロック機構にも伝達され、同時に前記回転ロック機構による座席の回転角度の拘束も解除可能であることを特徴とする請求項9に記載の座席装置。
  11. 前記特別回転操作部に入力された操作力は、前記動力伝達系および前記クラッチ機構を介して前記リクライニング機構にも伝達され、同時に背凭れの傾倒角度の拘束も解除可能であることを特徴とする請求項10に記載の座席装置。
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