本開示に係る電力供給システムの一実施形態に係る実施例1の電力供給システム10を、図1から図4を用いて説明する。電力供給システム10は、図1に示すように、建物H外に設置された固定側充放電ユニット11と固定側発電システム12と移動側充放電ユニット13と移動側発電システム14とを備える。固定側発電システム12と移動側発電システム14とは、自然エネルギーを利用して発電する発電システムである。固定側発電システム12は、固定側充放電ユニット11に対応して設けられ、移動側発電システム14は、移動側充放電ユニット13に対応して設けられている。
固定側充放電ユニット11は、電力供給接続線1により系統電源Eの系統電力供給線(電力供給線)2に接続されている。移動側充放電ユニット13は、電力供給接続線3によって系統電力供給線2に接続されている。電力供給接続線1と電力供給接続線3との接続点(分岐点)4には、系統電源Eから交流電力が供給されるようになっている。
電力供給接続線3には、後述する電力供給接続線41との接続点(分岐点)5と接続点4との間にリレー回路6が設けられている。リレー回路6は、停電時(系統電源Eからの供給がなくなる)に移動側充放電ユニット13および移動側発電システム14と系統電源Eとを切り離すもので、接続点5と接続点4との間で電力供給接続線3を遮断する。系統電力供給線2には、系統電源Eから接続点4へ供給される電力を検出する電力検出器7、8が設けられている。電力供給接続線1には、系統電源Eから固定側充放電ユニット11へ供給される電力や固定側充放電ユニット11から接続点4へ放電(供給)される電力を検出する電力検出器9が設けられている。
固定側充放電ユニット11は、固定蓄電池21を充電または放電させるために設けられ、固定側充放電コンバータ(固定電池用充放電コンバータ)22と固定側制御装置23とを有する。その固定蓄電池21は、電力を貯めるために建物Hに設けられており、実施例1では3kWhの容量とされている。
固定側充放電コンバータ22は、系統電源Eから供給される交流電力や後述する固定側パワコン25や移動側パワコン35から出力された交流電力を直流電力に変換して固定蓄電池21に充電したり、固定蓄電池21に充電された直流電力を交流電力に変換して電力供給接続線1や後述する電力供給接続線45へ放電したりする。固定側制御装置23は、電力検出器8が検出する検出電力に基づいて、固定側充放電コンバータ22の動作を充電制御や放電制御に切り換えるとともに、固定側充放電コンバータ22を制御して固定蓄電池21の充放電を行なわせる。固定側制御装置23は、固定蓄電池21の電圧や後述する固定側発電装置24での発電量や後述する一般分電盤51および自立分電盤52での負荷量の取得が可能とされ、それらに基づいて固定蓄電池21が満充電や放電下限値であることを判断するとともに、後述する余剰電力の有無を判断する。
固定側発電システム12は、固定蓄電池21に対応して設けられ、固定側発電装置24と固定側パワコン(固定側パワーコンディショナ)25とを有する。固定側発電装置24は、自然エネルギーを利用して発電する発電装置の一例であり、実施例1では太陽光から発電する太陽光発電パネルとされている。なお、固定側発電装置24は、自然エネルギーを利用して発電するものであれば、例えば風力発電装置でもよく、他のものでもよく、実施例1の例に限定されない。
固定側パワコン25は、固定側発電装置24で発電した直流電力を交流電力に変換して電力供給接続線1や後述する電力供給接続線45へ出力する。この固定側パワコン25は、固定側発電装置24と協働して、固定側発電システム12の一例としての太陽光発電システム(自然エネルギーシステム)を構成している。固定側パワコン25は、実施例1では、固定側充放電コンバータ22と一体化されたパワコンとされ、それらが電力供給接続線1や電力供給接続線45に接続されている。固定側パワコン25は、系統電源Eからの電力(電圧)を検出可能とされ、その検出の有無により停電であるか否かを判断する。固定側パワコン25は、停電時には、内部で電力供給接続線1との接続を遮断する。
移動側充放電ユニット13は、移動体の一例としての電気自動車EVに搭載された移動蓄電池31を充電または放電させるために設けられ、移動側充放電コンバータ(移動蓄電池用充放電コンバータ)32と移動側制御装置33とを有する。その移動蓄電池31は、電気自動車EVの駆動源として用いられ、実施例1では6kWhの容量とされている。
移動側充放電コンバータ32は、電力供給接続線3に接続されている。移動側充放電コンバータ32は、後述する移動側パワコン35や固定側パワコン25から出力された交流電力や系統電源Eから供給される交流電力を直流電力に変換して移動蓄電池31に充電したり、移動蓄電池31に充電された直流電力を交流電力に変換して電力供給接続線3へ供給(放電)させたりする。移動側制御装置33は、電力検出器7が検出する検出電力に基づいて移動側充放電コンバータ32の動作を充電制御や放電制御に切り換えるとともに、移動側充放電コンバータ32を制御して移動蓄電池31の充放電を行なわせる。移動側制御装置33は、移動蓄電池31の電圧や後述する移動側発電装置34での発電量や後述する一般分電盤51および自立分電盤52での負荷量の取得が可能とされ、それらに基づいて移動蓄電池31が満充電や放電下限値であることを判断するとともに、後述する余剰電力の有無を判断する。また、移動側制御装置33は、移動蓄電池31(電気自動車EV)が接続されているか否かを判断することができる。
移動側発電システム14は、移動蓄電池31に対応して設けられ、移動側発電装置34と移動側パワコン(移動側パワーコンディショナ)35とを有する。移動側発電装置34は、自然エネルギーを利用して発電する発電装置の一例であり、実施例1では太陽光から発電する太陽光発電パネルとされている。なお、移動側発電装置34は、自然エネルギーを利用して発電するものであれば、例えば風力発電装置でもよく、他のものでもよく、実施例1の例に限定されない。
移動側パワコン35は、電力供給接続線41を介して電力供給接続線3に接続されている。その電力供給接続線41には、移動側パワコン35から出力される交流電力を検出する電力検出器42が設けられている。電力供給接続線3は、移動側充放電コンバータ32に接続されるとともに、電力供給接続線43を介して後述する一般分電盤51に接続されている。移動側パワコン35は、移動側発電装置34で発電した直流電力を交流電力に変換して電力供給接続線41へ出力する。この移動側パワコン35は、移動側発電装置34と協働して、移動側発電システム14の一例としての太陽光発電システム(自然エネルギーシステム)を構成している。
移動側パワコン35には、非常用コンセント36が接続されている。この非常用コンセント36は、移動蓄電池31(電気自動車EV)が接続されていない状態において、移動側発電装置34で発電した電力を使用するために設けられている。移動側パワコン35は、移動側発電装置34で発電した電力を非常用コンセント36に供給することができる。
電力供給システム10では、建物H内に一般分電盤51と自立分電盤52とが設けられている。一般分電盤51には、建物H内に設けられた複数の一般負荷Q1〜Qnが接続されている。自立分電盤52には、建物H内に設けられた複数の選定負荷R1〜R3が接続されている。選定負荷R1〜R3は、建物H内において、停電時に最低限必要な一部の負荷であり、実施例1では3つとしている。なお、この説明では、コンセント等を省略しており、各コンセント等に一般負荷や選定負荷が接続されているものとする。
一般分電盤51には、電力供給接続線43が接続されている。このため、一般分電盤51は、電力供給接続線43に加えて、電力供給接続線3および系統電力供給線2を介して系統電源Eに、電力供給接続線3および電力供給接続線1を介して固定側充放電コンバータ22および固定側パワコン25に、電力供給接続線3を介して移動側充放電コンバータ32に、電力供給接続線3および電力供給接続線41を介して移動側パワコン35に、それぞれ接続されている。一般分電盤51には、電力供給接続線44を介して自立分電盤52が接続されている。その電力供給接続線44には、一般分電盤51側から順に断続スイッチS1と切替スイッチS2とが設けられている。
断続スイッチS1は、電力供給接続線44(切替スイッチS2も含む)を介する一般分電盤51と自立分電盤52との接続を断続するものであり、手動で断続を切り替えることが可能とされている。この断続スイッチS1は、基本的には、接続する状態とされており、電力供給接続線44を介して一般分電盤51と自立分電盤52とを接続している。
切替スイッチS2は、電力供給接続線44を介して一般分電盤51に接続された端子S2aと、電力供給接続線45を介して固定側充放電コンバータ22に接続された端子S2bと、を有する。切替スイッチS2は、自立分電盤52に接続された端子S2cから延びる接続子が端子S2aと端子S2bとのいずれか一方と接続するように切り替えることが可能とされている。切替スイッチS2は、端子S2aに電圧がかかっている場合には端子S2aと端子S2cとを接続する状態(以下ではS2a−S2c接続ともいう)となり、端子S2bのみに電圧がかかっている場合には端子S2bと端子S2cとを接続する状態(以下ではS2b−S2c接続ともいう)となるように構成されている。
切替スイッチS2は、断続スイッチS1が接続状態とされて端子S2aに電圧がかかっていると、S2a−S2c接続となり、一般分電盤51に供給された電力の一部を自立分電盤52に供給できる状態とする。また、切替スイッチS2は、断続スイッチS1が遮断状態とされると、端子S2aに電圧がかからなくなり、固定側充放電コンバータ22に接続された端子S2bのみに電圧がかかるので、S2b−S2c接続となり、固定側充放電コンバータ22から自立分電盤52へと電力を供給できる状態とする。切替スイッチS2は、S2b−S2c接続となると、移動側充放電ユニット13におけるリモートコントロール装置(以下、リモコンともいう)等の操作部への操作によりS2a−S2c接続に復帰することが可能とされている。換言すると、切替スイッチS2は、S2b−S2c接続とされているときに端子S2aに電圧がかかっても、S2a−S2c接続へと自動的に変わることはない。
上記した構成の電力供給システム10は、系統電源Eからの電力を一般分電盤51や自立分電盤52に供給できるとともに、その電力で固定蓄電池21および移動蓄電池31を充電(蓄電)できる。また、電力供給システム10は、固定側発電装置24や移動側発電装置34で発電した電力を一般分電盤51や自立分電盤52に供給できるとともに、その電力で固定蓄電池21や移動蓄電池31を充電できる。さらに、電力供給システム10は、固定蓄電池21に蓄電した電力を一般分電盤51や自立分電盤52に供給できるとともに、その電力で移動蓄電池31を充電できる。そして、電力供給システム10は、移動蓄電池31に蓄電した電力を一般分電盤51や自立分電盤52に供給できる。
電力供給システム10では、リモコン等の操作部の操作により、通常時の運転モードとして、経済モードとグリーンモードとの設定が可能とされている。なお、電力供給システム10は、電気自動車EVが外出する等により移動蓄電池31が接続されていない場合には、グリーンモードや経済モードを解除し、通常の動作として、太陽光発電システム(固定側発電システム12、移動側発電システム14)の発電電力を利用し、後述する余剰電力で固定蓄電池21を充電し、さらに余剰電力がある場合には売電する。また、その場合において、太陽光発電システムの発電電力が足りない(発電していない場合を含む)と、固定蓄電池21を利用し、それでも足りないと系統電源Eを利用する。さらに、実施例1の電力供給システム10は、移動蓄電池31および固定蓄電池21を充電する際、移動蓄電池31を優先的に充電し、その充電が終了するもしくは余力があると固定蓄電池21を充電するものとしている。
経済モードは、日中に太陽光発電システムで発電した電力のうちの一般負荷Q1〜Qnや選定負荷R1〜R3の使用電力に対する余剰分(以下では余剰電力ともいう)を売電することで経済性を得るものである。経済モードでは、電力会社(系統電源E)からの夜間の割安な電力を蓄電し、日中の太陽光発電システムからの電力では足りない分を蓄電した電気で補う。実施例1の経済モードでは、日中において固定側発電装置24および移動側発電装置34を優先的に利用し、足りない場合は夜間に充電した固定蓄電池21を利用し、さらに足りない場合は夜間に充電した移動蓄電池31を利用する。
グリーンモードは、日中の太陽光発電システムで発電した電力のうちの余剰電力を蓄電し、その蓄電した電力を朝夕に使用することで、電力会社からの買電を少なくし、電力の自給自足を目指すものである。実施例1のグリーンモードでは、日中において固定側発電装置24および移動側発電装置34を優先的に利用し、その余剰電力で移動蓄電池31および固定蓄電池21を充電し、足りない場合は固定蓄電池21を利用し、さらに足りない場合は移動蓄電池31を利用するように動作する。
次に、電力供給システム10における停電時の動作について説明する。この説明では、電力供給システム10において、移動蓄電池31(電気自動車EV)が接続されているものとする。電力供給システム10は、停電となり系統電源Eからの供給がなくなると、図2に示すように、電力供給接続線3に設けられたリレー回路6が遮断状態となり接続点4と接続点5との間を遮断するとともに、固定側パワコン25が内部で電力供給接続線1との接続を遮断する。すると、固定側充放電ユニット11および固定側発電システム12は、一般分電盤51への電力の供給路が遮断され、電力供給接続線45を介する自立分電盤52への電力の供給路のみに接続可能な状態となる。また、移動側充放電ユニット13および移動側発電システム14は、電力供給接続線3、電力供給接続線41および電力供給接続線43を介する一般分電盤51への電力の供給路が接続された状態とされ、そこから電力供給接続線44を介して自立分電盤52への電力の供給路が接続可能な状態となる。これは、動側制御装置33が、移動蓄電池31からの電力を検出することで、系統電源Eからの供給がなくても系統電源Eが活きているものと見做すことができることによる。このとき、断続スイッチS1は、遮断する操作がされていないので、接続する状態とされている。
このため、一般分電盤51は、移動側充放電ユニット13および移動側発電システム14からの電力が供給されているとともに、電力供給接続線45は、固定側充放電ユニット11および固定側発電システム12からの電力が供給可能な状態となっている。すると、切替スイッチS2は、端子S2aと端子S2bとの双方に電圧がかかっているので、S2a−S2c接続となる。これを電力供給システム10における停電時の第1モードとする。
この第1モードでは、切替スイッチS2において端子S2bが接続されていないので、固定側充放電ユニット11および固定側発電システム12から自立分電盤52への電力の供給路が遮断されている。このため、第1モードでは、固定側発電装置24が発電すると、その電力で固定側パワコン25および固定側充放電コンバータ22を介して固定蓄電池21を充電するのみとなり(矢印A1参照)、固定側発電装置24や固定蓄電池21の電力を他で利用することはない。これにより、第1モードでは、固定蓄電池21の充電量を確実に確保できる。
また、第1モードでは、移動側発電装置34が発電すると、その電力を移動側パワコン35および一般分電盤51を介して一般負荷Q1〜Qnに供給するとともに(矢印A2、A3参照)、自立分電盤52を介して選定負荷R1〜R3に供給する(矢印A4参照)。そして、第1モードでは、それらの使用電力に対して移動側発電装置34の余剰電力がある場合には、移動側充放電コンバータ32を介して移動蓄電池31を充電する(矢印A2、A5参照)。第1モードでは、一般負荷Q1〜Qnおよび選定負荷R1〜R3での使用電力に対して移動側発電装置34の発電量が足りない場合には、移動蓄電池31の電力を、移動側充放電コンバータ32および一般分電盤51を介して一般負荷Q1〜Qnに供給するとともに(矢印A6、A3参照)、自立分電盤52を介して選定負荷R1〜R3に供給する(矢印A4参照)。これにより、第1モードでは、移動蓄電池31と協働して移動側発電装置34からの電力を有効に利用することができる。
また、電力供給システム10では、図3に示すように、停電時に断続スイッチS1を手動により遮断することで、停電時の第2モードとすることができる。この第2モードでは、断続スイッチS1が遮断されることで、一般分電盤51に電圧が供給されていても、切替スイッチS2の端子S2aには電圧がかからなくなる。すると、切替スイッチS2は、端子S2bのみに電圧がかかっているので、S2b−S2c接続となる。
この第2モードでは、切替スイッチS2がS2b−S2c接続となることで、固定側充放電ユニット11および固定側発電システム12から自立分電盤52への電力の供給路が接続される。このため、第2モードでは、固定側発電装置24が発電すると、その電力を固定側パワコン25および固定側充放電コンバータ22から自立分電盤52を介して選定負荷R1〜R3に供給する(矢印A7、A8参照)。また、第2モードでは、それらの使用電力に対する固定側発電装置24からの余剰電力で、固定側充放電コンバータ22を介して固定蓄電池21を充電する(矢印A7、A9参照)。そして、第2モードでは、選定負荷R1〜R3での使用電力に対して固定側発電装置24の発電量が足りない場合には、固定蓄電池21の電力を、固定側充放電コンバータ22および自立分電盤52を介して選定負荷R1〜R3に供給する(矢印A10、A8参照)。これにより、第2モードでは、固定蓄電池21と協働して固定側発電装置24からの電力を有効に利用することができる。
また、第2モードでは、移動側発電装置34が発電すると、その電力を移動側パワコン35および一般分電盤51を介して一般負荷Q1〜Qnに供給する(矢印A2、A3参照)。そして、第2モードでは、それらの使用電力に対する移動側発電装置34からの余剰電力で、移動側充放電コンバータ32を介して移動蓄電池31を充電する(矢印A2、A5参照)。加えて、第2モードでは、一般負荷Q1〜Qnでの使用電力に対して移動側発電装置34の発電量が足りない場合には、移動蓄電池31の電力を、移動側充放電コンバータ32および一般分電盤51を介して一般負荷Q1〜Qnに供給する(矢印A6、A3参照)。これにより、第2モードでは、移動蓄電池31と協働して移動側発電装置34からの電力を有効に利用することができる。
ここで、電力供給システム10では、図4に示すように、第1モードにおいて、移動側発電装置34および移動蓄電池31からの電力が不足したものとする。このような電力の不足は、移動蓄電池31(電気自動車EV)が接続されなくなることや、移動側発電装置34および移動蓄電池31からの電力の供給量に対して一般負荷Q1〜Qnおよび選定負荷R1〜R3での使用電力が上回る(過負荷となる)ことがあげられる。なお、図4は、前者の例を示している。
前者となると、動側制御装置33は、移動蓄電池31からの電力が検出できなくなることで、停電時であることにより系統電源Eが活きているものと見做すことができなくなり、電力供給接続線41を介する電力の供給ができなくなる。これにより、断続スイッチS1が接続状態ではあっても一般分電盤51に電力が供給されなくなるので、切替スイッチS2の端子S2aには電圧がかからなくなる。また、後者となると、電力不足により移動側充放電ユニット13および移動側発電システム14から自立分電盤52へと電力を供給するシステムが停止する。これにより、断続スイッチS1が接続状態ではあっても一般分電盤51に電力が供給されなくなるので、切替スイッチS2の端子S2aには電圧がかからなくなる。このため、切替スイッチS2は、端子S2bのみに電圧がかかっているので、S2b−S2c接続となる。これを電力供給システム10における停電時の第3モードとする。ここで、電力供給システム10では、切替スイッチS2がリモコン等の操作部への操作によりS2b−S2c接続からS2a−S2c接続へと復帰する構成とされているので、移動側発電装置34および移動蓄電池31からの電力の不足が解消された際に操作部を操作することで第3モードから第1モードへと復帰できる。
この第3モードでは、切替スイッチS2がS2b−S2c接続となることで、固定側充放電ユニット11および固定側発電システム12から自立分電盤52への電力の供給路が接続される。このため、第3モードでは、固定側発電装置24が発電すると、その電力を固定側パワコン25および固定側充放電コンバータ22から自立分電盤52を介して選定負荷R1〜R3に供給する(矢印A7、A8参照)。また、第3モードでは、それらの使用電力に対する固定側発電装置24からの余剰電力で、固定側充放電コンバータ22を介して固定蓄電池21を充電する(矢印A7、A9参照)。そして、第3モードでは、選定負荷R1〜R3での使用電力に対して固定側発電装置24の発電量が足りない場合には、固定蓄電池21の電力を、固定側充放電コンバータ22および自立分電盤52を介して選定負荷R1〜R3に供給する(矢印A10、A8参照)。これにより、第3モードでは、固定蓄電池21と協働して固定側発電装置24からの電力を有効に利用することができる。
また、第3モードでは、移動蓄電池31(上記した後者の場合のみ相当する)や移動側発電装置34からの一般分電盤51を介する一般負荷Q1〜Qnへの電力の供給が停止される。そして、第3モードでは、移動蓄電池31が接続されていない場合(上記した前者が相当する)、移動側発電装置34が発電すると、非常用コンセント36の使用を可能とする(矢印A11参照)。これにより、第3モードでは、移動側充放電ユニット13および移動側発電システム14を保護でき、移動蓄電池31が接続されていない場合には移動側発電装置34からの電力を利用することができる。
ここで、電力供給システム10では、第2モードにおいて、移動側発電装置34および移動蓄電池31からの電力が不足したものとする。このような電力の不足は、移動蓄電池31(電気自動車EV)が接続されなくなることや、移動側発電装置34および移動蓄電池31からの電力の供給量に対して一般負荷Q1〜Qnでの使用電力が上回ることがあげられる。このとき、第1モードのときと同様に切替スイッチS2の端子S2aには電圧がかからなくなるが、第2モードでは断続スイッチS1が既に遮断状態とされているので、切替スイッチS2がS2b−S2c接続を維持する。この場合も、上記したことと同様の電力供給システム10における停電時の第3モードとなり、上記したことと同様の動作となる。すなわち、第3モードは、第1モードから移行した際には断続スイッチS1が接続状態(図4の状態)であり、第2モードから移行した際には断続スイッチS1が遮断状態(図3の状態)であるが、どちらの場合も電力の供給関係に関しては同様(図4の動作)となる。なお、第2モードから第3モードに移行した場合にも、移動側発電装置34および移動蓄電池31からの電力の不足が解消された際に操作部を操作することで第3モードから第2モードへと復帰できる。
この電力供給システム10では、停電時に第1モードとすることで、固定蓄電池21の充電量を確実に確保しつつ移動蓄電池31と協働して移動側発電装置34からの電力を有効に利用でき、一般負荷Q1〜Qnや選定負荷R1〜R3を利用しつつ固定蓄電池21の充電を確保できる。このため、例えば、後に電気自動車EVが外出して移動蓄電池31が接続しない状態となった場合(第3モードが相当する)であっても、固定蓄電池21の充電により選定負荷R1〜R3を利用することができる。また、電力供給システム10では、停電時に第2モードとすることで、固定蓄電池21と協働して固定側発電装置24からの電力を有効に利用しつつ移動蓄電池31と協働して移動側発電装置34からの電力を有効に利用できる。このため、固定側発電装置24および移動側発電装置34で発電した電力と、固定蓄電池21および移動蓄電池31に充電した電力と、を一般負荷Q1〜Qnや選定負荷R1〜R3として利用できるので、より多くの電力を利用でき、エネルギー自給率を向上させることができる。また、一般負荷Q1〜Qnや選定負荷R1〜R3を第1モードと同様に利用しても、移動蓄電池31の電力の消費を抑制できるので、必要なときに電気自動車EVを使用(走行)することができないという事態の発生を抑制できる。そして、電力供給システム10では、断続スイッチS1を操作することで、停電時における第1モードと第2モードとを切り替えることができる。このため、電力供給システム10では、停電時であっても、例えば電気自動車EVの使用予定の有無や建物Hでの電力の使用量に合わせて第1モードまたは第2モードを選択することで、電力を使用する態様に適宜態様に対応しつつ電力を効率良く利用できる。
一実施例の電力供給システム10は、以下の各作用効果を得ることができる。
電力供給システム10は、停電時に第1モードと第2モードとを切り替えることができるので、使用者が自らの電力の使用の態様、例えば使用者の生活スタイルや天候に合致するモードを選択することができ、使い勝手を向上させることができる。すなわち、第1モードにおいて固定蓄電池21が満充電となったり固定蓄電池21の充電に対して固定側発電装置24からの余剰電力があったりする場合には第2モードに切り替えたり、第2モードにおいて電気自動車EVを利用する予定が生じた場合には第1モードに切り替えたり、することができる。
また、電力供給システム10は、第1モードおよび第2モードにおいて移動側発電装置34および移動蓄電池31からの電力が不足すると第3モードに切り替えるので、移動蓄電池31を有する移動側充放電ユニット13と移動側発電装置34を有する移動側発電システム14とを保護しつつ固定側発電装置24からの電力を利用することができる。ここで、電力供給システム10は、第3モードにおいて移動蓄電池31が接続されていると、移動側発電装置34が発電した電力を非常用コンセント36への供給に用いることができるので、移動側発電装置34からの電力が無駄になることを防止できる。
さらに、電力供給システム10は、一般分電盤51と自立分電盤52との間に設けた断続スイッチS1を断続することにより、第1モードと第2モードとの切り替えを可能としている。このため、電力供給システム10は、簡単な構成で確実に第1モードと第2モードとの切り替えることができる。また、電力供給システム10は、断続スイッチS1を手動により断続を切り替える構成としているので、使用者が意図しないタイミングでモードが切り替わることを防止でき、より使用者の使用の態様に合致するモードを選択することができる。
電力供給システム10は、一般分電盤51と自立分電盤52との間における断続スイッチS1よりも自立分電盤52側に設けた切替スイッチS2が、一般分電盤51と自立分電盤52とを接続した状態で移動側発電装置34および移動蓄電池31からの電力が不足すると、固定側発電装置24および固定蓄電池21と自立分電盤52とを接続する状態に切り替える。このため、電力供給システム10は、移動蓄電池31を有する移動側充放電ユニット13と移動側発電装置34を有する移動側発電システム14とを保護しつつ、固定側発電装置24および固定蓄電池21の電力により自立分電盤52(そこに接続された選定負荷R1〜R3)を利用することができる。
したがって、本開示に係る電力供給システムとしての実施例1の電力供給システム10では、停電時であっても、様々な態様に対応しつつ電力を効率良く利用できる。
以上、本開示の電力供給システムを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、断続スイッチS1を手動により断続を切り替える構成としていたが、自動で断続を切り替える構成としてもよい。この場合、第1モードにおいて、固定側発電装置24からの余剰電力を検出しかつ固定蓄電池21が十分に充電されているときに、断続スイッチS1を遮断状態へと変移させて第2モードに切り替えることが考えられる。このようにすると、固定側発電装置24からの余剰電力を有効に利用することができる。また、第2モードにおいて、固定側発電装置24からの余剰電力がなくなるまたは固定蓄電池21の残量が低下したときに、断続スイッチS1を接続状態へと変移させて第1モードに切り替えることが考えられる。このようにすると、固定蓄電池21の充電を確保することができ、電気自動車EVが外出して移動蓄電池31が未接続となっても選定負荷R1〜R3の利用を可能とすることができる。そして、断続スイッチS1を自動で切り替える構成とすることで、固定側発電装置24や移動側発電装置34で発電した電力をより効率良く使用できるとともに、固定蓄電池21や移動蓄電池31の残量をよりバランスよく保つことができる。
また、実施例1では、第1モードおよび第2モードにおいて移動側発電装置34および移動蓄電池31からの電力が不足すると第3モードに切り替える構成としているが、第1モードと第2モードとの切り替えを可能としていればよく、上記した実施例1の構成に限定されない。
さらに、実施例1では、断続スイッチS1の断続により第1モードと第2モードとの切り替えを可能としていたが、第1モードと第2モードとの切り替えを可能としていればよく、上記した実施例1の構成に限定されない。
実施例1では、切替スイッチS2の切り替えにより第1モードから第3モードに切り替える構成としていたが、移動側発電装置34および移動蓄電池31からの電力が不足すると第1モードから第3モードに切り替えるものであればよく、上記した実施例1の構成に限定されない。
実施例1では、移動体の一例として電気自動車EVを示していたが、例えば、プラグインハイブリッドカーや、電動バイクや、電動アシスト式の自転車等を含む電動自転車や、電動式の車椅子や、農機や、産業機器等であってもよく、上記した実施例1の構成に限定されない。