本開示は一般に、内燃機関におけるカムの整相に関し、より詳細には、螺旋ロック設計を有するカム整相システム、および関連する方法に関する。いくつかの非限定的な例では、現在の機械的カム整相システムと比較して、部品の数が減少したカム整相システムが提供される。カム整相システムは、カムトルクパルスが生じている間、入力部品を摩擦によってロックするか、またはカムトルクパルスをより小さな軸方向の力に転換するように構成された螺旋設計を含む。
いくつかの態様では、本開示は、内燃機関におけるカムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変動させるように構成されたカム整相システムを提供する。カム整相システムは、クランクシャフトに結合するように構成されたクランク結合部品と、カムシャフトに結合するように構成されたカム結合部品とを含む。カム結合部品は、第1の螺旋状機構を含む。カム整相システムは、第2の螺旋状機構を含む入力部品をさらに含む。第2の螺旋状機構は、カムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変動させるために、第1の螺旋状機構を相互作用するように構成されている。第1の螺旋状機構と第2の螺旋状機構との間のこの相互作用は、回転トルク事象が生じている間、カム結合部品を入力部品に対して摩擦によってロックするように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、アクチュエータが入力部品に結合している。
本開示のいくつかの態様では、アクチュエータは、入力部品に力を入力するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構は、入力部品とアクチュエータとの間を結合する。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構は、カム結合部品がクランク結合部品に対する所望の回転位置に確実に到達するように、アクチュエータから入力された力を入力部品に伝達するように構成されている。
いくつかの態様では、本開示は、内燃機関におけるカムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変動させるように構成されたカム整相システムを提供する。カム整相システムは、クランクシャフトに結合するように構成されたスプロケットハブと、カムシャフトに結合するように構成されたクレードルロータとを含む。クレードルロータは、螺旋状機構を含む。カム整相システムは、カムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変動させるために、螺旋ロッドをさらに含み、この螺旋ロッドは、クレードルロータの螺旋状機構と相互作用するように構成された螺旋状部分を有するスプラインを含む。螺旋状機構と螺旋状部分との間の相互作用は、回転トルク事象が生じている間、クレードルロータを螺旋ロッドに対して摩擦によってロックするように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、アクチュエータは螺旋ロッドに結合している。
本開示のいくつかの態様では、アクチュエータは、螺旋ロッドに力を入力するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構は、螺旋ロッドとアクチュエータとの間を結合する。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構が、クレードルロータがスプロケットハブに対する所望の回転位置に確実に到達するように、アクチュエータから入力された力を螺旋ロッドに伝達するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、螺旋状機構が、約50度より大きな螺旋角度を定める。
本開示のいくつかの態様では、螺旋状機構が、約60度より大きな螺旋角度を定める。
本開示のいくつかの態様では、エンドプレートがスプロケットハブに結合している。
いくつかの態様では、エンドプレートは、螺旋ロッドに係合し、かつ螺旋ロッドがエンドプレートに対して回転することを抑制するように構成された突起を有する中央開口を含む。
本開示のいくつかの態様では、クレードルロータが、クレードルロータの内孔の周囲に円周方向に配置された複数の螺旋状機構を含む。
本開示のいくつかの態様では、複数の螺旋状機構のそれぞれが、複数の螺旋状機構が内孔に沿って軸方向に延びるにつれて螺旋状の外形を定める、内孔における半径方向の凹部を定める。
本開示のいくつかの態様では、螺旋ロッドが、螺旋状部分および軸方向部分をそれぞれ含む、螺旋ロッドにおいて円周方向に配置された複数のスプラインを含む。
本開示のいくつかの態様では、クレードルロータが、0度〜360度の回転範囲において、スプロケットハブに対して回転するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、クレードルロータが、スプロケットハブの内孔に受け入れられるように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、クレードルロータは、スプロケットハブに対して軸方向に変位しないように抑制される。
いくつかの態様では、本開示は、内燃機関におけるカムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変動させるように構成されたカム整相システムを提供する。カム整相システムは、クランクシャフトに結合するように構成されたクランク結合部品と、カムシャフトに結合するように構成されたカム結合部品とを含む。カム結合部品は、第1の螺旋状機構を含む。カム整相システムは、第2の螺旋状機構を含む入力部品をさらに含む。第2の螺旋状機構は、カムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変動させるために、第1の螺旋状機構を相互作用するように構成されている。第1の螺旋状機構と第2の螺旋状機構との間の相互作用は、カム結合部品からの回転トルクを、外力によって選択的に支持される入力部品における軸方向の力に転換するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、外力は直線クラッチによって提供される。
本開示のいくつかの態様では、プッシュプル結合部は、直線クラッチと入力部品との間に配置されている。
本開示のいくつかの態様では、プッシュプル結合部は、直線クラッチと入力部品との間の角度のずれを調整するように構成された自動調心軸受を備える。
本開示のいくつかの態様では、プッシュプル結合部は、ある部品に結合するように構成された第1の軸受と、直線クラッチに結合するように構成された第2の軸受とを含み、第1の軸受と第2の軸受とは、互いに対して軸方向に変位しないように抑制されており、第1の軸受と第2の軸受との間の回転運動が可能になる。
本開示のいくつかの態様では、プッシュプル結合部は、直線クラッチへの結合を円滑化するための複数の半径方向に可撓性のあるアームを有する結合頭部と、入力部品に結合するように構成されたハウジングと、軸受および内部ハウジングを有する軸受組立体とを含み、結合頭部は軸受に結合しており、結合頭部がハウジングおよび入力部品と共に回転することが防止される。
本開示のいくつかの態様では、直線クラッチは、第1のロック部材および第2のロック部材を有するロック組立体を含み、第1のロック部材と第2のロック部材とのそれぞれは、ロックされた状態と、ロックされていない状態との間を移動可能である。
本開示のいくつかの態様では、第1のロック組立体がロックされた状態にある場合、入力部品が第1の方向に軸方向に平行移動することが防止され、第1のロック組立体がロックされていない状態にある場合、入力部品は、第1の方向に軸方向に変位することができる。
本開示のいくつかの態様では、第2のロック組立体がロックされた状態にある場合、入力部品が第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に平行移動することが防止され、第2のロック組立体がロックされていない状態にある場合、入力部品は、第2の方向に軸方向に変位することができる。
本開示のいくつかの態様では、入力部品に対して軸方向の力が入力されていない自由状態では、第1のロック組立体と第2のロック組立体とはロックされた状態にあり、カム結合部品に作用する回転トルクにより入力部品が軸方向に平行移動することが防止される。
本開示のいくつかの態様では、ロック組立体は、クランク結合部品の外に配置されている。
本開示のいくつかの態様では、ロック組立体は、クランク結合部品内で内部に配置されている。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構は、直線クラッチとアクチュエータとの間を結合する。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構は、カム結合部品がクランク結合部品に対する所望の回転位置に確実に到達するように、アクチュエータから入力された力を直線クラッチに伝達するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構は、クランク結合部品の外に配置されている。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構は、クランク結合部品内で内部に配置されている。
いくつかの態様では、本開示は、内燃機関におけるカムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変動させるように構成されたカム整相システムを提供する。カム整相システムは、クランクシャフトに結合するように構成されたスプロケットハブと、カムシャフトに結合するように構成されたクレードルロータとを含む。クレードルロータは、螺旋状機構を含む。カム整相システムは、カムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変動させるために、螺旋ロッドをさらに含み、この螺旋ロッドは、クレードルロータの螺旋状機構と相互作用するように構成された螺旋状部分を有するスプラインを含む。第1の螺旋状機構と螺旋状部分との間の相互作用は、クレードルロータからの回転トルクを、外力によって選択的に支持される螺旋ロッドにおける軸方向の力に転換するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、外力は直線クラッチによって提供される。
本開示のいくつかの態様では、プッシュプル結合部は、直線クラッチと螺旋ロッドとの間に配置されている。
本開示のいくつかの態様では、プッシュプル結合部は、直線クラッチと螺旋ロッドとの間の角度のずれを調整するように構成された自動調心軸受を備える。
本開示のいくつかの態様では、プッシュプル結合部は、ある部品に結合するように構成された第1の軸受と、直線クラッチに結合するように構成された第2の軸受とを含み、第1の軸受と第2の軸受とは、互いに対して軸方向に変位しないように抑制されており、第1の軸受と第2の軸受との間の回転運動が可能になる。
本開示のいくつかの態様では、プッシュプル結合部は、直線クラッチへの結合を円滑化するための複数の半径方向に可撓性のあるアームを有する結合頭部と、螺旋ロッドに結合するように構成されたハウジングと、軸受および内部ハウジングを有する軸受組立体とを含み、結合頭部は軸受に結合しており、結合頭部がハウジングおよび螺旋ロッドと共に回転することが防止される。
本開示のいくつかの態様では、直線クラッチは、第1のロック部材および第2のロック部材を有するロック組立体を含み、第1のロック部材と第2のロック部材とのそれぞれは、ロックされた状態と、ロックされていない状態との間を移動可能である。
本開示のいくつかの態様では、第1のロック組立体がロックされた状態にある場合、螺旋ロッドが第1の方向に軸方向に平行移動することが防止され、第1のロック組立体がロックされていない状態にある場合、螺旋ロッドは、第1の方向に軸方向に変位することができる。
本開示のいくつかの態様では、第2のロック組立体がロックされた状態にある場合、螺旋ロッドが第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に平行移動することが防止され、第2のロック組立体がロックされていない状態にある場合、螺旋ロッドは、第2の方向に軸方向に変位することができる。
本開示のいくつかの態様では、螺旋ロッドに軸方向に力が入力されていない自由状態では、第1のロック組立体と第2のロック組立体とはロックされた状態にあり、カム結合部品に作用する回転トルクにより螺旋ロッドが軸方向に平行移動することが防止される。
本開示のいくつかの態様では、ロック組立体は、クランク結合部品の外に配置されている。
本開示のいくつかの態様では、ロック組立体は、クランク結合部品内で内部に配置されている。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構は、直線クラッチとアクチュエータとの間を結合する。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構は、カム結合部品がクランク結合部品に対する所望の回転位置に確実に到達するように、アクチュエータから入力された力を直線クラッチに伝達するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構は、クランク結合部品の外に配置されている。
本開示のいくつかの態様では、コンプライアンス機構は、クランク結合部品内で内部に配置されている。
いくつかの態様では、本開示は、内燃機関におけるカムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変動させるように構成されたカム整相システムを提供する。カム整相システムは、クランクシャフトに結合するように構成されたスプロケットハブと、カムシャフトに結合するように構成されたクレードルロータとを含む。カム結合部品は、第1の螺旋状機構を含む。カム整相システムは、第2の螺旋状機構を有する螺旋ロータをさらに含む。第2の螺旋状機構は、カムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変動させるために、第1の螺旋状機構を相互作用するように構成されている。カム整相システムは、入力される力を受け取るように構成された入力部品を有する直線クラッチと、クレードルロータとスプロケットハブとの間の相対運動を選択的に制限するか、または可能にするように構成されたロック組立体とをさらに含む。
いくつかの態様では、本開示は、内燃機関におけるカムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を変動させるように構成されたカム整相システムを提供する。カム整相システムは、少なくとも2つの螺旋セクションを含む。各螺旋セクションは、クランク螺旋状突起を有するクランク結合管と、カム螺旋状突起を有するカム結合管と、第1の螺旋状凹部を有する第1の入力リングと、第2の螺旋状凹部を有する第2の入力リングとを含む。クランク螺旋状突起は、第1の螺旋状凹部に受け入れられ、カム螺旋状突起は、第2の螺旋状凹部に受け入れられる。第1の入力リングと第2の入力リングとは、軸方向に交互に積み重ねられ、クランク結合管とカム結合管とに対して軸方向に変位するように構成されている。第1の入力リングと第2の入力リングとが軸方向に変位する場合、カム結合管がクランク結合管に対して回転する。
本開示のいくつかの態様では、クランク螺旋状突起と第1の螺旋状凹部との間の相互作用と、カム螺旋状突起と第2の螺旋状凹部との間に相互作用とは、回転トルク事象が生じている間、クランク結合管をカム結合管に対して摩擦によってロックするように構成されている。
いくつかの態様では、本開示は、第1の部品と第2の部品との間を結合するように構成されたコンプライアンス機構を提供する。第1の部品は、所望の位置まで、第1の方向か第2の方向かのいずれかの方向に第2の部品を移動させるために力を入力するように構成されており、第2の部品は、第1の方向か第2の方向かのいずれかの方向の外力を受ける。コンプライアンス機構は、第1の部品に結合するように構成された第1の部分と、第2の部品に結合するように構成された第2の部分と、第1の部分と第2の部分との間を結合するばねとを含む。ばねは、第2の部品が、外力の方向、大きさ、およびタイミングにかかわらず、所望の位置に確実に到達するように、第1の部品から第2の部品に入力された力に対して力を付与するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、第1の部分は、内孔を有するハウジングである。
本開示のいくつかの態様では、第2の部分は、内孔に摺動可能に受け入れられる。
本開示のいくつかの態様では、内孔は、作動室、ばね室、およびねじ付き孔を定める。
本開示のいくつかの態様では、ハウジングは、第1の部品がハウジングに結合することができるように構成された結合開口を有する。
本開示のいくつかの態様では、ハウジングは、作動室とハウジングの外の周囲との間を流体連通させるように構成されたリリーフポートを含む。
本開示のいくつかの態様では、付勢素子は、第1の部分および第2の部分にあらかじめ荷重をかけるように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、プッシュプル結合部は、第1の座金および第2の座金を含む。
本開示のいくつかの態様では、付勢素子が、第1の座金と第2の座金との間に配置されている。
本開示のいくつかの態様では、付勢素子は、第1の座金と第2の座金とが互いから離れるように付勢するために、第1の座金および第2の座金にあらかじめ荷重をかけるように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、第1の座金は、第1の部分におけるフランジに対して付勢される。
本開示のいくつかの態様では、第2の座金は、第2の部分における第1の端部に対して付勢される。
いくつかの態様では、本開示は、第1の部品と第2の部品との間を結合するように構成されたコンプライアンス機構を提供する。第1の部品は、所望の位置まで、第1の方向か第2の方向かのいずれかの方向に第2の部品を移動させるために、力を入力するように構成されている。第2の部品は、第1の方向か第2の方向かのいずれかの方向の外力を受ける。コンプライアンス機構は、第1の部品に結合するように構成されたハウジングと、第2の部品に結合するように構成された部分と、ハウジングとこの部分との間を結合する付勢素子とを含む。第1の相対関係がハウジングとこの部分との間に定められ、付勢素子は、第1の相対関係をハウジングとこの部分との間に確実に維持する付勢力を付与するように構成されている。
いくつかの態様では、本開示は、第1の部品と第2の部品との間を結合するように構成されたコンプライアンス機構を提供する。第1の部品は、所望の位置まで、第1の方向か第2の方向かのいずれかの方向に第2の部品を移動させるために、力を入力するように構成されている。コンプライアンス機構は、第2の部品に結合するように構成されたコイル部分と、コイル部分から延び、かつ第1の部品に結合する第1の端部と、コイル部分から延び、かつ第1の部品に結合する第2の端部とを含む。第1の部品に入力される力は、コイル部分を移動させ、これにより第2の部品を、外力の方向、大きさ、およびタイミングにかかわらず、所望の位置に確実に到達させる付勢力を生じさせるために、第1の端部および第2の端部を付勢する。
いくつかの態様では、本発明は、内孔を定めるハウジングと、内孔の第1の端部内に受け入れられるように構成された第1の軸受と、内孔の第2の端部内に受け入れられるように構成された第2の軸受とを含むプッシュプル結合部を提供する。
本開示のいくつかの態様では、プッシュプル結合部は、内孔を定めるハウジングを含む。
本開示のいくつかの態様では、ハウジングは、略円筒状である。
本開示のいくつかの態様では、第1の軸受は、内孔の第1の端部内に受け入れられるように構成されており、第2の軸受は、内孔の第2の端部内に受け入れられるように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、第1の軸受および第2の軸受は、内孔に向けて圧入される。
本開示のいくつかの態様では、第1の軸受および第2の軸受は、自動調心軸受である。
本開示のいくつかの態様では、第1の軸受は第1の結合開口を含み、第2の軸受は第2の結合開口を含む。
本開示のいくつかの態様では、第1の結合開口は、第1の軸受を第1の部品に結合させるように構成されており、第2の結合開口は、第2の軸受を第2の部品に結合させるように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、第1の部品は回転部品である。
本開示のいくつかの態様では、第2の部品は非回転部品である。
本開示のいくつかの態様では、第2の部品は回転部品である。
本開示のいくつかの態様では、第1の軸受および第2の軸受は、第1の部品と第2の部品との間の半径方向のずれを調整するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、第1の軸受および第2の軸受は、第1の部品と第2の部品との間の角度のずれを調整するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、シャフトが、第1の軸受と第2の軸受とを互いに接続するように構成されている。
本開示のいくつかの態様では、第1の軸受は第1の結合開口を含み、第2の軸受は第2の結合開口を含む。
本開示のいくつかの態様では、シャフトは、第1の結合開口および第2の結合開口に受け入れられるような寸法にされている。
本発明の前述の態様および利点、ならびに他の態様および利点が、以下の説明から明らかになる。この説明では、説明の一部をなす添付の図面を参照する。これらの図面には、本発明の好ましい実施形態が、実例として示される。しかし、このような実施形態は、本発明の全範囲を必ずしも表すものではなく、したがって、本明細書において本発明の範囲を解釈するためには、特許請求の範囲に対して参照がなされる。
本発明の以下の詳細な説明を考慮した場合に、本発明はよりよく理解され、上に記載されたもの以外の特徴、態様、および利点が明らかになる。このような詳細な説明では、以下の図面が参照される。
本開示の任意の態様を詳細に説明する前に、本開示が、その用途において、以下の説明に記載されるか、または以下の図面に示される構成の詳細および部品の配置に限定されるものではないことを理解されたい。本開示は、他の構成も可能であり、様々な方法で実践または実行され得る。また、本明細書で使用される表現および用語は説明を目的とするものであり、限定と見なされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む」「備える」または「有する」およびそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびその均等物ならびにさらなる項目を包含することを意味する。別段の指定または限定がない限り、「取り付けられる」「接続される」「支持される」および「結合している」という用語ならびにこれらの用語の変形は、広範に使用され、直接的な取り付け、接続、支持、および結合も、間接的な取り付け、接続、支持、および結合も両方とも包含する。さらに、「接続される」および「結合している」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されるものではない。
当業者が本開示の態様を製造し、かつ利用することができるように、以下の説明を行う。説明される構成への様々な修正が、当業者には容易に明らかになるであろう。本明細書の一般的な原理を、本開示の態様から逸脱することなく、他の構成および用途に当てはめることができる。したがって、本開示の態様は、説明される構成への限定を意図するものではなく、本明細書に開示される原理および特徴と一致する最も広い範囲と合致することが意図されている。以下の詳細な説明は図を参照して読まれるべきであり、図では、別々の図における同様の要素は、同様の参照数字を有する。図は必ずしも一定の縮尺ではなく、選択された構成を示しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に提供される非限定的な例には多くの有用な代替形態があり、本開示の範囲に含まれることを当業者ならば認識するであろう。
いくつかの機械システムでは、回転部品を非回転部品か別の回転部品かのいずれかに取り付けるために、接続機構が必要とされる場合がある。そのような機械システムの1つの非限定的な例が、カム整相の用途である。カム整相用途では、目的は、例えば内燃機関におけるカムシャフトとクランクシャフトとの間の位相(即ちこれらの間の回転関係)を選択的に変更することである。このことは、様々な駆動方法によって達成される可能性がある。例えば、本開示に適用することができる可能性がある様々なカム整相システムおよびカム整相方法が、米国特許出願第15/216,352号明細書(’352号特許)に説明されおり、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかのカム整相システムでは、(例えばリニアアクチュエータによる)軸運動が、カムシャフトとクランクシャフトとの間の位相を変更する回転運動に変換される場合がある。これらの構成では、直線運動を提供し、かつシステムを駆動するために、軸方向の力が加えられる。これら以外のカム整相システムのように、カムシャフトと共に回転するために軸方向の力を加える駆動機構が必要とされることがないため、このことは有効である可能性がある。しかし、いくつかの他のカム整相システムでは、入力された回転力が、カムシャフトとクランクシャフトとの間の相を切り替えるために加えられる場合がある。
例えばこれらのカム整相システムでは、結合機構が位相器を取り付けるために必要とされる場合がある。位相器は、駆動機構に対してカムシャフトと共に回転する。駆動機構は、回転する場合もあり、回転しない場合もある。本開示は、回転部品と、非回転部品または別の回転部品との間に配置され得るプッシュプル結合部のためのシステムおよび方法を提供する。
図1は、本開示によるプッシュプル結合部10の1つの非限定的な用途を示す。図1に示されるように、プッシュプル結合部10は、回転部品12と非回転部品14との間を結合している場合がある。プッシュプル結合部10は、回転部品12と非回転部品14との間で自由に高速回転することができるように構成されている。即ち、プッシュプル結合部10により、回転部品12は、非回転部品14を回転運動させることなく、非回転部品14に対して回転することができる。プッシュプル結合部10は、回転部品12と非回転部品14との間の相対的な軸運動を防止するようにさらに構成されている。即ち、プッシュプル結合部10は、非回転部品14から直接的に回転部品12に対して、これらの間のいかなる相対的な軸運動も有することなく、軸運動を伝達するように構成されている。
プッシュプル結合部10により、回転部品12と非回転部品14との間にずれが許容される場合がある。いくつかの非限定的な例では、プッシュプル結合部10は、回転部品12と非回転部品14との間の軸および/または角度のずれを補償するように構成されている場合がある。即ち、回転部品12および非回転部品14は、軸または角度がずれている場合があるが、そのような場合でもプッシュプル結合部10は、これらの間の結合およびこれらの操作を円滑化する。
図2は、本開示によるプッシュプル結合部10の別の用途を示す。図2に示されるように、プッシュプル結合部10は、第1の回転部品16と第2の回転部品18との間を結合している場合がある。図1を参照した上述のプッシュプル結合部10の機能および利点はまた、図2の構成にも当てはまる。
図3および図4は、本開示によるプッシュプル結合部10の1つの非限定的な例を示す。プッシュプル結合部10は、ハウジング20、第1の軸受22、および第2の軸受24を含む。ハウジング20は、内孔26を有する略円筒状の形状である。内孔26は、中心軸線27と、第1の軸受22および第2の軸受24を受け入れるような寸法の直径DIとを定める。
第1の軸受22は、内孔26の第1の端部28内に受け入れられるように構成されており、第2の軸受24は、第1の端部28とは反対側の内孔26における第2の端部30内に受け入れられるように構成されている。いくつかの非限定的な例では、プッシュプル結合部10を組み立てるために、第1の軸受22が、内孔26の第1の端部28内に圧入される場合があり、第2の軸受24が、内孔26の第2の端部30内に圧入される場合がある。第1の軸受22と第2の軸受24との間のこの圧入は、内孔26の直径DIが、第1の軸受22および第2の軸受24が内孔26内に摩擦で確実に固定され得るような大きさになっていることによって円滑化される場合がある。他の非限定的な例では、ハウジング20内に第1の軸受22および第2の軸受24を固定するために別の固定機構(例えば、楔止め機構、内孔26における階段状の直径、ピン等)が使用される場合もある。
第1の軸受22は、第1の結合開口32を有し、第2の軸受24は、第2の結合開口34を有する。図1の非限定的な用途では、第1の結合開口32は、第1の軸受22を回転部品12と非回転部品14とのうちの一方に結合させるように構成されている場合があり、第2の結合開口34は、第2の軸受24を回転部品12と非回転部品14とのうちの他方に結合させるように構成されている場合がある。図2の非限定的な例では、第1の結合開口32は、第1の軸受22を第1の回転部品16と第2の回転部品18とのうちの一方に結合させるように構成されている場合があり、第2の結合開口34は、第2の軸受24を第1の回転部品16と第2の回転部品18とのうちの他方に結合させるように構成されている場合がある。
いくつかの非限定的な例では、第1の軸受22および第2の軸受24は、球面ころ軸受の形態であってもよい。他の非限定的な例では、第1の軸受22および第2の軸受24は、球面すべり軸受、自動調心軸受、自動調心玉軸受、トロイダルころ軸受、球面ころスラスト軸受、またはずれに対処することができる他の軸受の形態であってもよい。例えば、図4〜図7に示されるように、第1の軸受22は、第1の外リング36、第1の内リング38、および第1の外リング36と第1の内リング38との間に半径方向に配置される第1のローラリング40を備える場合がある。第1の外リング36の外径は、内孔26に圧入される可能性があり、第1の結合開口32は、第1の内リング38の内径によって形成されている場合がある。第1の複数のローラ41(例えば球面ローラまたは球面軸受)は、円周方向に回って配置されていてもよく、第1のローラリング40により第1の外リング36と第1の内リング38との間に固定されていてもよい。操作中、第1の複数のローラ41により、第1の内リング38は、ハウジング20に固定されている第1の外リング36に対していかなる向きにも回転移動することができる場合がある。即ち、第1の内リング38は、プッシュプル結合部10によって結合される部品間の様々な角度および/または軸のずれを補償するために、第1の外リング36内で3次元に回転することができる可能性がある。第1の軸受22と同様に、第2の軸受24はまた、第2の外リング42、第2の内リング44、および第2の外リング42と第2の内リング44との間に第2の複数のローラ48を固定する第2のローラリング46を含む。第2の軸受24の操作および構成は、上述の第1の軸受22における操作および構成と同様である場合がある。例えば、第2の内リング44は、プッシュプル結合部10によって結合される部品間の様々な角度および/または軸のずれを補償するために、第2の外リング42内で3次元に回転することができる可能性がある。
上述のように、プッシュプル結合部10は、これによって結合される部品間の軸および/または角度のずれを調整するように構成されている。この機能の様々な非限定的な例が、図5〜図7に示される。以下の非限定的な例は図1の非限定的な用途に関しての説明であるが、これらの例はまた、図2の非限定的な用途にも当てはまることを理解されたい。図5に示されるように、プッシュプル結合部10は、非回転部品14の軸がずれている場合、回転部品12と非回転部品14との間を円滑に結合する場合がある。即ち、非回転部品14は、中心軸線27から、および/または回転部品12によって定められる中心軸線から、軸がずれている場合がある。プッシュプル結合部10の設計および性質により、このように軸がずれた配置の回転部品12と非回転部品14とを結合することができる場合がある。いくつかの非限定的な例では、プッシュプル結合部10の軸方向の長さにより、プッシュプル結合部10が調整し得る軸のずれの量が制御される可能性がある。特に、第1の軸受22と第2の軸受24との間の軸のずれにより、プッシュプル結合部10を傾けることができる可能性があり、第1の軸受22および第2の軸受24が自由に回転することにより、互いに軸がずれた部品が円滑に結合される場合がある。ある用途では、プッシュプル結合部10の軸方向の長さは、第1の軸受22と第2の軸受24との間における所定の軸のずれを調整するのに十分である場合がある。非回転部品14が、軸がずれているものとして示されているが、プッシュプル結合部10は、(例えば中心軸線27および/または非回転部品14によって定められる中心軸線から)回転部品12の軸がずれている場合もまた、結合を円滑化する可能性があることを理解されたい。
図6に示されるように、プッシュプル結合部は、非回転部品14の角度がずれている場合、回転部品12と非回転部品14とを円滑に結合する場合がある。即ち、非回転部品14は、角度Aが非回転部品14の中心軸線と中心軸線27との間に定められるように配置されていてもよい。プッシュプル結合部10の設計および性質により、このように角度がずれた配置の回転部品12と非回転部品14とを結合することができる場合がある。例えば、上述のように、第1の内リング38および第2の内リング44は、それぞれ第1の外リング36および第2の外リング42内で自由に回転することができる可能性がある。第1の内リング38および第2の内リング44がこのように自由に回転することにより、プッシュプル結合部10の機能を損失することなく、角度がずれた部品(単数および複数)を結合することができる可能性がある。非回転部品14が、角度がずれているものとして示されているが、プッシュプル結合部10は、回転部品12の角度がずれている場合もまた、結合を円滑にする可能性があることを理解されたい。
いくつかの非限定的な例では、プッシュプル結合部10は、1つの軸受も使用することなく、角度がずれた部品を円滑に結合する可能性がある。例えば、プッシュプル結合部10は、第1の軸受22と第2の軸受24とのうちの1つを備え、角度がずれた部品を円滑に結合することができる場合がある。上述のように、2つの軸受を使用することにより、プッシュプル結合部10は、軸のずれに対処することができるというさらなる利点を有することになる。
図7に示されるように、プッシュプル結合部は、非回転部品14が半径方向にずれ、かつ角度がずれている場合、回転部品12と非回転部品14とを円滑に結合する場合がある。即ち、非回転部品14は、非回転部品14によって定められる中心軸線が中心軸線27および/または回転部品12によって定められる中心軸線から半径方向にずれるように配置されていてもよく、角度Aは、非回転部品14の中心軸線と中心軸線27との間に定められる。プッシュプル結合部10の設計および性質により、このように半径方向にずれ、かつ角度がずれた配置の回転部品12と非回転部品とを結合することができる場合がある。例えば、上述のように、第1の内リング38および第2の内リング44は、それぞれ第1の外リング36および第2の外リング42内で自由に回転することができる可能性がある。第1の内リング38と第2の内リング44とがこのように自由に回転することにより、第1の軸受22と第2の軸受24との互いの軸をずらすプッシュプル結合部10の長さと併せて、プッシュプル結合部10の機能を損失することなく、角度および軸がずれた部品(単数および複数)を結合することができる可能性がある。非回転部品14は、半径方向にずれ、かつ角度がずれているものとして示されているが、プッシュプル結合部10は、回転部品が半径方向にずれ、かつ角度がずれている場合もまた、結合を円滑化する可能性があることを理解されたい。
いくつかの非限定的な用途では、回転部品12または第1の回転部品16は、’352号特許に説明されるスパイダロータ18、106、206、406、506、または606のうちの1つであってもよく、非回転部品14は、直線的な力を加えるように構成されたリニアアクチュエータ等であってもよい。本出願では、プッシュプル結合部10により、スパイダロータ18、106、206、406、506、または606のうちの1つをリニアアクチュエータに結合することができる場合がある。プッシュプル結合部10は、相対的な軸運動を抑制するように構成されているため、リニアアクチュエータによって提供される軸方向変位は、スパイダロータ18、106、206、406、506、または606のうちの1つに直接的に伝達され、これにより、カムシャフトとクランクシャフトとの間が正確に整相されることが確実になる。また、プッシュプル結合部10により、スパイダロータ18、106、206、406、506、または606のうちの1つが、(必要に応じて)リニアアクチュエータを回転させることなく、カムシャフトと共に回転することができる。このように、カム整相システムの組立体および操作は、回転用のリニアアクチュエータへの配線が必要ないため、簡略化する。この組立体は、プッシュプル結合部10がスパイダロータ18、106、206、406、506、または606のうちの1つと、リニアアクチュエータとの間の半径方向のずれおよび/または角度のずれを調整するように構成されているため、さらに簡略化される。
相対的な軸運動をさらに抑制するが回転運動は可能にし、かついかなるタイプの半径方向のずれおよび/または角度のずれも補償することができるプッシュプル結合部10に対しては、代替的な設計が可能であることを理解されたい。例えば、図8〜図10は、本開示の一態様によるプッシュプル結合部10の別の非限定的な例を示す。図8〜図10に示されるように、プッシュプル結合部10は、ハウジング20を含まなくてもよいが、代わりに、シャフト36が、第1の軸受22と第2の軸受24とを接続するために使用される可能性がある。シャフト36は、第1の軸受22における第1の結合開口32、および第2の軸受24における第2の結合開口34内に受け入れられるような大きさになっている場合がある。1つの非限定的な例では、シャフト36は、第1の結合開口32および第2の結合開口34内に圧入される場合がある。他の非限定的な例では、別の固定機構(例えば楔止め機構、ピン等)が、シャフト36を第1の結合開口32および第2の結合開口34内に固定するために使用される場合がある。
図11は、本開示の一態様によるプッシュプル結合部10の別の非限定的な例を示す。図11に示されるように、プッシュプル結合部10は、アクチュエータ結合部50、軸受組立体52、およびハウジング54を含んでもよい。アクチュエータ結合部50は、結合頭部56、および結合頭部56から離れて軸方向に延びる結合シャフト58を含む。結合頭部56は、アクチュエータボール60をアクチュエータ結合部50に円滑に結合するために、内部にアクチュエータボール60を受け入れかつ固定するように構成されたボールキャビティ57を定める。アクチュエータボール60は、アクチュエータ結合部50に力(例えば軸方向の力または直線的な力)を入力するように構成されたアクチュエータ(不図示)内に取り付けられるか、または一体化されていてもよい。
結合頭部56は、結合頭部56の周囲に円周方向に配置された、複数の半径方向に可撓性のあるアーム62を含む。アーム62は、結合頭部56を通って半径方向に延びるスロット64によってそれぞれ隔てられている。図示された非限定的な例では、ボールキャビティ57は、アーム62から半径方向内向きに形成された凹部に定められている場合がある。結合頭部56に形成されたスロット64により、アーム62には半径方向の可撓性が付与され、これにより、アクチュエータボール60が、結合頭部56のボールキャビティ57内に円滑に挿入される場合がある。図示された非限定的な例では、結合頭部56は、4つのアーム62および対応する4つのスロット64を含む。他の非限定的な例では、結合頭部56は、4つより多いもしくは少ないアーム62および/または4つより多いもしくは少ないスロット64を含む場合がある。結合シャフト58は、その端部に配置され、結合頭部56から離れて軸方向に配置された、凹状の切欠き65を含む。
図示された非限定的な例では、軸受組立体52は、軸受66および内部ハウジング68を含む。軸受66と内部ハウジング68とのぞれぞれは、略環状である。軸受66は、外面70、および軸受66の中心を通って軸方向に延びる内部開口72を有する。内部開口72は、内部に結合シャフト58を少なくとも部分的に受け入れるように構成されている。内部ハウジング68は、内部に軸受66を少なくとも部分的に受け入れるように構成されている。特に、内部ハウジング68は、内部に軸受66を受け入れるような寸法の内径を有する内面74を定める。内部ハウジング68の内面74は、半径方向内向きに突出し、かつその一端に配置された切欠き76を含む。
いくつかの非限定的な例では、軸受66は、軸受66の内部開口72と軸受66の外面70(例えば第1の軸受22および第2の軸受24を参照されたい)との間に半径方向に配置された1つ以上のローラ(不図示)を含んでもよい。このように、軸受66は、本明細書に説明されるような、ずれを補償するように構成された自動調心軸受を定める。いくつかの非限定的な例では、軸受66は、球面ころ軸受、球面すべり軸受、自動調心玉軸受、トロイダルころ軸受、球面ころスラスト軸受、またはずれに対処することができる別の軸受の形態であってもよい。
図示された非限定的な例では、ハウジング54は、略環状である。ハウジング54は、その内面78が階段状の外形になっており、その端部にハウジング54内に半径方向に延びる凹状の切欠き80を含む。内面78は、ハウジング54の対向する両端部間に軸方向に配置された切欠き82で直径が減少する階段状の外形を定める。いくつかの非限定的な例では、切欠き82は、内部ハウジング68がハウジング54内に軸方向に完全に挿入され得る場所に、軸方向に配置されている場合がある。
図11〜図13を参照すると、プッシュプル結合部10は、内面74に沿った軸受66の軸方向変位を限定する切欠き76に軸受66が係合するまで、軸受66を内部ハウジング68の内面74内に軸方向に挿入することによって組み立てられる場合がある。軸受66が内部ハウジング68内に軸方向に挿入された状態で、結果として生じた組立体52は、内部ハウジング68が内面78に沿った内部ハウジング68の軸方向変位を限定する切欠き82に係合するまで、ハウジング54の内面78内に軸方向に挿入される場合がある。その後、スナップリング84が、凹状の切欠き80に挿入される場合がある。スナップリング84が凹状の切欠き80に据え付けられた状態で、軸受66および内部ハウジング68は、ハウジング54内に軸方向に固定されている場合がある。
その後、結合シャフト58は、結合シャフト58の凹状の切欠き65が内部開口72を通って軸方向に延びるように、軸受66の内部開口72を通って軸方向に挿入される場合がある。その後、シャフト止めリング86は、軸受66、内部ハウジング68、およびハウジング54に対してアクチュエータ結合部50を軸方向に固定するために、結合シャフト58の凹状の切欠き65に据え付けられる場合がある。プッシュプル結合部10が組み立てられた状態で、アクチュエータボール60が、ボールキャビティ57に挿入される場合がある。特に、アーム62は、アクチュエータボール60がボールキャビティ57に摺動することができるように、半径方向外向きに変位する可能性がある。アーム62のそれぞれは、アクチュエータボール60の外面と一致するように構成された、アーム62の半径方向に内面に配置されている湾曲表面88を有する。ボールキャビティ57にアクチュエータボール60が完全に挿入されると、湾曲表面88は、アクチュエータボール60の外面に係合し、アーム62が半径方向に可撓性を有するため、アクチュエータボール60における接触力が付与され、アクチュエータボール60およびアクチュエータ(不図示)がアクチュエータ結合部50に結合される。プッシュプル結合部10を組み立てるための上述のステップは、いかなるようにも限定を意味するものではなく、プッシュプル結合部10は、代替的な順序で組み立てられる可能性があることを理解されたい。
いくつかの非限定的な用途では、ハウジング54は、回転部品12または第1の回転部品16に結合する場合がある。例えば、ハウジング54は、カム整相システムと共に部品に回転可能に結合する場合があり、かつ/またはハウジング54は、カム整相システム内に組み込まれ、これと共に回転する場合がある。いずれの場合でも、ハウジング54は、カム整相システムと共に回転する場合があり、内部ハウジング68は、ハウジング54と共に回転する場合がある。いくつかの非限定的な例では、内部ハウジング68とハウジング54の内面78との間に摩擦嵌合部が存在する場合がある。いくつかの非限定的な例では、内部ハウジング68は楔止めされていてもよく、楔止めされていなければ、ハウジング54に回転可能に固定されていてもよい。内部開口72または軸受66は、内部ハウジング68と共に回転しないように抑制される場合がある。例えば、結合シャフト58と内部軸受66の内部開口72との間の摩擦嵌合部は、軸受66の内部開口72が内部ハウジング68と共に回転することを抑制する場合がある。いくつかの非限定的な例では、結合シャフト58は楔止めされていてもよく、楔止めされていなければ、軸受66の内部開口72に回転可能に固定されていてもよい。
上述のように、軸受66は、軸受66の内部開口72と軸受66の外面70との間に半径方向に配置された、1つ以上のローラまたはボール(不図示)を含んでもよい。これらのローラは、軸受66の内部開口72に対する軸受66の外面70の回転を円滑にする場合がある。また、軸受66は、本明細書に説明される第1の軸受22および第2の軸受24と同様に機能する場合がある。例えば、軸受66の内部開口72は、軸受66の外面70に対していかなる向きにも回転移動することができる可能性がある。即ち、軸受66の内部開口72は、カム整相システムとアクチュエータ(不図示)との間の様々な角度および/または軸のずれを補償するために、軸受66の外面70内で3次元に回転することができる場合がある。代替的または追加的に、アクチュエータボール60は、アクチュエータ(不図示)に結合しているか、または内部に組み込まれており、ずれをさらに補償するためにボールキャビティ57内で回転可能に結合している場合がある。
いくつかの機械システムでは、2つ以上の部品間での相対運動が必要とされる。相対運動は、いくつか挙げると例えば、直線運動、軸運動、回転運動、または螺旋運動であってもよい。いくつかの例では、相対運動は、1つの部品により直接的または間接的に別の部品に入力される力によって開始される場合がある。これらのシステムでは、2つ以上の部品間の相対運動が、1つ以上の時間間隔で自然にロックされる場合がある。これらのロック事象が生じている間、部品が互いに対して移動することが防止される場合がある。例えば、摩擦力、トルクパルス等の外力が、所望の相対運動を抑制するシステムに加えられる可能性がある。これらのロック事象は、入力された力がこの部品に伝達されることを抑制する可能性があり、したがって、部品が望むように相対移動しない可能性がある。このようにして、入力される力はロック事象と重複しない時間に加えられるように適切にタイミングを合わせなければならず、これにより、機械システムの設計における複雑性が増す。
そのような機械システムの1つの非限定的な例が、カム整相の用途である。カム整相用途では、目的は、例えば内燃機関におけるカムシャフトとクランクシャフトとの間の位相角(即ち回転関係)を変化させることである。カム整相システムにおける位相角の変化は、様々な駆動機構によって達成される可能性がある。例えば、本開示に適用可能な可能性がある様々なカム整相システムおよびカム整相方法が、’352特許に説明されている。
’352特許に説明されるように、いくつかのカム整相システムでは、(例えばリニアアクチュエータによる)軸運動が、カムシャフトとクランクシャフトとの間の位相を変更する回転運動に変換される場合がある。これらの構成では、直線運動を提供し、かつシステムを駆動するために、軸方向の力が加えられる。しかし、いくつかの他のカム整相システムでは、入力された回転力が、カムシャフトとクランクシャフトとの間の相を切り替えるために加えられる場合がある。入力機構にかかわらず、エンジンの動作中、弁ばねにおけるカムロブの力によって生じたカムシャフトにおけるトルクパルスが存在する。これらのトルクパルスは、機関サイクル中、正方向にも負方向にも(即ち時計回り方向および反時計回り方向)発生する。トルクパルスの発生により大きな外力が生じる場合があり、これにより、(駆動方向、または整相方向に応じて)正トルクか負トルクかのいずれかが生じている間、システムがロックされ、位相角の変更が妨げられる。位相角は、カムシャフトにおけるトルクパルスが排除されるか、または所望の位相方向と同じ方向に加えられた場合にのみ、システムによって変更される可能性がある。したがって、付与された入力された力に応じて所望の位相角変化が起こり得る保証はない。
この潜在的な動作における非効率性を克服する試みにおいて、本開示は、外側の力にかかわらず入力変位をもたらすことができ、かつ所望の最終位置が確実に達成されるように構成されたコンプライアンス機構を提供する。
図14は、本開示の一態様によるコンプライアンス機構100の非限定的な用途を示す。図14に示されるように、コンプライアンス機構100は、第1の部品112と第2の部品114との間を結合するように構成されている。図示された非限定的な例では、第2の部品114に対して特定の変位が所望されている。第2の部品114は、第1の部品112によって加えられた入力変位に応じて、座標系に対して第1の方向または第2の方向に、相対的に(例えば軸方向に、回転して、螺旋状に等)移動するように構成されている場合がある。第1の部品112によってもたらされた入力変位は、所望の位置に向かって、第1の方向か第2の方向かのいずれか(即ち所望の方向)に、第2の部品114を移動させるように構成されている。即ち、第1の部品112によってもたらされた入力変位の量は、第2の部品114が所望の位置に到達するように、所望の方向への第2の部品114における所望の移動量に直接的に比例する。本明細書で使用される「所望の方向」という用語は、この第2の部品114が所望の位置に到達するように移動する方向(例えば第1の方向か第2の方向かのいずれか)を指す。しかし、他の非限定的な例では、第1の部品112は、第2の部品114によって加えられた入力変位に応じて、第1の方向または第2の方向に、相対的に(例えば軸方向に、回転可能に、螺旋状に等)移動するように構成されている場合があることを理解されたい。
操作中、第2の部品114は、第1の方向または第2の方向に、外力(例えば軸力、回転力、螺旋方向の力等)を受ける場合があり、このため(所望の運動方向に応じて)第2の部品114がロックされる可能性があり、これにより、第2の部品114が所望の位置に移動することが抑制される。コンプライアンス機構100は、第1の部品112が、外力が加えられる時間にかかわらず、いつであれ入力変位を加えることができ、かつ第2の部品114が所望の位置に確実に到達するように構成されている。例えば、第1の部品112は、所望の時間に入力変位を付与する場合がある。この時間または移動中の任意の時間に、所望の位置に向かって外力が加えられると、コンプライアンス機構100は、入力変位により、第2の部品114が所望の位置に到達するまで、第2の部品114に確実に力が加えられるように構成されている。即ち、コンプライアンス機構100は、外力が取り除かれ存在しなくなった場合、所望の方向とは反対の方向、および所望の方向と同じ方向に第1の部品112によって加えられた入力変位を第2の部品114に伝達するように構成されている。したがって、コンプライアンス機構100は、第2の部品114が所望の位置に到達するまで、第1の部品112から入力された力を第2の部品114に伝達し続ける。
図15〜図17は、本開示の一態様によるコンプライアンス機構100の非限定的な例を示す。図15〜図17に示されるように、コンプライアンス機構100は、ハウジング116、第1のピン118、および第2のピン120を含む。ハウジング116は、略円筒状である。他の非限定的な例では、ハウジング116は、所望のような別の形状、例えば楕円形、長方形の、多角形の等であってもよい。ハウジング116は、作動室124、ばね室126、およびねじ付き孔128を定める内孔122を含む。内孔122は、ねじ付き孔128の直径がばね室126の直径より大きく、ばね室126の直径が作動室124の直径より大きな階段状の幾何学的形状である。しかしこれは、内孔122の1つの非限定的な設計であり、他の非限定的な設計では、内孔122が、例えば均一な幾何学的形状であってもよいことを理解されたい。
作動室124は、結合開口130およびリリーフポート132を含む。結合開口130は、ハウジング116の第1の側134からハウジング116内に軸方向に延びる。ハウジング116は、第1の部品112と第2の部品114とのうちの1つに結合するように構成されている場合がある。特に、ハウジング116の結合開口130は、第1の部品112と第2の部品114とのうちの1つに結合するように構成されている場合がある。リリーフポート132は、ハウジング116を通って半径方向に延び、作動室124と周囲の空気との間を流体連通する。
第1のピン118は、第1の端部136、第2の端部138、および第1の端部136と第2の端部138との間に配置されたばね部分140を含む。第1の端部136は、内孔122の作動室124内に摺動可能に受け入れられるような寸法にされている。付勢素子142が、第1のピン118のばね部分140に沿って、その周囲に配置されるように構成されている。図示された付勢素子142は、ばねの形態である。ばね142は、第1の座金144と第2の座金146との間で圧縮されるように構成されている。第1の座金144は、第1のピン118のばね部分140が第1の座金144を通って延びるような寸法にされている。第1の座金144は、内孔122のばね室126内に摺動可能に受け入れられるような寸法にされている。第1の座金144は、ばね142の第1の側148における停止部として作用するように構成されている。第2の座金146は、第1のピン118のばね部分140が第2の座金146を通って延びるような寸法にされている。第2の座金146は、内孔122のばね室126に摺動可能に受け入れられるような寸法にされている。第2の座金146は、第1の側148の反対側にあるばね142における第2の側150のための停止部として作用するように構成されている。
第2のピン120は、第1の端部152、第2の端部154、および結合開口156を含む。第2のピン120は、第1の部品112と第2の部品114とのうちの1つに結合し、ハウジング116には結合しないように構成されている場合がある。特に、第2のピン120における第2の端部154は、第1の部品112と第2の部品114とのうちの1つに結合し、ハウジング116には結合しないように構成されている場合がある。第2のピン120は、第1のピン118に結合するように構成されている場合がある。特に、第2のピン120の結合開口156は、第1のピン118における第2の端部138に結合するように構成されている場合がある。ねじ付きキャップ158は、略環状であり、第2のピン120における第2の端部154の少なくとも一部を、ねじ付きキャップ158自体を通って摺動可能に受け入れるような寸法にされている。ねじ付きキャップ158は、内孔122のねじ付き孔128に受け入れられるような寸法にされている。
コンプライアンス機構100の動作に関する1つの非限定的な例が、図18を参照して説明される。この非限定的な例では、ハウジング116は、第1の部品112に結合している場合があり、第2のピン120は、第2の部品114に結合している場合がある。第1の部品112は、第2の部品114の運動(例えば軸運動、回転運動、または螺旋運動)における所望の方向および大きさに直接的に対応する入力変位(例えば、軸方向、回転方向、または螺旋方向の入力変位)を付与するように構成されている可能性がある。しかし、以下の性質および利点はまた、第2の部品114が第1の部品112の運動における所望の方向および大きさに直接的に対応する入力変位を付与する非限定的な例にも当てはまる可能性があることを理解されたい。
操作中、第2の部品114は、第1の部品112によって付与された入力変位に応じて、所望の位置に向かって、第1の方向または第2の方向に、座標系に対して移動するように構成されている場合がある。第1の部品112の入力変位によって付与された大きさおよび方向は、第2の部品114における所望の位置と直接的に相関する。しかし、操作中、第2の部品114は、第1の方向または第2の方向に、外力(例えば軸力、回転力、螺旋方向の力等)を受ける場合があり、このため(所望の運動方向に応じて)第2の部品114がロックされる可能性があり、これにより、第2の部品114が所望の位置に移動することが抑制される。
最初に、第1の相対関係が、ハウジング116と、第1のピン118および第2のピン120との間に定められる場合がある。第2の部品114を座標系に対して移動することが所望される場合、第1の部品112は、ハウジング116に所定の大きさおよび方向の入力変位を付与するように、電子的に、油圧で、機械的に、またはこれらの組み合わせによって案内される。例えば、入力変位は、第1の座金144から第2の座金146に向かう方向に付与される。組み立てられた場合、ばね142には、第1の座金144および第2の座金146が互いから離れた方に付勢されるように、あらかじめ荷重がかけられる場合がある。したがって、入力変位が付与されない場合、第1の座金144は、第1の端部136と第1のピン118のばね部分140との間の接合部に定められるフランジ160に対して付勢される場合があり、第1の座金144が、作動室124と内孔122のばね室126との間の接合部に定められるシート162に対して付勢される場合もまたある。第2の座金146は、第2のピン120における第1の端部152に対して付勢される場合があり、ねじ付きキャップ158に対して付勢される場合もまたある。ばね142によって付与されるこの予荷重により、第1の部品112によって付与される入力変位が、遅滞なく、コンプライアンス機構100を通じて第2の部品114に直接的に伝達されることが確実になる。
ハウジング116に入力される力により、ハウジング116が、例えば第2の座金146に向かう方向に平行移動する場合があり、これにより、ばね142が圧縮される。したがって、ハウジング116と第1のピン118および第2のピン120との間に最初に定められた第1の相対関係は、第2の相対関係に変更される場合がある。ハウジング116の変位によってばね142がさらに圧縮されることにより、結果的に生じた力が、ばね142を介して第2の座金146に直接的に伝達される場合があり、このため、第2の座金146と第2のピン120との係合により、第1のピン118および第2のピン120に伝達される。このようにして、ハウジング116は、第1の部品112によって入力された力により、所望の方向に所望の分変位する場合がある。第2のピン120は第2の部品114に結合しているため、第1のピン118と第2のピン120とのこの変位は、第2の部品114に伝達される場合があり、これにより、第2の部品114は、所望の位置まで、第1の方向か第2の方向かのいずれかの方向に変位する。したがって、ハウジング116と、第1のピン118および第2のピン120とは、第2の相対関係から第1の相対関係に戻る。ハウジング116内のリリーフポート132により、第1のピン118と第2のピン120との移動中、作動室124内に圧力が生じず、または真空が生成されないことが確実になる。
上述のように、第2の部品114に対して、第1の方向か第2の方向かのいずれかの方向に、外力が加えられる可能性がある。コンプライアンス機構100の設計および性質により、第1の部品112によって付与される入力変位が、外力のタイミングおよび方向にかかわらず、第2の部品114に確実に伝達される。第2の部品114に対して、入力変位に対する力を絶えず加えるばね142を圧縮することにより、このことが達成される。ばね142によって加えられた一定の力により、第2の部品114が、外力が存在しない、取り除かれた場合、所望の位置に向かって、または所望の方向と同じ方向に、持続的に移動する可能性があることが確実になる場合がある。したがって、第2の部品114は、可能な場合は所望の位置に到達するまで、所望の位置に向かって持続的に移動する。したがって、コンプライアンス機構100により、いかなる所望の時間にも入力変位を加えることができ、第2の部品114が必然的に所望の位置に到達するまで、第2の部品114に力が持続的に伝達されることが確実になる。
いくつかの非限定的な用途では、第1の部品112と第2の部品114とのうちの一方は、’352特許に説明されるスパイダロータ18、106、206、406、506、または606のうちの1つであってもよく、第1の部品112と第2の部品114とのうちの他方は、軸方向の力または直線的な力を加えるように構成されたリニアアクチュエータ等であってもよい。本出願では、コンプライアンス機構100により、アクチュエータによって入力された力が、カムトルクパルスの方向および大きさにかかわらず、スパイダロータ18、106、206、406、506、または606のうちの1つに持続的に加えられることが確実になる場合がある。これにより、リニアアクチュエータによって入力された力を、いかなる所望の時間にも加えることができる場合があり、これによりカム整相システムの動作および制御がより効率的になる。また、コンプライアンス機構100により、スパイダロータ18、106、206、406、506、または606のうちの1つが、所望の位相角に必然的に到達することが確実になる。
図15〜図18を参照した上述の非限定的な例では、コンプライアンス機構100は、カム整相システムのカム位相アクチュエータの少なくとも部分的に外側に配置されていてもよい。例えば、コンプライアンス機構100は、カム位相アクチュエータに力を入力する装置に直接結合していてもよい。いくつかの非限定的な例では、コンプライアンス機構100は、カム位相アクチュエータ内に組み込まれている場合がある。例えば、図19は、カム位相アクチュエータ内に組み込まれているか、またはその内部に配置されている場合があるコンプライアンス機構100の別の非限定的な構成を示す。
図19に示されるように、コンプライアンス機構100は、コイル部分202、第1の端部204、および第2の端部206を含むコイル200の形態であってもよい。コイル200は、単一の巻き線材料から単一部品として形成されていてもよい。いくつかの非限定的な例では、コイル200は、第1の端部204と第2の端部206とが、自由状態では互いから離れて延びるようにあらかじめ付勢されていてもよい。例えば、第1の端部204および第2の端部206は、互いから離れて延び、コイル部分202が自由状態にある場合に略V字形状を形成する可能性がある。コイル部分202は、第1の端部204と第2の端部206とのうちの1つまたは両方によってコイル部分202に加えられた付勢力を吸収するためのばねとして作用する、略円形のコイル式巻き線である。
図20は、カム位相アクチュエータ内に据え付けられたコイル200の1つの非限定的な例を示す。説明のため、このカム位相アクチュエータの特定の部品は透明になっている。また、図示された部品は、カム位相アクチュエータ内に収容されていてもよいことを理解されたい。図20に示されるように、コイル200は、第1のカム整相部品208と第2のカム整相部品210との間を結合する場合がある。いくつかの非限定的な例では、第1のカム整相部品208は、直接的にか、間接的にかのいずれかで、第2のカム整相部品210に加えられた入力変位に応じて、変位するように構成されたスパイダロータ(例えば、’352特許に説明されるスパイダロータのうちの1つ、またはカム位相アクチュエータ内に配置された別のスパイダロータ)であってもよい。いくつかの非限定的な例では、第2のカム整相部品210は、直接的に、または間接的に(例えば1つ以上の中間部品を介して)、カム位相アクチュエータに入力変位を加えるように構成されたアクチュエータ(不図示)に結合していてもよい。
図示された非限定的な例では、4つのコイル200が、カム位相アクチュエータ内に据え付けられている。他の非限定的な例では、カム位相アクチュエータは、本明細書に説明されるコンプライアンス機構100の機能性を提供する、4つより多いまたは少ないコイル200を含んでもよい。コイル200を第1のカム整相部品208に円滑に結合するために、第1のカム整相部品208は、その第1の表面214から離れて軸方向に延びる複数の突起212を含んでもよい。突起の数は、カム位相アクチュエータに据え付けられたコイル200の数と一致する場合がある。突起212は略円筒状である場合があり、ばね200のコイル部分202内に受け入れられ、かつこの部分を通って延びる場合がある。据え付けられた場合、コイル200の第1の端部204および第2の端部206は半径方向内向きに延び、第2のカム整相部品210に形成されたスロット216に係合する。コイル200が据え付けられた状態では、第2のカム整相部品210のスロット216が、その自由状態に対して、第1の端部204および第2の端部206を互いに向かって付勢する場合がある。したがって、コイル200をあらかじめ付勢することにより、第1のカム整相部品208と第2のカム整相部品210との間で力が常に伝達されることが確実になる場合がある。
操作中、入力変位が、所望の大きさおよび方向で、第2のカム整相部品210に加えられる場合がある。例えば、第2のカム整相部品210は、既知の回転位置まで、第1のカム整相部品208に対して回転する場合がある。第2のカム整相部品210が回転する際、スロット216は、(入力された力の方向に応じて)第1の端部204と第2の端部206とのうちの一方を、第1の端部204と第2の端部206とのうちの他方に円周方向に係合させ、かつ付勢する。第1の端部204と第2の端部206とのうちの一方をこのように円周方向に付勢することにより、コイル部分202が、対応する力を突起212に、ひいては第1のカム整相部品208に加える結果になる。コイル200により第1のカム整相部品に加えられた力は、第1のカム整相部品208が第2のカム整相部品210に加えられる入力変位によって決定される所望の位置に到達するまで、第1のカム整相部品において維持される。したがって、カム位相アクチュエータの内部に配置されようと、少なくとも部分的にその外部に配置されようと、本明細書に説明されるコンプライアンス機構100により、第2の部品が所望の位置に到達するまで、第1の部品から第2の部品に力が連続的に伝達されることが確実になる。
いくつかの非限定的な例では、コンプライアンス機構100を使用することにより、位相角の変化を円滑化するために必要とされる部品がより少なくなることによって、カム整相システムをより効率的に構成することができる。したがって、コンプライアンス機構100を使用することが、最小限の数の部品を使用する簡略化されたカム整相システムの設計および操作を円滑化する可能性がある。
図21は、本開示の一態様によるこのようなカム整相システム300の1つの非限定的な概略を示す。図21に示されるように、カム整相システム300は、クランク結合部品302、カム結合部品304、および入力部品306を含んでもよい。クランク結合部品302は、(例えばギヤ列またはベルトを介して)内燃機関のクランクシャフト(不図示)に結合するように構成されている。カム結合部品304は、内燃機関におけるクランク結合部品302およびカムシャフト(不図示)に結合するように構成されている。したがって、カム整相システム300は、内燃機関におけるカムシャフトおよびクランクシャフトに結合し、それらの間の相対関係(即ち位相角)を変更することができるように構成されている。
入力部品306は、直接的または間接的に、カム結合部品304に係合するように構成されている。入力部品306は、入力部品306に入力された力に応じて移動するように構成されている。いくつかの非限定的な例では、カム結合部品304および/または入力部品306は、カム結合部品304を入力された力に応じて回転させ、これによりクランク結合部品302に対するカム結合部品304の回転方向の向きを変更することができるように、螺旋状機構を含んでもよい。
入力された力は、アクチュエータ308によって加えられ、コンプライアンス機構100により入力部品306に伝達される場合がある。コンプライアンス機構100は、大きな力がアクチュエータ308に加えられることを防止し、アクチュエータ308が常に所望の運動を完全に達成することを確実にする場合がある。これによってコンプライアンス機構100により、カムトルクパルスの方向および大きさにかかわらず、カム結合部品304が所望の位相角にまで回転することができるようになる場合がある。即ち、コンプライアンス機構100により、カム結合部品304は、カムトルクパルスが取り除かれたか、または所望の位相変化と同じ方向に生じているかのいずれかの場合に、位相を調整することができる場合がある。
カムトルクパルスが存在するため、カム結合部品304に加えられたカムトルクパルスに応じた入力部品306の望ましくない相対運動を防止するために、ロック設計がカム整相システム300内に組み込まれていることが必要になる可能性がある。例えば、図22は、螺旋状のロック設計を含むカム整相システム300を示す。図示された非限定的な例では、クランク結合部品302は、スプロケットハブ310の形態であってもよく、カム結合部品304は、クレードルロータ312の形態であってもよい。入力部品306は、螺旋ロッド314の形態であってもよい。カム整相システム300はまた、エンドプレート316を含んでもよい。
図22〜図24を特に参照すると、スプロケットハブ310が、その外面320の周囲に配置されたギヤ318、および内孔322を含む。ギヤ318は、例えばギヤ列またはベルトを介して、内燃機関のクランクシャフトに結合している場合がある。このように、スプロケットハブ310は、クランクシャフトと同じ速度で回転するように駆動される場合がある。内孔322は、内部にクレードルロータ312を受け入れるような寸法にされている。
クレードルロータ312は、内燃機関のカムシャフトに結合するように構成されている。組み立てられた場合、クレードルロータ312は、共に回転するようにスプロケットハブ310に結合される。しかし、クレードルロータ312は、スプロケットハブ310に対して選択的に回転し、これによりこれらの間の回転関係を変更するように構成されている。クレードルロータ312は、内孔324を有し、内孔324には複数の螺旋状機構326が形成され、内孔324の周囲に円周方向に配置されている。図示された非限定的な例では、複数の螺旋状機構326はそれぞれが、内孔324において半径方向に凹状のスロットを定め、このスロットは、内孔324に沿って軸方向に延びるにつれて螺旋状の外形を定める。
複数の螺旋状機構326のそれぞれにより、図8に示されるように、螺旋角度Aが定められる。いくつかの非限定的な例では、クレードルロータ312は、螺旋角度Aが約50度よりも大きくなるように設計されている場合がある。いくつかの非限定的な例では、クレードルロータ312は、螺旋角度Aが約60度よりも大きくなるように設計されている場合がある。いくつかの非限定的な例では、クレードルロータ312は、螺旋角度Aが約70度よりも大きくなるように設計されている場合がある。いくつかの非限定的な例では、クレードルロータ312は、螺旋角度Aが約80度よりも大きくなるように設計されている場合がある。いくつかの非限定的な例では、クレードルロータ312は、螺旋角度Aが約50度〜約90度になるように設計されている場合がある。いくつかの非限定的な例では、クレードルロータ312は、螺旋角度Aが約60度〜約90度になるように設計されている場合がある。いくつかの非限定的な例では、クレードルロータ312は、螺旋角度Aが約70度〜約90度になるように設計されている場合がある。いくつかの非限定的な例では、クレードルロータ312は、螺旋角度Aが約80度〜約90度になるように設計されている場合がある。
説明されるように、螺旋角度Aの急角度な設計により、カムトルクパルス(即ちカムシャフトによりクレードルロータ312に加えられる回転力)が生じている際に、クレードルロータ312および螺旋ロッド314が摩擦によってロックされる場合があり、これにより、螺旋ロッド314が、クレードルロータ312に対して軸方向に望まないように変位することが防止される。
螺旋ロッド314は、コンプライアンス機構100に結合するように構成されていてもよく、コンプライアンス機構100はまた、アクチュエータ308に結合している。螺旋ロッドは、その外面から半径方向外向きに突出する複数のスプライン328を含む。複数のスプライン328は、螺旋ロッド314の円周全体に複数のスプライン328が均一に分布するように、螺旋ロッド314の周囲に円周方向に連続して配置されていてもよい。複数のスプライン328は、第1の螺旋端部330から第2の螺旋端部332に向かって、螺旋ロッド314に沿って軸方向に延びる。複数のスプライン328のそれぞれは、直線部分334および螺旋状部分336を定める可能性がある。直線部分334は、第1の螺旋端部330から第1の螺旋端部330と第2の螺旋端部332との間の場所に向かって、中心軸線338に実質的に平行な方向に延びる。螺旋状部分336は、中心軸線338を略横断する方向に延び、クレードルロータ312の螺旋状機構326によって定められた螺旋状のパターンと一致する。螺旋状部分336は、直線部分334が止まる場所から第2の螺旋端部332に延びる。螺旋状部分336は半径方向に延び、直線部分334と比較して半径方向の厚さが増加する。
螺旋ロッド314の螺旋状部分336のそれぞれは、クレードルロータ312における螺旋状機構326のうちの対応する1つの中に受け入れられるように構成されている。螺旋ロッド314の螺旋状部分336とクレードルロータ312の螺旋状機構326との間の相互作用により、クレードルロータ312は、アクチュエータ308によって加えられ、かつコンプライアンス機構100によりクレードルロータ312に伝達された軸方向変位に応じて、スプロケットハブ310に対して回転することができる。組み立てられた場合、クレードルロータ312は、軸方向に変位することがないように抑えられる場合がある。したがって、アクチュエータ308により螺旋ロッド314に加えられた軸方向変位に応じて、クレードルロータ312は、螺旋ロッド314の螺旋状部分336とクレードルロータ312の螺旋状機構326との間の相互作用により、スプロケットハブ310に対して回転させられる。
上述のように、螺旋状機構326は、急角度の螺旋角度Aを定めるように設計されていてもよい。この急角度の螺旋角度Aにより、クレードルロータ312に加えられる回転パルスが生じている際の、螺旋状機構326に接する螺旋状部分336によって加えられる通常の力が大きくなり、したがって、摩擦力もまた大きくなることが確実になる。螺旋角度Aは、螺旋状部分336と螺旋状機構326との間の摩擦係数と関連して大きくなるように設計されているため、(例えばカムシャフトによって)クレードルロータ312に加えられる回転トルクにより、クレードルロータ312と螺旋ロッド314とが互いにロックされる。クレードルロータ312および螺旋ロッド314が、回転トルク事象が生じている際にロックされる場合、(駆動方向に応じて)正トルク事象か負トルク事象かのいずれか、または両方が生じている際に、螺旋ロッド314の軸運動が妨げられる。したがって、回転トルクが取り除かれたか、または螺旋ロッド314の軸運動が可能になる大きさにまで低減された場合、クレードルロータ312とスプロケットハブ310との間で位相が変化するのみである可能性がある。
エンドプレート316は略環状であり、中央開口340を有する。中央開口340は、螺旋ロッド314の直線部分334と合致する略スプライン形状のパターンを定める。即ち、中央開口340は、それぞれ半径方向内向きに延び、かつ中央開口340の周囲に円周方向に配置された、複数のスプライン状突起342を含んでもよい。中央開口340は、螺旋ロッド314の直線部分334を受け入れるように構成されている。組み立てられた場合、螺旋ロッド314の直線部分334は、中央開口340を通って延び、螺旋ロッド314における複数のスプライン328と、中央開口340における複数のスプライン状突起342との間の相互作用により、螺旋ロッド314が、エンドプレート316に対して一貫した向きに維持される場合がある。エンドプレート316は、エンドプレート316がスプロケットハブ310に対して回転することがないように、スプロケットハブ310に固く取り付けられるように構成されている。図示された非限定的な例では、ボルトの形態における複数の固定要素344を、エンドプレート316をスプロケットハブ310に固定するために使用してもよい。
カム整相システム300の設計および性質により、クレードルロータ312、ひいてはカムシャフトが、360度全体の回転範囲にわたり、スプロケットハブ310に対して回転することが可能になる場合がある。即ち、アクチュエータ308は、クレードルロータ312とスプロケットハブ310との間の回転位相を、0度〜360度の任意の所望の相対関係に切り替える場合がある力を入力するように構成されている場合がある。
いくつかの非限定的な例では、カム整相システム300によって利用される螺旋状のロックが、多くの互いに異なる螺旋接合面を含む複数の螺旋状の部分に拡張される場合がある。このように、例えば、カム整相システム300は、比較的少ない軸方向変位のために、カム結合部品304とクランク結合部品302との間の広範囲の相対運動を付与する場合がある。いくつかの非限定的な例では、複螺旋設計によって提供される螺旋相互作用部のそれぞれは、トルクパルスが生じている際、自己ロックしてもよい。
図25および図26は、カム整相システム300によって実現され得る複螺旋設計346の1つの非限定的な例を示す。図示された非限定的な例では、複螺旋設計346は、軸方向に共に積み重ねられ、かつその一端で底部部分349に結合している場合がある複数の螺旋セクション348を含む。螺旋セクション348のそれぞれは、カム結合管350、クランク結合管352、第1の入力リング354、および第2の入力リング356を含む。底部カム結合管374は、内燃機関のカムシャフトに回転可能に結合していてもよく、カム整相システム300内で組み立てられた場合、軸方向に移動することが抑制される場合がある。クランク結合管352のうちの1つは、内燃機関のクランクシャフトに回転可能に結合していてもよく、カム整相システム300内で組み立てられた場合、軸方向に移動することが抑制される場合がある。第1の入力リング354および第2の入力リング356は、(例えばコンプライアンス機構100を介して)アクチュエータ308に結合していてもよく、カム結合管350およびクランク結合管352に対して軸方向に変位することができる場合がある。
図示された非限定的な例では、カム結合管350のそれぞれは、略環状であってもよく、第1の軸方向の場所に沿って配置された1つ以上の非螺旋状突起358と、第1の軸方向の場所とは重複しない第2の軸方向の場所に沿って配置された1つ以上の螺旋状突起360とを含む。非螺旋状突起358および螺旋状突起360は、カム結合管350の外面から半径方向外向きに延びる。軸方向にずれていることに加えて、非螺旋状突起358は、螺旋状突起360から円周方向にずれている。
クランク結合管352のそれぞれは略環状であってもよく、第1の軸方向の場所に沿って配置された1つ以上の非螺旋状突起362と、第1の軸方向の場所とは重複しない第2の軸方向の場所に沿って配置された1つ以上の螺旋状突起364とを含む。非螺旋状突起362および螺旋状突起364は、クランク結合管352の内面から半径方向内向きに延びる。軸方向にずれていることに加えて、非螺旋状突起362は、螺旋状突起364から円周方向にずれている。クランク結合管352の内径は、第1の入力リング354と第2の入力リング356とが、軸方向に積み重ねられ、かつクランク結合管352とカム結合管350との間に半径方向に配置された状態で、内部にカム結合管350を受け入れるような寸法であってもよい。
第1の入力リング354のそれぞれは略環状であり、その内面に向かって半径方向に凹状になった1つ以上の非螺旋状凹部366と、その外面に向けて半径方向に凹状になった1つ以上の螺旋状凹部368とを含む。1つ以上の非螺旋状凹部366は、カム結合管350の1つ以上の非螺旋状突起358を受け入れるように構成されている。1つ以上の螺旋状凹部368は、クランク結合管352の1つ以上の螺旋状突起364を受け入れるように構成されている。
第2の入力リング356のそれぞれは略環状であり、その外面に向かって半径方向に凹状になった1つ以上の非螺旋状凹部370と、その内面に向かって半径方向に凹状になった1つ以上の螺旋状凹部372とを含む。1つ以上の非螺旋状凹部370は、クランク結合管352の1つ以上の非螺旋状突起362を受け入れるように構成されている。1つ以上の螺旋状凹部372は、カム結合管350の1つ以上の螺旋状突起360を受け入れるように構成されている。
組み立てられた場合、第1の入力リング354および第2の入力リング365は、軸方向に交互に積み重ねられ、かつクランク結合管352の内面と、カム結合管350の外面との間に半径方向に配置されていてもよい。カム結合管350のそれぞれは、第2の入力リング356のうち対応する1つとの螺旋状の相互作用部を定め、クランク結合管352のそれぞれは、第1の入力リング354のうち対応する1つとの螺旋状の相互作用部を定める。クランク結合管352における螺旋状の相互作用部は、半径方向外向きに配置されており、カム結合管350における螺旋状の相互作用部から軸方向にずれている。
底部部分349は、底部カム結合管374と、底部カム結合管374に結合する第1の入力リング354のうち1つとを含んでもよい。底部カム結合管374は、カム結合管350と同様であってもよいが、1つ以上の螺旋状突起360を含まなくてもよい。底部カム結合管374は、内燃機関のカムシャフトに直接的または間接的に結合している場合がある。
操作中、第1の入力リング354のそれぞれは、非螺旋状凹部366と非螺旋状突起358との間の相互作用部により、カム結合管350、374に対して回転することが妨げられる場合がある。同様に、第2の入力リング356のそれぞれは、非螺旋状凹部370と非螺旋状突起362との間の相互作用部により、クランク結合管352に対して回転することが妨げられる場合がある。カム結合管350、374とクランク結合管352とは、互いに対してそれぞれ回転することができる。内燃機関におけるカムシャフトとクランクシャフトとの間の回転関係を切り替えることが所望される場合、アクチュエータ308は、第1の入力リング354と第2の入力リング356との積み重ねに力を入力する場合がある。これに応じて、第1の入力リング354および第2の入力リング356は、所望の分、軸方向に平行移動する場合がある。第1の入力リング354がカム結合管350、374に対して回転しないようになっており、かつ第2の入力リング356がクランク結合管352に対して回転しないようになっているため、第1の入力リング354および第2の入力リング356と、カム結合管350およびクランク結合管352との間の螺旋状の相互作用部により、カム結合管350が、(アクチュエータ308によって入力された力によって統制される)所望の分、クランク結合管352に対して回転する結果になる場合がある。複数の螺旋状の相互作用部と共に複数の螺旋セクション348を使用することにより、カム整相システム300は、カム整相システム300に加えられる小さな軸方向変位に応じて、比較的大きな回転変位を付与することができる可能性があり、この際、より円滑に螺旋ロック(例えば摩擦ロック)を行うために、螺旋状の相互作用部に対する大きな螺旋角度もまた維持される。
いくつかの非限定的な例では、カム整相システム300はまた、急角度の螺旋角度Aが、クレードルロータ312に加えられた回転トルクを螺旋ロッド314に加えられる軸方向の力に転換するように設計されている場合がある。この場合、螺旋状部分336と螺旋状機構326との間の摩擦係数が、システムを完全にロックするには十分ではない場合であっても、大きな回転トルクが、外力により容易に支持される軸方向の力に転換される。即ち、螺旋ロッド314は、この外力を支持するように構成された入力部に結合していてもよく、これにより、クレードルロータ312の相対的な回転位置を制御することができる。入力部は、外力を選択的に支持するように構成されていてもよい。入力部が外力を支持する場合、螺旋ロッド314の軸運動が防止される場合があり、システムがロックされる場合がある。代替的または追加的に、入力部は、螺旋ロッド314が軸方向に変位可能であり、これによりクレードルロータ312の相対的な回転位置が変更され得るように、外力を支持する場合がある。
図27〜図29は、カム整相システム300内に組み込まれ得る直線クラッチ400の形態の入力部に関する非限定的な例を示す。いくつかの非限定的な例では、直線クラッチ400は、アクチュエータ308から入力される力を受ける場合があり、入力された力の方向に応じて、直線クラッチ400は、例えばカム結合部品304に加えられたカムトルクパルスに起因する、入力部品306に加えられた直線的な力を支持し、これにより、所望の方向とは反対の方向への入力部品306の移動を抑制するように構成されていてもよい。したがって、直線クラッチ400は、例えば所望の方向とは反対の方向にカムトルクパルス事象が起きている際に、入力部品306の運動をロックし、かつ所望の方向に移動するカム結合部品304と一致する方向にのみ入力部品306が移動するように構成されていてもよい。
図示された非限定的な例では、直線クラッチ400は、ハウジング402、プッシュロッド404、追従ロッド406、および1つ以上のロック組立体408を含む。図示された非限定的な例では、ハウジング402は、略長方形である。他の非限定的な例では、ハウジングは、所望のような別の形状(例えば円形、多角形等)であってもよい。ハウジング402は略中空であり、内部キャビティ410を定め、内部キャビティ410では、プッシュロッド404および追従ロッド406が少なくとも部分的に受け入れられる場合があり、かつ1つ以上のロック組立体408が囲まれる場合がある。プッシュロッド404、追従ロッド406、および1つ以上のロック組立体は、ハウジング402に対して移動可能な場合がある。
プッシュロッド404は、アクチュエータプラットフォーム412、第1対目の接続アーム414、第2対目の接続アーム416、第1対目の入力アーム418、および第2対目の入力アーム420を含む。アクチュエータプラットフォーム412は、ハウジング402の外に配置されており、アクチュエータ308に結合するように構成されている。第1対目の接続アーム414および第2対目の接続アーム416は、アクチュエータプラットフォーム412からハウジング402の内部キャビティ410内に延びる。第1対目の接続アーム414と第2対目の接続アーム416とは、追従ロッド406の少なくとも一部が間に配置され得るように、横方向に互いから離れて配置されている場合がある。第1対目の接続アーム414は、1つ以上のロック組立体408のうち1つを間に配置することができるように、互いから離れて配置されている。第2対目の接続アーム416は、1つ以上のロック組立体408のうち別のものを間に配置することができるように、互いから離れて配置されている。
第1対目の入力アーム418のうち一方は、第1対目の接続アーム414間を横方向に延び、第1対目の入力アーム418のうち他方は、第2対目の接続アーム416間を横方向に延びる。第1対目の入力アーム418は、ハウジング402の内部キャビティ410に配置された1つ以上のロック組立体408の片側に配置されている。第2対目の入力アーム420のうち一方は、第1対目の接続アーム414間を横方向に延び、第2対目の入力アーム420のうち他方は、第2対目の接続アーム416間を横方向に延びる。第2対目の入力アーム420は、第1対目の入力アーム418から離れて配置されており、ハウジング402の内部キャビティ410に配置された1つ以上のロック組立体408の反対側に配置されている。一般に、第1の入力アーム418と第2の入力アーム420とを組み合わせた、それらの間を横方向に延びる第1対目の接続アーム414は、1つ以上のロック組立体408のうち1つを囲んでいる。第1の入力アーム418と第2の入力アーム420とを組み合わせた、それらの間を横方向に延びる第2対目の接続アーム416は、1つ以上のロック組立体408のうち別のものを略囲んでいる。
図示された非限定的な例では、追従ロッド406は、ロック部分422および結合部分424を含む。一般に、ロック部分422は、ハウジング402の内部キャビティ410に配置されており、第1対目の接続アーム414と第2対目の接続アーム416との間で、かつ1つ以上のロック組立体408間に配置されている。ロック部分422は、第1の側426および第2の側428を有する。ロック部分422の第1の側426は、一対の第1のテーパ面430のうち1つと、この側に配置された一対の第2のテーパ面432のうち1つとを有する。ロック部分422の第2の側428は、別の一対の第1のテーパ面430と、この側に配置された別の一対の第2のテーパ面432とを有する。ロック部分422のそれぞれの側で、第1のテーパ面430および第2のテーパ面432は、互いに向かって延びるにつれてテーパ状になっている。即ち、第1のテーパ面430は、第2のテーパ面432に向かう方向に延びるにつれて、追従ロッド406の中心線に向かって内向きに傾き、第2のテーパ面432は、第1のテーパ面430に向かう方向に延びるにつれて、追従ロッド406の中心線に向かって内向きに傾く。このように、第1のテーパ面430と第2のテーパ面432とは、ロック部分422における第1の側426および第2の側428のそれぞれで、略V字状の外形を形成する。
結合部分424は、入力部品306(例えば螺旋ロッド314)の隣に配置されたロック部分422の一端から延びる。結合部分424は、一般に、ロッドのような形状を定め、軸方向の移動(即ち非回転変位)が追従ロッド406と入力部品306(例えば螺旋ロッド314)との間で伝達され得るように、入力部品306(例えば螺旋ロッド314)に結合するように構成されている。いくつかの非限定的な例では、プッシュプル結合部10は、入力部品306(例えば螺旋ロッド314)と結合部分424との間を結合するように実現される可能性がある。
図示された非限定的な例では、直線クラッチ400は、ハウジング402の内部キャビティ410に配置された2つのロック組立体408を含む。他の非限定的な例では、直線クラッチ400は、2つのより多いまたは少ないロック組立体408を含んでもよく、プッシュロッド404および追従ロッド406は、いかなる数のロック組立体408も適宜収容するように設計されていてもよい。ロック組立体408のそれぞれは、第1のロック部材434、第2のロック部材436、および第1のロック部材434と第2のロック部材436との間に配置された付勢素子438を含む。図示された非限定的な例では、第1のロック部材434および第2のロック部材436は、ころ軸受の形態である。他の非限定的な例では、第1のロック部材434および第2のロック部材436は、楔の形態であってもよい。付勢素子438は、互いから離れるように第1のロック部材434と第2のロック部材436とを付勢する。組み立てられた場合、付勢素子438は、第1のロック部材434を第1の入力アーム418に向かうように付勢し、かつ第2のロック部材436を第2の入力アーム420に向かうように付勢する場合がある。
操作中、ハウジング402は、固定された基準点に回転可能に固定されており、したがって、螺旋ロッド314とカム整相システム300内の他の回転部品と共には回転しない。最初の状態では、プッシュロッド404に対してアクチュエータ308からの力が入力されていない状態で、付勢素子438は、嵌合表面間に第1のロック部材434および第2のロック部材436を留め、これにより、螺旋ロッド314の軸方向変位が防止される場合がある。特に、第1のロック部材434のうち1つは、ロック部分422の第1の側426における第1のテーパ面430と、ハウジング402の第1の内面440との間に留められる場合があり、第1のロック部材434のうち別のものは、ロック部分422の第2の側428における第1のテーパ面430と、ハウジング402の第2の内面442との間に留められている場合がある。また、第2のロック部材436のうち1つは、ロック部分422の第1の側426における第2のテーパ面432と、ハウジング402の第1の内面440との間に留められている場合があり、第2のロック部材436のうち別のものは、ロック部分422の第2の側428における第2のテーパ面432と、ハウジング402の第2の内面442との間に留められている場合がある。この留められた状態では、第1のロック部材434および第2のロック部材436は、追従ロッド406の変位が抑制されるロックされた状態である場合がある。追従ロッド406は螺旋ロッド314に結合しているため、螺旋ロッド314はまた、第1のロック部材434と第2のロック部材436とがロックされた状態にある場合、軸方向に変位することが防止される場合がある。このように、例えば、直線クラッチ400は、第1のロック部材434と第2のロック部材436とがロックされた状態にある場合、クレードルロータ312に作用する時計回り方向か、反時計回り方向かのいずれかの方向のカムトルクパルスが、螺旋ロッド314を軸方向に変位させることを防止する場合がある。
クレードルロータ312とスプロケットハブ310との間の回転位相を切り替えることが所望される場合、アクチュエータ308は、所望の距離分、所望の方向にプッシュロッド404を変位させるために、プッシュロッド404のアクチュエータプラットフォーム412に対して、所望の方向に力(例えば直線的な力)を入力する場合がある。いくつかの非限定的な例では、コンプライアンス機構100は、アクチュエータ308と直線クラッチ400との間に配置されていてもよい。アクチュエータ308によりプッシュロッド404が変位する量は、クレードルロータ312とスプロケットハブ310との間に所望される回転整相の量と直接的に一致する。1つの非限定的な例では、アクチュエータ308は、第1の方向444に力を入力する場合がある。第1の方向444へのアクチュエータの変位は、第1のロック部材434がハウジング402の内面440、442、または第1のテーパ面430と係合しなくなるように移動するように、第1対目の入力アーム418を第1のロック部材434と係合するように変位させる場合がある。したがって、第1の方向444に入力された力に応じて、第1のロック部材434は、ロックされていない状態になるように付勢される場合がある。
第1のロック部材434がロックされていない状態では、直線クラッチ400により、螺旋ロッド314が、第1の方向444に向かって軸方向に変位することができる場合がある。同時に、付勢素子438が、第2のロック部材436をロックされた状態に維持する場合がある。したがって、直線クラッチ400により、螺旋ロッド314が、第1の方向444とは反対の第2の方向446に軸方向に変位することが防止される場合がある。例えば、直線クラッチ400は、螺旋ロッド314を第2の方向446に軸方向に変位させようとする、クレードルロータ312に加えられるカムトルクパルスが生じている間、螺旋ロッド314を直線的に支持する場合がある。このようにして、第1の方向444に力が入力された状態では、直線クラッチ400により、クレードルロータ312とスプロケットハブ310との間の所望の回転関係を達成するために、螺旋ロッド314が第1の方向444に向かって軸方向に変位することのみが可能になる。
螺旋ロッド314は第1の方向444に向かって軸方向に移動することができるため、螺旋ロッド314に結合した追従ロッド406は、螺旋ロッド314と共に変位する。螺旋ロッド314は、追従ロッド406が、アクチュエータ308によりプッシュロッド404に加えられた変位の量に応じて変位し、かつ留められロックされた状態に第1のロック部材434を再び配置させるまで、第1の方向444に軸方向に変位することができる。アクチュエータ308によりプッシュロッド404に入力される第2の方向446の力に応じて、逆の機能が直線クラッチ400によって付与される場合があることを理解されたい。
いくつかの非限定的な例では、本明細書に説明されるこの設計および性質の直線クラッチ400は、カム整相システムに組み込まれてもよく、またはカム整相システムの内部に配置されていてもよい。図30〜図32は、本開示による内部直線クラッチを含むカム整相システム500の1つの非限定的な例を示す。一般に、カム整相システム500は、クランク結合部品502、カム結合部品506、入力部品504、および直線クラッチ508を含んでもよい。クランク結合部品502は、内燃機関のクランクシャフト(不図示)に(例えばギヤ列またはベルトを介して)結合するように構成されている。カム結合部品506は、クランク結合部品502と内燃機関のカムシャフト(不図示)とに結合するように構成されている。したがって、カム整相システム500は、内燃機関のカムシャフトおよびクランクシャフトに結合し、これらの間の相対関係(即ち位相角)を変更することができるように構成されている。
図示された非限定的な例では、クランク結合部品502は、スプロケットハブ510の形態であってもよく、カム結合部品506は、クレードルロータ514の形態であってもよい。入力部品504は、螺旋ロータ512の形態であってもよい。直線クラッチ508は、スパイダロータ516および複数のロック組立体518によって形成されている場合がある。図示された非限定的な例では、カム整相システム500はまた、エンドプレート520を含んでもよい。
スプロケットハブ510は、その外面524の周囲に配置されたギヤ522と、内孔526とを含む。ギヤ522は、例えばギヤ列またはベルトを介して、内燃機関のクランクシャフトに結合していてもよい。このように、スプロケットハブ510は、クランクシャフトと同じ速度で回転するように駆動される場合がある。内孔526は、クレードルロータ514、螺旋ロータ512、スパイダロータ516の少なくとも一部、およびロック組立体518を内部に受け入れるような寸法にされている。
螺旋ロータ512は、内孔528および外面530を含む。内孔528は、内孔528に形成され、かつ内孔528の周囲に円周方向に配置された複数の螺旋状機構534を含む。図示された非限定的な例では、複数の螺旋状機構534が、内孔528において半径方向の凹状のスロットをそれぞれ定め、これにより、これらの螺旋状機構534が内孔528に沿って軸方向に延びるにつれて、螺旋状の外形が定められる。
螺旋ロータ512の外面530には、第1のテーパ部分536および第2のテーパ部分538が表面に配置されている。第1のテーパ部分536および第2のテーパ部分538は、互いに向かって延びるにつれてテーパ状になっている。即ち、第1のテーパ部分536は、第2のテーパ部分538に向かう方向に延びるにつれて、螺旋ロータ512の中心軸線に向かって内向きに傾き、第2のテーパ部分538は、第1のテーパ部分536に向かう方向に延びるにつれて、螺旋ロータ512の中心軸線に向かって内向きに傾く。このように、第1のテーパ部分536および第2のテーパ部分538は、螺旋ロータ512の外面530において略V字状の外形を形成している。
クレードルロータ514は、内燃機関のカムシャフトに結合するように構成されている。組み立てられた場合、クレードルロータ514は、共に回転するためにスプロケットハブ510に結合している。しかし、クレードルロータ514は、スプロケットハブ510に対して選択的に回転し、これによりこれらの間の回転関係を変更するように構成されている。クレードルロータ514は、その外面542から半径方向外向きに突出する複数のスプライン540を含む。複数のスプライン540は、クレードルロータ514の円周全体に複数のスプライン540が均一に分布するように、クレードルロータ514の周囲で円周方向に連続的に配置されていてもよい。複数のスプライン540は、第1の螺旋端部544から第2の螺旋端部546に向かって、クレードルロータ514に沿って軸方向に延びる。複数のスプライン540のそれぞれは、螺旋ロータ512の螺旋状機構534によって定められた螺旋状のパターンと一致する螺旋状のパターンで、第1の螺旋端部544と第2の螺旋端部546との間を軸方向に延びる可能性がある。
クレードルロータ514のスプライン540のそれぞれは、螺旋ロータ512における螺旋状機構534のうちの対応する1つに受け止められるように構成されている。クレードルロータ514のスプライン540と螺旋ロータ512の螺旋状機構534との間の相互作用により、クレードルロータ514は、アクチュエータによって加えられ、かつ直線クラッチ508により螺旋ロータ512に伝達された軸方向変位に応じて、スプロケットハブ510に対して回転することができる。いくつかの非限定的な例では、コンプライアンス機構100は、アクチュエータと直線クラッチ508との間に配置されていてもよい。組み立てられた場合、クレードルロータ514は、軸方向に変位することができないように抑えられる場合がある。例えば、クレードルロータ514は、スプロケットハブ510の内孔526において軸方向に抑えられ、エンドプレート520によって内孔526に固定される場合がある。したがって、直線クラッチ508により螺旋ロータ512に加えられる軸方向変位に応じて、クレードルロータ514は、クレードルロータ514のスプライン540と螺旋ロータ512の螺旋状機構534との間の相互作用により、スプロケットハブ510に対して回転させられる。
図示された非限定的な例では、スパイダロータ516は略環状であり、スプロケットハブ510の内孔526の形状と一致する六角形の外形を有する。このように、例えば、スプロケットハブ510の内孔526によって定められる幾何学的形状とスパイダロータ516の対応する幾何学的形状とにより、スパイダロータ516とスプロケットハブ510との間の相対的な回転が防止される場合がある。いくつかの非限定的な例では、スプロケットハブ510の内孔526とスパイダロータ516とは、これらの間の相対的な回転を防止する別の幾何学的形状(例えば長方形、五角形、多角形、楕円形等)であってもよい。いくつかの非限定的な例では、スプロケットハブ510の内孔526とスパイダロータ516とが、幾何学的にというよりはむしろ別の機構(例えば、ピン、楔止め機構等)により、互いに回転することが防止される場合がある。
スパイダロータ516は、その外縁から軸方向に延びる複数の作動アーム548と、連続した一対の作動アーム548間に配置された複数のロックケージ550とを含む。作動アーム548は、スパイダロータ516の周囲に円周方向に配置されており、組み立てられた場合、エンドプレート520に向かって軸方向に延びる。エンドプレート520は、エンドプレート520の外縁の周囲に円周方向に、かつこの外縁の隣に配置された複数の駆動開口552を有する。駆動開口552のそれぞれは、作動アーム548のうちの対応する1つを、駆動開口552を通して受け入れるように構成されている。したがって、作動アーム548は、エンドプレート520を通って軸方向に延び、作動アーム548にアクチュエータを円滑に結合させる。
ロックケージ550のそれぞれは、第1の入力アーム554と第2の入力アーム556とによって形成されており、第1の入力アーム554と第2の入力アーム556とは、互いから軸方向に間隔をおいて配置され、かつ対応する一対の作動アーム548間を横方向に延びる。第1の入力アーム554と第2の入力アーム556とは、ロック組立体518がこれらの間に円滑に配置されるように、軸方向に互いから間隔をおいて配置されている。
図示された非限定的な例では、直線クラッチ508は、6つのロック組立体518を含み、6つであることは、螺旋ロータ512の外面530(ならびに内孔526およびスパイダロータ516)によって定められる略六角形の形状と一致する。他の非限定的な例では、直線クラッチ508は、6つより多いまたは少ないロック組立体518を含んでもよく、この数は、内孔526、スパイダロータ516、および外面530における代替的な形状と一致する。
ロック組立体518のそれぞれは、第1のロック部材558、第2のロック部材560、および第1のロック部材558と第2のロック部材560との間に配置された付勢素子562を含む。図示された非限定的な例では、第1のロック部材558および第2のロック部材560は、ころ軸受の形態である。他の非限定的な例では、第1のロック部材558および第2のロック部材560は、楔の形態であってもよい。付勢素子562は、互いから離れるように第1のロック部材558と第2のロック部材560とを付勢する。組み立てられた場合、付勢素子562は、第1の入力アーム554に向けて第1のロック部材558を付勢し、第2の入力アーム556に向けて第2のロック部材560を付勢する場合がある。
直線クラッチ508、螺旋ロータ512、およびクレードルロータ514がスプロケットハブ510の内孔526に据え付けられた状態では(例えば図32参照)、ロック組立体518は、第1の入力アーム554と第2の入力アーム556との間に軸方向に配置されている場合があり、螺旋ロータ512の外面530とスプロケットハブ510の内面564との間に半径方向に留められている場合がある。特に、付勢素子562は、第1のテーパ面536とスプロケットハブ510の内面564との間に第1のロック部材558を留める場合があり、第2のテーパ面538とスプロケットハブ510の内面564との間に第2のロック部材560を留める場合がある。したがって、ロック組立体518は、自由状態(即ち、スパイダロータ516に力が入力されていない状態)で、螺旋ロータ512の外面530とスプロケットハブ510の内面564との間に半径方向に留められる場合がある。このように、例えば、ロック組立体518は、螺旋ロータ512がクレードルロータ514に対して回転可能になることを防止する場合がある。また、自由状態では、第1のロック部材558および第2のロック部材560は、ロックされた状態にある場合があり、この状態では、螺旋ロータ512の軸方向の平行移動が、ロックされた状態における留められた配置によって抑制される。したがって、直線クラッチ508により、第1のロック部材558および第2のロック部材560がロックされた状態にある場合、クレードルロータ514に作用する時計回り方向か反時計回り方向かのいずれかの方向のカムトルクパルスが、螺旋ロータ512を軸方向に変位させることを防止する場合がある。言い換えれば、自由状態では、直線クラッチ508は、クレードルロータ514に作用するカムトルクパルスの結果として、直線クラッチ508に加えられる直線的な力、または軸方向の力を支持する場合があり、スプロケットハブ510に対するクレードルロータ514の回転の向きを維持する場合がある。
クレードルロータ514とスプロケットハブ510との間の回転位相を切り替えることが所望される場合、アクチュエータは、所望の距離分、所望の方向にスパイダロータ516を変位させるために、スパイダロータ516の作動アーム548に対して、所望の方向に力(例えば直線的な力)を入力する場合がある。いくつかの非限定的な例では、アクチュエータは、コンプライアンス機構100に入力変位を加える場合があり、コンプライアンス機構100はその後、その変位をスパイダロータ516の作動アーム548に伝達する。アクチュエータによりスパイダロータ516が変位する量は、クレードルロータ514とスプロケットハブ510との間に所望される回転整相の量と直接的に一致する。1つの非限定的な例では、アクチュエータは、第1の方向566に力を入力する場合がある。第1の方向566へのアクチュエータの変位は、第1のロック部材558がスプロケットハブ510の内面564、または第1のテーパ面536と係合しなくなるように移動するように、第1の入力アーム554を第1のロック部材558と係合するように変位させる場合がある。したがって、第1の方向566に入力された力に応じて、第1のロック部材558は、ロックされていない状態になるように付勢される場合がある。
第1のロック部材558がロックされていない状態では、直線クラッチ508により、螺旋ロータ512は、第1の方向566に軸方向に変位することができる場合がある。同時に、付勢素子562が、第2のロック部材560をロックされた状態に維持する場合がある。したがって、直線クラッチ508により、螺旋ロータ512が、第1の方向566とは反対の第2の方向568に軸方向に変位することが防止される場合がある。例えば、直線クラッチ508は、螺旋ロータ512を第2の方向568に軸方向に変位させようとする、クレードルロータ514に加えられるカムトルクパルスが生じている間、螺旋ロータ512を直線的に支持する場合がある。このようにして、第1の方向566に力が入力された状態では、直線クラッチ508により、クレードルロータ514とスプロケットハブ510との間の所望の回転関係を達成するために、螺旋ロータ512が第1の方向566に軸方向に変位することのみが可能になる。
螺旋ロータ512は、螺旋ロータ512が、アクチュエータによりスパイダロータ516に加えられた変位の量に応じて変位し、かつ留められロックされた状態に第1のロック部材558を再び配置させるまで、第1の方向566に向かって軸方向に変位することができる。アクチュエータによりスパイダロータ516に入力される第2の方向568の力に応じて、逆の機能が直線クラッチ508によって付与される場合があることを理解されたい。
本明細書では、明瞭かつ簡潔に明細書が記載され得る方法で実施形態が説明されてきたが、実施形態は、本発明から離れることなく様々に組み合わされ得るか、または切り離され得ることが意図されており、このことが理解されるであろう。例えば、本明細書に説明されるすべての好ましい特徴は、本明細書に説明される本発明のすべての態様に適用可能であることが理解されるであろう。
したがって、本発明は特定の実施形態および例と結び付けて説明されてきたが、本発明は、必ずしもそれらに限定されるものではなく、多数の他の実施形態、例、用途、ならびにこれらの実施形態、例、および用途からの修正および発展は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。本明細書に引用された特許および公表文献のそれぞれの開示全体が、このような特許および公表文献のそれぞれが参照により本明細書に個別に組み込まれたかのように、参照によって組み込まれる。
本発明の様々な特徴および利点が、以下の特許請求の範囲に記載されている。