本実施形態における水晶デバイスは、図1及び図2に示されているように、パッケージ110と、パッケージ110の上面に接合された水晶素子120と、パッケージ110の下面に接合された集積回路素子150とを含んでいる。パッケージ110は、基板110aの上面と第一枠体110bの内側面によって囲まれた第一凹部K1が形成されている。また、基板110aの下面と第二枠体110cの内側面によって囲まれた第二凹部K2が形成されている。このような水晶デバイスは、電子機器等で使用する基準信号を出力するのに用いられる。
基板110aは、矩形状であり、上面に実装された水晶素子120及び下面に実装された集積回路素子150を実装するためのものである。基板110aは、上面に、水晶素子120を実装するための電極パッド111が設けられており、下面に、集積回路素子150を実装するための接続パッド116が設けられている。また、基板110aの一辺に沿って、水晶素子120を接合するための電極パッド111が設けられている。第二枠体110cの下面の四隅には、外部端子112が設けられている。また、基板110の下面の中央には、図5に示されているように、一対の測定パッド118が設けられ、その一対の測定パッド118を囲むようにして、集積回路素子150を実装するための六つの接続パッド116が設けられている。また、外部端子112は、接続パッド116の内の外側にある四つと電気的に接続されている。
基板110aは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110aは、絶縁層を一層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110aの表面及び内部には、図3に示されているように、上面に設けられた電極パッド111と、基板110aの下面に設けられた測定パッド118とを電気的に接続するための配線パターン113及びビア導体114が設けられている。また、基板110aの表面には、下面に設けられた接続パッド116及び測定パッド118と、第二枠体110cの下面に設けられた外部端子112とを電気的に接続するための接続パターン117が設けられている。
第一枠体110bは、基板110aの上面に配置され、基板110aの上面に第一凹部K1を形成するためのものである。第一枠体110bは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料からなり、基板110aと一体的に形成されている。
第二枠体110cは、基板110aの下面に配置され、基板110aの下面に第二凹部K2を形成するためのものである。第二枠体110cは、例えば、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料からなり、基板110aと一体的に形成されている。
電極パッド111は、水晶素子120を実装するためのものである。電極パッド111は、基板110aの上面に一対で設けられており、基板110aの一辺に沿うように隣接して設けられている。電極パッド111は、図4及び図5に示されているように基板110aの上面に設けられた配線パターン113と導体部114を介して、第二枠体110cの下面に設けられた外部端子112と電気的に接続されている。
電極パッド111は、図4に示すように、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bによって構成されている。導体部114は、第一導体部114a及び第二導体部114bによって構成されている。また、配線パターン113は、第一配線パターン113a及び第二配線パターン113bによって構成されている。
また、第一電極パッド111aは、基板110aに設けられた第一配線パターン113aの一端と電気的に接続されている。また、第一配線パターン113aの他端は、第一導体部114aを介して、後述する第一測定パッド118aと電気的に接続されている。よって、第一電極パッド111aは、第一測定パッド118aと電気的に接続されることになる。第二電極パッド111bは、基板110aに設けられた第二配線パターン113bの一端と電気的に接続されている。また、第二配線パターン113bの他端は、第二ビア導体114bを介して、後述する第二測定パッド118bと電気的に接続されている。よって、第二電極パッド111bは、第二測定パッド118bと電気的に接続されることになる。
外部端子112は、電子機器等の実装基板に実装するためのものである。外部端子112は、第二枠体110cの下面の四隅に設けられている。外部端子112は、基板110aの下面に設けられた六つの接続パッド116の四つと電気的に接続されている。また、第三外部端子112cは、電子機器等の実装基板上の基準電位であるグランド電位と接続されている実装パッドと接続されている。これにより、封止用導体パターンHに接合された蓋体130がグランド電位となっている第三外部端子112cに接続される。よって、蓋体130による第一凹部K1内のシールド性が向上する。また、第一外部端子112aは、出力端子として用いられ、第二外部端子112bは、機能端子として用いられ、第四外部端子112dは、電源電圧端子として用いられる。機能端子は、書込読込端子及び周波数制御端子として用いられる。ここで、書込読込端子は、温度補償用制御データを記憶素子部に書き込んだり、記憶素子部に書き込まれた温度補償用制御データを読み込んだりするための端子のことである。周波数制御端子は、電圧を印加すると発振回路部の可変容量ダイオードの負荷容量を変動させることによって、水晶素子の温度特性を補正させるための端子のことである。
外部端子112は、図5(b)に示すように、第二枠体110cの下面の四隅に設けられ、第一外部端子112a、第二外部端子112b、第三外部端子112c及び第四外部端子112dによって構成されている。外部端子112は、基板110aの下面に設けられた接続パッド116とそれぞれ電気的に接続されている。また、第三外部端子112cは、後述する導体部114c及び後述する第三ビア導体119cを介して、封止用導体パターンHと電気的に接続されている。よって、第三外部端子112cは、グランド端子として用いられる。
配線パターン113は、基板110aの上面に設けられ、電極パッド111から近傍の基板110aのビア導体114に向けて引き出されている。また、配線パターン113は、図3に示すように、第一配線パターン113a及び第二配線パターン113bによって構成されている。
導体部114は、基板110aの内部に設けられ、その両端は、配線パターン113及び測定パッド118と電気的に接続されている。導体部114は、基板110aに設けられた貫通孔の内部に導体を充填することで設けられている。導体部114は、第一導体部114a、第二導体部114b及び第三導体部114cによって構成されている。第三導体部114cは、第一枠体110bに設けられ、封止用導体パターンHに電気的に接続されている。
突起部115は、水晶素子120の短辺の上下方向の傾きが抑制され、水晶素子120の長辺側端部が基板110aや蓋体130に接触することを抑制するためのものである。また、突起部115は、水晶素子120の自由端が基板110aに接触することを抑制するためものである。一対の突起部115は、第一突起部115a及び第二突起部115bによって構成されている。第一突起部115aは、第一電極パッド111aの上面に設けられており、第二突起部115bは、第二電極パッド111bの上面に設けられている。また、突起部115は、電極パッド111と同様に、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等上面に金メッキ、ニッケルメッキを施すことにより設けられている。
また、一対の突起部115の基板110aの中心側を向く一辺が、図4(a)に示されているように、同一直線上に並ぶようにして設けられている。このようにすることによって、水晶素子120の引き出し電極123を一対の突起部115に接触させながら電極パッド111に実装する際に、水晶素子120が傾くことなく安定した状態で実装することができる。また、電極パッド111の外周縁に沿って形成されている突起部115の辺の長辺方向の長さは、150〜200μmとなり、突起部115の短辺方向の辺の長さは、50〜75μmである。突起部115の上下方向の厚みの長さは、20〜75μmとなる。突起部115の長辺方向の長さは、150〜300μmとなり、突起部115の短辺方向の辺の長さは、50〜75μmである。突起部115の上下方向の厚みの長さは、20〜75μmとなる。
また、突起部115は、水晶素子120の外周縁にある引き出し電極123と対向する位置に設けられている。このようにすることによって、水晶素子120が導電性接着剤140を介して電極パッド111に実装する際に、仮に水晶素子120が傾いたとしても、引き出し電極123が突起部115に接触することになり、突起部115よりも下方向に水晶素子120が傾くことなく安定した状態で実装することができる。また、突起部115は、平面視して、水晶素板121の固定端側の外周縁にある引き出し電極123と重なる位置に設けられている。このようにすることにより、水晶素子120の固定端が基板110aの上面に接触することを低減することができる。
接続パッド116は、集積回路素子150を実装するために用いられている。また、接続パッド116は、図5に示すように、第一接続パッド116a、第二接続パッド116b、第三接続パッド116c、第四接続パッド116d、第五接続パッド116e及び第六接続パッド116fによって構成されている。第一接続パッド116aと第一外部端子112aとは、基板110aの下面に設けられた後述する第一接続パターン117a及び後述する第一ビア導体119aにより接続されており、第二接続パッド116bと第二測定パッド118bは、電気的に接続されている。また、第三接続パッド116cと第二外部端子112bとは、基板110aの下面に設けられた後述する第二接続パターン117b及び後述する第二ビア導体119bにより接続されており、第四接続パッド116dと第三外部端子112cとは、基板110aの下面に設けられた後述する第三接続パターン117c及び後述する第三ビア導体119cにより接続されている。また、第五接続パッド116eと第一測定パッド118aは、電気的に接続されており、第六接続パッド116fと第四外部端子112dとは、基板110aの下面に設けられた後述する第四接続パターン117d及び後述する第四ビア導体119dにより接続されている。また、接続パターン117は、基板110aの下面に設けられ、接続パッド116から近傍の外部端子112に向けて引き出されている。
接続パターン117は、接続パッド116と外部端子112とを電気的に接続するためのものである。接続パターン117は、第一接続パターン117a、第二接続パターン117b、第三接続パターン117c及び第四接続パターン117dによって構成されている。
測定パッド118は、水晶素子120のコンタクトピン等を接触させることによって、水晶素子120の特性を測定するためのものである。測定パッド118は、第一測定パッド118a及び第二測定パッド118bによって構成されている。測定パッド118は、基板110aに設けられた配線パターン113及び導体部114を介して、基板110aの上面に設けられた電極パッド111と電気的に接続されている。測定パッド118は、平面視して、集積回路素子150と重なる位置に設けられている。このようにすることで、電子機器等の実装基板上の実装パターン(図示せず)と測定パッド118との間で発生する浮遊容量を低減させることで、水晶素子120に浮遊容量が付加されないので、水晶素子120の発振周波数が変動することを低減することができる。
ビア導体119は、接続パターン117と外部端子112とを電気的に接続するためのものである。ビア導体119は、図5に示すように、第二枠体110cの内周縁の四隅に設けられ、その両端は、接続パターン117及び外部端子112と電気的に接続されている。ビア導体119は、基板110aに設けられた貫通孔の内部に導体を充填することで設けられている。ビア導体119は、第一ビア導体119a、第二ビア導体119b、第ビア導体119c及び第四ビア導体119dによって構成されている。第三ビア導体119cの上端は、第三導体114cと電気的に接続されることで、封止用導体パターンHを介して蓋体130と電気的に接続されることになる。また、外部端子112とビア導体119とが、平面視して重なる箇所にある外部端子112には、凸部Tが設けられている。
また、凸部Tは、水晶デバイスを実装した際に用いる半田等の接合材(図示せず)が、ビア導体119を介して第二凹部K2内に入り込むことを抑えることができる。凸部Tは、図5(b)に示すように、外部端子112とビア導体119とが平面視して重なる箇所にある外部端子112に設けられている。凸部Tは、ビア導体119を形成する際に、図3に示すように、第二枠体110cの下面側から盛り上がるようにして形成し、その上面に外部端子112を設けることで形成することができる。凸部Tは、第一凸部T1、第二凸部T2、第三凸部T3及び第四凸部T4によって構成されている。
このように凸部Tを設けることで、水晶デバイスを電子機器等の実装基板上に実装する際に、外部端子112に付着した接合材(図示せず)が、外部端子112に設けられた凸部Tがダムとなる物理的作用によって遮られ、ビア導体119を介して第二凹部K2内に入り込んでしまうことを抑えることができる。接合材が第二凹部K2内に入り込んでしまうことによって、集積回路素子150の接続端子151間に付着することを低減することができるので、短絡を抑えることができる。また、第二凹部K2内に入り込んでしまう接合材の量も削減することができるため、外部端子112に付着した接合材の厚みを維持することができ、接合強度を維持させることができる。
また、凸部Tが、円柱状に形成されている。このようにすることで、電子機器等の実装基板上に実装する際に、外部端子112に付着した接合材(図示せず)が円柱の側面に沿って、凸部Tの外側に回り込むため、第二凹部K2内に入り込むことをさらに抑えることができる。また、凸部Tが、電子機器等の実装基板上側に向かって凸状の形状となっているので、外部端子112に付着した接合材が凹形状や平坦な形状に比べてビア導体119に這い上がりにくくすることができる。
また、凸部Tを平面視した際の形状が、ビア導体119を平面視した形状と同じ形状である。このような水晶デバイスを電子機器等の実装基板上に実装された際に、凸部Tにかかる応力をビア導体119に均等に加わるため、ビア導体119と第二枠体110bとの界面の剥がれを抑えることができ、導通不良を低減することが可能となる。
封止用導体パターンHは、蓋体130と接合部材131を介して接合する際に、接合部材131の濡れ性をよくする役割を果たしている。封止用導体パターンHは、図3及び図4に示すように、第三導体部114c及び第三ビア導体119cを介して、第三外部端子112cと電気的に接続されている。封止用導体パターンHは、例えばタングステン又はモリブデン等から成る導体パターンの表面にニッケルメッキ及び金メッキを順次、第一枠体110bの上面を環状に囲む形態で施すことによって、例えば10〜25μmの厚みに形成されている。
ここでパッケージ110を平面視したときの一辺の寸法が、1.0〜2.0mmである場合を例にして、測定パッド118の大きさを説明する。測定パッド118の長辺の長さは、0.5〜0.8mmとなり、短辺の長さは、0.45〜0.75mmとなる。
また、水晶素子120の特性を測定する際に使用される電気特性測定器(図示せず)としては、水晶素子120の共振周波数、クリスタルインピーダンスの他、インダクタンス、容量等の等価パラメータを測定することができるネットワークアナライザ又はインピーダンスアナライザ等が用いられる。そのコンタクトピンは、銅、銀等の合金の表面に金メッキを施した高導電性のピンと、接触時の衝撃を抑制するばね性をもったリセクタブルソケットとで構成され、これを測定パッド118に押し付けつつ接触させることで測定が行われる。
ここで、基板110aの作製方法について説明する。基板110aがアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子112、配線パターン113、導体部114、突起部115、接続パッド116、接続パターン117、測定パッド118、ビア導体119及び封止用導体パターンHとなる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
水晶素子120は、図1及び図2に示されているように、導電性接着剤140を介して電極パッド111上に接合されている。水晶素子120は、安定した機械振動と圧電効果により、電子装置等の基準信号を発振する役割を果たしている。
また、水晶素子120は、図1及び図2に示されているように、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに励振用電極122及び引き出し電極123を被着させた構造を有している。励振用電極122は、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに金属を所定のパターンで被着・形成したものである。励振用電極122は、上面に第一励振用電極122aと、下面に第二励振用電極122bを備えている。引き出し電極123は、励振用電極122から水晶素板121の一辺に向かってそれぞれ延出されている。引き出し電極123は、上面に第一引き出し電極123aと、下面に第二引き出し電極123bとを備えている。第一引き出し電極123aは、第一励振用電極122aから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。第二引き出し電極123bは、第二励振用電極122bから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。つまり、引き出し電極123は、水晶素板121の長辺又は短辺に沿った形状で設けられている。また、本実施形態においては、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bと接続されている水晶素子120の一端を基板110aの上面と接続した固定端とし、他端を基板110aの上面と間を空けた自由端とした片持ち支持構造にて水晶素子120が基板110a上に固定されている。
ここで、水晶素子120の動作について説明する。水晶素子120は、外部からの交番電圧が引き出し電極123から励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、水晶素板121が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
ここで、水晶素子120の作製方法について説明する。まず、水晶素子120は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し、水晶素板121の外周の厚みを薄くし、水晶素板121の外周部と比べて水晶素板121の中央部が厚くなるように設けるベベル加工を行う。そして、水晶素子120は、水晶素板121の両主面にフォトリソグラフィー技術、蒸着技術又はスパッタリング技術によって、金属膜を被着させることにより、励振用電極122、引き出し電極123を形成することにより作製される。
水晶素子120の基板110aへの接合方法について説明する。まず、導電性接着剤140は、例えばディスペンサによって第一電極パッド111a及び第二電極パッド111b上に塗布される。水晶素子120は、導電性接着剤140上に搬送され、導電性接着剤140上に載置される。そして導電性接着剤140は、加熱硬化させることによって、硬化収縮される。水晶素子120は、電極パッド111に接合される。つまり、水晶素子120の第二引き出し電極123bは、第二電極パッド111bと接合され、第一引き出し電極123aは、第一電極パッド111aと接合される。
導電性接着剤140は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル又はニッケル鉄のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。また、バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂が用いられる。
集積回路素子150は、例えば、複数個の接続パッドを有した矩形状のフリップチップ型集積回路素子が用いられ、その回路形成面(上面)には、周囲の温度状態を検知する温度センサー、水晶素子120の温度特性を補償する温度補償データを格納するための記憶素子部、温度補償データに基づいて水晶素子120の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路部、その温度補償回路部に接続されて所定の発振出力を生成する発振回路部が設けられている。この発振回路部で生成された出力信号は、パッケージ110の第一外部端子112aを介して温度補償型水晶発振器の外へ出力され、例えば、クロック信号等の基準信号として利用される。
記憶素子部は、PROMやEEPROMにより構成されている。温度補償関数である下記に示す三次関数のもととなるパラメータ、例えば三次成分調整値α、一次成分調整値β、0次成分調整値γの各値の温度補償用制御データが第二外部端子112bである書込読込端子から入力され保存される。記憶素子部には、レジスタマップが記憶されている。レジスタマップとは、各アドレスデータに制御データを入力した場合、制御部がそのデータを読み取り、信号を出力し、どのような動作を行なうかを示したものである。
温度補償回路部は、三次関数発生回路や五次関数発生回路等によって構成されている。例えば、三次関数発生回路の場合は、その記憶素子部に入力された温度補償用制御データを読出して、温度補償用制御データから各温度に対して三次関数で導き出された電圧を発生させる。尚、この時の外部の周囲温度は、集積回路素子150内の温度センサーより得られる。温度補償回路部は、可変容量ダイオードのカソードと接続されており、温度補償回路部からの電圧が印加される。このように、可変容量ダイオードに温度補償回路部からの電圧を印加することよって、水晶素子120の周波数温度特性を補正することにより、周波数温度特性が平坦化される。
集積回路素子150は、図2に示すように、基板110aの下面に設けられた接続パッド116に半田等の導電性接合材160を介して実装されている。また、集積回路素子150の接続端子151は、接続パッド116に接続されている。接続パッド116は、接続パターン117を介して外部端子112と電気的に接続されている。この第三外部端子112cは、電子機器等の実装基板上の基準電位であるグランドと接続されている実装パッドと接続されることにより、グランド端子の役割を果たす。よって、集積回路素子150の接続端子151の内の一つは、基準電位であるグランドに接続されることになる。
また、集積回路素子150内に設けられた温度センサーは、平面視で測定パッド118内に位置させるようにして設けられている。このようにすることによって、水晶素子120から伝わる熱が、電極パッド111から配線パターン113及びビア導体114を介して、測定パッド118に伝わった熱が、測定パッド118から放熱され、集積回路素子150内に設けられた温度センサーに伝わることになる。よって、温度補償型水晶発振器は、熱伝導経路を短くすることができるので、水晶素子120の温度と集積回路素子150の温度とが近似することになり、集積回路素子150の温度センサーが得た温度と、実際の水晶素子120の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。
また、集積回路素子150は、図1及び図2に示すように、矩形状であり、その下面に六つの接続端子151が設けられている。接続端子151は、一辺に沿って三つ設けられており、その一辺と向かい合う一辺に沿って三つ設けられている。集積回路素子150の長辺の長さは、0.5〜1.2mmであり、短辺の長さは、0.3〜1.0mmとなっている。集積回路素子150の厚み方向の長さは、0.1〜0.3mmとなっている。
導電性接合材160は、例えば、銀ペースト又は鉛フリー半田により構成されている。また、導電性接合材には、塗布し易い粘度に調整するための添加した溶剤が含有されている。鉛フリー半田の成分比率は、錫が95〜97.5%、銀が2〜4%、銅が0.5〜1.0%のものが使用されている。
蓋体130は、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなる。このような蓋体130は、真空状態にある第一凹部K1又は窒素ガスなどが充填された第一収容部K1を気密的に封止するためのものである。具体的には、蓋体130は、所定雰囲気で、パッケージ110の第一枠体110b上に載置され、第一枠体110bの封止用導体パターンHと蓋体130の接合部材131とが溶接されるように所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、第一枠体110bに接合される。また、蓋体130は、封止用導体パターンH、第三導体部114c及び第三ビア導体119cを介して第二枠体110cの下面の第三外部端子112cに電気的に接続されている。よって、蓋体130は、第二枠体110cの第三外部端子112cと電気的に接続されている。
接合部材131は、パッケージ110の第一枠体110b上面に設けられた封止用導体パターンHに相対する蓋体130の箇所に設けられている。接合部材131は、例えば、銀ロウ又は金錫によって設けられている。銀ロウの場合は、その厚みは、10〜20μmである。例えば、成分比率は、銀が72〜85%、銅が15〜28%のものが使用されている。金錫の場合は、その厚みは、10〜40μmである。例えば、成分比率が、金が78〜82%、錫が18〜22%のものが使用されている。
本実施形態における水晶デバイスは、平面視矩形状の基板110aと、基板110aの上面の外周縁に沿って設けられた第一枠体110bと、基板110aの下面の外周縁に沿って設けられた第二枠体110cと、基板110aの上面に設けられた電極パッド111に実装された水晶素子120と、基板110aの下面に設けられた接続パッド116に実装された集積回路素子150と、基板110aの下面に設けられ、接続パッド116と電気的に接続された接続パターン117と、第二枠体110cの下面に設けられた外部端子112と、接続パターン117と外部端子112とを電気的に接続されたビア導体119と、第一枠体110bに接合された蓋体130と、を備え、ビア導体119は、第二枠体110cの内周縁の四隅に設けられており、外部端子112とビア導体119とが平面視して重なる箇所にある外部端子112に形成された凸部Tを有している。
このような水晶デバイスは、電子機器等の実装基板上に実装する際に、外部端子112に付着した接合材(図示せず)が、外部端子112に設けられた凸部Tがダムとなる物理的作用によって遮られ、ビア導体119を介して第二凹部K2内に入り込んでしまうことを抑えることができる。接合材が第二凹部K2内に入り込んでしまうことによって、集積回路素子150の接続端子151間に付着することを低減することができるので、短絡を抑えることができる。また、第二凹部K2内に入り込んでしまう接合材の量も削減することができるため、外部端子112に付着した接合材の厚みを維持することができ、接合強度を維持させることができる。
また、本実施形態における水晶デバイスは、凸部Tが、円柱状に形成されている。このようにすることで、電子機器等の実装基板上に実装する際に、外部端子112に付着した接合材(図示せず)が円柱の側面に沿って、凸部Tの外側に回り込むため、第二凹部K2内に入り込むことをさらに抑えることができる。また、凸部Tが、電子機器等の実装基板上側に向かって凸状の形状となっているので、外部端子112に付着した接合材が凹形状や平坦な形状に比べてビア導体119に這い上がりにくくすることができる。
また、本実施形態における水晶デバイスは、凸部Tを平面視した際の形状が、ビア導体119を平面視した形状と同じ形状である。このような水晶デバイスを電子機器等の実装基板上に実装された際に、凸部Tにかかる応力をビア導体に均等に加わるため、ビア導体119と第二枠体110bとの界面の剥がれを抑えることができ、導通不良を低減することが可能となる。
また、本実施形態における水晶デバイスは、基板110aの下面に設けられた測定パッド118と、を有し、測定パッド118が、平面視して、集積回路素子150と重なる位置に設けられている。このようにすることで、電子機器等の実装基板上の実装パターン(図示せず)と測定パッド118との間で発生する浮遊容量を低減させることで、水晶素子120に浮遊容量が付加されないので、水晶素子120の発振周波数が変動することを低減することができる。
(第一変形例)
以下、本実施形態の第一変形例における水晶デバイスについて説明する。なお、本実施形態の第一変形例における水晶デバイスのうち、上述した水晶デバイスと同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第一変形例における水晶デバイスは、図6に示されているように、ビア導体119の露出している箇所及び集積回路素子150と接続パッド116との間に絶縁性樹脂170が設けられている点において、本実施形態と異なる。
また、絶縁性樹脂170は、図6に示されているように、ビア導体119の露出している面に設けられている。このようにすることにより、水晶デバイスを電子機器の実装基板上に実装する際に用いた半田等の接合材(図示せず)が、凸部Tを乗り越えたとしても、ビア導体119の露出している面に絶縁性樹脂170が被覆されていることで、接合材が濡れ広がりにくくなるため、第二凹部K2内に入り込むことをさらに抑えることができる。
絶縁性樹脂170は、図6に示されているように、集積回路素子150の接続端子151が設けられている面と接続パッド116との間に設けられている。このようにすることにより、絶縁性樹脂170は、集積回路素子150と基板110aの下面との接着強度を高めることができる。また、仮に、温度補償型水晶発振器を電子機器等の実装基板の実装パッド上に実装させた際に、半田等の接合材が第二凹部K2内に入り込んだとしても、絶縁性樹脂170によって、その接合材が集積回路素子150の接続端子151間に付着することを抑えることになるので、集積回路素子150の接続端子151間の短絡を低減することができる。また、絶縁性樹脂170は、エポキシ樹脂やエポキシ樹脂を主成分とするコンポジットレジン等の樹脂材料からなる。
また、絶縁性樹脂170は、測定パッド118を覆うように設けられている。このようにすることによって、測定パッド118に異物が付着することを抑えることになるので、水晶素子120にその異物の付加抵抗が加わることを抑制することができる。従って、水晶素子120の発振周波数が変動することを低減することが可能となる。
絶縁性樹脂170の基板110aへの形成方法について説明する。その樹脂ディスペンサの先端を、第二枠部110cの内周縁の四隅に挿入し、絶縁性樹脂170の注入を行う。次に絶縁性樹脂170を加熱し、硬化させる。よって、絶縁性樹脂170は、ビア導体119の露出する面を覆うようにして設けられる。このようにすることで、水晶デバイスを電子機器の実装基板上に実装する際に用いた半田等の接合材(図示せず)が、仮に凸部Tを乗り越えたとしても、ビア導体119の露出している面に絶縁性樹脂170が被覆されていることで、接合材が濡れ広がりにくくなるため、第二凹部K2内に入り込むことをさらに抑えることができる。
本実施形態の第一変形例における水晶デバイスは、絶縁性樹脂170が、ビア導体119の露出している面に設けられている。このようにすることにより、水晶デバイスを電子機器の実装基板上に実装する際に用いた半田等の接合材(図示せず)が、凸部Tを乗り越えたとしても、ビア導体119の露出している面に絶縁性樹脂170が被覆されていることで、接合材が濡れ広がりにくくなるため、第二凹部K2内に入り込むことをさらに抑えることができる。
また、本実施形態の第一変形例における水晶デバイスは、集積回路素子150と接続パッド116との間に絶縁性樹脂170が設けられている。このようにすることにより、集積回路素子150と基板110aの下面との接着強度を高めることができる。また、縁性樹脂170によって、その接合材が集積回路素子150の接続端子151間に付着することを抑えることになるので、集積回路素子150の接続端子151間の短絡を低減することができる。
尚、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上記実施形態では、水晶素子は、AT用水晶素子を用いた場合を説明したが、基部と、基部の側面より同一の方向に延びる二本の平板形状の振動腕部とを有する音叉型屈曲水晶素子を用いても構わない。