JP2018125549A - 加工方法及び加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイヤモンド等を加工するドライ研磨にて、簡易な構成でありながら高能率かつ高精度な加工を実現可能な加工方法及び加工装置を提供する。【解決手段】加工装置1は、サファイア定盤2と、単結晶ダイヤモンド3を保持する試料ホルダー4を有している。また、加工装置1は、サファイア定盤2と単結晶ダイヤモンド3との接触部位にオゾンガスを供給するオゾン供給部5を有している。【選択図】図1

Description

本発明は加工方法及び加工装置に関する。詳しくは、ダイヤモンド等を加工するドライ研磨にて、簡易な構成でありながら高能率かつ高精度な加工を実現可能な加工方法及び加工装置に係るものである。
ダイヤモンドは、5.4eVという広いバンドギャップを持ち、熱伝導率が大きく、絶縁破壊電界や電荷移動度などに優れていることから、次世代パワー半導体デバイス用材料として有力視されている。
ダイヤモンドを用いて半導体デバイスを製作するためには、デバイスの下地となるダイヤモンド基板表面を原子レベルで平滑、かつ無擾乱に仕上げる加工技術が必要不可欠であるといわれている。しかしながら、ダイヤモンドは、高硬度かつ化学的に安定であるために、加工することは極めて難しく、加工技術の開発が技術的課題となっている。
例えば、従来の加工方法として、化学機械研磨などの砥粒を用いた研磨により化学的除去を行う加工が知られている。しかしながら、研磨剤中での化学反応を利用するため除去速度が遅く、加工能率が不充分である問題があった。
ここで、上述した溶液環境下での研磨に対して、砥粒を使用せずに加工能率の向上を試みた大気環境下での加工方法が存在する。
例えば、ダイヤモンドからなる基板の被研磨面に研磨定盤を高圧で接触させると共に、研磨定盤の裏面から基板の研磨面に紫外線を照射しつつ、基板を研磨定盤に対して相対的に擦動させることにより研磨する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、本願の発明者によって、金属酸化物で構成された研磨定盤に紫外光やプラズマを照射して、定盤表面上のケミカルコンタミネーション(有機汚染物物)を除去するとともに、定盤表面を親水化させる(最表面部にOH基を表出させる)加工方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に記載の方法では、定盤表面を親水化させることで、被加工物表面原子との反応サイトを増加させ、被加工物表面の原子と化学的に作用させて加工を行うものである。
国際公開第2007/007683号 国際公開第2014/034921号
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の加工方法では、紫外線の照射にて加工を行うが、紫外光は大気中で不安定であり、瞬間的に保有するエネルギーを消失してしまうため、加工部材に均一に照射することが難しかった。そのため、安定的に高い加工精度を実現することが困難であった。
また、特許文献1及び特許文献2に記載の加工では、定盤と被加工物の保持部分を相対的に変位させる加工装置の構成上、紫外光光源の設置場所に制約があった。即ち、既存の加工装置をそのまま利用することができず、紫外光光源を設けるための特別仕様の加工装置を製作する必要があった。
また、ドライ研磨では、加工部材と被加工物を接触させて相対的に変位させた際に摩擦帯電が生じるものとなる。摩擦帯電により加工部材及び被加工物の表面の帯電状態が不安定となり、加工後の表面粗さや加工能率が高精度に制御できない問題があった。
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであって、ダイヤモンド等を加工するドライ研磨にて、簡易な構成でありながら高能率かつ高精度な加工を実現可能な加工方法及び加工装置を提供することを目的とするものである。
[加工方法について]
上記の目的を達成するために、本発明の加工方法は、金属酸化物で構成された加工部材を被加工物と接触させ、接触部位にオゾンガスを供給すると共に、前記加工部材を前記被加工物に接触させた状態で変位させる工程を備える。
ここで、加工部材を被加工物と接触させ、接触部位にオゾンガスを供給することによって、接触部位をオゾンガス環境下におくことができる。即ち、オゾンガスは不安定な分子であるが、接触部位にオゾンガスを供給することで、同領域にオゾンガスを局在させることが可能となる。
また、加工部材を被加工物に接触させた状態で変位させる工程によって、接触部位に摩擦熱を生じさせることが可能となる。この摩擦熱は供給されるオゾンガスを熱分解し、オゾンガスから原子状酸素を生成する。生成した原子状酸素は、大気環境下で、被加工物との化学反応(加工)を担う加工部材の最表面の水酸基(OH基)へのカルボキシル基等の結合、即ち、有機物に由来するコンタミネーションを抑止する。原子状酸素が有機物由来の汚れを分解して清浄化し、かつ、加工部材表面に水酸基(OH基)を表出させる親水化を行うことで、被加工物の安定した物理・化学的な加工が可能となる。
また、上述したように、接触部位がオゾンガス環境下となるため、安定した加工に必要な原子状酸素を確保することが可能となる。
本発明では、加工部材と被加工物の接触部位、即ち、被加工物の加工がなされる位置で、オゾンガスの熱分解により生じる原子状酸素を利用して、加工部材の表面の清浄化かつ親水化処理を行い、被加工物の物理・化学的に安定した加工を実現するものである。
また、加工部材が、Alから構成される単結晶状態のサファイア、コランダム、サファイアガラス、サファイアクリスタル、多結晶状態のアルミナ、アルミナセラミックス、SiOを主成分とするガラスのうちいずれか1つからなり、被加工物が、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、CVDダイヤモンド、DLC膜のうちいずれか1つからなる場合には、被加工物に対する充分に安定した加工が可能となる。
また、加工部材が、SiOを主成分とするガラスからなり、被加工物が、SiCからなる場合には、SiCに対する充分に安定した加工が可能となる。
また、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方を加湿する場合には、より一層安定した加工が可能となり、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を向上させることができる。
また、オゾンガスがアルカリ性溶液を含有する場合には、加工部材と被加工物の摩擦面で発生するトライボケミカル反応を促進させ、被加工物の加工面における酸化物を生成させ、優先的に除去できるものとなる。この結果、オゾンガスの熱分解により生じる原子状酸素を利用した加工に加え、トライボケミカル反応による加工が促進され、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を向上させることができる。なお、ここでいうアルカリ性溶液とは、例えば、アルカリ性電解水、NaOH、KOH等のアルカリ性を示す溶液である。
また、アルカリ性溶液がアルカリ性電解水である場合には、アルカリ性電解水を含むオゾンガスでトライボケミカル反応を促進させることが可能となる。また、アルカリ性電解水は、取扱い時の安全性が高く、比較的容易に生成可能であるため、加工方法を安全かつより簡易なものにできる。なお、ここでいうアルカリ性電解水とは、pHが9.0以上のアルカリ性の水を意味するものである。
また、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給して帯電量を制御する場合には、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を安定化させる。
そして、表面の帯電状態が安定化した加工部材と被加工物を接触させた状態で相対的に変位させることによって、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御した上で被加工物の表面を物理・化学的に加工することができる。
また、加工部材と、被加工物との接触部位にNガスを供給して帯電量を制御する場合には、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を更に制御しやすくなり、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を更に向上させることができる。
本発明では、加工部材と被加工物の接触部位、即ち、被加工物の加工がなされる位置で、オゾンの熱分解により生じる原子状酸素を利用して、加工部材の表面の清浄化かつ親水化処理を行い、被加工物の物理・化学的に安定した加工を実現するものである。そのため、砥粒フリーの研磨を実現することができる。また、既存の加工装置の加工部材と被加工物の接触部位にオゾンを供給する装置を設置するだけでよいため、加工システムを容易に構築できるものとなっている。
なお、「加工部材」としては、例えば、鉄、ニッケル、Co等の金属、SiO、ZrO、Al、TiO2、Fe、MgO、CaO,NaO、KO、CeO等の金属酸化物、SiC、SiN、Al等のセラミックス、及びそれらからなる構成材料で構成された加工部材が挙げられる。更に、被加工物としては、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、CVDダイヤモンド、DLC膜等のダイヤモンド関連材料、SiC、GaN、サファイア、SiCセラミックス、Siセラミックス、AIN、ガラス等の硬脆材料等が挙げられる。
また、上記の目的を達成するために、本発明の加工方法は、金属酸化物で構成された加工部材を被加工物と接触させ、接触部位にオゾンガスを供給すると共に、前記加工部材を前記被加工物に接触させた状態で変位させる工程を備え、前記加工部材は、アルミナセラミックスまたはSiOを主成分とするガラスのうちいずれか1つからなり、前記被加工物は、GaNからなるもので構成されている。
ここで、加工部材を被加工物と接触させ、接触部位にオゾンガスを供給することによって、接触部位をオゾンガス環境下におくことができる。即ち、オゾンガスは不安定な分子であるが、接触部位にオゾンガスを供給することで、同領域にオゾンガスを局在させることが可能となる。
また、加工部材を被加工物に接触させた状態で変位させる工程によって、接触部位に摩擦熱を生じさせることが可能となる。この摩擦熱は供給されるオゾンガスを熱分解し、オゾンガスから原子状酸素を生成する。生成した原子状酸素は、大気環境下で、被加工物との化学反応(加工)を担う加工部材の最表面の水酸基(OH基)へのカルボキシル基等の結合、即ち、有機物に由来するコンタミネーションを抑止する。原子状酸素が有機物由来の汚れを分解して清浄化し、かつ、加工部材表面に水酸基(OH基)を表出させる親水化を行うことで、被加工物の安定した物理・化学的な加工が可能となる。
また、上述したように、接触部位がオゾンガス環境下となるため、安定した加工に必要な原子状酸素を確保することが可能となる。
本発明では、加工部材と被加工物の接触部位、即ち、被加工物の加工がなされる位置で、オゾンガスの熱分解により生じる原子状酸素を利用して、加工部材の表面の清浄化かつ親水化処理を行い、被加工物の物理・化学的に安定した加工を実現するものである。
また、加工部材が、アルミナセラミックスまたはSiOを主成分とするガラスのうちいずれか1つからなり、被加工物が、GaNから構成されたことによって、GaNに対する充分に安定した加工が可能となる。
また、オゾンガスがアルカリ性電解水を含有する場合には、加工部材と被加工物の摩擦面で発生するトライボケミカル反応を促進させ、被加工物の加工面における酸化物を生成させ、優先的に除去できるものとなる。この結果、オゾンガスの熱分解により生じる原子状酸素を利用した加工に加え、トライボケミカル反応による加工が促進され、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を向上させることができる。なお、ここでいうアルカリ性溶液とは、例えば、アルカリ性電解水、NaOH、KOH等のアルカリ性を示す溶液である。
また、アルカリ性電解水を含むオゾンガスでトライボケミカル反応を促進させることが可能となる。トライボケミカル反応により、下記の反応式で示す反応が生じ、GaNに対して高精度かつ、加工能率が高い加工を行うことができる。
2GaN+3HO⇔Ga+2NH
また、アルカリ性電解水は、取扱い時の安全性が高く、比較的容易に生成可能であるため、加工方法を安全かつより簡易なものにできる。なお、ここでいうアルカリ性電解水とは、pHが9.0以上のアルカリ性の水を意味するものである。
[加工装置について]
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る加工装置は、金属酸化物で構成された加工部材と、所定の被加工物を加工部材と接触させて保持する保持機構と、加工部材及び被加工物との接触部位にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部と、加工部材と被加工物を接触させた状態で、加工部材を変位させる駆動部とを備える。
ここで、所定の被加工物を加工部材と接触させて保持する保持機構と、加工部材及び被加工物との接触部位にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部によって、接触部位をオゾンガス環境下におくことができる。即ち、オゾンガスは不安定な分子であるが、接触部位にオゾンガスを供給することで、同領域にオゾンガスを局在させることが可能となる。
また、加工部材と被加工物を接触させた状態で、加工部材を変位させる駆動部によって、接触部位に摩擦熱を生じさせることが可能となる。この摩擦熱は供給されるオゾンガスを熱分解し、オゾンガスから原子状酸素を生成する。生成した原子状酸素は、大気環境下で、被加工物との化学反応(加工)を担う加工部材の最表面の水酸基(OH基)へのカルボキシル基等の結合、即ち、有機物に由来するコンタミネーションを抑止する。原子状酸素が有機物由来の汚れを分解して清浄化し、かつ、加工部材表面に水酸基(OH基)を表出させる親水化を行うことで、被加工物の安定した物理・化学的な加工が可能となる。
また、上述したように、接触部位がオゾンガス環境下となるため、安定した加工に必要な原子状酸素を確保することが可能となる。
本発明では、加工部材と被加工物の接触部位、即ち、被加工物の加工がなされる位置にてオゾンの熱分解により生じる原子状酸素を利用して、加工部材の表面の清浄化かつ親水化処理を行い、被加工物の物理・化学的に安定した加工を実現するものである。
また、加工部材が、Alから構成される単結晶状態のサファイア、コランダム、サファイアガラス、サファイアクリスタル、多結晶状態のアルミナ、アルミナセラミックス、SiOを主成分とするガラスのうちいずれか1つからなり、被加工物が、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、CVDダイヤモンド、DLC膜のうちいずれか1つからなる場合には、被加工物に対する充分に安定した加工が可能となる。
また、加工部材が、SiOを主成分とするガラスからなり、被加工物が、SiCからなる場合には、SiCに対する充分に安定した加工が可能となる。
また、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方を加湿する場合には、より一層安定した加工が可能となり、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を向上させることができる。
また、オゾンガスがアルカリ性溶液を含有する場合には、加工部材と被加工物の摩擦面で発生するトライボケミカル反応を促進させ、被加工物の加工面における酸化物を生成させ、優先的に除去できるものとなる。この結果、オゾンガスの熱分解により生じる原子状酸素を利用した加工に加え、トライボケミカル反応による加工が促進され、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を向上させることができる。なお、ここでいうアルカリ性溶液とは、例えば、アルカリ性電解水、NaOH、KOH等のアルカリ性を示す溶液である。
また、アルカリ性溶液がアルカリ性電解水である場合には、アルカリ性電解水を含むオゾンガスでトライボケミカル反応を促進させることが可能となる。また、アルカリ性電解水は、取扱い時の安全性が高く、比較的容易に生成可能であるため、加工方法を安全かつより簡易なものにできる。なお、ここでいうアルカリ性電解水とは、pHが9.0以上のアルカリ性の水を意味するものである。
また、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給して帯電量を制御する場合には、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を安定化させる。
そして、表面の帯電状態が安定化した加工部材と被加工物を接触させた状態で相対的に変位させることによって、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御した上で被加工物の表面を物理・化学的に加工することができる。
また、加工部材と、被加工物との接触部位にNガスを供給して帯電量を制御する場合には、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を更に制御しやすくなり、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を更に向上させることができる。
本発明では、加工部材と被加工物の接触部位、即ち、被加工物の加工がなされる位置にてオゾンの熱分解により生じる原子状酸素を利用して、加工部材の表面の清浄化かつ親水化処理を行い、被加工物を物理・化学的に安定した加工を実現するものである。そのため、砥粒フリーの研磨を実現することができる。また、既存の加工装置の加工部材と被加工物の接触部位にオゾンを供給する装置を設置するだけでよいため、加工システムを容易に構築できるものとなっている。
なお、「加工部材」としては、例えば、鉄、ニッケル、Co等の金属、SiO、ZrO、Al、TiO2、Fe、MgO、CaO,NaO、KO、CeO等の無機酸化物、SiC、SiN、Al等のセラミックス、及びそれらからなる構成材料で構成された加工部材が挙げられる。更に、被加工物としては、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、CVDダイヤモンド、DLC膜等のダイヤモンド関連材料、SiC、GaN、サファイア、SiCセラミックス、Siセラミックス、AIN、ガラス等の硬脆材料等が挙げられる。
また、上記の目的を達成するために、本発明の加工装置は、金属酸化物で構成された加工部材と、所定の被加工物を加工部材と接触させて保持する保持機構と、加工部材及び被加工物との接触部位にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部と、加工部材と被加工物を接触させた状態で、加工部材を変位させる駆動部とを備え、加工部材は、アルミナセラミックスまたはSiOを主成分とするガラスのうちいずれか1つからなり、前記被加工物は、GaNからなるもので構成されている。
ここで、所定の被加工物を加工部材と接触させて保持する保持機構と、加工部材及び被加工物との接触部位にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部によって、接触部位をオゾンガス環境下におくことができる。即ち、オゾンガスは不安定な分子であるが、接触部位にオゾンガスを供給することで、同領域にオゾンガスを局在させることが可能となる。
また、加工部材と被加工物を接触させた状態で、加工部材を変位させる駆動部によって、接触部位に摩擦熱を生じさせることが可能となる。この摩擦熱は供給されるオゾンガスを熱分解し、オゾンガスから原子状酸素を生成する。生成した原子状酸素は、大気環境下で、被加工物との化学反応(加工)を担う加工部材の最表面の水酸基(OH基)へのカルボキシル基等の結合、即ち、有機物に由来するコンタミネーションを抑止する。原子状酸素が有機物由来の汚れを分解して清浄化し、かつ、加工部材表面に水酸基(OH基)を表出させる親水化を行うことで、被加工物の安定した物理・化学的な加工が可能となる。
また、上述したように、接触部位がオゾンガス環境下となるため、安定した加工に必要な原子状酸素を確保することが可能となる。
本発明では、加工部材と被加工物の接触部位、即ち、被加工物の加工がなされる位置にてオゾンの熱分解により生じる原子状酸素を利用して、加工部材の表面の清浄化かつ親水化処理を行い、被加工物の物理・化学的に安定した加工を実現するものである。
また、加工部材が、アルミナセラミックスまたはSiOを主成分とするガラスのうちいずれか1つからなり、被加工物が、GaNから構成されたことによって、GaNに対する充分に安定した加工が可能となる。
また、オゾンガスがアルカリ性電解水を含有する場合には、加工部材と被加工物の摩擦面で発生するトライボケミカル反応を促進させ、被加工物の加工面における酸化物を生成させ、優先的に除去できるものとなる。この結果、オゾンガスの熱分解により生じる原子状酸素を利用した加工に加え、トライボケミカル反応による加工が促進され、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を向上させることができる。なお、ここでいうアルカリ性溶液とは、例えば、アルカリ性電解水、NaOH、KOH等のアルカリ性を示す溶液である。
また、アルカリ性電解水を含むオゾンガスでトライボケミカル反応を促進させることが可能となる。トライボケミカル反応により、下記の反応式で示す反応が生じ、GaNに対して高精度かつ、加工能率が高い加工を行うことができる。
2GaN+3HO⇔Ga+2NH
また、アルカリ性電解水は、取扱い時の安全性が高く、比較的容易に生成可能であるため、加工方法を安全かつより簡易なものにできる。なお、ここでいうアルカリ性電解水とは、pHが9.0以上のアルカリ性の水を意味するものである。
[加工方法について]
上記の目的を達成するために、本発明の加工方法は、加工部材、若しくは、同加工部材で加工される被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給して帯電量を制御すると共に、前記加工部材と前記被加工物を接触させた状態で相対的に変位させる工程を備える。
ここで、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給して帯電量を制御することによって、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を安定化させる。
そして、表面の帯電状態が安定化した加工部材と被加工物を接触させた状態で相対的に変位させることによって、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御した上で被加工物の表面を物理・化学的に加工することができる。
本発明では、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給して、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御し、表面粗さの精度が高く、かつ、加工能率が向上した加工を実現するものである。
また、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方に、陰イオンを供給して加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御し、被加工部材の表面を加工することができる。
また、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方に、陽イオンを供給して加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御し、被加工部材の表面を加工することができる。
また、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方に、陰イオン及び陽イオンを供給して加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御し、被加工部材の表面を加工することができる。
また、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方を加湿する場合には、帯電状態をより一層制御しやすくなり、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を更に向上させることができる。
また、加工部材の表面に紫外光若しくはプラズマを照射して同加工部材の表面を清浄化かつ親水化処理する場合には、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を更に制御しやすくなり、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を更に向上させることができる。
また、加工部材及び被加工物の接触部位にNガスを供給する場合には、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を更に制御しやすくなり、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を更に向上させることができる。
本発明では、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給することによって、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御し、加工部材の最表面部と被加工物を接触させた状態で加工部材を変位させることによって、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御した上で被加工物の表面を物理・化学的に加工を実現するものである。そのため、一般的な紫外光光源に比べて、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給するだけで安定した加工が可能となる。
なお、「加工部材」としては、例えば、鉄、ニッケル、Co等の金属、SiO、ZrO、Al、TiO2、Fe、MgO、CaO,NaO、KO、CeO等の無機酸化物、SiC、SiN、Al等のセラミックス、及びそれらからなる構成材料で構成された加工部材が挙げられる。更に、被加工物としては、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、CVDダイヤモンド、DLC膜等のダイヤモンド関連材料、SiC、GaN、サファイア、SiCセラミックス、Siセラミックス、AIN、ガラス等の硬脆材料等が挙げられる。
[加工装置について]
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る加工装置は、加工部材と、該加工部材、若しくは、同加工部材で加工される被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給して帯電量を制御する帯電処理部と、所定の被加工物を保持する保持機構と、前記加工部材と前記被加工物を接触させた状態で、前記加工部材と同被加工物を相対的に変位させる駆動部とを備える。
ここで、加工部材と、加工部材、若しくは、加工部材で加工される被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給して帯電量を制御する帯電処理部によって、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を安定化させるものとなる。
また、加工部材と、所定の被加工物を保持する保持機構と、加工部材と被加工物を接触させた状態で、加工部材と被加工物を相対的に変位させる駆動部によって、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を安定化させた上で、被加工物の表面を物理・化学的に加工することができる。
本発明では、帯電処理部で加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給し、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御し、表面粗さの精度が高く、かつ、加工能率が向上した加工を実現するものである。
また、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方を加湿する加湿処理部を備える場合には、帯電状態をより一層制御しやすくなり、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を更に向上させることができる。
また、加工部材の表面を親水化処理する清浄化かつ親水化処理部を備える場合には、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を更に制御しやすくなり、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を更に向上させることができる。
また、加工部材及び被加工物の接触部位にNガスを供給するNガス供給部を備える場合には、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を更に制御しやすくなり、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を更に向上させることができる。
本発明では、加工部材、若しくは、被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給する帯電処理部によって、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御し、加工部材の最表面部と被加工物を接触させた状態で加工部材を変位させる駆動部によって、加工部材及び被加工物の表面の帯電状態を制御した上で被加工物の表面を物理・化学的に加工を実現するものである。また、既存の加工装置の紫外光光源を帯電装置等に置き換えるだけでよいため、加工システムを容易に構築できるものとなっている。
本発明を適用した加工方法及び加工装置では、ダイヤモンド等を加工するドライ研磨にて、簡易な構成でありながら高能率かつ高精度な加工を実現することができる。
本発明を適用した加工装置を説明するための模式図である。 比較例1の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 比較例2の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 実施例1の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 比較例3の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 実施例2の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 比較例4の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 実施例3の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 実施例4の加工前における加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 実施例4の加工後における加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 本発明を適用した加工装置を説明するための模式図である。 本発明を適用した加工装置を説明するための模式図である。 比較例5の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 実施例5の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 比較例8の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 実施例7の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 実施例9の表面電位と加工時間の関係を示すグラフである。 実施例10の表面電位と加工時間の関係を示すグラフである。 実施例11の表面電位と加工時間の関係を示すグラフである。 比較例11の表面電位と加工時間の関係を示すグラフである。 実施例9の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 実施例10の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 実施例11の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。 比較例11の加工領域の一部の表面粗さを非接触形状測定機で測定したデータである。
[発明の第1の実施の形態]
以下、本発明を実施するための形態(以下、「発明の第1の実施の形態」と称する)について説明する。
図1は本発明を適用した加工装置を説明するための模式図であり、ここで示す加工装置1は、サファイア定盤2と、単結晶ダイヤモンド3を保持する試料ホルダー4を有している。また、加工装置1は、サファイア定盤2と単結晶ダイヤモンド3との接触部位にオゾンガスを供給するオゾン供給部5を有している。なお、単結晶ダイヤモンド4は被加工物の一例である。
なお、サファイア定盤2の上面(図1上の上面)に被加工物である単結晶ダイヤモンド3が接して被加工物が研磨されることとなる。また、サファイア定盤2は加工部材の一例である。
オゾン供給部5は、サファイア定盤2の上方に配置されている。また、オゾン供給部5の先端、即ち、オゾンガスが排出される部分は、サファイア定盤2と単結晶ダイヤモンド3との接触部位に向けられている。これにより、接触部位がオゾン環境下となる。また、接触部位におけるサファイア定盤2と単結晶ダイヤモンド3との間で生じる摩擦熱によりオゾンガスが原子状酸素に熱分解され、被加工物が安定的に加工されるものとなる。
ここで、本実施の形態では、加工部材がサファイア定盤2で形成されている場合を例に挙げて説明を行っているが、被加工物を加工可能な材料であれば充分であって、必ずしもサファイア定盤2で形成される必要はない。例えば、鉄、ニッケル、Co等の金属、SiO、ZrO、Al、TiO2、Fe、MgO、CaO,NaO、KO、CeO等の無機酸化物、SiC、SiN、Al等のセラミックス、及びそれらからなる構成材料で形成されていても構わない。
また、サファイア定盤2は、回転数が制御可能な加工テーブル6上に固定され、加工テーブル6の回転によってサファイア定盤2が図1中符号Aで示す方向に回転可能に構成されている。
また、試料ホルダー4は、サファイア定盤2の回転軸に対して偏心した回転軸7を中心として図1中符号Bで示す方向に回転可能に構成されており、単結晶ダイヤモンド3を保持した状態で上方から単結晶ダイヤモンド3とサファイア定盤2が接触する位置sまで下降する。なお、図中の符号Yは荷重をかける方向を示している。
ここで、本実施の形態では、試料ホルダー4に保持される被加工物として単結晶ダイヤモンド3を例に挙げて説明を行っているが、被加工物は単結晶ダイヤモンド3に限定されるものではなく、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、CVDダイヤモンド、DLC膜等のダイヤモンド関連材料、SiC、GaN、サファイア、SiCセラミックス、Siセラミックス、AIN、ガラス等の硬脆材料等であっても構わない。
以下、上記の様に構成された加工装置1を用いた加工方法について説明を行う。即ち、本発明を適用した加工方法の一例について説明を行う。
本発明を適用した加工方法の一例では、サファイア定盤2を回転させながら、サファイア定盤2と単結晶ダイヤモンド3との接触部位にオゾン供給部5からオゾンガスを供給する。
即ち、サファイア定盤2と単結晶ダイヤモンド3との接触部位にオゾンガスを供しながら、接触部位で生じる摩擦熱によりオゾンガスを熱分解して原子状酸素を生成する。生成した原子状酸素により、サファイア定盤2の表面を清浄化かつ親水化処理する。即ち、サファイア定盤2の表面を改質する。
そして、表面が改質した状態のサファイア定盤2の上面と単結晶ダイヤモンド3が接触した状態でサファイア定盤2が回転することによって、単結晶ダイヤモンド3の表面を物理・化学的に除去することとなる。
本実施の形態の変形例として、図1に記載の装置構成に、更に、加湿処理部を設けるものを採用しうる。加湿処理部は加工部材の上方に設置される。加湿処理部は、加工部材の表面を加湿する部材である。また、水分を付与したオゾンガスをサファイア定盤2と単結晶ダイヤモンド3の接触部位に供給する方式も採用しうる。加湿を行うことで、被加工物への加工をより一層安定化させることができる。
本実施の形態の更なる変形例として、オゾン供給部から供給するオゾンガスにアルカリ性電解水(pH9.0以上)を含ませて、加工部材と被加工物との接触部位にオゾンガスを供給する方法も採用しうる。
オゾンガスがアルカリ性電解水を含有する場合には、加工部材と被加工物の摩擦面で発生するトライボケミカル反応を促進させ、被加工物の加工面における酸化物を生成させ、優先的に除去可能となる。この結果、オゾンガスの熱分解により生じる原子状酸素を利用した加工に加え、トライボケミカル反応による加工が促進され、表面粗さの精度をより一層高め、かつ、加工能率を向上させることができる。
ここで、オゾンガスに含有させる溶液はアルカリ性溶液であればよく、アルカリ性電解水に限定されるものではない。例えば、NaOHやKOH等のアルカリ性溶液をオゾンガスに含有させて加工に利用することも可能である。
[効果]
本発明を適用した加工方法及び加工装置は、加工部材と被加工物の接触部位、即ち、被加工物の加工がなされる位置で、オゾンの熱分解により生じる原子状酸素を利用するものであるため、紫外光を照射する装置に比べ、加工部材の表面をより均一に処理可能なものとなっている。この結果、より安定的かつ高い加工精度を実現しうるものとなっている。
また、本発明を適用した加工装置は、オゾン供給部を既存の装置に配置するのみで容易に構築することができるものとなっている。
更に、本発明を適用した加工方法及び加工装置は、砥粒を利用していないために、加工後の砥粒処理を行う必要がないものとなる。
また、砥粒を利用した加工の場合には、砥粒をスラリーの状態で供給する必要があり、加工部材や被加工物がスラリーで湿った状態となってしまい、温度が上がりにくく加工が進み難い。
一方、本発明を適用した加工方法では、砥粒を利用していないためにスラリーが供給されることもなく、加工部材や被加工物が乾いた状態であり、摩擦熱も含めて温度が上がり易く化学反応が進みやすい。即ち、難加工材料の高精度、高能率な加工が実現することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、ここで示す実施例は一例であり本発明を限定するものではない。
[実施例1及び比較例1〜2]
本発明の実施例1の加工方法として、以下の条件で加工を行った。先ず、本発明の実施例1の加工方法として、サファイア定盤に被加工物として単結晶ダイヤモンド(3mm×3mm)を2kg(22.2kg/cm)の荷重で押圧し、サファイア定盤を回転数250rpm、揺動距離3mm、揺動速度0.1mm/sの条件で回転させると共に、試料ホルダーを1000rpmで回転させた。また、オゾン供給部よりサファイア定盤と単結晶ダイヤモンドとの接触部位にオゾンガス(5L/min)を供給した。この様な状況で1.5時間の加工を行った。
実施例1と同様の方法で、オゾン供給部によるオゾン供給を行わないものを比較例1とした。
また、上述した実施例1の加工方法の装置構成に紫外光光源を更に設置して、サファイア定盤に上方から、紫外光(172nm)を照射強度6mW/cmの条件で照射しながら、オゾン供給部によるオゾン供給を行わないものを比較例2とした。
上記の実施例1及び比較例1〜2について、加工後の単結晶ダイヤモンドの表面粗さを非接触形状測定機で測定し、評価を行った。
図2に比較例1の結果、図3に比較例2の結果、及び、図4に実施例1の結果を示す。
図2及び図4から明らかなように、比較例1の被加工物の加工面に比べ、実施例1の加工により、被加工物の加工面が精度高く加工され、被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.119nmであり、平滑に加工されていたことが分かった。比較例1の算術平均粗さ(Ra)の値は2.213nmであった。
また、図3及び図4から明らかなように、比較例2の被加工物の加工面に比べ、実施例1の加工により、被加工物の加工面がより精度高く加工されていることが分かった。
なお、比較例2の被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.177nmであった。
(1)加工能率について
上述した実施例1及び比較例1〜2の加工方法による加工能率について以下の内容で確認を行った。
被加工物となる単結晶ダイヤモンドに所定の深さの溝を形成しておき、加工前後での溝の深さの変化量から加工能率を算出した。
実施例1における加工能率は2453.5nm/hであり、充分な加工能率を示していた。
一方、比較例1における加工能率は33.3nm/hであった。また、比較例2における加工能率は238.1nm/hであった。
(2)被加工物の加工面の表面粗さ
[実施例2及び比較例3]
本発明の実施例2の加工方法として、以下の条件で加工を行った。先ず、本発明の実施例2の加工方法として、ソーダ石灰ガラス(soda-lime glass)定盤に被加工物としてSiC基板(Single-crystal 4H-SiC 4°off)(2インチ)を3kgの荷重で押圧し、ソーダ石灰ガラス定盤を回転数200rpm、揺動距離6mm、揺動速度0.1mm/sの条件で回転させると共に、試料ホルダーを30rpmで回転させた。また、紫外光光源を設置し、ソーダ石灰ガラス定盤に上方から、紫外光(172nm)を照射強度6mW/cmの条件で照射した。また、オゾン供給部よりソーダ石灰ガラス定盤とSiC基板との接触部位にオゾンガス(5L/min)を供給した。この様な状況で2時間の加工を行った。なお、ソーダ石灰ガラスは、SiOを主成分とするガラスの一例である。
実施例2の加工方法を実施する前の同一サンプルに対して、ダイヤモンド砥粒を用いて機械研磨したものを比較例3とした。
上記の実施例2及び比較例3について、加工後のSiC基板の表面粗さを非接触形状測定機で測定し、評価を行った。
図5に比較例3の結果、及び、図6に実施例2の結果を示す。
図5及び図6から明らかなように、比較例3の被加工物の加工面に比べ、実施例2の加工により、被加工物の加工面が精度高く加工され、被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.311nmであり、平滑に加工されていたことが分かった。比較例3の算術平均粗さ(Ra)の値は1.601nmであった。
(3)加工能率について
上述した実施例2及び比較例3の加工方法による加工能率について、上記(2)と同様の内容で加工能率を算出した。
実施例2における加工能率は201.3nm/hであり、一方、比較例3における加工能率は72.26nm/hであった。
(4)被加工物の加工面の表面粗さ
[実施例3及び比較例4]
本発明の実施例3の加工方法として、以下の条件で加工を行った。先ず、本発明の実施例3の加工方法として、アルミナセラミックス定盤に被加工物としてGaN基板(10mm×10mm)を250g(250g/cm)の荷重で押圧し、アルミナセラミックス定盤を回転数250rpm、揺動距離10mm、揺動速度0.5mm/sの条件で回転させると共に、試料ホルダーを250rpmで回転させた。また、オゾン供給部よりアルミナセラミックス定盤とGaN基板との接触部位にオゾンガス(5L/min)を供給した。この様な状況で1時間の加工を行った。
実施例3の加工方法を実施する前の同一サンプルに対して、ダイヤモンド砥粒を用いて機械研磨したものを比較例4とした。
上記の実施例3及び比較例4について、加工後のGaN基板の表面粗さを非接触形状測定機で測定し、評価を行った。
図7に比較例4の結果、及び、図8に実施例3の結果を示す。
図7及び図8から明らかなように、比較例4の被加工物の加工面に比べ、実施例3の加工により、被加工物の加工面が精度高く加工され、被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.483nmであり、平滑に加工されていたことが分かった。比較例4の算術平均粗さ(Ra)の値は2.837nmであった。
[実施例4]
本発明の実施例4の加工方法として、以下の条件で加工を行った。先ず、本発明の実施例4の加工方法として、ガラス定盤に被加工物としてGaN(窒化ガリウム)(10mm×10mm)を0.5kgの荷重で押圧し、ガラス定盤を回転数200rpm、揺動距離3mm、揺動速度0.1mm/sの条件で回転させると共に、試料ホルダーを31.25rpmで回転させた。また、オゾン供給部よりガラス定盤とGaNとの接触部位に、pH9.4のアルカリ性電解水を含有させたオゾンガス(5L/min)を供給した。この様な状況で1時間の加工を行った。
上記の実施例4について、加工前と加工後のGaNの表面粗さを非接触形状測定機で測定し、評価を行った。
図9に加工前の結果、図10に加工後の結果を示す。
図9及び図10から明らかなように、実施例4の加工により、加工前の被加工物の加工面が精度高く加工され、被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.176nmであり、平滑に加工されていたことが分かった。加工前の被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.922nmであった。また、実施例4における加工能率は2979nm/hであり、充分な加工能率を示していた。
[発明の第2の実施の形態]
以下、本発明を実施するための形態(以下、「発明の第2の実施の形態」と称する)について説明する。
図11は本発明を適用した加工装置を説明するための模式図であり、ここで示す加工装置11は、絶縁性の合成石英定盤12と、合成石英定盤12の帯電量を変化させる帯電ユニット13と、絶縁性の単結晶ダイヤモンド14を保持する試料ホルダー15を有している。なお、帯電ユニット13は帯電処理部の一例であり、単結晶ダイヤモンド14は被加工物の一例である。
なお、合成石英定盤12の上面(図11上の上面)に被加工物である単結晶ダイヤモンド14が接して被加工物が研磨されることとなる。また、合成石英定盤12は加工部材の一例である。
帯電ユニット13は、合成石英定盤12の上方に配置され、合成石英定盤12の上面に陽イオンまたは陰イオンを供給して、合成石英定盤12の帯電量を外部から強制的に制御する。帯電量を制御することで合成石英定盤12の表面が改質され、単結晶ダイヤモンド14が接して電気化学的な作用が働くことで被加工物が研磨されることとなる。
ここで、本実施の形態では、加工部材が絶縁性の合成石英定盤12で形成されている場合を例に挙げて説明を行っているが、帯電ユニット13により帯電量を制御することが可能な材料であれば充分であって、必ずしも絶縁性の合成石英定盤12で形成される必要はない。例えば、鉄、ニッケル、Co等の金属、SiO、ZrO、Al、TiO2、Fe、MgO、CaO,NaO、KO、CeO等の無機酸化物、SiC、SiN、Al等のセラミックス、及びそれらからなる構成材料で形成されていても構わない。
また、合成石英定盤12は、回転数が制御可能な加工テーブル16上に固定され、加工テーブル16の回転によって合成石英定盤12が図11中符号Aで示す方向に回転可能に構成されている。
また、試料ホルダー15は、合成石英定盤12の回転軸に対して偏心した回転軸17を中心として図11中符号Bで示す方向に回転可能に構成されており、単結晶ダイヤモンド14を保持した状態で上方から単結晶ダイヤモンド14と合成石英定盤12が接触する位置まで下降する。なお、図中の符号Yは荷重をかける方向を示している。
ここで、本実施の形態では、試料ホルダー15に保持される被加工物として単結晶ダイヤモンド14を例に挙げて説明を行っているが、被加工物は単結晶ダイヤモンド14に限定されるものではなく、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、CVDダイヤモンド、DLC膜等のダイヤモンド関連材料、SiC、GaN、サファイア、SiCセラミックス、Siセラミックス、AIN、ガラス等の硬脆材料等であっても構わない。
以下、上記の様に構成された加工装置11を用いた加工方法について説明を行う。即ち、本発明を適用した加工方法の一例について説明を行う。
本発明を適用した加工方法の一例では、合成石英定盤12を回転させながら、合成石英定盤12に帯電ユニット13から陽イオンまたは陰イオンを供給する。
即ち、合成石英定盤12の上面に陽イオンまたは陰イオンを供給することで、合成石英定盤12の表面の帯電量を制御し、表面を改質させる。
そして、表面が改質した状態の合成石英定盤12の上面と単結晶ダイヤモンド14が接触した状態で合成石英定盤12が回転することによって、単結晶ダイヤモンド14の表面を物理・化学的に除去することとなる。
本実施の形態の変形例(1)として、図12に示す加工装置の構成も採用しうる。図12の示す加工装置18では、上述した図11に示す加工装置11の構成に、更に、紫外光光源19が設置されるものである。
紫外光光源19は、合成石英定盤12の上方であり、帯電ユニット13とは異なる位置に配置され、合成石英定盤12の上面に紫外光を照射するものとなる。
本実施の形態の変形例(1)の加工方法では、合成石英定盤12を回転させながら、合成石英定盤12に帯電ユニット13から陽イオンまたは陰イオンを供給し、更に、紫外光光源19から紫外光を照射する。
即ち、合成石英定盤12の上面に紫外光を照射することで、合成石英定盤12の表面の清浄化かつ親水化処理を行う。具体的には、紫外光を照射して合成石英定盤12の最表面部にOH基を表出させることで、単結晶ダイヤモンド14の表面の原子との反応サイトを増加させる。
そして、反応サイトが増加した状態の合成石英定盤12の上面と単結晶ダイヤモンド14が接触し、合成石英定盤12が回転することによって、反応サイトを単結晶ダイヤモンド14の表面の原子と化学的に作用させ、ダイヤモンド基板の表面を物理・化学的に除去することとなる。即ち、帯電量を制御することによる電気化学的な作用と、紫外光照射による効果も加わり、加工能率をより一層向上させることができる。
また、本発明を適用した加工方法においては、加工部材を加湿する条件を加えて、加工能率を高める方法も採用しうる。
[効果]
本発明を適用した加工装置は、帯電ユニットを既存の装置に配置するのみで容易に構築することができるものとなっている。
更に、本発明を適用した加工方法及び加工装置は、砥粒を利用していないために、加工後の砥粒処理を行う必要がないものとなる。
また、砥粒を利用した加工の場合には、砥粒をスラリーの状態で供給する必要があり、加工部材や被加工物がスラリーで湿った状態となってしまい、温度が上がりにくく加工が進み難い。
一方、本発明を適用した加工方法では、砥粒を利用していないためにスラリーが供給されることもなく、加工部材や被加工物が乾いた状態であり、摩擦熱も含めて温度が上がり易く化学反応が進みやすい。即ち、難加工材料の高精度、高能率な加工が実現することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、ここで示す実施例は一例であり本発明を限定するものではない。
(5)被加工物の加工面の表面粗さ
[実施例5〜7及び比較例5〜7]
本発明の実施例5の加工方法として、以下の条件で加工を行った。先ず、本発明の実施例5の加工方法として、サファイア定盤に被加工物として単結晶ダイヤモンド(3mm×3mm)を2kg(22.2kg/cm)の荷重で押圧し、サファイア定盤を回転数250rpm、揺動距離3mm、揺動速度0.1mm/sの条件で回転させると共に、試料ホルダーを1000rpmで回転させた。また、サファイア定盤の上方から帯電ユニットより陰イオンを供給した。また、加湿ユニットによりサファイア定盤の上方から加湿処理を施した。この様な状況で1.5時間の加工を行った。
実施例5と同様の方法で、帯電ユニットより陽イオンを供給したものを実施例6とした。
未加工の単結晶ダイヤモンドを比較例5とした。
また、実施例5と同様の方法で陰イオンまたは陽イオンの供給を行わず、加湿処理をしないものを比較例6とした。即ち、サファイア定盤の帯電量は制御せず、加工部材と被加工物の相対的な変位による物理的な加工のみを施す方法である。
更に、比較例6と同様の方法で、加湿ユニットによりサファイア定盤の上方から加湿処理を施したものを比較例7とした。
上記の実施例5〜6及び比較例5〜7について、走査型白色干渉計にて被加工面の表面粗さを評価した。なお、測定範囲は696μm×522μmである。
図13に比較例5の走査型白色干渉計像を、図14に実施例5の走査型白色干渉計像を示す。
図13及び図14から明らかなように、比較例5の未加工の被加工物の面に比べ、実施例5の加工により被加工物の加工面が精度高く加工され、被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.308nmであり、平滑に加工されていたことが分かった。比較例5の算術平均粗さ(Ra)の値は8.118nmであった。
また、図示しないが、実施例6の加工においても被加工物の加工面が精度高く加工され、被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.341nmであり、平滑に加工されていたことが分かった。
一方、陰イオンまたは陽イオンの供給を行わない比較例6の加工では、被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は2.595nmであった。
(6)加工能率について
上述した実施例5〜6及び比較例6〜7の加工方法による加工能率について以下の内容で確認を行った。
被加工物となる単結晶ダイヤモンドに所定の深さの溝を形成しておき、加工前後での溝の深さの変化量から加工能率を算出した。
実施例5における加工能率は572.2nm/h、実施例6における加工能率は454.3nm/hであり、充分な加工能率を示していた。
一方、比較例6における加工能率は23.2nm/hであった。また、比較例7における加工能率は99.7nm/hであった。
(7)被加工物の加工面の表面粗さ
[実施例7〜8及び比較例8]
本発明の実施例7の加工方法として、上述した実施例5の加工方法の装置構成に紫外光光源を更に設置して、サファイア定盤に紫外光を照射する条件で加工を行った。また、実施例7では、実施例5と同様に、サファイア定盤の上方から帯電ユニットより陰イオンを供給した。また、加湿ユニットによりサファイア定盤の上方から加湿処理を施した。その他の条件は実施例5と同一である。
実施例7と同様の方法で、帯電ユニットより陽イオンを供給したものを実施例8とした。
未加工の単結晶ダイヤモンドを比較例8とした。
上記の実施例7〜8及び比較例8について、走査型白色干渉計にて被加工面の表面粗さを評価した。なお、測定範囲は696μm×522μmである。
図15に比較例8の走査型白色干渉計像を、図16に実施例7の走査型白色干渉計像を示す。
図15及び図16から明らかなように、比較例8の未加工の被加工物の面に比べ、実施例7の加工により被加工物の加工面が精度高く加工され、被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.625nmであり、平滑に加工されていたことが分かった。比較例8の算術平均粗さ(Ra)の値は4.320nmであった。
また、図示しないが、実施例8の加工においても被加工物の加工面が精度高く加工され、被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.924nmであり、平滑に加工されていたことが分かった。
(8)加工能率について
上述した実施例7〜8及び比較例9〜10の加工方法による加工能率について以下の内容で確認を行った。
比較例9は、実施例7の加工方法において紫外光の照射及び加湿処理は行うが、帯電ユニットからの陰イオンの供給を行わない方法である。即ち、サファイア定盤の帯電量は制御せず、紫外光の照射のみを行う加工である。なお、その他の加工条件は実施例7の加工方法と同一である。
また、比較例9と同様の方法で、加湿ユニットによりサファイア定盤の上方から加湿処理を行わないものを比較例10とした。
被加工物となる単結晶ダイヤモンドに所定の深さの溝を形成しておき、加工前後での溝の深さの変化量から加工能率を算出した。
実施例7における加工能率は3741.4nm/h以上、実施例8における加工能率は2858.9nm/hであり、充分な加工能率を示していた。実施例7及び実施例8の加工能率は、上述した実施例5及び実施例6の加工能率よりも、より一層高い加工能率を示す方法であることが明らかとなった。
一方、比較例9における加工能率は543.4nm/h以上であった。また、比較例10における加工能率は238.1nm/hであった。
加工能率は、上述したように、あらかじめ被加工物である単結晶ダイヤモンドに溝の加工を行っており、加工前後の溝の深さの変化量により算出しようとしたものであるが、実施例7及び比較例9の加工では単結晶ダイヤモンドの溝が消失したため、実施例7の加工能率の数値は、「3741.4nm/h以上」、比較例9の加工能率は、「543.4nm/h以上」として表記している。
(9)被加工物の表面電位
[実施例9〜11及び比較例11]
本発明の実施例9の加工方法として、上述した実施例5の加工方法の装置構成から帯電ユニットを除き(加湿処理も行わず)、かつ、加工部材をサファイア定盤から合成石英定盤に変更し、定盤と被加工物である単結晶ダイヤモンドとの接触部位である加工点近傍にNガスを供給したものを実施例9とした。この様な状況で1.5時間の加工を行った。
実施例9と同様の方法で、加湿ユニットより加湿処理を施したものを実施例10とした。
実施例10と同様の方法で、帯電ユニットより陰イオンを供給したものを実施例11とした。
また、実施例9の加工方法からNガスの供給を行わなかったものを比較例11とした。
上記の実施例9〜11及び比較例11について、表面電位計により合成石英定盤の表面電位を測定して、帯電量を評価した。
図17〜図20に表面電位と加工時間の関係をグラフにて示す。図17は実施例9、図18は実施例10、図19は実施例11及び図20は比較例11の結果である。なお、グラフの縦軸は表面電位、横軸は加工時間(min)である。
図17から明らかなように、合成石英定盤にNガスを供給することで、定盤の表面電位が一定の値の範囲に制御されることが分かった。また、図18及び図19から明らかなように、Nガスの供給と加湿処理、または、Nガスの供給と加湿処理及び帯電ユニットからのイオン供給を併用することで、定盤の表面電位をより一層厳密に制御しうることが分かった。
(10)被加工物の加工面の表面粗さ
上述した実施例9〜11及び比較例11について、上述した方法と同様の内容で、走査型白色干渉計にて被加工面の表面粗さを評価した。
図21〜図24に走査型白色干渉計像を示す。図21は実施例9、図22は実施例10、図23は実施例11及び図24は比較例11の結果である。
図21及び図24から明らかなように、比較例11の未加工の被加工物の面に比べ、実施例9の加工により被加工物の加工面が精度高く加工され、被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.565nmであり、平滑に加工されていたことが分かった。比較例11の算術平均粗さ(Ra)の値は1.805nmであった。
また、図22及び図23に示すように、実施例10及び実施例11の加工では、被加工物の加工面がより一層精度高く加工され、実施例6の被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.184nmであり、また、実施例11の被加工面の測定範囲における算術平均粗さ(Ra)の値は0.149nmであり、平滑に加工されていたことが分かった。
(11)加工能率について
上述した実施例9〜11及び比較例11について、上述した方法と同様の内容で、加工能率を評価した。
実施例9における加工能率は586.2nm/h、実施例10における加工能率は1261.8nm/h、実施例11における加工能率は1560nm/hであり、特に実施例10及び実施例11は、充分な加工能率を示していた。
一方、比較例11における加工能率は38.33nm/hであった。
1 加工装置
2 サファイア定盤
3 単結晶ダイヤモンド
4 試料ホルダー
5 オゾン供給部
6 加工テーブル
7 回転軸
11 加工装置
12 合成石英定盤
13 帯電ユニット
14 単結晶ダイヤモンド
15 試料ホルダー
16 加工テーブル
17 回転軸
18 加工装置
19 紫外光光源

Claims (6)

  1. 金属酸化物で構成された加工部材を被加工物と接触させ、接触部位にアルカリ性溶液を含有するオゾンガスを供給すると共に、前記加工部材を前記被加工物に接触させた状態で変位させる工程を備え、
    前記加工部材は、アルミナセラミックスまたはSiOを主成分とするガラスのうちいずれか1つからなり、
    前記被加工物は、GaNからなる
    加工方法。
  2. 金属酸化物で構成された加工部材を被加工物と接触させ、接触部位にオゾンガスを供給すると共に、前記加工部材を前記被加工物に接触させた状態で変位させる工程を備え、
    前記加工部材は、アルミナセラミックスまたはSiOを主成分とするガラスのうちいずれか1つからなり、
    前記被加工物は、GaNからなり、
    前記加工部材、若しくは、前記被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給して帯電量を制御する
    加工方法。
  3. 前記オゾンガスがアルカリ性電解水を含有する
    請求項1に記載の加工方法。
  4. 金属酸化物で構成された加工部材と、
    所定の被加工物を前記加工部材と接触させて保持する保持機構と、
    前記加工部材及び前記被加工物との接触部位にアルカリ性溶液を含有するオゾンガスを供給するオゾンガス供給部と、
    前記加工部材と前記被加工物を接触させた状態で、前記加工部材を変位させる駆動部とを備え、
    前記加工部材は、アルミナセラミックスまたはSiOを主成分とするガラスのうちいずれか1つからなり、
    前記被加工物は、GaNからなる
    加工装置。
  5. 金属酸化物で構成された加工部材と、
    所定の被加工物を前記加工部材と接触させて保持する保持機構と、
    前記加工部材及び前記被加工物との接触部位にオゾンガスを供給するオゾンガス供給部と、
    前記加工部材と前記被加工物を接触させた状態で、前記加工部材を変位させる駆動部と、
    前記加工部材、若しくは、前記被加工物の少なくとも一方に、陽イオン、若しくは、陰イオンの少なくとも一方を供給して帯電量を制御する帯電処理部とを備え、
    前記加工部材は、アルミナセラミックスまたはSiOを主成分とするガラスのうちいずれか1つからなり、
    前記被加工物は、GaNからなる
    加工装置。
  6. 前記オゾンガスがアルカリ性電解水を含有する
    請求項4に記載の加工装置。
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