以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明についての包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造方法における各工程、各工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
また、以下の説明及び図面中において、複数の蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、当該容器の厚さ方向をX軸方向と定義する。また、1つの蓄電素子における電極端子の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をY軸方向と定義する。また、蓄電素子の容器本体と容器蓋部との並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。
(実施の形態)
まず、図1及び図2を用いて、本実施の形態における蓄電装置10の全般的な説明を行う。図1は、実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る蓄電装置10を、複数の蓄電素子300と収容体100とに分離して示す分解斜視図である。
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置10は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電装置10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリ等として用いられる。
図1及び図2に示すように、蓄電装置10は、収容体100と、収容体100に収容された複数の蓄電素子300とを備えている。複数の蓄電素子300は、例えば、図示しない複数のバスバーによって直列に接続される。なお、複数の蓄電素子300の電気的な接続の態様に特に限定はない。例えば、蓄電素子300を2個ずつ並列に接続して4セットの蓄電素子群を構成し、当該4セットの蓄電素子群を直列に接続してもよい。また、蓄電素子300の個数についても特に限定はなく、蓄電装置10は、少なくとも1つの蓄電素子300を備えればよい。
収容体100は、複数の蓄電素子300等を収容する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。具体的には、収容体100は、収容体100の内部と外部とを隔てる壁部として、複数の蓄電素子300が載置される床面102を形成する底壁部104と、底壁部104の周縁から立設された側壁部103とを有する。
収容体100の素材としては、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁材料により構成されている。
収容体100の側壁部103には、複数の通気口110が設けられており、複数の蓄電素子300のそれぞれは、複数の通気口110を介して流入する空気によって冷やされる。また、複数の蓄電素子300の、側壁部103に対向する側面には、例えば、樹脂製の絶縁シート(図示せず)が配置されている。
収容体100の内部の底面である床面102は、複数のリブ(第一規制部114)によって区画されている。また、側壁部103の内面には、複数の蓄電素子300それぞれに対応する位置にリブ(第二規制部112)が設けられている。具体的には、複数の蓄電素子300の並び方向(X軸方向)において、第一規制部114と第二規制部112とは同じ位置に配置されている。複数の蓄電素子300のそれぞれは、X軸方向の側方に位置する第一規制部114及び第二規制部112によってX軸方向の移動が規制される。なお、図2では、Y軸方向マイナス側(手前側)の側壁部103に隠れて見えないが、手前側の側壁部103の内面にも、収容体100の内部に向けて突出する複数の第二規制部112が設けられている。
また、収容体100には、複数の蓄電素子300それぞれに対応する位置に扉部120が設けられている。図2では、扉部120は閉じられた状態(閉状態)であるが、収容体100に複数の蓄電素子300を収容する前の時点では、扉部120は開けられた状態(開状態)である。蓄電装置10の組み立ての手順等については、図4〜図10を用いて後述する。
蓄電素子300は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子300は、扁平な直方体形状(角型)の形状を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子300が、各々の長側面が対向する姿勢で、X軸方向に配列されている。なお、蓄電素子300は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子300は、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。
次に、蓄電素子300の構成について、詳細に説明する。図3は、実施の形態に係る蓄電素子300の斜視図である。なお、図3では、蓄電素子300の容器310を透視して、蓄電素子300の内部が図示されている。
図3に示すように、蓄電素子300は、容器310と、正極端子320と、負極端子330とを備えている。また、容器310の内方には、電極体340、正極集電体350及び負極集電体360が配置されている。なお、容器310の内方には、電解液(非水電解質)も封入されているが、図示は省略する。また、上記の構成要素の他、例えば、正極集電体350及び負極集電体360と容器310との間にガスケットが配置されていてもよいし、電極体340と容器310との間にスペーサが配置されていてもよい。
容器310は、容器本体311と容器蓋部312とを有する。具体的には、容器310は、図3におけるZ軸方向マイナス側に底面部315、X軸方向両側の側面に長側面部314、Y軸方向両側の側面に短側面部313、及び、Z軸方向プラス側に容器蓋部312を有する直方体形状(角型)の容器である。つまり、容器310は、底面部315と2つの長側面部314と2つの短側面部313とで、矩形筒状で底を備える容器本体311を構成し、容器本体311の開口を容器蓋部312が閉塞する構成となっている。
具体的には、容器310は、電極体340等を容器本体311の内方に収容後、容器本体311と容器蓋部312とが溶接等によって接合されることで、内部を密封することができる構造を有している。なお、容器310(容器本体311及び容器蓋部312)の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能(接合可能)な金属であるのが好ましい。
電極体340は、電気を蓄えることができる蓄電要素(発電要素)であり、正極板と負極板とセパレータとを備え、当該正極板、負極板及びセパレータがX軸方向に積層されて形成されている。具体的には、電極体340は、正極板、負極板及びセパレータが巻回軸(電極体340の中心を貫くY軸方向の仮想軸)まわりに巻回されて形成された巻回型の電極体であり、正極集電体350及び負極集電体360と電気的に接続される。
正極板は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる長尺帯状の金属箔である正極基材層の表面に、正極合材層が形成された電極板である。負極板は、銅や銅合金などからなる長尺帯状の金属箔である負極基材層の表面に、負極合材層が形成された電極板である。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートである。なお、正極合材層及び負極合材層に用いられる正極活物質及び負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。セパレータについても、蓄電素子300の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。
より詳細には、電極体340は、正極板と負極板とが、セパレータを介して、巻回軸の方向(Y軸方向)に互いにずらして巻回されている。そして、正極板及び負極板は、それぞれのずらされた方向の端部に、合材層が形成されず基材層が露出した部分である合材層非形成部を有している。具体的には、電極体340は、巻回軸方向の一端(Y軸方向マイナス側の端部)に、正極板の合材層非形成部が積層された正極側端部341を有している。また、同様に、電極体340は、巻回軸方向の他端(Y軸方向プラス側の端部)に、負極板の合材層非形成部が積層された負極側端部342を有している。
正極集電体350は、電極体340の正極板と容器310の側壁との間に配置され、正極端子320と電極体340の正極板とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。また、負極集電体360は、電極体340の負極板と容器310の側壁との間に配置され、負極端子330と電極体340の負極板とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。具体的には、正極集電体350は、電極体340の正極側端部341に溶接などによって接合され、負極集電体360は、電極体340の負極側端部342に溶接などによって接合されている。なお、正極集電体350は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成され、負極集電体360は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金などで形成されている。
正極端子320は、正極集電体350を介して、電極体340の正極板に電気的に接続された電極端子であり、負極端子330は、負極集電体360を介して、電極体340の負極板に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子320及び負極端子330は、電極体340に蓄えられている電気を蓄電素子300の外部空間に導出し、また、電極体340に電気を蓄えるために蓄電素子300の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。なお、正極端子320及び負極端子330の材料としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金などが採用される。
本実施の形態では、それぞれが上記構成を有する8個の蓄電素子300を1列に並べた状態で、収容体100の収容用開口101から収容体100の内部に挿入する。これにより、8個の蓄電素子300のそれぞれは、収容体100の内部の底面(床面102、図2参照)に載置される。つまり、8個の蓄電素子300は、収容体100に収容される。この収容作業の際、8個の蓄電素子300のそれぞれは、一対の支持部材で支持されながら、収容体100の床面102に下ろされる。以下、この収容作業のための構造及び収容作業の手順について、図4〜図9を用いて説明する。
図4は、実施の形態に係る収容体100の構成を示す斜視図である。なお、図4では、収容体100の内部構造を明確に図示するために、収容体100を、YZ平面と平行に切断して図示している。また、図4に示す収容体100は、複数の蓄電素子300が収容される前の状態である。
図5は、実施の形態に係る扉部120及びその周辺の構造を示す断面図である。具体的には、図5では、図4におけるV−V線を通るYZ平面で切断した場合の収容体100の一部の断面が図示されている。図6は、実施の形態に係る扉部120の構造を示す拡大断面図である。
図4〜図6に示すように、収容体100は、収容体100の内部と外部とを隔てる壁部(本実施の形態では底壁部104)に形成された開口130を塞ぐ扉部120を有する。
扉部120は、板状の部材であり、本実施の形態では、収容体100の一部として、底壁部104と一体に設けられている。つまり、本実施の形態では、底壁部104及び扉部120等の各部分を有する一体成形品として収容体100が作製されている。また、本実施の形態において、2つの扉部120は、複数の蓄電素子300の並び方向である第一方向(本実施の形態ではX軸方向)と直交する第二方向(本実施の形態ではY軸方向)に並んで配置されている。
扉部120は、より詳細には、図5及び図6に示すように、開口130の周縁に設けられた接続部122と、接続部122によって回動自在に支持された板状部121とを有する。本実施の形態において、接続部122は、開口130の周縁に形成された肉厚の薄い部分であり、可撓性を有する。そのため、扉部120は、蓄電素子300の収容前の時点において、収容体100の内部に向かって開可能である。
また、板状部121の端縁(本実施の形態では、接続部122と反対側の端縁)は、底壁部104に係合可能な係合部124を有する。さらに、開口130の周縁部分における係合部124に対応する位置には、被係合部134が設けられており、係合部124が被係合部134に係合することで、扉部120の収容体100の外部に向かう回動が禁止される。
つまり、扉部120が開口130を塞いだ場合、板状部121の端縁が、開口130の周縁部分(つまり底壁部104)に引っ掛かることで、扉部120が、収容体100の外部に向かって開いた状態となることが防止される。
なお、扉部120が開口130を「塞ぐ」とは、開口130を完全に塞ぐことのみを意味しない。例えば、1辺が数センチの矩形である開口130に対して、X軸方向に数ミリ程度の隙間が空く状態で扉部120が開口130を塞いでもよい。つまり、蓄電装置10の通常の使用時において、外部の導電体と蓄電素子300とが開口130を介して接触するような事態が実質的に発生しない程度に、開口130の周縁と扉部120との間に隙間があってもよい。
本実施の形態において、複数の蓄電素子300は、上記構成を有する収容体100に、図7〜図10に示す手順で収容される。
図7〜図10は、実施の形態に係る収容体100に複数の蓄電素子300を収容する手順を示す第1〜第4の図である。なお、図7では、支持部材810と開口130等との関係を明確に図示するために、収容体100を、YZ平面と平行に切断して図示し、かつ、切断面よりも手前(X軸方向プラス側)の4つの蓄電素子300の図示は省略されている。また、図8〜図9では、収容体100は、開口130の位置における断面図で示されており、蓄電素子300については側面図で示されている。
収容体100に複数の蓄電素子300を収容する場合、まず、複数の蓄電素子300のそれぞれは、Y軸方向の両面(短側面部313)の上部(図7における部分P)が、チャック装置に挟持され、収容体100の収容用開口101から収容体100の内部に挿入される。
このとき、チャック装置の、複数の蓄電素子300を挟持している部分が収容用開口101の周縁と干渉するため、チャック装置のみでは、複数の蓄電素子300を、収容体100の床面102まで下すことはできない。
そこで、複数の蓄電素子300を収容体100の床面102まで下す作業には、複数の支持部材810を昇降させる機構を有する支持装置800が用いられる。具体的には、図7に示すように、収容体100に設けられた複数の開口130のそれぞれに支持部材810の先端部が挿入され、この状態で複数の蓄電素子300を待ち受ける。
その後、チャック装置によって上方から降ろされてきた複数の蓄電素子300のそれぞれは、図8に示すように、一対の支持部材810に接触した後に、チャック装置による挟持から解放され、一対の支持部材810により支持される。さらに、図9及び図10に示すように、一対の支持部材810が降下することで、当該一対の支持部材810に支持された蓄電素子300は、収容体100の床面102に載置される。このようにして、複数の蓄電素子300は、収容体100に収容される。
ここで、本実施の形態において、収容体100には、各開口130を塞ぐことができる扉部120が設けられている。また、1つの蓄電素子300に着目した場合、図8〜図10に示すように、蓄電素子300が一対の支持部材810に支持されながら下降することで、蓄電素子300の底面部315に対向する位置にある2つの扉部120は、蓄電素子300に押され、これにより下方に向けて回動する。その結果、蓄電素子300の底面部315に対向する位置にある2つの開口130のそれぞれは、扉部120によって塞がれる。
以上説明したように、本実施の形態に係る蓄電装置10は、蓄電素子300と、蓄電素子300を収容する収容体100とを備える。収容体100は、収容体100の内部と外部とを隔てる壁部(本実施の形態では底壁部104)に形成された開口130を塞ぐ扉部120を有する。
この構成によれば、蓄電装置10の製造時において、開口130を介して収容体100の外部から内部に挿入された支持部材810で蓄電素子300を支持しながら、蓄電素子300を収容体100に収容すること(床面102まで蓄電素子300を下すこと)ができる。また、蓄電素子300の収容後に、または蓄電素子300を収容するとともに扉部120を閉じることで、開口130は扉部120によって塞がれるため、開口130またはその近傍における別途の絶縁対策は不要である。具体的には、例えば蓄電素子300の底面部315に絶縁テープを貼付する等の作業は不要である。
また、上記構成は、以下の点でも有利である。例えば、蓄電素子300の固定のために蓄電素子300の底面部315と収容体100の床面102とを接着剤で接着する場合を想定する。この場合、蓄電素子300を床面102に直接的に固定するためには、蓄電素子300の底面部315と床面102との間において、開口130に対向する領域以外には絶縁テープ等の絶縁部材を介在させないことが好ましい。そのため、仮に、上記絶縁対策として、扉部120ではなく、絶縁テープ等の絶縁部材を用いる場合、蓄電素子300の底面部315の規定の位置に、精度よく絶縁部材を配置することが要求される。このことはさらに、蓄電装置10の製造効率向上の困難化を招く。
この点において、本実施の形態に係る蓄電装置10では、蓄電素子300の底面部315に絶縁部材を配置する等の、開口130またはその近傍における絶縁対策は不要である。そのため、接着剤を用いて蓄電素子300を収容体100の床面102に固定する場合であっても、蓄電装置10の製造を効率よく行うことができる。また、各々の蓄電素子300に対する絶縁部材の配置等の作業は不要であるため、蓄電装置10が備える蓄電素子300の数が増加した場合であっても、蓄電装置10の製造を効率よく行うことができる。
このように、本実施の形態に係る蓄電装置10は、蓄電素子300を収容する収容体100を備える蓄電装置10であって、効率よく製造することができる蓄電装置10である。
また、本実施の形態において、扉部120は、収容体100の内部に向かって開可能である。この構成によれば、例えば、支持部材810の先端で扉部120を開けながら(内部に向かって回動させながら)支持部材810を収容体100の内部に挿入することができる。また、蓄電素子300の収容後に支持部材810を収容体100から抜き出した場合、収容体100の内部に向かって開いた状態の扉部120を、例えば蓄電素子300から押圧されることで、または、扉部120の自重によって、閉じた状態にさせることができる。つまり、蓄電素子300の収容体100への収容作業における一連の流れの中で、蓄電素子300の重量等を利用した扉部120の閉動作が自動的に実行される。
なお、本実施の形態では、扉部120は、その扉部120に対応する蓄電素子300の収容前の時点において、収容体100の内部に向かって開可能であり、蓄電素子300の収容後においては、扉部120は開不可であってもよい。また、本実施の形態において、扉部120は、収容体100の内部に向かって開可能であり、かつ、収容体100の外部に向かって開不可である、ということもできる。
また、本実施の形態において、収容体100に形成された開口130の大きさは、開口130と対向する位置にある蓄電素子300の、当該開口130から見た場合の大きさよりも小さい。言い換えると、平面視(Z軸方向から見た場合)における開口130の大きさは、平面視における蓄電素子300の大きさよりも小さい。
より具体的には、開口130の大きさは、例えば図7から分かるように、蓄電素子300が通過できない大きさである。つまり、開口130が比較的に小さいため、例えば、開口130が存在することによる収容体100の強度の低下が抑制される。また、この場合であっても、蓄電素子300が収容体100に収容された後に開口130に設けられた扉部120を閉じた状態にすることができる。つまり、支持部材810の挿入のための開口130を簡易な構成で塞ぐことができ、かつ、収容体100の所定の強度を確保することができる。
また、本実施の形態において、扉部120は、収容体100における、蓄電素子300が挿入される収容用開口101とは異なる位置に配置されている。
つまり、本実施の形態において、扉部120が配置される開口130であって、挿入された支持部材810を蓄電素子300と接触可能にする開口130は、1以上の蓄電素子300が挿入される開口(つまり、収容用開口101)ではない。この構成によれば、例えば、収容体100に蓄電素子300を挿入する作業を邪魔することなく、支持部材810によって、蓄電素子300を支持することができる。
また、本実施の形態において、扉部120は、蓄電素子300の底面(底面部315)に対向する位置に配置されている。この構成によれば、収容体100の上方から蓄電素子300を収容体100の内部に収容する際に、蓄電素子300を真下から支持部材810で支持することができるため、支持が容易である。
また、本実施の形態において、収容体100は、複数の扉部120を有している。この構成によれば、例えば、複数の支持部材810を収容体100に挿入することができるため、複数の支持部材810で蓄電素子300を安定的に支持することができる。
また、本実施の形態に係る蓄電装置10は、第一方向(X軸方向)に並んで配置された複数の蓄電素子300を備え、複数の扉部120のうちの少なくとも2つの扉部120は、第一方向と直交する第二方向(Y軸方向)に並んで配置されている。
具体的には、本実施の形態では、複数の蓄電素子300は、各々の長側面(長側面部314)が隣り合うようにX軸方向に並べられる。また。並び方向に直交するY軸方向に少なくとも2つの扉部120が配置される。そのため、1以上の蓄電素子300の、Y軸方向に長尺状の底面部315を、同じくY軸方向に並ぶに少なくとも2つの支持部材810で支持することができる。つまり、少なくとも2つの支持部材810により、1以上の蓄電素子300を安定的に支持することができる。
また、本実施の形態において、収容体100は、複数の蓄電素子300それぞれの、第一方向(X軸方向)への移動を規制する規制部を有する。具体的には、例えば図4に示すように、蓄電素子300の長側面部314の下部に当接する位置にある第一規制部114と、長側面部314の上部に当接する位置にある第二規制部112とが収容体100に設けられている。
つまり、複数の蓄電素子300のそれぞれを支持部材810で支持しながら収容体100の床面102まで下ろす際に、蓄電素子300が倒れやすい方向であるX軸方向に規制部が配置されている。そのため、各蓄電素子300を床面102まで下す作業を安定的に実行することができる。
なお、収容体100に、第一規制部114及び第二規制部112のうちの少なくとも一方が配置されていなくてもよい。また、例えば、第一規制部114及び第二規制部112のうちの第一規制部114のみが収容体100に配置されている場合などにおいて、第一規制部114の床面102からの高さhは、所定の高さ以上であることが好ましい。
具体的には、図8及び図9から分かるように、蓄電素子300が収容体100に収容される際に、蓄電素子300の底面部315の床面102からの高さが所定の高さに到達した場合、蓄電素子300の支持のために蓄電素子300に直接的に接触する部材が、支持部材810から扉部120に切り替わる。このとき、例えば、蓄電素子300が扉部120(板状部121)の端縁に乗り上げることにより、蓄電素子300が不安定となる可能性もある。そこで、第一規制部114の床面102からの高さhは、当該所定の高さ以上であることが好ましい。これにより、蓄電素子300の収容作業時における蓄電素子300の安定性がより確実化される。
また、本実施の形態において、扉部120は、例えば図6に示すように、開口130の周縁に設けられた接続部122と、接続部122によって回動自在に支持された板状部121とを有している。
具体的には、本実施の形態では、扉部120を、収容体100の壁部(底壁部104)と一体の構成要素として収容体100に備えている。つまり、例えば部品点数を増加させない態様で、1以上の扉部120が収容体100に設けられており、このことも、蓄電装置10の製造効率の向上に寄与する。
また、本実施の形態において、扉部120が有する板状部121の端縁は、壁部(底壁部104)に係合可能な係合部124を有している。つまり、板状部121の回り止めとして底壁部104の一部が利用されており、このため、板状部121が外側に開かないように規制するための複雑な構造または別部材は不要である。
(他の実施の形態)
以上、本発明に係る蓄電装置について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、開口130を塞ぐ扉部120は、平面視において、蓄電素子300の長手方向(Y軸方向)に沿って回動するとした。つまり、扉部120の回動軸は蓄電素子300の短手方向(X軸方向)に沿った方向であるとした。しかし、扉部120の回動する方向はこれに限定されない。
図11は、蓄電素子300の短手方向(X軸方向)に沿って回動する扉部220を有する収容体100aの構成概要を示す部分拡大図である。
例えば図11に示すように、扉部220が、平面視において蓄電素子300の短手方向(X軸方向)に沿って回動するように、収容体100aに設けられている場合であっても、上記実施の形態で説明した各種の効果を得ることができる。例えば、蓄電素子300の収容作業後には、開口130は扉部220によって塞がれた状態となるため、開口130またはその近傍における別途の絶縁対策(絶縁テープの配置等)は不要である。また、支持部材810が開口130から抜き出された場合に、例えば蓄電素子300から押圧されることで、または、扉部220の自重によって、扉部220を閉じた状態にさせることができる。つまり、蓄電素子300の収容体100aへの収容作業の一連の流れの中で、蓄電素子300の重量等を利用した扉部220の閉動作が自動的に実行される。
また、本実施の形態では、扉部120及び開口130は、収容体100の底壁部104に設けられており、つまり、蓄電素子300の底面部315に対向する位置に存在する。しかし、扉部120及び開口130は、例えば、側壁部103(図2参照)に設けられてもよい。
つまり、蓄電素子300に対して側方から挿入された支持部材で蓄電素子300を支持することも可能である。この場合であっても、例えば、開口130の上部周縁に接続された扉部120を、蓄電素子300に押圧されることで、または、扉部120の自重によって閉じさせることも可能である。また、例えば、扉部120を、回動式ではなく、上下方向に移動するスライド式に設けることで、扉部120を、蓄電素子300に押圧されることで、または、扉部120の自重によって、閉じさせることも可能である。
例えば、Y軸方向のいずれかの側壁部103または第一規制部114にX軸方向に窪んだ凹部をZ軸方向に沿って上下に形成しておく。さらに、扉部120は底壁部104と別体で設けておき、前述した凹部に当接する凸部を形成しておく。この凸部が凹部に嵌合しながら上下方向にスライドすることで扉部120を上下方向にスライドさせることができる。この場合、支持部材810はその長手方向に延在する側面が、扉部120にZ軸方向から当接する態様で蓄電素子300を支持することができる。
また、スライド式は上下方向(Z軸方向)だけでなく、Y軸方向にスライド可能な態様を採用することも可能である。例えば、底壁部104において、扉部120を収容可能な戸袋部(図示しない)を扉部120に対するY軸方向の位置に設ける。この戸袋部に対して扉部120を出退させるように、扉部120をY軸方向にスライド移動させることで、扉部120が開口130を露出させたり塞いだりすることも可能である。この場合、扉部120が戸袋部側にスライド移動している状態、つまり、開口130が外部に露出している状態において、支持部材810はその先端が蓄電素子300の底面部315にZ軸方向から当接する態様で蓄電素子300を支持することができる。そして、蓄電素子300が床面102(底壁部104)に当接して収容体100の内部に完全に収まった時点で、扉部120が戸袋部側からスライド移動して、開口130を扉部120によって塞ぐことができる。なお、本例における戸袋部は、扉部120の全体を収納する態様であっても構わないし、X軸方向の一方と他方とに配置された一対のレール状の部位を有する戸袋部が、扉部120を支持する態様でも構わない。さらに、扉部120を開閉する目的で、作業者の指または操作装置の先端等を引っかけるための突起または溝等を扉部120に設けても構わない。
また、本実施の形態では、収容体100は、開口130と、開口130を塞ぐ扉部120とを1対1で備えている。しかし、例えば1つの支持部材810が挿入される1つの開口が、観音開き式の2つの扉部で塞がれるように構成されていてもよい。また、2以上の支持部材810が挿入される1つの開口が、1つの扉部で塞がれるように構成されていてもよい。つまり、開口と、当該開口を塞ぐための扉部とは1対多で対応していてもよい。また、開口と、当該開口に挿入される支持部材とは、1対多で対応していてもよい。いずれの場合であっても、1以上の支持部材810を、開口を介して収容体100に挿入することができ、かつ、当該開口を1以上の扉部で塞ぐことができる。
また、1つの支持部材が挿入される開口が、複数の蓄電素子300に対応してもよい。例えば、複数の蓄電素子300の並び方向(X軸方向)に長尺状の開口を収容体100の底壁部104に設けてもよい。この場合、X軸方向に長尺状の先端部を有する支持部材(例えば、XZ平面に平行な平板状の支持部材)を当該開口から挿入することで、1つの支持部材で、複数の蓄電素子300を下方から支持することも可能である。
また、蓄電装置10が備える複数の蓄電素子300のそれぞれの形状は角型には限定されない。例えば、円筒状の電池が蓄電素子300として採用されてもよい。つまり、蓄電素子300の形状がどのようなものであっても、蓄電素子300の収容体100への収容作業に、収容体100に挿入して使用する支持部材が必要である場合に、上記実施の形態等に係る蓄電装置10の構造は有用である。
また、蓄電素子300が有する電極体340は、正極板と負極板とセパレータとが縦方向に巻回(図3においてY軸方向に平行な巻回軸にて巻回)されて形成された縦巻きの巻回型形状であるとした。しかし、電極体340は、正極板と負極板とセパレータとが横方向に巻回(Z軸方向に平行な巻回軸にて巻回)されて形成された横巻きの巻回型形状であってもよいし、平板状極板を積層した積層型形状であってもよい。また、電極体340は、長尺帯状の電極板が折り畳まれることで形成されていてもよい。
また、蓄電装置10は、上記説明された蓄電素子300、収容体100及びバスバー以外の構成要素を有してもよい。蓄電装置10は、例えば、CMU(Cell Monitoring Unit)またはBMU(Battery Management Unit)等の電気機器を備えてもよい。
また、蓄電装置10の製造に用いられる支持部材810の形状は、例えば、図7に示すような角棒状である必要はない、例えば、支持部材810の形状は丸棒状であってよい。また、支持部材810の、蓄電素子300を支持する先端部は例えば曲面を有してもよい。支持部材810の先端部が曲面を有することで、例えば、蓄電素子300の収容作業の途中において、蓄電素子300に直接的に接触する部材が支持部材810から扉部120に切り替わる際に、この切り替わりがスムースに行われる。