JP2018124286A - コンクリートの脱塩処理システム、再アルカリ化処理システム、並びにこれらに用いる塩分センサ及びpHセンサ - Google Patents

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【課題】コンクリート中の塩分量を定量的に且つ実時間に近い状態で把握し、脱塩処理の終了時点を決定できるコンクリートの脱塩処理システムを提供する。
【解決手段】コンクリート構造物の表面に設置された陽極30と鉄筋又は鉄骨を陰極20として直流電圧を印加する電圧印加手段と、アルカリ性溶液を陽極の近傍に配置するアルカリ性溶液配置手段と、センサ挿入穴に挿入された塩分検出電極ワイヤ60の検知信号を入力して、コンクリート構造物の塩分が減少して鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化したか判断し、鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化するまで、電圧印加手段による給電とアルカリ性溶液配置手段によって陰極となる鉄筋又は鉄骨の近傍から陽極側への塩素イオンの電気泳動を継続する脱塩処理制御手段とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、海からの海塩や融雪剤の多量散布により塩害を受けているコンクリート構造体に用いて好適なコンクリートの脱塩処理システムに関し、特にコンクリート内部の塩分を定量的に除去する脱塩処理システムに関する。
また、本発明は大気中の炭酸ガスに長期間暴露しているために生じるコンクリート構造体の中性化対策に用いて好適なコンクリートの再アルカリ化処理システムに関し、特にコンクリート内部のpHを定量的に測定して再アルカリ化する再アルカリ化処理システムに関する。
さらに、本発明は上記のコンクリートの脱塩処理システム又は再アルカリ化処理システムに用いて好適な塩分センサ及びpHセンサに関する。
日本では、海岸地域にコンクリート構造物が多く建設されており、高度成長期に建設された建造物の多くは、施工から40年乃至50年の経過により、いわゆる塩害を生じている。即ち、コンクリート中の多量の塩分を放置すると中の鉄筋が腐食し、そのさびの膨張によりコンクリートに重大な破壊をもたらす。
この破壊メカニズムは次のように説明されている。即ち、鉄筋コンクリート構造物において、施工当初においてはセメントから供給される多量の水酸化カルシウムにより、鉄筋はpH12以上という高いアルカリ状態に保たれている。これにより鉄筋は不動態被膜という薄い酸化化合物の被膜で覆われ、錆びることが防止されている。しかし、塩化物イオンがコンクリート中に存在すると、この被膜が破壊され、鉄筋が錆び始める。鉄筋コンクリートは、圧縮強度に関してはコンクリートが負担し、引張強度に関しては鉄筋が負担しているところ、鉄筋が腐食により損壊されると、さびの膨張によりコンクリートも損壊して、コンクリート構造物全体としての強度も失われる。
そこで、例えば非特許文献1、2に示すように、コンクリート中の多量の塩分を除去する手法(脱塩処理)が提案されている。即ち、海塩によりコンクリート中に侵入した塩化物イオンの一部は細孔溶液中の溶解イオンとして存在している。そして、コンクリート中に存在する塩化物イオンを電気化学的に内部から外部へ抽出する技術があり、電気化学的脱塩法と呼ばれている。我が国においても、これまでに脱塩法に関して多くの研究がなされ、土木学会の設計施工指針案として第一段階の完成を見ている(非特許文献1参照)。
しかし、そのような脱塩処理では、コンクリート中の塩分量が定量的に把握できないために、定期的にコンクリートを採取し、その塩分量を測定する必要があった。このため、採取・分析時間が掛かることにより、予算や経費の見積もりが遅滞して、工期が数か月程度遅れる事案があった。さらに、採取時に一定量のコンクリート(例えば、50mm径x50mm長さ)がコア抜きに必要なために、この採取に伴なう欠損が被検査対象のコンクリートに生じる課題があった。
また、脱塩処理では標準施工期間を設けて、コンクリート中の塩分量の測定を行わないことも考えられるが、コンクリート中の塩分量は海水のかぶり方や融雪剤の散布状況によって大幅に変動するため、標準施工期間では安全率をみて工期が長めになり、施工価格が高止まりするという課題があった。
さらに、日本国の高度成長期に建設された既設のコンクリート構造物では、大気中の炭酸ガスに長期間暴露しているために、コンクリートの中性化が進行している。そこで、塩害を生じたコンクリートほど深刻ではないものの、中性化したコンクリートについても、コンクリートを再アルカリ化処理法することが、コンクリート構造物の寿命を延ばす上で好ましい。
特開2011−127158号公報
『塩害を受けたコンクリート構造物の脱塩工法に関する共同研究報告書』、整理番号第382号、平成20年3月、独立行政法人土木研究所 http://www.pwri.go.jp/caesar/manual/pdf/0382.pdf 『電気化学的補修工法』、平成9年1月、電気化学工業株式会社 http://www.technocrete.gr.jp/construction/rebirth/alkareat.html
本発明は、上述した課題を解決するもので、被検査対象のコンクリートに生じる欠損が僅少ですむと共に、コンクリート中の塩分量が定量的に且つ実時間に近い状態で把握することで、コンクリートの脱塩処理の終了時点を決定できるコンクリート構造物の脱塩処理システム及び再アルカリ化処理システムを提供することを目的とする。
また本発明は、上記のコンクリート構造物の脱塩処理システム及び再アルカリ化処理システムに用いて好適な、塩分センサ及びpHセンサを提供することを目的とする。
本発明のコンクリート構造物の脱塩処理システム又は再アルカリ化処理システム用の塩分検出電極ワイヤ60は、上記コンクリート構造物の脱塩処理法又は上記コンクリート構造物の再アルカリ化処理法で使用される塩分検出電極ワイヤ60であって、塩分検出電極ワイヤ60は、銀、銅、鉛、水銀からなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を塩化物処理したものであることを特徴とする。銀、銅、鉛、水銀は、塩分検出電極ワイヤ用の材料として、水酸化カルシウム水溶液中において安定性が高く、素材価格も安価で、精度が高い金属である。
好ましくは、塩分検出電極ワイヤ60は、直径3mm以下であって、0.1mm以上であるとよい。直径3mm以下であれば、コンクリート構造物10の表面にセンサ挿入穴62を形成しやすく、また塩分検出電極ワイヤ60もセンサ挿入穴62に挿入しやすい。直径0.1mm以上であれば、塩分検出電極ワイヤ60の剛性が高くセンサ挿入穴62に挿入しやすい。
本発明のコンクリート構造物の脱塩処理システム又は再アルカリ化処理システム用のpH検出電極ワイヤ70は、上記コンクリート構造物の脱塩処理法又は上記コンクリート構造物の再アルカリ化処理法で使用されるpH検出電極ワイヤであって、前記pH検出電極ワイヤは、タングステン、鉄、ニッケル、銅、イリジウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を酸化物処理したものであることを特徴とする。タングステン、鉄、ニッケル、銅、イリジウムは、pH検出電極ワイヤ用の材料として、実用性が高く、精度が高い金属である。
好ましくは、pH検出電極ワイヤ70は、直径3mm以下であって、0.1mm以上であるとよい。直径3mm以下であれば、コンクリート構造物10の表面にセンサ挿入穴72を形成しやすく、またpH検出電極ワイヤ70もセンサ挿入穴72に挿入しやすい。直径0.1mm以上であれば、pH検出電極ワイヤ70の剛性が高くセンサ挿入穴72に挿入しやすい。
本発明のコンクリート構造物の脱塩処理システムは、例えば図1、図8に示すように、コンクリート構造物10の表面に設置された陽極30と、コンクリート構造物10の内部に位置する鉄筋又は鉄骨を陰極20として、陽極30と当該陰極との間で直流電圧を印加する電圧印加手段40と、水酸化カルシウム飽和水溶液又はほう酸リチウム水溶液を主成分とする脱塩処理用アルカリ性溶液36を陽極30の近傍に配置するアルカリ性溶液配置手段34と、銀、銅、鉛、水銀からなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を塩化物処理した塩分検出電極ワイヤ60と、コンクリート構造物10の表面に設けられたセンサ挿入穴62に挿入された塩分検出電極ワイヤ60の検知信号を入力して、コンクリート構造物10の塩分が減少して鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化したか判断し、前記鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化するまで、電圧印加手段40による給電とアルカリ性溶液配置手段34によって陰極20となる鉄筋又は鉄骨の近傍から陽極側への塩素イオンの電気泳動を継続する脱塩処理制御手段64とを備えるものである。
本発明のコンクリート構造物の脱塩処理システムにおいて、好ましくは、さらに、タングステン、鉄、ニッケル、銅、イリジウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を酸化物処理したpH検出電極ワイヤ70を有し、脱塩処理制御手段64は、コンクリート構造物10の表面に形成されたセンサ挿入穴に挿入されたpH検出電極ワイヤ70の検知信号を入力して、コンクリート構造物10の塩分が減少すると共に、検知されたpHのアルカリ性から、鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化したか判断するとよい。
本発明のコンクリート構造物の再アルカリ化処理システムは、例えば図1、図8に示すように、コンクリート構造物10の表面に設置された陽極30と、コンクリート構造物10の内部に位置する鉄筋又は鉄骨を陰極20として、陽極30と陰極20との間で直流電圧を印加する電圧印加手段40と、炭酸ナトリウムを主成分とする再アルカリ化処理用のアルカリ性溶液38を陽極30の近傍に配置するアルカリ性溶液配置手段34と、タングステン、鉄、ニッケル、銅、イリジウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を酸化物処理したpH検出電極ワイヤ70と、コンクリート構造物10の表面に形成されたセンサ挿入穴72に挿入されたpH検出電極ワイヤ70の検知信号を入力して、コンクリート構造物10のpHが10.7程度以上となって鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化したか判断し、前記鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化するまで、電圧印加手段40による給電とアルカリ性溶液配置手段34によって陰極20となる鉄筋又は鉄骨近傍への電気浸透を継続する再アルカリ化処理制御手段74とを備える。
本発明のコンクリート構造物の再アルカリ化処理システムにおいて、好ましくは、さらに、銀、銅、鉛、水銀からなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を塩化物処理した塩分検出電極ワイヤ60を有し、再アルカリ化処理制御手段74は、被検査対象のコンクリート構造物10の表面に形成されたセンサ挿入穴62に挿入された塩分検出電極ワイヤ60の検知信号を入力して、コンクリート構造物10の塩分検知値と、検知されたpHのアルカリ性から、鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化したか判断するとよい。
本発明のコンクリート構造物の脱塩処理システム又は再アルカリ化処理システムにおいて、好ましくは、さらに、被検査対象のコンクリート構造物10の表面に形成されたセンサ挿入穴62に挿入された塩分検出電極ワイヤ60の検知信号と、被検査対象のコンクリート構造物の表面に形成されたセンサ挿入穴72に挿入されたpH検出電極ワイヤ70の検知信号を少なくとも一方を遠隔送信する送信手段を備え、脱塩処理制御手段64又は再アルカリ化処理制御手段74は、前記送信手段からの前記塩分検出電極ワイヤの検知信号又はpH検出電極ワイヤ70の検知信号の少なくとも一方を受信するとよい。
本発明のコンクリートの脱塩処理システムによれば、塩分量の測定時間を必要とせずに、現場(In-situ)で分析可能とした。さらに、塩分検出電極ワイヤ60とpH検出電極ワイヤ70を同時にコンクリート中に挿入する場合には、コンクリート構造物10の塩分とpHを検出して、この検出した塩分値およびpHから適切な電流値および終了時点を決定できる。
これによりコンクリートの脱塩処理において不必要な電流を使用しないために、大幅な節電となると共に、陽極をコンクリート構造物の表面に仮設して用いる場合には、一ヶ所で使用する仮設用陽極の設置期間が最適化されるため、仮設用陽極を繰り返して使用してコンクリート構造物の表面全体を脱塩処理する場合の工事期間が短縮できると共に、工事費用が最適化される。
さらに、本発明のコンクリートの脱塩処理法によれば、過剰な電流による鉄筋とコンクリート界面の剥離、また、コンクリートの著しいpH低下等を防ぐことができ、安全性および確実性も格段に向上する。
本発明のコンクリートの再アルカリ化処理システムにおいて、塩分検出電極ワイヤ60とpH検出電極ワイヤ70を同時にコンクリート中に挿入する場合には、Ca(OH)中で脱塩処理することで再アルカリ化を進めるときもpHの定量評価により適切な処理(時間、電流)が可能である。そこで、コンクリート構造物10の中性化が進んだ場合では、再アルカリ化を行なう際にもpHを検出可能なセンサ70により、効率的な処理が可能となる。
本発明のコンクリート構造物の脱塩処理システム又は再アルカリ化処理システムは、日本国の高度成長期に建設され、すでに塩害や中性化で劣化した既設のコンクリート構造物を再生させる有効なシステムであり、経済的効果が高いといえる。これにより、既設コンクリート構造物の再生がより簡単に行えるため、地方公共団体の財政的制限や交通需要の伸び悩み乃至減少といった社会環境の変化によって、コンクリート構造体を掛け替えて新たな社会需要に応える施策と比較して、優れた社会経済的効果を有する。
本発明のコンクリート構造物の脱塩処理法又は再アルカリ化処理法における一実施形態に係るコンクリート試験体とセンサ設置状況を説明する構成ブロック図である。 本発明のコンクリート構造物の脱塩処理法の電気化学的作用モデル図である。 本発明のコンクリート構造物の再アルカリ化処理法の電気化学的作用モデル図である。 本発明のコンクリート構造物の脱塩処理法の全体を説明する流れ図である。 本発明のコンクリート構造物の脱塩処理工程の詳細を説明する流れ図である。 本発明のコンクリート構造物の再アルカリ化処理法の全体を説明する流れ図である。 本発明のコンクリート構造物の再アルカリ化処理工程の詳細を説明する流れ図である。 本発明の一実施形態に係るコンクリート試験体とセンサ設置状況を説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る塩分量とpHのキャリブレーションを説明する構成図である。 本発明の一実施形態に係る脱塩工程における塩分量(Cl/M)の経時変化を説明するグラフである。 本発明の一実施形態に係る脱塩工程におけるpHの経時変化を説明するグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、説明の便宜上、本発明のコンクリートの脱塩処理法を例に説明し、設備検査用部材に関しては設備補修用部材の説明を適宜に読み替えると共に、設備検査用部材に特有の構成に関しては明示的に言及することとする。
また、本明細書において「脱塩処理」とは、コンクリート内部から塩分を除去し健全な状態に戻す処理工法をいう。脱塩工法の施工後は外来塩分による再汚染を防止するためコンクリート表面に保護処理をするのが一般的である。図2に示すように、電気化学的な脱塩処理工法では、鉄骨や鉄筋を陰極として、コンクリート表面に陽極材を設置し、陽極と陰極との間で直流電流を流し、塩素イオンを電解質溶液に移動させて、コンクリート内部から塩分を除去し健全な状態に戻している。
「再アルカリ化処理」とは、中性化を受けたコンクリートにアルカリを再付与し、健全な状態に再生することをいう。図3に示すように、再アルカリ化処理には、例えば電気化学的浸透原理が用いられる。ここで、中性化とは、空気中の二酸化炭素や水がコンクリートの毛細孔・空隙から浸入することにより水酸化カルシウムが炭酸化してコンクリートのpHを低下させる現象をいう。この中性化現象により鉄筋周辺のコンクリートが中性化することにより鉄筋が錆び、その膨張力によってコンクリートが破壊される。
図1は、本発明のコンクリート構造物の脱塩処理法及び再アルカリ化処理法における一実施形態に係るコンクリート試験体とセンサ設置状況を説明する構成ブロック図である。図において、コンクリート構造物10は陸上構造物や海上構造物・海中構造物として築造された既設構造物で、コンクリートの引張強度不足を補なうために、適切なコンクリートの被り厚さを有する鉄筋又は鉄骨を備えている。脱塩処理法では、陰極20としてこの鉄筋又は鉄骨を使用する。陽極30は、コンクリート構造物10の表面に設けられるもので、既設のコンクリート構造物10の場合にはチタンのような導電性の金属よりなる金網が仮設で用いられる。仮設とすることで、大規模構造物の場合には、区画に分割して、単一又は少数の陽極30を用いても脱塩処理を各区画ごとに行うことで、全体の脱塩処理が行える。
アルカリ性溶液配置手段34としての電解質溶液保持材34は、水酸化カルシウム飽和水溶液又はほう酸リチウム水溶液を主成分とする脱塩処理用アルカリ性溶液36を陽極30の近傍に配置するために用いるもので、例えば多孔質で柔軟性のある気泡性プラスチック、繊維質の織物や、電解質溶液槽を形成する為のアクリル製パネル材が用いられる。電解質溶液保持材34は、脱塩処理用アルカリ性溶液36が水分の蒸発により電解質の濃度が変動したり、外部に漏洩して
電圧印加手段40としての直流電源装置40は、陽極30と陰極20との間で直流電圧を印加するものである。例えば脱塩処理の場合には電流密度1A/m程度、通電電圧5〜50V、通電期間約8週間であるから、一回の脱塩処理で対象となるコンクリート構造物10の面積に応じて直流電源装置40の電源容量を定める。再アルカリ化処理の場合には電流密度1A/m程度、通電電圧5〜50V、通電期間約1〜2週間であるから、一回の脱塩処理で対象となるコンクリート構造物10の面積に応じて直流電源装置40の電源容量を定める。直流電源監視装置42は、直流電源装置40の給電状態を監視している。陰極側配線22は、直流電源装置40と陰極20となる鉄骨や鉄筋とを接続する。陽極側配線32は、直流電源装置40と陽極30となる導電性金属製金網とを接続する。
塩分検出電極ワイヤ60は、コンクリート構造物10の塩分測定用センサで、金属に金属塩を形成して作製できる。塩分検出電極ワイヤ60の素材金属では、銀、銅、鉛、水銀、それに加えて金、白金、タリウムが好適である。このうち、金、白金、タリウムは素材価格が高いので、銀、銅、鉛、水銀で検討した。特に、コンクリートが強アルカリであるため、この中で溶解せずに安定であることが必須となる。塩分検出電極ワイヤ60に銀を用いると、Ag/AgCl電極は、コンクリート模擬溶液(Ca(OH))中において安定性が高く、また精度が高い。また、塩分検出電極ワイヤ60は、銅、鉛、水銀においても銀と同様に測定可能である。
pH検出電極ワイヤ70は、コンクリート構造物10のpH測定用センサで、金属に金属酸化物を形成して作製できる。pH検出電極ワイヤ70の素材金属では、タングステン、鉄、ニッケル、銅、イリジウムがある。コンクリートが強アルカリであるため、この中で溶解せずに安定であることがpH検出電極ワイヤ70の素材金属の必須要件となる。このうち、実施例で示すように、タングステンを用いて作製した、W/WOx電極は、コンクリート模擬溶液(Ca(OH))中において安定性が高く、また精度が高い。また、pH検出電極ワイヤ70は、鉄、ニッケル、銅、イリジウムにおいても測定可能である。
塩分センサ挿入穴62とpHセンサ挿入穴72は、既設のコンクリート構造物10を出来る限り破壊しないことが重要であり、また鉄筋部分のコンクリート被り厚は、例えば50mm程度であるため、このコンクリート被り厚に見合うものであればよい。このため、塩分センサ挿入穴62とpHセンサ挿入穴72は、塩分検出電極ワイヤ60やpH検出電極ワイヤ70の外径よりも僅かに大きいもので足り、例えば内径5mm程度で深さ50mm程度であればよい。
塩分検出電極ワイヤ60とpH検出電極ワイヤ70は、コンクリート内部のモニタリング用途であり、コンクリート構造物10の本体に損傷を与えないために、出来る限り細いものが優れている。このため、塩分検出電極ワイヤ60とpH検出電極ワイヤ70は、極細金属線(例えば直径0.1mm〜3mm)を内部に差し込む構造のセンサ電極としている。
次に、このように構成された装置におけるコンクリート構造物の脱塩処理法及び再アルカリ化処理法を説明する。
図4は、本発明のコンクリート構造物の脱塩処理法の全体を説明する流れ図である。図において、最初に被検査対象のコンクリート構造物10の表面に形成されたセンサ挿入穴62に塩分検出電極ワイヤ60を挿入する(S100)。次に、コンクリート構造物10の脱塩処理を行う(S102)。この脱塩処理の詳細は、図5を用いて後で詳細に説明する。続いて、塩分検出電極ワイヤ60で検出されたコンクリート構造物10の塩分検出値と脱塩処理完了閾値とを比較する(S104)。この比較工程で塩分検出値が脱塩処理完了閾値よりも高いと判断された場合は脱塩処理を続行すると判断してS102に戻り、低いと判断された場合は脱塩処理を完了と判断する(S106)。そして、脱塩処理が完了と判断された後に、コンクリート構造物10の表面を保護処理して(S108)、外来塩分による再汚染から防止する。
図5は、本発明のコンクリート構造物の脱塩処理工程の詳細を説明する流れ図である。脱塩処理工程では、最初にコンクリート構造物10の表面に陽極を設置する(S120)。また、水酸化カルシウム飽和水溶液又はほう酸リチウム水溶液を主成分とする脱塩処理用アルカリ性溶液36を陽極30の近傍に配置する(S122)。ここでは、陽極30とコンクリート構造物10の表面との間に電解質溶液保持材34を設けて、電解質溶液保持材34により脱塩処理用アルカリ性溶液36を保持する。次に、コンクリート構造物10の内部に位置する鉄筋又は鉄骨を陰極20として、陽極30と陰極20との間で直流電圧を印加する(S124)。すると、脱塩処理用アルカリ性溶液36によって、陰極20となる鉄筋又は鉄骨の近傍から陽極側への塩素イオンの電気泳動が行なわれる(S126)。そして、コンクリート構造物10の塩分が減少して鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化したか判断し(S128)、鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化するまで、S124に戻って直流電圧印加工程と電気泳動工程を継続する。
図6は、本発明のコンクリート構造物の再アルカリ化処理法の全体を説明する流れ図である。図において、最初に被検査対象のコンクリート構造物10の表面に形成されたセンサ挿入穴72にpH検出電極ワイヤ70を挿入する(S200)。次に、コンクリート構造物10の再アルカリ化処理を行う(S202)。この再アルカリ化処理の詳細は、図7を用いて後で詳細に説明する。続いて、pH検出電極ワイヤ70で検出されたコンクリート構造物10のpH検出値と再アルカリ化処理完了閾値とを比較する(S204)。この比較工程でpH検出値が再アルカリ化処理完了閾値よりも高いと判断された場合は前記再アルカリ化処理を続行すると判断してS202に戻り、低いと判断された場合は再アルカリ化処理を完了と判断する(S206)。そして、再アルカリ化処理が完了と判断された後に、コンクリート構造物10の表面を保護処理して(S208)、コンクリート構造物10に含まれる水酸化カルシウムが空気中の二酸化炭素に反応して炭酸カルシウムの生成を防止する。
図7は、本発明のコンクリート構造物の再アルカリ化処理工程の詳細を説明する流れ図である。再アルカリ化処理工程では、最初にコンクリート構造物10の表面に陽極30を設置する(S220)。また、炭酸ナトリウムを主成分とする再アルカリ化処理用アルカリ性溶液38を陽極30の近傍に設置する(S222)。ここでは、陽極30とコンクリート構造物10の表面との間に電解質溶液保持材34を設けて、電解質溶液保持材34により再アルカリ化処理用アルカリ性溶液38を保持する。次に、コンクリート構造物10の内部に位置する鉄筋又は鉄骨を陰極20として、この陽極30と陰極20との間で直流電圧を印加する(S224)。すると、再アルカリ化処理用アルカリ性溶液38によって陰極20となる鉄筋又は鉄骨近傍への電気浸透が行なわれる(S226)。そして、コンクリート構造物10のアルカリ性がpH10.7程度以上として鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化したか判断し(S228)、鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化するまで、S224に戻って直流電圧印加工程と電気浸透工程を継続する。
次に、本発明者が行った実施例について説明する。
(試験材の作成)
コンクリート構造物10としてのコンクリート試験材は、普通ポルトランドセメントおよび山砂を用い、水/セメント比を0.5として作成した。各成分を良く混合して金型に流し込み、図8のような試験材を作成した。併せて極細(0.5mm径)の竹ひごをコンクリート試験材に埋め込み、硬化後に抜き取ることで塩分センサ及びpHセンサ挿入用細孔62、72を作成した。水中養生を1か月行った後、サイド部をシールして試験に供した。鉄筋の位置は、試験面からのかぶり厚(モルタルの厚さ)が、40mmとなるようにし、同様に、塩分センサ及びpHセンサ挿入用細孔62、72の深さは、5、10、20、30mmとした。鉄筋には、普通炭素鋼(SM:0.15C−0.2Si−1.5Mn−Fe)を用いた。
(センサ電極作製)
塩分検出電極ワイヤ60とpH検出電極ワイヤ70については、環境測定用マイクロ電極を用いている。塩分検出電極ワイヤ60は、塩化物イオン測定にAg/AgClマイクロ電極を独自に作成したもので、0.3mm径のAgワイヤを用い、0.1M−HCl溶液中で500mV、2時間で作成した。また、pH検出電極ワイヤ70では、W/WOxマイクロ電極を独自に作成したもので、0.3mm径のWワイヤを用い、10%−HNO溶液中で18時間で作成した。腐食試験溶液は、NaCl溶液およびHCl溶液を用い、0.5M/lのClイオン溶液を調整し、室温(25℃)において用いた。
図9はAg/AgClマイクロ電極およびW/WOxマイクロ電極のキャリブレーション曲線で、(A)は塩分検出電極ワイヤ60のもので、横軸は塩素イオン濃度、縦軸は起電力を示しており、(B)はpH検出電極ワイヤ70のもので、横軸はpH、縦軸は起電力を示している。溶液作製では、Ag/AgClマイクロ電極では、飽和Ca(OH)溶液に塩分量を変化させた。得られたキャリブレーションは、良い直線性を示しており、広い塩分範囲で適用可能であることを示している。その他の金属として、銅、鉛、水銀も測定可能であるが、本件で示す銀が最も精度が高いことを確認した。
また、W/WOxマイクロ電極では、NaSO溶液にHClおよびNaOHでpHを変化させた。得られたキャリブレーションは、良い直線性を示しており、広いpH範囲で適用可能であることを示している。その他の金属として、鉄、ニッケル、銅、イリジウムも測定可能であるが、本件で示すタングステンが最も精度が高いことを確認した。
塩分検出電極ワイヤ60とpH検出電極ワイヤ70は、長期間の使用では特性が劣化してくるが、測定前に新品のセンサとの電圧差を3%塩水中で測定し、差が10mV以下であることを確認して使用を継続することが可能である。また、劣化したセンサも再度、上記処理を施すことにより再生が何度でも可能である。
(測定結果)
実測定は、3%NaCl溶液にコンクリート試験材を浸漬し、塩分の増加を確認し、その後、脱塩処理を行い、マイクロ電極によるClイオンおよびpHの経時測定を行った。また、塩分センサ及びpHセンサ挿入用細孔62、72の上部入口は通常はシールしておき、測定時のみ開放した。鉄筋板の試料面積は、16cmとして、他の部分は、シールを行い、計測のために電量値を一定とした。
図10は脱塩処理におけるモルタルの塩分の変化を示すグラフで、縦軸は塩素イオン濃度、横軸は経過日数を示している。モルタルの測定位置が、いずれの日にちでも30、20、10、5mmと表面に近いほど塩分量が多い。また、各位置の塩分量は日にちとともに増加していき、33日では、いずれの深さも1Mを超えた塩分量となっている。このように、本発明の塩分センサである塩分検出電極ワイヤ60を利用することにより塩害が進む様子が定量的に示すことが可能となった。
図11は脱塩処理におけるモルタルのpHの変化を示すグラフで、縦軸はpH、横軸は経過日数を示している。モルタルの測定位置が、いずれの日にちでも30、20、10、5mmと表面に近いほどpHが低い。また、各位置のpHは日にちとともに減少していき、33日では、いずれの深さも8.5未満となっている。このように、本発明のpHセンサであるpH検出電極ワイヤ70により中性化が進む様子が定量的に示すことが可能となった。
図10及び図11において、この33日を脱塩処理の開始日として、飽和Ca(OH)中において、1A/mの電流を付加した。図10では、電流負荷と伴にモルタル内の塩分量が激減していく様子が分かる。このときも、いずれの日にちでも5、10、20、30mmと表面から遠いほど塩分量が少ない。全日46日(脱塩開始13日)では、どの位置でも0.01M未満の塩分量となり、脱塩が十分に達成されたことを示している。図11では、電流負荷と伴にモルタル内のpHが上昇していく様子が分かる。このときも、いずれの日にちでも5、10、20、30mmと表面から遠いほどpHが高い。全日46日(脱塩開始13日)では、どの位置でも9.0以上のpHとなり、再アルカリ化が達成されたことを示している。
以上の実施例での説明のように、塩分センサとpHセンサを用いることにより脱塩工程の塩分量とpHが定量的に示される。これにより、適切な負荷電流、また、終了時間に関する情報が得られ、さらに実際にモルタル内の脱塩、再アルカリ化が達成できていることを確認できた。
なお、本発明は上記の実施形態で示した実施例に限定されるものではなく、当業者において自明な範囲で用途に応じた各種の設計変更も可能である。例えば、塩分検出電極ワイヤとpH検出電極ワイヤをコンクリート実構造体中に設置しておくと共に、電解質溶液保持材により脱塩処理用アルカリ性溶液や再アルカリ化処理用アルカリ性溶液を保持しておき、直流電源装置も待機状態としておくことで、塩分増加やpH低下を検知し、閾値以下に低下した場合には、脱塩処理制御装置や再アルカリ化処理制御装置を用いて自動的に脱塩、再アルカリ処理を行うことも可能である。これは、自己修復コンクリートの基本概念となり、次世代コンクリート構造体に有用と考えられる。さらに、センサ出力をWiFi等で遠隔モニタリングすることも可能であり、コンクリート構造体を将来、通信システムで集中管理可能とすることもできる。
本発明のコンクリート構造物の脱塩処理システム又は再アルカリ化処理システムは、日本国の高度成長期に建設され、すでに塩害や中性化で劣化した既設のコンクリート構造物を再生させる有効な手法であり、経済的効果が高いといえる。これにより、既設コンクリート構造物の再生がより簡単に行えるため、地方公共団体の財政的制限や交通需要の伸び悩み乃至減少といった社会環境の変化によって、コンクリート構造体を掛け替えて新たな社会需要に応える施策と比較して、優れた社会経済的効果を有する。
10 コンクリート構造物
20 陰極(鉄筋又は鉄骨)
30 陽極
34 電解質溶液保持材
36 脱塩処理用アルカリ性溶液(水酸化カルシウム飽和水溶液など)
38 再アルカリ化処理用アルカリ性溶液(炭酸ナトリウム)
40 直流電源装置
60 塩分検出電極ワイヤ(塩分センサ)
62 塩分センサ挿入穴
64 脱塩処理制御装置
70 pH検出電極ワイヤ(pHセンサ)
72 pHセンサ挿入穴
74 再アルカリ化処理制御装置

Claims (8)

  1. コンクリート構造物の脱塩処理法で使用される塩分検出電極ワイヤであって、
    前記塩分検出電極ワイヤは、銀、銅、鉛、水銀からなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を塩化物処理したものであり、
    前記コンクリート構造物の脱塩処理法は、被検査対象のコンクリート構造物の表面に形成されたセンサ挿入穴に塩分検出電極ワイヤを挿入する工程と、前記コンクリート構造物の脱塩処理を行う工程と、前記塩分検出電極ワイヤで検出された前記コンクリート構造物の塩分検出値と脱塩処理完了閾値とを比較する工程と、上記比較工程で前記塩分検出値が前記脱塩処理完了閾値よりも高いと判断された場合は前記脱塩処理を続行すると判断し、低いと判断された場合は前記脱塩処理を完了と判断する工程とを備えることを特徴とする塩分検出電極ワイヤ。
  2. コンクリート構造物の再アルカリ化処理法で使用されるpH検出電極ワイヤであって、
    前記pH検出電極ワイヤは、タングステン、鉄、ニッケル、銅、イリジウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を酸化物処理したものであり、
    前記コンクリート構造物の再アルカリ化処理法は、被検査対象のコンクリート構造物の表面に形成されたセンサ挿入穴にpH検出電極ワイヤを挿入する工程と、前記コンクリート構造物の再アルカリ化処理を行う工程と、前記塩分検出電極ワイヤで検出された前記コンクリート構造物のpH検出値と再アルカリ化処理完了閾値とを比較する工程と、上記比較工程で前記pH検出値が前記再アルカリ化処理完了閾値よりも高いと判断された場合は前記再アルカリ化処理を続行すると判断し、低いと判断された場合は前記再アルカリ化処理を完了と判断する工程とを備えることを特徴とする塩分検出電極ワイヤ。
  3. コンクリート構造物の表面に設置された陽極と、
    前記コンクリート構造物の内部に位置する鉄筋又は鉄骨を陰極として、前記陽極と当該陰極との間で直流電圧を印加する電圧印加手段と、
    水酸化カルシウム飽和水溶液又はほう酸リチウム水溶液を主成分とするアルカリ性溶液を前記陽極の近傍に配置するアルカリ性溶液配置手段と、
    銀、銅、鉛、水銀からなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を塩化物処理した塩分検出電極ワイヤと、
    前記コンクリート構造物の表面に設けられたセンサ挿入穴に挿入された前記塩分検出電極ワイヤの検知信号を入力して、前記コンクリート構造物の塩分が減少して鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化したか判断し、前記鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化するまで、前記電圧印加手段による給電と前記アルカリ性溶液配置手段によって前記陰極となる鉄筋又は鉄骨の近傍から陽極側への塩素イオンの電気泳動を継続する脱塩処理制御手段と
    を備えるコンクリート構造物の脱塩処理システム。
  4. さらに、タングステン、鉄、ニッケル、銅、イリジウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を酸化物処理したpH検出電極ワイヤを有し、
    前記脱塩処理制御手段は、前記コンクリート構造物の表面に形成されたセンサ挿入穴に挿入された前記pH検出電極ワイヤの検知信号を入力して、前記コンクリート構造物の塩分が減少すると共に、検知されたpHのアルカリ性から、鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化したか判断することを特徴とする請求項3に記載されたコンクリート構造物の脱塩処理システム。
  5. コンクリート構造物の表面に設置された陽極と、
    前記コンクリート構造物の内部に位置する鉄筋又は鉄骨を陰極として、前記陽極と当該陰極との間で直流電圧を印加する電圧印加手段と、
    炭酸ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を前記陽極の近傍に配置するアルカリ性溶液配置手段と、
    タングステン、鉄、ニッケル、銅、イリジウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を酸化物処理したpH検出電極ワイヤと、
    前記コンクリート構造物の表面に形成されたセンサ挿入穴に挿入された前記pH検出電極ワイヤの検知信号を入力して、前記コンクリート構造物のpHが10.7程度以上となって鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化したか判断し、前記鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化するまで、前記電圧印加手段による給電と前記アルカリ性溶液配置手段によって前記陰極となる鉄筋又は鉄骨近傍への電気浸透を継続する再アルカリ化処理制御手段と
    を備えるコンクリート構造物の再アルカリ化処理システム。
  6. さらに、銀、銅、鉛、水銀からなる群から選ばれた少なくとも一つの金属からなる線材を用いて、当該線材を塩化物処理した塩分検出電極ワイヤを有し、
    前記再アルカリ化処理制御手段は、被検査対象のコンクリート構造物の表面に形成されたセンサ挿入穴に挿入された前記塩分検出電極ワイヤの検知信号を入力して、前記コンクリート構造物の塩分検知値と、検知されたpHのアルカリ性から、鉄筋又は鉄骨の不動態領域に安定化したか判断することを特徴とする請求項5に記載されたコンクリート構造物の再アルカリ化処理システム。
  7. さらに、被検査対象のコンクリート構造物の表面に形成されたセンサ挿入穴に挿入された前記塩分検出電極ワイヤの検知信号を遠隔送信する送信手段を備え、
    前記脱塩処理制御手段又は前記再アルカリ化処理制御手段は、前記送信手段からの前記塩分検出電極ワイヤの検知信号を受信することを特徴とする請求項3又は4に記載のコンクリート構造物の脱塩処理システム。
  8. さらに、被検査対象のコンクリート構造物の表面に形成されたセンサ挿入穴に挿入された前記pH検出電極ワイヤの検知信号を遠隔送信する送信手段を備え、
    前記再アルカリ化処理制御手段は、前記送信手段からの前記pH検出電極ワイヤの検知信号を受信することを特徴とする請求項5又は6に記載のコンクリート構造物の再アルカリ化処理システム。
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