JP2018123920A - 転がり軸受及びその製造方法 - Google Patents

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Ryuichi Hashimoto
竜一 橋本
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Abstract

【課題】転がり軸受の固定輪にシールドを溶接によって確実に固定し、しかも、溶接による熱影響を抑える。【解決手段】転がり軸受7の外輪20に、環状のシールド40を取り付ける製造方法は、外輪20の側部23にシールド40の一部を重ねる準備工程と、シールド40を前記側部にレーザ溶接する溶接工程とを有している。溶接工程では、レーザ出力をパルス波形として、シールド40の端縁43から所定寸法について径方向に寄った部分(途中部44)を、全周レーザ溶接すると共に、溶接終了位置を溶接開始後に形成した溶接線上とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、転がり軸受及びその製造方法に関する。
転がり軸受は、様々な技術分野で広く用いられている。一般的な転がり軸受は、内輪、外輪、複数の転動体、及びこれら転動体を保持する保持器を備えている。更に、転動体が存在している軸受内部に水や異物等が侵入するのを防ぐために、環状のシールドを備えた転がり軸受がある(例えば、特許文献1参照)。シールドは、固定輪となる外輪の側部に取り付けられている。
シールドを取り付けるために、外輪の側部内周側に周溝が形成されており、シールドはプレスによって周溝に嵌め入れられている。シールドの固定を確実とするためには、前記周溝を軸方向にある程度広くするのが好ましいが、軸方向寸法を小さくしてスリム化を図る転がり軸受の場合、周溝のスペースが制限され、確実にシールドを外輪に固定することが難しくなる。
特開2008−51304号公報
そこで、シールドを溶接により外輪に固定する手段が考えられる。転がり軸受の軸方向寸法を小さくしてスリム化を図るためには、さらに、シールドの板厚を薄くするのが好ましいが、その場合、溶接による取り付けが困難となる。例えば溶接による入熱量が大きくなると、シールドが想定外に変形したり、外輪における金属組織が変態して軌道において所望の硬さが得られなかったりする。
溶接箇所を部分的(間欠的)にすれば入熱量は減少するが、この場合、シールドが波寄って変形するおそれがあり、また、非溶接箇所でシールドと外輪との間に隙間が生じて外部から水が浸入するおそれがある。
そこで、本発明は、転がり軸受の固定輪にシールドを溶接によって確実に固定し、しかも、溶接による熱影響を抑えることを目的とする。
本発明は、固定輪、回転輪、前記固定輪と前記回転輪との間に介在している複数の転動体、及び、前記複数の転動体を保持する保持器を備えている転がり軸受の当該固定輪に、環状のシールドを取り付ける、転がり軸受の製造方法であって、前記固定輪の側部に前記シールドの一部を重ねる準備工程と、前記シールドを前記側部にレーザ溶接する溶接工程と、を有し、前記溶接工程では、レーザ出力をパルス波形として、前記シールドの端縁から所定寸法について径方向に寄った部分を、当該シールドに沿って全周レーザ溶接すると共に、溶接終了位置を溶接開始後に形成した溶接線上とする。
この製造方法によれば、シールドの端縁から所定寸法について径方向に寄った部分に対してレーザ溶接することで、シールドをその厚さ方向に貫通する溶け込みが得られ、シールドを固定輪の側部に固定することができる。シールドは固定輪に全周溶接されるので、シールドが薄くても部分的な歪みが生じるのを防ぐことができ、また、全周溶接の際、溶接終了位置を溶接開始後に形成された溶接線上とすることで、溶接線が一部重複し、確実な固定が可能となる。レーザ出力をパルス波形とすることで入熱と放熱とが短いサイクルで繰り返し行われ、溶接部以外への熱影響を小さく抑えることが可能となる。
また、前記溶接工程では、周方向に沿ってレーザ溶接して、溶接箇所が溶接開始位置に到達するとレーザ出力を徐々に低下させ、溶接を終了するのが好ましい。この場合、溶接線が一部重複すると共に、溶接の始点と終点とのつなぎ目をなだらかにすることができ、クラック等の溶接不良を防ぐことができる。
また、前記溶接工程では、溶接開始位置から溶接終了位置までの溶接の重複部の長さを、1ミリメートル以上であり5ミリメートル以下とするのが好ましい。この場合、全周を完全に溶接して、固定輪とシールドとの間の隙間をなくすことができる。
また、できるだけ小さいレーザ出力で溶け込み部を深くするのが好ましく、前記溶接工程では、前記シールドが重ねられている前記固定輪の内部に、レーザ溶接の際のレーザ焦点が位置するようにすればよい。これにより、レーザ出力が小さくても、シールドをその厚さ方向に確実に貫通する溶け込みが得られ、しかも、溶接による入熱量を小さく抑えることができる。
本発明の転がり軸受は、固定輪、回転輪、前記固定輪と前記回転輪との間に介在している複数の転動体、前記複数の転動体を保持する保持器、及び、前記固定輪の側部に取り付けられている環状のシールドを備え、前記シールドの端縁から所定寸法について径方向に寄った部分に、前記固定輪との溶接による溶け込み部が、一部が重複して全周にわたって形成されており、前記溶け込み部の表面は周方向に沿って凹凸波形である。
この転がり軸受は、シールドの端縁から所定寸法について径方向に寄った部分が溶接されており、シールドをその厚さ方向に貫通する溶け込みが得られ、シールドが固定輪の側部に固定された構成となる。溶け込み部の表面が周方向に沿って凹凸波形であり、これはレーザ溶接におけるレーザ出力をパルス波形とすることで得られる。このため、溶接の際、入熱と放熱とが短いサイクルで繰り返し行われ、溶接部以外への熱影響が小さく抑えられている。
また、前記溶け込み部の断面形状に関して、前記シールドの表面からの前記溶け込み部の深さは、当該表面における当該溶け込み部の幅よりも大きく、かつ、前記シールドと前記側部との境界における前記溶け込み部の幅は、前記表面における前記溶け込み部の幅の60%以上であるのが好ましい。この場合、シールドの表面で溶融(溶け込み)が広がっておらず、その分、低いエネルギーで深さ方向に安定した溶け込みが実現されている。このため、熱による変形や組織の変態等の影響が抑えられている。
また、前記溶け込み部の断面形状は、前記シールドの表面から当該溶け込み部の最深部に向かって徐々に幅寸法が小さくなっている形状であるのが好ましい。これは、シールドが重ねられている固定輪の内部に、レーザ溶接の際のレーザ焦点が位置していることで得られ、これにより、レーザ出力が小さくても、シールドをその厚さ方向に確実に貫通した溶け込みが得られ、しかも、溶接による入熱量が小さく抑えられている。
本発明によれば、転がり軸受の固定輪にシールドが溶接によって確実に固定され、しかも、溶接による熱影響が小さく抑えられた転がり軸受となる。
本発明の転がり軸受の一例を示す断面図である。 軸方向一方側のシールドの外周部及びその周囲を説明する断面図である。 転がり軸受の製造方法のフロー図である。 レーザ出力の説明図である。 転がり軸受の側面図である。 レーザ出力の説明図である。 レーザ溶接の説明図である。 転がり軸受の他の形態を示す断面図である。 溶け込み部の形状を示す説明図であり、(A)は実施形態を示し、(B)及び(C)はそれぞれ比較例を示している。 (A)は、溶け込み部の幅と外輪の変形量との関係を示すグラフであり、(B)は、溶け込み部の深さと外輪の変形量との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の転がり軸受の一例を示す断面図である。この転がり軸受7は、内輪10、外輪20、これら内輪10と外輪20との間に設けられている複数の玉(転動体)30、環状の保持器35、及び環状のシールド40を備えている。図1に示す転がり軸受は深溝玉軸受である。
内輪10は、図示していない軸に外嵌固定される筒状の部材であり、外周に玉30が転動する軌道(軌道溝)11が形成されている。外輪20は、図示していないハウジングの内面に嵌めて固定される部材であり、内周に玉30が転動する軌道(軌道溝)21が形成されている。複数の玉30が内輪10と外輪20との間に介在しており、内輪10と外輪20とは同心状に配置される。保持器35は、複数の玉30を周方向に沿って所定の間隔(等間隔)でかつ各玉30が転動自在となるようにして保持する。本実施形態では、内輪10が、軸と共に回転する回転輪であり、外輪20がハウジングと共に静止状態となる固定輪である。
内輪10、外輪20、及び玉30は軸受鋼(SUJ2)からなる。保持器35はステンレス鋼等の金属製(金属プレス製)又は樹脂製である。シールド40はステンレス鋼(SUS304)からなる。本実施形態では、内輪10及び外輪20と、シールド40とは共に金属製であるが、異種材からなる。
内輪10と外輪20との間であって玉30が存在する軸受内部5には、潤滑剤としてグリースが封入されている。シールド40は、軸受外部に存在する水や異物が軸受内部5へ侵入するのを防ぐと共に、軸受内部5のグリースが軸受外部へ流出するのを防ぐ。
シールド40は、転がり軸受7の軸方向両側に設けられている。各シールド40は、外輪20の側部23に溶接によって取り付けられており、内輪10の外周側の一部(肩部外周面16)と径方向の隙間を有して対向する。軸方向一方側のシールド40と軸方向他方側のシールド40とは、取り付け向きが反対となっているが同じ構成である。
シールド40は、金属製の平板部材をプレスにより成型されて得たものであり、厚さが薄い。例えば、シールド40の厚さtは、例えば0.2ミリメートル以上であり0.5ミリメートル以下とすることができ、薄肉の環状部材である。シールド40の内径は20〜120ミリメートルである。シールド40は、平坦な円環部41と短円筒部42とを有している。図1に示す円環部41は、凹凸が無く円環状の平板部分であり、転がり軸受(内輪10及び外輪20)の中心軸Cに直交する平面に沿って設けられている。シールド40(円環部41)の外周部の一部、つまり、シールド40の外周側の端縁43から所定寸法だけ径方向内側に寄った部分(以下、この部分を途中部44という。)が、外輪20の側部23に溶接によって取り付けられており、途中部44に溶接部が形成されている。溶接部は、シールド40の一部と外輪20の一部とが溶け込んだ溶け込み部50であり、ナゲット又はビードとも呼ばれる。なお、図1及びその他の図において、説明を容易とするために溶け込み部50を実際よりも大きく記載している。
図2は、軸方向一方側(図1の右側)のシールド40の外周部及びその周囲を説明する断面図である。外輪20の側部23には、軸方向寸法mが小さい溝24が形成されている。この溝24は側部23の全周にわたって形成されている。溝24内の側面22にシールド40の外周部の側面45を当接させた状態として、溝24内においてシールド40は外輪20に溶接によって固定されている。溝24の周面(内周面)25の径(内径)はシールド40の径(外径)よりも大きく設定されている。
溝24の軸方向寸法mは、シールド40の厚さ寸法tよりも大きく設定されている。これはシールド40及び溶け込み部50が外輪20の側部23の最も軸方向外側の側面23aから軸方向外側(図3では右側)にはみ出すのを防ぐためである。
このような外輪20に、環状であり薄肉のシールド40を取り付けることで行われる転がり軸受7(図1参照)の製造方法について、以下、説明する。この製造方法では、先ず、内輪10、外輪20、玉30及び保持器35を一体化する(組み立て工程、図3のステップS1)。次に、外輪20の側部23にシールド40の一部(外周部)を重ねる準備工程(図3のステップS2)が行われ、その後、シールド40を外輪20の側部23にレーザ溶接(ファイバーレーザ溶接)する溶接工程(図3のステップS3)が行われる。図1に示す転がり軸受7では、軸方向一方側において準備工程及び溶接工程を行い、その後、軸方向他方側において準備工程及び溶接工程を行う。溶接工程では、転がり軸受7の中心軸Cを鉛直方向として、上方からレーザ照射する。つまり、図1における右側又は左側からシールド40に向けてレーザ照射する。
溶接工程では、レーザ出力を変化させることで、単位面積に入る熱量が小さくなるように溶接条件を調整する。具体的に説明すると、図4に示すように、レーザ出力をパルス波形とする。本実施形態では、パルス周波数を1000Hzとし、デューティー比を50%としている。レーザの波長は1064〜1090ナノメートルの範囲で設定される。レーザのパワーは250W未満であり、小出力としている。シールド40の軸方向外側から前記途中部44にレーザを照射することで、シールド40の一部と外輪20の一部とを溶接する。本実施形態では、溶加材無しで溶接する。レーザ出力をパルス波形とすることによって、溶け込み部50の表面は周方向に沿って凹凸波形となる。なお、デューティー比等の溶接仕様は、その他変更可能である。
溶接工程では、環状であるシールド40に沿って、途中部44を全周レーザ溶接する。このために、溶接機又は転がり軸受7を回転させる。回転速度(周速度)を50〜60ミリメートル/秒に設定することができる。周速とレーザ出力を調整させることで、単位面積に入る熱量を調整する。
溶接開始からレーザ出力をパルス波形としながら溶接を継続して行い、溶接機又は転がり軸受7を360度回転させても溶接を終了せず、さらに回転させてから溶接を終了し、図5において溶接開始位置を矢印Q1とした場合に、溶接終了位置(矢印Q2)を溶接開始後に形成した溶接線上とする。なお、図5において、溶接進行方向を矢印Rで示している。
これにより、周方向に沿って溶接線が一部重複する。図5において溶接線の重複部の範囲を「B」で示している。溶接開始位置(矢印Q1)から溶接終了位置(矢印Q2)までの溶接の重複部Bの長さを、1ミリメートル以上であり5ミリメートル以下とするのが好ましい。これにより、全周を完全に溶接して、外輪20とシールド40との間の隙間をなくすことができる。
以上より、シールド40の途中部44に、外輪20との溶接による溶け込み部50が、周方向について一部が重複して全周にわたって形成される。
さらに、本実施形態の溶接工程では、周方向に沿って全周レーザ溶接して、溶接箇所が溶接開始位置(図5の矢印Q1)に到達すると、つまり溶接機又は転がり軸受7を360度回転させると、図6に示すように、レーザ出力を徐々に低下させ、溶接を終了する。前記重複部Bが、レーザ出力を徐々に低下させる区間となる。重複部Bにおいてレーザ出力を徐々に低下させることで、溶接線が一部重複すると共に、ナゲット(溶け込み部の表面形状)が溶接終了位置(矢印Q2)に向かって徐々に小さくなり、溶接の始点と終点とのつなぎ目をなだらかにすることができる。
さらに、溶接工程では、シールド40に沿って全周溶接する際、図7に示すように、シールド40が重ねられている外輪20の内部に、レーザ溶接の際のレーザ焦点Sが位置している。これにより、レーザ出力が小さくても(250W以下)、レーザのエネルギーをより深さ方向に伝えることができ、溶け込み部50を深くすることができる。この結果、レーザ出力が小さくても、シールド40をその厚さ方向に確実に貫通する溶け込みが得られ、しかも、溶接による入熱量を小さく抑えることができる。入熱量が小さく抑えられていることで、熱によるシールド40の変形や外輪20の組織の変態等の影響を抑えることが可能となる。
このように、外輪20の内部に、レーザ溶接の際のレーザ焦点Sを位置させて溶接を行うことで、図9(A)に示すように、溶け込み部50の断面形状は、シールド40の表面46から溶け込み部50の最深部50aに向かって徐々に幅寸法Wが小さくなった形状となる。
図9(B)及び図9(C)は、溶け込み部50の断面形状に関する比較例を示している。図9(A)に示す実施形態では、溶け込み部50の断面形状に関して、シールド40の表面46から最深部50aまでの溶け込み部50の深さDは、表面46における溶け込み部50の幅W1よりも大きい(D>W1)。この点で、図9(B)に示す比較例1と大きく異なる。
さらに、図9(A)に示す本実施形態では、シールド40と外輪20の側部23との境界Fにおける溶け込み部50の幅W2は、表面46における溶け込み部50のW1の60%以上となっている(W2/W1≧0.6)。この点で、図9(C)に示す比較例2と大きく異なる。比較例2では、断面の輪郭形状が途中で変曲点を有している。これに対して、図9(A)に示す本実施形態では、変曲点を有することなく、幅寸法Wが徐々に変化しており、溶け込み部50の断面形状は、より尖度の大きい放物線形状となっている。
図9(A)に示す本実施形態の場合、シールド40の表面46で溶融(溶け込み)が広がっておらず、その分、低いエネルギーで深さ方向に安定した溶け込みが実現されており、熱によるシールド40の変形や外輪20の組織の変態等の影響が抑えられている。特に、溶け込み部50の断面形状に関して、境界Fにおける幅W2よりも、境界Fからの溶け込み部50の深さdの方が大きくなっている(W2<d)。
図9(B)の比較例1では、レーザ溶接の際のレーザ焦点がシールド40の範囲(厚さ方向の範囲)に位置しており、このため、シールド40の表面46で溶融が広がってしまい、シールド40の固定が弱くなるおそれがある。
図9(B)の比較例1の場合よりも、溶接の際のレーザ出力を更に大きくすると、図9(C)の比較例2のような断面となる。この場合、溶接深さは十分であるが、入熱量が高くなり、シールド40の変形や外輪20の組織の変態等の影響が問題となる可能性がある。
本実施形態において(図9(A)参照)入熱量を小さくする観点から、境界Fにおける溶け込み部50の幅W2は、0.05ミリメートル以上であり、2ミリメートル以下とするのが好ましい。なお、幅W2の上限は、0.5ミリメートルとするのがより好ましく、更には、0.3ミリメートルとするのがより好ましい。
境界Fからの溶け込み部50の深さdは、0.05ミリメートル以上であり、また、溶け込み部50の最深部50aから軌道21(図1参照)までの最短距離H以下としている(0.05ミリメートル≦d≦H)。深さdが深すぎると、つまり、深さdが前記最短距離Hを超えるような場合、軌道21への熱影響のおそれがある。
このように、本実施形態では、薄肉であるシールド40の変形や、入熱による金属組織の変態(軌道21の硬さ)等の軸受性能への影響を考慮して、溶け込み部50の断面形状、つまり、幅や深さを所定の値に設定している。
図10(A)は、溶け込み部50の幅W2と、外輪20の変形量との関係を示すグラフである。前記変形量は外輪20の真円度の変化量であり、幅W2と変化量とは実測値である。図10(A)に示すように、外輪20の変形(歪み)は幅W2の大きさの影響を強く受け(相関係数R^2が高い。R^2=0.9417)、変形を抑えるためには幅W2を小さくするのが効果的である。図10(A)によれば、幅W2の上限を0.3ミリメートルとするのが好ましい。
図10(B)は、溶け込み部50の深さdと、外輪20の変形量(真円度の変化量、実測値)との関係を示すグラフである。図10(B)に示すように、溶け込み部50の深さdは、外輪20の変形(歪み)にあまり影響を与えない(相関係数R^2が低い。R^2=0.5443)。
これら図10(A)(B)の結果によれば、安定した溶接を実施するためには、溶け込み部50の深さdは深く、幅W2は狭くなるように溶接するのが好ましい。
以上の溶接工程を終えることで、転がり軸受7は完成する。
前記実施形態の製造方法によれば(図1及び図2参照)、シールド40の外周側の端縁43から所定寸法について径方向内側に寄った部分(途中部44)に対してレーザ溶接することで、シールド40をその厚さ方向に貫通する溶け込みが得られ、薄肉のシールド40を外輪20の側部23に固定することができる。外輪20にシールド40は全周溶接されるので、シールド40が薄くても部分的な歪みが生じるのを防ぐことができ、また、全周溶接の際、溶接終了位置(図5の矢印Q2)を溶接開始後に形成された溶接線上とすることで、溶接線が一部重複し(重複部B)、確実な固定が可能となる。また、図4により説明したように、レーザ出力をパルス波形とすることで、入熱と放熱とが短いサイクルで繰り返し行われ、溶接部以外への熱影響を小さく抑えることが可能となる。これより、シールド40の変形、外輪20の軌道21の変形及び金属組織の変態を防ぐことができる。
本実施形態では、シールド40をステンレス鋼とする場合について説明したが、溶融亜鉛メッキ鋼板としてもよい。なお、シールド40をステンレス鋼とする方が好ましい。つまり、溶融亜鉛メッキ鋼板の場合、溶接時の熱で表面皮膜(亜鉛)が蒸発することで鋼板に傷をつける(穴をあける)おそれがあるが、ステンレス鋼ではこのような皮膜が無いため、傷の発生を防ぐことができる。
シールド40は、前記のとおり(図1参照)、円環部41と短円筒部42とを有して断面L字状となっており、内輪10との対向面積を拡大させている。これにより、短円筒部42と内輪10との間に形成されるラビリンス隙間が長くなり、異物の侵入防止効果を高めることができる。さらに、シールド40は薄いが、断面L字状とすることで剛性を高くすることができ、変形を防止することができる。
図1に示す形態では、シールド40の円環部41は平板円環状であるが、図8に示す円環部41は、さらに曲げ加工が施されており、段付き形状部41aを有していてもよく、これにより、剛性をさらに高めることができる。
更に、図1に示す形態では、内輪10の肩部外周面16は円筒面形状となっているが、図8に示すように、凹周溝27が形成されており、この凹周溝27に短円筒部42が収容された構成であってもよい。この構成によれば、ラビリンス隙間による異物の侵入防止効果をより一層高めることが可能となる。
前記各実施形態では、シールド40が外輪20に取り付けられている場合について説明したが、内輪10が固定輪であり外輪20が回転輪である場合、シールド40は内輪10に取り付けられていてもよい。この場合、図示しないが、シールドの内周側の端縁から所定寸法について径方向外側に寄った部分(途中部)が、内輪の側部に溶接によって取り付けられており、前記途中部に溶接部(溶け込み部)が形成される。そして、シールド40の径方向外側が外輪と隙間を有して対向する。
本発明の転がり軸受は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。また、その製造方法についても本発明の範囲内において他の形態の方法であってもよい。
例えば、前記各実施形態では玉軸受の場合を説明したが、これ以外として、転がり軸受は、転動体がころであるころ軸受であってもよい。
また、前記各実施形態(図1、図8参照)では、シールド40が外輪20の軸方向両側に取り付けられる場合について説明したが、軸方向の一方側にのみであってもよい。
7:転がり軸受 10:内輪(回転輪) 20:外輪(固定輪)
23:側部 30:玉(転動体) 35:保持器
40:シールド 43:端縁 44:途中部
46:表面 50:溶け込み部 50a:最深部
B:重複部 D:深さ F:境界
S:レーザ焦点 W:幅寸法 W1,W2:幅
また、前記溶け込み部の断面形状は、前記シールドの表面から当該溶け込み部の最深部に向かって徐々に幅寸法が小さくなっている形状であるのが好ましい。これは、シールドが重ねられている固定輪の内部に、レーザ溶接の際のレーザ焦点が位置していることで得られ、これにより、レーザ出力が小さくても、シールドをその厚さ方向に確実に貫通した溶け込みが得られ、しかも、溶接による入熱量が小さく抑えられている。
また、前記シールドと前記側部との境界における前記溶け込み部の幅は、0.05ミリメートル以上、0.5ミリメートル以下であるのが好ましい。

Claims (7)

  1. 固定輪、回転輪、前記固定輪と前記回転輪との間に介在している複数の転動体、及び、前記複数の転動体を保持する保持器を備えている転がり軸受の当該固定輪に、環状のシールドを取り付ける、転がり軸受の製造方法であって、
    前記固定輪の側部に前記シールドの一部を重ねる準備工程と、
    前記シールドを前記側部にレーザ溶接する溶接工程と、を有し、
    前記溶接工程では、レーザ出力をパルス波形として、前記シールドの端縁から所定寸法について径方向に寄った部分を、当該シールドに沿って全周レーザ溶接すると共に、溶接終了位置を溶接開始後に形成した溶接線上とする、転がり軸受の製造方法。
  2. 前記溶接工程では、周方向に沿ってレーザ溶接して、溶接箇所が溶接開始位置に到達するとレーザ出力を徐々に低下させ、溶接を終了する、請求項1に記載の転がり軸受の製造方法。
  3. 前記溶接工程では、溶接開始位置から溶接終了位置までの溶接の重複部の長さを、1ミリメートル以上であり5ミリメートル以下とする、請求項1又は2に記載の転がり軸受の製造方法。
  4. 前記溶接工程では、前記シールドが重ねられている前記固定輪の内部に、レーザ溶接の際のレーザ焦点が位置する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転がり軸受の製造方法。
  5. 固定輪、回転輪、前記固定輪と前記回転輪との間に介在している複数の転動体、前記複数の転動体を保持する保持器、及び、前記固定輪の側部に取り付けられている環状のシールドを備え、
    前記シールドの端縁から所定寸法について径方向に寄った部分に、前記固定輪との溶接による溶け込み部が、一部が重複して全周にわたって形成されており、
    前記溶け込み部の表面は周方向に沿って凹凸波形である、転がり軸受。
  6. 前記溶け込み部の断面形状に関して、
    前記シールドの表面からの前記溶け込み部の深さは、当該表面における当該溶け込み部の幅よりも大きく、かつ、前記シールドと前記側部との境界における前記溶け込み部の幅は、前記表面における前記溶け込み部の幅の60%以上である、請求項5に記載の転がり軸受。
  7. 前記溶け込み部の断面形状は、前記シールドの表面から当該溶け込み部の最深部に向かって徐々に幅寸法が小さくなっている形状である、請求項5又は6に記載の転がり軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114233757A (zh) * 2021-11-24 2022-03-25 常熟长城轴承有限公司 一种新型防尘盖

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