JP2018123444A - シート状物 - Google Patents
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Abstract
Description
樹脂層は2層以上で構成されていることが好ましく、3層構造であることがより好ましい態様である。樹脂層が2層以上であることにより、自動車シートやソファーなど、より耐久性が要求される耐摩耗性に優れたシート状物を得ることができる。
面積収縮率の測定方法は、収縮工程での加工前後の長さ、および幅から長さ方向の収縮率、および方向の収縮率を算出し、下記の計算式にて算出する。
幅収縮率=収縮加工後の幅/収縮加工前の長さ
面積収縮率(%)=(1−(1−長さ収縮率)×(1−幅収縮率))×100
収縮の方法としては、熱水収縮、スチーム収縮、乾熱収縮など公知の方法を採用することができる。収縮処理の時間や温度は、採用する収縮の方法や、繊維構造物の繊維の種類等により、前述の面積収縮率となるよう調整すればよい。
本発明のシート状物の樹脂層は2層以上の層構造であることが好ましい。さらには、前記の樹脂層が、接着層、中間層および表面層からなる3層構造からなることがより好ましい態様である。ここで、接着層は、シート状物と中間層および表面層の樹脂層の接着機能を有する。中間層は樹脂層のベースとなり、表面層は品位やタッチを形成する役割を有する。樹脂層を2層や3層にするためには、上記の方法を2度または3度と繰り返すことにより形成することができる。また、上記の方法については、同じ方法を繰り返しても良く、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
(1)極細繊維の平均単繊維直径:
シート状物の表皮シート断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、単繊維直径を測定して100本の平均値を計算することにより算出した。異型断面の極細繊維を採用した場合には、極細繊維の外接円の直径を単繊維直径とし、同様に算出した。
シート状物の平面方向および機械方向に垂直な断面を切り出し、断面が歪まないように試料台に設置した。続いて、走査型電子顕微鏡(SEM、キーエンス社製VE−7800)を用いて、シート状物の試料片の断面を300倍または500倍の倍率で異なる箇所について10枚撮影した。これらの各撮影像から、断面に並行な方向を水平とし、断面の立毛層側を上とし、他方の面を下としたときの、樹脂層の最高位置z1と、樹脂層の最低位置z2の2点間距離Z1を取得し、樹脂層の総厚みを算出した。さらに、樹脂層内部に存在する繊維の最高位置z3と樹脂層の最低位置z2の2点間距離Z2を算出し、下記の式により算出した。得られた10個の値の平均値を、樹脂層の繊維構造物内の存在比とした。
(3)シート状物の表面触感評価:
シート状物の表面触感を、対象者10名の官能検査により評価した。天然ヌバックの緻密でウェットな触感と比較し、8名以上が、緻密でウェットな触感を有すると判定したものを(二重丸:◎)、5〜7名が判断したものを(一重丸:〇)、3〜4名が判定したものを(三角:△)、2名以下が判断したものを(×)と各々区分した。二重丸と一重丸を合格とした。この判定では、天然ヌバック調の触感を有するものが高い判定となる。
シート状物の表面立毛感を、対象者10名の官能検査により評価した。天然スエードの立毛感と比較し、8名以上が、スエード調の立毛感を有すると判定したものを(二重丸:◎)、5〜7名が判断したものを(一重丸:〇)、3〜4名が判定したものを(三角:△)、2名以下が判断したものを(×)と各々区分した。二重丸と一重丸を合格とした。この判定では、天然スエード調の触感を有するものが高い判定となる。
評価するシート状物について、任意の1か所から直径120mmの大きさで円形状の試験片を1枚採取し、ASTM D3884の6.1項のテーバ摩耗試験法によって試験を行った。試験は、CS#10摩耗輪により、4.9Nで1000回転摩耗を行った後、シート状物表面の摩耗状態を観察し、試験前の表面状態と比較して、異常の程度を、次の評価に従い等級を判定した。本発明の評価においては、3級〜5級を合格とした。
・5級…試験前の状態と差が認められない。
・4級…わずかに表面樹脂層部の割れ、剥がれが認められるが、殆ど目立たない。
・3級…明らかに表面樹脂層部の割れ、剥がれが認められるが、目立たない。
・2級…やや著しい表面樹脂層部の割れ、剥がれがある。
・1級…著しく表面樹脂層部の割れ、剥がれがある。
<原綿>
島成分としてポリエチレンテレフタレートを用い、また海成分としてポリスチレンを用い、島数が16島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した後、延伸し捲縮加工し、その後、51mmの長さにカットして海島型複合繊維の原綿を得た。
上記の海島型複合繊維の原綿を用いて、カードおよびクロスラッパー工程を経て積層ウェブ(不織布)を形成し、織物貼り合わせ後の急激な幅変化による織物しわを抑えるために100本/cm2のパンチ本数でニードルパンチした。別に、固有粘度(IV)が0.65の単成分からなる単糸で、撚数が2500T/mからなるマルチフィラメント(84dtex、72フィラメント)を緯糸に用い、固有粘度(IV)が0.65の単成分からなる単糸で、撚数が2500T/mからなるマルチフィラメント(84dtex、72フィラメント)を経糸として用い、織密度が経97本/2.54cmで、緯76本/2.54cmである平織物を製織した。得られた平織物を、前記の積層ウェブ(不織布)の上下に積層した。
前記の工程で得られた積層シートを、96℃の温度の熱水で処理して収縮させた後、PVA(ポリビニルアルコール)水溶液を含浸し、温度110℃の熱風で10分間乾燥することにより、積層シートの質量に対するPVA質量が7.6質量%のシート基体を得た。このようにして得られたシート基体を、トリクロロエチレン中に浸漬して海成分のポリスチレンを溶解除去し、平均単繊維繊度が4.4μmからなる極細繊維と平織物が絡合してなる脱海シートを得た。このようにして得られた極細繊維からなる不織布と平織物とからなる脱海シートを、固形分濃度を12%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液に浸漬し、次いで、DMF濃度30%の水溶液中でポリウレタンを凝固させた。その後、PVAおよびDMFを熱水で除去し、110℃の温度の熱風で10分間乾燥することにより、島成分からなる極細繊維と前記の平織物の合計質量に対するポリウレタン質量が27質量%の繊維構造物の前駆体シートを得た。
固形分濃度25%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液を、前記の工程で得られた繊維構造の立毛面にロータリーコーティング手法を1度、加工速度8m/minにて、樹脂層が40μmとなるよう塗布し、乾燥した後にシート状物を得た。得られたシート状物の表面は樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂部分の繊維構造物表面に占める割合は60%であった。また、樹脂層の総厚みに対し70%が繊維構造物内に存在していた。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と然のスエード皮革の立毛感を持ちながら、耐摩耗性に優れていた。結果を表1に示す。
<原綿>
島成分としてポリエチレンテレフタレートを用い、また海成分としてポリスチレンを用い、島数が100島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した後、延伸し捲縮加工し、その後、51mmの長さにカットして海島型複合繊維の原綿を得た。
上記の海島型複合繊維の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が0.3μmの繊維構造物を得た。
<樹脂層形成>
固形分濃度15%に調整したポリウレタンのDMF溶液を用いたことと、グラビアコーティング手法を用いた以外は実施例1と同様にして、シート状物を得た。得られたシート状物の表面は樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂部分の繊維構造物表面に占める割合は50%であった。また、樹脂層の総厚みに対し90%が繊維構造物内に存在していた。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と然のスエード皮革の立毛感を持ちながら、耐摩耗性に優れていた。結果を表1に示す。
<原綿〜繊維構造物>
実施例1と同様のものを用いた。
固形分濃度25%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液を、前記の工程で得られた繊維構造の立毛面にロータリーコーティング手法を3度繰り返し、加工速度10m/minにて、樹脂層が3層構造で160μmとなるよう塗布し、乾燥した後にシート状物を得た。樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂部分の繊維構造物表面に占める割合は80%であった。また、樹脂層の総厚みに対し57%が繊維構造物内に存在していた。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と然のスエード皮革の立毛感を持ちながら、耐摩耗性に優れていた。結果を表1に示す。
<原綿>
島成分としてポリエチレンテレフタレートを用い、また海成分としてポリスチレンを用い、島数が8島の海島型複合用口金を用いて、島/海質量比率80/20で溶融紡糸した後、延伸し捲縮加工し、その後、51mmの長さにカットして海島型複合繊維の原綿を得た。
上記の海島型複合繊維の原綿を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、極細繊維の平均単繊維直径が7.0μmの繊維構造物を得た。
固形分濃度25%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液を、前記の工程で得られた繊維構造の立毛面にロータリーコーティング手法を2度繰り返し、加工速度10m/minにて、樹脂層が2層構造で90μmとなるよう塗布し、乾燥した後にシート状物を得た。樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂部分の繊維構造物表面に占める割合は70%であった。また、樹脂層の総厚みに対し55%が繊維構造物内に存在していた。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と然のスエード皮革の立毛感を持ちながら、耐摩耗性に優れていた。結果を表1に示す。
<原綿〜繊維構造物>
実施例1と同様のものを用いた。
固形分濃度30%に調整したポリウレタンのDMF(ジメチルホルムアミド)溶液を、前記の工程で得られた繊維構造の立毛面にロータリーコーティング手法を1度、加工速度15m/minにて、樹脂層が70μmとなるよう塗布し、乾燥した後にシート状物を得た。得られたシート状物の表面は樹脂層部分が島状に点在しており、樹脂部分と立毛部分とが不規則かつ非連続に配置されており、樹脂部分の繊維構造物表面に占める割合は50%であった。また、樹脂層の総厚みに対し34%が繊維構造物内に存在していた。このようにして得られたシート状物は、天然のヌバック皮革の触感と天然のスエード皮革の立毛感であったものの、耐摩耗性が低いものであった。結果を表1に示す。
<原綿〜繊維構造物>
実施例1と同様のものを用いた。
ロータリーコーティング手法で立毛面全体に、加工速度8m/minにて樹脂層が40μmとなるよう塗布し、乾燥した後にシート状物を得た。得られたシート状物の表面は樹脂層のみであり、樹脂部分の繊維構造物表面に占める割合は100%であった。また、樹脂層の総厚みに対し66%が繊維構造物内に存在していた。このようにして得られたシート状物は立毛感が感じられないものであったが、耐摩耗性は優れていた。結果を表1に示す。
Claims (4)
- 平均単繊維直径が0.1μm以上8μm以下の極細繊維を含んでなる繊維構造物であって、該繊維構造物の少なくとも一面が立毛を有しており、その立毛面に非連続な樹脂層が形成され、かつ前記樹脂層の総厚みの50%以上100%以下が繊維構造物内に存在していることを特徴とするシート状物。
- 樹脂層が3層構造であることを特徴とする請求項1に記載のシート状物。
- 繊維構造物が不織布であり、内部に高分子弾性体を含んでなることを特徴とする請求項1または2に記載のシート状物。
- 繊維構造物が、内部に織編物からなる補強布を含んでなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート状物。
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