JP2018123357A - 金属回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】貴金属めっき品より高純度の金属を効率良く回収する、金属回収方法を提供する。【解決手段】基材の表面に、下地金属層と、貴金属を含有する貴金属層とがめっきされた貴金属めっき品より金属を回収する金属回収方法であって、貴金属めっき品に傷付与処理を行う工程と、傷を付与した貴金属めっき品を、塩化第二鉄を含む処理溶液に浸漬して下地金属を溶解させる工程と、処理済貴金属めっき品と処理済液とを分離する工程と、前記処理済液をろ過により貴金属を含むろ物と、下地金属が溶解した溶解液とを分取する工程とを含む、金属回収方法。【選択図】なし

Description

本発明は、貴金属めっき品より金属を回収する、金属回収方法に関する。
電子機器や通信機器等には多くの貴金属やレアメタル等の有価金属が使用されており、プリント基板、コネクタ端子の差し込み部、フレキシブル基板の接点部及び装飾品等には金等の貴金属めっきが施されている。これら貴金属やレアメタルは高価なため、様々な電子機器や通信機器等から回収し資源として再利用する技術が注目されている。しかし電子機器や通信機器等に含まれる貴金属やレアメタルの含有量は僅かであり、回収することは容易でない。
そこで、使用済み電子機器や通信機器等から貴金属を回収して再利用する技術が提案されており、この技術は、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。
特許文献1においては、樹脂と金メッキの間にある金属膜を腐食させる事で金メッキを剥がし、金を採取する方法が開示されている。
特許文献2においては、部材の表面に下地金属と貴金属とがめっきされた貴金属めっき品の下地金属を溶解して、部材から剥離した貴金属を分離回収する有価金属回収方法が開示されている。
特開平2007−31760号公報 特開2016−74952号公報
特許文献1及び2に開示された方法においては、下地金属が金等の貴金属めっきにっより完全に覆われ露出していない部分では下地金属の溶解がおこらず、貴金属めっきの剥離回収が充分にできないという問題があり、より効率よく貴金属を回収する方法が望まれている。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、貴金属めっき品より高純度の金属を効率良く回収する、金属回収方法を提供することにある。
上記課題は下記手段により達成することができる。すなわち、本発明は下記の通りである。
〔1〕
基材の表面に、下地金属層と、貴金属を含有する貴金属層とがめっきされた貴金属めっき品より金属を回収する金属回収方法であって、
貴金属めっき品に傷付与処理を行う工程と、
傷を付与した貴金属めっき品を、塩化第二鉄を含む処理溶液に浸漬して下地金属を溶解させる工程と、
処理済貴金属めっき品と処理済液とを分離する工程と、
前記処理済液をろ過により貴金属を含むろ物と、下地金属が溶解した溶解液とを分取する工程とを含む、金属回収方法。
〔2〕
更に、前記下地金属が溶解した溶解液より金属を回収する工程を含む、〔1〕に記載の金属回収方法。
〔3〕
更に、前記貴金属を含むろ物を、王水処理し、貴金属が王水に溶解した王水溶解液を得る工程を含む、〔1〕又は〔2〕に記載の金属回収方法。
〔4〕
前記傷付与処理が、摩擦処理、破砕処理、又は熱処理である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の金属回収方法。
〔5〕
前記貴金属めっき品が、プリント基板、リードフレーム、又はセパレータである、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の金属回収方法。
本発明の金属回収方法によれば、貴金属めっき品に傷付与処理を行うことにより、下地金属を露出させ、下地金属の溶解を促進するができる。この結果、貴金属層の剥離を効率よく行い容易に貴金属を回収することができる。また、貴金属とその他の金属とを分別することにより、高純度の金属を効率良く回収することができる。
以下、本発明の金属回収方法について説明する。
本発明の金属回収方法は、基材の表面に、下地金属層と、貴金属を含有する貴金属層とがめっきされた貴金属めっき品より金属を回収する金属回収方法であって、貴金属めっき品に傷付与処理を行う工程と、傷を付与した貴金属めっき品を、塩化第二鉄を含む処理溶液に浸漬して下地金属を溶解させる工程と、処理済貴金属めっき品と処理済液とを分離する工程と、前記処理済液をろ過により貴金属を含むろ物と、下地金属が溶解した溶解液とを分取する工程と、を含む、金属回収方法である。
〔貴金属めっき品〕
本発明における貴金属めっき品は、基材の表面に、下地金属層と、貴金属を含有する貴金属層がめっきされたものである。基材は金属であっても、樹脂であってもよい。樹脂基材の内部に更に金属を包含するものであってもよい。基材を形成する金属としては、例えば、ステンレス、銅合金、チタン、アルミニウム又はタングステン等が挙げられ、下地金属層を形成する金属としては、例えば、ニッケルが挙げられる。また、貴金属層を形成する貴金属としては、金、パラジウム、ロジウム、白金、銀等が挙げられる。
貴金属めっき品としては特に限定はないが、例えば、プリント基板、リードフレーム、セパレータ、コネクタ端子、装飾品等が挙げられ、プリント基板、リードフレーム、又はセパレータであることが好ましい。
〔傷付与処理〕
傷付与処理は貴金属めっき品に傷を付与し、貴金属層に被覆された下地金属層を露出させるために行う処理である。下地金属層を露出させることにより、塩化第二鉄を含む処理溶液に浸漬させた際、下地金属が処理溶液に溶解するのを促進し、貴金属層の剥離を効率よく行うことができる。
傷付与処理は、摩擦処理、破砕処理、又は熱処理であることが好ましい。
摩擦処理は、貴金属めっき品相互の物理的接触により行うことが好ましく、貯蔵容器内での接触、搬送装置(振動フィーダー等)上での接触、回転ドラム内での処理、網や籠に入れることによる接触で傷付与することがより好ましく、網や籠に入れることによる接触で傷付与処理することが更に好ましい。
破砕処理には、二軸剪断破砕機又は衝撃破砕機等を用いることができる。
熱処理は、加熱又は冷却により行うことができ、加熱後に冷却することが好ましい。
加熱の温度は400〜700℃が好ましく、450〜650℃がより好ましい。加熱時間は5秒〜2分が好ましく、5秒〜25秒がより好ましい。冷却の温度は10〜40℃が好ましく、10〜30℃がより好ましい。冷却時間は5秒〜1分が好ましく、5秒〜30秒がより好ましい。
貴金属めっきされた貴金属めっき品は、傷付与処理を行うことにより、貴金属めっきの下地金属が塩化第二鉄を含む処理溶液に溶解しやすくなる。
下地金属が該処理溶液に溶解することにより貴金属めっきが基材より剥離され、得られた処理済液をろ過することにより貴金属を含むろ物と、金属が溶解した溶解液とを分取できる。
下地金属の溶解は傷を付与した貴金属めっき品を、塩化第二鉄を含む処理溶液に浸漬することにより行う。貴金属めっき品は、網や籠等に入れ、処理溶液に浸漬することが好ましい。処理済貴金属めっき品と処理済液との分離が容易に行えるためである。
(溶解処理)
傷を付与した貴金属めっき品を、塩化第二鉄を含む処理溶液に浸漬して下地金属を溶解させる工程において、塩化第二鉄を含む処理溶液は、塩化第二鉄水溶液、又は塩酸が添加された塩化第二鉄水溶液であることが好ましい。
ここで、使用する塩化第二鉄水溶液中の塩化第二鉄(FeCl3)の濃度は、概ね10質量%以上(望ましくは30質量%以上)でよいが、経済性を考慮すれば、60質量%以下(好ましくは55質量%以下)である。
また、塩化第二鉄水溶液中に、更に塩酸(HCl)を添加することも可能であるが、この場合、塩化水素35質量%水溶液の塩酸と塩化第二鉄50質量%水溶液を20:80〜50:50の体積比率で混合するのがよい。
上記した塩化第二鉄水溶液と、塩酸が添加された塩化第二鉄水溶液には、新たに製造した新液と、新液を使用した後の処理済液(例えば、塩化銅や塩化ニッケルが溶存している液、更には塩化第一鉄が存在している液)、又は新液と処理済み液の混合液のいずれも使用できる。
これにより、下地金属中の各種金属は塩化物を形成し、塩化第二鉄水溶液に溶解する。
具体的には、銅は塩化銅(CuCl2)、ニッケルは塩化ニッケル(NiCl2)、クロムは塩化クロム(CrCl3)、錫は塩化錫(SnCl2)、鉛は塩化鉛(PbCl2)、ルテニウムは塩化ルテニウム(RuCl3)、アルミニウムは塩化アルミニウム(AlCl3)、インジウムは塩化インジウム(InCl3)となる。
処理済貴金属めっき品と処理済液とを分離する工程において、その方法に特に制限はなく、処理済貴金属めっき品を網や籠を用いて処理済液から分離してもよく、あらかじめ網や籠等にいれた処理済貴金属めっき品を処理済み液より引き揚げても良い。また、処理溶液を入れた容器の底部より処理済液を回収してもよい。
処理済液は、ろ過により貴金属を含むろ物と、下地金属が溶解した溶解液とに分取する。
ろ過は、真空ろ過(到達圧力0.0〜6.6kPa)により行うことが好ましい。
本発明の金属回収方法は、更に、前記下地金属が溶解した溶解液より金属を回収する工程を含むことが好ましい。
下地金属が溶解した溶解液から、金属を析出させて回収する方法としては、従来公知の方法を使用でき、例えば、金属成分が、銅とニッケルを含んでいる場合には、特開平6−127946号公報に記載の方法を使用できる。また、錫や銀、インジウム等も、同様の方法を使用できる。なお、クロムとアルミニウムは、水酸化物として回収される。
この具体的な方法は、特許第4018832号公報に記載されているため、以下簡単に説明する。
上記した下地金属成分を含有する塩化第二鉄水溶液(溶解液)中に鉄粉を添加し、塩化第二鉄水溶液中に溶存する塩化銅(塩化物)を置換させ、銅を析出させて分離回収する。なお、塩化第二鉄水溶液中に塩化第二鉄が残存している場合は、鉄粉を添加して先に塩化第一鉄に還元しておく方が、銅の回収効率が向上し、望ましい。
次に、銅が除去された脱銅水溶液中に鉄粉を添加し、かつ鉄イオン濃度を制御してニッケルを析出させ分離回収する。これにより、塩化第二鉄水溶液中から銅とニッケルを回収できる。
以上の方法により、傷を付与した貴金属めっき品より貴金属以外の金属成分も回収することで、これらを再利用できるので、資源の有効利用が図れる。
(王水処理)
本発明の金属回収方法は、更に、前記貴金属を含むろ物を王水処理し、貴金属が王水に溶解した王水溶解液を得る工程を含むことが好ましい。上記貴金属を含むろ物を、王水処理し、貴金属が王水に溶解した王水溶解液を得る工程は、上記貴金属を含むろ物を、王水と混合して貴金属を溶解させ、ろ過により貴金属が王水に溶解した王水溶解液を得る工程であることが好ましい。貴金属を含むろ物を王水で処理することにより、貴金属を含むろ物のうち貴金属が王水に溶解した王水溶解液と、残渣との混合物である王水処理済液が得られる。この王水処理済液をろ過することにより、王水溶解液を得ることができる。ろ過は、真空ろ過により行うことが好ましい。
貴金属めっき品に含まれる他の金属と貴金属を含むろ物とを分別して、貴金属を多く含むろ物のみを王水で処理することにより、王水と反応する金属の量を低減でき、突沸を防ぐことができる。また、金等の貴金属を高い濃度で含む王水溶解液とすることができる。該貴金属としては、金、パラジウム、ロジウム、白金、銀が挙げられる。
王水は、塩酸と硝酸の混合溶液であれば特に制限されるものではない。通常用いられる塩酸と硝酸の体積混合比が3:1の王水を使用してもよいし、塩酸と硝酸の体積混合比が1〜1.5:2.5〜3.0の逆王水を使用することもできる。
王水による処理は、貴金属を含むろ物を王水に浸漬することにより行うことが好ましい。王水の温度は特に制限されるものではないが、例えば10℃〜80℃が好ましく、20℃〜40℃がより好ましい。浸漬時間は特に制限されるものではないが、例えば1〜100時間が好ましく、1〜50時間がより好ましく、1〜24時間が更に好ましい。
以上の方法により、貴金属めっき品に含まれる貴金属成分を回収することで、これらを再利用できるので、資源の有効利用が図れる。
本発明の金属回収方法は、更に、処理済貴金属めっき品より金属片を分別し、分別した金属片を、塩化第二鉄を含む処理溶液に浸漬して金属を溶解させる工程と、得られた処理済液より金属を回収する工程とを含むことが好ましい。
貴金属めっき品が、樹脂及び金属を含む場合(例えば、樹脂基材の内部に金属を包含する場合等)は、更に、加熱処理して樹脂成分を炭化する工程を含むことが好ましい。加熱処理に先立ち、処理済貴金属めっき品を、破砕してもよい。また、加熱処理により得られた金属片と炭化物を含む残渣とを分別する工程を含んでもよい。
貴金属めっき品における基材が金属である場合は、処理済貴金属めっき品を塩化第二鉄を含む処理溶液に浸漬して金属を溶解させる工程と、得られた処理済液より金属を回収する工程とに処することもできる。
本発明の金属回収方法は、更に、前記処理済貴金属めっき品を、破砕し、加熱処理して樹脂成分を炭化する加熱工程と、金属片と、炭化物を含む残渣とを分別する工程と、分別した金属片を、塩化第二鉄を含む処理溶液に浸漬して金属を溶解させる工程と、得られた処理済液より金属を回収する工程とを含むものであってもよい。
破砕には、二軸剪断破砕機又は衝撃破砕機等を用いることができる。
加熱処理における加熱の温度は、処理後の処理済貴金属めっき品に含まれる樹脂材料が分解する温度である必要がある。具体的には500℃〜900℃が好ましく、550℃〜800℃であることが更に好ましく、610℃〜730℃であることが特に好ましい。
加熱処理における加熱に供する時間は加熱の温度によって異なるが、10分〜5時間が好ましく、10分〜3時間であることが更に好ましい。加熱時間を上記の範囲にすることで、処理後の処理済貴金属めっき品に含まれる樹脂成分を完全に分解させ、金属を分離することができ、有価金属を効率良く高純度に回収することができる。
加熱方法は、加熱流体を処理済貴金属めっき品に吹き付けるのでもよく、加熱流体の雰囲気炉内に滞留させるものでもよく、加熱効率、処理装置の建設コストを勘案して処理できるものである。
加熱流体は高温空気による加熱でもよいが、水蒸気加熱、特に過熱水蒸気は熱容量が大きく、熱効率が良いので過熱水蒸気による加熱が最も好ましい。該加熱により処理後の処理済貴金属めっき品に含まれる樹脂を効率よく脆性化、分解して炭化するものである。
加熱流体の雰囲気が炉内に滞留する方が熱容量は大きく短時間で処理できる。加熱流体を吹き付ける方法は熱容量が小さく、処理時間が長くなるが装置が簡素化できるメリットはある。加熱温度、加熱方法、及び加熱時間については全体の処理コストを勘案して処理できる。
該加熱流体の加熱はガス等燃料の燃焼での加熱、電熱ヒーター等による加熱、誘導加熱装置による加熱等が利用できる。樹脂が酸化しないように真空加熱炉を使用することも可能である。炉は横型でも、縦型でも可能である。
加熱処理により炭化した樹脂(炭化物)は脆く壊れやすいので、殆どの炭化物は分離されるが、炭化物の一部は金属片から分離されずに表面に付着したまま残ることがある。金属片と炭化物の分離を促進するため、振動又は機械的外力を与えてもよい。振動と機械的外力を組み合わせて与えることもできる。機械的外力としては、ブラシ、ショットブラスト等による処理が挙げられる。
機械的な外力を与えることにより、炭化物は、金属片から剥離することができる。
振動篩いによる分別処理として、タイラー(Tyler)標準篩9メッシュ〜150メッシュの範囲のいずれかの篩い目を有する振動篩い機を用いることができる。これにより、炭化物と金属片を分級することができ、さらに粒度の異なる金属片を効率よく分別し回収することができる。
なお、前記した9メッシュ、150メッシュのタイラー標準篩とは、それぞれ篩目の開き量が2mm、106μmとなるような篩いである。
さらに、水力分別や風力分別等による比重選別によって、金属片を分別することができる。
分別した金属片は、上述の貴金属めっき品と同様の手法により塩化第二鉄を含む処理溶液に浸漬して金属を溶解させる溶解処理に供し、得られた処理済液より金属を回収できる。
炭化物を含む残渣は、王水処理し、得られた王水溶解液より貴金属を回収することが好ましい。
炭化物を含む残渣を王水で処理することにより、残渣にわずかに含まれる貴金属めっきに含有される貴金属を回収することができ、貴金属の回収率が向上する。
炭化物を含む残渣の王水処理は、上述の貴金属を含むろ物の王水処理と同様に行うことができる。
以上の方法により、貴金属めっき品に含まれる金属成分を回収することで、これらを再利用できるので、資源の有効利用が図れる。
本発明の金属回収方法は、金等の貴金属と、その他の金属をそれぞれ分離回収することができる。貴金属やその他の金属を種類ごとに回収できることから、有価金属を高純度に回収し、資源として再利用することが可能となる。
以下、本発明にかかる金属回収方法の作用、効果の確認のために行った実施例について説明する。
〔実施例〕
(傷付与処理1)
プリント基板15kgを600℃に加熱されたコンベア炉内に10秒間滞留するよう連続的に投入し、加熱直後に20℃の水75Lを貯水した水槽内に30秒浸漬させた。水槽内よりプリント基板を取り出した。
(傷付与処理2)
プリント基板150kgを目開き10mm×10mmの網袋に、互いに接触するよう充填した。
(溶解処理1)
傷付与処理1で水槽内より取り出したプリント基板15kgを網袋に充填し、濃度が44質量%、温度20℃の塩化第二鉄水溶液が200L貯液された槽に12時間浸漬させた。その後、槽下部より塩化第二鉄水溶液を抜出しながら真空ろ過装置(φ400mm)を用いてろ過を行い、ろ物として金を含む残渣15gを回収した。
ろ液には下地金属の、銅やニッケルが溶解していることを確認し、特開平6−127946に記載の方法を用いて、塩化第二鉄水溶液より該溶解金属である銅、及びニッケルを回収した。回収した銅の純度は90%以上、ニッケルの純度は30%以上であった。
(溶解処理2)
傷付与処理2でプリント基板を充填した網袋を、濃度が44質量%、温度20℃の塩化第二鉄水溶液が1000L貯液された槽に12時間浸漬させた。その後、槽下部より塩化第二鉄水溶液を抜出しながら真空ろ過装置(φ400mm)を用いてろ過を行い、ろ物として金を含む残渣を150g回収した。
ろ液には下地金属の、銅やニッケルが溶解していることを確認し、特開平6−127946に記載の方法を用いて、塩化第二鉄水溶液より該溶解金属である銅、及びニッケルを回収した。回収した銅の純度は90%以上、ニッケルの純度は30%以上であった。
(溶解処理3)
溶解処理2で処理した後のプリント基板は、水洗した後、二軸式破砕機(株式会社氏家製作所製 UG165−10−240)で粗破砕し、610℃の過熱水蒸気雰囲気に投入し、120分加熱した。
加熱後、金属片を回収し、加熱処理後のプリント基板を温度が40℃の塩化第二鉄水溶液中に浸漬させ、含有される金属成分を塩化第二鉄水溶液に溶解させた。なお、使用した塩化第二鉄水溶液の塩化第二鉄の濃度は39質量%、塩化第二鉄水溶液への浸漬時間は12hとした。特開平6−127946に記載の方法を用いて、塩化第二鉄水溶液より該溶解金属である銅を回収した。回収した銅の純度は90%以上であった。
(王水処理1)
溶解処理1で得られた残渣15gを籠に入れて、温度が20℃の王水中に浸漬させ、含有される金属成分を王水に溶解させた。なお、使用した王水は塩酸と硝酸の体積混合比が3:1であり、王水への浸漬時間は120分とした。
王水溶解液と、未溶解の残渣とをろ過により濾別し、金濃度1.0%の王水溶解液を得た。
(王水処理2)
溶解処理2で得られた残渣150gを籠に入れて、温度が20℃の王水中に浸漬させ、含有される金属成分を王水に溶解させた。なお、使用した王水は塩酸と硝酸の体積混合比が3:1であり、王水への浸漬時間は120分とした。
王水溶解液と、未溶解の残渣とをろ過により濾別し、金濃度1.0%の王水溶解液を得た。
(王水処理3)
溶解処理3で得られた残渣67.2kgを籠に入れて、温度が20℃の王水中に浸漬させ、含有される金属成分を王水に溶解させた。なお、使用した王水は塩酸と硝酸の体積混合比が3:1であり、王水への浸漬時間は120分とした。
王水溶解液と、未溶解の残渣とをろ過により濾別し、金濃度0.02%の王水溶解液を得た。
以上のことから、本発明の金属回収方法により、処理コストや設備コストを過剰にかけることなく、貴金属めっき品から金及び有価金属を個別に高純度に回収して再利用でき、資源の有効利用が図れることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。

Claims (5)

  1. 基材の表面に、下地金属層と、貴金属を含有する貴金属層とがめっきされた貴金属めっき品より金属を回収する金属回収方法であって、
    貴金属めっき品に傷付与処理を行う工程と、
    傷を付与した貴金属めっき品を、塩化第二鉄を含む処理溶液に浸漬して下地金属を溶解させる工程と、
    処理済貴金属めっき品と処理済液とを分離する工程と、
    前記処理済液をろ過により貴金属を含むろ物と、下地金属が溶解した溶解液とを分取する工程とを含む、金属回収方法。
  2. 更に、前記下地金属が溶解した溶解液より金属を回収する工程を含む、請求項1に記載の金属回収方法。
  3. 更に、前記貴金属を含むろ物を、王水処理し、貴金属が王水に溶解した王水溶解液を得る工程を含む、請求項1又は2に記載の金属回収方法。
  4. 前記傷付与処理が、摩擦処理、破砕処理、又は熱処理である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属回収方法。
  5. 前記貴金属めっき品が、プリント基板、リードフレーム、又はセパレータである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属回収方法。
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