JP2018123283A - セルロースナノファイバー含有支持層を備える積層体及びその製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバー含有支持層を備える積層体及びその製造方法 Download PDF

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康宏 木下
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祐一 久野
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Ayase Nakamura
郁瀬 中村
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Abstract

【課題】高温耐性、加工性等に優れ、薄型化が可能な、セルロースナノファイバー含有支持層、及び粘着剤層を備える積層体、並びにその製造方法を提供する。【解決手段】本開示の一実施態様の積層体は、支持層と、支持層の片面又は両面に配置された粘着剤層とを備え、支持層が、セルロースナノファイバーを含み、かつ、15μm以下の厚さを有する。【選択図】図1

Description

本開示は、高温耐性、加工性等に優れ、薄型化が可能な、セルロースナノファイバー含有支持層を備える積層体及びその製造方法に関する。
従来の粘着テープなどに使用される基材としては、秤量10g/m以上の上質紙、コート紙、不織布などを使用していたため、基材自体が約30μm以上の厚さを有していた。ところが近年、例えば、電子部品の分野における小型化、薄型化の傾向に伴い、該部品に使用される粘着テープなどの構成部材についても薄型化等の性能が望まれている。
特許文献1(特許第5798980号公報)には、導電性粒子を含む熱硬化性樹脂の硬化物からなり、厚さ方向に導電性を有する厚さ1〜10μmの導電性支持基材と、導電性支持基材の一方の表面に形成された、面方向に導電性を有する厚さ0.01μm以上1μm未満の第1の導電層と、導電性支持基材の他方の表面に形成された、面方向に導電性を有する厚さ0.01μm以上1μm未満の第2の導電層と、第1の導電層の表面を覆い、真球度が0.8以上の導電性粒子を含み、厚さ方向に導電性を有する第1の導電性粘着剤層と、第2の導電層の表面を覆い、真球度が0.8以上の導電性粒子を含み、厚さ方向に導電性を有する第2の導電性粘着剤層とを備えた、導電性粘着シートが記載されている。
特許第5798980号公報
従来の粘着テープの薄型化の手段としては、(1)基材自体を使用せずに粘着剤層のみとする手段、(2)薄いPET等の樹脂基材を使用する手段、(3)薄めの不織布等の繊維基材を使用する手段などが採用されてきた。しかしながら、(1)の場合には、粘着剤層が基材に支持されていないため、例えば、ダイカット等の切断加工が困難であるという不具合があった。(2)の場合には、薄いPET等の樹脂基材を使用しているため、粘着テープが加熱工程を経ると基材が収縮するという不具合が生じた。また、(3)の場合には、製造上、約15μm以下の繊維基材を得ることは困難であり、また、該繊維基材が樹脂繊維で形成されている場合には、(2)と同様に、加熱工程で収縮するという不具合を生じた。
本開示は、高温耐性、加工性等に優れ、薄型化が可能な、セルロースナノファイバー含有支持層及び粘着剤層を備える積層体、並びにその製造方法を提供する。
本開示の一実施態様によれば、支持層と、支持層の片面又は両面に配置された粘着剤層と、を備える積層体であって、支持層が、セルロースナノファイバーを含み、かつ、約15μm以下の厚さを有する、積層体が提供される。
本開示の別の実施態様によれば、上記の積層体の製造方法であって、剥離基材に粘着剤溶液を塗布し、乾燥させて粘着剤層を形成する工程と、粘着剤層上に、支持層構成液を塗布し、乾燥させて支持層を形成する工程と、任意に、支持層上に粘着剤溶液を塗布し、乾燥させて粘着剤層を形成する工程と、を含む、積層体の製造方法が提供される。
本開示のさらに別の実施態様によれば、上記の積層体の製造方法であって、第1の剥離基材に粘着剤溶液を塗布して乾燥させ、粘着剤層を備える第1の剥離基材を形成する工程と、第2の剥離基材に、支持層構成液を塗布して乾燥させ、支持層を備える第2の剥離基材を形成する、又は第2の剥離基材に、粘着剤溶液を塗布して乾燥させ、粘着剤層を形成し、該粘着剤層上に支持層構成液を塗布して乾燥させ、粘着剤層及び支持層を備える第2の剥離基材を形成する、工程と、第1の剥離基材の粘着剤層と、第2の剥離基材の支持層とを貼り合わせる工程と、を備える、積層体の製造方法が提供される。
本開示の積層体は、高温耐性、加工性等に優れ、薄型化が可能である。
本開示の積層体は、例えば、支持層及び/又は粘着剤層が導電性フィラーを含む場合には、上記性能に加えて、電気的接地性などにも優れる。
本開示の積層体の製造方法は、約15μm以下の薄い支持層を塗布手段で形成し得るため、例えば、金属箔を支持層として使用した場合に発生するカールを低減することができ、また、フィルム形態の薄い樹脂フィルムなどを支持層として使用する場合に比べて、支持層の切断やクラック、しわ等の不具合を低減させることができるため、積層体の製造、使用時のハンドリング性などにも優れている。
上述の記載は、本開示の全ての実施態様及び本開示に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
本開示の一実施態様による積層体を示す概略図である。 本開示の一実施態様による積層体の抵抗率測定試験の概略図である。
第1の実施形態における積層体は、支持層と、支持層の片面又は両面に配置された粘着剤層とを備え、支持層が、セルロースナノファイバーを含み、かつ、約15μm以下の厚さを有する。セルロースナノファイバーを含む支持層は強度が高く、約15μm以下の厚さであっても粘着剤層を支持することができ、切断加工等の加工性にも優れている。セルロースナノファイバーを含む支持層は、ハンダリフロー加工のような高温処理に伴う収縮を低減することができる。
第1の実施形態における積層体の支持層は、バインダー樹脂をさらに含むことができる。支持層がセルロースナノファイバーに加えてバインダー樹脂を含むことによって、支持層のクラックを防止することができる。
第1の実施形態における積層体の支持層及び/又は粘着剤層は、導電性フィラー等のフィラーを含んでもよい。支持層、粘着剤層がフィラーを含むことによって、積層体の電気的接地性、強度等の性能をより向上させることができる。
第1の実施形態における積層体の製造方法は、剥離基材に粘着剤溶液を塗布し、乾燥させて粘着剤層を形成する工程と、粘着剤層上に、支持層構成液を塗布し、乾燥させて支持層を形成する工程と、任意に、支持層上に粘着剤溶液を塗布し、乾燥させて粘着剤層を形成する工程と、を含む。
第1の実施形態における積層体の別の製造方法は、第1の剥離基材に粘着剤溶液を塗布して乾燥させ、粘着剤層を備える第1の剥離基材を形成する工程と、第2の剥離基材に、支持層構成液を塗布して乾燥させ、支持層を備える第2の剥離基材を形成する、又は第2の剥離基材に、粘着剤溶液を塗布して乾燥させ、粘着剤層を形成し、該粘着剤層上に支持層構成液を塗布して乾燥させ、粘着剤層及び支持層を備える第2の剥離基材を形成する、工程と、前記第1の剥離基材の粘着剤層と、前記第2の剥離基材の支持層とを貼り合わせる工程と、を備える。
これらの製造方法は、約15μm以下の薄い支持層を塗布手段で形成し得るため、例えば、金属箔を支持層として使用した場合に発生するカールを低減することができ、また、フィルム形態の薄い樹脂フィルムなどを支持層として使用する場合に比べて、支持層の切断やクラック、しわ等の不具合を低減させることができるため、積層体の製造、使用時の時のハンドリング性などにも優れている。
以下、本開示の代表的な実施態様を例示する目的でより詳細に説明するが、本開示はこれらの実施態様に限定されない。
本開示において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
本開示において、「ガラス転移温度(Tg)」とは、粘弾性測定装置において、2%剪断歪み及び1.0Hzの周波数の剪断モードで、5℃/分の温度上昇速度で−80℃〜300℃の温度範囲にて損失正接tanδを測定し、最大tanδを示す温度である。
本開示において、「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定された、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
本開示の一実施態様の積層体は、支持層と、支持層の片面又は両面に配置された粘着剤層とを備え、支持層が、セルロースナノファイバーを含み、かつ、約15μm以下の厚さを有する。
粘着剤層
本開示の粘着剤層に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーは、下記に示す単量体(a)及び単量体(b)を含む混合物を共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーである。
ラジカル重合性不飽和基を有し、かつ少なくとも1個の反応性官能基を有する単量体(a)の例としては、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、無水フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸ブチルなどのカルボキシル基を含有する単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルヘキシル)−メチルアクリレート、クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類等の水酸基を含有する単量体が挙げられる。アミノメチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を含有する単量体、アクリルアミド等のアミド基を含有する単量体、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド基を含有する単量体、N−メチルイタコンイミド等のイタコンイミド基を含有する単量体、あるいは、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド基を含有する単量体、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を含有する単量体なども挙げられる。これらは単独であるいは複数組み合わせて使用することができる。その使用量は、単量体全量に対して、約0.01質量%以上、約0.1質量%以上又は約1質量%以上、約20質量%以下、約17質量%以下又は約15質量%以下であってもよい。単量体(a)の使用量がこの範囲であると、加熱環境下で発泡や剥がれを防止することができるとともに、十分な粘着力を発現することができる。
単量体(a)以外の単量体(b)の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。その使用量は、単量体全量に対して、約80質量%以上、約83質量%以上又は約85質量%以上、約99.99質量%以下、約99.9質量%以下又は約99質量%以下であってもよい。これらの単量体(b)は単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。
単量体(a)及び(b)と共重合可能な、単量体(a)及び(b)以外の単量体(c)も、場合により使用されてよい。単量体(c)としては、酢酸ビニル、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル等が挙げられる。単量体(c)は単量体全量に対して、約20質量%以下の範囲で使用することができる。
本開示の積層体が耐熱性を要する場合、粘着剤層はガラス転移温度(Tg)が約−50℃以上、約50℃以下の(メタ)アクリル系ポリマーを含むことが好ましい。ガラス転移温度(Tg)がこの範囲であると、本開示の粘着剤層は高粘着性で適度な凝集力及び耐熱性を発揮することができる。
本開示の粘着剤層は重量平均分子量が約100万以上の(メタ)アクリル系ポリマーを含むことができる。重量平均分子量がこの範囲であると、凝集力の不足に伴う発泡やハガレを防止することができる。粘着剤の粘度の増加に伴う塗工等の作業性などの観点から、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、約250万以下又は約200万以下にしてもよい。
上記範囲のガラス転移温度(Tg)及び重量平均分子量を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含む粘着剤層は、ハンダリフロー工程における約240℃以上、特に約260℃程度の温度下においても粘着力及び凝集力を維持することができる。
本開示の粘着剤層は、場合により、粘着性を調整する目的で粘着付与樹脂を配合することができる。配合される粘着付与樹脂としては、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、石油系粘着付与樹脂、石炭系粘着付与樹脂、その他の公知の粘着付与樹脂等が挙げられる。これら粘着付与樹脂は単独でも複数組み合わせて使用することができる。粘着付与樹脂は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、約0.5重量部以上又は約1重量部以上、約100重量部以下又は約50重量部以下の範囲で使用することができる。
本開示の粘着剤層は架橋剤として多官能性化合物を含有することができる。この多官能性化合物の有する官能基は、上記ラジカル重合性不飽和基の他に少なくとも1個の官能性基を有する単量体(a)に含まれる反応性を有する官能基と反応するものであり、一分子中に官能基を少なくとも2個、好ましくは2〜4個有している。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物などを挙げることができる。(メタ)アクリル系ポリマーにカルボキシル基が含まれる場合、これらの架橋剤のなかでも、エポキシ系化合物を用いると耐熱性を特に向上させることができる。
架橋剤は(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、約0.05重量部以上、約10重量部以下の範囲で使用される。このような量で架橋剤を使用することにより、(メタ)アクリル系ポリマーには好適な三次元架橋が形成され、優れた耐熱性を発現することができる。上記架橋剤は、単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。
本開示で用いる粘着剤層に含まれる(メタ)アクリル系ポリマーの製造には、公知の任意の方法を採用することができる。例えば、(メタ)アクリル系ポリマーは、原料の単量体100重量部に対して、約0.001部以上、約5部以下の重合開始剤を用いて塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの方法により合成することができる。
本開示の粘着剤層は、必要に応じて、導電性フィラー、熱伝導性フィラー等のフィラー(充填剤)、シランカップリング剤、可塑剤、顔料、染料、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定化剤等を配合することができる。
本開示の粘着剤層の厚さは、積層体の使用用途に応じて適宜規定することができ、次のものに限定されないが、約5.0mm以下、約4.0mm以下、又は約3.0mm以下であってもよく、例えば、薄型の電気部品などに使用する場合には、約20μm以下、約15μm以下又は約10μm以下にすることもできる。粘着剤層の下限は特に制限されるものではないが、約0.5μm以上、約1.0μm以上又は約1.5μm以上とすることができる。
支持層
本開示の支持層はセルロースナノファイバーを含み、かつ、約15μm以下の厚さを有する。セルロースナノファイバーとしては、様々なものを使用することができるが、一例として、以下にセルロースナノファイバーの製造方法等について説明する。
(原料)
セルロースナノファイバーの原料としては、セルロース素材を用いる。セルロース素材は、粉砕、爆砕、膨潤、精製、漂白、溶解再生、アルカリ処理などの前処理を施していてもよい。特に、セルロース素材としては、強度のある塗膜等を得る場合は、セルロースIの結晶構造を有する天然由来のセルロースを用いることが好ましい。原料となるセルロースとしては、木材パルプ、非木材パルプ、綿パルプ、バクテリアセルロース、ホヤセルロース、古紙などがある。
(カルボキシル基の導入方法)
セルロースへのカルボキシル基の導入方法としては、一般的に知られる化学的な改質方法を用いることができる。カルボキシメチル化で知られるように、セルロースの水酸基をエステル化・エーテル化してカルボキシル基を導入する手法、水酸基から酸化反応によりカルボキシル基を導入する方法などを選択することができる。結晶構造を崩さずにカルボキシル基を導入する場合には、ニトロキシラジカル誘導体を触媒とし、次亜ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩などを共酸化剤として用いる手法が好ましい。特に、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル)を触媒とし、アルカリ条件下、好ましくはpH9以上、pH11以下の範囲で、次亜塩素酸ナトリウムと臭化ナトリウムを含む水系媒体中で行われるTEMPO酸化法が、試薬の入手のしやすさ、コスト、反応の安定性の点から好適である。TEMPO酸化法においては、反応の進行に伴いアルカリが消費されるため、随時アルカリ水溶液を添加して系内のpHを一定に保つことができる。
TEMPO酸化においては、セルロース分子のピラノース環(グルコース)の第6位水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基を経てカルボキシル基を導入することができる。天然セルロースを用いたTEMPO酸化においては、セルロースの構成単位である結晶性のミクロフィブリル表面にのみ酸化が起こり、結晶内部には酸化が起こらない。このため、セルロースIの結晶構造を維持したまま、微細セルロース繊維を得ることができ、生成する微細セルロース繊維は、高耐熱性、低線膨張率、高弾性率、高強度などの特性を有する。
TEMPO酸化に用いる試薬類は、市販のものを使用することができる。反応温度は約0℃以上、約60℃以下、反応時間は約1時間以上、約12時間以下程度で微細繊維となり、分散性を示すのに十分な量のカルボキシル基を導入できる。TEMPO類および臭化ナトリウムは、反応の際に触媒量だけ用いればよく、反応後に回収することも可能である。上記の反応系では理論上の副生成物は塩化ナトリウムのみであり、廃液の処理も容易で環境への負荷が小さい。
カルボキシル基の量は、TEMPO酸化条件を適宜設定することにより調整可能である。例えば、セルロース繊維は、後述する分散処理工程を経て、カルボキシル基の電気的反発力により水系媒体中に分散することができる。水系媒体中への分散性等の観点から、カルボキシル基の含有量は、約0.1mmol/g以上又約0.6mmol/g以上、約5.5mmol/g以下、約3.5mmol/g以下又は約2.5mmol/g以下とすることができる。カルボキシル基を導入する過程で、酸化反応の中間体であるアルデヒド基が生成し、最終生成物中にもアルデヒド基が残存する場合がある。水系媒体中への分散性、膜の変色等の観点から、アルデヒド基の含有量を約0.3mmol/g以下にしてもよい。
酸化反応は、他のアルコールを過剰量添加し、系内の共酸化剤を完全に消費させることにより停止する。添加するアルコールとしては、反応をすばやく終了させるため、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低分子量アルコールを用いるのが望ましい。この中でも、安全性や酸化により生成する副生成物を考慮し、エタノールが好ましい。
(酸化セルロースの回収)
酸化反応停止後、生成した酸化セルロースは、ろ過により反応液中から回収することができる。反応停止後の酸化セルロースにおいて、カルボキシル基は、共酸化剤やpH調整用の無機アルカリに由来する金属イオンを対イオンとした塩を形成している場合がある。回収の方法としては、カルボキシル基が塩を形成したまま濾別する方法、反応液に酸を添加しpH3以下に調整しカルボン酸としてから濾別する方法、有機溶剤を添加し凝集させた後に濾別する方法がある。中でも、ハンドリング性や収率、廃液処理の観点から、カルボン酸に変換し回収する方法が好適である。後述する微細セルロース繊維組成物の調製の際にも、対イオンとして金属イオンを含有しない方が溶剤との混和性に優れるため、カルボン酸に変換し回収する方法が好適である。
酸化セルロース中に含まれる金属イオン含有量は、様々な分析方法で調べることができる。例えば、電子線マイクロアナライザーを用いたEPMA法、蛍光X線分析法の元素分析によって調べることができる。塩を形成したまま濾別する方法により回収した場合、金属イオンの含有率は、5質量%以上であるのに対し、カルボン酸としてから濾別する方法により回収した場合、金属イオン含有量は、1質量%以下とすることができる。特に、下記のような方法により酸化セルロースを洗浄した場合には、金属イオン含有量は、検出限界以下とすることができる。
(洗浄)
回収した酸化セルロースは、水等で洗浄を繰り返すことにより精製でき、触媒や副生成物である塩化ナトリウム、イオンなどの残渣を取り除くことができる。このとき、塩酸などを用いpH3以下、好ましくはpH1.8以下の酸性条件に調整した洗浄液で洗浄を行った後、水による洗浄を行うと、金属イオンを上記分析方法における検出限界量以下とすることができる。残存する金属イオン量をより低減させるために、酸性条件での洗浄を複数回行ってもよい。
次に、酸化セルロースを分散処理し、セルロースナノファイバー分散液を調製する工程を説明する。
(分散工程)
洗浄した酸化セルロースを微細化する工程としては、まず、酸化セルロースを分散媒である水系媒体に浸漬する。この時、浸漬した液のpHは、例えば、4以下となる。酸化セルロースは水系媒体に不溶であり、浸漬した時点では不均一な懸濁液となっている。
酸化セルロース懸濁液において、酸化セルロースの固形分濃度は、分散性、透明性等の観点から、約10質量%以下又は約5質量%以下が好ましい。固形分濃度の下限は、特に限定されず、0質量%超であればよい。
次に、アルカリを用いて、酸化セルロース懸濁液のpHを4以上、12以下の範囲に調整する。特に、pHを7以上、12以下のアルカリ性とし、カルボン酸塩を形成すると、カルボキシル基同士の電気的反発が起こりやすくなるため、分散性が向上し、セルロースナノファイバーを得やすくなる。
アルカリとしては、種類は限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリを用いることができる。または、アンモニア水、有機アルカリを用いてpHを調整することも可能である。有機アルカリとしては、各種脂肪族アミン、芳香族アミン、ジアミンなどのアミン類や水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラn−ブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、などNROH(Rはアルキル基、ベンジル基、フェニル基またはヒドロキシアルキル基で、4つのRが同一でも異なっていてもよい。)で表される水酸化物イオンを対イオンとする第4級アンモニウム化合物、水酸化テトラエチルホスホニウムなどの水酸化ホスホニウム化合物、水酸化オキソニウム化合物、水酸化スルホニウム化合物、などの水酸化物イオンを対イオンとする有機オニウム化合物が挙げられる。
アルカリとして有機アルカリを用いると、金属イオンを対イオンとする無機アルカリを用いた場合よりも、低エネルギー、短時間で分散処理を行うことができ、かつ最終的に到達する分散液の透明性も高い。これは、有機アルカリを用いた方が対イオンのイオン径が大きいため、分散媒中でセルロースナノファイバー同士をより引き離す効果が大きいためと考えられる。
有機アルカリを用いると、有機溶剤に対する親和性が高いため、分散媒としてアルコールなどの有機溶剤を用いた際にも、セルロースナノファイバー分散液を調製することができる。また、水系媒体中で分散処理したセルロースナノファイバー分散液に、分散処理後に有機溶剤を添加することも可能である。水系媒体としては、水、または水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール(IPA)などのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン類、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル、酢酸エチル、グリセリンなどが挙げられる。これらのいずれか1種単独でも、2種以上の混合溶媒でもよい。
酸化セルロース懸濁液の分散処理の方法としては、既に知られている各種分散処理が可能である。例えば、ホモミキサー処理、回転刃つきミキサー処理、高圧ホモジナイザー処理、超高圧ホモジナイザー処理、超音波ホモジナイザー処理、ナノジナイザー処理、ディスク型レファイナー処理、コニカル型レファイナー処理、ダブルディスク型レファイナー処理、グラインダー処理、ボールミル処理、2軸混練機による混練処理、水中対向処理などがある。これらの処理を二つ以上組み合わせることも可能である。これらの処理の中でも、微細化効率の面から、回転刃つきミキサー処理、高圧ホモジナイザー処理、超高圧ホモジナイザー処理、超音波ホモジナイザー処理が好適である。
分散処理を行うと、酸化セルロース懸濁液は目視上均一な透明分散液となる。分散処理により酸化セルロースは微細化し、セルロースナノファイバーとなる。分散処理後のセルロースナノファイバーの数平均繊維径(繊維の短軸方向の幅)としては、約0.001μm(1nm)以上、約0.500μm(500nm)以下、約0.200μm(200nm)以下又は約0.050μm(50nm)以下とすることができる。セルロースナノファイバーの数平均繊維径は、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)などにより確認することができる。
上記の方法などで製造したカルボキシル基を有するセルロースナノファイバーを含む塗工液としては、上記セルロースナノファイバー分散液をそのまま塗工液として用いることもできるが、公知のバインダー樹脂、上述した溶剤などを添加してもよい。また、上記の方法などで製造したカルボキシル基を有するセルロースナノファイバーを単離し、公知のバインダー樹脂、上述の溶剤などを混合して、別途塗工液を調製してもよい。
バインダー樹脂としては、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂などを使用することができ、アジピン酸エステル、低分子ポリエステルなどといった公知の可塑剤などもバインダー樹脂の一種として使用することができる。バインダー樹脂は、セルロースナノファイバー分散液の分散媒体の種類に応じて、水溶性、水分散性、溶剤系のものを適宜使用することができる。バインダー樹脂の使用は、例えば、乾燥時におけるセルロースナノファイバーの収縮に伴うクラックの発生を低減することができるため好ましい。可塑剤は、セルロースナノファイバーの滑りを向上させる作用があるため、乾燥時の収縮に対してナノファイバーを追従させ、支持層のクラックを低減し得るものと考えられる。
バインダー樹脂を用いる場合、支持層の強度、クラックの低減等を考慮し、セルロースナノファイバーと、バインダー樹脂との重量比は、固形分換算で、10/90以上又は50/50以上、99/1以下又は90/10以下の範囲内とすることができる。
本開示の支持層は、必要に応じて、導電性フィラー、熱伝導性フィラー等のフィラー(充填剤)、シランカップリング剤、顔料、染料、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定化剤等を配合することができる。
支持層はセルロースナノファイバーを含み、強度等に優れるため、粘着剤層を適用する支持層の厚みを約15μm以下、約13μm以下又は約10μm以下にすることができる。支持層の厚さの下限は、特に限定されないが、約0.5μm以上、約1.0μm以上又は約1.5μm以上にすることができる。
薄さを求められる用途への使用を考慮した場合には、剥離基材の厚さを除く、支持層及び粘着剤層を備える積層体の総厚としては、約1μm以上、約2μm以上又は約3μm以上、約50μm以下、約40μm以下又は約30μm以下にすることもできる。
積層体の製造方法
本開示の積層体は、たとえば以下のように製造することができる。
上述の(メタ)アクリル系ポリマー、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンなどの溶媒、必要に応じ、粘着付与剤、フィラー、架橋剤などの添加剤を含む粘着剤溶液を、少なくとも片面が離型処理された公知の剥離基材の離型処理面上に、ダイコーティング、ナイフコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング、ノッチバーコーティング(コンマコーティング)又はその他周知慣用の塗布方法によって塗布、乾燥して粘着剤層を形成する。次いで、上述のセルロースナノファイバー、水、メタノール等の溶媒、必要に応じ、バインダー樹脂、フィラーなどを含む支持層構成液を、形成した粘着剤層上にナイフコーティング、ノッチバーコーティング(コンマコーティング)、ダイコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング又はその他周知慣用の塗布方法によって塗布、乾燥して支持層を形成し、粘着剤層を片面に有する積層体を得ることができる。図1に示されるような、粘着剤層を両面に有する積層体を得る場合には、形成した支持層に粘着剤溶液をさらに塗布、乾燥して粘着剤層を形成し、必要に応じて、剥離基材を粘着剤層にさらに適用すればよい。この方法によれば、連続的に1パスで積層体を得ることができるため、製造効率に優れている。膜厚15μm以下の薄い支持フィルムを作製しておき、それを粘着剤層に貼り合わせる方法も考えられるが、このような場合、製造中に薄い支持フィルムが破損する可能性があり、製造効率を低下させるおそれがある。また、このような支持フィルムを粘着剤層に貼り合わせて積層体を形成する場合に比べ、粘着剤層上にセルロースナノファイバー等を含む支持層構成液を塗工、特に剪断力を付与し易いナイフコーティング、ノッチバーコーティング(コンマコーティング)によって塗工した場合には、粘着剤層と支持層との界面において、粘着剤層を構成する成分と、支持層を構成する成分との混和領域が形成される、及び/又は柔軟な粘着剤層にセルロースナノファイバーが突き刺さった領域が形成されるため、粘着剤層と支持層との密着性が向上して剥がれにくくなり、打ち抜き加工、切断加工等の加工性も向上する。粘着剤が架橋剤を含む場合には、上記領域の形成のし易さ等を考慮し、粘着剤層に支持層を適用した後、支持層に粘着剤層を適用した後に粘着剤を硬化させることが好ましい。本開示の製造方法によれば、上記領域の形成により十分な層間密着性が得られることから、セルロースナノファイバーと反応して密着性を向上させるための特殊な官能基などを変性処理等で粘着剤成分に別途付与しなくてもよい。
本開示の積層体は、次のように製造することもできる。
上述の(メタ)アクリル系ポリマー、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトンなどの溶媒、必要に応じ、粘着付与剤、フィラー、架橋剤などの添加剤を含む粘着剤溶液を、第1の剥離基材にダイコーティング、ナイフコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング、ノッチバーコーティング(コンマコーティング)又はその他周知慣用の塗布方法によって塗布、乾燥させ、粘着剤層を備える第1の剥離基材を形成する。次いで、第2の剥離基材に、上述のセルロースナノファイバー、水、メタノール等の溶媒、必要に応じ、バインダー樹脂、フィラーなどを含む支持層構成液をナイフコーティング、ノッチバーコーティング(コンマコーティング)、ダイコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング又はその他周知慣用の塗布方法によって塗布、乾燥させ、支持層を備える第2の剥離基材を形成する、又は第2の剥離基材に、粘着剤溶液を上述の塗布方法を採用して塗布、乾燥させて粘着剤層を形成し、該粘着剤層上に支持層構成液を上述の塗布方法を採用して塗布、乾燥させて、粘着剤層及び支持層を備える第2の剥離基材を形成する。得られた、第1の剥離基材の粘着剤層と、第2の剥離基材の支持層とを貼り合わせることによって、積層体を形成することができる。
上述の方法で使用されるセルロースナノファイバーを含む支持層構成液は、チクソ性に優れるため、固形分が低くても高粘度の状態を維持することができる。樹脂や溶剤を含む一般的な塗工液の場合、固形分が低いと塗工液の粘度も同時に低くなるため、低固形分の塗工液をグラビアコーティング、ナイフコーティング、ノッチバーコーティング(コンマコーティング)などの一般的な塗工手段で塗工することは困難であり、該塗工手段で15μm以下の薄い支持層を均一に形成することは難しかった。特に、低固形分、低粘度の塗工液に、フィラー、中でも、比重が約1よりも大きい、約2以上、約3以上又は約5以上の金属等のフィラーを配合すると、該フィラーは容易に沈殿してしまうため、このような塗工液を均一に塗工することはなお一層難しかった。一方、セルロースナノファイバーを含む支持層構成液は、固形分が低くても高粘度であるため、フィラーは塗工液中で沈殿することなく分散することができる。その結果、フィラーを含む低固形分の塗工液であっても、約15μm以下の薄い支持層を均一に形成することができる。このようなフィラーを含む支持層構成液の場合には、塗工手段として、塗工液に剪断力を付与し易い、ナイフコーティング、ノッチバーコーティング(コンマコーティング)を使用することが好ましい。支持層構成液の固形分(セルロースナノファイバーの固形分、又はバインダー樹脂を含む場合は、セルロースナノファイバー及びバインダー樹脂の固形分)としては、約10%以下、約7%以下又は約5%以下とすることができる。支持層構成液の固形分の下限値は、特に限定されないが、約0.5%以上又は約1%以上とすることができる。なお、本開示の支持層構成液とは、溶液も分散液も包含する。
用途
本開示の積層体は、例えばハンダリフロー工程における熱に対しても収縮等に耐え得る高温耐性を有し、薄型化が可能な積層体である。したがって、本開示の積層体は、約200℃以上、約260℃以上又は約280℃以上の、高温下に供される様々な用途に使用することができる。本開示の積層体は、短時間であればかなりの高温下で使用することができ、上限値は特に制限されるものではないが、使用温度の上限値としては、約300℃以下又は約350℃以下とすることができる。本開示の積層体は、例えば打ち抜き加工、切断加工等の加工性にも優れるため、打ち抜き加工、切断加工等の加工を要する用途にも使用することができる。これらを踏まえた具体的な用途としては、例えば、ハンダリフロー工程、打ち抜き加工等が適用され、近年より一層の薄型化が望まれているフレキシブル(プリント)回路基板用などとして使用することができる。
本開示の積層体は、例えば、支持層及び/又は粘着剤層に導電性フィラーを配合することができ、この場合には、上記の性能に加えて、電気的接地性などにも優れる。導電性フィラーを含む積層体は導電性を有するため、該積層体を、例えば、フレキシブル回路基板、電気部品などに使用した場合には、これらから発生する電磁波ノイズや外部からの電磁波ノイズなどを、導電性を有する該積層体を介して金属筐体等に電気的に接地させて低減することができ、または、積層体を、フレキシブル回路基板、電気部品で使用される導体の代替品(例えば、高周波伝送路に対するリファレンス導体等)として使用することもできる。
このような用途に使用する場合における導電性フィラーとしては、銀、白金、金、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、鉄、ハンダ等の金属又はこれらの金属を二種以上含む金属合金の粒子、これらの金属又はこれらの金属を二種以上含む金属合金がメッキされた、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機粒子;銅、ニッケル等の非貴金属粒子;樹脂粒子;カーボン粒子などを使用することができる。
導電性フィラーとしては、大小さまざまなもの使用することができ、特に限定されるものではないが、例えば、(1)積層体の厚さと同じ又はそれ以上の大きさの最大径を有する導電性フィラーを支持層に配合した場合には、該フィラーが積層体の表面以上に配置されるため、フィラーの量が少なくても導電パスを少なくとも積層体の厚さ方向に形成することができる。(2)支持層の厚さと同じ又は積層体の厚さ未満の大きさの最大径を有する導電性フィラーを支持層に配合した場合には、粘着剤層の厚さと同じ又はそれ未満の大きさの最大径を有する導電性フィラーを、粘着剤層に該粘着剤層が厚さ方向の導電性を発揮し得る量で配合することによって、導電パスを少なくとも積層体の厚さ方向に形成することができる。(3)支持層の厚さ未満の大きさの最大径を有する導電性フィラーを支持層に配合する場合には、支持層が厚さ方向の導電性を発揮し得る量で該フィラーを支持層に配合するとともに、粘着剤層に対しても、粘着剤層の厚さ以下の大きさの最大径を有する導電性フィラーを粘着剤層に配合し、かつ、粘着剤層が厚さ方向の導電性を発揮し得る量で該フィラーを粘着剤層に配合することによって、導電パスを少なくとも積層体の厚さ方向に形成することができる。支持層及び/又は粘着剤層に配合する導電性フィラーは、平均粒径が異なる少なくとも2つの粒子を併用することができる。このような構成にすると、大きな粒子径の間に小さな粒子径の導電性フィラーが埋まり最密充填のような状態で充填されるため、導電性が向上する。導電性フィラーの平均粒径、粒度分布は、電子顕微鏡、レーザー回折光散乱装置などにより測定することができる。例えば、平均粒径が異なる2つのフィラーを併用した場合、これらのフィラーを含む材料における粒度分布には2つのピークが観測される。したがって、該材料における粒度分布のピークの数を確認することで、平均粒径の異なるフィラーが材料中にいくつ含まれているかを確認することができる。セルロースナノファイバーを含む支持層構成液はチクソ性に優れ、固形分が低くても高粘度の状態を維持することができるため、この支持層構成液は、上述の(1)、(2)で使用されるような比較的大きな沈殿し易いフィラーに対しても使用することができる。なお、以上の導電性フィラーの平均粒径、配合量等に関する事項は、熱伝導性フィラー等の他のフィラーに対しても同様に採用することができる。
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本開示はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
本実施例で使用した原料などを以下の表1に示し、粘着剤層及び支持層の形成に使用する各種材料の配合割合を表2に示す。
Figure 2018123283
Figure 2018123283
(積層シート)
<例1>
2−エチルヘキシルアクリレート/アクリル酸(90/10)(質量標準)の単量体を用いたアクリル系ポリマーに、硬化剤E−AXを1重量部混合して得られた粘着剤溶液を剥離紙(剥離比1:3)上にノッチバーコーター(コンマコーター(登録商標))でコーティングし、65℃で2分及び110℃で2分の条件下、オーブン中で乾燥して厚さ8.5μmの粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層上に支持層構成液(CNF)をノッチバーコーター(コンマコーター(登録商標))で塗布し、65℃で2分及び120℃で2分の条件下、オーブン中で乾燥して厚さ3μmの支持層を形成した。続いて、得られた支持層上に上述の粘着剤溶液をノッチバーコーター(コンマコーター(登録商標))で塗布し、65℃で2分及び110℃で2分の条件下、オーブン中で乾燥して厚さ8.5μmの粘着剤層を形成し、該粘着剤層上に剥離紙をさらに適用して、剥離紙の厚さを除いた部分の総厚が20μmの両面粘着性積層体を得た。
<比較例1>
スリーエムジャパン株式会社製の50μm厚の接着性転写テープ(構成:剥離基材/粘着層/剥離基材)である9079を使用した。
<比較例2>
スリーエムジャパン株式会社製の30μm厚の両面テープ(構成:剥離基材/粘着層/PET/粘着層/剥離基材)である4597−30を使用した。
例1の積層体及び比較例1〜2の両面テープについて行った以下に示す各種試験の結果を表3に示す。
(打ち抜き加工試験)
丸穴形状の打ち抜きポンチを用いて、積層体、両面テープを打ち抜き、不具合なく打ち抜けたものを「○」、ポンチへの糊移り、剥離基材の剥がれ等の不具合が生じたものを「×」と判定した。
(接着力試験1)
65μm厚の銅張積層板(CCL)に支持された、幅25mmの試料を、エポキシ含浸ガラス基材に貼り合わせ、2kgのローラーで該ガラス基材上を一度押圧して20〜40分間放置して測定用試料を作製した。測定用試料を引張試験機(TENSILON(登録商標))にセットした後、JIS Z 0237(2000)に準拠し、23℃、300mm/分の速度で180°の剥離強度を測定した。試料の接着力は、押圧及び放置後の試料の初期接着力と、下記の耐熱性試験後の接着力とを測定した。
(耐熱性試験)
剥離基材/積層体又は両面テープ/CCLの構成の試料を、小型のハンダリフローオーブンを一度通過させた。オーブン中の加熱条件としては、約260℃の雰囲気を約20秒間保持するよう設定した。耐熱性試験後、外観変化がないものを「○」、カール、収縮等の不具合が生じていたものを「×」と判定した。
Figure 2018123283
表3の結果から分かるように、例えば、本開示の積層体は、薄くても十分な接着力を発揮するとともに、粘着剤層を支持するセルロースナノファイバーを含む支持層が備わっているため、従来の両面テープ(比較例1、2)に比べ、打ち抜き加工等の加工性、ハンダリフロー加工の熱などに対する耐熱性に優れることが確認された。
(導電性積層体)
<例2〜例8>
粘着剤溶液を剥離基材(BX9)上にノッチバーコーター(コンマコーター(登録商標))でコーティングし、65℃で2分及び110℃で2分の条件下、オーブン中で乾燥して粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層上に支持層構成液をノッチバーコーター(コンマコーター(登録商標))で塗布し、65℃で2分及び130℃で2分の条件下、オーブン中で乾燥して支持層を形成した。続いて、得られた支持層上に粘着剤溶液をノッチバーコーター(コンマコーター(登録商標))で塗布し、65℃で2分及び110℃で2分の条件下、オーブン中で乾燥して粘着剤層を形成し、該粘着剤層上に剥離基材(BKE)をさらに適用して、両面粘着性の導電性積層体を得た。なお、例2〜例8における、粘着剤層及び支持層を形成する上で使用した粘着剤溶液及び支持層構成液の各材料、粘着剤層の厚さ、支持層の厚さ、並びに積層体の総厚(剥離基材の厚さを除いた部分の総厚)については表4に記載する。
<比較例3>
スリーエムジャパン株式会社製の50μm厚の導電性両面テープ(構成:剥離基材/粘着層/メッキ不織布/粘着層/剥離基材)である9750を使用した。
<比較例4>
スリーエムジャパン株式会社製の85μm厚の導電性両面テープ(構成:剥離基材/粘着層/アルミ箔/粘着層/剥離基材)であるAL25DCを使用した。
<比較例5>
スリーエムジャパン株式会社製の5μm厚の両面テープ(構成:剥離基材/粘着層/PET/粘着層/剥離基材)である#82600を使用した。
例2〜8の積層体及び比較例3〜5の両面テープについて、以下に示す、抵抗率測定試験及び接着力試験2を行い、その結果を表4に示す。
(抵抗率測定試験)
図2に示すように、10mm×30mmの2枚の銅箔3の間に、10mm×10mmの積層体又は両面テープの試料20を配置し、銅箔3上を2kgのローラーで圧着して、測定用サンプルを得た。4探針法デジタルミリオームメーター(日置電機株式会社製:HIOKI 3541)を用い、サンプルの抵抗値を測定した。
(接着力試験2)
例2〜8の導電性積層体は、剥離基材(BKE)/粘着剤層/支持層/粘着剤層/剥離基材(BX9)の層構成を有しており、この試験においては、剥離基材(BX9)側を裏面、剥離基材(BKE)側を表面とする。被着体としては、アズワン株式会社製のクリーンエスで表面を洗浄した、SUS304BA板を使用した。なお、比較例3〜5においては、表面、裏面の区別をすることが困難であり、任意に表面、裏面を規定しているため、表4における接着力の表面及び裏面のデータは、逆の結果になる場合もある。
裏面の測定方法
導電性積層体から剥離基材(BKE)を剥し、25μm厚のPETフィルムを貼り合わせた。次いで、10mm幅にスリットした後、剥離基材(BX9)を剥して粘着剤層を被着体に貼り合わせ、2kgのローラーを用いて圧着し、20〜40分間放置して測定用サンプルを作製した。測定用サンプルを引張試験機(TENSILON(登録商標))にセットし、常温下、300mm/分の速度で180°の剥離強度を測定した。
表面の測定方法
導電性積層体を10mm幅にスリットした後、剥離基材(BKE)を剥して粘着剤層を被着体に貼り合わせた。次いで、剥離基材(BX9)を剥し、15mm幅にスリットした25μm厚のPETフィルムを粘着剤層に貼り合わせ、2kgのローラーを用いて圧着し、20〜40分間放置して測定用サンプルを作製した。測定用サンプルを引張試験機(TENSILON(登録商標))にセットし、常温下、300mm/分の速度で180°の剥離強度を測定した。
Figure 2018123283
表4の結果から分かるように、本開示の導電性積層体は、例えば、比較例3、4で使用した従来の厚めの導電性両面テープなどと同等の接着性、導電性を発揮し得ることが確認された。したがって、本開示の導電性積層体は、例えば薄型化が望まれる電気部品の構成部材などとして十分に使用し得ることが確認できた。
1 粘着剤層
2 支持層
3 銅箔
10 積層体
20 試料

Claims (6)

  1. 支持層と、
    前記支持層の片面又は両面に配置された粘着剤層と、を備える積層体であって、
    前記支持層が、セルロースナノファイバーを含み、かつ、15μm以下の厚さを有する、積層体。
  2. 前記支持層がバインダー樹脂をさらに含む、請求項1記載の積層体。
  3. 前記支持層及び/又は粘着剤層がフィラーを含む、請求項1又は2記載の積層体。
  4. 前記フィラーが導電性フィラーである、請求項3記載の積層体。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の積層体の製造方法であって、
    剥離基材に粘着剤溶液を塗布し、乾燥させて粘着剤層を形成する工程と、
    前記粘着剤層上に、支持層構成液を塗布し、乾燥させて支持層を形成する工程と、
    任意に、前記支持層上に粘着剤溶液を塗布し、乾燥させて粘着剤層を形成する工程と、を含む、積層体の製造方法。
  6. 請求項1〜4の何れか一項に記載の積層体の製造方法であって、
    第1の剥離基材に粘着剤溶液を塗布して乾燥させ、粘着剤層を備える第1の剥離基材を形成する工程と、
    第2の剥離基材に、支持層構成液を塗布して乾燥させ、支持層を備える第2の剥離基材を形成する、又は第2の剥離基材に、粘着剤溶液を塗布して乾燥させ、粘着剤層を形成し、該粘着剤層上に支持層構成液を塗布して乾燥させ、粘着剤層及び支持層を備える第2の剥離基材を形成する、工程と、
    前記第1の剥離基材の粘着剤層と、前記第2の剥離基材の支持層とを貼り合わせる工程と、を備える、積層体の製造方法。
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