JP2018122385A - カッター機構、及び巻回装置 - Google Patents

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公輔 皆藤
杉山 正芳
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Abstract

【課題】本発明の目的は、第一刃先と第二刃先とによって正電極又は負電極等の切断対象物をスムーズに切断し、正電極等の粉塵の生じないカッター機構を提供することである。【解決手段】本発明のカッター機構200において、DLC処理を施した第一刃先202を有する固定刃(第一カッター)204と、DLC処理を施した第二刃先206を有する移動刃(第二カッター)208とを備え、固定刃204の第一刃先202と移動刃208の第二刃先206との間に帯状の正電極100又は帯状の負電極104を配置し、移動刃208の第二刃先206を固定刃204の第一刃先202に接近させ交叉させて、正電極100等を切断するように構成した。【選択図】図1

Description

本発明は、第一カッターの第一刃先と第二カッターの第二刃先との間に切断対象物を配置し、第一刃先と第二刃先とを互いに接近させて、切断対象物を切断するカッター機構、及び巻回装置に関する。
従来から、帯状の正電極、帯状の第一セパレーター、帯状の負電極、及び帯状の第二セパレーターを巻芯に巻き取り、巻き取った巻回素子を電解液に浸漬し、電池又はコンデンサを製造することが行われている。図12において、符号120は、原反112、114、116及び118から送られた帯状の正電極100、帯状の第一セパレーター102、帯状の負電極104及び帯状の第二セパレーター106を巻芯108へ巻回していく巻回装置である。この巻回装置120は、同図に示すように、位置S1において、巻芯108を回転させて正電極100等を巻回した後、カッター機構130によって正電極100及び負電極104を切断し、巻芯108を回転させて巻回されていない正電極100等の後端付近を巻回して巻回素子109を形成する。次に、巻回素子109を位置S2へ送り、第一セパレーター102及び第二セパレーター106をカッター機構(図示しない)によって切断し、位置S2においてテープ124を貼着してカッター機構(図示しない)により切断する。次に、巻回素子109を位置S3へ送り、位置S3において巻芯108を抜き出して巻回素子109を取り出すことができる。
カッター機構130は、図13に示すように、第一刃先132を有する固定刃(第一カッター)134と、第二刃先136を有する移動刃(第二カッター)138とを備え、固定刃134の第一刃先132と移動刃138の第二刃先136との間に帯状の正電極100又は帯状の負電極104を配置し、第二刃先136を第一刃先132に接近させて交叉させ、正電極100等を切断していた。
しかし、従来のカッター機構は、正電極及び負電極を切断することにより、正電極等の粉塵が第一刃先又は第二刃先に溶着していく場合がある。この場合、正電極等を約一万回切断することにより、第一刃先と第二刃先とのクリアランスが変化し、正電極等をスムーズに切断することができなくなった。この結果、正電極等に微小な突起(バリ)が形成され、正電極、負電極及びセパレーターを巻回して巻回素子を製造した時には、その突起がセパレーターを突き破って正電極と負電極とが短絡することがあった。
なお、第一刃先と第二刃先とによって正電極及び負電極をスムーズに切断し、正電極等の粉塵が生じないことを目的とするカッター機構について、本発明の出願人によって出願されている(特許文献1参照。)
特開2015−20267号公報
本発明は、正電極又は負電極を切断する第一刃先及び第二刃先の耐久性を向上させることにより、正電極等にバリが発生することなく正電極等を切断できる回数を増大させることを目的とする。
本発明のカッター機構は、第一刃先を有する第一カッターと、第二刃先を有する第二カッターとを備え、帯状の切断対象物を、前記第一カッターの前記第一刃先と前記第二カッターの前記第二刃先との間に配置し、該第一刃先と該第二刃先とを互いに交叉させて該電極を切断するカッター機構であり、前記第一刃先及び前記第二刃先の一方又は両方に、DLC(Diamond Like Carbon)処理を施したことを特徴とする。
本願の特許請求の範囲において、DLC処理とは、主として炭化水素又は炭素の同素体から成る非晶質(アモルファス)の硬質膜を、金属表面に形成する処理をいう。
また、本発明のカッター機構は、前記カッター機構において、帯状の電極及びセパレーターを巻芯へ送りながら積層し該巻芯に巻回することにより巻回素子を製造する巻回装置に備えられ、前記切断対象物が前記巻芯へ送られた前記電極であることを特徴とする。
また、本発明のカッター機構は、前記カッター機構において、前記巻芯へ送られた帯状の前記電極を、該電極の送り方向に対して垂直な短手方向が前記第一刃先と略平行な状態で、該電極を切断することを特徴とする。
また、本発明のカッター機構は、前記カッター機構において、前記DLC処理が、水素フリーDLC処理であることを特徴とする。
本願の特許請求の範囲において、水素フリーDLCとは、硬質膜中の水素含有量が、原子組成百分率において、10at%(アトミックパーセント)以下であることをいう。また、水素フリーDLC処理でない処理を、通常DLC処理と言う。
また、本発明のカッター機構は、前記カッター機構において、前記第一刃先及び前記第二刃先が直線状であることを特徴とする。
また、本発明のカッター機構は、前記カッター機構において、前記第一刃先と前記第二刃先とが互いに斜め方向に交叉することを特徴とする。
本発明の巻回装置は、カッター機構を備えたことを特徴とする。
本発明のカッター機構及び巻回装置によれば、第一刃先及び第二刃先の一方又は両方にDLC処理を施しているため、第一刃先及び第二刃先の一方又は両方の耐久性を向上させることができる。また、本発明のカッター機構及び巻回装置によって正電極及び負電極を切断したところ、約10万回以上切断しても正電極等にバリが形成されることはなかった。すなわち、本発明のカッター機構の第一刃先及び第二刃先は、従来の第一刃先及び第二刃先に対して、正電極等にバリが発生することなく正電極等を切断できる回数を10倍以上に増大させることができる。
本発明に係るカッター機構を示す正面図である。 図1のカッター機構の第一カッター及び第二カッターを示す左側面図である。 図1のカッター機構を備えた巻回装置を示す全体図である。 本発明に係るカッター機構の他の実施形態を示す正面図である。 図4のカッター機構の第一カッター及び第二カッターを示す左側面図である。 図4のカッター機構の移動刃を示す右側面図である。 同図(a)は、図4のカッター機構において第一刃先及び第二刃先を含む部分を拡大して示すA−A線切断部要部拡大断面図であり、同図(b)は、図1のカッター機構において移動刃と基台との連結部を示すA−A線切断部要部拡大断面図である。 図4のカッター機構の使用状態を示す正面図であり、同図(a)は、正電極を配置した状態を示す図であり、同図(b)は、移動刃が移動してガイド面が第二刃先に接触した瞬間を示す図である。 図4のカッター機構の使用状態を示す正面図であり、同図(a)は、移動刃が更に移動してガイド面が第二刃先を押圧する状態を示す図であり、同図(b)は、移動刃が更に移動して押さえ部材と固定刃との間に正電極が挟持された状態を示す図である。 図4のカッター機構の使用状態を示す正面図であり、同図(a)は、移動刃が更に移動して第一刃先と第二刃先とによって正電極が切断されていく状態を示す図であり、同図(b)は、移動刃が更に移動して正電極の切断が完了した瞬間を示す図である。 図1及び図4のカッター機構の刃先に水素フリーDLC処理を行う成膜装置を示す概略図である。 従来の巻回装置を示す正面図である。 従来のカッター機構を示す正面図である。
(第一実施形態)
(構成)
本発明に係るカッター機構の実施形態について図面に基づいて説明する。図1〜図3において、符号200は、本発明に係るカッター機構であり、図3において、符号201は、本発明に係る巻回装置である。
本発明に係るカッター機構200は、図1及び図2に示すように、第一刃先202を有する固定刃(第一カッター)204と、第二刃先206を有する移動刃(第二カッター)208とを備え、固定刃204の第一刃先202と移動刃208の第二刃先206との間に帯状の正電極100(フィルム状の切断対象物)又は帯状の負電極(フィルム状の切断対象物)104を配置し、第二刃先206を第一刃先202に接近させ交叉させて、正電極100等を切断する機構である。
正電極100又は負電極104は、リチウム、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はマグネシウム等から構成されている。正電極100及び負電極104を電解液に浸漬することにより、充電できればよい。
図1に示すように、固定刃204は、ボルト(図示しない)によって支持台210に固定され、支持台210は、ボルト(図示しない)によってフレーム212に固定されている。フレーム212は、図3に示すように、正電極100を切断する位置A及び負電極104を切断する位置Bにおいて、ボルト等(図示しない)によって基盤214に固定されている。固定刃204の第一刃先202は、一端203から他端205まで延びる直線状である。
図1に示すように、移動刃208には、ボルト(図示しない)によって摺動棒216が固定され、摺動棒216は、支持台210に設けられた摺動孔218に摺動可能に挿入されている。摺動棒216は、連結部材220を介してエアシリンダ222のピストンロッド224に連結されている。エアシリンダ222は、フレーム212に固定されている。エアシリンダ222を作動させて移動刃208及び摺動棒216をZ軸方向(摺動棒216の長手方向)に移動させるように構成されている。
摺動棒216は、移動刃208の重心C近辺において移動刃208に固定されている。移動刃208の中の摺動棒216よりもX軸正方向側(図1における右側)略半分は、摺動棒216がZ軸方向にスムーズに摺動するために、移動刃208のX軸方向(Z軸と垂直方向)のバランスを確保すべく設けられている。
移動刃208の第二刃先206は、正電極100等との点接触による当接によって正電極100等を切断しやすいように、図1に示すように、第一刃先202と第二刃先206との間に第一刃先202と平行に配置した正電極100等に対して傾斜し、一端226から他端228まで延びる直線状である。
固定刃204及び移動刃208は、超硬金属から構成されている。超硬金属は、炭化物を鉄、コバルト、又はニッケル等などの鉄系金属を焼結した複合材料等である。固定刃204の中の少なくとも第一刃先202を含む部分、及び移動刃208の中の少なくとも第二刃先206を含む部分は、フリーDLC(Diamond Like Carbon)処理、特には水素(Hydrogen)フリー(Free)DLC処理が施されている。固定刃204の全体又は移動刃208の全体に水素フリーDLC処理を施してもよい。
DLC処理とは、主として炭化水素又は炭素の同素体から成る非晶質(アモルファス(Amorphous))のDLC膜(硬質膜)を、金属表面に形成する処理をいう。水素フリーDLC処理とは、DLC処理の中で、DLC膜中の水素含有量が、原子組成百分率において、10at%(アトミックパーセント)以下の場合をいう。水素フリーDLC処理でないDLC処理を、以下、通常DLC処理という。
水素フリーDLCの処理は、アーク式イオンプレーティング法により、図11に示す成膜装置250によって行う。アーク式イオンプレーティング法は、PVD(physical vapor deposition)法(物理気相成長法又は物理蒸着法)の一種である。成膜装置250は、真空炉252と、真空炉252内を真空状態にする真空ポンプ254と、真空炉252内に固定した黒鉛256と、黒鉛256にアーク放電させる放電手段258と、イオン化した炭素が当たる位置に基材262(固定刃204又は移動刃208)を位置決めする位置決め手段260とを備える。成膜装置250は、真空炉252内の黒鉛256からのアーク放電によって瞬時に昇華・イオン化した炭素を、所定のバイアス電圧Vを印加した基材262に照射することにより、基材262の表面に水素フリーDLC膜を形成する。この場合、膜厚は約1μmであり、ビッカース硬さは約5000Hvであり、水素フリーDLC膜表面の摩擦係数は約0.085以下である。
水素フリーDLC処理は、上述のアーク式イオンプレーティング法の他、スパッタリング(Sputtering)法やレーザーアブレーション(Laser Ablation)法であってもよい。また、通常DLC処理を行う場合、プラズマCVD(Plasma Physical Vapor Deposition)法又はプラズマイオン注入(Plasma based Ion Implantation)等、特に限定されない。通常DLC処理の場合、膜厚は約1μmであり、ビッカース硬さは約2500〜3000Hvであり、通常DLC膜表面の摩擦係数は約0.9である。なお、DLC膜は、水素含有量(at%)が少ないほど、摩擦係数が少ない。
本発明の巻回装置201は、図3に示すように、正電極100を切断するためのカッター機構200が、巻回装置201の位置Aに設置され、負電極104を切断するためのカッター機構200が、巻回装置201の位置Bに設置されている。巻回装置201の位置S1の近辺には、正電極100等を束ねるためのローラ240が備えられている。位置Aに対してローラ240と反対側には、正電極100をローラ240へ導くためのローラ242が備えられている。位置Bに対してローラ240と反対側には、負電極104をローラ240へ導くためのローラ244が備えられている。位置Aにおけるカッター機構200のローラ240及びローラ242に対する位置及び向きは、送る正電極100が第一刃先202と平行となる位置及び向きである。位置Bにおけるカッター機構200のローラ240及びローラ244に対する位置及び向きは、送る負電極104が第一刃先202と平行となる位置及び向きである(図1参照)。
(作用)
上述の構成のカッター機構200によって正電極100を切断する作用について以下に説明する。負電極104を切断する作用は、正電極100を切断する作用と同じである。
従来と同様に、巻回素子を製造するために、巻回装置201による正電極100、第一セパレーター102、負電極104及び第二セパレーター106の巻回が完了する。位置Aにおいて、図1及び図2に示すように、固定刃204の第一刃先202と移動刃208の第二刃先206との間に、正電極100が第一刃先202と略平行に配置されている。この状態において、帯状の正電極100の送り方向に対して垂直な短手方向が、第一刃先202と略平行である。
次に、エアシリンダ222が作動し、摺動棒216及び移動刃208がZ軸負方向に移動し、移動刃208の第二刃先206が固定刃204の第一刃先202に接近させられる。第二刃先206が他端228側から第一刃先202に交叉しながら、正電極100が切断される。
第一刃先202と第二刃先206との間に配置された正電極100の短手方向に対して、第二刃先206の方向は、他端228から一端226へいくに従って離隔する斜め方向である。このため、第二刃先206が、正電極100に対して点接触で当接し、第二刃先206が、当接する点において第一刃先202に接近する方向に正電極100に対して摺動しながら、正電極100が切断される。正電極100の切断面は、帯状の正電極100の短手方向と平行である。正電極100の短手方向の幅は4cm〜6cm程度であるため、正電極100の切断は一瞬で完了する。
位置Bにおいて、負電極104も正電極100と同様にしてカッター機構200によって切断される。正電極100及び負電極104が切断されると、巻回されていない正電極100等の後端付近を巻回して巻回素子109(図3に示す)を形成し、巻回素子109を巻回装置201の位置S2へ送る。次に、他のカッター機構(図示しない)によって第一セパレーター及び第二セパレーターを切断し、位置S2においてテープ124を貼着し、第一セパレーター等が巻き戻らないように固定される。その後、巻回素子109を位置S3へ送る。次に、位置S3において巻芯108を抜き出して巻回素子109を取り出し、電池又はコンデンサの原材料として使用される。
(効果)
上述の構成のカッター機構200によって正電極100を切断する場合の効果について以下に説明する。負電極104を切断する場合の効果は、正電極100を切断する場合の効果と同じである。
本発明のカッター機構200及び巻回装置201は、固定刃204の中の少なくとも第一刃先202を含む部分、及び移動刃208の中の少なくとも第二刃先206を含む部分に、水素フリーDLC処理又は通常DLC処理を施している。DLC処理を施さない超硬金属の硬度は、約2000Hvであり、通常DLC処理を施した超硬金属の硬度は、約2500〜3000Hvであり、水素フリーDLC処理を施した超硬金属の硬度は、約5000Hvである。このため、第一刃先202及び第二刃先206の耐久性を向上させることができる。
また、従来のDLC処理を施さない第一刃先及び第二刃先の場合、正電極100等を約1万回切断することにより、正電極等をスムーズに切断することができなり、正電極等に微小な突起(バリ)が形成され、正電極、負電極及びセパレーターを巻回して巻回素子を製造した時には、その突起がセパレーターを突き破って正電極と負電極とが短絡することがあった。しかし、本発明のカッター機構200及び巻回装置201によれば、正電極100等を約10万回以上切断しても正電極100にバリが形成されることはなかった。
また、本発明のカッター機構200及び巻回装置201は、第一刃先202及び第二刃先206に水素フリーDLC処理又は通常DLC処理を施しているため、以下の効果が生じる。通常の超硬金属の摩擦係数は、約0.6〜約0.9であるのに対して、DLC処理を施した超硬金属の摩擦係数が、約0.9である。さらに、水素フリーDLC処理を施した超硬金属の摩擦係数は、約0.085以下と小さい。第一刃先202及び第二刃先206は水素フリーDLC処理が施されているため、摩擦係数が小さく、第一刃先202と正電極100との間、又は第二刃先206と正電極100との間の摩擦抵抗が少なく、摩擦熱によって正電極100の一部が溶けて第一刃先202等に溶着することはない。また、第一刃先202と正電極100との間等の摩擦抵抗が少ないため、第一刃先202と正電極100との間等で静電気が発生することがない。このため、粉塵が第一刃先202等に付着することがない。これにより、正電極100にバリが発生していない状態で正電極100を切断できる回数を増大させることができる。
また、本発明のカッター機構200及び巻回装置201は、第一刃先202と第二刃先206との間に配置された正電極100の短手方向に対して、第二刃先206の方向が斜め方向であることにより、以下の効果が生じる。すなわち、第二刃先206が正電極100に対して点接触する当接点において、第二刃先206が第一刃先202に接近する方向に正電極100に対して摺動しながら、正電極100が切断されるが、上述のように、第二刃先206は水素フリーDLC処理等が施されているため、摩擦係数が小さく、第二刃先206が正電極100に対して当接点においてスムーズに摺動しながら、正電極100が切断される。このため、正電極100にバリが発生していない状態で正電極100を切断できる回数をより増大させることができる。すなわち、本発明は、正電極100の短手方向に対して、第二刃先206の方向が斜め方向であること、及び、第二刃先206に水素フリーDLC処理が施されていることの相乗作用により、より優れた効果が生じる。
また、本発明のカッター機構200及び巻回装置201は、正電極100の切断面が帯状の正電極100の短手方向(4cm〜6cm程)と平行であり、正電極100の切断は一瞬で完了する。このため、正電極100の切断時に帯状の正電極100の長手方向に張力が形成されたとしても、切断の途中で、張力によって切断面から正電極100が裂けることがなく、第二刃先206によってのみ正電極100を切断することができる。このため、正電極100の切断面が滑らかでありバリが生じない。
(第二実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述のものには限定されない。例えば、図4及び図5に示すカッター機構230であってもよい。
カッター機構230は、図4及び図5に示すように、第一刃先232を有する固定刃(第一カッター)234と、第二刃先236を有する移動刃(第二カッター)238と、を備え、固定刃234の第一刃先232と移動刃238の第二刃先236との間に帯状の正電極(切断対象物)100又は帯状の負電極(切断対象物)104を配置し、移動刃238の第二刃先236を固定刃234の第一刃先232に接近させて当接させ、正電極100等を切断する機構である。
固定刃234及び移動刃238は、超硬金属から構成されている。固定刃234の中の少なくとも第一刃先232を含む部分、及び移動刃238の中の少なくとも第二刃先236を含む部分は、水素フリーDLC処理が施されている。固定刃234の全体又は移動刃238の全体に水素フリーDLC処理を施してもよい。上記水素フリーDLC処理の代替として、通常DLC処理であってもよい。水素フリーDLC処理又は通常DLC処理を施す方法は、第一実施形態と同様である。
固定刃234は、図7(a)に示すように、側面45が、移動刃238の第二刃先236と固定刃234の第一刃先232との接近方向に対してa2°傾斜するテーパ面である。a2°は、正電極100等を確実に切断するためには、2〜6°であることが好ましい。
移動刃238の第二刃先236は、図5に示すように、固定刃234の第一刃先232との点接触による当接によって正電極100等を切断しやすいように、直線状の第一刃先232に対して傾斜し、一端52から他端50まで延びる直線状である。
移動刃238は、図4に示すように、第二刃先236と第一刃先232との接近方向に延びるガイド24を有し、ガイド24は、第二刃先236と第一刃先232との接近時に、第一刃先232に接触するガイド面26を有している。また、直線状の第二刃先236とガイド面26とが、第二刃先236の他端50において連続している。ガイド面26は、図7(a)に示すように、移動刃238の第二刃先236と固定刃234の第一刃先232との接近方向に対してa1°傾斜するテーパ面である。a1°は、ガイド面26が第一刃先232にスムーズに接触するためには、2〜6°であることが好ましい。ガイド面26に水素フリーDLC処理又は通常DLC処理を施してもよい。
また、カッター機構230は、図4に示すように、移動刃238を支持する基台42と、基台42に支持され、固定刃234に当接した時のガイド面26が固定刃234の第一刃先232を弾性的に押圧するようにガイド24に付勢力を付与する圧縮バネ30を備えている。移動刃238には、図7(b)に示すように、ピン32が貫通する孔34が設けられ、孔34の内壁とピン32との間には、僅かな厚さの隙間36が設けられている。このため、移動刃238は、孔34の内壁及びピン32の頭部44に規制される範囲内で、固定刃234に当接した時に、僅かな角度で回動することができる。これにより、移動刃238は、圧縮バネ30から付勢力を付与されることにより、固定刃234に当接した時のガイド面26が固定刃234を弾性的に押圧するように構成されている。すなわち、圧縮バネ30及び隙間36によって押圧機構が構成される。なお、図4及び図7(b)においては、移動刃238は、圧縮バネ30から付勢力を付与され、且つ孔34の内壁及びピン32の頭部44に当接することにより、停止し位置決めされている。なお、圧縮バネ30の代替としてゴム等の弾性体を使用してもよい。
また、カッター機構230は、図4に示すように、第二刃先236と第一刃先232とによって正電極100等を切断する時に、固定刃234との間で正電極100等を挟持する押さえ部材38と、押さえ部材38に対して固定刃234へ向かう方向に付勢力を付与する圧縮バネ40とを有している。押さえ部材38は、第一刃先232と第二刃先236とによって正電極100等を切断する時に、固定刃234からの反力により圧縮バネ40の付勢力に抗して基台42へ接近するように構成されている。
基台42、移動刃238、及び押さえ部材38は、固定刃234に向かって接近又は離隔させられ、接近等させる離隔接近機構は、例えば、基台42を固定刃234に向かって接近又は離隔させる図示しないシリンダ等、特に限定されない。
(作用)
上述の構成のカッター機構230により正電極100を切断する作用について、以下に説明する。負電極104を切断する作用は、正電極100を切断する作用と同じである。
カッター機構230は、例えば図3に示す巻回装置201に取り付けたカッター機構200の代替として配設される。従来と同様に、巻回素子を製造するために、巻回装置201による正電極100又は負電極104の巻回が完了した時、図8(a)に示すように、移動刃238の第二刃先236と固定刃234の第一刃先232との間に正電極100等が配置される。
次に、離隔接近機構が作動し、基台42、移動刃238、及び押さえ部材38が、固定刃234に向かってZ軸方向に接近させられ、移動刃238の第二刃先236が固定刃234の第一刃先232へ接近していき、図8(b)に示すように、移動刃238のガイド面26が固定刃234の第一刃先232に当接させられる。
図9(a)に示すように、更に移動刃238の第二刃先236が固定刃234の第一刃先232へ接近させられると、第一刃先232からの反力により、移動刃238は、圧縮バネ30の付勢力に抗して、僅かに反時計まわりに回動させられる。この時、ガイド面26は第一刃先232に対して摺動していく。また、第二刃先236及び押さえ部材38が正電極100に接触する。
更に移動刃238の第二刃先236が固定刃234の第一刃先232へ接近させられると、図9(b)に示すように、第二刃先236及び押さえ部材38が、正電極100を僅かに持ち上げ、正電極100が押さえ部材38と固定刃234との間に挟持される。この時、第二刃先236の他端50と第一刃先232との間に正電極100が挟持され、この直後に、正電極100の切断が開始される。また、この直後に、移動刃238と第一刃先232との接触部は、第二刃先236の他端50において、ガイド24のガイド面26から第二刃先236へと連続的に移行する。
更に移動刃238の第二刃先236が固定刃234の第一刃先232へ接近させられると、図10(a)に示すように、正電極100が、第二刃先236と第一刃先232とによって切断されていく。この時、第二刃先236は第一刃先232に対して点接触で当接しながら摺動していく。
更に移動刃238の第二刃先236が固定刃234の第一刃先232へ接近させられると、図10(b)に示すように、正電極100が、第二刃先236と第一刃先232とによって完全に切断され、正電極100の切断が完了する。
負電極104も同様にカッター機構230によって切断される。正電極100及び負電極104が切断されると、更に正電極100等を巻回して巻回素子109を形成し、巻回素子109を図3に示す巻回装置201の位置S2へ送り、他のカッター機構によって第一セパレーター及び第二セパレーターを切断し、位置S2においてテープ124を第一セパレーター等の切断部に貼着し、巻回素子109を位置S3へ送り、位置S3において巻芯108を抜き出して巻回素子109を取り出し、電池又はコンデンサの原材料として使用される。
(効果)
上述の構成のカッター機構230によって正電極100を切断する場合の効果について以下に説明する。負電極104を切断する場合の効果は、正電極100を切断する場合の効果と同じである。
固定刃の中の少なくとも第一刃先を含む部分、及び移動刃の中の少なくとも第二刃先を含む部分に水素フリーDLC処理を施したことによる効果は、図1に示すカッター機構200と同じである。
(第二実施形態特有の効果)
カッター機構230によれば、正電極100又は負電極104を切断するために移動刃238の第二刃先236を固定刃234の第一刃先232へ接近させていくと、まずガイド24のガイド面26が第一刃先232に当接し、その後、移動刃238と第一刃先232との接触部は、第二刃先236の他端50において、ガイド面26から第一刃先と連続的に移行する。このため、移動刃238は、第一刃先232に対して、ガイド面26から第二刃先236が連続的に当接し摺動していくため、第二刃先236と第一刃先232との当接の開始がスムーズに行われ、正電極100等の切断をスムーズ且つ確実に行うことができる。
このため、形成した巻回素子を使用して製造した電池又はコンデンサの精度が悪くなることはなく、電池等の品質向上を図ることができる。また、正電極100の切断による粉塵は発生せず、正電極100の表面やセパレーターに粉塵が付着しないため、正電極100と負電極104との短絡が生じることもない。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、本発明は図示したものには限定されない。例えば、図13に示すカッター機構130において、固定刃134の中の少なくとも第一刃先132を含む部分、及び移動刃138の中の第二刃先136を含む部分に、水素フリーDLC処理又は通常DLC処理を施してもよい。また、セパレーター(帯状の切断対象物)、又は、正電極若しくは負電極の一端に固定するタグ(Tag)端子若しくはタブ(Tab)端子(帯状の切断対象物)を、本発明のカッター機構により切断してもよい。その他、本発明は、上述した実施形態以外の態様でも実施できる。
本発明によれば、第一刃先及び第二刃先の一方又は両方の耐久性を向上させることができる。このため、電極を切断するためのカッター機構として広く利用できる。
100:正電極
102:第一セパレーター
104:負電極
106:第二セパレーター
108:巻芯
109:巻回素子
200,230:カッター機構
201:巻回装置
202、232:第一刃先
204、234:固定刃
206、236:第二刃先
208、238:移動刃
214:基盤
230:カッター機構
232:第一刃先
234:固定刃
236:第二刃先
238:移動刃

Claims (7)

  1. 第一刃先を有する第一カッターと、第二刃先を有する第二カッターとを備え、
    帯状の切断対象物を、前記第一カッターの前記第一刃先と前記第二カッターの前記第二刃先との間に配置し、該第一刃先と該第二刃先とを互いに交叉させて該電極を切断するカッター機構であり、
    前記第一刃先及び前記第二刃先の一方又は両方に、DLC(Diamond Like Carbon)処理を施したカッター機構。
  2. 帯状の電極及びセパレーターを巻芯へ送りながら積層し該巻芯に巻回することにより巻回素子を製造する巻回装置に備えられ、
    前記切断対象物が前記巻芯へ送られた前記電極である請求項1に記載するカッター機構。
  3. 前記巻芯へ送られた帯状の前記電極の送り方向に対して垂直な短手方向が前記第一刃先と略平行な状態で、該電極を切断する請求項2に記載するカッター機構。
  4. 前記DLC処理が、水素フリーDLC処理である請求項1〜3のいずれかに記載するカッター機構。
  5. 前記第一刃先及び前記第二刃先が直線状である請求項1〜4のいずれかに記載するカッター機構。
  6. 前記第一刃先と前記第二刃先とが互いに斜め方向に交叉する請求項1〜5のいずれかに記載するカッター機構。
  7. 帯状の電極及びセパレーターを巻芯へ送りながら積層し該巻芯に巻回することにより巻回素子を製造する巻回装置であり、
    前記請求項2〜6のいずれかに記載するカッター機構を備えた巻回装置。
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