JP6672116B2 - 金属部品が鋼板に溶接された構造部材とこれを製造する方法 - Google Patents

金属部品が鋼板に溶接された構造部材とこれを製造する方法 Download PDF

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Description

本発明は金属部品が鋼板に溶接された構造部材とこれを製造する方法に関する。
自動車の車体フレームなどの構造体やその補強部材を構成する構造部材には、鋼板にナットやボルトなどの金属製締結部材を一体的に溶接することにより製造されるものがある。締結部材の溶接には通常プロジェクション溶接法が用いられる。プロジェクション溶接法は抵抗溶接法の一種であり、締結部材に突起を設けて鋼板との接点を狭めることにより電流を狭い経路に集中させ、小電流でも効率的に発熱量が得られるものである。
一般に素材の溶接性とは、良好に溶接を行うことのできる接合面の能力をいう。したがって、例えば締結部品を溶接したい鋼板の表面に酸化層が存在すると、締結部品に対する鋼板の溶接性が悪くなることがある。特開昭61−189881号公報には、鋼板にボルト用の穴を開けるための穿孔パンチの周囲に目立てパンチを配置することにより、穿孔パンチで鋼板に穴を開けると同時に穴の周囲の黒皮(スケール)と呼ばれる酸化層を除去することができるようにした装置が開示されている。鋼板の酸化層が除去された面にはナットが溶接される。特許5948579号公報には、鋼板表面にナット溶接部位を選定し、溶接前に鋼板表面のナット溶接部位の酸化層やその下のめっき層を除去する方法が開示されている。
特許5948579号公報 特開昭61−189881号公報
上記の文献に開示されている技術はいずれもナットを溶接する面の表面状態のみを考慮している。本発明者は、プロジェクション溶接法を用いる場合にはナットを溶接する面とは反対側の表面状態が溶接の結果に大きく影響することを見出した。一般に鋼板の表面の酸化層は均一ではなく、酸化物が一部欠落した箇所も存在する。このような鋼板の表面に電極の表面を当てて溶接するとき、鋼板と電極の接触面を横切って流れる電流は選択的に抵抗の小さい接点を通るため、鋼板内を通る電流の経路にはばらつきが生じる。各突起に対する経路の電気抵抗に偏りがあると、電流が大きすぎたり小さすぎたりした突起では鋼板への溶接が不完全あるいは不良になる可能性がある。本発明の目的はこのようなプロジェクション溶接時の突起を通る電流の分布を改善し良好な溶接結果を得ることにある。
本発明のひとつの態様としての方法は、ナットやボルト等の金属部品が鋼板に溶接された構造部材を製造する方法であって、第一面と第二面に酸化層を有する鋼板と、突起を有する金属部品とを用い、鋼板の第一面の第一領域の酸化層を除去し、この第一領域に対応する第二面の第二領域の酸化層を除去せず、金属部品の突起を鋼板の第二面の第二領域に接触させ、金属部品と鋼板の第一面の第一領域とにそれぞれ電極を当てて金属部品を鋼板にプロジェクション溶接する。
ひとつの実施例として、金属部品の突起を鋼板の第二面に接触させることによって、この第二面の酸化層が突起の接触した箇所で少なくとも部分的に破壊されるようにする。
ひとつの実施例として、鋼板を熱間プレスにより成形する工程を含め、第一面と第二面の酸化層がこの熱間プレスの際に形成されたものとする。
ひとつの実施例として、第一面の第一領域の酸化層は、グラインダ研磨、ショットブラストを含む機械的方法で局所的に除去してもよい。
ひとつの実施例として、鋼板をめっき鋼板とし、酸化層がめっき材料の酸化物を含んだものとする。めっき鋼板は亜鉛あるいは亜鉛系合金の層を含んだ亜鉛めっき鋼板としてもよい。
本発明によればプロジェクション溶接時の突起を通る電流の分布を改善し良好な溶接結果を得ることができる。
典型的な突起付きナットの正面断面図。 溶接装置に配置された鋼板とナットの正面断面図。 抵抗の小さい接点がナットの軸から遠くに位置し電流経路が長くなった場合を示す図。 抵抗の小さい接点が突起の直下に存在し電流経路が最も短い場合の電流経路を示す図。 抵抗の小さい接点がナットの軸寄りに位置し電流経路が長くなった場合を示す図。 二つの突起をそれぞれ通る電流経路の長さが異なる場合を示す図。 二つの突起をそれぞれ通る電流経路の長さが等しい場合を示す図。 溶接装置に配置された鋼板とボルトの正面断面図。 押し込み剥離試験を説明する正面断面図。 ナットが剥離したときの押し込み荷重をプロットした図。 複数の剥離試験をしたときの荷重のばらつきをプロットした図。
以下、図面を参照しながら本発明の各種実施例について説明する。本願はナットやボルト等の金属部品を鋼板に溶接する方法に関するものである。あるいは金属部品が鋼板に溶接された構造部材とそれを製造する方法に関するものである。構造部材は例えば、自動車の車体など、乗り物のフレームの構成部材とすることができる。自動車車体の場合、本願で開示する方法は例えば、自動車のドアピラーのヒンジリインフォースにドアヒンジを取り付けるためのナット10を溶接するために用いることができる。
《鋼板》
用いる鋼板は何らかの材料で表面を覆っためっき鋼板としてもよい。めっき鋼板は亜鉛めっき鋼板としてもよい。亜鉛めっき鋼板は表面に亜鉛あるいは亜鉛系合金の層が形成されている。亜鉛めっき鋼板は後述する熱間プレスなどにより表面が酸化すると亜鉛酸化物を含む薄い酸化物の層が生じる。一方でめっきを施さない生の鋼板は表面が酸化すると酸化鉄を含む酸化層が生じる。一般に酸化亜鉛は酸化鉄と比較して硬度が小さいため、亜鉛めっき鋼板を用いたほうが熱間プレスの間に鋼板から剥がれ落ちても成形型を傷つけるおそれが少なく有利である。また、酸化亜鉛は酸化鉄よりも電気抵抗が小さいため、亜鉛めっき鋼板を用いたほうが抵抗溶接を行う場合に余計な部分の酸化層を剥がす必要がないという点でも有利である。亜鉛めっき鋼板は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、非合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GI)、電気亜鉛めっき鋼板(EG)など、任意の種類のものを用いても良い。
《酸化層の形成》
実施例によっては、溶接の前に、鋼板を熱間プレス(ホットスタンプともいう)により目的の構造部材の形状に加工する工程を行う。熱間プレスでは鋼板を通常900度程度かそれ以上の高温にさらして軟化させてから、型の間に挟んで加圧する。したがって、この熱間プレスにより鋼板の表面は周囲の空気と反応して酸化し、酸化層が形成される。熱間プレスは製品の寸法精度や焼き入れ強度の面で冷間プレスよりも有利である。しかしながら、本願で開示する方法は熱間プレス以外の熱処理を施すことによって表面に酸化層が生じた鋼板に対しても適用できる。
《酸化層の除去》
本願で開示する方法では、鋼板の片側の表面の酸化層を少なくとも一部除去する工程を行う。しかし、従来の方法とは異なり、ナット10等の金属部品を溶接するほうの面32(「ナット側」と呼ぶ)とは反対側の面34(「電極側」と呼ぶ)の酸化層42を除去する(図7参照)。(なお図2、8、9では酸化層の図示を省略している。)この電極側の酸化層42はナットを溶接する領域のちょうど反対側の対応する領域にある部分だけを剥がせば十分である。例えば、図7に示すように溶接の際に用いる電極52の接触面56が当たる領域34aの酸化層42を剥がせばよい。あるいは、図示しないが、突起を含めたナットの大きさに対応する領域だけ酸化層を剥がしてもよい。目的によっては片面(電極側)の全体の酸化層を剥がしても良い。一方、第一領域34aの反対側のナット側表面32の対応する第二領域32aの酸化層は除去しないようにする。この第二領域は後に説明するように溶接工程においてナットの突起を接触させる領域となる。
酸化層を除去するには、グラインダ研磨、ショットブラスト、ウォーターブラスト(ウェットブラスト)などの機械的方法、レーザー研磨などの物理的方法、酸処理などの化学的方法など、任意の適切な方法を用いることができる。経済性の観点からは、必要な箇所の酸化層だけを局所的に除去できる方法が好ましい。そのような方法の一つが電動グラインダによる機械的研磨である。グラインダに用いる砥粒は、鋼板の表面の酸化層のみを削ることができ母材をなるべく傷つけないような材料や粒度(グレード)のものを選択するのが望ましい。広範囲の酸化層を除去する必要がある場合には、研削材粒子を噴射して鋼板に当てることにより表層を削るショットブラストやウォーターブラストを用いても良い。
《金属部品と突起》
図1、2、8について、鋼板30に溶接する金属部品は、典型的にはナット10やボルト110などのねじ14、114の付いた金属製の締結具である。そのような締結具は、ひとつの実施例として自動車のピラーやその補強部材にドアを取り付けるドアヒンジを固定するためのナット10とすることができるが、これに限定しない。また、金属部品はねじ式以外の締結具でもよく、さらには締結具の代わりにヒンジや各種ブラケットなど、固定したい金属部品そのものであってもよい。金属部品をナット10やボルト110とする実施例では、溶接前に鋼板にボルト110の軸を通すための穴36を開けておく必要がある。したがってこの場合、上記の酸化層を除去する工程では穴36の周囲の領域の酸化層を除去することとなる。鋼板30の穴36は上述の熱間プレスの際に開けることも可能である。
プロジェクション溶接法で鋼板30に溶接する金属部品は点状の複数の突起20、120を有するものである。しかし金属部品は、線状や環状の突起(突条)を少なくとも一本有する金属部品であってもよい(図示せず)。このような突起20、120は、ナット10の一方の端16や側壁18から、あるいはボルトの頭116の一方の面から、少なくとも軸方向に突出したものである。点状の突起20、120や環状の突条は通常ナット10の穴12やボルト110の軸部112を取り囲むように配置される。例えば図示したような一端16の四隅に点状の突起20を備えた四角ナット10や、一端の六つの隅に一つ置きに(計3個の)突起を設けた六角ナットを用いることができる。点状の突起の形状は角張った形状や半球状など、鋼板との接点を狭めることのできる適切な形状であればいかなるものでもよい。鋼板との接点が狭いほど溶接の際に電流がその接点を通る狭い経路に集中して電流密度が高くなるため、小電流でも効率的に発熱量を得ることができる。
《プロジェクション溶接》
図2、8について、本願で開示する方法はプロジェクション溶接法による鋼板30へのナット10やボルト110などの金属部品の溶接工程を含む。溶接装置は、例えば、上下に電極50、52を備え、それらの間で二つの溶接対象部材を加圧して保持し、両部材の間に電流を流すことができるように構成されたものである。図2はナット10を溶接する場合の装置の例、図8はボルト110を溶接するための装置の例をそれぞれ示している。ナットを溶接するための装置はナットの位置決めピン54を備えている。ナット10の溶接を行うには、まず鋼板30の(電極側)表面の酸化物を除去した第一領域34aに下側の電極52の表面が当たるように鋼板を溶接装置に配置する。次に鋼板の上側に突起付きナット10を配置し、ナット10が突起20の箇所のみで鋼板30の上面(ナット側表面)に接した状態にする。このとき酸化物を除去した第一領域34aの反対側の表面32の対応する第二領域32a内にナット10のすべての突起20が接触するようにする。次に、上側の電極50をナット10の上端面に当て、ナット10に荷重を加えることでナット10の突起20を下の鋼板30に押し当てる。そして上下の電極50、52間に電圧を加え、鋼板とナット10との間に突起を通して電流を流す。鋼板30と突起20は接点の箇所で溶融して凝固し、両者は接合される(図9参照)。なお、鋼板に接触させるための電極52は平坦な接触面56を備えている。
図3〜7について、溶接前に電極側表面34の酸化層42を除去すると複数の突起に対する電流の偏りが生じにくくなると考えられる。一般に鋼板の表面の酸化層は均一ではなく、場所によって厚みが異なったり、めっき層から浮き上がっていたり、微小なうねりがあったりしている(図示せず)。また、表面には様々な要因により酸化層42が一部欠落した箇所も存在する。このような鋼板30の表面34の酸化層42を除去しないまま表面に電極52の接触面56を当てると、層が薄い箇所や酸化物が存在しない箇所ではその他の場所よりも電気抵抗の小さい接点が形成されるため、溶接時の電流は選択的にそのような抵抗の小さい接点を通る経路に沿って流れることとなる。一個の突起から鋼板30を横切って電極52に至る経路の電気抵抗は基本的にその経路の長さに比例すると考えられるため、経路の抵抗は抵抗の小さな接点が偶然ナットの突起20のちょうど反対側の箇所34bにあるときに最も小さくなり(図4)、そのような接点が突起の反対側の箇所34bから遠く離れるにつれて大きくなる(図3、5)。ナット10に複数の突起20がある場合、各突起20を通る経路の抵抗が大体等しければ溶接結果もほぼ均等になると考えられる(図7)。一方で、各突起20に対する電気抵抗に偏りがあると、電流が大きすぎたり小さすぎたりした突起20では鋼板30に対する溶接が不完全あるいは不良になる可能性がある(図6)。このことはナットに環状の突起がある場合の電流の分布に対しても同様であると考えられる。したがって、電極側表面34において酸化物を除去する第一領域34aは、ナットの突起20のちょうど反対側の箇所34bを含む範囲とすれば、すべての突起について突起から鋼板を横切って電極に至る電流の最短経路を確保することができる。前述のとおり、第一領域は例えば図7に示すように電極52の接触面56が当たる領域34aとすればよい。あるいは、第一領域は突起を含めたナットの大きさに対応する領域(図示せず)としてもよい。なお、複数の突起20の全部や環状の突起の全周にわたって均等な電流分布を得るには鋼板30の電極側表面34の酸化層42を完全に除去できることが望ましいが、当業者には明らかなように、酸化層42は必ずしも完全に除去できなくてもよい。
《押し込み剥離試験》
図9、10について、板厚1.4mmの亜鉛めっき鋼板と呼び径M8(JIS)の四角ナットとを用いて試験部材を作製し、ナットの溶接強度を試験した。鋼板はいずれも一定の時間をかけて熱間プレスした。熱間プレス後、鋼板は(A)そのままのもの、(B)ナット側表面の酸化層を一部剥がしたもの、(C)電極側表面の酸化層を一部剥がしたもの、(D)両面の酸化層を一部剥がしたものの四種類を用意した。酸化層の剥がしは3M社のロロックメタコンディスク、酸化アルミニウム砥粒、グレードVF(#320相当)を用いて行った。ナット10は図1に示したような四隅にそれぞれ(点状の)突起20を有するものである。図2に示すように一定の荷重を掛けながらナット10の突起20を鋼板に押し当て、様々な電流で一定の時間をかけてナット10を鋼板30に溶接し、複数の試験部材を得た。この各試験部材に対し、図9に示すようにナット側表面を下に向けて鋼板30をスペーサー92で支持し、ナット10の反対側から試験用ボルト90をねじ込み、ボルト90の頭に荷重を徐々に増やしながら付与した。なお、この試験はJIS B1196規格に定められた「押込み剥離試験方法」に準拠している。図10は(A)〜(D)の各グループについて、いくつかの電流値に対してナットが鋼板から剥離したときの負荷荷重をプロットしたものである。
良品範囲の条件は鋼板に対するナットの溶接強度とナットのねじ山の品質との両方を考慮して設定する必要がある。ナットの溶接強度は基本的に電流が大きいほど強くなる傾向にある。突起を流れる電流が小さすぎると溶け込み量が不足し接合強度は落ちる。呼び径M8の四角ナットは、3430Nの荷重でも剥離しないことが要求される。一方で、電流が大きすぎるとナットの突起から材料の一部がスパッタと呼ばれる溶融した塊となって飛散するようになる。このスパッタがナットの穴のねじに付着して固まると、組み付け時にボルトをナットにねじ込むことができなくなる。
図10の結果からわかるように、規格の溶接強度を満たすために必要な電流の下限電流Iは、片側の酸化層のみを剥がした鋼板を用いた場合(B)(C)では少し上昇しており、両面を剥がした鋼板の場合(D)はさらに高くなっている。一方で、スパッタによるボルトねじ込みへの影響が生じない電流の上限電流Iは、特に電極側の酸化層を剥がした場合(C)(D)で高くなり、13kAに達している。結果的に、良品を生む電流範囲ΔIは電極側の酸化層のみを剥がした場合(C)に3.5kAと最も広くなっており、これは全く剥がさない場合(A)の1.5kAの2倍以上である。この電流範囲ΔIが広いと、様々な原因で溶接条件がばらついても所望の接合強度とねじ山の品質をもったナット付き構造部材を安定的に得ることができる。
顕微鏡を用いた観察により、ナット側の酸化層40を剥がしていない鋼板を用いた場合(A)(C)でも、ナット10の突起を鋼板30の表面32に押し当てることによって、突起20が接触した部位の酸化層40が圧力で部分的に破壊される(削れる、あるいは砕ける)ことがわかった。図3〜7ではナット側のそのような表面状態を誇張して表現している。一方で、ナット側表面32の酸化層40のみを剥がした鋼板の場合(B)に良品範囲の下限電流Iがかなり高くなったのは、酸化層40がないことによりナット10との接点において溶接に必要な電気抵抗が得られなかったためであると考えられる。したがってナット側表面32は電極側表面34とは異なり溶接前に積極的に酸化層40を除去する必要はない。溶接時にナット10の突起20から受けた荷重によって酸化層40が部分的に砕ければ十分に必要な導通を得ることができ、溶接前に敢えて酸化層40を除去するとかえって溶接結果が悪くなりうる。しかし、当業者にとっては当然のことながら、鋼板の一方の面のある箇所と他方の面の別の箇所にそれぞれ本願で開示する方法を用いてナット等の金属部品を溶接したい場合や、ナット側表面においてこの方法とは関係のない目的でナットから離れた特定の箇所の酸化層を除去すべき場合などには、必要な箇所の酸化層を除去することもできる。このことを考慮すると、本発明のひとつの特徴は、電極側表面34の酸化層を除去した第一領域に対応する位置にあるナット側表面32の第二領域の酸化層は積極的には除去しないようにすることにあると言える。例えば、図7に示すように電極52の接触面56が当たる領域の酸化層42を剥がした場合は、それに対応するナット側表面32の領域の酸化層は除去しない。
図11について、良品範囲のばらつきは工程能力指数で評価することができる。工程能力指数とは規格範囲内の製品を作ることのできる工程能力を示す尺度であり、特定の測定値の統計データと規格の限界値(上限値と下限値の一方または両方)から求められる。一般的な目的では工程能力指数が1.33以上あるのが望ましいとされる。
上記の表面状態の異なる四種類の鋼板それぞれについて、良品範囲を代表する一定の電流値で(他の条件は上の試験と同様にして)ナットを溶接し、複数(40個)の試験部材を作製した。これらの各試験部材に対し、押し込み剥離試験を行った。図11は四種類のグループごとにナットが剥離したときの負荷荷重のばらつきをプロットしている。図11の結果からわかるように、少なくとも電極側の酸化層を剥がした場合(C)(D)は工程能力が基準を満たすが、鋼板のナット側表面の酸化層のみを剥がした場合(B)は基準を満たしていない。
以上、様々な具体的な実施例を説明したが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではなく、当業者は想定しうる様々な変形、置換、改変をすることが可能である。
10 ナット
20 突起
30 鋼板
32 鋼板のナット側表面
34 鋼板の電極側表面
40 ナット側の酸化層
42 電極側の酸化層
50、52 溶接装置の電極

Claims (9)

  1. ナットやボルト等の金属部品が鋼板に溶接された構造部材を製造する方法であって、
    第一面と第二面に酸化層を有する鋼板と、複数の突起を有する金属部品とを用い、
    前記鋼板に第一面から第二面まで貫通する穴を開け、
    前記鋼板の第一面の酸化層を第一領域の範囲で全て除去し、この第一領域に対応する第二面の第二領域の酸化層を除去せず、前記穴がこの第一領域と第二領域に含まれており、
    前記金属部品の複数の突起を前記鋼板の第二面の第二領域に前記穴を囲むように接触させることによりこの第二面の酸化層が各突起の接触した箇所で少なくとも部分的に破壊されるようにし
    前記金属部品と前記鋼板の第一面の第一領域とにそれぞれ電極を当てて前記金属部品を前記鋼板にプロジェクション溶接する、方法。
  2. 請求項の方法であって、鋼板を熱間プレスにより成形する工程を含んでおり、第一面と第二面の酸化層がこの熱間プレスの際に形成されたものである方法。
  3. 請求項の方法であって、前記第一面の第一領域は複数の突起を含めた前記金属部品の大きさに対応する領域であり、この第一面の第一領域の酸化層が、グラインダ研磨、ショットブラストを含む機械的方法で局所的に除去される方法。
  4. 請求項1からのいずれかの方法であって、鋼板がめっき鋼板であって、酸化層がめっき材料の酸化物を含んだものである方法。
  5. 請求項の方法であって、めっき鋼板が亜鉛あるいは亜鉛系合金の層を含んだ亜鉛めっき鋼板である方法。
  6. ナットやボルト等の金属部品が鋼板に溶接された構造部材であって、
    鋼板の第一面と第二面に酸化層があり、前記鋼板の第一面から第二面まで貫通する穴があり、金属部品に複数の突起があって、
    前記鋼板の第一面の酸化層が第一領域の範囲で全て除去されている一方で、この第一領域に対応する第二面の第二領域の酸化層が除去されておらず、前記穴がこの第一領域と第二領域に含まれており、
    前記金属部品の複数の突起が前記鋼板の第二面の第二領域に前記穴を囲むように接触した状態で、前記金属部品が前記鋼板にプロジェクション溶接されている、構造部材。
  7. 請求項6の構造部材であって、前記第一面の第一領域は複数の突起を含めた前記金属部品の大きさに対応する領域である、構造部材。
  8. 請求項7の構造部材であって、鋼板がめっき鋼板であって、酸化層がめっき材料の酸化物を含んだものである構造部材。
  9. 請求項8の構造部材であって、めっき鋼板が亜鉛あるいは亜鉛系合金の層を含んだ亜鉛めっき鋼板である構造部材。

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