JP2018120815A - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水系の正極合材ペーストを使用してリチウムマンガン含有複合酸化物からなる正極活物質を含む正極合材層を正極集電体上に形成する場合であっても、正極合材層に存在する残留水分によって生じ得るHFの影響を減じてMnの価数低下や流出を抑制し得る材料と方法を提供する。
【解決手段】ここで開示されるリチウムイオン二次電池の製造方法では、リチウムマンガン含有複合酸化物からなる正極活物質と水系溶媒とを含み、さらに添加剤としてベーマイト(AlOOH)と窒化ケイ素(Si)との複合粉末を含む水系正極合材ペーストを用いて正極集電体上に正極合材層を形成し、前記水系正極合材ペーストに含まれる前記複合粉末におけるベーマイトと窒化ケイ素との質量混合比(AlOOH/Si)が0.7以上3.0以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の製造方法に関する。詳しくは、水系溶媒を含む正極合材ペーストとそれを使用したリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、軽量で高エネルギー密度が得られることから、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両の駆動用高出力電源として好ましく用いられている。
近年、従来よりも高電位の正極活物質が開発されてきており、車両駆動用電源としてのリチウムイオン二次電池の需要は、ますます高まるものと期待されている。高電位タイプの正極活物質として、正極作動電位の上限電位が金属リチウム基準で4.3V以上のものがあり、なかには上限電位が金属リチウム基準で5.0Vに近いような一般に5V級と称される高電位正極活物質も知られている。
この種の高電位正極活物質の例として、マンガン元素を含むスピネル構造の正極活物質が挙げられる。例えば、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)のマンガンの一部をニッケルで置換したスピネル構造リチウムニッケルマンガン複合酸化物(LiNiMn2−x)、例えばLiNi0.5Mn1.5は、5V級の正極活物質として知られている。
ところで、上記のような高電位正極活物質を使用して正極集電体上に正極合材層(正極活物質層ともいう。)を形成するために用いられるペースト状またはスラリー状に調製された組成物(以下、「正極合材ペースト」という。)は、従来、非水溶媒(即ち有機溶媒)を用いて調製された非水系の正極合材ペーストを使用することが一般的であった。しかし、非水溶媒の処理に要する手間やコストの削減、環境負荷の低減等の観点からは、水系溶媒(即ちHOを主体とする溶媒、典型的には水)を用いて調製された水系の正極合材ペーストの使用が好ましいといえる。
国際公開第WO2013/024621号
しかし、水系正極合材ペーストを使用した場合、非水系正極合材ペーストとは異なり、水系溶媒の存在に起因する不都合が生じ得る。例えば、金属元素として少なくともリチウムとマンガンとを含むリチウムマンガン含有複合酸化物からなる正極活物質が水分と接触すると、水分中の水素イオンと正極活物質中のリチウムイオンとが交換反応を起こし、活物質粒子の表面には多量の水素イオンが吸着し得る。その状態で高温状態に晒されると(例えば正極合材ペーストを正極集電体上に塗布して形成した正極合材層を高温乾燥するとき)、活物質表面の水素イオンと一緒に酸素も脱離し得る。そうすると、電荷補償により当該活物質に含まれるMnの価数が4+から3+に低下し得る。かかる価数の低下は電池の内部抵抗上昇の原因になるため、好ましくない。
また、水系溶媒由来の水分が正極合材層に残留すると、非水電解液中のフッ素含有リチウム塩(例えばLiPF)とHOとの反応によりフッ酸(HF)が発生し得る。強酸であるHFの増加は、リチウムマンガン含有複合酸化物からMnを流出させる要因となり、電池容量の低下、充放電特性の劣化を引き起こすため、好ましくない。
このことに関し、例えば上記特許文献1には、正極活物質たるリチウムマンガン含有複合酸化物の表面にAl、TiO、ZrO等のHFとの反応性が低い金属酸化物を付着させることにより、Mnの流出を防止しようとする技術が開示されている。
しかし、Al等、この種の金属酸化物の粒子は非常に硬く、正極合材層に含有させることにより、電池内部の他の部材を傷つける、正極合材ペースト作製時の材料混合工程(例えばこの種の金属酸化物粒子と正極活物質粒子との混合工程)において製造設備を傷つける、等の不具合が生じる虞がある。
そこで本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、水系の正極合材ペーストを使用してリチウムマンガン含有複合酸化物からなる正極活物質を含む正極合材層を正極集電体上に形成する場合であっても、正極合材層に存在する残留水分の影響と該水分によって生じ得るHFの影響を減じてMnの価数低下や流出を抑制し、電池容量の低下や充放電特性の劣化を抑制し得る技術の提供を目的とする。
上記目的を実現する一の態様として、本発明は、リチウムイオン二次電池の正極合材層を形成するために使用される水系の正極合材ペーストを提供する。ここで開示される水系正極合材ペーストは、リチウムマンガン含有複合酸化物からなる正極活物質と水系溶媒とを含み、さらに添加剤としてベーマイト(AlOOH)と窒化ケイ素(Si)との複合粉末を含む。そして、ここで開示される水系正極合材ペーストの好ましい一態様では、上記複合粉末におけるベーマイトと窒化ケイ素との質量混合比(AlOOH/Si)は、0.7以上3.0以下であることを特徴とする。
また、上記目的を実現する他の一の態様として、リチウムイオン二次電池の製造方法を提供する。即ち、ここで開示されるリチウムイオン二次電池製造方法は、正極集電体上に正極活物質を含む正極合材層を有する正極と、負極集電体上に負極活物質を含む負極合材層を有する負極と、フッ素元素を有するリチウム塩を含む非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池を製造する方法であって、リチウムマンガン含有複合酸化物からなる正極活物質と水系溶媒とを含み、さらに添加剤としてベーマイト(AlOOH)と窒化ケイ素(Si)との複合粉末を含む水系正極合材ペーストを用いて正極集電体上に正極合材層を形成することを包含する。そして、ここで開示されるリチウムイオン二次電池製造方法の好ましい一態様では、使用する上記水系正極合材ペーストの上記複合粉末におけるベーマイトと窒化ケイ素との質量混合比(AlOOH/Si)が0.7以上3.0以下であることを特徴とする。
ここで開示されるリチウムイオン二次電池製造方法では、水系正極合材ペーストを用いて正極合材層を形成することから、非水溶媒(有機溶媒)を用いる場合に生じる溶媒の処理に要する手間とコストを解消することができる。
また、添加剤として用いられる「ベーマイトと窒化ケイ素との複合粉末」は、Al等の硬い金属酸化物粒子と比較して相対的に柔らかく、電池内部の他の部材を傷つけること、ならびに正極合材ペースト作製時の材料混合工程において製造設備を傷つけること、を抑制することができ、製造設備を傷つけることに起因する異物混入の虞がない。
さらに、上記複合粉末としてベーマイトと窒化ケイ素との質量混合比(AlOOH/Si)が0.7以上3.0以下である複合粉末を使用することにより、ベーマイトがHFを消費する化学反応(AlOOH+3HF=AlF+2HO)の際に生じる水分を窒化ケイ素により消費(吸着)することができる。これにより、正極合材層中に残留する水分により生じたHFをベーマイトで好適に消費することにより、Mnの流出を防止し、さらに、HF消費反応で生じた水分を窒化ケイ素で好適に消費することができる。したがって、電池容量の低下や充放電特性の劣化を抑制することができる。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池に備えられる捲回電極体の構成を示す模式図である。 一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造プロセスを説明するための大まかなフローチャートである。 一実施形態に係る水系正極合材ペーストの製造プロセスを説明するための大まかなフローチャートである。
以下、ここで開示される水系正極合材ペーストならびに該水系正極合材ペーストを用いて行うリチウムイオン二次電池の製造方法に関する好適な一実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において数値範囲をA〜B(ここでA,Bは任意の数値)と記載している場合は、一般的な解釈と同様であり、A以上B以下を意味するものである。
本明細書において「リチウムイオン二次電池」とは、非水電解液中のリチウムイオンが電荷の移動を担う二次電池をいう。また、「電極体」とは、正極、負極、および正負極間にセパレータとして機能し得る多孔質絶縁層を含む電池の主体を成す構造体をいう。「正極活物質」または「負極活物質」は、電荷担体となる化学種(リチウムイオン二次電池においてはリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出可能な化合物をいう。
図1に示すように、本実施形態に係る捲回電極体20は、アルミニウム箔等からなる長尺状の正極集電体52の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って正極合材層54が形成された正極(正極シート)50と、銅箔等からなる長尺状の負極集電体62の片面または両面(ここでは両面)に長手方向に沿って負極合材層64が形成された負極(負極シート)60とを、長尺状のセパレータ(セパレータシート)70を介して重ね合わせて長尺方向に扁平形状に捲回して形成された電極体である。
捲回電極体20の捲回軸方向における中央部分には、正極合材層54と、負極合材層64と、セパレータ70とが密に積層された捲回コア部分が形成されている。また、捲回電極体20の捲回軸方向の両端にそれぞれはみ出した正極活物質非形成部分52aおよび負極合材層非形成部分62aには、図示しない正極集電板および負極集電板がそれぞれ接合され、電池の集電構造を形成するが、かかる構造は、従来の捲回電極体を備える角型リチウムイオン二次電池と同様であり、これ以上の詳細な説明は省略する。
図2に示すように、本実施形態に係る製造プロセスは、後述する組成の水系正極合材ペーストを正極集電体上に付与する正極合材ペースト付与工程(S10)、正極作製工程(S20)、電極体作製工程(S30)、電池組立て工程(S40)、初期充電工程(S50)を包含する。以下、各工程について詳細に説明する。
まず、正極合材ペースト付与工程(S10)について説明する。かかる工程は、水系正極合材ペーストを調製し、正極集電体52上に該正極合材ペーストを付与(典型的には塗布)する処理が含まれる。
本実施形態に係る水系正極合材ペーストは、リチウムマンガン含有複合酸化物からなる正極活物質と水系溶媒とを含み、さらに添加剤として、AlOOH/Siが0.7以上3.0以下であるベーマイト(AlOOH)と窒化ケイ素(Si)との複合粉末を含むように調製される。
使用されるリチウムマンガン含有複合酸化物からなる正極活物質としては、従来のリチウムイオン二次電池において使用されている種々のリチウムマンガン含有複合酸化物を使用することができる。
例えば、スピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)、マンガンの一部がニッケルで置換されたスピネル構造のリチウムマンガンニッケル複合酸化物(LiNiMn2−x、ここで0<x<2)、さらにCoその他の遷移金属元素を含むスピネル構造のリチウムマンガンニッケル含有複合酸化物(LiNiMeMn2−x−y、ここでMeは、Co、Ti、Fe、W等、少なくとも一種の遷移金属元素であり、0<x+y<2)等が挙げられる。あるいは、層状構造やオリビン構造のリチウムマンガン含有複合酸化物(例えば、LiMnO、LiMnPO)であり得る。これらのうち、高電位のスピネル構造のリチウムマンガン含有複合酸化物(例えばLiNi0.5Mn1.5)の採用が特に好ましい。
ここで開示される正極合材ペーストは、水系溶媒を用いて調製される水系正極合材ペーストである。このため、用いられる水系溶媒としては、水道水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。不純物を殆ど含まないという観点から、イオン交換水や蒸留水の使用が好ましい。
また、ここで開示される水系正極合材ペーストは、ベーマイトと窒化ケイ素との複合粉末を含む。AlOOH/Si質量混合比が0.7以上3.0以下であることが好ましい。特に限定しないが、この種の複合粉末(粉体)は、相互に粒度分布が近似するベーマイト粉末および窒化ケイ素粉末を、所定のAlOOH/Si質量混合比となるように混合し、メカニカルミリング法の実施によって好適に得ることができる。かかる目的に、例えば、ビーズミル、回転ボールミル、遊星ボールミル等の種々の作動形式のミル装置を用いることができる。特に限定しないが、平均粒径(ここではD50)がそれぞれ5μm以下(例えば1μm〜5μm)のベーマイト粉末と窒化ケイ素粉末とをビーズミル装置等の適当なミル装置に投入し、未反応物が残らない程度に所望する回転速度および処理時間を決定してメカニカルミリング法を行うことにより、平均粒径(D50)が10μm以下(例えば5μm〜10μm)程度のベーマイトと窒化ケイ素とからなる複合粉末を製造することができる。
かかる複合粉末は、ペースト中の固形分全体を100wt%としたときのベーマイト成分添加量が4wt%以下(例えば0.2〜4wt%)となるように添加することが好ましい。また、添加する複合粉末のAlOOH/Si質量混合比は、0.7以上3.0以下であることが好ましく、1以上3以下(特には、2±0.5の範囲、あるいは1以上2以下)程度であることが特に好ましい。
ここで開示される水系正極合材ペーストは、上述の正極活物質、複合粉末、水系溶媒以外の成分として、従来のこの種のペースト材料に含有される各種材料を特に限定されることなく含ませることができる。
例えば、正極合材層における導電性の向上のため、ペースト中の固形分全体を100wt%としたときの10wt%以下(例えば3〜10wt%)の割合でカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック)、グラファイト粒子、カーボンナノチューブ、等の導電助剤を添加することが好ましい。
また、結着剤(バインダ)として、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)、ゴム類(スチレンブタジエン共重合体(SBR)等)、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸(PAA)、アクリレート重合体、等の水溶性または水分散性ポリマーを、ペースト中の固形分全体を100wt%としたときの5wt%以下(例えば1〜5wt%)の割合で添加することが好ましい。
また、増粘剤として、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマーを、ペースト中の固形分全体を100wt%としたときの3wt%以下(例えば0.5〜3wt%)の割合で添加することが好ましい。
また、酸消費剤として、リン酸リチウム、ピロリン酸リチウム、等を適量(例えば0.1〜3wt%)添加してもよい。
特に限定しないが、上述したような各種成分を、例えば、図3に示すフローチャートのように、先ず、活物質粒子、導電助剤、複合粉末を、ロールミルその他の適当な分散機を用いて、混合粉材料を調製する。次いで、予め増粘剤を分散(または溶解)させておいた水系溶媒(典型的にはイオン交換水等の水)を、適当な分散機において調製した上記混合粉材料に添加し、よく分散させる。その後、結着剤(バインダ)を添加し、よく混合することにより、所望する水系正極合材ペーストを作製することができる。好適な固形分率は70wt%以上(例えば70〜85wt%)である。リン酸等を用いてpH調整を行い、ペーストのpHを中性域(例えば7〜10程度)に調整することが好ましい。
而して、グラビアコータ、スリットコータ、ダイコータ、コンマコータ、ディップコータ等の適当な塗付装置を使用して、水系正極合材ペーストを正極集電体の表面(片面または両面)に付与(塗布)することができる。
次に、正極作製工程(S20)について説明する。かかる工程は、上述した正極合材ペースト付与工程(S10)において、正極合材ペーストを付与(塗布)した正極集電体に対し、風乾、加熱、減圧等の乾燥処理を施して塗布物中から水分を除去し、正極集電体上に正極合材層を形成した正極シートを作製することを含む。乾燥処理は特に限定されず、従来の一般的な手段(例えば加熱乾燥や減圧乾燥)により行うことができる。例えば、製造効率の観点からは、加熱乾燥を好適に採用することができる。短時間で効率よく乾燥する観点からは、所定の温度の熱風を正極合材層(塗布物)に送風することで乾燥を行う熱風乾燥が好適である。乾燥温度は、正極合材層を構成する構成成分(典型的には正極活物質、導電助剤、バインダ等)が変質しない温度に設定する。例えば、乾燥温度を120℃〜200℃に設定することができる。乾燥時間は、乾燥温度や熱風乾燥の風量等の条件に応じて適宜設定すればよい。通常、10秒〜300秒(典型的に20秒〜200秒、例えば30秒〜100秒)の乾燥時間とすることができる。
正極作製工程(S20)は、更に、正極合材層をプレスする処理を含んでもよい。必要に応じて適当なプレス処理を施すことによって正極合材層の性状(例えば平均厚み、活物質密度、空孔率、等)を調整することができる。
なお、正極作製工程(S20)とは独立に、対向する負極の作製も行われるが、負極側の作製プロセス自体は従来のリチウムイオン二次電池における負極の作製と同様でよく、本発明を何ら特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。概略のみ記載すれば以下のとおりである。
負極合材層を構成する負極活物質としては、リチウムイオン二次電池の負極活物質として使用し得る各種の材料の1種または2種以上を、特に限定なく使用することができる。好適例として、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ等、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む炭素材料が挙げられる。高エネルギー密度が得られることから、天然黒鉛(石墨)や人造黒鉛等の黒鉛系材料を好ましく用いることができる。
負極合材層には、負極活物質に加え、一般的なリチウムイオン二次電池において負極合材層の構成成分として使用され得る1種または2種以上の材料を必要に応じて含有させることができる。そのような材料の例として、バインダや各種添加剤が挙げられる。バインダとしては、SBR、PTFE等のポリマー材料を好適に用いることができる。その他、増粘剤、分散剤、等の各種添加剤を適宜使用することもでき、例えば増粘剤としてCMC等のセルロース系ポリマーを好適に用いることができる。負極活物質と必要に応じて用いられる上記の各材料とを適当な溶媒(例えば蒸留水のような水系溶媒)に分散させ、ペースト状またはスラリー状に調製された組成物(負極合材ペースト)を負極集電体に付与し、該ペーストに含まれる溶媒を除去、乾燥し、必要に応じてプレスすることにより(即ち、負極合材ペースト付与工程)、負極集電体上に負極合材層を備えた負極シートを作製することができる(即ち、負極作製工程)。
次に、電極体作製工程(S30)について説明する。かかる工程では、上述した正極作製工程(S20)で作製した正極50と、別途作製した負極60とを、セパレータ70を介して積層し、捲回することにより捲回電極体20(図1参照)を作製する。正負極シート50、60間に介在されるセパレータ70としては、正極合材層54と負極合材層64とを絶縁するとともに非水電解液の保持機能やシャットダウン機能を有するものであればよい。好適例として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から成る多孔質樹脂シート(フィルム)が挙げられる。
次に、電池組立て工程(S40)について説明する。かかる工程では、上記作製した捲回電極体20を図示しない角型の電池ケースに収容するとともに、ケースの一部(典型的には蓋体)に設けられた外部接続用正極端子および負極端子と、捲回電極体20の正極50(正極合材層非形成部52a)および負極60(負極合材層非形成部62a)とをそれぞれ電気的に接続する。同時に、ケース内に所望の非水電解液を注入する。その後、電池ケースを溶接等の手段によって密閉することにより、本実施形態に係る電池組立て体が構築される。
なお、使用される非水電解液は、従来のこの種の電池に使用されるものと同様でよく、特に制限はない。
例えば、フッ素元素を有するリチウム塩の好適例として、LiPF、LiBF等が挙げられる。また、非水系溶媒(即ち有機溶媒)の好適例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の環状カーボネート系溶媒、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネート系溶媒、エチルプロピオネート(EP)等のエステル系溶媒が挙げられる。これら非水系溶媒中に0.1〜5mol/L程度の濃度でリチウム塩を含有させることにより、リチウムイオン二次電池用の非水電解液を調製することができる。
種々の目的により、ガス発生剤、皮膜形成剤、分散剤、増粘剤等の添加剤を非水電解液に添加してもよい。例えば、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)等のフルオロリン酸塩、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)等のオキサレート錯体、ビニレンカーボネート等は、電池の性能向上に寄与する好適な添加剤である。また、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル等の過充電防止剤を用いてもよい。
非水電解液が供給され、密閉された電池組立体に対して、次に、初期充電工程(S50)を行う。従来のリチウムイオン二次電池と同様、電池組立体に対して外部接続用正極端子および負極端子との間に外部電源を接続し、常温(典型的には25℃程度)で正負極端子間の電圧が所定値となるまで初期充電する。例えば初期充電は、充電開始から端子間電圧が所定値に到達するまで0.1C〜10C程度の定電流で充電し、次いでSOC(State of Charge)が60%〜100%程度となるまで定電圧で充電する定電流定電圧充電(CC−CV充電)により行うことができる。その後、エージング処理を行うことにより、使用可能なリチウムイオン二次電池100を提供することができる。エージング処理は、初期充電を施した電池を、例えば35℃以上の温度で6時間以上(好ましくは10時間以上)保持することにより行われる。これにより、処理後の内部抵抗を、処理前よりも低く抑えることができる。このようにして本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を製造することができる。
以下、本発明に関するいくつかの試験例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
<試験例1>
AlOOH/Si質量混合比が2である複合粉末を一般的なメカニカルミリング法により製造した。得られた複合粉末のレーザー回折・散乱法に基づく平均粒径(D50)は、5μm〜10μmであった。
そして、上記製造した複合粉末の添加量をベーマイト換算で種々異ならせて調製した複数の正極合材ペーストを用いて試験用リチウムイオン二次電池(ラミセル)をそれぞれ作製し、複合粉末(ベーマイト換算)の添加量が電池の内部抵抗(反応抵抗)の増減に及ぼす影響を調べた。具体的には、以下のとおりの試験を実施した。
正極活物質として、5V級のスピネル構造リチウムニッケルマンガン複合酸化物(LiNi0.5Mn1.5)を用意した。この正極活物質と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリアクリル酸(PAA)と、添加剤であるリン酸リチウム(LPO)とを、質量比で正極活物質:AB:PAA:LPO=90:5:2.2:2.8になるよう秤量し、固形分率(NV)が70wt%となるように適量のイオン交換水と混合して水系正極合材ペーストを調製した。
かかるペースト調製の際、ペーストの全固形分を100wt%として、添加量がベーマイト換算で0.2wt%、0.5wt%、1.2wt%、2wt%、3wt%、4wt%、または4.1wt%となるように、上記製造した複合粉末を添加し、計7種類の上記複合粉末含有の水系正極合材ペーストを調製した。比較対象として上記複合粉末を含んでいない水系正極合材ペーストも用意した。
そして、上記調製した何れかの正極合材ペーストをアルミニウム箔(正極集電体)の表面に塗布し、ロールプレス処理によって所定の密度に調整した正極合材層を形成し、比較対象を含む各正極合材ペーストに対応する計8種類の本試験例に係る正極シートを作製した。
一方、負極活物質として、天然黒鉛系炭素材料(C)を使用し、バインダとしてのSBRと、増粘剤としてのCMCとを、質量比でC:SBR:CMC=98:1:1率になるよう秤量し、固形分率(NV)が70wt%となるように適量のイオン交換水と混合して水系負極合材ペーストを調製した。そして、かかる調製した負極合材ペーストを銅箔(負極集電体)の表面に塗布し、ロールプレス処理によって所定の密度に調整した負極合材層を形成し、本試験例に係る負極シートを作製した。
また、非水電解液は、環状カーボネートとしてのモノフルオロエチレンカーボネート(FEC)と、鎖状カーボネートとしてのメチル−2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート(MTFEC)とを50:50の体積比で含む混合溶媒中に、リチウム塩としてのLiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解させ、撹拌・混合して調製した。
上記作製した正極シートと負極シートとを、セパレータを介して積層し、捲回することにより捲回電極体を作製した。セパレータとしては、ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)からなる三層構造の多孔質フィルムを用いた。
次に、上記電極体と上記非水電解液とをラミネート製の電池ケースに収容した後、封止して、計8種類の本試験例に係るリチウムイオン二次電池を構築した。
そして、構築した試験用の各リチウムイオン二次電池に対して、25℃の温度環境下、0.3Cのレートで0V〜4.9V間で充放電を行い、初期充電処理を行った。初期充電処理後、SOC100%の状態で各試験用電池を60℃の恒温槽に収容し、20時間の高温エージングを行った。
上記高温エージング終了後、各試験用電池を25℃の温度環境下に戻し、SOC40%に調整した後、交流インピーダンス測定を行った。得られたインピーダンスのナイキストプロットから半円の直径を読み取り、反応抵抗(Ω)とした。なお、交流インピーダンスの測定条件については、交流印加電圧5mV、周波数範囲0.001Hz〜100000Hzとした。
そして、比較対象として上記複合粉末を含んでいない水系正極合材ペーストを使用して構築した電池の反応抵抗値を基準値(1)とし、上記複合粉末を所定の割合(ベーマイト換算)で含む水系正極合材ペーストを使用して構築した各電池で得られた反応抵抗値の基準値に対する相対値(相対比)を反応抵抗比として算出した。結果を表1に示す。
Figure 2018120815
表1に示すように、複合粉末の添加により、電池の内部抵抗(反応抵抗)を低減することができる。本試験例では、特にペースト中の固形分全体を100wt%としたときのベーマイト成分添加量が4wt%以下(例えば0.2〜4wt%、特に1.2〜2wt%)となるように添加することが好ましいことが認められた。しかし、かかる好適な添加量は、正極合材層中における残留水分量との関係により、適宜、調節することができる。
<試験例2>
次に、添加する複合粉末のAlOOH/Si質量混合比を、相互に異ならせた複数種の複合粉末を試験例1と同様のメカニカルミリング法により製造し、正極合材ペーストに含まれる複合粉末のAlOOH/Si質量混合比が電池の内部抵抗(反応抵抗)の増減に及ぼす影響を調べた。
具体的には、AlOOH/Si質量混合比が、0.5、0.7、1、2、3、または3.1である計6種類の複合粉末を作製し、該複合粉末をペーストの全固形分を100wt%として添加量がベーマイト換算で1.2wt%となるように添加し、計6種類の水系正極合材ペーストを調製した。なお、複合粉末以外のペースト構成成分とそれらの組成比は、試験例1で作製した水系正極合材ペーストと同様である。
次いで、各水系正極合材ペーストを使用して試験例1と同じ条件、プロセスで計6種類の本試験例に係るリチウムイオン二次電池を構築した。そして、試験例1と同じ条件、プロセスで各電池の反応抵抗値を測定した。本試験例では、AlOOH/Si質量混合比が3.1である複合粉末を含む水系正極合材ペーストを使用して構築した電池の反応抵抗値を基準値(1)とし、各電池で得られた反応抵抗値の基準値に対する相対値(相対比)を反応抵抗比として算出した。結果を表2に示す。
Figure 2018120815
表2から明らかなように、本試験例により、正極合材ペーストに添加する複合粉末としては、AlOOH/Si質量混合比が0.5以上3.1以下が適当であり、0.7以上3以下が特に好ましいことが認められた。
かかる比率でベーマイトと窒化ケイ素を含む複合粉末を正極合材に含ませることにより、電池内で生成されたHFをベーマイトにより好適に消費し得るとともに、その際に生じ得る水分を窒化ケイ素により好適に消費することができる。これにより、正極合材層中のMnの流出や価数減少を防止し、電池容量の低下や充放電特性の劣化を抑制することができる。
20 捲回電極体
50 正極
52 正極集電体
52a 正極合材層非形成部
54 正極合材層
60 負極
62 負極集電体
62a 負極合材層非形成部
64 負極合材層
70 セパレータ
S10 正極合材ペースト付与工程
S20 正極作製工程
S30 電極体作製工程
S40 電池組立て工程
S50 初期充電工程

Claims (1)

  1. 正極集電体上に正極活物質を含む正極合材層を有する正極と、負極集電体上に負極活物質を含む負極合材層を有する負極と、フッ素元素を有するリチウム塩を含む非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池を製造する方法であって、
    リチウムマンガン含有複合酸化物からなる正極活物質と水系溶媒とを含み、さらに添加剤としてベーマイト(AlOOH)と窒化ケイ素(Si)との複合粉末を含む水系正極合材ペーストを用いて前記正極集電体上に前記正極合材層を形成することを包含し、
    前記水系正極合材ペーストに含まれる前記複合粉末におけるベーマイトと窒化ケイ素との質量混合比(AlOOH/Si)が0.7以上3.0以下であることを特徴とする、リチウムイオン二次電池の製造方法。
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