JP2018118958A - 乳化型組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた乳化性を有し、かつ所望の官能を備える乳化型組成物を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)、(B)および(C)を含む、乳化型組成物:
(A)セルロース誘導体またはその塩を含むポリマー粒子;
(B)油剤;および
(C)水溶液。
【選択図】なし

Description

本発明は、乳化型組成物に関する。
従来、油剤および水溶液を含む乳化型組成物は、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤を乳化剤として利用して、本来混じり合わない油剤および水溶液の2成分を安定的に混合することにより調製されていた。
しかしながら、アニオン性界面活性剤は、ヒトの皮膚に対する刺激性を有することが知られており、スキンケア化粧料等のリーブオン製剤で用いられることは多くなかった。また、ノニオン性界面活性剤は、べたつきの強い物質であるため、使用感の良好な化粧料を調製することが困難であった。さらに、製剤の塗布後、皮膚上に残ったノニオン性界面活性剤は、発汗等で再乳化してしまい、効果の持続性の点で問題があった。
このような背景のもと、界面活性剤ではなく、粒子(粉体)または高分子化合物を乳化剤として利用することにより、乳化型組成物を調製する方法が報告されている。
例えば、特許文献1、2では、無機粒子(例、金属酸化物、シリカ)が乳化剤として利用されている。特許文献3では、有機粒子が乳化剤として利用されている。しかし、これらの粒子は乳化能が劣るため、乳化安定性を高めるために粒子を多く配合した場合、粉っぽさやきしみ感が生じてしまい、潤い感が損なわれる傾向があった。
また、非特許文献1では、ポリマーであるエチルセルロースを乳化剤として使用した例も報告されているものの、安定性や使用感の面で満足な官能を得るには十分ではなかった。
特表2001−518111号公報 特開2007−332037号公報 特開平11−158030号公報
F.Matsuzaki,et al.,J.Soc.Cosmet.Chem,2000,34,291−298
したがって、本発明の目的は、優れた乳化性を有し、かつ所望の官能を備える乳化型組成物を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、油剤および水溶液を含む乳化型組成物において、セルロース誘導体またはその塩を含むポリマー粒子を利用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕下記成分(A)、(B)および(C)を含む、乳化型組成物:
(A)セルロース誘導体またはその塩を含むポリマー粒子;
(B)油剤;および
(C)水溶液。
〔2〕前記ポリマー粒子が1〜1000nmの体積分布平均粒子径を有する、〔1〕の乳化型組成物。
〔3〕前記ポリマー粒子が、以下(i)〜(iii)からなる群より選ばれる1以上の性質を有する、〔1〕または〔2〕の乳化型組成物:
(i)粒子膜上の水の接触角が、20〜70度である;
(ii)ポリスチレン基板上の水の接触角に対する、粒子膜上の水の接触角の比率が、0.2〜0.9の範囲内である;および
(iii)電気泳動による移動度の絶対値が2μmcm/Vs以上である。
〔4〕前記セルロース誘導体が、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カチオン化セルロース、疎水化セルロース、またはそれらのエステル誘導体である、〔1〕〜〔3〕のいずれかの乳化型組成物。
〔5〕前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロース、またはそれらのエステル誘導体である、〔1〕〜〔4〕のいずれかの乳化型組成物。
〔6〕前記エステル誘導体が、酢酸エステル、酪酸エステル、コハク酸エステル、グリコール酸エステル、プロピオン酸エステル、フタル酸エステル、およびこれらのエステルの2以上の組み合わせからなる群より選ばれるエステル誘導体である、〔4〕または〔5〕の乳化型組成物。
〔7〕前記ポリマー粒子が2種以上のポリマーの混合物を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかの乳化型組成物。
〔8〕前記ポリマー粒子が有効成分をさらに含む、〔1〕〜〔7〕のいずれかの乳化型組成物。
〔9〕前記有効成分が、アミノ酸、オリゴペプチド、ビタミン、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、単糖、オリゴ糖、脂質、脂肪酸、およびそれらの代謝物、ならびにそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の物質である、〔8〕の乳化型組成物。
〔10〕油剤が、(a)炭化水素油、(b)シリコーン油、および(c)エステル油からなる群より選択される少なくとも一種の油剤である、〔1〕〜〔9〕のいずれかの乳化型組成物。
〔11〕(a)炭化水素油がパラフィン系油であり、(b)シリコーン油がポリシロキサンであり、(c)エステル油が、炭素原子数1〜30の炭化水素基を有する一価または多価アルコールと炭素原子数1〜30のカルボン酸との反応により生じるエステルである、〔10〕の乳化型組成物。
〔12〕乳化型組成物が化粧料である、〔1〕〜〔11〕のいずれかの乳化型組成物。
本発明の乳化型組成物は、乳化物としての外観、および乳化粒子の均一性において優れる。本発明の乳化型組成物はまた、製剤の塗布のしやすさ、および使用性(例、べたつきのなさ、効果持続性実感、塗布後のさっぱり感)に優れる。本発明の乳化型組成物はさらに、乳化に用いるポリマー粒子が有効成分を安定的に含むことができるので、かかる有効成分の効果および効能を利用する化粧品として有用である。
図1は、参考例1で得られた粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す図である(参考例1を参照)。 図2は、参考例3で調製した粒子の自然乾燥後の走査型電子顕微鏡写真を示す図である(参考試験例3を参照)。
1.乳化型組成物
本発明は、下記成分(A)、(B)および(C)を含む乳化型組成物を提供する:
(A)セルロース誘導体またはその塩を含むポリマー粒子;
(B)油剤;および
(C)水溶液。
(A)セルロース誘導体またはその塩を含むポリマー粒子
(A1)ポリマー粒子
ポリマー粒子を構成するポリマーとして、セルロース誘導体またはその塩が、ポリマー粒子に含まれる。セルロース誘導体としては、例えば、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カチオン化セルロース、疎水化セルロース、ならびにそれらのエステル誘導体、およびセルロースのエステル誘導体が挙げられる。ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルアルキルセルロースにおけるアルキルとしては、炭素原子数1〜12のアルキルが好ましく、炭素原子数1〜6のアルキルがより好ましく、炭素原子数1〜4のアルキルがさらに好ましい。上記炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。炭素原子数1〜12のアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシルが挙げられる。
ヒドロキシアルキルセルロースとしては、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシペンチルセルロース、またはヒドロキシヘキシルセルロースが挙げられる。
カルボキシアルキルセルロースとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシプロピルセルロース、カルボキシブチルセルロース、カルボキシペンチルセルロース、及びカルボキシヘキシルセルロースが挙げられる。
アルキルセルロースとしては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、ペンチルセルロース、及びヘキシルセルロースが挙げられる。
ヒドロキシアルキルアルキルセルロースは、ヒドロキシアルキルおよびアルキルの双方を有するセルロースである。ヒドロキシアルキルアルキルセルロースとしては、例えば、ヒドロキシメチルおよびアルキルを有するセルロース(例、ヒドロキシメチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシメチルブチルセルロース)、ヒドロキシエチルおよびアルキルを有するセルロース(例、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルブチルセルロース)、ヒドロキシプロピルおよびアルキルを有するセルロース(例、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルプロピルセルロース、ヒドロキシプロルブチルセルロース)、ヒドロキシブチルおよびアルキルを有するセルロース(例、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシブチルエチルセルロース、ヒドロキシブチルプロピルセルロース、及びヒドロキシブチルブチルセルロース)が挙げられる。
カチオン化セルロースとは、カチオン性基を有するセルロースまたはその誘導体をいう。カチオン性基としては、例えば、トリアルキルアンモニウムが挙げられる。トリアルキルアンモニウムにおける3つのアルキルは、同一であっても異なっていてもよく、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルアルキルセルロースにおける上述したアルキルと同様であり、好ましい範囲も同様である。
疎水化セルロースとは、疎水性基を有するセルロースまたはその誘導体をいう。疎水化セルロースとしては、例えば、アセチル化セルロースが挙げられる。
エステル誘導体は、上記セルロース誘導体におけるヒドロキシ中の水素原子がR−C(=O)−(Rは、置換されていてもよい1価の基を示す。)により置換されてエステル部分を形成する誘導体である。エステル部分は、セルロース中に1以上存在していればよく、セルロースの全てモノマー単位中に必ずしも存在する必要はないが、セルロースの全てのモノマー単位中に1〜3個等の所定の数のエステル部分が存在していてもよい。Rにより示される1価の基としては、例えば、1価の鎖状炭化水素基(例、アルキル、アルケニル、およびアルキニル)、1価の脂環式炭化水素基(例、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル)、1価の芳香族炭化水素基(例、フェニル、ナフチル等のアリール)、1価の芳香族複素環基(例、ピレニル、ピロリル、フラニル、チオフェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル)、1価の非芳香族複素環基(例、オキシラニル、アジリジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル)、およびそれらの2以上(例、2、3または4)の組み合わせが挙げられる。1価の基は、好ましくは炭素原子数1〜12であり、より好ましくは炭素原子数1〜10であり、さらにより好ましくは炭素原子数1〜6である。これらの中でも、1価の基としては、アルキル、シクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール(例、フェニル、ナフチル)が好ましく、アルキルがより好ましい。上記1価の基としてのアルキルの例および好ましい例は、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルアルキルセルロースにおける上述したアルキルと同様である。
Rとしての1価の基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシ、スルホ、シアノ、ニトロ、メルカプト、オキソ、グアニジノ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルでモノもしくはジ置換されていてもよいアミノ(例、アミノ)、およびアルキルでモノもしくはジ置換されていてもよいアミノ−カルボニル(例、アミド)が挙げられる。アルキル、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルでモノもしくはジ置換されていてもよいアミノ、およびアルキルでモノもしくはジ置換されていてもよいアミノ−カルボニルにおけるアルキルの例および好ましい例は、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、およびヒドロキシアルキルアルキルセルロースにおける上述したアルキルと同様である。
より具体的には、エステル誘導体としては、例えば、酢酸エステル(例、セルロースモノアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、酪酸エステル、コハク酸エステル、グリコール酸エステル、プロピオン酸エステル、フタル酸エステル、およびこれらのエステルの2以上の組み合わせが挙げられる。特に好ましいエステル誘導体の例は、酢酸セルロース、(酢酸/プロピオン酸)セルロース、(酢酸/酪酸)セルロース、酢酸フタル酸セルロース、(酢酸/コハク酸)ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
セルロース誘導体またはその塩は、当該分野で公知の任意の方法により作製することができる。例えば、種々のグルコース誘導体が知られているので、このようなグルコース誘導体を適宜重合することにより、セルロース誘導体を得ることができる。また、セルロースについて種々の修飾法が知られているため、セルロースを適宜修飾することにより、このようなセルロース誘導体を得ることもできる。
ポリマー粒子を構成するポリマーは、1種のみのポリマーであってもよく、または2種以上(例、2種、3種、4種または5種)のポリマーの混合物であってもよい。したがって、ポリマー粒子は、上述したセルロース誘導体またはその塩を1種または2種以上含んでいてもよい。あるいは、ポリマー粒子は、上述したセルロース誘導体またはその塩に加えて、天然ポリマー、半合成ポリマー、または合成ポリマー等の他のポリマーを含んでいてもよい。天然ポリマーとしては、例えば、多糖類(例、セルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、クインシードガム、カラギーナン、ペクチン、マンナン、デンプン、寒天、ザンサンガム、サクシノグリカン、カードラン、ヒアルロン酸、デキストラン)、タンパク質(例、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、アルギン酸)、およびそれらの塩が挙げられる。半合成ポリマーとしては、例えば、上記多糖類の修飾により得られる修飾多糖類〔例、デンプン誘導体(例、可溶化デンプン、カルボキシメチルデンプン)〕、上記タンパク質の修飾により得られる修飾タンパク質〔例、アルギン酸系ポリマー(例、アルギン酸プロピレングリコールエステル)〕、およびそれらの塩が挙げられる。合成ポリマーとしては、例えば、ビニル系ポリマー(例、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー)、ポリアルキレンオキサイド〔例、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリブチレンオキサイド(PBO)〕、ポリアルキレングリコール〔例、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリブチレングリコール(PBG)〕、およびそれらのコポリマー、ならびにそれらの塩が挙げられる。
ポリマー粒子を構成するポリマーは、ポリマー粒子の形態を安定化できるものである限り特に限定されず、同種のモノマー単位から構成されるホモポリマー、または異種のモノマー単位から構成されるヘテロポリマー(例、ランダムコポリマー、交互コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、クシ型コポリマー)である。このようなポリマーはまた、主鎖が直線状である線状ポリマー、または主鎖が非直線状である分岐ポリマー(例、グラフトポリマー、クシ型ポリマー、ハイパーブランチポリマー、ラダーポリマー)であるが、線状ポリマーが好ましい。
ポリマー粒子を構成するポリマーは、ポリマー粒子の形態を安定化できる任意の重量平均分子量を有するものである限り特に限定されず、例えば、10,000以上、好ましくは20,000以上、より好ましくは30,000以上、さらにより好ましくは40,000以上である。重量平均分子量はまた、材料の入手のし易さ等の観点から、例えば1,000,000以下、800,000以下、600,000以下、400,000以下、300,000以下、または200,000以下であってもよい。
塩としては、例えば、金属塩、酸付加塩、および塩基との塩が挙げられる。金属塩としては、例えば、一価の金属(例、ナトリウム、およびカリウム)との塩、ならびに二価の金属(例、カルシウム、およびマグネシウム)との塩が挙げられる。酸付加塩としては、例えば、無機酸(例、塩化水素、臭化水素、硫酸、およびリン酸)との塩、ならびに有機酸(例、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、およびモノメチル硫酸)との塩が挙げられる。塩基との塩としては、例えば、無機塩基(例、アンモニア)との塩、ならびに有機塩基(例、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、モノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン)との塩が挙げられる。
好ましい実施形態では、ポリマー粒子は、2種以上のポリマーの混合物を含む。2種以上のポリマーの混合物を含むことで、親水性物質となじみのよい親水性部位を粒子内部に持ちつつ、粒子表面を適度な疎水性を付加することができるという利点がある。好ましくは、2種以上のポリマーの混合物は、親水性ポリマーおよび疎水性ポリマーを含む2種以上(例、2種、3種、4種、または5種)のポリマーの混合物である。
本発明では、親水性ポリマーとは、水溶液(好ましくは水)に対する溶解度が1%(wt)以上のポリマーをいう。水溶性ポリマーについて、水溶液(好ましくは水)に対する溶解度は、好ましくは5%(wt)以上であり、より好ましくは7%(wt)以上である。親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、カルボキシアルキル、カルボキシ、またはカチオン性基で置換されたサッカリドをモノマー単位として含むポリマーが挙げられる。親水性ポリマーとしては、それが有する具体的な置換基等の種類にもよるが、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシアルキルセルロース、例えば、カルボキシセルロース、カチオン化セルロース、およびそれらのエステル誘導体、ならびにそれらの塩が挙げられる。
好ましくは、親水性ポリマーは、有機溶媒に移行し易い親水性ポリマー(両親媒性ポリマー)であってもよい。両親媒性ポリマーとは、一つの分子内に親水性官能基からなる集合部位と疎水性官能基からなる集合部位を有し、界面活性剤のように水油界面でポリマーミセルを形成するものをいう。両親媒性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、またはカチオン性基で置換されたサッカリドをモノマー単位として含むポリマーが挙げられる。両親媒性ポリマーとしては、それが有する具体的な置換基等の種類にもよるが、例えば、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、カチオン化セルロース、およびそれらのエステル誘導体、ならびにそれらの塩が挙げられる。
本発明では、疎水性ポリマーとは、水溶液(好ましくは水)に対する溶解度が1%(wt)未満のポリマーをいう。水溶性ポリマーについて、水溶液(好ましくは水)に対する溶解度は、好ましくは0.1%(wt)以下であり、より好ましくは0.01%(wt)以下である。疎水性ポリマーとしては、それが有する具体的な置換基等の種類にもよるが、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、疎水化セルロース、およびそれらのエステル誘導体、ならびにそれらの塩が挙げられる。
(A2)有効成分
成分(A)において、ポリマー粒子は、その内部に有効成分を含んでいてもよい。ポリマー粒子を溶液で複数回洗浄した後であっても、有効成分がポリマー粒子に含まれることが確認されている。ポリマー粒子に含まれる有効成分は、ポリマーと共有結合しておらず、ポリマーから遊離している。1種または2種以上(例、2種、3種、4種)の有効成分がポリマー粒子中に含まれていてもよい。有効成分は、ポリマー粒子内において、溶液(水溶液、または有機溶媒)中に分散して存在することができる。本発明の粒子はまた、有効成分に加えて、添加剤(例、メチルバラベン等の保存剤、抗酸化剤)等の他の成分を含んでいてもよい。
有効成分としては、例えば、低分子化合物が挙げられる。
用語「低分子化合物」とは、分子量1500以下の化合物をいう。低分子化合物は、天然化合物または合成化合物である。低分子化合物の分子量は、1200以下、1000以下、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下、または300以下であってもよい。低分子化合物の分子量はまた、30以上、40以上、または50以上であってもよい。低分子化合物としては、例えば、アミノ酸、オリゴペプチド、ビタミン、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、単糖、オリゴ糖、脂質、脂肪酸、およびそれらの代謝物、ならびにそれらの塩(例、上述したような金属塩、酸付加塩、および塩基との塩)が挙げられる。
有効成分は、水溶性成分であっても疎水性成分であってもよい。有効成分としての水溶性成分は、後述する粒子の製造方法において用いられる有機溶媒よりも水溶液(好ましくは水)に溶解し易い成分である。有効成分としての疎水性成分は、後述する粒子の製造方法において用いられる水溶液(好ましくは水)よりも有機溶媒に溶解し易い成分である。有効成分としては、例えば、アラントイン、アルブチン、セラミド、コウジ酸、エラグ酸、アミノ酸、アミノ酸誘導体、ペプチド、オリゴペプチド、ビタミン、ビタミン誘導体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、単糖、オリゴ糖、ホルモン、神経伝達物質、およびそれらの代謝物、ならびにそれらの塩が挙げられる。
好ましくは、有効成分は外用剤である。外用剤としては、例えば、保湿剤、美白剤、育毛剤が挙げられる。
保湿剤としては、例えば、ピロリドンカルボン酸、ポリアスパラギン酸、3−アセチル−2−エトキシカルボニル−2−メチル−1,3−チアゾリジン−4−カルボン酸、アミノ酸(例、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、プロリン、ヒドロキシプロリン)、グリシルグリシン、アラニルグルタミン、ジペプチド−2(バリルトリプトファン)、ジペプチド−4(システニルグリシン)、ジペプチド−8(アラニルヒドロキシプロリン)、ジペプチド−9(グルタミルリジン)、ジペプチド−11(システニルリジン)、ジペプチド−17(グリシルプロリン)、ジペプチド−19(ロイシルグルタミン酸)、ならびにそれらの塩が挙げられる。
美白剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンC誘導体(例、L−アスコルビン酸 2−グリコシド等のビタミンC配糖体)、システイン、トラネキサム酸、ハイドロキノン、アルブチン、セラミド、コウジ酸、エラグ酸、植物抽出物、ならびにそれらの塩が挙げられる。
育毛剤としては、例えば、パントテン酸およびその誘導体、アラントイン、ビオチン、モノニトログアヤコール、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、ジアルキルモノアミン誘導体、コレウスエキス、クロロフィル、感光素、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩酸ピリドキシン、チオキソロン、ミノキシジル、硫黄、有機硫黄物質、ジペプチド−9(グルタミルリジン)、ならびにそれらの塩が挙げられる。
ポリマー粒子の重量(粒子を構成するポリマーおよび有効成分の総重量)に対する有効成分の重量の割合は、ポリマー粒子を構成するポリマーおよび電解質性有効成分の種類、ならびに粒子の作製方法の条件等によって変動することから、特に限定されるものではないが、例えば0.01〜80%である。本発明の粒子の重量に対する有効成分の重量の割合は、好ましくは0.05〜40%、より好ましくは0.1〜15%、さらにより好ましくは0.2〜14%、特に好ましくは0.5〜12%または1.0〜10%である。あるいは、本発明の粒子の内部における有効成分の濃度は、例えば0.01〜50%(wt)、好ましくは0.02〜40%(wt)、より好ましくは0.05〜30%(wt)、さらにより好ましくは0.1〜20%(wt)であってもよい。
有効成分の重量の測定は、当該分野で公知の任意の方法により行うことができる。このような方法としては、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、分光光度計(例、UV−VIS分光光度計)を用いた方法が挙げられる。また、有効成分の濃度は、ポリマー粒子の製造において用いられる、有効成分を含む水溶液、または有効成分および第2ポリマーの双方を含む水溶液中の有効成分の濃度から評価することもできる。
本発明の粒子はまた、界面活性剤(例、ソルビタンモノオレート)、残留有機溶媒(例、ヘキサン等の炭化水素化合物)等の所定の成分(例、先行技術において粒子の製造に必要とされる成分)を実質的に含まないものであってもよい。本発明の粒子は、その製造方法においてこれらの成分を本質的に使用する必要がないため、これらの成分の混入を回避することができる。本発明の粒子において、表現「実質的に含まない」とは、本発明の粒子が所定の成分を完全に含まないこと、または本発明の粒子が所定の成分を含む場合であっても3.0%(wt)以下の量で含むことを意味する。好ましくは、表現「実質的に含まない」は、「完全に含まない」ことを意味する。表現「実質的に含まない」に関して、本発明の粒子は、所定の成分を含む場合、好ましくは、2.0%(wt)以下、より好ましくは、1.5%(wt)以下、さらにより好ましくは、1.0%(wt)以下、特に好ましくは0.5%(wt)以下、0.4%(wt)以下、0.3%(wt)以下、0.2%(wt)または0.1%(wt)以下の量で含む。より具体的には、本発明の粒子は、界面活性剤および残留有機溶媒の一方を実質的に含まないことが好ましく、界面活性剤および残留有機溶媒の双方を実質的に含まないことがより好ましい。
本発明の粒子はまた、後述するように、アセトン、アルコール(例、メタノール)、またはアセトンを多く含んでいてもよいアセトン・アルコール混液を、好ましい有機溶媒として用いることにより製造することができる。したがって、本発明の粒子は、アセトン、アルコール、またはアセトン・アルコール混液以外の有機溶媒を実質的に含まないものであってもよい。本発明の粒子の製造方法によれば、このような粒子を製造することができるが、従来の粒子の製造方法では、通常、このような粒子を製造することができない。
(A3)ポリマー粒子のさらなる特徴
ポリマー粒子は、ポリマーまたはその塩、および有効成分に加えて、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、有効成分の安定化剤(例、抗酸化剤)、界面活性剤、分散剤が挙げられる。
ポリマー粒子は、1〜1000nmの体積分布平均粒子径を有していてもよい。体積分布平均粒子径は、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらにより好ましくは20nm以上、または50nm以上である。体積分布平均粒子径はまた、好ましくは900nm以下、より好ましくは800nm、700nm、600nm、500nm、または400nm以下である。
体積分布平均粒子径の測定は、レーザー回折法により粒度分布を計測することにより行うことができる。好ましくは、レーザー回折法による粒度分布の計測は、レーザー回折式粒度分布計(Malvern Instruments Ltd.製、ZetasizerNanoS)を用いて行うことができる。
ポリマー粒子はまた、粒子膜上の水の接触角が20〜70度である性質を有していてもよい。粒子膜上の水の接触角が20度以上であれば、適度な親水性を有し、角層における細胞間脂質への有効成分の分配が向上するため、好ましい。また、粒子膜上の水の接触角が70度以下であれば、適度な疎水性を有し、角層における細胞間脂質へのなじみが良くなるため、好ましい。上記接触角は、好ましくは25度以上、より好ましくは30度以上、さらにより好ましくは35度以上、特に好ましくは40度以上であってもよい。上記接触角はまた、好ましくは65度以下、より好ましくは60度以下、さらにより好ましくは55度以下、特に好ましくは50度以下であってもよい。上記比率の算出の際、接触角として、内角が測定される。
粒子膜上の水の接触角の測定は、以下のとおり行うことができる。先ず、ポリマー粒子の膜(粒子膜)を得る。例えば、ポリマー粒子を含む溶液をポリスチレン基板上に滴下し、適温(例、室温(27℃等))にて自然乾燥させて、ポリスチレン基板を完全に覆うポリマー粒子の膜(粒子膜)を得る。次に、このようにして得られた粒子膜に20μLの水滴を滴下した後、側面から画像を撮影する。その画像から接触角の値を計測する。
ポリマー粒子は、ポリスチレン基板上の水の接触角に対する、粒子膜上の水の接触角の比率が、0.2〜0.9の範囲内である性質を有していてもよい。当該比率が0.2以上であれば、ポリスチレン基板表面に対する適度な親水性を有するということができる。この場合、水を含む処方中への配合において分離し難くなると考えられる。したがって、当該比率が0.2以上であることが好ましい。また、当該比率が0.9以下であれば、適度な疎水性を有するということができる。この場合、油を含む処方中への配合において分離し難くなると考えられる。したがって、当該比率が0.9以下であることが好ましい。上記比率は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.4以上、さらにより好ましくは0.5以上であってもよい。上記比率はまた、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、さらにより好ましくは0.6以下であってもよい。上記比率の算出の際、接触角として、内角が測定される。
粒子膜上の水の接触角の測定は、上記と同様にして行うことができる。
ポリスチレン基板上の水の接触角の測定は、以下のとおり行うことができる。ポリスチレン基板上に20μLの水滴を滴下した後、粒子膜上の水の接触角の測定と同じ上記方法により、接触角の値を計測する。
粒子膜上の水の接触角の値をポリスチレン基板上の水の接触角の値で除算することにより、ポリスチレン基板上の水の接触角に対する、粒子膜上の水の接触角の比率を算出することができる。
ポリマー粒子はまた、電気泳動による移動度の絶対値が2μmcm/Vs以上である性質を有していてもよい。当該絶対値が0.22μmcm/Vs以上であれば、粒子は完全なゲル状表面を有するのではなく、有効成分を粒子内部に保持できるため、好ましい。したがって、ポリマー粒子は、表面がゲル状ではなく境界をしっかりともった性質を有する。上記移動度の絶対値は、好ましくは2.5μmcm/Vs以上、より好ましくは3.0μmcm/Vs以上、さらにより好ましくは3.5μmcm/Vs以上であってもよい。上記移動度の絶対値はまた、好ましくは6.0μmcm/Vs以下であってもよい。当該絶対値が6.0μmcm/Vs以下であれば、粒子は硬質で媒体を通さない表面特性(例、ポリスチレン粒子の表面特性)を有するのではなく、皮膚表面等の生体組織と接触した際に適切なタイミングで媒体とともに有効成分を放出できるような表面特性を有することから、好ましい。当該絶対値は、より好ましくは5.5μmcm/Vs以下、さらにより好ましくは5.0μmcm/Vs以下であってもよい。
電気泳動によるポリマー粒子の電気泳動による移動度の測定は、1mM NaCl水溶液中のポリマー粒子を、ZetasizerNanoS(Malvern Instruments Ltd.製)を用いて、その移動度を解析することにより行うことができる(好ましくは、1mM NaCl水溶液中で移動度を測定)。
ポリマー粒子はまた、複合粒子であっても非複合粒子であってもよい。用語「複合粒子」とは、2以上の異種粒子が結合(例、吸着、付着)することにより形成される粒子凝集物をいう。このような複合粒子は、所定の方法(例、造粒法、粒子複合化法)により2以上の異種粒子から製造することができる。一方、非複合粒子は、このような複合粒子ではなく、2以上の異種粒子が結合することにより形成されるものではない。ポリマー粒子は、複合粒子または非複合粒子のいずれの形態においても好適に使用することができるが、ナノ粒子として十分に小さいサイズ(例、500nm以下)に自由に設計できることを利点の一つとし、また、非複合粒子の形態であっても所望の特性を十分に発揮できることから、好ましくは、非複合粒子の形態で用いることができる。
ポリマー粒子はまた、硬質または軟質の表面を有していてもよい。ポリマー粒子はまた、真球状、楕円状、ゴルフボール状、ヤヌス粒子状等の形状を有していてもよいが、好ましくは真球状の形状を有する。ポリマー粒子のこれらの性質は、走査型電子顕微鏡で外観を観察することにより確認することができる。
ポリマー粒子はまた、高い液状安定性を有する。例えば、ポリマー粒子は、冷蔵(例、4℃)にて6月以上、12月以上、または18月以上保存した後も、凝集することなく粒子状態を維持することができる。
ポリマー粒子は、粉末化することが可能である。粉末化する方法としては、例えば、凍結乾燥、スプレードライ、流動層造粒、攪拌造粒、超臨界造粒、自然乾燥が挙げられる。ポリマー粒子はまた、粉末化後に溶媒(例えば、後述する溶媒、好ましくは、水等の水溶液)に分散可能であるという性質を有する。
ポリマー粒子は、液状形態、または粉末化形態において提供することができるが、好ましくは粉末化形態で提供される。
(B)油剤
油剤としては、水溶液と乳化できる任意の油剤を利用することができる。このような油剤としては、例えば、炭化水素油、シリコーン油、エステル油、高級脂肪酸、高級アルコール、油脂、ロウが挙げられる。
炭化水素油は、常温で液体として存在できる任意の炭化水素化合物である。炭化水素油としては、例えば炭素原子数7以上、好ましくは10以上、より好ましくは12以上の炭化水素化合物が挙げられる。炭化水素油の具体例としては、パラフィン系油(例、パラフィン、流動パラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン)、イソドデカン、イソヘキサデカン、スクワラン、ワセリンが挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、ポリシロキサンが挙げられる。ポリシロキサンの具体例としては、鎖状ポリシロキサン(例、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン)、環状ポリシロキサン(例、シクロメチコン、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン)、変性ポリシロキサン(例、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン)が挙げられる。
エステル油は、一価または多価アルコールとカルボン酸との反応により生じるエステルである。
一価または多価アルコールは、炭素原子数1以上の直鎖、分岐鎖または環状(単環式または縮合環等の二環式)の飽和または不飽和の炭化水素部分(例、炭化水素鎖)を有する一価または多価アルコールであってもよい。一価または多価アルコールとしては、例えば、炭素原子数1〜30の炭化水素部分を有する一価または多価アルコールが挙げられる。炭素原子数は、例えば2以上、好ましくは3以上であってもよい。炭素原子数はまた、20個以下であってもよい。多価アルコールの価数は、例えば2〜6、好ましくは2または3である。一価アルコールの具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピル(例、n−プロピル、iso−プロピル)アルコール、ブチル(n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)アルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デカニルアルコール、ウンデカニルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコールが挙げられる。多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンが挙げられる。
カルボン酸は、一価または多価カルボン酸である。
一価カルボン酸としては、例えば、炭素原子数1〜30の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。一価カルボン酸の炭素原子数は、例えば2以上、好ましくは3以上であってもよい。一価カルボン酸の炭素原子数はまた、20個以下であってもよい。一価カルボン酸の具体例としては、メタン酸(ギ酸)、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸)、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸(ウンデシル酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸(トリデシル酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸(ペンタデシル酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)が挙げられる。
多価カルボン酸としては、例えば、炭素原子数1〜20の飽和または不飽和の酸が挙げられる。多価カルボン酸の炭素原子数は、例えば2以上、好ましくは3以上であってもよい。多価カルボン酸の炭素原子数はまた、20個以下であってもよい。多価カルボン酸の価数は、例えば2〜6、好ましくは2または3である。多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸が挙げられる。
一価アルコールとカルボン酸とのエステルの具体例としては、オクタン酸オクチル、ノナン酸ノニル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチルが挙げられる。
多価アルコールとカルボン酸とのエステルの具体例としては、グリコリド(例、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ピバリン酸トリプロピレングルコール)、グリセリド(例、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、ジイソステアリン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン(トリエチルヘキサノイン)、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン)が挙げられる。
油脂は、植物油、または動物等の生物由来の油である。油脂としては、例えば、液体油脂、および固体油脂が挙げられる。液体油脂の具体例としては、アボガド油、ツバキ油、トウモロコシ油、コメ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、ホホバ油が挙げられる。固体油脂の具体例としては、カカオ脂、ヤシ脂、パーム油が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、炭素原子数12以上の飽和または不飽和脂肪酸が挙げられる。高級脂肪酸はまた、炭素原子数30以下または20以下であってもよい。高級脂肪酸は、直鎖、分岐鎖または環状の構造を有していてもよい。高級脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレン酸が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、炭素原子数6以上のアルコールが挙げられる。高級アルコールは、直鎖、分岐鎖または環状の構造を有していてもよい。高級アルコールとしては、炭素原子数8以上のアルコールが好ましく、炭素原子数10以上のアルコールがより好ましく、炭素原子数12以上のアルコールが特に好ましい。高級アルコールの具体例としては、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デカニルアルコール、ウンデカニルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコールが挙げられる。
ロウとしては、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ラノリンが挙げられる。
好ましくは、油剤は、炭化水素油、シリコーン油、およびエステル油からなる群より選択される少なくとも一種の油剤である。
(C)水溶液
水溶液としては、例えば、水(例、蒸留水、滅菌蒸留水、精製水、生理食塩水)、および緩衝液が挙げられる。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、Tris−塩酸緩衝液、TE(Tris−EDTA)緩衝液、炭酸−重炭酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、塩酸−塩化カリウム緩衝液、グリシン−塩酸緩衝液、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸−リン酸緩衝液、酢酸緩衝液が挙げられる。好ましくは、水溶液は、水である。
(D)乳化型組成物
本発明の乳化型組成物におけるポリマー粒子の配合量は、ポリマー粒子単独により、またはポリマー粒子と他の乳化剤(例、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤)との組み合わせにより油剤と水溶液との乳化を達成できる任意の配合量である。本発明の乳化剤組成物では、ポリマー粒子単独を乳化剤として用いる場合は勿論のこと、ポリマー粒子を他の乳化剤と組み合わせて用いる場合であっても、他の乳化剤の配合量を減らすことができ、ひいては他の乳化剤の使用に伴う課題を解決することができる。ポリマー粒子を他の乳化剤と組み合わせて用いる場合、ポリマー粒子の配合量は、組成物の乳化のために他の乳化剤の配合量の低減に貢献できる量である限り特に限定されない。例えば、ポリマー粒子と他の乳化剤を組み合わせて用いる場合、本発明の乳化型組成物におけるポリマー粒子と他の乳化剤との重量比は、特に限定されるものではないが、ポリマー粒子1重量部に対して、他の乳化剤が例えば4重量部以下、好ましくは2重量部以下、より好ましくは1重量部以下、さらにより好ましくは0.75重量部以下、特に好ましくは0.5重量部以下であってもよい。
より具体的には、ポリマー粒子単独による、またはポリマー粒子と他の乳化剤との組み合わせによるポリマー粒子の配合量は、ポリマー粒子、油剤および水溶液の種類、油剤および水溶液の量、ならびに他の乳化剤の配合の有無等によっても変動するが、例えば0.5%(wt)以上、好ましくは0.75%(wt)以上、より好ましくは1.0%(wt)以上、さらにより好ましくは2.0%(wt)以上であってもよい。配合量はまた、50%(wt)以下、好ましくは45%(wt)以下、より好ましくは40%(wt)以下、さらにより好ましくは35%(wt)以下であってもよい。より具体的には、配合量は、例えば0.5%〜50%(wt)、好ましくは0.75〜45%(wt)、より好ましくは1.0〜40%(wt)、さらにより好ましくは2.0〜35%(wt)であってもよい。本発明の乳化型組成物は、ポリマー粒子を1種または2種以上含んでいてもよい。
本発明の乳化型組成物における油剤の配合量は、例えば10%(wt)以上、好ましくは15%(wt)以上、より好ましくは20%(wt)以上、さらにより好ましくは25%(wt)以上、特に好ましくは30%(wt)以上であってもよい。本配合量はまた、例えば90%(wt)以下、好ましくは85%(wt)以下、より好ましくは80%(wt)以下、さらにより好ましくは75%(wt)以下、特に好ましくは70%(wt)以下であってもよい。より具体的には、本配合量は、例えば10〜90%(wt)、好ましくは15〜85%(wt)、より好ましくは20〜80%(wt)、さらにより好ましくは25〜75%(wt)、特に好ましくは30〜70%(wt)であってもよい。本発明の乳化型組成物は、1種または2種以上(例、2種、3種、4種)の油剤を含んでいてもよい。
本発明の乳化型組成物におけるポリマー粒子と油剤との重量比は、特に限定されるものではないが、ポリマー粒子の1重量部に対して、油剤が例えば1重量部以上、好ましくは2重量部以上、より好ましくは3重量部以上、さらにより好ましくは4重量部以上、特に好ましくは5重量部以上であってもよい。また、ポリマー粒子の1重量部に対して、油剤が例えば30重量部以下、好ましくは25重量部以下、より好ましくは20重量部以下、さらにより好ましくは18重量部以下、特に好ましくは15重量部以下であってもよい。より具体的には、ポリマー粒子の1重量部に対して、油剤が例えば1〜30重量部、好ましくは2〜25重量部、より好ましくは3〜20重量部、さらにより好ましくは4〜18重量部、特に好ましくは5〜15重量部であってもよい。
本発明の乳化型組成物における水溶液の配合量は、特に限定されるものではないが、例えば5%(wt)以上、好ましくは10%(wt)以上、より好ましくは20%(wt)以上、さらにより好ましくは25%(wt)以上、特に好ましくは30%(wt)以上であってもよい。本配合量はまた、例えば95%(wt)以下、好ましくは75%(wt)以下、より好ましくは60%(wt)以下、さらにより好ましくは50%(wt)以下、特に好ましくは40%(wt)以下であってもよい。より具体的には、本配合量は、例えば5〜95%(wt)、好ましくは10〜75%(wt)、より好ましくは20〜60%(wt)、さらにより好ましくは25〜50%(wt)、特に好ましくは30〜40%(wt)であってもよい。
本発明の乳化型組成物におけるポリマー粒子と水溶液との重量比は、特に限定されるものではないが、ポリマー粒子の1重量部に対して、水溶液が例えば0.5重量部以上、好ましくは0.8重量部以上、より好ましくは1.0重量部以上、さらにより好ましくは1.2重量部以上、特に好ましくは1.5重量部以上であってもよい。また、ポリマー粒子の1重量部に対して、水溶液が例えば30重量部以下、好ましくは25重量部以下、より好ましくは20重量部以下、さらにより好ましくは18重量部以下、特に好ましくは15重量部以下であってもよい。より具体的には、ポリマー粒子の1重量部に対して、水溶液が例えば0.5〜30重量部、好ましくは0.8〜25重量部、より好ましくは1.0〜20重量部、さらにより好ましくは1.2〜18重量部、特に好ましくは1.5〜15重量部であってもよい。
本発明の乳化型組成物はまた、ポリマー粒子として、同種のポリマー粒子のみを含むものであっても、または異種のポリマー粒子を含むものであってもよい。用語「同種のポリマー粒子」とは、粒径および構成成分が同様であるポリマー粒子をいう。同じ条件(例、成分の種類および量、ならびに処理様式が同様である条件)下で製造されるポリマー粒子は、同種のポリマー粒子であると考えることができる。一方、用語「異種のポリマー粒子」とは、粒径および構成成分の一方または双方が異なるポリマー粒子をいう。異なる条件(例、成分の種類および量、ならびに処理条件のいずれかが異なる条件)下で製造されるポリマー粒子は、異種のポリマー粒子であると考えることができる。本発明の乳化型組成物は、ポリマー粒子として、同種のポリマー粒子のみを含むものであっても、所望の特性を十分に発揮できることから、粒子の調製/入手の負担の軽減等の観点から、好ましくは、同種のポリマー粒子のみを含んでいてもよい。したがって、本発明のゲル状組成物は、平均粒子径1μmを超えるポリマー粒子を含まないものであってもよい。
本発明の乳化型組成物はさらに、上述したような外用剤を1種または2種以上さらに含んでいてもよい。好ましくは、本発明の乳化型組成物にさらに含まれる外用剤は、本発明の乳化型組成物に含まれるポリマー粒子に含まれ得る外用剤と同じであっても異なっていてもよいが、異なることが好ましい。
本発明の乳化型組成物はさらに、有機溶媒、界面活性剤、増粘剤、酸化防止剤、キレート剤、防腐剤等の成分を含んでいてもよい。これらの成分の具体的な種類および量は、適宜設定することができる。
特定の実施形態では、本発明の乳化型組成物は、乳化剤として、粉体(上記成分(A)であるポリマー粒子を除く)、界面活性剤、およびポリマー(粒子を形成していないポリマーを意図しており、上記成分(A)であるポリマー粒子を形成しているポリマーを除く)からなる群より選ばれる1種以上(例、1種、2種、または3種)の成分を完全に含まないか、または実質的に含まないものであってもよい。このような1種以上の成分を「実質的に含まない」とは、このような1種以上の成分の総量が本発明の乳化型組成物に対して1.0%(wt)以下、好ましくは0.8%(wt)以下、より好ましくは0.6%(wt)以下、さらにより好ましくは0.4%(wt)以下、特に好ましくは0.2%(wt)以下であることをいう。
本発明の乳化型組成物は、W/O(ウォーター・イン・オイル)型組成物、またはO/W(オイル・イン・ウォーター)型組成物である。乳化型組成物のタイプは、ポリマー粒子、油剤および液剤の種類および量、乳化型組成物の調製方法、ならびに他の乳化剤の有無等の種々の条件によって適宜決定することができる。
本発明の乳化型組成物は、ポリマー粒子に含まれる有効成分を生体組織(例、角層(角質層)等の皮膚組織)に透過させることができる。したがって、本発明の乳化型組成物は、例えば、生体組織への有効成分の透過が所望される製品(例、化粧料、医薬品、医薬部外品)として、またはその製造原料として有用である。
好ましい実施形態では、本発明の乳化型組成物は化粧料である。
本発明の化粧料は、ポリマー粒子、油剤、および水溶液に加えて、化粧として有用な成分をさらに含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、上述したような外用剤、紫外線散乱剤(例、酸化チタン)、紫外線吸収剤(例、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オキシベンゾン−3)、顔料(例、タルク、マイカ、酸化鉄)、香料(リモネン、シトラール、メントール、バラ油、ローズ油)が挙げられる。
本発明の化粧料はまた、有機溶媒、界面活性剤、増粘剤、酸化防止剤、キレート剤、防腐剤等の成分をさらに含んでいてもよい。これらの成分の具体的な種類および量は、適宜設定することができる。
本発明の化粧料は、常法に従って、例えば皮膚、毛髪等に適用可能な任意の形態の製剤とすることができる。
本発明の化粧料は、例えば、皮膚化粧料、毛髪化粧料、メイキャップ化粧料として用いることができる。皮膚化粧料としては、例えば、乳液、化粧水、クリーム、ジェル、美容液、日焼け止め、フェイスマスクが挙げられる。毛髪化粧料としては、例えば、育毛剤、毛髪用乳液、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー、シャンプー、ヘアローションが挙げられる。メイキャップ化粧料としては、例えば、リキッドファンデーションが挙げられる。
本発明の化粧料は、本発明の乳化型組成物を原料として用いて適宜製剤化することにより調製することができる。
2.乳化型組成物の調製方法
本発明の乳化型組成物は、(1)セルロース誘導体またはその塩を含むポリマー粒子を調製し、(2)調製したポリマー粒子を油剤および水溶液と混合することにより調製することができる。
(1)セルロース誘導体またはその塩を含むポリマー粒子の調製
セルロース誘導体またはその塩(以下、必要に応じて、簡略化のため「ポリマー」と呼称する)を含むポリマー粒子の調製は、(i)ポリマーを含む有機溶媒と(ii)水溶液とを、有機溶媒および水溶液の混合液としてW/O型分散液が形成されるように混合して、粒子を析出させることにより行われる。有効成分を含むポリマー粒子の調製が意図される場合、有効成分は、有機溶媒または水溶液のいずれに含まれていてもよく、その両方に含まれていてもよいが、好ましくは、水溶液に含まれる。
(i)において、有機溶媒に含まれるポリマーは、有機溶媒に溶解できるポリマーである限り特に限定されないが、上述したような疎水性ポリマーが好ましい。有機溶媒中のポリマーの量は、有機溶媒中にポリマーが溶解できる量である限り特に限定されないが、例えば、0.05〜30%(wt)、好ましくは、0.1〜15%(wt)、より好ましくは、0.2〜10%(wt)、さらにより好ましくは、0.3〜7%(wt)である。
(ii)において、有効成分および水溶液は、上述したものと同様である。有機溶媒または水溶液中の有効成分の量は、有機溶媒または水溶液中に有効成分が溶解でき、かつポリマー粒子の使用目的の有効成分量を達成できる量である限り特に限定されないが、例えば0.01〜50%(wt)、好ましくは0.02〜40%(wt)、より好ましくは0.05〜30%(wt)、さらにより好ましくは0.1〜20%(wt)である。有効成分としては、上述したような水溶性成分および疎水性成分のいずれも使用することができる。
ポリマーを含む有機溶媒は、水溶液(好ましくは、有効成分を含む水溶液)と混合したときにW/O(ウォーター・イン・オイル)型分散液が形成されるように、水溶液(好ましくは、有効成分を含む水溶液)が有機溶媒に溶解させたポリマーによって相分離できるものが用いられる。このような有機溶媒としては、例えば、ケトン溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン)、エーテル溶媒(例、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン)、アルコール溶媒(例、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール)、非プロトン性極性溶媒(例、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA))、カルボン酸溶媒(例、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸)、エステル溶媒(例、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン)、非芳香族炭化水素系溶媒(例、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタン)、芳香族炭化水素系溶媒(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、ならびにこれらの混合液が挙げられる。
好ましくは、有機溶媒は、ポリマー粒子を効率良く作製する等の観点から、水溶液(好ましくは水)と混和可能な有機溶媒である。水溶液と混和可能な有機溶媒としては、例えば、ケトン溶媒、エーテル溶媒、アルコール溶媒、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒、エステル溶媒が挙げられる。水溶液と混和するが水と共沸しない有機溶媒の使用の観点から、好ましい有機溶媒は、アセトン、アルコール(例、メタノール)、またはアセトンを多く含んでいてもよいアセトン・アルコール混液である。
混合の際の温度は、有機溶媒および水溶液が液体状態にある温度である限り特に限定されないが、例えば、5〜50℃、好ましくは15〜40℃である。混合の時間は、例えば、ポリマー粒子が形成される限り特に限定されないが、例えば、5〜60分、好ましくは、15〜30分である。
一実施形態では、W/O型分散液が形成されるようにする上記混合は、例えば、(I)(i)ポリマーを含む有機溶媒を、(ii)水溶液に徐々に添加することにより、行うことができる。有効成分は、有機溶媒または水溶液のいずれに含まれていてもよく、その両方に含まれていてもよいが、好ましくは、水溶液に含まれる。この場合、ポリマーを含む有機溶媒の添加量の増加により、O/W型分散液からW/O型分散液へと溶液の状態を変化させることができる。この場合、ポリマー粒子が形成されることが確認されている(参考例1〜19を参照)。O/W型分散液からW/O型分散液へと溶液の状態の変化を引き起こすことにより、ポリマー粒子の生成量を増やすことができる。
別の実施形態では、W/O型分散液が形成されるようにする上記混合は、例えば、(II)(ii)水溶液を、(i)ポリマーを含む有機溶媒に徐々に添加することにより、行うことができる。有効成分は、有機溶媒または水溶液のいずれに含まれていてもよく、その両方に含まれていてもよいが、好ましくは、水溶液に含まれる。この場合、(ii)有効成分を含む水溶液の添加量を、(i)ポリマーを含む有機溶媒の量に比し低く抑えることにより、W/O型分散液からO/W型分散液へと溶液の状態が変化しないように(換言すれば、W/O型分散液の状態が維持されるように)、設定することができる。この場合、ポリマー粒子が形成されることが確認されている(参考例20を参照)。
好ましい実施形態では、有効成分を含むポリマー粒子の調製は、(i’)第1ポリマーを含む有機溶媒と(ii’)有効成分および第2ポリマーの双方を含む水溶液とを、有機溶媒および水溶液の混合液としてW/O型分散液が形成されるように混合して、ポリマー粒子を析出させることを含む。ポリマー粒子の製造方法において、有機溶媒中の第1ポリマー、および水溶液中の第2ポリマーを併用することにより、製造されるポリマー粒子が、水溶性ゲルと硬質の両面の性質を持たせることができるという利点がある。
(i’)において、第1ポリマー、有機溶媒、および有機溶媒中の第1ポリマーの量の定義、例および好ましい例は、(i)で述べたポリマー、有機溶媒、および有機溶媒中のポリマーの量と同様である。
(ii’)において、有効成分、水溶液、および水溶液中の有効成分の量の定義、例および好ましい例は、(ii)で述べたものと同様である。
(ii’)において、水溶液に含まれる第2ポリマーは、水溶液に溶解できるポリマーである限り特に限定されないが、上述したような親水性ポリマーが好ましい。水溶液中のポリマーの量は、水溶液中にポリマーが溶解できる量である限り特に限定されないが、例えば、0.001〜15%(wt)、好ましくは、0.003〜10%(wt)、より好ましくは、0.005〜7%(wt)、さらにより好ましくは、0.01〜5%(wt)である。
好ましい特定の実施形態では、W/O型分散液が形成されるようにする上記混合は、例えば、(I’)(i’)第1ポリマーを含む有機溶媒を、(ii’)有効成分および第2ポリマーの双方を含む水溶液に徐々に添加することにより、行うことができる。この場合、ポリマーを含む有機溶媒の添加量の増加により、O/W型分散液からW/O型分散液へと溶液の状態を変化させることができる。この場合、ポリマー粒子が形成されることが確認されている(参考例1〜19を参照)。O/W型分散液からW/O型分散液へと溶液の状態の変化を引き起こすことにより、ポリマー粒子の生成量を増やすことができる。
別の実施形態では、W/O型分散液が形成されるようにする上記混合は、例えば、(II’)(ii’)有効成分および第2ポリマーの双方を含む水溶液を、(i’)第1ポリマーを含む有機溶媒に徐々に添加することにより、行うことができる。この場合、(ii’)有効成分および第2ポリマーの双方を含む水溶液の添加量を、(i’)第1ポリマーを含む有機溶媒の量に比し低く抑えることにより、W/O型分散液からO/W型分散液へと溶液の状態が変化しないように(換言すれば、W/O型分散液の状態が維持されるように)、設定することができる。この場合、ポリマー粒子が形成されることが確認されている(参考例20を参照)。
添加は、好ましくは、滴下により行うことができる。添加の間、溶液は撹拌条件下に置くことができる。撹拌条件は、溶液の量に応じて適宜設定することができる。例えば、最終液量が約45mLのスケールでは、200〜800rpm(好ましくは400rpm)、最終液量が約1Lのスケールでは、80〜230rpmである。
このようにして得られたポリマー粒子を用いて、本発明の乳化型組成物を調製することができる。ポリマー粒子は、本発明の乳化型組成物の調製前に粉末化することが好ましい。粉末化する方法としては、例えば、凍結乾燥、スプレードライ、流動層造粒、攪拌造粒、超臨界造粒、自然乾燥が挙げられる。
(2)調製したポリマー粒子と油剤および水溶液との混合
本発明の乳化型組成物は、セルロース誘導体またはその塩を含むポリマー粒子を油剤および水溶液と任意の様式で混合することにより調製することができる。例えば、本発明の乳化型組成物は、予め油剤または水溶液の一方に分散させたポリマー粒子に、油剤または水溶液の他方を徐々に加え、適温にてよく撹拌することにより調製することができる。本発明では、予め水溶液、もしくは油剤に分散させたポリマー粒子に、油剤、または水溶液を徐々に加え、適温にてよく撹拌することによりW/O型組成物またはO/W型組成物を調製することが好ましい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<製造例1> グルタミルリジン含有ポリマー粒子の調製
先ず、下記3種の溶液を調製した。
(1)ポリマー液1
ポリマー液1は、エチルセルロース(ダウケミカル社製、STD7FP。重量平均分子量:55,025)8gをアセトン600mLに溶解させることにより調製した。
(2)ポリマー液2
ポリマー液2は、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製、SL。重量平均分子量:100,000)2gを水300mLに溶解させることにより調製した。
(3)有効成分含有液
有効成分含有液は、グルタミルリジン(味の素(株)製)2.0gを水30mLに溶解させることにより調製した。
次いで、40℃、250rpmで攪拌されているポリマー液2に、有効成分含有液を滴下して均一な液体を得た。この均一な液体にポリマー液1を徐々に滴下した。ポリマー液1の適下の間、均一な液体を250rpmで撹拌した。ポリマー液1の滴下により液体が白濁し、滴下量の増加に応じてO/W型分散液からW/O型分散液へと懸濁液の状態が変化した。その結果、ポリマー液1の滴下により、グルタミルリジン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびエチルセルロースを含む粒子が自ずと速やかに析出し、このような粒子を含む懸濁液(W/O型分散液)が得られた。この懸濁液を攪拌しつつ減圧吸引してアセトンを除去し、水に分散した粒子液を得た。
(4)乾燥方法
得られた粒子液は、−80℃で瞬間的に凍結させた後、30mT以下の減圧度で、水分が十分に無くなるまで乾燥させて、グルタミルリジン含有ポリマー粒子の粉末を得た。
<製造例2> トラネキサム酸含有ポリマー粒子の調製
製造例1のグルタミルリジンを、トラネキサム酸(丸善製薬(株)製)、2.0gに変更し、同様の方法で調製した。
<製造例3> ポリアスパラギン酸Na含有ポリマー粒子の調製
製造例1のエチルセルロースをヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルに変更し、グルタミルリジンを、ポリアスパラギン酸Na(味の素(株)製)、6.7gに変更し、同様の方法で調製した。
<実施例1〜4、比較例1〜6> 乳化型組成物の調製および評価
あらかじめ水相に粉末を分散させておき、撹拌しながら、徐々に油相を添加することにより、乳化型組成物(W/O型)を得た。
<実施例5、比較例7>
あらかじめ油相に粉末を分散させておき、撹拌しながら、徐々に水相を添加することにより、乳化型組成物(W/O型)を得た。
<外観の様子>
前記のように調製した乳化型組成物をガラス瓶充填し、一晩静置後、乳化型組成物の外観を目視にて、下記の基準により評価した。
A:サンプルは均一で、離水や粉の凝集がない。
B:サンプルに、わずかな離水が生じた。
C:サンプルは不均一で、離水や粉の凝集が生じた。
<乳化粒子の均一性>
前記のように調製した乳化型組成物を光学顕微鏡にて、下記の基準により評価した。
A:乳化粒子は均一で、合一や凝集がない。
B:乳化粒子は、やや不均一でわずかに合一や凝集が生じた。
C:乳化粒子は不均一で、合一や凝集が生じた。
<製剤の塗布のしやすさ>
前記のように調製した乳化型組成物を50mlバイアル瓶に充填し、室温にて一晩静置した。その後、B型粘度計(DVL−B(株)トキメック、ローターNo.2〜4、6rpm、25℃、30秒後)により、乳化型組成物の粘度を測定し、下記の基準により評価した。
A:粘度が10,001mPa・s以上あり、ジャー容器から取り出しやすく、肌に塗布しやすい。
B:粘度が1,001〜10,000mPa・sの間であり、とろみのある流動性クリームである。
C:粘度が1,000mPa・s以下で、しゃばしゃばの液体で、肌へ塗布しにくい。
<官能評価試験>
[評価方法]
専門評価パネル10名による使用テストを行い、塗布のしやすさ、べたつきのなさ、効果持続性実感、塗布後のさっぱり感について、下記基準により5段階評価し、さらにその平均点をもとめ判定した。
[評価基準]
5点:非常に良好
4点:良好
3点:ふつう
2点:やや不良
1点:不良
[判定基準]
A:平均点4点以上
B:平均点3点以上〜4点未満
C:平均点2点以上〜3点未満
D:平均点2点未満
以上より、本発明の乳化型組成物は、乳化物としての外観および乳化粒子の均一性について良好な結果が確認されたことから、優れた乳化性を有することが示された。本発明の乳化型組成物はまた、製剤の塗布のしやすさ、および使用性(例、べたつきのなさ、効果持続性実感、塗布後のさっぱり感)について良好な結果が確認されたことから、所望の官能を備えることが示された。
[参考例1] 粒子1の調製
先ず、下記3種の溶液を調製した。
(1)ポリマー液1
ポリマー液1は、エチルセルロース(ダウケミカル社製、STD7FP。重量平均分子量:55,025)0.4gをアセトン30mLに溶解させることにより調製した。
(2)ポリマー液2
ポリマー液2は、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製、SL。重量平均分子量:100,000)0.1gを水15mLに溶解させることにより調製した。
(3)水溶性有効成分含有液
水溶性有効成分含有液は、トラネキサム酸(丸善製薬(株)製)0.1gを水1.5mLに溶解させることにより調製した。
次に、40℃、400rpmで攪拌されているポリマー液2に、水溶性有効成分含有液を滴下して均一な液体を得た。この均一な液体にポリマー液1を徐々に滴下した。ポリマー液1の適下の間、均一な液体を400rpmで撹拌した。ポリマー液1の滴下により液体が白濁し、滴下量の増加に応じてO/W型分散液からW/O型分散液へと懸濁液の状態が変化した。その結果、ポリマー液1の滴下により、トラネキサム酸、ヒドロキシプロピルセルロース、およびエチルセルロースを含む粒子が自ずと速やかに析出し、このような粒子を含む懸濁液(W/O型分散液)が得られた。この懸濁液を攪拌しつつ減圧吸引してアセトンを除去し、水に分散した粒子液を得た。その後、粒度分布をレーザー回折式粒度分布計(Malvern Instruments Ltd.製、ZetasizerNanoS)で評価した(下記の表4を参照)。
また、得られた粒子を走査型電子顕微鏡で撮影した。走査型電子顕微鏡写真を図1に示す。
[参考例2] 粒子2の調製
参考例1のトラネキサム酸量を2.0gに変えて、かつトラネキサム酸を有効成分含有液に溶解した溶液を調製せずに、トラネキサム酸をポリマー液2に直接溶解させ、ポリマー液1とポリマー液2を用いた以外は参考例1と同様に粒子液を調製し、粒度分布を測定した(下記の表4を参照)。
[参考例3] 粒子3の調製
先ず、下記3種の溶液を調製した。
(1)ポリマー液1
ポリマー液1は、エチルセルロース(ダウケミカル社製、STD7FP。重量平均分子量:55,025)8gをアセトン600mLに溶解させることにより調製した。
(2)ポリマー液2
ポリマー液2は、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株)製、SL。重量平均分子量:100,000)2gを水300mLに溶解させることにより調製した。
(3)水溶性有効成分含有液
水溶性有効成分含有液は、トラネキサム酸(丸善製薬(株)製)2gを水30mLに溶解させることにより調製した。
次に、40℃、230rpmで攪拌されているポリマー液2に、水溶性有効成分含有液を滴下して均一な液体を得た。この均一な液体にポリマー液1を徐々に滴下した。ポリマー液1の適下の間、均一な液体を400rpmで撹拌した。ポリマー液1の滴下により液体が白濁し、滴下量の増加に応じてO/W型分散液からW/O型分散液へと懸濁液の状態が変化した。その結果、ポリマー液1の滴下により、トラネキサム酸、ヒドロキシプロピルセルロース、およびエチルセルロースを含む粒子が自ずと速やかに析出し、このような粒子を含む懸濁液(W/O型分散液)が得られた。この懸濁液を攪拌しつつ減圧吸引してアセトンを除去し、水に分散した粒子液を得た。その後、粒度分布をレーザー回折式粒度分布計(Malvern Instruments Ltd.製、ZetasizerNanoS)で評価した(下記の表4を参照)。
[参考例4] 粒子4の調製
参考例1のエチルセルロースをヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(信越化学工業(株)、AS−MG。重量平均分子量:18,000)に、ポリマー液1のアセトンをメタノールに変えた以外は参考例1と同様に粒子液を調製し、粒度分布を測定した(下記の表4を参照)。
[参考例5] 粒子5の調製
参考例1のエチルセルロースをヒプロメロースフタル酸エステル(信越化学工業(株)、HP−55。重量平均分子量:84,000)に変えた以外は参考例1と同様に粒子液を調製し、粒度分布を測定した(下記の表4を参照)。なお、用いたヒプロメロースフタル酸エステル(HP−55)は、pH溶解性≧5.5、表示粘度40mPa・s〔20℃におけるメタノール/ジクロルメタン溶液(1:1)の10%溶液粘度(日本薬局方)〕の特性を有する。
[参考例6] 粒子6の調製
参考例1のエチルセルロースをメタクリル酸コポリマーS(エボニック社製、S−100。重量平均分子量:125,000)に変えた以外は参考例1と同様に粒子液を調製し、粒度分布を測定した(下記の表4を参照)。
[参考比較例1] 比較用粒子1の調製
参考例1の(3)水溶性有効成分含有液(トラネキサム酸0.1gを水1.5mLに溶解させたもの)を水1.5mLに変えた以外は参考例1と同様に粒子液を調製し、粒度分布を測定した(下記の表4を参照)。
(参考例1〜6、および参考比較例1の結果のまとめ)
参考例1〜6、および参考比較例1において測定された粒度分布の結果を表4に示す。
[参考例7] 粒子7の調製
参考例1のトラネキサム酸0.1gを食用赤色3号(保土谷化学工業製)0.01gに変更した以外は参考例1と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された。
[参考例8〜11] 粒子8〜11の調製
参考例3のトラネキサム酸を、L−アルギニン(味の素製)、L−ヒスチジン(味の素製)、グルタミルリジン(味の素製)、およびD−アラニン(東京化成工業製)からなる群より選ばれるいずれか一つの物質に変更した以外は参考例3と同様にして、実験を行った。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。
[参考例12、13] 粒子12、13の調製
参考例3のトラネキサム酸を、L−バリン(味の素製)、L−グルタミン酸ナトリウム(味の素製)のいずれかの物質に、アセトンをメタノールに変更した以外は参考例3と同様にして、実験を行った。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。
[参考例14] 粒子14の調製
参考例3のトラネキサム酸2gをピロリドンカルボン酸(PCA)ナトリウム塩50%(wt)水溶液(味の素製、NL−50)4gに変更した以外は参考例3と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された。
[参考例15] ヒドロキシプロピルセルロースのグレードの検討
参考例7のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のグレードを下記表5に示すとおりに変更した以外は、参考例7と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された(表5)。
[参考例16] エチルセルロースのグレードの検討
参考例7のエチルセルロース(EC)のグレードを下記表6に示すとおりに変更した以外は、参考例7と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された(表6)。
[参考例17] ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルのグレードの検討
参考例4のヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(信越化学工業(株)、AS−MG)のグレードを下記表7に示すとおりに変更した以外は、参考例4と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された。
[参考例18] メタクリル酸コポリマーのグレードの検討
参考例6のメタクリル酸コポリマーS(エボニック社製、S−100)をメタクリル酸コポリマーL(エボニック社製、L100。重量平均分子量:125,000)に変更した以外は、参考例6と同様にして、実験を行った。その結果、メタクリル酸コポリマーL(L100)では平均粒子径747nmの粒子の形成が確認された。
[参考例19] 1種のポリマーを用いた粒子の調製の検討
(1)疎水性ポリマーを含まない有機溶媒の使用
参考例1のトラネキサム酸0.1gを食用赤色3号(保土谷化学工業製)0.01gにし、エチルセルロースを使用しなかった他は、参考例1と同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成は確認されなかった。
以上より、疎水性ポリマーを含まない有機溶媒(ポリマー液1の代わりの非ポリマー液)、および親水性ポリマーを含む水溶液(ポリマー液2)を用いた場合には、粒子が形成されないことが確認された。
(2)親水性ポリマーを含まない水溶液の使用
参考例1のトラネキサム酸0.1gを食用赤色3号(保土谷化学工業製)0.01gにし、ヒドロキシプロピルセルロースを使用しなかった他は、参考例1同様にして、実験を行った。その結果、粒子の形成が確認された(動的光散乱測定結果:平均粒子径217nm)。
以上より、疎水性ポリマーを含む有機溶媒(ポリマー液1)、および親水性ポリマーを含まない水溶液(ポリマー液2の代わりの非ポリマー液)を用いた場合には、粒子が形成されることが確認された。
[参考例20] O/W型分散液からW/O型分散液への状態の変化を伴わない、粒子の調製
参考例1のトラネキサム酸0.1gを食用赤色3号(保土谷化学工業製)0.01gに、ポリマー液2および水溶性有効成分含有液の混合液をポリマー液1に滴下することに変更した以外は参考例1と同様にして、実験を行った。本実験条件では、多量の有機溶媒に少量の水溶液を添加しているので、参考例1で確認された、O/W型分散液からW/O型分散液への状態の変化を伴わない。その結果、上記状態の変化を伴わずとも、粒子の形成が確認された。
[参考例21、22、23] 粒子15、16、17の調製
参考例1のトラネキサム酸に代えて、4−ヒドロキシ安息香酸メチル(メチルパラベン、純正化学製)、ミノキシジル(東京化成製)、またはジヒドロキシカプシエイト(味の素製)のいずれかの有効成分を、有効成分含有液の調製をせずにポリマー液1に溶解した以外は、実施例1と同様にして、実験を行った。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。また、有効成分を水溶液ではなく有機溶媒(ポリマー液1)に溶解させることにより、有効成分を含有する粒子が得られることが確認された。
[参考試験例1] 表皮モデル透過性評価1
先ず、参考例3で調製した粒子液を遠心分離機(日立工機(株)製、CF−15RN)で15分間遠心加速度21500×gで遠心分離後、取り除いた上澄みと同量の水を加えて再分散させる洗浄操作を実施し、精製粒子液を得た。この精製粒子液の一部について、再度遠心分離にて洗浄液と粒子を分離し、粒子部分からメタノールを含む高速クロマトグラフの移動相等でトラネキサム酸を抽出した液を分析して、粒子中のトラネキサム酸量をあらかじめ求めた。その結果、粒子の重量に対するトラネキサム酸量は、6%(wt)であった。
次に、3次元培養表皮モデル((株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング製、エピ・モデル12)をセットしたジャケット付静置型フランツセル(パーメギア社製)のドナー側に、トラネキサム酸量として0.2mg含むように精製粒子液を載せ、24時間後のレシーバー側のトラネキサム酸濃度を高速クロマトグラフ(日本ウォーターズ(株)製、H−CLASS)で測定し、透過量を求めた(下記の表8を参照)。
[参考試験例2] 表皮モデル透過性評価2
参考試験例1の遠心精製に用いた粒子液を参考例4で調製した粒子液に変えた以外は参考試験例1と同様に表皮モデル透過性を評価した(下記の表8を参照)。
[参考比較試験例1] 表皮モデル透過性評価3
参考試験例1の精製粒子液を4mg/mLトラネキサム酸水溶液に変えた以外は参考試験例1と同様に表皮モデル透過性を評価した(下記の表8を参照)。
[参考比較試験例2] 表皮モデル透過性評価4
参考試験例1の遠心精製に用いた粒子液を参考比較例1で調製した粒子液に変え、トラネキサム酸量として0.2mgを後から添加した以外は参考試験例1と同様に表皮モデル透過性を評価した(下記の表8を参照)。
(参考試験例1、2、および参考比較試験例1、2の結果のまとめ)
参考試験例1、2、および参考比較試験例1、2において24時間後の透過量の結果を表8に示す。
[参考試験例3] 粒子の性状の確認
参考例3で得られた粒子液を自然乾燥させて走査型電子顕微鏡で観察した外観より、参考例3で得られた粒子の表面が硬質であり、また、当該粒子が真球状であることが確認された(図2)。
また、参考例3で得られた粒子液50μLをポリスチレン基板上に滴下し、24時間室温(25℃)にて自然乾燥させて調製された、ポリスチレン基板上に形成された粒子膜に、20μLの水滴を滴下して側面から画像を撮影した。その画像から画像処理ソフトウエアimage Jを用いて接触角を計測したところ、上記粒子膜上の水の接触角(内角)は43.9度であった。一方、ポリスチレン基板に20μLの水滴を滴下して同様に接触角を計測したところ、ポリスチレン基板上の水の接触角(内角)は78.4度であった。上記粒子膜上の水の接触角は、ポリスチレン基板上の水の接触角に比べて小さい値を示したことから、参考例3で得られた粒子の表面は親水性的な性質を有することが確認された。
さらに、参考例3で調製した調製した粒子を、1mM NaCl水溶液中の電気泳動移動度の測定(Malvern Instruments Ltd.製、ZetasizerNanoS)に付した。その結果、電気泳動による移動度は、−4.1±0.12μmcm/Vsであった。0μmcm/Vsからの絶対値が大きいことから、粒子は親水性ゲル粒子ではないことが確認された。
以上の結果より、参考例3で調製した粒子は、表面がポリスチレン粒子のような硬質さと、ポリアクリルアミドやポリN,Nイソプロピルアクリルアミド粒子のような軟質のゲル様の両方の性質を有することが確認された。また、一旦形成された粒子を、油、有機溶媒または水に分散させても瞬時に溶解して壊れることが無いことも確認された。
[参考試験例4] 粒子の保存性および凝集性の評価
(1)非凍結条件下での保存性の評価
参考例1〜20で調製した粒子液は、冷蔵(4℃)にて1.5年保存後も凝集することなく粒子状態を維持していた。よって、本発明の粒子は、保存性に優れることが確認された。
(2)凍結乾燥後の粒子分散能の評価
参考例3で調製した粒子液を攪拌減圧吸引によって、水を10分の1に減らし、凍結乾燥して粉体を得た。この粉体を再度固形分濃度3%(wt)になるように水に分散させたところ元通りの粒子液になることを確認した。
(3)スプレードライ後の粒子分散能の評価
参考例3で調製した粒子液を攪拌減圧吸引によって、水を10分の1に減らし、スプレードライ(日本ビュッヒ製B−290)して粉体を得た。この粉体を再度固形分濃度3%(wt)になるように水に分散させたところ元通りの粒子液になることを確認した。
[参考試験例5] 表皮モデル透過性評価5
上述したように得られた粒子15、16、17について、参考試験例1、2、参考比較試験例1、2と同様の方法において、表皮モデル透過性の評価を行った。その結果、有効成分を含有するこれらの粒子は、表皮モデルにおいて、有効成分の単純溶液よりも透過性が高いことが確認された。
[参考比較例2〜19] 比較用粒子2〜19の調製
参考例7のポリマー液1のエチルセルロース0.4gをポリ乳酸グリコール酸ブロック共重合体(PLGA5015、和光純薬製)、セタノール(NAA−44、日油製)、白色ワセリン(小城製薬製)、カスターワックス(日油製)、ステアリルアルコール(NAA−45、日油製)、ステアリン酸(NAA−180P−1、日油製)、プロピレングリコールカプリル酸エステル(SEFSOL−218、日光ケミカルズ製)、プロピレングリコールジカプリル酸エステル(SEFSOL−228、日光ケミカルズ製)、親油型モノオレイン酸グリセリン(MGO、日光ケミカルズ製)、親油型モノステアリン酸グリセリン(MGS−AMV、日光ケミカルズ製)、親油型モノステアリン酸グリセリン(MGS−BMV、日光ケミカルズ製)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(CDS−6000P、日光ケミカルズ製)、ショ糖脂肪酸エステル(L−595、三菱化学フーズ製)、ショ糖脂肪酸エステル(S−570、三菱化学フーズ製)、ショ糖脂肪酸エステル(S−770、三菱化学フーズ製)、ステアリン酸ポリオキシル40(NIKKOL MYS−40MV、日光ケミカルズ製)、セトマクロゴール1000(NIKKOL BC−23、日光ケミカルズ製)、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(プロノン#188、日油製)、ポビドン(K−30、BASF製)、コポリビドン (VA64、BASF製)、飽和ポリグリコール化グリセリド(Gelucire50/13、Gattefosse製)、PEG20000(和光純薬工業製)、ポリビニルアルコール(JMP−10L、日本酢ビ・ポバール製)、ポリビニルアルコール(LL−810、日本酢ビ・ポバール製)、ポリビニルアルコール(LL−920、日本酢ビ・ポバール製)、ポリビニルアルコール(LL−940、日本酢ビ・ポバール製)0.1gに、アセトン30mLを15mLに、ポリマー液2のヒドロキシプロピルセルロース0.1gをポリビニルアルコール(EG−05、日本合成化学工業製)0.6gに、水15mLを30mLに変更し、ポリソルベート80を0.13g加えた以外は、参考例7と同様に、実験を行った(表9、10)。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。しかしながら、3次元培養表皮モデルを用いた透過性の評価にて、24時間以内に透過性を示さなかった。
[参考比較例20〜27] 比較用粒子20〜27の調製
参考比較例2のポリマー液1のアセトンに代えて、水を用いた以外は、参考比較例2と同様に、実験を行った(表11)。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。しかしながら、3次元培養表皮モデルを用いた透過性の評価にて、24時間以内に透過性を示さなかった。
[参考比較例28、29] 比較用粒子28、29の調製
参考比較例2のポリマー液2のポリビニルアルコールに代えて、ポビドン(K−90、BASF製)、PEG6000(和光純薬工業製)のいずれかの成分を用いた以外は、参考比較例2と同様に、実験を行った(表11)。その結果、いずれの物質を用いた場合も、粒子の形成が確認された。しかしながら、3次元培養表皮モデルを用いた透過性の評価にて、24時間以内に透過性を示さなかった。
本発明の乳化型組成物は、例えば、化粧料として有用である。

Claims (12)

  1. 下記成分(A)、(B)および(C)を含む、乳化型組成物:
    (A)セルロース誘導体またはその塩を含むポリマー粒子;
    (B)油剤;および
    (C)水溶液。
  2. 前記ポリマー粒子が1〜1000nmの体積分布平均粒子径を有する、請求項1記載の乳化型組成物。
  3. 前記ポリマー粒子が、以下(i)〜(iii)からなる群より選ばれる1以上の性質を有する、請求項1または2記載の乳化型組成物:
    (i)粒子膜上の水の接触角が、20〜70度である;
    (ii)ポリスチレン基板上の水の接触角に対する、粒子膜上の水の接触角の比率が、0.2〜0.9の範囲内である;および
    (iii)電気泳動による移動度の絶対値が2μmcm/Vs以上である。
  4. 前記セルロース誘導体が、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシセルロース、カルボキシアルキルセルロース、カルボキシセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、カチオン化セルロース、疎水化セルロース、またはそれらのエステル誘導体である、請求項1〜3のいずれか一項記載の乳化型組成物。
  5. 前記セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロース、またはそれらのエステル誘導体である、請求項1〜4のいずれか一項記載の乳化型組成物。
  6. 前記エステル誘導体が、酢酸エステル、酪酸エステル、コハク酸エステル、グリコール酸エステル、プロピオン酸エステル、フタル酸エステル、およびこれらのエステルの2以上の組み合わせからなる群より選ばれるエステル誘導体である、請求項4または5記載の乳化型組成物。
  7. 前記ポリマー粒子が2種以上のポリマーの混合物を含む、請求項1〜6のいずれか一項記載の乳化型組成物。
  8. 前記ポリマー粒子が有効成分をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の乳化型組成物。
  9. 前記有効成分が、アミノ酸、オリゴペプチド、ビタミン、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、単糖、オリゴ糖、脂質、脂肪酸、およびそれらの代謝物、ならびにそれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の物質である、請求項8記載の乳化型組成物。
  10. 油剤が、(a)炭化水素油、(b)シリコーン油、および(c)エステル油からなる群より選択される少なくとも一種の油剤である、請求項1〜9のいずれか一項記載の乳化型組成物。
  11. (a)炭化水素油がパラフィン系油であり、(b)シリコーン油がポリシロキサンであり、(c)エステル油が、炭素原子数1〜30の炭化水素基を有する一価または多価アルコールと炭素原子数1〜30のカルボン酸との反応により生じるエステルである、請求項10記載の乳化型組成物。
  12. 乳化型組成物が化粧料である、請求項1〜11のいずれか一項記載の乳化型組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115666497A (zh) * 2020-05-20 2023-01-31 株式会社大赛璐 乳化性制剂、水系化妆料、饮食品、以及医药组合物

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