JP2018118463A - 熱線遮蔽透明樹脂積層体 - Google Patents

熱線遮蔽透明樹脂積層体 Download PDF

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直明 北川
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Abstract

【課題】高い可視光透過性および熱線遮蔽性を有する熱線遮蔽透明樹脂成形体に、優れたバリア性、耐傷つき性、および放熱性を付与する。【解決手段】熱線遮蔽微粒子および熱可塑性樹脂を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体と、該成形体の少なくとも一方の表面に形成された、可視光透過性を有するバリア膜と、を備える熱線遮蔽透明樹脂積層体であって、前記バリア膜が、SiO2、Al2O3、ダイヤモンドライクカーボンから選択される少なくとも1種からなり、かつ、膜厚が0.1μm〜5μmの範囲にあり、該積層体の、JIS R 3106に基づく、波長400nmから波長800nmの光透過率が70%以上、JIS K 7126−2に規定のMOCON法に基づいて測定した酸素透過度が0.1cm3/m2/day/atm未満、かつ、JIS K 7129Bに規定のMOCON法に基づいて測定した、温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度が0.01g/m2/day未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、建築物や車両などの開口部に使用される窓材、あるいは建築物の屋根材や壁材に広く利用される、可視光透過性が高く、熱線遮蔽性に優れた熱線遮蔽透明樹脂成形体の改良に関する。
窓やドアなどの建築物、および、自動車、電車、航空機などの車両の開口部に使用される窓材、あるいは、アーケード、天井ドーム、カーポートなどの建築物の屋根材や壁材としては、太陽光線を取り入れるために透明な、ガラス板などのガラス材料、あるいは、樹脂フィルム、樹脂シートや樹脂板などの樹脂材料が使用されている。しかしながら、太陽光線には可視光線のほかに紫外線や赤外線が含まれており、特に赤外線のうち、800nm〜2500nmの範囲の波長を有する近赤外線は熱線とも呼ばれ、これらのガラス材料あるいは樹脂材料を通じて進入することにより室内など構造物の内側の温度を上昇させる原因となっている。
このような近赤外線の進入を防止するため、近年、可視光線を十分に通過させつつ、熱線を遮蔽することを可能とする、熱線遮蔽透明樹脂成形体に対する需要が急増しており、また、熱線遮蔽透明樹脂成形体に関して多くの提案がなされている。
たとえば、特開昭61−277437号公報には、透明樹脂フィルムに金属を蒸着してなる熱線反射フィルムを、ガラス板、アクリル板、ポリカーボネート板などの透明基材に接着した熱線遮蔽板が開示されている。しかしながら、この熱線反射フィルム自体が非常に高価で、かつ、接着工程などの煩雑な工程を要するため、この熱線遮蔽板は高コストである。また、透明基材と熱線反射フィルムの接着性が良くないため、経時変化により熱線反射フィルムの剥離を生じるといった問題を有している。
また、特開平5−078544号公報や特開平2−173060号公報において、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透明樹脂に、熱線反射粒子として酸化チタンで被覆したマイカを練り込むことにより形成した熱線遮蔽板が提案されている。しかしながら、この熱線遮蔽板では、熱線遮蔽能を高めるために熱線反射粒子を多量に添加する必要があり、熱線反射粒子の配合量の増大に伴って可視光線透過能が低下してしまう。熱線反射粒子の添加量を少なくしてしまうと、可視光線透過能は高まるものの、熱線遮蔽能が低下してしまう。したがって、この熱線遮蔽板では、熱線遮蔽能と可視光線透過能を同時に満足させることが困難である。さらに、熱線反射粒子を多量に配合すると、成形体を構成する透明樹脂の物性、特に耐衝撃強度や靭性が低下するという強度面における問題も存在する。
特開2003−327717号公報には、熱線遮蔽効果を有する成分として自由電子を多量に保有する六ホウ化物微粒子に着目して、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂中に六ホウ化物微粒子、あるいは、六ホウ化物微粒子とITO(スズ含有酸化インジウム)微粒子および/またはATO(アンチモン含有酸化スズ)微粒子を分散させることにより形成した熱線遮蔽樹脂シート材が開示されている。
また、特開2006−219662号公報には、熱線遮蔽機能を有する成分として、一般式:WO(2.45≦X≦2.999)で示されるタングステン酸化物微粒子、および/または、一般式:MWO(0.1≦Y≦0.5、2.2≦Z≦3.0)で示され、かつ、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子を透明な樹脂基材に含ませることにより形成した熱線遮蔽樹脂シート材が開示されている。
一方、特開昭61−277437号公報には、透明樹脂フィルムの表面に、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリシロキサンなどのハードコート膜を形成することが開示されている。また、特開2005−344006号公報には、ポリカーボネート樹脂、ATOおよびITOなどの金属酸化物からなる熱線遮蔽性無機化合物、および添加剤からなる透明性を有する樹脂組成物から作製された透明樹脂フィルムの表面に、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤などを被覆した熱線遮蔽透明樹脂フィルムが開示されている。しかしながら、これらのハードコート膜は、樹脂フィルムよりも高い硬度を付与したり、耐候性を向上させたりする目的でのみ形成されているにすぎない。
また、特開昭61−277437号公報および特開2005−344006号には、透明樹脂フィルムとハードコート膜との間にプライマー層を設けることが開示されている。特に、特開2005−344006号では、プライマー層に紫外線吸収剤などを含有させることが開示されている。しかしながら、プライマー層の形成は、あくまでも密着性の向上を図るためであり、紫外線吸収剤などの添加は、密着性に対する耐久性の向上を図るためにすぎない。
特開昭61−277437号公報 特開平5−078544号公報 特開平2−173060号公報 特開2003−327717号公報 特開2006−219662号公報 特開2005−344006号公報
従来の熱線遮蔽透明樹脂成形体のうち、透明樹脂成形体の表面に金属薄膜を形成した構造や、透明樹脂成形体中に熱線反射性や熱線遮蔽性を有する酸化物微粒子を分散させた構造では、長期間外気に触れたり、湿度が高い場所に設置されると、金属薄膜が酸化してしまったり、酸化物微粒子や樹脂が変質ないしは劣化して、本来の性能が維持されなくなってしまうという問題がある。また、人の手や飛び石などによる傷つき防止対策や、吸収した熱の放熱手段などについて十分に考慮されていないのが実情である。
また、透明樹脂成形体の表面にハードコート膜やプライマー層が設けられている構造においても、大気中からの酸素や水分の吸収は考慮されておらず、同様に、熱線遮蔽透明樹脂成形体に十分なバリア性、耐傷つき性、および放熱性が十分に付与されるわけではない。
したがって、本発明の目的は、可視光透過性を維持すると同時に、高い熱線遮蔽性を発揮することができる熱線遮蔽透明樹脂成形体に対して、優れたバリア性、耐傷つき性、および放熱性を付与することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、熱線遮蔽微粒子と熱可塑性樹脂を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体の少なくとも一方の表面に、PVD法あるいはCVD法によって、可視光透過性を有するバリア膜を成膜して積層し、熱線遮蔽透明樹脂積層体を構成することによって、高い可視光透過性および熱線遮蔽性を有する熱線遮蔽透明樹脂成形体に対して、優れたバリア性、耐傷つき性、および放熱性を付与できることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体は、熱線遮蔽微粒子および熱可塑性樹脂を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体と、該熱線遮蔽透明樹脂成形体の少なくとも一方の表面に形成された、可視光透過性を有するバリア膜とを備えることを特徴とする。
本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体は、JIS R 3106に基づく、波長400nmから波長800nmの光透過率が70%以上であることが好ましい。
また、前記熱線遮蔽透明樹脂積層体の、JIS K 7126−2に規定のMOCON法に基づいて測定した酸素透過度は、0.1cm/m/day/atm未満であることが好ましい。
さらに、JIS K 7129Bに規定のMOCON法に基づいて測定した、温度40℃、相対湿度90%における、前記熱線遮蔽透明樹脂積層体の水蒸気透過度は、0.01g/m/day未満であることが好ましい。
前記バリア膜は、SiO、Al、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)から選択される少なくとも1種からなり、かつ、膜厚が0.1μm〜5μmである薄膜により構成されることが好ましい。なお、該バリア膜は、PVD法あるいはCVD法により成膜することができる。
前記熱線遮蔽微粒子は、熱線吸収微粒子および熱線反射微粒子から選択される少なくとも1種により構成される。
前記熱線吸収微粒子としては、アンチモン含有酸化スズ、スズ含有酸化インジウム、タングステン酸化物、複合タングステン酸化物、六ホウ化物から選ばれる1種以上からなる微粒子を挙げることができる。また、前記熱線反射微粒子としては、Au、Ag、Pd、Cu、Ni、Alから選ばれる1種以上からなる金属微粒子を挙げることができる。
前記熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂、およびポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種により構成される。
本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体は、熱線遮蔽微粒子と熱可塑性樹脂を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体と、該熱線遮蔽透明樹脂成形体の少なくとも一方の表面に形成された、可視光透過性を有するバリア膜とを備えることにより、優れたバリア性、耐傷つき性、および放熱性を備え、長期間外気に触れたり、湿度が高い場所に設置されたりした場合でも、熱線遮蔽微粒子の変質劣化が抑制され、熱線遮蔽性能を長期間にわたって維持および確保できるとともに、熱線遮蔽透明樹脂成形体が傷つくことが防止され、かつ、吸収した熱の放熱性が改善されるため、本発明により、熱線遮蔽透明樹脂成形体の用途の拡大が図られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されることはない。
本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体は、熱線遮蔽微粒子および熱可塑性樹脂を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体と、該熱線遮蔽透明樹脂成形体の少なくとも一方の表面に形成された、可視光透過性を有するバリア膜と、を備える。
本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体は、可視光透過性が高く、熱線遮蔽性に優れた熱線遮蔽透明樹脂成形体を具備しており、高い可視光透過性および熱線遮蔽性を備えながら、優れたバリア性、耐傷つき性、および放熱性を有している限り、その形状に特に制限はなく、たとえば、板状成形体として、自動車、電車などの車両や建築物の窓、ドアなどの開口部に用いることができる。さらに、必要に応じて任意の形状に成形可能であり、平面状および曲面状に成形して用いることが可能である。また、熱線遮蔽透明樹脂積層体の厚さは、板状、シート状からフィルム状まで必要に応じて任意の厚さに調整することが可能である。さらに平面状に形成した板状の熱線遮蔽透明樹脂積層体は、後加工によって球面状などの任意の形状に成形することも可能である。
1.熱線遮蔽透明樹脂積層体
本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体は、熱線遮蔽微粒子と熱可塑性樹脂を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体の少なくとも一方の表面に、可視光透過性を有するバリア膜が形成されている。このバリア膜は、PVD法(物理蒸着法)あるいはCVD法(化学蒸着法)で形成される。
JIS R 3106に基づく、熱線遮蔽透明樹脂積層体の、波長400nmから波長800nmの光透過率は、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。このようは光透過率を維持することにより、熱線遮蔽透明樹脂成形体の有する高い可視光透過率が維持される。
特に、JIS K 7126−2に規定のMOCON法に基づいて測定した、熱線遮蔽透明樹脂積層体の酸素透過度が、0.1cm/m/day/atm未満であることが好ましく、0.08cm/m/day/atm未満であることがより好ましく、0.05cm/m/day/atm未満であることがさらに好ましい。なお、酸素透過度は、酸素透過度測定装置などを用いて測定することができる。
また、JIS K 7129Bに規定のMOCON法に基づいて測定した、温度40℃、相対湿度90%における、熱線遮蔽透明樹脂積層体の水蒸気透過度は、0.01g/m/day未満であることが好ましく、0.009g/m/day未満であることがより好ましく、0.008g/m/day未満であることがさらに好ましい。なお、水蒸気透過度は、水蒸気透過度測定装置などを用いて測定することができる。
上記酸素透過度が0.1cm/m/day/atm以上であったり、上記水蒸気透過度が0.01g/m/day以上であったりすると、バリア性が不十分となり、長期間外気に触れたり、湿度が高い場所に設置されると、大気中からの酸素や水分の吸収により、熱線遮蔽微粒子や熱可塑性樹脂が変質劣化する可能性がある。
本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体は、上記したように、熱線遮蔽微粒子と熱可塑性樹脂を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体の少なくとも一方の表面に可視光透過性を有するバリア膜が形成されている。熱線遮蔽透明樹脂成形体の少なくとも一方の表面に、PVD法あるいはCVD法による成膜により、可視光透過性を有するバリア膜を積層することにより、酸素の透過、水蒸気の透過を抑制する効果が得られる。
以下、熱線遮蔽透明樹脂積層体を構成する、熱線遮蔽透明樹脂成形体およびバリア膜について、(1)バリア膜、(2)バリア膜の形成方法、(3)熱線遮蔽透明樹脂成形体、および、(4)熱線遮蔽透明樹脂成形体の製造方法、の順に説明する。
(1)バリア膜
本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体は、樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂板などの板状の熱線遮蔽透明樹脂成形体の少なくとも一方の表面に、可視光透過性を有するバリア膜を備える点に主となる特徴がある。
上記バリア膜は、所定の酸素の透過および水蒸気の透過を抑制する効果を有し、かつ、所定の可視光透過性を備えており、PVD法あるいはCVD法により成膜される薄膜により構成され、酸素の透過および水蒸気の透過を抑制する効果、すなわち、高いガスバリア性を有する、SiO(シリカ)、Al(アルミナ)、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)から選択される少なくとも1種からなることが好ましい。
バリア膜を構成する材料のうち、特にDLCは、バリア膜に対して、高いガスバリア性だけでなく、高い放熱性を持たせることができ、かつ、バリア膜の透明性も確保しやすくなる。
放熱性を有するガスバリア膜としてDLCを用いることにより、放熱性とガスバリア性とを両立できるだけではなく、透明性も確保しやすくなる。DLCは、ダイヤモンドに類似した炭素材料のことをいい、ダイヤモンドとグラファイトとの中間的な結晶構造を持つものである。より具体的には、炭素を主成分としつつ若干の水素を含み、ダイヤモンド結合(SP3結合)とグラファイト結合(SP2結合)の両方の結合が混在しているアモルファス構造をとる。DLCは、所定のガスバリア性と所定の放熱性とを発揮する材料であるほか、電気絶縁性を有する。
バリア膜の放熱性を十分に確保する観点からは、バリア膜の熱伝導率が30W/mK以上であることが好ましく、35W/mK以上であることがより好ましく、40W/mK以上であることがさらに好ましい。熱伝導率は、高ければ高いほど放熱性に優れることになるので好ましいが、DLCの熱伝導率の上限は、通常、ダイヤモンドの熱伝導率である2000W/mK以下となる。
なお、バリア膜の熱伝導率は、光交流法を用いて測定することができる。たとえば、光交流法熱拡散率測定装置(アドバンス理工株式会社製、LaserPIT−1)を用い、熱源にダイオードレーザ、測定環境を大気圧(20℃)として熱伝導率を測定することができる。
DLCを用いてバリア膜に放熱性を付与する場合、バリア膜の熱伝導率は、DLCの組成により制御することができる。具体的には、DLCは、通常、水素を所定量含み、この水素により熱伝導率が30W/mKよりも小さくなる場合がある。このため、バリア膜の熱伝導率を良好に制御するために、水素の含有量を調整することが好ましい。一方で、水素ガスを適量加えた場合、アッシング効果による緻密性を確保しやすくなる利点もあるので、一定程度であれば水素を含有させることも好ましい。
また、本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体を構成するバリア膜には、SiO、Al、DLCなどの主要構成材料に、添加元素を添加した構成のバリア膜も含まれる。特に、DLCを用いてバリア膜に放熱性を付与する場合、バリア膜の熱伝導率は、DLCの組成によるほかに、DLCの主成分である炭素に、所定の添加元素を所定量含有させることによっても制御することが可能である。こうした添加元素としては、たとえば、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、リン(P)、硫黄(S)、および塩素(Cl)を挙げることができる。結合構造が炭素と類似している観点から好ましいのはケイ素である。また、透明性や構造の柔軟性を付与するために、窒素(N)や酸素(O)を添加することも効果的である。バリア膜の緻密性を向上させる観点から好ましいのは、硫黄や塩素である。こうした添加元素の含有量は、0原子%を超えて4.5原子%以下、好ましくは0.1原子%以上2.5原子%以下である。添加元素としてケイ素を用いる場合には、放熱性ガスバリア膜中の炭素とケイ素との原子数比が、C:Si=1000:0〜1000:40(Siを0原子%を超えて4.0原子%以下)となるようにすることが好ましく、C:Si=1000:1〜1000:20(Siを0.1原子%以上2.0原子%以下)となるようにすることがより好ましい。こうした添加元素の含有量は、通常、XPS(X線光電子分光法)により測定することができる。
バリア膜の膜厚は、所定のガスバリア性、および追加的に所定の放熱性を発揮できる限り任意ではあるが、0.1μm〜5μmの範囲であることが好ましく、0.5μm〜2μmの範囲であることがより好ましく、0.5μm〜1μmの範囲であることがさらに好ましい。膜厚が0.1μm未満であると、バリア膜としての所定の特性が発揮できない一方、5μmを超えると、高い透明性の確保が困難となる。
また、DLCを用いたバリア膜の屈折率は、1.4以上2.2以下、好ましくは1.42以上2.1以下、より好ましくは1.44以上2.0以下、さらに好ましくは1.5以上1.7以下である。これにより、放熱性を有するバリア膜として透明性を確保しやすくなり、その結果、透明性の高い熱線遮蔽透明樹脂積層体を得ることができる。また、この範囲の屈折率は、熱線遮蔽透明樹脂成形体の屈折率とほぼ同じであり、該成形体との界面での反射などがなく、可視光透過性および熱線遮蔽機能を落とすことなく、熱線遮蔽透明樹脂成形体に対してバリア性と耐傷つき性を付加することができる。
(2)バリア膜の製造方法
可視光透過性を有するバリア膜は、熱線遮蔽透明樹脂積層体を構成する熱線遮蔽透明樹脂成形体の少なくとも一方の表面に、PVD法あるいはCVD法によって成膜することができる。
すなわち、バリア膜は、大掛かりなハードコート設備を用いることなく、コンパクトなPVD成膜装置(物理蒸着法による成膜装置)、あるいは、CVD成膜装置(化学蒸着法による成膜装置)を用いて成膜可能である。
PVD法は、薄膜を構成する材料をターゲットとして用意し、該ターゲットを熱で気化させる、あるいは、Arイオンで叩き出して成膜する方法である。PVD法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法などが挙げられる。一方、CVD法は、薄膜を構成する原子を含む化合物ガスを原料として導入して、プラズマや熱などで励起し、化学反応を利用して、基材上に薄膜を形成する方法である。CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法などが挙げられる。成膜する薄膜の性能、膜質などに基づいて、いずれかの成膜方法を選択することができる。
SiO膜、およびAl膜を成膜する方法としては、蒸着材料を電子ビームなどで溶解させて気化させる真空蒸着法と、ArイオンでSiO、Alのターゲットから原子を飛び出させシートに堆積させるスパッタリング法がある。スパッタリング法は、成膜時間が長くなる傾向にあるが、膜が緻密になり、かつ、平滑な膜やより密着性の良好な膜を得るのに適している。真空蒸着法は、バリア膜を厚く付けてバリア性を向上させる場合に適している。よって、これらの特徴に応じて、成膜方法は、求める性能とコストを考慮して選択される。
一方、DLC膜については、プラズマCVD法を用いた成膜が適している。プラズマCVD法では、アセチレンガスを化合物ガスとして導入して、プラズマでアセチレンガスを分解することにより、DLC膜が熱線遮蔽透明樹脂成形体の表面に成膜される。プラズマCVD法では、プラズマを用いて化合物ガスを活性化させているので、低温で成膜できるため特に樹脂シートへの成膜に適している。
(3)熱線遮蔽透明樹脂成形体
本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体の基材となる熱線遮蔽透明樹脂成形体は、主として熱線遮蔽微粒子と熱可塑性樹脂を含有している。
熱線遮蔽微粒子の熱可塑性樹脂に対する含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上20質量部未満が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。この範囲よりも熱線遮蔽微粒子の含有量が多いと、熱線遮蔽微粒子同士の凝集が生じ、樹脂中での分散が不十分となり、成形した熱線遮蔽透明樹脂成形体のヘイズ(曇価)が上昇してしまう場合がある。また、熱線遮蔽微粒子含有マスターバッチを熱可塑性樹脂成形材料で希釈および混練する時に希釈ムラが発生する可能性がある。一方、上記範囲よりも熱線遮蔽微粒子の含有量が少ないと、成形する熱線遮蔽透明樹脂成形体の厚みにも依存するが、特に熱線遮蔽透明樹脂成形体が膜厚400μm以下のフィルムである場合には、十分な熱線遮蔽能が得られないことがある。
熱線遮蔽透明樹脂成形体の形状は、必要に応じて任意の形状に成形可能であり、平面状および曲面状に成形することが可能である。また、熱線遮蔽透明樹脂成形体の厚さは、板状、シート状からフィルム状まで必要に応じて任意の厚さに調整することが可能である。さらに平面状に形成した樹脂シートは、後加工によって球面状などの任意の形状に成形することができる。
たとえば、熱線遮蔽透明樹脂成形体をシート状とした場合、樹脂シートの厚さは、特に限定されるものではないが、0.2mm〜5.0mmの範囲が好ましく、0.5mm〜4.0mmの範囲がより好ましい。樹脂シートの厚さが0.2mm未満では、熱線遮蔽効果を上げるために熱線遮蔽微粒子の含有率を高くする必要があり、その結果として、透明樹脂と熱線遮蔽微粒子の溶融および混練時に、熱分解が促進されることがあるため、望ましくない。膜厚が5.0mmを超えるシートは、重さが重くなり、製品が高価となるとともに、その用途も限定的となってしまう。
また、熱線遮蔽透明樹脂成形体をフィルム状とした場合、樹脂フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、10μm〜400μmの範囲が好ましく、20μm〜200μmの範囲がより好ましい。樹脂フィルムの厚さが10μm未満では、実用的な熱線遮蔽特性を発揮するために熱線遮蔽微粒子の含有率を高くする必要があり、その結果として、熱線遮蔽透明樹脂成形体の摩耗強度や耐衝撃性が低下する可能性があるため、望ましくない。膜厚が400μmを超えるフィルムは、加工性およびハンドリング性に劣り、製品が高価となるとともに、その用途も限定的となってしまう。
さらに、熱線遮蔽透明樹脂成形体を板状とした場合、板材の厚さは、特に限定されるものではないが、1mm〜15mmの範囲が好ましい。樹脂板の厚さが1mm未満では、板材としての用途が限定されるし、熱線遮蔽効果を上げるために熱線遮蔽微粒子の含有率を高くする必要があり、その結果として、高価になってしまうため、望ましくない。板材の厚さが15mmを超えると、重さが重くなり、製品が高価となるとともに、その用途も限定的となってしまう。
ただし、本発明の熱線遮蔽透明樹脂成形体の形状は、これらに限られず、用途に応じて、その可視光透過性および熱線遮蔽性を担保できる限り、任意の形状を採ることができる。
(3−1)熱線遮蔽微粒子
熱線遮蔽微粒子には、熱線吸収性能に優れる熱線吸収微粒子と、熱線反射性能に優れる熱線反射微粒子があり、熱線遮蔽透明樹脂積層体の用途に合わせて、適宜選択される。
(a)熱線吸収微粒子
熱線吸収微粒子としては、ATO(アンチモン含有酸化スズ)、ITO(スズ含有酸化インジウム)、タングステン酸化物、複合タングステン酸化物、六ホウ化物の微粒子が例示される。
(a−1)ATO微粒子およびITO微粒子
ATO微粒子およびITO微粒子は、可視光領域で光の吸収や反射がほとんどなく、波長1000nm以上の領域でプラズマ共鳴に由来する反射および吸収が大きい。なお、ATO微粒子およびITO微粒子の透過プロファイルでは、近赤外領域で長波長側に向かうに従って透過率が減少する。後述する六ホウ化物微粒子の透過プロファイルでは、波長1000nm付近に透過率が極小値をとり、それより長波長側では徐々に透過率の上昇を示す。このため、六ホウ化物微粒子とITO微粒子やATO微粒子とを組み合わせて使用することにより、可視光透過率を減少させずに、近赤外領域の熱線を遮蔽することが可能となり、それぞれ単独で使用するよりも熱線遮蔽特性が向上する。
ATO微粒子およびITO微粒子の大きさは、平均粒径で200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがさらに好ましく、40nm〜80nmの範囲であることが特に好ましい。平均粒径が200nmよりも大きくなると、分散液中では微粒子同士の凝集が強くなって微粒子の沈降原因となるうえ、樹脂中では光散乱源となって、たとえば透明性が要求される樹脂シートの場合に、樹脂シートが曇って見えるようになってしまうからである。また、透光性屋根材などでは、透明性よりも不透明な光透過性を要求される用途では、その粒径を大きくして散乱を助長する構成が望ましいが、その粒径が大きすぎると赤外吸収能そのものも減衰するため、このような場合においても、ATO微粒子およびITO微粒子の平均粒径を200nm以下とすることが好ましい。
なお、熱線遮蔽透明樹脂成形体へのITO微粒子やATO微粒子の含有量、熱線遮蔽特性を向上させるために併用する六ホウ化物微粒子の含有量を制御することにより、可視光領域の吸収を自由に制御でき、明るさの調製や、プライバシー保護などへの応用も可能である。
(a−2)タングステン酸化物微粒子および複合タングステン酸化物微粒子
タングステン酸化物微粒子は、一般式:WO(2.45≦X≦2.999)で示される組成を有する。また、複合タングステン酸化物微粒子は、一般式MWO(ただし、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦Y≦0.5、2.2≦Z≦3.0)示される組成、および、六方晶の結晶構造を有する。
タングステン酸化物微粒子および複合タングステン酸化物微粒子は、近赤外線領域、特に波長1000nm付近の光を大きく吸収するため、その透過色調はブル−系の色調となるものが多い。また、タングステン酸化物微粒子および複合タングステン酸化物微粒子の粒子径は、その使用目的に応じて適宜選定される。たとえば、透明性を保持した用途に使用する場合には、その分散粒子径を800nm以下とすることが好ましい。この場合、散乱により光が完全に遮蔽されることがなくなるため、可視光領域の視認性が保持され、同時に効率よく透明性が保持される。特に、可視光領域の透明性を重視する場合は、さらに粒子による散乱を考慮して、タングステン酸化物微粒子および複合タングステン酸化物微粒子の粒子径を選定することが好ましい。
タングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子による散乱の低減を重視するときには、その分散粒子径を200nm以下、好ましくは100nm以下とより小さくすることが好ましい。これにより、幾何学散乱もしくはミ−散乱による波長400nm〜波長780nmの可視光線領域の光の散乱が低減される結果、赤外線遮蔽膜が曇りガラスのようになって鮮明な透明性が得られなくなることが回避される。具体的には、分散粒子径が200nm以下になると、幾何学散乱もしくはミ−散乱が低減し、レイリ−散乱領域となり、このレイリ−散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に反比例して低減するため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し、透明性が向上する。さらに、分散粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。光の散乱を回避する観点からは、分散粒子径が小さい方が好ましく、分散粒子径が1nm以上であれば工業的な製造は容易である。
一般式:WO(2.45≦X≦2.999)で示される組成のタングステン酸化物微粒子としては、W1849、W2058、W11などを挙げることができる。Xの値が2.45以上であれば、赤外線遮蔽材料中に目的外であるWOの結晶相が現れるのを完全に回避することができるとともに、材料の化学的安定性を得ることができる。一方、Xの値が2.999以下であれば、十分な量の自由電子が生成され、効率よい赤外線遮蔽材料となるが、2.95以下であれば赤外線遮蔽材料としてさらに好ましい。Xの範囲が2.45≦X≦2.999であるようなWO化合物は、いわゆるマグネリ相と呼ばれる化合物に含まれる。
また、一般式:MWO(ただし、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦Y≦0.5、2.2≦Z≦3.0)で示される組成を有し、かつ、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子としては、M元素が、特に、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cuのうちの1種以上を含むような複合タングステン酸化物微粒子が挙げられる。添加元素Mの添加量は、原子比で0.1以上0.5以下が好ましく、さらに原子比で0.33付近(およそ原子比0.30〜0.35の範囲)が好ましい。これは六方晶の結晶構造から理論的に算出される原子比の値が0.33であり、この前後の添加量で好ましい光学特性が得られるからである。また、Zの範囲については、2.2≦Z≦3.0が好ましい。これは、MWOで表記される複合タングステン酸化物材料においても、WOで表記されるタングステン酸化物材料と同様の機構が働くのに加え、Z≦3.0においても、M元素の添加による自由電子の供給があるためである。なお、光学特性の観点からは、Zの範囲は、2.2≦Z≦2.99であることがより好ましく、2.45≦Z≦2.99であることがさらに好ましい。
ここで、複合タングステン酸化物材料の典型的な例としては、Cs0.33WO(CWO:セシウム酸化タングステン)、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WOなどを挙げることができるが、Y、Zが上記の範囲に収まるものであれば、有用な熱線遮蔽特性を得ることができる。
なお、タングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alの1種以上を含有する酸化物で被覆されていることは、耐候性向上の観点から好ましい。
また、所望とする熱線遮蔽用樹脂成形体を得るには、タングステン酸化物微粒子、および/または、複合タングステン酸化物微粒子の粉体色が、国際照明委員会(CIE)が推奨しているL表色系(JISZ8729)における粉体色において、Lが25〜80、aが−10〜10、bが−15〜15である条件を満たすことが望ましい。
さらに、熱線吸収微粒子として、タングステン酸化物微粒子、および/または、複合タングステン酸化物微粒子を用いる場合、これらに加えて、Sb、V、Nb、Ta、Zr、F、Zn、Al、Ti、Pb、Ga、Re、Ru、P、Ge、In、Sn、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Tb、Lu、Sr、Caからなる群から選ばれる少なくとも2種以上の元素からなる酸化物微粒子、複合酸化物微粒子、ホウ化物微粒子から選ばれた少なくとも1種の微粒子をさらに含ませることもできる。
タングステン酸化物微粒子、および/または、複合タングステン酸化物微粒子と、上記の微粒子の混合物において、その混合割合が、質量比で95:5〜5:95の範囲に設定されたものも熱線遮蔽機能を有する微粒子として好ましい。
タングステン酸化物微粒子、および/または、複合タングステン酸化物微粒子の混合割合が、5:95以上であれば十分な熱線遮蔽機能を期待することができる。一方、タングステン酸化物微粒子、および/または、複合タングステン酸化物微粒子の混合割合が、95:5以下であれば、タングステン酸化物微粒子、および/または、複合タングステン酸化物微粒子の使用量を削減することができコスト削減効果が期待できる。
(a−3)六ホウ化物微粒子
六ホウ化物微粒子は、一般式がXBで表されるものである。ここで、元素Xは、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、およびCaから選択される少なくとも1種以上であることが好ましい。具体的には、六ホウ化ランタン(LaB)、六ホウ化セリウム(CeB)、六ホウ化プラセオジム(PrB)、六ホウ化ネオジム(NdB)、六ホウ化ガドリニウム(GdB)、六ホウ化テルビウム(TbB)、六ホウ化ディスプロシウム(DyB)、六ホウ化ホルミウム(HoB)、六ホウ化イットリウム(YB)、六ホウ化サマリウム(SmB)、六ホウ化ユーロピウム(EuB)、六ホウ化エルビウム(ErB)、六ホウ化ツリウム(TmB)、六ホウ化イッテルビウム(YbB)、六ホウ化ルテチウム(LuB)、六ホウ化ランタンセリウム((La,Ce)B)、六ホウ化ストロンチウム(SrB)、六ホウ化カルシウム(CaB)などがその代表的なものとして挙げられる。
六ホウ化物微粒子の大きさは、ATO微粒子およびITO微粒子と同様の理由から、平均粒径で200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがさらに好ましく、40nm〜80nmの範囲であることが特に好ましい。平均粒径が200nmよりも大きくなると、分散液中では微粒子同士の凝集が強くなって微粒子の沈降原因となるうえ、樹脂中では光散乱源となって、たとえば透明性が要求される樹脂シートの場合に、樹脂シートが曇って見えるようになってしまうからである。
六ホウ化物微粒子としては、その表面が酸化していないことが好ましいが、通常はわずかに酸化していることが多く、また、微粒子の分散工程で表面の酸化が起こることはある程度避けられない。しかし、その場合でも、熱線遮蔽効果を発現する有効性に変わりはなく、したがって、表面が酸化された六ホウ化物微粒子も使用することは可能である。
また、六ホウ化物微粒子は、結晶としての完全性が高いほど、大きい熱線遮蔽効果が得られるが、結晶性が低く、X線回折でブロードな回折ピークを生じるようなものであっても、微粒子内部の基本的な結合がそれぞれの金属とホウ素の結合から成り立っているものであるならば、熱線遮蔽効果を発現するため、そのような六ホウ化物微粒子も本発明において適用することが可能である。
六ホウ化物微粒子は、灰黒色、茶黒色、緑黒色など有色の粉末であるが、粒径を可視光波長に比べて十分小さくして、アクリル樹脂などの熱線遮蔽透明樹脂成形体材料中に分散させた状態とすれば、得られる熱線遮蔽透明樹脂成形体に可視光透過性を生じさせられるが、赤外光遮蔽能は十分保持できる。この理由は詳細には解明されていないが、六ホウ化物微粒子中の自由電子の量が多く、微粒子内部および表面の自由電子によるバンド間間接遷移の吸収エネルギーが可視から近赤外の付近にあるため、この波長領域の熱線が選択的に反射および吸収されることによるものと考えられる。
(a−4)熱線吸収微粒子の含有量
熱線遮蔽性能は、熱線遮蔽透明樹脂成形体の単位面積当たりの熱線遮蔽成分の含有量で決まってくるため、成形体単位面積当たりに熱線遮蔽成分の所定量が分散されていれば、成形体厚さに関係なく当該熱線遮蔽成分の含有量に見合った所望の熱線遮蔽性能を示す。そこで、熱線遮蔽成分の樹脂に対する含有量は、求められる光学特性や成形体の機械特性などに応じて定めることが好ましい。熱線遮蔽特性を満足する単位面積当りの熱線遮蔽成分含有量であっても、成形体が薄くなってくると単位体積当りの含有量が多くなり、樹脂シートの摩耗強度や耐衝撃性が低下する。また、成形体表面に熱線遮蔽成分の浮き出しが生じ、外観を損ねる可能性がある。従って、成形体が薄い場合、上記不都合が生じないように、熱線遮蔽成分の含有量を調整する必要がある。
上記条件を満足させることを前提として、熱線遮蔽微粒子と熱可塑性樹脂を含有している熱線遮蔽透明樹脂成形体における、熱線遮蔽微粒子の熱可塑性樹脂に対する含有量を選定する必要がある。
(b)熱線反射微粒子:金属微粒子
熱線反射微粒子としては、Au、Ag、Pd、Cu、Ni、Alから選ばれる1種以上の金属微粒子が挙げられる。好ましくは、Au、Ag、Pd、Cu、Niから選ばれる1種以上、より好ましくは、Ag、Pdから選ばれる1種以上、さらに好ましくは、Agの金属微粒子が用いられる。これらの金属を単独で用いても、2種以上組み合わせて使用してもよい。また、これらの金属を含む合金を用いることもできる。
熱線反射微粒子としての最適な元素であるAg微粒子を用いる場合、熱線遮蔽透明樹脂成形体中における、全金属微粒子中に含まれる銀微粒子の含有割合は、30質量%以上であることが好ましく、特に50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。なお、赤外線反射率を高めるには、金属微粒子がすべて銀微粒子であることが好ましい。銀微粒子の含有量が少なすぎると、日射反射率が低下し、熱線遮蔽性が不十分となる場合がある。また、同時に、可視領域における透過光が過度に着色してしまい、可視光吸収率の増加を招くおそれがある。
熱線反射微粒子の平均粒径は、1〜100nmであることが好ましい。熱線反射微粒子が1nm未満の微粒子の製造は困難であり、一方、熱線反射微粒子が100nmよりも大きいと、透明性の低下や可視光反射率の増加に起因する金属光沢感、いわゆる「ぎらつき」の増加が問題となる。
熱線遮蔽微粒子として熱線反射微粒子を用いる場合、熱線反射微粒子を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体としては、樹脂フィルムを用いることが好ましく、その厚さは、好ましくは5μm以上100μm以下であり、より好ましくは15μm以上70μm以下である。熱線反射微粒子を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体の厚さが薄過ぎると、十分な熱線遮蔽性が得られないばかりでなく、膜欠陥が生じやすくなり、耐久性が劣る可能性がある。一方、熱線反射微粒子を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体の厚さが厚過ぎると、透明性の低下や可視光反射率の増加に起因する金属光沢感、いわゆる「ぎらつき」の増加が問題となる。
熱線反射微粒子を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体においては、プラズマ振動という物理現象に基づいた反射メカニズムを用いている。そのため、熱線遮蔽透明樹脂成形体中で、金属微粒子が導電パスを形成し、プラズマ振動により光を反射させる多孔構造となっていることが好ましい。このような多孔構造においては、その導電パスの形成を適度にコントロールすることにより、自由電子の動きを抑制することで、プラズマ振動を抑制し、可視光領域の光を透過させ、近赤外領域を強く反射させる特性が発現するものと考えられている。
熱線遮蔽透明樹脂成形体中全体が、金属微粒子で緻密に充填され、金属微粒子の連結がさらに密になった場合には、表面抵抗率が小さくなり、電導度が上昇し、可視域から赤外域にわたって反射率が高くなるため、ぎらつきが増加するとともに、透明性が低下することになる。
(3−2)熱可塑性樹脂
熱線遮蔽透明樹脂成形体に用いる熱可塑性樹脂としては、可視光領域の光線透過率が高い透明な熱可塑性樹脂であれば特に制限はなく、たとえば、厚さ3mmの板状成形体とした場合における、JIS R 3106に基づく可視光透過率が50%以上で、JIS K 7105に基づくヘイズが30%以下のものが挙げられる。具体的には、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂、およびポリエステル樹脂などを挙げることができる。
熱線遮蔽透明樹脂積層体を建築物や車両の窓材などの用途に適用することを目的とした場合、透明性、耐衝撃性、耐侯性などを考慮すると、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素系樹脂がより好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネートが好ましい。芳香族ポリカーボネートとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンに代表される二価のフェノール系化合物の1種以上と、ホスゲンまたはジフェニルカーボネートなどで代表されるカーボネート前駆体とから、界面重合、溶融重合、固相重合などの公知の方法によって得られる重合体が挙げられる。
また、アクリル樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレートを主原料とし、必要に応じて、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを共重合成分として用いた重合体または共重合体が挙げられる。さらに、多段で重合したアクリル樹脂を用いることもできる。
フッ素系樹脂としては、ポリフッ化エチレン、ポリ2フッ化エチレン、ポリ4フッ化エチレン、エチレン−2フッ化エチレン共重合体、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体などが挙げられる。
このような熱可塑性樹脂は、熱線遮蔽微粒子以外に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、染料、顔料、フィラーなどを含むことができる。
さらに、熱線遮蔽透明樹脂成形体の表面に、公知の熱硬化あるいは活性エネルギー線によって硬化したハードコート層を積層することもできる。
(4)熱線遮蔽透明樹脂成形体の製造方法
次に、主として熱線遮蔽微粒子と熱可塑性樹脂を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体の製造方法を説明する。
上記熱線遮蔽微粒子と、所望により適量の分散剤、カップリング剤、界面活性剤等を、溶媒に添加し分散処理を行うことで、本発明に係る熱線遮蔽微粒子分散液を得ることができる。当該熱線遮蔽微粒子分散液の溶媒には、熱線遮蔽微粒子の分散性を保つための機能と、熱線遮蔽微粒子分散液を用いて成形体を形成する際に欠陥を生じさせない機能が要求される。
溶媒としては、水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、液状のプラスチック用可塑剤あるいはこれらの混合物を選択し熱線遮蔽分散液を製造することができる。上記の要求を満たす有機溶媒としては、アルコール系、ケトン系、炭化水素系、グリコール系、水系など、種々のものを選択することが可能である。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロンなどのケトン系溶剤;3−メチル−メトキシ−プロピオネートなどのエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのグリコール誘導体;フォルムアミド、N−メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;エチレンクロライド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。これらの中でも極性の低い有機溶剤が好ましく、特に、イソプロピルアルコール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n−ブチルなどがより好ましい。これらの溶媒は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
液状樹脂としては、メタクリル酸メチルなどが好ましい。液状のプラスチック用可塑剤としては、一価アルコールと有機酸エステルとの化合物である可塑剤や、多価アルコール有機酸エステル化合物などのエステル系である可塑剤、有機リン酸系可塑剤などのリン酸系である可塑剤などが好ましい例として挙げられる。これらのなかでも、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサオネート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルヘキサオネートは、加水分解性が低いため、さらに好ましい。
分散剤、カップリング剤、界面活性剤は用途に合わせて選定可能であるが、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、または、エポキシ基を官能基として有することが好ましい。これらの官能基は、熱線遮蔽微粒子の表面に吸着し、熱線遮蔽微粒子の凝集を防ぎ、熱線遮蔽透明樹脂成形体中でも該熱線遮蔽微粒子を均一に分散させる機能を有する。
好適に用いることのできる分散剤としては、リン酸エステル化合物、高分子系分散剤、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などがあるが、これらに限定されるものではない。高分子系分散剤としては、アクリル系高分子分散剤、ウレタン系高分子分散剤、アクリル・ブロックコポリマー系高分子分散剤、ポリエーテル類分散剤、ポリエステル系高分子分散剤などが挙げられる。
分散剤の添加量は、熱線遮蔽微粒子100質量部に対し10質量部〜1000質量部の範囲であることが望ましく、より好ましくは20質量部〜200質量部の範囲である。分散剤添加量がこの範囲にあれば、熱線遮蔽微粒子が液中で凝集を起こすことがなく、分散安定性が保たれる。
熱線遮蔽微粒子分散液の作製方法は、熱線遮蔽微粒子が均一に樹脂に分散する方法であれば、任意に選択される。たとえば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの手段を用いて、調製した熱線遮蔽微粒子と適宜選択された分散剤等とを任意の溶剤に混合および分散させて、熱線遮蔽微粒子分散液を調製する。
次に、熱線遮蔽微粒子分散液と、熱可塑性樹脂の粉粒体またはペレットと、必要に応じて、その他の添加剤とを、リボンブレンダ、タンブラ、ナウターミキサ、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、プラネタリーミキサなどの混合機、あるいは、バンバリーミキサ、ニーダ、ロール、ニーダルーダ、一軸押出機、二軸押出機などの混練機を用いて、溶剤を除去しながら、均一に溶融混合することにより、熱可塑性樹脂に熱線遮蔽微粒子が均一に分散した混合物を調製することができる。
あるいは、熱線遮蔽微粒子分散液の溶剤を公知の手段で除去して得られた粉末と、熱可塑性樹脂の粉粒体またはペレットと、必要に応じて他の添加剤とを、同様の手段を用いて、均一に溶融混合することにより、熱可塑性樹脂に熱線遮蔽微粒子が均一に分散した混合物を調整することもできる。
そのほか、分散処理をしていない熱線遮蔽微粒子を熱可塑性樹脂に直接添加し、均一に溶融混合することも可能である。したがって、熱可塑性樹脂に熱線遮蔽微粒子が均一に分散される限り、これらの手段に限定されず、その他の公知の任意の手段を用いることもできる。
このようにして得られた混合物を、ベント式一軸もしくは二軸の押出機で混練し、ペレット状に加工することにより、熱線遮蔽微粒子含有マスターバッチを得ることができる。
ペレット状の熱線遮蔽微粒子含有マスターバッチは、最も一般的な溶融押出されたストランドをカットする方法により得ることができる。したがって、その形状としては、円柱状や角柱状を挙げることができる。また、溶融押出物を直接カットするいわゆるホットカット法を採ることも可能である。この場合、マスターバッチは、一般的には球状に近い形状となる。
得られた熱線遮蔽微粒子成分含有マスターバッチは、いずれの形態、または形状を採り得るものであるが、熱線遮蔽透明樹脂成形体を成形するときに、熱線遮蔽微粒子含有マスターバッチの希釈に使用される熱可塑性樹脂材料と同一の形態および形状であることが好ましい。
また、熱線遮蔽微粒子含有マスターバッチには、一般的な添加剤を配合することも可能である。たとえば、必要に応じて任意の色調を与えるため、アゾ系染料、シアニン系染料、キノリン系、ペリレン系染料、カーボンブラックなど、一般的に熱可塑性樹脂の着色に利用されている染料、顔料のほか、ヒンダードフェノール系、リン系などの安定剤、離型剤、ヒドロキシベンゾフェノン系、サリチル酸系、HALS系、トリアゾール系、トリアジン系などの紫外線吸収剤、カップリング剤、界面活性剤、帯電防止剤などを、これらの有効発現量で配合したものを添加剤として使用することができる。
熱線遮蔽透明樹脂成形体は、熱線遮蔽微粒子含有マスターバッチを同種の熱可塑性樹脂材料あるいはマスターバッチを構成する熱可塑性樹脂と相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂材料で希釈および混練し、所定の形状に成形することによって得られる。
熱線遮蔽透明樹脂成形体の成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、回転成形などの任意の手段を挙げることができる。特に、射出成形により成形体を得る方法と、押出成形により成形体を得る方法が好適に採用される。押出成形によりシート状あるいはフィルム状の成形体を得る方法として、Tダイなどの押出機を用いて押出した溶融熱可塑性樹脂を、冷却ロールで冷却しながら引き取る方法がある。射出成形体は、自動車の窓ガラスやルーフなどの車体に好適に適用され、また、押出成形により得られたシート状あるいはフィルム状の成形体は、アーケードやカーポートなどの建造物に好適に使用される。
熱線遮蔽透明樹脂成形体の表面に、本発明のバリア膜を積層することにより、熱線遮蔽透明樹脂積層体が得られる。熱線遮蔽透明樹脂積層体の形状は、上述のように、必要に応じて任意の形状に、たとえば、平面状あるいは曲面状に成形することが可能である。また、熱線遮蔽透明樹脂積層体の厚さは、板状、シート状からフィルム状まで必要に応じて任意の厚さに調整することが可能である。
本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体は、窓ガラス、アーケードなどの構造材に使用することができるほか、熱線遮蔽透明樹脂積層体を無機ガラス、樹脂ガラス、樹脂フィルムなどの他の透明成形体に任意の方法で積層し、一体化した熱線遮蔽透明積層成形体として、構造材に使用することもできる。たとえば、本発明のフィルム状の熱線遮蔽透明樹脂積層体を、無機ガラスに熱ラミネート法により積層一体化することで、熱線遮蔽機能、飛散防止機能を有する熱線遮蔽透明積層成形体を得ることができる。この熱線遮蔽透明積層成形体は、本発明の熱線遮蔽透明樹脂積層体の有する利点と、積層する成形体の有する利点とを有効に発揮させつつ、相互の欠点を補完することで、より有用な構造材として使用することができる。
(実施例1)
熱可塑性樹脂としてのポリカーボネート(PC)樹脂に、ATO微粒子(平均粒径:55nm)を分散混合およびカットすることにより得たマスターバッチを用いて、熱線遮蔽透明樹脂成形体(厚さ50μm、サイズ20cm角)を作製した。この熱線遮蔽透明樹脂成形体を、スパッタリング装置(芝浦メカトロニクス株式会社製、CFS−4ES)にセットし、この成形体上に、バリア膜(SiO膜)を成膜して、熱線遮蔽透明樹脂積層体を作製した。
具体的には、ターゲットに、Si99.9%の3インチ径の円板状ターゲットを用い、到達真空度を6.5×10−3Paとし、RF(高周波)出力を200Wとし、かつ、反応ガスとして、アルゴンガス:15sccm、および、酸素ガス:20sccmを混合して導入することにより、15分間成膜して、膜厚0.5μmのSiO膜を熱線遮蔽透明樹脂成形体に積層した。
得られた熱線遮蔽透明樹脂積層体を、温度40℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽に96時間暴露し、耐候性試験を行ったところ、その質量変化はなかった。
また、熱線遮蔽透明樹脂積層体について、酸素透過度測定装置(MOCON社製、OX−TRAN2/21)を用いて、JIS K 7126−2に規定のMOCON法に基づき、酸素透過度を測定したところ、酸素透過度は5.5×10−2cm/m/day/atmであり、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製、PERMATRAN−W3/31)を用いて、JIS K 7129Bに規定のMOCON法に基づき、温度40℃、相対湿度90%の条件で、水蒸気透過度を測定したところ、水蒸気透過度は、8.6×10−3g/m/dayであった。
(実施例2)
熱可塑性樹脂としてのPET樹脂に、ITO微粒子(平均粒径:80nm)を分散混合およびカットすることにより得たマスターバッチを用いて、熱線遮蔽透明樹脂成形体(厚さ100μm、サイズ20cm角)を作製した。この熱線遮蔽透明樹脂成形体を、スパッタリング装置(芝浦メカトロニクス株式会社製、CFS−4ES)にセットし、この成形体上に、バリア膜(Al膜)を成膜して、熱線遮蔽透明樹脂積層体を作製した。
具体的には、ターゲットに、Al99.9%の3インチ径の円板状ターゲットを用い、到達真空度を4.5×10−3Paとし、RF出力を200Wとし、かつ、反応ガスとして、アルゴンガス:15sccm、酸素ガス:20sccmを混合して導入することにより、17分成膜して、膜厚0.6μmのAl膜を積層した。
得られた熱線遮蔽透明樹脂積層体を、温度40℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽に96時間暴露し耐候性試験を行ったところ、質量変化はなかった。
また、熱線遮蔽透明樹脂積層体について、同様に酸素透過度を測定したところ、酸素透過度は、3.4×10−2cm/m/day/atmであり、同様に水蒸気透過度を測定したところ、水蒸気透過度は、7.4×10−3g/m/dayであった。
(実施例3)
熱可塑性樹脂としてのポリカーボネート(PC)樹脂に、ATO微粒子(平均粒径:60nm)を分散混合およびカットすることにより得たマスターバッチを用いて、熱線遮蔽透明樹脂成形体(厚さ50μm、サイズ20cm角)を作製した。この熱線遮蔽透明樹脂成形体を、プラズマCVD装置(サムコ株式会社製、PD−100D)にセットし、この成形体上に、バリア膜(DLC膜)を成膜して、熱線遮蔽透明樹脂積層体を作製した。
具体的には、真空度を2×10−2Paとし、アセチレンガスを10L/minで導入し、13.56MHzの高周波を印加し、励起してイオン化し、成膜レートを630nm/minとして、膜厚0.5μmのDLC膜を成膜および積層した。
DLC膜の膜硬度は、ビッカース硬度で2100Hvであった。膜硬度測定は、樹脂フィルムなどの基板上に形成されたDLC膜は、下地基板の変形により正確に硬度測定できないため、同時にシリコン基板上に成膜したDLC膜について測定した。
また、DLC膜について、レーザフラッシュ法熱定数測定装置(アドバンス理工株式会社製、TC−9000)により、熱伝導率を測定したところ、熱伝導率は、0.002W/mKであった。
得られた熱線遮蔽透明樹脂積層体を、温度40℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽に96時間暴露し耐候性試験を行ったところ、質量変化はなかった。
また、熱線遮蔽透明樹脂積層体について、同様に酸素透過度を測定したところ、酸素透過度は、1.8×10−2cm/m/day/atmであり、同様に水蒸気透過度を測定したところ、水蒸気透過度は、4.4×10−3g/m/dayであった。
(実施例4)
熱可塑性樹脂としてのポリカーボネート(PC)樹脂に、Cs0.33WO(CWO)微粒子(分散粒子径:80nm)を分散混合およびカットすることにより得たマスターバッチを用いて、熱線遮蔽透明樹脂成形体(厚さ50μm、サイズ20cm角)を作製した。この熱線遮蔽透明樹脂成形体を、プラズマCVD装置(サムコ株式会社製、PD−100D)にセットし、この成形体上に、バリア膜(DLC膜)を成膜して、熱線遮蔽透明樹脂積層体を作製した。
具体的には、真空度を2×10−2Paとし、アセチレンガスを10L/minで導入し、13.56MHzの高周波を印加し、励起してイオン化し、成膜レートを600nm/minとして、膜厚0.8μmのDLC膜を成膜および積層した。
DLC膜の膜硬度および熱伝導率を、実施例3と同様にして、測定した。DLC膜の膜硬度は、ビッカース硬度で2200Hvであった。また、DLC膜の熱伝導率は、0.0015W/mKであった。
得られた熱線遮蔽透明樹脂積層体を、温度40℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽に96時間暴露し耐候性試験を行ったところ、質量変化はなかった。
また、熱線遮蔽透明樹脂積層体について、同様に酸素透過度を測定したところ、酸素透過度は、1.6×10−2cm/m/day/atmであり、同様に水蒸気透過度を測定したところ、水蒸気透過度は、4.0×10−3g/m/dayであった。
(比較例1)
実施例1で用いた熱線遮蔽透明樹脂成形体にバリア層を積層することなく、この成形体に対して、実施例1と同様の評価を行った。
得られた熱線遮蔽透明樹脂成形体を、温度40℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽に96時間暴露し耐候性試験を行ったところ、成形体に2%の質量変化があった。
また、熱線遮蔽透明樹脂成形体について、同様に酸素透過度を測定したところ、酸素透過度は、2.5cm/m/day/atmであり、同様に水蒸気透過度を測定したところ、水蒸気透過度は、15g/m/dayであった。
Figure 2018118463

Claims (6)

  1. 熱線遮蔽微粒子および熱可塑性樹脂を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体と、
    該熱線遮蔽透明樹脂成形体の少なくとも一方の表面に形成された、可視光透過性を有するバリア膜と、を備え、
    JIS R 3106に基づく、波長400nmから波長800nmの光透過率が70%以上であり、JIS K 7126−2に規定のMOCON法に基づいて測定した酸素透過度は、0.1cm/m/day/atm未満であり、
    かつ、JIS K 7129Bに規定のMOCON法に基づいて測定した、温度40℃、相対湿度90%における水蒸気透過度は、0.01g/m/day未満であることを特徴とする、
    熱線遮蔽透明樹脂積層体。
  2. 熱線遮蔽微粒子および熱可塑性樹脂を含有する熱線遮蔽透明樹脂成形体と、
    該熱線遮蔽透明樹脂成形体の少なくとも一方の表面に形成された、可視光透過性を有するバリア膜と、を備え、
    前記バリア膜が、SiO、Al、ダイヤモンドライクカーボンから選択される少なくとも1種からなり、かつ、膜厚が0.1μm〜5μmの範囲にある、
    熱線遮蔽透明樹脂積層体。
  3. 前記熱線遮蔽微粒子が、熱線吸収微粒子および熱線反射微粒子から選択される少なくとも1種により構成される、請求項1または2に記載の熱線遮蔽透明樹脂積層体。
  4. 前記熱線吸収微粒子が、アンチモン含有酸化スズ、スズ含有酸化インジウム、タングステン酸化物、複合タングステン酸化物、六ホウ化物から選ばれる1種以上からなる微粒子である、請求項3に記載の熱線遮蔽透明樹脂積層体。
  5. 前記熱線反射微粒子が、Au、Ag、Pd、Cu、Ni、Alから選ばれる1種以上からなる金属微粒子である、請求項3に記載の熱線遮蔽透明樹脂積層体。
  6. 前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂、およびポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種である、請求項1〜5にいずれかに記載の熱線遮蔽透明樹脂積層体。
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