JP2018117614A - 試験試料が植物病原性真菌を含有するかどうかを判定する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(a) セルロースフィルムの表側の面に、前記試験試料を配置する工程、
ここで、前記セルロースフィルムは、0.5マイクロメートル以上、2マイクロメートル以下の厚みを有しており、
前記セルロースフィルムは、貫通孔を有しておらず、
(b) 工程(a)の後、前記試験試料を所定時間、静置する工程、
(c) 工程(b)の後、前記フィルムの裏面を観察する工程、および
(d) 工程(c)において前記セルロースフィルムを貫通した真菌が前記フィルムの裏面に見いだされた場合には、前記試験試料は、Gibberella fujikuroi、Fusarium avenaceum、およびGlomerella tucumanensisからなる群から選択される少なくとも1つの前記植物病原性真菌を含有すると判定する工程。
工程(a)では、0.5マイクロメートル以上2マイクロメートル以下の厚みを有するセルロースフィルムの表側の面に試験試料が配置される。セルロースフィルムの厚みの重要性は、後述される。
工程(b)では、工程(a)の後、試験試料200が所定の培養時間、静置される。培養時間の例は、24時間である。以下、セルロースフィルム104の厚みの重要性が以下、説明される。
条件(I) セルロースフィルム104が、0.5マイクロメートル以上、2マイクロメートル以下の厚みを有すること。
工程(c)では、工程(b)の後、セルロースフィルム104の裏面104bが観察される。光学顕微鏡を用いて裏面104bが観察されることが望ましい。
工程(d)では、工程(c)においてセルロースフィルム104の裏面104bに真菌が見いだされた場合には、試験試料は、Gibberella fujikuroi、Fusarium avenaceum、およびGlomerella tucumanensisからなる群から選択される少なくとも1つの植物病原性真菌を含有すると判定される。言うまでもないが、工程(c)においてセルロースフィルム104の裏面104bに真菌が見いだされなかった場合には、試験試料は、Gibberella fujikuroi、Fusarium avenaceum、およびGlomerella tucumanensisからなる群から選択される少なくとも1つの植物病原性真菌を含有しないと判定される。
以下の実施例を参照しながら、本発明がさらにより詳細に説明される。
(Gibberella fujikuroiの培養)
植物病原性真菌の一種であるGibberella fujikuroiが、ポテトデキストロース寒天培地に接種された。次いで、培地は摂氏25度の温度下で1週間静置された。Gibberella fujikuroiは国立遺伝学研究所(静岡県三島市)より与えられた。
第2容器300に、650マイクロリットルのポテトデキストロース培地が液体の培地302として添加された。このようにして、液体の培地302を含む第2容器300が用意された。
実験例1は、実施例1A〜実施例1D、比較例1E〜比較例1Z、および比較例1AA〜比較例1ABからなる。
図1に示される第1容器100が以下のように用意された。
実施例1Bでは、各貫通孔172が5マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。5マイクロメートルの直径を有する貫通孔を具備する裏面を有する容器は、ミリポア社より、商品名:Millicell PIMP 12R 48として入手した。
実施例1Cでは、各貫通孔172が8マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。8マイクロメートルの直径を有する貫通孔を具備する裏面を有する容器は、ミリポア社より、商品名:Millicell PIEP 12R 48として入手した。
実施例1Dでは、セルロース溶液が1.0%の濃度を有していたこと、セルロースフィルム104が、0.5マイクロメートルの厚みを有していたこと、および各貫通孔172が3マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。
実施例1Eでは、セルロースフィルム104が、0.5マイクロメートルの厚みを有していたこと、および各貫通孔172が5マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。
実施例1Fでは、セルロースフィルム104が、0.5マイクロメートルの厚みを有していたこと、および各貫通孔172が8マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。
比較例1Gでは、セルロースフィルム104が、4.4マイクロメートルの厚みを有していた(すなわち、セルロール溶液は、4.0%の濃度を有していた)こと、および各貫通孔172が1マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。
比較例1Hでは、セルロースフィルム104が、4.4マイクロメートルの厚みを有していた(すなわち、セルロール溶液は、4.0%の濃度を有していた)こと、および各貫通孔172が3マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。
比較例1Iでは、セルロースフィルム104が、4.4マイクロメートルの厚みを有していた(すなわち、セルロール溶液は、4.0%の濃度を有していた)こと、および各貫通孔172が5マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。
比較例1Jでは、セルロースフィルム104が、4.4マイクロメートルの厚みを有していた(すなわち、セルロール溶液は、4.0%の濃度を有していた)こと、および各貫通孔172が8マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。
比較例1Kでは、セルロースフィルム104が、3.7マイクロメートルの厚みを有していた(すなわち、セルロール溶液は、3.0%の濃度を有していた)こと、および各貫通孔172が1マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。
比較例1Lでは、セルロースフィルム104が、3.7マイクロメートルの厚みを有していた(すなわち、セルロール溶液は、3.0%の濃度を有していた)こと、および各貫通孔172が3マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。
比較例1Mでは、セルロースフィルム104が、3.7マイクロメートルの厚みを有していた(すなわち、セルロール溶液は、3.0%の濃度を有していた)こと、および各貫通孔172が5マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。
比較例1Nでは、セルロースフィルム104が、3.7マイクロメートルの厚みを有していた(すなわち、セルロール溶液は、3.0%の濃度を有していた)こと、および各貫通孔172が8マイクロメートルの直径を有していたこと以外は、実施例1Aと同様の実験が行われた。
比較例1O−比較例1Zおよび比較例1AA−比較例1ABでは、以下の表1に示された開示内容に従って、実施例1Aと同様の実験が行われた。
実験例2では、Gibberella fujikuroiの遊走子を含有する植物病原菌水溶液に代えて、Saccharomyces cerevisiaeの遊走子を含有する植物非病原菌水溶液が用いられた。Gibberella fujikuroiとは異なり、Saccharomyces cerevisiaeは、植物非病原菌の1種である。Saccharomyces cerevisiaeの遊走子を含有する植物非病原菌水溶液は、Gibberella fujikuroiの遊走子を含有する植物病原菌水溶液と同様に調製された。実験例2は、比較例2A〜比較例2Zおよび比較例2AA〜比較例2ABからなる。
比較例2A〜比較例2Zおよび比較例2AA〜比較例2ABでは、以下の表2に示された開示内容に従って、実施例1Aと同様の実験が行われた。
実験例3では、Gibberella fujikuroiの遊走子を含有する植物病原菌水溶液に代えて、Fusarium avenaceumの遊走子を含有する植物病原菌水溶液が用いられた。Gibberella fujikuroiと同様、Fusarium avenaceumもまた、植物病原菌の1種である。Fusarium avenaceumの遊走子を含有する植物病原菌水溶液は、Gibberella fujikuroiの遊走子を含有する植物病原菌水溶液と同様に調製された。実験例3は、実施例3A〜実施例3F、比較例3G〜比較例3Z、比較例3AA〜比較例3ABからなる。
実施例3A〜実施例3F、比較例3G〜比較例3Z、比較例3AA〜比較例3ABでは、以下の表3に示された開示内容に従って、実施例1Aと同様の実験が行われた。
実験例4では、Gibberella fujikuroiの遊走子を含有する植物病原菌水溶液に代えて、Glomerella tucumanensisの遊走子を含有する植物病原菌水溶液が用いられた。Gibberella fujikuroiと同様、Glomerella tucumanensisもまた、植物病原菌の1種である。Glomerella tucumanensisの遊走子を含有する植物病原菌水溶液は、Gibberella fujikuroiの遊走子を含有する植物病原菌水溶液と同様に調製された。実験例4は、実施例4A〜実施例4F、比較例4G〜比較例4Z、比較例4AA〜比較例4ABからなる。
実施例4A〜実施例4F、比較例4G〜比較例4Z、比較例4AA〜比較例4ABでは、以下の表4に示された開示内容に従って、実施例1Aと同様の実験が行われた。
実験例5では、Gibberella fujikuroiの遊走子を含有する植物病原菌水溶液に代えて、Penicillium chysogeumの遊走子を含有する植物非病原菌水溶液が用いられた。Gibberella fujikuroiとは異なり、Penicillium chysogeumは、植物非病原菌の1種である。Penicillium chysogeumの遊走子を含有する植物非病原菌水溶液は、Gibberella fujikuroiの遊走子を含有する植物病原菌水溶液と同様に調製された。実験例5は、比較例5A〜比較例5Zおよび比較例5AA〜比較例5ABからなる。
比較例5A〜比較例5Zおよび比較例5AA〜比較例5ABでは、以下の表5に示された開示内容に従って、実施例1Aと同様の実験が行われた。
条件(I) セルロースフィルム104が、0.5マイクロメートル以上、2マイクロメートル以下の厚みを有すること。
102 フランジ
104 セルロースフィルム
104a 表側の面
104b 裏側の面
170 基板
170a 表側の面
170b 裏側の面
200 試験試料
202 植物病原性真菌
202a 植物病原性真菌の一部分
300 第2容器
302 液体の培地
304 固体の培地
402 真菌染色液
500 光源
600 顕微鏡
Claims (16)
- 試験試料が、Gibberella fujikuroi、Fusarium avenaceum、およびGlomerella tucumanensisからなる群から選択される少なくとも1つの植物病原性真菌を含有するかどうかを判定する方法であって、以下の工程:
(a) セルロースフィルムの表側の面に、前記試験試料を配置する工程、
ここで、前記セルロースフィルムは、0.5マイクロメートル以上、2マイクロメートル以下の厚みを有しており、かつ
前記セルロースフィルムは、貫通孔を有しておらず、
(b) 工程(a)の後、前記試験試料を所定時間、静置する工程、
(c) 工程(b)の後、前記フィルムの裏面を観察する工程、および
(d) 工程(c)において前記セルロースフィルムを貫通した真菌が前記フィルムの裏面に見いだされた場合には、前記試験試料は、Gibberella fujikuroi、Fusarium avenaceum、およびGlomerella tucumanensisからなる群から選択される少なくとも1つの前記植物病原性真菌を含有すると判定する工程、
を具備する方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記工程(b)および前記工程(c)の間に、前記セルロースフィルムの裏面を真菌染色液に接触させる工程をさらに具備する、
方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記工程(b)の前に、前記試験試料に培地を供給する工程をさらに具備する、
方法。 - 請求項3に記載の方法であって、
前記培地が液体培地である、
方法。 - 請求項3に記載の方法であって、
前記培地が固体培地である、
方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記工程(b)において、前記セルロースフィルムの裏面を培地に接触させながら、前記試験試料が静置される、
方法。 - 請求項6に記載の方法であって、
前記培地が液体培地である、
方法。 - 請求項6に記載の方法であって、
前記培地が固体培地である、
方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記セルロースフィルムは、前記セルロースフィルムの表側の面および裏側の面の少なくともいずれか一方に設けられた基板によって支持されており、かつ
前記基板は、3マイクロメートルを超える直径を有する貫通孔を具備している、
方法。 - 請求項9に記載の方法であって、
前記貫通孔が、5マイクロメートル以上の直径を有している、
方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記試験試料が固体である、
方法。 - 請求項11に記載の方法であって、
前記固体が、土壌および破砕された植物からなる群から選択される少なくとも1つである、
方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記試験試料が液体である、
方法。 - 請求項13に記載の方法であって、
前記液体が、農業用水、水耕栽培のために用いられた液体、植物を洗浄するために使用した後の液体、植物から抽出された液体、農業資材を洗浄するために使用した後の液体、および衣類または靴を洗浄するために使用した後の液体からなる群から選択される少なくとも1つである、
方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記植物病原性真菌は、植物病原性疫病菌である、
方法。 - 試験試料が、Gibberella fujikuroi、Fusarium avenaceum、およびGlomerella tucumanensisからなる群から選択される少なくとも1つの植物病原性真菌を含有するかどうかを判定する方法であって、以下の工程:
(c) セルロースフィルムの裏面を観察する工程、
ここで、
前記セルロースフィルムの表側の面には、前記試験試料が配置されており、かつ
前記セルロースフィルムは、0.5マイクロメートル以上、2マイクロメートル以下の厚みを有しており、かつ
(d) 工程(c)において前記セルロースフィルムの裏面に前記セルロースフィルムを貫通した真菌が見いだされた場合には、前記試験試料は、Gibberella fujikuroi、Fusarium avenaceum、およびGlomerella tucumanensisからなる群から選択される少なくとも1つの前記植物病原性真菌を含有すると判定する工程、
を具備する方法。
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