JP2018114511A - 金属の塑性加工方法 - Google Patents

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吉秀 榎本
幸嗣 長谷川
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幸嗣 長谷川
健二郎 石田
Kenjiro Ishida
健二郎 石田
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Abstract

【課題】プレス加工後に電磁成形を行う場合に、プレス加工後の被成形体の形状を損なうことなく、電磁成形も確実に行うこと。【解決手段】本発明の金属の塑性加工方法では、被成形体30をプレス加工により得る。さらにプレス加工された被成形体30の表面に対して、被成形体30よりも高い導電率を有する導電性のペースト37を塗布する。さらにペースト37の周囲に磁場を発生させることでペースト37に作用するローレンツ力を利用して、被成形体30を塑性加工する。【選択図】図4

Description

本発明は金属の塑性加工に関し、特にプレス加工と電磁成形方法とを組み合わせた塑性加工に関する。
特許文献1にはアルミニウム材の電磁成形方法が開示されている。係る方法では図1に示すようにアルミニウム材である被成形体21上にクラッド材を積層する。クラッド材22もまたアルミニウム材であるが、被成形体21よりも導電率が高いものが選択される。
さらに図1に示すように、このクラッド材22が電磁成形用のコイル23の側に向くように被成形体21を設置する。コイル23に瞬間的に大電流を発生させることでコイル23の周囲に磁場が発生する。係る磁場はクラッド材22の周囲にも達する。コイル23の磁場によりクラッド材22の内部に誘導電流が生起する。誘導電流によってクラッド材22の周囲にもまた新たな磁場が発生する。
図1においては、コイル23の磁場とクラッド材22の磁場とが反発する方向にそれぞれ生じるため、斥力がクラッド材22に対して作用する。このためクラッド材22及び型26から剪断応力を受けた被成形体21は塑性変形し、成形体24となる。なおこのときクラッド材22も変形するが、変形後のクラッド材の表示は省略されている。
特開2011−073052号公報
発明者らは、プレス加工に電磁成形を組み合わせることで、さらに複雑な形状を被成形体に付与できると考えた。本発明はプレス加工後に電磁成形を行う場合に、プレス加工後の被成形体の形状を損なうことなく、電磁成形も確実に行うことを目的とする。
本発明は金属の塑性加工方法である。係る方法では、被成形体をプレス加工により得る工程と、前記プレス加工された被成形体の表面に対して、前記被成形体よりも高い導電率を有する導電性ペーストを塗布する工程と、前記導電性ペーストの周囲に磁場を発生させることで前記導電性ペーストに作用するローレンツ力を利用して、前記被成形体を塑性加工する工程と、を行う。
本発明により、プレス加工後の被成形体の形状を損なうことなく、電磁成形も確実に行うことができる。
電磁成形の原理図である。 参考例に係る電磁成形の説明図である。 参考例に係る被成形体及び型の断面図である。 実施例に係るプレス加工品の側面図である。 実施例に係る被成形体及び型の断面図である。 電磁成形のCAE解析結果を表すグラフである。 比較例1に係る被成形体の側面図である。 比較例2に係る被成形体の側面図である。
図を用いて実施例に係る電磁成形方法を説明するが、説明の便宜のため、図2〜3にて参考例を用いて電磁成形の原理と具体的態様を示した後、図4〜5を用いて実施例に係る電磁成形の特徴を説明する。図6では参考例と実施例との比較により、実施例の優れた点を説明する。さらに図7及び8に示す比較例を用いて実施例の優れた点を説明する。なお同等の要素には同一の符号を付すことで重複する説明を省略する。
<参考例>
図2に示す電磁成形の説明図において被成形体30は金属からなるプレス加工品である。本実施例では、すでにプレス加工による一次加工が済んでいるとともに、さらに電磁成形による二次加工を受けるべき被成形体を「プレス加工品」と呼ぶ場合がある。以下では、説明の便宜のため被成形部31に的を絞って説明する。被成形部31は被成形体30を構成する金属からなる
図2に示す参考例では図中のコイル23の上に絶縁シート32を設ける。図中ではコイル23の一部が一本の導体として表されている。さらに絶縁シート32上に被成形部31を設ける。さらに被成形部31上に環状の型36を設ける。本参考例では背景技術で説明したようなクラッド材は用いない。したがって被成形体とクラッド材との積層に伴う問題は生じない。
図2に示すコイル23中に大きな電流25を発生させることでその周囲に磁場を生ずる。被成形部31はコイル23の周囲にあることから、被成形部31は磁場で取り囲まれる。磁場の発生により被成形部31内に誘導電流が生じる。被成形部31を構成している上記金属は電気伝導率8.0×106 S/mの鉄である。誘導電流と磁場から生じるローレンツ力が被成形部31に作用することで電磁成形が行われる。
図3には電磁成形を受けた被成形部31及び型36の断面が示されている。係る断面は、図2において断面IIIとして表される断面である。電流25は図3の紙面の裏側から表側に向かって流れる。電流25が生じた磁場と、被成形部31に生じた誘導電流とにより被成形部31にはローレンツ力33aが働く。また被成形部31に生じた誘導電流により生じた磁場と、元の電流25とによりコイル23には斥力としてローレンツ力33bが働く。ここでいう斥力とはコイル23から遠ざかる方向に働く力である。
図3に示すローレンツ力33aとローレンツ力33bとは互いに反発する向きに生じる。被成形部31はコイル23よりも質量の小さいので、被成形部31は大きく変位する。被成形部31の外縁は型36によって拘束されているため、被成形部31の中央が型36内の空間に向かって張り出す。
図3に示すローレンツ力33aと、型36から受ける抗力とによる剪断応力が、被成形部31を塑性変形させる。塑性変形により被成形部31の中央には成形部34が生ずる。本参考例及び実施例では成形部34の張り出しの高さHを成形量と定義する。
<実施例>
図4は実施例に係る被成形体30の側面図である。実施例においても参考例と同様に予め金属からなる被成形体に対してプレス加工を施す。図中の被成形体30は金属からなるプレス加工品である。本実施例では参考例と異なり導電性のペースト37をさらに用いる。ペースト37は被成形部31を構成している金属よりも高い導電率を有する材料からなる。本実施例ではペースト37は電気伝導率24.0×106 S/mのアルミニウムからなる。ペースト37は銅からなるペーストでもよい。
図4に示すように被成形体30中の被成形部31の表面に対して、ペースト37を塗布する。被成形部31に対して電磁成形を行う前に、塗布を行う。ペースト37は柔軟であり、また接着力を有するため被成形部31から剥離しにくい。なおペースト37を電磁成形による塑性加工が必要な部分に限定して塗布することで、ペースト37の使用量を節約することが出来る。
図4に示すペースト37の塗布厚みを大きくすることで電磁成形による変形量を大きくすることもできる。塗布厚みを小さくすることで電磁成形による変形量を小さくすることができる。被成形部中で塗布厚みの大きい領域と小さい領域とを区別することで被成形部中に成形量の大きい領域と小さい領域とを形成することができる。ペーストを用いた方法では、このように導電性高い金属の付着量に分布を設けることができる。またペーストを用いた方法では、厚みの分布を設けることが、上述のクラッド材を利用した方法に比べて容易に行うことができる。
図5には電磁成形前の被成形部31、型36及びペースト37の断面図が示されている。電磁成形にあたって以下の点を除き、各要素を参考例と同様に配置する。本実施例ではペースト37をコイル23に向けるように被成形部31の向きを決定する。被成形部31のペースト37の塗布されていない側の表面上に型36が配置される。ペースト37とコイル23との間に絶縁シート32を挟む。
参考例と同様に図5に示すコイル23に電流を発生させる。電流の発生に伴い、ペースト37の周囲に磁場が発生する。磁場の発生によりペースト37には誘導電流が発生するので、ペースト37にローレンツ力が働く。ローレンツ力はペースト37をコイル23から遠ざけるようとする斥力である。ローレンツ力と、型の抗力とにより被成形部31に対して剪断応力が働くので、被成形部31はペースト37ごと塑性変形する。このようにして被成形部31を電磁成形によって塑性加工することが出来る。
図6は、参考例及び実施例に係る電磁成形のCAE(computer aided engineering)解析結果を表すグラフである。参考例に比べて実施例では成形量が1.5倍に増加した。これはアルミニウムからなるペーストには、鉄からなる被成形体よりも大きな誘導電流が発生することによると考えられる。言い換えれば図5に示すペースト37は背景技術で説明したクラッド材と同様の働きをするので、被成形部31を効率的に塑性変形させることが出来る。
<比較例1>
図7には比較例1に係る方法に供する被成形体41の側面図が示されている。比較例1では予めアルミニウムからなるクラッド材22を鉄からなる被成形体41に積層する。その後、プレス用の型42を用いて被成形体41のプレス加工を行うことで、電磁成形を受ける前のプレス加工品を得る。
図7に示す被成形体41とクラッド材22との間に変形量の差が生じる。これは、プレス加工時の鉄の変形抵抗はアルミニウムよりも大きいことによる。したがって、プレス加工後に被成形体41とクラッド材22との間に剥離43が生じる可能性がある。これに対して、上記実施例ではプレス後に、必要な箇所にペーストを塗布しているのでペーストの剥離は生じない。
<比較例2>
図8には比較例2に係る方法に供する被成形体46の側面図が示されている。比較例2では予めプレス加工された被成形体46を用いる。被成形体46に対して電磁成形を行うためにクラッド材22を被成形体46の表面に積層する。これにより、プレス加工によるクラッド材の剥離は防止される。しかしながら、クラッド材22の積層時に被成形体46に負荷される押圧力47が被成形体46を歪ませる恐れがある。
あるいは、プレス加工によって被成形体46に付与する形状に制限を設けて押圧力47がその形状に影響を及ぼさないように配慮してもよい。しかしながら、この場合、塑性加工の設計の自由が妨げられる。これに対して上記実施例にかかるペーストの塗布は任意の領域に行うことが出来るため、プレス加工によって被成形品に付与する形状に制限を設ける必要が無い。
なお本発明は上記実施例に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
21 被成形体、22 クラッド材、23 コイル、24 成形体、25 電流、26 型、30 被成形体、31 被成形部、32 絶縁シート、33a ローレンツ力、33b ローレンツ力、34 成形部、36 型、37 ペースト、41 被成形体、42 型、43 剥離、46 被成形体、47 押圧力

Claims (1)

  1. 被成形体をプレス加工により得る工程と、
    前記プレス加工された被成形体の表面に対して、前記被成形体よりも高い導電率を有する導電性ペーストを塗布する工程と、
    前記導電性ペーストの周囲に磁場を発生させることで前記導電性ペーストに作用するローレンツ力を利用して、前記被成形体を塑性加工する工程と、
    を有することを特徴とする金属の塑性加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019240278A1 (ja) 2018-06-15 2019-12-19 Agc株式会社 イオン交換膜および乾燥イオン交換膜の製造方法

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