JP2018111973A - 鋼管の機械式継手、該機械式継手の接合方法 - Google Patents

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【課題】締結時におけるガタとズレをなくすることができる鋼管の機械式継手、該機械式継手の接合方法を提供する。【解決手段】本発明に係る鋼管の機械式継手1は、鋼管端部にそれぞれ取り付けられ、雄ねじ部3を有する雄継手部5と、雌ねじ部7を有する雌継手部9と、雄継手部5に螺合するリングねじ11を有し、これら雄継手部5、雌継手部9のねじ部3、7は3条以上、12条以下の平行ねじとし、雄継手部5と雌継手部9の間にリングねじ11を介在させて、雄継手部5と雌継手部9を所定の嵌合位置になるまで回転嵌合させて、リングねじ11を雌継手部9側に向けて締めつけて締結完了できるようにしたことを特徴とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、土木・建築分野において支持構造に用いる鋼管杭、鋼管矢板及び鋼管柱に関する技術であって、これら鋼管杭、鋼管矢板及び鋼管柱を構成する鋼管の機械式継手およびその接合方法に関するものである。
鋼管杭、鋼管矢板または鋼管柱これを構成する鋼管は施工現場で接合されることが多く、このような現場接合は、溶接接合が一般的である。
この鋼管の現場接合技術としての溶接は、豊富な実績を有する優れた方法であるが、
(i)鋼管寸法(外径・板厚)によっては作業時間が非常に長くなる
(ii)風雨時の作業が困難である
(iii)溶接品質が溶接工の技量に大きく依存する
(iv)検査が煩雑で所要時間が長い
(v)上記の(i)〜(iv)の結果として溶接が杭や柱の施工能率低下の大きな要因になっている
などの問題点もあり、溶接に代わる接合技術として鋼管の機械式継手の実用化が求められている。
現在までに鋼管杭については、ねじ継手に代表される様々な機械式継手が開発されてきており、例えば、特許文献1、2がある。
これらは、地すべり抑止用の鋼管杭や基礎杭に用いる鋼管杭の現場接合に適用されるねじ継手であり、特許文献1は平行ねじ、特許文献2はテーパーねじからなるねじ継手である。
特許文献1、2に記載されたねじ継手は、いずれも鋼管杭を構成する鋼管の端部に雄ねじ継手および雌ねじ継手がそれぞれ工場にて取り付けられており、施工現場では、打設されている下杭の上端に取り付けられた雌ねじ継手に、上杭の下端に取り付けられた雄ねじ継手を嵌合可能な位置に合わせて、上杭を人力などで回転させることで上下杭のねじ継手を嵌合させるというものであり、短時間で容易に現場接合できるという利点がある。
このように、機械式継手によれば、上記の溶接接合の問題点を大きく改善することが可能である。
特許第3747594号 特許第2800656号
しかしながら、ねじ継手においても、これを取り付ける対象となる鋼管杭の用い方によっては課題が残されており、以下この点について説明する。
<ねじ継手のガタ>
課題の一つとしてねじ継手のガタに起因するものがあり、この点を一般的なボルトとナットの締結を例に挙げて説明する。
《ボルトとナットの締結》
ねじ構造として身近なものに、ボルトおよびナットがある。一般に、ボルトの雄ねじとナットの雌ねじをスムーズに嵌合させるために、両者のねじ山間に微小なクリアランス(隙間)が設けてある。なお、このクリアランスが全くないと、ねじ同士が噛み合って嵌合できない。
図7に、ボルト51の雄ねじ53とナット55の雌ねじ57の螺合時の位置関係を示す。一般に、ボルトおよびナットの場合、ねじ山の傾斜角度が60°の三角ねじである。ここでは、ボルト51(の頭部)とナット55の間に挟まれた被締結体59を、ナット55を回転させて締結する状態を考える。
ナット55が回転嵌合しているときは、ナット55の雌ねじ57のスタビングフランク面SFと呼ばれる面が、ボルト51の雄ねじ53と接触しながら進む(図7(a)参照)。
その後、ナット55が被締結体59に接触し、その状態からさらにナット55にトルクを作用させて回転させると、被締結体59からナット55に上向きの反力が作用し、ナット55の雌ねじ57のスタビングフランク面SFからロードフランク面RFに接触面が次第に移行する(図7(b)参照)。これにより、被締結体59がボルト51とナット55により強固に締結される。このねじ締結で、ボルト51は伸ばされ、ナット55は縮む。
なお、スタビングフランク面とは、ねじを嵌合(挿入)している状態でのねじ山接触面のことであり、ロードフランク面とは、ねじを締結(締付)している状態でのねじ山接触面のことをいう。
ここで重要なのは、最初のナット55の回転嵌合時は、ボルト51とナット55のねじ山間のクリアランスによりいわゆるガタがあるが、トルクを作用させて両者を締結した後は、ねじのロードフランク面RFでの接触によりガタがなくなるという点である。
《ねじ継手の締結》
鋼管杭のねじ継手についても、雄継手部をボルト、雌継手部をナットと考えて、ボルトを回転嵌合させるとすれば、ねじ継手の締結は上記のボルトとナットの締結と考え方は同様のはずである。
図8、図9に、従来のねじ継手61の雄継手部63の雄ねじ65と雌継手部67の雌ねじ69の螺合時の位置関係を示す。図8はねじ継手61全体を示し、図9はねじ継手61におけるねじ部を拡大して示している。
ここでは、ねじは平行ねじかつ台形ねじとし、スタビングフランク角度は30°、ロードフランク角度は3°とする。なお、両者のねじ山間にはクリアランスが設けてある。
なお、図8に示すように、雄ねじ65の根元には締結時に雌継手部67の先端部71が当接するショルダー部73が形成されている。
上杭の雄継手部63を回転嵌合しているときは、雄ねじ65のスタビングフランク面SFが雌ねじ69と接触しながら進む(図8(a)、図9(a)参照)。
その後、雄継手部63のショルダー部73が雌継手部67の先端部71に接触(ショルダータッチ)する(図9(b)参照)。その状態からさらに雄継手部63にトルクを作用させて回転させると、ショルダータッチしているため、雄ねじ65はそれ以上下がらず、雄継手部63のショルダー部73が雌継手部67の先端部71から上向きの反力を受けながら預けられた状態で回転する。それとともに、雄ねじ65のスタビングフランク面SFからロードフランク面RFに接触面が次第に移行して、最終的にはロードフランク面RFで雄ねじ65と雌ねじ69山同士が押し付け合うようになる(図8(b)、図9(c)参照)。
これにより、雄継手部63と雌継手部67が強固に締結されて、クリアランスによるガタがなくなる。これが、ねじ継手61の理想的な締結メカニズムである。
ボルト51とナット55の場合には、トルクレンチやインパクトレンチで現場にて容易にトルクを作用させることができ、上記のような理想的な締結をすることができる。
他方、鋼管杭のねじ継手61は、ねじ径やねじ山も大きく、上記の接触面の移行に必要なトルクもはるかに大きくなる一方で、鋼管杭のねじ継手61は、上杭の雄継手部63を人力で回転嵌合させるのが一般的であり、現場で作用させることが可能なトルクは、上記必要トルクに対して非常に小さいものとならざるを得ない。もっとも、より大きなトルクをねじ継手61に導入するために、油圧ジャッキなどの載荷治具を用いることも可能ではあるが、その場合には現場での作業が煩雑になってしまう。
そのため、従来の鋼管杭のねじ継手61では、雄継手部63のショルダー部73が雌継手部67の先端部71に接触(ショルダータッチ)した直後の状態、またはその前の、雄継手部63のショルダー部73と雌継手部67の先端部71との間にわずかに隙間がある状態で、所定の耐力が確保されていることを確認した上で、適用されている。
しかし、この状態では、雄ねじ65と雌ねじ69のロードフランク面RFの間には、隙間がまだ残っているということであり、この隙間が、鋼管杭のねじ継手61にわずかなガタを生じさせる。
このわずかなガタが残ることによる力学的な影響は、例えば、鋼管杭のねじ継手61に曲げモーメントが作用した場合に、スリップや初期剛性の低下として現れる。これは、曲げモーメントにより、ねじ継手61には圧縮と引張がそれぞれ作用するが、引張側はスタビングフランク面SFからロードフランク面RFまで接触面が移動して初めて引張力が伝達されるためである。
また、曲げモーメントが交番載荷される場合は、圧縮側となっていたねじが逆に引張側となるため、やはりスタビングフランク面SFからロードフランク面RFまで接触面が移動する。これは、曲げモーメントが反転するときのスリップとして現れる。
これらのわずかなスリップや初期剛性の低下は、耐力設計される鋼管杭では問題とならないが、層間変形角など厳しい変形性能を要求される建築用鋼管柱などで、継手箇所が多い場合などでは、設計上支障となる可能性がある。
《ねじ継手のズレ》
ねじ継手の場合、ガタがあるということは、まだ周方向に回転する余裕、すなわち回転代があるということになる。このため、雄継手部と雌継手部に周方向のズレを生じる可能性がある。
なお、本来ズレとは、ある基準位置からの乖離量を指すものであり、ここではこの基準位置を上述のショルダータッチ直後の雄継手部と雌継手部の位置を想定する。
このガタとズレの関係は、次式で表わされる。
δ=π×D×Δ/(N×P)
ここに、
δ:周方向のズレ(mm)
D:鋼管径(mm)
Δ:軸方向のガタ(クリアランス)(mm)
N:ねじ条数
P:ねじピッチ(mm)
ここで、例えば建築用鋼管柱では、柱梁仕口が工場であらかじめ溶接取付けされることがあるが、上記のように、継手部にて周方向にズレを生じてしまうと、梁の架設に支障が生じる可能性がある。
また、同様に鋼管矢板では、鋼管矢板同士を連結する継手部材(例えば、P-P、P-TおよびL-T継手など)が工場であらかじめ溶接取付けされるが、継手部にて周方向にズレを生じて上矢板と下矢板の継手部材の位置がずれてしまうと、その後の鋼管矢板の打設が不可能となる。
以上のように、鋼管のねじ継手には締結時におけるガタとズレの問題があるが、これらの課題と取るべき対応をまとめると、下記の通りである。
(a)従来の鋼管杭のねじ継手では、ロードフランク面の接触面移行までは設計上必要なかったが、ガタが設計上影響する可能性のある建築用鋼管柱などのねじ継手としては、ロードフランク面まで接触面を移行させてガタをなくす必要がある。そのためには、現場においても接触面移行に必要な所要のトルクを作用させることが可能な接合方法を採用するか、もしくはロードフランク面まで接触面を移行可能な機構を有するねじ継手とするのが望ましい。
(b)従来の鋼管杭のねじ継手では、周方向のズレは特に意識する必要がなかったが、ズレが柱梁仕口の方向性に影響する可能性のある建築用鋼管柱や、継手部材を有する鋼管矢板などのねじ継手としては、ズレをなくす必要がある。なお、上式に示したとおり、ズレとガタは密接に関係しており、(a)の方法でガタをなくすことができれば、自ずとズレもなくすことが可能である。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、締結時におけるガタとズレをなくすることができる鋼管の機械式継手、該機械式継手の接合方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る鋼管の機械式継手は、鋼管端部にそれぞれ取り付けられ、雄ねじ部を有する雄継手部と、雌ねじ部を有する雌継手部と、前記雄継手部に螺合するリングねじを有し、これら雄継手部、雌継手部のねじ部は3条以上、12条以下の平行ねじとし、前記雄継手部と前記雌継手部の間に前記リングねじを介在させて、前記雄継手部と前記雌継手部を所定の嵌合位置になるまで回転嵌合させて、リングねじを雌継手部側に向けて締めつけて締結完了できるようにしたことを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記リングねじの下端と前記雌継手部の先端部が、インロー構造となっていることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記鋼管が建築用鋼管柱又は鋼管矢板を構成する鋼管であることを特徴とするものである。
(4)本発明に係る鋼管の機械式継手の接合方法は、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の鋼管の機械式継手の接合方法であって、前記リングねじを前記雄継手部の雄ねじ部にあらかじめ嵌合し、前記ショルダー部に当接させた状態で、前記雌継手部に前記雄継手部を回転嵌合していき、前記リングねじに前記雌継手部の先端部を接触させるか、あるいは接触直前の所定の相対位置になるようにし、この状態で前記リングねじのみを正回転させて、前記雄継手部と雌継手部を強固に接合させることを特徴とするものである。
本発明においては、鋼管端部にそれぞれ取り付けられ、雄ねじ部を有する雄継手部と、雌ねじ部を有する雌継手部と、前記雄継手部に螺合するリングねじを有し、これら雄継手部、雌継手部のねじ部は3条以上、12条以下の平行ねじとし、前記雄継手部と前記雌継手部の間に前記リングねじを介在させて、前記雄継手部と前記雌継手部を所定の嵌合位置になるまで回転嵌合させて、リングねじを雌継手部側に向けて締めつけて締結完了できるようにしたことにより、締結時におけるガタとズレをなくすることができる。
本発明の実施の形態に係る鋼管の機械式継手の説明図である。 図1に示した機械式継手の製法の一例を説明する説明図である。 図1に示した機械式継手の嵌合手順の説明図である(その1)。 図1に示した機械式継手の嵌合手順の説明図である(その2)。 鋼管が鋼管矢板を構成する場合における機械式継手の嵌合手順の説明図である。 本発明の実施の形態に係る鋼管の機械式継手の他の態様の説明図である。 本発明が解決しようとする課題を説明する説明図である(その1)。 本発明が解決しようとする課題を説明する説明図である(その2)。 本発明が解決しようとする課題を説明する説明図である(その3)。
本発明の一実施の形態に係る鋼管の機械式継手を、鋼管杭を構成する上杭と下杭を接合する場合を例に挙げて説明する。
本実施の形態の機械式継手1は、図1に示すように、鋼管である上杭100の下端に取り付けられて雄ねじ部3を有する雄継手部5と、鋼管である下杭101の上端に取り付けられて雌ねじ部7を有する雌継手部9と、雄継手部5に螺合するリングねじ11を有するものである。
以下、各構成を詳細に説明する。
<鋼管>
鋼管は、土木・建築分野において支持構造に用いる鋼管杭、鋼管矢板及び鋼管柱を構成する鋼管であって、管径がφ300mm〜φ2600mmのものが対象となる。
より具体的には、一般的な鋼管杭、鋼管柱の他、柱梁仕口が工場であらかじめ溶接取付けされた建築用鋼管柱を構成する鋼管や、継手部材(例えば、P-P、P-TおよびL-T継手など)が工場であらかじめ溶接取付けされた鋼管矢板を構成する鋼管等が含まれる。
<雄継手部>
雄継手部5は、図1に示すように、基部側に鋼管との接合部13を有し、基部側から先端に向けて雄ねじ部3が形成され、雄ねじ部3の根元にはショルダー部15が形成されている。雄ねじ部3は、3条以上、12条以下の平行ねじである。
<雌継手部>
雌継手部9は、図1に示すように、基部側に鋼管との接合部17を有し、基部側から先端に向けて雌ねじ部7が形成されている。雌ねじ部7は、3条以上、12条以下の平行ねじである。図1においては、雌ねじ部7を半透明の状態で図示している。
なお、雄継手部5と雌継手部9の接合状態では、図3に示すように、雌継手部9の先端と雄継手部5の基部の間にリングねじ11が介在するので、雌ねじ部7の長さは雄ねじ部3の長さよりもリングねじ11の長さだけ短く設定されている。
<リングねじ>
リングねじ11は、雄継手部5と雌継手部9の間に介在して、雄継手部5と雌継手部9が所定の嵌合位置になるまで回転嵌合させた状態で、雌継手部9側に向けて締め付けるものである。
リングねじ11は、図2に示すように、雄継手部5の雄ねじ部3と同じ長さを有する従来の雌継手部9の雌ねじ部7の先端部分を切断して分離して形成されたものである。そのため、このリングねじ11は、内面に雌継手部9の雌ねじ部7と同じねじ加工を有するもの(ナットに相当)となっている。
なお、リングねじ11の製造方法は特に限定されるものではなく、雌継手部9とは別に製造するようにしてもよい。
上記のように構成された本実施の形態の機械式継手1の接合手順について、図3に基づいて説明する。
(a)図3(a)に示すように、リングねじ11を、上側の鋼管(上杭100)に接合された雄継手部5のショルダー部15に接触するまで、あらかじめ逆回転で回転嵌合しておく。
(b)次に、図3(b)に示すように、リングねじ11が嵌合された状態の雄継手部5を、下側の鋼管(下杭101)の雌継手部9に回転嵌合し、リングねじ11下面と雌継手部9の先端部を接触させるか、あるいは接触直前の所定の相対位置とする。
接触直前の所定の相対位置とは、前述したように、例えば鋼管が建築用鋼管柱で予め柱梁仕口が溶接してあるような場合や、鋼管が継手部を有する鋼管矢板の場合のように、接合される鋼管同士の回転方向の位置決めが必要な場合において決めるべき相対位置をいう。
(c)次に、図3(c)リングねじ11のみを正回転させて、締め込むことで接合完了する。
上記の3つの手順における、機械式継手1の締結メカニズムについて、図4に基づいて説明する。なお、図4の(a)〜(c)に示す状態は、図3の(a)〜(c)に示す状態に対応している。
(a)図4(a)に示す状態では、リングねじ11(ナット)の雌ねじは雄継手部5(ボルト)の雄ねじ部3のロードフランク面RFで接触しながら上に進む。その後、リングねじ11上面が雄継手部5のショルダー部15に接触して、リングねじ11はそれ以上上がらなくなる。このとき、リングねじ11の雌ねじのロードフランク面RFと雄継手部5の雄ねじ部3のロードフランク面RFが押し付け合うとともに、リングねじ11には雄継手部5のショルダー部15から下向きの反力が作用する。
(b)図4(b)に示す状態では、始めのうちは雄継手部5(ボルト)の雄ねじは雌継手部9(ナット)の雌ねじのスタビングフランク面SFで接触しながら進むが、その後、あらかじめ嵌合させていたリングねじ11の下面が雌継手部9の先端部に接触、あるいは接触する直前の状態となる。
(c)図4(c)に示す状態では、リングねじ11のみを正回転させると、リングねじ11はわずかに下がり、リングねじ11の下面と雌継手部9の先端部がさらに強く接触し、雌継手部9には下向きの、リングねじ11には上向きの強い反力が作用する。
これにより、下方では雌継手部9の雌ねじと雄継手部5の雄ねじがロードフランク面RFで強固に締結されるとともに、上方ではリングねじ11の雌ねじと雄継手部5の雄ねじ部3がスタビングフランク面SFで強固に締結されることになり、接合が完了する。
なお、本発明の機械式継手1では、リングねじ11の下面と雌継手部9の先端部は確実に接触するが、最後の手順(図4(c))でリングねじ11がわずかに下がるために、雄継手部5のショルダー部15とリングねじ11の上面にはわずかに隙間ができることになる。
しかしながら、その隙間は一般には1mm以下の微小なものであり、鋼管は杭等の支持構造体として用いられるものであり、例えば上杭100からの鉛直荷重による変形によって隙間はなくなり、最終的には、上杭100→雄継手部5のショルダー部15→リングねじ11の上面→リングねじ11の下面→雌継手部9の先端部→下杭101へと荷重が伝達されるため、問題はないと考えられる。
以上のように構成された本実施の形態の鋼管の機械式継手1であれば、従来の鋼管杭のねじ継手にはない、以下に示す多くのメリットが得られる。
<ねじ継手のガタの解決>
ねじ継手にガタが生じる原因は、雄ねじと雌ねじがロードフランク面RFで接触するまでには強固に締結されておらず、回転嵌合後も両者の間の隙間(移動代)が残っていることにあると先に述べた。
これに対して、本発明の機械式継手1によれば、最終締結状態で、雌継手部9の雌ねじと雄継手部5の雄ねじはロードフランク面RFで、リングねじ11の雌ねじと雄継手部5の雄ねじはスタビングフランク面SFで強固に締結される。
すなわち、雄ねじと雌ねじはすべてロードフランク面RFもしくはスタビングフランク面SFで強固に接触しており、隙間(移動代)はゼロである。したがって、本発明の機械式継手1によれば、ガタが生じることはない。
<ねじ継手のズレの解決>
先に述べた通り、ズレとガタは密接に関係しており、ガタをなくすことができれば、自ずとズレもなくすことができる。しかも、本発明の機械式継手1であれば、上記の接合手順における図3(b)、図4(b)の雄継手部5のねじ込みを止める位置を変えてやれば、周方向のどこででも接合完了とすることができる。
この効果は、鋼管が、図5に示すような鋼管側面に継手部19を有する鋼管矢板21の場合において特に有用な効果である。すなわち、図5(b)に示すように、雄継手部5のねじ込みを止める位置を上下の鋼管矢板21の合いマーク23が一致する位置にすることで、上下の鋼管の継手部19の位置を上下で合わせることができる。
なお、雄継手部5のねじ込みを止める位置を任意にすると、雄継手部5のショルダー部15とリングねじ11の上面の隙間量が変わるので、この点は留意してできるだけ隙間が小さくできるようにするのが好ましい。
<施工時に大トルクが不要>
従来の鋼管杭のねじ継手で、ロードフランク面RFまで接触面を移行させようとすると、上杭の重量によるショルダー面の摩擦力を打ち消すだけのトルクを付与させる必要がある。
しかしながら、回転嵌合は人力で行うのが一般的であり、特に上杭の重量が大きい場合にはこの人力によるトルクで接合完了させるのは困難である。このため、より大きなトルクをねじ継手に導入するために、油圧ジャッキなどの載荷治具が必要となる。
この点、本発明の機械式継手1は、図3(c)、図4(c)で示した接合手順において中立状態のリングねじ11のみを正回転させればよく、特段大きなトルクは必要がない。
<逆回転防止機構が不要>
従来の鋼管杭のねじ継手では、万が一、杭を逆回転させてもねじ継手が外れないように、逆回転防止機構が設けられている。具体的には、接合完了後に、雄継手部と雌継手部を貫通するピン孔に、逆回転防止ピンを挿入するものが一般的である。
しかし、ピンの製作やピン孔の加工および継手部にピン孔を加工するスペースを余分に設ける必要があるなど、コストアップの要因であった。
しかも、多少周方向にズレがあっても確実にピンを挿入する必要があることから、ピン孔のうち、雄継手部側を長孔にする必要があった。
この点、本発明の機械式継手1では、リングねじ11をしっかりと正回転させて強固に締結すれば杭を逆回転させても容易に外れることがないため、原則、逆回転防止機構は不要である。
なお、用心のため、逆回転防止機構を備える場合でも、先述した通り、周方向の任意の位置で接合完了できるので、雄継手部5側を長孔にする必要はなく、丸孔としてその位置でリングねじ11を正回転させればよい。
<リングゲージとして代用可能>
従来の鋼管杭のねじ継手では、雄継手部と雌継手部をそれぞれ鋼管杭端部に溶接で取り付けた後に、その溶接熱によるねじ部の変形の影響の有無を、リングゲージと呼ばれる検査用治具(雄ねじ用と雌ねじ用)で検査している。すなわち、リングゲージが雄継手部と雌継手部のねじとそれぞれ問題なく嵌合することを確認することで、間接的に雄継手部と雌継手部の嵌合検査としている。このようにリングゲージを用いるのは、上杭と下杭を工場内で仮組みして嵌合性を直接検査するのは、ハンドリング上困難であるためである。
ここで、本発明の機械式継手1では、雌継手部9から切断したリングねじ11のように、雄継手部5に回転嵌合可能なリングねじ11を用いるため、このリングねじ11を上記のリングゲージの代わりとして代用できる。
すなわち、上記の図3(a)、図4(a)で示した接合手順において、リングねじ11を雄継手部5のショルダー部15まで逆回転で嵌合するが、この手順が問題なく実施できれば、雄ねじ部3の嵌合確認がなされたことと同義と言える。また、リングねじ11は雌継手部9の雌ねじ部7の延長であるため、結局、雌ねじ部7の嵌合確認も同時になされたことになる。
さらに、本発明の機械式継手1組につき、リングねじ11は必ず1個付くため、工場内で図3(a)、図4(a)で示した接合手順を嵌合検査として全数実施できるし、一方で、施工現場での接合は図3(b)、図4(b)で示した手順から行えばよく、省力化にもつながるといった、一石二鳥の効果が得られている。
<回転バンドとして代用可能>
従来の鋼管杭のねじ継手では、人力での回転嵌合時には、上杭下端の雄継手部近傍に、杭周面を締め付けることができるリング状で、かつ短管を数箇所差し込める回転バンドを取り付けて、数人が短管を同時に押すことで上杭を回転させている。この回転バンドは、回転嵌合のたびに取付けおよび取外しを行う必要があり、作業が煩雑であった。
これに対して、本発明の機械式継手1では、継手1組に1個のリングねじ11を回転バンドの代用とすることができる。
すなわち、このリングねじ11に短管を差し込めるようにさえしておけば、別途回転バンドを取り付けることなく、接合手順の図3(a)ではリングねじ11のみを逆回転し、接合手順の図3(b)ではリングねじ11が取り付いた雄継手部5をともに正回転、接合手順の図3(c)でさらにリングねじ11のみを正回転させれば、接合完了する。
なお、リングねじ11にチェーントングなどを巻きつけて、同様の作業が可能であればそれでもよい。
<インロー構造のリングねじ>
接合完了した際に、リングねじ11の下面と雌継手部9の先端部は必ず接触するが、この部分を、リングねじ11が外側、先端部が内側になるようにインロー構造とするとより望ましい(図6参照)。すなわち、雌継手部9の先端に径方向に凹陥する段部25を形成し、リングねじ11の下端に雌継手部9の段部25と嵌合可能な軸方向に凹陥する段部27を形成し、これらの段部25,27を互いに嵌合させることでインロー構造とする。
ねじ継手では、曲げモーメントが作用すると、特に引張側の雌ねじが拡管されるような変形をする。これは、内側の雄ねじが雌ねじを乗り越えて外れようとするためである。
そのため、リングねじ11をインロー構造とすれば、雌継手部9の先端部の雌ねじ部7が拡管する(外側に膨れる)力をリングねじ11のフープテンションに置き換えて抵抗できるため、結果的に曲げ耐力を向上させることが可能となる。
1 機械式継手
3 雄ねじ部
5 雄継手部
7 雌ねじ部
9 雌継手部
11 リングねじ
13 接合部(雄継手部)
15 ショルダー部
17 接合部(雌継手部)
19 継手部
21 鋼管矢板
23 合いマーク
25 段部(雌継手部)
27 段部(リングねじ)
51 ボルト
53 雄ねじ
55 ナット
57 雌ねじ
59 被締結体
61 ねじ継手
63 雄継手部
65 雄ねじ
67 雌継手部
69 雌ねじ
71 先端部
73 ショルダー部
100 上杭
101 下杭
SF スタビングフランク面
RF ロードフランク面

Claims (4)

  1. 鋼管端部にそれぞれ取り付けられ、雄ねじ部を有する雄継手部と、雌ねじ部を有する雌継手部と、前記雄継手部に螺合するリングねじを有し、これら雄継手部、雌継手部のねじ部は3条以上、12条以下の平行ねじとし、
    前記雄継手部と前記雌継手部の間に前記リングねじを介在させて、前記雄継手部と前記雌継手部を所定の嵌合位置になるまで回転嵌合させて、リングねじを雌継手部側に向けて締めつけて締結完了できるようにしたことを特徴とする鋼管の機械式継手。
  2. 前記リングねじの下端と前記雌継手部の先端部が、インロー構造となっていることを特徴とする請求項1に記載の鋼管の機械式継手。
  3. 前記鋼管が建築用鋼管柱又は鋼管矢板を構成する鋼管であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管の機械式継手。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の鋼管の機械式継手の接合方法であって、
    前記リングねじを前記雄継手部の雄ねじ部にあらかじめ嵌合し、前記ショルダー部に当接させた状態で、前記雌継手部に前記雄継手部を回転嵌合していき、前記リングねじに前記雌継手部の先端部を接触させるか、あるいは接触直前の所定の相対位置になるようにし、この状態で前記リングねじのみを正回転させて、前記雄継手部と雌継手部を強固に接合させることを特徴とする鋼管の機械式継手の接合方法。
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